説明

多機能操作装置及び警報器

【課題】操作部により点検指示機能と障害内容出力機能を選択して実行する場合に、両機能に対応して操作が受付け可能か否かを表示して、操作を判りやすくする。
【解決手段】点検部48は点検を実行し、音声出力部50は点検結果として正常又は障害発生を示す第1の音声メッセージと障害内容を示す第2の音声メッセージを出力する。機能制御部54は操作受付部52で受け付けた多機能スイッチ20の第1の操作の入力に対応して点検部48に点検の実行を指示すると共に点検結果に基づき音声出力部50に第1の音声メッセージを出力させ、操作受付部52で受け付けた第2の操作の入力に対応して音声出力部50に第2の音声メッセージを出力させる。表示制御部56は、音声出力部50で第2の音声メッセージ出力指示を受け付けることが可能な期間中、多機能スイッチ20による第2の操作が受付可能である旨を示す表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災やガス漏れなどの異常を検出して警報し、点検を実行して結果を出力する多機能操作装置及び警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用災警報器を住警器と言う。
【0003】
このような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部で火災を検出すると警報部から音声メッセージなどにより火災警報を出すようにしており、専用の受信設備等を必要とせず、住警器単体で火災監視と警報ができることから、またこのような住警器の多くが内蔵電池を電源として動作するものであることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
一方、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報が行われると、他の住警器でも連動して警報を行う、連動型の住警器システムも提案されている。
【0005】
このような住警器では、住警器で火災を検出した場合には、火災を検出した住警器は、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージを出力するようにしている。住警器で警報が行われた場合、住警器に設けている警報停止スイッチを操作すると、警報を停止するようにしている。
【0006】
一方、通常の監視状態で警報停止スイッチを操作すると、自己点検が実行され、点検結果を報知するようにしている。点検結果の報知は、異常がなければ、例えば「正常です」といった内容を含む音声メッセージを出力して行い、もし故障を検出していれば「ピッ 故障です」といった音声メッセージを出力して行う。
【0007】
なお、自己点検の項目としては、センサや検出回路、音声報知回路故障の有無、汚損等による感度異常や電源電圧の低下異常等障害の有無などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−44317号公報
【特許文献2】特開2004−54356号公報
【特許文献3】特開2007−11828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の住警器にあっては、点検の実行により故障や障害(以下、故障を含んで「障害」という)が検出された場合、例えば「ピッ 故障です」といった音声メッセージを出力するだけであり、どのような障害が発生しているかは内蔵したメモリなどに記憶した障害コードなどを解析してみないと分からないという問題がある。
【0010】
この問題を解決するためには、点検結果として音声メッセージが出された後の、通常とは異なる警報停止スイッチの操作、例えば長押操作を行った場合に、障害内容を示す音声メッセージを出力させるようにすることが考えられる。
【0011】
しかしながら、障害内容を示す音声メッセージを、通常操作とは異なる例えば長押操作により出力するようにしても、ユーザにあっては、どのようなタイミングでそのスイッチ操作が受け付けられるか否かが分からず、障害内容を確認するための操作が行われにくいという問題がある。
【0012】
障害内容毎に表示器を設けて、各障害が発生した場合に対応する表示器の表示出力で報知しても良いが、このようにすれが住警器の表示器に係るコストが上がってしまう。
【0013】
そして、特にこのような住警器をはじめとする警報器の場合、通常はユーザが意識していない状態で監視動作が行われており、定期的な点検以外には、異常が検出されて警報が発生するまで特にユーザが操作することは無い。また点検操作も例えば一ヶ月に1回といった頻度でしか行われないうえに、ほとんどの場合点検結果も正常である。
【0014】
そのため一般的に、ユーザは住警器の詳細な取り扱いには不慣れであり、稀な障害発生について一度に詳細な点検結果が報知されても認識しづらく、一方で再確認のため何度も点検操作を行うことで、特に長い音声メッセージを出力するための無駄な電力を消費してしまい、電池寿命を短くしてしまう。
【0015】
特にユーザが高齢者等の場合にはこのような問題点に充分配慮する必要があり、例えばこのようなユーザから販売店に電話等で対応の問い合わせがあった場合に、販売店の担当者がユーザに確認を指示する際、長押等の確認操作を行わせるタイミングを明示できるようにするための機能が望まれている。
【0016】
本発明は、操作部により点検指示機能と障害内容出力機能を選択して実行する場合に、両機能に対応して操作が受付け可能か否かを表示して、操作を判りやすくする多機能操作装置及び警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(多機能操作装置)
本発明は多機能操作装置において、
外部から指示入力を行う操作部と、
外部に情報を報知する報知部と、
点検を実行する点検処理部と、
点検処理部で実施した点検結果として報知部から正常又は障害発生を示す第1の音声メッセージと障害内容を示す第2の音声メッセージを出力する音声出力制御部と、
操作部の第1の操作および第2の操作の入力を受付ける操作受付処理部と、
操作受付処理部で受け付けた第1の操作の入力に対応して点検処理部に点検の実行を指示すると共に点検結果に基づき音声出力部を介して報知部から第1の音声メッセージを出力させ、操作受付処理部で受け付けた第2の操作の入力に対応して音声出力制御部を介して報知部から第2の音声メッセージを出力させる機能制御部と、
操作受付処理部で第2の音声メッセージ出力指示を受け付けることが可能な期間中、第2の操作が受付可能である旨を示す表示を行う表示制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
ここで、操作部の第1の操作と第2の操作を異ならせる。
【0019】
表示制御部は、点検処理部の点検実行により障害を検出した場合に、第2の操作が受付可能である旨を示す表示を行なう。
【0020】
(警報器)
本発明は、操作部の操作に応じて異なる情報を音響出力する警報器に於いて、音響出力される情報の内容に対応する操作部の操作待機状態で、それぞれ異なる表示を行うことを特徴とする。
【0021】
ここで、音響出力される情報の内容に対応する操作部の操作待機状態で受け付けられる操作は、それぞれの待機状態毎に異なる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1の操作による点検実行の結果、障害発生を示す第1の音声メッセージが出力されると、LEDなどの表示器により長押操作などの通常操作とは異なる第2の操作が受付可能である旨を示す表示が行なわれ、第1の操作による点検結果として障害発生を知ったユーザは、続く表示を見て第2の操作が受け付け可能であることを認識し、例えば連続して数秒間以上押し続ける長押操作を行い、これによって第2の音声メッセージとして障害内容を示す第2音声のメッセージを出力させることができ、障害内容を知って代理店などに障害発生に関する正確な情報を伝えることで、適切な対応ができ、万一、装置の交換を必要とするような障害内容の場合には、装置が正常に機能していない事実を利用者が明確に認識できるので、火災予防等の注意喚起に繋がる。
【0023】
また、不慣れなユーザからの問い合わせがあった場合に、販売店等の担当者は第2の操作が受け付け可能である旨の表示が行われているときに第2の操作を行って内容を確認するように指示することができるので、確認方法を確実に伝えることができる。
【0024】
なお、押し分けを行わず、第1の操作受け付けから、若しくは第1の音声メッセージの出力後所定期間内は第2の操作が受け付け可能である旨を表示器出力によってユーザに報知し、この期間内は第1の操作と同じ操作を第2の操作として受け付けて、第2の音声メッセージを出力するようにすることもできる。この場合でも、ユーザは第2の操作が受け付け可能な期間中であることを、表示器出力によって知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図2】図1に示した住警器の実施形態を示したブロック図
【図3】図2の実施形態における多機能スイッチ、実行機能、操作可能受付表示及び音声メッセージの関係を一覧で示した説明図
【図4】図2の実施形態における住警器処理を示したフローチャート
【図5】図4に続く住警器処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明による多機能操作装置の実施形態として住警器(警報器)を例にとってその外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。
【0027】
図1において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央に突出部を設け、その周囲に複数の煙流入口を開口し、更にその内部には検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
【0028】
カバー12に設けた検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には多機能スイッチ20が設けられている。
【0029】
多機能スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたタクトスイッチ(図示せず)とで構成されている。スイッチカバー内部のタクトスイッチ近傍には、点線で示すように警報表示を行うLED22が配置されており、LED22が点灯、点滅、明滅作動すると、多機能スイッチ20のスイッチカバーの部分を作動光が透過してLED22の作動状態が外部から分かるようにしている。
【0030】
多機能スイッチ20は、スイッチ操作時の住警器10の動作状態に応じて警報停止スイッチ又は点検スイッチとして機能する。
例えば火災警報時に多機能スイッチ20を操作すると当該警報を停止する警報停止スイッチとして機能する。このとき、特に押分操作は要求していない。
【0031】
また住警器10の通常監視状態ではLED22が消灯しており、この状態で多機能スイッチ20を第1の操作、例えば短押操作すると点検スイッチとして機能し、所定の点検を実行し、点検結果を第1の音声メッセージにより出力して報知させる。点検結果として出力される第1の音声メッセージは、点検結果が正常であれば点検正常を示す例えば「正常です」し、また点検結果として障害が検出された場合は、障害発生を示す例えば「ピッ 故障です」とする。
【0032】
点検結果として障害発生を示す第1の音声メッセージが出力されると、その後LED22が点灯、点滅または明滅して障害内容を示す第2の音声メッセージを出力するための多機能スイッチ20による第2の操作、例えば長押操作による入力を受付け可能とする長押操作受付可能表示を行う。
【0033】
LED22による長押操作受付可能表示中に多機能スイッチ20を長押操作すると、この長押操作による入力が受付けられ、スピーカから長押操作に対応した第2の音声メッセージとして、障害内容を示す音声メッセージ、例えば発生した故障箇所がセンサ部か回路部といった音声メッセージが出力される。
【0034】
LED22による長押操作の受付可能表示は、障害発生から所定時間の間行っても良いし、所定回数の長押操作が行われたら、それ以上故障内容を報知する必要はないことから、長押操作の受付可能表示を停止しても良い。もちろん、このような停止要件を設けず、故障が回復するまで継続的或いは断続的に行っても良い。
【0035】
なお、通常監視状態でLED22は消灯しており、この状態で多機能スイッチ20を操作すると(押分けは要求していない)、この操作が受け付けられて点検の実行と点検結果の出力が実行されることから、LED22の消灯は第1の操作を受付可能とする操作受付可能表示ということができる。
【0036】
また本体14の裏側上部には略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁面等にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面等に所謂壁掛け状に住警器10を固定設置することができる。
【0037】
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備え、火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた住警器や火災に伴うその他の物理現象を検出する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異常(異状)を検出する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0038】
図2は図1に示した住警器の実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる、また機能の実行は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであってもハードウェアによって実行されるものであっても良い。図2において、住警器10はワンチップCPUとして知られたプロセッサ24を備え、プロセッサ24に対してはセンサ部26、報知部28、操作部30、メモリ34、移報回路部36及び電池電源38を設けている。
【0039】
センサ部26には、煙を検出して信号を出力する検煙部16を設けている。上述の通り、センサ部26には検煙部16に代えて、温度や温度上昇を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けてもよい。
【0040】
報知部28には警報音や音声メッセージ等を出力するスピーカ44と警報表示を行うLED22が設けられている。スピーカ44は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音その他を、図示しない増幅部を介して出力する。LED22は消灯、点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常、多機能スイッチ20による複数の操作受付可能表示、その他の表示を行う。スピーカ44に代えて、ブザー等を用いても良い。またLED22に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器等を併設しても良い。
【0041】
操作部30には多機能スイッチ20が設けられている。多機能スイッチ20は、その時の住警器10の状態に応じて、警報停止スイッチ、確認スイッチのいずれかとして機能する。これ以外の機能を兼用させても良いが、本実施の形態に於いては警報停止と点検関連の指示機能を兼用するものとする。
【0042】
移報回路部36は信号線接続により、例えば火災検出時に、他の機器へ移報信号を出力して連動動作を行わせるもので、出力する移報信号は例えば無電圧接点開閉信号等である。
【0043】
電池電源38は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10における回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。住警器10の電源は商用AC電源であっても良いし、他の専用電源であっても良いが、ここでは上記のような電池電源を備えるものとする。この場合、障害点検項目として電池電圧の低下に伴う電池交換の要否を加えても良い。
【0044】
プロセッサ24にはプログラムの実行により実現される機能として、警報処理部46、点検処理部48、音声出力制御部50、操作受付処理部52、機能制御部54及び表示制御部56の機能が設けられている。
【0045】
警報処理部46は、センサ部26からの煙検出信号に基づいて火災を検出した場合にスピーカ44から火災を示す警報音を出力すると共に、LED22を駆動して警報に伴う表示(警報表示)を行う。
【0046】
具体的に説明すると、警報処理部46は、センサ部26に設けた検煙部16の煙検出信号を所定の閾値と比較し、当該煙検出信号レベルが閾値を超えることで火災を判定検出した場合に、報知部28のスピーカ44から例えば「ウーウー 火事です 火事です」といった音声メッセージによる警報音を繰り返し出力させると共に、LED22を点灯して警報表示を行う。
【0047】
また、警報処理部46は、火災警報の出力中に操作受付処理部52で多機能スイッチ20の操作を検出した場合、スピーカ44からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止する。このとき、LED22による警報表示については、音声メッセージ出力停止から所定時間継続した後に停止しても良い。
【0048】
点検処理部48は、通常監視状態で操作部30に設けた多機能スイッチ20の操作を検出した場合に所定の内部点検を実行して報知部28から点検結果を出力させる。点検処理部50で点検する内容としては、検煙部16(センサ)故障の有無、回路故障の有無、感度異常の有無、その他障害の有無等がある。
【0049】
例えばセンサ障害の検出について点検処理部48は、例えば所定の測定時間間隔T1=1秒間隔でセンサ部26の検煙部16から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ34のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T2=10分毎に、メモリ34のバッファ領域に保持している10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った場合に、検出信号出力停止状態である等として検煙部16の故障と判定する。
【0050】
このように煙濃度検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部16に設けている受光素子からの信号線断線、受光アンプの停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高い。なお、センサ部16にサーミスタなどの温度検出素子を設けた場合にも、各種の方法によりセンサ障害や故障を検出することが出来る。
【0051】
点検処理部48で実行された内部点検の結果は正常または故障等の障害発生であり、障害発生を判定した場合はメモリ34に障害情報40としてセンサ部故障、回路部故障、感度異常、その他の故障といった障害内容情報を格納する。
【0052】
音声出力制御部50は住警器10の状態と操作部30の操作とに応じ、点検処理部48で得られた点検結果に基づき正常又は障害発生を示す第1の音声メッセージまたは障害内容を示す第2の音声メッセージを出力する。点検結果が正常な場合は第1の音声メッセージとして例えば「正常です」を出力し、一方、点検結果が障害発生の場合は第1の音声メッセージとして例えば「ピッ 故障です」を出力する。この故障発生時の第1の音声メッセージからは障害発生の有無のみが確認できる。故障の場合は音声メッセージを例えば「ピッ 故障です 販売店に連絡して下さい」等として、詳細確認は販売店の指示のもとで行わせるようにしても良い。
【0053】
音声出力部52の出力する故障内容を示す第2の音声メッセージは「ピッ ○○故障(障害)です」といった障害内容を示すメッセージとなる。
【0054】
操作受付処理部52は多機能操作スイッチ20の第1の操作および第2の操作となる長押操作の入力を受付ける。
【0055】
機能制御部54は操作受付処理部52で受け付けた多機能スイッチ20の操作入力に対応して点検処理部48に点検の実行を指示すると共に、点検結果に基づき音声出力制御部50に正常又は障害発生を示す第1の音声メッセージを出力させる。また機能制御部54は第2の操作受付可能状態において操作受付処理部52で受け付けた多機能スイッチ20の長押操作の入力に対応して音声出力部50に故障内容を示す第2の音声メッセージを出力させる。
【0056】
表示制御部56は、音声出力部50で障害内容を示す第2の音声メッセージ出力指示を受け付けることが可能な期間中、LED22の点灯、点滅、明滅などにより第2の操作、即ち長押操作が受付可能である旨を示す表示を行い、これを見てユーザは必要な場合に多機能スイッチ20を長押操作して障害内容を知ることができる。
【0057】
また電話問い合わせを受けた販売店担当者等は、その表示中に長押し操作をすれば障害内容を知ることが出来る旨をユーザに知らせることで、不慣れなユーザにも確実に確認を行わせることができる。
【0058】
なお、点検実行により判定された障害状態がその後解消している場合には、多機能スイッチ20を操作した時に、例えば「障害は解消しました」等のメッセージを出力して障害復旧を知らせるようにしても良い。
【0059】
図3は図2の実施形態における多機能スイッチ20の操作、操作に対応した実行機能、操作可能受付表示、および結果報知に係る各音声メッセージの関係を一覧で示している。
【0060】
火災警報状態でないときの多機能スイッチ20による第1の操作と、第2の操作としての長押操作とに対応した実行機能としてはそれぞれ、点検実行と実行結果出力、障害内容出力となる。
【0061】
多機能スイッチ20の第1の操作受付可能表示としてはLED22を消灯し、また多機能スイッチ20の第2の(長押)操作受付可能表示としてはLED22を点灯、点滅または明滅する。多機能スイッチ20の第1の操作に対応して出力される第1の音声メッセージとしては、正常時には「正常です」、一方障害時には「ピッ 故障です」となる。
【0062】
多機能スイッチ20の第2の操作に対応して出力される音声メッセージは、故障内容を示す「ピッ センサ故障です」、「ピッ 回路故障です」、「ピッ 感度異常です」、「ピッ その他の故障です」といった内容となる。このような故障箇所を示す以外に、更に詳細な障害情報を出力するようにしても良い。また、第2の操作を受け付けた際に、再度点検を実行しても良い。このとき異常が解消して正常となっていれば「ピッ 正常です」、引き続き異常が検出されれば障害の内容に対応して「ピッ ○○故障(障害)です」の音声メッセージを出力するようにすれば良い。
【0063】
また、複数の障害が発生している場合には、第2の音声メッセージとしてそれぞれに対応する障害内容を示す音声メッセージを連続して出力するようにすれば良い。
【0064】
図4及び図5は図2の住警器10における処理動作を例示したフローチャートである。図4において、住警器10の電池電源38による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化および自己診断を実行し、異常がなければステップS2に進み、火災検出の有無を判別し、火災検出を判別するとステップS3に進み、スピーカ44からの音声メッセージとLED22の点灯による表示とによる火災警報を出力する。
【0065】
続いてステップS5で多機能スイッチ20の操作有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS6でスピーカ44からの警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯することにより、火災警報を停止する。即ち、このとき多機能スイッチ20は警報停止スイッチとして機能する。なお、警報停止処理のうち、LED22の消灯は警報音の出力停止から所定時間経過後に行っても良い。
【0066】
またステップS5でスイッチ操作が判別されない場合はステップS7で火災復旧の有無を監視しており、検煙部16からの煙検出信号が低下して火災状態が解消し、火災復旧が判別されると、ステップS6に進んで上記同様に火災警報を停止することになる。
【0067】
続いて図5のステップS8で多機能スイッチ20のスイッチ操作を判別してステップS9に進み、検煙部16の故障の有無、回路故障の有無、感度異常の有無、その他障害の有無等の点検を実行し、ステップS10で点検結果を取得する。
【0068】
続いてステップS11で点検結果が正常であることを判別した場合はステップS12に進み、点検正常を示す音声メッセージ(第1の音声メッセージ)を出力する。
【0069】
一方、ステップS11で障害発生を判別した場合、ステップS13に進んで障害内容を示す情報(障害情報40)をメモリ34に格納すると共に障害発生メッセージ(第1の音声メッセージ)を出力した後、ステップS14でLED22の点灯、点滅、又は明滅による多機能スイッチ20の長押操作(第2の操作)の受付可能表示を行う。
【0070】
続いてステップS15で多機能スイッチ20の長押操作(第2の操作)を判別するとステップ16に進み、メモリ34に記憶してしる障害情報40を読み出し、図3の一覧に示した障害内容(障害情報40)に対応した音声メッセージ(第2の音声メッセージ)をスピーカ44から出力し、ユーザに障害内容を知らせる。
【0071】
なお、上記の実施形態は多機能操作装置として住警器を例にとるものであったが、これに限定されず、操作部の第1の操作により点検実行と点検結果の出力を実行し、別の第2の操作により点検結果で得られた故障内容を出力するようにした適宜の装置や機器にそのまま適用できる。
【0072】
また、ややコストが高くなるが例えば第1の操作用のスイッチと第2の操作用のスイッチとを別々に設け、各スイッチの操作が受付可能である旨を表示する表示部を共用とする場合には、同様の効果が得られる。
【0073】
また、上記の実施形態は火災を検出して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、防犯用警報器等各種の警報器についても同様に適用できる。
【0074】
また、上記の実施形態は住警器単独で設置して使用するスタンドアローン型を例にとるものであったが、無線等を利用する通信部を備え、他の住警器との間でイベント信号を送受信して連動警報を行う連動型の住警器にも、そのまま適用できる。
【0075】
また、上記の実施形態では住警器の点検指示と点検結果の報知、そして障害内容確認の受付に係る表示を例に取ったが、これ以外の機能についても同様の操作受付可能表示を行うことで、操作を判りやすくすることができる。
【0076】
また、上記の実施形態で多機能スイッチ20として示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良く、特許請求の範囲に於ける「操作部」はこれら他の手段や方法を含む。
【0077】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
【0078】
また、警報器の規格等によっては、上記実施形態のLEDによる表示が「警報」と認められない場合があるが、本発明では規格上「警報」に含まれるか否かに関わらず、警報表示、警報に伴う表示、または単に表示として記載している。本発明の目的を達成できるものであれば、どのような表示手段を用いても構わない。そして、表示部は警報器と別体に設けられていても良い。
【0079】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0080】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報処理部を別体とした警報器であっても良い。
【0081】
また、少なくとも第1の音声メッセージは、それに代えて例えば「ピッ」音やブザー音等としても良い。
【0082】
本発明の多機能操作装置の操作受付可能報知(操作待機状態報知)は、発音(音響出力)によらず表示によることを主旨とするが、この表示と併せて、ごく小音量での発音や長周期の間欠的な発音など、電力消費が問題とならない程度の発音を行っても良い。発音の内容は任意であり、例えば「ピッ」としても良いし、第1の音声メッセージや第2の音声メッセージと同様の内容としても良い。ここで第2の操作が行われた場合には、少なくとも第2の音声メッセージにつき所定以上の音量で発音を行う。
【0083】
また、本発明の第2の操作は長押し等の押分により第1の操作と異ならせることを必須の要件としないが、押分けを行わせる場合に、その押分操作の識別、即ち押分けによる特殊操作(例えば長押し)のみが受付可能な状況であることの告知を目的として第2の操作受付可能表示を行う場合には、通常の発音を使用しても良い。即ち「長押し操作を行って下さい」等の音声メッセージを通常音量で繰り返し出力しても良い。この場合でも、表示により操作を判りやすくするという、本願の目的の一部を達成することができる。これにより特に、聴覚的なハンディキャップを持つユーザには、本発明の目的に沿って、視覚によって操作が判りやすくなる。
【0084】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、特に表示により複数の操作要求を識別できるようにするという目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0085】
10:住警器
12:カバー
14:本体
15:取付フック
16:検煙部
18:音響孔
20:多機能スイッチ
22:LED
24:プロセッサ
26:センサ部
28:報知部
30:操作部
34:メモリ
36:移報回路部
38:電池電源
40:障害情報
44:スピーカ
46:警報処理部
48:点検処理部
50:音声出力制御部
52:操作受付処理部
54:機能制御部
56:表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から指示入力を行う操作部と、
外部に情報を報知する報知部と、
点検を実行する点検処理部と、
前記点検処理部で実施した点検結果として前記報知部から正常又は障害発生を示す第1の音声メッセージと障害内容を示す第2の音声メッセージを出力する音声出力制御部と、
前記操作部の第1の操作および第2の操作の入力を受付ける操作受付処理部と、
前記操作受付処理部で受け付けた第1の操作の入力に対応して前記点検処理部に点検の実行を指示すると共に点検結果に基づき前記音声出力部を介して前記報知部から第1の音声メッセージを出力させ、前記操作受付処理部で受け付けた第2の操作の入力に対応して前記音声出力制御部を介して前記報知部から第2の音声メッセージを出力させる機能制御部と、
前記操作受付処理部で前記第2の音声メッセージ出力指示を受け付けることが可能な期間中、前記第2の操作が受付可能である旨を示す表示を行う表示制御部と、
を備えたことを特徴とする多機能操作装置。
【請求項2】
請求項1記載の多機能操作装置に於いて、前記操作部の第1の操作と第2の操作を異ならせたことを特徴とする多機能操作装置。
【請求項3】
請求項1記載の多機能操作装置に於いて、前記表示制御部は、前記点検処理部の点検実行により障害を検出した場合に、前記第2の操作が受付可能である旨を示す表示を行なうことを特徴とする多機能操作装置。
【請求項4】
操作部の操作に応じて異なる情報を音響出力する警報器に於いて、音響出力される情報の内容に対応する操作部の操作待機状態で、それぞれ異なる表示を行うことを特徴とする警報器。
【請求項5】
請求項4記載の警報器に於いて、前記音響出力される情報の内容に対応する操作部の操作待機状態で受け付けられる操作は、それぞれの待機状態毎に異なることを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−221593(P2011−221593A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86708(P2010−86708)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】