説明

多階調フォント描画方法および装置

【課題】2値フォント描画回路を用いて、多階調フォントを描画することのできる多階調
フォント描画方法および装置を提供する。
【解決手段】多階調グリフデータ取得部1は、入力された文字コードに応じて、多階調グ
リフデータD11を多階調フォントデータD1から取得する。2値グリフデータ生成部2
は、多階調グリフデータD11の階調値を階調区分単位で分解し、各階調区分に含まれる
階調値のみを‘1’とする、複数の2値グリフデータD12を生成する。2値フォント描
画回路100は、2値グリフデータD12と、濃度比αと、文字色情報D14と背景色情
報D15を入力とし、描画色データD13を出力する。それぞれの2値グリフデータD1
2について、描画色データD13を取得することにより、最終的な多階調フォント画像デ
ータが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多階調フォント描画方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低解像度のディスプレイにビットマップフォント等の文字を表示する場合、文字と背景
の境界部にギザギザが生じ、文字が見づらくなる。そこで、文字の輪郭をぼかすことで文
字を見やすくすることのできる多階調フォントが用いられる。
【0003】
多階調フォントは、多階調グリフデータを有している。多階調グリフデータには、フォ
ント描画領域にマトリックス状に配置されているピクセルに対し、それぞれのピクセルの
階調度を示すデータが記述されている。階調度は、文字パターンの中心部付近を最高階調
度、文字の輪郭部付近を中間階調度、文字パターンのない部分を階調度0、とするような
与え方がされる。
【0004】
多階調フォントを表示する場合、フォント描画領域の各ピクセルに対して、多階調グリ
フデータに記載されている階調度に応じて、文字色と背景色をブレンドすることが行われ
る。そのとき、例えば、階調度0を背景色のみ、最高階調度を文字色のみとし、中間階調
度では、階調度が高いほど背景色に対する文字色の濃度比を高める、というようなブレン
ドが行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このブレンドにより、文字の輪郭部が文字色と背景色の中間色となり、文字と背景の境
界線が滑らかになって文字が見やすくなる。
【0006】
しかし、上述のブレンドを行うには、ディスプレイへの描画装置が、ピクセルごとに異
なる濃度比で文字色と背景色のブレンドを行うことのできる、多階調フォント描画回路を
備えている必要がある。
【0007】
ところが、低機能の描画装置では、2値で表現されたフォントのみ描画を行うことので
きる2値フォント描画回路しか備えていないことがある。2値フォント描画回路は、文字
色と背景色のブレンドを行うとき、2値フォントの2値グリフデータが‘1’であるピク
セル総てに対して、一律の濃度比でのブレンドを行う。
【0008】
したがって、2値フォント描画回路しか備えていない描画装置では、多階調フォントを
そのまま表示することができない。そのため、例えば、多階調を2階調へ変換することが
行われるが、多階調を単純に2階調へ変換して表示した場合、文字が潰れたり、輪郭が凸
凹であったりする、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−6665号公報 (第4−5ページ、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的は、2値フォント描画回路を用いて、多階調フォントを描画する
ことのできる多階調フォント描画方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、2値グリフデータ、濃度比、文字色情報および背景色情報が
入力されて、前記2値グリフデータに階調値が‘1’と記載されたピクセルについては、
前記文字色情報に記載された色と前記背景色情報に記載された色を前記濃度比でブレンド
して生成した色を描画色データとして出力し、前記2値グリフデータに階調値が‘0’と
記載されたピクセルについては、前記背景色情報に記載された色を描画色データとして出
力する2値フォント描画回路を用いる多階調フォント描画方法であって、入力された文字
情報に応じて、階調値が0からN−1までのN階調(N>3)で表される多階調グリフデ
ータを多階調フォントデータから取得し、前記多階調グリフデータの1以上の階調値を予
め設定された階調区分ごとに分解し、それぞれの階調区分に含まれる階調値は‘1’、そ
れ以外の階調値は‘0’に置換して、前記階調区分の数に応じた複数の2値グリフデータ
を生成し、第1段階では、前記複数の2値グリフデータの中から選択した1つの2値グリ
フデータと、前記選択した2値グリフデータに対して設定された濃度比と、前記文字色情
報と、前記背景色情報として、予め設定された背景色データを、前記2値フォント描画回
路へ入力して、描画色データを取得し、第2段階以降では、前記複数の2値グリフデータ
の中から新たに選択した1つの2値グリフデータと、前記新たに選択した2値グリフデー
タに対して設定された濃度比と、前記文字色情報と、前記背景色情報として、前記2値フ
ォント描画回路から取得された描画色データを、前記2値フォント描画回路へ入力して、
新たな描画色データを取得することを特徴とする多階調フォント描画方法が提供される。
【0012】
また、本発明の別の一態様によれば、2値グリフデータ、濃度比、文字色情報、および
背景色情報が入力されて、前記2値グリフデータに階調値が‘1’と記載されたピクセル
については、前記文字色情報に記載された色と前記背景色情報に記載された色を前記濃度
比でブレンドして生成した色を描画色データとして出力し、前記2値グリフデータに階調
値が‘0’と記載されたピクセルについては、前記背景色情報もしくは前記背景画像に記
載された色を描画色データとして出力する2値フォント描画回路を用いる多階調フォント
描画装置であって、入力された文字情報に応じて、階調値が0からN−1までのN階調(
N>3)で表される多階調グリフデータを多階調フォントデータから取得する多階調グリ
フデータ取得手段と、前記多階調グリフデータの1以上の階調値を予め設定された階調区
分ごとに分解し、それぞれの階調区分に含まれる階調値は‘1’、それ以外の階調値は‘
0’に置換して、前記階調区分の数に応じた複数の2値グリフデータを生成する2値グリ
フデータ生成手段と、第1段階では、前記複数の2値グリフデータの中から選択した1つ
の2値グリフデータと、前記選択した2値グリフデータに対して設定された濃度比と、前
記文字色情報と、前記背景色情報として、予め設定された背景色データを、前記2値フォ
ント描画回路へ入力し、第2段階以降では、前記複数の2値グリフデータの中から新たに
選択した1つの2値グリフデータと、前記新たに選択した2値グリフデータに対して設定
された濃度比と、前記文字色情報と、前記背景色情報として、前記2値フォント描画回路
から取得された描画色データを、前記2値フォント描画回路へ入力する文字・背景入力手
段と、前記段階のそれぞれごとに、前記2値フォント描画回路から描画色データを取得す
るとともに、取得した前記描画色データを前記文字・背景入力手段へ出力する描画色デー
タ取得手段とを備えることを特徴とする多階調フォント描画装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2値フォント描画回路を用いて、多階調フォントを描画することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係る多階調フォント描画装置の構成の例を示すブロック図。
【図2】4階調グリフデータの例を示す図。
【図3】実施例1における2値グリフデータ生成の例を示す図。
【図4】実施例1における2値グリフデータ生成の例を示す図。
【図5】実施例1における2値グリフデータ生成の例を示す図。
【図6】グリフデータ重ね描画部の動作説明図。
【図7】グリフデータ重ね描画部の動作説明図。
【図8】グリフデータ重ね描画部の動作説明図。
【図9】実施例1におけるフォント画像出力と、多階調フォントグリフデータを単純2値化したときのフォント画像(参考画像)との比較例を示す図。
【図10】本発明の実施例2に係る多階調フォント描画装置の構成の例を示すブロック図。
【図11】256階調グリフデータの例を示す図。
【図12】本発明の実施例2の多階調フォント描画方法における階調区分と濃度比の例を示す図。→レベル4の階調範囲を85〜0とする。
【図13】実施例2における2値グリフデータ生成の例を示す図。
【図14】実施例2における2値グリフデータ生成の例を示す図。
【図15】実施例2における2値グリフデータ生成の例を示す図。
【図16】実施例2におけるフォント画像出力の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当
部分には同一の符号を付して、その説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る多階調フォント描画装置の構成の例を示すブロック図
である。
【0017】
本実施例の多階調フォント描画装置は、2値フォント描画回路100を用いる多階調フ
ォント描画装置であって、入力された文字情報(文字コード、文字グリフデータの幅と高
さ、文字修飾情報など)に応じて、階調値が0からN−1までのN階調(N>3)で表さ
れる多階調グリフデータD11を多階調フォントデータD1から取得する多階調グリフデ
ータ取得部1と、多階調グリフデータD11の階調値を1階調単位で分解し、それぞれの
階調区分に該当する階調値は‘1’、それ以外の階調値は‘0’に置換して、(N−1)
個の2値グリフデータD12を生成する2値グリフデータ生成部2と、上述の(N−1)
個の2値グリフデータD12の中の1つと、濃度比データD2の中から、選ばれた2値グ
リフデータD12に対して設定された濃度比αと、文字色情報D14と、背景色情報D1
5もしくは後述の描画色データ取得部4から出力される描画色データを2値フォント描画
回路100へ出力する文字・背景データ入力部3と、2値フォント描画回路100から出
力される描画色データを取得する描画色データ取得部4と、を備える。
【0018】
ここで、2値フォント描画回路100は、2値グリフデータD12に階調値が‘1’と
記載されたピクセルについては、入力された濃度比αで文字色と背景色をブレンドして生
成した色を描画色データとして出力し、2値グリフデータD12に階調値が‘0’と記載
されたピクセルについては、背景色を描画色データとして出力する回路である。
【0019】
なお、2値フォント描画回路100は、文字・背景データ入力部3から背景色情報D1
5が入力されたときは、背景色情報D15に記載された各ピクセルの色を背景色として使
用し、文字・背景データ入力部3から上述の描画色データが入力されたときは、その描画
色データの各ピクセルの色を背景色として使用する。
【0020】
次に、本実施例の多階調フォント描画装置の動作について説明する。
【0021】
まず、多階調グリフデータ取得部1は、入力された文字情報に応じて、多階調フォント
データD1から、多階調グリフデータD11を取得する。ここでは、多階調グリフデータ
D11として、図2に示す4階調(N=4)グリフデータD11_4を取得したものとす
る。
【0022】
2値グリフデータ生成部2は、多階調グリフデータD11を、予め設定された階調区分
ごとに分解する機能を有している。本実施例では、階調区分=1階調単位と設定されてい
る。
【0023】
そのため、本実施例の2値グリフデータ生成部2は、多階調グリフデータD11の階調
値を1階調ごとに分解し、それぞれの階調区分の階調値は‘1’、それ以外の階調値は‘
0’に置換し、(N−1)個の2値グリフデータD12を生成する。
【0024】
例えば、図2に示した4階調グリフデータD11_4に対して、2値グリフデータ生成
部2は、図3〜図5に示す3個の2値グリフデータ、D12−1〜D12−3を生成する

【0025】
図3に示す2値グリフデータD12−1は、4階調グリフデータD11_4の階調値‘
3’を階調値‘1’ に置換し、それ以外の階調値を‘0’に置換したものである。
【0026】
図4に示す2値グリフデータD12−2は、4階調グリフデータD11_4の階調値‘
2’を階調値‘1’ に置換し、それ以外の階調値を‘0’に置換したものである。
【0027】
図5に示す2値グリフデータD12−3は、4階調グリフデータD11_4の階調値‘
1’をそのまま階調値‘1’ とし、それ以外の階調値を‘0’に置換したものである。
【0028】
第1段階にて、文字・背景データ入力部5は、2値グリフデータD12−3と、2値グ
リフデータD12−3に対して設定された濃度比αと、文字色情報D14と、背景色情報
D15とを2値フォント描画回路100へ入力する。
【0029】
2値フォント描画回路100は、2値グリフデータD12−3において階調値が‘1’
と記載されたピクセルについては、文字色情報D14に記載された色と背景色情報D15
に記載された色を濃度比αでブレンドして生成した色を描画色データD13−3として出
力し、2値グリフデータD12-3に階調値が‘0’と記載されたピクセルについては、
背景色情報D15に記載された色を描画色データD13-3として出力する。
【0030】
描画色データ取得部4は、2値フォント描画回路100から出力された描画色データD
13−3を取得し、文字・背景データ入力部5へ渡す。
【0031】
第2段階にて、文字・背景データ入力部5は、2値グリフデータD12−2と、2値グ
リフデータD12−2に対して設定された濃度比αと、文字色情報D14と、描画色デー
タD13−3とを2値フォント描画回路100へ入力する。
【0032】
2値フォント描画回路100は、2値グリフデータD12−2において階調値が‘1’
と記載されたピクセルについては、文字色情報D14に記載された色と描画色データD1
3−3に記載された色を濃度比αでブレンドして生成した色を描画色データD13−2と
して出力し、2値グリフデータD12−2に階調値が‘0’と記載されたピクセルについ
ては、描画色データD13−3に記載された色を描画色データD13−2として出力する

描画色データ取得部4は、2値フォント描画回路100から出力された描画色データD
13−2を取得し、文字・背景データ入力部5へ渡す。
【0033】
最終段階にて、文字・背景データ入力部5は、2値グリフデータD12−1と、2値グ
リフデータD12−1に対して設定された濃度比αと、文字色情報D14と、描画色デー
タD13−2とを2値フォント描画回路100へ入力する。
【0034】
2値フォント描画回路100は、2値グリフデータD12−1において階調値が‘1’
と記載されたピクセルについては、文字色情報D14に記載された色と描画色データD1
3−2に記載された色を濃度比αでブレンドして生成した色を描画色データD13−1と
して出力し、2値グリフデータD12−1に階調値が‘0’と記載されたピクセルについ
ては、描画色データD13−2に記載された色を描画色データD13−1として出力する

描画色データ取得部4は、2値フォント描画回路100から出力された描画色データD
13−1を取得し、フォント画像データとして出力する。
【0035】
図6〜図8に、2値フォント描画回路100による文字色と背景色のブレンドから、フ
ォント画像データ生成までの、一連の処理の具体例を示す。なお、ここでは、2値グリフ
データD12−1、D12−2、D12−3に対する濃度比α(α=文字色:背景色で表
す)が、それぞれ、α=10:0、7:3、4:6と、設定されているものとする。また
、図6〜図8では、描画色データD13−1、D13−2、13−3を、各ピクセルの色
値で表す代わりに、画像イメージで表すものとする。
【0036】
ここでは、まず、図6(a)に示す2値グリフデータD12−3が2値フォント描画回
路100へ入力されるものとする。2値フォント描画回路100は、2値グリフデータD
12−3において階調値が‘1’と記載されたピクセルについては、文字色情報D14に
記載された色と、図6(b)に示す背景色情報D15に記載された色を濃度比α=4:6
でブレンドして生成した色を出力し、2値グリフデータD12−3において階調値が‘0
’と記載されたピクセルについては、背景色情報D15に記載された色を出力する。その
結果、図6(c)に示す描画色データD13-3が得られる。
【0037】
次に、図7(a)に示す2値グリフデータD12−2が2値フォント描画回路100へ
入力される。2値フォント描画回路100は、2値グリフデータD12−2において階調
値が‘1’と記載されたピクセルについては、文字色情報D14に記載された色と、図7
(b)に示す描画色データD13−3に記載された色を濃度比α=7:3でブレンドして
生成した色を出力し、2値グリフデータD12-2において階調値が‘0’と記載された
ピクセルについては、描画色データD13-3に記載された色を出力する。その結果、図
7(c)に示す描画色データD13-2が得られる。
【0038】
最後に、図8(a)に示す2値グリフデータD12−1が2値フォント描画回路100
へ入力される。2値フォント描画回路100は、2値グリフデータD12−1において階
調値が‘1’と記載されたピクセルについては、文字色情報D14に記載された色と、図
8(b)に示す描画色データD13-2に記載された色を濃度比α=10:0でブレンド
して生成した色を出力し、2値グリフデータD12−1において階調値が‘0’と記載さ
れたピクセルについては、描画色データD13−2に記載された色を出力する。その結果
、図8(c)に示す描画色データD13-1が得られる。
【0039】
この描画色データD13-1が、最終的なフォント画像データとなる。
【0040】
図9に、本実施例のフォント画像出力(図9(a))と、比較のため、4階調グリフデ
ータD11_4を単純2値化して表示したときのフォント画像の例を参考画像(図9(b
))として示す。
【0041】
図9(a)に示すように、本実施例のフォント画像は、2値フォント描画回路100し
か使っていないにも拘らず、4階調グリフデータD11_4に記載された階調を、そのま
ま表現した画像となっている。
【0042】
そのため、(図9(b)に示す4階調グリフデータD11_4を単純2値化したフォン
ト画像と比較して、文字と背景の境界線のギザギザが緩和され、文字が見やすくなってい
る。
【0043】
このような本実施例によれば、多階調フォントであっても、2値フォント描画回路を用
いて、多階調グリフデータに記載されたとおりの階調で描画することができる。そのため
、多階調フォント本来の字形の美しさを保つことができる。
【実施例2】
【0044】
実施例1では、N階調のグリフデータを(N−1)個の2値グリフデータに分解するた
め、Nの値が大きいほど、生成される2値グリフデータの数も多くなる。そのため、2値
グリフデータを保存するためのメモリ容量が増加したり、描画にかかる処理量が増加した
りする。
【0045】
そこで、本実施例では、多階調グリフデータの階調値Nが大きくても、メモリ容量の増
加や処理時間の増加を抑制することのできる多階調フォント描画装置および多階調フォン
ト描画方法の例を示す。
【0046】
図10は、本発明の実施例2に係る多階調フォント描画装置の構成の例を示すブロック
図である。
【0047】
本実施例の多階調フォント描画装置の構成は、基本的に、実施例1の多階調フォント描
画装置の構成と同じである。そこで、図10において、図1に示したブロックと同一また
は同等の機能を有するブロックには、図1と同一の符号を付し、ここでは、その詳細な説
明を省略する。
【0048】
本実施例の多階調フォント描画装置が実施例1と異なる点は、2値グリフデータ生成部
2が、多階調グリフデータD11の1以上の階調値を、m段階(2≦m<N−1、ただし
、N≧5)の階調レベル単位で分解し、それぞれの階調レベルの範囲に含まれる階調値は
‘1’、それ以外の階調値は‘0’に置換して、m個の2値グリフデータD12Aを生成
する点である。
【0049】
階調レベルは、連続する複数階調からなるものであり、各階調レベルに含まれる階調範
囲は、階調区分データ3に記載されているものとする。
【0050】
次に、本実施例の多階調フォント描画装置の動作について説明する。ここでは、多階調
グリフデータ取得部1により取得された多階調グリフデータが、図11に示す256階調
グリフデータD11_256である場合を例にとって説明する。
【0051】
また、図12に、階調区分データ3に記載されている階調レベルの区分と、その階調範
囲、および各階調レベルに対する濃度比αの例を示す。濃度比αは、濃度比データ2に記
載されている。
【0052】
図12に示す例では、階調値が、レベル1〜レベル4の4段階(m=4)に区分されて
いる。それぞれの階調範囲は、レベル1が255〜248、レベル2が247〜171、
レベル3が170〜86、レベル4が85〜1に設定されている。
【0053】
また、各階調レベルに対する濃度比αは、レベル1がα=10:0、レベル2がα=7
:3、レベル3がα=4:6、レベル4がα=0:10に設定されている。
【0054】
2値グリフデータ生成部2は、階調レベル1〜4のそれぞれの範囲に含まれる階調値は
‘1’、それ以外の階調値は‘0’に置換して、2値グリフデータD12Aを生成する。
【0055】
ただし、階調レベル4に対する濃度比αに着目すると、文字色:背景色=0:10に設
定されている。この場合、階調レベル4に対する2値グリフデータD12Aを生成しても
、2値フォント描画回路100から得られる階調値‘1’に対する描画色は、背景色であ
る。したがって、この場合、階調レベル4に対する2値グリフデータD12Aの生成は省
略することができる。
【0056】
そこで、2値グリフデータ生成部2は、図12に示す例に対して、階調レベル1〜階調
レベル3の3区分に対して、図13〜図15に示す3個の2値グリフデータ、D12A−
1、D12A−2、D12A−3を生成する。
【0057】
図13に示す2値グリフデータD12A−1は、256階調グリフデータD11_25
6の階調値‘255’〜‘248’を階調値‘1’ に置換し、それ以外の階調値を‘0
’に置換したものである。
【0058】
図14に示す2値グリフデータD12A−2は、256階調グリフデータD11_25
6の階調値‘247’〜‘171’を階調値‘1’ に置換し、それ以外の階調値を‘0
’に置換したものである。
【0059】
図15に示す2値グリフデータD12A−3は、256階調グリフデータD11_25
6の階調値‘170’〜‘86’を階調値‘1’ に置換し、それ以外の階調値を‘0’
に置換したものである。
【0060】
2値フォント描画回路100は、実施例1と同様、第1段階にて、2値グリフデータD
12A‐3において階調値が‘1’と記載されたピクセルについては、文字色情報D14
に記載された色と背景色情報D15に記載された色を濃度比αでブレンドして生成した色
を描画色データD13A‐3として出力し、2値グリフデータD12A‐3に階調値が‘
0’と記載されたピクセルについては、背景色情報D15に記載された色を描画色データ
D13A−3として出力する。
【0061】
第2段階にて、2値グリフデータD12A−2において階調値が‘1’と記載されたピ
クセルについては、文字色情報D14に記載された色と描画色データD13A‐3に記載
された色を濃度比αでブレンドして生成した色を描画色データD13A−2として出力し
、2値グリフデータD12A‐2に階調値が‘0’と記載されたピクセルについては、描
画色データD13A‐3に記載された色を描画色データD13A−2として出力する。
【0062】
第3段階にて、2値グリフデータD12A−1において階調値が‘1’と記載されたピ
クセルについては、文字色情報D14に記載された色と描画色データD13A‐2に記載
された色を濃度比αでブレンドして生成した色を描画色データD13A−1として出力し
、2値グリフデータD12A‐1に階調値が‘0’と記載されたピクセルについては、描
画色データD13A‐2に記載された色を描画色データD13A−1として出力し、フォ
ント画像データを得る。
【0063】
図16に、256階調グリフデータD11_256を図12に示す各階調レベルに分割
したときのフォント画像出力の例を示す。
【0064】
このような本実施例によれば、多階調グリフデータを2値グリフデータに分解するとき
に、N階調(N≧5)の階調値を、m段階(2≦m<N−1)に区分して分解するため、
1階調値単位で分解する実施例1よりも、生成する2値グリフデータの数を少なくするこ
とができる。これにより、階調値Nの値が大きくても、2値グリフデータ生成に伴うメモ
リ容量の増加や処理時間の増加を抑制することができる。
【0065】
なお、本実施例では、階調区分数が4の場合を例にとって説明したが、階調区分数は、
4に限るものではない。階調区分数が小さいほど、2値グリフデータ生成に伴うメモリ容
量の増加や処理時間の増加を少なくすることができるが、一方では、本来の階調のきめ細
やかさを失うことになる。そこで、階調区分数は、メモリ容量や処理時間の増加の程度と
表示階調の低下のバランスを考慮して、適宜設定するようにすればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 多階調グリフデータ取得部
2 2値グリフデータ生成部
3 文字・背景データ入力部
4 描画色データ取得部
100 2値フォント描画回路
D1 多階調フォントデータ
D2 濃度比データ
D3 階調区分データ
D11 多階調グリフデータ
D12、D12A 2値グリフデータ
D13 描画色データ
D14 文字色情報
D15 背景色情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2値グリフデータ、濃度比、文字色情報および背景色情報が入力されて、前記2値グリ
フデータに階調値が‘1’と記載されたピクセルについては、前記文字色情報に記載され
た色と前記背景色情報に記載された色を前記濃度比でブレンドして生成した色を描画色デ
ータとして出力し、前記2値グリフデータに階調値が‘0’と記載されたピクセルについ
ては、前記背景色情報に記載された色を描画色データとして出力する2値フォント描画回
路を用いる多階調フォント描画方法であって、
入力された文字情報に応じて、階調値が0からN−1までのN階調(N>3)で表される
多階調グリフデータを多階調フォントデータから取得し、
前記多階調グリフデータの1以上の階調値を予め設定された階調区分ごとに分解し、それ
ぞれの階調区分に含まれる階調値は‘1’、それ以外の階調値は‘0’に置換して、前記
階調区分の数に応じた複数の2値グリフデータを生成し、
第1段階では、前記複数の2値グリフデータの中から選択した1つの2値グリフデータと
、前記選択した2値グリフデータに対して設定された濃度比と、前記文字色情報と、前記
背景色情報として、予め設定された背景色データを、前記2値フォント描画回路へ入力し
て、描画色データを取得し、
第2段階以降では、前記複数の2値グリフデータの中から新たに選択した1つの2値グリ
フデータと、前記新たに選択した2値グリフデータに対して設定された濃度比と、前記文
字色情報と、前記背景色情報として、前記2値フォント描画回路から取得された描画色デ
ータを、前記2値フォント描画回路へ入力して、新たな描画色データを取得する
ことを特徴とする多階調フォント描画方法。
【請求項2】
前記階調区分が、1階調単位である
ことを特徴とする請求項1に記載の多階調フォント描画方法。
【請求項3】
前記階調区分が、連続する複数階調からなる階調レベル単位である
ことを特徴とする請求項1に記載の多階調フォント描画方法。
【請求項4】
2値グリフデータ、濃度比、文字色情報、および背景色情報が入力されて、前記2値グ
リフデータに階調値が‘1’と記載されたピクセルについては、前記文字色情報に記載さ
れた色と前記背景色情報に記載された色を前記濃度比でブレンドして生成した色を描画色
データとして出力し、前記2値グリフデータに階調値が‘0’と記載されたピクセルにつ
いては、前記背景色情報もしくは前記背景画像に記載された色を描画色データとして出力
する2値フォント描画回路を用いる多階調フォント描画装置であって、
入力された文字情報に応じて、階調値が0からN−1までのN階調(N>3)で表される
多階調グリフデータを多階調フォントデータから取得する多階調グリフデータ取得手段と

前記多階調グリフデータの1以上の階調値を予め設定された階調区分ごとに分解し、それ
ぞれの階調区分に含まれる階調値は‘1’、それ以外の階調値は‘0’に置換して、前記
階調区分の数に応じた複数の2値グリフデータを生成する2値グリフデータ生成手段と、
第1段階では、前記複数の2値グリフデータの中から選択した1つの2値グリフデータと
、前記選択した2値グリフデータに対して設定された濃度比と、前記文字色情報と、前記
背景色情報として、予め設定された背景色データを、前記2値フォント描画回路へ入力し
、第2段階以降では、前記複数の2値グリフデータの中から新たに選択した1つの2値グ
リフデータと、前記新たに選択した2値グリフデータに対して設定された濃度比と、前記
文字色情報と、前記背景色情報として、前記2値フォント描画回路から取得された描画色
データを、前記2値フォント描画回路へ入力する文字・背景入力手段と、
前記段階のそれぞれごとに、前記2値フォント描画回路から描画色データを取得するとと
もに、取得した前記描画色データを前記文字・背景入力手段へ出力する描画色データ取得
手段と
を備えることを特徴とする多階調フォント描画装置。
【請求項5】
前記階調区分が、1階調単位である
ことを特徴とする請求項4に記載の多階調フォント描画装置。
【請求項6】
前記階調区分が、連続する複数階調からなる階調レベル単位である
ことを特徴とする請求項4に記載の多階調フォント描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−204144(P2011−204144A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72954(P2010−72954)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】