多相の横方向および/またはコンミュテート式磁束システム
単相および多相の横方向および/またはコンミュテート式磁束機およびそのコンポーネントならびにそれを作り使用する方法が開示される。多相デバイスを含む例示的なデバイスは、内部回転子および/または内部固定子を持つようにさまざまに構成されてもよい。多相デバイスを含む他の例示的なデバイスは、スリムな、積重式の、および/または入れ子式構成で構成されてもよい。こうした多相構成の使用によって、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、改善された性能、効率を達成されることができ、かつ/または、種々の用途のためのサイズに作られるかまたはその他の方法で種々の用途のために構成されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気システムに関し、特に横方向磁束機およびコンミュテート式磁束機に関する。
【背景技術】
【0002】
モータおよび交流発電機は、通常、高効率、高電力密度、および低コストのために設計されている。モータまたは交流発電機における高電力密度は、高い回転速度、したがって、高い電気周波数で動作することによって達成される。しかし、多くの用途は、低い回転速度を必要とする。これに対する一般的な解決策は、減速機を使用することである。減速機は、効率を低下させ、複雑さを増加させ、重量を増加させ、空間要件を増加させる。さらに、減速機は、システムコストを増加させ、機械的故障率を増加させる。
【0003】
さらに、高い回転速度が望まれず、また、減速機が望ましくない場合、モータまたは交流発電機は、通常、低回転速度で高い電気周波数を提供するために、多数の極を有さなければならない。しかし、たとえば空間的な制限によって、特定のモータまたは交流発電機が有することができる極の数に対して実用上の制限が存在することが多い。実用上の制限に達すると、所望の電力レベルを達成するために、モータまたは交流発電機は、比較的大きくなり、したがって、相応して低い電力密度を有しなければならない。
【0004】
さらに、交流発電機および電気モータについての既存の多極巻線は、通常、サイズおよび/または電力の必要性を満たすために、巻線幾何形状そしてしばしば複雑な巻線機を必要とする。極の数が増加するにつれて、巻線問題は、通常、悪化する。さらに、極数が増加するにつれて、コイル損失もまた(たとえば、コイルを構成する銅ワイヤまたは他の材料の抵抗作用によって)増加する。しかし、多数の極は、一定の利点、たとえば、1巻回について高い電圧定数を可能にすること、高いトルク密度を提供すること、および、高い周波数で電圧を生成することを有する。
【0005】
最も一般的には、電気モータは、半径方向磁束型である。非常に少ない程度に、一部の電気モータは、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機として実装される。改善された電気モータおよび/または交流発電機の性能および/または構成可能性を生み出すことが望ましい。特に、改良型横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機が望ましい。さらに、多相入力を収容し、かつ/または、多相出力を生成するように構成された横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、横方向および/またはコンミュテート式磁束機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある例示的な実施形態では、電気機械は、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える第1の導電性コイルを備える。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続される。第1のコイル部分は、磁束伝導体の第1のセットによって少なくとも部分的に閉囲される。第2のコイル部分は、磁束伝導体の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲される。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、電気機械の回転軸に対して、オーバラップする角度部分を少なくとも部分的に横切る。電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である。
【0008】
別の例示的な実施形態では、電気機械は、回転子であって、回転子の回転軸に対して内側側面および外側側面を有し、内側側面は、回転軸の周りに円を規定する、回転子と、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルとを備える。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される。導電性コイルは、円の外周の一部分のみに沿って延在する。磁束伝導体の第1のセットは、第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する。磁束伝導体の第2のセットは、第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する。第1のセットおよび第2のセットは、キャビティ係合式構成または面係合式構成の一方において前記回転子の内側側面に係合する。電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である。
【0009】
なお別の例示的な実施形態では、電気機械は、固定子を備える。電気機械は、さらに、固定子によって少なくとも部分的に閉囲されたコイルを備え、コイルは、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される。電気機械は、さらに、共通回転軸および共通回転平面を有する第1の回転子および第2の回転子を備える。固定子は、共通回転軸から第1の半径において第1の回転子に係合する。固定子は、共通回転軸から第2の半径において第2の回転子に係合する。第1の半径および第2の半径は異なる。電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である。
【0010】
本要約の節の内容は、本開示に対する簡略化された導入として提供されるに過ぎず、添付特許請求項の範囲を制限するために使用されることを意図されない。
【0011】
以下の説明、添付特許請求項、および添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】ある例示的な実施形態による例示的な横方向磁束機を示す図である。
【図1B】ある例示的な実施形態による例示的なコンミュテート式磁束機を示す図である。
【図2A】ある例示的な実施形態による例示的な軸方向ギャップ構成を示す図である。
【図2B】ある例示的な実施形態による例示的な半径方向ギャップ構成を示す図である。
【図3A】ある例示的な実施形態による例示的なキャビティ係合式構成を示す図である。
【図3B】ある例示的な実施形態による例示的な面係合式構成を示す図である。
【図3C】ある例示的な実施形態による例示的な面係合式横方向磁束構成を示す図である
【図4】ある例示的な実施形態による電気モータ効率曲線を示す図である。
【図5A】ある例示的な実施形態による例示的な単相固定子/回転子組立体の断面を示す図である。
【図5B】ある例示的な実施形態による図5Aの単相構成に基づく例示的な3相構成の断面を示す図である。
【図5C】ある例示的な実施形態による例示的な3相回転子構成を示す図である。
【図5D】ある例示的な実施形態による図5Cに示す回転子の例示的な磁気および磁束集中部分の拡大図である。
【図6A】ある例示的な実施形態による内部固定子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図6B】ある例示的な実施形態による内部固定子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図6C】ある例示的な実施形態による、内部コア磁束伝導体間隔が、90°位相遅れを生成するように構成された図6Aおよび6Bの多相デバイスの一部分の拡大図である。
【図7A】ある例示的な実施形態による内部回転子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図7B】ある例示的な実施形態による内部回転子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図7C】ある例示的な実施形態による図7Aおよび7Bの多相デバイスの一部分の拡大図である。
【図8A】ある例示的な実施形態によるスリムな設計を有する例示的な多相デバイスの斜視図である。
【図8B】ある例示的な実施形態による図8Aの多相デバイスの一部分の拡大図である。
【図8C】ある例示的な実施形態による図8Aおよび8Bの例示的な多相デバイスの平面図である。
【図9A】ある例示的な実施形態による、位相整合した方法で内部で入れ子にされた同様の多相デバイスを有する図8A〜8Cの多相デバイスを示す図である。
【図9B】ある例示的な実施形態による、位相スタガード方法で内部で入れ子にされた同様の多相デバイスを有する図8A〜8Cの多相デバイスを示す図である。
【図10】ある例示的な実施形態による、自動車内で使用するように構成された例示的な多相デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、種々の例示的な実施形態であるに過ぎず、本開示の範囲、適用可能性、または構成をいずれの方法でも制限することを意図されない。むしろ、以下の説明は、最良のモードを含む種々の実施形態を実施するための好都合な例証を提供することを意図される。明らかになるように、添付特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態で述べる要素の機能および配置構成において、種々の変更が行われてもよい。
【0014】
簡潔さのために、電気システムの構成、管理、動作、測定、最適化、および/または制御のための従来の技法、ならびに、磁束利用、集中、制御、および/または管理のために従来の技法は、本明細書で詳細に述べられない可能性がある。さらに、本明細書に含まれる種々の図に示す接続線は、種々の要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を示すことを意図される。多くの代替のまたは付加的な機能的関係または物理的接続が、実用的な電気システム、たとえばAC同期電気モータ内に存在してもよいことが留意されるべきである。
【0015】
従来の電気モータ、たとえば従来のDCブラシレスモータは、種々の欠点を持つ。たとえば、多くの電気モータは、種々の回転速度および/または負荷、たとえば、低い回転速度では非効率的である。そのため、モータは、通常、適した効率の狭いRPM範囲および/または負荷範囲内で動作する。これらの構成では、モータから有用な仕事を得るために、ギアまたは他の機械的手法が必要とされる可能性がある。
【0016】
さらに、多くの電気モータは、低い極数を有する。電力はトルクとRPMの関数であるため、こうしたモータは、所望の電力密度および/または電気周波数を達成するために、しばしば、高い物理的RPMで動作しなければならない。さらに、高い電力密度(たとえば、アクティブな電気的および磁気的モータ質量の1キログラム当たりの高いキロワット出力)は、任意選択で、高い回転速度、したがって、高い電気周波数でモータを動作させることによって達成される。しかし、高い電気周波数は、高いコア損失、したがって、低い効率をもたらしうる。さらに、高い電気周波数は、コストの増加、機械的複雑さの増加、および/または信頼性の減少をもたらしうる。さらに、高い電気周波数および関連する損失は、熱を生成し、熱は、能動的冷却を必要とする可能性があり、また、モータの動作範囲を制限しうる。熱は、高周波機械の寿命および信頼性を低下させうる。
【0017】
なお他の電気モータは、多量の銅ワイヤまたは他のコイル材料を含む。コイル巻線の長さのために、コイル内の抵抗性作用がコイル損失をもたらす。たとえば、こうした損失は、電気エネルギーの一部分を熱に変換し、効率を低下させ、おそらくは、モータの熱損傷および/または機能的破壊をもたらす。
【0018】
さらに、多くの従来の電気モータは低いトルク密度を提供した。本明細書で使用されるように、「トルク密度(torque density)」は、アクティブな電気的および磁気的材料のキログラムあたり生成されるニュートンメートルを指す。たとえば、多くの従来の電気モータは、約0.5ニュートンメートル/キログラム〜約3ニュートンメートル/キログラムのトルク密度を持つように構成される。そのため、たとえば全部で10ニュートンメートルのトルクを提供する1ニュートンメートル/キログラムのトルク密度を有するある電気モータは、たとえばアクティブな電気的および磁気的材料の10キログラムを超えて、著しく重い可能性がある。同様に、たとえば全部で100ニュートンメートルのトルクを提供する2ニュートンメートル/キログラムのトルク密度を有する別の電気モータはまた、たとえばアクティブな電気的および磁気的材料の50キログラムを超えて、著しく重い可能性がある。理解されるように、たとえばフレームコンポーネント、ハウジング、および同様なものの重量を含むこれらの電気モータの総合重量は、かなり大きい可能性がある。さらに、こうした従来の電気モータは、大きなモータ質量の結果として、しばしば著しくかさばる。しばしば、特定の用途について十分なトルクおよび/または電力のモータは、利用可能な面積にピッタリ合うことが難しいかまたはさらに不可能である。
【0019】
従来の横方向磁束機でさえ、これらの困難さを克服することができなかった。たとえば、従来の横方向磁束機は、かなりの磁束漏洩を受けた。依然として他の横方向磁束機は、アクティブな電気的および磁気的材料の1キログラム当たりわずか数ニュートンメートルのトルク密度を提供した。さらに、種々の従来の横方向磁束機は、比較的狭いRPMおよび/または負荷範囲内でのみ効率的に動作可能であった。さらに、かなりの出力電力を生成するために従来の横方向磁束機を使用することは、高レートの速度で比較的どっしりとしかつ複雑なコンポーネント(すなわち、永久磁石ならびに/または比較的新奇な、密な、かつ/または高価な磁束集中材料または伝導材料を含むコンポーネント)を回転させることを必要とした。こうした高速動作は、支持および/またはシステム信頼性のためにさらなる高価な、かつ/または、複雑なコンポーネントを必要とする。さらに、多くの従来の横方向磁束機は、製造するのに比較的費用がかかり、かつ/または、難しく、実行可能性を制限する。
【0020】
対照的に、種々のこれらの問題は、本開示の原理に従って構成された横方向磁束機を利用することによって、解決されうる。本明細書で使用されるように、「横方向磁束機(transverse flux machine)」および/または「コンミュテート式磁束機(commutated flux machine)」は、磁束経路が、機械の回転平面を磁束が全体的に横切るセクションを有する任意の電気機械である。ある例示的な実施形態では、磁石および/または磁束集中コンポーネントが、機械が動作するときに、回転子上にある、かつ/または、移動するとき、電気機械は、純粋な「横方向(transverse)」磁束機である可能性がある。別の例示的な実施形態では、磁石および/または磁束集中コンポーネントが、機械が動作するときに、固定子上にある、かつ/または、静止状態に保たれるとき、電気機械は、純粋な「コンミュテート式(commutated)」磁束機である可能性がある。容易に明らかになるように、ある構成では、「横方向磁束機」は、回転子を固定し、固定子を移動させることによって「コンミュテート式磁束機」になると考えられてもよく、またその逆である。さらに、コイルは、固定子に固定されてもよく、あるいは、コイルは、回転子に固定されてもよい。
【0021】
さらに、コンミュテート式磁束機と横方向磁束機との間のギャップを架橋する機能およびデバイス設計の範囲が存在する。ある設計は、これら2つのカテゴリの間にまさに入ってもよい、または、同時に両方に属すると考えられてもよい。したがって、当業者に明らかになるように、本開示では、「横方向磁束機」に対する参照は、「コンミュテート式磁束機」に対して同様に適用可能であってよく、また、その逆である。
【0022】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、複数の方法で構成されてもよい。たとえば、図2Aを参照して、コンミュテート式磁束機は、固定子210が、回転子250の回転平面に全体的に整列した状態で構成されてもよい。こうした構成は、本明細書で「軸方向ギャップ(axial gap)」と呼ばれる。別の構成では、図2Bを参照して、コンミュテート式磁束機は、固定子210が、回転子250の回転平面に対して約90度回転した状態で構成されてもよい。こうした構成は、明細書で「半径方向ギャップ(radial gap」と呼ばれる。
【0023】
図3Aを参照して、コンミュテート式磁束機内の磁束スイッチ352は、固定子310によって画定されたキャビティ内に少なくとも部分的に延在することによって固定子310に係合してもよい。こうした構成は、本明細書で「キャビティ係合式(cavity engaged)」と呼ばれる。図3Bを考えて、コンミュテート式磁束機内の磁束スイッチ352は、固定子310の2つの端子面に非常に接近することによって固定器310に係合してもよい。こうした構成は、本明細書で「面係合式(cavity engaged)」と呼ばれる。同様な係合手法は、横方向磁束機においてとられてもよく、また、同様な方法で呼ばれる。
【0024】
一般に、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、回転子、固定子、およびコイルを備える。磁束スイッチは、固定子または回転子上に配置されてもよい。本明細書で使用されるように、「磁束スイッチ(flux switch)」は、磁気回路(すなわち、透磁率が空気よりかなり高い部分)を開放するかつ/または閉鎖するように構成された任意のコンポーネント、機構、またはデバイスであってよい。磁石が、固定子または回転子上に配置されてもよい。コイルは、固定子または回転子によって少なくとも部分的に閉囲される。任意選択で、磁束集中部分が、固定子および/または回転子上に含まれてもよい。ここで図1Aを一時的に参照して、例示的な横方向磁束機100Aは、回転子150A、固定子110A、およびコイル120Aを備えてもよい。この例示的な実施形態では、磁石は、回転子150A上に配置されてもよい。ここで図1Bを一時的に参照して、例示的なコンミュテート式磁束機100Bは、回転子150B、固定子110B、およびコイル120Bを備えてもよい。この例示的な実施形態では、磁石は、固定子110B上に配置されてもよい。
【0025】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、所望の電気的、磁気的、かつ/または物理的特性を提供するために、任意の適したコンポーネント、構造、および/または要素を持つように構成されてもよい。たとえば、50ニュートンメートル/キログラムを超える、連続的な熱的に安定したトルク密度を有するコンミュテート式磁束機は、多相構成を利用することによって達成されてもよい。本明細書で使用されるように、「連続的な熱的に安定したトルク密度(continuous, thermally stable torque density)」は、能動的冷却なしで、1時間以上の期間にわたる連続動作中にモータによって維持可能なトルク密度を指す。さらに、一般に、連続的な熱的に安定したトルク密度は、熱性能低下および/または損傷なしで、連続動作の延長期間、たとえば、1時間以上の間、モータによって維持可能なトルク密度であると考えられてもよい。
【0026】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、低いコア損失を達成するように構成されてもよい。高い透磁率、低い保磁力、低いヒステリシス損、低い渦電流損、および/または高い電気抵抗を有する材料を利用することによって、コア損失が低減される可能性がある。たとえば、ケイ素鋼、粉末状金属、粉末状めっき金属、軟磁性複合材、アモルファス金属、ナノ結晶複合材、および/または同様なものは、回転子、固定子、スイッチ、ならびに/または、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機の他の磁束伝導コンポーネントで利用されてもよい。そのため、渦電流、磁束漏洩、および他の望ましくない特性が、低減される可能性がある。
【0027】
横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機はまた、交流方法などで、磁束伝導体内の飽和レベルを変えることによって、低いコア損失を達成するように構成されてもよい。たとえば、固定子内の磁束伝導要素は、磁束伝導要素の第1の部分が固定子の動作中の第1の時間に飽和するように構成されてもよい。同様に、同じ磁束伝導要素の第2の部分は、固定子の動作中の第2の時間に飽和する。こうして、磁束伝導要素の複数の部分が、経時的に飽和誘導よりかなり低い磁束密度レベルを有し、コア損失を低減する。たとえば、磁束伝導要素のかなりの部分が、その磁気サイクルの時間の50%以内に飽和誘導の25%より低い磁束密度レベルを有する可能性がある。さらに、任意の適した磁束密度変化が利用されてもよい。
【0028】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、低いコイル損失を達成するように構成されてもよい。たとえば、所望の出力電力Pを達成するために、1つまたは複数のコイル内にある質量の銅Cを利用する従来の電気モータと対照的に、特定の横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、同じ出力電力Pを達成しながら、少量の銅C(たとえば、銅Cの10分の1)だけを利用する可能性がある。さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、改善された方法で(たとえば、コイル内の「端巻回部(end turn)」を減少させる、かつ/または、削除することによって)コイル材料を利用するように構成されてもよい。こうして、抵抗損、渦電流損、熱損失、および/または所与のコイル質量Cに関連する他のコイル損失が低減される可能性がある。さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機内で、コイルは、所与のコイル質量Cについて損失をさらに低減するように、構成されてもよく、形作られてもよく、配向されてもよく、整列されてもよく、製造されてもよく、かつ/または、その他の方法で構成されてもよい。
【0029】
さらに、本開示の原理に従って、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、高い電圧定数を達成するように構成されてもよい。こうして、機械内の巻回数が、高い周波数に関連して低減される可能性がある。そのため、コイル質量および/またはコイル内の巻回数の対応する低減が達成される可能性がある。
【0030】
なおさらに、本開示の原理によれば、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、高い磁束切換え周波数、たとえば、1000Hzを超える磁束切換え周波数を達成するように構成されてもよい。磁束が高周波数で切換えられるため、トルク密度が増加する可能性がある。
【0031】
ここで図4を参照して、特定のトルクについての典型的な従来の電気モータの効率曲線402が示される。回転/分(RPM)がX軸上に示され、モータ効率がY軸上に示される。示すように、従来の電気モータは、通常、低いRPMで比較的低い効率で動作する。この従来のモータの場合、効率は、増加し、その後、特定のRPMでピークになり、最終的に、RPMがさらに増加するにつれて低下する。結果として、多くの従来の電気モータは、望ましくは、ピーク効率の近くのRPM範囲内で動作することが多い。たとえば、1つの特定の従来技術の電気モータは、約3000RPMで約90%の最大効率を有する可能性があるが、効率は、それより高くないかまたは低くないRPMで劇的に低下する。
【0032】
ギアボックス、トランスミッション、および他の機械的機構は、所望の出力RPMまたは他の出力条件を達成するために、電気モータに結合されることが多い。しかし、こうした機械的コンポーネントは、しばしば、コストが高い、かさばる、重い、かつ/または、さらなるエネルギー損失、たとえば、摩擦損失を課す。こうした機械的コンポーネントは、モータ/トランスミッションシステムの総合効率を減少させうる。たとえば、約70%効率で動作するギアボックスに結合された約90%効率で動作する電気モータは、約63%の総合効率を有するモータ/ギアボックスシステムをもたらす。さらに、ギアボックスは、従来の電気モータ自体より、大きい、かつ/または、重量があるかまたはコストが高い可能性がある。ギアボックスはまた、システムの総合信頼性を減少させる。
【0033】
対照的に、引き続き図4を参照して、また、本開示の原理によれば、特定のトルクについて横方向および/またはコンミュテート式磁束機の効率曲線404が示される。本開示の原理によれば、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、従来の電気モータのRPMより低いRPMで、所望の効率レベル(たとえば、80%以上の効率)に急速に達する可能性がある。さらに、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、従来の電気モータのRPM範囲より広いRPM範囲にわたって望ましい効率レベルを維持する可能性がある。さらに、横方向および/またはコンミュテート式磁束機の効率は、従来の電気モータと比較して、ピーク効率RPMを過ぎてよりゆっくり低下する可能性がある。
【0034】
さらに、本開示の原理によれば、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、従来の電気モータのトルク密度より高いトルク密度を達成する可能性がある。たとえば、ある例示的な実施形態では、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、100ニュートンメートル/キログラムを超える連続的な熱的に安定したトルク密度を達成する可能性がある。
【0035】
そのため、本発明の原理によれば、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、種々の用途で使用されてもよい。たとえば、自動車用途では、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、ホイールハブモータとして、ダイレクトドライブラインモータとして、かつ/または、同様なものとして利用されてもよい。さらに、特に、低いRPMにおいて十分に広い動作RPM範囲を有する例示的な実施形態では、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、トランスミッション、ギアボックス、および/または同様な機械的コンポーネントについての必要性なしで、自動車用途で利用される可能性がある。
【0036】
例示的な電気自動車またはハイブリッド自動車の実施形態は、自動車のホイールを駆動する横方向磁束モータを備え、自動車は、トランスミッション、ギアボックス、および/または同様な機械的コンポーネント(複数可)を備えない。この例示的な実施形態では、電気自動車またはハイブリッド自動車は、トランスミッションに似た機械的コンポーネントを備える同様の自動車よりかなり軽い。重量の減少は、トランスミッションに似た機械的コンポーネントを有する同様の自動車と比較して、拡張された駆動範囲を容易にする可能性がある。あるいは、ギアボックスの削除によって節約された重量は、拡張された範囲についてさらなる電池の利用を可能にする。さらに、ギアボックスの削除によって節約された重量は、改善された搭乗者の安全性のためのさらなる構造材料を可能にする。一般に、適した効率の広いRPM範囲を有するコンミュテート式磁束機は、望ましくは、ダイレクトドライブ構成が有利である種々の用途で利用されてもよい。たとえば、わずか数RPMから約2000RPMのRPM範囲にわたって80%より高い効率を有するコンミュテート式磁束機は、望ましくは、自動車で使用されてもよい。
【0037】
さらに、例示的なトランスミッションなしの電気自動車またはハイブリッド自動車は、より高い総合効率を有する可能性がある。換言すれば、例示的な自動車は、モータと自動車のホイールとの間のトランスミッションに似たコンポーネントがないことによって改善された効率がもたらされるために、電池で利用可能な電力をより効率的に利用する可能性がある。これはまた、駆動範囲を拡張し、かつ/または、電池についての必要性を低減するように構成される。
【0038】
さらに、コンミュテート式磁束機は、高いトルク密度を有するように構成される。本開示の原理によれば、高トルク密度のコンミュテート式磁束機はまた、種々の用途、たとえば自動車用途で使用するのに好適である。たとえば、従来の電気モータは、約0.5と約3ニュートンメートル/キログラムとの間のトルク密度を有する可能性がある。さらなる技法、たとえば能動的冷却は、従来の電気モータが約50ニュートンメートル/キログラムまでのトルク密度を達成することを可能にしうる。しかし、こうした技法は、通常、かなりのさらなるシステム質量、複雑さ、大きさ、および/またはコストを付加する。さらに、比較的高い量のトルクを生成するように構成されたこうした従来の電気モータ、たとえばSiemens1FW6モータは、比較的低いRPM動作、たとえば250RPM未満の動作に制限される。
【0039】
対照的に、本発明の原理によれば、例示的な受動冷却式の横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、50ニュートンメートル/キログラムを超える、連続的な熱的に安定したトルク密度を持つように構成されてもよい。本明細書で使用されるように、「受動冷却式(passively cooled)」は、動作のために電力を必要とする冷却コンポーネント、たとえば水ポンプ、オイルポンプ、冷却ファン、および/または同様なものがないシステムを指すものと一般に理解される。さらに、この例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、コンパクトな径、たとえば14インチ未満の径を持つように構成されてもよい。別の例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、100ニュートンメートル/キログラムを超える、連続的な熱的に安定したトルク密度および20インチ未満の径を持つように構成されてもよい。したがって、本開示の種々の原理を利用することによって、例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、電気自動車のホイールハブモータとして搭載するのに適した方法でサイズが決められてもよい、かつ/または、その他の方法で構成されてもよい、かつ/または、形作られてもよい。その理由は、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機が、従来の電気モータに比べて、かなり軽量である、かつ/または、かなりコンパクトであるからである。こうして、結果的に得られるホイール/モータ組立体のばね下重量が低減されうる。これは、自動車のハンドリングを改善し、サスペンションコンポーネントの複雑さおよび/またはサイズを低減しうる。
【0040】
さらに、本開示の原理によれば、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、回転部分を有する電気機械システム、たとえば洗浄機または他のアプライアンスで利用されてもよい。一実施例では、従来の洗浄機は、通常、ウォッシャードラムを回転させるベルトドライブに結合した電気モータを利用する。対照的に、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、ウォッシャードラムに軸方向に結合してもよく、ダイレクトドライブ構成を提供し、ベルトドライブ要素を削除する。あるいは、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機、たとえば部分固定子を備えるものは、回転子に結合されてもよい。回転子は、ウォッシャードラムと共通の軸を有してもよい。回転子はまた、ウォッシャードラムに直接結合されてもよい、かつ/または、ウォッシャードラムに一体に形成されてもよい。こうして、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、洗浄機あるいは他の同様な電気機械的構造および/またはシステムのために回転力を提供してもよい。
【0041】
さらに、本開示の原理によれば、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、自転車、スクータ、モータサイクル、クワドバイク、ゴルフカート、または他の車両などの比較的軽量の車両に対して機械的出力を提供するために利用されてもよい。さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、小型エンジン用途、たとえば可搬型発電機、電力ツール、および他の電気機器で利用されてもよい。横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、プロペラ駆動式デバイス、たとえばボート、航空機、および/または同様なものに対する機械的出力を提供するために利用されてもよい。横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機はまた、望ましくは、種々の機械ツール、たとえば回転スピンドル、大きな質量を移動させるように構成されたテーブル、および/または同様なものにおいて利用されてもよい。一般に、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、任意の適したデバイスへ、かつ/または、任意の適したデバイスから、電気的および/または機械的入力を提供する、かつ/または、電気的および/または機械的出力を提供するために利用されてもよい。
【0042】
種々の例示的な実施形態によれば、例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、多相入力を収容し、かつ/または、多相出力を生成するように構成される。多相入力デバイスおよび/または多相出力デバイスは、単相デバイスと比較して種々の利点を有しうる。たとえば、多相モータは、始動トルクを生成するために、外部回路要素または他のコンポーネントを必要としなくてもよい。多相デバイスはまた、脈動性および/または間欠性、たとえば、単相デバイスによって生成される電流が、電流がゼロ振幅を有するサイクルの部分を通過するときに生じる脈動性および/または間欠性を回避しうる。代わりに、多相デバイスは、交流電流入力の各周期にわたって実質的に一定の電力出力を送出しうる、およびまた、その逆もあり得る。
【0043】
多相デバイスは、参照により本明細書に組み込まれる種々の同時係属中の出願に開示される単相レイアウトと同様のレイアウトを使用して生成されうる。多相デバイスはまた、単一回転子/固定子のセットを有するレイアウト、または、単相回転子/固定子レイアウトと異なる多相特徴を有するレイアウトを使用して生成されうる。さらに、多相デバイスは、所望に応じて、任意の適した構成で生成されうる。
【0044】
本明細書で示す例示的な実施形態は、一般に、回転子部分上に磁石を、また、固定子部分上に磁束スイッチを有するが、本開示の態様に従って、他の変形が作られてもよいことが留意されるべきである。たとえば、磁束スイッチは、回転子部分上に搭載され、一連の磁石は、固定子部分上に搭載されてもよい。あるいは、磁束スイッチは、回転子部分上に搭載され、電磁石は、固定子部分上に搭載されうる。固定子部分と回転子部分との間のいくつかの他の関係も可能である。たとえば、固定子部分または回転子部分は、最も外側のコンポーネントとして搭載されてもよい。さらに、磁石、磁束集中器、および/または磁束スイッチは、電気出力を生成するか、または、回転子を駆動するよう磁束を伝導するために配列されてもよい、構成されてもよい、かつ/または結合されてもよい。さらに、磁束スイッチ、磁束集中器、コイル、および/または磁石は、回転子部分または固定子部分のいずれかに搭載されうる。
【0045】
一般に、いくつかの例示的な多相デバイスは、単相デバイスの適した要素を、結合すること、リンクすること、ならびに/または、その他の方法で利用することおよび/または含むことによって構築されてもよい。ある例示的な実施形態では、また、ここで図5Aを参照して、単相デバイス500Aは、回転子550、固定子510、およびコイル520を備える。単相デバイス500Aは、ここでは断面で示され、横方向磁束機を示す。この例示的な実施形態では、回転子550は、軸方向ギャップ構成で固定子510とキャビティ係合している。固定子510は、コイル520を部分的に囲む。
【0046】
ある例示的な実施形態では、固定子510は、静止状態で保持され、回転子550は、回転軸551の周りに回転する。種々の他の例示的な構成では、回転子550は、固定子として働くように静止状態で保持されてもよいことが容易に理解されるであろう。これらの実施形態では、固定子510は、回転子として働くために移動してもよい。
【0047】
種々の実施形態では、回転子550は、交互の磁石と磁束集中部分の積重体を備える。
【0048】
ここで図5Bを参照して、種々の例示的な実施形態では、多相設計は、単相設計の1つまたは複数の部分を複製することによって構築されてもよい。ある例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、共通回転軸の周りに同心に設置された、3つの回転子部分550A、550B、および500Cを備える。
【0049】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、任意の適した数の回転子および/または固定子、たとえば、2つの回転子、4つの回転子、5つの回転子などを備える。さらに、回転子部分550A、550B、および550Cは、独立した回転が可能でありうる。あるいは、回転子部分550A、550B、および550Cは、一緒に回転するように互いに結合されうる。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは、図5Bに示すように、設計が非常に似ているか、またはさらに、同一である。他の例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cの1つまたは複数は、他の部分より小さくてもよい。なお他の例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは互いに異なる。
【0051】
種々の例示的な実施形態では、回転子部分550(たとえば、550A、550B、または550Cの1つまたは複数)は、ある断面形状を有する。たとえば、回転子部分550は、楔形状を有してもよい。あるいは、回転子部分550は、種々の他の適した形状、たとえば、矢じり形状、円断面形状、長方形断面形状、および/または同様な形状を備えてもよい。
【0052】
種々の実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは、電気駆動式デバイスおよび/または電気出力デバイスに組立てられると、それぞれ、交互の磁石と磁束集中部分の積重体を備える。
【0053】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bの各回転子部分550A、550B、550Cは、コイル520A、520B、および520Cにそれぞれ対応する。コイル520A、520B、および520Cは、通常、多相デバイス500Bの中心の周りで外周に配向する。一般に、コイル520A、520B、および520Cは、対応する固定子部分に固定され、したがって、回転子部分550A、550B、550Cは、コイル520A、520B、および520Cと共に回転しない。さらに、各回転子に対応する固定子部分510A、510B、および510Cは、コイル520Aと520Bと520Cとの間の空間の少なくとも一部分を占める。ある例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、550Cは、一般に固定されたままである固定子部分510A、510B、および510Cと独立に回転する。
【0054】
あるいは、回転子部分550A、550B、550Cは、固体子部分であるために固定されたままでありうる。これらの実施形態では、コイル520A、520B、および520Cならびに固定子部分510A、510B、および510Cは、回転子部分に対して回転する。
【0055】
ここで図5Cを参照して、種々の例示的な実施形態では、図5Bの回転子部分550A、550B、および550Cは、回転子部分550Aと550Bと550Cとの間に位相遅れを持つように構成される。磁石部分554A、554B、および554Cは、回転子部分550A、550B、および550Cのそれぞれの上にそれぞれ配置される。さらに、複数の磁石部分554A、554B、および554Cは、回転子部分550A、550B、および550Cのそれぞれの上に配置される。たとえば、各回転子部分は、交互の磁石と磁束集中部分のパターンを備えてもよい。図5Dを参照して、たとえば、回転子550は、交互の磁石554ならびに磁束集中部分552および556のパターンを備える。このパターンは、回転子部分550の形状を少なくとも部分的に形成するために、回転子部分550の外周の周りに繰返されてもよい。
【0056】
ある例示的な実施形態では、回転子550のそれぞれの上の磁石部分554はそれぞれ、2つの磁束伝導部分の間に配置される。たとえば、特定の磁石554は、磁束伝導部分552と556との間に配置される。一般に、磁石554は、共通極性を有する磁石表面が共通磁束集中部分に係合するように配置されてもよい(たとえば、図5Dを参照)。さらに、種々の例示的な実施形態では、磁石部分554は、所望に応じて、さらなる、かつ/または、少数の磁束伝導部分に隣接して配置されてもよい。
【0057】
再び図5Cを参照して、種々の例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは、互いに対して部分的に回転する。こうして、位相遅れp1が、回転子部分550Aと550Bとの間に規定される。同様に、位相遅れp2が、回転子部分550Bと550Cとの間に規定される。さらに、さらなる回転子550は、所望に応じて、さらなる位相遅れを生成するために利用されてもよい。
【0058】
回転子部分550A、550B、および550Cは、互いに対して固定されてもよい。こうして、位相遅れp1およびp2は、回転子部分550A、550B、および550Cが、動作中に回転するにつれて維持される。位相遅れp1およびp2は、回転子部分550A、550B、および550Cのそれぞれに、異なる出力位相を生成させる。さらに、回転子部分550A、550B、および550Cはまた、1つまたは複数の位相遅れを変更するために互いに対して可動であってもよい。
【0059】
当業者によって理解されるように、図5Cに示す位相遅れp1およびp2は、代表であるに過ぎない。多数の他の位相遅れおよび/または位相遅れの組合せが、本開示の原理に従って生成されてもよい。全てのこうした位相遅れならびに/または結果的に得られるデバイス入力および/または出力特性は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0060】
ある例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、電気出力デバイスとして動作してもよい。これらの構成では、回転子部分550A、550B、および550Cはそれぞれ、対応するコイル520A、520B、および520C内で交流電気出力(たとえば、実質的に正弦の出力)を生成する。各コイル520A、520B、および520Cの電気出力は、他のコイル520A、520B、および520Cのそれぞれに対してある位相遅れだけシフトした(あるいは、他のコイル520A、520B、および520Cのそれぞれに対して進んだ)位相を有する。一般に、多相デバイス500B内の位相遅れの数は、回転子部分の数より少ない数までであってよい。たとえば、3つの回転子部分550A、550B、および550Cは、2つの位相遅れを生成するように構成されてもよい。3つの回転子部分550A、550B、および550Cはまた、(たとえば、回転子部分550Bおよび550Cが、回転子部分550Aに対して同様に整列する場合)1つの位相遅れを生成するように構成されてもよい。3つの回転子部分550A、550B、および550Cはまた、3つの回転子部分550A、550B、および550Cが全て、互いに同様に整列すると、位相遅れを全く作らないように構成されてもよい。一般に、任意の適した数の位相遅れおよび任意の適した大きさの位相遅れが、それぞれ、所望に応じて利用されてもよい。
【0061】
たとえば、種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bにおいて、各位相遅れの大きさは、回転子部分550のそれぞれの相対的な回転アライメントを調整することによって調整されてもよい。多相デバイス500Bは、電気出力デバイスとして動作してもよい。これらの構成では、位相出力は、交流出力の各周期内で互いに対して均等にシフトされてもよい。たとえば、3相配置構成では、位相は、周期の3分の1だけ互いに対してシフトされうる。あるいは、位相は、互いに対して不均等にシフトされうる。たとえば、第2の位相は、第1の位相に対して30°だけシフトされてもよい。第3の位相は、第2の位相に対して60°だけシフトされてもよい(その結果、第1の位相に対して90°だけシフトされてもよい)。さらなる位相は、所望に応じて、任意の適した値だけ同様にシフトされてもよい。
【0062】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bにおいて、各位相出力は、異なる回転子部分550A、550B、および550C、ならびに、対応する固定子510A、510B、および510C、ならびに、コイル520A、520B、および520Cによって生成される。他の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、単一固定子部分510が別個の位相に分割され、1つまたは複数の回転子を共有する状態で構成される。これらの例示的な実施形態では、多相デバイスのコンポーネントの数は、低減される可能性がある。たとえば、多相デバイスは、多相デバイスを構成する回転子の数より多い入力/出力位相を生成してもよい、かつ/または、利用してもよい。さらに、これらの例示的な実施形態では、多相デバイスのサイズは、たとえば、少なくとも回転子の回転軸に平行な方向に多相デバイスの厚さを減少させることによって低減されてもよい。
【0063】
たとえば、ここで図6Aおよび6Bを参照して、多相デバイス600は、1つまたは複数の内部固定子を持つように構成されてもよい。本明細書で述べるように、「内部固定子(interior stator)」は、固定子の一部分および/または固定子の種々のコンポーネントが2つ以上の回転子間に実質的に配設されている固定子を指す。種々の例示的な実施形態では、多相デバイス600は、それぞれが複数の磁束伝導部分612(612A、612B、および612Cとして示す)を備える3つの固定子を備える。多相デバイス600は、さらに、3つのコイル620A、620B、620Cおよび2つの回転子650X、650Yを備える。磁束伝導部分612A、612B、および612Cならびにコイル620A、620B、および620Cは、実質的に回転子650Xと650Yとの間に配置される。
【0064】
コイル620A、620B、および620Cはそれぞれ、異なる出力位相に対応してもよい。種々の例示的な実施形態では、固定子610内の磁束伝導部分612間の間隔(spacing)は、以下で論じるように、1つまたは複数の位相関係を生成するように構成される。さらに、多相デバイス600は、任意の適した数のコイル620、たとえば2つのコイル620、4つのコイル620、10のコイル620、および/または同様なものを備えてもよい。したがって、多相デバイス600は、コイル620の数までの出力位相の数ならびに1つまたは複数の固定子および/または回転子の対応する位相部分を持つように構成されてもよい。さらに、複数のコイル620は、類似の位相に対応するように構成されてもよい。
【0065】
コイル620A、620B、および620Cは、変化する磁場に応答して電流を伝導するように構成された任意の適した材料、たとえば、銅ワイヤ巻線を備えうる。種々の例示的な実施形態では、1つまたは複数のコイル620は、フラットワイヤ(すなわち、円断面と対照的に長方形断面を有するワイヤ)から巻かれる。さらに、本開示および/または関連する開示によって適していると考えられる、コイル、出力巻線、電気コネクタ、および/または同様なもののいずれもが、フラットワイヤから作製されうる。コイル620内のフラットワイヤは、利用可能な空間を導電性材料でより効率的に充填することを可能にする。こうして、コイル内へのワイヤのより高いパッキング密度が達成される可能性がある。パッキング密度の増加による効率増進は、考えられる欠点、たとえば、結果的に得られる特定のコイルの重量増加を上回りうる。さらに、ワイヤおよび/またはコイルの任意の適した材料および/または形状が使用されてもよい。
【0066】
種々の例示的な実施形態では、引き続き図6Bを参照して、多相デバイス600のコイル620A、620B、および620Cはそれぞれ、前方部分620AF、620BF、620CFおよび後方部分620AR、620BR、620CRをそれぞれ有するループを備える。多相デバイス600のコイル620A、620B、および620Cの前方部分および後方部分はそれぞれ、磁束がコイル620A、620B、および620Cの周りに伝導されるように、対応する固定子の磁束伝導部分612によって実質的に囲まれる。
【0067】
種々の例示的な実施形態では、コイル620A、620B、および620Cは、円の外周の一部分に沿って延在する。コイル620A、620B、および620Cは、円の外周の適した部分、たとえば、外周の約3分の1に沿って延在してもよい。コイル620A、620B、および620Cは、類似の長さを有する部分に沿って延在してもよい。さらに、コイル620A、620B、および620Cは、所望に応じて、不同の長さを有する部分に沿って延在してもよい。
【0068】
さらに、前方部分620AFは、第1の孤、たとえば、半円孤を規定し、後方部分620ARは、第2の孤、たとえば、半円孤を規定してもよい。第1および第2の孤は、共通軸、たとえば横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機の回転軸から共通半径を有してもよい。さらに、第1および第2の孤(および/または前方部分620AFおよび後方部分620AR)は、横方向磁束機の同じ角度部分を横切る可能性がある。たとえば、ある例示的な3相の実施形態では、横方向磁束機のほぼ0°〜120°は、第1のコイル(すなわち、第1のコイルの第1および第2の部分)に関連し、横方向磁束機のほぼ120°〜240°は、第2のコイルならびにそのそれぞれの第1および第2の部分に関連し、横方向磁束機のほぼ240°〜360°は、第3のコイルならびにそのそれぞれの第1および第2の部分に関連する。さらに、第1および第2の孤(および/または前方部分620AFおよび後方部分620AR)は、横方向磁束機のオーバラップする角度部分を横切る可能性がある。たとえば、前方部分620AFは、横方向磁束機のほぼ0°〜120°を横切る可能性があり、後方部分620ARは、横方向磁束機のほぼ5°〜115°を横切る可能性があり、したがって、角度部分は完全にオーバラップする。さらに、第1および第2の孤(および/または前方部分620AFおよび後方部分620AR)は、横方向磁束機の部分的にオーバラップする角度部分を横切る可能性がある。たとえば、前方部分620AFは、横方向磁束機のほぼ0°〜120°を横切る可能性があり、後方部分620ARは、横方向磁束機のほぼ5°〜125°を横切る可能性があり、したがって、角度部分は部分的にオーバラップする。
【0069】
コイル620A、620B、および620Cのそれぞれの周りでの磁束伝導部分612を通した磁束の伝導は、コイル620A、620B、および620Cのそれぞれにおいて電気出力の生成を可能にする。種々の例示的な実施形態では、磁束は、前方部分620AFを実質的に囲む磁束伝導部分612Aが後方部分620ARを実質的に囲む磁束伝導部分612Aと位相が揃うように磁束伝導部分612Aを通して伝導される。こうして、前方部分620AFおよび後方部分620ARは位相が揃う。同様の位相配置構成は、部分620BFおよび620BRならびに620CFおよび620CRにおいてそれぞれ見出される可能性がある。他の例示的な実施形態では、前方部分は、対応する後方部分と位相がずれる可能性がある。
【0070】
さらに、種々の例示的な実施形態では、コイル、たとえばコイル620Aは、前方部分620AFの電流が回転方向に流れ、同時に、後方部分620ARの電流が回転方向と反対に流れるように、多相デバイス600の回転軸の周りに配向してもよい。換言すれば、種々の実施形態では、コイル620A内の電流は、回転軸の周りの角度距離の一部分だけに延在する幾分「レーストラック(racetrack)」形状のループの周りに流れると考えられてもよい。
【0071】
容易に理解されるように、コイル620Bおよび/または620Cは、上述したように、コイル620Aおよびその部分と同様な方法で、形作られてもよい、サイズが決められてもよい、構成されてよい、かつ/または、その他の方法で機能するかつ/または振舞ってもよい。
【0072】
種々の例示的な実施形態では、引き続き図6Bを参照して、多相デバイス600の磁束伝導部分は、C形状でありうる。あるいは、磁束伝導部分は、いくつかの他の形状、たとえば、所望に応じて、断面図または斜視図が、U形状、直線形形状、卵形状、および直線形状のうちの1つを有しうる。これらの磁束伝導部分は、任意の適した方法で形成されてもよい。たとえば、磁束伝導部分は、テープ巻きトロイド材料、金属ガラス、積層鋼、粉末状金属を含む材料、あるいは、いくつかのこれらのまたは他の適した磁束伝導材料の組合せから作製されうる。
【0073】
例示的な実施形態では、引き続き図6Bを参照して、コイル内磁束伝導体間隔S610A、S610B、およびS610C(S610BおよびS610Cは示さず)(すなわち、それぞれ、隣接する磁束伝導部分612A間、612B間、および612C間の間隔)は、ほぼ均等なサイズである。さらに、コイルのそれぞれの前方部分620AF、620BF、および620CFならびに後方部分620AR、620BR、および620CRに対する隣接する磁束伝導部分の間隔は、全体的にほぼ同じサイズである。しかし、コイルのそれぞれの前方部分620AF、620BF、および620CFならびに後方部分620AR、620BR、および620CRのいずれか、および/または、両方の上のコイル内磁束伝導体間隔S610A、S610B、およびS610Cは、ほぼ同じ以外でありうる。たとえば、これらの磁束伝導体間隔は、異なる周波数出力を生成するため、または、他の適した目的のために変更されてもよい。
【0074】
対照的に、やはり図6Bを参照して、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−A(SC−Aは示さず)(すなわち、隣接するコイル620A、620B、および620C上の隣接する磁束伝導部分間の中心から中心までの間隔)は、しかし、全体的にサイズが不均等である。種々の例示的な実施形態では、コイル内磁束伝導体間隔は、コイル620A、620B、および620Cのそれぞれにおいて生成される電気出力の位相の間に特定の位相関係を設定するために変化する。コイル間のこれらの位相関係および回転子の種々のコンポーネントに関するそれらの関連性は、以下でより詳細に論じられるであろう。しかし、いくつかの場合では、互いにほぼ等しいコイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aの1つまたは複数を有することが有利である可能性がある。
【0075】
ここで図6Cを参照して、多相デバイス600の拡大図が示される。例示的な実施形態では、多相デバイス600内の2つの回転子部分650X、650Yは、固定子610を構成する磁束伝導部分612内に少なくとも部分的に受取られる。回転子部分650X、650Yは、非常に似ている、かつ/または、同一であってよい。さらに、回転子部分650X、650Yは、単相デバイスで使用される回転子と同様の構成を有してもよい。種々の例示的な実施形態では、回転子部分650X、650Yは、全体的に互いに整列する。
【0076】
あるいは、回転子部分650X、650Yは、かなりの差を有しうる。たとえば、回転子部分650X、650Yは、互いに対して少なくとも部分的に回転してもよい。換言すれば、回転子部分650X、650Yは、未整列状態であってよい。回転子部分650X、650Yはまた、異なるサイズに作られた交互の磁石部分654および/または磁束集中器652を有してもよい。
【0077】
種々の例示的な実施形態では、交互の磁石部分654および磁束集中器652は、図5Dに示す回転子550のそれぞれの対応する領域554および552/556と特徴および機能が似ている。
【0078】
さらに、これらの実施形態では、回転子部分650X、650Yは、多相デバイス500Bで使用される回転子550と実質的に類似する可能性がある。たとえば、図5Dに示す回転子550の磁石部分554と同様に、回転子部分650Xの隣接する磁石部分654は、全体的に交互の極配向を有してもよい。同様に、回転子部分650Yの隣接する磁石部分654は、全体的に交互の極配向を有してもよい。しかし、他の例示的な実施形態では、回転子部分650Xの代替のバージョンが利用され、たとえば、回転子部分650X内の隣接する磁石部分654の極は、交互であるのではなく整列する。回転子部分650Yの同様の代替のバージョンが利用されてもよい。さらに、交互のかつ/または整列した磁石の全てのこうした組合せは、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0079】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス600は、機械的入力から電気的出力を生成するように動作してもよい。他の例示的な実施形態では、多相デバイス600は、実質的に逆の方法で動作してもよく、電気的入力が、1つまたは複数のコイルに供給されて、機械的出力および/または他の出力が生成される(たとえば、1つまたは複数の回転子および/または回転子に取付けられた機械的コンポーネントを回転させる)。種々の原理が、適するようにこれらの構成のいずれかおよび/または両方に適用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0080】
ある例示的な実施形態では、機械的入力から電気的出力を生成するために、回転子部分650X、650Yは、図6Bに示す方向D1に沿って磁束伝導部分612Aに対して回転する。これによって、回転子部分650X、650Yの磁石部分654および磁束集中器652が、磁束伝導部分612Aに交互に整列する。こうして、磁束は、磁束伝導部分612Aに沿って伝導される。
【0081】
ある例示的な実施形態では、磁石部分654のそれぞれの連続する磁石極の配向は、各磁束伝導部分652が、磁石部分654の隣接する(abut)対の同じ極性によって少なくとも部分的に囲まれるようなものである。この配向は、第1の磁束集中器652から、磁束伝導体612Aを通って、第1の磁束集中器652と異なる第2の磁束集中器652までの磁束経路を生成する。多相デバイス600では、これらの磁束経路は、磁束伝導部分612Aによって囲まれるコイル620Aのセクションを取り囲む。回転子部分650X、650Yを回転させることは、磁束伝導部分612Aの近くで反対の極性を有する磁束集中器652を連続して移動させる。それにより、回転子部分650X、650Yを回転させることは、磁束集中器652および磁束伝導部分612Aが互いに対して順次通過するたびに、磁束経路の方向を実質的に反転させる。このプロセスは、コイル620A内に交流電気出力を生成する。同様な振る舞いおよび結果は、磁束伝導部分612Bおよび612Cならびにコイル620Bおよび620Cのそれぞれにおいて同時に得られる可能性がある。
【0082】
種々の例示的な実施形態では、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aは、コイル内磁束伝導体間隔S610A、S610B、およびS610Cと異なる。これらの実施形態では、回転子650Xの磁石部分654および磁束集中器652は、異なる時間に異なる固定子セクション610の磁束伝導部分612に整列する。結果として、磁束伝導部分612Aに沿う最大磁束コンダクタンスが、磁束伝導部分612Bの場合と異なる時間に起こる、などである。タイミングは、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aによって左右される。こうして、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aは、他のコイル620の1つまたは複数、たとえばコイル620Bで生成される電気出力に対して、特定のコイル620、たとえばコイル620Aで生成される電気出力の位相遅れを生成する可能性がある。
【0083】
ある例示的な実施形態では、引き続き図6Cを参照して、コイル内磁束伝導体間隔SA−Bは、コイル620Aおよび620Bの出力間で90°位相遅れを生成するように構成される。示すように、コイル内磁束伝導体間隔SA−Bは、コイル620Aを囲む磁束伝導部分612Aが、回転子部分650X、650Yの磁束集中器654に整列するようなものである。同時に、コイル620Bを囲む磁束伝導部分612Bは、回転子部分650X、650Yの磁石部分654に整列する。この位置で、コイル620Aおよび620Bは、互いに約90°位相がずれる。その結果、コイル620Aの周りの磁束伝導部分612Aに最大磁束コンダクタンスが存在するとき、最小磁束コンダクタンスが、コイル620Bの周りの磁束伝導部分612Bに起こる、また、その逆である。理解されるように、逆もまた真である。こうして、回転子650X、650Yを回転させることによって、コイル620Aおよび620Bに生成される電気出力間にほぼ90°位相遅れが生成される可能性がある。
【0084】
図6Cは、隣接するコイル間に90°位相遅れを生成するコイル内磁束伝導体間隔を示す。しかし、種々の例示的な実施形態では、隣接するコイル間の任意の適した位相関係は、コイル内磁束伝導体間隔を調整することによって得られてもよい。たとえば、隣接するコイル620Aおよび620Bの出力間の180°位相遅れが生成されうる。これは、コイル内磁束伝導体間隔SA−Bを調整することによって達成されうる。SA−Bを調整することは、コイル620Aを囲む磁束伝導部分612Aが、所与の時間Tに第1の極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。SA−Bを調整することはまた、コイル620Bを囲む磁束伝導部分612Bが、ほぼ同じ時間Tに反対の極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。こうした配向は、任意の所与の時間に、隣接するコイル620Aおよび620Bの周りで、磁束が、反対方向に伝導されることをもたらす(たとえば、磁束は、コイル620Aの周りで全体的に時計方向に伝導され、一方同時に、磁束は、コイル620Bの周りで全体的に反時計方向に伝導される)。
【0085】
同様に、SA−Bを調整することは、コイル620Aを囲む磁束伝導部分612Aが、所与の時間Tに第1の極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。SA−Bを調整することはまた、コイル620Bを囲む磁束伝導部分612Bが、ほぼ同じ時間Tに同じ極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。これらの構成では、コイル620Aおよび620Bは実質的に位相が揃う。さらに、種々の例示的な実施形態では、コイル620間、たとえばコイル620Aと620Bとの間の任意の適した位相関係は、コイル内磁束伝導体間隔、たとえばSA−Bを調整することによって達成されてもよい。
【0086】
例示的な関係が、コイル620Aと620Bとの間の位相遅れについて示し論じられたが、類似の手法が、多相デバイス600内の任意のコイル間の位相関係に適用される。換言すれば、種々の例示的な実施形態では、コイル620A間、620B間、および620C間の位相関係は、先に論じたように、内部コイル磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、および/またはSC−Aの1つまたは複数を同様に調整することによって、調整されうる、変更されうる、かつ/または、その他の方法で修正されうるかつ/または制御されうる。さらに、これらの内部コイル磁束伝導体間隔は、互いに独立に調整されうる。こうして、多相デバイス600のコイル620A、620B、および/または620Cの間の任意の適した数の位相関係が生成されてもよい。
【0087】
さらに、図6A〜6Cは、固定子が構築されると位相関係が固定される多相デバイス600を示すが、他の例示的な実施形態では、多相デバイスは、隣接するコイル間の調整可能な位相関係を持つように構成されてもよい。たとえば、磁束伝導部分612Aは、磁束伝導部分612Bに対して可動であってよい。調整可能な位相関係を有する全てのこうした多相デバイスは、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0088】
種々の例示的な実施形態では、やはり図6Bおよび6Cを参照して、特定のコイル620に関連する磁束伝導部分612は、交互になる方法で、インタリーブされてもよい、かつ/または、その他の方法で設置されてもよいかつ/または配置されてもよい。たとえば、1つの磁束伝導部分612Aは、前方部分620AFを部分的に閉囲する。方向D1に沿って移動して、次の磁束伝導部分612Aは、後方部分620ARを部分的に閉囲する。引き続き方向D1に沿って、交互になる方法で、次の磁束伝導部分612Aは、前方部分620AFを部分的に閉囲する、などである。こうして、磁束伝導部分612Aは、よりコンパクトにかつ/または密接に設置されてもよい。種々の例示的な実施形態では、磁束伝導部分612Aは、インタリーブされた「背中合わせ(back to back)」構成で配置されてもよい。これらの配置構成では、磁束伝導部分612Aの背面(back)は、たとえば図6Cに示すように、少なくとも部分的に互いを超えて延在する。こうして、多相デバイス600は、磁束伝導部分612Aが少なくとも部分的に互いを超えて延在しない場合よりもコンパクトに作られうる。しかし、磁束伝導部分612Aはまた、隣接する磁束伝導部分612Aの所定の部分が互いを超えて延在しない、交互の「背中合わせ」構成で配置されてもよい。
【0089】
上記磁束伝導部分612Aについて論じた構成と同様に、磁束伝導部分612B、612C、および/または多相デバイス600の他の磁束伝導部分は、同様な方法で、インタリーブされてもよい、散在されてもよい、かつ/または、その他の方法で交互にされてもよい。
【0090】
内部固定子を有する多相デバイスに加えて、本開示の原理は、内部回転子を有する多相デバイスを想定する。本明細書で使用されるように、「内部回転子(interior rotor)」は、回転子の一部分および/または回転子の種々のコンポーネントが2つ以上の固定子間に実質的に配設されている回転子を指す。たとえば、ある例示的な実施形態では、また、ここで図7A〜7Cを参照して、多相デバイス700は、内部回転子750を持つように構成される。多相デバイス700は、さらに、それぞれが複数の磁束伝導部分712(712A、712B、および712Cとして示す)を備える3つの固定子を備える。多相デバイス700は、さらに、それぞれ、磁束伝導部分712A、712B、および712Cの内部に実質的に配置された、かつ/または、それに囲まれた3つのコイル720A、720B、720Cを備える。回転子750はまた、磁束伝導部分712A、712B、および712Cの内部に実質的に配置される、かつ/または、それに囲まれる。
【0091】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700内での磁束伝導部分712A、712B、および712Cの配置構成は、磁束伝導部分712A、712B、および712Cのそれぞれの配向が磁束伝導部分612A、612B、および612Cの配向と比較すると逆であるという意味で、実質的に、多相デバイス600内での磁束伝導部分612A、612B、および612Cの配置構成(たとえば、図6A〜6Cを参照)の逆である。こうして、多相デバイス700は、単一回転子750を用いて動作するように構成される。
【0092】
多相デバイス700は、複数のコイル720、たとえばコイル720A、720B、および720Cを備えてもよい。コイル720A、720B、および720Cは、1つまたは複数の出力位相に対応してもよい。ある例示的な実施形態では、各コイル720A、720B、および720Cは、異なる出力位相に対応する。任意の適した数のコイル720が利用されてもよい。たとえば、多相デバイス700の3つの位相部分に対応する3つのコイル720A、720B、および720Cが利用されてもよい。あるいは、2つ、4つ、またはそれ以上のコイル720、相応して、2つ、4つ、またはそれ以上の固定子が使用されてもよい。理解されるように、多相デバイス700内の位相の数は、1つの位相と、多相デバイス700に存在するコイル720の数に等しい位相の数との間の範囲であってよい。種々の例示的な実施形態では、コイル720A、720B、および720Cにそれぞれ関連する磁束伝導部分712A間、712B間、および712C間の間隔は、磁束伝導部分間に1つまたは複数の位相関係を生成するために変更されてもよい。
【0093】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700の種々のコンポーネント間の、たとえば、コイル720A、720B、および720Cならびに磁束伝導部分712A、712B、および712Cの間の機能的関係は、多相デバイス600に見出される関係と実質的に類似する。さらに、多相デバイス700のコンポーネントのサイズ、形状、幾何形状、および/または他の特性は、多相デバイス600に見出されるものと実質的に類似してもよい。さらに、多相デバイス700のコイル内間隔およびコイル間間隔は、先に開示した複数の位相および/または位相関係を達成するために同様に変更されてもよい。
【0094】
多相デバイス600の構成と対照的に、さらに図7Cを参照して、種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700のコイル720A、720B、および720Cはそれぞれ、隣接するコイル間の接合部に、それぞれ「架橋(bridging)」セグメント722A、722B、および722C(722Cは示さず)を持つように構成される。これらの実施形態では、コイル720Aは、さらに架橋セグメント722Aを備える。同様に、コイル720Bは、さらに架橋セグメント722Bを備え、コイル720Cは、さらに架橋セグメント722Cを備える。架橋セグメント722Aおよび722Bは、コイル720Aと720Bとの間の接合部J1に配置される。架橋セクションは、たとえば回転子750の機械的動作のために望まれる空間を占有することなく、コイル内のループを完成させるために利用されてもよい。架橋セクションは、所望に応じて、回転子の上にかつ/または下に設置されてもよい。こうして、回転子は、架橋セグメントに接触することなく回転してもよい。
【0095】
さらに、架橋セグメントは、所望に応じて、磁石および/または磁束集中器を通して設置されてもよい。種々の例示的な実施形態では、コイルは、磁石と磁束集中器のグループに結合されてもよく、架橋セグメントは、そのグループを通過してもよい。コイルを少なくとも部分的に閉囲する磁束スイッチは、その後、コイルに出力を生成するために回転してもよい。
【0096】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700は、多相デバイス600と少なくとも部分的に類似の方法で動作してもよい。たとえば、多相デバイス700は、回転子750に機械的入力を提供することによって電気的出力を生成するように動作してもよい。多相デバイス700はまた、1つまたは複数のコイル720の電気的入力に応答して回転子750で機械的出力を生成するように動作してもよい。さらに、多相デバイス700は、たとえば磁束伝導部分712A、712B、および712Cを互いに対して固定することによって、固定した位相関係を持つように構成されてもよい。あるいは、多相デバイス700は、磁束伝導部分712A、712B、および712Cが、先に開示したように互いに対して移動することを可能にすることによって可変の位相関係を持つように構成されてもよい。
【0097】
内部回転子を有する多相デバイスに加えて、本開示の原理は、「スリムな(slim)」設計を有する多相デバイスを想定する。本明細書で使用されるように、「スリムな」は、多相デバイスの寸法を低減させる構成、たとえば、コイル経路が多相デバイスの軸Aに実質的に直交する構成、複数の回転子が共通回転平面を共有する構成、および/または同様なものを一般に指す。
【0098】
たとえば、ある例示的な実施形態では、また、ここで図8Aを参照して、多相デバイス800は、スリムな設計を持つように構成される。多相デバイス800は、それぞれが複数の磁束伝導部分812(812A、812B、および812Cとして示す)を備える3つの固定子を備える。多相デバイス800は、さらに3つのコイル820A、820B、820Cを備える。コイル820A、820B、および820Cによって規定される経路は、多相デバイス800の回転軸A(図8Aで観察されるように、ページから出て来るように示す)に全体的に直交する。多相デバイス800は、さらに、1つまたは複数の回転子部分850(図示せず)を備える。
【0099】
ある例示的な実施形態では、コイル820A、820B、および820Cは、先に論じたように、コイル内磁束伝導体間隔およびコイル間磁束伝導体間隔に基づいて3つの位相に対応する。他の例示的な実施形態では、コイル820A、820B、および820Cは、2つの位相および/または1つの位相に対応する。さらに、コイル820A、820B、および820Cによって規定される平面が、多相デバイス800の軸Aに実質的に直交するため、多相デバイス800は、相応して、軸Aに沿った低減されたまたは「よりスリムな(slimmer)」長さを有するように形成されてもよい。たとえば、多相デバイス800は、コイル経路が、軸Aに直交するのではなく、軸Aに実質的に平行である、かつ/または、軸Aに平行な距離だけ少なくとも部分的に横切る別の設計に比べて、軸Aに沿ってスリムな長さを有するように形成されてもよい。さらに、多相デバイス800は、軸Aに沿って異なる地点に配置された複数の回転子を有する他の設計よりスリムである可能性がある。換言すれば、ある例示的な実施形態では、コイルの第1の部分は、そのコイルの第2の部分と同じ回転平面内にある。一般に、多相デバイス800は、回転軸に沿う特定の長さが望ましい種々の用途で使用するためにサイズが決められてもよい、形作られてもよい、かつ/またはその他の方法で構成されてもよい。
【0100】
種々の例示的な実施形態では、引き続き図8Cを参照して、多相デバイス800のコイル820A、820B、および820Cはそれぞれ、内側部分820AI、820BI、および820CIならびに外側部分820AO、820BO、および820COをそれぞれ有するループを備える。
【0101】
さらに、外側部分820AOは、第1の孤、たとえば第1の半円孤を規定してもよい。内側部分820AIは、第2の孤、たとえば第2の半円孤を規定してもよい。第1および第2の孤は、共通軸、たとえば横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機の回転軸の周りに同心である。第1および第2の孤はまた、同一平面上にあってもよい。
【0102】
種々の例示的な実施形態では、外側部分820AO、820BO、および820COは、円の外周の一部分に沿って延在する。外側部分820AO、820BO、および820COは、円の外周の任意の適した部分、たとえば外周の約3分の1に沿って延在してもよい。外側部分820AO、820BO、および820COは、類似の長さを有する部分に沿って延在してもよい。さらに、外側部分820AO、820BO、および820COは、所望に応じて、不同の長さを有する部分に沿って延在してもよい。内側部分820AI、820BI、および820CIは、それぞれ外側部分820AO、820BO、および820COによって横切られる角度距離にほぼ対応する角度距離、たとえば同一の角度距離を横切ってもよい。あるいは、内側部分820AI、820BI、および820CIは、異なる角度距離を横切ってもよい。
【0103】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス800の種々のコンポーネント間の、たとえば、コイル820A、820B、および820Cならびに磁束伝導部分812A、812B、および812Cの間の機能的関係は、多相デバイス600に見出される関係と実質的に類似する。さらに、多相デバイス800のコンポーネントのサイズ、形状、幾何形状、および/または他の特性は、多相デバイス600に見出されるものと実質的に類似してもよい。さらに、多相デバイス800のコイル内磁束伝導体間隔および/またはコイル間磁束伝導体間隔は、先に開示した複数の位相および/または位相関係を達成するために同様に変更されてもよい。
【0104】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス800は、多相デバイス600と少なくとも部分的に類似の方法で動作してもよい。たとえば、多相デバイス800は、回転子に機械的入力を提供することによって電気的出力を生成するように動作してもよい。多相デバイス800はまた、1つまたは複数のコイル820の電気的入力に応答して回転子で機械的出力を生成するように動作してもよい。さらに、多相デバイス800は、たとえば磁束伝導部分812A、812B、および812Cを互いに対して固定することによって、固定した位相関係を持つように構成されてもよい。あるいは、多相デバイス800は、磁束伝導部分812A、812B、および812Cが、先に開示したように互いに対して移動することを可能にすることによって可変の位相関係を持つように構成されてもよい。
【0105】
さらに、種々の例示的な実施形態では、また、ここで図8Bを参照して、多相デバイス800は、隣接するコイル間の接合部におけるコイル材料の量を低減するように構成されてもよい。ある例示的な実施形態では、1つまたは複数の架橋セクション822A、822B、および822Cは、コイル820A、820B、820Cをそれぞれ完成させる。たとえば、架橋セクション822Aおよび822Bは、接合部J2においてコイル820Aおよび820Bを完成させる。架橋セクション822A、822B、および822Cは、多相デバイス700についての対応する架橋セクション722A、722B、および722Cよりかなり薄い可能性がある。たとえば、ある例示的な実施形態では、架橋セクション822A、822B、および822Cは、たとえば回転子用の隙間(clearance)を可能にするために、コイル820A、820B、820Cの主本体(main body)の平面から外に延在する必要がない可能性がある。こうして、コイル820A、820B、820Cにおいて利用される材料の量が、望ましくは低減されてもよい。コイル820A、820B、820Cを構成する材料が、重いかつ/または高価であることが多いため、また、コイル820A、820B、820Cを構成する材料が、抵抗加熱および/または他の損失を生じやすいため、コイル820A、820B、820C内の材料の量を低減することは有利である可能性がある。さらに、架橋セクション822A、822B、および822Cを構成するコイル材料は、対応する磁束伝導部分812A、812B、または812Cによって少なくとも部分的に囲まれないため、この材料は、一般に、有用な出力ではなく、むしろ損失を生成する。したがって、この材料は、従来のモータ内の「端巻回部(end turn)」の材料と幾分似ていると考えられ、したがって、所望に応じて、適切に低減されてもよい、かつ/または、最小にされてもよい。
【0106】
種々の例示的な実施形態では、図8Aおよび8Bに回転子が全く示されないが、多相デバイス800は、回転子と多相デバイス800の種々の部分との間の相互作用を可能にするために、適した数の回転子、たとえば2つの回転子を収容してもよい。さらに、多相デバイス800は、所望に応じて、任意の適した数の回転子を備えてもよい。
【0107】
スリム設計を有する多相デバイスに加えて、本開示の原理は、第1の多相デバイスが、別の多相デバイス内で、たとえば共通軸の周りで「入れ子式(nested)」である多相デバイスを想定する。本明細書で使用されるように、「入れ子式」構成は、共通軸を有する単相および/または多相デバイスを囲む単相および/または多相デバイスを指す。入れ子式構成を利用することによって、結果的に得られる結合された多相デバイスは、特定のデバイスサイズについて機械的および/または電気的出力の可能性の増加を持つように構成されてもよい。
【0108】
たとえば、複数の入れ子式多相デバイスが、自動車用のドライブシャフトなどの、同じ機械デバイスに接続されてもよい。こうして、種々の例示的な実施形態では、結合された多相デバイスは、本質的に同じ設置面積を用いて、非入れ子式多相デバイスの数倍、たとえば3倍の出力を提供しうる。これらの構成は、比較的コンパクトなかつ/または固定された空間、たとえば、電気自動車用のモータまたは他の電気モータ内でより高い電力出力を必要とする用途にとって特に有利でありうる。入れ子式多相デバイスはまた、たとえば、類似の量の機械的入力からより多量の電気的出力を導出するために使用されうる。こうした手法は、よりコンパクトな発電機設計、タービン設計、および/またはそれらを組み込むデバイス用の設計を可能にする。
【0109】
さらに、本明細書で論じる種々の例示的な入れ子式デバイスは多相デバイスであるが、種々の単相デバイス、たとえば参照により本明細書に組み込まれる種々の同時係属中の出願に提示されるデバイスが、入れ子式配置構成で構成されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。本開示の原理は、こうした構成に等しく適用されてもよく、全てのこうした適用、構成、および/または入れ子式配置構成は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0110】
ここで図9Aを考えて、ある例示的な実施形態では、入れ子式多相デバイス900は、第1の多相デバイス900Aおよび第2の多相デバイス900Bを備える。第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900Aに実質的に類似であってもよい。たとえば、第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900Aのスケールダウンしたまたは小さいバージョンであってよい。あるいは、第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900Aと実質的に異なる設計を持つように構成されてもよい。第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900A内に少なくとも部分的に配置されるように構成される。
【0111】
ある例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bを第1の多相デバイス900Aのスケールダウンしたまたは小さいバージョンであるように構成することは、第1の多相デバイス900Aと第2の多相デバイス900Bとの間の位相関係を保持するために有用である。他の例示的な実施形態では、第1の多相デバイス900Aと第2の多相デバイス900Bとの間の位相関係は、その内部で同様のサイズに作られたコンポーネントを利用するが、異なる固定子コンポーネント間隔、異なる回転子構成、および/または同様なものを利用することによって維持されてもよい、変更されてもよい、かつ/または制御されてもよい。
【0112】
種々の例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bのいくつかのコンポーネントならびに/または多相デバイス900の他のコンポーネントおよび/または機構は、第1の多相デバイス900A内の類似のコンポーネントから、たとえばほぼ一貫性があるスケーリングファクタだけ、サイズがスケールダウンされる。たとえば、ある例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bの磁束伝導部分912Bは、第1の多相デバイス900Aの磁束伝導部分912Aの約半分のサイズである。相応して、第2の多相デバイス900B上の隣接する磁束伝導部分912B間の間隔は、第1の多相デバイス900A上の隣接する磁束伝導部分912A間の間隔の約半分の間隔である可能性がある。さらに、所望の位相関係を維持するために、第2の多相デバイス900Bで利用される回転子は、第1の多相デバイス900Aで利用される回転子のスケールダウンされたバージョンであってよい、たとえば、回転子は同様なファクタだけスケールダウンされる。そのため、たとえば、第2の多相デバイス900B用の回転子の磁石部分および磁束集中部分は、第1の多相デバイス900A用の回転子の磁石部分および磁束集中部分の約半分のサイズであってよい。
【0113】
種々の例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900B用の回転子は、縦列で動作するために、第1の多相デバイス900A用の回転子と同じ機械的入力/出力デバイスに接続される。この配置構成は、たとえば空間的制限を有する用途で有利でありうる。さらに、これらの回転子はまた、第1の多相デバイス900Aおよび第2の多相デバイス900Bが実質的に独立して利用されるように異なる機械デバイスに結合されてもよい。
【0114】
さらに、多相デバイス900は、任意の適した数の入れ子式多相デバイスを備えてもよい。原理上、特定の多相デバイスの内部セクションを構成するエリアは、多相デバイス900を形成するために、1つまたは複数のさらなる多相および/または単相デバイスで実質的に充填されてもよい。
【0115】
種々の例示的な実施形態では、第1の多相デバイス900Aの同様の位相部分と第2の多相デバイス900Bの同様の位相部分との間に物理的アライメントが存在してもよい(図9Aを参照)。これらの実施形態では、第1の多相デバイス900Aのコイル920Aおよび第2の多相デバイス900Bの対応するコイル920Bは、ほぼ同じ入力/出力位相に対応するように構成される。さらに、対応するコイル(たとえば、コイル920Aおよびコイル920B)は、同様の出力を提供するため、または、同様の入力を受取るために電気接続されてもよい。あるいは、対応するコイルは、特定の実施態様により適した他の配置構成で接続されてもよい。
【0116】
さらに、多相デバイス900は、位相スタガード構成を備えてもよい。ここで図9Bを参照して、種々の例示的な実施形態では、多相デバイス900は、第1の多相デバイス900A、および、位相スタガード構成で第1の多相デバイス900A内で入れ子にされた第2の同様の多相デバイス900Bを備える。これらの例示的な実施形態では、第1の多相デバイス900Aの同様の位相部分および第2の多相デバイス900Bの同様の位相部分、たとえばコイル920Aおよび920Bは、両者間の距離を増加させるためにスタガード状に配置される。こうして、同様の位相部分間の電気的干渉が低減される可能性がある。さらに、第1の多相デバイス900A内の接合部J2、J3、およびJ4におけるコイル間の干渉ならびに第2の多相デバイス900B内の接合部J5、J6、およびJ7におけるコイル間の干渉が、同様に低減される可能性がある。さらに、位相スタガリングは、たとえば反対側でほぼ同じ時間に生成される同様の機械的パルスに対応するデバイスのある部分内で生成される機械的パルスによって、雑音、振動、および/または同様なものを低減する可能性がある。
【0117】
種々の例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bの部分とほぼ同じ入力/出力位相に対応する第1の多相デバイス900Aの部分は、多相デバイス900の全体的に反対側に配置されてもよい。たとえば、ある例示的な実施形態では、コイル920Aおよび920Bは、ほぼ同じ出力位相に対応する。コイル920Aおよび920Bは、多相デバイス900の回転軸の周りで互いから約180回転角度だけ離れて配置されてもよい。換言すれば、コイル920Aおよび920Bは、多相デバイス900の全体的に反対側に配置されてもよい。こうして、対応する位相間の物理的分離が最大にされてもよい。
【0118】
さらに、本明細書で開示される多相デバイスの任意のデバイスの種々の代替の構成は、本開示の範囲内にある。たとえば、図5A〜5Cは、軸方向ギャップ構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない、いくつかの例示的な実施形態は、あるいは、所望に応じて、半径方向ギャップ構成を持つように構成されてもよい。対照的に、図6A〜6C、7A〜7C、8A〜8C、9A〜9B、および10は、半径方向ギャップ構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない他の例示的な実施形態は、あるいは、所望に応じて、軸方向ギャップ構成を持つように構成されてもよい。
【0119】
さらに、図5A〜5B、6A〜6C、7A〜7C、8A〜8C、9A〜9B、および10は、キャビティ係合式構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない種々の例示的な実施形態は、あるいは、所望に応じて、面係合式構成を持つように構成されてもよい。対照的に、図5Cは、面係合式構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない種々の他の例示的な実施形態はまた、所望に応じて、キャビティ係合式構成を持つように構成されてもよい。
【0120】
さらに、図5A〜10は、横方向磁束機構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない種々の例示的な実施形態は、あるいは、コンミュテート式磁束機構成を持つように構成されてもよい。
【0121】
たとえば、種々の例示的な実施形態では、多相デバイスは、共通回転子、たとえばマルチパス回転子を共有する複数の部分固定子を利用してもよい。ある例示的な実施形態では、多相デバイスは、共通回転子を共有する3つの部分固定子を備えてもよく、各部分固定子は、入力/出力位相に対応する。さらに、多相デバイスは、所望に応じて、任意の適した数の部分固定子を備えてもよい。1つまたは複数の部分固定子の使用は、多相デバイスの組立および/または分解を容易にする可能性がある。
【0122】
1つまたは複数の部分固定子の使用はまた、スケーラブルなかつ/またはモジュール式の多相デバイスを容易にしてもよく、その多相デバイスでは、部分固定子が、所望に応じて付加されてもよい、かつ/または、除去されてもよい。部分固定子は、多相デバイスの1つまたは複数の特性、たとえば、トルク密度、電力出力、入力および/または出力電気波形、ならびに/または同様なものを修正するために付加されてもよい、かつ/または、除去されてもよい。
【0123】
種々の例示的な実施形態では、また、本開示の原理によれば、多相デバイスは、自動車で使用するために構成されてもよい。たとえば、図10を一時的に参照して、多相デバイス1000は、ホイールの車軸(axle)上に搭載されてもよい。こうして、多相デバイス1000は、ダイレクトドライブハブモータとして機能してもよい。
【0124】
ある例示的な実施形態では、多相デバイス1000は、内部回転子を有する多相デバイス700と同様であってよい。たとえば、多相デバイス1000は、少なくとも2つのコイル1020Aおよび1020B、ならびに、コイル1020Aおよび1020Bのそれぞれの部分間に配設された回転子1050を備える。しかし、任意の適した多相デバイスは、自動車で利用されてもよく、本明細書で提示する例示的な実施形態は、制限ではなく例証を挙げる。
【0125】
本開示の原理は、横方向磁束機およびコンミュテート式磁束機の固定子についての原理、たとえば、その内容が参照によりその全体を組み込まれる、本出願と同じ出願日を有する「TRANSVERSE AND/OR COMMUTATED FLUX SYSTEM STATOR CONCEPTS」という名称の同時係属中の米国特許出願に開示される部分固定子および/またはギャップ付き固定子についての原理と適切に組合されてもよい。
【0126】
本開示の原理はまた、横方向磁束機およびコンミュテート式磁束機の回転子についての原理、たとえば、その内容が参照によりその全体を組み込まれる、本出願と同じ出願日を有する「TRANSVERSE AND/OR COMMUTATED FLUX SYSTEM ROTOR CONCEPTS」という名称の同時係属中の米国特許出願に開示される巻線形(wound)回転子および/またはマルチパス回転子についての原理と適切に組合されてもよい。
【0127】
さらに、本開示の原理はまた、参照により組み込まれる、同時係属中の米国特許出願の任意の1つの出願および/または全ての出願に開示される任意の数の原理と適切に組合されてもよい。そのため、たとえば、特定の横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、テープ巻き回転子の使用、マルチパス回転子の使用、部分固定子の使用、多相設計の使用、および/または同様なものを組み込んでもよい。全てのこうした組合せ、置換、および/または他の相互関係は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0128】
本開示の原理が種々の実施形態において示されたが、特定の環境および動作要件に特に適合する、実際に使用される、構造、配置構成、割合、要素、材料、およびコンポーネントの多くの修正は、本開示の原理および範囲から逸脱することなく使用されてもよい。これらのまた他の変更または修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図され、添付特許請求の範囲で示される可能性がある。
【0129】
先の仕様では、本発明は、種々の実施形態を参照して述べられた。しかし、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更が行われうることを当業者は理解する。したがって、仕様は、制限的な意味ではなく例証的な意味で考えられ、全てのこうした修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。同様に、利益、他の利点、および問題に対する解決策が、種々の実施形態に関して上述された。しかし、利益、利点、問題に対する解決策、ならびに、任意の利益、利点、または問題に対する解決策が生じるかまたはより顕著になるようにさせる可能性がある任意の要素(複数可)は、任意のまたは全ての特許請求項の重要な、必要とされる、または本質的な特徴または要素と解釈されない。本明細書で使用されるように、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、またはその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図されるため、要素のリストを含むプロセス、方法、製品、または装置は、これらの要素だけを含むのではなく、明確に挙げられていないか、または、こうしたプロセス、方法、製品、または装置に固有の他の要素を含んでもよい。同様に、本明細書で使用されるように、用語「結合された(coupled)」、「結合している(coupling)」、またはその任意の他の変形は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、光学的接続、通信的接続、機能的接続、および/または任意の他の接続をカバーすることを意図される。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ(at least one of A, B, or C)」に似た言葉が、特許請求項で使用されるとき、そのフレーズは、(1)Aの少なくとも1つ、(2)Bの少なくとも1つ、(3)Cの少なくとも1つ、(4)Aの少なくとも1つおよびBの少なくとも1つ、(5)Bの少なくとも1つおよびCの少なくとも1つ、(6)Aの少なくとも1つおよびCの少なくとも1つ、または(7)Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つのうちの任意のものを意味することが意図される。
【0130】
本発明の説明
第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルを備える電気機械であって、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続され、電圧が、コイル質量の90%超において誘導され、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0131】
電気機械であって、第1の回転平面を有する第1の回転子と、第1の回転平面に平行でかつオーバラップしない第2の回転平面を有する第2の回転子であって、第1の回転子および第2の回転子は共通回転軸を有する、第2の回転子と、コイルを少なくとも部分的に閉囲する固定子とを備え、固定子は、実質的に第1の回転子と第2の回転子との間に配置され、固定子は、第1の回転子および第2の回転子に係合し、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0132】
電気機械であって、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルであって、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される、導電性コイルと、第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットであって、第1の回転子に係合する、磁束伝導体の第1のセットと、第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットであって、第2の回転子に係合する、磁束伝導体の第2のセットとを備え、第1のセットおよび第2のセットは背中合わせに配列され、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。第1のセットおよび第2のセットは、交互になる方法で配列される。
【0133】
電気機械であって、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルであって、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される、導電性コイルと、回転子とを備え、第1のコイル部分は回転子の第1の側に配置され、第2のコイル部分は回転子の反対側に配置され、第1のコイル端および第2のコイル端は、ループを形成するために、回転子の第1の側から回転子の反対側まで延在し、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。第1のコイル端は、回転子が架橋セグメントと回転軸との間になるように回転子を横切る架橋セグメントを備えてもよい。第1のコイル端は、回転子と回転軸との間を通過する架橋セグメントを備えてもよい。電気機械は多相機械であってよい。電気機械は、第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットであって、回転子の第1の側に係合する、磁束伝導体の第1のセットと、第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットであって、第1の側と異なる回転子の第2の側に係合し、第1の側および第2の側は回転子の回転平面によって分離される、磁束伝導体の第2のセットとをさらに備えてもよい。
【0134】
電気機械であって、回転子であって、回転子の回転平面によって分離される第1の側および第2の側を有する、回転子と、第1の側に係合する磁束伝導部分の第1のセットと、第2の側に係合する磁束伝導部分の第2のセットと、磁束伝導部分の第1のセットおよび磁束伝導部分の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲されるコイルとを備え、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0135】
入れ子式電気機械であって、共通回転軸を有する第1の電気機械および第2の電気機械を備え、第2の電気機械は、第1の電気機械の内径内に完全に配設され、第1の電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方であり、第2の電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、入れ子式電気機械。第1の電気機械および第2の電気機械は、位相が異なる可能性がある。
【0136】
電気機械であって、回転子と、回転子に結合した複数の部分固定子とを備え、複数の部分固定子の各部分固定子は、異なる入力/出力位相に対応し、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0137】
電気機械であって、第1の半径を有する第1の回転子と、第1の半径より小さい第2の半径を有する第2の回転子と、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルとを備え、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続され、第1のコイル部分は、磁束伝導体の第1のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、第2のコイル部分は、磁束伝導体の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、磁束伝導体の第1のセットは第1の回転子だけに係合し、磁束伝導体の第2のセットは第2の回転子だけに係合する、電気機械。
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気システムに関し、特に横方向磁束機およびコンミュテート式磁束機に関する。
【背景技術】
【0002】
モータおよび交流発電機は、通常、高効率、高電力密度、および低コストのために設計されている。モータまたは交流発電機における高電力密度は、高い回転速度、したがって、高い電気周波数で動作することによって達成される。しかし、多くの用途は、低い回転速度を必要とする。これに対する一般的な解決策は、減速機を使用することである。減速機は、効率を低下させ、複雑さを増加させ、重量を増加させ、空間要件を増加させる。さらに、減速機は、システムコストを増加させ、機械的故障率を増加させる。
【0003】
さらに、高い回転速度が望まれず、また、減速機が望ましくない場合、モータまたは交流発電機は、通常、低回転速度で高い電気周波数を提供するために、多数の極を有さなければならない。しかし、たとえば空間的な制限によって、特定のモータまたは交流発電機が有することができる極の数に対して実用上の制限が存在することが多い。実用上の制限に達すると、所望の電力レベルを達成するために、モータまたは交流発電機は、比較的大きくなり、したがって、相応して低い電力密度を有しなければならない。
【0004】
さらに、交流発電機および電気モータについての既存の多極巻線は、通常、サイズおよび/または電力の必要性を満たすために、巻線幾何形状そしてしばしば複雑な巻線機を必要とする。極の数が増加するにつれて、巻線問題は、通常、悪化する。さらに、極数が増加するにつれて、コイル損失もまた(たとえば、コイルを構成する銅ワイヤまたは他の材料の抵抗作用によって)増加する。しかし、多数の極は、一定の利点、たとえば、1巻回について高い電圧定数を可能にすること、高いトルク密度を提供すること、および、高い周波数で電圧を生成することを有する。
【0005】
最も一般的には、電気モータは、半径方向磁束型である。非常に少ない程度に、一部の電気モータは、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機として実装される。改善された電気モータおよび/または交流発電機の性能および/または構成可能性を生み出すことが望ましい。特に、改良型横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機が望ましい。さらに、多相入力を収容し、かつ/または、多相出力を生成するように構成された横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、横方向および/またはコンミュテート式磁束機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある例示的な実施形態では、電気機械は、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える第1の導電性コイルを備える。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続される。第1のコイル部分は、磁束伝導体の第1のセットによって少なくとも部分的に閉囲される。第2のコイル部分は、磁束伝導体の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲される。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、電気機械の回転軸に対して、オーバラップする角度部分を少なくとも部分的に横切る。電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である。
【0008】
別の例示的な実施形態では、電気機械は、回転子であって、回転子の回転軸に対して内側側面および外側側面を有し、内側側面は、回転軸の周りに円を規定する、回転子と、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルとを備える。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される。導電性コイルは、円の外周の一部分のみに沿って延在する。磁束伝導体の第1のセットは、第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する。磁束伝導体の第2のセットは、第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する。第1のセットおよび第2のセットは、キャビティ係合式構成または面係合式構成の一方において前記回転子の内側側面に係合する。電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である。
【0009】
なお別の例示的な実施形態では、電気機械は、固定子を備える。電気機械は、さらに、固定子によって少なくとも部分的に閉囲されたコイルを備え、コイルは、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える。第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される。電気機械は、さらに、共通回転軸および共通回転平面を有する第1の回転子および第2の回転子を備える。固定子は、共通回転軸から第1の半径において第1の回転子に係合する。固定子は、共通回転軸から第2の半径において第2の回転子に係合する。第1の半径および第2の半径は異なる。電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である。
【0010】
本要約の節の内容は、本開示に対する簡略化された導入として提供されるに過ぎず、添付特許請求項の範囲を制限するために使用されることを意図されない。
【0011】
以下の説明、添付特許請求項、および添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】ある例示的な実施形態による例示的な横方向磁束機を示す図である。
【図1B】ある例示的な実施形態による例示的なコンミュテート式磁束機を示す図である。
【図2A】ある例示的な実施形態による例示的な軸方向ギャップ構成を示す図である。
【図2B】ある例示的な実施形態による例示的な半径方向ギャップ構成を示す図である。
【図3A】ある例示的な実施形態による例示的なキャビティ係合式構成を示す図である。
【図3B】ある例示的な実施形態による例示的な面係合式構成を示す図である。
【図3C】ある例示的な実施形態による例示的な面係合式横方向磁束構成を示す図である
【図4】ある例示的な実施形態による電気モータ効率曲線を示す図である。
【図5A】ある例示的な実施形態による例示的な単相固定子/回転子組立体の断面を示す図である。
【図5B】ある例示的な実施形態による図5Aの単相構成に基づく例示的な3相構成の断面を示す図である。
【図5C】ある例示的な実施形態による例示的な3相回転子構成を示す図である。
【図5D】ある例示的な実施形態による図5Cに示す回転子の例示的な磁気および磁束集中部分の拡大図である。
【図6A】ある例示的な実施形態による内部固定子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図6B】ある例示的な実施形態による内部固定子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図6C】ある例示的な実施形態による、内部コア磁束伝導体間隔が、90°位相遅れを生成するように構成された図6Aおよび6Bの多相デバイスの一部分の拡大図である。
【図7A】ある例示的な実施形態による内部回転子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図7B】ある例示的な実施形態による内部回転子を有する例示的な多相デバイスを示す図である。
【図7C】ある例示的な実施形態による図7Aおよび7Bの多相デバイスの一部分の拡大図である。
【図8A】ある例示的な実施形態によるスリムな設計を有する例示的な多相デバイスの斜視図である。
【図8B】ある例示的な実施形態による図8Aの多相デバイスの一部分の拡大図である。
【図8C】ある例示的な実施形態による図8Aおよび8Bの例示的な多相デバイスの平面図である。
【図9A】ある例示的な実施形態による、位相整合した方法で内部で入れ子にされた同様の多相デバイスを有する図8A〜8Cの多相デバイスを示す図である。
【図9B】ある例示的な実施形態による、位相スタガード方法で内部で入れ子にされた同様の多相デバイスを有する図8A〜8Cの多相デバイスを示す図である。
【図10】ある例示的な実施形態による、自動車内で使用するように構成された例示的な多相デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、種々の例示的な実施形態であるに過ぎず、本開示の範囲、適用可能性、または構成をいずれの方法でも制限することを意図されない。むしろ、以下の説明は、最良のモードを含む種々の実施形態を実施するための好都合な例証を提供することを意図される。明らかになるように、添付特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態で述べる要素の機能および配置構成において、種々の変更が行われてもよい。
【0014】
簡潔さのために、電気システムの構成、管理、動作、測定、最適化、および/または制御のための従来の技法、ならびに、磁束利用、集中、制御、および/または管理のために従来の技法は、本明細書で詳細に述べられない可能性がある。さらに、本明細書に含まれる種々の図に示す接続線は、種々の要素間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を示すことを意図される。多くの代替のまたは付加的な機能的関係または物理的接続が、実用的な電気システム、たとえばAC同期電気モータ内に存在してもよいことが留意されるべきである。
【0015】
従来の電気モータ、たとえば従来のDCブラシレスモータは、種々の欠点を持つ。たとえば、多くの電気モータは、種々の回転速度および/または負荷、たとえば、低い回転速度では非効率的である。そのため、モータは、通常、適した効率の狭いRPM範囲および/または負荷範囲内で動作する。これらの構成では、モータから有用な仕事を得るために、ギアまたは他の機械的手法が必要とされる可能性がある。
【0016】
さらに、多くの電気モータは、低い極数を有する。電力はトルクとRPMの関数であるため、こうしたモータは、所望の電力密度および/または電気周波数を達成するために、しばしば、高い物理的RPMで動作しなければならない。さらに、高い電力密度(たとえば、アクティブな電気的および磁気的モータ質量の1キログラム当たりの高いキロワット出力)は、任意選択で、高い回転速度、したがって、高い電気周波数でモータを動作させることによって達成される。しかし、高い電気周波数は、高いコア損失、したがって、低い効率をもたらしうる。さらに、高い電気周波数は、コストの増加、機械的複雑さの増加、および/または信頼性の減少をもたらしうる。さらに、高い電気周波数および関連する損失は、熱を生成し、熱は、能動的冷却を必要とする可能性があり、また、モータの動作範囲を制限しうる。熱は、高周波機械の寿命および信頼性を低下させうる。
【0017】
なお他の電気モータは、多量の銅ワイヤまたは他のコイル材料を含む。コイル巻線の長さのために、コイル内の抵抗性作用がコイル損失をもたらす。たとえば、こうした損失は、電気エネルギーの一部分を熱に変換し、効率を低下させ、おそらくは、モータの熱損傷および/または機能的破壊をもたらす。
【0018】
さらに、多くの従来の電気モータは低いトルク密度を提供した。本明細書で使用されるように、「トルク密度(torque density)」は、アクティブな電気的および磁気的材料のキログラムあたり生成されるニュートンメートルを指す。たとえば、多くの従来の電気モータは、約0.5ニュートンメートル/キログラム〜約3ニュートンメートル/キログラムのトルク密度を持つように構成される。そのため、たとえば全部で10ニュートンメートルのトルクを提供する1ニュートンメートル/キログラムのトルク密度を有するある電気モータは、たとえばアクティブな電気的および磁気的材料の10キログラムを超えて、著しく重い可能性がある。同様に、たとえば全部で100ニュートンメートルのトルクを提供する2ニュートンメートル/キログラムのトルク密度を有する別の電気モータはまた、たとえばアクティブな電気的および磁気的材料の50キログラムを超えて、著しく重い可能性がある。理解されるように、たとえばフレームコンポーネント、ハウジング、および同様なものの重量を含むこれらの電気モータの総合重量は、かなり大きい可能性がある。さらに、こうした従来の電気モータは、大きなモータ質量の結果として、しばしば著しくかさばる。しばしば、特定の用途について十分なトルクおよび/または電力のモータは、利用可能な面積にピッタリ合うことが難しいかまたはさらに不可能である。
【0019】
従来の横方向磁束機でさえ、これらの困難さを克服することができなかった。たとえば、従来の横方向磁束機は、かなりの磁束漏洩を受けた。依然として他の横方向磁束機は、アクティブな電気的および磁気的材料の1キログラム当たりわずか数ニュートンメートルのトルク密度を提供した。さらに、種々の従来の横方向磁束機は、比較的狭いRPMおよび/または負荷範囲内でのみ効率的に動作可能であった。さらに、かなりの出力電力を生成するために従来の横方向磁束機を使用することは、高レートの速度で比較的どっしりとしかつ複雑なコンポーネント(すなわち、永久磁石ならびに/または比較的新奇な、密な、かつ/または高価な磁束集中材料または伝導材料を含むコンポーネント)を回転させることを必要とした。こうした高速動作は、支持および/またはシステム信頼性のためにさらなる高価な、かつ/または、複雑なコンポーネントを必要とする。さらに、多くの従来の横方向磁束機は、製造するのに比較的費用がかかり、かつ/または、難しく、実行可能性を制限する。
【0020】
対照的に、種々のこれらの問題は、本開示の原理に従って構成された横方向磁束機を利用することによって、解決されうる。本明細書で使用されるように、「横方向磁束機(transverse flux machine)」および/または「コンミュテート式磁束機(commutated flux machine)」は、磁束経路が、機械の回転平面を磁束が全体的に横切るセクションを有する任意の電気機械である。ある例示的な実施形態では、磁石および/または磁束集中コンポーネントが、機械が動作するときに、回転子上にある、かつ/または、移動するとき、電気機械は、純粋な「横方向(transverse)」磁束機である可能性がある。別の例示的な実施形態では、磁石および/または磁束集中コンポーネントが、機械が動作するときに、固定子上にある、かつ/または、静止状態に保たれるとき、電気機械は、純粋な「コンミュテート式(commutated)」磁束機である可能性がある。容易に明らかになるように、ある構成では、「横方向磁束機」は、回転子を固定し、固定子を移動させることによって「コンミュテート式磁束機」になると考えられてもよく、またその逆である。さらに、コイルは、固定子に固定されてもよく、あるいは、コイルは、回転子に固定されてもよい。
【0021】
さらに、コンミュテート式磁束機と横方向磁束機との間のギャップを架橋する機能およびデバイス設計の範囲が存在する。ある設計は、これら2つのカテゴリの間にまさに入ってもよい、または、同時に両方に属すると考えられてもよい。したがって、当業者に明らかになるように、本開示では、「横方向磁束機」に対する参照は、「コンミュテート式磁束機」に対して同様に適用可能であってよく、また、その逆である。
【0022】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、複数の方法で構成されてもよい。たとえば、図2Aを参照して、コンミュテート式磁束機は、固定子210が、回転子250の回転平面に全体的に整列した状態で構成されてもよい。こうした構成は、本明細書で「軸方向ギャップ(axial gap)」と呼ばれる。別の構成では、図2Bを参照して、コンミュテート式磁束機は、固定子210が、回転子250の回転平面に対して約90度回転した状態で構成されてもよい。こうした構成は、明細書で「半径方向ギャップ(radial gap」と呼ばれる。
【0023】
図3Aを参照して、コンミュテート式磁束機内の磁束スイッチ352は、固定子310によって画定されたキャビティ内に少なくとも部分的に延在することによって固定子310に係合してもよい。こうした構成は、本明細書で「キャビティ係合式(cavity engaged)」と呼ばれる。図3Bを考えて、コンミュテート式磁束機内の磁束スイッチ352は、固定子310の2つの端子面に非常に接近することによって固定器310に係合してもよい。こうした構成は、本明細書で「面係合式(cavity engaged)」と呼ばれる。同様な係合手法は、横方向磁束機においてとられてもよく、また、同様な方法で呼ばれる。
【0024】
一般に、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、回転子、固定子、およびコイルを備える。磁束スイッチは、固定子または回転子上に配置されてもよい。本明細書で使用されるように、「磁束スイッチ(flux switch)」は、磁気回路(すなわち、透磁率が空気よりかなり高い部分)を開放するかつ/または閉鎖するように構成された任意のコンポーネント、機構、またはデバイスであってよい。磁石が、固定子または回転子上に配置されてもよい。コイルは、固定子または回転子によって少なくとも部分的に閉囲される。任意選択で、磁束集中部分が、固定子および/または回転子上に含まれてもよい。ここで図1Aを一時的に参照して、例示的な横方向磁束機100Aは、回転子150A、固定子110A、およびコイル120Aを備えてもよい。この例示的な実施形態では、磁石は、回転子150A上に配置されてもよい。ここで図1Bを一時的に参照して、例示的なコンミュテート式磁束機100Bは、回転子150B、固定子110B、およびコイル120Bを備えてもよい。この例示的な実施形態では、磁石は、固定子110B上に配置されてもよい。
【0025】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、所望の電気的、磁気的、かつ/または物理的特性を提供するために、任意の適したコンポーネント、構造、および/または要素を持つように構成されてもよい。たとえば、50ニュートンメートル/キログラムを超える、連続的な熱的に安定したトルク密度を有するコンミュテート式磁束機は、多相構成を利用することによって達成されてもよい。本明細書で使用されるように、「連続的な熱的に安定したトルク密度(continuous, thermally stable torque density)」は、能動的冷却なしで、1時間以上の期間にわたる連続動作中にモータによって維持可能なトルク密度を指す。さらに、一般に、連続的な熱的に安定したトルク密度は、熱性能低下および/または損傷なしで、連続動作の延長期間、たとえば、1時間以上の間、モータによって維持可能なトルク密度であると考えられてもよい。
【0026】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、低いコア損失を達成するように構成されてもよい。高い透磁率、低い保磁力、低いヒステリシス損、低い渦電流損、および/または高い電気抵抗を有する材料を利用することによって、コア損失が低減される可能性がある。たとえば、ケイ素鋼、粉末状金属、粉末状めっき金属、軟磁性複合材、アモルファス金属、ナノ結晶複合材、および/または同様なものは、回転子、固定子、スイッチ、ならびに/または、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機の他の磁束伝導コンポーネントで利用されてもよい。そのため、渦電流、磁束漏洩、および他の望ましくない特性が、低減される可能性がある。
【0027】
横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機はまた、交流方法などで、磁束伝導体内の飽和レベルを変えることによって、低いコア損失を達成するように構成されてもよい。たとえば、固定子内の磁束伝導要素は、磁束伝導要素の第1の部分が固定子の動作中の第1の時間に飽和するように構成されてもよい。同様に、同じ磁束伝導要素の第2の部分は、固定子の動作中の第2の時間に飽和する。こうして、磁束伝導要素の複数の部分が、経時的に飽和誘導よりかなり低い磁束密度レベルを有し、コア損失を低減する。たとえば、磁束伝導要素のかなりの部分が、その磁気サイクルの時間の50%以内に飽和誘導の25%より低い磁束密度レベルを有する可能性がある。さらに、任意の適した磁束密度変化が利用されてもよい。
【0028】
さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、低いコイル損失を達成するように構成されてもよい。たとえば、所望の出力電力Pを達成するために、1つまたは複数のコイル内にある質量の銅Cを利用する従来の電気モータと対照的に、特定の横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、同じ出力電力Pを達成しながら、少量の銅C(たとえば、銅Cの10分の1)だけを利用する可能性がある。さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、改善された方法で(たとえば、コイル内の「端巻回部(end turn)」を減少させる、かつ/または、削除することによって)コイル材料を利用するように構成されてもよい。こうして、抵抗損、渦電流損、熱損失、および/または所与のコイル質量Cに関連する他のコイル損失が低減される可能性がある。さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機内で、コイルは、所与のコイル質量Cについて損失をさらに低減するように、構成されてもよく、形作られてもよく、配向されてもよく、整列されてもよく、製造されてもよく、かつ/または、その他の方法で構成されてもよい。
【0029】
さらに、本開示の原理に従って、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、高い電圧定数を達成するように構成されてもよい。こうして、機械内の巻回数が、高い周波数に関連して低減される可能性がある。そのため、コイル質量および/またはコイル内の巻回数の対応する低減が達成される可能性がある。
【0030】
なおさらに、本開示の原理によれば、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、高い磁束切換え周波数、たとえば、1000Hzを超える磁束切換え周波数を達成するように構成されてもよい。磁束が高周波数で切換えられるため、トルク密度が増加する可能性がある。
【0031】
ここで図4を参照して、特定のトルクについての典型的な従来の電気モータの効率曲線402が示される。回転/分(RPM)がX軸上に示され、モータ効率がY軸上に示される。示すように、従来の電気モータは、通常、低いRPMで比較的低い効率で動作する。この従来のモータの場合、効率は、増加し、その後、特定のRPMでピークになり、最終的に、RPMがさらに増加するにつれて低下する。結果として、多くの従来の電気モータは、望ましくは、ピーク効率の近くのRPM範囲内で動作することが多い。たとえば、1つの特定の従来技術の電気モータは、約3000RPMで約90%の最大効率を有する可能性があるが、効率は、それより高くないかまたは低くないRPMで劇的に低下する。
【0032】
ギアボックス、トランスミッション、および他の機械的機構は、所望の出力RPMまたは他の出力条件を達成するために、電気モータに結合されることが多い。しかし、こうした機械的コンポーネントは、しばしば、コストが高い、かさばる、重い、かつ/または、さらなるエネルギー損失、たとえば、摩擦損失を課す。こうした機械的コンポーネントは、モータ/トランスミッションシステムの総合効率を減少させうる。たとえば、約70%効率で動作するギアボックスに結合された約90%効率で動作する電気モータは、約63%の総合効率を有するモータ/ギアボックスシステムをもたらす。さらに、ギアボックスは、従来の電気モータ自体より、大きい、かつ/または、重量があるかまたはコストが高い可能性がある。ギアボックスはまた、システムの総合信頼性を減少させる。
【0033】
対照的に、引き続き図4を参照して、また、本開示の原理によれば、特定のトルクについて横方向および/またはコンミュテート式磁束機の効率曲線404が示される。本開示の原理によれば、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、従来の電気モータのRPMより低いRPMで、所望の効率レベル(たとえば、80%以上の効率)に急速に達する可能性がある。さらに、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、従来の電気モータのRPM範囲より広いRPM範囲にわたって望ましい効率レベルを維持する可能性がある。さらに、横方向および/またはコンミュテート式磁束機の効率は、従来の電気モータと比較して、ピーク効率RPMを過ぎてよりゆっくり低下する可能性がある。
【0034】
さらに、本開示の原理によれば、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、従来の電気モータのトルク密度より高いトルク密度を達成する可能性がある。たとえば、ある例示的な実施形態では、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、100ニュートンメートル/キログラムを超える連続的な熱的に安定したトルク密度を達成する可能性がある。
【0035】
そのため、本発明の原理によれば、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、種々の用途で使用されてもよい。たとえば、自動車用途では、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、ホイールハブモータとして、ダイレクトドライブラインモータとして、かつ/または、同様なものとして利用されてもよい。さらに、特に、低いRPMにおいて十分に広い動作RPM範囲を有する例示的な実施形態では、横方向および/またはコンミュテート式磁束機は、トランスミッション、ギアボックス、および/または同様な機械的コンポーネントについての必要性なしで、自動車用途で利用される可能性がある。
【0036】
例示的な電気自動車またはハイブリッド自動車の実施形態は、自動車のホイールを駆動する横方向磁束モータを備え、自動車は、トランスミッション、ギアボックス、および/または同様な機械的コンポーネント(複数可)を備えない。この例示的な実施形態では、電気自動車またはハイブリッド自動車は、トランスミッションに似た機械的コンポーネントを備える同様の自動車よりかなり軽い。重量の減少は、トランスミッションに似た機械的コンポーネントを有する同様の自動車と比較して、拡張された駆動範囲を容易にする可能性がある。あるいは、ギアボックスの削除によって節約された重量は、拡張された範囲についてさらなる電池の利用を可能にする。さらに、ギアボックスの削除によって節約された重量は、改善された搭乗者の安全性のためのさらなる構造材料を可能にする。一般に、適した効率の広いRPM範囲を有するコンミュテート式磁束機は、望ましくは、ダイレクトドライブ構成が有利である種々の用途で利用されてもよい。たとえば、わずか数RPMから約2000RPMのRPM範囲にわたって80%より高い効率を有するコンミュテート式磁束機は、望ましくは、自動車で使用されてもよい。
【0037】
さらに、例示的なトランスミッションなしの電気自動車またはハイブリッド自動車は、より高い総合効率を有する可能性がある。換言すれば、例示的な自動車は、モータと自動車のホイールとの間のトランスミッションに似たコンポーネントがないことによって改善された効率がもたらされるために、電池で利用可能な電力をより効率的に利用する可能性がある。これはまた、駆動範囲を拡張し、かつ/または、電池についての必要性を低減するように構成される。
【0038】
さらに、コンミュテート式磁束機は、高いトルク密度を有するように構成される。本開示の原理によれば、高トルク密度のコンミュテート式磁束機はまた、種々の用途、たとえば自動車用途で使用するのに好適である。たとえば、従来の電気モータは、約0.5と約3ニュートンメートル/キログラムとの間のトルク密度を有する可能性がある。さらなる技法、たとえば能動的冷却は、従来の電気モータが約50ニュートンメートル/キログラムまでのトルク密度を達成することを可能にしうる。しかし、こうした技法は、通常、かなりのさらなるシステム質量、複雑さ、大きさ、および/またはコストを付加する。さらに、比較的高い量のトルクを生成するように構成されたこうした従来の電気モータ、たとえばSiemens1FW6モータは、比較的低いRPM動作、たとえば250RPM未満の動作に制限される。
【0039】
対照的に、本発明の原理によれば、例示的な受動冷却式の横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、50ニュートンメートル/キログラムを超える、連続的な熱的に安定したトルク密度を持つように構成されてもよい。本明細書で使用されるように、「受動冷却式(passively cooled)」は、動作のために電力を必要とする冷却コンポーネント、たとえば水ポンプ、オイルポンプ、冷却ファン、および/または同様なものがないシステムを指すものと一般に理解される。さらに、この例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、コンパクトな径、たとえば14インチ未満の径を持つように構成されてもよい。別の例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、100ニュートンメートル/キログラムを超える、連続的な熱的に安定したトルク密度および20インチ未満の径を持つように構成されてもよい。したがって、本開示の種々の原理を利用することによって、例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、電気自動車のホイールハブモータとして搭載するのに適した方法でサイズが決められてもよい、かつ/または、その他の方法で構成されてもよい、かつ/または、形作られてもよい。その理由は、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機が、従来の電気モータに比べて、かなり軽量である、かつ/または、かなりコンパクトであるからである。こうして、結果的に得られるホイール/モータ組立体のばね下重量が低減されうる。これは、自動車のハンドリングを改善し、サスペンションコンポーネントの複雑さおよび/またはサイズを低減しうる。
【0040】
さらに、本開示の原理によれば、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、回転部分を有する電気機械システム、たとえば洗浄機または他のアプライアンスで利用されてもよい。一実施例では、従来の洗浄機は、通常、ウォッシャードラムを回転させるベルトドライブに結合した電気モータを利用する。対照的に、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、ウォッシャードラムに軸方向に結合してもよく、ダイレクトドライブ構成を提供し、ベルトドライブ要素を削除する。あるいは、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機、たとえば部分固定子を備えるものは、回転子に結合されてもよい。回転子は、ウォッシャードラムと共通の軸を有してもよい。回転子はまた、ウォッシャードラムに直接結合されてもよい、かつ/または、ウォッシャードラムに一体に形成されてもよい。こうして、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、洗浄機あるいは他の同様な電気機械的構造および/またはシステムのために回転力を提供してもよい。
【0041】
さらに、本開示の原理によれば、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、自転車、スクータ、モータサイクル、クワドバイク、ゴルフカート、または他の車両などの比較的軽量の車両に対して機械的出力を提供するために利用されてもよい。さらに、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、小型エンジン用途、たとえば可搬型発電機、電力ツール、および他の電気機器で利用されてもよい。横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、望ましくは、プロペラ駆動式デバイス、たとえばボート、航空機、および/または同様なものに対する機械的出力を提供するために利用されてもよい。横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機はまた、望ましくは、種々の機械ツール、たとえば回転スピンドル、大きな質量を移動させるように構成されたテーブル、および/または同様なものにおいて利用されてもよい。一般に、横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、任意の適したデバイスへ、かつ/または、任意の適したデバイスから、電気的および/または機械的入力を提供する、かつ/または、電気的および/または機械的出力を提供するために利用されてもよい。
【0042】
種々の例示的な実施形態によれば、例示的な横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、多相入力を収容し、かつ/または、多相出力を生成するように構成される。多相入力デバイスおよび/または多相出力デバイスは、単相デバイスと比較して種々の利点を有しうる。たとえば、多相モータは、始動トルクを生成するために、外部回路要素または他のコンポーネントを必要としなくてもよい。多相デバイスはまた、脈動性および/または間欠性、たとえば、単相デバイスによって生成される電流が、電流がゼロ振幅を有するサイクルの部分を通過するときに生じる脈動性および/または間欠性を回避しうる。代わりに、多相デバイスは、交流電流入力の各周期にわたって実質的に一定の電力出力を送出しうる、およびまた、その逆もあり得る。
【0043】
多相デバイスは、参照により本明細書に組み込まれる種々の同時係属中の出願に開示される単相レイアウトと同様のレイアウトを使用して生成されうる。多相デバイスはまた、単一回転子/固定子のセットを有するレイアウト、または、単相回転子/固定子レイアウトと異なる多相特徴を有するレイアウトを使用して生成されうる。さらに、多相デバイスは、所望に応じて、任意の適した構成で生成されうる。
【0044】
本明細書で示す例示的な実施形態は、一般に、回転子部分上に磁石を、また、固定子部分上に磁束スイッチを有するが、本開示の態様に従って、他の変形が作られてもよいことが留意されるべきである。たとえば、磁束スイッチは、回転子部分上に搭載され、一連の磁石は、固定子部分上に搭載されてもよい。あるいは、磁束スイッチは、回転子部分上に搭載され、電磁石は、固定子部分上に搭載されうる。固定子部分と回転子部分との間のいくつかの他の関係も可能である。たとえば、固定子部分または回転子部分は、最も外側のコンポーネントとして搭載されてもよい。さらに、磁石、磁束集中器、および/または磁束スイッチは、電気出力を生成するか、または、回転子を駆動するよう磁束を伝導するために配列されてもよい、構成されてもよい、かつ/または結合されてもよい。さらに、磁束スイッチ、磁束集中器、コイル、および/または磁石は、回転子部分または固定子部分のいずれかに搭載されうる。
【0045】
一般に、いくつかの例示的な多相デバイスは、単相デバイスの適した要素を、結合すること、リンクすること、ならびに/または、その他の方法で利用することおよび/または含むことによって構築されてもよい。ある例示的な実施形態では、また、ここで図5Aを参照して、単相デバイス500Aは、回転子550、固定子510、およびコイル520を備える。単相デバイス500Aは、ここでは断面で示され、横方向磁束機を示す。この例示的な実施形態では、回転子550は、軸方向ギャップ構成で固定子510とキャビティ係合している。固定子510は、コイル520を部分的に囲む。
【0046】
ある例示的な実施形態では、固定子510は、静止状態で保持され、回転子550は、回転軸551の周りに回転する。種々の他の例示的な構成では、回転子550は、固定子として働くように静止状態で保持されてもよいことが容易に理解されるであろう。これらの実施形態では、固定子510は、回転子として働くために移動してもよい。
【0047】
種々の実施形態では、回転子550は、交互の磁石と磁束集中部分の積重体を備える。
【0048】
ここで図5Bを参照して、種々の例示的な実施形態では、多相設計は、単相設計の1つまたは複数の部分を複製することによって構築されてもよい。ある例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、共通回転軸の周りに同心に設置された、3つの回転子部分550A、550B、および500Cを備える。
【0049】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、任意の適した数の回転子および/または固定子、たとえば、2つの回転子、4つの回転子、5つの回転子などを備える。さらに、回転子部分550A、550B、および550Cは、独立した回転が可能でありうる。あるいは、回転子部分550A、550B、および550Cは、一緒に回転するように互いに結合されうる。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは、図5Bに示すように、設計が非常に似ているか、またはさらに、同一である。他の例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cの1つまたは複数は、他の部分より小さくてもよい。なお他の例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは互いに異なる。
【0051】
種々の例示的な実施形態では、回転子部分550(たとえば、550A、550B、または550Cの1つまたは複数)は、ある断面形状を有する。たとえば、回転子部分550は、楔形状を有してもよい。あるいは、回転子部分550は、種々の他の適した形状、たとえば、矢じり形状、円断面形状、長方形断面形状、および/または同様な形状を備えてもよい。
【0052】
種々の実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは、電気駆動式デバイスおよび/または電気出力デバイスに組立てられると、それぞれ、交互の磁石と磁束集中部分の積重体を備える。
【0053】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bの各回転子部分550A、550B、550Cは、コイル520A、520B、および520Cにそれぞれ対応する。コイル520A、520B、および520Cは、通常、多相デバイス500Bの中心の周りで外周に配向する。一般に、コイル520A、520B、および520Cは、対応する固定子部分に固定され、したがって、回転子部分550A、550B、550Cは、コイル520A、520B、および520Cと共に回転しない。さらに、各回転子に対応する固定子部分510A、510B、および510Cは、コイル520Aと520Bと520Cとの間の空間の少なくとも一部分を占める。ある例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、550Cは、一般に固定されたままである固定子部分510A、510B、および510Cと独立に回転する。
【0054】
あるいは、回転子部分550A、550B、550Cは、固体子部分であるために固定されたままでありうる。これらの実施形態では、コイル520A、520B、および520Cならびに固定子部分510A、510B、および510Cは、回転子部分に対して回転する。
【0055】
ここで図5Cを参照して、種々の例示的な実施形態では、図5Bの回転子部分550A、550B、および550Cは、回転子部分550Aと550Bと550Cとの間に位相遅れを持つように構成される。磁石部分554A、554B、および554Cは、回転子部分550A、550B、および550Cのそれぞれの上にそれぞれ配置される。さらに、複数の磁石部分554A、554B、および554Cは、回転子部分550A、550B、および550Cのそれぞれの上に配置される。たとえば、各回転子部分は、交互の磁石と磁束集中部分のパターンを備えてもよい。図5Dを参照して、たとえば、回転子550は、交互の磁石554ならびに磁束集中部分552および556のパターンを備える。このパターンは、回転子部分550の形状を少なくとも部分的に形成するために、回転子部分550の外周の周りに繰返されてもよい。
【0056】
ある例示的な実施形態では、回転子550のそれぞれの上の磁石部分554はそれぞれ、2つの磁束伝導部分の間に配置される。たとえば、特定の磁石554は、磁束伝導部分552と556との間に配置される。一般に、磁石554は、共通極性を有する磁石表面が共通磁束集中部分に係合するように配置されてもよい(たとえば、図5Dを参照)。さらに、種々の例示的な実施形態では、磁石部分554は、所望に応じて、さらなる、かつ/または、少数の磁束伝導部分に隣接して配置されてもよい。
【0057】
再び図5Cを参照して、種々の例示的な実施形態では、回転子部分550A、550B、および550Cは、互いに対して部分的に回転する。こうして、位相遅れp1が、回転子部分550Aと550Bとの間に規定される。同様に、位相遅れp2が、回転子部分550Bと550Cとの間に規定される。さらに、さらなる回転子550は、所望に応じて、さらなる位相遅れを生成するために利用されてもよい。
【0058】
回転子部分550A、550B、および550Cは、互いに対して固定されてもよい。こうして、位相遅れp1およびp2は、回転子部分550A、550B、および550Cが、動作中に回転するにつれて維持される。位相遅れp1およびp2は、回転子部分550A、550B、および550Cのそれぞれに、異なる出力位相を生成させる。さらに、回転子部分550A、550B、および550Cはまた、1つまたは複数の位相遅れを変更するために互いに対して可動であってもよい。
【0059】
当業者によって理解されるように、図5Cに示す位相遅れp1およびp2は、代表であるに過ぎない。多数の他の位相遅れおよび/または位相遅れの組合せが、本開示の原理に従って生成されてもよい。全てのこうした位相遅れならびに/または結果的に得られるデバイス入力および/または出力特性は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0060】
ある例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、電気出力デバイスとして動作してもよい。これらの構成では、回転子部分550A、550B、および550Cはそれぞれ、対応するコイル520A、520B、および520C内で交流電気出力(たとえば、実質的に正弦の出力)を生成する。各コイル520A、520B、および520Cの電気出力は、他のコイル520A、520B、および520Cのそれぞれに対してある位相遅れだけシフトした(あるいは、他のコイル520A、520B、および520Cのそれぞれに対して進んだ)位相を有する。一般に、多相デバイス500B内の位相遅れの数は、回転子部分の数より少ない数までであってよい。たとえば、3つの回転子部分550A、550B、および550Cは、2つの位相遅れを生成するように構成されてもよい。3つの回転子部分550A、550B、および550Cはまた、(たとえば、回転子部分550Bおよび550Cが、回転子部分550Aに対して同様に整列する場合)1つの位相遅れを生成するように構成されてもよい。3つの回転子部分550A、550B、および550Cはまた、3つの回転子部分550A、550B、および550Cが全て、互いに同様に整列すると、位相遅れを全く作らないように構成されてもよい。一般に、任意の適した数の位相遅れおよび任意の適した大きさの位相遅れが、それぞれ、所望に応じて利用されてもよい。
【0061】
たとえば、種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bにおいて、各位相遅れの大きさは、回転子部分550のそれぞれの相対的な回転アライメントを調整することによって調整されてもよい。多相デバイス500Bは、電気出力デバイスとして動作してもよい。これらの構成では、位相出力は、交流出力の各周期内で互いに対して均等にシフトされてもよい。たとえば、3相配置構成では、位相は、周期の3分の1だけ互いに対してシフトされうる。あるいは、位相は、互いに対して不均等にシフトされうる。たとえば、第2の位相は、第1の位相に対して30°だけシフトされてもよい。第3の位相は、第2の位相に対して60°だけシフトされてもよい(その結果、第1の位相に対して90°だけシフトされてもよい)。さらなる位相は、所望に応じて、任意の適した値だけ同様にシフトされてもよい。
【0062】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bにおいて、各位相出力は、異なる回転子部分550A、550B、および550C、ならびに、対応する固定子510A、510B、および510C、ならびに、コイル520A、520B、および520Cによって生成される。他の例示的な実施形態では、多相デバイス500Bは、単一固定子部分510が別個の位相に分割され、1つまたは複数の回転子を共有する状態で構成される。これらの例示的な実施形態では、多相デバイスのコンポーネントの数は、低減される可能性がある。たとえば、多相デバイスは、多相デバイスを構成する回転子の数より多い入力/出力位相を生成してもよい、かつ/または、利用してもよい。さらに、これらの例示的な実施形態では、多相デバイスのサイズは、たとえば、少なくとも回転子の回転軸に平行な方向に多相デバイスの厚さを減少させることによって低減されてもよい。
【0063】
たとえば、ここで図6Aおよび6Bを参照して、多相デバイス600は、1つまたは複数の内部固定子を持つように構成されてもよい。本明細書で述べるように、「内部固定子(interior stator)」は、固定子の一部分および/または固定子の種々のコンポーネントが2つ以上の回転子間に実質的に配設されている固定子を指す。種々の例示的な実施形態では、多相デバイス600は、それぞれが複数の磁束伝導部分612(612A、612B、および612Cとして示す)を備える3つの固定子を備える。多相デバイス600は、さらに、3つのコイル620A、620B、620Cおよび2つの回転子650X、650Yを備える。磁束伝導部分612A、612B、および612Cならびにコイル620A、620B、および620Cは、実質的に回転子650Xと650Yとの間に配置される。
【0064】
コイル620A、620B、および620Cはそれぞれ、異なる出力位相に対応してもよい。種々の例示的な実施形態では、固定子610内の磁束伝導部分612間の間隔(spacing)は、以下で論じるように、1つまたは複数の位相関係を生成するように構成される。さらに、多相デバイス600は、任意の適した数のコイル620、たとえば2つのコイル620、4つのコイル620、10のコイル620、および/または同様なものを備えてもよい。したがって、多相デバイス600は、コイル620の数までの出力位相の数ならびに1つまたは複数の固定子および/または回転子の対応する位相部分を持つように構成されてもよい。さらに、複数のコイル620は、類似の位相に対応するように構成されてもよい。
【0065】
コイル620A、620B、および620Cは、変化する磁場に応答して電流を伝導するように構成された任意の適した材料、たとえば、銅ワイヤ巻線を備えうる。種々の例示的な実施形態では、1つまたは複数のコイル620は、フラットワイヤ(すなわち、円断面と対照的に長方形断面を有するワイヤ)から巻かれる。さらに、本開示および/または関連する開示によって適していると考えられる、コイル、出力巻線、電気コネクタ、および/または同様なもののいずれもが、フラットワイヤから作製されうる。コイル620内のフラットワイヤは、利用可能な空間を導電性材料でより効率的に充填することを可能にする。こうして、コイル内へのワイヤのより高いパッキング密度が達成される可能性がある。パッキング密度の増加による効率増進は、考えられる欠点、たとえば、結果的に得られる特定のコイルの重量増加を上回りうる。さらに、ワイヤおよび/またはコイルの任意の適した材料および/または形状が使用されてもよい。
【0066】
種々の例示的な実施形態では、引き続き図6Bを参照して、多相デバイス600のコイル620A、620B、および620Cはそれぞれ、前方部分620AF、620BF、620CFおよび後方部分620AR、620BR、620CRをそれぞれ有するループを備える。多相デバイス600のコイル620A、620B、および620Cの前方部分および後方部分はそれぞれ、磁束がコイル620A、620B、および620Cの周りに伝導されるように、対応する固定子の磁束伝導部分612によって実質的に囲まれる。
【0067】
種々の例示的な実施形態では、コイル620A、620B、および620Cは、円の外周の一部分に沿って延在する。コイル620A、620B、および620Cは、円の外周の適した部分、たとえば、外周の約3分の1に沿って延在してもよい。コイル620A、620B、および620Cは、類似の長さを有する部分に沿って延在してもよい。さらに、コイル620A、620B、および620Cは、所望に応じて、不同の長さを有する部分に沿って延在してもよい。
【0068】
さらに、前方部分620AFは、第1の孤、たとえば、半円孤を規定し、後方部分620ARは、第2の孤、たとえば、半円孤を規定してもよい。第1および第2の孤は、共通軸、たとえば横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機の回転軸から共通半径を有してもよい。さらに、第1および第2の孤(および/または前方部分620AFおよび後方部分620AR)は、横方向磁束機の同じ角度部分を横切る可能性がある。たとえば、ある例示的な3相の実施形態では、横方向磁束機のほぼ0°〜120°は、第1のコイル(すなわち、第1のコイルの第1および第2の部分)に関連し、横方向磁束機のほぼ120°〜240°は、第2のコイルならびにそのそれぞれの第1および第2の部分に関連し、横方向磁束機のほぼ240°〜360°は、第3のコイルならびにそのそれぞれの第1および第2の部分に関連する。さらに、第1および第2の孤(および/または前方部分620AFおよび後方部分620AR)は、横方向磁束機のオーバラップする角度部分を横切る可能性がある。たとえば、前方部分620AFは、横方向磁束機のほぼ0°〜120°を横切る可能性があり、後方部分620ARは、横方向磁束機のほぼ5°〜115°を横切る可能性があり、したがって、角度部分は完全にオーバラップする。さらに、第1および第2の孤(および/または前方部分620AFおよび後方部分620AR)は、横方向磁束機の部分的にオーバラップする角度部分を横切る可能性がある。たとえば、前方部分620AFは、横方向磁束機のほぼ0°〜120°を横切る可能性があり、後方部分620ARは、横方向磁束機のほぼ5°〜125°を横切る可能性があり、したがって、角度部分は部分的にオーバラップする。
【0069】
コイル620A、620B、および620Cのそれぞれの周りでの磁束伝導部分612を通した磁束の伝導は、コイル620A、620B、および620Cのそれぞれにおいて電気出力の生成を可能にする。種々の例示的な実施形態では、磁束は、前方部分620AFを実質的に囲む磁束伝導部分612Aが後方部分620ARを実質的に囲む磁束伝導部分612Aと位相が揃うように磁束伝導部分612Aを通して伝導される。こうして、前方部分620AFおよび後方部分620ARは位相が揃う。同様の位相配置構成は、部分620BFおよび620BRならびに620CFおよび620CRにおいてそれぞれ見出される可能性がある。他の例示的な実施形態では、前方部分は、対応する後方部分と位相がずれる可能性がある。
【0070】
さらに、種々の例示的な実施形態では、コイル、たとえばコイル620Aは、前方部分620AFの電流が回転方向に流れ、同時に、後方部分620ARの電流が回転方向と反対に流れるように、多相デバイス600の回転軸の周りに配向してもよい。換言すれば、種々の実施形態では、コイル620A内の電流は、回転軸の周りの角度距離の一部分だけに延在する幾分「レーストラック(racetrack)」形状のループの周りに流れると考えられてもよい。
【0071】
容易に理解されるように、コイル620Bおよび/または620Cは、上述したように、コイル620Aおよびその部分と同様な方法で、形作られてもよい、サイズが決められてもよい、構成されてよい、かつ/または、その他の方法で機能するかつ/または振舞ってもよい。
【0072】
種々の例示的な実施形態では、引き続き図6Bを参照して、多相デバイス600の磁束伝導部分は、C形状でありうる。あるいは、磁束伝導部分は、いくつかの他の形状、たとえば、所望に応じて、断面図または斜視図が、U形状、直線形形状、卵形状、および直線形状のうちの1つを有しうる。これらの磁束伝導部分は、任意の適した方法で形成されてもよい。たとえば、磁束伝導部分は、テープ巻きトロイド材料、金属ガラス、積層鋼、粉末状金属を含む材料、あるいは、いくつかのこれらのまたは他の適した磁束伝導材料の組合せから作製されうる。
【0073】
例示的な実施形態では、引き続き図6Bを参照して、コイル内磁束伝導体間隔S610A、S610B、およびS610C(S610BおよびS610Cは示さず)(すなわち、それぞれ、隣接する磁束伝導部分612A間、612B間、および612C間の間隔)は、ほぼ均等なサイズである。さらに、コイルのそれぞれの前方部分620AF、620BF、および620CFならびに後方部分620AR、620BR、および620CRに対する隣接する磁束伝導部分の間隔は、全体的にほぼ同じサイズである。しかし、コイルのそれぞれの前方部分620AF、620BF、および620CFならびに後方部分620AR、620BR、および620CRのいずれか、および/または、両方の上のコイル内磁束伝導体間隔S610A、S610B、およびS610Cは、ほぼ同じ以外でありうる。たとえば、これらの磁束伝導体間隔は、異なる周波数出力を生成するため、または、他の適した目的のために変更されてもよい。
【0074】
対照的に、やはり図6Bを参照して、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−A(SC−Aは示さず)(すなわち、隣接するコイル620A、620B、および620C上の隣接する磁束伝導部分間の中心から中心までの間隔)は、しかし、全体的にサイズが不均等である。種々の例示的な実施形態では、コイル内磁束伝導体間隔は、コイル620A、620B、および620Cのそれぞれにおいて生成される電気出力の位相の間に特定の位相関係を設定するために変化する。コイル間のこれらの位相関係および回転子の種々のコンポーネントに関するそれらの関連性は、以下でより詳細に論じられるであろう。しかし、いくつかの場合では、互いにほぼ等しいコイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aの1つまたは複数を有することが有利である可能性がある。
【0075】
ここで図6Cを参照して、多相デバイス600の拡大図が示される。例示的な実施形態では、多相デバイス600内の2つの回転子部分650X、650Yは、固定子610を構成する磁束伝導部分612内に少なくとも部分的に受取られる。回転子部分650X、650Yは、非常に似ている、かつ/または、同一であってよい。さらに、回転子部分650X、650Yは、単相デバイスで使用される回転子と同様の構成を有してもよい。種々の例示的な実施形態では、回転子部分650X、650Yは、全体的に互いに整列する。
【0076】
あるいは、回転子部分650X、650Yは、かなりの差を有しうる。たとえば、回転子部分650X、650Yは、互いに対して少なくとも部分的に回転してもよい。換言すれば、回転子部分650X、650Yは、未整列状態であってよい。回転子部分650X、650Yはまた、異なるサイズに作られた交互の磁石部分654および/または磁束集中器652を有してもよい。
【0077】
種々の例示的な実施形態では、交互の磁石部分654および磁束集中器652は、図5Dに示す回転子550のそれぞれの対応する領域554および552/556と特徴および機能が似ている。
【0078】
さらに、これらの実施形態では、回転子部分650X、650Yは、多相デバイス500Bで使用される回転子550と実質的に類似する可能性がある。たとえば、図5Dに示す回転子550の磁石部分554と同様に、回転子部分650Xの隣接する磁石部分654は、全体的に交互の極配向を有してもよい。同様に、回転子部分650Yの隣接する磁石部分654は、全体的に交互の極配向を有してもよい。しかし、他の例示的な実施形態では、回転子部分650Xの代替のバージョンが利用され、たとえば、回転子部分650X内の隣接する磁石部分654の極は、交互であるのではなく整列する。回転子部分650Yの同様の代替のバージョンが利用されてもよい。さらに、交互のかつ/または整列した磁石の全てのこうした組合せは、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0079】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス600は、機械的入力から電気的出力を生成するように動作してもよい。他の例示的な実施形態では、多相デバイス600は、実質的に逆の方法で動作してもよく、電気的入力が、1つまたは複数のコイルに供給されて、機械的出力および/または他の出力が生成される(たとえば、1つまたは複数の回転子および/または回転子に取付けられた機械的コンポーネントを回転させる)。種々の原理が、適するようにこれらの構成のいずれかおよび/または両方に適用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0080】
ある例示的な実施形態では、機械的入力から電気的出力を生成するために、回転子部分650X、650Yは、図6Bに示す方向D1に沿って磁束伝導部分612Aに対して回転する。これによって、回転子部分650X、650Yの磁石部分654および磁束集中器652が、磁束伝導部分612Aに交互に整列する。こうして、磁束は、磁束伝導部分612Aに沿って伝導される。
【0081】
ある例示的な実施形態では、磁石部分654のそれぞれの連続する磁石極の配向は、各磁束伝導部分652が、磁石部分654の隣接する(abut)対の同じ極性によって少なくとも部分的に囲まれるようなものである。この配向は、第1の磁束集中器652から、磁束伝導体612Aを通って、第1の磁束集中器652と異なる第2の磁束集中器652までの磁束経路を生成する。多相デバイス600では、これらの磁束経路は、磁束伝導部分612Aによって囲まれるコイル620Aのセクションを取り囲む。回転子部分650X、650Yを回転させることは、磁束伝導部分612Aの近くで反対の極性を有する磁束集中器652を連続して移動させる。それにより、回転子部分650X、650Yを回転させることは、磁束集中器652および磁束伝導部分612Aが互いに対して順次通過するたびに、磁束経路の方向を実質的に反転させる。このプロセスは、コイル620A内に交流電気出力を生成する。同様な振る舞いおよび結果は、磁束伝導部分612Bおよび612Cならびにコイル620Bおよび620Cのそれぞれにおいて同時に得られる可能性がある。
【0082】
種々の例示的な実施形態では、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aは、コイル内磁束伝導体間隔S610A、S610B、およびS610Cと異なる。これらの実施形態では、回転子650Xの磁石部分654および磁束集中器652は、異なる時間に異なる固定子セクション610の磁束伝導部分612に整列する。結果として、磁束伝導部分612Aに沿う最大磁束コンダクタンスが、磁束伝導部分612Bの場合と異なる時間に起こる、などである。タイミングは、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aによって左右される。こうして、コイル内磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、およびSC−Aは、他のコイル620の1つまたは複数、たとえばコイル620Bで生成される電気出力に対して、特定のコイル620、たとえばコイル620Aで生成される電気出力の位相遅れを生成する可能性がある。
【0083】
ある例示的な実施形態では、引き続き図6Cを参照して、コイル内磁束伝導体間隔SA−Bは、コイル620Aおよび620Bの出力間で90°位相遅れを生成するように構成される。示すように、コイル内磁束伝導体間隔SA−Bは、コイル620Aを囲む磁束伝導部分612Aが、回転子部分650X、650Yの磁束集中器654に整列するようなものである。同時に、コイル620Bを囲む磁束伝導部分612Bは、回転子部分650X、650Yの磁石部分654に整列する。この位置で、コイル620Aおよび620Bは、互いに約90°位相がずれる。その結果、コイル620Aの周りの磁束伝導部分612Aに最大磁束コンダクタンスが存在するとき、最小磁束コンダクタンスが、コイル620Bの周りの磁束伝導部分612Bに起こる、また、その逆である。理解されるように、逆もまた真である。こうして、回転子650X、650Yを回転させることによって、コイル620Aおよび620Bに生成される電気出力間にほぼ90°位相遅れが生成される可能性がある。
【0084】
図6Cは、隣接するコイル間に90°位相遅れを生成するコイル内磁束伝導体間隔を示す。しかし、種々の例示的な実施形態では、隣接するコイル間の任意の適した位相関係は、コイル内磁束伝導体間隔を調整することによって得られてもよい。たとえば、隣接するコイル620Aおよび620Bの出力間の180°位相遅れが生成されうる。これは、コイル内磁束伝導体間隔SA−Bを調整することによって達成されうる。SA−Bを調整することは、コイル620Aを囲む磁束伝導部分612Aが、所与の時間Tに第1の極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。SA−Bを調整することはまた、コイル620Bを囲む磁束伝導部分612Bが、ほぼ同じ時間Tに反対の極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。こうした配向は、任意の所与の時間に、隣接するコイル620Aおよび620Bの周りで、磁束が、反対方向に伝導されることをもたらす(たとえば、磁束は、コイル620Aの周りで全体的に時計方向に伝導され、一方同時に、磁束は、コイル620Bの周りで全体的に反時計方向に伝導される)。
【0085】
同様に、SA−Bを調整することは、コイル620Aを囲む磁束伝導部分612Aが、所与の時間Tに第1の極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。SA−Bを調整することはまた、コイル620Bを囲む磁束伝導部分612Bが、ほぼ同じ時間Tに同じ極性を有する磁束集中器652に整列するようにさせる。これらの構成では、コイル620Aおよび620Bは実質的に位相が揃う。さらに、種々の例示的な実施形態では、コイル620間、たとえばコイル620Aと620Bとの間の任意の適した位相関係は、コイル内磁束伝導体間隔、たとえばSA−Bを調整することによって達成されてもよい。
【0086】
例示的な関係が、コイル620Aと620Bとの間の位相遅れについて示し論じられたが、類似の手法が、多相デバイス600内の任意のコイル間の位相関係に適用される。換言すれば、種々の例示的な実施形態では、コイル620A間、620B間、および620C間の位相関係は、先に論じたように、内部コイル磁束伝導体間隔SA−B、SB−C、および/またはSC−Aの1つまたは複数を同様に調整することによって、調整されうる、変更されうる、かつ/または、その他の方法で修正されうるかつ/または制御されうる。さらに、これらの内部コイル磁束伝導体間隔は、互いに独立に調整されうる。こうして、多相デバイス600のコイル620A、620B、および/または620Cの間の任意の適した数の位相関係が生成されてもよい。
【0087】
さらに、図6A〜6Cは、固定子が構築されると位相関係が固定される多相デバイス600を示すが、他の例示的な実施形態では、多相デバイスは、隣接するコイル間の調整可能な位相関係を持つように構成されてもよい。たとえば、磁束伝導部分612Aは、磁束伝導部分612Bに対して可動であってよい。調整可能な位相関係を有する全てのこうした多相デバイスは、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0088】
種々の例示的な実施形態では、やはり図6Bおよび6Cを参照して、特定のコイル620に関連する磁束伝導部分612は、交互になる方法で、インタリーブされてもよい、かつ/または、その他の方法で設置されてもよいかつ/または配置されてもよい。たとえば、1つの磁束伝導部分612Aは、前方部分620AFを部分的に閉囲する。方向D1に沿って移動して、次の磁束伝導部分612Aは、後方部分620ARを部分的に閉囲する。引き続き方向D1に沿って、交互になる方法で、次の磁束伝導部分612Aは、前方部分620AFを部分的に閉囲する、などである。こうして、磁束伝導部分612Aは、よりコンパクトにかつ/または密接に設置されてもよい。種々の例示的な実施形態では、磁束伝導部分612Aは、インタリーブされた「背中合わせ(back to back)」構成で配置されてもよい。これらの配置構成では、磁束伝導部分612Aの背面(back)は、たとえば図6Cに示すように、少なくとも部分的に互いを超えて延在する。こうして、多相デバイス600は、磁束伝導部分612Aが少なくとも部分的に互いを超えて延在しない場合よりもコンパクトに作られうる。しかし、磁束伝導部分612Aはまた、隣接する磁束伝導部分612Aの所定の部分が互いを超えて延在しない、交互の「背中合わせ」構成で配置されてもよい。
【0089】
上記磁束伝導部分612Aについて論じた構成と同様に、磁束伝導部分612B、612C、および/または多相デバイス600の他の磁束伝導部分は、同様な方法で、インタリーブされてもよい、散在されてもよい、かつ/または、その他の方法で交互にされてもよい。
【0090】
内部固定子を有する多相デバイスに加えて、本開示の原理は、内部回転子を有する多相デバイスを想定する。本明細書で使用されるように、「内部回転子(interior rotor)」は、回転子の一部分および/または回転子の種々のコンポーネントが2つ以上の固定子間に実質的に配設されている回転子を指す。たとえば、ある例示的な実施形態では、また、ここで図7A〜7Cを参照して、多相デバイス700は、内部回転子750を持つように構成される。多相デバイス700は、さらに、それぞれが複数の磁束伝導部分712(712A、712B、および712Cとして示す)を備える3つの固定子を備える。多相デバイス700は、さらに、それぞれ、磁束伝導部分712A、712B、および712Cの内部に実質的に配置された、かつ/または、それに囲まれた3つのコイル720A、720B、720Cを備える。回転子750はまた、磁束伝導部分712A、712B、および712Cの内部に実質的に配置される、かつ/または、それに囲まれる。
【0091】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700内での磁束伝導部分712A、712B、および712Cの配置構成は、磁束伝導部分712A、712B、および712Cのそれぞれの配向が磁束伝導部分612A、612B、および612Cの配向と比較すると逆であるという意味で、実質的に、多相デバイス600内での磁束伝導部分612A、612B、および612Cの配置構成(たとえば、図6A〜6Cを参照)の逆である。こうして、多相デバイス700は、単一回転子750を用いて動作するように構成される。
【0092】
多相デバイス700は、複数のコイル720、たとえばコイル720A、720B、および720Cを備えてもよい。コイル720A、720B、および720Cは、1つまたは複数の出力位相に対応してもよい。ある例示的な実施形態では、各コイル720A、720B、および720Cは、異なる出力位相に対応する。任意の適した数のコイル720が利用されてもよい。たとえば、多相デバイス700の3つの位相部分に対応する3つのコイル720A、720B、および720Cが利用されてもよい。あるいは、2つ、4つ、またはそれ以上のコイル720、相応して、2つ、4つ、またはそれ以上の固定子が使用されてもよい。理解されるように、多相デバイス700内の位相の数は、1つの位相と、多相デバイス700に存在するコイル720の数に等しい位相の数との間の範囲であってよい。種々の例示的な実施形態では、コイル720A、720B、および720Cにそれぞれ関連する磁束伝導部分712A間、712B間、および712C間の間隔は、磁束伝導部分間に1つまたは複数の位相関係を生成するために変更されてもよい。
【0093】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700の種々のコンポーネント間の、たとえば、コイル720A、720B、および720Cならびに磁束伝導部分712A、712B、および712Cの間の機能的関係は、多相デバイス600に見出される関係と実質的に類似する。さらに、多相デバイス700のコンポーネントのサイズ、形状、幾何形状、および/または他の特性は、多相デバイス600に見出されるものと実質的に類似してもよい。さらに、多相デバイス700のコイル内間隔およびコイル間間隔は、先に開示した複数の位相および/または位相関係を達成するために同様に変更されてもよい。
【0094】
多相デバイス600の構成と対照的に、さらに図7Cを参照して、種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700のコイル720A、720B、および720Cはそれぞれ、隣接するコイル間の接合部に、それぞれ「架橋(bridging)」セグメント722A、722B、および722C(722Cは示さず)を持つように構成される。これらの実施形態では、コイル720Aは、さらに架橋セグメント722Aを備える。同様に、コイル720Bは、さらに架橋セグメント722Bを備え、コイル720Cは、さらに架橋セグメント722Cを備える。架橋セグメント722Aおよび722Bは、コイル720Aと720Bとの間の接合部J1に配置される。架橋セクションは、たとえば回転子750の機械的動作のために望まれる空間を占有することなく、コイル内のループを完成させるために利用されてもよい。架橋セクションは、所望に応じて、回転子の上にかつ/または下に設置されてもよい。こうして、回転子は、架橋セグメントに接触することなく回転してもよい。
【0095】
さらに、架橋セグメントは、所望に応じて、磁石および/または磁束集中器を通して設置されてもよい。種々の例示的な実施形態では、コイルは、磁石と磁束集中器のグループに結合されてもよく、架橋セグメントは、そのグループを通過してもよい。コイルを少なくとも部分的に閉囲する磁束スイッチは、その後、コイルに出力を生成するために回転してもよい。
【0096】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス700は、多相デバイス600と少なくとも部分的に類似の方法で動作してもよい。たとえば、多相デバイス700は、回転子750に機械的入力を提供することによって電気的出力を生成するように動作してもよい。多相デバイス700はまた、1つまたは複数のコイル720の電気的入力に応答して回転子750で機械的出力を生成するように動作してもよい。さらに、多相デバイス700は、たとえば磁束伝導部分712A、712B、および712Cを互いに対して固定することによって、固定した位相関係を持つように構成されてもよい。あるいは、多相デバイス700は、磁束伝導部分712A、712B、および712Cが、先に開示したように互いに対して移動することを可能にすることによって可変の位相関係を持つように構成されてもよい。
【0097】
内部回転子を有する多相デバイスに加えて、本開示の原理は、「スリムな(slim)」設計を有する多相デバイスを想定する。本明細書で使用されるように、「スリムな」は、多相デバイスの寸法を低減させる構成、たとえば、コイル経路が多相デバイスの軸Aに実質的に直交する構成、複数の回転子が共通回転平面を共有する構成、および/または同様なものを一般に指す。
【0098】
たとえば、ある例示的な実施形態では、また、ここで図8Aを参照して、多相デバイス800は、スリムな設計を持つように構成される。多相デバイス800は、それぞれが複数の磁束伝導部分812(812A、812B、および812Cとして示す)を備える3つの固定子を備える。多相デバイス800は、さらに3つのコイル820A、820B、820Cを備える。コイル820A、820B、および820Cによって規定される経路は、多相デバイス800の回転軸A(図8Aで観察されるように、ページから出て来るように示す)に全体的に直交する。多相デバイス800は、さらに、1つまたは複数の回転子部分850(図示せず)を備える。
【0099】
ある例示的な実施形態では、コイル820A、820B、および820Cは、先に論じたように、コイル内磁束伝導体間隔およびコイル間磁束伝導体間隔に基づいて3つの位相に対応する。他の例示的な実施形態では、コイル820A、820B、および820Cは、2つの位相および/または1つの位相に対応する。さらに、コイル820A、820B、および820Cによって規定される平面が、多相デバイス800の軸Aに実質的に直交するため、多相デバイス800は、相応して、軸Aに沿った低減されたまたは「よりスリムな(slimmer)」長さを有するように形成されてもよい。たとえば、多相デバイス800は、コイル経路が、軸Aに直交するのではなく、軸Aに実質的に平行である、かつ/または、軸Aに平行な距離だけ少なくとも部分的に横切る別の設計に比べて、軸Aに沿ってスリムな長さを有するように形成されてもよい。さらに、多相デバイス800は、軸Aに沿って異なる地点に配置された複数の回転子を有する他の設計よりスリムである可能性がある。換言すれば、ある例示的な実施形態では、コイルの第1の部分は、そのコイルの第2の部分と同じ回転平面内にある。一般に、多相デバイス800は、回転軸に沿う特定の長さが望ましい種々の用途で使用するためにサイズが決められてもよい、形作られてもよい、かつ/またはその他の方法で構成されてもよい。
【0100】
種々の例示的な実施形態では、引き続き図8Cを参照して、多相デバイス800のコイル820A、820B、および820Cはそれぞれ、内側部分820AI、820BI、および820CIならびに外側部分820AO、820BO、および820COをそれぞれ有するループを備える。
【0101】
さらに、外側部分820AOは、第1の孤、たとえば第1の半円孤を規定してもよい。内側部分820AIは、第2の孤、たとえば第2の半円孤を規定してもよい。第1および第2の孤は、共通軸、たとえば横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機の回転軸の周りに同心である。第1および第2の孤はまた、同一平面上にあってもよい。
【0102】
種々の例示的な実施形態では、外側部分820AO、820BO、および820COは、円の外周の一部分に沿って延在する。外側部分820AO、820BO、および820COは、円の外周の任意の適した部分、たとえば外周の約3分の1に沿って延在してもよい。外側部分820AO、820BO、および820COは、類似の長さを有する部分に沿って延在してもよい。さらに、外側部分820AO、820BO、および820COは、所望に応じて、不同の長さを有する部分に沿って延在してもよい。内側部分820AI、820BI、および820CIは、それぞれ外側部分820AO、820BO、および820COによって横切られる角度距離にほぼ対応する角度距離、たとえば同一の角度距離を横切ってもよい。あるいは、内側部分820AI、820BI、および820CIは、異なる角度距離を横切ってもよい。
【0103】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス800の種々のコンポーネント間の、たとえば、コイル820A、820B、および820Cならびに磁束伝導部分812A、812B、および812Cの間の機能的関係は、多相デバイス600に見出される関係と実質的に類似する。さらに、多相デバイス800のコンポーネントのサイズ、形状、幾何形状、および/または他の特性は、多相デバイス600に見出されるものと実質的に類似してもよい。さらに、多相デバイス800のコイル内磁束伝導体間隔および/またはコイル間磁束伝導体間隔は、先に開示した複数の位相および/または位相関係を達成するために同様に変更されてもよい。
【0104】
種々の例示的な実施形態では、多相デバイス800は、多相デバイス600と少なくとも部分的に類似の方法で動作してもよい。たとえば、多相デバイス800は、回転子に機械的入力を提供することによって電気的出力を生成するように動作してもよい。多相デバイス800はまた、1つまたは複数のコイル820の電気的入力に応答して回転子で機械的出力を生成するように動作してもよい。さらに、多相デバイス800は、たとえば磁束伝導部分812A、812B、および812Cを互いに対して固定することによって、固定した位相関係を持つように構成されてもよい。あるいは、多相デバイス800は、磁束伝導部分812A、812B、および812Cが、先に開示したように互いに対して移動することを可能にすることによって可変の位相関係を持つように構成されてもよい。
【0105】
さらに、種々の例示的な実施形態では、また、ここで図8Bを参照して、多相デバイス800は、隣接するコイル間の接合部におけるコイル材料の量を低減するように構成されてもよい。ある例示的な実施形態では、1つまたは複数の架橋セクション822A、822B、および822Cは、コイル820A、820B、820Cをそれぞれ完成させる。たとえば、架橋セクション822Aおよび822Bは、接合部J2においてコイル820Aおよび820Bを完成させる。架橋セクション822A、822B、および822Cは、多相デバイス700についての対応する架橋セクション722A、722B、および722Cよりかなり薄い可能性がある。たとえば、ある例示的な実施形態では、架橋セクション822A、822B、および822Cは、たとえば回転子用の隙間(clearance)を可能にするために、コイル820A、820B、820Cの主本体(main body)の平面から外に延在する必要がない可能性がある。こうして、コイル820A、820B、820Cにおいて利用される材料の量が、望ましくは低減されてもよい。コイル820A、820B、820Cを構成する材料が、重いかつ/または高価であることが多いため、また、コイル820A、820B、820Cを構成する材料が、抵抗加熱および/または他の損失を生じやすいため、コイル820A、820B、820C内の材料の量を低減することは有利である可能性がある。さらに、架橋セクション822A、822B、および822Cを構成するコイル材料は、対応する磁束伝導部分812A、812B、または812Cによって少なくとも部分的に囲まれないため、この材料は、一般に、有用な出力ではなく、むしろ損失を生成する。したがって、この材料は、従来のモータ内の「端巻回部(end turn)」の材料と幾分似ていると考えられ、したがって、所望に応じて、適切に低減されてもよい、かつ/または、最小にされてもよい。
【0106】
種々の例示的な実施形態では、図8Aおよび8Bに回転子が全く示されないが、多相デバイス800は、回転子と多相デバイス800の種々の部分との間の相互作用を可能にするために、適した数の回転子、たとえば2つの回転子を収容してもよい。さらに、多相デバイス800は、所望に応じて、任意の適した数の回転子を備えてもよい。
【0107】
スリム設計を有する多相デバイスに加えて、本開示の原理は、第1の多相デバイスが、別の多相デバイス内で、たとえば共通軸の周りで「入れ子式(nested)」である多相デバイスを想定する。本明細書で使用されるように、「入れ子式」構成は、共通軸を有する単相および/または多相デバイスを囲む単相および/または多相デバイスを指す。入れ子式構成を利用することによって、結果的に得られる結合された多相デバイスは、特定のデバイスサイズについて機械的および/または電気的出力の可能性の増加を持つように構成されてもよい。
【0108】
たとえば、複数の入れ子式多相デバイスが、自動車用のドライブシャフトなどの、同じ機械デバイスに接続されてもよい。こうして、種々の例示的な実施形態では、結合された多相デバイスは、本質的に同じ設置面積を用いて、非入れ子式多相デバイスの数倍、たとえば3倍の出力を提供しうる。これらの構成は、比較的コンパクトなかつ/または固定された空間、たとえば、電気自動車用のモータまたは他の電気モータ内でより高い電力出力を必要とする用途にとって特に有利でありうる。入れ子式多相デバイスはまた、たとえば、類似の量の機械的入力からより多量の電気的出力を導出するために使用されうる。こうした手法は、よりコンパクトな発電機設計、タービン設計、および/またはそれらを組み込むデバイス用の設計を可能にする。
【0109】
さらに、本明細書で論じる種々の例示的な入れ子式デバイスは多相デバイスであるが、種々の単相デバイス、たとえば参照により本明細書に組み込まれる種々の同時係属中の出願に提示されるデバイスが、入れ子式配置構成で構成されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。本開示の原理は、こうした構成に等しく適用されてもよく、全てのこうした適用、構成、および/または入れ子式配置構成は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0110】
ここで図9Aを考えて、ある例示的な実施形態では、入れ子式多相デバイス900は、第1の多相デバイス900Aおよび第2の多相デバイス900Bを備える。第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900Aに実質的に類似であってもよい。たとえば、第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900Aのスケールダウンしたまたは小さいバージョンであってよい。あるいは、第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900Aと実質的に異なる設計を持つように構成されてもよい。第2の多相デバイス900Bは、第1の多相デバイス900A内に少なくとも部分的に配置されるように構成される。
【0111】
ある例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bを第1の多相デバイス900Aのスケールダウンしたまたは小さいバージョンであるように構成することは、第1の多相デバイス900Aと第2の多相デバイス900Bとの間の位相関係を保持するために有用である。他の例示的な実施形態では、第1の多相デバイス900Aと第2の多相デバイス900Bとの間の位相関係は、その内部で同様のサイズに作られたコンポーネントを利用するが、異なる固定子コンポーネント間隔、異なる回転子構成、および/または同様なものを利用することによって維持されてもよい、変更されてもよい、かつ/または制御されてもよい。
【0112】
種々の例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bのいくつかのコンポーネントならびに/または多相デバイス900の他のコンポーネントおよび/または機構は、第1の多相デバイス900A内の類似のコンポーネントから、たとえばほぼ一貫性があるスケーリングファクタだけ、サイズがスケールダウンされる。たとえば、ある例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bの磁束伝導部分912Bは、第1の多相デバイス900Aの磁束伝導部分912Aの約半分のサイズである。相応して、第2の多相デバイス900B上の隣接する磁束伝導部分912B間の間隔は、第1の多相デバイス900A上の隣接する磁束伝導部分912A間の間隔の約半分の間隔である可能性がある。さらに、所望の位相関係を維持するために、第2の多相デバイス900Bで利用される回転子は、第1の多相デバイス900Aで利用される回転子のスケールダウンされたバージョンであってよい、たとえば、回転子は同様なファクタだけスケールダウンされる。そのため、たとえば、第2の多相デバイス900B用の回転子の磁石部分および磁束集中部分は、第1の多相デバイス900A用の回転子の磁石部分および磁束集中部分の約半分のサイズであってよい。
【0113】
種々の例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900B用の回転子は、縦列で動作するために、第1の多相デバイス900A用の回転子と同じ機械的入力/出力デバイスに接続される。この配置構成は、たとえば空間的制限を有する用途で有利でありうる。さらに、これらの回転子はまた、第1の多相デバイス900Aおよび第2の多相デバイス900Bが実質的に独立して利用されるように異なる機械デバイスに結合されてもよい。
【0114】
さらに、多相デバイス900は、任意の適した数の入れ子式多相デバイスを備えてもよい。原理上、特定の多相デバイスの内部セクションを構成するエリアは、多相デバイス900を形成するために、1つまたは複数のさらなる多相および/または単相デバイスで実質的に充填されてもよい。
【0115】
種々の例示的な実施形態では、第1の多相デバイス900Aの同様の位相部分と第2の多相デバイス900Bの同様の位相部分との間に物理的アライメントが存在してもよい(図9Aを参照)。これらの実施形態では、第1の多相デバイス900Aのコイル920Aおよび第2の多相デバイス900Bの対応するコイル920Bは、ほぼ同じ入力/出力位相に対応するように構成される。さらに、対応するコイル(たとえば、コイル920Aおよびコイル920B)は、同様の出力を提供するため、または、同様の入力を受取るために電気接続されてもよい。あるいは、対応するコイルは、特定の実施態様により適した他の配置構成で接続されてもよい。
【0116】
さらに、多相デバイス900は、位相スタガード構成を備えてもよい。ここで図9Bを参照して、種々の例示的な実施形態では、多相デバイス900は、第1の多相デバイス900A、および、位相スタガード構成で第1の多相デバイス900A内で入れ子にされた第2の同様の多相デバイス900Bを備える。これらの例示的な実施形態では、第1の多相デバイス900Aの同様の位相部分および第2の多相デバイス900Bの同様の位相部分、たとえばコイル920Aおよび920Bは、両者間の距離を増加させるためにスタガード状に配置される。こうして、同様の位相部分間の電気的干渉が低減される可能性がある。さらに、第1の多相デバイス900A内の接合部J2、J3、およびJ4におけるコイル間の干渉ならびに第2の多相デバイス900B内の接合部J5、J6、およびJ7におけるコイル間の干渉が、同様に低減される可能性がある。さらに、位相スタガリングは、たとえば反対側でほぼ同じ時間に生成される同様の機械的パルスに対応するデバイスのある部分内で生成される機械的パルスによって、雑音、振動、および/または同様なものを低減する可能性がある。
【0117】
種々の例示的な実施形態では、第2の多相デバイス900Bの部分とほぼ同じ入力/出力位相に対応する第1の多相デバイス900Aの部分は、多相デバイス900の全体的に反対側に配置されてもよい。たとえば、ある例示的な実施形態では、コイル920Aおよび920Bは、ほぼ同じ出力位相に対応する。コイル920Aおよび920Bは、多相デバイス900の回転軸の周りで互いから約180回転角度だけ離れて配置されてもよい。換言すれば、コイル920Aおよび920Bは、多相デバイス900の全体的に反対側に配置されてもよい。こうして、対応する位相間の物理的分離が最大にされてもよい。
【0118】
さらに、本明細書で開示される多相デバイスの任意のデバイスの種々の代替の構成は、本開示の範囲内にある。たとえば、図5A〜5Cは、軸方向ギャップ構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない、いくつかの例示的な実施形態は、あるいは、所望に応じて、半径方向ギャップ構成を持つように構成されてもよい。対照的に、図6A〜6C、7A〜7C、8A〜8C、9A〜9B、および10は、半径方向ギャップ構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない他の例示的な実施形態は、あるいは、所望に応じて、軸方向ギャップ構成を持つように構成されてもよい。
【0119】
さらに、図5A〜5B、6A〜6C、7A〜7C、8A〜8C、9A〜9B、および10は、キャビティ係合式構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない種々の例示的な実施形態は、あるいは、所望に応じて、面係合式構成を持つように構成されてもよい。対照的に、図5Cは、面係合式構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない種々の他の例示的な実施形態はまた、所望に応じて、キャビティ係合式構成を持つように構成されてもよい。
【0120】
さらに、図5A〜10は、横方向磁束機構成を示す。本明細書で述べる実施形態を含むがそれに限定されない種々の例示的な実施形態は、あるいは、コンミュテート式磁束機構成を持つように構成されてもよい。
【0121】
たとえば、種々の例示的な実施形態では、多相デバイスは、共通回転子、たとえばマルチパス回転子を共有する複数の部分固定子を利用してもよい。ある例示的な実施形態では、多相デバイスは、共通回転子を共有する3つの部分固定子を備えてもよく、各部分固定子は、入力/出力位相に対応する。さらに、多相デバイスは、所望に応じて、任意の適した数の部分固定子を備えてもよい。1つまたは複数の部分固定子の使用は、多相デバイスの組立および/または分解を容易にする可能性がある。
【0122】
1つまたは複数の部分固定子の使用はまた、スケーラブルなかつ/またはモジュール式の多相デバイスを容易にしてもよく、その多相デバイスでは、部分固定子が、所望に応じて付加されてもよい、かつ/または、除去されてもよい。部分固定子は、多相デバイスの1つまたは複数の特性、たとえば、トルク密度、電力出力、入力および/または出力電気波形、ならびに/または同様なものを修正するために付加されてもよい、かつ/または、除去されてもよい。
【0123】
種々の例示的な実施形態では、また、本開示の原理によれば、多相デバイスは、自動車で使用するために構成されてもよい。たとえば、図10を一時的に参照して、多相デバイス1000は、ホイールの車軸(axle)上に搭載されてもよい。こうして、多相デバイス1000は、ダイレクトドライブハブモータとして機能してもよい。
【0124】
ある例示的な実施形態では、多相デバイス1000は、内部回転子を有する多相デバイス700と同様であってよい。たとえば、多相デバイス1000は、少なくとも2つのコイル1020Aおよび1020B、ならびに、コイル1020Aおよび1020Bのそれぞれの部分間に配設された回転子1050を備える。しかし、任意の適した多相デバイスは、自動車で利用されてもよく、本明細書で提示する例示的な実施形態は、制限ではなく例証を挙げる。
【0125】
本開示の原理は、横方向磁束機およびコンミュテート式磁束機の固定子についての原理、たとえば、その内容が参照によりその全体を組み込まれる、本出願と同じ出願日を有する「TRANSVERSE AND/OR COMMUTATED FLUX SYSTEM STATOR CONCEPTS」という名称の同時係属中の米国特許出願に開示される部分固定子および/またはギャップ付き固定子についての原理と適切に組合されてもよい。
【0126】
本開示の原理はまた、横方向磁束機およびコンミュテート式磁束機の回転子についての原理、たとえば、その内容が参照によりその全体を組み込まれる、本出願と同じ出願日を有する「TRANSVERSE AND/OR COMMUTATED FLUX SYSTEM ROTOR CONCEPTS」という名称の同時係属中の米国特許出願に開示される巻線形(wound)回転子および/またはマルチパス回転子についての原理と適切に組合されてもよい。
【0127】
さらに、本開示の原理はまた、参照により組み込まれる、同時係属中の米国特許出願の任意の1つの出願および/または全ての出願に開示される任意の数の原理と適切に組合されてもよい。そのため、たとえば、特定の横方向磁束機および/またはコンミュテート式磁束機は、テープ巻き回転子の使用、マルチパス回転子の使用、部分固定子の使用、多相設計の使用、および/または同様なものを組み込んでもよい。全てのこうした組合せ、置換、および/または他の相互関係は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0128】
本開示の原理が種々の実施形態において示されたが、特定の環境および動作要件に特に適合する、実際に使用される、構造、配置構成、割合、要素、材料、およびコンポーネントの多くの修正は、本開示の原理および範囲から逸脱することなく使用されてもよい。これらのまた他の変更または修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図され、添付特許請求の範囲で示される可能性がある。
【0129】
先の仕様では、本発明は、種々の実施形態を参照して述べられた。しかし、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更が行われうることを当業者は理解する。したがって、仕様は、制限的な意味ではなく例証的な意味で考えられ、全てのこうした修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。同様に、利益、他の利点、および問題に対する解決策が、種々の実施形態に関して上述された。しかし、利益、利点、問題に対する解決策、ならびに、任意の利益、利点、または問題に対する解決策が生じるかまたはより顕著になるようにさせる可能性がある任意の要素(複数可)は、任意のまたは全ての特許請求項の重要な、必要とされる、または本質的な特徴または要素と解釈されない。本明細書で使用されるように、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、またはその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図されるため、要素のリストを含むプロセス、方法、製品、または装置は、これらの要素だけを含むのではなく、明確に挙げられていないか、または、こうしたプロセス、方法、製品、または装置に固有の他の要素を含んでもよい。同様に、本明細書で使用されるように、用語「結合された(coupled)」、「結合している(coupling)」、またはその任意の他の変形は、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、光学的接続、通信的接続、機能的接続、および/または任意の他の接続をカバーすることを意図される。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ(at least one of A, B, or C)」に似た言葉が、特許請求項で使用されるとき、そのフレーズは、(1)Aの少なくとも1つ、(2)Bの少なくとも1つ、(3)Cの少なくとも1つ、(4)Aの少なくとも1つおよびBの少なくとも1つ、(5)Bの少なくとも1つおよびCの少なくとも1つ、(6)Aの少なくとも1つおよびCの少なくとも1つ、または(7)Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つのうちの任意のものを意味することが意図される。
【0130】
本発明の説明
第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルを備える電気機械であって、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続され、電圧が、コイル質量の90%超において誘導され、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0131】
電気機械であって、第1の回転平面を有する第1の回転子と、第1の回転平面に平行でかつオーバラップしない第2の回転平面を有する第2の回転子であって、第1の回転子および第2の回転子は共通回転軸を有する、第2の回転子と、コイルを少なくとも部分的に閉囲する固定子とを備え、固定子は、実質的に第1の回転子と第2の回転子との間に配置され、固定子は、第1の回転子および第2の回転子に係合し、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0132】
電気機械であって、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルであって、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される、導電性コイルと、第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットであって、第1の回転子に係合する、磁束伝導体の第1のセットと、第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットであって、第2の回転子に係合する、磁束伝導体の第2のセットとを備え、第1のセットおよび第2のセットは背中合わせに配列され、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。第1のセットおよび第2のセットは、交互になる方法で配列される。
【0133】
電気機械であって、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルであって、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続される、導電性コイルと、回転子とを備え、第1のコイル部分は回転子の第1の側に配置され、第2のコイル部分は回転子の反対側に配置され、第1のコイル端および第2のコイル端は、ループを形成するために、回転子の第1の側から回転子の反対側まで延在し、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。第1のコイル端は、回転子が架橋セグメントと回転軸との間になるように回転子を横切る架橋セグメントを備えてもよい。第1のコイル端は、回転子と回転軸との間を通過する架橋セグメントを備えてもよい。電気機械は多相機械であってよい。電気機械は、第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットであって、回転子の第1の側に係合する、磁束伝導体の第1のセットと、第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットであって、第1の側と異なる回転子の第2の側に係合し、第1の側および第2の側は回転子の回転平面によって分離される、磁束伝導体の第2のセットとをさらに備えてもよい。
【0134】
電気機械であって、回転子であって、回転子の回転平面によって分離される第1の側および第2の側を有する、回転子と、第1の側に係合する磁束伝導部分の第1のセットと、第2の側に係合する磁束伝導部分の第2のセットと、磁束伝導部分の第1のセットおよび磁束伝導部分の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲されるコイルとを備え、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0135】
入れ子式電気機械であって、共通回転軸を有する第1の電気機械および第2の電気機械を備え、第2の電気機械は、第1の電気機械の内径内に完全に配設され、第1の電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方であり、第2の電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、入れ子式電気機械。第1の電気機械および第2の電気機械は、位相が異なる可能性がある。
【0136】
電気機械であって、回転子と、回転子に結合した複数の部分固定子とを備え、複数の部分固定子の各部分固定子は、異なる入力/出力位相に対応し、電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【0137】
電気機械であって、第1の半径を有する第1の回転子と、第1の半径より小さい第2の半径を有する第2の回転子と、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルとを備え、第1のコイル部分および第2のコイル部分は、ループを形成するために、第1のコイル端および第2のコイル端を介して接続され、第1のコイル部分は、磁束伝導体の第1のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、第2のコイル部分は、磁束伝導体の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、磁束伝導体の第1のセットは第1の回転子だけに係合し、磁束伝導体の第2のセットは第2の回転子だけに係合する、電気機械。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える第1の導電性コイルを備える電気機械であって、
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続され、
前記第1のコイル部分は、磁束伝導体の第1のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、
前記第2のコイル部分は、磁束伝導体の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、前記電気機械の回転軸に対して、オーバラップする角度部分を少なくとも部分的に横切り、
前記電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【請求項2】
それぞれが前記第1の導電性コイルと類似する複数の導電性コイルをさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記複数の導電性コイルの各導電性コイルは、異なる位相に対応する、請求項2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記第1の導電性コイルは、円の外周の一部分のみに沿って延在する、請求項1に記載の電気機械。
【請求項5】
前記第1のコイル部分は、第1の半円孤を規定し、前記第2のコイル部分は、第2の半円孤を規定する、請求項1に記載の電気機械。
【請求項6】
前記第1の孤および前記第2の孤は、前記電気機械の回転軸から共通半径を有する、請求項5に記載の電気機械。
【請求項7】
前記第1の孤および前記第2の孤は、同心でありかつ同一平面上にある、請求項5に記載の電気機械。
【請求項8】
前記コイルは、前記第1のコイル部分内の電流が回転方向に流れ、同時に、前記第2のコイル部分内の電流が前記回転方向と反対に流れるように、前記回転軸の周りに配向される、請求項1に記載の電気機械。
【請求項9】
第1の部分固定子を形成するために、前記第1のセットの磁束伝導体間に交互に配設された第1の複数の磁石をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項10】
第2の部分固定子を形成するために、前記第2のセットの磁束伝導体間に交互に配設された第2の複数の磁石をさらに備える請求項9に記載の電気機械。
【請求項11】
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は同位相である、請求項1に記載の電気機械。
【請求項12】
磁束伝導体の前記第1のセットまたは磁束伝導体の前記第2のセットの少なくとも一方に係合するように構成されたマルチパス回転子をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項13】
内部固定子をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項14】
内部回転子をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項15】
前記第1のコイル端および前記第2のコイル端は、前記ループを形成するために、前記内部回転子の第1の側面から前記内部回転子の対向する側面まで延在する、請求項14に記載の電気機械。
【請求項16】
電気機械であって、
回転子であって、前記回転子の回転軸に対して内側側面および外側側面を有し、前記内側側面は、前記回転軸の周りに円を規定する、回転子と、
第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルとを備え、
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続され、
前記導電性コイルは、前記円の外周の一部分のみに沿って延在し、
前記電気機械は、
前記第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットと、
前記第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットとを備え、
前記第1のセットおよび前記第2のセットは、キャビティ係合式構成または面係合式構成の一方において前記回転子の前記内側側面に係合し、
前記電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【請求項17】
複数の導電性コイルをさらに備える請求項16に記載の電気機械。
【請求項18】
前記複数の導電性コイルの少なくとも2つは、位相が異なる、請求項16に記載の電気機械。
【請求項19】
前記第1のコイル部分は、第1の半円孤を規定し、
前記第2のコイル部分は、第2の半円孤を規定し、
前記第1の孤および前記第2の孤は、前記電気機械の回転軸から共通半径を有する、請求項16に記載の電気機械。
【請求項20】
電気機械であって、
固定子と、
前記固定子によって少なくとも部分的に閉囲されたコイルであって、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備え、前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続される、コイルと、
共通回転軸および共通回転平面を有する第1の回転子および第2の回転子とを備え、
前記固定子は、前記共通回転軸から第1の半径において前記第1の回転子に係合し、
前記固定子は、前記共通回転軸から第2の半径において前記第2の回転子に係合し、
前記第1の半径および前記第2の半径は異なり、
前記電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【請求項21】
複数の固定子をさらに備える請求項20に記載の電気機械。
【請求項22】
前記複数の固定子の少なくとも2つは位相が異なる、請求項21に記載の電気機械。
【請求項23】
前記第1のコイル部分は、第1の半円孤を規定し、
前記第2のコイル部分は、第2の半円孤を規定し、
前記第1の孤および前記第2の孤は、同心でありかつ同一平面上にある、請求項20に記載の電気機械。
【請求項24】
前記固定子は、
前記第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットと、
前記第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットとをさらに備え
前記第1のセットおよび前記第2のセットの磁束伝導体は、前記コイルに沿って交互に配置される、請求項23に記載の電気機械。
【請求項1】
第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える第1の導電性コイルを備える電気機械であって、
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続され、
前記第1のコイル部分は、磁束伝導体の第1のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、
前記第2のコイル部分は、磁束伝導体の第2のセットによって少なくとも部分的に閉囲され、
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、前記電気機械の回転軸に対して、オーバラップする角度部分を少なくとも部分的に横切り、
前記電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【請求項2】
それぞれが前記第1の導電性コイルと類似する複数の導電性コイルをさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記複数の導電性コイルの各導電性コイルは、異なる位相に対応する、請求項2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記第1の導電性コイルは、円の外周の一部分のみに沿って延在する、請求項1に記載の電気機械。
【請求項5】
前記第1のコイル部分は、第1の半円孤を規定し、前記第2のコイル部分は、第2の半円孤を規定する、請求項1に記載の電気機械。
【請求項6】
前記第1の孤および前記第2の孤は、前記電気機械の回転軸から共通半径を有する、請求項5に記載の電気機械。
【請求項7】
前記第1の孤および前記第2の孤は、同心でありかつ同一平面上にある、請求項5に記載の電気機械。
【請求項8】
前記コイルは、前記第1のコイル部分内の電流が回転方向に流れ、同時に、前記第2のコイル部分内の電流が前記回転方向と反対に流れるように、前記回転軸の周りに配向される、請求項1に記載の電気機械。
【請求項9】
第1の部分固定子を形成するために、前記第1のセットの磁束伝導体間に交互に配設された第1の複数の磁石をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項10】
第2の部分固定子を形成するために、前記第2のセットの磁束伝導体間に交互に配設された第2の複数の磁石をさらに備える請求項9に記載の電気機械。
【請求項11】
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は同位相である、請求項1に記載の電気機械。
【請求項12】
磁束伝導体の前記第1のセットまたは磁束伝導体の前記第2のセットの少なくとも一方に係合するように構成されたマルチパス回転子をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項13】
内部固定子をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項14】
内部回転子をさらに備える請求項1に記載の電気機械。
【請求項15】
前記第1のコイル端および前記第2のコイル端は、前記ループを形成するために、前記内部回転子の第1の側面から前記内部回転子の対向する側面まで延在する、請求項14に記載の電気機械。
【請求項16】
電気機械であって、
回転子であって、前記回転子の回転軸に対して内側側面および外側側面を有し、前記内側側面は、前記回転軸の周りに円を規定する、回転子と、
第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備える導電性コイルとを備え、
前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続され、
前記導電性コイルは、前記円の外周の一部分のみに沿って延在し、
前記電気機械は、
前記第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットと、
前記第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットとを備え、
前記第1のセットおよび前記第2のセットは、キャビティ係合式構成または面係合式構成の一方において前記回転子の前記内側側面に係合し、
前記電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【請求項17】
複数の導電性コイルをさらに備える請求項16に記載の電気機械。
【請求項18】
前記複数の導電性コイルの少なくとも2つは、位相が異なる、請求項16に記載の電気機械。
【請求項19】
前記第1のコイル部分は、第1の半円孤を規定し、
前記第2のコイル部分は、第2の半円孤を規定し、
前記第1の孤および前記第2の孤は、前記電気機械の回転軸から共通半径を有する、請求項16に記載の電気機械。
【請求項20】
電気機械であって、
固定子と、
前記固定子によって少なくとも部分的に閉囲されたコイルであって、第1のコイル部分、第2のコイル部分、第1のコイル端、および第2のコイル端を備え、前記第1のコイル部分および前記第2のコイル部分は、ループを形成するために、前記第1のコイル端および前記第2のコイル端を介して接続される、コイルと、
共通回転軸および共通回転平面を有する第1の回転子および第2の回転子とを備え、
前記固定子は、前記共通回転軸から第1の半径において前記第1の回転子に係合し、
前記固定子は、前記共通回転軸から第2の半径において前記第2の回転子に係合し、
前記第1の半径および前記第2の半径は異なり、
前記電気機械は、横方向磁束機またはコンミュテート式磁束機の少なくとも一方である、電気機械。
【請求項21】
複数の固定子をさらに備える請求項20に記載の電気機械。
【請求項22】
前記複数の固定子の少なくとも2つは位相が異なる、請求項21に記載の電気機械。
【請求項23】
前記第1のコイル部分は、第1の半円孤を規定し、
前記第2のコイル部分は、第2の半円孤を規定し、
前記第1の孤および前記第2の孤は、同心でありかつ同一平面上にある、請求項20に記載の電気機械。
【請求項24】
前記固定子は、
前記第1のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第1のセットと、
前記第2のコイル部分を少なくとも部分的に閉囲する磁束伝導体の第2のセットとをさらに備え
前記第1のセットおよび前記第2のセットの磁束伝導体は、前記コイルに沿って交互に配置される、請求項23に記載の電気機械。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A−5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A−5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公表番号】特表2012−507983(P2012−507983A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535623(P2011−535623)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/063147
【国際公開番号】WO2010/062766
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511101302)モーター エクセレンス, エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/063147
【国際公開番号】WO2010/062766
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511101302)モーター エクセレンス, エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
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