説明

多糖マーカ

記載されているマーカ部材送達システムは、でんぷん(たとえばコーンスターチまたは片栗粉)などの適切な多糖およびメチルセルロースなどの結合材を含有する、送達管またはカニューレ内に配置された、複数のマーカ部材を有する。これらのマーカ部材は、好ましくは粉末からプレス成形される。システムは、好ましくは、内部に取り付けまたは組み込まれた放射線不透過性要素を備える、生体吸収性物質から形成された、少なくとも1つの別のマーカ部材を有する。放射線不透過性マーカ要素を備えるマーカは、好ましくは多糖から形成された2つのマーカ部材の間で送達管の中に配置され、好ましくは多糖以外の生体吸収性物質から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、遠隔検出可能な体内マーカ、ならびにそのようなマーカを患者の体内の所望の位置まで送達するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の疾患の診断および治療において、その後の生検標本の採取のため、薬剤、放射線、またはその他の治療の送達のため、生検標本が取り出されたか、または他の何らかの処置が施された部位の再位置決定のために、疑わしい身体部位を標識することが望ましい場合が多い。知られているように、生検による組織標本の採取およびそれに続く検査は、一般的には、癌およびその他の悪性腫瘍の診断において、あるいは疑わしい病巣または腫瘍が悪性ではないことを確認するために、使用される。これらの診断試験および/または検査から取得された情報は、しばしば適切な外科処置またはその他の一連の治療のための治療計画を考案するために使用される。
【0003】
多くの場合、標本となるべき疑わしい組織は、ヒト乳房内など、皮下部位に位置している。患者体内への外科的侵入を最小限に抑えるために、蛍光透視、超音波映像、X線、磁気共鳴映像(MRI)、あるいはその他の適切な形態の映像技術または触診によって処置を映像化しながら、生検標本を採取するために生検針などの小型器具を体内に挿入することが望ましい場合も多い。生検によって得られた組織標本の検査は、乳癌の診断および治療において、特に重要である。次の考察において、記載される生検および治療部位は主にヒト乳房であるが、本発明は、ヒトまたはその他の哺乳動物の体の他の部分の生検部位を標識するのにも適している。
【0004】
定期的な乳房の検診およびマンモグラフィは、癌性の可能性がある病巣の早期検出のためには重要である。マンモグラフィでは、特殊なX線画像が撮影されている間、乳房が2つのプレートの間に挟まれる。検診またはマンモグラフィによって乳房内の異常な腫瘤が発見された場合には、腫瘤が固形腫瘍であるかまたは液体で満たされた嚢胞であるかを判断するために、超音波が使用されてもよい。固形腫瘤は通常、その腫瘤が癌性かどうかを判断するために、なんらかのタイプの組織生検を受ける。
【0005】
固形腫瘤または病巣が触診可能なほど大きい場合、手術生検、穿刺吸引生検(FNAB)として知られる技術、および「真空による大型コア生検装置」として特徴付けられる器具を含むがこれらに限定されない様々な技術によって、腫瘤から組織標本を採取することができる。
【0006】
乳房の固形腫瘤が小さくて触診不可能な場合(たとえば、一般的にマンモグラフィによって発見されるタイプ)、通常は真空による大型コア生検処置が用いられる。乳房の定位生検を行う際に、患者はマンモグラフィ装置のプレートの間に乳房を挟まれた状態で特殊な生検台の上に横たわり、2つの異なる視点から、2つの異なるX線またはデジタルビデオ画像が撮影される。乳房内の病巣の深度と共に、コンピュータが病巣の正確な位置を計算する。その後、機械的定位装置は、コンピュータによって計算された座標および深度情報でプログラムされ、そのような装置は、小さい病巣の中へ生検針を正確に前進させるために使用される。定位技術は、組織学的標本を採取するために使用されてもよい。通常は、少なくとも5つの異なる生検標本が、病巣の中心からの1つと共に、小さい病巣の周辺の位置から得られる。
【0007】
乳房の癌性病巣の利用可能な治療選択肢は、様々な程度の乳房切除または乳腺腫瘤摘出、放射線療法、化学療法、およびこれらの治療の組合せを含む。しかしながら、当初マンモグラムで観察された、X線写真上で見える組織特徴は、生検処置によって除去、変化、または不明瞭になることがあり、生検の後に治癒、あるいは変化する可能性がある。生検処置が施された数日または数週間後に、外科医または放射線腫瘍医が乳房病巣の正確な位置に直接外科的または放射線治療を行うために、病巣部位に続く位置の目印として役立つように、患者の体内に生検部位マーカが留置されることが好ましい。生検部位マーカは、永久マーカ(たとえば、X線検査の下で視認可能な金属マーカ)、または一時マーカ(たとえば、超音波で検出可能な生体吸収性マーカ)であってもよい。現在の放射線タイプのマーカは生検部位に残存し得るが、前回の手術または生検の部位を特定するために、追跡治療の時に、一般的に追加のマンモグラフィが実行されなければならない。さらに、マンモグラフィを使用して前回の処置の部位が一旦特定されると、その部位は通常、前回の処置の部位内に前進する端部に鉤を有する、位置ワイヤで標識されなければならない。鉤は、患者がその後マンモグラフィ装置の拘束を解かれて追跡処置が実行されるように、前回の処置の部位に対して位置ワイヤの先端を固定するようになっている。しかしながら、患者がマンモグラフィ装置から解放されるか、またはその他の方法で搬送されると、位置ワイヤの位置は、前回の処置の部位に対して変化または移動することがあり得る。したがって、この結果、追跡治療が患者の組織の望ましくない部分に誤って導く可能性がある。
【0008】
放射線映像の代替あるいは補助として、外科的または生検処置あるいは追跡処置の間、目的の部位で目的の組織を撮像するために、超音波映像(以降「USI」と略す)または可視化技術を利用することができる。USIは、処置中に、患者の体内の疑わしい組織、周辺組織、および生検器具の、正確な位置および映像を提供することができる。このような映像は、周囲の健康な組織の外傷を最小限に抑えるように、疑わしい組織の正確かつ制御可能な除去または標本採取を容易にする。
【0009】
たとえば、乳房生検処置の最中に、装置が患者の乳房に挿入され、疑わしい乳房組織の標本を取り出すために作動している間、生検装置はしばしばUSIで撮像される。追跡治療の際に組織を撮像するためにUSIが使用されることが多いので、上述の放射線マーカと類似の、患者の体内で外科的処置の部位に留置されることが可能であって、USIを使用して視認可能なマーカを有することが望ましい。このようなマーカは、上述のように、患者にとって退屈で不快な上に、位置ワイヤの移動に起因する不正確さを被りやすくなる可能性のある、従来の放射線マンモグラフィ映像を必要とせずに、追跡処置を実行できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,060,461号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
患者の体内の所定位置に1つまたは複数のマーカを留置するには、装置が乳房またはその他の身体部位に正しく収まるまでマーカを装置内に保持することができる送達装置が必要である。したがって、所望の体内部位にある装置からマーカを排出させながら、マーカ送達装置の中にマーカを保持するための装置および方法が望まれている。
【0012】
標識機能に加えて、止血処置などのような、マーカ部材を用いた治療を提供することが望ましい場合も多い。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は主に、患者の体内の部位、特に患者の乳房などの生検部位での配置に適した、遠隔撮像可能なマーカシステムを対象とする。撮像可能なマーカシステムは、止血効果を与えるのに十分な量の多糖を含有する複数のマーカ部材を有し、約3500〜約200,000ダルトンの分子量を有する。多糖含有マーカ部材は、好ましくは乾燥粉末をペレット状にプレス成形したものである。多糖および結合材の粉末は、約10〜約200マイクロメートルの粒径を有するべきである。多糖マーカは体液および水和物を迅速に吸収し、その過程で配置部位において血液を脱水して迅速に凝血を開始させる。
【0014】
多糖は、好ましくはでんぷん(コーンスターチ、片栗粉)であるが、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、グルカン、寒天、アルギン、およびカラギーンを含む、様々な生体吸収性多糖が適している。結合材は、好ましくはメチセルロースであるが、メチセルロースの代わりに、またはそれに加えて、様々な結合材が採用されてもよい。他の適切な結合材は、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを含む。
【0015】
好ましくは、遠隔撮像可能なマーカシステムは、体内部位の長期的な識別を提供するためにマーカ体に接続されるかまたは組み込まれた放射線不透過性要素を備える、マーカ体を含む。好ましくは、放射線不透過性要素は、磁気共鳴映像(MRI)との干渉を回避するために、非磁性体から形成されている。適切な非磁性体は、チタン、白金、金、イリジウム、タンタル、タングステン、銀、ロジウム、非磁性ステンレス鋼(316)などを含む。放射線不透過性要素は、遠隔撮像時に体内部位において容易に認識される形状を有するべきである。放射線不透過性要素は、特にMRIによって、確実に遠隔識別するために、約0.5〜約5mm、好ましくは約1〜約3mmの最大寸法を有するべきである。放射線不透過性要素を有するマーカ体は好ましくは、多糖ペレットよりも溶解時間の長いポリ乳酸ポリグリコール酸(ポリラクチド−コーグリコリド)などの生体吸収性ポリマー材から形成されているが、多糖ペレットが使用されてもよい。
【0016】
多糖含有ペレットは通常、約0.02〜約0.1インチ(0.5〜2.5mm)、好ましくは約0.035〜約0.075インチ(0.9〜1.9mm)、一般的には約0.056インチ(1.4mm)の横寸法を有する。ペレットは、約0.1〜約0.4インチ(2.5〜10mm)、好ましくは約0.15〜約0.35インチ(3.8〜8.9mm)の長さを有する。ペレットは、管状の送達装置への導入およびそこからの自身の排出を容易にするのに十分な柱強度を提供する。マーカは好ましくは、多糖から形成された2つの隣り合うマーカ部材の間に放射線不透過性要素を有するマーカを備えた送達管の中で送達されるように配置されている。現在検討されているところでは、送達管の中には、放射線不透過性要素を有するマーカの遠位に2つの多糖マーカ部材が、近位に2つの多糖マーカ部材が存在することになる。
【0017】
本発明の特徴を実現するマーカ部材は、2003年5月23日出願の同時係属出願第10/444,770号明細書および2003年12月23日出願の同時係属出願第10/753,277号明細書に開示されているような適切な送達システムによって、所望の位置まで容易に送達されることが可能である。マーカ送達システムは通常、近位および遠位ポート、およびポート間に延在する内腔を備える、長尺カニューレまたは管を有する。マーカ部材は送達カニューレの内腔内に摺動可能に設けられ、プランジャはマーカに近接した送達カニューレの内腔内に摺動可能に設けられている。プランジャは、マーカ部材を排出開口部から標的組織部位内に押し出すために、管の中のマーカに近接した初期位置から、カニューレの遠位末端にある排出開口部に近い送達位置まで、移動可能である。
【0018】
体内の標的部位内に排出されると、複数の多糖含有マーカはその部位で体液を迅速に吸い上げ、凝血処理を開始して止血する。放射線不透過性マーカ要素を備えるその他のマーカ部材は、遠隔USIによる短期的検出(少なくとも3週間、好ましくは4週間、ただし1年未満)、および好ましくは放射線不透過性要素による遠隔マンモグラフィ映像またはMRI識別による長期的検出を可能にする。一般的には、多糖体は、インシチュで約5秒〜約2分で溶解し、約2〜5日で酵素により劣化する。
【0019】
マーカ送達装置のカニューレは、Mammotome(R)(Johnson&Johnsonより販売)、SenoRx(本出願人)より販売されているSenoCor360(TM)生検装置、SenoRxより販売されているEnCor(TM)生検装置などの、生検装置の案内カニューレ、および/または同軸針ガイドの中にぴったり収まるように構成されていてもよい。送達カニューレはまた、2004年8月3日出願の同時係属出願第10/911,106号明細書の対象である、SenoRxより販売されているEnCor(TM)生検システムに見られるような、管状切断要素の近位末端内にぴったり収まるように構成されることも可能である。
【0020】
管状カッター(たとえば、Encor(TM)システムに備えられているような)を通じての送達に適した1つの適切な送達システムは、管状カッターの近位末端との係合を容易にするために、遠位先端上のまたは一体化された張り出しガイドを備える管状軸を有する、2004年8月3日出願の同時係属出願第10/911,106号明細書に記載の、シリンジ型送達システムである。別のシリンジ型送達システムは、送達システムの管状軸内にあってもよい1つ以上のマーカに体液が入り込むのを防止するために、閉栓遠位先端を有している。このような流体滲出は、送達カニューレの管腔内でマーカに水を吸い上げさせるかまたは膨張させることによって、送達カニューレの内腔内でマーカを放出することを妨害または制限することができる。閉栓先端を備える送達システムは、2003年5月23日出願の同時係属出願第10/444,770号明細書および2003年12月23日出願の同時係属出願第10/753,277号明細書に記載されており、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。閉栓先端型送達システムは、マーカ配置のための側面開口部、または閉栓針型遠位先端を有することができるが、これらはいずれも上記出願第10/753,694号明細書に開示されている。
【0021】
様々な治療薬または診断薬も、マーカ体内に組み込まれてもよい。組み込まれる薬剤は、たとえば、疼痛を抑制するための麻酔薬、残留新生物組織を治療するための化学療法薬、またはその部位の位置のその後の可視化を容易にするための着色剤を含むことができる。抗生物質、抗真菌薬、および抗ウイルス薬も、マーカ体内に組み込まれてもよい。
【0022】
体内部位に送達されると、マーカは超音波映像(USI)によって、該部位にて周辺組織から容易に識別可能である。
【0023】
本発明の特徴を実現する多糖含有マーカは、いくつかの利点を提供する。多糖マーカ体は、その部位の体液に迅速に溶解し、大量に出血していても迅速な止血を提供する。さらに、該物質の劣化が早いので、その部位に長期的な刺激または炎症がない。
【0024】
本発明のこれらおよびその他の利点は、添付の例示的図面と関連付けると、以下の実施形態の詳細な説明より、さらに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の特徴を実現するプレス成形マーカ部材の平面図である。
【図2】図1に示されるマーカ部材の端面図である。
【図3】送達管(図示せず)の中にあるように配置された、複数のマーカの斜視図である。
【図4】本発明の特徴を実現する複数のマーカ部材を有するマーカ送達アセンブリの、部分切り取り斜視図である。
【図5】図4に示される線5−5に沿って切断された横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1および図2は、多糖粉末とメチルセルロース粉末との混合物から形成される、本発明の特徴を実現するプレス成形マーカ部材10を示す。プレス成形マーカ部材10は、体内部位で血液と接触するときに迅速に血栓を形成するように、十分な多糖粉末を有している。一般的には、マーカ部材10は、多糖65%(重量)およびメチルセルロース35%(重量)を有することになる。好ましくは、マーカ部材10は適切な量の多糖粉末(コーンスターチまたは片栗粉)とメチルセルロース粉末とを混合し、混合粉末をペレットダイに入れ、ペレットダイの中の粉末を約6〜40ksi、一般的には約12ksiの圧力に曝すことによって、形成される。
【0027】
適切な多糖物質の1つは、USP(米国薬局方)記載のでんぷんである。あるいは、Minneapolis、MNにあるMedafor,Incから入手可能なHemaderm(TM)も、使用されてもよい。この製品は、米国特許第6,060,461号明細書に少なくとも部分的に記載されている。
【0028】
マーカ部材10は、様々な形状および寸法で形成されてもよいが、通常は、マーカ部材の長さは最大横寸法の少なくとも2倍、好ましくは5倍である。マーカ部材10は、著しい損傷を受けることなく送達管内に押し込まれることができる程度に十分な柱強度を有するべきである。場合によっては、マーカ部材の材料の溶解を制御するために、マーカ部材は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびそれらの共重合体などの、生体吸収性ポリマー材で、部分的または完全に被覆されてもよい。
【0029】
内腔17を備える送達管またはカニューレ16、遠位部18、およびハンドル20を備える近位部19を含む、1つの適切なマーカ送達システム15が、図4A−4Bに描かれている。解放可能な遠位栓21およびプレス成形マーカ10は、内腔17の中に配置された状態で示されている。放射線不透過性要素を備えて多糖以外の生体吸収性物質から形成されたマーカ体22は、少なくとも2つのプレス成形マーカ体10の間に配置されている。プランジャ23は、内腔17の中に摺動可能に配置され、操作者がプランジャを内腔内にさらに押し込み、解放可能栓21およびマーカ部材10およびマーカ体20を送達カニューレ16の遠位末端27にある排出ポートまたは開口部26から押し出すことができるように構成された、近位末端25上に頭部24が設けられている。カニューレハンドル20は、操作者が、解放可能栓21およびマーカ部材10およびマーカ体22を放出するためにプランジャ23を押しながら、カニューレをしっかりと保持することができるようにする。
【0030】
好ましくはポリエチレングリコールで形成された解放可能栓21は、図4Aに示されるように、排出開口部26を実質的に塞ぐか、あるいは少なくとも排出開口部の一部をふさぎ、または遮断してもよい。栓21の露出面には、好ましくは傾斜形状が設けられている。解放可能栓21は、マーカ10の送達カニューレ16からの早期排出を可能にする可能性のある不注意による解放を防止できるほど、内腔17内に十分にきつく、たとえば、押し込まれるように構成されているが、しかしながらプランジャ23が送達カニューレ16の内腔17内にさらに深く押し込まれたとき、栓は容易に解放されなければならない。排出開口部26を閉塞するために内腔17内の位置に解放可能栓21を保持するため、接着または機械要素が使用されてもよい。適切な接着剤としては、ポリウレタンまたはポリアクリル酸系の接着剤、ポリヒドロキシメタクリレート系の接着剤、フィブリン糊(たとえばTisseal(TM))、コラーゲン接着剤、またはそれらの混合物が挙げられる。解放可能栓21を固定するための適切な機械的手段は、同時係属出願第10/174,401号明細書に記載されている。送達カニューレ16の遠位末端26には、排出栓21およびマーカ部材10を側面ポート28から標的部位内に誘導する、傾斜27が設けられている。遠位先端29は、案内管(図示せず)を通じて送達されるように、先細であってもよい。
【0031】
送達カニューレ16には、操作者がマーカ10の排出のために患者の体内の所望の部位にカニューレ16の遠位部18を正確に配置するのを補助するための視認用目印となる、印30が設けられていてもよい。
【0032】
送達カニューレ16の外側は、好ましくは、SenoCor(R)、EnCor(TM)、Mammotome(R)、またはTru−Cut(R)生検装置を受ける大きさの案内カニューレにぴったり収まるように、構成されている。一般的に、栓21およびマーカ部材10は、内腔17の大きさによって決定される直径を有し、一般的には約0.02インチ(0.5mm)〜約0.5インチ(12mm)、好ましくは約0.04インチ(1mm)〜約0.3インチ(8mm)である。栓21は、ぴったりおさまるように、わずかに大きい横寸法を有してもよい。
【0033】
マーカ部材10が、乳腺腫瘤摘出または生検部位などの体腔内で体液と接触すると、結合材が溶解して、多糖がその部位の血液およびその他の流体から水分を引き出し、血液凝固カスケードが開始して、その部位に血栓を形成し、その結果止血される。
【0034】
本発明の1つ以上の具体的な形態は、乳房生検部位の文脈において本明細書に説明および記載されたが、本発明の特徴を有する装置および方法が、組織が除去された、ヒト乳房の他に、様々な部位および様々な用途においても使用されてもよいことは、明らかであろう。さらに、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更を施すことができる。たとえば、プレス成形体として、本明細書では主に多糖体が記載されているが、多糖物質は、生体吸収体に封入されるか、またはその他の形態であってもよい。このように、本発明が、説明された特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。したがって、本発明は、従来技術が許容する範囲で、そして必要であれば明細書を考慮して、可能な限り広く、添付の特許請求の範囲によって定義されると意図される。さらに、一実施形態に示された特徴が他の実施形態において利用されてもよいことを、当業者は認識し得る。ペレットまたはその他のマーカ部材および送達システムのさらなる詳細は、2004年1月7日出願の同時係属出願第10/753,694号明細書および2004年10月27日出願の同時係属出願第10/976,138号明細書にも見いだされる。
【0035】
「要素」、「部材」、「装置」、「部分」、「部」、「ステップ」、「手段」などの表現、および類似の意味の用語は、以下の請求項で使用される場合には、以下の請求項が具体的な構造を伴わずに特定の機能を表す「手段」という用語を明確に使用し、または具体的な動作を伴わずに特定の機能を表す「ステップ」という用語を明確に使用しない限り、米国特許法第112条第6項を行使すると解釈されるべきではない。先に参照された全ての特許および特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状送達部材と、止血効果を呈するのに十分な量の生体吸収性多糖および結合材を含み、管状送達部材の内腔の中に配置された、複数のマーカ部材とを含む、遠隔撮像可能なマーカシステム。
【請求項2】
マーカ部材が約10〜約90%(重量)生体吸収性多糖である、請求項1に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項3】
マーカ部材が、でんぷん、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、グルカン、寒天、アルギン、およびカラギーンからなる群から選択された多糖から形成される、請求項2に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項4】
マーカ部材がコーンスターチまたは片栗粉から形成される、請求項2に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項5】
マーカ部材が約10〜約90%(重量)結合材である、請求項3に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項6】
マーカ部材が、メチセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンからなる群から選択された結合材から形成される、請求項1に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項7】
マーカ部材が、メチセルロースを含む結合材から形成される、請求項1に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項8】
マーカ部材が所望の形状にプレス成形される、請求項1に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項9】
プレス成形マーカ部材が、0.01インチ未満の粒径を有する粉末から形成される、請求項8に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項10】
粉末が、約10〜約200マイクロメートルの粒径を有する、請求項9に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項11】
プレス成形マーカ部材が、約0.02〜約0.1インチの横寸法を有する、請求項8に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項12】
プレス成形マーカ部材が、約0.035〜約0.075インチの短い横寸法を有する、請求項8に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項13】
プレス成形マーカ部材が、約0.1〜約0.4インチの長さを有する、請求項8に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項14】
プレス成形マーカ部材が、約0.15〜約0.35インチの長さを有する、請求項8に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項15】
管状送達部材が、生体吸収性物質から形成され、その内腔内に配置される放射線不透過性マーカ要素を有するマーカ体を有する、請求項1に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項16】
放射線不透過性マーカ要素を有するマーカ体が、多糖から形成された2つのマーカ部材の間に配置される、請求項15に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項17】
放射線不透過性マーカ要素を有するマーカ体より遠位に多糖から形成された2つのマーカ部材がある、請求項16に記載の撮像可能なマーカシステム。
【請求項18】
放射性不透過性マーカ要素を有するマーカ体の近位に多糖から形成された2つのマーカ部材がある、請求項16に記載の撮像可能なマーカシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−516408(P2011−516408A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547619(P2010−547619)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/000945
【国際公開番号】WO2009/105177
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(510285997)セノアールエックス,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】