説明

多目的流路

a) 固相上に同一の複数の機能性構造RSsp;および
b) 親和性反応物11上に反応性構造RSar1
{ここで、RSspおよびRSariが、相互に互いと反応して、親和性反応物11を固相に固定化する結合構造を形成する}
を含む反応性構造の固定化ペアの使用によって、その中に親和性反応物11が固定化されている固相が存在する反応キャビティーを含む流路。特徴的な態様は、固相が、RSspに由来するが、固相に親和性反応物11を固定化しない複数の構造を含むことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、流路の反応キャビティー中に位置させた固相に強固に結合する親和性反応物を曝露する新規固相に関する。典型的には、流路は、微小流体デバイス(microfluidic device)のマイクロチャネル構造である。本発明はまた、革新的な固相を形成する方法に関する。典型的には、例えば曝露される反応物に対するカウンターパートを液体から捕捉するために、または親和性反応物およびそのカウンターパートとの他の態様での相互作用を可能とするために、固相は、反応物に対する溶解したカウンターパートと一緒に用いられる。詳細は後記する。
【0002】
本発明の説明において、“溶解”という用語は、対象の成分が真に溶質であるか、または懸濁化された形態であることを含む。
本明細書で引用された全ての公告特許および登録特許は、言及することによって、その全体が本明細書に組み込まれる。特に、このことは、米国特許および特許出願および米国を指定した国際特許出願に適用される。
【背景技術】
【0003】
技術的背景および本発明の目的
プレパックされた固相を有する流路を含むアッセイ・デバイスは、顧客および製造者の双方から望まれるものである。製造者にあっては、異なるアッセイ、すなわち固相上に異なる親和性反応物を必要とするアッセイに関心がある顧客に、同一の製品を提供するのは問題であった。この問題の1つの解決法は、特に一般的な親和性リガンド(例えばストレプトアビジン)を提示する固相を有する流路に関する、WO 03 083108 および WO 03 083109 (全て Gyros AB)に提供されている。顧客自身は、一般的な結合剤(例えばビオチン)と結合させた所望の親和性反応物を導入することが出来る。しかしながら、実施すべきアッセイ若しくは方法では、固相上の所望の親和性反応物の結合能力もしくは密度のチューニングもしくはバランスに関して、未だ問題がある。例えば、本明細書と平行して出願した我々の国際特許出願“ブリッジング法”に記載されている。
【発明の開示】
【0004】
上記のアッセイにおいて、親和性アッセイにおける望ましい検出限界、精密度(偏差係数(CV))、ダイナミックレンジ、シグナル/ノイズレベル、回収率、診断特異性および感度などを達成するに、しばしば問題がある。従って、例えば、1つ、2つもしくはそれ以上の下記特性が許容されるレベルに容易に到達するフォーマットで、上述した種類のアッセイを提供することが、一般的に望ましく、そして目標である:
a) 検出限界:≦10−6M、例えば≦10−9M、もしくは≦10−12M、もしくは≦10−13M、もしくは≦10−14M、もしくは≦10−15M、もしくは≦10−16M;
b) ダイナミックレンジ:2、3、4、5またはそれ以上のオーダーのマグニチュード;
c) 精度(CV):±20%の範囲内、例えば±10%の範囲内、もしくは±5%の範囲内、もしくは±3%の範囲内;
d) 回収率:≧70%、例えば≧80%、もしくは≧90%、もしくは≧95%、もしくは100%付近もしくはそれ以上。
これらのパフォーマンス特性についての問題は、処理されるサンプル容量が小さければ小さいほど、例えばnl範囲およびpl範囲、例えば≦20μl、例えば≦5,000nl、もしくは≦1,000nl、もしくは≦500nlを含むμl範囲の下限限界の反応物および/またはアナライト・サンプルである場合、取り扱いがより著しく困難となる。
【0005】
特定のアイテムの複数形、例えば1つの微小流体デバイスにおける複数のマイクロチャネル構造、複数の親和性反応物もしくはアナライトなどは、2つもしくはそれ以上のアイテム、例えば3つ以上、4つ以上、5つ以上のアイテムなどを意味する。
【0006】
図面
図2〜4は、本発明に適用されるいわゆるブリッジングアッセイの結果を表している。本明細書と平行して出願した我々の国際特許出願“ブリッジング法”を参照のこと。
図1:実験の章で用いられる微小流体デバイスのセクション。該セクションは、マイクロチャネル構造のサブセットを含む。
図2a〜b:CDアッセイ内およびCDアッセイ間の測定範囲。
図2a:ウサギのα−PPVを同日に3回行った。測定範囲は、4オーダー以上のマグニチュードであり、CDアッセイ内およびCDアッセイ間で、良好な再現性を示す。x軸上の濃度100は、125の希釈係数に対応する。
図2b:1.96から6.08の範囲のCVのプロット。
図3a〜b:再現性。
図3a:プールされ、連続的に希釈された5匹のマウスからの4本の標準曲線。同じ装置で4日測定を繰り返した。互いの標準曲線をトップに置くことによって、良好な再現性を示すことが出来た。x軸上の濃度100は、125の希釈係数に対応する。
図3b:CVは3.74から6.15の範囲で、変動は小さい。
図4a〜c:アナライトとしての3つの異なる抗hIgGモノクローナル、および固相上の捕捉抗原としての種々の量/密度のhIgG(親和性反応物1)についての標準曲線。検出する抗原は、フルオロフォアでラベルされたhIgGである(親和性反応物2)。
【0007】
本発明
我々は、阻害条件下で、RSsp構造を提示する固相と、RSariを提示する親和性反応物の間で反応を行うことによって、上記の目的が達成されることを確認した。この結果は極めて好ましいものであって、固相を通過させた溶液から溶質を捕捉するのに用いられ得る多目的な固相が得られた。この文脈における「阻害」は、固定化されるべき親和性反応物のRSariとの反応を阻害する反応物の存在下で、固定化反応が行われること、すなわち阻害反応物もまた、構造RSar1を提示するが、将来親和性反応物が関与すべき反応(すなわち固定化された親和性反応物とその溶解したカウンターパートとの反応)に関して無関係であることを意味する。阻害条件の使用により、十分に規制された量および密度の固定化された親和性反応物を有する流路のセットを得ることが簡単となる。固定化結合は簡単に形成される。固相上に親和性反応物を導入する革新的な方法を実施することによって、顧客は、例えば望ましい種類、キャパシティー、密度などの特定の要請に適合した親和性反応物を、容易に導入することができる。
【0008】
本発明の第1の態様は、
a) 固相上の複数の同一の反応性構造RSsp、および
b) 親和性反応物1上の構造RSar1
{ここで、RSspおよびRSariは、親和性反応物1を固相に固定化している結合構造(リンカー)が、お互いに反応した結果として形成されるという意味で、相互に反応性である}
を含む、相互に反応性構造(RSspおよびRSar1)の固定化ペアを用いることによって、親和性反応物1が固定化されている固相が存在する、反応キャビティーを含む流路である。
【0009】
この革新的な流路の主要な特有の特徴は、固相が、RSspより誘導されるが親和性反応物1を固相に結合しない、1個以上の同一のもしくは異なる構造を含むことである。言い換えれば、固相上のRSsp誘導構造は、例えば、以下の特定の種類のRSsp誘導構造を含むそれぞれ異なる部分に分割され得る:
A) RSsp誘導構造が親和性反応物1を固相に結合/固定化させる第1の部分;
B) RSsp誘導構造が1個またはそれ以上のさらなる親和性反応物1、1・・・1(親和性反応物1は親和性反応物1である)を固相に結合/固定化させる第2の部分;
C) RSsp誘導構造が、固定化された親和性反応物1が関与すべき反応に無関係であるグループを結合/固定化させる、第3の部分;
D) RSsp誘導構造が、固相への反応物の固定化によって影響されないRSsp基である、第4の部分。
【0010】
上記のグループCのRSsp誘導構造は、典型的には、固定化された無関係な反応物もしくは基(ナンセンス反応物もしくはナンセンス基とも呼ばれる(ナンセンス=ダミー))に相当する。nは、≧1の範囲、典型的には≦25、例えば≦10、もしくは≦5の範囲から選択される整数であり、例えば1、2、3、4もしくは5である。第1の態様において述べたように、結合構造は、例えば洗浄段階または反応物(例えばアナライトもしくは試薬)との反応に関する段階に固相が用いられる場合に適応される条件で、望ましくない切断に耐えるのに十分なほど安定である。
【0011】
親和性反応物1、1、1・・・1を固定化する結合構造の量と、親和性構造1、1、1・・・1の量、ナンセンス基に対する結合構造の量および影響されていないRSspの量の総計の間のモル比は、≧0.01、例えば≧0.10、もしくは≧0.20、もしくは≧0.40、もしくは≧0.50、もしくは≧0.60、もしくは≧0.70、および/または≦0.99、例えば≦0.90、もしくは≦0.80、もしくは≦0.70、もしくは≦0.60、もしくは≦0.50、もしくは≦0.40、もしくは≦0.30の範囲である。
【0012】
親和性反応物の固定化
阻害条件は、RSsp固相が、RSar1を提示する形態の親和性反応物1、ならびに、それぞれRSspと反応性の構造RSnsを提示する1個以上のナンセンス反応物を含む液体サンプルと接触させることを意味し、典型的にRSsp基の量と比較して過剰量の反応物の両方と先に記載した結合を形成する。RSπsは、典型的に、RSspと等価である。最終的な固相における親和性反応物1の実際の密度は、親和性反応物1とナンセンス反応物(複数を含む)の固定化反応の反応比に関係して決定される。この方法で、顧客が、望ましい固定化された親和性反応物の量および密度に関して、広範囲に異なる反応キャビティーを設計することが容易になる。バッチ形式で、または反応キャビティー中のRSsp固相とフロー条件(flow conditions)下での反応で、反応を行ってもよい。
【0013】
別の態様において、ナンセンス反応物を、親和性反応物1が固定化される前もしくは後に、固相と反応させる。この態様においては、RSsp基の一部のみが第1反応後に使用されずに確実に残っていることが重要である。
【0014】
ある態様においては、1個以上のさらなる親和性反応物(それぞれが、上記のRSariについて記載したRSspと反応し得る反応性構造RSarを有する)を、平行して固相と反応させる。言い換えれば、用いられる液体は、第1溶質に親和性を有する親和性反応物1、第2のアナライトに親和性を有する親和性反応物1、第3のアナライトに親和性を有する親和性反応物1、・・・親和性反応物1まで(ここで、nは整数である)を含む。最も単純な場合において、これらのさらなる反応物についてのRSは、RSar1と同一である。最終的な固相は、複数の親和性反応物を含み、また、1個以上の固定化された親和性反応物と、これらの反応物に対する1個以上の溶解したカウンターパートの間で、同時の相互作用を行なわせることが望ましい場合に有用である。この種の固相/流路は、同一液体サンプル中の2以上のアナライト(多重化)をアッセイするのに有益である。
【0015】
固定化反応で得られた結合は、最終的な流路の意図された使用の際に、望ましくない切断に耐えなければならない。このことは、親和性反応物は、共有結合で、または親和性結合(例えば生体特異的親和性結合)を介して、または物理的吸着を介して、または静電結合などによって、固相に結合し得ることを意味する。
【0016】
共有結合のためには、RSari基は、典型的に、求電子性基および求核性基から選択される。用いられ得る基の例は、アミノ基および置換もしくは非置換−NHを含む他の基、カルボキシ基(−COOH/−COO)、ヒドロキシ基、チオール基、ジスルフィド基、カルボニル基(ケト、アルデヒド)、炭素−炭素二重結合および三重結合を含む基、ハロアルキル基であり、特に、これらの基の反応性の形態(活性化形態)、例えば反応性エステル、反応性アミドもしくはイミド、1個以上のカルボニルが直接結合しているアルケンおよびアルキン(α−β不飽和カルボニル)、カルボニル基が直接結合しているハロアルキル(α−ハロカルボニル)などである。フリーラジカル反応もまた、固相上の結合構造への共有結合導入に用いられ得る。
【0017】
親和性結合を介した固定化は、固定化親和性ペアを利用する。固定化親和性ペアは、好ましくはRSspとRSarである。該ペアの一方のメンバー(固定化されたリガンド, L=RSsp)は、固相物質にしっかりと結合しており、もう一方のメンバー(固定結合要素, B=RSar)は、結合要素Bおよび固定化された親和性反応物を含むコンジュゲート(固定化コンジュゲート)として用いられる。該ペアは、典型的には、固定化された親和性反応物の望ましい親和性反応を妨げないよう選択され、従って、固定化を妨げない範囲の親和性反応物、すなわち、結合要素BとリガンドLが共に一般的である親和性反応物の固定化に有用であり得る。一般的な固定化親和性ペアの例は、a) ビオチン結合化合物、例えばストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジン、抗ビオチン抗体などと、ビオチン、b) 抗ハプテン抗体と対応するハプテンもしくは抗原、c) IMAC基(固定化金属親和性キレート)と、ヒスチジルおよび/もしくはシステイニルおよび/もしくはホスホリル化アミノ酸残基(すなわちIMACモチーフ)を含むアミノ酸配列、d) 抗−種特異的抗体と、対応する種(複数を含む)のIg(複数を含む)、e) クラス/サブクラス特異的抗体と、対応するクラスのIg(複数を含む)、f) Ig(複数を含む)と、微生物誘導Ig結合タンパク質などである(逆にしてもよい)。対応する未反応の親和性反応物と同一のカウンターパートに親和性を示すフラグメントもしくは誘導体は、そのペアと同一のペアのメンバーであり、すなわち、免疫グロブリンに対しては、そのフラグメントは、種もしくはクラス/サブクラス特異的Igパートを含み得る。Igは、哺乳動物の免疫グロブリン、および他の動物の対応するタンパク質を意味する。
【0018】
“コンジュゲート”という用語は、主に、共有結合コンジュゲートを言い、例えば化学結合コンジュゲート、およびリコンビナントで得られるコンジュゲートを言い、典型的にリンカーを介して共有結合する少なくとも2個の部位を含む。リコンビナントの結合において、リンカーならびに少なくとも1個の部位は、ペプチド構造を有する。該用語はまた、いわゆるネイティブ結合、すなわち、それぞれが互いに離れて位置する、2つの異なる分子に対して指向する親和性を有する2つの結合部位を示す親和性反応物を含む。従って、ネイティブ結合は、異なる物理的に別個の抗原決定子を有する抗原、ならびに分子の一部に種および/もしくはクラス特異的決定子を含み、かつ別の部分に抗原/ハプテン結合部位を含む抗体を含む。
【0019】
望ましい固定化親和性ペア(LおよびB)は、典型的には、最大限ストレプトアビジンとビオチンの対応する親和性定数と同等の、またはこの親和性定数より≦10倍、もしくは≦10倍、もしくは≦10倍大きい、親和性定数(KL−−B=[L][B]/[L−−B])を有する。このことは、典型的には、おおよそで、それぞれ≦10−13mol/l、≦10−12mol/l、≦10−11mol/l、および≦10−10mol/lである親和性定数を意味する。好ましくは、それぞれビオチン結合化合物およびストレプトアビジン結合化合物より(逆でもよい)、LおよびBが選択される。これらの親和性定数の範囲は、バイオセンサー(表面プラズモン共鳴)(Biacore (Uppsala, Sweden))によって得られる値を言い、すなわちデキストランでコートされた金表面に固定化されたリガンドLが有する値を言う。
【0020】
RSriとの反応における固相のキャパシティーは、単位体積当たりのmolで、固定化によって起こる結合部位のブロックおよび破壊に無関係なRSspの量として測定され得る。この測定に伴い、適当な結合キャパシティーは、典型的には、液体で飽和されたベッド形態の固相nl当たり、0.001〜3000pmolの、例えば0.01〜300pmolの範囲内である。例えば、0.1pmol/nLのストレプトアビジンが固定化される場合、これは、0.4pmol/nLのビオチン結合部位に相当する。変換因子4は、ストレプトアビジン1分子当たり4個のビオチン結合部位を有するためである。
【0021】
結合キャパシティーはまた、RSariの実際の結合キャパシティー、すなわち、RSspを含む固相(ベッド形態, 水などの液体で飽和)の単位容積当たりの活性なRSari結合構造のモル数として測定され得る。この種の結合キャパシティーは、固定化方法、固相の孔のサイズ、固定化されるものの大きさ、固相の物質および設計などに依存する。理想的には、結合部位の総量と同様の数値が、実際の結合キャパシティーに適用される(上記で定義した通り)。
【0022】
実際の結合キャパシティーの測定は、当分野に周知の原理に従って行われ得る。このことは、典型的には、固相のRSspをRSar1を含む過剰の試薬で飽和し、その後、RSspに結合した量を、例えば固相上で直接、または溶出後に測定することを意味する。測定を容易にするために、試薬のラベルされた形態を、例えばRSariを含むラベルされた試薬およびラベルされていない試薬の混合物を使用してもよい。
【0023】
上述の3つのパラグラフ全てが、特に、RSspと共にRSar1が規定され、かつ固定化親和性ペアが上記の通りならば適用する。実際の結合キャパシティーは、主に、その基本的な形態、例えば結合していないおよび/または誘導体化されていない形態における結合要素Bの結合/捕捉を意味する。
固相が微小反応キャビティーの内壁である場合、固相の容積が、微小反応キャビティーの容積とされる。
【0024】
特定の使用のための、結合キャパシティーの最適範囲(RSar1について)は、多くの因子に依存する。例えば固定化ペア、例えば用いられる固定化親和性ペア、固相の種類(例えば多孔性およびその基礎物質)、固定化親和性ペアを用いるならばコンジュゲートの大きさなどである。該使用が分析アッセイ、分取方法、合成などであれば、この種の使用も含む。
【0025】
固相が流路の反応キャビティー中に存在する場合は、反応性構造RSspおよび/または親和性反応物を、固相上に導入してもよく、また固相が流路の外に存在する場合は、バッチ形式で導入してもよい。RSsp固相物質の一部は、バッチ形式のRSspの導入後、流路の反応キャビティーに移され、ここで、それは、親和性反応物を提示するために、本明細書中で記載した阻害条件下でさらに変換されてもよい。後者の変換はまた、流路の外でバッチ形式で行ってもよい。あるいは、固相が流路の反応キャビティー中に存在する間に、両方の段階を行ってもよい。固定化された親和性反応物が、微小反応キャビティー中に存在する固相の流路方向に均一に分布することが重要な場合もあり、また、固相の上流部分で、親和性反応物が少なくとも十分なキャパシティー、密度などを有することが重要な場合もある。均一な分布は、両方の段階をバッチ形式で行った後、固相の一部を流路に移すことによって達成され得る。
【0026】
流路
好ましくは、流路は、微小流体デバイスの一部であり、すなわち、基板中に構成されたマイクロチャネル構造であり、当該構造中で行なわれるべき実験プロトコルの全ての段階がそこで行われることを可能にする機能ユニットを含む微小導管の系によって定義される。典型的な微小流体デバイスは、例えば、Gyros AB/Amersham Biosciences (WO 99 055827, WO 99 058245, WO 02 074438, WO 02 075312, WO 03 018198 (US 2003 0044322)など); Tecan/Gamera Bioscience (WO 01 087487, WO 01 087486, WO 00 079285, WO 00 078455, WO 00 069560, WO 98 007019, WO 98 053311); Aemic AB (WO 03 024597, WO 04 104585, WO 03 101424など)などに記載されている。好ましい態様ではないが、流路は、種々の機能ユニット、例えば反応キャビティー、混合キャビティー、バルブ機能などと連通しているチューブの形態であってもよい。さらに別の態様において、流路は、液体輸送が毛管力などによって起こり得る、幾つかの種類の吸湿性物質/多孔性物質によって構成される。後者の態様は、種々の慣用の試験片を含む。
【0027】
流路は、典型的には、微小フォーマット中にあり、すなわちマイクロチャネル構造/微小流体デバイスについて以下に記載する大きさの液体容量を扱う大きさを有し、そのことを可能にする。
【0028】
本発明による微小流体デバイスの典型的な形態は、複数の流路(マイクロチャネル構造)を含み、かつ、少なくとも下記A〜Eの一つの特徴を含む:
A) 整数nは、少なくとも1であり、2、3もしくはそれ以上の複数のマイクロチャネル構造数である;
B) 固相は、RSspとRSnsとの反応から誘導されるリンカー構造を介して固定化された、上記のダミー基を含む;
C) 親和性反応物1、1・・・1(ここで、nは≧1の整数である)の組み合わせは、微小流体デバイス中の少なくとも2個のマイクロチャネル構造で、異なっているか、または同一である;これらの少なくとも2個のマイクロチャネル構造でそれぞれ、親和性反応物1は、典型的には同一であり、少なくとも1個、2個もしくはそれ以上のうち少なくとも2個のマイクロチャネル構造において、整数n=1、2、もしくは3である;
D) 1個、2個もしくはそれ以上の複数のマイクロチャネル構造において、上記のモル比は同一であるが、残りのマイクロチャネル構造のそれぞれの対応する比とは、異なっている;
E) 反応キャビティーは、親和性反応物1、1・・・1(典型的には、整数nが、固相間で同一であるかまたは異なっており、かつ/またはそれぞれの固相で1、2、3もしくはそれ以上である)の数および/または組み合わせに関して異なっている、2個もしくはそれ以上の反応キャビティー/固相を含む、より大きなチャンバーの一部である。
望ましい態様において、親和性反応物1、1・・・1πを含む隣り合った固相のペアの間にダミーの固相がある。異なる固相は、互いに積層されている。
【0029】
反応キャビティーと固相物質
反応キャビティーは、好ましくは、微小フォーマットである。
固定化された親和性反応物1を有する固相が存在するとき、反応キャビティー(104a〜h)は、流路(101a〜h)の一部として定義される。従って、反応キャビティーおよび固相の上流/入口末端は、一致している。同様の態様において、下流/出口末端は一致している。反応キャビティーは、固定化された親和性反応物1が存在する固相の下流もしくは上流に他の固相が存在する、より大きなチャンバーの一部であってもよい。これらの他の固相は、親和性反応物1がない点で、および/または固相物質の種類の点で、親和性反応物1を含む固相と異なっていてもよい。これらの他の固相はそれぞれ、他のカウンターパートと相互作用し得る1個以上の他の親和性反応物を含み、こうしてチャンバー中で他の反応キャビティーを定義する。同一の固相/反応キャビティーはまた、幾つかの異なる固定化された親和性反応物を含んでもよい。固定化された親和性反応物もしくは固定化された親和性反応物の組み合わせの種類の点で異なる2個の固相の間には、親和性反応物がない固相、すなわちダミーの固相が存在してもよい。他の反応キャビティーはまた、流路の別の位置で別個のチャンバー内で存在してもよい。
【0030】
反応キャビティー(104a〜h)は、典型的には、微小フォーマット中にあり、すなわち、少なくとも1つの断面の大きさが≦1,000μm、例えば≦500μm、もしくは≦200μm(深さおよび/または幅)であり、これをマイクロキャビティーと言う。最も小さい断面の大きさは、典型的には、≧5μm、例えば≧25μm、もしくは≧50μmである。反応キャビティーの総容積は、典型的には、nLの範囲であり、例えば≦5,000nL、例えば1,000nL、もしくは≦500nL、≦100nL、もしくは≦50nL、もしくは≦25nLである。
【0031】
反応キャビティーは、典型的には、1〜100,000μm、例えば≧10μm、もしくは≧50μm、もしくは100μm、もしくは≧400μm、および/または≦50,000μm、もしくは≦10,000μm、もしくは≦5,000μm、もしくは≦2,500μm、もしくは≦1,000μmの範囲内である長さを有する。
【0032】
固相は、多孔性ベッドの形態であってもよく、すなわち多孔性モノリシック・ベッドであっても、多孔性もしくは非多孔性である粒子を充填したベッドであってもよい。あるいは、固相は、反応キャビティーの内壁であってもよい。モノリシック・ベッドは、多孔性膜もしくは多孔性プラグの形態であってもよい。
“多孔性粒子”という用語は、WO 02 075312 (Gyros AB)に記載された意味と同様の意味を有する。
【0033】
適当な粒子は、球形もしくは回転楕円形(ビーズ)、または非球形である。適切な平均粒子直径は、典型的には、1〜100μmの範囲で見出され、好ましくは、≧5μm、例えば≧10μm、もしくは≧15μm、および/または≦50μmの平均直径である。また、より小さい粒子、例えば0.1μm以下の平均直径を有する粒子も用いられ得る。直径は、“流体力学的”直径を言う。用いられる粒子は、WO 02 075312 (Gyros AB)に記載された意味と同様の意味で、単分散(モノサイズ)であっても多分散(ポリサイズ)であってもよい。
【0034】
固相の基礎物質は、無機物質および/または有機物質をから製造されてもよい。典型的な無機物質は、ガラスを含む。典型的な有機物質は、有機ポリマーを含む。ポリマー物質は、無機ポリマー、例えばガラスおよびシリコンゴム、ならびに合成ポリマーもしくは生物由来のポリマー(生体高分子)といった有機ポリマーを含む。“生体高分子”という用語は、天然の生体高分子から誘導されるポリマー骨格を有する半合成ポリマーを含む。適切な合成有機ポリマーは、典型的には、架橋されており、しばしば重合可能な炭素−炭素二重結合を含むモノマーの重合によって得られる。適当なモノマーの例は、ヒドロキシアルキル アクリレート、例えば2−ヒドロキシアルキル アクリレート、および対応するメタクリレート類、アクリルアミド類、およびメタクリルアミド類、ビニルおよびスチリル エーテル、アルケン置換ポリヒドロキシポリマー、スチレンなどである。典型的には、生体高分子は、多くの場合で、炭水化物構造を示し、例えば寒天、デキストラン、澱粉などである。
【0035】
多孔性ベッドについての“親水性”という用語は、ベッドの一端が過剰量の水と接触したときに、水が、毛管現象によってベッド全体に広がって、孔の表面を十分に濡らすことが可能であることを意味する(吸収)。該表現はまた、段階(ii)で水性液体媒体と接触するベッドの内部表面が、複数の極性官能基(それぞれが酸素および窒素原子などから選択されるヘテロ原子を有する)を提示していることを意味する。適切な官能基は、ヒドロキシ基、エチレンオキシド基(−X−[CHCHO−](ここで、nは整数>1であり、そしてXは窒素もしくは酸素である))、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボキシ基、スルホン基などから選択され得る。粒子の形態の固相物質について、これは、少なくとも粒子の外側の表面が、極性官能基を提示していなければならないことを意味する。同様の物質、濡れ可能性、および官能基などはまた、内壁の形態の固相に適用される。
【0036】
親和性反応物の固定化の際の流動条件
RSariを示す親和性反応物は、親和性反応物が存在する液体が、連続フロー条件下もしくは交流フローおよび静止条件下、反応キャビティー/固相を通過する際に、固相上のRSspに提示される。用いられる流速は、反応のために非拡散制限条件を提供し得るものであるが、拡散制限条件も使用し得る。
【0037】
多孔性ベッドを通る適切な流速は、下記の幾つかの因子に依存し得る:
a) 固定化されるべき親和性反応物;
b) 反応キャビティーの大きさ(容積、長さなど);
c) 固相の種類(固相物質、多孔性、ベッドもしくはコートされた内壁など);および
d) その他。
典型的には、反応キャビティーを通る輸送条件は、RSari親和性反応物を含む液体アリコートについて、≧0.010秒、例えば≧0.050秒、もしくは≧0.1秒の滞留時間であるべきである。反応キャビティー/固相中のアリコートの滞留時間の上限は、典型的には、2時間以下、例えば1時間以下である。流速の例は、0.001〜10,000nl/秒、例えば0.01〜1,000nl/秒、もしくは0.01〜100nL/秒、もしくは0.1〜10nL/秒の範囲である。これらの流速の範囲は、主に、1〜1,000nL、例えば1〜200nL、もしくは1〜50nL、もしくは1〜25nLの範囲の固相容積において、有用であり得る。滞留時間は、液体アリコートが反応キャビティー中の固相を通過するのにかかる時間を言う。典型的には、最適化は、それぞれの特定の系で実験による試験を必要とする。
【0038】
固相を通る液体の流れは、原則として、何れの種類の力によっても駆動されることが可能であり、例えば動電子的もしくは非動電子的に生じる力によって駆動され得る。好ましくは、場合によりこれに適合した微小流体デバイス中の流路の毛管力と組み合わされた遠心力によって駆動され得る。以下にさらに記載する。
【0039】
微小流体デバイス
微小流体デバイスは、μL範囲の、典型的にナノリットル(nL)範囲の容積を有し、かつ、種々の反応物、例えばアナライト、試薬、生成物、サンプル、および/または緩衝物質などを含む1つ以上の液体アリコート/サンプル、例えば液体サンプル1および/または2が処理される、1個、2個もしはそれ以上のマイクロチャネル構造(101a〜h)を含むデバイスである。それぞれのマイクロチャネル構造(101a〜h)は、微小流体デバイス内で行われる革新的なアッセイを行うために必要な全ての機能性部分を含む。μL範囲は、≦1,000μL、例えば≦100μL、もしくは≦10μLの容積を意図し、5,000nLの上限を有するnL範囲を含むが、ほとんどの場合で、≦1,000nL、例えば≦500nL、もしくは≦100nLの容積に関する。nL範囲は、ピコリットル(pL)範囲を含む。マイクロチャネル構造は、≦10μm、好ましくは、≦5×10μm、例えば≦10μmである断面積を有する、1個以上のキャビティーおよび/または流路を含む。
【0040】
マイクロチャネル構造(101a〜h)は、従って、
a) 場合により容量測定ユニット(106a〜h,108a〜h)(デバイス内で処理される液体アリコートを定量するため)と共に、例えば入口ポート/入口(105a〜b,107a〜h)を含む入口装備(inlet arrangement)(102,103a〜h);
b) 液体輸送のための微小導管;
c) 微小反応キャビティー(104a〜h);
d) 微小混合キャビティー/ユニット;
e) 微粒子物質を液体から分離するユニット(入口装備中に存在してもよい);
f) 例えばキャピラリー電気泳動、クロマトグラフィーなどによって、サンプル中に溶解したもしくは懸濁した成分を相互に分離するためのユニット;
g) 微小検出キャビティー;
h) 廃液流路/微小廃液キャビティー(112,115a〜h);
i) バルブ(109a〜h,110a〜h);
j) 環境雰囲気への孔(116a〜i);液体スプリット(liquid split)(液体ルーター);
などから選択される、1個、2個、3個またはそれ以上の機能ユニットを含んでもよい。機能ユニットは、幾つかの機能を有していてもよく、例えば微小反応キャビティー(104a−h)と微小検出キャビティーが重複していてもよい。微小流体デバイスにおける種々の機能ユニットは、 Gyros AB/Amersham Pharmacia Biotech AB: WO 99 055827、WO 99 058245、WO 02 074438、WO 02 075312、WO 03 018198 (US 2003 0044322)、WO 03 034598、WO 05 032999 (US SN 10/957,452)、WO 04 103890、WO 2005 094976 によって、ならびに Tecan/Gamera Biosciences: WO 01 087487、WO 01 087486、WO 00 079285、WO 00 078455、WO 00 069560、WO 98 007019、WO 98 053311 に記載されている。
【0041】
有利な形態において、親水性多孔性ベッドとしての微小反応キャビティー(104a〜h)は、1個以上の入口装備(上流方向)(102,103a〜h)に連通しており、該入口装備はそれぞれ、入口ポート(105a〜b,107a〜h)および少なくとも1個の容量測定ユニット(106a〜h,108a〜h)を含む。他の有利な入口装備(103a〜h)の態様は、1個のマイクロチャネル構造(101a〜h)および/または固相物質を含むことを意図した微小反応キャビティー(104a〜h)にのみ連通している。別の有益な入口装置(102)は、固相物質を含むことが意図されたマイクロチャネル構造(101a〜h)および/または微小反応キャビティー(104a〜h)の全てもしくはサブセット(100)で共通している。後者の態様は、共通の入口ポート(105a〜b)、ならびに、それぞれのマイクロチャネル構造/微小反応キャビティー(101a〜h/104a〜h)のサブセット(100)について1つの容量測定ユニット(106a−h)を有する分配多岐流路を含む。両者の態様において、それぞれの容量測定ユニット(106a〜h,108a〜h)は、順に、そのマイクロチャネル構造(101a〜h)の下流部分、例えば微小反応キャビティー(104a〜h)と通じている。共通の入口装備(102)および/または共通の分配多岐流路と連結しているマイクロチャネル構造は、マイクロチャネル構造のグループもしくはサブセット(100)を定義する。それぞれの容量測定ユニット(106a〜h,108a〜h)は、典型的に、その出口末端にバルブ(109a〜h,110a〜h)を有する。このバルブは、典型的には、例えば出口末端での化学的表面特性における変化、例えば親水性表面と疎水性表面の間の境界(疎水性表面による継ぎ目)(WO 99 058245、WO 2004 103890、WO 2004 103891 および US SN 10/849,321 (Amersham Pharmacia Biotech AB and Gyros AB))、および/または幾何学的/物理学的表面特性(WO 98 007019 (Gamera))における変化を利用した、受動性のものである。
【0042】
入口ポート、容量測定ユニット、分配多岐流路、バルブなどを有する典型的な入口装備は、WO 02 074438、WO 02 075312、WO 02 075775 および WO 02 075776 (全て Gyros AB)で記載されている。
【0043】
それぞれのマイクロチャネル構造は、液体のための少なくとも1個の入口(105a−b,107a〜h)、ならびに過剰の空気のための少なくとも1個の出口開口(脱気)(116a〜i,112)、および場合により液体のための出口開口(廃液チャネル(112)における丸)を有する。
【0044】
微小流体デバイスは、デバイス1個当たり複数のマイクロチャネル構造を含み、該構造の1個以上、例えば全てが、本発明による固相を含むことを意図している。この文脈において、複数は、2個、3個もしくはそれ以上のマイクロチャネル構造を意味し、典型的には、≧10、例えば≧25、もしくは≧90、もしくは≧180、もしくは≧270、もしくは≧360である。
【0045】
2個以上の機能ユニットの間の微小流体デバイス/マイクロチャネル構造内を液体を輸送するために、別の原理を用い得る。慣性力は、例えば、後の段落で記載した通りにディスクを回転させることによって、用いられる。他の有用な力は、毛管力、動電子力、非動電子力、例えば毛管力、水静圧などである。
【0046】
微小流体デバイスは、典型的には、ディスクの形態である。望ましいフォーマットは、ディスク平面に垂直の、もしくはディスク平面と一致する対称軸(C){ここでnは≧2、3、4もしくは5の整数であり、好ましくは∞(C)である}を有する。言い換えれば、ディスクは、方形、例えば正方形であってもよく、他の多角形であってもよいが、好ましくは円形である。典型的にはディスク平面に垂直もしくは平行である回転軸に対して、デバイスを回転させることにより、必要な遠心力を生じさせ得る。回転軸がディスク平面に垂直でない態様は、WO 04050247 (Gyros AB) に記載されている。
【0047】
遠心力が、微小反応キャビティー/固相を通過する液体の流れを駆動するために用いられるときは、微小反応キャビティーを、典型的には、回転軸から外側へ、本質的に放射線状の、流れの方向に置く。
【0048】
望ましい装置は、典型的に、慣用のCDフォーマットと同様の大きさおよび/または形状、例えば慣用のCD直径(12cm)を有する円形のディスクの10%から300%までの範囲の大きさを有する円形ディスクである。
【0049】
微小流体デバイスのマイクロチャネル/マイクロキャビティーは、カバーされていない状態のチャネル/キャビティーを有する、本質的に平面の基板表面から製造され得る。次の段階で、チャネル/キャビティーは別の本質的に平面の基板(蓋)によってカバーされる。WO 91 016966 (Pharmacia Biotech AB) および WO 01 054810 (Gyros AB)を参照のこと。両方の基板は、好ましくはプラスチック材料、例えばプラスチック・ポリマー材料から作成される。
内部表面の付着活性および親水性は、実際の使用との関連でバランスをとるべきである。例えば WO 01 47637 (Gyros AB)に記載されている。
【0050】
マイクロチャネル構造における内部表面の“濡れ可能性”(親水性)および“非濡れ可能性”(疎水性)という用語は、それぞれ≦90°もしくは≧90°の水接触角を有する表面を意味する。異なる機能性部分間の液体の効率的な輸送を容易にするために、個々の部分の内部表面は、主として濡れ可能性であるべきであり、好ましくは≦60°、例えば≦50°、もしくは≦40°、もしくは≦30°、もしくは≦20°の接触角を有する。これらの濡れ可能性値は、微小導管の内壁の少なくとも1個、2個、3個もしくは4個に適応される。1個以上の内壁がより大きい水接触角を有する場合、例えば疎水性である場合は、これは、他の1個以上の内壁のより濡れ可能性の表面によって相殺され得る。特に入口装備において濡れ可能性が採用され、その結果、液体がキャビティー/微小流路に入り始めれば、毛管力(自己吸引)によって意図されたマイクロキャビティー/微小流路が満たされ得る。マイクロチャネル構造における親水性内部表面は、例えば受動バルブ、抗毛管手段(anti-wicking means)、単に環境雰囲気への孔として機能する孔などを導入するために、親水性内壁において1個以上の局所的な疎水性表面による継ぎ目を含めてもよい(図1中の長方形)。例えば WO 99 058245、WO 02 074438、US 2004 0202579、WO 2004 105890、WO 2004 103891 (全て Gyros AB) に記載されている。
【0051】
接触角は、使用温度での、典型的には+25℃での値であり、静的であり、WO 00 056808 および WO 01 047637 (全て Gyros AB)に記載された方法によって測定され得る。
【0052】
親和性反応物
本発明における親和性反応物は、典型的には、リガンド−受容体ペア、例えばa) 抗原/ハプテン、b) 抗体またはその抗原/ハプテンの結合フラグメント、抗体またはその抗原/ハプテン結合フラグメントの抗原/ハプテン結合能を模倣する親和性反応物を含む、、c) 一重鎖および二重鎖の形態を含む核酸、およびポリヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチド、および核酸の模倣物、ならびにd) 触媒系、例えば酵素系のような生体触媒系の構成成分、からなるメンバーから選択される。
【0053】
触媒系の構成成分は、共触媒(cocatalyst)、触媒それ自体、補因子、基質、補助基質、阻害剤、アクチベーターなど、酵素系の構成成分は、補酵素、酵素それ自体、補酵素、基質、補助基質、阻害剤、アクチベーター、エフェクターなどである。
【0054】
他の受容体−リガンドペアは、ホルモン−ホルモン受容体ペアである。ホルモンは、ステロイド構造を示してもペプチド構造を示してもよい。
【0055】
本発明で用いられる親和性反応物は、典型的には、
a) タンパク質構造、例えば、ペプチド構造(例えばポリペプチドおよびオリゴペプチド構造)を含むアミノ酸構造、れらの構造の模倣物および化学修飾された形態などを含む;
b) 炭水化物構造、これらの構造の模倣物および化学修飾された形態などを含む;
c)ヌクレオチド構造、核酸構造、これらのヌクレオチド構造の模倣物および化学修飾された形態などを含む;
d) 脂質構造、例えばステロイド構造、トリグリセリド構造など、これらの構造の模倣物および化学修飾された形態を含む;
e) 他の有機もしくは生物有機構造;
から選択される1個以上の構造を示す。また、多くの他の構造および物質も、用いられる親和性反応物中に存在してもよい。このような他の構造および物質は、感染物(バクテリア、藻類、真菌、ウイルス、プリオン、カビ、寄生生物など)のハプテン/抗原構造、薬物、自己抗原、アレルゲン、診断目的または抗原特異的抗体試薬もしくは薬物の製造のために用いられる体液の免疫応答を刺激し得る合成もしくは天然免疫原が例示され得る。
【0056】
流路の用途
革新的な流路は、固相を含む反応キャビティーを通過する液体中に存在する、固定化された親和性反応物に対する親和性カウンターパートが、固定化された親和性反応物と相互作用する工程を実施するために用いられる。該カウンターパートは溶解した形態であってもよく、また、懸濁された形態、例えば懸濁化細胞、ウイルス、バクテリオファージ、およびそれらの懸濁化したフラグメントであってもよい。望ましい態様においては、液体が微小反応キャビティーを通過する際に、好ましくは本発明による親和性反応物の固定化について先に概説した連続法によって、相互作用を行なわせる。すなわち、当該カウンターパートを含む液体サンプルが微小反応キャビティーの入口末端に提供し、次に固定化された親和性反応物と相互作用させながらキャビティーを通過させるのである。この場合において、相互作用は、典型的には、固相に捕捉されることを意味し、これは、例えば固定化された親和性反応物として用いられた成分である触媒系によって基質が目的物に変換される場合のように、より一過性の捕捉であるような態様を含む。この相互作用工程は、液体サンプル中のアナライトを決定するもしくは特性分析するためのアッセイの一部であってもよい。従って、該用途は、古典的な親和性アッセイ、例えば核酸ハイブリダイゼーション・アッセイ、イムノアッセイ、および酵素アッセイから選択され得る。アッセイ・プロトコルは阻害アッセイでも非阻害アッセイでもよい。典型的な非阻害アッセイは、いわゆるサンドイッチアッセイを含む。該アッセイは、固相に固定化されていてもいなくてもよい検出可能な試薬を利用してもよく、また固定化された親和性反応物と、アナライト(例えば固定化された親和性反応物と同一であるか、またはそれに対するカウンターパート)の相互作用を測定するために用いられてもよい。検出可能な反応物は、例えば、固定化された親和性反応物、または溶解した反応物、例えば本明細書と平行して出願された国際出願明細書“ブリッジング法”中で記載したブリッジング法で用いられた親和性反応物2であってもよい。
【0057】
革新的な流路は、上記の幾つかの固定化された親和性反応物1、1・・・1を含んでもよい。このような態様は、例えば液体サンプル中に存在する複数のアナライトの平行アッセイのための、流路内の多重化によく適合する。アナライトは、例えば、固定化された親和性反応物1、1・・・1に対するカウンターパートであってもよい。本発明による多重化において、それぞれのアナライトと、そのカウンターパート(例えば本発明に従って固定化された固定化カウンターパート)との相互作用は、好ましくは他のアナライトに用いられる検出可能な反応物と同一もしくは異なる、検出可能な親和性反応物の使用によって測定される。典型的には、a) 種々のアナライトとの反応における特異性、およびb) 反応物が検出/測定される物理的な位置、および/またはc)反応物から放出される、反射されるもしくは吸収される種類の放射線の検出可能性、の少なくとも1つに関しては違いがある。革新的な流路に関して、それぞれのアナライトまたはアナライトの組み合わせと、対応する固定化された親和性反応物もしくは親和性反応物の対応する組み合わせの相互作用が、それぞれの領域/部分が固定化された親和性反応物または該反応物の組み合わせを有する固相を含むチャンバーの物理的に分離された部分もしくは領域で起こるならば、有利である。
【実施例】
【0058】
実験の部
アッセイ方法
本発明は2つのモデル系で調べた:
a) アナライトとして抗PPV抗体、および親和性反応物1としてPPVが結合した固相(親和性反応物2(抗原)として抗原および標識されたPPV)、および
b) アナライトとして抗IgGモノクローナル抗体、親和性反応物1(抗原)としてIgGが結合した固相、および検出可能な親和性反応物2(抗原)として標識されたIgG。
【0059】
PPVはブタパルボウイルスを意味する。実験の部で用いられるアッセイの主な段階は、
段階1) 捕捉試薬添加=ビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)と組み合わせたビオチン化PPV抗原またはビオチン化IgGの添加;
段階2) アナライト添加/捕捉段階=アナライト(抗PPV抗体もしくは抗IgG抗体)を含むサンプルの添加;および
段階3) 測定/検出段階=フルオロフォア標識PPV抗原もしくはフルオロフォア標識IgGの添加;
である。選択される特定のアッセイ・プロトコルは、Bioaffy 1C v2 と呼ばれ、その詳細を、実験の部の末尾に示す。
略号“PPV”は、ブタパルボウイルス由来の抗原調製物をいう。
【0060】
微小流体デバイスおよび構成
微小流体デバイスは、WO 04 083108 (Gyros AB) および WO 04 083109 (Gyros AB) に記載したものと同一であった。固相は、フェニルデキストランでコートされたポリスチレン粒子であって、ストレプトアビジンを固定化し、微小反応キャビティー(104)中ベッド/カラムに充填された。操作に用いられる該装置は、レーザー蛍光検出器および微小流体ディスクBioaffy CD microlaboratoryを備えた Gyrolab Workstation であり、何れも Gyros AB, Uppsala, Sweden の製品である。
【0061】
実施例1:抗PPV抗体のアッセイ
アナライト:ウサギのポリクローナル抗PPV抗血清、およびマウスの抗PPV IgG モノクローナル(National Veterinary Institute, Uppsala, Sweden)。マウスの抗PPV IgG モノクローナル(Svanova, Sweden)(Svanovir(商標):血清PPV抗体を検出するためのELISA試験, マニュアル番号 19-7400-00/04)。PPV抗原による免疫処置の種々の段階で、血清サンプルをマウスから採取した。PPVによる免疫処置中にマウスから採取し、5段階(1/5から1/78125)に希釈した血清を標準とした。
【0062】
試薬:PPVおよびウシ血清アルブミン(BSA)
PPVは、Rivera, E at the National Veterinary Institute, Uppsala, Sweden (Rivera E et al., “The Rb1 fraction from ginseng elicits Th1 immunity” Vaccine (in press))から調達した。Pool II の調製物を用いた。
【0063】
ビオチン化した試薬(PPV=親和性反応物1, BSA)
50μgのPPVを用いた。1mg/mLの濃度とするために、500μlのウイルスフラクションを、Nanosep 30K フィルター(Pall Corporations)で遠心分離した。EZ−リンク−スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce)を10mMに希釈し、20倍モル過剰で用いた。これらの溶液を混合し、室温で40分間インキュベートした。450μlのPBS(0.015M NaPO(pH 7.4)、0.15M NaCl、0.02% NaN)を反応混合物と共に Nano Sep 30K カラムの膜上に置き、次に13,000rpmで約50μlを残すまで遠心分離することによって、遊離のビオチンを除去した。確実に遊離のビオチンを除去するために、さらに450μlのPBSで再洗浄を行った。最終容積は60μlであった。
【0064】
本質的に同一の操作をビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)に用いた。出発濃度は、容積300μl中1mg BSA/mLであった。ビオチン試薬は、12倍モル過剰で用いた。タンパク質脱塩スピンカラム(Pierce)を用いて精製段階を行った。最終容積は330μlであった。
【0065】
フルオロフォア標識PPV(親和性反応物2)
90μgのウイルス調製物を、Nanosep 30K フィルター(Pall Corporations)を用いて、1mg/mLまで濃縮し、Alexa フルオロフォア 647 モノクローナル抗体標識キット(A-20186, Molecular Probe)で、製造者の指示書に従って標識した。最終生成物は90μLの容積を有した。
【0066】
固定化したビオチン化反応物のタイトレーション(固定化PPV=親和性反応物1)
PPVを検出可能な方法で固体に結合させるために、ビオチン化PPVをビオチン化ウシ血清アルブミンと共に固相に固定化した。濃度の適当な組み合わせは、抗体が、ビオチン化した試薬と標識した試薬の両方に結合することができるように、すなわち2個の抗原調製物を“ブリッジング”するように定められなければならない。慣用の抗体アッセイにおいて、この測定は、カラムが抗原で飽和されている限りは必要ではない。しかし、本発明によるアッセイにおいて、抗体が固定化された抗原(親和性反応物1)に両方の腕で結合することは、そのことが検出抗原(親和性反応物T)に結合することを妨げるために、許容されていない。他方、応答を発生させるためには固相に固定化された抗原(親和性反応物1)が十分量でなければならず、そうでなければ該アッセイは使用できない。抗原と抗体の間の反応平衡が一方に偏向しすぎていれば、理論上シグナルを得ることは不可能である。
【0067】
PBS−T中のビオチン化PPV(希釈1/10〜1/1280)およびビオチン化BSA(1〜1/128)の希釈/非希釈ストック溶液の異なる1:1の組み合わせを試験した。PPVと共にBSAを用いる目的は、ストレプトアビジン・カラムをタンパク質で完全に飽和させることであり、従って、標識PPVと前もって固定化されたストレプトアビジンを含む固相の間の非特異的表面相互作用を避けることである。
【0068】
ブリッジング結合を促進するために、ビオチン化BSAおよびビオチン化PPVの混合物を捕捉試薬添加段階で添加した。ブランクとサンプルの間のシグナル比を計算した。サンプルとバックグラウンド応答の間の大きな比は、高いパフォーマンスを有するアッセイで望ましい。結果は、80〜160倍の範囲のPPV希釈液、および16〜64倍の範囲のBSA希釈液を示唆した。
【0069】
より詳細には、このタイトレーションを検定するために、試験者ダイアグラム(使用装置におけるソフトウェア・プログラム)を比較して評価した。カラム上のPPVが多いほどシグナルが強く出ること、カラムの頂点のアナライトが多くなることが観察された。応答の絶対値は、V64ビオチン化BSAに対してV80の希釈でターニングポイントを示した。より多くのビオチン化されたBSAがピークにより広いベースを与え、プロファイルは崩れることが示された。カラムの頂点でピークを有するカラムのプロファイルは、可能な限り多くのシグナルをアルゴリズムで積算することが望ましかった。
【0070】
BSAおよびPPVの間の比は、約1.57であるべきであると結論付けられた。試薬の節約のために、選択した希釈液は、PPVについてはV100、そしてBSAについてはV64であり、それを1:1で混合した。これは、後にPPVについてV80、そしてBSA調製物についてV51に修飾した。
【0071】
フルオロフォア標識PPV(親和性反応物2)のタイトレーション
フルオロフォア標識反応物の最適濃度はまた、3個の異なる希釈液、すなわち1% BSAを含むPBS中、V10、V20、およびV40において、フルオロフォア標識PPVのストック溶液を用いることによって試験した。ウサギ抗PPV血清を順に希釈し、全てのタイトレーションのためのデータポイントを作成するための対照サンプルとして用いた。希釈液1/40が最もバックグラウンドが低いことが分かった。従ってこの希釈液を用いた。
【0072】
性能
精度:マウスの血清を1% BSAを含むPBSで125回希釈し、そして12回繰り返し吸引してアッセイした。偏差係数(CV)は1.89%であった。
測定範囲:図2に示されている。
再現性:図3に示されている。
【0073】
サンプル希釈
血清サンプルの可能な希釈因子を評価するために、低力価(low titers)の抗PPVを有する2匹のマウス、中間力価の抗PPV有する2匹のマウス、および抗力価の抗PPV有する2匹のマウスが選択された。全てのサンプルを免疫処置の2週後に採取した。サンプルをA、V、V16およびV32として希釈し、3回行った。何れの技術上の問題点もなく、サンプルを異なる希釈液で分析した。最小希釈のサンプルを、全てのマウスで測定することができ、かつバックグラウンド・シグナルから区別できた。
【0074】
ゲル濾過
ブリッジングアッセイが免疫グロブリンのクラスに依存しないことを明らかにするために、ゲル濾過試験を行った。PPV免疫化処置中に5匹のマウスから2回血清を取り、100μlを集めた:a) IgMが期待され得る免疫化後2週(2vI);およびb) 多くの場合でIgGが存在するブースター後5週(5vII)。最初にカラムを milliQ 水で3回洗浄し、次に脱気したPBSで2回平衡化し、その後血清サンプルを注入することによって、集積液を個別に Superdex(商標)(AEKTA FPLC(登録商標))のクロマトグラフィーにかけた。フラクションをマイクロタイター・ウェルに集めた。検出範囲内の各2番目のフラクションを、Bioaffy(登録商標) CD microlaboratory で本発明のアッセイ方法で試験した。
【0075】
免疫後2週で得られた集積液について、2個の異なるピークで活性が示された。より低い活性ピークは、ボイド容量付近であるが、より高い活性ピークはアルブミン保持容量に近かった。従って、アナライトの分子サイズは広く変化し、そしてPPV特異的IgMが低い活性ピークに寄与し、PPV特異的IgGが高い活性ピークに寄与すると思われる。ブースター後5週で採取したサンプルにおいて、活性ピークは1つしか見られなかった。このピークは、IgGと予測されるクロマトグラムの領域に位置付けられた。
【0076】
未知のサンプルの定量
PPVで免疫化中のマウス由来の総量234の血清を、1/25の通常の希釈で3回試験した。この希釈では、飽和させたカラムで分かった高抗PPV抗体力価を有するサンプルには、不十分であることが明らかとなった。飽和カラムを示すサンプルは、さらに希釈したもので再試験を行った。
【0077】
実施例2:抗IgG抗体のアッセイ
アナライト:ヒトIgGに特異的な1つのポリクローナル抗体(Sigma)(製品番号555784)、および3個のモノクローナル抗体をアナライトとして用いた。ここで、BD Pharmingen が1つのクローン(19885)を、そして Fitzgerald が残った2個のクローン(10−121および10−117)を供給した。モノクローナルは、図4a〜cで1561、1523および1560として記載されている。
【0078】
試薬
骨髄腫由来のヒトモノクローナルIgG1λ(Sigma)を抗原として用いた(hIgG)。
hIgGを、PPVについて上記したのと同様の方法でビオチンで標識した。ビオチン反応における第1段階は、保存緩衝液中のTrisがビオチン試薬と干渉し得るので、緩衝液を交換することであった。Nanosep 30K フィルター(Pall Corporations)をこの目的のために用いた。Trisの除去後、EZ−リンク−スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce)を10mMまで希釈し、12倍モル過剰で100μLのhIgG溶液に加えた。溶液を混合し、室温で1時間インキュベートした。280nmの吸光度を測定し、タンパク質濃度を3.45μMと決定した。ビオチン化hIgG=親和性反応物1。
上記のPPVについて記載した通りにフルオロフォア標識を行った。hIgGの当初の量は100μgであった。280nmと650nmの吸光度を測定することによって、標識の程度を2.76μMの最終濃度を有するタンパク質1mol当たり約7molの ALEXA (フルオロフォア)と決定した。フルオロフォア標識hIgG=親和性反応物2。
【0079】
試薬のタイトレーション
ビオチン化試薬(hIgGおよびBSA)をタイトレーションし、アッセイ系に最適な希釈液を見つけた後、各種異なるモノクローナル抗体をアナライトとして試験した。手順は、本質的にPPVについて記載したものと同様の手順である。ただし、ビオチン化hIgGのストック溶液の種々の希釈液をビオチン化BSAと1:1の比で混合した。シグナルとブランクの応答比は、カラム・プロファイルと共に、最も望ましい組み合わせの最終的な選択に基づいて形成した。100のビオチン化hIgGおよび64のビオチン化BSAの組み合わせを選択した。
【0080】
また、検出抗原希釈液(フルオロフォア標識hIgG)を試験し、ノイズに対して大きなシグナル比を得た。フルオロフォア標識hIgGを、希釈倍数20、40、および80で行った。希釈因子40で試験した。
全てのタイトレーション試験において、ポリクローナル抗体を対照アナライトとして用いた。
【0081】
異なる量のビオチン化抗原
3個のモノクローナルマウス抗ヒトIgGを、1:1の比で、ビオチン化BSAと共に、ビオチン化hIgG(B*hIgG)と組み合わせて試験した(以下参照)。
【表1】

【0082】
ストレプトアビジンのカラムのタンパク質による飽和を確実にするために、そして非特異的相互作用を避けるために、V16 BSA希釈液を最も希釈したビオチン化IgGと共に用いた。モノクローナル抗hIgG抗体を(アナライト)、5000ng/mLから8ng/mLまでの範囲の濃度で別個に行い、5個のデータポイントで曲線を引いた。検出は、69nM フルオロフォア標識hIgGで行った。
【0083】
Gyrolab viewer で試験したカラム・プロファイルは、カラムに加えられた抗原が少ない場合より、捕捉試薬混合物中に抗原(hIgG)が多い場合に、応答レベルがより大きいことを示す。存在するビオチン化抗原が少ない場合に、3個の抗体のピーク全てが崩れ、台形様ピークとなる傾向がある。実際、捕捉試薬中に含まれる抗原が少なくなることによって、抗体の抗原への親和性が徐々に低くなり、最終的にはブランクのレベルに近づく可能性があるようであった。この可能性は、アナライトとして用いた3個のモノクローナル抗IgG抗体について得られた標準曲線によって支持された。図4a〜cを参照のこと。
【0084】
用いられたアッセイ・プロトコル(Bioaffy 1C 2v)は、以下の段階を含む:
当初必要とされる洗浄:粒子洗浄1回目, 粒子洗浄スピン1回目, 粒子洗浄2回目, および粒子洗浄スピン2回目
捕捉試薬添加:捕捉試薬スピン, 捕捉試薬洗浄1回目, 捕捉試薬洗浄スピン1回目, 捕捉試薬洗浄2回目, 捕捉試薬洗浄スピン2回目
アナライト添加:アナライトのスピン, アナライト洗浄1回目, アナライト洗浄スピン1回目, アナライト洗浄2回目, およびアナライト洗浄スピン2回目
CDアラインメント1:検出バックグラウンド PMT 1%, 検出バックグラウンド PMT 5%、および検出バックグラウンド PMT 25%, スピンアウト, 検出試薬添加, 検出試薬スピン, 検出試薬洗浄1回目, 検出試薬洗浄スピン1回目, 検出試薬洗浄2回目, 検出試薬洗浄スピン2回目, 検出試薬洗浄3回目, 検出試薬洗浄スピン3回目, 検出試薬洗浄4回目, 検出試薬洗浄スピン4回目
CDアラインメント2:検出 PMT 1%, 検出 PMT 5%, 検出 PMT 25%
【0085】
実施例3:ヘテロフィル(heterophils)抗体のアッセイ
このアッセイは、R-1530 マウス 抗hTNFα抗体を捕捉抗体として、かつ他のマウス 抗hTNFα抗体を検出抗体として用いるサンドイッチhTNFαアッセイによって、幾つかの血清および血漿サンプル(クエン酸血漿、ヘパリン血漿、EDTA血漿)において、当該予測されない著しいポジティブ・アッセイ応答が見出されたことに基づいて設計された。
【0086】
微小流体デバイスおよび構成:実施例1および2と同一。
アッセイ手順:実施例1および2に記載。
サンプル:16血液ドナーの血清。血清は一夜冷蔵庫中で解凍し、ボルテックス攪拌にかけ、最後に、エッペンドルフ遠心分離機で、4000rpmで+8℃で15分間遠心分離した。
【0087】
緩衝液:
PBS−T:15mM PBS(pH 7.4), Tween(商標) 0.05%, NaN 0.02%
PBS−BSA:15mM PBS(pH 7.4), NaN 0.02%, 1% BSA
【0088】
試薬:
【表2】

1) 実施例2でhIgGについて記載されたようにビオチン化
2) 実施例2でhIgGについて記載されたように Alexa 647 で標識化
3) 微小流体デバイスに導入された溶液の濃度
【0089】
対照標準:
PBS−BSA中2.4〜1750pg/mL範囲のリコンビナントのhTNFoc。
結果:
幾つかの血清サンプルで、ヘテロフィル抗体の濃度の著しい上昇が測定された。原則として、それぞれの検出抗体について、また血液ドナー血清に対応するEDTA−、ヘパリン−、およびクエン酸血漿について、同様の相対的偏差が得られた。
【0090】
本発明の革新的な態様は、特許請求の範囲の請求項でより詳細に定義される。本発明およびその利点を詳細に記載したが、該請求項によって定義された本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、種々の変更、置き換え、および改変を行うことができると理解されるべきである。さらに、本発明の範囲は、明細書に記載された、工程、機械、製造、組成物、手段、方法および段階の特定の態様に制限されることを意図していない。当業者によって本発明の開示により容易に理解されるように、本明細書中に記載した対応する具体的態様と実質的に同一の機能を示すか、または実質的に同一の結果を達成する、現存するもしくは後に開発される、工程、機械、製造、組成物、手段、方法もしくは段階は、本発明に従って利用され得る。従って、添付の請求項は、その範囲内に、該工程、機械、製造、組成物、手段、方法もしくは段階を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実験の部で用いられる微小流体デバイスのセクション。該セクションは、マイクロチャネル構造のサブセットを含む。
【図2a】CDアッセイ内およびCDアッセイ間の測定範囲。ウサギのα−PPVを同日に3回行った。測定範囲は、4オーダー以上のマグニチュードであり、CDアッセイ内およびCDアッセイ間で、良好な再現性を示す。x軸上の濃度100は、125の希釈係数に対応する。
【図2b】CDアッセイ内およびCDアッセイ間の測定範囲。1.96から6.08の範囲のCVのプロット。
【図3a】再現性。プールされ、連続的に希釈された5匹のマウスからの4本の標準曲線。同じ装置で4日測定を繰り返した。互いの標準曲線をトップに置くことによって、良好な再現性を示すことが出来た。x軸上の濃度100は、125の希釈係数に対応する。
【図3b】再現性。CVは3.74から6.15の範囲で、変動は小さい。
【図4a】アナライトとしての3つの異なる抗hIgGモノクローナル、および固相上の捕捉抗原としての種々の量/密度のhIgG(親和性反応物1)についての標準曲線。検出する抗原はフルオロフォアでラベルされたhIgGである(親和性反応物2)。
【図4b】アナライトとしての3つの異なる抗hIgGモノクローナル、および固相上の捕捉抗原としての種々の量/密度のhIgG(親和性反応物1)についての標準曲線。検出する抗原はフルオロフォアでラベルされたhIgGである(親和性反応物2)。
【図4c】アナライトとしての3つの異なる抗hIgGモノクローナル、および固相上の捕捉抗原としての種々の量/密度のhIgG(親和性反応物1)についての標準曲線。検出する抗原はフルオロフォアでラベルされたhIgGである(親和性反応物2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 固相上の複数の同一機能性反応性構造RSsp;および
b) 親和性反応物1上の反応性構造RSari;
{ここで、RSspおよびRSar1が、相互に反応して、親和性反応物1を固相に固定化する結合構造を形成する}
を含む反応性構造の固定化ペアの使用によって、親和性反応物1が固定化されている固相がその中に存在する反応キャビティーを含む流路であって、当該固相が、RSspから誘導されるが当該固相に親和性反応物1を固定化しない複数の構造を含むことを特徴とする流路。
【請求項2】
反応性構造RSspおよびRSar1の固定化ペアが、ビオチン結合化合物(例えばストレプトアビジン、アビジン、ニュートラアビジンおよび抗ビオチン抗体)、およびビオチン化親和性反応物(逆でも可)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の流路。
【請求項3】
親和性反応物1に結合しない複数の構造が、
a) 1個以上のさらなる親和性反応物1、1・・・1(ここで、nは≧1の整数である)に結合している第1の部分;および/または
b) ナンセンス基に結合している第2の部分;および/または
c) RSspと同一である第3の部分;
を含むことを特徴とする、請求項1〜2の何れか1項に記載の流路。
【請求項4】
親和性反応物1、1、1・・・1を固定化する結合構造の量と、
親和性反応物1、1、1・・・1を固定化する結合構造の量、ナンセンス基に対する結合構造の量およびRSspの量
の総計のモル比
が≧0.01および/または≦0.99の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の流路。
【請求項5】
それが微小流体デバイスのマイクロチャネル構造であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の流路。
【請求項6】
微小流体デバイスが、該複数のマイクロチャネル構造の少なくとも2個、3個もしくはそれ以上において、例えばn=1を有する、複数の該マイクロチャネル構造を含むことを特徴とする、請求項5に記載の流路。
【請求項7】
親和性反応物1、1・・・1(ここで、nは≧1の整数である)の組み合わせが、該複数のマイクロチャネル構造の少なくとも2個(例えば該少なくとも2個のマイクロチャネル構造のそれぞれにおいて親和性反応物1を有する)において、異なっているかもしくは同一であり、そして該少なくとも2個のマイクロチャネル構造の少なくとも1個、2個もしくはそれ以上において、典型的にn=1、2、もしくは3を有することを特徴とする、請求項6に記載の流路。
【請求項8】
該複数のマイクロチャネル構造の1個、2個もしくはそれ以上の該比が同一であるが、該複数のマイクロチャネル構造の残りの1つの対応する比と比較して異なっていることを特徴とする、請求項4と組み合わせた請求項6〜7の何れか1項に記載の流路。
【請求項9】
反応キャビティーが、固相と同一であるかもしくは異なっているおよび/または固相毎に1、2、3もしくはそれ以上である整数nを有する、親和性反応物1、1・・・1の数および/または組み合わせに関して異なっている、2個もしくはそれ以上の反応キャビティー/固相を含むより大きいチャンバーの一部であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の流路。
【請求項10】
親和性反応物1を含む隣り合った固相のペアの間にダミーの固相が存在することを特徴とする、請求項9に記載の流路。
【請求項11】
親和性反応物1、1・・・1(ここで、nは≧1の整数である)が、
a) 抗原/ハプテン、
b) 抗体およびその抗原/ハプテン結合フラグメントの抗原/ハプテン結合能を模倣する親和性反応物を含む、抗体またはその抗原/ハプテン結合フラグメント、
c) 一重鎖および二重鎖の形態を含む核酸、およびポリヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチド、および核酸の模倣物、ならびに
d) 触媒系、例えば酵素系のような生体触媒系の構成成分、
から選択されることを特徴とする、請求項1〜10の何れか1項に記載の流路。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2008−534914(P2008−534914A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551226(P2007−551226)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000072
【国際公開番号】WO2006/075966
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505358004)ユィロス・パテント・アクチボラグ (22)
【氏名又は名称原語表記】Gyros Patent AB
【Fターム(参考)】