説明

多糖複合粒子の製造方法、及び、多糖複合粒子

【課題】リガンド等を導入した場合に蛋白質等の吸着容量が高く、クロマトグラフィー用粒子として高流速で使用可能な多糖複合粒子の製造方法、多糖複合粒子、クロマトグラフィー用充填剤、及び、抗体精製用吸着体の提供。
【解決手段】(1)イオン液体に二種以上の多糖類を溶解する多糖類溶液の調製工程、(2)前記多糖類溶液の液滴を前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中に分散させる多糖類溶液の液滴分散液の調製工程、及び、(3)複合化された多糖を凝固させて当該多糖複合粒子を得る凝固工程、を含むことを特徴とする多糖複合粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多糖複合粒子の製造方法、及び、多糖複合粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抗体医薬等に代表されるバイオ医薬品の製造における蛋白質等の発現技術の進展が著しく、それに伴いクロマトグラフィーなどの精製工程での生産性の向上が求められている。
蛋白質などの生体高分子の精製を高効率に行うため、クロマトグラフィー用担体には、高流速での使用を可能にする高い耐圧性能、リガンドを導入した場合の生体高分子に対する高い結合容量が求められる。従来、クロマトグラフィー用担体として、シリカのような無機材料、ポリ(メタ)アクリルエステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド類等の合成ポリマー、もしくは多糖類のような天然ポリマー等が用いられている。
【0003】
シリカ粒子及び合成ポリマー粒子は強度が大きく、従って高流速での使用に適している。しかしながら、リガンド等を導入した場合に生体高分子の結合容量が小さい傾向があり、また担体を洗浄するために利用されるアルカリ性溶液に対して耐性が低いという欠点を有する。さらに、合成ポリマー粒子は一般にある程度の疎水性を有するため、非特異的な相互作用を生じやすく、結果として不純物の混入の原因となる。
【0004】
天然ポリマーとしては、通常アガロース、セルロースのような多糖類が用いられる。斯かる多糖類は分子内に多数の水酸基を含有しており、高い親水性を有するため、生体高分子との非特異的な相互作用を生じない。また一般に、リガンド等を導入した場合に生体高分子に対して結合容量が大きいという特徴がある。しかしながら、多糖類粒子は上記のシリカ粒子もしくは合成ポリマー粒子と比較して強度が小さい傾向があり、高流速下で圧縮されて変形し、圧密化(背圧が限りなく上昇する現象)が発生する場合がある。多糖類粒子の耐圧性能は架橋により向上させることが多く、かかる架橋は一般にアルカリ条件下エピクロロヒドリンなどにより水酸基間で行われる。以上のように、クロマトグラフィー用担体の各材料にはそれぞれ欠点がある。
【0005】
近年、それらの欠点を克服するための様々な技術が提案されている。例えば、シリカの表面を疎水性シロキサン化合物により被覆することで、アルカリに対する耐性を付与すること(特許文献1)、嵩高く疎水性の高い脂肪族置換基を含有するモノマーエステルで粒子を形成したのち、アルカリ条件下、ビスもしくはポリエポキシド類で粒子表面を修飾して親水性を付与すること(特許文献2)、アガロース溶液に二官能性架橋剤を添加して、その活性部位を介して多糖類の水酸基に結合させ、次いで溶液からアガロース粒子を形成した後、架橋剤の不活性部位を活性化して架橋を行い、高い耐圧性能を有する粒子を得ること(特許文献3)、架橋アガロース粒子の表面にデキストランを導入し、さらに陽イオン交換基導入のためにスルホン酸ビニルを反応させて、結合容量が向上した陽イオン交換粒子を得ること(特許文献4)等が報告されている。また、セルロースについては、最近、イオン液体にセルロースを溶解し、有機溶剤に分散させて、セルロース粒子を作成する方法が報告されている(非特許文献1)。
【0006】
しかしながら、精製対象物質に対する高い結合容量と、高流速での処理を可能とする高い耐圧性能を両立するクロマトグラフィー用担体を製造する技術は、未だ十分に確立されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−52986号公報
【特許文献2】国際公開第2006/1323330号パンフレット
【特許文献3】特許第4081143号公報
【特許文献4】特表2009−506340号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J.Chromatogr.A 1217(2010)1298-1304
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、リガンド等を導入した場合に蛋白質等の吸着容量が高く、クロマトグラフィー用粒子として高流速で使用可能な多糖複合粒子の製造方法、多糖複合粒子、クロマトグラフィー用充填剤、及び、抗体精製用吸着体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、イオン液体中で二種類以上の多糖類を溶解し、これを該溶液と相溶性の低い有機溶剤に液滴分散させた後、多糖類を複合粒子として凝固させるという方法を採用することにより、前記課題を解決できることを見いだした。
【0011】
すなわち、本発明は以下の1)〜10)に係るものである。
1)下記の工程(1)〜(3):
(1)イオン液体に二種以上の多糖類を溶解する多糖類溶液の調製工程、
(2)前記多糖類溶液の液滴を前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中に分散させる多糖類溶液の液滴分散液の調製工程、及び、
(3)複合化された多糖を凝固させて当該多糖複合粒子を得る凝固工程、
を含むことを特徴とする多糖複合粒子の製造方法。
2)多糖類がセルロース、アガロース、プルラン、デキストランから選ばれる二種以上である、上記1)の製造方法。
3)多糖類のうち少なくとも一種がセルロースである、上記1)又は2)の製造方法。
4)イオン液体がアルキルイミダゾリウム塩である、上記1)〜3)の製造方法。
5)イオン液体が酢酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド又はそれらの混合物である上記1)〜4)の製造方法。
6)前記工程(2)において、多糖類溶液の液滴分散が、前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤及び親油性高分子を含む溶液を前記多糖類溶液と混合することにより行われる、上記1)〜5)の製造方法。
7)上記1)〜6)の製造方法によって製造された多糖複合粒子。
8)上記7)の多糖複合粒子を含むクロマトグラフィー用充填剤。
9)上記7)の多糖複合粒子を用いた抗体精製用吸着体。
10)アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入された、上記9)の抗体精製用吸着体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リガンド等を導入した場合に蛋白質等の吸着容量が高く、クロマトグラフィー用粒子として高流速で使用可能な多糖複合粒子の製造方法、多糖複合粒子、クロマトグラフィー用充填剤、及び、抗体精製用吸着体を提供することができる。
そのため、バイオ医薬品等の精製工程での生産性を格段に向上させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の多糖複合粒子の製造方法は、(1)イオン液体に二種類以上の多糖類を溶解する多糖類溶液の調製工程、(2)前記多糖類溶液の液滴を前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中に分散させる多糖類溶液の液滴分散液の調製工程、及び、(3)複合化された多糖を凝固させて当該多糖複合粒子を得る凝固工程、を含むことを特徴とする。
以下、工程ごとに説明する。なお、本明細書中、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」と同義であり、A及びBを数値範囲内に含む。
【0014】
(1)多糖類溶液の調製工程
本発明の多糖複合粒子の製造方法は、イオン液体に二種以上の多糖類を溶解する多糖類溶液の調製工程を含む。
本工程では、原料多糖類(原料として使用する多糖類。以下、単に「多糖類」ともいう。)をイオン液体に溶解して多糖類溶液が調製される。多糖類は、後述する有機溶剤に溶解しないか、有機溶剤に難溶性のものが好ましい。有機溶剤に難溶性のものとは、室温(25℃)で、有機溶剤100gに溶ける多糖類の質量(g)が1g以下であることを意味する。
【0015】
本発明において用いられる多糖類としては、その由来は特に制限はなく、天然多糖、合成多糖の何れでもよい。
具体的には、セルロース、アガロース、キチン、キトサン、デキストラン、プルラン、デンプン、グアーガム、カラギナン、アルギン酸、アラビアガム、アラビノガラクタン、ペクチン、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カシアガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、イヌリン、シクロデキストリン等が挙げられ、これらのうち2種以上が選択して使用される。このうち好適な多糖類としては、セルロース、アガロース、プルラン、デキストランが挙げられ、少なくとも1種がセルロースであるのが好ましい。
【0016】
なお、イオン液体に溶解する限りにおいて、一部に官能基が導入された多糖類も使用でき、斯かる誘導体としては、例えば、多糖類の水酸基の一部がエステル化されたもの(エステル誘導体)、多糖類の水酸基がエーテル化されたもの(エーテル誘導体)が挙げられる。具体的には、セルロースを例にとると、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、りん酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース、オキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0017】
2種以上の多糖類の混合比率は、特に限定されないが、最も少ない糖種が、糖総重量に対し0.5%以上であるのが好ましい。
また、セルロースを含む場合には、セルロースの含有量が、糖総重量に対し5%以上であるのが好ましく、20%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのがさらに好ましい。
【0018】
イオン液体としては、原料とする多糖類を均一に溶解できるイオン液体であれば特に制限はない。ここで、「多糖類を均一に溶解できる」とは、例えばイオン液体に、3質量%溶液となる分量で多糖類を混合し、目視で溶解を確認できることが挙げられる。なお、前記の通り溶解すればその温度は問わない。
【0019】
斯かるイオン液体としては、カチオン成分とアニオン成分とから構成され、融点が200℃以下のものが好ましく、100℃以下のものがより好ましく、50℃以下のものがさらに好ましい。また、融点の下限としては、限定されるものではないが、−100℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましい。
【0020】
カチオン成分としては、アルキルイミダゾリウムカチオン、アルキルピリジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、アルキルフォスフォニウムカチオン、アルキルスルフォニウムカチオン、N,N−ジアルキルピロリジニウムカチオン、N,N−ジアルキルピペリジニウムカチオン、N,N−ジアルキルモルフォルニウムカチオン等が挙げられる。このうち好適にはアルキルイミダゾリウムカチオン、アルキルピリジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。ここで、「アルキル」とは、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、このうち炭素数1〜8の直鎖アルキル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖アルキル基が好適である。上記アルキル基の代わりにアルケニル基であってもよく、前記アルケニル基としては、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、アリル基がさらに好ましい。
【0021】
カチオン成分としては、具体的には、N−メチルイミダゾリウムカチオン、N−エチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムカチオン及び1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、1,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン及び1−ブチル−2,4−ジメチルピリジニウムカチオン、トリメチルアンモニウムカチオン、エチルジメチルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン等が挙げられるが、このうち、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン等のジアルキルイミダゾリウムカチオンがより好ましく、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンが更に好ましい。
【0022】
アニオン成分としては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、I-等)、カルボン酸アニオン(例えば総炭素数1〜3のC25CO2-、CH3CO2-、HCO2-等)、擬ハロゲン化物イオン(例えば、一価でありハロゲン化物に類似した特性を有するCN-、SCN-、OCN-、ONC-、N3-等)、スルホン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン(メタンスルホン酸アニオン等)、リン酸アニオン(エチルリン酸アニオン、メチルリン酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等)、ホウ酸アニオン(テトラフルオロホウ酸アニオン等)、過塩素酸アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、カルボン酸アニオンが好ましい。
【0023】
本発明のイオン液体としては、多糖類の溶解性、融点、粘度等の観点から、好適には、アルキルイミダゾリウム塩、ジアルキルイミダゾリウム塩が挙げられ、より好適にはアルキルイミダゾリウムアセテート、アルキルイミダゾリウムクロリド、更に好適にはジアルキルイミダゾリウムアセテート、ジアルキルイミダゾリウムクロリド、更に好適には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドが挙げられる。
【0024】
原料多糖類の上記イオン液体への溶解は、用いる多糖類及びイオン液体の種類によっても異なるが、通常、10〜250℃、好適には25〜120℃で、1〜24時間程度、撹拌下に行うのが好ましい。
ここで、イオン液体は、溶液の粘度上昇による液滴の形成の困難性、及び多糖濃度低下による液滴形成時の微小粒子の多発を抑制する点から、溶液中の総多糖濃度が3〜50質量%、好ましくは6〜30質量%となるように用いるのが好ましい。
尚、原料多糖類のイオン液体への溶解濃度により、得られる多糖粒子の細孔径が変化する。すなわち、原料多糖類の溶解濃度が濃いほど多糖粒子の細孔径が小さくなる傾向がある。従って、上記の範囲内において、総多糖類濃度を調整することにより、任意の細孔径をもつ多糖粒子を得ることができる。尚、本発明の多糖粒子において細孔径に特に制限はないが、一般にクロマトグラフィー用充填剤として用いられる場合には数nm〜数μm程度が好ましい。
【0025】
(2)多糖類溶液の液滴分散液の調製工程
本発明の多糖複合粒子の製造方法は、前記多糖類溶液の液滴を前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中に分散させる多糖類溶液の液滴分散液の調製工程を含む。
本工程では、上記の如く調製された多糖類溶液を、イオン液体と相溶性の低い有機溶剤(以下、単に「有機溶剤」とも称する)中に分散させて、多糖類溶液の液滴分散液が調製される。
ここで、「イオン液体と相溶性の低い有機溶剤」とは、イオン液体と有機溶剤とを体積比で1:1で混合した際に、イオン液体と有機溶剤との間に界面が形成される有機溶剤を意味する。
【0026】
ここで用いられる有機溶剤は、分散媒となるものであるが、前記イオン液体と相溶性の低いものであればその種類は限定されず、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素等を挙げることができ、それらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは芳香族炭化水素が挙げられ、より好ましくはトルエンが挙げられる。
【0027】
有機溶剤の使用量は、多糖粒子の粒子径等を考慮して適宜決定すればよいが、イオン液体100質量部に対して好ましくは、50〜2000質量部、更に好ましくは50〜500質量部である。
【0028】
多糖類溶液を有機溶剤中に液滴分散させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、多糖類溶液と有機溶剤とを、界面活性剤及び/又は親油性高分子と共に混合・撹拌することにより行うことができる。
ここで、用いられる界面活性剤は、表面張力を減ずる作用を有し、分子内に疎水性部位と親水性部位をもつ有機化合物であって、前記多糖類溶液を液滴の状態を安定に保ったまま分散できるものあれば特に限定されない。
【0029】
界面活性剤としては、公知の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;
アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤;
しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレン脂肪酸エステル等のノニオン系の界面活性剤;
等が挙げられる。
これらのうちノニオン系の界面活性剤が好ましく、特に好ましくはソルビタンモノオレエート(SPAN80)、ソルビタントリオレエート(SPAN85)である。
【0030】
界面活性剤の使用量は、多糖類に対する分散性能やイオン液体の性質を考慮して適宜選択され得るが、例えば有機溶剤100質量部に対して、好ましくは1質量部〜100質量部、より好ましくは1質量部〜25質量部である。
【0031】
親油性高分子としては、前記多糖類溶液を液滴の状態を安定に保ったまま分散できるものあれば特に限定されないが、有機溶剤に溶解して粘度を上昇させ、増粘剤として公知の親油性高分子を用いるのが好ましい。斯かる増粘剤としては、例えば、セルロース誘導体等の多糖類誘導体、親油性ビニル誘導体、親油性アクリル酸系ポリマー等が挙げられる。
【0032】
上記セルロース誘導体の具体例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、親油性ビニル誘導体としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、親油性アクリル酸系ポリマーとしては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
これらのうち、セルロース誘導体が好ましく、とりわけエチルセルロースが好ましい。
上記親油性高分子は、1種のみを使用することができるが、2種以上を併用することもできる。
【0033】
また、当該親油性高分子は、液滴の安定性及び分散媒の粘度を考慮すると、重量平均分子量が3,000〜5,000,000であるのが好ましい。
尚、平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量を意味する。
【0034】
親油性高分子の使用量は、多糖類に対する分散性能やイオン液体の性質を考慮して適宜選択され得るが、例えば有機溶剤100質量部に対して、好ましくは1質量部〜100質量部、より好ましくは1質量部〜25質量部である。
【0035】
多糖類溶液、有機溶剤、並びに、界面活性剤及び/又は親油性高分子の混合順序は、特に制限はないが、有機溶剤と界面活性剤及び/又は親油性高分子との混合液を、多糖類溶液に混合するのが好ましい。
【0036】
液滴の形成法としては、スタティックミキサー等の撹拌機を使用する等、公知の方法で行うことができる。撹拌時の回転数により多糖類の粒子径を制御できる。すなわち、回転数が大きいほど形成される液滴の径が小さくなることから、目的とする粒子径に応じて適宜混合器の回転速度を調節すれば良い。液滴形成時の温度は多糖類が分解せず、析出しない温度であればよいが、好ましくは室温〜100℃である。
【0037】
(3)多糖複合粒子の凝固工程
本発明の多糖複合粒子の製造方法は、複合化された多糖を凝固させて当該多糖複合粒子を得る凝固工程を含む。
「複合化された多糖」とは、前記二種以上の多糖類を混合して含む多糖を意味し、「多糖複合粒子」とは、前記二種以上の多糖類を含む粒子を意味する。
本工程では、多糖類溶液の液滴分散液から多糖複合粒子を凝固させるが、斯かる方法としては、例えば、当該多糖類溶液の液滴分散液に、イオン液体に相溶し且つ実質的に多糖類を溶解しない媒体を接触させる方法が挙げられる。
【0038】
ここで、「イオン液体に相溶し且つ実質的に多糖類を溶解しない媒体」とは、常温でイオン液体と体積比で1:1で混合した際に均一に混和し、また常温で媒体100gに溶ける該高分子の質量が1g以下であることを意味する。斯かる媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール等の極性溶剤の1種又は2種以上を挙げることができる。
媒体は直接多糖類溶液の液滴分散液に添加してもよいが、多糖類溶液の液滴の形状を保ったまま多糖複合体を凝固させることができる方法が好ましい。具体的にはイオン液体と相溶性の低い有機溶剤と、水、メタノール、エタノール等の媒体とを混合・撹拌して媒体の分散液を調製後、多糖類溶液の液滴分散液に接触させる方法を挙げることができる。このときの有機溶剤は多糖類溶液の分散媒と同種のものであることが好ましく、液滴形成のために界面活性剤及び/又は親油性高分子を含んでいてもよい。
【0039】
当該媒体の使用量は、イオン液体100質量部に対して、好ましくは、20〜2,000質量部、より好ましくは50〜200質量部である。
【0040】
多糖類溶液の液滴分散液と前記媒体との接触は、0〜100℃、好適には25〜80℃で行うことが好ましい。
【0041】
斯くして凝固した多糖複合粒子は、遠心分離、濾過、デカンテーション等公知の方法により固液分離することにより回収することができる。また、回収した多糖複合粒子はイオン液体及び上記有機溶剤に相溶性の溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール等で洗浄され、次いで水洗浄を行うことにより精製される。
【0042】
斯くして、本発明の方法によれば、二種以上の多糖類により形成される粒子を安定的に製造することができる。尚、その粒子径は、既に述べたように、任意に調整することができるが、体積平均粒径は、クロマトグラフィー用担体として用いた場合の、高流速下での圧力の上昇及び蛋白質結合容量の低下等を考慮すると、20〜300μmであるのが好ましく、30〜150μmとするのがより好ましい。
後記実施例に示すとおり、本発明の多糖複合粒子を、クロマトグラフィー用担体として容器に充填し、適切な線速度で通液した場合、セルロース粒子を用いた場合に比べ親和性物質等の動的結合容量が低下しにくいという性質を有する(実施例9)。
【0043】
本発明の多糖複合粒子は、公知の方法(例えば、米国特許4973683号明細書、特開2009−242770号公報参照)により化学架橋されてもよい。化学架橋することにより機械的強度が高くなり、より高流速での使用が可能となる。
【0044】
本発明の多糖複合粒子は、以上のような性質を有することから、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、キレートクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等各種クロマトグラフィー用充填剤(担体)として、或いは、高分子担体、バイオリアクターの担体、検査薬の担体、体液浄化用担体、化粧品添加剤等として好適に用いることができる。
【0045】
斯かるクロマトグラフィー用充填剤として用いる場合には、その目的に応じて、公知の方法により、本発明の多糖複合粒子に、適宜リガンド、荷電基、疎水性基等を導入することができる。
例えば、一態様として、本発明の多糖複合粒子の水酸基の少なくとも一部を介してプロテインAを公知の方法(米国特許6399750号等)により固定化することにより、抗体精製に好適なクロマトグラフィー用充填剤、すなわち抗体精製用吸着体とすることが挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。また、以下の記載は本発明の態様を概括的に示すものであり、特に理由無く、かかる記載により本発明は限定されるものではない。
【0047】
実施例1(セルロース/アガロース複合粒子の製造)
500mlバッフル付きセパラブルフラスコ内で1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(Aldrich社製)60gにセルロース粉末(フナコシ株式会社製)4.04g、アガロース粉末(清水食品株式会社製)0.13gを加え、温水バスにセットし95℃に加熱し、2時間撹拌を行い溶解し多糖類溶液を得た。別の500mlセパラブルフラスコ内でトルエン200mlにエチルセルロース45(和光純薬工業社製)16gを加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解した。さらに別のセパラブルフラスコ内でトルエン150mlにエチルセルロース45を12g加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解した後、0.2M硫酸ナトリウム水溶液62.5mlを加え400rpm、80℃で30分間撹拌をおこないW/O型エマルジョンを得た。次にエチルセルロース45含有トルエンを多糖類溶液に加え400rpm、90℃で10分間撹拌しIL/O型エマルジョン(ここで、ILはイオン液体)を調製後、上記で得られたW/O型エマルジョンを加え400rpmで撹拌しながら室温に冷却した。その後、1500mlエタノール中に注ぎ撹拌後静置しデカンテーションにより上澄み液を除去した。さらにエタノール1500mlでデカンテーションを2回おこなった後、エタノールで濾過洗浄を行い、さらに水で濾過洗浄を行い目的のセルロース/アガロース複合粒子を得た。次に、セルロース/アガロース複合粒子を106μmと45μmのふるいにかけ45μm〜106μmの粒径をもつ粒子を得た。光学顕微鏡で確認したところ平均粒径は89μmであった。得られた粒子量は沈降体積50mlであった。
尚、粒子沈降体積は、粒子を水分散し、目盛り付き容器に入れ、12時間静置後の粒子沈降体積を目視により測定した(以下同様)。
【0048】
実施例2(セルロース/プルラン複合粒子の製造)
実施例1でアガロース粉末の代わりにプルラン粉末(林原生物化学研究所社製)を用いた以外は実施例1と同様にしてセルロース/プルラン複合粒子を得た。光学顕微鏡で確認したところ平均粒径は92μmであった。得られた粒子量は沈降体積50mlであった。
【0049】
実施例3(セルロース/デキストラン複合粒子の製造[1])
実施例1でセルロース粉末(フナコシ株式会社製)4.04g、アガロース粉末(清水食品株式会社製)0.13gの代わりにセルロース粉末5.14g、デキストラン40000(和光純薬工業社製)0.64gを用いた以外は実施例1と同様にしてセルロース/デキストラン複合粒子を得た。光学顕微鏡で確認したところ平均粒径は92μmであった。得られた粒子量は沈降体積60mlであった。
【0050】
実施例4(セルロース/デキストラン複合粒子の製造[2])
500mlバッフル付きセパラブルフラスコ内で1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(Aldrich社製)60gにセルロース粉末4.17g、デキストラン40000(和光純薬工業社製)0.13gを加え、温水バスにセットし95℃に加熱し、2時間撹拌を行い溶解し多糖類溶液を得た。別の500mlセパラブルフラスコ内でmineral oil (heavy)(Aldrich社製)200mlにSpan85(和光純薬工業株式会社製)9mlを加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解した。さらに別のセパラブルフラスコ内でmineral oil (heavy)150mlにSpan85 6.75mlを加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解した後、0.2M硫酸ナトリウム水溶液62.5mlを加え400rpm、80℃で30分間撹拌をおこないW/O型エマルジョンを得た。次にSpan85含有mineral oil (heavy)を多糖類溶液に加え800rpm、100℃で10分間撹拌し多糖類溶液の液滴分散液(IL/O型エマルジョン)を調製後、上記で得られたW/O型エマルジョンを加え800rpmで撹拌しながら室温に冷却した。その後、1500mlエタノール中に注ぎ撹拌後静置しデカンテーションにより上澄み液を除去した。さらにエタノール1500mlでデカンテーションを2回おこなった後、エタノールで濾過洗浄を行い、さらに水で濾過洗浄を行い目的のセルロース/デキストラン複合粒子を得た。次に、セルロース/デキストラン複合粒子を106μmと40μmのふるいにかけ40μm〜106μmの粒径をもつ粒子を得た。光学顕微鏡で確認したところ平均粒径は92μmであった。得られた粒子沈降体積は10mlであった。
【0051】
比較例1(セルロース粒子の製造)
J.Chromatogr.A 1217(2010)1298-1304(前記非特許文献1)記載の方法に従って、セルロース粒子を製造した。
すなわち、500mlバッフル付きセパラブルフラスコ内で1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(Aldrich社製)60gにセルロース粉末4.17gを加え、温水バスにセットし95℃に加熱し、2時間撹拌を行い溶解しセルロース溶液を得た。別の500mlセパラブルフラスコ内でmineral oil (heavy)(Aldrich社製)200mlにSpan85(和光純薬工業株式会社製)9mlを加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解した。さらに別のセパラブルフラスコ内でmineral oil (heavy)150mlにSpan85 6.75mlを加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解した後、0.2M硫酸ナトリウム水溶液62.5mlを加え400rpm、80℃で30分間撹拌をおこないW/O型エマルジョンを得た。次にSpan85含有mineral oil (heavy)をセルロース溶液に加え800rpm、100℃で10分間撹拌しセルロース溶液の液滴分散液(IL/O型エマルジョン)を調製後、上記で得られたW/O型エマルジョンを加え800rpmで撹拌しながら室温に冷却した。その後、1500mlエタノール中に注ぎ撹拌後静置しデカンテーションにより上澄み液を除去した。さらにエタノール1500mlでデカンテーションを2回おこなった後、エタノールで濾過洗浄を行い、さらに水で濾過洗浄を行い目的のセルロース粒子を得た。次に、セルロース粒子を106μmと40μmのふるいにかけ40μm〜106μmの粒径をもつ粒子を得た。光学顕微鏡で確認したところ平均粒径は90μmであった。得られた粒子沈降体積は10mlであった。
【0052】
実施例5(セルロース/アガロース複合粒子の化学架橋及びプロテインAの固定化)
100ml三ツ口フラスコ内を用い実施例1で製造したセルロース/アガロース複合粒子25ml(沈降体積)に水35mlを加えた。次にNaBH4120mg、32重量%Na2SO4水溶液25ml、45重量%NaOH水溶液0.6mlを加え撹拌した。温度を50℃にして30分間撹拌を継続した。次に、45重量%NaOH0.9mlとエピクロロヒドリン0.72mlを1時間おきに12回加えた。添加終了後、温度50℃で12時間反応させた。その後、濾過により粒子を回収し、純水で洗浄し、化学架橋セルロース/アガロース複合粒子を得た。得られた粒子5ml(沈降体積)をサクションドライし、水を加えて計7mlの懸濁液とした。上記の懸濁液に5N水酸化ナトリウム水溶液0.8ml、NaBH424mg、及びエピクロロヒドリン4mlを加え、25℃で8時間振とうし、化学架橋セルロース/アガロース複合粒子にエポキシ基を導入した。その後、上記の反応液を純水、エタノール、純水の順で濾過洗浄を行った。得られた粒子をプロテインA(RepliGen社、rPA50)102mgを含む1.5M硫酸ナトリウム、0.1Mリン酸バッファー(pH6.8)45mlで懸濁した。上記懸濁液を25℃で24時間振とうし、プロテインAを粒子に結合させた。その後、粒子を遠心分離して上澄み液を除いた。次に1Mチオグリセロール、0.5M硫酸ナトリウム水溶液(pH8.3)45mlを加えて25℃で4時間反応させ、残余のエポキシ基をブロッキングし、0.1Mクエン酸バッファー(pH3.2)、0.1M水酸化ナトリウム水溶液、PBS(−)で順次洗浄し、プロテインA固定化セルロース/アガロース複合粒子を得た。
【0053】
実施例6(セルロース/プルラン複合粒子の化学架橋及びプロテインAの固定化)
実施例2で得られたセルロース/プルラン複合化粒子を実施例5と同様の方法によりプロテインA固定化セルロース/プルラン複合粒子を得た。
【0054】
実施例7(セルロース/デキストラン複合粒子の化学架橋及びプロテインAの固定化[1])
実施例3で得られたセルロース/デキストラン複合化粒子を実施例5と同様の方法によりプロテインA固定化セルロース/デキストラン複合化粒子を得た。
【0055】
実施例8(セルロース/デキストラン複合粒子の化学架橋およびプロテインAの固定化[2])
実施例4で得られたセルロース/デキストラン複合化粒子を実施例5と同様の方法によりプロテインA固定化セルロース/デキストラン複合化粒子を得た。
【0056】
比較例2(セルロース粒子の化学架橋及びプロテインAの固定化)
比較例1で得られたセルロース粒子を実施例5と同様の方法によりプロテインAを固定化し、プロテインA固定化セルロース粒子を得た。
【0057】
実施例9(イムノグロブリンG(IgG)動的結合容量と圧力の測定)
実施例5、6、7、8、比較例2で得られたプロテインA固定化多糖粒子をそれぞれ内径0.5cmのカラムにベッド高20.0cmまで詰めた。各カラムを20mMリン酸バッファー(pH7.4)で平衡化した後、ヒトポリクローナルIgG(5mg/ml)を含む20mMリン酸バッファー(pH7.4)を、線流速300cm/時間で流し、吸光度モニターで溶出液中のヒトポリクローナルIgG濃度が10%ブレークスルー(破過)の時のヒトポリクローナルIgG吸着量と充填剤体積から動的結合容量を求めた。また、そのときのカラム圧を測定した。結果を表1に示す。本発明品はカラム圧が低く体積当たりのIgG動的結合容量が高かった。
【0058】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(1)〜(3):
(1)イオン液体に二種以上の多糖類を溶解する多糖類溶液の調製工程、
(2)前記多糖類溶液の液滴を前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中に分散させる多糖類溶液の液滴分散液の調製工程、及び、
(3)複合化された多糖を凝固させて当該多糖複合粒子を得る凝固工程、
を含むことを特徴とする多糖複合粒子の製造方法。
【請求項2】
多糖類がセルロース、アガロース、プルラン、デキストランから選ばれる二種以上である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
多糖類のうち少なくとも一種がセルロースである、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
イオン液体がアルキルイミダゾリウム塩である、請求項1〜3の何れか1項記載の製造方法。
【請求項5】
イオン液体が酢酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド又はそれらの混合物である請求項1〜4何れか1項記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程(2)において、多糖類溶液の液滴分散が、前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤及び親油性高分子を含む溶液を前記多糖類溶液と混合することにより行われる、請求項1〜5の何れか1項記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法によって製造された多糖複合粒子。
【請求項8】
請求項7記載の多糖複合粒子を含むクロマトグラフィー用充填剤。
【請求項9】
請求項7記載の多糖複合粒子を用いた抗体精製用吸着体。
【請求項10】
アフィニティーリガンドとしてプロテインAが導入された、請求項9記載の抗体精製用吸着体。

【公開番号】特開2012−126797(P2012−126797A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278514(P2010−278514)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】