説明

多接点スイッチ装置

【構成】 複数の固定接点の設置された配線基盤と、移動接点を移動させ前記固定接点をON・OFFするスライド部材と、このスライド部材をスライドさせる操作レバーとを備え、配線基盤は窓部を有する枠状配線基盤であるとともにレバー下方の延びこの枠状配線基盤の枠内を貫通している多接点スイッチ装置である。
【効果】 操作レバーの先端よりも上方においてスライド部材を押してスライドさせることができるものである。この多接点スイッチ装置を使用すれば、従来のように配線基盤を操作レバーの下方に設置する必要はないため、スイッチ装置全体がコンパクトになり、その使用価値は向上するものである。配線基盤における前記操作レバーの下方にクリックストップ機構を設ければ、操作レバーの先端部をそのまま利用できるため、この点からもスイッチ装置全体がコンパクトになり、その使用価値は向上するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は多接点スイッチ装置に関し、例えば、自動者用オートマチックトランスミッションのシフト装置として使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種のスイッチ装置にあっては、複数の固定接点の設置された配線基盤と、移動接点を移動させ前記固定接点をON・OFFするスライド部材と、このスライド部材をスライドさせる操作レバーとを備え、この操作レバーを揺動することによって前記スライド部材をスライドさせ、前記移動接点を移動させ前記固定接点をON・OFFしていた。
【0003】
【特許文献1】特開2007−184220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の多接点スイッチ装置にあっては、操作レバーの下端によって前記スライド部材をスライドさせていたため、前記配線基盤は前記操作レバーの下方に位置することになり、この結果、スイッチ装置全体の構成が大きくならざるを得ないという不都合をゆうした。
【0005】
この発明の課題はこの不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記不都合を解消するために、この発明に係る多接点スイッチ装置においては、複数の固定接点の設置された配線基盤と、移動接点を移動させ前記固定接点をON・OFFするスライド部材と、このスライド部材をスライドさせる操作レバーとを備え、前記配線基盤は窓部を有する枠状配線基盤であるとともに前記前記レバーは下方に延び、前記枠状配線基盤の窓部を貫通しているものである。
【0007】
なお、前記配線基盤における前記操作レバーの下方にクリックストップ機構を設けることもできる。
【0008】
また、前記ON・OFFの複数の信号により、前記操作レバーの位置を検出可能とすることもできる。
【0009】
また、前記枠状配線基盤における窓部を介して互いに対向する部分に各々前記固定接点を設け、各々の固定接点に対してスライドさせる一対のスライド部材を一体的に構成することもできる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るこの発明に係る多接点スイッチ装置は上記のように構成されているため、即ち、複数の固定接点の設置された配線基盤と、移動接点を移動させ前記固定接点をON・OFFするスライド部材と、このスライド部材をスライドさせる操作レバーとを備え、前記配線基盤は窓部を有する枠状配線基盤であるとともに前記前記レバーは下方の延び前記枠状配線基盤の窓部を貫通しているため、
操作レバーの先端よりも上方において前記スライド部材を押してスライドさせることができるものである。
【0011】
よって、この多接点スイッチ装置を使用すれば、従来のように基盤を操作レバーの下方に設置する必要はないため、スイッチ装置全体がコンパクトになり、その使用価値は向上するものである。
【0012】
なお、前記基盤における前記操作レバーの下方にクリックストップ機構を設ければ、操作レバーの先端部をそのまま利用できるため、この点からもスイッチ装置全体がコンパクトになり、その使用価値は向上するものである。
【0013】
さらに、前記ON・OFFの複数の信号により、前記操作レバーの位置を検出可能とすれば、操作レバーの位置を、複数の位置から選択的に検出し、信号として簡易に出力することができる。
【0014】
また、前記枠状基盤における窓部を介して互いに対向する部分に各々前記固定接点を設け、各々の固定接点に対してスライドさせる一対のスライド部材を一体的に構成すれば、一回の操作によって、前記対向する部分の各々の固定接点におけるON・OFFを同時に操作できるため、その操作範囲は向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明に係る多接点スイッチ装置は、複数の固定接点の設置された基盤と、移動接点を移動させ前記固定接点をON・OFFするスライド部材と、このスライド部材をスライドさせる操作レバーとを備え、前記基盤は窓部を有する枠状基盤であるとともに前記前記レバーはこの枠状基盤の枠内を貫通している事に最も主要な特徴を有する。
【実施例】
【0016】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1はこの多接点スイッチ装置の実施例の正面断面図、図2は図1におけるII−II線断面図、図3は図1における平面図、図4は図1における同IV-IV 線断面図、図5は同V-V 線断面図、図6は図4におけるVI-VI 線断面図、図7は図6におけるVII- VII線断面の基盤の表面の図、図8は図6におけるVIII- VIII線断面の基盤の裏面の図、図9はスイッチのON・OFFと操作レバーの位置との関係を示した表である。
【0018】
図1,図2において、Aは自動車用オートマチックトランスミッションのシフト装置(この発明の「多接点スイッチ装置」に相当する)、10はそのフレームである。
【0019】
20はスイッチ本体であり、函状のスイッチケース21を有している。このケース21は枠状であり、中心部に窓部22を有している。30は操作レバーであり下方に延びて、前記スイッチ本体20を貫通した状態で、軸31を介して前記フレーム10に揺動可能に設置されている。この操作レバー30はこの軸31を介してセレクト方向(N・Hの選択)(図1を参照のこと)に揺動する。
【0020】
さらに、前記操作レバー30は軸32を前記軸31に対して揺動可能に設置されている。この操作レバー30は軸32を介してシフト方向(N・D・Rの選択又はH・+・−の選択)(図2を参照のこと)に揺動する。
【0021】
40はクリックストップ機構であり、前記スイッチケース21の下部に設置されている。このクリックストップ機構40は係止部41,41,…が6ケ所あり、前記操作レバー30の先端部が圧縮ばね43の弾性により弾撥された状態で選択的に係止する。なお、この係止レバー30はフリーの状態では、常に、Nの位置にくるようにNの位置に相当する前記係止部41(N) は最も低い位置に決められている(図1の低い方の位置を参照のこと)。
【0022】
次に、図3〜8に基づいて、前記スイッチ本体20を説明する。
50,60 は第一ケース部であり、前記スイッチケース21の両側上部に形成されている。この第一ケース部50,60 は前記窓部22側に細孔51,61 を有している。52,62 は第一スライド部材であり、前記第一ケース部50,60 内に進退可能に嵌挿されている。この第一スライド部材52,62 は圧縮ばね53,63 によって、その先端部521,621 が前記細孔51,61 から先端方向に突出している。また、54,64 は移動接点であり、前記第一スライド部材52,62 の下面に設置されている。この移動接点54,64 は前記第一スライド部材52,62 に従って進退する。
【0023】
次に、70はプリント基盤(この発明の「配線基盤」に相当する)であり、前記第一ケース部50,60 の底板を構成している。図7に示すように、このプリント基盤70は窓部71を有する枠状であり、その表面にはそれぞれ一対の固定接点54,55,64,65 が設置されている。前記操作レバー30によって、前記第一スライド部材52,62 の先端部521,621 を圧縮ばね53,63 の弾性に抗して押圧することによって、この一対の固定接点54,55,64,65 の表面を前記第一スライド部材52,62 の移動接点54,64 が接触移動することにより、この一対の固定接点54,55,64,65 をON・OFFさせる。
【0024】
次に、図4〜6において、70,80 は第二ケース部であり、前記スイッチケース21の両側下部に形成されている。この第二ケース部70,80 は前記窓部22側に長孔71,71,81,81 をを有している。72,82 はガイド棒であり、前記第二ケース部70,80 内に設置されている。このガイド棒72,82 は、前記レバー30のシフト方向に延びている。73,73,83,83 はカラーであり、前記ガイド棒72,82 に進退可能に嵌めされている。74,84 は第二スライド部材であり、前記第二ケース部70,80 内において、前記カラー73,73,83,83 に進退可能な状態で外嵌めされている。
【0025】
なお、前記カラー73,73,83,83 の先端には抜け止め鍔741(片方のみ図示) が形成されているため、第二スライド部材74,84 が前記カラー73,73,83,83 から抜け出すことはない。75,85 は圧縮ばねであり、前記ガイド棒72,82 における前記カラー73,73,83,83 の間に外嵌めされ、このカラー73,73,83,83 を外側に弾撥している。これは、フリーの状態では常に、第二スライド部材74,84 が真ん中に来るようにするためである。
【0026】
また、76,86 は移動接点であり、前記第二スライド部材74,84 の上面に設置されている。この移動接点76,86 は前記第二スライド部材74,84 に従って進退する。
【0027】
741,841 は連結部材であり、前記長孔71,71,81,81 を貫通し、前記一対の第二スライド部材74,84 を連結している。このため、前記一対の第二スライド部材74,84 は一体として進退する。
【0028】
次に、前記プリント基盤70はこの第二ケース部70,80 の天井板を構成している。図8に示すように、このプリント基盤70の裏面にはそれぞれ一対の固定接点77,78,79,87,88,89,90が設置されている。前記操作レバー30によって、第一スライド部材52,62 を押圧して、H又はNの位置を選択した状態で、更に、前記第二スライド部材74,84 の連結部材741,841 を圧縮ばね75,85 に抗して押圧する。すると、前記一対の固定接点77,78,79,87,88,89,90の表面を前記第二スライド部材74,84 の移動接点76,86 が接触移動することにより、これらの一対の固定接点77,78,79,87,88,89,90 をON・OFFさせる。
【0029】
即ち、操作レバー30を、Nの位置にセレクト場合には、移動接点76,86 はaの位置にあり、SW2とSW3とSW4がONとなる。この状態で、Dの位置にシフトすると、移動接点76,86 はbの位置にあり、SW4とSW5がONのとなる。また、Rの位置にシフトすると、移動接点76,86 はcの位置にあり、SW1とSW2がONとなる。一方、操作レバー30を、Hの位置にセレクト場合には、移動接点76,86 はaの位置にあり、SW3とSW6がONとなる。この状態で、−の位置ににシフトすると、移動接点76,86 はbの位置にあり、SW5とSW6がONのとなる。また、+の位置にシフトすると、移動接点76,86 はcの位置にあり、SW5とSW6がONとなる。
【0030】
このため、図9に示すように、SW1〜SW6のON・OFFによって、操作レバー30の位置を特定するとができ、信号として発信することができる。
【0031】
即ち、SW1とSW2がONのときRの位置、SW2とSW3とSW4がONのときNの位置、SW4とSW5がONのとききDの位置、SW1とSW6がONのとき+の位置、SW3とSW6がONのときHの位置、SW5とSW6がONのとき−の位置を特定することができる。
【0032】
この特定方法は一例であり、場合によって様々な組み合わせを構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明は、基盤を操作レバーの下方に設置していた従来よりも、スイッチ装置全体をコンパクトにする場合に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1はこの多接点スイッチ装置の実施例の正面断面図である。
【図2】図2は図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図3は図1における平面図である。
【図4】図4は図1における同IV-IV 線断面図である。
【図5】図5は同V-V 線断面図である。
【図6】図6は図4におけるVI-VI 線断面図である。
【図7】図7は図6におけるVII- VII線断面の基盤の表面の図である。
【図8】図8は図6におけるVIII- VIII線断面の基盤の裏面の図である。
【図9】図9はスイッチのON・OFFと操作レバーの位置との関係を示した表である。
【符号の説明】
【0035】
A … 自動車用オートマチックトランスミッションのシフト装置(多接点スイッチ 装置)
10 … フレーム
20 … スイッチ本体
21 … スイッチケース
22 … 窓部
30 … 操作レバー
31 … 軸
32 … 軸
40 … クリックストップ機構
41 … 係止部
41(N)… 係止部
43 … 圧縮ばね
50 … 第一ケース部
51 … 細孔
53 … 圧縮ばね
54 … 移動接点
55,56 … 一対の固定接点
60 … 第一ケース部
61 … 細孔
62 … 第一スライド部材
63 … 圧縮ばね
64 … 移動接点
65,66 … 一対の固定接点
70 … 第二ケース部
71 … 長孔
72 … ガイド棒
73 … カラー
74 … 第二スライド部材
731 … 抜け止め鍔
741 … 連結部材
75 … 圧縮ばね
76 … 移動接点
77,78,79 … 一対の固定接点
80 … 第二ケース部
81 … 長孔
82 … ガイド棒
83 … カラー
84 … 第二スライド部材
841 … 連結部材
85 … 圧縮ばね
86 … 移動接点
87,88,89,92 … 一対の固定接点
90 … プリント基盤(配線基盤)
91 … 窓部
a … 操作レバーの移動接点の位置
b … 操作レバーの移動接点の位置
c … 操作レバーの移動接点の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定接点の設置された配線基盤と、移動接点を移動させ前記固定接点をON・OFFするスライド部材と、このスライド部材をスライドさせる操作レバーとを備え、前記配線基盤は窓部を有する枠状配線基盤であるとともに前記前記レバーは下方の延び前記枠状配線基盤の窓部を貫通していることを特徴とする多接点スイッチ装置。
【請求項2】
前記配線基盤における前記操作レバーの下方にクリックストップ機構を設けたことを特徴とする請求項1の多接点スイッチ装置。
【請求項3】
前記ON・OFFの複数の信号により、前記操作レバーの位置を検出可能としたことを特徴とする請求項1の多接点スイッチ装置。
【請求項4】
前記枠状配線基盤における窓部を介して互いに対向する部分に各々前記固定接点を設け、各々の固定接点に対してスライドさせる一対のスライド部材を一体的に構成したことを特徴とする請求項1の多接点スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−110777(P2009−110777A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281001(P2007−281001)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(596177630)株式会社日本ロック (21)
【Fターム(参考)】