説明

多機能周辺装置および多機能周辺装置制御プログラム

【課題】緊急地震速報などの災害発生情報が検出された場合に、ユーザに対して避難支援情報などの利用情報を確実に提供できる多機能周辺装置および多機能周辺装置制御プログラムを提供すること。
【解決手段】緊急地震速報サーバ300より緊急地震速報が通知されると、予め緊急時利用データ領域14dに記憶された緊急時利用データに対応する緊急時利用情報がプリンタ21により記録用紙に印刷される。これにより、緊急地震速報が検出されてから即座に緊急時利用情報の印刷を開始することができる。よって、緊急地震速報が検出されてから実際に地震の揺れが生じるまでの数十秒間の間に、緊急時利用情報を記録用紙に印刷できる可能性が高いので、ユーザに対して緊急時利用情報を確実に提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能周辺装置および多機能周辺装置制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、日本全国に設置された地震計(地震感知器)によって地震による揺れが検知された直後に、緊急地震速報を放送やインターネットなどを利用して配信することにより、大きな揺れが到達する前に地震への対策を講じる取り組みや提案なされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、緊急地震情報などの緊急通報データが重畳された放送波をテレビジョン装置によって受信すると、テレビジョン装置はプリンタ装置に対して避難支援情報の印刷を指示し、プリンタ装置はそのテレビジョン装置からの指示を受けた後に、避難支援情報提供サーバから避難支援情報を受信した上で、その避難支援情報を印刷するシステムが記載されている。これにより、災害発生時における避難支援情報が紙媒体として提供され、ユーザはその紙媒体を持って避難をすることができる。
【特許文献1】特開2006−270159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、緊急地震速報が配信されてから、通常、長くても数十秒後には大きな揺れが到達するため、上述の特許文献1に記載されたシステムでは、避難支援情報提供サーバから避難支援情報を受信している間に大きな揺れが到達する可能性が高い。このため、停電や通信路の断線、あるいは、プリンタもしくは避難支援情報提供サーバの故障などにより、避難支援情報を印刷することができず、結局、ユーザが避難支援情報を利用できない可能性が高いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、緊急地震速報などの災害発生情報が検出された場合に、ユーザに対して避難支援情報などの利用情報を確実に提供できる多機能周辺装置および多機能周辺装置制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1に記載の多機能周辺装置は、記録媒体への印刷を実行する印刷手段と、災害発生時に利用される利用情報を取得する取得手段と、その取得手段により取得された前記利用情報を記憶手段に記憶する記憶制御手段と、外部より通知される災害発生に関わる災害発生情報を検出する検出手段と、その検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、予め前記記憶制御手段により前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段とを備える。
【0007】
請求項2に記載の多機能周辺装置は、請求項1に記載の多機能周辺装置において、第1外部装置に接続する第1接続手段と、その第1接続手段により接続された前記第1外部装置によって送信される前記利用情報を受信する第1受信手段を備え、前記取得手段は、前記第1受信手段によって前記第1外部装置より受信した前記利用情報を取得するものである。
【0008】
請求項3に記載の多機能周辺装置は、請求項1又は2に記載の多機能周辺装置において、原稿の画像を画像データとして読み取る読取手段を備え、前記取得手段は、前記読取手段により読み取られる画像データを前記利用情報として取得するものである。
【0009】
請求項4に記載の多機能周辺装置は、請求項1から3のいずれかに記載の多機能周辺装置において、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を編集可能に構成された第2外部装置に接続する第2接続手段と、その第2接続手段により接続された前記第2外部装置から前記利用情報の送信要求を受け付ける送信要求受付手段と、その送信要求受付手段により前記送信要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶されている前記利用情報を前記第2外部装置へ送信する送信手段と、その送信手段によって前記第2外部装置に送信した利用情報を前記第2外部装置より受信する第2受信手段とを備え、前記記憶制御手段は、前記第2受信手段により受信された前記利用情報を、前記送信手段により送信した利用情報に置き換えて前記記憶手段に記憶する。
【0010】
請求項5に記載の多機能周辺装置は、請求項4に記載の多機能周辺装置において、前記取得手段により新たな利用情報が取得されたことを検知する取得検知手段と、その取得検知手段により新たな利用情報が取得されたことが検知された場合に、その旨を前記第2外部装置へ報知する第1報知手段とを備える。
【0011】
請求項6に記載の多機能周辺装置は、請求項1から5のいずれかに記載の多機能周辺装置において、前記取得手段により新たな利用情報が取得されたことを検知する取得検知手段と、その取得検知手段により新たな利用情報が取得されたことが検知された場合に、その旨をユーザに報知する第2報知手段とを備える。
【0012】
請求項7に記載の多機能周辺装置は、請求項1から6のいずれかに記載の多機能周辺装置において、前記記憶制御手段は、前記取得手段により取得された複数の利用情報を1つのファイルにファイル化するファイル化手段を備え、そのファイル化手段によってファイル化された1つのファイルを前記記憶手段に記憶する。
【0013】
請求項8に記載の多機能周辺装置は、請求項1から7のいずれかに記載の多機能周辺装置において、前記記憶制御手段は、前記取得手段により取得された利用情報を、印刷手段によって直接利用可能な印刷用データ形式に変換するデータ形式変換手段を備え、そのデータ形式変換手段により前記印刷用データ形式に変換された前記利用情報を前記記憶手段に記憶する。
【0014】
請求項9に記載の多機能周辺装置は、請求項1から8のいずれかに記載の多機能周辺装置において、前記記憶制御手段は、前記取得手段により取得された利用情報の解像度が所定の解像度よりも大きい場合に、前記利用情報の解像度を前記所定の解像度に変換する解像度変換手段を備え、その解像度変換手段により前記所定の解像度に変換された前記利用情報を前記記憶手段に記憶する。
【0015】
請求項10に記載の多機能周辺装置は、請求項1から9のいずれかに記載の多機能周辺装置において、前記記憶制御手段は、前記取得手段により取得された利用情報を所定のデータ圧縮形式に圧縮するデータ圧縮手段を備え、そのデータ圧縮手段により前記所定のデータ圧縮形式に圧縮された前記利用情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の多機能周辺装置は、請求項1から10のいずれかに記載の多機能周辺装置において、前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されているか否かを判別する印刷判別手段を備え、前記印刷制御手段は、前記印刷判別手段により前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されていると判別される場合に、その印刷を中止して、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御する。
【0017】
請求項12に記載の多機能周辺装置は、請求項1から11のいずれかに記載の多機能周辺装置において、外部記憶媒体が接続される外部記憶媒体接続手段と、前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記外部記憶媒体接続手段に前記外部記憶媒体が接続されたかを繰り返し判断する接続判断手段と、その接続判断手段により前記外部記憶媒体接続手段に前記外部接続されたと判断された場合に、前記外部記憶媒体に前記記憶手段に記憶された前記利用情報の書き込みを行う書き込み制御手段とを備える。
【0018】
請求項13に記載の多機能周辺装置は、請求項1から12のいずれかに記載の多機能周辺装置において、自装置の本体と無線通信によって接続されると共に、充電機能を有する持ち運び可能な子機と、前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記子機に転送する転送手段とを備える。
【0019】
請求項14に記載の多機能周辺装置制御プログラムは、記録媒体への印刷を実行する印刷手段と外部より通知される災害発生に関わる災害発生情報を検出する検出手段とを備えた多機能周辺装置によって実行されるものであって、災害発生時に利用される利用情報を取得する取得ステップと、その取得ステップにより取得された前記利用情報を記憶手段に記憶する第1記憶制御ステップと、前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、予め前記第1記憶制御ステップにより前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御ステップとを備える。
【0020】
請求項15に記載の多機能周辺装置制御プログラムは、請求項14に記載の多機能周辺装置制御プログラムにおいて、前記多機能周辺装置は、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を編集可能に構成された第2外部装置に接続する第2接続手段を備えており、その第2接続手段により接続された前記第2外部装置から前記利用情報の送信要求を受け付ける送信要求受付ステップと、その送信要求受付ステップにより前記送信要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶されている前記利用情報を前記第2外部装置へ送信する送信ステップと、その送信ステップによって前記第2外部装置に送信した利用情報を前記第2外部装置より受信する第2受信ステップと、前記第2受信ステップにより受信された前記利用情報を、前記送信ステップにより送信した利用情報に置き換えて前記記憶手段に記憶する第2記憶制御ステップとを備える。
【0021】
請求項16に記載の多機能周辺装置制御プログラムは、請求項14又は15に記載の多機能周辺装置制御プログラムにおいて、前記取得手段により取得された複数の利用情報を1つのファイルにファイル化するファイル化ステップを備え、前記記憶制御ステップは、そのファイル化ステップによってファイル化された1つのファイルを前記記憶手段に記憶する。
【0022】
請求項17に記載の多機能周辺装置制御プログラムは、請求項14から16のいずれかに記載の多機能周辺装置制御プログラムにおいて、前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されているか否かを判別する印刷判別ステップを備え、前記印刷制御ステップは、前記印刷判別ステップにより前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されていると判別される場合に、その印刷を中止して、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御する。
【0023】
請求項18に記載の多機能周辺装置制御プログラムは、請求項14から17のいずれかに記載の多機能周辺装置制御プログラムにおいて、前記多機能周辺装置は、外部記憶媒体が接続される外部記憶媒体接続手段を備えており、前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記外部記憶媒体接続手段に前記外部記憶媒体が接続されたかを繰り返し判断する接続判断ステップと、その接続判断ステップにより前記外部記憶媒体接続手段に前記外部接続されたと判断された場合に、前記外部記憶媒体に前記記憶手段に記憶された前記利用情報の書き込みを行う書き込み制御ステップとを備える。
【0024】
請求項19に記載の多機能周辺装置制御プログラムは、請求項14から18のいずれかに記載の多機能周辺装置制御プログラムにおいて、前記多機能周辺装置は、自装置の本体と無線通信によって接続されると共に、充電機能を有する持ち運び可能な子機を備えており、前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記子機に転送する転送ステップを備える。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の多機能周辺装置によれば、災害発生時に利用される利用情報が取得手段によって取得されると、その取得された利用情報が記憶制御手段によって記憶手段に記憶される。一方、外部より災害発生に関わる災害発生情報が通知されると、その災害発生情報が検出手段によって検出される。そして、災害発生情報が検出手段により検出されると、印刷制御手段の制御によって、予め記憶手段に記憶された利用情報が印刷手段により記録媒体に印刷される。このように、災害発生情報が検出されてから、利用情報を外部より取得するのではなく、予め記憶手段に記憶された利用情報を用いて、記録媒体に印刷するので、災害発生情報が検出されてから即座に利用情報の印刷を開始することができる。よって、災害発生情報が検出されてから実際に災害が発生するまでの数十秒間の間に、利用情報を記録媒体に印刷できる可能性が高いので、ユーザに対して利用情報を確実に提供することができるという効果がある。
【0026】
請求項2に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1に記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第1接続手段により第1外部装置と接続され、その第1外部装置によって送信される利用情報が第1受信手段によって受信される。そして、その第1受信手段によって第1外部装置より受信した利用情報が取得手段によって取得される。これにより、第1外部装置によって送信される利用情報を予め記憶手段に記憶させておくことができるので、災害発生情報が検出された場合に、第1外部装置からの利用情報をユーザに対して確実に提供することができるという効果がある。
【0027】
請求項3に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1又は2に記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、原稿の画像を画像データとして読み取る読み取り手段が備えられており、その読取手段により読み取られる画像データが取得手段によって利用情報として取得される。これにより、ユーザにおいて、災害発生時に利用したい情報が記載された原稿の画像を読取手段により読み取れば、それを利用情報として予め記憶手段に記憶させておくことができる。よって、災害発生情報が検出された場合に、ユーザの利用したい情報が記載された利用情報を、ユーザに確実に提供することができるという効果がある。
【0028】
請求項4に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。即ち、第2接続手段により、記憶手段に記憶された利用情報を編集可能に構成された第2外部装置と接続され、その第2外部装置から利用情報の送信要求があると、その送信要求が送信要求受付手段によって受け付けられ、送信手段によって、記憶手段に記憶されている利用情報が第2外部装置へ送信される。これにより、第2外部装置では、多機能周辺装置から送信された利用情報に対して、編集を行うことができる。そして、第2外部装置において多機能周辺装置から受信した利用情報を多機能周辺装置に書き戻すために、第2外部装置から多機能周辺装置に対して、その利用情報が送信されると、多機能周辺装置では、第2受信手段によってその利用情報が受信され、その受信された利用情報が、記憶制御手段の制御によって、送信手段により送信した利用情報に置き換えて記憶手段に記憶される。これにより、第2外部装置によって編集が行われた利用情報を記憶手段に記憶させることができる。よって、ユーザは、第2外部装置を用いて、多機能周辺装置の記憶手段に記憶された利用情報に対して編集を行い、その編集後の利用情報を記憶手段に記憶させておくことができる。従って、災害発生情報の検出時に印刷される利用情報を、予めユーザが整理することができ、災害発生情報の検出時には、ユーザにとって必要とする情報を確実に提供することができるという効果がある。
【0029】
請求項5に記載の多機能周辺装置によれば、請求項4に記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、取得検知手段により新たな利用情報が取得されたことが検知された場合に、第1報知手段によって、その旨が第2外部装置へ報知される。これにより、第2外部装置がその報知を受けて、新たな利用情報が取得されたことを第2外部装置のユーザに認識させることができるので、第2外部装置を使用するユーザに対し、その新たな利用情報の確認や、第2外部装置による利用情報の編集といった作業開始の動機づけを与えることができるという効果がある。また、一般的に、多機能周辺装置の制御は、第2外部装置などの外部装置をユーザが操作することによって行われることが多いので、新たな利用情報が取得されたことを第2外部装置のユーザに認識させることにより、ユーザの利便性を向上させることができるという効果がある。
【0030】
請求項6に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、取得検知手段により新たな利用情報が取得されたことが検知された場合に、第2報知手段によって、その旨がユーザに報知されるので、ユーザに対し、その新たな利用情報の確認といった作業開始の動機づけを与えることができるという効果がある。
【0031】
請求項7に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、取得手段により取得された複数の利用情報が、ファイル化手段によって1つのファイルにファイル化され、そのファイル化された1つのファイルが、記憶制御手段の制御によって、記憶手段に記憶される。これにより、利用情報の取得元が複数であっても、記憶手段には1つのファイルとして記憶されるので、その利用情報の管理を容易にすることができるという効果がある。また、印刷手段により記録媒体に利用情報を印刷する場合、複数のファイルを指定する必要がなく、1つのファイルを指定すれば、全ての利用情報を印刷することができるので、印刷にかかる処理効率が劣化するのを抑制することができるという効果がある。
【0032】
請求項8に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から7のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、取得手段により取得された利用情報が、データ形式変換手段によって、印刷手段により直接利用可能な印刷用データ形式に変換され、その変換された利用情報が、記憶制御手段の制御によって、記憶手段に記憶される。このように、記憶手段には利用情報が印刷用データ形式で記憶されるので、災害発生情報が検出された場合に、その記憶手段から読み出された利用情報をそのまま用いて印刷手段によって記録媒体に印刷することができる。よって、災害発生情報が検出されてから、利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができ、ユーザに対して利用情報をより確実に提供することができるという効果がある。
【0033】
請求項9に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、取得手段により取得された利用情報の解像度が所定の解像度よりも大きい場合に、解像度変換手段によって、利用情報の解像度が所定の解像度に変換され、その所定の解像度に変換された利用情報が、記憶制御手段の制御によって、記憶手段に記憶される。一般的に、高解像度の画像を印刷する場合、印刷に時間がかかることが知られているが、記憶手段に記憶された利用情報は、いずれも所定の解像度以下の解像度となるので、災害発生情報が検出されてから、利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができる。よって、ユーザに対して利用情報をより確実に提供することができるという効果がある。
【0034】
請求項10に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、取得手段により取得された利用情報がデータ圧縮手段によって所定のデータ圧縮形式に圧縮され、その圧縮された利用情報が、記憶制御手段の制御によって、記憶手段に記憶される。印刷手段として、高機能な印刷装置が用いられる場合、所定のデータ圧縮形式で圧縮されたデータを高速に解凍する解凍エンジンが一般的に搭載されており、圧縮された利用情報に係るデータを印刷手段に送信しても高速に印刷を行うことができる。そして、この場合、利用情報が圧縮されているので、印刷手段への利用情報のデータ送信効率を向上させることができ、よって、短い時間で多くの情報を送信できるので、印刷速度を向上させることができる。従って、災害発生情報が検出されてから、利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができ、ユーザに対して利用情報をより確実に提供することができるという効果がある。
【0035】
請求項11に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から10のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、印刷手段において記録媒体への印刷実行中に、検出手段によって災害発生情報が検出されると、印刷判別手段によってそのことが判別され、印刷制御手段の制御によって、その印刷が中止されて、印刷手段により記憶手段に記憶された利用情報が記録媒体に印刷される。これにより、印刷実行中であっても、災害発生情報が検出されれば、利用情報が優先して印刷されるので、ユーザに対してより確実に提供することができるという効果がある。
【0036】
請求項12に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から11のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。外部記憶媒体が接続される外部記憶媒体接続手段が設けられており、検出手段により災害発生情報が検出された場合に、外部記憶媒体接続手段に外部記憶媒体が接続されたかが接続判断手段によって繰り返し判断され、外部記憶媒体接続手段に外部接続されたと判断されると、外部記憶媒体に記憶手段に記憶された利用情報が、書き込み制御手段によって外部記憶媒体に書き込まれる。これにより、印刷手段に記録媒体が不足していたり、インクタンクのインクが不足していたりして、利用情報の一部または全部を印刷できない状態にある場合にも、外部記憶媒体に利用情報が記憶されるので、ユーザに対して利用情報を確実に提供できるという効果がある。また、一般に、外部記憶媒体への書き込みは印刷よりも短い時間で行われるので、災害発生によって記録媒体への印刷が途中で中断されるような場合であっても、外部記憶媒体に利用情報が記憶されている可能性が高い。よって、災害発生情報が検出されてから災害が発生するまでの時間が短い場合にも、ユーザに対して利用情報を確実に提供することができるという効果がある。
【0037】
請求項13に記載の多機能周辺装置によれば、請求項1から12のいずれかに記載の多機能周辺装置の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、自装置の本体と無線通信によって接続されると共に、充電機能を有する持ち運び可能な子機が設けられており、検出手段により災害発生情報が検出された場合に、記憶手段に記憶された利用情報が、転送手段によって子機に転送される。これにより、印刷手段に記録媒体が不足していたり、インクタンクのインクが不足していたりして、利用情報の一部または全部を印刷できない状態にある場合にも、子機に利用情報が記憶されるので、ユーザに対して利用情報を確実に提供できるという効果がある。また、子機は持ち運びが可能であるので、子機に利用情報を表示させながら避難等を行うことができ、更に、停電が発生した場合であっても、子機の充電機能によって、しばらくの間は、子機に利用情報を表示させることができるという効果がある。
【0038】
請求項14に記載の多機能周辺装置制御プログラムによれば、その多機能周辺装置制御プログラムが多機能周辺装置によって実行されることにより、請求項1に記載の多機能周辺装置と同様の効果を奏することができる。
【0039】
請求項15に記載の多機能周辺装置制御プログラムによれば、その多機能周辺装置制御プログラムが多機能周辺装置によって実行されることにより、請求項4に記載の多機能周辺装置と同様の効果を奏することができる。
【0040】
請求項16に記載の多機能周辺装置制御プログラムによれば、その多機能周辺装置制御プログラムが多機能周辺装置によって実行されることにより、請求項7に記載の多機能周辺装置と同様の効果を奏することができる。
【0041】
請求項17に記載の多機能周辺装置制御プログラムによれば、その多機能周辺装置制御プログラムが多機能周辺装置によって実行されることにより、請求項11に記載の多機能周辺装置と同様の効果を奏することができる。
【0042】
請求項18に記載の多機能周辺装置制御プログラムによれば、その多機能周辺装置制御プログラムが多機能周辺装置によって実行されることにより、請求項12に記載の多機能周辺装置と同様の効果を奏することができる。
【0043】
請求項19に記載の多機能周辺装置制御プログラムによれば、その多機能周辺装置制御プログラムが多機能周辺装置によって実行されることにより、請求項13に記載の多機能周辺装置と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の外観構成を示した斜視図である。
【0045】
このMFP1は、電話機能、ファクシミリ機能、PC(Personal Computer)プリント機能、メディアプリント機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種機能を有する多機能周辺装置である。
【0046】
また、このMFP1は、避難場所や避難経路といった緊急時に利用される緊急時利用情報を配信する情報配信サーバ400、MFP1の制御装置として機能するPC500、及びMFP1に設けられたスキャナ20(いずれも図2参照)から、種々の緊急時利用情報を予め取得しておき、緊急地震速報サーバ300(図2参照)より配信される緊急地震情報を検出すると、予め取得した緊急時利用情報を印刷する機能を有しており、緊急地震速報が配信されてから大きな揺れが到達するまでの数秒〜数十秒の間に、ユーザに対して確実に緊急時利用情報を提供できるように構成されている。
【0047】
MFP1の上部には、図1に示すように、ファクシミリ機能、スキャナ機能、又は、コピー機能の実行時に原稿を読み取るためのスキャナ20が配置されている。原稿カバー体8の下側には、原稿を載置するための載置用ガラス板(図示せず)が設けられている。また、筐体内部には記録用紙に画像を印刷する装置として、所謂インクジェットプリンタで構成されたプリンタ21が内蔵されている。インターネット200を介して緊急地震速報サーバ300(図2参照)より配信される緊急地震情報を検出すると、緊急時利用情報がプリンタ21によって記録用紙に印刷される。
【0048】
原稿カバー体8の前方には、横長形状の操作パネル6が設けられており、操作キー15および液晶ディスプレイ(以下、「LCD(Liquid Crystal Display)」と称す)16が具備されている。操作キー15には、電話機能やファクシミリ機能を利用する場合に電話番号を入力するための数字ボタン15aや、MFP1の電源のオン/オフを行うための電源ボタン15bなどの各種ボタンが設けられている。また、操作キー15によって、MFP1に実行させる機能の選択が行われる。
【0049】
LCD16は、LCDパネル(図示せず)及びLCDパネルを制御してLCDパネル上に画像を表示するLCD制御回路(図師せず)を有し、そのLCDパネル上に、操作手順や実行中の処理の状態が表示されると共に、操作キー15やタッチパネル17の押下に対応する情報が表示される。また、LCD16には、情報配信サーバ400(図2参照)やPC500(図2参照)から緊急時利用情報に関するデータ(以下、「緊急時利用データ」と称す)を新たに取得した場合に、その旨をユーザに対して通知するアイコンが表示される。また、後述するPC500の編集機能により、緊急時利用情報の内容が編集された場合にも、その旨をユーザに対して通知するアイコンが表示される。
【0050】
更に、操作キー15によってMFP1の機能としてスキャナ機能が選択された場合、LCD16のLCDパネル上には、読み込んだ原稿の画像データの出力先(もしくは、使用目的)を設定する設定画面が表示される。この設定画面には、複数の出力先設定ボタンが表示され、それぞれのボタンに出力先(もしくは、使用目的)として、「パーソナルコンピュータ」、「メモリカード」、「緊急時利用情報」等が記載される。
【0051】
そして、LCD16が有するLCDパネル(図示せず)の表示面には、入力装置の一種であるタッチパネル17が設けられており、LCD16に表示された複数の出力先設定ボタンのうち1つのボタンがユーザの指で触れられる(押下される)と、その触れられた出力先設定ボタンに対応する出力先(もしくは、使用目的)が、読み込んだ原稿の画像データの出力先(もしくは、使用目的)として設定される。
【0052】
例えば、「パーソナルコンピュータ」が記載された出力先ボタンが押下されると、読み込んだ原稿の画像データの出力先として、PC500(図2参照)が設定され、「メモリカード」が記載された出力先ボタンが押下されると、読み込んだ原稿の画像データの出力先としてメモリカードスロット19に挿入されるメモリカード19a(図2参照)が設定される。
【0053】
また、「緊急時利用情報」が記載された出力先ボタンが押下されると、読み込んだ原稿の画像データの使用目的として、緊急時利用情報が設定される。これにより、スキャナ20によって読み取られた原稿の画像データは、緊急時利用データとして取得され、後述の緊急時利用データ領域14d(図2参照)に格納される。
【0054】
更に、LCD16のLCDパネル上には、ユーザの操作に応じて、緊急時利用データに対応する緊急時利用情報を表示させることができる。そして、操作キー15やタッチパネル17を介してLCD16に表示された各種ボタンを操作することによって、緊急時利用データの編集(内容の一部削除や、文字の追加、情報の並びかえなど)が行える。これにより、MFP1がPC500と接続されていなくても、MFP1単体で緊急時利用データの編集を行うことができる。
【0055】
MFP1の前面には、メモリカード19a(図2参照)を挿入するためのメモリカードスロット19が設けられており、メモリカード19a内に記憶された画像データに対応する画像をLCD16に表示すると共に、タッチパネル16の操作によりユーザから選択された画像を、プリンタ21によって印刷する。また、メモリカード19aに対して、MFP1で取扱可能な各種データの読み出しや、書き込みの処理を行う。更に、MFP1は、緊急地震速報を検出すると、プリンタ21による緊急時利用情報の印刷と並行して、緊急時利用データ領域14d(図2参照)に格納されている緊急時利用データを、メモリカード19aに書き込む。
【0056】
尚、メモリカード19aとしては、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、メモリスティック(登録商標)、SDカード(登録商標)、xD−ピクチャカード(登録商標)などが該当する。
【0057】
MFP1の側部には、送受話器22が設けられている。この送受話器22は、ユーザが電話機能を使用して、電話回線網100(図2参照)を介して接続される電話機(図示せず)との間で通話を行う場合に使用される。
【0058】
また、MFP1には、送受話器22とは別に、充電機能を有する持ち運びが可能なデジタルコードレス方式の子機61が設けられると共に、MFP1本体(親機)の筐体内部には、その子機61との間でデジタルコードレス方式による無線通信600(図2参照)を行うためのデジタルコードレス通信制御回路(以下、「DCL(Digital Cordless)通信制御回路」と称す)27(図2参照)を搭載した回路基板(図示せず)が設けられている。
【0059】
子機61は、DCL通信制御回路27を介してMFP1の本体(親機)と無線通信600を行うことにより、送受話器22との間、または、電話回線網100を介して外部の電話機(図示せず)との間で通話を行う電話機能を実現している。また、MFP1は、緊急地震速報を検出すると、プリンタ21による緊急時利用情報の印刷、及び、緊急時利用データのメモリカード19aの書き込みと並行して、緊急時利用データを子機61に転送する処理を実行する。
【0060】
その他、MFP1の側部には、電話回線端子、LAN(Local Area Network)端子、及び、USB(Universal Serial Bus)端子(いずれも図示せず)が設けられている。そして、電話回線端子に電話線を接続することにより、MFP1のNCU(Network Control Unit)23(図2参照)を電話回線網100(図2参照)に接続することができる。
【0061】
また、LAN端子にLANケーブルを接続することにより、MFP1のインターネットインターフェイス25(図2参照)をインターネット200(図2参照)に接続することができ、インターネット200を介して、MFP1と緊急地震速報サーバ300との間や、MFP1と情報配信サーバ400との間で通信を行うことができる。
【0062】
また、一端がPC500に接続されたUSBケーブルの他端をMFP1のUSB端子に接続することにより、MFP1のUSBインターフェイス26(図2参照)にPC500(図2参照)を接続することができる。
【0063】
次に、図2を参照して、MFP1の電気的構成について説明する。図2は、MFP1の電気的構成を示すブロック図である。MFP1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)14、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、計時回路18、メモリカードスロット19、スキャナ20、プリンタ21、送受話器22、NCU23、モデム24、インターネットインターフェイス25、USBインターフェイス26、DCL通信制御回路27を主に有している。
【0064】
CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14は、バスライン28を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、計時回路18、メモリカードスロット19、スキャナ20、プリンタ21、送受話器22、NCU23、モデム24、インターネットインターフェイス25、USBインターフェイス26、DCL通信制御回路27、バスライン28は、入出力ポート29を介して互いに接続されている。
【0065】
CPU11は、ROM12やRAM13、EEPROM14に記憶される各種固定値やプログラム、或いは、NCU23、インターネットインターフェイス25、USBインターフェイス26、DCL通信制御回路27を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート29と接続された各部を制御する演算処理装置である。
【0066】
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラム12aや、その制御プログラム12aで参照される固定値などを格納した書換不能な不揮発性のメモリである。図3〜図9のフローチャートにそれぞれ示される各処理を行うプログラムは、この制御プログラム12aに含まれる。
【0067】
このうち、図3のフローチャートに示されるメイン処理は、電源ボタン15bによってMFP1の電源がオンされた場合に、MFP1の初期化処理に続いて実行される処理で、電源がオンされている間、繰り返し実行される。そして、このメイン処理の中で、図4のフローチャートに示されるサーバ取得処理、図6のフローチャートに示されるスキャナ取得処理、図7のフローチャートに示されるPCデータ送信処理、図8のフローチャートに示されるPC取得処理の各処理が実行され、情報配信サーバ400、スキャナ20、PC500から緊急時利用データを取得したり、緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データをPC500へ送信する処理が行われる。
【0068】
また、サーバ取得処理、スキャナ取得処理、PC取得処理の各処理の中で、それぞれ、図5のフローチャートに示されるデータ再構築処理が実行され、情報配信サーバ400、スキャナ20、PC500から新たに取得された緊急時利用データを、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データに追加し、1つのファイルにファイル化する処理が行われる。
【0069】
一方、図9のフローチャートに示される緊急時利用情報印刷処理は、緊急地震速報サーバ300から配信される緊急地震速報が検出された場合に実行され、緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データに対応する緊急時利用情報がプリンタ21によって印刷されると共に、緊急時利用データのメモリカード19aへの書き込みと、子機61への転送が行われる。
【0070】
RAM13は、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶する書換可能な揮発性のメモリである。EEPROM14は、書換可能であると共に電源遮断後も内容を保持可能な不揮発性のメモリであり、MFP1によって実行される各機能の設定などを格納している。
【0071】
また、EEPROM14には、電話番号領域14a、サーバ取得フラグ領域14b、登録サーバ領域14c、緊急時利用データ領域14d、受信タイミング設定領域14eが設けられている。電話番号領域14aは、MFP1に割り当てられた電話番号またはファクシミリ番号(以下、「電話番号等」と称す)を格納する領域で、ユーザが操作キー15やLCD16に表示されるボタンを操作して、MFP1の電話番号等の登録あるいは変更を行うと、その電話番号等が電話番号領域14aに格納される。
【0072】
この電話番号領域14aは、CPU11によって実行されるサーバ取得処理(図4参照)の中で参照され、登録サーバ領域14cに登録されている情報配信サーバ400(以下、「登録サーバ」と称す)との接続できた場合に、その登録サーバに対して、電話番号領域14cに格納されている電話番号等の市外局番を地域情報として登録サーバに送信する。(図4のS206参照)。これにより、登録サーバからは、その地域情報で特定される地域に応じた緊急時利用情報のデータ(緊急時利用データ)が送信される。
【0073】
また、電話番号領域14aは、CPU11によって実行される緊急時利用情報印刷処理(図9参照)の中でも参照され、緊急地震速報に含まれる地震の揺れが大きいと予測される地域と、電話番号領域14aに格納された市外局番から特定されるMFP1の設置地域とが一致する場合に、緊急時利用情報を印刷する(図9のS702:Yes参照)。これにより、緊急地震速報がMFP1の設置地域とは異なる地域の地震の揺れを知らせるものである場合には、緊急時利用情報が印刷されるのを抑制することができるので、ユーザの混乱を回避することができる。
【0074】
サーバ取得フラグ領域14bは、サーバ取得フラグを格納する領域である。サーバ取得フラグは、登録サーバ領域14cに登録された情報配信サーバ400(登録サーバ)から緊急時利用情報を取得するか否かを設定するフラグで、CPU11によって実行されるサーバ取得処理(図4参照)の中で参照される。そして、サーバ取得フラグがオンであれば、登録サーバから緊急時利用情報が取得され、サーバ取得フラグがオフであれば、登録サーバからの緊急時利用情報の取得が未実行とされる(図4のS201参照)。このサーバ取得フラグの設定および変更は、ユーザが操作キー15やLCD16に表示されるボタンを操作することによって行うことができる。
【0075】
登録サーバ領域14cは、インターネット200に接続されている複数の情報配信サーバ400の中から、MFP1において緊急時利用情報を受信したい情報配信サーバ400(登録サーバ)のURL(Uniform Resource Locator)を登録(格納)する領域である。この登録サーバ領域14cは、1台に限られず複数の登録サーバのURLが登録できるように構成されている。また、複数の登録サーバには、1から順に番号が付与されており、後述するサーバ取得処理(図4参照)の中で使用される。
【0076】
EEPROM14には、工場出荷時に予め地域毎に複数の登録サーバ候補のURLが登録されており、ユーザによってMFP1の電話番号等の登録あるいは変更が行われるときに、その電話番号等で特定される地域に対応した登録サーバ候補のURLが、登録サーバ領域14cに登録される。また、ユーザが操作キー15やLCD16に表示されるボタンを操作して、登録サーバ領域14cに登録された登録サーバのURLを削除、変更したり、新たに登録サーバのURLを追加できるようになっている。
【0077】
登録サーバ領域14cは、CPU11によって実行されるサーバ取得処理(図4参照)の中で参照され、登録サーバ領域14cに登録されている複数の登録サーバのURLに従って、それぞれの登録サーバへ順に接続し、それぞれの登録サーバから緊急時利用データを取得する。
【0078】
緊急時利用データ領域14dは、情報配信サーバ(登録サーバ)400、スキャナ20、PC500から取得した緊急時利用データを、印刷用ダムデータ形式で格納する領域である。印刷用ダムデータ形式とは、プリンタ21において、そのプリンタ21に設けられたインクジェットヘッドを直接制御できるデータ形式である。
【0079】
情報配信サーバ(登録サーバ)400、スキャナ20、PC500から新たに緊急時利用データが取得されると、CPU11によってデータ再構築処理(図5参照)が実行され、その新たに取得した緊急時利用データが、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データに追加される。そして、追加後の緊急時利用データが1つのファイルにファイル化され、印刷用ダムデータ形式にて、緊急時利用データ領域14dに上書きされる。
【0080】
また、後述するPC500の編集機能によって、緊急時利用データ領域14dが参照され、編集後の緊急時利用データが印刷用ダム形式にて緊急時利用データ領域14dに上書きされる。尚、PC500の編集機能の詳細については、その説明の中で後述する。
【0081】
一方、緊急時利用データ領域14dは、緊急地震速報が検出された場合にCPU11によって実行される緊急時利用情報印刷処理(図9参照)の中で参照され、緊急時利用データ領域14dから読み出した緊急時利用データをプリンタ21に送信することにより、プリンタ21から緊急時利用情報が印刷される。
【0082】
ここで、緊急時利用データが印刷用ダムデータ形式で緊急時利用データ領域14dに格納されるので、緊急地震速報が検出されたときに、緊急時利用データ領域14dから読み出された緊急時利用データをそのまま用いて、プリント21によって記録用紙に緊急時利用情報を印刷することができる。よって、緊急地震情報が検出されてから、緊急時利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができ、ユーザに対して緊急時利用情報をより確実に提供することができる。
【0083】
また、緊急地震速報が検出された場合に緊急時利用データ領域14dから読み出された緊急時利用データは、印刷用ダムデータ形式からHTML(HyperText Makeup Language)形式に変換された上で、メモリカード19に書き込まれると共に子機61に転送される。
【0084】
受信タイミング設定領域14eは、登録サーバ(登録サーバ領域14cに登録された情報配信サーバ400)からの緊急時利用データの受信タイミングの設定を格納する領域である。この設定は、例えば、「毎月第1月曜日午前1時」、「毎週火曜日午後7時」、「毎日午前9時30分」のように、どのタイミングで情報配信サーバ400から緊急時利用データを受信するかを設定するもので、ユーザが操作キー15やLCD16に表示されたボタンを操作することによって、その内容を設定/変更できるようになっている。
【0085】
この受信タイミング設定領域14eは、CPU11によって実行されるメイン処理(図3参照)の中で参照され、後述する計時回路18から出力される現在の日時から、受信タイミングであるか否かを判断する(図3のS101参照)。そして、受信タイミング設定領域14eで示された受信タイミングであると判断された場合に、サーバ取得処理(図4参照)が実行され、登録サーバからの緊急時利用データの取得処理が実行される。
【0086】
計時回路18は、現在の日時を刻む時計機能を有する既知の回路である。NCU23は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などの制御を行うものである。モデム24は、ファクシミリ機能により送信が指示された画像データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調してNCU23を介して送信したり、電話回線網100からNCU23を介して入力された信号を受信し、LCD16に表示したり、プリンタ21で印刷可能な画像データに復調するものである。
【0087】
インターネットインターフェイス25は、MFP1をインターネット200に接続するためのインターフェイスで、インターネットプロトコルに従って、インターネット200に接続された緊急地震速報サーバ300や情報配信サーバ400との間で、データの送受信を行うものである。このインターネットインターフェイス25に、上述したLAN端子(図示せず)がMFP1の筐体外側に向けて設けられており、LAN端子に接続されたLANケーブルを介してインターネット200に接続される。
【0088】
また、インターネットインターフェイス25は、緊急地震速報サーバ300から配信される緊急地震速報を検出する機能を有しており、緊急地震速報を検出した場合、緊急地震速報の検出を通知する割込み信号をCPU11に送信すると共に、緊急地震速報の内容をRAM13に格納する。CPU11は、緊急地震速報の検出を通知する割り込み信号によって、緊急地震速報が検出されたことを認識し、緊急時利用情報印刷処理(図9参照)を実行する。
【0089】
USBインターフェイス26は、USB規格に従って、データ伝送を行うためのインターフェイスである。このUSBインターフェイス26に、上述したUSB端子(図示せず)がMFP1の筐体外側に向けて設けられており、USB端子にUSBケーブルを接続することによって、PC500に接続される。
【0090】
このPC500によって、MFP1に対してプリント機能(PCプリント機能、メディアプリント機能)やスキャナ機能等の実行命令あるいは各種設定が行えるほか、緊急時利用データを作成して、MFP1に送信されるように構成されている。
【0091】
また、PC500は、MFP1の緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データの編集を行う編集機能を有している。この編集機能がユーザによって実行されると、PC500は、MFP1に対して緊急時利用データの送信要求を行い、MFP1は、その送信要求に応じて、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データを印刷用ダムデータ形式からHTML形式に変換して、PC500に送信する。
【0092】
PC500は、緊急時利用データをMFP1より受信すると、ユーザから、その緊急時利用データに対する情報の追加、削除、並びかえといった編集を受け付け、ユーザによる編集が完了すると、MFP1に対して編集後の緊急時利用データの送信通知を行った後、その緊急時利用データをMFP1に送信する。
【0093】
そして、MFP1が、PC500からの送信通知を受けて、編集後の緊急時利用データをPC500より受信し、その緊急時利用データをHTLM形式から印刷用ダムデータ形式に変換した上で、緊急時利用データ領域14dに格納することによって、緊急時利用データの編集が完了する。
【0094】
DCL通信制御回路17は、DCL用アンテナ(図示せず)を有しており、同じくDCL用アンテナ(図示せず)を有する子機61との間でデジタルコードレス方式による無線通信600を行いながら、通話による音声データを構成するデジタル信号の送受信を行う回路である。緊急地震情報の検出時における緊急時利用データの子機61への転送も、DCL通信制御回路17によって無線通信600を介して行われる。
【0095】
次いで、図3を参照して、MFP1のCPU11によって実行されるメイン処理について説明する。図3は、このメイン処理の処理フローを示すフローチャートである。このメイン処理は、MFP1の制御を、種々の条件に応じて実行する処理で、電源ボタン15bがオンされた場合に、MFP1の初期化処理を経て、CPU11によって実行が開始される。そして、電源がオンされている間、繰り返し実行される。
【0096】
このメイン処理では、まず、受信タイミング設定領域14eに格納された受信タイミングの設定内容と、計時回路18より出力される現在の日時とを比較して、現在の日時が、登録サーバ(登録サーバ領域14cに登録された情報配信サーバ400)からの緊急時利用データの受信タイミングであるか否かを判断する(S101)。そして、受信タイミングであると判断される場合には(S101:Yes)、サーバ取得処理(図4参照)を実行して(S102)、S103の処理へ移行する。このサーバ取得処理により、登録サーバから緊急時利用データが取得される。尚、サーバ取得処理の詳細については、図4を参照して、後述する。
【0097】
一方、S101の処理の結果、登録サーバからの緊急時利用データの受信タイミングでないと判断される場合(S101:No)、S102の処理をスキップして、サーバ取得処理を実行せずに、S103の処理へ移行する。
【0098】
S103の処理では、ユーザによる操作キー15の操作によって、載置用ガラス板に載置された原稿の画像データの読み取り(スキャン)指示があるか否かを判断する。そして、スキャン指示があると判断される場合には(S103:Yes)、スキャナ取得処理(図6参照)を実行して(S104)、S105の処理へ移行する。このスキャナ取得処理により、スキャナ20によって取り込まれた原稿の画像データが緊急時利用データとして取得される。尚、スキャナ取得処理の詳細については、図6を参照して後述する。
【0099】
一方、S103の処理の結果、スキャン指示がないと判断される場合(S103:No)、S104の処理をスキップして、スキャナ取得処理を実行せずに、S105の処理へ移行する。
【0100】
S105の処理では、PC500から緊急時利用データの送信要求があるか否かを判断する。そして、送信要求があると判断される場合には(S105:Yes)、PCデータ送信処理(図7参照)を実行して(S106)、S107の処理へ移行する。このPCデータ送信処理によって、緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データがPC500に送信される。尚、PCデータ送信処理の詳細については、図7を参照して後述する。
【0101】
一方、S105の処理の結果、PC500から緊急時利用データの送信要求がない場合(S105:No)、S106の処理をスキップして、PCデータ送信処理を実行せずに、S107の処理へ移行する。
【0102】
S107の処理では、PC500によって新たに作成された緊急時利用データの送信通知、或いは、S106の処理でPC500に送信され、PC500によって編集された緊急時利用データの送信通知が、PC500からあるか否かを判断する。そして、PC500から緊急時利用データの送信通知があると判断される場合(S107:Yes)、PC取得処理(図8参照)を実行して(S108)、S109の処理へ移行する。このPC取得処理によって、PC500から緊急時利用データが取得される。尚、PC取得処理の詳細については、図8を参照して後述する。
【0103】
一方、S107の処理の結果、PC500から緊急時利用データの送信通知はないと判断される場合(S107:No)、S108の処理をスキップして、PC取得処理を実行せずに、S109の処理へ移行する。
【0104】
S109の処理では、その他の処理を実行する。例えば、操作キー15やLCD16に表示されたボタンの操作に応じて、或いは、NCU23、インターネットインターフェイス25、USBインターフェイス26、DCL通信制御回路27を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有する各機能を実行する。
【0105】
また、LCD16のLCDパネル上への、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データに対応する緊急時利用情報の表示や、その表示された緊急時利用情報(緊急時利用データ)の編集も、このS109の処理の中で実行される。
【0106】
S109の処理の後、S101の処理へ回帰し、再びS101〜S109の処理が実行される。そして、MFP1の電源がオンされている間、S101〜S109の処理を繰り返し実行する。
【0107】
次いで、図4を参照して、MFP1のCPU11によって実行されるサーバ取得処理について説明する。図4は、このサーバ取得処理の処理フローを示すフローチャートである。このサーバ取得処理は、登録サーバ領域14cに登録されている情報配信サーバ400(登録サーバ)から、緊急時利用情報のデータ(緊急時利用データ)を取得する処理で、上述のメイン処理の中で実行される(図3のS102)。
【0108】
このサーバ取得処理では、まず、サーバ取得フラグ領域14bに格納されているサーバ取得フラグの値がオンであるか否かを判断する(S201)。そして、サーバ取得フラグの値がオンではない(即ち、オフである)と判断される場合(S201:No)、登録サーバからの緊急時利用データの取得が未実行に設定されているので、サーバ取得処理を終了する。
【0109】
一方、S201の処理の結果、サーバ取得フラグの値がオンであると判断される場合(S201:Yes)、次いで、インターネットインターフェイス25に設けられたLAN端子(図示せず)にLANケーブルが接続されており、インターネット接続が可能であるか否かを判断する(S202)。そして、LANケーブルが接続されておらず、インターネット接続が不可能であると判断される場合(S202:No)、登録サーバにアクセスできず、緊急時利用データを取得できない状態にあるので、このサーバ取得処理を終了する。
【0110】
一方、S202の処理の結果、インターネット接続が可能であると判断される場合(S202:Yes)、次いで、RAM13にカウンタiの値を格納する領域を用意し、そのカウンタiに初期値として「1」を代入して(S203)、S204の処理に移行する。このカウンタiは、登録サーバ領域14cに登録されている複数の情報配信サーバ400(登録サーバ)を登録順に1つずつ特定し、特定された情報配信サーバ400(登録サーバ)に順次アクセスする制御を行うために使用される。
【0111】
S204の処理では、登録サーバ領域14cにおいてi番目に登録されている登録サーバのURLを登録サーバ領域14cから読み出し、そのURLで示される登録サーバに対して、接続要求を送信する。そして、接続要求を送信した登録サーバから接続許可信号を受信したか否かによって、その登録サーバと接続できたか否かを判断する(S205)。
【0112】
その結果、登録サーバと接続できたと判断される場合(S205:Yes)、次いで、電話番号領域14aに格納されている電話番号等(電話番号またはファクシミリ番号)の市外局番を地域情報として登録サーバに送信し(S206)、その地域情報で特定される地域に応じて登録サーバにより送信された緊急時利用データを取得する(S207)。これにより、MFP1の設置された地域にあった緊急時利用データを取得できるので、緊急地震速報が検出された場合に、その地域にあった緊急時利用情報を印刷することができる。
【0113】
次に、S207の処理で取得された緊急時利用データに含まれる更新日時を抽出し、その緊急時利用データが、前回その登録サーバと接続された日時以降に更新されたものであるか否かを判断する(S208)。そして、緊急時利用データが前回登録サーバと接続された日時以降に更新されたものであると判断される場合(S208:Yes)、データ再構築処理(図9参照)を実行する(S209)。このデータ再構築処理によって、S207の処理で取得された緊急時利用データが緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データに追加され、1つのファイルにファイル化される。
【0114】
次いで、PC500に対して緊急時利用データを新たに取得したことを報知する(S210)と共に、LCD16のLCDパネル上にも情報配信サーバから新たに緊急時利用データを取得したことを示すアイコンを表示させて(S211)、S212の処理へ移行する。このS210およびS211の処理により、ユーザに対し、新たに取得された緊急時利用データを含む緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データの確認といった作業開始の動機づけを与えることができる。
【0115】
また、LCD16のLCDパネル上にアイコンを表示させるだけでなく、PC500に対して報知することによって、PC500は、その報知を受けて、MFP1で新たな緊急時利用データが取得されたことを、PC500のユーザに認識させることができるので、PC500のユーザに対しても、新たに取得された緊急時利用データを含む緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データの確認や、PC500による編集といった作業開始の動機づけを与えることができる。また、MFP1の制御は、PC500をユーザが操作することによって行われることが多いので、新たな緊急時利用データが取得されたことをPC500のユーザに認識させることにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0116】
一方、S205の処理の結果、接続要求を送信した登録サーバから接続許可信号が受信できず、登録サーバと接続できなかったと判断される場合(S205:No)、その登録サーバから緊急時利用データを取得できないので、S206〜S211の処理をスキップして、S212の処理に移行する。
【0117】
また、S208の処理の結果、S207の処理で取得された緊急時利用データが、前回その登録サーバと接続された日時より前に更新されたものであると判断される場合(S208:No)、S207の処理で取得された緊急時利用データは過去に取得されたものであり、既に緊急時利用データ領域14dに格納されているので、S209〜S211の処理をスキップして、S212の処理へ移行する。これにより、CPU11に係る負荷を小さく抑えることができる。
【0118】
S212の処理では、カウンタiの値を1増やし、次いで、1増やしたカウンタiの値が、登録サーバ領域14cに登録されている登録サーバの登録台数を超えたか否かを判断する(S213)。そして、カウンタiの値が登録台数を超えていなければ(S213:No)、S204の処理に回帰し、登録サーバ領域14cにおいてi番目に登録されている登録サーバから緊急時利用データの取得が試みられる。そして、カウンタiの値が登録台数を超えるまで、S204〜S213の処理が繰り返し実行され、カウンタiの値が登録台数を超えれば(S213:Yes)、このサーバ取得処理を終了する。
【0119】
これにより、登録サーバ領域14cに登録されているすべての登録サーバについて、緊急時利用データの取得が試みられ、前回登録サーバと接続された日時以降に更新された緊急時利用データが存在する場合、その緊急時利用データを緊急時利用データ領域14dに格納することができる。
【0120】
以上、サーバ取得処理がMFP1のCPU11によって実行されることにより、登録サーバによって送信される緊急時利用データを予め緊急時利用データ領域14dに記憶させておくことができるので、緊急地震速報が検出された場合に、登録サーバからの緊急時利用データをユーザに対して確実に提供することができる。
【0121】
次いで、図5を参照して、MFP1のCPU11によって実行されるデータ再構築処理について説明する。図5は、このデータ再構築処理の処理フローを示すフローチャートである。このデータ再構築処理は、登録サーバ(情報配信サーバ400)、スキャナ20、PC500から新たに取得された緊急時利用データを、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データに追加し、1つのファイルにファイル化する処理で、サーバ取得処理(図4参照)、スキャナ取得処理(図5参照)、PC取得処理(図6参照)の各処理の中で、独立して実行される。
【0122】
このデータ再構築処理では、まず、新たに取得した緊急時利用データの解像度が、所定の解像度より大きいか否かを判断する(S301)。そして、所定の解像度よりも大きいと判断される場合(S301:Yes)、新たに取得した緊急時利用データをその所定の解像度に変換して(S302)、S303の処理に移行する。また、S301の処理の結果、緊急時利用データの解像度が所定の解像度以下であると判断される場合には、S302の処理をスキップして、S303の処理に移行する。
【0123】
一般的に、高解像度の画像を印刷する場合、印刷に時間がかかることが知られているが、S301,S302の処理により、緊急時利用データの解像度は所定の解像度以下の解像度となるので、緊急地震速報が検出されてから、緊急時利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができる。よって、ユーザに対して利用情報をより確実に提供することができる。
【0124】
次いで、S303の処理では、新たに取得した(所定の解像度以下の)緊急時利用データを印刷用ダムデータに変換する。そして、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データの印刷用ダムデータを読み出し(S304)、この読み出された緊急時利用データの印刷用ダムデータと、S303の変換処理によって得られた、新たに取得した(所定の解像度以下の)緊急時利用データの印刷用ダムデータとをまとめて、1つのファイルにファイル化する(S305)。
【0125】
そして、S305の処理によってファイル化された緊急時利用データの印刷用ダムデータを緊急時利用データ領域14dに上書きによって格納し(S306)、このデータ再構築処理を終了する。これにより、既に緊急時利用データ領域14dに格納されていた緊急時利用データに、今回新たに取得した緊急時利用データを追加して、緊急時利用データ領域14dに格納することができる。
【0126】
また、緊急時利用データ領域14dには、印刷用ダムデータ形式で緊急時利用データが格納されるので、緊急地震情報が検出された場合に、緊急地震情報データ領域14dから読み出された緊急時利用データをそのまま用いてプリンタ21によって記録用紙に印刷することができる。よって、緊急地震情報が検出されてから、緊急時利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができ、ユーザに対して利用情報をより確実に提供することができる。
【0127】
また、緊急時利用データは、緊急時利用データの取得元が複数ある場合でも、1つのファイルにファイル化されて、緊急時利用データ領域14dに格納されるので、その緊急時利用データの管理を容易にすることができる。また、プリンタ21により記録用紙に緊急時利用情報を印刷する場合、複数のファイルを指定する必要がなく、1つのファイルを指定すれば、全ての緊急時利用情報を印刷することができるので、印刷にかかる処理効率が劣化するのを抑制することができる。
【0128】
次いで、図6を参照して、MFP1のCPU11によって実行されるスキャナ取得処理について説明する。図6は、スキャナ取得処理の処理フローを示すフローチャートである。このスキャナ取得処理は、メイン処理の中で実行され(図3のS104参照)、スキャナ20から原稿の画像データを読み取り、その読み取った画像データを出力先(もしくは使用目的)の設定に応じて出力する処理で、特に画像データの使用目的として「緊急時利用情報」が設定されている場合、読み取った画像データを緊急時利用データとして取得する。
【0129】
このスキャナ取得処理では、まず、スキャナ20を制御して、載置用ガラス板に載置された原稿の画像データを読み込む(S401)。次いで、MFP1にスキャナ機能を設定する際に、LCD16に表示された出力先ボタンの操作によって、スキャナ20で読み込んだ画像の出力先(使用目的)として「緊急時利用情報」が設定されたか否かを判断する(S402)。そして、緊急時利用情報が設定されていないと判断される場合(S402:No)、設定された出力先(「パーソナルコンピュータ」、「メモリカード」など)に、S401の処理で読み込んだ画像データを出力して(S406)、このスキャナ処理を終了する。
【0130】
一方、S402の処理の結果、スキャナ20で読み込んだ画像の出力先(使用目的)として「緊急時利用情報」が設定されたと判断される場合(S402:Yes)、読み込んだ画像データを緊急時利用データとして取得し(S403)、データ再構築処理(図5参照)を実行する(S404)。これにより、S401の処理で読み込んだ画像データが、緊急時利用データとして、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データに追加され、1つのファイルにファイル化される。
【0131】
次いで、PC500に対して緊急時利用データを新たに取得したことを報知し(S405)、このスキャナ処理を終了する。このS405の処理により、PC500は、MFP1で新たな緊急時利用データが取得されたことを、PC500のユーザに認識させることができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。また、PC500のユーザに対して、新たに取得された緊急時利用データを含む緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データの確認や、PC500による編集といった作業開始の動機づけを与えることができる。
【0132】
以上、MFP1のCPU11によってスキャナ取得処理が実行されることにより、ユーザにおいて、地震発生時に利用したい情報が記載された原稿の画像をスキャナ20により読み取れば、それを緊急時利用データとして予め記憶手段に記憶させておくことができる。よって、緊急地震速報が検出された場合に、ユーザの利用したい情報が記載された緊急時利用情報を、ユーザに確実に提供することができる。
【0133】
次いで、図7を参照して、MFP1のCPU11によって実行されるPCデータ送信処理について説明する。図7は、このPCデータ送信処理の処理フローを示すフローチャートである。このPCデータ送信処理は、PC500からの緊急時利用データの送信要求に応じて、PC500に対して緊急時利用データを送信する処理で、メイン処理の中で実行される(図3のS106参照)。
【0134】
このPCデータ送信処理では、まず、緊急時利用データ領域14dに格納されている印刷用ダムデータ形式の緊急時利用データを読み出す(S501)。そして、S501の処理で読み出された緊急時利用データを印刷用ダムデータ形式からHTML形式に変換した上で(S502)、その変換後の緊急時利用データをPC500に送信して(S503)、PCデータ送信処理を終了する。このように、HTML形式に変換して、緊急時利用データをPC500に送信することにより、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データをPC500のディスプレイに表示させたり、PC500で容易に編集することができる。
【0135】
次いで、図8を参照して、MFP1のCPU11によって実行されるPC取得処理について説明する。図8は、このPC取得処理の処理フローを示すフローチャートである。この処理は、PC500からの緊急時利用データの送信通知を受けて、PC500によって新たに作成された緊急時利用データ、若しくは、上述のPCデータ送信処理(図7参照)でPC500に送信され、PC500によって編集された緊急時利用データを取得する処理で、メイン処理の中で実行される(図3のS108参照)。
【0136】
このPC取得処理では、まず、PC500より送信されてきた緊急時利用データを取得する(S601)。そして、そのPC500より取得した緊急時利用データが、PC500によって編集されたデータであるか否かを、緊急時利用データ送信前にPC500より通知された送信通知に含まれる緊急時利用データの種別信号から判断する(S602)。
【0137】
そして、PC500より取得した緊急時利用データが、PC500によって編集されたデータではない場合(S602:No)、PC500より取得した緊急時利用データは、PC500によって新たに作成された緊急時利用データであると判断し、データ再構築処理を実行する(S603)。これにより、PC500により新たに作成された緊急時利用データが、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データに追加され、1つのファイルにファイル化される。
【0138】
このように、PC500により新たに作成された緊急時利用データを予め緊急時利用データ領域14dに記憶させておくことができるので、緊急地震速報が検出された場合に、PC500で作成された緊急時利用データをユーザに対して確実に提供することができる。
【0139】
次いで、LCD16のLCDパネル上にPC500から新たに緊急時利用データを取得したことを示すアイコンを表示させて(S604)、このPC取得処理を終了する。このS604の処理により、ユーザに対し、新たに取得された緊急時利用データを含む緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データの確認といった作業開始の動機づけを与えることができる。
【0140】
一方、S602の処理の結果、PC500より取得した緊急時利用データが、PC500によって編集されたデータであると判断される場合(S602:Yes)、PC601の処理によって取得した緊急時利用データを印刷用ダムデータに変換した上で(S605)、その印刷用ダムデータに変換された緊急時利用データを緊急時利用データ領域14dに上書きによって格納する(S606)。
【0141】
これにより、PC500によって編集が行われた緊急時利用データを緊急時利用データ領域14dに記憶させることができる。よって、ユーザは、PC500を用いて、緊急時利用データ領域14dに記憶された緊急時利用データに対して、削除、追加、並びかえといった編集を行い、その編集後の緊急時利用データを記憶手段に記憶させておくことができる。従って、緊急地震速報の検出時に印刷される緊急時利用情報を、予めユーザがPC500を用いて整理することができ、緊急地震速報の検出時には、ユーザにとって必要とする情報を確実に提供することができる。
【0142】
また、S605の処理によって、PC500によって緊急時利用データが編集された場合でも、緊急時利用データ領域14dには、必ず印刷用ダムデータ形式で緊急時利用データが格納されることになるので、緊急地震情報が検出された場合に、緊急地震情報データ領域14dから読み出された緊急時利用データをそのまま用いてプリンタ21によって記録用紙に印刷することができる。よって、緊急地震情報が検出されてから、緊急時利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができ、ユーザに対して利用情報をより確実に提供することができる。
【0143】
S606の処理の後、LCD16のLCDパネル上にPC500によって緊急時利用データが編集されたことを示すアイコンを表示させて(S607)、このPC取得処理を終了する。このS604の処理により、ユーザに対し、緊急時利用データ領域14dに格納された編集後の緊急時利用データの確認といった作業開始の動機づけを与えることができる。
【0144】
次いで、図9を参照して、MFP1のCPU11により実行される緊急時利用情報印刷処理について説明する。図9は、この緊急時利用情報印刷処理の処理フローを示すフローチャートである。この緊急時利用情報印刷処理は、インターネットインターフェイス25によって生成された緊急地震速報の検出を通知する割込み信号をCPU11が検出した場合に、CPU11によって実行される処理で、緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データを用いて、緊急時利用情報をプリンタ21によって記録用紙に印刷する。
【0145】
この緊急時利用情報印刷処理では、まず、インターネットインターフェイス25によってRAM13に格納された緊急地震速報に含まれる地震の揺れが大きいと予測される地域を抽出し(S701)、その抽出された地域と、電話番号領域14aに格納された市外局番から特定されるMFP1の設置地域とが一致するか否かを判断する(S702)。そして、MFP1の設置地域と一致しないと判断される場合(S702:No)、この緊急時利用情報印刷処理を終了する。これにより、緊急地震速報がMFP1の設置地域とは異なる地域の地震の揺れを知らせるものである場合には、緊急時利用情報が印刷されるのを抑制することができるので、ユーザの混乱を回避することができる。
【0146】
一方、S701の処理で抽出された地域と、電話番号領域14aに格納された市外局番から特定されるMFP1の設置地域とが一致すると判断される場合(S702:Yes)、次いで、プリンタ21において印刷処理が行われているか否かを判断し(S703)、印刷処理が行われていれば(S703:Yes)、その印刷処理を中止し、印刷中の記録用紙を排紙して(S704)、S705の処理へ移行する。一方、S703の処理の結果、プリンタ21において印刷処理が行われていなければ(S703:No)、そのままS705の処理へ移行する。
【0147】
このように、プリンタ21によって印刷処理が行われている場合、その印刷が中止されるので、即座にプリンタ21によって緊急時利用情報の印刷プロセスを開始させることができる。よって、印刷実行中であっても、緊急地震速報が検出されれば、緊急時利用情報が優先して印刷されるので、ユーザに対してより確実に緊急時利用情報を提供することができる。
【0148】
次に、S705の処理では、CPU11やMFP1の各部で実行中のその他の処理プロセスを中断する。これにより、MFP1のハードウェア資源を緊急時利用処理に集中させることができるので、緊急時利用情報の印刷に、遅延が発生するのを抑制することができる。
【0149】
S705の処理の後、緊急時利用データを緊急時利用データ領域14dより読み出しを開始し(S706)、その読み出された緊急時利用データを順次プリンタ21に送信して、プリンタ21に対して緊急時利用情報の印刷を開始させる。ここで、上述したように、緊急時利用データ領域14dに格納されている緊急時利用データは印刷用ダムデータ形式であるので、緊急地震情報データ領域14dから読み出された緊急時利用データをそのまま用いてプリンタ21によって記録用紙に印刷することができる。よって、緊急地震情報が検出されてから、緊急時利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができ、ユーザに対して利用情報をより確実に提供することができる。
【0150】
また、プリント21による印刷(S707の処理)と並行して、緊急地震情報データ領域14dから読み出された緊急時利用データをHTML形式に変換し(S708)、HTML形式に変換された緊急時利用データを、DCL通信制御回路27を介して子機61に転送する(S709)。これにより、プリンタ21に記録用紙が不足していたり、インクタンクのインクが不足していたりして、緊急時利用情報の一部または全部を印刷できない状態にある場合に、子機61に緊急時利用データが記憶されるので、ユーザに対して緊急時利用情報を確実に提供できる。また、子機61は持ち運びが可能であるので、子機61に緊急時利用情報を表示させながら避難等を行うことができ、更に、停電が発生した場合であっても、子機61の充電機能によって、しばらくの間は、子機61に緊急時利用情報を表示させることができる。
【0151】
また、子機61への転送(S709の処理)と並行して、メモリカードスロット19にメモリカード19aが挿入されたか否かを確認し(S710)、メモリカード19aが挿入されたと判断される場合には(S710:Yes)、S709の処理でHTML形式に変換された緊急時利用データをメモリカード19aに書き込み(S711)、緊急時利用情報印刷処理を終了する。
【0152】
これにより、プリンタ21に記録用紙が不足していたり、インクタンクのインクが不足していたりして、緊急時利用情報の一部または全部を印刷できない状態にある場合に、メモリカード19aに緊急時利用データが記憶されるので、ユーザに対して緊急時利用情報を確実に提供できる。そして、ユーザは、携帯電話などに設けられたカードスロットにメモリカード19aを挿入することによって、その緊急時利用情報を活用することができる。
【0153】
また、一般に、メモリカード19aへの書き込みは印刷よりも短い時間で行われるので、地震発生によって記録用紙への印刷が途中で中断されるような場合であっても、メモリカード19aに緊急時利用データが記憶されている可能性が高い。よって、緊急地震速報が検出されてから地震が発生するまでの時間が短い場合にも、ユーザに対して緊急時利用情報を確実に提供することができる。
【0154】
尚、S710の処理の結果、メモリカードスロット19にメモリカード19aが挿入されていないと判断される場合(S710:No)、メモリカードスロット19にメモリカード19aが挿入されるまで、S710の判断の処理を繰り返し実行する。これにより、緊急地震速報を受信してから、しばらくしてメモリカードスロット19にメモリカード19aが挿入された場合にも、メモリカード19aに緊急時利用情報を書き込むことができる。
【0155】
但し、S710の判断の処理が、所定の時間(例えば、5分間)連続して実行される場合には、S710の繰り返し処理を抜け、この緊急利用情報印刷処理を終了する。これにより、メモリカード19aがメモリカードスロット19に挿入されない場合に、S710の処理で止まってしまうことを防止することができる。
【0156】
以上のように、MFP1のCPU11によって緊急時利用情報印刷処理が実行されると、予め緊急時利用データ領域14dに格納された緊急時利用データを用いて、プリンタ21から緊急時量情報を即座に印刷することができる。また、緊急時利用情報印刷処理は、インターネットインターフェイス25からの割り込み信号によって、CPU11が緊急時利用情報印刷処理の実行を開始するので、インターネットインターフェイス25によって緊急地震速報が検出されると、すぐに緊急時利用情報印刷処理が開始される。これにより、緊急地震速報サーバ300が緊急地震速報を配信してから、素早く緊急時利用情報を印刷することができる。よって、緊急地震速報が配信されてから実際に地震の揺れが生じる前に、ユーザに対して確実に緊急時利用情報を提供することができる。
【0157】
以上、本実施形態におけるMFP1によれば、地震などの災害発生時に利用される緊急時利用情報に関するデータ(緊急時利用データ)が、情報配信サーバ400、スキャナ20、PC500より取得され、その取得された緊急時利用データが、緊急時利用データ領域14dに記憶される。一方、緊急地震速報サーバ300より緊急地震速報が通知されると、予め緊急時利用データ領域14dに記憶された緊急時利用データに対応する緊急時利用情報がプリンタ21により記録用紙に印刷される。
【0158】
このように、緊急地震速報が検出されてから、緊急時利用情報を外部より取得するのではなく、予め緊急時利用データ領域14dに記憶された利用情報を用いて、記録用紙に印刷するので、緊急地震速報が検出されてから即座に緊急時利用情報の印刷を開始することができる。よって、緊急地震速報が検出されてから実際に地震の揺れが生じるまでの数十秒間の間に、緊急時利用情報を記録用紙に印刷できる可能性が高いので、ユーザに対して緊急時利用情報を確実に提供することができる。
【0159】
尚、上記実施形態における「緊急地震情報」が、請求項に記載の「災害発生情報」の一例であり、上記実施形態における「緊急時利用情報」および「緊急時利用データ」が、請求項に記載の「利用情報」の一例である。
【0160】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0161】
例えば、上記実施形態において、インターネット200を介して緊急地震速報サーバ300から配信される緊急地震速報を検出する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、放送波を受信可能なアンテナを設け、放送波に含まれる緊急地震速報を検出してもよい。また、放送波を受信可能な装置(例えば、テレビジョン装置)と接続して、その装置を介して、緊急地震速報を検出してもよい。
【0162】
上記実施形態では、緊急時利用データを印刷用ダムデータ形式にして緊急時利用データ領域14dに格納する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、プリンタ21が、直接利用可能な印刷用データ形式としてPDF(Portable Document Format)に対応している場合は、緊急時利用データをPDFに変換して、緊急時利用データ領域14dに格納してもよい。また、緊急時利用データを、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の所定のデータ圧縮形式に変換して緊急時利用データ領域14dに格納してもよい。上記実施形態では、プリンタ21として、インクジェットプリンタを用いる例について説明したが、例えば、レーザプリンタといった高機能なプリンタが用いられる場合、所定のデータ圧縮形式で圧縮されたデータを高速に解凍する解凍エンジンが一般的に搭載されており、圧縮された緊急時利用データをそのプリンタに送信しても高速に印刷を行うことができる。そして、この場合、緊急時利用データが圧縮されているので、プリンタへの緊急時利用データのデータ送信効率を向上させることができ、よって、短い時間で多くの情報を送信できるので、印刷速度を向上させることができる。従って、緊急地震速報が検出されてから、緊急時利用情報が印刷されるまでにかかる処理時間を短くすることができ、ユーザに対して緊急時利用情報をより確実に提供することができる。
【0163】
上記実施形態では、緊急時利用データ領域14dに格納される緊急時利用データを1つのファイルにファイル化して格納する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、緊急時利用データの取得毎に複数のファイルに分けて、緊急時利用データ領域14dに格納してもよい。これにより、緊急時利用データを編集する場合に、ファイル毎に緊急時利用データを緊急時利用データ領域14dから読み出して編集することができるので、編集作業の操作性を向上させることができる。また、複数のファイルに分けて緊急時利用データを緊急時利用データ領域14dに格納する場合、それぞれのファイルに優先順位を付け、緊急時利用情報を印刷する場合に優先順の高いファイルに含まれる緊急時利用情報から順に印刷するようにしてもよい。これにより、ユーザがより重要と考える緊急時利用情報を優先的に印刷させることができる。
【0164】
上記実施形態では、情報配信サーバ400やPC500から緊急時利用データを新たに取得した場合や、PC500の編集機能により、緊急時利用情報の内容が編集された場合に、その旨をユーザに対して通知するアイコンをLCD16に表示される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、MFP1に設けられたLED(Light Emitting Diode)を点灯または点滅させることによって、その旨を通知してもよいし、音声をスピーカから出力させることによって通知してもよい。また、プリンタ21によって記録用紙にその旨を印字させて、ユーザに通知してもよい。
【0165】
上記実施形態では、情報配信サーバ400(登録サーバ)に送信する地域情報として、電話番号領域14aに格納された電話番号等の市外局番を送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、登録サーバ毎に定められた地域コードを、それぞれ登録サーバに対応させて登録サーバ領域14cに記憶させておき、その地域情報を登録サーバ毎に読み出して、送信するようにしてもよい。
【0166】
上記実施形態では、プリンタ1が記録媒体として記録用紙に印刷する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、布やプラスチック、ビニールなどに印刷されてもよい。
【0167】
上記実施形態では、緊急地震速報を対象に説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、火災や台風などの災害に対して、被害の発生前に事前に通知する情報を受信した場合に、緊急時利用情報を印刷してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の一実施形態におけるMFPの外観構成を示した斜視図である。
【図2】MFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】MFPで実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図4】MFPで実行されるサーバ取得処理を示すフローチャートである。
【図5】MFPで実行されるデータ再構築処理を示すフローチャートである。
【図6】MFPで実行されるスキャナ取得処理を示すフローチャートである。
【図7】MFPで実行されるPCデータ送信処理を示すフローチャートである。
【図8】MFPで実行されるPC取得処理を示すフローチャートである。
【図9】MFPで実行される緊急時利用情報印刷処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0169】
1 MFP(多機能周辺装置の一例)
12a 制御プログラム(多機能周辺装置制御プログラムの一例)
14d 緊急時利用データ領域(記憶手段の一例)
19 メモリカードスロット(外部記憶媒体接続手段)
19a メモリカード(外部記憶媒体の一例)
20 スキャナ(読取手段の一例)
21 プリンタ(印刷手段の一例)
25 インターネットインターフェイス(検出手段の一例、第1接続手段の一例)
26 USBインターフェイス(第2接続手段の一例)
61 子機
400 情報配信サーバ(第1外部装置の一例)
500 PC(第1外部装置の一例、第2外部装置の一例)
S105 (送信要求受付手段の一例、送信要求受付ステップの一例)
S207 (取得手段の一例、取得ステップの一例、第1受信手段の一例)
S208 (取得検知手段の一例)
S209,S404,S603 (記憶制御手段の一例、第1記憶制御ステップの一例)
S606 (記憶制御手段の一例、第2記憶制御ステップの一例)
S210 (第1報知手段の一例)
S211 (第2報知手段の一例)
S303 (データ形式変換手段の一例)
S304 (解像度変換手段の一例)
S305 (ファイル化手段の一例、ファイル化ステップの一例)
S403 (取得手段の一例、取得ステップの一例)
S503 (送信手段の一例、送信ステップの一例)
S601 (取得手段の一例、取得ステップの一例、第2受信手段の一例、第2受信ステップの一例)
S703 (印刷判別手段の一例、印刷判別ステップの一例)
S704,S707 (印刷制御手段の一例、印刷制御ステップの一例)
S709 (転送手段の一例、転送ステップの一例)
S710 (接続判断手段の一例、接続判断ステップの一例)
S711 (書き込み制御手段の一例、書き込み制御ステップの一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体への印刷を実行する印刷手段と、
災害発生時に利用される利用情報を取得する取得手段と、
その取得手段により取得された前記利用情報を記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
外部より通知される災害発生に関わる災害発生情報を検出する検出手段と、
その検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、予め前記記憶制御手段により前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御手段とを備えることを特徴とする多機能周辺装置。
【請求項2】
第1外部装置に接続する第1接続手段と、
その第1接続手段により接続された前記第1外部装置によって送信される前記利用情報を受信する第1受信手段を備え、
前記取得手段は、前記第1受信手段によって前記第1外部装置より受信した前記利用情報を取得するものであることを特徴とする請求項1に記載の多機能周辺装置。
【請求項3】
原稿の画像を画像データとして読み取る読取手段を備え、
前記取得手段は、前記読取手段により読み取られる画像データを前記利用情報として取得するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多機能周辺装置。
【請求項4】
前記記憶手段に記憶された前記利用情報を編集可能に構成された第2外部装置に接続する第2接続手段と、
その第2接続手段により接続された前記第2外部装置から前記利用情報の送信要求を受け付ける送信要求受付手段と、
その送信要求受付手段により前記送信要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶されている前記利用情報を前記第2外部装置へ送信する送信手段と、
その送信手段によって前記第2外部装置に送信した利用情報を前記第2外部装置より受信する第2受信手段とを備え、
前記記憶制御手段は、前記第2受信手段により受信された前記利用情報を、前記送信手段により送信した利用情報に置き換えて前記記憶手段に記憶することを特徴する請求項1から3のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項5】
前記取得手段により新たな利用情報が取得されたことを検知する取得検知手段と、
その取得検知手段により新たな利用情報が取得されたことが検知された場合に、その旨を前記第2外部装置へ報知する第1報知手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載の多機能周辺装置。
【請求項6】
前記取得手段により新たな利用情報が取得されたことを検知する取得検知手段と、
その取得検知手段により新たな利用情報が取得されたことが検知された場合に、その旨をユーザに報知する第2報知手段とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項7】
前記記憶制御手段は、
前記取得手段により取得された複数の利用情報を1つのファイルにファイル化するファイル化手段を備え、
そのファイル化手段によってファイル化された1つのファイルを前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項8】
前記記憶制御手段は、
前記取得手段により取得された利用情報を、印刷手段によって直接利用可能な印刷用データ形式に変換するデータ形式変換手段を備え、
そのデータ形式変換手段により前記印刷用データ形式に変換された前記利用情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項9】
前記記憶制御手段は、
前記取得手段により取得された利用情報の解像度が所定の解像度よりも大きい場合に、前記利用情報の解像度を前記所定の解像度に変換する解像度変換手段を備え、
その解像度変換手段により前記所定の解像度に変換された前記利用情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項10】
前記記憶制御手段は、
前記取得手段により取得された利用情報を所定のデータ圧縮形式に圧縮するデータ圧縮手段を備え、
そのデータ圧縮手段により前記所定のデータ圧縮形式に圧縮された前記利用情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項11】
前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されているか否かを判別する印刷判別手段を備え、
前記印刷制御手段は、前記印刷判別手段により前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されていると判別される場合に、その印刷を中止して、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項12】
外部記憶媒体が接続される外部記憶媒体接続手段と、
前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記外部記憶媒体接続手段に前記外部記憶媒体が接続されたかを繰り返し判断する接続判断手段と、
その接続判断手段により前記外部記憶媒体接続手段に前記外部接続されたと判断された場合に、前記外部記憶媒体に前記記憶手段に記憶された前記利用情報の書き込みを行う書き込み制御手段とを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項13】
自装置の本体と無線通信によって接続されると共に、充電機能を有する持ち運び可能な子機と、
前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記子機に転送する転送手段とを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の多機能周辺装置。
【請求項14】
記録媒体への印刷を実行する印刷手段と、外部より通知される災害発生に関わる災害発生情報を検出する検出手段とを備えた多機能周辺装置によって実行される多機能周辺装置制御プログラムであって、
災害発生時に利用される利用情報を取得する取得ステップと、
その取得ステップにより取得された前記利用情報を記憶手段に記憶する第1記憶制御ステップと、
前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、予め前記第1記憶制御ステップにより前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御する印刷制御ステップとを備えることを特徴とする多機能周辺装置制御プログラム。
【請求項15】
前記多機能周辺装置は、
前記記憶手段に記憶された前記利用情報を編集可能に構成された第2外部装置に接続する第2接続手段を備えており、
その第2接続手段により接続された前記第2外部装置から前記利用情報の送信要求を受け付ける送信要求受付ステップと、
その送信要求受付ステップにより前記送信要求を受け付けた場合に、前記記憶手段に記憶されている前記利用情報を前記第2外部装置へ送信する送信ステップと、
その送信ステップによって前記第2外部装置に送信した利用情報を前記第2外部装置より受信する第2受信ステップと、
前記第2受信ステップにより受信された前記利用情報を、前記送信ステップにより送信した利用情報に置き換えて前記記憶手段に記憶する第2記憶制御ステップとを備えることを特徴する請求項14に記載の多機能周辺装置制御プログラム。
【請求項16】
前記取得手段により取得された複数の利用情報を1つのファイルにファイル化するファイル化ステップを備え、
前記記憶制御ステップは、そのファイル化ステップによってファイル化された1つのファイルを前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項14又は15に記載の多機能周辺装置制御プログラム。
【請求項17】
前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されているか否かを判別する印刷判別ステップを備え、
前記印刷制御ステップは、前記印刷判別ステップにより前記印刷手段において前記記録媒体への印刷が実行されていると判別される場合に、その印刷を中止して、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記記録媒体に印刷するように前記印刷手段を制御することを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の多機能周辺装置制御プログラム。
【請求項18】
前記多機能周辺装置は、
外部記憶媒体が接続される外部記憶媒体接続手段を備えており、
前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記外部記憶媒体接続手段に前記外部記憶媒体が接続されたかを繰り返し判断する接続判断ステップと、
その接続判断ステップにより前記外部記憶媒体接続手段に前記外部接続されたと判断された場合に、前記外部記憶媒体に前記記憶手段に記憶された前記利用情報の書き込みを行う書き込み制御ステップとを備えることを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載の多機能周辺装置制御プログラム。
【請求項19】
前記多機能周辺装置は、
自装置の本体と無線通信によって接続されると共に、充電機能を有する持ち運び可能な子機を備えており、
前記検出手段により前記災害発生情報が検出された場合に、前記記憶手段に記憶された前記利用情報を前記子機に転送する転送ステップを備えることを特徴とする請求項14から18のいずれかに記載の多機能周辺装置制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−290761(P2009−290761A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143443(P2008−143443)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】