説明

多目的ステージ

【課題】 一般的な足場板として利用できると共にタラップとしての階段,梯子,その他いろいろな目的にも使用できる汎用性のある階段と梯子と足場板とを兼ねた多目的ステージを提供すること。
【解決手段】 相対向する一対の長尺な枠体1,1と、枠体1,1間に任意の間隔を置いて架設した複数のステップ2と、枠体1,1間において上記各ステップの上面に隙間を設けながら固定した複数の板本体3,3と、枠体1,1の任意の位置の上下又は外周に結合したクッションと滑り止めを兼ねた被覆部材6とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルディングの屋根、一般家屋の屋根の建造、修理等の工事、丘陵の法面の工事、その他一般的な建築・土木工事等の使用に適する階段と梯子と足場板とを兼ねたいろいろな目的に使用可能な多目的ステージに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルディングや一般家屋等の屋根を建造、修理する場合には、この屋根が任意の角度の勾配を有していると、作業者が屋根面に沿って縦横に歩行するのが困難で作業姿勢も不安定となり、作業性が悪く、最悪の場合には作業者が転倒して地上に落下する危険がある。
【0003】
そこで、特許文献1に示すように、屋根面の歩行中、作業中に作業者が転倒したり、地上に落下したりするのを防止し、安全な作業が行え、人身事故の発生を防止できる屋根工事用の足場が開発されている。
【0004】
この屋根工事用の足場は、屋根面の勾配に合せて当該屋根面上に縦方向に配設した角度調整自在な剛性のタラップと、タラップの片側又は両側に起立させた角度調整自在な手摺と、タラップの側部に角度調整自在な足場板支持金具を介して水平方向に結合した足場板と、足場板の片側又は両側に起立させた手摺とからなり、上記タラップと足場板上に沿って作業者が歩行し、作業を行うようにしている。
【特許文献1】特開2002-89033号公報(図面,請求項1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の足場は、機能上特に欠陥があるわけではないが、次のような不具合の改善が望まれている。
【0006】
即ち、上記の屋根工事用の足場は、屋根面の勾配に沿うタラッブと、タラップの側部に設けた不平方向の足場板を備えているので、屋根の勾配に沿って作業者が歩行する時は階段、梯子としてタラップを使用し、屋根面を横方向に歩行する時は足場板を利用できる。
【0007】
しかしながら、上記のように用途に応じて全く異なった構造のタラップと足場板を使用するため、部品点数が多くなり、設計コスト,加工コスト,材料費が嵩む不具合がある。
【0008】
又、タラップや足場板を屋根上に設置したり、撤去したりする時両者の重量や大きさが異なる為、これを引き上げ、引き降す作業が面倒で、困難となり作業性,作業コストにおいて不利となる。
【0009】
更に、工事現場にタラップや足場板を輸送する場合、両者の構造,重量、大きさが異なる為に均一にそろえてトラック等に積むことが困難で、無理に積み込むと荷くずれが生じ危険でもある。
【0010】
更に又、屋根工事の足場やその他の一般的な建築・土木工事の現場では枠組足場を設置する場合が多いが、上記のタラップや足場板はそのままこの枠組足場の足場板として利用できない不具合もある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、一般的な足場板として利用できると共にタラップとしての階段、梯子、その他いろいろな目的にも使用できる汎用性のある階段と梯子と足場板とを兼ねた多目的ステージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、相対向する一対の長尺な枠体1,1と、枠体1,1間に任意の間隔を置いて架設した複数のステップ2と、枠体1,1間において上記各ステップの上面に隙間を設けながら固定した複数の板本体3,3と、枠体1,1における任意の位置の上下又は外周に結合したクッションと滑り止めを兼ねた被覆部材6とからなるもので、階段と梯子と足場板とを兼ねていることを特徴とする。
【0013】
この場合、枠体1とステップ2とが中空な筒体で構成され、枠体の両端に滑り止め8が施され、板本体3の表面に突起、粗面からなる滑り止め9が施され、被覆部材6が枠体の上下に嵌合した一対の弾性なゴム製又は樹製のパッカーから構成されているのが好ましい。
【0014】
同じく、中間の塞ぎ板13と、この塞ぎ板3の両側に固定した抱持枠10、10と、抱持枠10に設け蝶ボルト11とからなる隙間塞ぎ部材Bを備え、上記抱持枠10,10を枠体1,1に差し込み、蝶ボルト11の先端を最端部のステップ2内に挿入して枠体1の端部と板本体3の端部とに隙間塞ぎ部材Bを取付けても良い。
【0015】
同じく、最端部のステップ2の両サイドに挿入した蝶ボルト11を介して枠体1,1の端部に挿入した筒体15,15を保持させ、この筒体にフック16,16を設け、このフック16,16を介して他の足場における横材17に引っ掛けるようにしても良い。
【0016】
同じく、最端部のステップ2内に支持ロッド18を挿入し、当該支持ロッド18の両端に設けた支持片19,19に係止孔を介してロープ又はワイヤからなる牽引部材20を結合し、この牽引部材20介して吊り持ちしながら傾斜面に設置させても良い。
【発明の効果】
【0017】
1)各請求項の発明によれば、相対向する一対の長尺な枠体1,1と、枠体1,1間に任意の間隔を置いて架設した複数のステップ2と、枠体1,1間において上記各ステップの上面に隙間を設けながら固定した複数の板本体3,3とを備えているから、ステップを上側に向けた時はタラップ、梯子又は階段として使用でき、裏返しして板本体を上側に向けた時は、足場板として使用で記きる。
【0018】
2) 同じく、クッションと滑り止めを兼ねた被覆部材6を枠体1に取付けているので、工事現場に立てかけたり、工事現場の水平面、傾斜面に設置したり、足場枠に設置した場合に枠体1が滑らず安全であり、枠体1に作用する振動等の外力を吸収したり、衝撃を緩衝できる。
【0019】
3)板本体2,2間に隙間4が有るので、足場板として使用している時、表に落ちた土、ごみ、水をこの隙間から排出できる。
【0020】
4)階段と梯子と板本体が一体であるから、足場板と梯子と階段とを別々に加工する必要が無いから設計,コスト,加工コストを節約できる。又、トラック等で搬送したり、格納したりする場合には均一に積み込むことができ、荷くずれを防止でき、安全性が図れる。
【0021】
更に、本発明の足場板は、屋根工事用のみならず、一般的な階段、梯子や足場板にも利用でき、多数列設した時は床面、昇降装置その他いろいろな目的に使用可能であって、汎用性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明するが、本発明の階段と梯子と足場板を兼ねた他目的ステージAは、図1乃至図2に示すように、相対向する一対の長尺な枠体1,1と、枠体1,1間に任意の間隔を置いて架設した複数のステップ2と、枠体1,1間において上記各ステップの上面に隙間を設けながら固定した複数の板本体3,3と、枠体1,1の任意の位置の上下又は外周に結合したクッションと滑り止めを兼ねた被覆部材6とから構成されている。
【0023】
この為、ステップ2を上向きにした場合は、階段又は梯子として利用でき、これを裏返しにして板本体3を上側にセットした場合は足場板として使用できる。
【0024】
枠体1とステップ2とは中空な筒体で構成され、枠体1の両端に滑り止め8を施しているので、枠体を梯子として立てかけたとき下端が滑らないようにしている。
【0025】
又、板本体3の表面に突起、粗面からなる滑り止め9を施しているので作業者が滑らないようになっている。
【0026】
更に、被覆部材6が枠体の上下に嵌合した一対の弾性なゴム製又は樹脂製のパッカーから構成され、枠体1に作用する振動等の外力を吸収し、滑りを防止している。
【0027】
本発明のステージAを長手方向に継ぎ足して、例えば、枠組み足場等に設置した時、両ステージA,A間に隙間Sが発生する場合がある。
【0028】
そこで、図3に示すように、二つのステージA,A間に隙間塞ぎ部材Bを設置する場合は、中間の塞ぎ板13と、この塞ぎ板3の両側に固定した抱持枠10、10と、抱持枠10に設け蝶ボルト11とからなる隙間塞ぎ部材Bを用意する。
【0029】
そして、両ステージA,Aにおける抱持枠10,10を各枠体1,1に差し込み、蝶ボルト11の先端を最端部のステップ2内に挿入して枠体1の端部と板本体3の端部とに隙間塞ぎ部材Bに取付る。
【0030】
このとき、塞ぎ板13が隙間Sを塞ぎ、又この塞ぎ板13の下部に設けた板ばね14が両側のステップ2,2に嵌合して弛み止めを図り、上方への抜けを防止している。
【0031】
抱持枠10と隙間塞ぎ板13は、一体に結合しても良く、別々に成形して別々に取り付けても良い。
【0032】
本発明のステージAは、図4に示すように、二枚重ねて使用しても良い。
【0033】
この場合は、二枚のステージA,Aの各枠体1,1の両側にそれぞれソケット21,21と取り付けておき、ステージA,Aを重ねた時これらのソケット21,21間に蝶ボルト23をねじ込んで締結するものである。二つのステージA,Aを重ねて結合する手段は図4の実施の形態に限るものではない。
【0034】
更に、本発明のステージAを枠組み足場の横材17に架設する場合は、図5に示すように、枠体1の端部にフック16を取り付ける。
【0035】
即ち、最端部のステップ2の両サイドに挿入した蝶ボルト11を介して枠体1,1の端部に挿入した筒体15,15を保持させ、この筒体にフック16,16を設け、このフック16,16を介して他の足場における横材17に引っ掛けるようにしている。
【0036】
更に、ステージAを、例えば、図9の住宅Bの屋根面Cにタラップとして設置する場合は、枠体1の端部に牽引部材20を取り付ける。
【0037】
即ち、最端部のステップ2内に支持ロッド18を挿入し、当該支持ロッド18の両端に設けた支持片19,19に係止孔を介してロープ又はワイヤからなる牽引部材20を結合し、この牽引部材20介して止め部材22に吊り持ちさせて傾斜面C上に設置させる。
【0038】
同様に、このステージAは、片側に手摺23を起立させながら傾斜面C上に枕木25を介してタラップとしても使用でき、更に傾斜面にCに沿って階段もしくはタラップとして一対のステージA,Aを設置し、これらのタラップ間に水平に足場板として他のステージAを設置しても良い。
【0039】
この場合は、図7に示すように、縦方向のステージAの板本体1を傾斜面Cに当て、このステージAに蝶ボルト33を介して三つのフレーム25,26,27からなる角度調整自在な三角ブラケットDを起立させる。
【0040】
次いで、傾斜面Cの角度に合わせて傾斜フレーム27に対する水平フレーム26の取りつけ位置を変更して常に水平フレーム26を水平に保持させ、この状態で蝶ボルト28等の止め具を介して他のステージAを足場板として水平フレーム26に固定する。
【0041】
なお、住宅の周りに組み付けてある枠組み足場に枠体1を連結して使用する事もできる。
【0042】
手摺24の取り付けは、図8に示すように、手摺支柱の下部に固定の下部挟持片29と、上方の上下移動自在な上部挟持片33と、この上部挟持片33に連働して上方のブラケット32に移動自在にねじ結合した操作ロッド31とを取りつけておき、上記二つの挟持片29,33とでステージAの枠体1を挟み込み、操作ロッド31で締付けることにより手摺24がステージAの側部の固定して起立させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(A)(B)(C)(D)は本発明の一実施の形態に係るステージの平面図と底面図と側面図である。
【図2】(A)ステージの端部部分拡大平面図である。
【0044】
(B)同一部断面図である。
【0045】
(C)被覆部材部分の側面図である。
【0046】
(D)A―A線一部縦断拡大断面図である。
【0047】
(E)拡大側面図である。
【図3】(A)隙間塞ぎ部材の取り付け状態の平面図である。
【0048】
(B)同正面図である。
【0049】
(C)同縦断側面図である。
【0050】
(D)同縦断拡大正面図である。
【図4】(A) 二つのステージを重ねた状態の部分平面図である。
【0051】
(B) 同じく正面図である。
【0052】
(C) 同じく拡大側面図である。
【0053】
(D) 同じく一部拡大正面図である。
【図5】(A) 端部にフックを取り付けた状態の平面図である。
【0054】
(B) 同じく側面図である。
【0055】
(C)フック部の拡大正面図である。
【図6】(A)端部に牽引部材を取り付けた状態の部分平面図である。
【0056】
(B)同縦断側面図である。
【0057】
(C)同一部拡大正面図で」ある。
【図7】(A)タラップとして使用している状態の正面図である。
【0058】
(B)同一部側面図である。
【図8】(A)手摺の正面図である。
【0059】
(B)同側面図である。
【0060】
(C)手摺の取り付け部の部分拡大平面図である。
【0061】
(D)同側面図である。
【0062】
(E)同正面図である。
【図9】住宅の屋根面に設置した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 枠体
2 ステップ
3 板本体
4,5 隙間
6,7 被覆部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する一対の長尺な枠体1,1と、枠体1,1間に任意の間隔を置いて架設した複数のステップ2と、枠体1,1間において上記各ステップの上面に隙間を設けながら固定した複数の板本体3,3と、枠体1,1の任意の位置の上下又は外周に結合したクッションと滑り止めを兼ねた被覆部材6とからなる階段と梯子と足場板とを兼ねた多目的ステージ。
【請求項2】
枠体1とステップ2とが中空な筒体で構成され、枠体の両端に滑り止め8が施され、板本体3の表面に突起、粗面からなる滑り止め9が施され、被覆部材6が枠体の上下に嵌合した一対の弾性なゴム製又は樹製のパッカーから構成されている請求項1の多目的ステージ。
【請求項3】
中間の塞ぎ板13と、この塞ぎ板3の両側に固定した抱持枠10、10と、抱持枠10に設け蝶ボルト11とからなる隙間塞ぎ部材Bを備え、上記抱持枠10,10を枠体1,1に差し込み、蝶ボルト11の先端を最端部のステップ2内に挿入して枠体1の端部と板本体3の端部とに隙間塞ぎ部材Bを取付る請求項1又は2の多目的ステージ。
【請求項4】
最端部のステップ2の両サイドに挿入した蝶ボルト11を介して枠体1,1の端部に挿入した筒体15,15を保持させ、この筒体にフック16,16を設け、このフック16,16を介して他の足場における横材17に引っ掛けるようにしている請求1、又は2の多目的ステージ。
【請求項5】
最端部のステップ2内に支持ロッド18を挿入し、当該支持ロッド18の両端に設けた支持片19,19に係止孔を介してロープ又はワイヤからなる牽引部材20を結合し、この牽引部材20介して吊り持ちしながら傾斜面に設置させる請求項1又は2の多目的ステージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−19605(P2008−19605A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191638(P2006−191638)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(592097808)
【Fターム(参考)】