説明

多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物及びその製造方法

【課題】ペンタフルオロスルファニル化合物、及びその工業的に有利な製造方法の提供。
【解決手段】〔1〕下記一般式(1−a)又は(1−b)で表される多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物、及び〔2〕特定のペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物と特定の有機ホウ素化合物とを反応させる前記多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の構造を有する五フッ化硫黄化合物、オキシカルボニルペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物が液晶材料等として有用であることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、多環系ジフルオロメチルエーテル及びエステル結合基を有するトリフルオロベンゼン化合物も知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、これらのトリフルオロベンゼンをペンタフルオロスルファニルベンゼンに置き換えた化合物群は知られておらず、その物性、工業的な製造方法も知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−212163号公報
【特許文献2】国際公開第2005/047240号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/123749号パンフレット
【非特許文献1】Journal of the SID 13/8, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物、及びその工業的に有利な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供するものである。
〔1〕下記一般式(1−a)又は(1−b)で表される多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子を示し、R5は、置換基を有していてもよい2以上の環構造を有する炭化水素基を示し、Zは、ケト基、チオケト基、メチレン基又はジフルオロメチレン基を示す。)
〔2〕下記一般式(3−a)又は(3−b)で表されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物と下記一般式(4−a)又は(4−b)で表される有機ホウ素化合物とを反応させることを特徴とする、前記一般式(1−a)又は(1−b)で表される多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の製造方法。
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子を示し、Xは、脱離性のある基を示し、Zは、ケト基、チオケト基、メチレン基又はジフルオロメチレン基を示す。)
5−BY2 (4−a)
5−BF3K (4−b)
(式中、R5は、置換基を有していてもよい2以上の環構造を有する炭化水素基、Yは、ヒドロキシ基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、2つのYは同一でも異なっていてもよく、Yがアルコキシの場合、2つのアルコキシ基上のアルキル基同士が結合した環構造を有していてもよい。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新規な多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物を提供することができる。この新規化合物は、液晶材料分野や医薬分野等において有用である。
また、本発明方法によれば、入手が容易な原料を用いて、簡便で工業的に有利な方法で多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物)
本発明の多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物は、下記一般式(1−a)又は(1−b)(以下、一般式(1−a)又は(1−b)を単に「一般式(1)」ともいう)で表される。
【0012】
【化3】

【0013】
一般式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R1〜R4の中では、R1及びR2のいずれかは水素原子であることが好ましく、R1とR2の両方が水素原子であることがより好ましい。また、R3及びR4のいずれかはフッ素原子であることが好ましく、R3とR4の両方がフッ素原子あることがより好ましい。
【0014】
一般式(1)において、ベンゼン環上の水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜20、好ましくは炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10のヘテロアリール基が挙げられる。なお、反応性に特に影響を及ぼすことのない基であれば、前記の置換基以外の置換基(電子吸引性基又は電子供与性基)で置換されていてもよい。
【0015】
前記の置換基以外の置換基としては、例えば、炭素原子、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を介してできる置換基、ハロゲン原子等が挙げられる。
それらの具体例としては、アルケニル基、キノリル基等の複素環基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシル基、第二アミノ基、アミド基、複素環式アミノ基、イミノ基、チオアルコキシル基、チオアリールオキシル基等が挙げられる。
【0016】
一般式(1)において、Zは、ケト基、チオケト基、メチレン基又はジフルオロメチレン基を示すが、液晶性の観点から、ケト基又はジフルオロメチレン基が好ましい。
また、R5は、置換基を有していてもよい2以上の環構造を有する炭化水素基を示す。すなわち、一般式(1)において、Zに結合する紙面上左側の基は、環構造を3以上有する炭化水素基である。
また、R5は、環構造として芳香族環構造を少なくとも1つ有し、さらに芳香族環構造又は脂環式構造を1以上有する炭化水素基が好ましい。具体的には、アルキル基等の置換基を有していてもよいビフェニルイル基又はシクロアルキルフェニル基を有する炭化水素基がより好ましい。
より好適な具体例としては、下記一般式(2−a)又は(2−b)(以下、一般式(2−a)又は(2−b)を単に「一般式(2)」ともいう)で表される化合物が挙げられる。
【0017】
【化4】

【0018】
一般式(2)中、R1〜R4及びZは前記と同じであり、R6は、炭素数1〜10のアルキル基を有していてもよいシクロアルキル基又は炭素数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を示す。
置換基であるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基が挙げられるが、炭素数2〜9、特に炭素数3〜8のアルキル基が好ましい。
前記シクロアルキル基(置換基であるアルキル基を除く)としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10、好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基が挙げられるが、シクロヘキシル基が特に好ましい。
前記アリール基(置換基であるアルキル基を除く)としては、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10のアリール基が挙げられるが、フェニル基が特に好ましい。
【0019】
また、一般式(2)で表される化合物は、一般式(2)において紙面上R6とZを結ぶ仮想直線に対して対称である構造を有する化合物が好ましい。
一般式(2)で表される化合物の好適例としては、下記一般式(2−1)〜(2−8)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2−1)〜(2−8)中、R1〜R4は前記と同じであり、R7は炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜9、より好ましくは炭素数3〜8のアルキル基を示す。
【0020】
【化5】

【0021】
(多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の製造方法(1))
本発明の多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の製造方法は、ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物と有機ホウ素化合物とを反応させることを特徴とする。
(ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物)
本発明の製造方法において、原料として使用するペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物は、下記一般式(3−a)又は(3−b)(以下、一般式(3−a)又は(3−b)を単に「一般式(3)」ともいう)で表される。
【0022】
【化6】

【0023】
一般式(3)中、R1〜R4及びZは前記と同じであり、Xは脱離性のある基を示す。
Xで示す「脱離性のある基」は、実質的に脱離性のある基ならば特に制限されない。Xの具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の有機スルホニルオキシ基;オキシカルボニルアルキル基(−OCOR基等)、トリアルキルシリル基(−SiR3基(Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す))等が挙げられる。
これらの中では、Xとしては、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子がより好ましく、臭素原子、ヨウ素原子が更に好ましい。
なお、Xは、前記以外にも、ハロゲン原子と等価な脱離作用を示す基(例えば、ハロゲノカルボニル基、ハロゲノスルホニル基、ジアゾ基等)であってもよい(例えば、イー・ネギシ(E.Negishi)著,「ハンドブック・オブ・オルガノパラジウム・ケミストリー・フォー・オルガニック・シンセシス(Handbook of ORGANOPALLADIUM CHEMISTRY for Organic Synthesis)」,Vol.1,ワイリー・インターサイエンス(WILEY INTERSCIENCE),1133ページ,2002年,参照)。
【0024】
(有機ホウ素化合物)
本発明の製造方法において使用する有機ホウ素化合物は、下記一般式(4−a)又は(4−b)(以下、一般式(4−a)又は(4−b)を単に「一般式(4)」ともいう)で表される。
5−BY2 (4−a)
5−BF3K (4−b)
一般式(4)中、R5は、前記と同じ置換基を有していてもよい2以上の環構造を有する炭化水素基であり、Yは、ヒドロキシ基又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、2つのYは同一でも異なっていてもよく、Yがアルコキシの場合、2つのアルコキシ基上のアルキル基同士が結合した環構造を有していてもよい。
前記有機ホウ素化合物としては、下記式で表されるボロン酸(4−1)、その三量体無水物又はその平衡混合物(4−2)、又はボロン酸エステル(4−3)等のボロン酸化合物が挙げられる。下記式において、R5は前記と同じである。
【0025】
【化7】

【0026】
上記ボロン酸化合物の中では、ボロン酸エステル(4−3)が好ましく、より具体的には、下記式で表される化合物(4−4)、(4−5)等が好ましい。下記式(4−4)、(4−5)において、R7は前記と同じである。
【0027】
【化8】

【0028】
本発明の製造方法において使用する有機ホウ素化合物の量は、一般式(3)で表されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物1モルに対して、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは0.6〜5モル、更に好ましくは0.7〜2モルである。
【0029】
本発明の製造方法は、溶媒の存在下で行うのが好ましいが、使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されない。例えば、水、アルコール類、アミン類、ケトン類、アミド類、尿素類、スルホキシド類、スルホン類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられ、アミン類としては、エチルアミン、アニリン、ベンジルアミン等の第一級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン、ピロリジン、ピリジン、キノリン等の複素環式アミン類が挙げられる。
【0030】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、アミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、尿素類としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン等が挙げられる。
スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、スルホン類としては、スルホラン等が挙げられ、ニトリル類としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられ、エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、ハロゲン化芳香族炭化水素類としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられ、ハロゲン化脂肪族炭化水素類としては、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。
【0031】
これらの中では、水、アルコール類、ケトン類、アミド類、尿素類、スルホキシド類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類が好ましく、アルコール類、アミド類、尿素類、エーテル類、芳香族炭化水素類がより好ましく、エーテル類、芳香族炭化水素類が更に好ましい。なお、これらの溶媒は、単独で又は二種以上を混合して使用することができる。
前記溶媒の使用量は、一般式(3)で表されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物1gに対して、好ましくは1〜100ml、より好ましくは2〜50ml、更に好ましくは3〜30mlである。
【0032】
本発明の製造方法は、塩基及び/又は金属化合物の存在下で行うことが好ましい。
使用できる塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、りん酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水素化物、アミン類等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、りん酸塩としては、りん酸三ナトリウム、りん酸三カリウム、りん酸水素二カリウム、りん酸二水素カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等が挙げられる。
アミン類としては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、ベンジルアミン等の第一級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、ジフェニルアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の第三級アミン、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン等の複素環式アミン等が挙げられる。
【0033】
これらの塩基の中では、アルカリ金属炭酸塩、りん酸塩、アミン類が好ましく、より具体的には、炭酸カリウム、りん酸三カリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。なお、これらの塩基は、単独で又は二種以上を混合して使用することができ、水溶液又は有機溶媒溶液として使用することができる。
前記塩基の使用量は、一般式(3)で表されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物に対して、好ましくは0.5〜10.0モル、より好ましくは0.8〜5.0モル、更に好ましくは1.0〜3.0モルである。
【0034】
また、使用できる金属化合物としては、パラジウム酸塩、パラジウム塩化物、パラジウム錯体、パラジウム担持化合物、ニッケル化合物、コバルト化合物、ロジウム化合物等が挙げられる(例えば、日本化学会編、「実験化学講座」、第5版、164〜165頁参照)。
パラジウム酸塩としては、酢酸パラジウム、ビス(アセテート)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム等が挙げられ、パラジウム塩化物としては、塩化パラジウム等が挙げられ、パラジウム錯体としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、含窒素へテロ環カルベンパラジウム錯体(例えば、ジクロロ{1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン}(3−クロロピリジル)パラジウム、アリルクロロ{1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン}パラジウム、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウムダイマー、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウムダイマー等が挙げられ、パラジウム担持化合物としては、パラジウム/炭素、パラジウム/硫酸バリウム、パラジウム-白金/炭素等が挙げられる。
ニッケル化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル等が挙げられ、コバルト化合物としては、ジクロロ(ジフェニルホスフィノヘキサン)コバルト等が挙げられ、ロジウム化合物としては、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム二量体等が挙げられる。
【0035】
これらの金属化合物の中では、パラジウム化合物が好ましく、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムがより好ましい。なお、これらの金属化合物は、単独で又は二種以上を混合して使用してもよい。
また、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのように、市販品を使用したり、又は反応系中で塩化パラジウムとトリフェニルホスフィンから調製して、単離の有無に関わらずそのまま使用することもできる。
前記金属化合物の使用量は、一般式(3)で表されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物1モルに対して、好ましくは0.1モル%〜100モル%、より好ましくは0.1モル%〜50モル%、更に好ましくは0.1モル%〜20モル%である。
【0036】
本発明の製造方法においては、反応性をコントロールするためにホスフィン配位子や相関移動触媒を共存させてもよい(例えば、Tetrahedron, 52, 10113 (1996) 参照)。
使用できるホスフィン配位子としては、例えば、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のトリアルキルホスフィン;トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン等のトリアリールホスフィン;1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のジホスフィン;2‐ジシクロヘキシルホスフィノ‐2’,6’−ジメトキシビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ‐2’,4’,6’‐トリイソプロピルビフェニル、1,2,3,4,5−ペンタフェニル‐1’−(ジターシャリーブチルホスフィノ)フェロセン等のジアルキルビアリールホスフィン等が挙げられるが、好ましくはトリアルキルホスフィン、より好ましくはトリ−t−ブチルホスフィンである。
【0037】
また、使用できる相関移動触媒としては、例えば、塩化テトラ−n−メチルアンモニウム、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、三臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、硝酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、メタンスルホン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、シアノテトラ−n−ブチルアンモニウム、ヒドロキシテトラ−n−ブチルアンモニウム水和物、ヘキサフルオロリン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。
なお、これらのホスフィン配位子や相関移動触媒は、単独で又は二種以上を混合して使用してもよく、各々が水和物であってもよい。また、ホスフィン配位子と相関移動触媒を組み合わせてもよい。
前記ホスフィン配位子や相関移動触媒の使用量は、金属化合物、特にパラジウム化合物を使用する場合は、パラジウム原子1モルに対して、好ましくは0〜100モル、より好ましくは0〜50モル、更に好ましくは0〜10モルである。
【0038】
(多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の製造方法(2))
本発明の多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物は、含ホウ素ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物とハロゲン化炭化水素化合物とを反応させることにより製造することもできる。
(含ホウ素ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物)
製造方法(2)において、原料として使用する含ホウ素ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物は、下記一般式(5−a)〜(5−d)(以下、一般式(5−a)〜(5−d)を総称して単に「一般式(5)」ともいう)で表される。
【0039】
【化9】

【0040】
一般式(5)中、R1〜R4及びZは前記と同じであり、Yは、ヒドロキシ基又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、2つのYは同一でも異なっていてもよく、Yがアルコキシの場合、2つのアルコキシ基上のアルキル基同士が結合した環構造を有していてもよい。
前記含ホウ素ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物としては、下記式で表されるボロン酸(5−1)、その三量体無水物又はその平衡混合物(5−2)、又はボロン酸エステル(5−3)等が挙げられる。
【0041】
【化10】

【0042】
上記含ホウ素ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の中では、ボロン酸エステル(5−3)が好ましく、より具体的には、下記式で表される化合物(5−4)、(5−5)等が好ましい。下記式(5−4)、(5−5)において、R1〜R4は前記と同じである。
【0043】
【化11】

【0044】
(ハロゲン化炭化水素化合物)
製造方法(2)において使用するハロゲン化炭化水素化合物は、下記一般式(6)で表される。
5−X (6)
一般式(6)においてR5は前記と同じであり、Xは脱離性のある基を示す。Xで示す「脱離性のある基」は、前記段落〔0023〕に記載したものと同一であり、その好適範囲も同一である。
【0045】
製造方法(2)において使用する含ホウ素ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の量は、一般式(6)で表されるハロゲン化炭化水素化合物1モルに対して、好ましくは0.5〜10モル、より好ましくは0.6〜5モル、更に好ましくは0.7〜2モルである。
製造方法(2)は、溶媒の存在下で行うのが好ましく、反応を阻害しないものならば特に限定されない。溶媒の具体例、好適例、その使用量は前記段落〔0029〕〜〔0031〕に記載したものと同一である。
また、製造方法(2)は、塩基及び/又は金属化合物の存在下で行うことが好ましい。使用できる塩基及び金属化合物の具体例、好適例、その使用量は前記段落〔0032〕〜〔0035〕に記載したものと同一である。
本発明の製造方法においては、反応性をコントロールするためにホスフィン配位子や相関移動触媒を共存させてもよい。使用できるホスフィン配位子及び相関移動触媒の具体例、好適例、その使用量は前記段落〔0036〕〜〔0037〕に記載したものと同一である。
【0046】
本発明の製造方法(1)及び(2)は、例えば、前記ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物と前記有機ホウ素化合物、又は含ホウ素ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物とハロゲン化炭化水素化合物、及び溶媒、金属酸化物、塩基を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは20〜150℃、更に好ましくは60〜120℃であり、反応圧力は特に制限されないが、通常、常圧又は加圧下で行う。
本発明の製造方法(1)及び(2)によって多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物が得られるが、反応終了後、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、昇華、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、目的物を単離・精製することができる。
【実施例】
【0047】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1(3,5−ジフルオロ−4’−(4−プロピルシクロヘキシル)−ビフェニル−4−カルボニルオキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積30mlの容器に、1−ブロモ−3,5−ジフルオロ−4−カルボニルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.439g(1.00mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−[4(4ペンチルシクロヘキシル)フェニル)]−[1,3,2]ジオキサボロラン0.535g(1.50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.070g(0.060mmol)、粉末状にしたりん酸三カリウム0.425g(2.00mmol)及び1,4−ジオキサン5mlを加えた後、攪拌しながら100℃で7.5時間反応させた。
反応終了後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、得られた残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン、ヘキサン/酢酸エチル=95/5)及び逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ODSC−18、溶離液;アセトニトリル/水=95/5→100/0(容量比))で精製し、白色固体として、3,5−ジフルオロ−4’−(4−プロピルシクロヘキシル)−ビフェニル−4−カルボニルオキシペンタフルオロスルファニルベンゼン0.290gを得た(単離収率;49%)。この反応式を以下に示す。
【0048】
【化12】

【0049】
得られた化合物は以下の物性値で表される新規化合物である。
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.90(3H,t,J=7.0Hz)、1.02〜1.51(13H,m)、1.88〜1.94(4H,m)、2.49〜2.60(1H,m)、7.23〜7.41(6H,m)、7.51〜7.54(2H,m)、7.82〜7.88(2H,m)
CI−MS;589(M+1)
【0050】
実施例2(4−{3’’,5’’−ジフルオロ−4−ヘプチル−[1,1’;4’,1’’]テルフェニル−4’’−イル−オキシカルボニル}−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積30mlの容器に、1−ブロモ−3,5−ジフルオロ−4−カルボニルオキシ−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.439g(1.00mmol)、4−(4−n−ヘプチルビフェニル)ボロン酸ピナコールエステル0.568g(1.50mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.070g(0.061mmol)、粉末状にしたりん酸三カリウム0.425g(2.00mmol)及び1,4−ジオキサン5mlを加えた後、攪拌しながら100℃で6時間反応させた。反応終了後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン)で精製し、白色固体として、4−{3’’,5’’−ジフルオロ−4−ヘプチル−[1,1’;4’,1’’]テルフェニル−4’’−イル−オキシカルボニル}−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.04gを得た(単離収率;7%)。この反応式を以下に示す。
【0051】
【化13】

【0052】
得られた化合物は以下の物性値で表される新規化合物である。
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.89(3H,t,J=6.8Hz)、1.26〜1.36(8H,m)、1.61〜1.69(2H,m)、2.67(2H,m)、7.28〜7.42(6H,m)、7.55〜7.88(8H,m)
CI−MS;610(M)
【0053】
実施例3(4−{[3,5−ジフルオロ−4’−(4−プロピルシクロヘキシル)−ビフェニル−4−イル]ジフルオロメトキシ}ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積30mlの容器に、4−[(4−ブロモ−2,6−ジフルオロフェニル)−ジフルオロメトキシ]−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.460g(1.00mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−[4(4プロピルシクロヘキシル)フェニル)]−[1,3,2]ジオキサボロラン0.330g(1.00mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.070g(0.060mmol)、粉末状にしたりん酸三カリウム0.428g(2.0mmol)及び1,4−ジオキサン5mlを加えた後、攪拌しながら100℃で4時間反応させた。反応終了後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、得られた残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン)で精製し、白色固体として、4−{[3,5−ジフルオロ−4’−(4−プロピルシクロヘキシル)−ビフェニル−4−イル]ジフルオロメトキシ}ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.250gを得た(単離収率;43%)。この反応式を以下に示す。
【0054】
【化14】

【0055】
得られた化合物は以下の物性値で表される新規化合物である。
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.91(3H,t,J=7.1Hz)、1.05〜1.51(9H,m)、1.91〜1.94(4H,m)、2.49〜2.57(1H,m)、7.19〜7.39(6H,m)、7.48〜7.51(2H,m)、7.75〜7.80(2H,m)
CI−MS;582(M)
【0056】
実施例4(4−{[3,5−ジフルオロ−4’−(4−n−ペンチル−シクロヘキシル)−ビフェニル−4−イル]−ジフルオロメトキシ}−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積30mlの容器に、4−[(4−ブロモ−2,6−ジフルオロフェニル)−ジフルオロメトキシ]−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.460g(1.00mmol)、4−(4−n−ペンチルシクロヘキシル)−フェニルボロン酸ピナコールエステル0.411g(1.15mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.070g(0.061mmol)、粉末状にしたりん酸三カリウム0.425g(2.02mmol)及び1,4−ジオキサン5mlを加えた後、攪拌しながら100℃で12時間反応させた。反応終了後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン)で精製し、白色固体として、4−{[3,5−ジフルオロ−4’−(4−n−ペンチル−シクロヘキシル)−ビフェニル−4−イル]−ジフルオロメトキシ}−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.36gを得た(単離収率;59%)。この反応式を以下に示す。
【0057】
【化15】

【0058】
得られた化合物は以下の物性値で表される新規化合物である。
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.90(3H,t,J=7.0Hz)、1.05〜1.51(13H,m)、1.89〜1.90(4H,m)、2.49〜2.57(1H,m)、7.19〜7.39(6H,m)、7.48〜7.51(2H,m)、7.75〜7.80(2H,m)
CI−MS;382(M−229)
【0059】
実施例5(4−[(3’’,5’’−ジフルオロ−4−ヘプチル−[1,1’;4’,1’’]テルフェニル−4’’−イル)−ジフルオロメトキシ]−ペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成)
攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積30mlの容器に、4−[(4−ブロモ−2,6−ジフルオロフェニル)−ジフルオロメトキシ]−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.461g(1.0mmol)、4−(4−n−ヘプチルビフェニル)ボロン酸ピナコールエステル0.568g(1.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.070g(0.061mmol)、粉末状にしたりん酸三カリウム0.425g(2.00mmol)及び1,4−ジオキサン5mlを加えた後、攪拌しながら100℃で12時間反応させた。反応終了後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。次いで、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン)で精製し、白色固体として、4−[(3’’,5’’−ジフルオロ−4−ヘプチル−[1,1’;4’,1’’]テルフェニル−4’’−イル)−ジフルオロメトキシ]−ペンタフルオロスルファニルベンゼン0.160gを得た(単離収率;25%)。この反応式を以下に示す。
【0060】
【化16】

【0061】
得られた化合物は以下の物性値で表される新規化合物である。
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.89(3H,t,J=7.0Hz)、1.26〜1.34(8H,m)、1.64〜1.69(2H,m)、2.66(2H,m)、7.25〜7.40(6H,m)、7.53〜7.80(8H,m)
CI−MS;329(M−303)
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の製造方法により得られるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物は、液晶材料分野や医薬分野等において合成中間体等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1−a)又は(1−b)で表される多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物。
【化1】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子を示し、R5は、置換基を有していてもよい2以上の環構造を有する炭化水素基を示し、Zは、ケト基、チオケト基、メチレン基又はジフルオロメチレン基を示す。)
【請求項2】
一般式(1−a)又は(1−b)で表される化合物が、下記一般式(2−a)又は(2−b)で表される化合物である、請求項1に記載の多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物。
【化2】

(式中、R1〜R4及びZは前記と同じであり、R6は、炭素数1〜10のアルキル基を有していてもよいシクロアルキル基又は炭素数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を示す。)
【請求項3】
下記一般式(3−a)又は(3−b)で表されるペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物と下記一般式(4−a)又は(4−b)で表される有機ホウ素化合物とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1−a)又は(1−b)で表される多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の製造方法。
【化3】

(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子又はフッ素原子を示し、R5は、置換基を有していてもよい2以上の環構造を有する炭化水素基を示し、Zは、ケト基、チオケト基、メチレン基又はジフルオロメチレン基を示す。)
【化4】

(式中、R1〜R4及びZは前記と同じであり、Xは、脱離性のある基を示す。)
5−BY2 (4−a)
5−BF3K (4−b)
(式中、R5は、置換基を有していてもよい2以上の環構造を有する炭化水素基、Yは、ヒドロキシ基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、2つのYは同一でも異なっていてもよく、Yがアルコキシの場合、2つのアルコキシ基上のアルキル基同士が結合した環構造を有していてもよい。)
【請求項4】
一般式(1−a)又は(1−b)で表される化合物が、下記一般式(2−a)又は(2−b)で表される化合物である、請求項3に記載の多環系ペンタフルオロスルファニルベンゼン化合物の製造方法。
【化5】

(式中、R1〜R4及びZは前記と同じであり、R6は、炭素数1〜10のアルキル基を有していてもよいシクロアルキル基又は炭素数1〜10のアルキル基を有していてもよいアリール基を示す。)

【公開番号】特開2010−120926(P2010−120926A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238279(P2009−238279)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】