説明

多方向操作スイッチ構造

【課題】回路基板の配線を簡略化出来ると共に、組み付けが容易で、ガタ付きが少なく、しかも、操作フィーリングの良好な多方向操作スイッチ構造を提供する。
【解決手段】ピン保持凹部19b,19bの底面部に形成されるピン孔19c…から、各プッシュピン21…のピン先端部21a…を各々下方に向けて突出させて、押圧スイッチ18…の押圧面18a…を押圧可能としている。
ベース部材19の上面側に、スライド移動する略長方形形状の二枚のスライドプレート22,23を設け、ダイヤル部材32の操作により、前,後及び左,右又は、斜めにスライド移動させる。
ダイヤル部材32は、第二の回路基板27と共に、スライドプレート22,23を、交差方向に移動させて、プッシュピン21…を押圧して、第一の回路基板17に設けられた押圧スイッチ18…のon及びoffスイッチ操作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、自動車等、車両に用いられる多方向操作スイッチ構造で、特に、操作フィーリングを向上させた多方向操作スイッチ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図11及び図12に示すような多方向操作スイッチ構造が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
まず、構成から説明すると、この従来の多方向操作スイッチ構造では、下ケース1の中央部には、復帰スプリング部材2を介して、ピン部材3が立設されていて、このピン部材3に形成された略球状の上端部を、摺動ケース4の凹部4a下面側に弾接させている。
【0004】
この摺動ケース4は、上ケース5から上方に向けて突設されるダイヤル操作部6と共に、揺動自在に支持されている。
【0005】
そして、これらのダイヤル操作部6と、摺動ケース4との間に、介装される配線基板7の裏面側7aに固着されるレバースイッチ8,9を、このダイヤル操作部6の操作によって、スライド移動させて、図12に示すように、二枚の直交配置されたスライドプレート10,11によって、このレバースイッチ8,9から下方に向けて、突設された操作レバー8a,9aを傾倒させて、on及びoffスイッチ操作が可能となるように構成されている。
【0006】
なお、この多方向操作スイッチ構造には、前記ダイヤル操作部6の回動動作で、接続位置を変更させる固定接点12及び可動接片13が設けられると共に、押しボタン15の押圧動作で、on及びoffスイッチ操作が可能なプッシュスイッチ14が、前記配線基板7の上面側7bに、各々固着されている。
【0007】
次に、この従来の多方向操作スイッチ構造の作用について説明する。
【0008】
この従来の多方向操作スイッチ構造では、図12中二点鎖線に示すように、前記ダイヤル操作部6を白抜き矢印の方向に移動操作させると、前記レバースイッチ8,9は、前記配線基板7と共に、スライド移動されて、二枚の直交配置されたスライドプレート10,11に係合されることよって、このレバースイッチ8,9から下方に向けて、突設された操作レバー8a,9aが傾倒されて、on及びoffスイッチ操作が行われる。
【0009】
これらの操作レバー8a,9aの傾倒方向と組み合わせにより、8方向で異なる種別のon及びoffスイッチの切換が行われる。
【特許文献1】特開2003−308759号公報(0001段落乃至0039段落、図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかながら、このように構成された従来の多方向操作スイッチ構造では、前記配線基板7の上面側7bに、前記ダイヤル操作可能な固定接点12及び可動接片13と、押しボタン操作可能なプッシュスイッチ14とが設けられると共に、更に、裏面側7aに、前記8方向の異なる切換が可能なレバースイッチ8,9が設けられている。
【0011】
このため、この配線基板7に配線が、多数必要となり、回路が複雑となってしまうといった問題があった。
【0012】
また、前記配線基板7の裏面側7aのレバースイッチ8,9は、操作レバー8a,9aの傾倒が、前記下ケース1の底面部近傍に設けられたスライドプレート10,11との係合により、行われている。
【0013】
このため、ダイヤル操作部6と、スライドプレート10,11に操作レバー8a,9aが係合されている部分との間が、上下方向に離間してしまい、スライド移動に伴って、回転モーメントが発生し、寸法精度を向上させなければ、ガタ付き等を発生させる虞があった。
【0014】
更に、前記配線基板7を組み付ける際、裏面側7aのレバースイッチ8,9の操作レバー8a,8bを前記スライドプレート10,11に係合させる作業がめくら作業となり、組み付け作業性が良好であるとは言い難かった。
【0015】
そして、前記8方向の異なる切換を可能とする2つのレバースイッチ8,9が、ピン部材3の外周囲に、周方向で、約90度離間されて配置されて、周方向で均等間隔に配置されていない為、各方向で、操作フィーリングが異なってしまうといった問題もあった。
【0016】
そこで、この発明は、回路基板の配線を簡略化出来ると共に、組み付けが容易で、ガタ付きが少なく、しかも、操作フィーリングの良好な多方向操作スイッチ構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、第一の回路基板から突設される復帰スプリング部材に、揺動自在に支持されるダイヤル操作部を有し、該ダイヤル操作部の操作により、スライド移動する二枚のスライドプレートを、前記ダイヤル操作部に装着される第二の回路基板と、前記第一の回路基板との間に該スライドプレートのスライド移動方向が、直交するように交差させて、該スライドプレートの移動により、押圧される複数のプッシュピンを、前記第一の回路基板に設けられた複数の押圧スイッチに当接させる多方向操作スイッチ構造を特徴としている。
【0018】
また、請求項2に記載されたものは、前記スライドプレートは、前記第一の回路基板の上面側に固定されるベース部材の上面側に形成されたガイド溝部に沿って、スライド自在に装着されると共に、該ベース部材の上面側には、前記プッシュピンを各々保持するピン保持凹部を、凹設形成すると共に、該ピン保持凹部の底面部に形成されるピン孔から、前記プッシュピンのピン先端部を前記第一の回路基板方向に向けて、突出させることにより、前記押圧スイッチを押圧可能に当接させた請求項1記載の多方向操作スイッチ構造を特徴としている。
【0019】
更に、請求項3に記載されたものは、前記復帰スプリング部材に装着されるピン部材を、前記ベース部材のバネ保持凹部内で、上下方向に摺動自在となるように保持すると共に、該ピン部材の上端部を、略球状として、前記第二の回路基板を下方から一体に支持するパッド部材の中央部下面側に形成された凹部に、該上端部を、弾接させて、該パッド部材を揺動自在に支持すると共に、該凹部の周囲には、前記バネ保持凹部の周壁部が、内側面に当接することにより、前記パッド部材の揺動を停止させる円筒状ストッパ部が、一体に形成されている請求項2記載の多方向操作スイッチ構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
このように構成された請求項1記載のものは、前記ダイヤル操作部の操作により、第二の回路基板と共に、前記スライドプレートが、交差方向に自在に移動する。
【0021】
そして、該スライドプレートが、前記第一の回路基板に設けられた前記押圧スイッチに選択的に当接することにより、押圧して、何れか若しくは複数の組み合わせの押圧スイッチのon及びoffスイッチ操作が行われる。
【0022】
このため、第二の回路基板に、従来のように他のスイッチ類と共に、前記多方向の操作が行われる押圧スイッチを設ける必要が無く、第二の回路基板の配線を簡略化することが出来る。
【0023】
また、前記第一の回路基板に、前記押圧スイッチが設けられているので、上部からスライドプレート等を装着することにより、容易に、組み付け出来る。
【0024】
更に、前記スライドプレートの移動により、複数のプッシュピンを押圧して、複数の押圧スイッチのon,off操作を行う。
【0025】
このため、プッシュピンの高さ分、スライドプレートを前記ダイヤル操作部に高さ方向で、近接させることができるので、モーメントの発生を抑制して、ガタ付きを減少させることができる。
【0026】
そして、前記二枚のスライドプレートのスライド移動方向が、直交するように交差させられていて、該スライドプレートの移動により、複数のプッシュピンを押圧して、複数の押圧スイッチのon,off操作を行うので、スライド方向に合計4個の押圧スイッチを配置できる。
【0027】
このため、周上に略均等間隔で、前記各押圧スイッチを設ければ、操作力を全ての方向で、略均等とすることが出来、操作フィーリングを良好なものとすることができる。
【0028】
また、請求項2に記載されたものは、前記スライドプレートが、前記第一の回路基板の上面側に固定されるベース部材の上面側に形成されたガイド溝部に沿って、スライド自在に装着されている。
【0029】
このため、前記ダイヤル操作部の操作力が、該ダイヤル操作部に、近接配置された前記スライドプレートに伝達されるので、更に、モーメントの発生を抑制して、ガタ付きを減少させることができる。
【0030】
更に、請求項3に記載されたものは、前記パッド部材の中央部下面側に形成された凹部に、該上端部を弾接させるピン部材が、復帰スプリング部材と共に、前記ベース部材のバネ保持凹部内で、上下方向に摺動自在となるように保持されている。
【0031】
また、前記パッド部材の中央部下面側に形成された凹部の周囲には、円筒状ストッパ部が一体に形成されていて、前記バネ保持凹部の周壁部が、該円筒状ストッパ部の内側面に当接することにより、前記パッド部材の揺動が停止される。
【0032】
このため、前記ダイヤル操作部の移動ストロークが、周方向で略均等に規制されて、更に、操作フィーリングを良好なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の多方向操作スイッチ構造について説明する。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0034】
図1乃至図10は、この発明の最良の実施の形態の多方向操作スイッチ構造を示すものである。
【0035】
まず、全体の構成について説明すると、この実施の形態の多方向操作スイッチ16は、平面視略正方形形状の第1の回路基板17の上面側17aには、中央のバネ挿通孔17bの外周囲に、周方向で、均等間隔となる90度毎に、押圧スイッチ18…が、合計4個、固着されて設けられている。
【0036】
また、この第1の回路基板17の上面側17aには、上面側が塞がれた有底円筒形状のベース部材19が、固定ビス部材20…によって固定されている。
【0037】
このベース部材19のに略中央部には、図4に示すように、前記バネ挿通孔17bに、一部を挿通するバネ保持凹部19aが、凹設形成されると共に、このバネ保持凹部19a内に、復帰スプリング部材2が、保持されて、この復帰スプリング部材2の上端を覆うように、ピン部材3が、装着されている。
【0038】
そして、このピン部材3が、前記バネ保持凹部19a内で、上下方向に摺動自在となるように保持されることにより、第1の回路基板17aから、上方に向けて立設する状態となるように構成されている。
【0039】
このバネ保持凹部19aには、上方に向けて延設される小径円筒形状の周壁部19fが、一体に形成されている。
【0040】
また、このベース部材19のバネ保持凹部19aの周囲には、4本のプッシュピン21…を上下方向にスライド自在に保持するピン保持凹部19b,19bが、90度毎に、前記押圧スイッチ18…位置に合わせて、凹設形成されている。
【0041】
そして、このピン保持凹部19b,19bの底面部に形成されるピン孔19c…から、各プッシュピン21…のピン先端部21a…を各々下方に向けて突出させて、前記押圧スイッチ18…の押圧面18a…を押圧可能に構成されている。
【0042】
更に、このベース部材19の上面側には、図1に示すように、直交して交差させた状態で、スライド移動する略長方形形状の二枚のスライドプレート22,23を、水平方向に摺動可能にガイドするガイド溝19d,19eが各々凹設形成されている。
【0043】
このスライドプレート22,23には、前記ピン部材3を挿通する中央開口部22a,23aが開口形成されている。
【0044】
更に、スライドプレート22,23の長手方向の両端部近傍下面側には、前記4本のプッシュピン21…の上端部を、摺接させて、スライド移動によって、これらのプッシュピン21の下方への押圧力に変換させる押圧傾斜面22b,22b及び23b,23bが、各々形成されている。
【0045】
また、これらの二枚のスライドプレート22,23の上部には、パッド部材24が設けられている。
【0046】
このパッド部材24の中央部下面側には、前記ピン部材3に形成された略球状の上端部3aを、弾接させる凹部24aが形成されている。
【0047】
この凹部24aの周囲には、前記バネ保持凹部19aの周壁部19fが、内側面24cに当接することにより、前記パッド部材24の揺動を停止させる円筒状ストッパ部24bが、一体に形成されている。
【0048】
そして、上面側が塞がれた有底円筒形状の上ケース部材25を、前記ベース部材19に、固定ビス部材26…を用いて固定することにより、この上ケース部材25の内側に、揺動自在となるように、このパッド部材24が、保持されている。
【0049】
更に、この実施の形態の多方向操作スイッチ16では、この上ケース部材25の上側に、第二の回路基板27が、この上ケース部材25に形成された複数の開口部25a…を介して、前記部材パッド部材24に、直接、固着ビス部材28…が用いられて固定されている。
【0050】
この第二の回路基板27の上面側27aには、ボタンガイド部材29によってガイドされて、上下方向に移動可能な押しボタンスイッチ部材30が設けられている。
【0051】
この押しボタンスイッチ部材30は、押圧面部材30aと、円筒部材30bとを有して構成されている。
【0052】
そして、前記第二の回路基板27の上面側27aに固定された押圧スイッチ34の押圧面34aを、この円筒部材30bの下端縁30cが押圧して、on及びoffスイッチ操作が可能となるように構成されている。
【0053】
また、このボタンガイド部材29の周囲には、リング照明部材31が設けられている。
【0054】
そして、ダイヤル操作部としてのリング状のダイヤル部材32の回転操作により、電気的信号を変更して、スイッチポジションを切換える回転スイッチ33が、前記第二の回路基板27の上面側27aに、固定されている。
【0055】
次に、この実施の形態の多方向操作スイッチ構造の作用効果について説明する。
【0056】
このように構成された実施の形態の多方向操作スイッチ16では、図4及び図5に示す中立位置から、前記ダイヤル部材32を、図2中矢印に示すように、回転させると、前記第二の回路基板27の上面側27aに、固定されている回転スイッチ33が、電気的信号を変更して、スイッチポジションを切換える。
【0057】
また、前記押しボタンスイッチ部材30の押圧面部材30aを、図2中矢印に示すように、略鉛直に押圧すると、前記第二の回路基板27の上面側27aに固定されている押圧スイッチ34の押圧面34aが、前記円筒部材30bの下端縁30cによって、押圧されて、on及びoffスイッチ操作が行われる。
【0058】
そして、図3中矢印方向に示すように、前記ダイヤル部材32を、前,後及び左,右又は、斜めにスライド移動させると、図7,図8及び図9,図10に示すように、第二の回路基板27と共に、前記スライドプレート22,23が、交差方向に自在に移動する。
【0059】
そして、このスライドプレート22,23が、前記ガイド溝部19d,19eに沿って、水平にスライド移動することにより、これらのスライドプレート22,23の下面側に形成された押圧傾斜面22b,23bに、前記プッシュピン21,21の上端部が押圧されて、下方に向けて、移動する。
【0060】
これらのプッシュピン21,21は、当接する前記第一の回路基板17に設けられた前記押圧スイッチ18…を選択的に押圧して、何れか若しくは複数の組み合わせの押圧スイッチのon及びoffスイッチ操作が行われる。
【0061】
例えば、図3中a方向の一方向に、前記ダイヤル部材32が移動されると、図7,図8に示すように、凹部4aの周囲に一体に形成された円筒状ストッパ部24bの内側面24cに、前記バネ保持凹部19aの周壁部19fが、当接するまで、前記パッド部材24が、第二の回路基板27と共に移動して、前記パッド部材24の揺動が停止する。
【0062】
そして、図8中左側位置で示されるように、一方のプッシュピン21の上端部21aが、前記スライドプレート23の下面側に形成された押圧傾斜面23bに摺接されながら、段部に乗り上げて、前記プッシュピン21を下方に移動させて、前記押圧スイッチ18を押圧することにより、on又はoffとするスイッチ操作が行われる。
【0063】
また、例えば、図3中b方向の斜め方向に、前記ダイヤル部材32が移動されると、図9,図10に示すように、凹部4aの周囲に一体に形成された円筒状ストッパ部24bの内側面24cに、前記バネ保持凹部19aの周壁部19fが、当接して、前記パッド部材24の揺動が停止する。
【0064】
そして、図10中左側位置で、示される一方のプッシュピン21の上端部が、前記スライドプレート23の下面側に形成された押圧傾斜面23bに摺接されながら、下方に移動して、図9中、押圧スイッチ18Aが押圧されると共に、90度離間して配置される押圧スイッチ18Bも押圧されて、on又はoffとするスイッチ操作が、二つの押圧スイッチ18A,18Bで同時に行われる。
【0065】
従って、この実施の形態の多方向操作スイッチ16では、図3に示すように、前,後及び左,右のスライド移動操作に加えて、更に、斜め4方向の何れかにスライド移動させると、二つの押圧スイッチ18,18が同時に、on又はoffされる。
【0066】
よって、組み合わせにより、8通りのスイッチ操作を4つの押圧スイッチ18…で、行うことが出来る。
【0067】
更に、この多方向操作スイッチ16では、第二の回路基板27に、他の押圧スイッチ34或いは、回転スイッチ33と共に、前記多方向の操作が行われる押圧スイッチ18…を設ける必要が無く、第二の回路基板27の配線を簡略化することが出来る。
【0068】
しかも、この実施の形態の多方向操作スイッチ16では、第二の回路基板27に設けられる押圧スイッチ34及び、回転スイッチ33が、上面側27aのみに実装されるので、更に、基板構成を簡略化して、容易に製造出来る。
【0069】
また、前記第一の回路基板17の上面側17aに、前記押圧スイッチ18…が設けられているので、上部から、前記ベース部材19及び、スライドプレート22,23等を装着することにより、容易に、組み付け出来る。
【0070】
更に、前記スライドプレート22,23のスライド移動により、何れかのプッシュピン21…を介して、何れかの押圧スイッチ18…が押圧されることにより、on,off操作が行われる。
【0071】
このため、プッシュピン21…の高さ分、スライドプレート22,23を前記ダイヤル操作部32に高さ方向で、近接させることができるので、モーメントの発生を抑制して、ガタ付きを減少させることができる。
【0072】
そして、前記二枚のスライドプレート22,23のスライド移動方向が、直交するように交差させられていて、スライドプレート22,23の移動により、複数のプッシュピン21…の少なくとも何れか一つが、これらのスライドプレート22,23の両端部下面側に形成された押圧傾斜面22b,23bの何れかに押圧されて、選択的に複数の押圧スイッチのon,off操作が行われるので、スライド方向に合計4個の押圧スイッチ18…を配置できる。
【0073】
このため、周上に略均等間隔で、前記各押圧スイッチ18…を設ければ、操作力を全ての方向で、略均等とすることが出来、操作フィーリングを良好なものとすることができる。
【0074】
また、前記スライドプレート22,23が、前記第一の回路基板17の上面側に固定されるベース部材19の上面側に形成されたガイド溝部19d,19eに沿って、水平方向にスライド自在に装着されている。
【0075】
このため、前記ダイヤル部材32の操作力が、このダイヤル部材32に、近接配置された前記スライドプレート22,23に伝達されるので、更に、モーメントの発生が抑制されて、ガタ付きを減少させることができる。
【0076】
更に、この実施の形態では、前記パッド部材24の中央部下面側に形成された凹部24aに、上端部3aを弾接させるピン部材3が、復帰スプリング部材2と共に、前記ベース部材19のバネ保持凹部19a内で、上下方向に摺動自在となるように保持されている。
【0077】
また、前記パッド部材24の中央部下面側に形成された凹部24aの周囲には、円筒状ストッパ部24bが一体に形成されていて、前記バネ保持凹部19aの周壁部19fが、この円筒状ストッパ部24bの内側面24cに当接することにより、前記パッド部材24の揺動が停止される。
【0078】
このため、前記ダイヤル部材32の移動ストロークが、左,右(図3中矢印g,c方向)及び前,後(図3中矢印e,a方向)のみならず、これらの間の斜めの四方向(図3中矢印b,d,f,h方向)でも、周方向で略均等に規制されて、更に、均質な操作力でダイヤル部材32の操作を可能として、操作フィーリングを良好なものとすることができる。
【0079】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0080】
即ち、前記実施の形態では、多方向操作スイッチ16の第二の回路基板27に、押圧スイッチ34及び、回転スイッチ33が、設けられているが、特にこれに限らず、例えば、押圧スイッチ34又は、回転スイッチ33のうち、少なくとも何れか一方若しくは他のスイッチ類との組み合わせで、上面側27aのみに実装されていてもよく、スイッチの形状、構造、数量及び材質が特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の最良の実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、全体の構造を説明する分解斜視図である。
【図2】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、全体の構成を説明する斜視図である。
【図3】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、全体の構成を説明する上面図である。
【図4】実施の形態の多方向操作スイッチ構造の構成を説明し、図2中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図5】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、中立位置を説明する図2中B−B線に沿った位置での断面図である。
【図6】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、中立位置を説明する図2中C−C線に沿った位置での断面図である。
【図7】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、図3中矢印a方向にダイヤル部材が、スライド操作された状態での図2中B−B線に沿った位置に相当する位置での断面図である。
【図8】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、図3中矢印a方向にダイヤル部材が、スライド操作された状態での図2中C−C線に沿った位置に相当する位置での断面図である。
【図9】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、図3中斜め矢印b方向にダイヤル部材が、スライド操作された状態での図2中B−B線に沿った位置に相当する位置での断面図である。
【図10】実施の形態の多方向操作スイッチ構造で、図3中斜め矢印b方向にダイヤル部材が、スライド操作された状態での図2中C−C線に沿った位置に相当する位置での断面図である。
【図11】従来例の多方向操作スイッチ構造で、全体の構成を説明する分解斜視図である。
【図12】従来例の多方向操作スイッチ構造の構成を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0082】
2 復帰スプリング部材
3 ピン部材
17 第一の回路基板
17a 上面側
18 押圧スイッチ
19 ベース部材
19a バネ保持凹部
19b ピン保持凹部
19d,19e ガイド溝部
19f 周壁部
21… プッシュピン
22,23 スライドプレート
22b,23b 押圧傾斜面
24 パッド部材
27 第二の回路基板
32 ダイヤル部材(ダイヤル操作部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の回路基板から突設される復帰スプリング部材に、揺動自在に支持されるダイヤル操作部を有し、該ダイヤル操作部の操作により、スライド移動する二枚のスライドプレートを、前記ダイヤル操作部に装着される第二の回路基板と、前記第一の回路基板との間に該スライドプレートのスライド移動方向が、直交するように交差させて、該スライドプレートの移動により、押圧される複数のプッシュピンを、前記第一の回路基板に設けられた複数の押圧スイッチに当接させることを特徴とする多方向操作スイッチ構造。
【請求項2】
前記スライドプレートは、前記第一の回路基板の上面側に固定されるベース部材の上面側に形成されたガイド溝部に沿って、スライド自在に装着されると共に、該ベース部材の上面側には、前記プッシュピンを各々保持するピン保持凹部を、凹設形成すると共に、該ピン保持凹部の底面部に形成されるピン孔から、前記プッシュピンのピン先端部を前記第一の回路基板方向に向けて、突出させることにより、前記押圧スイッチを押圧可能に当接させたことを特徴とする請求項1記載の多方向操作スイッチ構造。
【請求項3】
前記復帰スプリング部材に装着されるピン部材を、前記ベース部材のバネ保持凹部内で、上下方向に摺動自在となるように保持すると共に、該ピン部材の上端部を、略球状として、前記第二の回路基板を下方から一体に支持するパッド部材の中央部下面側に形成された凹部に、該上端部を、弾接させて、該パッド部材を揺動自在に支持すると共に、該凹部の周囲には、前記バネ保持凹部の周壁部が、内側面に当接することにより、前記パッド部材の揺動を停止させる円筒状ストッパ部が、一体に形成されていることを特徴とする請求項2記載の多方向操作スイッチ構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−41531(P2008−41531A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216815(P2006−216815)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】