説明

多重効用蒸発装置

水の蒸留のために適用される、上流端及び下流端を有する多重効用蒸発装置(10)に関する。この蒸発装置は、直列に接続されるとともにグループ状に配置された複数の蒸発缶(effect)(20a〜20d)を備えている。それぞれのグループは、グループ内のすべての蒸発缶に供給水を供給するように設けられた共通の平行な供給水入口を有している。蒸発装置は、最も上流のグループと流体連通する主水供給ライン(11)をさらに含んでいる。一連の加熱装置(24)は、このラインに沿って配置され、後続のグループの蒸発缶に供給水が流入する前に、供給水を加熱するために設けられている。それぞれの蒸発缶は、第2の流出蒸気を、供給水を加熱するための加熱装置のうちの1つの中に導くための手段を備えている。それぞれのグループは、グループの蒸発缶から濃縮水(23)を引き出し、隣接する下流のグループの共通の平行な水供給管の中にポンプで吸い上げるために設けられたポンプ(21)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留設備と蒸留方法、特に多重効用蒸発装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水の蒸留は、塩、汚染物等のような様々な可溶性の物質を、これら物質を含有する水から除去し、清浄な、通常の飲料水を残す工程である。このような蒸留を達成するための1つの既知の方法は水の蒸発に依存しており、塩およびスケールが、水が蒸発した後に電気湯沸かし器の底に集積されることに酷似している。この工程においては水の蒸発中に、通常は塩及びスケールの形態にある揮発性を有さない可溶性物質が固体状態の残渣の態様で残留し、廃棄される。次いで、蒸気は液体状態に凝縮され、汚染物質を含まない水となる。
【0003】
本出願人による特許文献1は多重効用蒸発システムを開示しており、このシステムは、ハウジングと互いに直列に接続された複数の蒸発缶(effect)とを備え、それぞれの蒸発缶は複数のチューブの束を有している。システムは、高温の蒸気が第1の蒸発缶のチューブの中に導入され、蒸留されていない水がチューブの外側に対してスプレーされ、蒸留されていない水の一部分が蒸発する間にチューブ中の蒸気が凝集するように構成されている。第1の蒸発缶のチューブからの蒸気の残りは、チューブの外側の蒸発した水とともに隣接する下流の蒸発缶のチューブに入り、蒸発しなかった蒸留されていない水の残りは、濃縮物の形で蒸発缶ハウジングの底に集積されるとともに、隣接する蒸留の蒸発缶のチューブの外側にスプレーされる。これは、順次繰り返される。
【0004】
いったん水が蒸留システムの全ての蒸発缶の通過を完了すると、工程は蒸発装置の下流端において蒸留水を精製し、下流端において、可溶性物質が高度に濃縮された水溶液の形態の暖かい濃縮物を生成する。
【特許文献1】米国特許第3868308号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によれば、直列に接続され、最も上流のグループと後続の下流のグループとを含むグループの中に配置された複数の蒸発缶を備え、それぞれの前記グループは最も上流の前記蒸発缶と最も下流の前記蒸発缶とを有するとともに前記グループ内のすべての前記蒸発缶に供給水を供給するために設けられた共通の平行な水供給入口を有し、前記蒸留装置は、前記最も上流のグループと流体連通している主水供給ラインと、前記ラインに沿って配置され、前記最も上流のグループの蒸発缶の中へ前記供給水が入る前に前記供給水を加熱するために設けられた一連の加熱装置と、をさらに含み、それぞれの前記蒸発缶は、流入蒸気を受け取り前記供給水から第1の流出蒸気を生産しつつ、前記供給水の残りを濃縮水として排出し、前記流入蒸気の一部分を凝縮して蒸留水を生産しつつ、前記流入蒸気の残りを第2の流出蒸気として排出するために設けられた熱移動手段を備え、それぞれの前記蒸発缶は、前記第1の流出蒸気を隣接する下流の蒸発缶へ導くための手段であって、前記流入蒸気を構成する手段と、前記第2の流出蒸気を、前記供給水を加熱するための前記加熱装置のうちの1つの中に導くための手段とをさらに備え、それぞれの前記グループは、前記グループの蒸発缶から濃縮水を引き出し、該濃縮水を隣接する下流のグループの前記共通の平行な水供給管の中に吸い上げるために設けられたポンプと、蒸留水を収集するための手段とをさらに備える、水の蒸留のために設けられた多重効用蒸発装置が提供されている。
【0006】
本発明の1つの実施形態においては、それぞれの蒸発缶内の前記熱移動手段は、間にチューブ間空隙を有する複数のチューブを備え、前記チューブは前記流入蒸気を受け取り、前記供給水に接触させ、前記流入蒸気と前記供給水との間の熱移動を生じさせるように設けられ、チューブ間空隙内の供給水の一部を蒸発させて前記第1の流出蒸気を生成するとともに、前記供給水の残りを濃縮水として残し、前記チューブ内の流入蒸気の一部を凝縮させて前記蒸留水を生成するとともに、前記流入蒸気の残りを前記第2の流出蒸気として残している。チューブはさらに、濃縮水と、蒸発缶の一方の側から他方への第2の流出蒸気とを接続するために設けられている。
【0007】
蒸発缶のグループそれぞれ内の前記平行な供給水入口は、前記供給水を前記グループの前記蒸発缶のそれぞれの中に導入するように設けられた散布手段を備えることができ、よって前記供給水の前記チューブとの接触を可能としている。供給水は、例えば薄いフィルム状の形態のような様々な形態で散布手段の中に導入することができ、熱移動及び全体的な脱塩工程の最適化を可能としている。
【0008】
1つのグループの中に備えられている前記蒸発缶の数は、水の供給速度、水温、及び追加的な要因に従って変化させることができる。グループの構成は、高い効率係数を維持するように、30の蒸発缶までを保持することができる。
【0009】
チューブの束は、チューブの内側の蒸気とチューブの外側の水との間の適当な熱移動を可能とする、アルミニウム、又は他の金属、若しくは金属合金のようないずれの材料から作ることができる。操業の際には、チューブは水平に、若しくはチューブ内の凝縮した蒸気が重力によって蒸発缶の反対側の端部へ流下するように角度をつけて配置することができる。チューブの形状は、円形状の断面に限定されず、例えば楕円形状などの別の形状とすることができる。
【0010】
濃縮チューブのガルバニゼーション、イオントラップの追加、濃縮チューブに対する様々な金属の使用など、さらなる変型を蒸発装置に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を理解するため、及び実際にどのように行えば良いかを示すために、本発明の1つの実施形態が、添付の図面を参照しつつ、それに限定されるわけではない例示の方法で以下に記載される。
【0012】
図1及び2は、多重効用蒸発システム10を、蒸留装置10に沿ってその上に下流端10bから上流端10に延在している主水供給ライン11及び蒸留装置10の上流端10aに関連する主蒸気供給ライン12とともに示している。蒸留装置10は、主蒸気供給ライン12から蒸留装置に入る蒸気を使用する、主水供給ライン11から蒸留装置に入る水の蒸留のために設けられている。
【0013】
蒸留装置10は、ハウジング8と、このハウジングの中に配置された、20a〜20dによって示される蒸発缶の4つのグループとを備え、グループ20aは最も上流のグループとされ、グループ20は最も下流のグループとされている。蒸留装置10は、蒸留工程からの残留する蒸気を凝縮するために設けられた凝縮装置13と、蒸留装置によって生成された蒸留水を収集するように設けられた蒸留水主ライン16と、蒸留装置から蒸留された水を引き出すために設けられた生成物ポンプ14と、蒸留の後に残った塩水を蒸留装置から引き出すために設けられた塩水ポンプ15とをさらに備えている。凝縮装置及び両方のポンプは、システムの下流端に配置されている。
【0014】
水供給ライン11は、複数の加熱器24を有して設けられ、それぞれの過熱器は、それぞれのグループ20からの蒸気を受け取り、この蒸気によって供給ライン11内の水を加熱するように設けられた加熱蒸気入口41を有している。それぞれの加熱器24は、凝縮されていないガス(NCG)及び残留蒸気を除去するために使用され、NCG及び蒸気除去ライン17と流体連通している第1の出口27(図3及び図1には、最も上流及び下流の加熱器のみがそれぞれ示されている)と、水の引き出しのための第2の出口44とをさらに備えている。
【0015】
蒸発缶20a〜20dのそれぞれのグループは、複数の蒸発缶30と、それぞれの蒸発缶30がその上流側に入口チャンバ40を有するように、蒸発缶と直列に接続された複数の入口チャンバ40を備えている。蒸発缶はE1〜E20で示されており、それぞれの蒸発缶グループ20の最も上流及び下流の蒸発缶は、30h及び30tでそれぞれ示されている。グループ20a、20b、20c、及び20dは、それぞれの中にE1〜E6、E7〜E11、E12〜E16、及びE17〜E20をそれぞれ保持している。
【0016】
また、蒸発缶グループ20のそれぞれは、散布手段26に分割された共通かつ平行な水入口25を備え、それぞれの散布手段26は、蒸発缶30のうちの1つの中に薄いフィルム状の形態で供給水を導入するように設けられている。それぞれのグループ20は、濃縮水排出ライン23と、この排出ラインに接続された濃縮水ポンプ21とをさらに備え、これら濃縮水排出ライン23と濃縮水ポンプ21との両方は、グループ20からの濃縮水を引き出すために設けられ、ポンプ21は後続の下流のグループの水入口25の中に濃縮水を導入するために設けられている。
【0017】
それぞれの蒸発缶30は、蒸留される水を散布手段26から受け取るために蒸発缶の上部に設けられた主水入口31と、蒸発缶の下流側に配置された蒸気入口32と、蒸発缶のグループの濃縮水排水ライン23と流体連通している蒸発缶の底に設けられた濃縮水収集装置33とを備えている。第1のグループ20aの最も上流の蒸発缶30hの蒸気入口32は、主蒸気ライン12と流体連通しており、それぞれのグループの他の蒸発缶それぞれの蒸気入口32は、先行の入口チャンバ40を介して、直前の隣接する上流の蒸発缶30から蒸気を受け取るように設けられている。
【0018】
チューブの束35は、蒸発缶30内に配置され、間に空隙35bを有する楕円形状又は円形状の断面の水平に延在する凝縮チューブ35aから構成されている。チューブ35aの上流端は、蒸発缶の蒸気入口32を構成し、チューブ35aの下流端は、チューブから出る蒸気及び蒸留水のための、蒸発缶の水及び蒸気の第1の出口34と、チューブ35aの間の空隙35bの中の供給水から生成される蒸気のための、蒸発缶の第2の蒸気の出口36を構成している。チューブは蒸発缶の上流側からその下流側に向かってわずかに下向きに傾斜しており、重力によって中を水が流れることを可能にしている。チューブは主入口31の下に配置されて、散布手段26からの供給水がチューブ上にスプレーされるのを可能にしており、チューブの中を流れる蒸気とスプレーされる水との間の熱交換を可能にしている。チューブ35の端部は垂直チューブシート39によって支持されるとともにこの垂直チューブシートの中に配置されている。
【0019】
それぞれの蒸発缶は、濃縮水排水ライン23を有するそれぞれの蒸発缶30の濃縮水収集装置33に接続された濃縮水流出ライン37をさらに備えている。それぞれのグループ20の濃縮水ポンプ21は、排水ライン23の下流端に接続されている。
【0020】
上述のように、入口チャンバ40は2つの隣接する蒸発缶30のそれぞれの対の間に配置され、蒸発缶30の対のうちの一方はチャンバの上流側にあり、他方はチャンバの下流にある。チャンバ40は、チャンバの上流側に配置された蒸発缶の第1及び第2の出口34及び36からの水と蒸気とを受け取るように適用されている。チャンバは、出口34からの蒸気が、チャンバの下流側に配置された蒸発缶の蒸気入口32の中に流れるのを可能にするように設計されている。また、チャンバは、その上部に蒸気出口43を有し、この蒸気出口43を介して、出口36からの蒸気が対応する加熱器24の蒸気入口41へと方向を転換されている。チャンバ40は、それぞれの蒸発缶の蒸気出口34、36に配置された水滴分離器38と、チャンバの底部に配置され、チャンバの上流側の蒸発缶の第1の出口34からの蒸留水を受け取るように設けられた蒸留水収集装置42とをさらに備えている。それぞれの蒸留水収集装置42には、蒸留水主ライン16につながる蒸留水排出ライン47が接続されている。
【0021】
ここには、濃縮水及び蒸留水の両方のための共通の平行な排出ラインが記載されているが、濃縮水収集装置33は互いに直列に接続することができ、蒸留水収集装置42もまた互いに直列に接続することができることが理解される。
【0022】
加熱器24は、図面に示すように、それぞれを1つのグループ20に関連させることができるか、又はそれぞれのグループ20の1つの入口チャンバ40に関連させることができる。
【0023】
主水供給ライン11及び蒸気供給ライン12は、第1のグループ20aの第1の蒸発缶30hに接続されている。凝縮装置13は、最終のグループ20dの最終の蒸発缶30tの水及び蒸気出口34に、パイプライン13aを介して流体連通しており、塩水ポンプ15は、最終のグループ20dの濃縮水排水ライン23に、パイプライン15aを介して流体連通している。
【0024】
操業の際には、供給水は、外部の供給源から約25℃で、システムの下流端において供給ライン11の中に導入され、加熱器24へ供給ライン11を通過する。加熱器24は、供給水を第1のグループ20aの共通の平行な水入口25及び散布手段26の中に導入されるまで徐々に加熱する。水の加熱は、水が第1のグループ20aの第1の蒸発缶30hに、82〜85℃に達する場合のある最も高い温度で到達するように行われる。同時に、約85℃より少し高い温度で、蒸気が第1の蒸発缶の蒸気入口32の中に、すなわち第1のグループ20aのチューブ35aの上流端の中に導入される。
【0025】
供給ラインからの水は、主水入口25から第1のグループ20aの蒸発缶30のそれぞれのチューブ35a上に、例えば約0.2〜0.3mmの薄いフィルム状の形態で水をスプレーする散布手段26を使用して下方にスプレーされる。チューブ35aへの水フィルムの接触の際に、熱伝達の工程がこのフィルムとチューブ35a内を流れている蒸気との間で行われ、チューブ35内の蒸気の部分的な凝縮とチューブの間の空隙35b中の供給水の部分的な蒸発が生じる。
【0026】
チューブ35aの中で凝縮した蒸気は蒸留水を構成し、傾斜しているチューブをチューブの下流端に配置された入口チャンバ40の中へ重力によって下方へ流れ、そこで蒸留水収集装置42へ滴下する。蒸留水は、それぞれの入口チャンバ40の収集装置42から流出ライン47を介して蒸留水主ライン16へ流下する。チューブ35aの中で凝縮しなかった蒸気の残りは、入口チャンバ40の中へ流れ、蒸気出口43を介して、高温の蒸気を主水供給ライン11の中の供給水を加熱するために使用する、それぞれの加熱器24の蒸気入口41の中に吸い込まれる。
【0027】
蒸発缶のチューブ35aの間の間隙35b中の蒸気に変化した供給水は、チャンバ40を介して蒸気入口32と、次のすぐ隣接する蒸発缶のチューブ35aの上流端とへ導かれる。蒸発しなかった供給水、すなわち濃縮水は、蒸発缶30の底部の濃縮水収集装置33に滴下し、この収集装置33から濃縮水は第1のグループ20aの濃縮水排水ライン23の中に流下している。
【0028】
次いで、濃縮水は、パイプライン22を介して濃縮水ポンプ21を使用して、濃縮水排水ライン23から第2のグループ20bの共通の平行な水入口25の中に吸い込まれ、工程はこのグループ及び後続のグループにおいて繰り返される。第1のグループ20aと後続のグループ20b〜20dの間の唯一の違いは、第1のグループ20aは主水供給ライン11からの供給水を受け取るのに対して、他のグループは濃縮水ポンプ21からの供給水を受け取ることである。このようにして、共給水及び蒸気の両方は、工程中下流へと移動し、よって、蒸留システムは、前方供給式多段蒸留装置となる。
【0029】
図3に示す供給水加熱装置24は、入口11aを通じた供給水と、入口41を通じたNCGを有する高温の蒸気とを受け取るように設けられ、これら供給水と蒸気との間の熱移動を可能としている。この工程は、出口リブを通じて加熱装置24から出る加熱された供給水と、出口44を通じて加熱装置24から出る蒸留水を構成する凝縮された蒸気とを生産する。凝縮されなかった蒸気は、NCG及び蒸気のライン17を介して出口27を通じて除去される。出口44は、入口チャンバ40の蒸留水収集装置42、又は蒸留水主ライン16と流体連通させることができる。
【0030】
上述の工程は蒸留水を生産し、塩水が最も高い温度で生産される後方供給式とは反対の前方供給式の故に、その最も低い温度で最も高い濃縮率の塩水を得る。低温の塩水によって、設備のスケール及び腐食の危険を防止することができる。塩水は、最終の濃縮水排水管23dに接続されたパイプライン15aを介して、塩水ポンプを使用してシステムから除去される。システムの下流端において、蒸留水主ライン16からの蒸留水は、パイプライン13aを介して凝縮装置13の中に導入され、凝縮装置13は、最終のグループ20dの最終の蒸発缶30tから来る蒸気を凝縮するために使用される。生産ポンプ14は、パイプライン14aを使用して、凝縮装置13から蒸留水を吐出する。
【0031】
上述の多段蒸留装置10の操作は、重金属に対するイオントラップ、チタンチューブ中での水の予備脱気、エラストマーグロメットによるチューブプレートからのチューブのガルバニック絶縁、及びそれぞれの蒸発缶の浸漬部分におけるアルミニウム−マグネシウム犠牲アノードの組み込みのような様々な方法によるさらなる変型及び拡張が行われても良い。さらに、様々なタイプの水をこの工程に対して使用することができ、最も普通には海水が使用される。また、異なる結果を生じさせるために、それぞれのグループに対して様々な数の蒸発缶を使用することができ、様々な数の蒸発缶を一緒に使用することもできる。
【0032】
この発明の属する分野における当業者は、多くの変更、変型、及び修正が、必要な変更を加えることによって本発明の技術的範囲から離れることなく行われ得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の1つの実施形態による多重効用蒸発装置の図であり、それぞれのグループの最初蒸発缶と最後の蒸発缶とのみを示している。
【図2】図1に示した蒸発装置の、隣接するグループ20b、20dの上流及び下流の蒸発缶を有するグループ20cの拡大図である。
【図3】図1及び図2に示された多重効用蒸発装置に使用される給水加熱器の図である。
【符号の説明】
【0034】
10・・・多重効用蒸発装置
11・・・主水供給ライン
12・・・主蒸気供給ライン
13・・・凝縮装置
14・・・生成物ポンプ
15・・・塩水ポンプ
16・・・蒸留水主ライン
20a〜20d・・・グループ
21・・・濃縮水ポンプ
23・・・濃縮水排水ライン
24・・・加熱装置
26・・・散布手段
30・・・蒸発缶
35a・・・チューブ
35b・・・空隙
37・・・濃縮水流水ライン
40・・・入口チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続され、最も上流のグループと後続の下流のグループとを含むグループの中に配置された複数の蒸発缶を備え、
それぞれの前記グループは最も上流の前記蒸発缶と最も下流の前記蒸発缶とを有するとともに、前記グループ内のすべての前記蒸発缶に供給水を供給するために設けられた共通の平行な水供給入口を有し、
前記蒸留装置は、
前記最も上流のグループと流体連通している主水供給ラインと、
前記ラインに沿って配置され、前記最も上流のグループの蒸発缶の中へ前記供給水が入る前に前記供給水を加熱するために設けられた一連の加熱装置と、
をさらに含み、
それぞれの前記蒸発缶は、流入蒸気を受け取り前記供給水から第1の流出蒸気を生産しつつ、前記供給水の残りを濃縮水として排出し、前記流入蒸気の一部分を凝縮して蒸留水を生産しつつ、前記流入蒸気の残りを第2の流出蒸気として排出するために設けられた熱移動手段を備え、
それぞれの前記蒸発缶は、前記第1の流出蒸気を隣接する下流の蒸発缶へ導くための手段であって、前記流入蒸気を構成する手段と、前記第2の流出蒸気を、前記供給水を加熱するための前記加熱装置のうちの1つの中に導くための手段とをさらに備え、
それぞれの前記グループは、前記グループの蒸発缶から濃縮水を引き出し、該濃縮水を隣接する下流のグループの前記共通の平行な水供給管の中に吸い上げるために設けられたポンプと、蒸留水を収集するための手段とをさらに備える、水の蒸留のために設けられた多重効用蒸発装置。
【請求項2】
前記それぞれの蒸発缶内の前記熱移動手段は、間にチューブ間空隙を有する複数のチューブを備え、前記チューブは、前記流入蒸気を受け取り、前記供給水に接触し、前記流入蒸気と前記供給水との間の熱移動を生じさせるために設けられており、前記チューブ間空隙内の供給水の一部を蒸発させて、前記第1の蒸気を生成し、前記供給水の残りを濃縮水として残すとともに、前記チューブ内の流入蒸気の一部を凝縮させて前記蒸留水を生成し、前記流入蒸気の残りを前記第2の流出蒸気として残すことを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置。
【請求項3】
前記チューブは、さらに前記凝縮水と、蒸発缶の一方の側から他方への前記第2の流出蒸気とをチャネリングするために設けられていることを特徴とする請求項2に記載の蒸発装置。
【請求項4】
前記蒸発缶のグループそれぞれ内の前記平行な供給水入口は、前記供給水を前記グループの前記蒸発缶のそれぞれの中に導入するように設けられた散布手段を備え、前記供給水の前記チューブとの接触を可能にしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項5】
前記供給水は、前記散布手段の中に薄いフィルム状の態様で導入されていることを特徴とする請求項4に記載の蒸発装置。
【請求項6】
1つのグループの中に備えられている前記蒸発缶の数は可変であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項7】
前記蒸発缶の総数は、20以上、特に25以上、より具体的には30であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項8】
前記蒸発装置は、NCG除去ラインを備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項9】
前記チューブは、金属又は金属合金からなることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項10】
前記それぞれのグループは、前記ポンプと流体連通している濃縮水排水ラインをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項11】
前記それぞれの蒸発缶は上流端と下流端とを有し、前記チューブは傾斜していて、前記チューブ内の前記蒸留水を前記蒸発缶の前記下流端へ重力によって流下させていることを特徴とする請求項2〜10のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項12】
前記チューブは、エラストマーグロメットを使用するガルバニック絶縁を有していることを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項13】
前記チューブは、楕円形であることを特徴とする請求項2〜12のいずれか一項に記載の蒸発装置。
【請求項14】
重金属を前記水から除去するために使用されるイオントラップをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置。
【請求項15】
前記供給水の予備脱気のためのチタンチューブをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置。
【請求項16】
前記それぞれの蒸発缶は、前記蒸発缶の浸漬部分を構成する収集装置と、この収集装置の中に組み込まれたアルミニウムーマグネシウム犠牲陰極とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−531278(P2008−531278A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500337(P2008−500337)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000302
【国際公開番号】WO2006/095340
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507283023)アイ・ディ・イー・テクノロジーズ・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】