多機能型触媒評価装置
【課題】
種々の触媒試作品の中から、数十〜数百時間の長期評価、触媒充填量を数百グラム〜キログラムオーダーに増やしたミゼットプラント評価に値するサンプルを抽出する一次スクリーニングを如何に行うための多機能型触媒評価装置に関する技術を確立する。
【解決手段】
流通反応系および循環反応系を反応中に簡単に切り替え、同じ触媒について反応形式が異なる計測を繰り返し行う。さらにまた、循環反応系には効率的な流体循環と、触媒粉などによる汚染時に洗浄が簡単に出来る逆止弁を備える。
種々の触媒試作品の中から、数十〜数百時間の長期評価、触媒充填量を数百グラム〜キログラムオーダーに増やしたミゼットプラント評価に値するサンプルを抽出する一次スクリーニングを如何に行うための多機能型触媒評価装置に関する技術を確立する。
【解決手段】
流通反応系および循環反応系を反応中に簡単に切り替え、同じ触媒について反応形式が異なる計測を繰り返し行う。さらにまた、循環反応系には効率的な流体循環と、触媒粉などによる汚染時に洗浄が簡単に出来る逆止弁を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工業用触媒等の多機能評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
約200年前にプリーストリー(Priestley)が珪藻土にエチルアルコールを接触させ、発生してくる気体を燃焼させたとき黄色い炎をあげることを発見した。これはエチルアルコールが脱水反応によりエチレンが生成し、これが燃焼したものであり、この現象は固体触媒が工業的に注目されることにつながる例として知られる。現在では、高分子、石油製品、環境浄化技術、家庭用電気製品、食品製造、新エネルギー技術、燃料電池、医薬品など我々の生活に用いる殆どの物質が触媒により生産されていると言っても過言ではない。これまでの触媒開発は技術者の経験に基づいて行われる傾向が強かったが、1980年代以降に表面分析装置、高性能分光分析装置の普及および標識同位体による反応機構解析などが進み分子レベルで触媒作用を理解できる環境が次第に整って来ている。それとともに精密合成反応用触媒などこれまでにない触媒機能や選択性、高活性を有する触媒が求められている。
【0003】
基本的な触媒機能に関してはこのような分子レベルでの理解が進んでいるが、一方で、工業用触媒に関しては触媒を構成する成分が多様化し、調製法も複雑化する傾向が見られ、よりよい触媒材料を創出するためには数多くの試作触媒を製作、性能評価しなければならない状況にある。逆にこれが開発研究に要するコストを押し上げている。加えて新製品の市場での寿命は短期化しており、新技術開発の障壁が高くなるという課題も指摘され始めている。
【0004】
種々の触媒試作品の中から、数十〜数百時間の長期評価、触媒充填量を数百グラム〜キログラムオーダーに増やしたミゼットプラント評価に値するサンプルを抽出する一次スクリーニングを如何に迅速に行うかが触媒開発、新製品開発効率化の鍵を握っていると言って良い。
【0005】
これまでにも、触媒評価に関しては、常圧流通式評価法、閉鎖循環式評価法、回分式評価法などの種々方法が公知になっている(特許文献1)。例えば触媒劣化挙動を把握することを考えた場合、これまでの微分型の常圧流通式などでは、触媒劣化の測定を転化率変化などから求める見かけの反応速度変化から行うため、正確さに欠ける上、少なくとも十数時間程度の反応原料流体を供給し続ける必要が生じ、触媒スクリーニングに時間と標準ガスなどの原料流体経費を要する課題があると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−272390号公報
【0007】
逆に、従来型の積分型(閉鎖循環式、回分式)などでは、活性化された新しい触媒が促進する反応の初期速度を測定することによる触媒間の相対性能評価ができるが、触媒劣化を一回の測定で把握することは難しく反応中の劣化挙動の評価には適さない面がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
触媒のスクリーニングは活性金属、助触媒、第3成分、担体成分、原料種、調製方法などが反応促進、選択性向上、寿命延長などにどのように関与しているかについて定量的に把
握し、より優れた触媒調製法、より高活性、高選択性を有するなどの高性能触媒組成物を設計していく上で極めて重要であり、劣化挙動、活性・選択性向上効果を正確、かつ短時間に測定することが出来る評価装置が求められている。
【0009】
触媒特性を短時間で把握するためには、絶えずフィードとなる流体を流し続け、微分型の評価を行いながらも、反応途中で積分型の評価に切り替え熱力学的平衡組成に至るまでの経時変化を追跡し、例えば、触媒が流体供給反応中に劣化に至る途中経過を短時間に測定することで、触媒のスクリーニングを短時間かつ合理的に実施することや、微分型の評価途中に、積分型の評価に切り替え、モデル反応的な同位体交換反応、ある分子をプルーブ(prove)とした反応などを行うことが出来れば、劣化挙動を科学的に考察すること
ができ、触媒構成物質の作用を的確に把握することができる。
【0010】
上述の劣化挙動に限定されることなく、種々の改善効果などを微分型/積分型を随時切り
替える評価方法によって、合理的かつ科学的に考察することが出来るため、触媒作用の理解をより深くすることで、優れた工業プロセスの開発を推進することが出来る。
【0011】
しかしながら、現時点ではこのような多機能型の評価法は見あたらず、仮にあったにしても、研究者が実験用途にあわせてガラス管などをつなぎ合わせて作ったような自作型のものが殆どと考えられる。従って、一定の基準で触媒を評価しスクリーニング出来る技術とは言い難く、触媒スクリーニング用の多機能型評価装置の早急な開発が求められているのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明者らは産業用、環境浄化用、家電品用、移動体用などに適する触媒組成物のスクリーニングを効率的に行い、より優れた触媒組成物の創成を比較的短時間に行い、産業振興に貢献することを考え、触媒組成物の一次スクリーニング用の多機能型反応評価装置を鋭意研究開発した結果、以下に記述するような発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、(1)内部に摺動自在のピストン部を設けたシリンダー部と、前記ピストン部の駆動用電磁石とを備え、前記ピストン部の上下動により移動する流体を一定方向にのみ流通させるための逆止弁を設けてなるピストンポンプを循環反応系に有し、該循環反応系を構成する配管の一部が流通反応系と共有する構成を具備したことを特徴とする流体反応装置であり、
(2)前記逆止弁を、前記ピストン部の下部と、前記シリンダー部の下部とに設けてなるピストンポンプを循環反応系に有したことを特徴とする(1)に記載の流体反応装置であり、
(3)前記シリンダー部が、内部にピストン衝撃吸収材を収納するシリンダー上端部材と、該シリンダー上端部材に、その上端部を嵌入させて、内部にピストン部を上下摺動自在に収容し、その下端部をシリンダー下端部材に嵌入してなるシリンダー本体と、内部にピストン衝撃吸収材又はピストン衝撃吸収材を収容すると共に、下方端部内部に逆止弁を有するシリンダー下端部材とを備えているシリンダー部であり、前記ピストン部が、ピストン本体と逆止弁とを有している。ピストン本体は、内部に磁気焼鈍された複数の鋼線を円筒状に封入配置して、ガラス管部を形成し、このガラス管部の下方端近傍の内壁部に弁ストッパーを形成し、その下方空間内に、上下動自在にされた弁を収容させ、更に、その下方空間内に、前記弁の着座が可能なように、上端部に円環状の弁座を配置した流体導入管を、前記ガラス管部の下方端をすぼませて前記流体導入管を固着して形成されたピストン部であることを特徴とする(1)及び(2)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(4)ホウ珪酸ガラスによりなるシリンダーとピストンに関しシリンダー長さが250mm以上、330mm以下であり、該内径が18mm以上、22mm以下であり、該内部に設けられるピストン長さが100mm以上130mm以下であり、さらにピストン内部に肉厚0.5mm以上0.9mm以下の中空状磁性体がされていることを特徴とするシリンダーおよびピストンを備えた請求項1、2および3の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(5)リアクターを除いた部分において、シリンダーおよびピストンがホウ珪酸ガラスからなりこの他がステンレス鋼管で構成される(1)、(2)、(3)及び(4)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(6)リアクター部が石英ガラスまたはホウ珪酸ガラスからなることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(7)リアクター部の形状がU字状であり、着脱機構を有し、着脱機構に接する部位がホウ珪酸ガラスからなり、反応を行う部分が石英ガラスからなることを特徴とするリアクターを備えた(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(8)直径35mm以上45mm以下、高さ50mm以上60mm以下の円柱状構造を有し、上部と下部とがガスケットを介し、ステンレス鋼製ネジで4ヶ所を固定した分解可能な構造を有する樹脂製筺体の内部に、一対の算盤玉状の空隙を上下方向に配置し、その内部に直径5mm以上8mm以下の樹脂性球を配置し、算盤玉状の空隙上部と下部それぞれに配管接続口と算盤玉状の空隙上部と下部との中間部に配管接続口を配した構造を有することを特徴とする逆止弁を2個設置し、そのうち1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの上部に、別の1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの下部に接続節即され、2個の逆止弁の算盤玉状の空隙上部同士、下部同士を結合した配管から分岐した配管がそれぞれ循環反応系に接続されている流体循環部を有することを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(7)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(9)ホウ珪酸ガラス管からなる内径18mm以上24mm以下のシリンダーの内部に、ホウ珪酸ガラス製ガラス管中に肉厚0.3mm以上1.5mm以下の中空鋼管を封入した長さ35mm以上55mm以下のピストンを配置し、シリンダー内部とピストン外部に真空摺り合わせを施し、シリンダー上部と下部にピストン衝撃吸収材が配置された循環用ピストンポンプを備えることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)およびの(8)何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(10)シリンダー外部に電磁石を備え、直流電流のオン、オフによりシリンダー内のピストンを上下させることを特徴とする(1)、(2)、(8)及び(9)の何れか1項に記載のピストンポンプであり、
(11)電磁石の直流電流のオン、オフをリピートタイマーにより時間制御することを特徴とする(1)、(2)、(8)、(9)及び(10)の何れか1項に記載のピストンポンプを備えることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)及び(10)の何れかに記載の流体反応装置に関する技術である。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば触媒のスクリーニングを短時間かつ合理的に実施でき、かつ、劣化挙動を科学的に考察することができるため、触媒構成物質の作用を的確に把握することができる。その結果、優れた工業プロセスの開発を推進することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多機能型触媒評価装置の概要を示す図である。
【図2】ガス排気部に関する図である。
【図3】流体導入部に関する図である。
【図4】流通および循環反応系に関する実体配管接続の正面図である。
【図5】逆止弁(CV−6、CV−7)とピストン・シリンダーの接続図である。
【図6】ピストンとシリンダーの詳細図である。
【図7】逆止弁(一部断面)に関する図である。
【図8】石鹸膜流量計に関する図である。
【図9】クロマトグラフ用試料採取部に関する図である。
【図10】ガスホルダーに関する図である。
【図11】リアクター部に関する図である。
【図12】リアクター部に関する詳細図である。
【図13】筐体(逆止弁本体)60における、作動流体の流れ方向の説明図である。
【図14】弁一体型循環ポンプに関する縦断面図である。
【図15】(a)は、ピストン部に関する縦断面図であり、図15(b)はB−B線 矢視断面図である。
【図16】(a)は、逆止弁の縦断面図に関する詳細図であり、図16(b)は、 逆止弁の平面図であり、図16(c)、(d)は弁の詳細図である。
【図17】ピストン下部および上部の受け部の衝撃吸収材の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施態様について実施例を示して詳細に説明するが、本発明をより具体的に説明するためのものであり、これにより本発明の範囲を限定して捉えてはならない。
【実施例1】
【0017】
(装置の基本構成)
図1は、本発明の多機能型触媒評価装置(以下評価装置)1を示す。評価装置1は図1に示すように、イ:ガス排気部、ロ:流体導入部、ハ:循環反応系、ニ:流通反応系、ホ:流体流量制御部、へ:試料採取部および、ト:ガスホルダー部、およびチ:リアクター部からなる。
【0018】
イ:ガス排気部はロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)5および拡散ポンプ(二次ポンプ)6、または、ロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)5およびターボ分子ポンプ(二次ポンプ)6、トラップ8、真空圧力計VSからなり、管継手(図示せず)を介して真空ライン13に着脱可能に接続配管12している。常圧での排気速度が20リットル/分以上、好ましくは50リットル/分以上、より好ましくは150リットル/分以上を持つ排気装置を備え、真空ライン13への接続配管12の径は15mmφ以上、より好ましくは20
mmφ以上、より好ましくは25mmφ以上である。これらの数値は大きいほど好ましいが、実質的な上限は、排気速度では350リットル/分、接続配管12の径では30mmφである。この範囲未満では、試料の前処理に時間を要する場合が多くなり効率が上がらない事がある。
【0019】
配管の材質はステンレス鋼を好ましく使用することができ、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼が好適であり、中でも316ステンレス鋼が好ましい。肉厚(t)は0.1mm以上1.5mm以下が好ましく、0.15mm以上1.3mm以下がより好ましく、0.2mm以上1.2mm以下が最も好適である。この範囲未満の場合には強度が不足する傾向が見られ、この範囲をこえた場合には特に不具合は生じないが、材料コストなどが嵩むため、肉厚(t)を増加させる技術的な意義が希薄になる。
【0020】
図2はガス排気部(イ)の詳細配管図である。配管は図2に示すような、ロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)5単独でバルブ31を介して真空ライン13系(図1参照)の排気が出来る流路(12a)と、ロータリー真空ポンプ5とバルブ32と二次ポンプ6である拡散ポンプまたはターボ分子ポンプとバルブ33とを直列配管接続して真空ライン13系の排気ができる流路(12b)とを切り替えできる構造とする。これは粗排気時には流路(12a)、高真空排気時には流路(12b)とし、二次ポンプ6の負荷を減少する狙いと、拡散ポンプ6に油拡散ポンプ(oil diffusion pump)6を使用した場合、酸素を含む気体を粗排気する際に、油の酸化による劣化を回避する狙いがある。
【0021】
真空排気ライン(ガス排気部:イ)への圧力計VS設置は必須ではないが、データの信頼性をより高める必要がある場合には、設置することが望ましい。その際の圧力計VSはピラニゲージ(ピラニ真空計)または電離真空ゲージ(電離真空計)が好ましく、電離真空ゲージがより好ましい。そして真空ライン13(図1参照)への配管接続は、トラップ8とバルブV−1と、更に、バルブ35を介した圧力計VSを設け、そして、図示しない管継手を介して真空ライン13に着脱可能に配管接続している。
【0022】
ロ:流体導入部
流体導入部(ロ)は、図3に示すように(図1も参照して)流体の入った圧縮容器(ガスボンベ16a,16b,〜16e)、二段式調圧器(PR1、PR2、〜PR5)、バルブ(37a,37b,〜37e)、焼結金属(sintered metal)からなるラインフィルター(F1、F2、〜F5)、バルブ(38a,38b、〜38e)の後段にサーマルマスフローコントローラ(MFC1、MFC2、〜MFC5)を配し、その後段にバルブ(39a,39b、〜39e)を介して逆止弁(check valve、CV―1、CV―2、〜CV―5)を各々直列接続に配する。これらは流体の種類毎に設置し(図1では2系統、図3では5系統)、これらの配管を集合させるマニフォールド(manifold MF)で混合させる。マニフォールドMFの下流側には図1に示すような流体原料を捕集させるためのサンプリングポート18(捕集袋、真空捕集瓶ポート18として、バルブV−8,バルブV−9,バルブV−10)を設ける。サーマルマスフローコントローラ(マスフローコントローラー、MFC1、MFC2、〜MFC5)前後の差圧は0.2MPa以上0.5MPa以下が好ましく、0.25MPa以上0.4MPa以下がより好ましく、0.29MPa以上0.35MPa以下が最も好適である。流体の種類(圧縮容器入り)は3種類以上対応できるようにすることが望ましい(図3では5種類)。マニフォールドMFの後段にバルブ(又はコック)V−50を介して圧力計PG−1を設けて流体導入圧力を監視する。流体導入部:ロでは、上述の構成により流体導入量を正確に制御して、転化率、選択率など触媒活性および触媒性能を示す数値の信頼性を確保する重要な機能を持つ。
【0023】
ハ:循環反応系(閉鎖循環系)
図4は、基台2aに立設された取付板2bに流体を一定方向に流通させる循環ポンプP−
1と、試料採取部(:ヘ)を備えると共に、バルブV−4を含むバイパス部及びリアクター部(:チ)とトラップT−1からなる流通反応系(:ニ)とを備えてなる循環反応系(ハ)が、真空ライン13に接続し、他方でバルブV−50を介して流体流量制御部(:ホ)からの圧力を計測する圧力計PG−1を接続している実体配管接続図を示す(図1も参照)。前記リアクター部(:チ)は、バルブV−4を含むバイパス部と、一方にバルブV−5を、他方にバルブV−6をそれぞれ接続し、内部に触媒床本体21a(図示せず)を備えた触媒床21とを並列接続してなる。上述のごとく循環反応系(:ハ)は図4に示すようにループ状である。循環反応系(:ハ)内には流体を一定方向に流通させるための往復ポンプP−1、逆止弁(CV−6およびCV−7)、触媒床21、トラップT−1、圧力計MM−2、MM―1が備えられている。触媒床21、往復ポンプP−1を含めた循環反応系(:ハ)内の容積は200cm3以上600cm3以下が好ましく、210cm3以上450cm3以下がより好ましく、230cm3以上290cm3以下が最も好ましい。この容積未満では試料採取部(:へ)においてのサンプリング時に圧力低下することにより反応速度が変動し精度が低下する懸念があり、この容積を超過した場合には、生成物の濃度変化が遅く、触媒性能を把握するための時間が延長される可能性がある。圧力計MM−1およびMM−2には水銀マノメータ、U字型水銀マノメータ、ピラニゲージ、冷陰極管型圧力計、圧力−電圧変換トランスデューサなどを好ましく採用できる。
【0024】
循環反応系(:ハ)の循環ポンプ(往復ポンプ:P−1)は(図1、図4も参照)、図5に示すように、ガラス製シリンダー26とピストン25とからなるピストン・シリンダー・ユニット24aと、駆動用電磁石28とからなる循環ポンプ本体24を含み、2個の逆止弁(CV−6,CV−7)とを備えてなる。詳述すると、図6に示すようなガラス製シリンダー26内に、薄肉金属パイプ25bを封入固定してなるガラス製ピストン25を、封入し、その両端部にそれぞれ2個のOリング27bを備え、中空状のスリーブキャップ(スリーブ配管継手)27を嵌め込んで構成されたピストン・シリンダー・ユニット24aと、前記ガラス製シリンダー26の周囲に駆動用電磁石28を形成する電磁コイル(駆動コイル)を配した循環ポンプ本体24と、図7に示す逆止弁(CV−6,CV−7)を2組用い、図5に示すように配置して循環ポンプ(往復ポンプ:P−1)が形成される。即ち、循環ポンプ:P−1は、循環ポンプ本体24と、2組の逆止弁CV−6とCV−7とからなる。その循環ポンプ本体24は、ピストン・シリンダー・ユニット24aと、電磁コイルを有した駆動用電磁石28とからなる。更に、そのピストン・シリンダー・ユニット24aは、シリンダー26と、薄肉金属パイプ25bを封入固定してなるガラス製ピストン25と、Oリング27bをそれぞれ2個ずつ有するスリーブキャップ27を、前記シリンダー26の上下両端部に嵌め込んでなる。そして、ピストン25の往復駆動はシリンダー26外部から電磁石28へ直流の電流を間欠的に正方向と逆方向に交互に供給することによって行われる。シリンダー26の長さは200mm以上350mm以下が好ましく、200mm以上330mm以下がより好ましく、250mm以上330mm以下が最も好ましい。ピストン25に関しての長さは45mm以上60mm以下が好適で、50mm以上60mm以下がさらに好適である。シリンダー長、ピストン長ともにこの範囲未満では充分なストロークが得にくくなる。この範囲を超えた場合には死容積の増加、ピストン重量の増加による運転時衝撃が強くなるなど技術的な意義が希薄になるため好ましくない。
【0025】
ガラスの材質は、並ガラス(ソーダガラス)、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスなど種々ガラスを好ましく用いることが出来るが、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスが好ましく、ホウ珪酸ガラスが最も好ましい。この理由はシリンダー26とピストン25の摺動部は摺り合わせになっており、摩耗を回避することも必要なためである。なお、図5を参照して、ピストン・シリンダー・ユニット24aにおいて、上下動するピストン25の衝撃を緩和するために、シリンダー26の上下両端部内にバネ等の衝撃吸収材を配するとよい。
【0026】
シリンダー26の内径は15mm以上25mm以下が好ましく、16mm以上24mm以下がより好ましく、17mm以上22mm以下が最も好ましい。この範囲未満では吐出量が不十分になる虞がある。またこの範囲を超過した場合、駆動コイルが大型化するなど電装コストが高まる可能性があり好ましくない。
【0027】
直流の電流を電磁石28に与える際の、オン、オフは任意の間隔に設定出来ることが種々反応評価を行う上で重要である。吐出流量を正確に制御するために、リピートタイマーにより電流のオン、オフを制御することが望ましい。
【0028】
する。そして、内部にボール92を収容した算盤玉形状の空隙(上)76と、内部にボール92を収容した算盤玉形状の空隙(下)86とを有する筐体(逆止弁本体)60ピストン25の上下動(往復動)による吐出を効率的に行うために、後述する図7に示すような構造の逆止弁(CV−6,CV−7)を形成する筐体(逆止弁本体)60用いる。すなわち、直径(又は、対向面間寸法)35mm以上45mm以下、高さ50mm以上60mm以下の円柱(又は、角柱)状構造を有し、上部と下部とがガスケット(Oリング)98を介し、ステンレス鋼製ネジ(六角穴付きボルト)97を4カ所で固定した分解可能な構造を有する樹脂製筐体60の内部に、一対の算盤玉状の空隙(76,86)を上下方向に配置し、その内部に直径5mm以上8mm以下の樹脂製球92,92を配置し、算盤玉状の空隙上部76と下部86それぞれに配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ63,85)と、算盤玉状の空隙上部76と下部86との中間部に配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ89)を配した構造を有するもので、この逆止弁(CV−6,CV−7)を形成する筐体(逆止弁本体)60を2個設置し、その内1個の算盤状の空隙部上部76と下部86との中間部の配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ89)がピストンポンプ(循環ポンプ)P−1の上部に、別の1個の算盤状の空隙部上部76と下部86との中間部の配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ89)がピストンポンプ(循環ポンプ)P−1の下部に接続され、2個の逆止弁(CV−6、CV−7)の算盤玉状の空隙上部76、76同士、下部86、86同士を結合した配管から分岐した配管がそれぞれ循環反応系(:ハ)に接続される(図5,図4,図1参照)。
【0029】
図7(a)は、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7を形成する筐体(逆止弁本体)60の平面図を示し、図7(b)は、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7を形成する筐体(逆止弁本体)60の正面の断面図を示す。図7(a)、図7(b)を参照して、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7を形成する筐体(逆止弁本体)60は、四角いブロック状(円柱状でも良い)の、キャップ61と、ボディ81とを、間にガスケット(Oリング)98を介挿して、4本のステンレス鋼製ねじ(六角穴付ボルト)97にて、一体的に固着されて筐体(逆止弁本体)60が形成される。この筐体(逆止弁本体)60が、ねじ込み式管継手を介して配管接続されて逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の構成を、互いに並列配管して(図1,図4、図5参照)、2個の前記ボール92,92の働きにより、内部の流体の逆流防止を図り、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の機能を発揮させるものである。逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7は、筐体(逆止弁本体)60と、ねじ込み式管継手(図示せず)とにより構成される。即ち、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7は、筐体(逆止弁本体)60を主要な構成要素としている。それ故、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の要点を説明することは、筐体(逆止弁本体)60を説明することになる。
【0030】
図7(a)、図7(b)を参照して、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の主要な構成要素である筐体(逆止弁本体)60を詳述する。既に説明した通り筐体(逆止弁本体)60は、間にガスケット(Oリング)98を介挿して、四角いブロック状(円柱状でも良い)の、キャップ61と、ボディ81とを、4本のステンレス鋼製ねじ(六角穴付ボルト)97にて、一体的に固着してなる。キャップ61は、四角いブロック状(円柱状でも良い)で樹脂製のキャップ本体61aと、中子(上)71とから構成されている。そして、キャップ本体61aは、上面の略中央部にねじ込み式管継手用めねじ63が中心部に向けて刻設され、これに連設するように、下面側から後述する中子(上)71が螺合出来るようにやや外径の大きい中子(上)用めねじ65が刻設されている。上面の四隅にボルト挿通孔67が設けられている。
【0031】
中子(上)71は、外側面に、おねじ71aが施され、上端面部から下方向に中心軸線に沿って管継手干渉防止用円板形状空間71bが刻設され、更に、これに連設し連通する連通孔71cと、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dとが、この順に穿設され連通してなる。
【0032】
そして、キャップ本体61aの下面側から前記中子(上)用めねじ65内に、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dを下向きにして、中子(上)71を螺合固着させる。その場合、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dの端部が、キャップ本体61aの下端面より少し凹むか、面一となり、突出しない状態に固く螺合させて、キャップ61を構成する。キャップ61の下面側に下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dが配置されている。このキャップ61の下面側に下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dは、後述するボディ81の上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間94bと対向させ、内部にボール92を収容してから双方を互いに対向合体させ、ボルト97にて固着して、算盤玉形状の空隙(上)76を形成する。
【0033】
と、このボディ本体81a内において、後述するように内部にボール92を有する算盤玉形状の空隙(下)86の下側面を形成するため、上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間84aが刻設され、この漏斗状の円錐形状空間84aの上方に連設して、中子(下)用めねじ84が刻設され、更に、この中子(下)用めねじ84の上方に連設して、これよりやや大きな外径の円板形状の空次に、ボディ81は、四角いブロック状(円柱状でも良い)で樹脂製のボディ本体81a間83aが刻設され、そして、この円板形状の空間83aの上方に、これよりやや大きな外径の中子(中)用めねじ83が刻設されている。更に、ボディ本体81aの上面には、中子(中)用めねじ83より大きい寸法位置であって、四隅に穿設されているボルト用めねじ87より小さい寸法位置において、Oリング用溝88が刻設されている。
そして、右側面上方部に、ねじ込み式管継手用めねじ89と、これに連設して中側に向けて、前記円板形状の空間83aの側面に連通する連通孔89aが穿設されている。そして、正面下方部に左右一対の取り付けねじ用孔90が穿設されている。更に、上向きに開口する前記漏斗状の円錐形状空間84aが刻設されていることは前述した通りである。この前記漏斗状の円錐形状空間84aの下方に連設して、下面から穿設されているねじ込み式管継手用めねじ85に連通する連通孔84bが穿設されている。
【0034】
中子(中)94は、外側面に、おねじ94aが施され、上端面部から下方向に中心軸線に沿って、上方に開口する漏斗状の円錐形状空間94bが設けられており、更に、これに連設する連通孔94cが穿設されている。
【0035】
中子(下)95は、外側面に、おねじ95aが施され、上端面部から下方向に中心軸線に沿って、連通孔95bと、これに連設する下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間95cが穿設されている。
【0036】
次に、ボディ81の組み付け構成を述べる。既述した通り、ボディ81において、ボディ本体81aの上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間84aと、この上にボール92を載置し、更に、中子(中)用めねじ84内に、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間95cを下方に向けて、中子(下)95を螺合し固着することにより、上向きに開口する前記漏斗状円錐形状空間84aと、下向きに開口する前記ラッパ状の円錐形状空間95cとが対向合体し、内部にボール92を収容して、算盤玉状の空隙(下)86が形成される。
【0037】
そして、ボディ本体81aの中子(中)用めねじ83内に、中子(中)94を螺合し固着させる。この場合中子(中)94における、上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間94bが設けられている上面端部が、ボディ本体81a上端面より少し凹むか面一となり、突出しない状態に固く螺合させて、ボディ81を構成する。
【0038】
前記ボディ本体81a上面のOリング用溝88内にガスケット(Oリング)98を挿入し、ボディ本体81aの中子(中)用めねじ83内に螺合された、中子(中)94の上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間94bと、前記キャップ本体61aにおける下面の、中子(上)71の下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dとでなす算盤玉形状の空隙(上)76内に、ボール92を収容して、キャップ61と、ボディ81とを重ねて、四隅に4本のステンレス鋼製ねじ(六角穴付きボルト)97を用いて固着させて、筐体(逆止弁本体)60が構成される。
【0039】
図7(b)を参照して、逆止弁(CV−6,CV−7)内部では樹脂製球92,92が上下することで流れの停止、開始を行う仕組みになっている。そして、初めに、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の基本構成要素である筐体(逆止弁本体)60において、作動流体が右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向から流入すると、上面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向に流出する。次に、作動流体が、下面側のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向から流入すると、右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向に流出する。
【0040】
この逆止弁(CV−6,CV−7)を用いることでピストン25の上昇時、下降時ともに流体が一定方向に循環させることができ、循環ポンプP−1の流体吐出効率が高まる(図7,図5参照)。逆止弁(CV−6,CV−7)を構成する筐体(逆止弁本体)60は上下に分割して分解可能であり、内部を容易に洗浄、調整できる構造になっており、触媒粉などが逆止弁(CV−6,CV−7)内に入っても容易に取り除くことが出来るようになっている。
【0041】
逆止弁(CV−6,CV−7)内部では樹脂製球92,92が上下することで流れの停止、開始を行う仕組みになっている(図7参照)。これに用いる樹脂としては、ポリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂などを含む樹脂を好ましく使用できる。流体の分子量が小さい場合や循環反応系(閉鎖循環系:ハ)内圧力が比較的低い場合などにはポリエチレン、ポリプロピレンが、逆の場合にはポリフルオロエチレン、ABS、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましい傾向がある。いずれにしても、流体の分子量、導入圧に応じて好適な流体遮断、通気を行うことが出来る樹脂製球92,92を選択することが出来る逆止弁(CV−6,CV−7)である。
【0042】
ニ:流通反応系
図1に示したように、循環反応系(:ハ)の中で触媒床21が接続されている配管部分は流通反応系(:ニ)と共通した部分である。循環反応系(:ハ)と流通反応系(:ニ)とを仕切るバルブ(V-2、V-3、V-7、V-8、V-9、V-10)は真空下と常圧下または加圧下を隔
離する必要があるため、ベローバルブ、ねじ口式バルブ、ボールバルブなどを採用することが望ましい。真空だけを対象としたバルブを用いることは出来ない。
【0043】
ホ:流体流量制御部
図3に示すように、圧縮容器(5個、16a〜16e)から2段式調圧器(PR1〜PR5)により0.3MPa〜0.5MPaに減圧し、焼結金属製のラインフィルター(F1〜F5)を介しサーマルマスフローコントローラ(MFC1〜MFC5)を接続する。ラインフィルタ(F1〜F5)直後とサーマルマスフローコントローラ(MFC1〜MFC5)直後の差圧(ΔP)が0.3MPa以上0.5MPa以下とし、その後段に逆止弁(CV-1〜CV-5)を設置する。複数の流体を扱う場合には流体ごとに上述の経路を設置し逆止弁(CV-1〜CV-5)の後段にマニフォールド(MF)を設置する。逆止弁(CV-1〜CV-5)の作動圧は1/3psi以上1psi以下が望ましく、1/3psi以上1/2psi以下がより望ましい。サーマルマスフローコントローラ(MFC1〜MFC5)の制御流量は、図8に示すような石鹸膜流量計(thin soap film flowmeter)を用い、標準状態換算(stp)、乾き流体基準の流量(以下 換算流量)を式1により求め補正係数を求めておくことが必須である。
【0044】
(換算流量の計測方法)
【数1】
【0045】
数式1における大気圧はアネロイド式気圧計等で測定した値、測定時室温はアルコール温度計等で測定した室温であり、水蒸気圧はその室温における値(JIS Z-8806)を用いれば良い。なお、式1における水蒸気圧および大気圧はtorrでの値、測定時室温はK(ケルビン)での値を用いる。
【0046】
へ:試料採取部(クロマトグラフ用試料採取部)
試料採取部(クロマトグラフ用試料採取部、:へ)は捕集袋または真空捕集瓶に採取するためのポートおよびガスクロマトグラフへ試料を送るガスサンプラーからなる。図1に示すように捕集袋または真空捕集瓶に採取するためのサンプリングポート18(V−8、V−9、V−10)は流通反応系(:ニ)により触媒性能を評価しているときに機能するものである。
【0047】
(ガスクロマトグラフ用試料採取部)
ガスクロマトグラフへ試料を送るガスサンプラーは循環反応系(:ハ)および流通反応系(:ニ)での評価時両方に適応出来る構造であり、試料採取部(クロマトグラフ用試料採取部:へ)は、図9に示すように、4方バルブの内2方がループ状となりループ部がバルブ(ア)を経由して真空排気できる構造になっている。真空排気してループ内を循環反応系または流通反応系内圧力よりも低圧とし差圧を利用してバルブ(イ)を経由してサンプルをループ内に導入出来る構造が特徴的なものである。また、3方バルブを3つ組み合わせた形の3方バルブでループを形成することも妨げない。
【0048】
(キャリヤーガスリザーバー)
ガスクロマトグラフから供給されるキャリヤーガスは上述のループに切り替えられ、ループ内にあったサンプルがガスクロマトグラフへ送り込まれる構造になっている。ガスクロマトグラフからの流路はガスクロマトグラフのキャリヤーガス圧力と等しいため、常圧よりも高い圧力(加圧)となっている。試料採取後のループ内圧力はそれよりも低い圧力となるため、ガスクロマトグラフ流路に瞬間的な圧力変動が生ずることになる。充填カラムにおいてカラム長が短い場合には圧力変動がゴーストピークを形成する虞があり、熱伝導度型検出器を備えたガスクロマトグラフにおいては、ゴーストピークが顕著になる場合も考えられる。
【0049】
これを回避するためにサンプラーの手前に、キャリヤーガスリザーバーを設置することが好ましい(図9参照)。キャリヤーガスリザーバーの容積は100cm3以上1800cm3以下が好ましく、200cm3以上1500cm3以下がより好ましく、200cm3以上1000cm3以下が最も好ましい。本発明者らの試験ではこの範囲のガスリザーバを設けることでゴーストピークをほぼ完全に消失させることが出来た。この範囲未満では、ゴーストピークの発生を消失できない場合も見受けられる。リザーバーの機能は体積が大きいことによる制限は無いが、該体積がこの範囲よりも大きい場合にはガスクロマトグラフ起動時にキャリヤーガスが所定圧に達するまでの時間が長くなり分析の準備に時間を要することになるため、上記範囲が実質的な好ましい範囲と考えられる。
【0050】
ト:ガスホルダー
ガスホルダー部(ト)を構成するガスホルダーにはモデル反応、触媒被毒物質、安定同位体など、積分型反応器で計測するために用いるガスが充填される(図1、図10参照)。ガスホルダーの最高内圧は700torr以下が好ましく、650torr以下がより好ましく、610torr以下が最も好ましい。この範囲を超過した場合には、温度、気圧などの影響により外部との圧力差が少なくなり、一部の真空バルブでは真空バルブの押さえが不十分になる傾向があり、空気などと混合し純度の低下を招く虞があり好ましくない。
【0051】
ガスホルダー(:ト)の形状は図10に示すような球状、円柱状、楕円状、角柱状が好ましい。材質はステンレス鋼、ガラス、合成高分子などを好ましく使用することが出来る。ガスホルダー(:ト)には2つのバルブが接続されている。そのいずれか片方、もしくは両方にL字型にパイプが取り付けられている。なお、L字型パイプの先端は閉じられている。さらに、2つのバルブの先端には、ガスラインと接続するための接続具(フィッティング)を持っている。なお、すでにガスが充填されているガラスアンプル型ガスホルダーを使用する際には、必ずしも2つのバルブが接続されていなくても良い。
【0052】
(ガスホルダーへのガスの充填)
本発明のガスホルダーには、圧縮ボンベ、プッシュ管充填標準ガス、小型圧縮ボンベなど種々の圧縮充填ガスから充填を容易に行うことが出来る。
【0053】
この方法はプッシュ管充填標準ガス、小型圧縮ボンベなどガス充填容量が比較的少ない容器からの充填を行うためのものである。まず、圧縮不活性ガスボンベとプッシュ管式標準ガスを三方バルブで接続し、不活性ガスおよび標準ガスでパージし三方バルブ内の流路を置換後、ガス流体の通気を一時停止する。
【0054】
次に、三方バルブの後段にガスホルダーを接続し、ガスホルダーの出口に洗気瓶を設置し、さらに後段にガス流量計を接続する。ガスホルダーに付属する2つのバルブを開いた後、不活性ガスを用いて系内を充分置換する。充分置換した状態とは、系内体積の5倍容以上の不活性ガスを通気後の状態を言う。
【0055】
このようにガスホルダー内部を不活性ガスにより充分置換したあと、三方バルブを切り替えてプッシュ管式標準ガスを通気する。ガス流体の通気は洗気瓶の気泡が流れている状況でありかつ、流体通気流量が系内体積を超過するまで継続する。この時点以降、ガスホルダーに付属する2つのバルブを下流側から順次閉じて充填を完了する。
【0056】
ここでいう不活性ガスとはヘリウム(He),ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr),キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、および窒素(N2)を指す。
【0057】
(充填ガスの純度向上操作)
本操作は、反応速度などを精密に検討する際に行われる。通常の測定では省略することを妨げない。
【0058】
(水素(H2)、HDおよび重水素(D2)の純度向上操作)
水素類(水素(H2),HDおよび重水素(D2))の純度向上操作は以下の手順で行われる。純度向上操作を行おうとする際にはガスラインには高表面積無機材料(吸着剤)を充填したガス捕捉槽を取り付ける(図1参照)。純度向上操作に先立ちガス捕捉槽に充填された高表面積無機材料(吸着剤)を、300℃以上400℃以下、好ましくは330℃以上390℃以下、より好ましくは340℃以上360℃以下に温度制御しながら、10-3 torr以下の真空で粗引後、10-4torr以下に保持し活性化する。ガスホルダーに充填された水素類内の1種類を液化窒素で深冷したガス捕捉槽に導入し、槽内の高表面積無機材料(吸着剤)に物理吸着させる。
【0059】
物理吸着後、ガス捕捉槽、ガスライン、およびガスホルダーを10-4 torrになるまで真空
排気し後、バルブ操作にてこれらを真空ラインから隔離し、ガス捕捉槽から液体窒素トラ
ップを外し、徐々に脱離してくる水素類をガスラインに経由してガスホルダーに導入する。これにより、純度の高い水素類を充填することができる。
【0060】
高表面積無機材料(吸着剤)にはゼオライト、シリカ、セピオライト、コージェライトなどを好ましく使用できる。特にゼオライトが好ましく、A型、Y型、ZSM型、13X型などをより好ましく使用することが出来る。ガス捕捉槽の体積は200〜300cm3が好ましく
この容積に対し80%程度の高表面積無機材料(吸着剤)が充填される。
【0061】
(炭化水素類などの純度向上操作)
炭化水素類純度向上操作は、ガスホルダーに付属するL字管を液体窒素等ゆっくり深冷し、2つのバルブの内ガスラインに接続しているバルブを開いて残部を真空排気し、再び該バルブを閉じ、深冷トラップを外すことによって行われる。
【0062】
チ:リアクター部
リアクター部(:チ)は触媒が充填される反応管(R−1)と、反応管(R−1)を加熱する電気炉(EH−1)からなる(図1、図4、図11を参照)。反応管は基本的にはU字型である。通常反応管は直管(I字型)であるが、その場合電気炉は観音開きの形態をとる。本発明で使用するU字型反応管(R−1)の場合には管状電気炉(EH−1)を使い、昇降機aにより電気炉(EH−1)を上下することが出来るため反応管加熱および冷却を迅速に行うことが出来るほか、予め所定温度に予熱した別の管状電気炉(EH−1)を取り付けることで短時間に種々温度に設定できる利点がある。U字型反応管(R−1)は図11に示すように、ア:単純な管状、イ:触媒床部分の管径が広くなっている形状、およびウ:触媒床下部にガラスフィルター等が設置された形状を好ましく用いることが出来る。
【0063】
反応管(R−1)は、また、図12に示すように、触媒床まで熱電対ジャケット等の温度計保護管が挿入され触媒床温度を直接測定できる構造も好ましい。特に、発熱量が多い反応などでは周囲温度と触媒床温度との差が数十度に達する場合もあり、触媒床温度を直接測定できることが重要になる。
【0064】
反応管(R−1)の材質は、金属、ガラス、高分子など様々な材質を好ましく使用することが出来るが、反応中の状態を直視できるガラスが最も好ましい。ガラスとしてはソーダガラス(並ガラス)、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラス、および石英ガラスを好ましく使用することが出来、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスおよび石英ガラスがより好ましく、ホウ珪酸ガラスおよび石英ガラスが最も好ましい。さらにまた、触媒が充填される部位が石英ガラスであり、循環反応系(閉鎖循環系:ハ)および流通反応系(:ニ)との共通部に接続される部分がホウ珪酸ガラスであるものが最も取扱性に優れる(図1,図10参照)。
【0065】
反応管(R−1)の外形はア:単純な管状の場合、6mm以上15mm以下が好ましく、7mm以上12mm以下がより好ましく、8mm以上10mm以下が最も好ましい。ガラス管の場合の肉厚(t)は1.0mm以上1.5mm以下が扱いやすい。イ:触媒床部分の管径が広くなっている形状の場合、広くなっている部分の外径は12mm以上16mm以下が好ましくそれ以外の部分の外径は6mm以上8mm以下が好ましく、7mm以上8mm以下が最も好ましい。ウ:触媒床下部にガラスフィルター(硝子フィルター)が設置された形状の場合には、イと同様に広くなっている部分の外径は12mm以上16mm以下が好ましくそれ以外の部分の外径は6mm以上8mm以下が好ましく、7mm以上8mm以下が最も好ましい。
【0066】
ガラスフィルターのメッシュサイズは特に限定されないが、70〜100メッシュに分級した
破砕状シリカゲルが辛うじて通過しない程度のサイズが好ましい。辛うじて通過しない程度とは、メッシュ上に分球した該シリカゲルを載せ、3cm〜5cmの高さから机上に落下させたときの振動で、メッシュを通り過ぎたシリカゲル粉の容積が当初載せたシリカゲル容積の1/20以下である状況を指す。これ以上通過するガラスフィルターでは、下流側に触媒粉が到達し不具合を起こす可能性もあるため好ましくない。
【0067】
触媒床下部にガラスフィルターを設置しない場合には、ガラスウールなどを適宜充填し、触媒粉の下流側への移動を抑制すれば良い。ガラスウールの材質は石英が好ましい。
【0068】
電気炉(EH−1)は磁器製管状体に発熱体を均一に巻き付け、さらにその上部から保温材料で包み込んだ構造である。磁器製管状体の長さは150mm以上200mm以下が好ましく、160mm以上200mm以下がより好ましく、170mm以上190mm以下が最も好ましい。この範囲未満では触媒床を充分加熱することが出来ない場合があり、この範囲を超過すると発熱体の間隔が広くなり昇温に時間がかかる傾向が著しくなる虞がある。
【0069】
発熱体の材質はニクロム、ニコルタル、カンタルなどを好ましく使用することができる。磁器製管状体に均一に巻き付けた後の発熱体両端の抵抗値は25℃で12Ω以上15Ω以下が好ましく、12Ω以上14Ω以下がより好ましく、12Ω以上13Ω以下が最も好ましい。これ未満では温度制御が難しく、これを超過すると両端への印加電圧が高くなり、スライドトランスなどでの制御が難しくなる傾向も見られる。
【0070】
発熱体の形状はコイル状、線状、リボン状などあらゆる形態を好ましく採用することができ、線状、リボン状がより好ましく、リボン状が最も好ましい。磁器製管状体に均一に巻き付けた発熱体はその外部から、保温材料で被覆される。その厚みは25mm以上35mm以下が好ましく、28mm以上35mm以下が好ましく、28mm以上30mm以下が最も好ましい。この範囲未満では、保温が不十分になる可能性がある。この範囲を超過しても電気炉の性能面から問題はないが、被覆範囲がこれ以上厚くなっても性能向上効果は飽和しており、技術的な意義は希薄になる。
【0071】
保温材料にはシリカ、シリカ−アルミナ、アルミナなど様々な無機酸化物系素材を用いることが出来、これらに種々粘土等を混練することもできる。発熱体の最高耐熱温度は、800℃以上1200℃以下が好ましく、800℃以上1000℃以下がより好ましく、850℃以上1000℃以下が最も好ましい。
【実施例2】
【0072】
図13(a)、及び、図13(b)は、筐体(逆止弁本体)60における、作動流体の流れ方向の説明図である。この実施例2では、図7に比べて、2個のボール92,92に、連接部材嵌合用の取り付け穴を、おのおの穿設しておき、図7を参考に、筐体(逆止弁本体)60を組み付け時に、2個のボール92,92を、連接部材(合成樹脂製の棒、又は、バネ等の弾性部材にても可)92aにて連動するように連結する。その場合、連結された2個のボール92,92の各々が、算盤玉形状の空隙(上)76内と算盤玉形状の空隙(下)86内において上下動可能なようにしておく。実施例1と同様に、実施例2においても、逆止弁(CV−6,CV−7)内部では樹脂製球92,92が上下することで流れの停止、開始を行う仕組みになっている。即ち、図13(a)、及び、図13(b)の作動流体の流れ状態が可能なように、連接部材92aの長さ寸法を設定しておく。このように2個のボール92,92を、連接部材92aにて連結することにより、作動流体を確実に逆流防止する逆止弁の作用が発揮され得る。そして、図7(b)、図13(a)、及び、図13(b)を参照して、初めに、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の基本構成要素である筐体(逆止弁本体)60において、作動流体が右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向から流入すると、上面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向に流出する。次に、作動流体が、下面側のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向から流入すると、右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向に流出する。
【実施例3】
【0073】
(弁一体型循環ポンプ)
ところで、図5記載の循環ポンプ本体24ではピストン25の上昇時下降時ともに流体を送ることが出来るため、流体を送り出す効率が高く、脈流を抑制する特徴がある。循環ポンプのピストン本体24はシリンダー26の外側に設置された駆動用電磁石28で上昇し、下降は自然落下による。従って、触媒量が多い場合、触媒が微粒である場合、反応中に触媒がシンタリング(焼結)した場合、触媒床が閉塞気味になった場合など、触媒床の前後での差圧が増加した場合には、ピストン部の自重による落下がスムーズに起こらない可能性が出てくる。
【0074】
そこで、電磁石駆動によるピストンの上昇時のみ流体を送る仕組みの循環ポンプが必要になる。触媒床の前後での差圧が増加することが予想されるような場合には、多機能型触媒評価装置の閉鎖循環系(図1:ハ)には、図5記載の循環ポンプに代えて、図14記載の循環ポンプ(弁一体型循環ポンプと呼ぶ)の使用が好ましい。
【0075】
(弁一体型循環ポンプ111の構造)
図14は、弁一体型循環ポンプ本体111aの縦断面図を示す。
弁一体型循環ポンプ111は、弁一体型循環ポンプ本体111aと、駆動用電磁石28とを備えている。弁一体型循環ポンプ本体111aは、図14記載のように、シリンダー部113と、ピストン部143とからなる。そして、シリンダー部113は、内部にピストン衝撃吸収材(c)164を収納するシリンダー上端部材115と、これに上端部を嵌入させ、内部にピストン部143を上下摺動自在に収容し、下端部を後述するシリンダー下端部材119に嵌入してなるシリンダー本体117と、内部にピストン衝撃吸収材(a)162又はピストン衝撃吸収材(b)163を収容し、且つ、逆止弁130を有するシリンダー下端部材119とを備えている。
【0076】
詳述すると、シリンダー上端部材115は、上部を接続配管部115aとなし、下部をラッパ状の開口拡径部115bとなし、内部にピストン衝撃吸収材(c)164を収容していて、下端部にシリンダー本体117の上端部を被着固定している。
シリンダー本体117は、内部にピストン部143を収納し、
上端部をシリンダー上端部材115(前記ラッパ状の開口拡径部115b)に、下端部をシリンダー下端部材119(漏斗状の拡径部119a)に挿入固着させている。シリンダー下端部材119は、上部を漏斗状の拡径部119aとし、内部にピストン衝撃吸収材(a)162又はピストン衝撃吸収材(b)163を収容し、且つ、前記漏斗状の拡径部119aの上端部に前記シリンダー本体117の下端部を被着固定し、前記漏斗状の拡径部119aの下方に連接して、やや小外径の管状部119bと弁ストッパー119cとを有し、更にその下方に延在して、内部に逆止弁160収容して、下端部を下部縮径部119dとして構成されている。即ち、上端部を前記シリンダー本体117の下端部に被着固定されているシリンダー下端部材119は、内部にピストン衝撃吸収材(a)162又はピストン衝撃吸収材(b)163を収容し、上方に開口する漏斗状の拡径部119aを形成すると共に、下端部を下部縮径部119dとして、そこから逆止弁(シリンダー側)130の弁座130bから下方に延在する流体導入管部130cを突出させている。
【0077】
一部重複するが、弁一体型循環ポンプ111は、弁一体型循環ポンプ本体111aと、駆動用電磁石28とを備えている。弁一体型循環ポンプ本体111aは、図14記載のように、シリンダー部113と、ピストン部143とからなる。そして、弁一体型循環ポンプ111は、シリンダー部113の下部とピストン部143の下部にそれぞれ一つずつ逆止弁130,160を有している。ピストン部143の上昇時にはピストン部143の逆止弁160は閉じ、シリンダー部113下部の逆止弁130は開くため流体は矢印の方向に送られる。逆にピストン部143の下降時にはシリンダー部113下部の逆止弁130は閉じ、ピストン部143の逆止弁160は開くため、流体は流れない。このように、駆動用電磁石28から磁力を得てピストン部143が上昇するときのみ流体を送ることが出来る。従って、触媒床21前後で差圧が大きい場合であっても閉鎖循環系(循環反応系:ハ)部内の流体を循環することが出来る。
【0078】
(弁一体型循環ポンプ本体111aの詳細な構造)
弁一体型循環ポンプ本体111aのシリンダー部113においてピストン部143が上下する範囲(ピストン本体144との摺動部)の長さ(高さ)、即ち、図14中の(c)部は200mm以上220mm以下が好ましい。また、この部分のピストンガラス管部145の外径は22mmφ以上25mmφ以下が好ましい。二弁式(逆止弁130、逆止弁160を含む)ポンプでは前述のように、ピストン部143上昇時のみ流体を送ることができるため、この前記寸法の範囲を下回ると作動流体の流量が小さくなり、実験結果が触媒評価に適さなくなる虞がある。
【0079】
摺動範囲(前記図14中の(c)の200~220)を超過して長くて大型の場合には、ピストン部143の下降時にシリンダー部113およびピストン部143が受ける衝撃が大きくなる。また、ガラス管部145の外径が超過することが、ピストン部143の直径も大型化することになり、同様に衝撃が大きくなる。これらの理由から、摺動部(図14中の(c)部位)の長さと、このガラス管部145の外径の範囲は規定される。また、ガラス管部145の肉厚(t)に関しては1.0mm以上1.5mm以下が好ましい。これ未満では充分な強度が得にくく、これ以上の場合にはピストン部143とシリンダー部113の外径が増加し駆動用電磁石28が大型化するため好ましくない。
【0080】
(シリンダー部113の詳細)
シリンダー部113は図14に示すように(a)逆止弁領域、(b)ピストン下部受け部、(c)ピストンとの摺動部、(d)ピストン上部受け部、および(e)接続配管部からなる。(a)逆止弁領域の高さは35mm以上60mm以下、(b)ピストン下部受けの高さは30mm以上35mm以下が好ましく、ピストン下部受けの内、絞りがかかった部分の高さは15mm以上20mm以下、直管部分の高さは15mm以上20mm以下が好ましい、(c)ピストンとの摺動部高さは上述のように200mm以上220mm以下が好ましい。(d)ピストン上部受け部の高さの内、絞りがかかった部分の高さは15mm以上20mm以下が好ましく、直管部分の高さは15mm以上20mm以下が好ましい。(e)配管接続部の高さは30mm以上50mm以下が好ましい。(a)逆止弁領域の下部配管の外径は6mmφ以上10mmφ以下が好ましい。また、(e)接続配管部の外径は同様に6mmφ以上15mmφ以下が好ましい。
【0081】
(シリンダー部113に配置される緩衝吸収材)
(b)シリンダー部113のピストン下部受け部には、図14,図17のように、ピストン降下時の衝撃吸収材(a)162、衝撃吸収材(b)163が配置される。衝撃吸収材162、163の形状は中空状の衝撃吸収材(b)および螺旋状の衝撃吸収材(a)などが好ましい。衝撃吸収材(a)162、衝撃吸収材(b)163の材質はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン系ポリマーなどを好ましく使用できる。図14,図17のピストン上部受け部にも衝撃吸収材(c)164を配置する。この衝撃吸収材(c)164は、循環反応系(図1:ハ)内の内圧が急激に変化した際などに、ピストン部143が急上昇する可能性があり、それを防ぐために配置するものである。形状は図14,図17のような形状の吸収材164が配置される。即ち、衝撃吸収材(c)164は、衝撃吸収材(a)162と、衝撃吸収材(b)163との良いところを合わせた中間の形状である。衝撃吸収材(b)163の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン系ポリマーなどを好ましく使用できる。
【0082】
シリンダー部113の材質は硬質ガラス、ホウ珪酸ガラス(ボリシリケート)ガラス、石英ガラスなどの無機材料を好ましく使用できる。ただし、弁材質に関しては無機材料でなくても好ましい。例えば、シリンダー部113下部の逆止弁130(図14、図16(a)、図16(b)参照)の弁130a(後述の図16(c)、図16(d))を高分子材料とすることも好ましい。
【0083】
(ピストン部の詳細)
ピストン部143は図15に記載するように、ピストン部143は、ピストン本体144と逆止弁160とを有している。ピストン本体144は、内部に磁気焼鈍された複数の鋼線146を円筒状に封入配置して、ガラス管部145を形成し、このガラス管部145の下方端近傍の内壁部に弁ストッパー145a(ここでは3個所のガラス部材の突出部)を形成し、その下方空間内に、上下動自在にされた弁160aを収容さて、更に、その下方空間内に、前記弁160aの着座が可能なように、上端部に円環状の弁座160bを配置した流体導入管160cを、前記ガラス管部145の下方端をすぼませて前記流体導入管160cを固着している。このすぼませたガラス管部145の下方端部と、流体導入管160cの下方端部は面一にさせてあり、このようにピストン部143が形成されている。
ピストン部143の形状は中空状である。外周部近傍の内部には0.56mm以上1.22mm以下の任意の直径を有する複数の鋼線146が封入して配置され、ピストン部143の下部には逆止弁160が付属されている。なお、ピストン外周部近傍の内部(ピストン本体144)に封入される鋼線146は磁気焼鈍されたものを用いなければならない。ピストン部143の全体の高さは90mm以上150mm以下であり、そのうち逆止弁160部の高さは35mm〜40mmである。ピストン部143に封入された複数の磁気焼鈍鋼線146以外の材質はガラスである。シリンダー部113のガラスの材質は硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスを好ましく使用できる。シリンダー部113の内、摺動部の材質がガラスの場合には、その材質と同じものを使用しなくてはならない。例えば、摺動部の材質がホウ珪酸ガラスを採用するときには、ピストン部143の材質もホウ珪酸ガラスを採用するというようにする。
【0084】
(シリンダー部およびピストン部に付属する逆止弁の詳細構造)
シリンダー部113の下部、およびピストン部143の下部に付属する逆止弁130,160の構造は、図16(a)〜図16(d)に示すように、上部の流体導入管部130c,160cの内径が10mmφ以上13mmφ以下、(図14の逆止弁130の管状部119bにおいて、同部肉厚(t)が1.0mm以上1.2mm以下であり)、下部の流体導入管部130c,160cの外径が6mmφ以上8mmφ以下、同部肉厚(t)は1.0mmである。下部の流体導入管部130c,160cの上部は平らな弁座130b、160bとなっており、平板部(円環状の弁座130c、160b)の上面にはスリが施される。これは図16(c)記載の弁下部のスリと接することで、スリ合わせによる高い気密性が保つためである。弁座130c、160bにスリ面を向き合わせて配置される弁130a,160aの詳細は、図16(c)、(d)に記載の如く、円盤状であり、直径は8mmφ以上10mmφ未満かつ肉厚(t)は0.3mm以上0.7mm以下である。特に肉厚(t)の公差は20%以内にしなければならない。これは弁130a,160aの肉厚に偏りがあった場合、弁動作が不安定になり流体送出に支障が出る可能性があるため好ましくない。弁130a,160aは弁座130c、160bとストッパー119c、145aの間に配置される。ストッパー119c、145aは弁130a,160aの位置を整えるために配置されるが、上部の管部内に図16(b)のようにストッパー119c、145aの配置場所の接線と直角をなす線同士の交点の中心角が110度以上130度以下になるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば触媒のスクリーニングを短時間かつ合理的に実施でき、かつ、劣化挙動を科学的に考察することができるため、触媒構成物質の作用を的確に把握することができる。その結果、優れた工業プロセスの開発を推進することが出来る。
【符号の説明】
【0086】
イ:ガス排気部、
ロ:流体導入部、
ハ:循環反応系(閉鎖循環系)、
ニ:流通反応系、
ホ:流体流量制御部、
へ:試料採取部および、
ト:ガスホルダー部、
チ:リアクター部、
1:多機能型触媒評価装置、
2a:基台、
2b:取付板、
5:ロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)、
6:拡散ポンプ(二次ポンプ)、
8:トラップ、
12:接続配管、
12a:排気が出来る流路、
12b:排気が出来る流路、
13:真空ライン、
16a、16b、16c、16d、16e:ガスボンベ、
18:サンプリングポート、
21:触媒床、
21a:触媒床本体(図示せず)、
24:循環ポンプ本体、
21a:ピストン・シリンダー・ユニット、
25:ガラス製ピストン、
25a:薄肉金属パイプ、
26:ガラス製シリンダー、
27スリーブキャップ(スリーブ管継手)、
27b:Oリング、
28:駆動用電磁石、
31、32、33、35:バルブ、
37a、37b,37c,37d,37e:バルブ、
38a、38b、38c、38d、38e:バルブ、
39a、39b、39c、39d、39e:バルブ、
56:CV−6逆止弁、
57:CV−7逆止弁、
60:筺体(逆止弁本体)、
61:キャップ、
61a:キャップ本体、
63:略中央部にねじ込み式管継手用めねじ、
65:中子(上)用めねじ、
67:算盤玉形状の空隙(上)、
81:ボディ、
81a:ボディ本体、
83:略中央部に中子(中)用めねじ、
83a:円板形状の空間、
84:中子(下)用めねじ、
84a:漏斗状の円錐形状空間、
84b:連通孔、
85:下面ねじ込み式管継手用めねじ、
86:算盤玉形状の空隙(下)、
87:四隅に配置されたボルト用めねじ、
88:Oリング用溝、
89:右側面上方部にねじ込み式管継手用めねじ、
89a:連通孔(前記円板型形状の空間83aに連設)、
90:正面下方部に左右一対の取付ねじ用孔、
92:ボール、
92a:連接部材
94:中子(中)、
94a:外側面におねじ、
94b:漏斗状の円錐形状空間、
94c:連通孔、
95:中子(下)、
95a:外側面におねじ、
95b:中心軸状に沿って連通孔、
95c:ラッパ状の円錐形状空間、
97:ステンレス鋼製ねじ(六角穴付きボルト)、
98:ガスケット(Oリング)、
111:弁一体型循環ポンプ、
111a:弁一体型循環ポンプ本体、
113:シリンダー部、
115シリンダー上端部材、
115a:上部の接続配管部、
115b:下部をラッパ状の開口拡径部、
117:シリンダー本体、
119:シリンダー下端部材、
119a:上部を漏斗状の拡径部、
119b:管状部、
119c:弁ストッパー、
119d:下部を縮径部、
130:逆止弁(シリンダー側)、
130a:弁、
130b:弁受け部材、
130c、160c:流体導入管部、
143:ピストン部、
144:ピストン本体、
145:ガラス管部、
145a:弁ストッパー、
146:鋼線、
160:逆止弁(ピストン側)、
160a:弁、
160b:弁座、
162:ピストン衝撃吸収材(a)、
163:ピストン衝撃吸収材(b)、
164:ピストン衝撃吸収材(c)。
【技術分野】
【0001】
本発明は工業用触媒等の多機能評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
約200年前にプリーストリー(Priestley)が珪藻土にエチルアルコールを接触させ、発生してくる気体を燃焼させたとき黄色い炎をあげることを発見した。これはエチルアルコールが脱水反応によりエチレンが生成し、これが燃焼したものであり、この現象は固体触媒が工業的に注目されることにつながる例として知られる。現在では、高分子、石油製品、環境浄化技術、家庭用電気製品、食品製造、新エネルギー技術、燃料電池、医薬品など我々の生活に用いる殆どの物質が触媒により生産されていると言っても過言ではない。これまでの触媒開発は技術者の経験に基づいて行われる傾向が強かったが、1980年代以降に表面分析装置、高性能分光分析装置の普及および標識同位体による反応機構解析などが進み分子レベルで触媒作用を理解できる環境が次第に整って来ている。それとともに精密合成反応用触媒などこれまでにない触媒機能や選択性、高活性を有する触媒が求められている。
【0003】
基本的な触媒機能に関してはこのような分子レベルでの理解が進んでいるが、一方で、工業用触媒に関しては触媒を構成する成分が多様化し、調製法も複雑化する傾向が見られ、よりよい触媒材料を創出するためには数多くの試作触媒を製作、性能評価しなければならない状況にある。逆にこれが開発研究に要するコストを押し上げている。加えて新製品の市場での寿命は短期化しており、新技術開発の障壁が高くなるという課題も指摘され始めている。
【0004】
種々の触媒試作品の中から、数十〜数百時間の長期評価、触媒充填量を数百グラム〜キログラムオーダーに増やしたミゼットプラント評価に値するサンプルを抽出する一次スクリーニングを如何に迅速に行うかが触媒開発、新製品開発効率化の鍵を握っていると言って良い。
【0005】
これまでにも、触媒評価に関しては、常圧流通式評価法、閉鎖循環式評価法、回分式評価法などの種々方法が公知になっている(特許文献1)。例えば触媒劣化挙動を把握することを考えた場合、これまでの微分型の常圧流通式などでは、触媒劣化の測定を転化率変化などから求める見かけの反応速度変化から行うため、正確さに欠ける上、少なくとも十数時間程度の反応原料流体を供給し続ける必要が生じ、触媒スクリーニングに時間と標準ガスなどの原料流体経費を要する課題があると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−272390号公報
【0007】
逆に、従来型の積分型(閉鎖循環式、回分式)などでは、活性化された新しい触媒が促進する反応の初期速度を測定することによる触媒間の相対性能評価ができるが、触媒劣化を一回の測定で把握することは難しく反応中の劣化挙動の評価には適さない面がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
触媒のスクリーニングは活性金属、助触媒、第3成分、担体成分、原料種、調製方法などが反応促進、選択性向上、寿命延長などにどのように関与しているかについて定量的に把
握し、より優れた触媒調製法、より高活性、高選択性を有するなどの高性能触媒組成物を設計していく上で極めて重要であり、劣化挙動、活性・選択性向上効果を正確、かつ短時間に測定することが出来る評価装置が求められている。
【0009】
触媒特性を短時間で把握するためには、絶えずフィードとなる流体を流し続け、微分型の評価を行いながらも、反応途中で積分型の評価に切り替え熱力学的平衡組成に至るまでの経時変化を追跡し、例えば、触媒が流体供給反応中に劣化に至る途中経過を短時間に測定することで、触媒のスクリーニングを短時間かつ合理的に実施することや、微分型の評価途中に、積分型の評価に切り替え、モデル反応的な同位体交換反応、ある分子をプルーブ(prove)とした反応などを行うことが出来れば、劣化挙動を科学的に考察すること
ができ、触媒構成物質の作用を的確に把握することができる。
【0010】
上述の劣化挙動に限定されることなく、種々の改善効果などを微分型/積分型を随時切り
替える評価方法によって、合理的かつ科学的に考察することが出来るため、触媒作用の理解をより深くすることで、優れた工業プロセスの開発を推進することが出来る。
【0011】
しかしながら、現時点ではこのような多機能型の評価法は見あたらず、仮にあったにしても、研究者が実験用途にあわせてガラス管などをつなぎ合わせて作ったような自作型のものが殆どと考えられる。従って、一定の基準で触媒を評価しスクリーニング出来る技術とは言い難く、触媒スクリーニング用の多機能型評価装置の早急な開発が求められているのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明者らは産業用、環境浄化用、家電品用、移動体用などに適する触媒組成物のスクリーニングを効率的に行い、より優れた触媒組成物の創成を比較的短時間に行い、産業振興に貢献することを考え、触媒組成物の一次スクリーニング用の多機能型反応評価装置を鋭意研究開発した結果、以下に記述するような発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、(1)内部に摺動自在のピストン部を設けたシリンダー部と、前記ピストン部の駆動用電磁石とを備え、前記ピストン部の上下動により移動する流体を一定方向にのみ流通させるための逆止弁を設けてなるピストンポンプを循環反応系に有し、該循環反応系を構成する配管の一部が流通反応系と共有する構成を具備したことを特徴とする流体反応装置であり、
(2)前記逆止弁を、前記ピストン部の下部と、前記シリンダー部の下部とに設けてなるピストンポンプを循環反応系に有したことを特徴とする(1)に記載の流体反応装置であり、
(3)前記シリンダー部が、内部にピストン衝撃吸収材を収納するシリンダー上端部材と、該シリンダー上端部材に、その上端部を嵌入させて、内部にピストン部を上下摺動自在に収容し、その下端部をシリンダー下端部材に嵌入してなるシリンダー本体と、内部にピストン衝撃吸収材又はピストン衝撃吸収材を収容すると共に、下方端部内部に逆止弁を有するシリンダー下端部材とを備えているシリンダー部であり、前記ピストン部が、ピストン本体と逆止弁とを有している。ピストン本体は、内部に磁気焼鈍された複数の鋼線を円筒状に封入配置して、ガラス管部を形成し、このガラス管部の下方端近傍の内壁部に弁ストッパーを形成し、その下方空間内に、上下動自在にされた弁を収容させ、更に、その下方空間内に、前記弁の着座が可能なように、上端部に円環状の弁座を配置した流体導入管を、前記ガラス管部の下方端をすぼませて前記流体導入管を固着して形成されたピストン部であることを特徴とする(1)及び(2)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(4)ホウ珪酸ガラスによりなるシリンダーとピストンに関しシリンダー長さが250mm以上、330mm以下であり、該内径が18mm以上、22mm以下であり、該内部に設けられるピストン長さが100mm以上130mm以下であり、さらにピストン内部に肉厚0.5mm以上0.9mm以下の中空状磁性体がされていることを特徴とするシリンダーおよびピストンを備えた請求項1、2および3の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(5)リアクターを除いた部分において、シリンダーおよびピストンがホウ珪酸ガラスからなりこの他がステンレス鋼管で構成される(1)、(2)、(3)及び(4)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(6)リアクター部が石英ガラスまたはホウ珪酸ガラスからなることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)および(5)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(7)リアクター部の形状がU字状であり、着脱機構を有し、着脱機構に接する部位がホウ珪酸ガラスからなり、反応を行う部分が石英ガラスからなることを特徴とするリアクターを備えた(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(8)直径35mm以上45mm以下、高さ50mm以上60mm以下の円柱状構造を有し、上部と下部とがガスケットを介し、ステンレス鋼製ネジで4ヶ所を固定した分解可能な構造を有する樹脂製筺体の内部に、一対の算盤玉状の空隙を上下方向に配置し、その内部に直径5mm以上8mm以下の樹脂性球を配置し、算盤玉状の空隙上部と下部それぞれに配管接続口と算盤玉状の空隙上部と下部との中間部に配管接続口を配した構造を有することを特徴とする逆止弁を2個設置し、そのうち1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの上部に、別の1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの下部に接続節即され、2個の逆止弁の算盤玉状の空隙上部同士、下部同士を結合した配管から分岐した配管がそれぞれ循環反応系に接続されている流体循環部を有することを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(7)の何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(9)ホウ珪酸ガラス管からなる内径18mm以上24mm以下のシリンダーの内部に、ホウ珪酸ガラス製ガラス管中に肉厚0.3mm以上1.5mm以下の中空鋼管を封入した長さ35mm以上55mm以下のピストンを配置し、シリンダー内部とピストン外部に真空摺り合わせを施し、シリンダー上部と下部にピストン衝撃吸収材が配置された循環用ピストンポンプを備えることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)およびの(8)何れか1項に記載の流体反応装置であり、
(10)シリンダー外部に電磁石を備え、直流電流のオン、オフによりシリンダー内のピストンを上下させることを特徴とする(1)、(2)、(8)及び(9)の何れか1項に記載のピストンポンプであり、
(11)電磁石の直流電流のオン、オフをリピートタイマーにより時間制御することを特徴とする(1)、(2)、(8)、(9)及び(10)の何れか1項に記載のピストンポンプを備えることを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)及び(10)の何れかに記載の流体反応装置に関する技術である。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば触媒のスクリーニングを短時間かつ合理的に実施でき、かつ、劣化挙動を科学的に考察することができるため、触媒構成物質の作用を的確に把握することができる。その結果、優れた工業プロセスの開発を推進することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多機能型触媒評価装置の概要を示す図である。
【図2】ガス排気部に関する図である。
【図3】流体導入部に関する図である。
【図4】流通および循環反応系に関する実体配管接続の正面図である。
【図5】逆止弁(CV−6、CV−7)とピストン・シリンダーの接続図である。
【図6】ピストンとシリンダーの詳細図である。
【図7】逆止弁(一部断面)に関する図である。
【図8】石鹸膜流量計に関する図である。
【図9】クロマトグラフ用試料採取部に関する図である。
【図10】ガスホルダーに関する図である。
【図11】リアクター部に関する図である。
【図12】リアクター部に関する詳細図である。
【図13】筐体(逆止弁本体)60における、作動流体の流れ方向の説明図である。
【図14】弁一体型循環ポンプに関する縦断面図である。
【図15】(a)は、ピストン部に関する縦断面図であり、図15(b)はB−B線 矢視断面図である。
【図16】(a)は、逆止弁の縦断面図に関する詳細図であり、図16(b)は、 逆止弁の平面図であり、図16(c)、(d)は弁の詳細図である。
【図17】ピストン下部および上部の受け部の衝撃吸収材の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施態様について実施例を示して詳細に説明するが、本発明をより具体的に説明するためのものであり、これにより本発明の範囲を限定して捉えてはならない。
【実施例1】
【0017】
(装置の基本構成)
図1は、本発明の多機能型触媒評価装置(以下評価装置)1を示す。評価装置1は図1に示すように、イ:ガス排気部、ロ:流体導入部、ハ:循環反応系、ニ:流通反応系、ホ:流体流量制御部、へ:試料採取部および、ト:ガスホルダー部、およびチ:リアクター部からなる。
【0018】
イ:ガス排気部はロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)5および拡散ポンプ(二次ポンプ)6、または、ロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)5およびターボ分子ポンプ(二次ポンプ)6、トラップ8、真空圧力計VSからなり、管継手(図示せず)を介して真空ライン13に着脱可能に接続配管12している。常圧での排気速度が20リットル/分以上、好ましくは50リットル/分以上、より好ましくは150リットル/分以上を持つ排気装置を備え、真空ライン13への接続配管12の径は15mmφ以上、より好ましくは20
mmφ以上、より好ましくは25mmφ以上である。これらの数値は大きいほど好ましいが、実質的な上限は、排気速度では350リットル/分、接続配管12の径では30mmφである。この範囲未満では、試料の前処理に時間を要する場合が多くなり効率が上がらない事がある。
【0019】
配管の材質はステンレス鋼を好ましく使用することができ、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼が好適であり、中でも316ステンレス鋼が好ましい。肉厚(t)は0.1mm以上1.5mm以下が好ましく、0.15mm以上1.3mm以下がより好ましく、0.2mm以上1.2mm以下が最も好適である。この範囲未満の場合には強度が不足する傾向が見られ、この範囲をこえた場合には特に不具合は生じないが、材料コストなどが嵩むため、肉厚(t)を増加させる技術的な意義が希薄になる。
【0020】
図2はガス排気部(イ)の詳細配管図である。配管は図2に示すような、ロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)5単独でバルブ31を介して真空ライン13系(図1参照)の排気が出来る流路(12a)と、ロータリー真空ポンプ5とバルブ32と二次ポンプ6である拡散ポンプまたはターボ分子ポンプとバルブ33とを直列配管接続して真空ライン13系の排気ができる流路(12b)とを切り替えできる構造とする。これは粗排気時には流路(12a)、高真空排気時には流路(12b)とし、二次ポンプ6の負荷を減少する狙いと、拡散ポンプ6に油拡散ポンプ(oil diffusion pump)6を使用した場合、酸素を含む気体を粗排気する際に、油の酸化による劣化を回避する狙いがある。
【0021】
真空排気ライン(ガス排気部:イ)への圧力計VS設置は必須ではないが、データの信頼性をより高める必要がある場合には、設置することが望ましい。その際の圧力計VSはピラニゲージ(ピラニ真空計)または電離真空ゲージ(電離真空計)が好ましく、電離真空ゲージがより好ましい。そして真空ライン13(図1参照)への配管接続は、トラップ8とバルブV−1と、更に、バルブ35を介した圧力計VSを設け、そして、図示しない管継手を介して真空ライン13に着脱可能に配管接続している。
【0022】
ロ:流体導入部
流体導入部(ロ)は、図3に示すように(図1も参照して)流体の入った圧縮容器(ガスボンベ16a,16b,〜16e)、二段式調圧器(PR1、PR2、〜PR5)、バルブ(37a,37b,〜37e)、焼結金属(sintered metal)からなるラインフィルター(F1、F2、〜F5)、バルブ(38a,38b、〜38e)の後段にサーマルマスフローコントローラ(MFC1、MFC2、〜MFC5)を配し、その後段にバルブ(39a,39b、〜39e)を介して逆止弁(check valve、CV―1、CV―2、〜CV―5)を各々直列接続に配する。これらは流体の種類毎に設置し(図1では2系統、図3では5系統)、これらの配管を集合させるマニフォールド(manifold MF)で混合させる。マニフォールドMFの下流側には図1に示すような流体原料を捕集させるためのサンプリングポート18(捕集袋、真空捕集瓶ポート18として、バルブV−8,バルブV−9,バルブV−10)を設ける。サーマルマスフローコントローラ(マスフローコントローラー、MFC1、MFC2、〜MFC5)前後の差圧は0.2MPa以上0.5MPa以下が好ましく、0.25MPa以上0.4MPa以下がより好ましく、0.29MPa以上0.35MPa以下が最も好適である。流体の種類(圧縮容器入り)は3種類以上対応できるようにすることが望ましい(図3では5種類)。マニフォールドMFの後段にバルブ(又はコック)V−50を介して圧力計PG−1を設けて流体導入圧力を監視する。流体導入部:ロでは、上述の構成により流体導入量を正確に制御して、転化率、選択率など触媒活性および触媒性能を示す数値の信頼性を確保する重要な機能を持つ。
【0023】
ハ:循環反応系(閉鎖循環系)
図4は、基台2aに立設された取付板2bに流体を一定方向に流通させる循環ポンプP−
1と、試料採取部(:ヘ)を備えると共に、バルブV−4を含むバイパス部及びリアクター部(:チ)とトラップT−1からなる流通反応系(:ニ)とを備えてなる循環反応系(ハ)が、真空ライン13に接続し、他方でバルブV−50を介して流体流量制御部(:ホ)からの圧力を計測する圧力計PG−1を接続している実体配管接続図を示す(図1も参照)。前記リアクター部(:チ)は、バルブV−4を含むバイパス部と、一方にバルブV−5を、他方にバルブV−6をそれぞれ接続し、内部に触媒床本体21a(図示せず)を備えた触媒床21とを並列接続してなる。上述のごとく循環反応系(:ハ)は図4に示すようにループ状である。循環反応系(:ハ)内には流体を一定方向に流通させるための往復ポンプP−1、逆止弁(CV−6およびCV−7)、触媒床21、トラップT−1、圧力計MM−2、MM―1が備えられている。触媒床21、往復ポンプP−1を含めた循環反応系(:ハ)内の容積は200cm3以上600cm3以下が好ましく、210cm3以上450cm3以下がより好ましく、230cm3以上290cm3以下が最も好ましい。この容積未満では試料採取部(:へ)においてのサンプリング時に圧力低下することにより反応速度が変動し精度が低下する懸念があり、この容積を超過した場合には、生成物の濃度変化が遅く、触媒性能を把握するための時間が延長される可能性がある。圧力計MM−1およびMM−2には水銀マノメータ、U字型水銀マノメータ、ピラニゲージ、冷陰極管型圧力計、圧力−電圧変換トランスデューサなどを好ましく採用できる。
【0024】
循環反応系(:ハ)の循環ポンプ(往復ポンプ:P−1)は(図1、図4も参照)、図5に示すように、ガラス製シリンダー26とピストン25とからなるピストン・シリンダー・ユニット24aと、駆動用電磁石28とからなる循環ポンプ本体24を含み、2個の逆止弁(CV−6,CV−7)とを備えてなる。詳述すると、図6に示すようなガラス製シリンダー26内に、薄肉金属パイプ25bを封入固定してなるガラス製ピストン25を、封入し、その両端部にそれぞれ2個のOリング27bを備え、中空状のスリーブキャップ(スリーブ配管継手)27を嵌め込んで構成されたピストン・シリンダー・ユニット24aと、前記ガラス製シリンダー26の周囲に駆動用電磁石28を形成する電磁コイル(駆動コイル)を配した循環ポンプ本体24と、図7に示す逆止弁(CV−6,CV−7)を2組用い、図5に示すように配置して循環ポンプ(往復ポンプ:P−1)が形成される。即ち、循環ポンプ:P−1は、循環ポンプ本体24と、2組の逆止弁CV−6とCV−7とからなる。その循環ポンプ本体24は、ピストン・シリンダー・ユニット24aと、電磁コイルを有した駆動用電磁石28とからなる。更に、そのピストン・シリンダー・ユニット24aは、シリンダー26と、薄肉金属パイプ25bを封入固定してなるガラス製ピストン25と、Oリング27bをそれぞれ2個ずつ有するスリーブキャップ27を、前記シリンダー26の上下両端部に嵌め込んでなる。そして、ピストン25の往復駆動はシリンダー26外部から電磁石28へ直流の電流を間欠的に正方向と逆方向に交互に供給することによって行われる。シリンダー26の長さは200mm以上350mm以下が好ましく、200mm以上330mm以下がより好ましく、250mm以上330mm以下が最も好ましい。ピストン25に関しての長さは45mm以上60mm以下が好適で、50mm以上60mm以下がさらに好適である。シリンダー長、ピストン長ともにこの範囲未満では充分なストロークが得にくくなる。この範囲を超えた場合には死容積の増加、ピストン重量の増加による運転時衝撃が強くなるなど技術的な意義が希薄になるため好ましくない。
【0025】
ガラスの材質は、並ガラス(ソーダガラス)、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスなど種々ガラスを好ましく用いることが出来るが、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスが好ましく、ホウ珪酸ガラスが最も好ましい。この理由はシリンダー26とピストン25の摺動部は摺り合わせになっており、摩耗を回避することも必要なためである。なお、図5を参照して、ピストン・シリンダー・ユニット24aにおいて、上下動するピストン25の衝撃を緩和するために、シリンダー26の上下両端部内にバネ等の衝撃吸収材を配するとよい。
【0026】
シリンダー26の内径は15mm以上25mm以下が好ましく、16mm以上24mm以下がより好ましく、17mm以上22mm以下が最も好ましい。この範囲未満では吐出量が不十分になる虞がある。またこの範囲を超過した場合、駆動コイルが大型化するなど電装コストが高まる可能性があり好ましくない。
【0027】
直流の電流を電磁石28に与える際の、オン、オフは任意の間隔に設定出来ることが種々反応評価を行う上で重要である。吐出流量を正確に制御するために、リピートタイマーにより電流のオン、オフを制御することが望ましい。
【0028】
する。そして、内部にボール92を収容した算盤玉形状の空隙(上)76と、内部にボール92を収容した算盤玉形状の空隙(下)86とを有する筐体(逆止弁本体)60ピストン25の上下動(往復動)による吐出を効率的に行うために、後述する図7に示すような構造の逆止弁(CV−6,CV−7)を形成する筐体(逆止弁本体)60用いる。すなわち、直径(又は、対向面間寸法)35mm以上45mm以下、高さ50mm以上60mm以下の円柱(又は、角柱)状構造を有し、上部と下部とがガスケット(Oリング)98を介し、ステンレス鋼製ネジ(六角穴付きボルト)97を4カ所で固定した分解可能な構造を有する樹脂製筐体60の内部に、一対の算盤玉状の空隙(76,86)を上下方向に配置し、その内部に直径5mm以上8mm以下の樹脂製球92,92を配置し、算盤玉状の空隙上部76と下部86それぞれに配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ63,85)と、算盤玉状の空隙上部76と下部86との中間部に配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ89)を配した構造を有するもので、この逆止弁(CV−6,CV−7)を形成する筐体(逆止弁本体)60を2個設置し、その内1個の算盤状の空隙部上部76と下部86との中間部の配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ89)がピストンポンプ(循環ポンプ)P−1の上部に、別の1個の算盤状の空隙部上部76と下部86との中間部の配管接続口(ねじ込み式管継手用めねじ89)がピストンポンプ(循環ポンプ)P−1の下部に接続され、2個の逆止弁(CV−6、CV−7)の算盤玉状の空隙上部76、76同士、下部86、86同士を結合した配管から分岐した配管がそれぞれ循環反応系(:ハ)に接続される(図5,図4,図1参照)。
【0029】
図7(a)は、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7を形成する筐体(逆止弁本体)60の平面図を示し、図7(b)は、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7を形成する筐体(逆止弁本体)60の正面の断面図を示す。図7(a)、図7(b)を参照して、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7を形成する筐体(逆止弁本体)60は、四角いブロック状(円柱状でも良い)の、キャップ61と、ボディ81とを、間にガスケット(Oリング)98を介挿して、4本のステンレス鋼製ねじ(六角穴付ボルト)97にて、一体的に固着されて筐体(逆止弁本体)60が形成される。この筐体(逆止弁本体)60が、ねじ込み式管継手を介して配管接続されて逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の構成を、互いに並列配管して(図1,図4、図5参照)、2個の前記ボール92,92の働きにより、内部の流体の逆流防止を図り、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の機能を発揮させるものである。逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7は、筐体(逆止弁本体)60と、ねじ込み式管継手(図示せず)とにより構成される。即ち、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7は、筐体(逆止弁本体)60を主要な構成要素としている。それ故、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の要点を説明することは、筐体(逆止弁本体)60を説明することになる。
【0030】
図7(a)、図7(b)を参照して、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の主要な構成要素である筐体(逆止弁本体)60を詳述する。既に説明した通り筐体(逆止弁本体)60は、間にガスケット(Oリング)98を介挿して、四角いブロック状(円柱状でも良い)の、キャップ61と、ボディ81とを、4本のステンレス鋼製ねじ(六角穴付ボルト)97にて、一体的に固着してなる。キャップ61は、四角いブロック状(円柱状でも良い)で樹脂製のキャップ本体61aと、中子(上)71とから構成されている。そして、キャップ本体61aは、上面の略中央部にねじ込み式管継手用めねじ63が中心部に向けて刻設され、これに連設するように、下面側から後述する中子(上)71が螺合出来るようにやや外径の大きい中子(上)用めねじ65が刻設されている。上面の四隅にボルト挿通孔67が設けられている。
【0031】
中子(上)71は、外側面に、おねじ71aが施され、上端面部から下方向に中心軸線に沿って管継手干渉防止用円板形状空間71bが刻設され、更に、これに連設し連通する連通孔71cと、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dとが、この順に穿設され連通してなる。
【0032】
そして、キャップ本体61aの下面側から前記中子(上)用めねじ65内に、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dを下向きにして、中子(上)71を螺合固着させる。その場合、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dの端部が、キャップ本体61aの下端面より少し凹むか、面一となり、突出しない状態に固く螺合させて、キャップ61を構成する。キャップ61の下面側に下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dが配置されている。このキャップ61の下面側に下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dは、後述するボディ81の上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間94bと対向させ、内部にボール92を収容してから双方を互いに対向合体させ、ボルト97にて固着して、算盤玉形状の空隙(上)76を形成する。
【0033】
と、このボディ本体81a内において、後述するように内部にボール92を有する算盤玉形状の空隙(下)86の下側面を形成するため、上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間84aが刻設され、この漏斗状の円錐形状空間84aの上方に連設して、中子(下)用めねじ84が刻設され、更に、この中子(下)用めねじ84の上方に連設して、これよりやや大きな外径の円板形状の空次に、ボディ81は、四角いブロック状(円柱状でも良い)で樹脂製のボディ本体81a間83aが刻設され、そして、この円板形状の空間83aの上方に、これよりやや大きな外径の中子(中)用めねじ83が刻設されている。更に、ボディ本体81aの上面には、中子(中)用めねじ83より大きい寸法位置であって、四隅に穿設されているボルト用めねじ87より小さい寸法位置において、Oリング用溝88が刻設されている。
そして、右側面上方部に、ねじ込み式管継手用めねじ89と、これに連設して中側に向けて、前記円板形状の空間83aの側面に連通する連通孔89aが穿設されている。そして、正面下方部に左右一対の取り付けねじ用孔90が穿設されている。更に、上向きに開口する前記漏斗状の円錐形状空間84aが刻設されていることは前述した通りである。この前記漏斗状の円錐形状空間84aの下方に連設して、下面から穿設されているねじ込み式管継手用めねじ85に連通する連通孔84bが穿設されている。
【0034】
中子(中)94は、外側面に、おねじ94aが施され、上端面部から下方向に中心軸線に沿って、上方に開口する漏斗状の円錐形状空間94bが設けられており、更に、これに連設する連通孔94cが穿設されている。
【0035】
中子(下)95は、外側面に、おねじ95aが施され、上端面部から下方向に中心軸線に沿って、連通孔95bと、これに連設する下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間95cが穿設されている。
【0036】
次に、ボディ81の組み付け構成を述べる。既述した通り、ボディ81において、ボディ本体81aの上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間84aと、この上にボール92を載置し、更に、中子(中)用めねじ84内に、下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間95cを下方に向けて、中子(下)95を螺合し固着することにより、上向きに開口する前記漏斗状円錐形状空間84aと、下向きに開口する前記ラッパ状の円錐形状空間95cとが対向合体し、内部にボール92を収容して、算盤玉状の空隙(下)86が形成される。
【0037】
そして、ボディ本体81aの中子(中)用めねじ83内に、中子(中)94を螺合し固着させる。この場合中子(中)94における、上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間94bが設けられている上面端部が、ボディ本体81a上端面より少し凹むか面一となり、突出しない状態に固く螺合させて、ボディ81を構成する。
【0038】
前記ボディ本体81a上面のOリング用溝88内にガスケット(Oリング)98を挿入し、ボディ本体81aの中子(中)用めねじ83内に螺合された、中子(中)94の上向きに開口する漏斗状の円錐形状空間94bと、前記キャップ本体61aにおける下面の、中子(上)71の下向きに開口するラッパ状の円錐形状空間71dとでなす算盤玉形状の空隙(上)76内に、ボール92を収容して、キャップ61と、ボディ81とを重ねて、四隅に4本のステンレス鋼製ねじ(六角穴付きボルト)97を用いて固着させて、筐体(逆止弁本体)60が構成される。
【0039】
図7(b)を参照して、逆止弁(CV−6,CV−7)内部では樹脂製球92,92が上下することで流れの停止、開始を行う仕組みになっている。そして、初めに、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の基本構成要素である筐体(逆止弁本体)60において、作動流体が右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向から流入すると、上面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向に流出する。次に、作動流体が、下面側のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向から流入すると、右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向に流出する。
【0040】
この逆止弁(CV−6,CV−7)を用いることでピストン25の上昇時、下降時ともに流体が一定方向に循環させることができ、循環ポンプP−1の流体吐出効率が高まる(図7,図5参照)。逆止弁(CV−6,CV−7)を構成する筐体(逆止弁本体)60は上下に分割して分解可能であり、内部を容易に洗浄、調整できる構造になっており、触媒粉などが逆止弁(CV−6,CV−7)内に入っても容易に取り除くことが出来るようになっている。
【0041】
逆止弁(CV−6,CV−7)内部では樹脂製球92,92が上下することで流れの停止、開始を行う仕組みになっている(図7参照)。これに用いる樹脂としては、ポリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂などを含む樹脂を好ましく使用できる。流体の分子量が小さい場合や循環反応系(閉鎖循環系:ハ)内圧力が比較的低い場合などにはポリエチレン、ポリプロピレンが、逆の場合にはポリフルオロエチレン、ABS、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましい傾向がある。いずれにしても、流体の分子量、導入圧に応じて好適な流体遮断、通気を行うことが出来る樹脂製球92,92を選択することが出来る逆止弁(CV−6,CV−7)である。
【0042】
ニ:流通反応系
図1に示したように、循環反応系(:ハ)の中で触媒床21が接続されている配管部分は流通反応系(:ニ)と共通した部分である。循環反応系(:ハ)と流通反応系(:ニ)とを仕切るバルブ(V-2、V-3、V-7、V-8、V-9、V-10)は真空下と常圧下または加圧下を隔
離する必要があるため、ベローバルブ、ねじ口式バルブ、ボールバルブなどを採用することが望ましい。真空だけを対象としたバルブを用いることは出来ない。
【0043】
ホ:流体流量制御部
図3に示すように、圧縮容器(5個、16a〜16e)から2段式調圧器(PR1〜PR5)により0.3MPa〜0.5MPaに減圧し、焼結金属製のラインフィルター(F1〜F5)を介しサーマルマスフローコントローラ(MFC1〜MFC5)を接続する。ラインフィルタ(F1〜F5)直後とサーマルマスフローコントローラ(MFC1〜MFC5)直後の差圧(ΔP)が0.3MPa以上0.5MPa以下とし、その後段に逆止弁(CV-1〜CV-5)を設置する。複数の流体を扱う場合には流体ごとに上述の経路を設置し逆止弁(CV-1〜CV-5)の後段にマニフォールド(MF)を設置する。逆止弁(CV-1〜CV-5)の作動圧は1/3psi以上1psi以下が望ましく、1/3psi以上1/2psi以下がより望ましい。サーマルマスフローコントローラ(MFC1〜MFC5)の制御流量は、図8に示すような石鹸膜流量計(thin soap film flowmeter)を用い、標準状態換算(stp)、乾き流体基準の流量(以下 換算流量)を式1により求め補正係数を求めておくことが必須である。
【0044】
(換算流量の計測方法)
【数1】
【0045】
数式1における大気圧はアネロイド式気圧計等で測定した値、測定時室温はアルコール温度計等で測定した室温であり、水蒸気圧はその室温における値(JIS Z-8806)を用いれば良い。なお、式1における水蒸気圧および大気圧はtorrでの値、測定時室温はK(ケルビン)での値を用いる。
【0046】
へ:試料採取部(クロマトグラフ用試料採取部)
試料採取部(クロマトグラフ用試料採取部、:へ)は捕集袋または真空捕集瓶に採取するためのポートおよびガスクロマトグラフへ試料を送るガスサンプラーからなる。図1に示すように捕集袋または真空捕集瓶に採取するためのサンプリングポート18(V−8、V−9、V−10)は流通反応系(:ニ)により触媒性能を評価しているときに機能するものである。
【0047】
(ガスクロマトグラフ用試料採取部)
ガスクロマトグラフへ試料を送るガスサンプラーは循環反応系(:ハ)および流通反応系(:ニ)での評価時両方に適応出来る構造であり、試料採取部(クロマトグラフ用試料採取部:へ)は、図9に示すように、4方バルブの内2方がループ状となりループ部がバルブ(ア)を経由して真空排気できる構造になっている。真空排気してループ内を循環反応系または流通反応系内圧力よりも低圧とし差圧を利用してバルブ(イ)を経由してサンプルをループ内に導入出来る構造が特徴的なものである。また、3方バルブを3つ組み合わせた形の3方バルブでループを形成することも妨げない。
【0048】
(キャリヤーガスリザーバー)
ガスクロマトグラフから供給されるキャリヤーガスは上述のループに切り替えられ、ループ内にあったサンプルがガスクロマトグラフへ送り込まれる構造になっている。ガスクロマトグラフからの流路はガスクロマトグラフのキャリヤーガス圧力と等しいため、常圧よりも高い圧力(加圧)となっている。試料採取後のループ内圧力はそれよりも低い圧力となるため、ガスクロマトグラフ流路に瞬間的な圧力変動が生ずることになる。充填カラムにおいてカラム長が短い場合には圧力変動がゴーストピークを形成する虞があり、熱伝導度型検出器を備えたガスクロマトグラフにおいては、ゴーストピークが顕著になる場合も考えられる。
【0049】
これを回避するためにサンプラーの手前に、キャリヤーガスリザーバーを設置することが好ましい(図9参照)。キャリヤーガスリザーバーの容積は100cm3以上1800cm3以下が好ましく、200cm3以上1500cm3以下がより好ましく、200cm3以上1000cm3以下が最も好ましい。本発明者らの試験ではこの範囲のガスリザーバを設けることでゴーストピークをほぼ完全に消失させることが出来た。この範囲未満では、ゴーストピークの発生を消失できない場合も見受けられる。リザーバーの機能は体積が大きいことによる制限は無いが、該体積がこの範囲よりも大きい場合にはガスクロマトグラフ起動時にキャリヤーガスが所定圧に達するまでの時間が長くなり分析の準備に時間を要することになるため、上記範囲が実質的な好ましい範囲と考えられる。
【0050】
ト:ガスホルダー
ガスホルダー部(ト)を構成するガスホルダーにはモデル反応、触媒被毒物質、安定同位体など、積分型反応器で計測するために用いるガスが充填される(図1、図10参照)。ガスホルダーの最高内圧は700torr以下が好ましく、650torr以下がより好ましく、610torr以下が最も好ましい。この範囲を超過した場合には、温度、気圧などの影響により外部との圧力差が少なくなり、一部の真空バルブでは真空バルブの押さえが不十分になる傾向があり、空気などと混合し純度の低下を招く虞があり好ましくない。
【0051】
ガスホルダー(:ト)の形状は図10に示すような球状、円柱状、楕円状、角柱状が好ましい。材質はステンレス鋼、ガラス、合成高分子などを好ましく使用することが出来る。ガスホルダー(:ト)には2つのバルブが接続されている。そのいずれか片方、もしくは両方にL字型にパイプが取り付けられている。なお、L字型パイプの先端は閉じられている。さらに、2つのバルブの先端には、ガスラインと接続するための接続具(フィッティング)を持っている。なお、すでにガスが充填されているガラスアンプル型ガスホルダーを使用する際には、必ずしも2つのバルブが接続されていなくても良い。
【0052】
(ガスホルダーへのガスの充填)
本発明のガスホルダーには、圧縮ボンベ、プッシュ管充填標準ガス、小型圧縮ボンベなど種々の圧縮充填ガスから充填を容易に行うことが出来る。
【0053】
この方法はプッシュ管充填標準ガス、小型圧縮ボンベなどガス充填容量が比較的少ない容器からの充填を行うためのものである。まず、圧縮不活性ガスボンベとプッシュ管式標準ガスを三方バルブで接続し、不活性ガスおよび標準ガスでパージし三方バルブ内の流路を置換後、ガス流体の通気を一時停止する。
【0054】
次に、三方バルブの後段にガスホルダーを接続し、ガスホルダーの出口に洗気瓶を設置し、さらに後段にガス流量計を接続する。ガスホルダーに付属する2つのバルブを開いた後、不活性ガスを用いて系内を充分置換する。充分置換した状態とは、系内体積の5倍容以上の不活性ガスを通気後の状態を言う。
【0055】
このようにガスホルダー内部を不活性ガスにより充分置換したあと、三方バルブを切り替えてプッシュ管式標準ガスを通気する。ガス流体の通気は洗気瓶の気泡が流れている状況でありかつ、流体通気流量が系内体積を超過するまで継続する。この時点以降、ガスホルダーに付属する2つのバルブを下流側から順次閉じて充填を完了する。
【0056】
ここでいう不活性ガスとはヘリウム(He),ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr),キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、および窒素(N2)を指す。
【0057】
(充填ガスの純度向上操作)
本操作は、反応速度などを精密に検討する際に行われる。通常の測定では省略することを妨げない。
【0058】
(水素(H2)、HDおよび重水素(D2)の純度向上操作)
水素類(水素(H2),HDおよび重水素(D2))の純度向上操作は以下の手順で行われる。純度向上操作を行おうとする際にはガスラインには高表面積無機材料(吸着剤)を充填したガス捕捉槽を取り付ける(図1参照)。純度向上操作に先立ちガス捕捉槽に充填された高表面積無機材料(吸着剤)を、300℃以上400℃以下、好ましくは330℃以上390℃以下、より好ましくは340℃以上360℃以下に温度制御しながら、10-3 torr以下の真空で粗引後、10-4torr以下に保持し活性化する。ガスホルダーに充填された水素類内の1種類を液化窒素で深冷したガス捕捉槽に導入し、槽内の高表面積無機材料(吸着剤)に物理吸着させる。
【0059】
物理吸着後、ガス捕捉槽、ガスライン、およびガスホルダーを10-4 torrになるまで真空
排気し後、バルブ操作にてこれらを真空ラインから隔離し、ガス捕捉槽から液体窒素トラ
ップを外し、徐々に脱離してくる水素類をガスラインに経由してガスホルダーに導入する。これにより、純度の高い水素類を充填することができる。
【0060】
高表面積無機材料(吸着剤)にはゼオライト、シリカ、セピオライト、コージェライトなどを好ましく使用できる。特にゼオライトが好ましく、A型、Y型、ZSM型、13X型などをより好ましく使用することが出来る。ガス捕捉槽の体積は200〜300cm3が好ましく
この容積に対し80%程度の高表面積無機材料(吸着剤)が充填される。
【0061】
(炭化水素類などの純度向上操作)
炭化水素類純度向上操作は、ガスホルダーに付属するL字管を液体窒素等ゆっくり深冷し、2つのバルブの内ガスラインに接続しているバルブを開いて残部を真空排気し、再び該バルブを閉じ、深冷トラップを外すことによって行われる。
【0062】
チ:リアクター部
リアクター部(:チ)は触媒が充填される反応管(R−1)と、反応管(R−1)を加熱する電気炉(EH−1)からなる(図1、図4、図11を参照)。反応管は基本的にはU字型である。通常反応管は直管(I字型)であるが、その場合電気炉は観音開きの形態をとる。本発明で使用するU字型反応管(R−1)の場合には管状電気炉(EH−1)を使い、昇降機aにより電気炉(EH−1)を上下することが出来るため反応管加熱および冷却を迅速に行うことが出来るほか、予め所定温度に予熱した別の管状電気炉(EH−1)を取り付けることで短時間に種々温度に設定できる利点がある。U字型反応管(R−1)は図11に示すように、ア:単純な管状、イ:触媒床部分の管径が広くなっている形状、およびウ:触媒床下部にガラスフィルター等が設置された形状を好ましく用いることが出来る。
【0063】
反応管(R−1)は、また、図12に示すように、触媒床まで熱電対ジャケット等の温度計保護管が挿入され触媒床温度を直接測定できる構造も好ましい。特に、発熱量が多い反応などでは周囲温度と触媒床温度との差が数十度に達する場合もあり、触媒床温度を直接測定できることが重要になる。
【0064】
反応管(R−1)の材質は、金属、ガラス、高分子など様々な材質を好ましく使用することが出来るが、反応中の状態を直視できるガラスが最も好ましい。ガラスとしてはソーダガラス(並ガラス)、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラス、および石英ガラスを好ましく使用することが出来、硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスおよび石英ガラスがより好ましく、ホウ珪酸ガラスおよび石英ガラスが最も好ましい。さらにまた、触媒が充填される部位が石英ガラスであり、循環反応系(閉鎖循環系:ハ)および流通反応系(:ニ)との共通部に接続される部分がホウ珪酸ガラスであるものが最も取扱性に優れる(図1,図10参照)。
【0065】
反応管(R−1)の外形はア:単純な管状の場合、6mm以上15mm以下が好ましく、7mm以上12mm以下がより好ましく、8mm以上10mm以下が最も好ましい。ガラス管の場合の肉厚(t)は1.0mm以上1.5mm以下が扱いやすい。イ:触媒床部分の管径が広くなっている形状の場合、広くなっている部分の外径は12mm以上16mm以下が好ましくそれ以外の部分の外径は6mm以上8mm以下が好ましく、7mm以上8mm以下が最も好ましい。ウ:触媒床下部にガラスフィルター(硝子フィルター)が設置された形状の場合には、イと同様に広くなっている部分の外径は12mm以上16mm以下が好ましくそれ以外の部分の外径は6mm以上8mm以下が好ましく、7mm以上8mm以下が最も好ましい。
【0066】
ガラスフィルターのメッシュサイズは特に限定されないが、70〜100メッシュに分級した
破砕状シリカゲルが辛うじて通過しない程度のサイズが好ましい。辛うじて通過しない程度とは、メッシュ上に分球した該シリカゲルを載せ、3cm〜5cmの高さから机上に落下させたときの振動で、メッシュを通り過ぎたシリカゲル粉の容積が当初載せたシリカゲル容積の1/20以下である状況を指す。これ以上通過するガラスフィルターでは、下流側に触媒粉が到達し不具合を起こす可能性もあるため好ましくない。
【0067】
触媒床下部にガラスフィルターを設置しない場合には、ガラスウールなどを適宜充填し、触媒粉の下流側への移動を抑制すれば良い。ガラスウールの材質は石英が好ましい。
【0068】
電気炉(EH−1)は磁器製管状体に発熱体を均一に巻き付け、さらにその上部から保温材料で包み込んだ構造である。磁器製管状体の長さは150mm以上200mm以下が好ましく、160mm以上200mm以下がより好ましく、170mm以上190mm以下が最も好ましい。この範囲未満では触媒床を充分加熱することが出来ない場合があり、この範囲を超過すると発熱体の間隔が広くなり昇温に時間がかかる傾向が著しくなる虞がある。
【0069】
発熱体の材質はニクロム、ニコルタル、カンタルなどを好ましく使用することができる。磁器製管状体に均一に巻き付けた後の発熱体両端の抵抗値は25℃で12Ω以上15Ω以下が好ましく、12Ω以上14Ω以下がより好ましく、12Ω以上13Ω以下が最も好ましい。これ未満では温度制御が難しく、これを超過すると両端への印加電圧が高くなり、スライドトランスなどでの制御が難しくなる傾向も見られる。
【0070】
発熱体の形状はコイル状、線状、リボン状などあらゆる形態を好ましく採用することができ、線状、リボン状がより好ましく、リボン状が最も好ましい。磁器製管状体に均一に巻き付けた発熱体はその外部から、保温材料で被覆される。その厚みは25mm以上35mm以下が好ましく、28mm以上35mm以下が好ましく、28mm以上30mm以下が最も好ましい。この範囲未満では、保温が不十分になる可能性がある。この範囲を超過しても電気炉の性能面から問題はないが、被覆範囲がこれ以上厚くなっても性能向上効果は飽和しており、技術的な意義は希薄になる。
【0071】
保温材料にはシリカ、シリカ−アルミナ、アルミナなど様々な無機酸化物系素材を用いることが出来、これらに種々粘土等を混練することもできる。発熱体の最高耐熱温度は、800℃以上1200℃以下が好ましく、800℃以上1000℃以下がより好ましく、850℃以上1000℃以下が最も好ましい。
【実施例2】
【0072】
図13(a)、及び、図13(b)は、筐体(逆止弁本体)60における、作動流体の流れ方向の説明図である。この実施例2では、図7に比べて、2個のボール92,92に、連接部材嵌合用の取り付け穴を、おのおの穿設しておき、図7を参考に、筐体(逆止弁本体)60を組み付け時に、2個のボール92,92を、連接部材(合成樹脂製の棒、又は、バネ等の弾性部材にても可)92aにて連動するように連結する。その場合、連結された2個のボール92,92の各々が、算盤玉形状の空隙(上)76内と算盤玉形状の空隙(下)86内において上下動可能なようにしておく。実施例1と同様に、実施例2においても、逆止弁(CV−6,CV−7)内部では樹脂製球92,92が上下することで流れの停止、開始を行う仕組みになっている。即ち、図13(a)、及び、図13(b)の作動流体の流れ状態が可能なように、連接部材92aの長さ寸法を設定しておく。このように2個のボール92,92を、連接部材92aにて連結することにより、作動流体を確実に逆流防止する逆止弁の作用が発揮され得る。そして、図7(b)、図13(a)、及び、図13(b)を参照して、初めに、逆止弁CV−6又は逆止弁CV−7の基本構成要素である筐体(逆止弁本体)60において、作動流体が右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向から流入すると、上面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、実線の矢印で示す方向に流出する。次に、作動流体が、下面側のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向から流入すると、右側面のねじ込み式管継手(図示せず)を経由して、点線の矢印で示す方向に流出する。
【実施例3】
【0073】
(弁一体型循環ポンプ)
ところで、図5記載の循環ポンプ本体24ではピストン25の上昇時下降時ともに流体を送ることが出来るため、流体を送り出す効率が高く、脈流を抑制する特徴がある。循環ポンプのピストン本体24はシリンダー26の外側に設置された駆動用電磁石28で上昇し、下降は自然落下による。従って、触媒量が多い場合、触媒が微粒である場合、反応中に触媒がシンタリング(焼結)した場合、触媒床が閉塞気味になった場合など、触媒床の前後での差圧が増加した場合には、ピストン部の自重による落下がスムーズに起こらない可能性が出てくる。
【0074】
そこで、電磁石駆動によるピストンの上昇時のみ流体を送る仕組みの循環ポンプが必要になる。触媒床の前後での差圧が増加することが予想されるような場合には、多機能型触媒評価装置の閉鎖循環系(図1:ハ)には、図5記載の循環ポンプに代えて、図14記載の循環ポンプ(弁一体型循環ポンプと呼ぶ)の使用が好ましい。
【0075】
(弁一体型循環ポンプ111の構造)
図14は、弁一体型循環ポンプ本体111aの縦断面図を示す。
弁一体型循環ポンプ111は、弁一体型循環ポンプ本体111aと、駆動用電磁石28とを備えている。弁一体型循環ポンプ本体111aは、図14記載のように、シリンダー部113と、ピストン部143とからなる。そして、シリンダー部113は、内部にピストン衝撃吸収材(c)164を収納するシリンダー上端部材115と、これに上端部を嵌入させ、内部にピストン部143を上下摺動自在に収容し、下端部を後述するシリンダー下端部材119に嵌入してなるシリンダー本体117と、内部にピストン衝撃吸収材(a)162又はピストン衝撃吸収材(b)163を収容し、且つ、逆止弁130を有するシリンダー下端部材119とを備えている。
【0076】
詳述すると、シリンダー上端部材115は、上部を接続配管部115aとなし、下部をラッパ状の開口拡径部115bとなし、内部にピストン衝撃吸収材(c)164を収容していて、下端部にシリンダー本体117の上端部を被着固定している。
シリンダー本体117は、内部にピストン部143を収納し、
上端部をシリンダー上端部材115(前記ラッパ状の開口拡径部115b)に、下端部をシリンダー下端部材119(漏斗状の拡径部119a)に挿入固着させている。シリンダー下端部材119は、上部を漏斗状の拡径部119aとし、内部にピストン衝撃吸収材(a)162又はピストン衝撃吸収材(b)163を収容し、且つ、前記漏斗状の拡径部119aの上端部に前記シリンダー本体117の下端部を被着固定し、前記漏斗状の拡径部119aの下方に連接して、やや小外径の管状部119bと弁ストッパー119cとを有し、更にその下方に延在して、内部に逆止弁160収容して、下端部を下部縮径部119dとして構成されている。即ち、上端部を前記シリンダー本体117の下端部に被着固定されているシリンダー下端部材119は、内部にピストン衝撃吸収材(a)162又はピストン衝撃吸収材(b)163を収容し、上方に開口する漏斗状の拡径部119aを形成すると共に、下端部を下部縮径部119dとして、そこから逆止弁(シリンダー側)130の弁座130bから下方に延在する流体導入管部130cを突出させている。
【0077】
一部重複するが、弁一体型循環ポンプ111は、弁一体型循環ポンプ本体111aと、駆動用電磁石28とを備えている。弁一体型循環ポンプ本体111aは、図14記載のように、シリンダー部113と、ピストン部143とからなる。そして、弁一体型循環ポンプ111は、シリンダー部113の下部とピストン部143の下部にそれぞれ一つずつ逆止弁130,160を有している。ピストン部143の上昇時にはピストン部143の逆止弁160は閉じ、シリンダー部113下部の逆止弁130は開くため流体は矢印の方向に送られる。逆にピストン部143の下降時にはシリンダー部113下部の逆止弁130は閉じ、ピストン部143の逆止弁160は開くため、流体は流れない。このように、駆動用電磁石28から磁力を得てピストン部143が上昇するときのみ流体を送ることが出来る。従って、触媒床21前後で差圧が大きい場合であっても閉鎖循環系(循環反応系:ハ)部内の流体を循環することが出来る。
【0078】
(弁一体型循環ポンプ本体111aの詳細な構造)
弁一体型循環ポンプ本体111aのシリンダー部113においてピストン部143が上下する範囲(ピストン本体144との摺動部)の長さ(高さ)、即ち、図14中の(c)部は200mm以上220mm以下が好ましい。また、この部分のピストンガラス管部145の外径は22mmφ以上25mmφ以下が好ましい。二弁式(逆止弁130、逆止弁160を含む)ポンプでは前述のように、ピストン部143上昇時のみ流体を送ることができるため、この前記寸法の範囲を下回ると作動流体の流量が小さくなり、実験結果が触媒評価に適さなくなる虞がある。
【0079】
摺動範囲(前記図14中の(c)の200~220)を超過して長くて大型の場合には、ピストン部143の下降時にシリンダー部113およびピストン部143が受ける衝撃が大きくなる。また、ガラス管部145の外径が超過することが、ピストン部143の直径も大型化することになり、同様に衝撃が大きくなる。これらの理由から、摺動部(図14中の(c)部位)の長さと、このガラス管部145の外径の範囲は規定される。また、ガラス管部145の肉厚(t)に関しては1.0mm以上1.5mm以下が好ましい。これ未満では充分な強度が得にくく、これ以上の場合にはピストン部143とシリンダー部113の外径が増加し駆動用電磁石28が大型化するため好ましくない。
【0080】
(シリンダー部113の詳細)
シリンダー部113は図14に示すように(a)逆止弁領域、(b)ピストン下部受け部、(c)ピストンとの摺動部、(d)ピストン上部受け部、および(e)接続配管部からなる。(a)逆止弁領域の高さは35mm以上60mm以下、(b)ピストン下部受けの高さは30mm以上35mm以下が好ましく、ピストン下部受けの内、絞りがかかった部分の高さは15mm以上20mm以下、直管部分の高さは15mm以上20mm以下が好ましい、(c)ピストンとの摺動部高さは上述のように200mm以上220mm以下が好ましい。(d)ピストン上部受け部の高さの内、絞りがかかった部分の高さは15mm以上20mm以下が好ましく、直管部分の高さは15mm以上20mm以下が好ましい。(e)配管接続部の高さは30mm以上50mm以下が好ましい。(a)逆止弁領域の下部配管の外径は6mmφ以上10mmφ以下が好ましい。また、(e)接続配管部の外径は同様に6mmφ以上15mmφ以下が好ましい。
【0081】
(シリンダー部113に配置される緩衝吸収材)
(b)シリンダー部113のピストン下部受け部には、図14,図17のように、ピストン降下時の衝撃吸収材(a)162、衝撃吸収材(b)163が配置される。衝撃吸収材162、163の形状は中空状の衝撃吸収材(b)および螺旋状の衝撃吸収材(a)などが好ましい。衝撃吸収材(a)162、衝撃吸収材(b)163の材質はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン系ポリマーなどを好ましく使用できる。図14,図17のピストン上部受け部にも衝撃吸収材(c)164を配置する。この衝撃吸収材(c)164は、循環反応系(図1:ハ)内の内圧が急激に変化した際などに、ピストン部143が急上昇する可能性があり、それを防ぐために配置するものである。形状は図14,図17のような形状の吸収材164が配置される。即ち、衝撃吸収材(c)164は、衝撃吸収材(a)162と、衝撃吸収材(b)163との良いところを合わせた中間の形状である。衝撃吸収材(b)163の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、テトラフルオロエチレン系ポリマーなどを好ましく使用できる。
【0082】
シリンダー部113の材質は硬質ガラス、ホウ珪酸ガラス(ボリシリケート)ガラス、石英ガラスなどの無機材料を好ましく使用できる。ただし、弁材質に関しては無機材料でなくても好ましい。例えば、シリンダー部113下部の逆止弁130(図14、図16(a)、図16(b)参照)の弁130a(後述の図16(c)、図16(d))を高分子材料とすることも好ましい。
【0083】
(ピストン部の詳細)
ピストン部143は図15に記載するように、ピストン部143は、ピストン本体144と逆止弁160とを有している。ピストン本体144は、内部に磁気焼鈍された複数の鋼線146を円筒状に封入配置して、ガラス管部145を形成し、このガラス管部145の下方端近傍の内壁部に弁ストッパー145a(ここでは3個所のガラス部材の突出部)を形成し、その下方空間内に、上下動自在にされた弁160aを収容さて、更に、その下方空間内に、前記弁160aの着座が可能なように、上端部に円環状の弁座160bを配置した流体導入管160cを、前記ガラス管部145の下方端をすぼませて前記流体導入管160cを固着している。このすぼませたガラス管部145の下方端部と、流体導入管160cの下方端部は面一にさせてあり、このようにピストン部143が形成されている。
ピストン部143の形状は中空状である。外周部近傍の内部には0.56mm以上1.22mm以下の任意の直径を有する複数の鋼線146が封入して配置され、ピストン部143の下部には逆止弁160が付属されている。なお、ピストン外周部近傍の内部(ピストン本体144)に封入される鋼線146は磁気焼鈍されたものを用いなければならない。ピストン部143の全体の高さは90mm以上150mm以下であり、そのうち逆止弁160部の高さは35mm〜40mmである。ピストン部143に封入された複数の磁気焼鈍鋼線146以外の材質はガラスである。シリンダー部113のガラスの材質は硬質ガラス、ホウ珪酸ガラスを好ましく使用できる。シリンダー部113の内、摺動部の材質がガラスの場合には、その材質と同じものを使用しなくてはならない。例えば、摺動部の材質がホウ珪酸ガラスを採用するときには、ピストン部143の材質もホウ珪酸ガラスを採用するというようにする。
【0084】
(シリンダー部およびピストン部に付属する逆止弁の詳細構造)
シリンダー部113の下部、およびピストン部143の下部に付属する逆止弁130,160の構造は、図16(a)〜図16(d)に示すように、上部の流体導入管部130c,160cの内径が10mmφ以上13mmφ以下、(図14の逆止弁130の管状部119bにおいて、同部肉厚(t)が1.0mm以上1.2mm以下であり)、下部の流体導入管部130c,160cの外径が6mmφ以上8mmφ以下、同部肉厚(t)は1.0mmである。下部の流体導入管部130c,160cの上部は平らな弁座130b、160bとなっており、平板部(円環状の弁座130c、160b)の上面にはスリが施される。これは図16(c)記載の弁下部のスリと接することで、スリ合わせによる高い気密性が保つためである。弁座130c、160bにスリ面を向き合わせて配置される弁130a,160aの詳細は、図16(c)、(d)に記載の如く、円盤状であり、直径は8mmφ以上10mmφ未満かつ肉厚(t)は0.3mm以上0.7mm以下である。特に肉厚(t)の公差は20%以内にしなければならない。これは弁130a,160aの肉厚に偏りがあった場合、弁動作が不安定になり流体送出に支障が出る可能性があるため好ましくない。弁130a,160aは弁座130c、160bとストッパー119c、145aの間に配置される。ストッパー119c、145aは弁130a,160aの位置を整えるために配置されるが、上部の管部内に図16(b)のようにストッパー119c、145aの配置場所の接線と直角をなす線同士の交点の中心角が110度以上130度以下になるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば触媒のスクリーニングを短時間かつ合理的に実施でき、かつ、劣化挙動を科学的に考察することができるため、触媒構成物質の作用を的確に把握することができる。その結果、優れた工業プロセスの開発を推進することが出来る。
【符号の説明】
【0086】
イ:ガス排気部、
ロ:流体導入部、
ハ:循環反応系(閉鎖循環系)、
ニ:流通反応系、
ホ:流体流量制御部、
へ:試料採取部および、
ト:ガスホルダー部、
チ:リアクター部、
1:多機能型触媒評価装置、
2a:基台、
2b:取付板、
5:ロータリー真空ポンプ(一次ポンプ)、
6:拡散ポンプ(二次ポンプ)、
8:トラップ、
12:接続配管、
12a:排気が出来る流路、
12b:排気が出来る流路、
13:真空ライン、
16a、16b、16c、16d、16e:ガスボンベ、
18:サンプリングポート、
21:触媒床、
21a:触媒床本体(図示せず)、
24:循環ポンプ本体、
21a:ピストン・シリンダー・ユニット、
25:ガラス製ピストン、
25a:薄肉金属パイプ、
26:ガラス製シリンダー、
27スリーブキャップ(スリーブ管継手)、
27b:Oリング、
28:駆動用電磁石、
31、32、33、35:バルブ、
37a、37b,37c,37d,37e:バルブ、
38a、38b、38c、38d、38e:バルブ、
39a、39b、39c、39d、39e:バルブ、
56:CV−6逆止弁、
57:CV−7逆止弁、
60:筺体(逆止弁本体)、
61:キャップ、
61a:キャップ本体、
63:略中央部にねじ込み式管継手用めねじ、
65:中子(上)用めねじ、
67:算盤玉形状の空隙(上)、
81:ボディ、
81a:ボディ本体、
83:略中央部に中子(中)用めねじ、
83a:円板形状の空間、
84:中子(下)用めねじ、
84a:漏斗状の円錐形状空間、
84b:連通孔、
85:下面ねじ込み式管継手用めねじ、
86:算盤玉形状の空隙(下)、
87:四隅に配置されたボルト用めねじ、
88:Oリング用溝、
89:右側面上方部にねじ込み式管継手用めねじ、
89a:連通孔(前記円板型形状の空間83aに連設)、
90:正面下方部に左右一対の取付ねじ用孔、
92:ボール、
92a:連接部材
94:中子(中)、
94a:外側面におねじ、
94b:漏斗状の円錐形状空間、
94c:連通孔、
95:中子(下)、
95a:外側面におねじ、
95b:中心軸状に沿って連通孔、
95c:ラッパ状の円錐形状空間、
97:ステンレス鋼製ねじ(六角穴付きボルト)、
98:ガスケット(Oリング)、
111:弁一体型循環ポンプ、
111a:弁一体型循環ポンプ本体、
113:シリンダー部、
115シリンダー上端部材、
115a:上部の接続配管部、
115b:下部をラッパ状の開口拡径部、
117:シリンダー本体、
119:シリンダー下端部材、
119a:上部を漏斗状の拡径部、
119b:管状部、
119c:弁ストッパー、
119d:下部を縮径部、
130:逆止弁(シリンダー側)、
130a:弁、
130b:弁受け部材、
130c、160c:流体導入管部、
143:ピストン部、
144:ピストン本体、
145:ガラス管部、
145a:弁ストッパー、
146:鋼線、
160:逆止弁(ピストン側)、
160a:弁、
160b:弁座、
162:ピストン衝撃吸収材(a)、
163:ピストン衝撃吸収材(b)、
164:ピストン衝撃吸収材(c)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に摺動自在のピストン部を設けたシリンダー部と、前記ピストン部の駆動用電磁石とを備え、前記ピストン部の上下動により移動する流体を一定方向にのみ流通させるための逆止弁を設けてなるピストンポンプを循環反応系に有し、該循環反応系を構成する配管の一部が流通反応系と共有する構成を具備したことを特徴とする流体反応装置。
【請求項2】
前記逆止弁を、前記ピストン部の下部と、前記シリンダー部の下部とに設けてなるピストンポンプを循環反応系に有したことを特徴とする請求項1に記載の流体反応装置。
【請求項3】
前記シリンダー部が、内部にピストン衝撃吸収材を収納するシリンダー上端部材と、該シリンダー上端部材に、その上端部を嵌入させて、内部にピストン部を上下摺動自在に収容し、その下端部をシリンダー下端部材に嵌入してなるシリンダー本体と、内部にピストン衝撃吸収材又はピストン衝撃吸収材を収容すると共に、下方端部内部に逆止弁を有するシリンダー下端部材とを備えているシリンダー部であり、前記ピストン部が、ピストン本体と逆止弁とを有している。ピストン本体は、内部に磁気焼鈍された複数の鋼線を円筒状に封入配置して、ガラス管部を形成し、このガラス管部の下方端近傍の内壁部に弁ストッパーを形成し、その下方空間内に、上下動自在にされた弁を収容させ、更に、その下方空間内に、前記弁の着座が可能なように、上端部に円環状の弁座を配置した流体導入管を、前記ガラス管部の下方端をすぼませて前記流体導入管を固着して形成されたピストン部であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項4】
ホウ珪酸ガラスによりなるシリンダーとピストンに関しシリンダー長さが250mm以上、330mm以下であり、該内径が18mm以上、22mm以下であり、該内部に設けられるピストン長さが100mm以上130mm以下であり、さらにピストン内部に肉厚0.5mm以上0.9mm以下の中空状磁性体がされていることを特徴とするシリンダーおよびピストンを備えた請求項1、2および3の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項5】
リアクターを除いた部分において、シリンダーおよびピストンがホウ珪酸ガラスからなりこの他がステンレス鋼管で構成される請求項1、2、3および4の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項6】
リアクター部が石英ガラスまたはホウ珪酸ガラスからなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項7】
リアクター部の形状がU字状であり、着脱機構を有し、着脱機構に接する部位がホウ珪酸ガラスからなり、反応を行う部分が石英ガラスからなることを特徴とするリアクターを備えた請求項1、2、3、4、5および6の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項8】
直径35mm以上45mm以下、高さ50mm以上60mm以下の円柱状構造を有し、上部と下部とがガスケットを介し、ステンレス鋼製ネジで4ヶ所を固定した分解可能な構造を有する樹脂製筺体の内部に、一対の算盤玉状の空隙を上下方向に配置し、その内部に直径5mm以上8mm以下の樹脂性球を配置し、算盤玉状の空隙上部と下部それぞれに配管接続口と算盤玉状の空隙上部と下部との中間部に配管接続口を配した構造を有することを特徴とする逆止弁を2個設置し、そのうち1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの上部に、別の1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの下部に接続節即され、2個の逆止弁の算盤玉状の空隙上部同士、下部同士を結合した配管から分岐した配管がそれぞれ循環反応系に接続されている流体循環部を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6および7の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項9】
ホウ珪酸ガラス管からなる内径18mm以上24mm以下のシリンダーの内部に、ホウ珪酸ガラス製ガラス管中に肉厚0.3mm以上1.5mm以下の中空鋼管を封入した長さ35mm以上55mm以下のピストンを配置し、シリンダー内部とピストン外部に真空摺り合わせを施し、シリンダー上部と下部にピストン衝撃吸収材が配置された循環用ピストンポンプを備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7および8の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項10】
シリンダー外部に電磁石を備え、直流電流のオン、オフによりシリンダー内のピストンを上下させることを特徴とする請求項1、2、8および9の何れか1項に記載のピストンポンプ。
【請求項11】
電磁石の直流電流のオン、オフをリピートタイマーにより時間制御することを特徴とする請求項1、2、8、9および10の何れか1項に記載のピストンポンプ。
【請求項1】
内部に摺動自在のピストン部を設けたシリンダー部と、前記ピストン部の駆動用電磁石とを備え、前記ピストン部の上下動により移動する流体を一定方向にのみ流通させるための逆止弁を設けてなるピストンポンプを循環反応系に有し、該循環反応系を構成する配管の一部が流通反応系と共有する構成を具備したことを特徴とする流体反応装置。
【請求項2】
前記逆止弁を、前記ピストン部の下部と、前記シリンダー部の下部とに設けてなるピストンポンプを循環反応系に有したことを特徴とする請求項1に記載の流体反応装置。
【請求項3】
前記シリンダー部が、内部にピストン衝撃吸収材を収納するシリンダー上端部材と、該シリンダー上端部材に、その上端部を嵌入させて、内部にピストン部を上下摺動自在に収容し、その下端部をシリンダー下端部材に嵌入してなるシリンダー本体と、内部にピストン衝撃吸収材又はピストン衝撃吸収材を収容すると共に、下方端部内部に逆止弁を有するシリンダー下端部材とを備えているシリンダー部であり、前記ピストン部が、ピストン本体と逆止弁とを有している。ピストン本体は、内部に磁気焼鈍された複数の鋼線を円筒状に封入配置して、ガラス管部を形成し、このガラス管部の下方端近傍の内壁部に弁ストッパーを形成し、その下方空間内に、上下動自在にされた弁を収容させ、更に、その下方空間内に、前記弁の着座が可能なように、上端部に円環状の弁座を配置した流体導入管を、前記ガラス管部の下方端をすぼませて前記流体導入管を固着して形成されたピストン部であることを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項4】
ホウ珪酸ガラスによりなるシリンダーとピストンに関しシリンダー長さが250mm以上、330mm以下であり、該内径が18mm以上、22mm以下であり、該内部に設けられるピストン長さが100mm以上130mm以下であり、さらにピストン内部に肉厚0.5mm以上0.9mm以下の中空状磁性体がされていることを特徴とするシリンダーおよびピストンを備えた請求項1、2および3の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項5】
リアクターを除いた部分において、シリンダーおよびピストンがホウ珪酸ガラスからなりこの他がステンレス鋼管で構成される請求項1、2、3および4の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項6】
リアクター部が石英ガラスまたはホウ珪酸ガラスからなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項7】
リアクター部の形状がU字状であり、着脱機構を有し、着脱機構に接する部位がホウ珪酸ガラスからなり、反応を行う部分が石英ガラスからなることを特徴とするリアクターを備えた請求項1、2、3、4、5および6の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項8】
直径35mm以上45mm以下、高さ50mm以上60mm以下の円柱状構造を有し、上部と下部とがガスケットを介し、ステンレス鋼製ネジで4ヶ所を固定した分解可能な構造を有する樹脂製筺体の内部に、一対の算盤玉状の空隙を上下方向に配置し、その内部に直径5mm以上8mm以下の樹脂性球を配置し、算盤玉状の空隙上部と下部それぞれに配管接続口と算盤玉状の空隙上部と下部との中間部に配管接続口を配した構造を有することを特徴とする逆止弁を2個設置し、そのうち1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの上部に、別の1個の算盤玉状の空隙上部と下部との中間部の配管接続口がピストンポンプの下部に接続節即され、2個の逆止弁の算盤玉状の空隙上部同士、下部同士を結合した配管から分岐した配管がそれぞれ循環反応系に接続されている流体循環部を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6および7の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項9】
ホウ珪酸ガラス管からなる内径18mm以上24mm以下のシリンダーの内部に、ホウ珪酸ガラス製ガラス管中に肉厚0.3mm以上1.5mm以下の中空鋼管を封入した長さ35mm以上55mm以下のピストンを配置し、シリンダー内部とピストン外部に真空摺り合わせを施し、シリンダー上部と下部にピストン衝撃吸収材が配置された循環用ピストンポンプを備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7および8の何れか1項に記載の流体反応装置。
【請求項10】
シリンダー外部に電磁石を備え、直流電流のオン、オフによりシリンダー内のピストンを上下させることを特徴とする請求項1、2、8および9の何れか1項に記載のピストンポンプ。
【請求項11】
電磁石の直流電流のオン、オフをリピートタイマーにより時間制御することを特徴とする請求項1、2、8、9および10の何れか1項に記載のピストンポンプ。
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−76077(P2012−76077A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196342(P2011−196342)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(305060006)株式会社 ジー・ピー・イー (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(305060006)株式会社 ジー・ピー・イー (4)
【Fターム(参考)】
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