説明

多方弁、反応器を交互に冷却及び加熱するためのシステム並びに吸着冷却システム

多方弁は、熱さ入口(32)及び冷たさ入口(33)が設けられたハウジング(31)を有する。ハウジング(31)は、多方弁(30)から放出された液体を多方弁(30)に戻すための放出部(34)及び供給部(35)を有する。第1及び第2の弁部材(40,44)の各々は、第1の位置と第2の位置との間で可動である。弁部材(40,44)は、冷たさ入口(33)が第2の弁部材(44)を介して放出部(34)に流体接続し、かつ、熱さ入口(32)が放出部(34)に対して第1の弁部材(40)で閉じられ、かつ、供給部(35)が供給部(35)から熱さ出口(36)に戻された液体を通すように第1の弁部材(40)によって熱さ出口(36)に流体接続している熱回収位置を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、冷却するために熱が使用される吸着冷却システムでの使用のための多方弁に関する。
【0002】
本出願では、「温かい」(“warm”)、「冷たい」(“cool”)、「より冷たい」(“cold”)、「冷たさ」(“coolness”)並びに「熱さ」(“heat”)は、さまざまな構成要素を互いに区別するために使用される。これらの用語は、温度に関して限定的ではない。例えば、「冷たい」は、高い絶対温度に対応することができる。「冷たい」が「温かい」よりも高い温度に対応することもまたありうる。同様のことが他の用語に当てはまる。
【背景技術】
【0003】
吸着冷却システムは、一般的に知られている。この吸着冷却システムは、結合冷媒を含む吸着剤が収容された反応器を有する。反応器は、冷媒回路を形成するように、凝縮器及び蒸発器に接続されている。冷媒は、例えば、水であり、また、吸着剤は、シリカゲルにより形成されることができる。シリカゲルは、高吸湿性、すなわち、水を引きつける。完全な飽和状態では、シリカゲルは、水の重みで約35パーセントを吸収することができる。
【0004】
反応器は、冷媒回路の熱交換線が取り付けられた熱交換器である。冷媒回路は、停止弁を備えたラインシステムを介して、熱源及び熱放射体に接続されている。従って、温かい液体及びより冷たい液体が、反応器中の熱交換線に交互に供給されることができる。熱源は、例えば、残留熱である。
【0005】
吸着冷却システムは、バッチングプロセスを行う。まず、反応器中の結合水を含むシリカゲルが、温かい液体によって加熱される。温かい液体は、熱源から始まる。この加熱中、シリカゲルより上の水蒸気圧が凝縮温度で蒸気圧よりも高いところまで、圧力が徐々に増加する。続いて、シリカゲルからの水蒸気が凝縮器に流れて、シリカゲルが少量の水を含むまで、水蒸気を放射する間にシリカゲルを加熱し続ける。
【0006】
続いて、反応器中のシリカゲルの温度は、反応器の熱交換線を通って冷たい液体を通過させることにより低下する。このプロセスでは、圧力が低下し、蒸発器から生じる水蒸気は、シリカゲルに吸収される。シリカゲルがサイクルの始めに相当する量の結合水を再び含むまで、水蒸気が吸収され続ける。その後、シリカゲルは、再び加熱されることができる。
【0007】
このサイクルでは、従って、加熱状態があり、この加熱状態では、シリカゲルが再生され、冷却がなされない。シリカゲルの冷却状態中、水蒸気が蒸発器から取り出されて、冷却がなされる。例えば、水は、蒸発器の熱交換線を通って流れて、この結果、水の温度が下がり、より冷たい水が生成される。
【0008】
吸着冷却システムは、実際には、吸着剤の温度上昇の結果として、冷媒の温度上昇によって駆動される。それ故、「熱圧縮」との用語は、吸着冷却中に凝縮及び蒸発を引き起こすために必要とされる圧力の差が機械的な圧縮装置によって与えられないことを示すために使用される。
【0009】
温かい液体と冷たい液体とを反応器の熱交換線を交互に通過するための停止弁を備えたラインシステムは、非常にかさばり、メンテナンス作業時にアクセスしにくい。その高い熱量も熱損失を伴う。さらに、温かい液体の供給部が冷たい液体の供給部の開口と同時に閉じられるようにして弁を動作することが通常である。しかし、そのとき、反応器は、冷媒回路に入るかなりの量の温かい液体を含む。これは、さらなる熱損失を引き起こし、吸着冷却の生成に不利益な影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、改良された多方弁、特に、比較的コンパクトであり、システムの交互の加熱及び冷却中、比較的高い回収率を与える多方弁を提供することである。
【0011】
本発明によれば、この目的は、ハウジングを有する多方弁であって、前記ハウジングには、
温かい液体を取り入れるための熱さ入口と、
冷たい液体を取り入れるための冷たさ入口と、
取り入れられた液体を放出するための放出部と、
前記放出部を介して多方弁から放出された液体を多方弁に戻すための供給部と、
戻された液体を取り出すための熱さ出口と、
戻された液体を取り出すための冷たさ出口と、
前記熱さ入口が、この熱さ入口から前記放出部に温かい液体を通すように、前記放出部に流体接続している第1の位置と、前記熱さ入口が前記放出部に対して閉じている第2の位置と、の間で可動な第1の弁部材と、
前記冷たさ入口が、この冷たさ入口から前記放出部に冷たい液体を通すように、前記放出部に流体接続している第1の位置と、前記冷たさ入口が前記放出部に対して閉じている第2の位置と、の間で可動な第2の弁部材と、が設けられ、
前記弁部材は、前記冷たさ入口が、前記冷たさ入口から前記放出部に冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材を介して前記放出部に流体接続し、かつ、前記熱さ入口が、前記放出部に対して前記第1の弁部材によって閉じられ、かつ、前記供給部が、前記供給部から前記熱さ出口に戻された液体を通すように、前記第1の弁部材を介して前記熱さ出口に流体接続している熱回収位置を有する。
【0012】
本発明に係る多方弁は、反応器を交互に冷却及び加熱するように動作し、また、この多方弁は、ハウジングに入口、出口、供給部及び放出部を一体的にした結果として、比較的コンパクトである。多方弁の熱回収位置では、反応器の熱交換線にまだある温かい液体は、多方弁の供給部及び熱さ出口からこの液体を放出させることができ、また、熱交換線には、多方弁の冷たさ入口及び放出部を介して冷却水が供給される。結果として、反応器からの温かい液体が、まず、熱源に戻るように流れて、この結果、冷媒回路中の温かい液体と冷たい液体との混合が減少される。交互に加熱及び冷却がなされるシステムでのこの多方弁の使用の結果、このシステムは、比較的高い回収率を有する。
【0013】
一実施の形態では、前記弁部材の各々には、2つの貫通チャンネルが設けられ、前記第1の弁部材の前記第1の位置では、前記熱さ入口と前記放出部とは、前記第1の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記供給部と前記熱さ出口とは、前記第1の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、前記第1の弁部材の前記第2の位置では、前記熱さ入口と前記熱さ出口とは、前記供給部と前記放出部とに対して前記第1の弁部材によって閉じられ、前記第2の弁部材の前記第1の位置では、前記冷たさ入口と前記放出部とは、前記第2の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記供給部と前記冷たさ入口とは、前記第2の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、前記第2の弁部材の前記第2の位置では、前記冷たさ入口と前記冷たさ出口とは、前記供給部と前記放出部とに対して前記第2の弁部材によって閉じられ、前記熱回収位置では、前記供給部と前記熱さ出口とは、前記第1の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記熱さ入口は、前記放出部に対して前記第1の弁部材によって閉じられ、前記熱回収位置では、前記冷たさ出口は、前記供給部及び前記放出部に対して前記第2の弁部材によって閉じられ、かつ、前記冷たさ入口は、前記第2の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続される。弁部材のこの実施の形態では、第1の位置、第2の位置及び熱回収位置の間の切り替えは、単純で、信頼できる。特に、貫通チャンネルを介した漏れ損失は、全く生じないか、ほとんど生じない。
【0014】
貫通チャンネルが、入口の1つと放出部、又は出口の1つと供給部に対してアライメントされたとき、流体接続が形成される。弁部材は、弁部材の移動の結果として、入口と放出部との間の流体接続を、及び、出口と供給部との間の流体接続を閉じることができ、この結果、貫通チャンネルはアライメントされない。弁部材の貫通チャンネルが、入口、出口、供給部又は放出部に開いていないとき、流体接続は、その弁部材によって分断される。
【0015】
本発明によれば、前記弁部材は、前記熱さ入口が、この熱さ入口から前記放出部に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材を介して前記放出部に流体接続し、かつ、前記冷たさ入口が、前記放出部に対して前記第2の弁部材によって閉じられ、かつ、前記供給部が、この供給部から前記冷たさ出口に戻された液体を通すように、前記冷たさ出口に流体接続している第2の熱回収位置を有することが好ましい。
【0016】
反応器の冷却は、第1の熱回収位置で始まり、反応器の戻った水から回収される。第2の熱回収位置は、反応器の冷却から加熱への切り替え中に設定される。そして、反応器中にある冷たい液体の戻った流れが、熱放射体に流れ、一方、熱源からの温かい液体が、反応器の熱交換線に既に流れ込んでいる。多方弁の第2の熱回収位置は、冷却から加熱への切り替え中、熱損失を減少させる。
【0017】
この場合、前記第2の熱回収位置では、前記熱さ出口は、前記供給部と前記放出部とに対して前記第1の弁部材によって閉じられ、かつ、前記熱さ入口は、前記第1の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、前記第2の熱回収位置では、前記供給部と前記冷たさ出口とは、前記第2の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記冷たさ入口は、前記放出部に対して前記第2の弁部材によって閉じられることが可能である。第2の熱回収位置では、貫通チャンネルは、多方弁の熱さ入口と放出部との間の、及び多方弁の供給部と冷たさ出口との間の流体接続を生成するように配置される。
【0018】
一実施の形態では、前記弁部材は、前記第2の弁部材が前記第2の位置を有するとき、前記第1の弁部材が前記第1の位置を有し、かつ、前記第2の弁部材が前記第1の位置を有するとき、前記第1の弁部材が前記第2の位置を有するようにして、互いに接続されている。結果として、多方弁の「簡略化」(“short-circuiting”)は機械的に不可能であり、この結果、多方弁の誤操作の機会はない。停止弁及び逆停止弁を備えた既知のラインシステムでは、停止弁がうまく機能しない結果として不正確に位置されるという危険性があり、これは、システムへのダメージにつながりうる。
【0019】
好ましい一実施の形態では、多方弁の前記ハウジングは、取り入れられた液体を放出するための第2の放出部と、前記第2の放出部を介して多方弁から放出された液体を多方弁に戻すための第2の供給部と、が設けられ、前記第1の弁部材の前記第1の位置では、前記熱さ入口は、前記第2の放出部に対して前記第1の弁部材によって閉じられ、前記第1の弁部材の前記第2の位置では、前記熱さ入口は、この熱さ入口から前記第2の放出部に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材を介して第2の放出部に流体接続し、前記第2の弁部材の前記第1の位置では、前記冷たさ入口は、前記第2の放出部に対して前記第2の弁部材によって閉じられ、前記第2の弁部材の前記第2の位置では、前記冷たさ入口は、この冷たさ入口から前記第2の放出部まで冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材を介して第2の放出部に流体接続している。
【0020】
この場合、多方弁は、システムの2つの反応器を交互に加熱及び冷却するのに適している。吸着冷却システムでの使用において、各反応器では、吸着剤が再生成され、冷たさが生成されない加熱状態がある。反応器中のシリカゲルが冷え、水蒸気が蒸発器から引き出されたとき、単に冷却がなされる。本発明によれば、2つの反応器中の2つのバッチが、連続的な冷却を生成するために、互いに反対の状態(phase opposition)で動作されることができる。前記第1の反応器が冷却するとき、第2の反応器中の吸着剤が再生成され、続いて、第2の反応器は冷却することができ、第1の反応器中の吸着剤が再生する。
【0021】
複数の反応器を備えたシステムで使用される多方弁では、前記ハウジングは、前記熱さ入口を2つの熱さ入口チャンネルに分割し、かつ、前記熱さ出口を2つの熱さ出口チャンネルに分割する第1の分割片を有し、また、前記ハウジングは、前記冷たさ入口を2つの冷たさ入口チャンネルに分割し、かつ、前記冷たさ出口を2つの冷たさ出口チャンネルに分割する第2の分割片を有することができる。分割片で2つの分離した温かい液体と冷たい液体とに分離された温かい液体と冷たい液体とは、開閉することができる弁部材を流れる。
【0022】
この場合、前記第1の弁部材の前記第1の位置では、前記第1の分割片の前記第1の熱さ入口チャンネルと前記放出部とは、前記第1の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記供給部と前記第1の分割片の前記第1の熱さ出口チャンネルとは、前記第1の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第2の熱さ入口チャンネルと前記第1の分割片の前記第2の熱さ出口チャンネルとは、前記第1の弁部材によって閉じられ、前記第1の弁部材の前記第2の位置では、前記第1の分割片の前記第2の熱さ入口チャンネルと前記第2の放出部とは、前記第1の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第2の供給部と前記第1の分割片の前記第2の熱さ出口チャンネルとは、前記第1の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第1の熱さ入口チャンネルと前記第1の分割片の前記第1の熱さ出口チャンネルとは、前記第1の弁部材によって閉じられ、前記第2の弁部材の前記第1の位置では、前記第2の分割片の前記第1の冷たさ入口チャンネルと前記放出部とは、前記第2の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記供給部と前記第2の分割片の前記第1の冷たさ出口チャンネルとは、前記第2の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第2の冷たさ入口チャンネルと前記第2の分割片の前記第2の冷たさ出口チャンネルとは、前記第2の弁部材によって閉じられ、前記第2の弁部材の前記第2の位置では、前記第2の分割片の前記第2の冷たさ入口チャンネルと前記第2の放出部とは、前記第2の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第2の供給部と前記第2の分割片の前記第2の冷たさ出口チャンネルとは、前記第2の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第1の冷たさ入口チャンネルと前記第2の分割片の前記第1の冷たさ出口チャンネルとは、前記第2の弁部材によって閉じられ、前記熱回収位置では、前記供給部と前記第1の分割片の前記第1の熱さ出口チャンネルとは、前記第1の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって閉じられ、かつ、前記第1の分割片の前記第2の熱さ入口チャンネルと第2の放出部とは、前記第1の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、また、前記熱回収位置では、前記第2の供給部と前記第2の分割片の前記第2の冷たさ出口チャンネルとは、前記第2の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記放出部と前記第2の分割片の前記第1の冷たさ入口チャンネルとは、前記第2の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続されることが可能である。
【0023】
この場合、前記第2の熱回収位置では、前記第2の供給部と前記第1の分割片の前記第2の熱さ出口チャンネルとは、前記第1の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第1の分割片の前記第1の熱さ入口チャンネルと前記放出部とは、前記第1の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続され、前記第2の熱回収位置では、前記供給部と前記第2の分割片の前記第1の冷たさ出口チャンネルとは、前記第2の弁部材の前記第1の貫通チャンネルによって接続され、かつ、前記第2の放出部と前記第2の分割片の前記第2の冷たさ入口チャンネルとは、前記第2の弁部材の前記第2の貫通チャンネルによって接続されることが可能である。
【0024】
一実施の形態では、多方弁の前記ハウジングには、取り入れられた液体を放出するための第3の放出部と、前記第3の放出部を介して多方弁から放出された液体を多方弁に戻すための第3の供給部と、取り入れられた液体を放出するための第4の放出部と、前記第4の放出部を介して多方弁から放出された液体を多方弁に戻すための第4の供給部と、が設けられ、前記第1の弁部材の前記第1及び第2の位置では、前記熱さ入口は、前記第3の放出部及び前記第4の放出部に対して前記第1の弁部材によって閉じられ、前記第2の弁部材の前記第1及び第2の位置では、前記冷たさ入口は、前記第3の放出部及び前記第4の放出部に対して前記第2の弁部材によって閉じられ、前記第1の弁部材は、前記熱さ入口がこの熱さ入口から前記第3の放出部に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材によって前記第3の放出部に流体接続している第3の位置を有し、前記第1の弁部材は、前記熱さ入口がこの熱さ入口から前記第4の放出部に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材によって前記第4の放出部に流体接続している第4の位置を有し、前記第2の弁部材は、前記冷たさ入口がこの冷たさ入口から前記第3の放出部に冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材によって前記第3の放出部に流体接続している第3の位置を有し、前記第2の弁部材は、前記冷たさ入口がこの冷たさ入口から前記第4の放出部に冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材によって前記第4の放出部に流体接続している第4の位置を有し、多方弁の前記ハウジングには、第3の弁部材が設けられ、この第3の弁部材は、前記供給部が前記第3の弁部材を介して前記第3の放出部に流体接続し、かつ、前記第2の供給部が前記第3の弁部材を介して前記第4の弁部材に流体接続している第1の位置と、前記第4の供給部が前記第3の弁部材を介して前記第2の放出部によって前記放出部に流体接続し、かつ、前記第3の供給部が前記第3の弁部材を介して前記第2の放出部に流体接続している第2の位置と、前記第4の放出部が前記第3の弁部材を介して前記第4の供給部に流体接続し、かつ、前記第3の放出部が前記第3の弁部材を介して前記第3の供給部によって前記第3の供給部に流体接続している第1の熱回収位置と、前記放出部が前記第3の弁部材を介して前記供給部に流体接続し、かつ、前記第2の放出部が前記第3の弁部材を介して前記第2の供給部に流体接続している第2の熱回収位置と、の間で可動である。
【0025】
結果として、多方弁が、特に、4つの反応器を備えたシステムでの使用に適している。3つの弁部材の位置は、互いに対して固定されている。前記第1の弁部材が前記第1又は第2の位置にあるとき、前記第2の弁部材は、それぞれ、第2又は第1の位置にある。前記第1の弁部材は、前記第3又は第4の位置にあるとき、前記第2の弁部材は、それぞれ、前記第4又は第3の位置を有し、前記第3の弁部材は、前記第2の位置にある。前記第3の弁部材の前記第1の熱回収位置では、2つの他の弁部材もまた、前記第1の熱回収位置にあり、前記第3の弁部材は、前記2つの他の弁部材が前記第2の熱回収位置を取ったとき、前記第2の熱回収位置を有する。
【0026】
前記第1の反応器の加熱及び前記第2の反応器の冷却が起こっているとき、前記第1の弁部材の前記第1の位置、前記第2の弁部材の前記第2の位置及び前記第3の部材の前記第1の位置では、前記第3の反応器が予熱され、前記第4の反応器が予冷される。この目的のために、温かい液体が、前記第1の反応器から前記熱さ出口に、直接でなく、前記第3の弁部材及び第3の反応器を介して流れる。同時に、冷たい液体が、前記第2の反応器から第3の反応器を介して第4の反応器に流れる。この冷たい液体は、続いて、前記第4の反応器から前記冷たさ出口に流れる。弁部材の移動は、第1の反応器が連続的に加熱、予冷、冷却及び予熱されることを可能にする。同様のことが、他の反応器に適用される。
【0027】
この場合、第1の分割片が、熱さ入口を4つの熱さ入口チャンネルに分割し、かつ、熱さ出口を4つの熱さ出口チャンネルに分割することが可能であり、一方、第2の分割片が、冷たさ入口を4つの冷たさ入口チャンネルに分割し、かつ、冷たさ出口を4つの冷たさ出口チャンネルに分割する。第1の弁部材は、その弁部材の移動の結果として、熱さ入口チャンネルと熱さ出口チャンネルとの少なくとも一方に流体接続することができる、又はこれらチャンネルを閉じることができる2つの貫通チャンネルを有する。第2の弁部材はまた、その弁部材の移動の結果として、冷たさ入口チャンネルと冷たさ出口チャンネルとの少なくとも一方に流体接続することができる、又はこれらチャンネルを閉じることができる2つの貫通チャンネルを有する。第3の弁部材は、4つの貫通チャンネルと、2つのコンジットとを有する。第3の弁部材のこれらの貫通チャンネルは、各場合において、供給部又は放出部の1つとアライメントされることができる。2つのコンジットの各々は、供給部の1つ及び放出部の1つに対応している。
【0028】
一実施の形態では、前記弁部材は、前記回転軸線に対して回転可能であるように、多方弁の前記ハウジングの内部に取り付けられている。前記弁部材は、例えば、ステッピングモータによって駆動されることができる共通の駆動シャフトに固定されている。これは、弁の動作が信頼できるようにする。
【0029】
本発明はまた、反応器を交互に冷却及び加熱するためのシステムであって、入口及び出口を備えた反応器と、熱源と、熱放射体と、上述されるような多方弁と、を具備するシステムに関する。前記多方弁の前記熱さ入口及び前記熱さ出口は、前記熱源に接続され、前記多方弁の前記冷たさ入口及び前記冷たさ出口は、前記熱放射体に接続され、前記多方弁の前記放出部は、前記反応器の前記入口に接続され、また、前記反応器の前記出口は、前記多方弁の前記供給部に接続されている。このシステムのさまざまな用途が可能であり、例えば、このシステムは、冷却プロセス、化学バッチングプロセス又は食料品バッチングプロセスを実行するのに適している。
【0030】
一実施の形態では、前記多方弁は、上述されるような第2の供給部を備えるように構成され、入口及び出口を備えた第2の反応器が設けられ、前記多方弁の前記第2の放出部は、前記第2の反応器の前記入口に接続され、また、前記第2の反応器の前記出口は、前記多方弁の前記第2の供給部に接続されている。このシステムでは、2つの反応器は、バッチングプロセスを続けるために互いに反対の状態で動作されることができる。
【0031】
さらに、本発明は、吸着冷却システムに関し、この吸着冷却システムは、
上述のような多方弁と、
吸着剤及び冷媒を備えた反応器であって、この反応器には、蒸気冷媒用の供給部と、蒸気冷媒用の放出部と、入口と、出口と、反応器の前記入口から前記出口にこの反応器中の吸着剤及び冷媒を通って延びた熱交換線と、が設けられ、前記多方弁の前記放出部は、前記反応器の前記入口に接続され、また、前記反応器の前記出口は、前記多方弁の前記供給部に接続されている、反応器と、
凝縮器であって、前記反応器の前記放出部に接続された蒸気冷媒用の供給部と、凝縮器中で凝縮された冷媒用の放出部と、冷たい液体用の入口と、冷媒用の出口と、凝縮器の前記入口から前記出口にこの凝縮器中に延びた熱交換線と、が設けられ、凝縮器の冷たい液体の前記出口は、前記多方弁の前記冷たさ入口に接続されている、凝縮器と、
蒸発器であって、前記凝縮器の前記放出部に接続された液体冷媒用の供給部と、前記反応器の前記供給部に接続された前記蒸発器で蒸発された冷却用の放出部と、冷却水用の入口と、冷却水用の出口と、前記蒸発器の前記入口から前記出口に蒸発器中に延びた熱交換線と、が設けられている、蒸発器と、
前記多方弁の前記熱さ入口及び前記熱さ出口に接続された熱源と、
前記多方弁の前記冷たさ出口と、前記凝縮器の冷たい液体用の前記入口に接続された熱放射体と、を具備する。
【0032】
吸着冷却システムによって連続的に冷却するために、多方弁は、上述のような第2の供給部を有するように構成されることができ、この吸着冷却システムは、吸着剤及び冷媒を備えた第2の反応器が設けられ、前記第2の反応器には、蒸気冷媒用の供給部と、蒸気冷媒用の放出部と、入口と、出口と、前記第2の反応器の前記入口から前記出口に前記第2の反応器中の前記吸着剤及び冷媒を通って延びた熱交換線と、が設けられ、前記多方弁の前記第2の反応器は、前記第2の反応器の前記入口に接続され、また、前記第2の反応器の前記出口は、前記多方弁の前記第2の供給部に接続され、前記凝縮器には、前記第2の反応器の前記放出部に接続された蒸気冷媒用の第2の供給部が設けられ、前記蒸発器には、前記第2の反応器の前記供給部に接続された前記蒸発器中で蒸発される冷媒用の第2の放出部が設けられている。
【0033】
本発明が、添付図面を参照して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明に係る吸着冷却システムの第1の実施の形態のプロセスの線図である。
【図2】図2は、多方弁の第1の実施の形態を概略的に示す図である。
【図3a】図3aは、図2に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図3b】図3bは、図2に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図3c】図3cは、図2に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図3d】図3dは、図2に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る吸着冷却システムの第2の実施の形態のプロセスの線図である。
【図5】図5は、多方弁の第2の実施の形態を概略的に示す図である。
【図6a】図6aは、図5に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図6b】図6bは、図5に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図6c】図6cは、図5に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図6d】図6dは、図5に示される多方弁の配置を概略的に示す図である。
【図7】図7は、多方弁の第3の実施の形態を概略的に示す図である。
【図8a】図8aは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図8b】図8bは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図8c】図8cは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図8d】図8dは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図8e】図8eは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図8f】図8fは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図8g】図8gは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図8h】図8hは、多方弁の第4の実施の形態の配置を概略的に示す図である。
【図9】図9は、反応器を交互に冷却及び加熱するためのシステムのプロセスの線図である。
【図10】図10は、2つの反応器を交互に冷却及び加熱するためのシステムのプロセスの線図である。
【図11】図11は、4つの反応器を交互に冷却及び加熱するためのシステムのプロセスの線図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示される吸着冷却システム1は、反応器3と、凝縮器10と、蒸発器18と、熱源26と、熱放射体28と、多方弁(multiple-way valve)30とを有する。この吸着冷却システム1は、冷却するために熱源26からの熱を使用する。
【0036】
結合冷媒(bound refrigerant)を含む吸着剤(sorbent)が、反応器3中に収容されている。この例示的な実施の形態では、吸着剤はシリカゲルであり、冷媒は水である。シリカゲルは、高吸湿性、すなわち、水を引きつける。完全な飽和状態では、シリカゲルは、水の重みで約35%を吸収することができる。吸着剤及び冷媒の他の組合せも可能である。反応器3は、蒸発器18から水蒸気を供給するための供給部4と、凝縮器10に水蒸気を放出するための放出部5とを有する。熱交換線8は、反応器3中の結合水を含むシリカゲルを通って延びている。この熱交換線8は、反応器3の入口6から出口7に延びている。
【0037】
凝縮器10は、反応器3から水蒸気を供給するための供給部11を有する。反応器3の放出部5と凝縮器10の供給部11とは、蒸気チャンネル92によって互いに接続されている。水蒸気が凝縮器10から反応器3に戻って流れるのを防ぐ蒸気弁96が、蒸気チャンネル92に取り付けられている。凝縮器10には、冷却水のような冷たい液体を搬送するための熱交換線15が設けられている。熱交換線15は、入口13から凝縮器10を通って出口14に延びている。凝縮器10では、供給された水蒸気が凝縮して、その後、水(凝縮液)が、放出部12を介して凝縮器10を出る。
【0038】
凝縮器10の放出部12は、戻り線90を介して、蒸発器18の供給部19に接続されている。凝縮弁91が、蒸発器18と凝縮器10との間の圧力の差を維持するように、戻り線90に取り付けられている。蒸発器18は、入口21から出口22に延びた熱交換線23を有する。水のような、供給部19を介して供給される水(凝縮液)に熱を伝達する流体が、熱交換線23を通って流れる。これは、放出部20を介して蒸発器18を出る水蒸気を生成する。水蒸気は、蒸気チャンネル93を介して、反応器3の供給部4に戻って流れる。水蒸気が反応器3から蒸発器18に戻って流れることができるのを防ぐ蒸気弁96が、蒸発器18の放出部20と反応器3の供給部4との間で蒸気チャンネル93に取り付けられている。吸着冷却システム1では、この例示的な実施の形態の水/水蒸気の中の冷媒は、冷媒回路中で循環する。
【0039】
吸着冷却システム1を使用した冷却は、バッチングプロセスに従って動作する。反応器3は、反応器3中で吸着剤の吸着及び脱着を交互に実行するように構成されている。まず、反応器3中のシリカゲルは、例えば、約10パーセントの結合水を含み、また、温度は、約30℃である。冷媒回路が水蒸気以外にガスを含んでいないので、圧力は水蒸気圧によって引き起こされる。シリカゲルを加熱すると、シリカゲルより上の水蒸気圧は、凝縮器10中の温度で蒸気圧よりも高いところまで、圧力を徐々に増加させる。反応器3中の圧力は、例えば、60ミリバールに上昇し、また、凝縮器10中の圧力は、50ミリバールである。シリカゲルからの水蒸気は、凝縮器10に流れて、水蒸気を放出しながら(脱着)反応器3中のシリカゲルを加熱し続ける。
【0040】
シリカゲルが、例えば、ちょうど3パーセントの結合水を含んでいるとき、シリカゲルは、続いて冷却される。圧力降下は、この場合には、蒸発器18中の圧力よりも低い圧力に降下する。蒸発器10を起源とする水蒸気は、蒸気チャンネル93を通って反応器3に流れて、シリカゲルに吸収(吸着)される。水は、シリカゲルが、例えば、約30℃の温度で約10パーセントの結合水を再び含むまで、吸収され続ける。
【0041】
図1に係る吸着冷却システム1では、反応器3中のシリカゲルの冷却状態では、水蒸気は蒸発器18から取り出され、供給部19を介して供給された水(凝縮液)は、蒸発器18中で蒸発される。この場合、熱は、蒸発器の熱交換線23を通って流れるより冷たい流体から取り出される、すなわち、より冷たい流体の温度が下がる。冷却流体の温度は、例えば、10℃のように、5℃ないし15℃のように、周囲温度よりも低い。より冷たい水のようなより冷たい流体は、吸着冷却システム1の冷却物質を形成する。
【0042】
冷媒回路は、シリカゲル及びこれに結合された水で反応器3を交互に冷却及び加熱するために与えられる。冷媒回路は、多方弁30と、熱源26と、熱放射体28とを有する。多方弁30は、図2並びに図3aないし図3dに、より詳しく示される。
【0043】
多方弁30は、熱さ入口32及び熱さ出口36が設けられたハウジング31を有する。これら熱さ入口32及び熱さ出口36の各々は、熱源26に接続されている。熱源26は、例えば、残留熱である。ハウジング31は、冷却水を取り入れるための冷たさ入口33と、熱放射体28に接続される冷たさ出口37とを有する。ハウジング31は、反応器3の供給部6に接続される放出部34を有する。また、ハウジング31は、反応器3の放出部7に接続される供給部35を有する。水は、反応器3の熱交換線8を通って、多方弁30の放出部34から流れ、多方弁30の供給部35に再び戻る。
【0044】
2つの弁部材40、44が、ハウジング31に取り付けられている。各弁部材40、44には、それぞれ、2つの貫通チャンネル41、42及び45、46が設けられている。これら弁部材40、44は、ステッピングモータ49によって駆動されることができる駆動シャフト48に固定されている。これは、弁部材40,44がさまざまな位置間に移動されることを可能にする。
【0045】
図3aでは、第1の弁部材40は、第1の位置を有する。この第1の位置では、熱さ入口32が、第1の貫通チャンネル41を介して多方弁30の放出部34に接続されている。同時に、第2の貫通チャンネル42が、供給部35と熱さ出口36との間に流体接続を形成している。第1の弁部材40が第1の位置にあるとき、冷たさ入口33及び冷たさ出口37は、放出部34と供給部35とに対して第2の弁部材44によって閉じられる。結局、第2の弁部材44の貫通チャンネル45、46は、放出部34及び供給部35に対してアライメントされないが、冷たさ入口33、冷たさ出口37、供給部34及び放出部35の外部に開いている。温かい水は、多方弁30を介して、熱源26から反応器3に流れ、シリカゲルに熱を伝達し、熱源26に戻される。温かい水の温度は、例えば、80℃のように、50℃ないし95℃であり、周囲温度を十分に上回っている。
【0046】
反応器3中のシリカゲルが十分に蒸発したとき、駆動シャフト48は、この駆動シャフトに固定された弁部材40、44に対して、図3aから図3bへと右方向に4分の1回転だけ回転する。そして、弁部材40、44が、熱回収位置にある。多方弁30の冷たさ入口33は、この場合には、反応器3に冷却水を供給するために、第2の弁部材44の第2の貫通チャンネル46を介して放出部34に接続される。冷たい水の温度は、例えば、30℃のように、25℃ないし40℃であり、周囲温度をわずかに上回っている。
【0047】
まず、反応器3の熱交換線8は、温かい水を含んでおり、この熱回収位置では、供給部35、第1の弁部材40の第1の貫通チャンネル41及び熱さ出口36を介して熱源26に流れる。この熱回収位置では、熱さ入口32は、放出部34に対して第1の弁部材40によって閉じられ、また、冷たさ出口37は、供給部35に対して第2の弁部材44によって密閉される。
【0048】
反応器3中の熱交換線8が冷却水でいったん満たされると、駆動シャフト48は、この駆動シャフトに固定された弁部材40、44に対して、さらに4分の1回転だけ回転される(図3c参照)。第1の弁部材40は、熱さ入口32と熱さ出口36とが放出部34と供給部35とに対して密閉される第2の位置を有する。第2の弁部材44の貫通チャンネル45、46は、この場合には、それぞれ、冷たさ入口33、放出部34、供給部35及び冷たさ出口37に対してアライメントされる。図3cでは、反応器30が冷却され、反応器30中のシリカゲルは、蒸発器18から水蒸気を吸収する。
【0049】
続いて、駆動シャフト48は、図3dに示される第2の熱回収位置に向かって、さらに4分の1回転だけ、弁部材40、44を回転させる。反応器3の熱交換線8に留まっている冷却水は、この場合には、供給部35、第2の弁部材44の第1の貫通チャンネル45及び冷たさ出口37を介して熱放射体28に通される。同時に、多方弁30は、既に、熱さ入口32、第1の弁部材40の第2の貫通チャンネル42及び放出部34を介して熱源26から反応器3に水を運搬している。熱さ出口36は、この場合には、供給部35に対して第1の弁部材40によって閉じられ、第2の弁部材44は、放出部34から冷たさ入口33を閉じる。
【0050】
冷却水が、反応器3の熱交換線8から離れて流れたとき、弁部材40、44は、さらに4分の1回転だけ回転し、この結果、図3aに示される初期状態に再び達する。
【0051】
本発明に係る吸着冷却システムの第2の実施の形態が、図4、図5並びに図6aないし図6dに示される。同じ又は同様の構成要素は、同じ参照符号で示される。
【0052】
この吸着冷却システム1は、シリカゲル及びこれに結合された水で満たされた第2の反応器73(図4参照)を有する。反応器3と同様に、第2の反応器73は、水蒸気用の供給部74と放出部75とを有する。熱交換線78が、第2の反応器73中にシリカゲルを通って延びている。熱交換線78は、第2の反応器73の入口76から出口77に延びている。
【0053】
凝縮器10は、蒸気チャンネル94を介して第2の反応器73の放出部75に接続された第2の供給部16を有する。水蒸気が凝縮器10から第2の反応器73(逆止弁)に戻るように流れるのを防ぐ蒸気弁が、凝縮器10の第2の供給部16と第2の反応器73の放出部75との間の蒸気チャンネル94に取り付けられている。凝縮器10中の水蒸気の凝縮は、放出部12を介して凝縮器10から流れ出る水(凝縮液)を生成する。水(凝縮液)は、戻り線90及び凝縮弁91を介して蒸発器18の供給部19に供給される。
【0054】
一実施の形態(図示されない)では、凝縮器10は、凝縮器中の水蒸気の凝縮によって形成される水を放出するために第2の放出部を有し、また、蒸発器18には、凝縮器10の第2の放出部に接続された第2の供給部が設けられている。そして、水が、第2の供給部を介して凝縮器からの蒸発器に流れることができる。
【0055】
蒸発器18では、供給部19を介して供給された水(凝縮液)は、熱交換線23を通る流体流れを有することによって蒸発することができる。蒸発器18は、水蒸気を放出するための第2の放出口25を有する。第2の放出部25は、蒸気チャンネル95によって第2の反応器73の供給部74に接続されている。水蒸気が蒸発器18に第2の反応器73から流れ出るのを防ぐ蒸気弁96が、蒸気チャンネル95に取り付けられている。
【0056】
図4に示される吸着冷却システムは、この例示的な実施の形態では水/水蒸気である冷却剤が循環することができる第2の冷媒回路を有する。第2の反応器73の第2の冷媒回路を使用した吸着冷却の機能は、図1に示される第1の例示的な実施の形態を参照して上述されたものと同じである。第1及び第2の冷媒回路中のバッチングプロセスは、連続的に冷却するために、互いに反対の状態で、図4に示される吸着冷却システムで動作される。
【0057】
多方弁30のハウジング31は、この目的のために、第2の放出部65と、第2の供給部64とを有する(特に、図5並びに図6aないし図6d参照)。ハウジング31にはまた、2つの分割片66、52が設けられている。第1の分割片66は、熱さ入口32を、互いに分離された2つの熱さ入口チャンネル67、68に、かつ、熱さ出口36を、互いに分離された2つの熱さ出口チャンネル69、70に分割する。互いに分離された2つの入口チャンネル53、54と、互いに分離された2つの冷たさ出口チャンネル55、56とは、第2の分割片52によって形成される。
【0058】
第2の反応器73は、第1の反応器3の加熱中、冷却される(図6a参照)。第1の弁部材40の貫通チャンネル41、42は、第1の熱さ入口チャンネル67及び第1の熱さ出口チャンネル69を、第1の反応器3に接続された放出部34及び供給部35に接続している。同時に、第1の弁部材40は、第2の反応器73に接続された第2の放出部65及び第2の供給部64に対して第2の熱さ入口チャンネル68及び第2の熱さ出口チャンネル70を閉じる。第2の放出部65及び第2の供給部64は、第2の弁部材44の貫通チャンネル45、46を介して第2の冷たさ入口チャンネル54と第2の分割片52の第2の冷たさ出口チャンネル56とに流体接続している。第1の冷たさ入口チャンネル53と第1の冷たさ出口チャンネル55とは、第2の弁部材44によって閉じられる。
【0059】
弁部材40、44が図の右に4分の1回転だけ回転された後、図6bに示される熱回収位置に達する。初めは、温かい液体は、第1の反応器3中にまだある。熱の回収のために、第2の分割片52の第1の冷たさ入口チャンネル53は、第2の弁部材44の第2の貫通チャンネル46を介して第1の反応器3への放出口34に接続されている。第1の反応器3からの供給部35は、第1の弁部材40の第1の貫通チャンネル41を介して、第1の熱さ出口チャンネル69になおも流体接続している。それ故、動作は、第1の反応器3の冷却で始まり、熱は、第1の反応器3からの戻った水からまだ回収されている。
【0060】
同時に、第2の反応器73の加熱は、第2の反応器73からの戻った水から熱をなおも回収することにより始まる。第2の熱さ入口チャンネル68は、この目的のために、第1の弁部材40の第2の貫通チャンネル42を介して第2の反応器に第2の放出部65に接続され、一方、前記第2の反応器73からの戻った流れが、第2の供給部64及び第2の弁部材44の第1の貫通チャンネル45を介して第2の冷たさ出口チャンネル56に流れる。第1の熱さ入口チャンネル67と第2の熱さ出口チャンネル70とは、この場合には、第1の弁部材40によって閉じられ、かつ、第1の冷たさ出口チャンネル55と第2の冷たさ入口チャンネル54とは、第2の弁部材44によって閉じられる。
【0061】
弁部材40、44をさらに4分の1回転だけ回転させることによって、弁部材40、44は、図6cに示される位置となる。これは、図6aの位置のちょうど反対側の位置である。図6cでは、対照的に、第1の反応器3が冷却され、第2の反応器73が加熱される。
【0062】
続いて、弁部材40、44は、さらなる4分の1回転の結果として、図6dに示される第2の熱回収位置に達する。第2の熱回収位置は、図6bに示される熱回収位置の反対である、すなわち、第1の反応器3は、加熱の後に切り替えられ、一方、液体は、冷たさ出口に第1の反応器3を流れ出て、また、動作が、第2の反応器73の冷却で始まり、熱が、第2の反応器73から熱さ出口に戻った流れをなおも通ることによって回収される。
【0063】
本発明による多方弁は、さまざまなやり方で具体化されることができる。図7は、2つの反応器を備えた吸着冷却システムでの使用のための多方弁の代わりの実施の形態を示している。2つの回転可能な弁部材の代わりに、この多方弁は、各々に6つの貫通チャンネル61が設けられた4つの並進(translatory)弁部材60を有する。一方向弁部材60は、例えば、電磁石によって動作されることができる。この多方弁に関して、図4、図5並びに図6aないし図6dを参照して上述されるような動作性と同じものが可能である。
【0064】
本発明に係る吸着冷却システムは、さらに、反応器によって拡張されることができる。図8aないし図8dは、4つの反応器を備えた吸着冷却システムでの使用のための多方弁を概略的に示している。同じ及び同様の構成要素が、同じ参照符号で示される。
【0065】
多方弁30のハウジング31の第1の分割片66は、互いに分離された4つの熱さ入口チャンネル67a、67b、67c、67dと、互いに分離された4つの熱さ出口チャンネル69a、69b、69c、69dとを分割する。第2の分割片は、冷たさ入口から、互いに分離された4つの冷たさ入口チャンネル53a、53b、53c、53dと、互いに分離された4つの冷たさ出口チャンネル55a、55b、55c、55dとを形成している。また、2つのさらなる放出部134、165と2つのさらなる供給部135、164とが、多方弁が第3の反応器83及び第4の反応器84と流体接続するようにもたらすことができるように設けられている。図8aないし図8hに示されるように、第3の弁部材85は、一方では、供給部35、64及び放出部34、65の間で第1の反応器3及び第2の反応器73に取り付けられ、また、他方では、供給部135、164及び放出部134、165の間で第3の反応器83及び第2の反応器84に取り付けられる。
【0066】
図8aでは、第1の反応器3が加熱され、第2の反応器73が冷却される。また、第3の反応器は予熱され、第4の反応器84は予冷される。第3の反応器83の予熱は、水が、供給部35、第3の弁部材85のコンジット200及び第3の放出部134を介して第3の反応器83に、続いて、第3の供給部135、第1の弁部材40の第2の貫通チャンネル42を介して熱さ出口チャンネル69dに、反応器3を流れ出るという事実の結果として起こる。
【0067】
図8bでは、弁部材40、44、85は、45°回転する。そして、弁部材40、44、85は、熱回収位置を有する。反応器3及び第2の反応器73の戻った水からの熱の回収中、流れは、第3の弁部材85のコンジット200が第3の放出部134と第3の供給部135とを一緒に連結するという事実の結果として、第3の反応器73及び第4の反応器84に関して止まり、また、同時に、第4の放出部165と第4の供給部164とは、第3の弁部材85のコンジット201によって互いに接続される。
【0068】
さらに45°回転させることによって、弁部材40、44、85は、図8cに示される位置に達する。そして、第3の反応器83が加熱され、第4の反応器84が冷却され、また、第1の反応器3の予冷及び第2の反応器73の予熱が生じる。図8eは、第1の反応器3の冷却、第2の反応器73の加熱、第3の反応器83の予冷及び第4の反応器84の予熱を示している。図8gは、第3の反応器83の冷却、第4の反応器84の加熱、第1の反応器3の予熱及び第2の反応器73の予冷を示している。図8d、図8f並びに図8hは、弁部材40、44、85の熱回収位置を示している。
【0069】
この例示的な実施の形態による多方弁は、熱回収位置なしで動作されることができ、弁部材40、44、85は、図8a、図8c、図8e並びに図8gに示される位置の間で90°だけ回転する。
【0070】
多方弁は、吸着冷却システムでの使用のためのさまざまな実施の形態で説明されてきたが、多方弁はこれに限定されない。本発明に係る多方弁は、加熱及び冷却が交互に実行されなければならないシステムでの使用に適している。1つの反応器、2つの反応器及び4つの反応器を備えたこのタイプのシステムが、図9、図10並びに図11に概略的に示され、同じ又は同様の構成要素が同じ参照符号で示される。
【0071】
本発明は、図に示される例示的な実施の形態に限定されない。当業者は、本発明の範囲内にあるさまざまな適応物を想到することができる。多方弁は、例えば、熱回収位置なしで具体化されることができることが注目されるべきである。それ故、本発明はまた、ハウジングを有する多方弁であって、前記ハウジングには、
温かい液体を取り入れるための熱さ入口と、
冷たい液体を取り入れるための冷たさ入口と、
取り入れられた液体を放出するための放出部と、
前記放出部を介して多方弁から放出された液体を多方弁に戻すための供給部と、
戻された液体を取り出すための熱さ出口と、
戻された液体を取り出すための冷たさ出口と、
前記熱さ入口が、この熱さ入口から前記放出部に温かい液体を通すように、前記放出部に流体接続している第1の位置と、前記熱さ入口が前記放出部に対して閉じている第2の位置と、の間で可動な第1の弁部材と、
前記冷たさ入口が、この冷たさ入口から前記放出部に冷たい液体を通すように、前記放出部に流体接続している第1の位置と、前記冷たさ入口が前記放出部に対して閉じている第2の位置と、の間で可動な第2の弁部材とが設けられている多方弁に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(31)を有する多方弁において、前記ハウジング(31)には、
温かい液体を取り入れるための熱さ入口(32)と、
冷たい液体を取り入れるための冷たさ入口(33)と、
取り入れられた液体を放出するための放出部(34)と、
前記放出部(34)を介して多方弁(30)から放出された液体を多方弁(30)に戻すための供給部(35)と、
戻された液体を取り出すための熱さ出口(36)と、
戻された液体を取り出すための冷たさ出口(37)と、
前記熱さ入口(32)が、この熱さ入口(32)から前記放出部(34)に温かい液体を通すように、前記放出部(34)に流体接続している第1の位置と、前記熱さ入口(32)が前記放出部(34)に対して閉じている第2の位置と、の間で可動な第1の弁部材(40)と、
前記冷たさ入口(33)が、この冷たさ入口(33)から前記放出部(34)に冷たい液体を通すように、前記放出部(34)に流体接続している第1の位置と、前記冷たさ入口(33)が前記放出部(34)に対して閉じている第2の位置と、の間で可動な第2の弁部材(44)と、が設けられ、
前記弁部材(40,44)は、前記冷たさ入口(33)が、この冷たさ入口(33)から前記放出部(34)に冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材(44)を介して前記放出部(34)に流体接続し、かつ、前記熱さ入口(32)が、前記放出部(34)に対して前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、かつ、前記供給部(35)が、この供給部(35)から前記熱さ出口(36)に戻された液体を通すように、前記第1の弁部材(40)を介して前記熱さ出口(36)に流体接続している熱回収位置を有することを特徴とする多方弁。
【請求項2】
前記弁部材(40,44)の各々には、2つの貫通チャンネル(41,42,45,46)が設けられ、
前記第1の弁部材(40)の前記第1の位置では、前記熱さ入口(32)と前記放出部(34)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第1の貫通チャンネル(41)によって接続され、かつ、前記供給部(35)と前記熱さ出口(36)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第2の貫通チャンネル(42)によって接続され、
前記第1の弁部材(40)の前記第2の位置では、前記熱さ入口(32)と前記熱さ出口(36)とは、前記供給部(35)と前記放出部(34)とに対して前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、
前記第2の弁部材(44)の前記第1の位置では、前記冷たさ入口(33)と前記放出部(34)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第1の貫通チャンネル(45)によって接続され、かつ、前記供給部(35)と前記冷たさ出口(37)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第2の貫通チャンネル(46)によって接続され、
前記第2の弁部材(44)の前記第2の位置では、前記冷たさ入口(33)と前記冷たさ出口(37)とは、前記供給部(35)と前記放出部(34)とに対して前記第2の弁部材(44)によって閉じられ、
前記熱回収位置では、前記供給部(35)と前記熱さ出口(36)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第1の貫通チャンネル(41)によって接続され、かつ、前記熱さ入口(32)は、前記放出部(34)に対して前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、
前記熱回収位置では、前記冷たさ出口(37)は、前記供給部(35)と前記放出部(34)とに対して前記第2の弁部材(44)によって閉じられ、かつ、前記冷たさ入口(33)は、前記第2の弁部材(44)の前記第2の貫通チャンネル(46)によって接続される請求項1の多方弁。
【請求項3】
前記弁部材(40,44)は、前記熱さ入口(32)が、この熱さ入口(32)から前記放出部(34)に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材(40)を介して前記放出部(34)に流体接続し、かつ、前記冷たさ入口(33)が、前記放出部(34)に対して前記第2の弁部材(44)によって閉じられ、かつ、前記供給部(35)が、この供給部(35)から前記冷たさ出口(37)に戻された液体を通すように、前記冷たさ出口(37)に流体接続している第2の熱回収位置を有する請求項1又は2の多方弁。
【請求項4】
前記第2の熱回収位置では、前記熱さ出口(36)は、前記供給部(35)と前記放出部(34)とに対して前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、かつ、前記熱さ入口(32)は、前記第1の弁部材(40)の前記第2の貫通チャンネル(42)によって接続され、
前記第2の熱回収位置では、前記供給部(35)と前記冷たさ出口(37)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第1の貫通チャンネル(45)によって接続され、かつ、前記冷たさ入口(33)は、前記放出部(34)に対して前記第2の弁部材(44)によって閉じられる請求項3の多方弁。
【請求項5】
前記弁部材(40,44)は、前記第2の弁部材(44)が前記第2の位置を有するとき、前記第1の弁部材(40)が前記第1の位置を有し、かつ、前記第2の弁部材(44)が前記第1の位置を有するとき、前記第1の弁部材(40)が前記第2の位置を有するようにして、互いに接続されている請求項1ないし4のいずれか1の多方弁。
【請求項6】
多方弁(30)の前記ハウジング(31)には、
取り入れられた液体を放出するための第2の放出部(65)と、
前記第2の放出部(65)を介して多方弁(30)から放出された液体を多方弁(30)に戻すための第2の供給部(64)と、が設けられ、
前記第1の弁(40)の前記第1の位置では、前記熱さ入口(32)は、前記第2の放出部(65)に対して前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、
前記第1の弁部材(40)の前記第2の位置では、前記熱さ入口(32)は、この熱さ入口(32)から前記第2の放出部(65)に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材(40)を介して前記第2の放出部(65)に流体接続し、
前記第2の弁部材(44)の前記第1の位置では、前記冷たさ入口(33)は、前記第2の放出部(65)に対して前記第2の弁部材(44)によって閉じられ、
前記第2の弁部材(44)の前記第2の位置では、前記冷たさ入口(33)は、この冷たさ入口(33)から前記第2の放出部(65)に冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材(44)を介して前記第2の放出部(65)に流体接続している請求項1ないし5のいずれか1の多方弁。
【請求項7】
前記ハウジング(31)は、前記熱さ入口(32)を2つの熱さ入口チャンネル(67,68)に分割し、かつ、前記熱さ出口(36)を2つの熱さ出口チャンネル(69,70)に分割する第1の分割片(66)を有し、また、
前記ハウジング(31)は、前記冷たさ入口(33)を2つの冷たさ入口チャンネル(53,54)に分割し、かつ、前記冷たさ出口(37)を2つの冷たさ出口チャンネル(55,56)に分割する第2の分割片(52)を有し、
前記第1の弁部材(40)の前記第1の位置では、前記第1の分割片(66)の前記第1の熱さ入口チャンネル(67)と前記放出部(34)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第1の貫通チャンネル(41)によって接続され、かつ、前記供給部(35)と前記第1の分割片(66)の前記第1の熱さ出口チャンネル(69)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第2の貫通チャンネル(42)によって接続され、かつ、前記第2の熱さ入口チャンネル(68)と前記第1の分割片(66)の前記第2の熱さ出口チャンネル(70)とは、前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、
前記第1の弁部材(40)の前記第2の位置では、前記第1の分割片(66)の前記第2の熱さ入口チャンネル(68)と前記第2の放出部(65)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第1の貫通チャンネル(41)によって接続され、かつ、前記第2の供給部(64)と前記第1の分割片(66)の前記第2の熱さ出口チャンネル(70)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第2の貫通チャンネル(42)によって接続され、かつ、前記第1の熱さ入口チャンネル(67)と前記第1の分割片(66)の前記第1の熱さ出口チャンネル(69)とは、前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、
前記第2の弁部材(44)の前記第1の位置では、前記第2の分割片(52)の前記第1の冷たさ入口チャンネル(53)と前記放出部(34)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第1の貫通チャンネル(45)によって接続され、かつ、前記供給部(35)と前記第2の分割片(52)の前記第1の冷たさ出口チャンネル(55)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第2の貫通チャンネル(46)によって接続され、かつ、前記第2の冷たさ入口チャンネル(54)と前記第2の分割片(52)の前記第2の冷たさ出口チャンネル(56)とは、前記第2の弁部材(44)によって閉じられ、
前記第2の弁部材(44)の前記第2の位置では、前記第2の分割片(52)の前記第2の冷たさ入口チャンネル(54)と前記第2の放出部(65)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第1の貫通チャンネル(45)によって接続され、かつ、前記第2の供給部(64)と前記第2の分割片(52)の前記第2の冷たさ出口チャンネル(56)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第2の貫通チャンネル(46)によって接続され、かつ、前記第1の冷たさ入口チャンネル(53)と前記第2の分割片(52)の前記第1の冷たさ出口チャンネル(55)とは、前記第2の弁部材(44)によって閉じられ、
前記熱回収位置では、前記供給部(35)と前記第1の分割片(66)の前記第1の熱さ出口チャンネル(69)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第1の貫通チャンネル(41)によって閉じられ、かつ、前記第1の分割片(66)の前記第2の熱さ入口チャンネル(68)と第2の放出部(65)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第2の貫通チャンネル(42)によって接続され、また、
前記熱回収位置では、前記第2の供給部(64)と前記第2の分割片(52)の前記第2の冷たさ出口チャンネル(56)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第1の貫通チャンネル(45)によって接続され、かつ、前記放出部(34)と前記第2の分割片(52)の前記第1の冷たさ入口チャンネル(53)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第2の貫通チャンネル(46)によって接続される請求項6の多方弁。
【請求項8】
前記第2の熱回収位置では、前記第2の供給部(64)と前記第1の分割片(66)の前記第2の熱さ出口チャンネル(70)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第1の貫通チャンネル(41)によって接続され、かつ、前記第1の分割片(66)の前記第1の熱さ入口チャンネル(67)と前記放出部(34)とは、前記第1の弁部材(40)の前記第2の貫通チャンネル(42)によって接続され、
前記第2の熱回収位置では、前記供給部(35)と前記第2の分割片(52)の前記第1の冷たさ出口チャンネル(55)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第1の貫通チャンネル(45)によって接続され、かつ、前記第2の放出部(65)と前記第2の分割片(52)の前記第2の冷たさ入口チャンネル(54)とは、前記第2の弁部材(44)の前記第2の貫通チャンネル(46)によって接続される請求項7の多方弁。
【請求項9】
多方弁(30)の前記ハウジング(31)には、
取り入れられた液体を放出するための第3の放出部(134)と、
前記第3の放出部(134)を介して多方弁(30)から放出された液体を多方弁(30)に戻すための第3の供給部(135)と、
取り入れられた液体を放出するための第4の放出部(165)と、
前記第4の放出部(165)を介して多方弁(30)から放出された液体を多方弁(30)に戻すための第4の供給部(164)と、が設けられ、
前記第1の弁部材(40)の前記第1及び第2の位置では、前記熱さ入口(32)は、前記第3の放出部(134)及び前記第4の放出部(165)に対して前記第1の弁部材(40)によって閉じられ、
前記第2の弁部材(44)の前記第1及び第2の位置では、前記冷たさ入口(33)は、前記第3の放出部(134)及び前記第4の放出部(165)に対して前記第2の弁部材(44)によって閉じられ、
前記第1の弁部材(40)は、前記熱さ入口(32)がこの熱さ入口(32)から前記第3の放出部(134)に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材(40)を介して前記第3の放出部(134)に流体接続している第3の位置を有し、また、
前記第1の弁部材(40)は、前記熱さ入口(32)がこの熱さ入口(32)から前記第4の放出部(165)に温かい液体を通すように、前記第1の弁部材(40)を介して前記第4の放出部(165)に流体接続している第4の位置を有し、
前記第2の弁部材(44)は、前記冷たさ入口(33)がこの冷たさ入口(33)から前記第3の放出部(134)に冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材(44)を介して前記第3の放出部(134)に流体接続している第3の位置を有し、また、
前記第2の弁部材(44)は、前記冷たさ入口(33)がこの冷たさ入口(33)から前記第4の放出部(165)に冷たい液体を通すように、前記第2の弁部材(44)を介して前記第4の放出部(165)に流体接続している第4の位置を有し、
多方弁(30)の前記ハウジング(31)には、第3の弁部材(85)が設けられ、この第3の弁部材(85)は、
前記供給部(35)が前記第3の弁部材(85)を介して前記第3の放出部(134)に流体接続し、かつ、前記第2の供給部(64)が前記第3の弁部材(85)を介して前記第4の弁部材(165)に流体接続している第1の位置と、
前記第4の供給部(164)が前記第3の弁部材(85)を介して前記第2の放出部(85)を介して前記放出部(34)に流体接続し、かつ、前記第3の供給部(135)が前記第3の弁部材(85)を介して前記第2の放出部(65)に流体接続している第2の位置と、
前記第4の放出部(165)が前記第3の弁部材(85)を介して前記第4の供給部(164)に流体接続し、かつ、前記第3の放出部(134)が前記第3の弁部材(85)を介して前記第3の供給部(135)に流体接続している第1の熱回収位置と、
前記放出部(34)が前記第3の弁部材(85)を介して前記供給部(35)に流体接続し、かつ、前記第2の放出部(65)が前記第3の弁部材(85)を介して前記第2の供給部(64)に流体接続している第2の熱回収位置と、の間で可動である請求項6ないし8のいずれか1の多方弁。
【請求項10】
前記弁部材(40,44)は、前記回転軸線に対して回転可能であるように、多方弁(30)の前記ハウジング(31)の内部に取り付けられている請求項1ないし9のいずれか1の多方弁。
【請求項11】
前記弁部材(40,44)は、ステッピングモータ(49)によって駆動されることができる共通の駆動シャフト(48)に固定されている請求項10の多方弁。
【請求項12】
反応器を交互に冷却及び加熱するためのシステムであって、
入口(6)及び出口(7)を備えた反応器(3)と、
熱源(26)と、
熱放射体(28)と、
請求項1ないし11のいずれか1の多方弁(30)と、を具備し、
前記多方弁(30)の前記熱さ入口(32)及び前記熱さ出口(36)は、前記熱源(26)に接続され、
前記多方弁(30)の前記冷たさ入口(33)及び前記冷たさ出口(37)は、前記熱放射体(28)に接続され、
前記多方弁(30)の前記放出部(34)は、前記反応器(3)の前記入口(6)に接続され、また、前記反応器(3)の前記出口(7)は、前記多方弁(30)の前記供給部(35)に接続されているシステム。
【請求項13】
前記多方弁(30)は、請求項6ないし11のいずれか1に従って構成され、
入口(76)及び出口(77)を備えた第2の反応器(73)が設けられ、
前記多方弁(30)の前記第2の放出部(65)は、前記第2の反応器(73)の前記入口(76)に接続され、また、前記第2の反応器(73)の前記出口(77)は、前記多方弁(30)の前記第2の供給部(64)に接続されている請求項12のシステム。
【請求項14】
前記多方弁(30)は、請求項9に従って構成され、
前記第2、第3及び第4の反応器(73,83,84)の各々には、入口(76)及び出口(77)が設けられ、
前記多方弁(30)の前記第2、第3及び第4の放出部(65)は、それぞれ、前記第2、第3及び第4の反応器(73,83,84)に接続され、
前記第2、第3及び第4の反応器(73)の前記出口(77)は、それぞれ、前記多方弁(30)の前記第2、第3及び第4の供給部(64)に接続されている請求項12のシステム。
【請求項15】
請求項1ないし11のいずれか1の多方弁(30)と、
吸着剤及び冷媒を備えた反応器(3)であって、この反応器(3)には、蒸気冷媒用の供給部(4)と、蒸気冷媒用の放出部(5)と、入口(6)と、出口(7)と、反応器(3)の前記入口(6)から前記出口(7)にこの反応器(3)中の吸着剤及び冷媒を通って延びた熱交換線(8)と、が設けられ、前記多方弁(30)の前記放出部(34)は、前記反応器(3)の前記入口(6)に接続され、また、前記反応器(3)の前記出口(7)は、前記多方弁(30)の前記供給部(35)に接続されている、反応器(3)と、
凝縮器(10)であって、前記反応器(3)の前記放出部(5)に接続された蒸気冷媒用の供給部(11)と、凝縮器(10)中で凝縮された冷媒用の放出部(12)と、冷たい液体用の入口(13)と、冷媒用の出口(14)と、凝縮器(10)の前記入口(13)から前記出口(14)にこの凝縮器(10)中に延びた熱交換線(15)と、が設けられ、凝縮器(10)の冷たい液体の前記出口(14)は、前記多方弁(30)の前記冷たさ入口(33)に接続されている、凝縮器(10)と、
蒸発器(18)であって、前記凝縮器(10)の前記放出部(12)に接続された液体冷媒用の供給部(19)と、前記反応器(3)の前記供給部(4)に接続された前記蒸発器(18)で蒸発された冷却用の放出部(20)と、冷却流体用の入口(21)と、冷却流体用の出口(22)と、前記蒸発器(18)の前記入口(21)から前記出口(22)に蒸発器(18)中に延びた熱交換線(23)と、が設けられている、蒸発器(18)と、
前記多方弁(30)の前記熱さ入口(32)及び前記熱さ出口(36)に接続された熱源(26)と、
前記多方弁(30)の前記冷たさ出口(37)と、前記凝縮器(10)の冷たい液体用の前記入口(13)に接続された熱放射体(28)と、を具備する吸着冷却システム。
【請求項16】
前記多方弁(30)は、請求項6ないし11のいずれかの1に従って構成され、
この吸着冷却システムには、吸着剤及び冷媒を備えた第2の反応器(73)が設けられ、
前記第2の反応器(73)には、蒸気冷媒用の供給部(74)と、蒸気冷媒用の放出部(65)と、入口(76)と、出口(77)と、前記第2の反応器(73)の前記入口(76)から前記出口(77)に前記第2の反応器(73)中の前記吸着剤及び冷媒を通って延びた熱交換線(68)と、が設けられ、
前記多方弁(30)の前記第2の放出部(65)は、前記第2の反応器(73)の前記入口(76)に接続され、また、前記第2の反応器(73)の前記出口(77)は、前記多方弁(30)の前記第2の供給部(64)に接続され、
前記凝縮器(10)には、前記第2の反応器(73)の前記放出部(75)に接続された蒸気冷媒用の第2の供給部(16)が設けられ、
前記蒸発器(18)には、前記第2の反応器(73)の前記供給部(74)に接続された前記蒸発器(18)中で蒸発される冷媒用の第2の放出部(25)が設けられている請求項15の吸着冷却システム。
【請求項17】
前記多方弁(30)は、請求項9に従って構成され、
この吸着冷却システムには、吸着剤及び冷媒が各々に設けられた第2、第3及び第4の反応器(73)が設けられ、前記第2、第3及び第4の反応器(73)の各々には、蒸気冷媒用の供給部(74)と、蒸気冷媒用の放出部(65)と、入口(76)と、出口(77)と、前記反応器(73)の前記入口(76)から前記出口(76)に前記反応器(73)中の冷媒吸着剤を通って延びた熱交換線(68)と、が設けられ、
前記多方弁(30)の前記第2、第3及び第4の放出部は、それぞれ、前記第2、第3及び第4の反応器(73,83,84)の前記入口(76)に接続され、
前記第2、第3及び第4の反応器(73,83,84)の前記第2の出口(77)は、それぞれ、前記多方弁(30)の前記第2、第3及び第4の供給部(64)に接続され、
前記凝縮器(10)には、それぞれ、前記第2、第3及び第4の反応器(73,83,84)の前記放出部(75)に接続された蒸気媒体用の第2、第3及び第4の放出部(25)が設けられ、
前記蒸発器(18)には、それぞれ、前記第2、第3及び第4の反応器(73,83,84)に接続された前記蒸発器(18)に蒸発された冷媒用の第2、第3及び第4の放出部(25)が設けられている請求項15の吸着冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図8g】
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【図8h】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−507679(P2012−507679A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535529(P2011−535529)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050661
【国際公開番号】WO2010/053358
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(500512759)シュティヒティン・エネルギーオンデルツォイク・セントラム・ネーデルランド (15)
【Fターム(参考)】