説明

多環式芳香族化合物を含有する感光性光電子デバイス

副構造が少なくとも1つのアルキニル基で直接置換された、少なくとも1種の多環式芳香族副構造を含有する少なくとも1種の化合物を含む感光性光電子デバイスが開示される。該デバイスは、高い安定度を示す。1つの態様において、デバイスは太陽光発電に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多環式芳香族化合物を含有する感光性光電子デバイスおよびそれらの製造方法に関する。1つの態様において、感光性デバイスは、太陽電池に適用される光電池デバイスである。別の態様において、感光性デバイスは光伝導性デバイスまたは光検出器である。
【背景技術】
【0002】
固体ヘテロ接合、例えばp−型およびn-型半導体間のpn接合などは、現代の電子工学において広く用いられている。太陽電池は、光を電力へと変換するために最適化された大面積pn接合フォトダイオードである。現在のところ、太陽電池は、常套の無機半導体材料、例えばシリコン、ガリウム、カドミウム、硫化物などから製造されている。これらの材料を用いる太陽電池の製造コストは、高真空処理を必要とすることに起因して高価であるので、それらの使用には制限がある。
【0003】
近年、電子デバイス用途におけるpn接合に関する、有機p-型およびn-型半導体材料についての研究が注目されている。有機材料を用いて構成される光電子デバイスは、様々な理由に起因して、その所望用途が増加している。このようなデバイスを製造するのに使用される材料の多くは、比較的安価であるので、有機光電子デバイスは、無機デバイスと比べて、コスト面で優位に立つ可能性がある。さらに、有機材料の固有特性、例えばそれらの柔軟性などは、特定の用途、例えば可撓性基板の製造などに対しても適当である。有機光電子デバイスの例には、有機発光素子(OLED)、有機トランジスタ/光トランジスタ、有機太陽電池、および有機光検出器が含まれる。OLED向けの有機材料は、常套の(すなわち無機)材料と比べて有利な性能を有している。例えば、一般的に、光を放射する有機放出層での波長は、直ちに適当なドーパントと同調し得る。有機トランジスタ/光トランジスタの場合、基板の上方に構築させるそれらは、柔軟性を備えることができるので、工業および商業における幅広い用途をもたらす。しかしながら、商業的に実現可能な有機材料に基づく太陽電池を製造する場合における鍵となる要因は、出力効率を向上させることである。
【0004】
「有機」という用語には、光電子デバイスを含む有機デバイスを製造するのに使用できるポリマー材料および低分子有機材料が含まれる。「低分子」とは、ポリマーではない任意の有機材料に関し、「低分子」は、実際のところ極めて大きくてもよい。低分子は、状況応じて繰返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を使用することは、「低分子」という分類からそのような分子を除外しない。また、低分子は、例えば、ポリマー骨格におけるペンダント基として、または骨格の一部としてポリマー内に包含されてもよい。また、低分子は、コア部分の上に化学シェルを構築する系を構成するデンドリマーのコア部分として機能してもよい。一般に、低分子は、明確に定義された分子量を有する。一方、一般に、ポリマーは明確に定義された分子量を有さない。
【0005】
低分子量有機薄膜製の光検出器および太陽電池に関する一般的な背景情報は、Peumans等による「低分子量有機薄膜光検出器および太陽電池」Journal of Applied physics-Applied Physics Reviews-Focused Review、第93巻、第7号、第3693頁〜第3723頁(2003年4月)において記載されている。
【0006】
光電子デバイスは、電磁放射を電子的に形成するか検波する、あるいは周囲の電磁放射から電気を生成する材料の光学特性と電子特性に依存する。感光性光電子デバイスは、電磁放射を電気へと変換する。感光性光電子デバイスの1種である光電池(PV)デバイスまたは太陽電池は、電力を生成するために特に使用されている。太陽光以外の光源から電力を生成できるPVデバイスは、例えば点灯、加熱を行うために消費される負荷への駆動力、または電子装置、例えばコンピューター若しくは遠隔モニタリング装置若しくは通信装置を操作するための駆動力に使用される。また、これらの電力生成アプリケーションは、太陽または他の周辺光源から直接照度が得られない際においても装置作動を連続させるために、バッテリーまたは別のエネルギー貯蔵装置の充電を含む場合がある。本発明において使用される「負荷抵抗」という用語は、任意の電力消費または貯蔵装置、機器、またはシステムに言及する。別の種類の感光性光電子デバイスは、光導電体セルである。この機能において、信号検出回路はデバイス抵抗を観測することにより、光の吸収に起因する変化を検出する。感光性光電子デバイスの別の種類は、光検出器である。作動に際し、光検出器は印加電圧を有し、光検出器が電磁放射に曝される場合、電流検出回路は発生した電流を測定する。ここで記載されるような検出回路は、光検出器に対してバイアス電圧を付与することができと共に、周囲の電磁放射に対する光検出器の電子応答を測定できる感光性光電子デバイスのこれら3種の分類は、下記のような整流接合が存在するかどうかにより分類でき、また、バイアス若しくはバイアス電圧として既知の、外部からの印加電圧でデバイスが操作されるかどうかにより分類できる。光導電体セルは整流接合を有さず、一般にバイアスで操作される。PVデバイスは、少なくとも1つの整流接合を有し、バイアスで操作されない。光検出器は少なくとも1つの整流接合を有し、通常、しかし常にそうではないが、バイアスで操作される。
【0007】
電気活性デバイス、例えば光電池などにおいて提案されている有機半導体材料は、混合物またはブレンドから調製される材料も含む。あるブレンドは、ポリマーフラーレンブレンドを含有している。しかしながら、以前提案された材料は、0.5%よりも高い電力変換をもたらしていない。ブレンドさせたデバイスにおける現段階での問題には、キャリア移動度の削減、電荷捕獲密度の増加、および高い結晶化度、オーダーおよび高純度をもたらすことの困難さが含まれる。現在使用される低分子は、デバイス中で使用される別の材料と高い反応性を示してしまうので、光安定性が乏しい(それらは、光で分解する)。
【0008】
供与体材料として交互多環ベンゾノイド芳香族誘導体ペンタセンを用いて製造された多層ヘテロ接合太陽電池が開示されており、短絡条件にて、0.58%の最大外部量子効率で操作される(Applied physics Letters,2004年、第85巻、第5427頁〜第5429頁)。供与体材料として、交互多環ベンゾノイド芳香族誘導体6,13-ビストリイソプロピルエチニルペンタセンを用いて製造された多層ヘテロ接合太陽電池が開示されており、0.52%の電力変換効率で操作する(M.T.Lloyd, A.C.Mayer, A.S.Tayi, A.M.Bowen, T.G.Kasen, D.J.Herman, D.A.Mourey, J.E. Anthony, G.G.Malliaras, Organic Electronics, 2006年、第7巻、第243頁〜第248頁)。置換基としてトリイソプロピルシリルエチニル基を含有する別のペンタセン誘導体も、ヘテロ接合有機光起電性装置における電子供与材料として使用されており、それは、最大0.74%の電力変換効率で操作されることが報告されている(L.C.Palilis, P.A.Lane, G.P.Kushto, B. Purushothaman, J.E. Anthony, Z.H.Kafifi, Organic Electronics,2008年、第9巻、第747頁〜第752頁)。電子供与ペンタセン誘導体および電子受容フラーレン誘導体から製造される太陽電池の性能は、ペンタセン誘導体がフラーレン誘導体と環化付加し、電気活性を付与する化合物が利用できなくなるといった傾向により、損なわれている(G.P.Miller, J.Briggs, J.Mack, P.A.Lloyd, M.M.Olmstead, AL.Balch, Organic Letters,2003年、第5巻、第4199頁〜第4202頁;M.T.Lloyd, J.E.Anthony, G.G.Malliaris, Materials Today,2007年、第10巻、第34頁〜第41頁)。
【0009】
国際特許出願公開第2009/130991号A1明細書は、下記式で表わされる有機薄膜太陽電池材料を開示する:
【0010】
【化1】

式中、R〜R14は水素およびハロゲン、C-C40アルキル、C2-40アルケニル、C-C40アルキニル、C-C40アリール、C-C40ヘテロアリール、C-C40アルコキシ、アルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアリールオキシであることができる。
【0011】
しかし、限られた数の化合物のみが調製され、感光性デバイスにおいて試験されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許出願公開第2009/130991号A1明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Peumans等による「低分子量有機薄膜光検出器および太陽電池」Journal of Applied physics-Applied Physics Reviews-Focused Review、第93巻、第7号、第3693頁〜第3723頁(2003年4月)
【非特許文献2】Applied physics Letters,2004年、第85巻、第5427頁〜第5429頁
【非特許文献3】M.T.Lloyd, A.C.Mayer, A.S.Tayi, A.M.Bowen, T.G.Kasen, D.J.Herman, D.A.Mourey, J.E. Anthony, G.G.Malliaras, Organic Electronics, 2006年、第7巻、第243頁〜第248頁
【非特許文献4】L.C.Palilis, P.A.Lane, G.P.Kushto, B. Purushothaman, J.E. Anthony, Z.H.Kafifi, Organic Electronics,2008年、第9巻、第747頁〜第752頁
【非特許文献5】G.P.Miller, J.Briggs, J.Mack, P.A.Lloyd, M.M.Olmstead, AL.Balch, Organic Letters,2003年、第5巻、第4199頁〜第4202頁
【非特許文献6】M.T.Lloyd, J.E.Anthony, G.G.Malliaris, Materials Today,2007年、第10巻、第34頁〜第41頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、より高い電力変換効率を有する感光性光電子デバイスをもたらすことが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による第1態様においては、
少なくとも1つの多環式芳香族副構造を含有する少なくとも1種の化合物を含む感光性光電子デバイスが提供される。なお、該多環式芳香族副構造の環原子のうちの少なくとも2つは、それぞれ3つの環に共有され、該化合物は、少なくとも1つのアルキニル基で直接的に置換される。「少なくとも1種のアルキニル基で直接置換される」ことは、アルキニル基の炭素-炭素三重結合における1つの炭素原子を、化合物と直接的に結合させることを意味する。
【0016】
本発明のこの態様における好ましい形態において、化合物は少なくとも2つのアルキニル基で置換され、アルキニル基のうちの少なくとも2つは、非隣接の置換位置に位置する。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの多環式芳香族副構造は、少なくとも5個の芳香族環、より好ましくは少なくとも6個の芳香族環を有する。
【0018】
本発明のこの態様における1実施態様において、化合物を、ハロゲン、ニトリル、および所望により置換した下記の基から成る群から選択される付加的な置換基でさらに置換してもよい:アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アルケニル、アリール、アリオキシ(aryoxy)、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリルまたはトリアリールシリル。
【0019】
本発明のこの態様における別の実施態様において、多環式芳香族副構造は、交互多環式ベンゼノイド芳香族環系を含有する。好ましくは、交互多環式ベンゼノイド芳香族環系は、以下のものから成る群から選択される副構造テンプレートを含有する:
【0020】
【化2】

副構造テンプレート1
【0021】
【化3】

副構造テンプレート2
【0022】
【化4】

副構造テンプレート3
【0023】
副構造テンプレートを用いる本発明の実施態様に関して、交互多環式ベンゼノイド芳香環系は、より大きな多環芳香族配列の一部において、テンプレート1〜3のうちの少なくとも1つを含有する。特に好ましい、上記副構造テンプレートを含有する交互多環式ベンゼノイド芳香環系は下記で表わされる。
【0024】
【化5】

環系1
【0025】
【化6】

環系2
【0026】
【化7】

環系3
【0027】
【化8】

環系4
【0028】
【化9】

環系5
【0029】
【化10】

環系6
【0030】
【化11】

環系7
【0031】
【化12】

環系8
【0032】
好ましくは、アルキニル置換基は、-C≡C-X(R)で表わされ、式中、Xは、元素周期表のIIIa〜VIb群から選択される原子であり、nは1〜v-1(vはXの原子価である)の整数を示し、Rは、水素、および所望により置換した下記の基から成る群から相互に独立して選択される:アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリルおよびトリアリールシリル。
【0033】
本発明のこの態様における別の実施態様において、化合物は、ベンゼノイド環に加えて更なる環を含有する副構造、またはベンゼノイド環に代わる環を含有する副構造を含有してもよい。
【0034】
1つの態様において、副構造は以下の構造を有してもよい:
【0035】
【化13】

ただし、アルキニル置換基-C≡C-X(R)がこの構造の周縁炭素原子に存在する場合、Xは炭素原子を示さない。
【0036】
本発明のこの態様における別の好ましい実施態様において、化合物は感光性化合物である。感光性に起因して、化合物は、該化合物が使用される任意の適当なデバイスの光電流に寄与できる。
【0037】
本発明の1態様において、化合物はデバイス内のp-型特性を示してもよい。本発明による交互形態において、化合物はデバイス内でn-型特性を示してもよい。
【0038】
更に好ましい実施態様において、デバイスは電子供与体または電子受容体として機能できる1以上の種を含有してもよい。
【0039】
更に好ましい実施態様において、化合物は、他のデバイス成分と化学反応(特に炭素-炭素結合を生成する反応)をおこなわない。
【0040】
デバイスの他の成分には、フラーレンまたはフラーレン誘導体を含んでもよい。有利には、化合物は、フラーレンまたはフラーレン誘導体と化学反応(例えば環化付加反応など)をおこなわない。
【0041】
1つの態様において、デバイスは光起電性デバイスであってもよい。別の態様において、デバイスは光伝導性デバイスであってもよい。更なる態様において、デバイスは光検出器であってもよい。
【0042】
デバイスは、1対の電極と、該電極間に感光性半導体層を1層以上具備してもよい。好ましくは、感光性材料製の複数の半導体層のうち少なくとも1層、または感光性材料製の半導体層は、感光性で光電流に寄与する、本明細書において定義されるような少なくとも1種の化合物を含有する。
【0043】
デバイスは、半導体材料製の少なくとも2層を電極間に具備してもよく、該層はヘテロ接合を形成し、好ましくは、該層のうちの少なくとも1つは、本明細書において定義されるような少なくとも1種の化合物を含む感光性の半導体材料を含有する。
【0044】
少なくとも2つの層の各々は、本明細書において定義されるような少なくとも1種の成分を含有してもよい。
【0045】
デバイスは光電流を少なくとも部分的に生成することに加えて更なる機能を有するか、またはその代わりの別の機能を有する、本明細書に記載されるような少なくとも1種の化合物を含有する1種以上の層(例えば電荷移動層)を具備してもよい。
【0046】
別の実施態様において、感光性の半導体層または複数の半導体層のうち少なくとも1層は、本明細書において定義されるような化合物の混合物またはブレンドと、別の有機半導体材料を含んでもよい。
【0047】
1つの態様において、本発明は、バルクヘテロ接合させた太陽電池における、電子受容性誘導体(例えばフラーレンまたは電子受容性フラーレン誘導体など)とのブレンドを含有する層状ヘテロ接合型の太陽電池の製造に有用な、可溶性の溶液で有利に処理でき及び/または有利に真空蒸着させることができる電子供与性ポリマー化合物を提供する。
【0048】
化合物は、有利に安定出来ると共に、有利な層状構造を提供できる。
【0049】
1つの態様において、本発明は、デバイス中において、多環式芳香族炭化水素化合物が他の成分と、炭素-炭素結合を生成するような化学反応をおこなわない、バルクヘテロ接合を具備する少なくとも1つの層を備える光起電性デバイスを提供する。有利には、多環式芳香族炭化水素化合物が、フラーレン誘導体と、炭素-炭素結合を生成する化学反応、例えば環化付加反応などを行わないように、電子供与性の多環式芳香族炭化水素化合物を、1種以上の電子受容性フラーレン誘導体とバルクヘテロ接合層中で混合させてもよい。
【0050】
別の態様において、本発明は、他の成分と化学的に反応し、例えば炭素-炭素結合を生成しない、他の化合物と共に層状ヘテロ接合デバイス構造において使用される多環式芳香族炭化水素化合物を提供する。例えば、多環式芳香族炭化水素化合物はフラーレン誘導体と共に層状ヘテロ接合において使用され、多環式芳香族炭化水素化合物とフラーレン誘導体は、炭素-炭素結合を生成するような化学反応をおこなわない。
【0051】
本発明の更なる態様においては、太陽光発電における光起電性デバイスの使用を提供する。
【0052】
本発明は、溶液で処理できる及び/または真空蒸着できる低分子に由来する、高効率ヘテロ接合太陽電池を提供する。このような電池は、多種多様の光起電性用途において有用である。
【0053】
この明細書を通じて、「含有する」若しくは「具備する」または文法的に変化させた用語の使用は、定められた特徴、整数、工程または成分の存在を明記するために使用されるが、このことは、具体的に記載されない1以上の別の特徴、整数、工程、成分またはそれらの基の存在または添加を排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明は添付の図面を言及することによって説明できる。
【図1】図1(a)および(b)は、本発明の化合物を含有する1つの層を具備する二層構造の断面図を示す。
【図2】図2(a)および(b)は、2つの感光性層を具備する二層構造の断面図を示す。
【図3】図3(a)および(b)は、少なくとも1つの感光性層を具備する三層構造の断面図を示す。
【図4】図4(a)および(b)は、材料の混合物またはブレンドから形成された単一の感光性層を具備する構造の断面図を示す。
【図5】図5は、混合5分後における、TIPSPEN/PCBMの混合物のH-NMRスペクトルを示す。
【図6】図6は、混合24時間後における、TIPSPEN/PCBMの混合物のH-NMRスペクトルを示す。
【図7】図7は、混合24時間後、50℃で30分間超音波処理を施した、TIPSPEN/PCBMHNMRの混合物のH-NMRスペクトルを示す。
【図8】図8は、混合5分後における、化合物1/PCBMHNMRの混合物のH-NMRスペクトルを示す。
【図9】図9は、混合24時間後における、化合物1/PCBMHNMRの混合物のH-NMRスペクトルを示す。
【図10】図10は、混合24時間後、50℃で30分間超音波処理を施した、化合物1/PCBMHNMRの混合物のH-NMRスペクトルを示す。
【図11】図11は、デバイスに関するI-V曲線およびIPCEスペクトルを表わす。
【図12】図12は、デバイスに関するI-V曲線およびIPCEスペクトルを表わす。
【図13】図13は、デバイスに関するI-V曲線およびIPCEスペクトルを表わす。
【発明を実施するための形態】
【0055】
1つの態様において、本発明は、多環式芳香族環系から誘導される化合物を含有し、光に対する電気的応答を生じさせるデバイスを提供する。
【0056】
本発明によるデバイスは、交互多環式ベンゼノイド芳香環系から誘導される少なくとも1つの化合物を含有でき、この場合において、交互多環式芳香族環系を形成するベンゼン環の数が少なくとも6個であり、交互多環式ベンゼノイド芳香環系は下記のものから成る群から選択される副構造テンプレートを含有すると共に、
【0057】
【化14】

副構造テンプレート1
【0058】
【化15】

副構造テンプレート2
【0059】
【化16】

副構造テンプレート3
【0060】
交互多環式芳香族環系は下記の式で表わされる1以上のアルキニル置換基で置換される:
【0061】
【化17】

式中、アルキニルキャッピング基Rは、水素、および所望により置換した下記の基から成る群から、相互に独立して選択される:アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリルおよびトリアリールシリル。なお、交互多環式芳香族環系を、ハロゲン、ニトリル、および所望により置換した下記の基から成る群から選択される付加的な置換基でさらに置換してもよい:アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリオキシ(aryoxy)、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリルおよびトリアリールシリル。
【0062】
本発明による1つの好ましいデバイスは、下記の群から選択される交互多環式芳香族環系を含有する少なくとも1つの化合物を含有する。
【0063】
【化18】

環系1
【0064】
【化19】

環系2
【0065】
【化20】

環系3
【0066】
【化21】

環系4
【0067】
【化22】

環系5
【0068】
【化23】

環系6
【0069】
【化24】

環系7
【0070】
【化25】

環系8
【0071】
本発明をより十分に理解するために、下記の説明がもたらされる。ここで使用されるように、以下の用語は、他に記載のない限り、下記の定義のように使用される。
【0072】
本明細書において、「多環式芳香族副構造」は、環の頂点原子(vertex atom)として炭素原子のみを含有する、融合多環式芳香族配列を意味する。多環式芳香族副構造は、同一数の炭素原子を有する環または異なる数の炭素原子を有する環を含有してもよい。
【0073】
「交互多環式ベンゼノイド芳香環系」は、融合した六員環のベンゼノイド環のみを含有する多重環系である。交互多環式ベンゼノイド芳香環系の例は、アントラセン、テトラセン、クリセン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、ピラントレン、ビオラントレン、トリフェニレン、オバレンおよびコロネンである。
【0074】
「所望により置換された」という用語は、任意の可能な位置において、官能基を置換するかまたは非置換とすることを意味する。置換は、ほんの数例の官能基を挙げるとすれば、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ホルミル、アルカノイル、シクロアルカノイル、アロイル、ヘテロアロイル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロシクリルアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルカノエート、シクロアルカノエート、アリールオエート、ヘテロシクリルオエート、ヘテロアリールオエート、アミノ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロアリールアミノ、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロシクリルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ニトロ、チオール、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロシクリルスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロシクリルスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアリール、ハロヘテロシクリル、ハロヘテロアリール、ハロアルコキシ、およびハロアルキルスルホニルで行われる。
【0075】
好ましくは、上述の所望により置換される基は、以下のサイズ領域を有する:(C〜C30)アルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C30)アルキニル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C10)シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、(C〜C20)アルカノイル、アロイル、ヘテロシクロイル、ヘテロアロイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、(C〜C20)アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロシクリルアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、(C〜C30)アルコキシ、(C〜C30)アルケニルオキシ、(C〜C10)シクロアルコキシ、(C〜C10)シクロアルケニルオキシ、(C〜C30)アルコキシ(C〜C30)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C〜C20)アルカノエート、アリールオエート、ヘテロシクリルオエート、ヘテロアリールオエート、(C〜C20)アルキルアミノ、(C〜C20)アルケニルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロアリールアミノ、(C〜C20)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロシクリルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、(C〜C30)アルキルチオ、(C〜C30)アルケニルチオ、(C〜C10)シクロアルキルチオ、(C〜C10)シクロアルケニルチオ、アリールチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、(C〜C10)アルキルスルフィニル、(C〜C30)アルケニルスルフィニル、(C〜C10)シクロアルキルスルフィニル、(C〜C10)シクロアルケニルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロシクリルスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、(C〜C30)アルキルスルホニル、(C〜C30)アルケニルスルホニル、(C〜C10)シクロアルキルスルホニル、(C〜C10)シクロアルケニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、(C〜C30)ハロアルキル、(C〜C30)ハロアルケニル、(C〜C30)ハロアルキニル、(C〜C30)ハロアルコキシ、(C〜C30)ハロアルケニルオキシ、(C〜C30)ハロアルキルカルボニルアミノ、(C〜C30)ハロアルキルチオ、(C〜C30)ハロアルキルスルフィニル、および(C〜C30)ハロアルキルスルホニル。
【0076】
単独または化合物で使用される「アルキル」は、例えば、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロアルキルなどを表わし、1〜約30個、またはそれ以上の範囲で炭素原子を有する直鎖状若しくは分岐鎖状炭化水素を示す。したがって、アルキル基には、これらに限定されないが、例えば1〜約12個またはそれ以上の範囲で炭素原子を有する基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピルおよび/またはブチル、ペンチル、ヘキシル、ならびに、例えば、約6個〜約20個またはそれ以上の範囲で炭素原子を有するそれらの直鎖状若しくは分岐鎖状炭化水素を含む高級異性体などである。
【0077】
単独または化合物で使用される「アルケニル」は、例えばアルケニルオキシまたはハロアルケニルなどを表わし、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖状若しくは分岐鎖状炭化水素を示し、これらに限定されないが、2〜約20個またはそれ以上の範囲で炭素原子を有する基、例えば、メチレン、エチレン、1-プロペニル、2-プロペニル、および/またはブテニル、ペンテニル、へキセニル、ならびに、例えば、約6個〜約20個またはそれ以上の範囲で炭素原子を有するそれらの直鎖状若しくは分岐鎖状炭化水素を含む高級異性体などである。
【0078】
単独または化合物で使用される「アルキニル」は、例えばアルキニルオキシなどを表わし、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する直鎖状若しくは分岐鎖状炭化水素を示し、これらに限定されないが、例えば、2〜約20個またはそれ以上の範囲で炭素原子を有する基、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、および/またはブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、並びに例えば、約6個〜約20個またはそれ以上の範囲で炭素原子を有するそれらの直鎖状若しくは分岐鎖状炭化水素を含む高級異性体などである。
【0079】
「シクロアルキル」は、例えば約3〜約20個の範囲の炭素原子から構成される単環式または多環式炭素環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表わす。シクロアルキルオキシという用語は、酸素原子を介して結合させた同一群、例えばシクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシなどを表わす。シクロアルキルチオは、硫黄原子を介して結合させた同一群、例えばシクロペンチルチオおよびシクロヘキシルチオなどを表わす。
【0080】
「シクロアルケニル」は、非芳香族の単環状または多環状環系、例えば少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する約3個から約20個の炭素原子から構成されるもの、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル若しくはシクロへプテニル表わす。用語「シクロアルケニルオキシ」は、酸素原子を介して結合させた同一群、例えばシクロペンテニルオキシおよびシクロへキセニルオキシなどを表わす。用語「シクロアルケニルチオ」は、硫黄原子を介して結合させた同一群、例えばシクロペンテニルチオおよびシクロへキセニルチオなどを表わす。
【0081】
用語「炭素環式」および「カルボシクリル(carbocyclyl)」は、環系、例えば置換可能な環および/または縮合環を備えることができる、約3個〜約100個の炭素原子から構成されるものを表わす。このような群の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、または完全または部分的に水素添加されたフェニル、ナフチルおよびフルオレニルが含まれる。
【0082】
単独または化合物で使用される「アリール」は、アリールアルキル、アリールオキシまたはアリールチオを表わし、(i)所望により置換される単環式または多環式の芳香族炭素環基、例えば、約6個〜約100個の炭素原子から構成されるもの、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラセニル、フルオレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、コロネニル、オバレニル、ピセニル、ピラントレニルなどを表わすか、(ii) 所望により置換される部分飽和炭素多環式芳香族環系などであり、該系において、アリールおよびシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基を相互に縮合させることで環状構造を形成するもの、例えばテトラヒドロナフチル、インデニル、若しくはインダニル環などを表わす。
【0083】
単独または化合物状で使用されるに関わらず、「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、例えばヘテロシクリルオキシなどを表わし、(i)所望により置換されるシクロアルキルまたはシクロアルケニル基、例えば、1または複数個のヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄を含有し得る約3〜約40員環から構成されるもの(例えば、ピロリジニル、モルフォリノ、チオモルフォリノまたは完全若しくは部分的に水素添加されたチエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジニル、チアジニル、ピリジル、アゼピニル);(ii) 所望により置換される部分飽和多環式系であって、該系においてアリール(若しくはヘテロアリール)環とヘテロ環基を相互に縮合させることにより環状構造を形成するもの(例えばクロマニル、ジヒドロベンゾフリルおよびインドリニル);または(iii)1以上の架橋を有する、所望により置換される完全または部分飽和の多環式縮合環系(例えば、キヌクリジニルおよびジヒドロ-1,4-エポキシナフチル)。
【0084】
単独または化合物状で使用されるに関わらず、「ヘテロアリール」は例えばヘテロアリールオキシを表わし、(i)所望により置換される単環式または多環式の芳香族有機基、例えば、環構成原子のうちの1つ以上が炭素以外の原子、例えば窒素、酸素または硫黄から構成される約5〜約40員環から構成されるもの;(ii)隣接した酸素および/または硫黄原子を含有しない環によりもたらされ、炭素環構造を遮断し、芳香族性を付与する十分量の非局在化pi電子を有するヘテロ原子。代表的な6員環ヘテロアリール基は、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジルおよびピリミジニルである。全ての位置異性体が考慮され、例えば2-ピリジル、3-ピリジルおよび4−ピリジルが含まれる。代表的な5員環ヘテロアリール環は、フリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアゾリル、チエニルおよびトリアゾリルである。全ての位置異性体が考慮され、例えば2-チエニルおよび3-チエニルが含まれる。代表的な二環式基は、上述のヘテロアリール基から誘導されるベンゾ縮合環系、例えば、ベンゾフリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、インドリル、インドリジニル、イソキノリル、キナゾリニル、キノリルおよびベンゾチエニルであり、または(ii)ヘテロアリールおよびシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基が相互に縮合されて環状構造を形成する、所望により置換される部分飽和多環式ヘテロアリール環系、例えばテトラヒドロキノリルまたはピリンジニル環など。
【0085】
「ホルミル」は-CHO基を表わす。
【0086】
「アルカノイル」は、アルキル基が上記により定義される-C(=O)-アルキル基を表わす。好ましくは、約C〜C30の範囲の大きさである。例えばアシルである。
【0087】
「アロイル」は、アリール基が上記により定義される-C(=O)-アリール基を表わす。好ましくは、約C〜C40の範囲の大きさである。例には、ベンゾイルおよび1-および2-ナフトイルが含まれる。
【0088】
「ヘテロシクロイル」は、ヘテロ環が上記により定義される-C(=O)-ヘテロシクリル基を表わす。好ましくは、約4〜40員環の範囲の大きさである。
【0089】
「ヘテロアロイル」は、ヘテロアリール基が上記により定義される-C(=O)-ヘテロアリール基を表わす。好ましくは、約6〜40員環の範囲の大きさである。例えば、ピリジルカルボニルである。
【0090】
「カルボキシル」は、-COH基を表わす。
【0091】
「オキシカルボニル」は、炭素原子を介して分子残鎖に結合させる、カルボン酸エステル基-CORを表わす。
【0092】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル基が上記により定義される-CO-アルキル基を表わす。好ましくは、約C〜C30の範囲の大きさである。例えば、メトキシ-およびエトキシカルボニルが含まれる。
【0093】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール基が上記により定義される-CO-アリール基を表わす。例えば、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが含まれる。
【0094】
「ヘテロシクリルオキシカルボニル」は、ヘテロシクリル基が上記により定義される-CO-ヘテロシクリル基を表わす。
【0095】
「ヘテロアリールオキシカルボニル」は、ヘテロアリール基が上記により定義される-CO-ヘテロアリール基を表わす。
【0096】
「アミノカルボニル」は、炭素原子を介して分子残鎖に結合させる、カルボン酸アミド基-C(=O)NHRまたは-C(=O)NRを表わす。
【0097】
「アルキルアミノカルボニル」は、Rが上記により定義されるようなアルキル基である-C(=O)NHR基または-C(=O)NR基を表わす。
【0098】
「アリールアミノカルボニル」は、Rが上記により定義されるようなアリール基である-C(=O)NHR基または-C(=O)NR基を表わす。
【0099】
「ヘテロシクリルアミノカルボニル」は、Rが上記により定義されるような複素環基である-C(=O)NHR基または-C(=O)NR基を表わす。ある実施態様において、NRは所望により置換される複素環である。
【0100】
「ヘテロアリールアミノカルボニル」は、R基が上記により定義されるようなヘテロアリール基である-C(=O)NHR基または-C(=O)NR基を表わす。ある実施態様において、NRは所望により置換されるヘテロアリール環である。
【0101】
「シアノ」は、-CN基を表わし、「ヒドロキシ」は、-OH基を表わす。
【0102】
「アルコキシ」は、アルキル基が上記により定義される-O-アルキル基を表わす。例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシおよび種々のブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシおよび高級異性体である。
【0103】
「アリールオキシ」は、アリール基が上記により定義される-O-アリール基を表わす。例えば、これらに限定されないが、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。
【0104】
「アルケニルオキシ」は、アルケニル基が上記により定義される-O-アルケニル基を表わす。例えば、アリルオキシである。
【0105】
「ヘテロシクリルオキシ」は、ヘテロシクリル基が上記により定義される-O-ヘテロシクリル基を表わす。
【0106】
「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール基が上記により定義される-O-ヘテロアリール基を表わす。例えばピリジルオキシである。
【0107】
「アルカノエート」は、Rが上記により定義されるアルキル基である-OC(=O)-R基を表わす。
【0108】
「アリールオエート」は、Rが上記により定義されるアリール基である-OC(=O)-R基を表わす。
【0109】
「ヘテロシクリルオエート」は、Rが上記により定義される複素環基である-OC(=O)-R基を表わす。
【0110】
「ヘテロアリールオエート」は、Rが上記により定義されるヘテロアリール基である-OC(=O)-R基を表わす。
【0111】
「スルホネート」は、酸素原子を介して分子残鎖に結合させる-OSOR基を表わす。
【0112】
「アルキルスルホネート」は、アルキル基が上記により定義される-OSO-アルキル基を表わす。
【0113】
「アリールスルホネート」は、アリール基が上記により定義される-OSO-アリール基を表わす。
【0114】
「ヘテロシクリルスルホネート」は、ヘテロシクリル基が上記により定義される-OSO-ヘテロシクリル基を表わす。
【0115】
「ヘテロアリールスルホネート」は、ヘテロアリール基が上記により定義される-OSO-ヘテロアリール基を表わす。
【0116】
「アミノ」は-NH基を表わす。
【0117】
「アルキルアミノ」は、Rが上記により定義されるようなアルキル基である-NHRまたはNR基を表わす。例えば、これらに限定されるものではないが、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソ-プロピルアミノおよび種々のブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノおよび高級異性体が含まれる。
【0118】
「アリールアミノ」は、Rが上記により定義されるようなアリール基である-NHRまたはNR基を表わす。例えばフェニルアミノである。
【0119】
「ヘテロシクリルアミノ」は、Rが上記により定義されるようなヘテロシクリル基である-NHRまたはNR基を表わす。ある実施態様において、NRは、所望により置換された複素環である。
【0120】
「ヘテロアリールアミノ」は、Rが上記により定義されるようなヘテロアリール基である-NHRまたはNR基を表わす。ある実施態様において、NRは、所望により置換されたヘテロアリール環である。
【0121】
「カルボニルアミノ」は、窒素原子を介して分子残鎖に結合させるカルボン酸アミド基-NHC(=O)Rを表わす。
【0122】
「アルキルカルボニルアミノ」は、Rが上記により定義されるようなアルキル基である-NHC(=O)R基を表わす。
【0123】
「アリールカルボニルアミノ」は、Rが上記により定義されるようなアリール基である-NHC(=O)R基を表わす。
【0124】
「ヘテロシクリルカルボニルアミノ」は、Rが上記により定義されるような複素環基である-NHC(=O)R基を表わす。
【0125】
「ヘテロアリールカルボニルアミノ」は、Rが上記により定義されるようなヘテロアリールである-NHC(=O)R基を表わす。
【0126】
「ニトロ」は、-NO基を表わす。
【0127】
「アルキルチオ」は、アルキル基が上記により定義されるような-S-アルキル基を表わす。例えば、これらのものに限定されないが、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソ-プロピルチオ、および種々のブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオおよび高級異性体が含まれる。
【0128】
「アリールチオ」は、アリール基が上記により定義されるような-S-アリール基を表わす。例えばフェニルチオおよびナフチルチオが含まれる。
【0129】
「ヘテロシクリルチオ」は、複素環基が上記により定義されるような-S-ヘテロシクリル基を表わす。
【0130】
「ヘテロアリールチオ」は、ヘテロアリール基が上記により定義されるような-S-ヘテロアリール基を表わす。
【0131】
「スルフィニル」は、硫黄原子を介して分子残鎖に結合させる-S(=O)R基を表わす。
【0132】
「アルキルスルフィニル」は、アルキル基が上記により定義されるような-S(=O)-アルキル基を表わす。例えば、チオアシルである。
【0133】
「アリールスルフィニル」は、アリール基が上記により定義されるような-S(=O)-アリール基を表わす。例えばチオベンゾイルである。
【0134】
「ヘテロシクリルスルフィニル」は、複素環基が上記により定義されるような-S(=O)-ヘテロシクリル基を表わす。
【0135】
「ヘテロアリールスルフィニル」は、ヘテロアリール基が上記により定義されるような-S(=O)-ヘテロアリール基を表わす。
【0136】
「スルホニル」は、硫黄原子を介して分子残鎖に結合させる-SOR基を表わす。
【0137】
「アルキルスルホニル」は、アルキル基が上記により定義されるような-SOアルキル基を表わす。
【0138】
「アリールスルホニル」は、アリール基が上記により定義されるような-SOアリール基を表わす。
【0139】
「ヘテロシクリルスルホニル」は、複素環基が上記により定義されるような-SOヘテロシクリル基を表わす。
【0140】
「ヘテロアリールスルホニル」は、ヘテロアリール基が上記により定義されるような-SOヘテロアリール基を表わす。
【0141】
単独または化合物状で使用されるに関わらず、用語「ハロ」は、ハロアルキル、ハロアルコキシまたはハロアルキルスルホニルなどを表現し、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。さらに、化合物で使用される場合、例えばハロアルキル、ハロアルコキシまたはハロアルキルスルホニルなどにおいて、アルキルは、それぞれ同一または異なるハロゲン原子で部分的に置換ハロゲン化されてもよく、または完全に置換されてもよい。ハロアルキルの例には、これらに制限されないが、-CHCHF-、CFCFおよびCHCHFClが含まれる。ハロアルコキシの例には、これらに制限されないが、-OCHF、-OCF、-OCHCCl、-OCHCFおよび-OCHCHCFが含まれる。ハロアルキルスルホニルの例には、これらに限定されないが、-SOCF、SOCCl、-SOCHCFおよび-SOCFCFが含まれる。
【0142】
本発明によるデバイスにおいて使用される化合物の一部は、1種以上の立体異性体として存在できる。種々の立体異性体には鏡像異性体、ジアステレオマー、および幾何異性体が含まれる。当業者は、立体異性体は他のものと比べてより活性であることが理解できる。さらに、当業者は、このような立体異性体の分離方法を既知である。従って、本発明は混合物、個々の立体異性体、および本明細書において記載された化合物の光学活性混合物を含有するデバイスを含む。
【0143】
本発明による好ましいデバイスは、以下の化合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する:
【0144】
【化26】

化合物1
【0145】
【化27】

化合物2
【0146】
【化28】

化合物3
【0147】
【化29】

化合物4
【0148】
【化30】

化合物5
【0149】
【化31】

化合物6
【0150】
【化32】

化合物7
【0151】
【化33】

化合物8
【0152】
【化34】

化合物9
【0153】
【化35】

化合物10
【0154】
【化36】

化合物11
【0155】
【化37】

化合物12
【0156】
【化38】

化合物13
【0157】
【化39】

化合物14
【0158】
【化40】

化合物15
【0159】
【化41】

化合物16
【0160】
あるいは、または更に、本発明によるデバイスは、種々の数の炭素原子を有する環を含有する多環式芳香族副構造から誘導される少なくとも1つの化合物を含有してもよい。
【0161】
例えば、本発明によるある好ましいデバイスは、下記化合物17を含有してもよい
【0162】
【化42】

化合物17
【0163】
多環式芳香族副構造を構成する環の数および大きさに関する多くのバリエーションが当業者により導かれることが評価されるであろう。
【0164】
デバイス構造
本発明によるデバイスにおける可能なデバイス構造は、2つの電極を具備できる。これらの電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に透明である。2つの電極の間は、本明細書に記載される化合物のうちの少なくとも1つを含有する化合物層または化合物の連続層の少なくとも1種が配置される。
【0165】
デバイスにおける吸収は、(光起電性デバイスに対する)太陽光に合わせて調整してもよく、用途に合わせて調整してもよい。例えば、太陽電池における吸収は、外観上の理由、例えば太陽電池として機能しつつも着色した壁としても機能する場合などに応じて調整できる。デバイスの吸収は、(光検出器における)検出源に合わせて調整してもよい。
【0166】
各層における材料は、例えば蒸着法または溶解法により堆積させることができる。
【0167】
各層および/または界面および/またはデバイス全体の内部構造または形態は、例えば、蒸着させる間のアニーリング/加熱、蒸着後のアニーリング/加熱、成分のうちの1つの選択的可溶性を増加させる揮発性添加剤の添加、または当業者に既知の他の方法などの技術により、最適化/変更できる。
【0168】
本発明において可能なデバイス構造の例は、付随する図面に示される。
【0169】
図1に関して、二層の感光性光電子デバイス100は、ヘテロ接合103にて接触する第1半導体層101と第2半導体層102から構成されるヘテロ接合デバイスを含むことが示される。ヘテロ接合デバイスは第1電極104および第2電極105の間に挟まれている。所望により、電荷移動層106、107または遮断層を、それぞれ、第1電極104と第1半導体層101の間および第2電極105と第2半導体層102の間に配置してもよい。
【0170】
第1半導体層101は、好ましくは上記のような化合物を含有する感光性層である。第1半導体層101は、電子受容(p-型)材料または電子供与(n-型)材料を含む第2半導体層と共に、電子供与(n-型)材料または電子受容(p-型)材料であってもよい。便宜上、図1に示されるように、第1層101の半導体材料は電子輸送性材料であり、第2層102の半電導性材料はホール輸送性材料である。第2半導体層102は、任意の種類の半導体材料を含有するが、好ましくは有機半導体材料、例えば、半導体ポリマー、半導体材料の低分子若しくは粒子若しくはナノ粒子などを含有する。
【0171】
変更した態様において、第2半導体層102と、所望による層106、107のうちの1層または少なくとも1層は、上記のような成分を含むことができ、それらの主な機能は光電流を生じさせることではなく、例えば電子輸送性若しくはホール輸送性または電荷移動性である。
【0172】
図1(a)は、E-Eよりも大きなエネルギーを備える光子110が層101中で吸収される場合における、励起子112の生成を示す。なお、Eは層101のバンドギャップであり、Eは励起子結合エネルギーである。励起子112は、該励起子112が分離され電子114とホール116を形成するヘテロ接合103へと拡散する。
【0173】
図1(b)に示されるように、電子114は陰極(カソード)104へと移動し、ホール116は正極(アノード)へ移動し、電流を生じさせる。
【0174】
図2における二層の感光性の光電子デバイス200は、図1と同様に、所望の電荷移動層/遮断層206、207と共に第1電極204と第2電極205の間に挟まれ、ヘテロ接合203で接触する、第1半導体層201と第2半導体層202から構成されるヘテロ接合デバイスを表わす。半導体層201および202が共に感光性層である点において、デバイス200は図1のデバイスと相違しており、好ましくはこれらの層の少なくとも1層、より好ましくはこれらの層の両方が本発明による化合物を含む。図示されるように、第1感光性層201は、励起子212を形成する波長の第1領域(例えばUV-可視)内で光子210を吸収する、電子輸送性材料である。第2感光性層202は、励起子222を形成する波長の第2領域(例えば赤外部)内で光子220を吸収する、ホール輸送性材料である(図2(a))。図1のように、励起子212および222がヘテロ接合203へ移動することにより、電子214、224およびホール216、226形態の電荷キャリアが形成され、これらが電極204、205へ移動することにより電流が生じる(図2(b))。励起子212、222を半導体層201、202の両方で形成し、電荷キャリアを形成できるので、より大きな電流を生じさせる電位が存在し、その結果より大きな効率がもたらされる。
【0175】
図3において示される感光性の光電子デバイス300は、所望の電荷移動層/遮断層306、307と共に電極304、305の間に挟まれる第1半導体層301と第2半導体層302を含むヘテロ接合デバイスを有する点において、図1に類似している。ヘテロ接合デバイスが、第1半導体層301と第2半導体層302の間でヘテロ接合を生じさせる中間層308を備える三層構造である点において、デバイス300と図1は相違する。
【0176】
図3において示されるように、第1半導体層301のみが、光子310を吸収して励起子312を形成する本発明による化合物を含み(図3(a))、該励起子312はヘテロ接合中間層308にて解離し、電子314とホール316を形成する。層302は、本発明による化合物を含有する(ただし、これらに限定されない)感光性材料を含んでもよいと理解されるが、第2半電導性層302は、ホール輸送性材料から形成される。好ましくは、第2層302は有機半導体材料、例えば半導体ポリマー、半導体材料の低分子または粒子などを含む。ヘテロ接合を形成する中間層308は、単一の半導体材料または半導体材料の混合物/ブレンドから形成される。中間層308用の半導体材料には、上述の化合物、低分子、ポリマー、粒子および/またはナノ粒子が含まれる。
【0177】
図4における感光性の光電子デバイス400は、単一の感光性半導体層401を電極404、405の間に挟み込み、該層401と電極404、405の間に所望による電荷移動層/遮断層406、407を備える点で、前記デバイスと相違する。好ましくは、感光性の半導体層401は、本発明による化合物を含む少なくとも1種の感光性材料を含む。層401は単一の化合物を含んでもよいが、好ましくは、本発明による化合物と、ポリマー、低分子若しくは粒子形態の他の有機半導体材料から構成される混合物またはブレンドである。
【0178】
図4に示すように、好ましくは、半導体層401は、励起子412を形成する第1波長領域内で光子410を吸収する第1感光性材料と、励起子422を形成する第2波長領域内で光子420を吸収する第2感光性材料とを含有する混合物/ブレンドである(図4(a))。好ましくは、層401は、ヘテロ接合を半導体層401内でおこなえるよう、アクセプター(n-型)およびドナー(p-型)材料を共に含む。図4(b)において示されるように、励起子412、422は層401内で解離し、(所望による電荷移動層406、407がもたらされる場合、そこを通過して)、電子414、424およびホール416、426を形成し、これらが各電極404、405へ移動することにより電流を生じさせる。
【0179】
半導体層101、102;201、202;301、302;401、402および中間層308が付与される場合、これらに関するそれぞれの厚さは、一般的に約1nm〜約500nm、より好ましくは約10nm〜300nm、最も好ましくは約40nm〜150nmの範囲である。
【0180】
別の実施態様において、デバイスは、ナノ結晶または量子ドット形態で、上記に記載した化合物を含有してもよい。更にまたは二者択一的に、ナノ結晶または量子ドット形態の他の物質を、上記に記載した化合物に加えて存在させてもよい。
【0181】
光電子デバイスにおいて有用な化合物の調製例
本発明のデバイスにおいて有用な交互多環式芳香族環系から誘導される化合物は、種々の方法により調製できる。簡単な例(ただしこれらに限定されない)によると、化合物は、下記の1または複数の反応スキームと方法を用いて調製できる。本発明において有用な化合物のうちの幾つかは、以下の調製例によって例示され、それらは多少なりとも開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0182】
下記溶媒および試薬は、省略表記によって以下に言及される:酢酸(AcOH)、三塩化アルミニウム(AlCl)、塩化アンモニウム(NHCl)、三塩化ホウ素(BCl)、n-ブチルアミン(n-BuNH)、塩化第一銅(CuCl)、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(CHCl)、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD),ジエチルエーテル(EtO)、N,N-ジメチルエチレンジアミン[HN(CH)N(CH)]、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール(EtOH)、酢酸エチル(EtOAc)、ヒドラジン一水和物(N.HO)、塩酸(HCl)、水素(H)、鉄粉末(Fe)、硫酸マグネシウム(MgSO)、メタノール(MeOH)、硝酸(HNO)、石油エーテル;b.p.40〜60℃(PE)、酸化白金(PtO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、酢酸ナトリウム(NaOAc)、炭酸ナトリウム(NaCO)、水酸化ナトリウム(NaH)、ナトリウムハイドロサルファイト(Na)、硫酸(HSO)、トリエチルアミン(EtN)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物[(CFSO)O]、トリフェニルホスフィン(PPh)、水(HO)。RTは室温である。
【0183】
本発明において開示されるような感光性光電子デバイスにおいて有用な化合物の好ましい合成方法は、キノン基質と適当に置換されたアセチレン誘導体の反応を含む。キノン基質を調製するための一般的な方法は、多くの公報に記載されており、例えば、Houben-Weyl,Science of Synthesis,第28巻、Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 2006年、およびそれらに記載された参照文献が含まれる。
【0184】
例えば、これらに制限されないが、本発明の化合物を調製する好ましい方法は、J.E.Anthony, D.L. Parkin, R.Sean等によるOrganic Letters,2002年、第4巻、第1号、第15頁〜第18頁に記載されているように、適当なキノン前駆物質と、式H-CC-R(式中、Rは水素、および下記の所望により置換される基:アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリル、トリアリールシリルから成る群から選択される)で表わされるアセチレン化合物から調製されるリチウム試薬またはグリニャール試薬とを反応させ、続けて、SnClと反応させることを含む。
【実施例】
【0185】
実施例1
7,14-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)ジベンゾ[b,def]クリセンの調製
化合物1
Scholl,Roland;Neumannによるベリヒテ・デァ・ドイチェン・ケミッシェン・ゲゼルシャフト(Heinrich, Berichte der Deutschen Chemischen Gesellschaft [abteilung]B:Abhandlungen(1992年)、第55B、118-26に記載される方法従い、ナフタレンをAlClの存在下、塩化ベンゾイルで処理し、1,5-ジベンゾイルナフタレンを生成する。Steuernagel, Hans等による独国特許第3910596号明細書、1990年およびSteuernagel, Hans Helmut等による独国特許第3910606号明細書、1990年に記載される基本手順に従い、AlCl、NaClおよびFeClが存在する、1,5-ジベンゾイルナフタレンの加熱混合物内を酸素ガスで泡立て、スキーム1において示されるような、ジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオンを生成する。リチウムトリイソプロピルシリルアセチリドを用いてジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオンを処理し、次いで、SnClと反応させ、化合物1を得る。
【0186】
【化43】

スキーム1
【0187】
-78℃、窒素雰囲気下にて、30mlの乾燥THFへ、(トリイソプロピルシリル)アセチレン(2.00ml、9.00mmol)を添加し、次いで、ヘキサン(5.20ml、8.25mmol)中の1.6Mのn-ブチルリチウムを5分間かけて滴下した。溶液を、-78℃にて30分間攪拌し、その後、ジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオン(500mg、1.50mmol)を添加した。反応系を-20℃まで温め反応を開始させ、次いで3時間攪拌した。SnCl.2HOで飽和させた2M HCl溶液(5ml)を0℃にて滴下して添加し、室温まで温めながら1時間かけて攪拌を行い反応させた。NaHCOの飽和溶液(50ml)を添加し、得られたスラリーをトルエンで抽出した(2×50ml)。混合させた有機層をHO(50ml)と飽和かん水(50ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濾過および濃縮させ、赤色の粉末を得た。真空クロマトグラフィ(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル10/90)による精製は鮮やかな赤色粉末をもたらし、該粉末を再結晶化(ジクロロメタン/石油エーテル)させることにより、赤/緑の二色の平板結晶として444mgの化合物1が得られた(0.67mmol、46.8%)。m.p 318-321℃.1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ1.35 (m, 42H), 7.85 (m, 4H), 8.94 (m, 2H), 9.04 (m, 6H)。13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 11.65, 19.00, 104.09, 104.14, 116.76, 123.20, 123.29, 123.40, 126.40, 126.95, 127.47, 127.55, 127.79, 127.82, 131.67, 131.90。 MS (EI, 70eV) m/z 662.3753 (M+, C46H54Si2 は 662.3764を要求).C46H54Si2に関する分析、算出 C 83.32%, H 8.21%. 実験値 C 83.51%, H 8.48%。
【0188】
実施例2
7,14-ビス((トリエチルシリル)エチニル)ジベンゾ[b,def]クリセン、化合物2
-78℃、窒素雰囲気下にて、無水THF(30ml)中の(トリエチルシリル)アセチレン(1.61ml、9.01mmol)溶液へ、n-BuLi(1.3M溶液、溶媒ヘキサン、5.2ml、6.76mmol)を2分間かけて滴下した。次いで、一気にジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオン(500mg、1.50mmol)を添加する前に、この温度で35分間、得られた溶液を攪拌した。反応混合物を室温まで温め、18時間攪拌した。湿潤THF(9ml)中のSnCl.2HO(1.55g、6.88mmol)の溶液を、0℃にて2分間かけて、混合物へ滴下し、次いで2時間のうちに室温まで上昇させた。得られたものをMeOH(300ml)内へ注入し、攪拌し、次いで沈殿を濾過して取り出し、更なるMeOHで洗浄した。粉末状の固形物を200mlのトルエン中に再溶解させ、NaSO上で一晩かけて乾燥させ、次いで、ショートカラム(シリカ0.015〜0.040mm)内を通過させた。溶媒を除去し、真空条件下で乾燥させ、559mg(0.97mmol、64.5%)の化合物2を得た。1,4-ジオキサン(25ml)/石油スピリット(bp.40〜60℃、25ml)/MeOH(25ml)からの再結晶化は、小さな暗褐色の針状結晶としての化合物2を236mgもたらした。濾液から溶媒を除去し、残留物を、10mlヘプタン/iPrOHから再結晶化させ、他の生成物として214mgの化合物2を得た(総回収率450mg、80.5%)。m.p 300 - 307℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.96 (q, 12H, J 7.9 Hz), 1.31 (t, 18H, J 7.7 Hz), 7.73 - 7.79 (m, 4H), 8.72 - 8.91 (m, 8H)。 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 4.84, 7.91, 103.52, 104.80, 116.32, 122.78, 123.14, 123.16, 126.26, 126.77, 127.25, 127.34, 127.54, 127.60, 131.33, 131.57. MS (EI, 70 eV): m/z 578.2814 (M+, C40H42Si2は578.2820を要求). C40H42Si2に関する分析、算出: C 82.99%, H 7.31%, Si 9.70%, 実験値 C 82.31%, H 7.38%。
【0189】
実施例3
7,14-ビス((トリメチルシリル)エチニル)ジベンゾ[b,def]クリセン、化合物3
-78℃、窒素雰囲気下にて、無水THF(300ml)中の(トリメチルシリル)アセチレン(12.41ml、89.74mmol)の溶液へ、n-BuLi(1.1M溶液、溶媒ヘキサン、61.2ml、67.30mmol)を10分間かけて滴下した。次いで、この温度で30分間、得られた溶液を攪拌した。次いで、ジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオン(5.001g、14.96mmol)を一気に添加した。反応混合物を+10℃まで温め、18時間攪拌した。水性HCl(3M、100ml)中のSnCl.2HO(16.90g、75.00mmol)の溶液を、0℃にて、混合物へ徐々に滴下することにより添加し、次いで、2時間のうちに室温まで上昇させた。反応混合物を、アセトニトリル/1M HCl(1.4L/0.7L)内へ注入し、室温で攪拌し、その後赤色の沈殿物を濾過して除去し、更なるアセトニトリルで洗浄した(粗収率6.541g、88.4%)。1,4-ジオキサンからの再結晶化は、小さな橙赤色の針状結晶として、5.002gの化合物3を生成させた(10.11mmol、収率67.6%)。m.p 285.5 - 288.5℃。 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.51 (s, 18H), 7.84 - 7.86 (m, 4H), 8.85 - 8.87 (m, 2H), 8.91 (d, 2H, J 9.4 Hz), 8.99 - 9.03 (m, 4H)。 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.28, 102.27, 107.44, 116.38, 123.18, 123.24, 123.33, 126.49, 126.96, 127.49, 127.71, 127.80, 127.87, 131.55, 131.79. MS (EI, 70 eV): m/z 494.1877 (M+, C34H30Si2は494.1881を要求)。 C34H30Si2に関する分析、算出: C 82.54%, H 6.11%, Si 11.35%, 実験値 C 81.86%, H 6.07%。
【0190】
実施例4
7,14-ビスオクチン-1-イルジベンゾ[b,def]クリセン、化合物4
-78℃、窒素雰囲気下にて、30mlの乾燥THFへ、オクチン(1.00ml、9.00mmol)を添加し、次いでヘキサン中の1.6M nブチルリチウム(5.20ml、8.25mmol)を5分間かけて滴下した。得られた溶液を-78℃で30分間攪拌し、次いで、ジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオン(500mg、1.50mmol)を一気に添加した。反応系を-20℃まで昇温させ、その後3時間攪拌した。SnCl.2HOで飽和させた2M HClの溶液(5ml)を0℃にて滴下し、次いで、室温まで昇温する間に、反応系を1時間攪拌した。NaHCOの飽和溶液(50ml)を添加し、得られたスラリーをトルエン(2×50ml)で抽出した。混合させた有機層をHO(50ml)と飽和かん水(50ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濾過および濃縮させ、赤色の粉末を得た。真空クロマトグラフィ(シリカ、ジクロロメタン/石油エーテル10/90)による精製は、鮮赤色粉末状の化合物4を604g(1.16mmol、77.4%)生成させた。m.p 142-144℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.99 (t, 6H), 1.47 (m, 8H), 1.71 (m, 4H), 1.90 (m, 4H), 2.85 (t, 4H), 7.81 (m, 4H), 8.84 (m, 4H), 8.91 (m, 4H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 14.14, 20.39, 22.69, 28.92, 29.15, 31.49, 103.22, 117.45, 122.92, 123.25, 123.58, 126.21, 126.56, 127.01, 127.51, 127.61, 127.77, 131.18, 131.82. MS (EI, 70eV) m/z 518.2967 (M+, C40H38は518.2968を要求). C40H38に関する分析、算出C 92.62%, H 7.38%. 実験値 C 90.98%, H 7.34%。
【0191】
実施例5
7,14-ビスドデシン-1-イルジベンゾ[b,def]クリセン、化合物5
-78℃、窒素雰囲気下にて、30mlの乾燥THFへ、ドデシン(1.69g、9.81mmol)を添加し、次いで、ヘキサン中の1.1M nブチルリチウム(7.25ml、8.25mmol)を5分間かけて滴下した。得られた溶液を-78℃で30分間攪拌し、次いで、ジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオン(500mg、1.50mmol)を一気に添加した。反応系を室温まで昇温させ、16時間攪拌させた。SnCl.2HO(2g、8.86mmol)を含有する3M HCl(5ml)の濾過溶液を0℃にて滴下し、反応系が室温まで昇温する間に、該反応系を3時間攪拌した。反応系を、アセトニトリル/HO(1/1、50ml)の溶液で急冷し、5分間攪拌し、次いで、アセトニトリル/HO(1/1、150ml)の溶液内へ注入し、攪拌し、その後一定分量のアセトニトリル(100ml)を添加した。形成された赤色沈殿物を濾過により取りだし、冷アセトニトリル(50ml)で洗浄した。シリカプラグ(クロロホルム)を通過させることにより濾過し、それに続く再結晶化(クロロホルム/石油エーテル、2/5の比率)により、赤色粉末状の化合物5を336mg(0.533mmol、35.4%)生成させた。m.p 129-130℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.88 (t, 6H), 1.35 (m, 24H), 1.70 (m, 4H), 1.91 (m, 4H), 2.89 (t, 4H), 7.30 (m, 4H), 8.91 (m, 4H), 9.03 (m, 4H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3)は、炭素スペクトルを得られるほど溶解しなかった。δ MS (EI, 70eV) m/z 630.4213 (M+, C48H54は630.4220を要求). C48H54に関する分析、算出C 91.37%, H 8.63%. 実験値 C 90.73%, H 8.73%。
【0192】
実施例6
7,14-ビス(4-ペンチルフェニルエチニル)ジベンゾ[b,def]クリセン、化合物7の調製
-78℃、窒素雰囲気下にて、30mlの乾燥THFへ、1-エチニル-4-ペンチルベンゼン(1.69g、9.81mmol)を添加し、次いで、ヘキサン中の1.1M nブチルリチウム(7.25ml、8.25mmol)を5分間かけて滴下した。得られた溶液を-78℃で30分間攪拌し、次いで、ジベンゾ[b,def]クリセン-7,14-ジオン(500mg、1.50mmol)を一気に添加した。反応系を室温まで昇温させ、16時間攪拌させた。SnCl.2HO(2g、8.86mmol)を含有する3M HCl(5ml)の濾過溶液を0℃にて滴下し、反応系が室温まで昇温する間に、該反応系を3時間攪拌した。反応系を、アセトニトリル/HO(1/1、50ml)の溶液で急冷し、5分間攪拌し、次いで、アセトニトリル/HO(1/1、150ml)の溶液内へ注入し、攪拌し、その後一定分量のアセトニトリル(100ml)を添加した。形成された黒色沈殿物を濾過により取りだし、冷アセトニトリル(50ml)で洗浄した。シリカプラグ(クロロホルム)を通過させることにより濾過し、それに続く再結晶化(クロロホルム/石油エーテル、2/5の比率)により、濃紫色の粉末状の化合物を425mg(0.633mmol、44.0%)生成させた。m.p 256-257℃。 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.94 (t, 6H), 1.39 (m, 8H), 1.71 (m, 4H), 2.72 (t, 4H), 7.32 (d, 2H J = 8.00 Hz), 7.78(d, 2H J = 8.00 Hz), 7.87 (m, 4H), 9.04 (m, 8H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 14.07, 22.59, 31.05, 31.51, 36.03, 86.67, 102.14, 116.72, 120.83, 123.10, 123.31, 123.42, 126.41, 126.80, 127.51, 127.64, 127.86, 128.73, 131.11, 131.59, 131.65, 143.88, 153.67. MS (EI, 70eV) m/z 642.3288 (M+, C50H42 は642.3281を要求). C50H42 に関する分析、算出C 93.41%, H 6.59%. 実験値 C 93.40%, H 6.57%。
【0193】
実施例7
8,16-ビス(トリイソプロピルシリル)エチニル)ピラントレン、化合物14の調製
-78℃、窒素雰囲気下にて、30mlの乾燥THFへ、(トリイソプロピルシリル)アセチレン(2.00ml、9.00mmol)を添加し、次いで、ヘキサン中の1.6M n-ブチルリチウム(5.20ml、8.25mmol)を5分間かけて滴下した。得られた溶液を-78℃で30分間攪拌し、次いで、8,16-ピラントレンジオン(610mg、1.50mmol)を添加した。反応系を室温まで昇温させ、一晩攪拌させた。SnCl.2HOで飽和させた3M HClの溶液(5ml)を0℃にて滴下し、反応系が室温まで昇温する間に、該反応系を1時間攪拌した。反応系を、アセトニトリル/HO(1/1、50ml)の溶液で急冷し、5分間攪拌し、次いで、アセトニトリル/HO(1/1、150ml)の溶液内へ注入し、攪拌し、その後一定分量のアセトニトリル(100ml)を添加した。形成された黒色沈殿物を濾過により取りだし、冷アセトニトリル(100ml)で洗浄し、次いで、クロロホルム/ペンタン(1/3、200ml)からの再結晶化により、極めて小さな暗紫色針状の化合物14を773mg得た(1.05mmol、69.9%)。m.p 397-403℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.38 (m, 42H), 7.86 (m, 4H), 8.23 (d, 2H, J 10 Hz), 8.74 (d, 2H, J 9Hz), 8.90 (d, 2H J 8 Hz), 9.14 (d, 2H, J 8 Hz), 9.41 (s, 2H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3)は炭素スペクトルを得られるほど溶解しなかった。MS (EI, 70eV) m/z 736.3921 (M, C52H56Si2は736.3915を要求). C52H56Si2に関する分析、算出C 84.72%, H 7.66%. 実験値 C 84.95%, H 7.83%。
【0194】
実施例8
16,17-ジメトキシ-5,10-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)ビオラントレン、化合物15
-78℃、窒素雰囲気下にて、20mlの乾燥THFへ、(トリイソプロピルシリル)アセチレン(1.35ml、6.00mmol)を添加し、次いで、ヘキサン中の1.1M nブチルリチウム(5.00ml、5.50mmol)を5分間かけて滴下した。得られた溶液を-78℃で45分間攪拌し、次いで、16,17-ジメトキシ-5,10-ビオラントレン(516mg、1.00mmol)を一度に添加した。反応系を室温まで昇温させ、一晩攪拌させた。反応系に対して20mlのTHFを更に添加し、次いで、3M HCl(4ml)内へ溶解させたSnCl.2HO(1.50g、6.65mmol)を0℃にて滴下し添加させた。反応系が室温まで昇温する間に、該反応系を1時間攪拌し、次いでアセトニトリル/1M HCl(50/50、50ml)の溶液で急冷し、5分間攪拌させた。次いで、得られた反応溶液をアセトニトリル/1M HCl(1/1、150ml)の溶液内へ注入し、攪拌し、次いで、更なる一定分量のアセトニトリル(100ml)を添加した。形成された黒色沈殿物を濾過により取りだし、冷アセトニトリル(100ml)で洗浄し、暗緑色粉末状の化合物15を300mg得た(0.506mmol、35.4%)。m.p 295-298℃. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.36 (m, 42H), 4.45 (s, 6H), 7.88 (m, 4H), 8.55 (m, 2H), 8.95 (m, 2H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3): δ 11.7, 19.0, 56.0, 77.2, 101.4, 102.6, 104.6, 114.1, 117.3, 118.4, 123.3, 124.2, 125.3, 125.9, 126.1, 127.0, 127.4, 127.5, 129.5, 132.0, 132.2, 157.5. MS (EI, 70eV) m/z 846.4324 (M, C58H62O2Si2は846.4288を要求). C58H62O2Si2 に関する分析、算出C 82.22%, H 7.38%. 実験値 C 82.42%, H 7.55%。
【0195】
実施例9
5,12-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)ルビセン、化合物17
5,12-ジヒドロキシルビセンを、(Smet,M.,Shukla,R.,Fulop,L., and Dehaen, W.,
Eur.J.Org.Chem., 1998年、第2769頁-第2773頁)に記載の方法により調整した。
【0196】
ルビセン-5,12-ビストリフルオロメタンスルホネート
5,12-ジヒドロキシルビセン(150mg、0.419mmol)を、窒素雰囲気下にて、乾燥ピリジン(15ml)内へ溶解させた。得られた溶液を0℃まで冷却し、トリフリン酸無水物(0.280ml、1.67mmol)を滴下した。反応系を0℃で3時間攪拌し、次いで、1M HCl(150ml)を慎重に添加した。混合物をDCM(2×25ml)で抽出し、有機層を混合し、水(50mL)と飽和かん水(50ml)で洗浄し、次いでDryDisk登録商標を介して濾過した。溶媒を真空下で除去し、残渣を50/50DCM/石油エーテル(50mL)内へ溶解させ、次いで、より多くの50/50DCM/石油エーテルで溶出させる短シリカプラグを介して濾過した。次いで、溶媒を真空下で除去し、更なる精製を行うことなく鮮赤粉末を得た(166mg、63.8%)。m.p 259-260℃. 1H NMR (400MHz, CDCl3): δ = 7.40 (dd, 2H, J=2.36, 8.36 Hz), 7.81 (dd, 2H, J=6.80, 8.52 Hz), 7.84 (d, 2H, J=2.36 Hz), 8.03 (d, 2H, J=6.72 Hz), 8.28 (d, 2H, J=8.40 Hz), 8.50 (d, 2H, J=8.60 Hz). HRMS (EI, 70eV) m/z 621.9977, C28H12F6O6S2 は[M] 621.9979を要求する。
【0197】
5,12-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)ルビセン
ルビセン-5,12-ビストリフルオロメタンスルホネート(120mg、0.193mmol)を、窒素雰囲気下にて、乾燥および脱気したトリエチルアミン/ピリジン(3/2、10ml)内へ溶解させた。トリイソプロピルシリルアセチレンを添加し、次いでヨウ化銅(I)(4mg、10mol%)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)(11mg、5mol%)を添加した。反応系を、85℃にて3時間攪拌させ、次いで、室温まで冷却した。1M HCl(150ml)を慎重に添加し、次いで、混合物をDCM(2×25ml)で抽出した。有機層を混合し、水(50mL)と飽和かん水(50ml)で洗浄し、次いでDryDisk登録商標を介して濾過した。溶媒を真空下で除去し、得られる残渣を、シリカゲル DCM/石油エーテル(10/90)でクロマトグラフ処理し、紫色の粉末を得た(89mg、67.4%)。m.p.>300℃. 1H NMR (400MHz, CDCl3): δ = 1.24 (s, 42H), 7.57 (dd, 2H, J=1.36, 7.88 Hz), 7.73 (dd, 2H, J=6.80, 8.52 Hz), 7.97 (d, 2H, J=6.68 Hz), 8.01 (d, 2H, J=1.04 Hz), 8.17 (d, 2H, J=7.96 Hz), 8.47 (d, 2H, J=8.60 Hz). HRMS (EI, 70eV) m/z 686.3761, C48H54Si2[M]は686.3764を要求.
【0198】
本発明によるデバイスの実施例
実験
装置および定義
ITOはスズをドープした酸化インジウムである
PEDOT/PSSはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)である
PCBMは[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステルである
60は(C60-I)[5,6]フラーレンである
BCPは2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリンである
OCはデバイスの開路電圧である
SCはデバイスの短絡電圧である
FFはデバイスのフィルファクタである
PCEはデバイスのパワー変換効率である
【0199】
1平方あたり15オームのシート抵抗を備えるITO被覆ガラスをKintek社から購入した。PEDOT/PSS(Baytron P AI 4083)をHC Starck社から購入した。PCBMおよびC60をNano-C社から購入した。カルシウムペレットおよび2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)をアルドリッヒ社から購入した。アルミニウムペレット(99.999%)をKJ Lesker社より購入した。
【0200】
ITO基板のUV-オゾン洗浄を、最大の高さに調整したプラットフォームを備えるNoVaScan社製のPDS-UVT、UV/オゾン洗浄機を用いて行いておこなった。ランプの強度は、100cmの距離で36mW/cmよりも強い。周囲環境にて、UV洗浄機のオゾン出力を50ppmより大きくした。
【0201】
PEDOT/PSSの水溶液を、ローレル社製のWS-400B-6NPP/Lite型の単一ウェハスピン装置を用いて空気中で蒸着させた。有機ブレンドを、SCS G3Pスピンコーターを用いてグローブの内部へ蒸着させた。膜厚を、DeKtak社製の6M表面形状測定装置を用いて測定した。真空蒸着を、グローブボックス内のエドワーズ社製501エバポレーターを用いて行った。サンプルを、光源と基板間の距離が約25cmであるトレー中のシャドーマスク上に配設した。シャドーマスクにより定義される面積は、0.1cmのデバイス面積をもたらす。蒸着速度および膜厚を、真空チャンバ内の較正された水晶膜厚モニターを用いて測定した。C60を、タングステンフィラメントで覆われている窒化ホウ素ルツボから蒸発させた。BCPをバッフル処理されたタンタルボートから蒸発させた。CaおよびAl(3ペレット)を、独立した開口タングステンボートから蒸発させた。
【0202】
方法
5%(V/V)のDeconex 12PA洗浄剤溶液を攪拌させながら、ITO被覆ガラスを、90℃にて20分間固定することにより洗浄した。引き続いて、ITOを蒸留水、アセトンおよびイソ-プロパノールでそれぞれ10分間超音波洗浄した。次いで、基板を、10分間(室温にて)UV-オゾン洗浄に曝した。PEDOT/PSS溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、60秒間5000rpmでスピンコートすることにより蒸着させて、38nmの層を得た。次いでPEDOT/PSS層を、グローブボックス内で10分間145℃にて、ホットプレート上でアニール処理した。ここで、使用される有機ブレンドの溶液を、(HOおよびOレベルは共に1ppm未満である)グローブボックス内でスピンコーティングすることにより、PEDOT/PSS層上に蒸着させた(HOおよびOレベルは共に1ppm未満である)。スピン条件および膜厚を、各ブレンドに関して最適化した。デバイスを、グローブボックスに隣接させた真空エバポレーターへ、空気に曝すことなく移動させた。ここで、使用される有機材料の単層を、2×10-6mbarより低い圧力での熱蒸発により、連続的に蒸着させた。ここで、使用されるCa層(10nm)を、2×10-6mbarより低い圧力での熱蒸発により蒸着させた。全てのデバイスに対して、Al層(100nm)を、2×10-6mbarより低い圧力での熱蒸発により蒸着させた。次いで、得られたデバイスを、グローブボックス内のホットプレート上でアニール処理した。
【0203】
完成したデバイスを、10分間、(HOおよびOレベルは共に1ppm未満である)グローブボックス内で254nmのUV光へ露光することにより、ガラスとUV硬化エポキシ(レンズ結合型J-91)で被包した。電気的試験の前に、少量の銀ペイント(Silver PrintII、GCエレクトロニクス社製、ペイント番号:22-023)を、電極の接続点上に蒸着させた。電気的接合を、ワニ口クリップを用いて製造した。
【0204】
AM1.5にて100mW/cmの出力をもたらすようにフィルター処理した1000Wキセノンランプを装着したオレイル社製の太陽シミュレータを用いて、得られたセルを試験した。ランプを、ペクセル(Peccell)社製の標準的な、フィルター付きSiセルを用いて較正した(ランプの出力をJSCが0.605mAとなるように調整した)。推定されるランプの不整合率は0.95である。この不整合に関する値は修正しなかった。
【0205】
モノクロメーターと光ファイバーを連結したオレイル社製の150Wキセノンランプを用いて、入射光子収集効率(IPCE:Incident Photon Collection Efficiency)を収集した。光ファイバーの出力を収束させ、デバイス領域内に含まれる光束を生じさせた。IPCEを、標準的な、フィルターなしSiセルを用いて較正した。
【0206】
太陽シミュレータおよびIPCE測定デバイスを共に、ラビュウソフトウェアにより制御されたケイスリー社2400ソースメーターを用いて操作した。
【0207】
太陽シミュレータにおける測定は、AM1.5照射の条件下における太陽電池効率についておこなった。IPCEセットアップにおける測定は、個々の波長における太陽電池効率についておこなった。
【0208】
結果
デバイス実施例1
PCBMと化合物1をブレンドさせたものをデバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物1:PCBM(1:1)(95nm)/Ca(10nm)/Al(100nm)。
クロロホルムを溶媒とする化合物1(10mg)とPCBM(10mg)の溶液1cmを、空気中で攪拌させることにより調製した。得られた溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、4000rpmにて空気中でスピンコートした。デバイスに関するI-V曲線およびIPCEスペクトルを以下に示す(図11参照)。
【0209】
デバイス実施例2
PCBMと化合物2をブレンドさせたものをデバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物2:PCBM(1:1)(80nm)/Ca(10nm)/Al(100nm)。
クロロホルムを溶媒とする化合物2(10mg)とPCBM(10mg)の溶液1cmを、空気中で攪拌させることにより調製した。得られた溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、4000rpmにて空気中でスピンコートした。デバイスに関するI-V曲線およびIPCEスペクトルを以下に示す(図12参照)。
【0210】
デバイス実施例3
60と化合物1を層状で、デバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物1(45nm)/C60(40nm)/BCP(10nm)/Al(100nm)。
2×10-6mbarより低い圧力にて、バッフル処理されたタンタルボートから熱蒸発させることにより、化合物1層を調製した。
デバイスに関するI-V曲線およびIPCEスペクトルを以下に示す(図13参照)。
【0211】
デバイス実施例4
PCBMと化合物4をブレンドさせたものをデバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物4:PCBM(1:1)(80nm)/Ca(10nm)/Al(100nm)。
クロロベンゼンを溶媒とする化合物4(10mg)とPCBM(10mg)の溶液1cmを、グローブボックス中で攪拌させることにより調製した。得られた溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、3000rpmにてグローブボックス中でスピンコートした。
デバイスパラメータ
OC=414mV、ISC=0.13mA/cm、FF=30%、PCE=0.16%
【0212】
デバイス実施例5
PCBMと化合物5をブレンドさせたものをデバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物5:PCBM(1:1)(80nm)/Ca(10nm)/Al(100nm)。
クロロベンゼンを溶媒とする化合物5(10mg)とPCBM(10mg)の溶液1cmを、グローブボックス中で攪拌させることにより調製した。得られた溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、3000rpmにてグローブボックス中でスピンコートした。
デバイスパラメータ
OC=404mV、ISC=0.91mA/cm、FF=33%、PCE=0.12%。
【0213】
デバイス実施例6
PCBMと化合物7をブレンドさせたものをデバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物7:PCBM(1:1)(80nm)/Ca(10nm)/Al(100nm)。
クロロホルムを溶媒とする化合物7(10mg)とPCBM(10mg)の溶液1cmを、グローブボックス中で攪拌させることにより調製した。得られた溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、2000rpmにてグローブボックス中でスピンコートした。
デバイスパラメータ
OC=711mV、ISC=3.44mA/cm、FF=32%、PCE=0.79%。
【0214】
デバイス実施例7
PCBMと化合物15をブレンドさせたものをデバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物15:PCBM(1:1)(80nm)/Ca(10nm)/Al(100nm)。
クロロベンゼンを溶媒とする化合物15(10mg)とPCBM(10mg)の溶液1cmを、グローブボックス中で攪拌させることにより調製した。得られた溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、3000rpmにて空気中でスピンコートした。
デバイスパラメータ
OC=752mV、ISC=2.43mA/cm、FF=33%、PCE=0.60%。
【0215】
デバイス実施例8
PCBMと化合物17をブレンドさせたものをデバイスに使用した。
デバイス構造:ITO/PEDOT:PSS(38nm)/化合物17:PCBM(1:4)(164nm)/Ca(10nm)/Al(100nm)。
クロロホルムを溶媒とする化合物17(10mg)とPCBM(40mg)の溶液2cmを、グローブボックス中で攪拌させることにより調製した。得られた溶液を濾過し(0.2μm RCフィルター)、4000rpmにてグローブボックス中でスピンコートした。
デバイスパラメータ
OC=920mV、ISC=0.32mA/cm、FF=45%、PCE=0.13%。
【0216】
本発明によるデバイスを製造するために使用される、電子供与体としての多環式芳香族化合物と電子受容体としてのフラーレン誘導体の間における反応が生じないことに関する証拠例
それぞれ2mgの6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPSPEN)および[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)を、1mlの重水素化クロロホルム内へ溶解させ、得られた混合液を実験室条件の環境下で静置させ、あらゆる反応に関して、H NMRにより観察した。TIPSPENの代わりに、7,14-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)ジベンゾ[b,def]-クリセン(化合物1)を用いて、同じ実験をおこなった。TIPSPEN/PCBM混合物は、混合させると直ぐに反応または多重反応を明確に生じさせた(図5)。24時間経過後に更なる反応が観察され(図6)、再び超音波処理に付すと共に、30分間、50℃にて加熱した(図7)。化合物1/PCBM混合物に関して反応は観察されず、TIPSPEN/PCBM混合物に関するものと同じ条件下において、NMRスペクトルは変化しないままである(図8,9,10)。
【0217】
例示される実施態様の観点において本発明は記載されているが、当業者は、本発明が添付された請求項の範囲と発明の精神の範囲内において修正できることを認めるであろう。
【符号の説明】
【0218】
100 感光性の光電子デバイス
101 第1半導体層
102 第2半導体層
103 ヘテロ接合
104 第1電極
105 第2電極
106 電荷移動層または遮断層
107 電荷移動層または遮断層
110 光子
112 励起子
114 電子
116 ホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの多環式芳香族副構造を含有する少なくとも1種の化合物を含む感光性光電子デバイスであって、該多環式芳香族副構造の環原子のうちの少なくとも2つが、それぞれ3つの環に共有され、該化合物が少なくとも1つのアルキニル基で直接的に置換された該デバイス。
【請求項2】
化合物が少なくとも2つのアルキニル基で置換された請求項1に記載のデバイスであって、該アルキニル基のうちの少なくとも2つが非隣接の置換位置に位置する該デバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの多環式芳香族副構造が少なくとも5個の芳香族環を有する請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの多環式芳香族副構造が少なくとも6個の芳香族環を有する請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
化合物が感光性である請求項1から4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
化合物が、ハロゲン、ニトリル、および所望により置換される下記の基から成る群から選択される付加的な置換基を含有する、請求項1から5のいずれかに記載のデバイス:
アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルコキシ、アルケニル、アリール、アリオキシ(aryoxy)、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリルまたはトリアリールシリル。
【請求項7】
副構造が、交互多環式ベンゼノイド芳香族環系を含有する請求項1から6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
交互多環式ベンゼノイド環系が、下記のものからなる群の1種以上から選択される副構造テンプレートを含有する請求項7に記載のデバイス:
【化1】

副構造テンプレート1
【化2】

副構造テンプレート2
【化3】

副構造テンプレート3
【請求項9】
交互多環式ベンゼノイド環系が、下記のものからなる群の1種以上から選択される請求項8に記載のデバイス:
【化4】

環系1
【化5】

環系2
【化6】

環系3
【化7】

環系4
【化8】

環系5
【化9】

環系6
【化10】

環系7
【化11】

環系8
【請求項10】
副構造がベンゼノイド環に加えて更なる環を含有するか、またはベンゼノイド環に代わる環を含有する請求項1から6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
副構造が下記の構造を有する請求項10に記載のデバイス:
【化12】

【請求項12】
化合物が、次式で表わされる少なくとも2つのアルキニル置換基を含有する請求項1から11のいずれかに記載のデバイス:-C≡C-X(R)
(式中、Xは、元素周期表のIIIa〜VIb群から選択される原子を示し、nは1〜v-1(vはXの原子価である)の整数を示し、Rは、相互に独立して、水素原子、および所望により置換される下記の基から成る群から選択される基を示す:
アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリルおよびトリアリールシリル)。
【請求項13】
アルキニル置換基が次式で表わされる請求項12に記載のデバイス:-C≡C-X(R)(式中、XはCまたはSiを示し、Rは、相互に独立して、水素原子、および所望により置換される下記の基から成る群から選択される:アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、ハロアルキル、トリアルキルシリル、ジアルキルアリールシリル、アルキルジアリールシリルおよびトリアリールシリル)。
【請求項14】
化合物が下記の化合物からなる群の1種以上から選択される、請求項1から9、12および13のいずれかに記載のデバイス。
【化13】

化合物1
【化14】

化合物2
【化15】

化合物3
【化16】

化合物4
【化17】

化合物5
【化18】

化合物6
【化19】

化合物7
【化20】

化合物8
【化21】

化合物9
【化22】

化合物10
【化23】

化合物11
【化24】

化合物12
【化25】

化合物13
【化26】

化合物14
【化27】

化合物15
【化28】

化合物16
【請求項15】
化合物が下記の化合物である請求項1から6、12および13のいずれかに記載のデバイス。
【化29】

化合物17
【請求項16】
-C≡C-X(R)で表わされるアルキニル基がルビセンの周縁炭素原子上に位置する場合、Xが炭素原子を示さない、請求項12に記載のデバイス。
【請求項17】
1つ以上の電子供与体または電子受容体を更に含有する請求項1から16のいずれかに記載のデバイス。
【請求項18】
化合物が、デバイスの他の成分と化学的な反応、特に炭素-炭素結合を形成する反応をおこなわない、請求項1から17のいずれかに記載のデバイス。
【請求項19】
デバイスがフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む請求項1から18のいずれかに記載のデバイス。
【請求項20】
化合物が、フラーレンまたはフラーレン誘導体と、環化付加反応のような化学反応をおこなわない請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
デバイスが光起電性デバイスである請求項1から20のいずれかに記載のデバイス。
【請求項22】
デバイスが光伝導性デバイスである請求項1から21のいずれかに記載のデバイス。
【請求項23】
デバイスが光検出器である請求項1から22のいずれかに記載のデバイス。
【請求項24】
1対の電極と、該電極間に配置された1以上の半導体層を更に具備する請求項21から23のいずれかに記載のデバイスであって、
該層のうちの少なくとも1層が、請求項1から17のいずれかにおいて定義される少なくとも1種の化合物を含有する、該デバイス。
【請求項25】
少なくとも2つの半導体層が電極間に配置された請求項24に記載のデバイスであって、該層がヘテロ接合を形成すると共に、該層のうちの少なくとも1層が、請求項1から20のいずれかにおいて定義される化合物を含む感光性半導体を含有する該デバイス。
【請求項26】
少なくとも2つの層の各々が、請求項1から20のいずれかにおいて定義される化合物を含む、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
デバイスの他の層が電子受容性フラーレン誘導体層であると共に、化合物が、該フラーレン誘導体と化学的に反応しない電子供与性化合物である、請求項24から26のいずれかに記載のデバイス。
【請求項28】
半導体層または複数の半導体層のうちの少なくとも1層が、請求項1から20のいずれかにおいて定義される化合物および別の有機半導体との混合物またはブレンドを含む、請求項24から27のいずれかに記載のデバイス。
【請求項29】
混合物またはブレンドが、電子受容性フラーレン誘導体と、該フラーレン誘導体と化学的に反応しない電子供与性化合物とを含む請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
請求項18から21またはこれらに従属する請求項24から29のいずれかに記載のデバイスの太陽光発電における使用。

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

image rotate


【公表番号】特表2012−519382(P2012−519382A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552281(P2011−552281)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000264
【国際公開番号】WO2010/099583
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【Fターム(参考)】