説明

大きさ推定システム及び形状推定システム

【課題】位置が特定されていないセンサの検出結果により、検出対象の形状が分からない場合に大きさの推定を可能とする大きさ推定装置と、検出対象の大きさが分かっている場合に形状検出を可能とする形状推定装置を提供する。
【解決手段】本発明の大きさ推定システムは、複数個のセンサと1つのセンタサーバから構成されており、検出対象の大きさを推定する大きさ推定システムであり、センサが、検出対象における検出した検出部分のセンシング面積を測定する検出手段と、検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、測定手段によるレポートをセンタサーバに通知する通信手段とを有し、センタサーバが、複数のセンサから通知を受信する送受信手段と、複数のセンサからの通知に各々含まれる検出部分のセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、検出対象の大きさを判定する判定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットワークにおける各センサの検出結果により、検出対象の大きさあるいは形状を推定する大きさ推定システム及び形状推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小型の無線付きセンサをさまざまな場所に数多く分散させ、センサネットワークを構成し、さまざまな場所の状態を計測して、計測結果を色々なアプリケーションに使おうという試みが盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。
そのような状況下において、2次元的あるいは3次元的な広がりをもつ検出対象を、検出する方法が考えられる。
対象物全体俯瞰できる位置からのカメラによる撮影という方法が最も容易であると考えられるが、適用可能なセンサが限られるような場合や、可視光などで捉えられないような検出対象の場合、あるいは、適当な位置にカメラを配置できないような場合は適用できない。
【0003】
一方、センサの位置をあらかじめ定めて配備するか、あるいは、配備後にGPSなどを用いてセンサが配置された位置が特定できていれば、分散配置された各センサの検出結果により形状推定を行うことができる。
【特許文献1】特開2007−129519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すセンサネットワークでは、分散配置されるセンサの多くが、個々に決められた位置に配置(あるいは配置後に登録)されることなく、測定結果を利用する場合が多いと想定されるため、個々のセンサで対象の一部を検出しても、それらの情報を分散配置センサ全体で組み合わせて、対象の大きさや形状のを把握することができないという問題がある。
また、個々の決められた位置にセンサを配備する場合は、センサ設置時に位置を把握するという手間が生じる。個々のセンサを適当に配備後、センサ付随のGPSなどで、自律的にセンサ位置を特定し、登録する場合は、個々のセンサにGPSが必要となるなどの付加コストが発生する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、位置が特定されていないセンサの検出結果により、検出対象の形状が分からない場合に大きさの推定を可能とする大きさ推定装置と、検出対象の大きさが分かっている場合に形状検出を可能とする形状推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の大きさ推定システムは、複数個のセンサと1つのセンタサーバから構成されており、検出対象の大きさを推定する大きさ推定システムであり、前記センサが、検出対象における検出した検出部分のセンシング面積を測定する検出手段と、前記検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、前記測定手段によるレポートを前記センタサーバに通知する通信手段とを有し、前記センタサーバが、前記複数のセンサから前記通知を受信する送受信手段と、前記複数のセンサからの通知に各々含まれる前記検出部分のセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の大きさを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の大きさ推定システムは、前記センサ各々の位置が特定されていないことを特徴とする。
【0008】
本発明の大きさ推定システムは、前記統計処理が前記複数のセンサからの通知に各々含まれるセンシング面積の時間平均の累積和を算出する処理であることを特徴とする。
【0009】
本発明の形状推定システムは、複数個のセンサと1つのセンタサーバから構成されており、前記検出対象の形状を推定する形状推定システムであり、前記センサが、前記検出対象の有無を検出する検出手段と、該検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、前記処理手段によるレポートを前記センタサーバに通知する通信手段とを有し、前記センタサーバが、前記複数のセンサから前記通知を受信する送受信手段と、前記複数のセンサからの通知に各々含まれる対象物の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の形状推定システムは、前記センサ各々の位置が特定されていないことを特徴とする。
【0011】
本発明の形状推定システムは、前記統計処理が前記複数のセンサからの通知により、対象物を検出したセンサ数の時間平均の累積和を算出する処理であることを特徴とする。
【0012】
本発明のセンタサーバは、複数個のセンサから入力される検出対象において検出された検出部分のセンシング面積を含む検出データにより、検出対象の大きさを推定するセンタサーバであり、前記複数のセンサから前記検出データを受信する送受信手段と、前記複数の検出データ各々に含まれる前記検出部分のセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の大きさを判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明のセンタサーバは、複数個のセンサから入力される検出対象の検出の有無の情報を含む検出データにより、前記検出対象の形状を推定するセンタサーバであり、前記複数のセンサから前記検出データを受信する送受信手段と、前記複数の検出データ各々に含まれる対象物の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の形状推定システムは、センシング範囲の大きさによって区別された複数個のセンサ群と、1つのセンタサーバとから構成され、1つのセンサ群は複数のセンサを有し、検出対象の形状を推定する形状推定システムであり、前記センサが、前記検出対象の有無を検出する検出手段と、該検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、前記処理手段によるレポートを前記センタサーバに通知する通信手段とを有し、前記センターサーバが、前記各センサ群の複数のセンサから前記レポートを受信する送受信手段と、前記各センサ群毎に、複数のセンサからのレポートに含まれる検出対象の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状の判定を行う判定手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の形状推定システムは、前記センサ各々の配置位置が特定されていないことを特徴とする。
【0016】
本発明の形状推定システムは、前記統計処理が、前記センサ群毎に、前記複数のセンサからの通知により、検出対象を検出したセンサ数の時間平均の累積和を算出する処理であることを特徴とする。
【0017】
本発明のセンタサーバは、複数のセンサ群の複数個のセンサから入力される検出対象の検出の有無を含む検出データにより、前記検出対象の形状を推定するセンタサーバであり、前記各センサ群の複数のセンサから前記レポートを受信する送受信手段と、前記各センサ群毎に、複数のセンサからのレポートに含まれる検出対象の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状の判定を行う判定手段とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の大きさ・形状推定システムは、複数個のセンサと1つのセンタサーバとから構成されており、前記検出対象の形状を推定する大きさ・形状推定システムであり、前記センサが、前記検出対象の有無を検出し、かつ前記検出対象における検出した検出部分のセンシング面積を測定する検出手段と、該検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、前記処理手段によるレポートを前記センターサーバへ通知する通信手段とを有し、前記センターサーバが、前記複数のセンサから前記通知を受信する送受信手段と、前記複数のセンサからの前記通知に含まれる前記検出対象の検出の有無及びセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、該検出対象の大きさを推定し、かつ形状を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の大きさ・形状推定システムは、前記センサ各々の配置位置が特定されていないことを特徴とする。
【0020】
本発明の大きさ・形状推定システムは、前記統計処理が、前記センシング面積の時間平均の累積和を、(動作中であるセンサの平均密度)×(各センサのセンシング範囲を平均した面積)により除算して、前記検出対象の大きさの推定値を算出処理であることを特徴とする。
【0021】
本発明の大きさ・形状推定システムは、前記統計処理が、検出対象を検出したセンサ数の時間平均と、前記センシング面積の時間平均の累積和とを用い、前記検出対象の形状を判定するパラメータのみにより定まる予め与えられた前記形状を示す関数の推定値を算出する処理であることを特徴とする。
【0022】
本発明の大きさ・形状推定システムは、前記検出対象が縦横比z、面積Sの長方形であって、前記センサのセンシング範囲が半径rの円状の範囲である場合、前記関数が((J/λ)・S・πr)/(2rS1/2)=(z+1)/z1/2であり、前記Jの値が対象物を検出したセンサ数の時間平均、λが動作中センサの密度の時間平均であり、前記関数の左辺を計算することにより、前記検出対象の形状を決めるパラメータzのみにより求まる予め与えられた右辺を算出することにより、形状を推定することを特徴とする。
【0023】
本発明のセンタサーバは、複数個のセンサから入力される検出対象の有無と、センシング面積の検出データを用いた処理により、前記検出対象の大きさ及び形状を推定するセンタサーバであり、前記複数のセンサから前記検出データを受信する送受信手段と、前記検出データ各々に含まれる前記検出対象の検出の有無及びセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、該検出対象の大きさを推定し、かつ形状を判定する判定手段とを有することを特徴とする。
【0024】
本発明のプログラムは、コンピュータに上記いずれかに記載のセンターサーバの動作を実行させるためのコンピュータが実行可能なプログラムである。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、分散された各センサの位置を正確に把握せず、かつ形状をモニタする機能がないセンサによっても、検出対象の形状が分からない場合に大きさの推定を可能とすることができ、かつ検出対象の大きさが不変であり分かっている場合に形状検出を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、任意の範囲に分散されてばらまかれており、それぞれの位置が登録されていない複数のセンサからなるセンサーネットワークを用い、検出対象の大きさあるいは形状を推定するものであり、以下の機能を有するシステムに関するものである。
(1)対象物の形状が分からない場合、位置が特定されていないセンサにより、大きさの推定を行う大きさ推定システム。
(2)対象物の大きさが不変で分かっている場合、位置が特定されていない複数のセンサによる対象物の検出有無の結果のみから形状推定を行う形状推定システム。
【0027】
<推定の原理となる数学モデル>
対象物はn次元空間内のいずれか1次元の軌道上を、時刻tにおいて速度v(t)で移動しているとする。またセンサは任意の範囲に分散されてばらまかれているとする。
上記対象物の時刻tでのサイズをS(t)とし、[0,t)の範囲内におけるサイズの時間平均を、以下の(1)式により表す。
【0028】
【数1】

【0029】
各センサはn次元の半径rの球体に対応したセンシング範囲を有すると仮定する。実際には、後述する結果は、任意の形状のセンシング範囲で成立している。ここで、センシング範囲の大きさをB(r)により表す。
例えば、2次元のとき、すなわちn=2のとき、B(r)=πrである。ここで、半径rは確率密度f(r)を有する確率変数とする。
また、各センサは動作(ウェイクアップ)状態あるいは休眠(スリープ)状態の2つの状態のいずれかの状態として動作しており、動作状態でのみ検出対象のセンシング(検出処理)が可能である。
【0030】
そして、各センサは1つ以上存在する休眠クラス(休眠するタイミングが同一のグループ)のいずれかに属している。同一の休眠クラスに属するセンサは同時期に休眠となる。
ここで、第i休眠クラスに属するセンサが、時刻tにおいて動作状態である確率をa(t)と表す。
また、第i休眠クラスのセンサは、平均λのn次元のポアソン過程に従って、ばら撒かれている。上記λ(t)を以下の(2)式により定義する。
【0031】
【数2】

【0032】
このλ(t)は、時刻tにおける動作中をしているセンサの密度を示す平均動作中センサ密度である。
そして、ある点が時刻tにおいて、m個のセンサによって被覆されている(センシングされている)確率をp(t)とする。この確率p(t)は以下の(3)式で与えられることが示される。
【0033】
【数3】

【0034】
上記(3)式における平均センシングサイズは、以下の(4)式により定義される。
【0035】
【数4】

【0036】
そして、(3)式の確率P(t)は、(2)式の平均動作中センサ密度と(4)式の平均センシングサイズとにのみ依存し、対象物の移動する軌道の形状、移動する速度、休眠パターン及びセンシング半径の分布によらない。また、各センサの測定範囲により被覆されている点の位置にも依存していない。
【0037】
次に、時刻tにおいて位置座標(x,x,…,x)にある対象物の一部を検出している動作中のセンサの数をM(t;x,x,…,x)とし、以下に示す(5)式により、特性量R(t)を求める。
【0038】
【数5】

【0039】
上記(5)式において、特に、m=1のとき、特性量R(t)は各センサがセンシングした対象物の部分の面積(センシング面積)を加算した総和の[0,t)の範囲における累積値である。
そして、対象物のサイズに対する、この対象物(一部分でも)を検出している動作中センサ数のm次モーメントの期待値は以下の(6)式により与えられる。
【0040】
【数6】

【0041】
この(6)式により求められる特性量は、式から分かるように、対象物の移動する軌道の形状、対象物の速度、対象物の形状、休眠パターン及びセンシング半径の分布などに非依存である。ただし、上記(6)式において、異なる2箇所をセンシングするセンサは二重にカウントされるという意味において、直感的な意味におけるセンサと対象物との1対1の対応の「検出中センサ数」とは異なる。
【0042】
また、上述したように、ある時刻において、対象物の一部でも検出しているセンサがいくつあるかという直感的な意味での検出中センサ数の[0,t)での累積値をL(t)とすると、E[L(t)]/tは、対象物の形状及びサイズ(大きさ)に依存する。
(6)式において、m=1とした1次モーメントよる以下の(7)式による特性量は対象物の形状に非依存である
【0043】
【数7】

【0044】
一方、上述したように、E[L(t)]/tによる特性量は対象物の形状に依存する。すなわち、(7)式の特性量はセンシングされた面積(センシング面積)の累積和に相当し、E[L(t)]/tの特性量は分散配置され対象物を検出したセンサ数の累積和に相当する。
【0045】
すでに述べた(6)式による動作中センサ数のm次モーメントの期待値は対象物の形状に非依存であり、センシング面積の累積和を示し、E[L(t)]/tは形状に依存し、対象物を検出中のセンサ数(センシングノード数)の累積和に相当する。
特に、大きさS(t)が不変でSの場合、上記E[R(t)]/tは、以下の(8)式により求められる。そして、この(8)式は形状によらずにサイズの時間平均に比例した関数となる。
【0046】
【数8】

【0047】
上記(8)式における以下の(9)式の比例定数は、対象物の形状及びサイズによらず定まるので、これを求めることにより、対象物の大きさを決定することができる。
【0048】
【数9】

【0049】
[第1の実施形態]
<大きさ(あるいは形状)推定システムの構成>
本発明の第1の実施形態による大きさ推定システムを図面を用いて説明する。図1は動実施形態による大きさ推定システムの構成例を示す概念図である。
大きさ推定システムは、分散配置されたセンサ1と、データ解析センタに配置されたセンタサーバ2により構成されている。
上記センサ1は、対象物を検出する検出部11と、この検出部11からの検出データをデータ処理するデータ処理部12と、処理結果をデータ解析センタに送信する通信部13と、各部に対して駆動電力を供給するバッテリ14とを有している。上記データ処理部12はマイクロプロセッサ及びメモリなどから構成されている。
【0050】
上記センタサーバ2は、センサ1から処理結果を受信する送受信部21と、この処理結果から大きさ(あるいは形状)を判定する判定部22と、判定結果を出力する入出力部23と、各部に対して駆動電力を供給するバッテリ24とを有している。上記判定部22はマイクロプロセッサ及びメモリなどから構成されている。
【0051】
次に、図2を用いて本実施形態によるセンサ1の動作を説明する。図2は本実施形態によるセンサ1の動作例を示すフローチャートである。本実施形態の大きさ推定システムにおいて、分散配置されているセンサ1は全体にてN個あり、以下に説明するセンサ1をi番目のセンサとする。
ステップ11において、データ処理部12は、内部カウンタの計数値が予め設定した時刻になったか否かを検出し、予め設定時間となった場合、例えば時刻t1となった場合、センサ1の各部をスリープ状態からウェイクアップ状態とし、処理をステップS12へ処理を進め、休眠時間が経過していない場合、時刻判定の処理を繰り返す。
【0052】
次に、ステップS12において、検出部11は、対象物の検出の有無(有り=1、なし=0)の時間tまでの時間平均を示すデータJ(t)と、対象物を検出した場合、この対象物の検出できた部分の大きさの時刻tまでの時間平均A(t)、すなわちセンシング面積とを含む検出データをデータ処理部12へ出力する。ここで、センサは、搭載している撮像装置にて撮影した画像から、検出対象の移動に伴う輪郭処理などの画像処理により、撮像した検出対象の部分の面積を測定する。また、本実施形態においては、データJ(t)及び大きさの時間平均A(t)を同一のセンサ1から入力する構成としているが、データJ(t)及び大きさの時間平均A(t)各々を異なるセンサから得るようにしてもよい。
そして、ステップS13において、データ処理部12は、検出部11から出力される検出データから、データJ(t)と、大きさA(t)とのレポートとし、検出結果を作成し、この検出結果を通信部13へ出力する。
これにより、ステップS14において、通信部13は、入力される検出結果を解析センタへ送信する。
また、ステップS12及びステップS13において、対象物のサイズが一定であることが判っている場合、検出部11は大きさA(t)を検出せず、データ処理部12は検出結果に大きさA(t)を含めることはしない。
【0053】
次に、図3を用いて本実施形態によるデータ解析センタに設けられているセンタサーバ2の動作を説明する。図3は本実施形態によるセンタサーバ2の動作例を示すフローチャートである。本実施形態の大きさ推定システムにおいて、分散配置されているセンサ1が全体にてN個あり、センタサーバ2は各センサ1からの検出結果を受信する。
ステップS21において、送受信部21は、各センサ1(i番目、1≦i≦N)から検出結果を受信する。
【0054】
そして、ステップS22において、判定部22は、各センサ1から入力されたデータJ(t)により、E[L(t)]/tの推定値であるJ(t)を以下の(10)式により求める(統計処理を行う)。
【0055】
【数10】

【0056】
また、判定部22は、各センサ1から入力された大きさA(t)により、E[R1(t)]/tの推定値であるA(t)を以下の(11)式により求める(統計処理を行う)。
【0057】
【数11】

【0058】
そして、ステップS23において、判定部22は、大きさの推定値A(t)が予めユーザ等により設定された大きさを示す設定値である閾値1と比較し、大きいか否かの比較を行い、推定値A(t)が閾値1より大きければ処理をステップS24へ進め、一方、推定値A(t)が閾値1より小さければ処理をステップS25へ進める。
【0059】
ここで、判定部22は、大きさが一定であり既知の対象物に対しては、上記ステップS23、S24、S25は行わずに、ステップS22においてJ(t)の計算のみを行った後、処理をステップS26へ進める。
次に、ステップS24において、判定部22は、入出力部23に対して、「大きい」を示す情報を出力し、処理をステップS26へ進める。
また、ステップS25において、判定部22は、入出力部23に対して、「小さい」を示す情報を出力し、処理をステップS26へ進める。
【0060】
そして、ステップS26において、判定部22は、J(t)が予めユーザ等により設定された閾値2より大きければ、処理をステップS27へ進め、J(t)が予め設定された閾値2より小さければ、処理をステップS28へ進める。
次に、ステップS27において、判定部22は、入出力部23に対して、「細長い」を示す情報を出力する。
また、ステップS28において、判定部22は、入出力部23に対して、「縦横比が1に近い」を示す情報を出力する。
【0061】
上述したように、本実施形態によれば、図4に示すように、センサ1がセンシングエリアにおいて、対象物(あるいは対象物の一部分)を検出することができる場合に、分散配置されそれぞれの位置が特定されていないセンサ1により、上述した推定値A(t)を求めることにより、対象物の大きさの推定を、可能とすることができる(大きさ推定システム)。
また、同様に、対象物の大きさが不変で分かっている場合、分散配置されそれぞれの位置が特定されていないセンサ1による対象物の検出の有無の情報のみから、J(t)を求めることにより、形状推定を可能とすることができる(形状推定システム)。
【0062】
上述したセンサ1は、対象物の大きさが不変で分かっている場合に形状推定を行う際、対象物の有無の検出のみであるならば、多くの一般的なセンサを用いることができる。
具体的には、振動センサや磁気センサにより、車両などの移動体の通過を検出する場合や、化学センサにより発生源から放出された化学物質の拡散を検出する場合、あるいはレーザなどの発光素子と受光素子との送受信対からなる光センサにより動物の大群の個体が横切ることを検出する場合、などが挙げられる。
すなわち、上述したように、車両・移動体・通過物、化学物質の塊、動物の群れの形状検出、が形状推定の場合に相当する。
【0063】
一方、センサ1が対象物の一部を検出し、その検出した部分の大きさをA(t)として検出結果としてセンタサーバ2へ送信する場合、このときセンサ1には例えばカメラなどの撮像素子が用いられる。判定部22は、この複数のカメラ(検出部11)による撮像画像を画像処理して対象物の範囲を特定する。
このとき、対象物が1つのセンサ1の画像に入りきる場合、対象物の大きさや形状は推定可能である。
本実施形態においては、対象物が1つのセンサ1の画像に入り切らない場合、複数のカメラのそれぞれの画像から対象物の映った部分の大きさを特定し(例えば、ファインダ全面の面積と、対象物の写っている領域との比率などを求め)、その映った部分の大きさA(t)を対応するセンサタサーバ2へ送信し、センタサーバ2が複数のセンサ1各々からの大きさA(t)の累積値の時間平均を求めることにより対象物全体の大きさや形状の推定が可能となる。
【0064】
カメラを用いた以外の例としては、1つのセンサ1の検出部11が物理的に離れた複数の検出器から構成される場合がある。例えば、図5に示すように、検出部11がマトリクス状に配置された検出器(i,j)による検出器アレイの構成が一例としてある。この検出器(i,j)は対象物の検出の有無のみを検出する検出器である。そして、データ処理部12は、対象物を検出した検出器(i,j)の範囲の大きさを、検出された対象物の部分の大きさA(t)として出力させる。
【0065】
上述したように、本実施形態によれば、2次元平面上を直線的に動く長方形の物体の形状を変え、1秒毎にセンシングを行うシミュレーションの実験を行い、センシングノード数の累積和と、センシング面積の累積和とを、それぞれ図6、図7にそれぞれ示した。
図6において縦軸がセンシングノード数の累積和であり、横軸が形状(対象物の縦横比)を示している。図7において縦軸がセンシング面積の累積和であり、横軸が形状(対象物の縦横比)を示している。
このシミュレーション結果を示す図6及び図7により、正方形に近い物体ほどセンシングノード数の累積和が減少することが確認できる。
この結果、分散された各センサ1のセンサ位置を正確に把握せず、かつ形状をモニタする機能がないセンサによっても、形状推定が可能となる。
【0066】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態による大きさ推定システムを図面を用いて説明する。本実施形態は、図1に示す第1の実施形態と同様の構成であり、センサ1及びセンタサーバ2から構成されている。第2の実施形態と第1の実施形態との違いは、センサ1が検出部11の検出範囲が異なることで区別されたセンサ1A及びセンサ1Bの2種類をそれぞれ群として有し、それぞれの群が検出範囲の同様な複数のセンサから構成されている点である。これらのセンサ群におけるセンサ1A及び1Bの配置位置は特定されてはおらず、それぞれランダムに配置されている。本実施形態においては、2つのセンサ群として説明するが、3種以上の複数種類の検出範囲のセンサ1により、それぞれの検出範囲毎にセンサ群を設けるようにしても良い。
ここで、センサ1Aにおける検出部11Aは、センサ2Aにおける検出部11Bに比較して、検出範囲が小さい、例えば1/2の距離範囲であるとする。
また、センサ1A及びセンサ1Bが出力する検出データは対象物の検出の有無を示すデータのみである。これらセンサ1A及びセンサ1Bがそれぞれ複数、異なる場所に設置されている。
【0067】
上記センサ1A及びセンサ1B各々は、同一タイプ(同一の検出距離を有する検出部11を有するタイプ)単位に検出休止(スリープ状態)期間あるいは検出(動作状態)期間に移行するとして以下の説明を行う。実際には、センサ1Aのセンサ群とセンサ1Bのセンサ群とが、それぞれセンサ群単位にて検出休止及び検出処理を行うのではなく、センサ群毎のデータが区別できれば、センサ群単位にて検出休止及び検出の周期を合わせる必要はない。
ここで、上述したセンサ1Aあるいは1Bの検出期間から検出休止期間へ、あるいは検出休止期間から検出期間への状態遷移、すなわちそれぞれの期間の開始及び終了は、例えば、各センサ1A及び1Bに内蔵されている時計に対して、検出及び検出休止それぞれの期間の開始及び終了の時間を予め設定しておく構成がある。また、他の方法として、センターサーバ2が内部に検出及び検出休止それぞれの期間の開始及び終了の時間が設定された時計を有し、センターサーバがセンサ1A及び1Bそれぞれに対し、検出及び検出休止の期間となった際、各センサに通知する構成としても良い。
【0068】
次に、図8を用いて本実施形態によるセンサ1A及び1Bの動作を説明する。図8は本実施形態によるセンサ1A(またはセンサ1B)の動作例を示すフローチャートである。本実施形態の大きさ推定システムにおいて、分散配置されているセンサ1Aが全体にてM個あり、センサ1BがN個として説明する。予め与えられた比較対象物と大きさが同じであり、形状の同一性が不明の検出対象物に対して、検出範囲の異なるセンサ1A及び1Bを用いて、形状同一性の判定を行う動作を図8のフローチャートにて行う。また、以下の説明においては、各センサ1A及び1Bに内蔵されている時計に対して、検出及び検出休止それぞれの期間の開始及び終了の時間を予め設定しておく構成として説明する。ここで、センサ1Aがタイプ1センサであり、センサ1Bがタイプ2センサである。
【0069】
センサ1Aは検出期間であるか否かを内部のフラグにより検出し(ステップS31)、検出期間でない(検出休止期間である)ことを検出すると処理をステップS32へ進め、検出期間であることを検出すると処理をステップS33へ進める。
そして、センサ1Aは、検出休止期間が休止期間が終了したか否かの判定を、内蔵する時計の時間により行い(ステップS32)、一定時間が経過したことを検出すると検出期間であることを示すフラグを立て、処理をステップS31へ進め、一方、一定時間を経過していないことを検出すると、ステップS32の処理を繰り返す。
【0070】
また、センサ1Aは、上記フラグが検出期間であることを示している場合、検出期間が経過したか否かの判定を、内蔵する時計の時間により行い(ステップS33)、一定時間が経過したことを検出すると検出期間であることを示すフラグを下げ、処理をステップS34へ進め、一方、一定時間を経過していないことを検出すると、ステップS33の処理を繰り返す。
そして、検出部11Aは、一定時間内における設定された周期毎における、対象物を検出したか否かを示すデータJi(t)をデータ処理部12に対して出力する(ステップS34)。
【0071】
データが入力されると、データ処理部12は、入力される対象物の有無を示す上記データJi(t)を一定時間内における平均を算出してレポートとし、検出結果(平均データJi(t))を作成し(ステップS35)、センタサーバ2へ出力し(ステップS36)、処理をステップS31へ進める。
例えば、センサ1Aの検出範囲のセンサ群における複数あるセンサ1Aにおける第i番目(i=1,…,M)のセンサ1Aが時刻tで対象物の検出の有無の時刻tまでの時間平均をレポートとして出力する。
センサ1Bも上述したように、図8に示す動作を行い、検出期間における検出結果として、対象物の有無を示すデータJj(t)をセンタサーバ2へ出力する。
例えば、センサ1Bの検出範囲のセンサ群における複数あるセンサ1Bにおける第j番目(j=1,…,N)のセンサ1Bが時刻tで対象物の検出の有無の時刻tまでの時間平均を、検出結果(Jj(t))を示すレポートを出力する。
【0072】
次に、図9を用いて本実施形態によるセンタサーバ2の動作を説明する。図9は本実施形態によるセンタサーバ2の動作例を示すフローチャートである。
送受信部21はセンサ1A及びセンサ1B各々から上記データJi(t)、Jj(t)を入力し、判定部22へ転送する(ステップS41)。
そして、判定部22は、センサ1Aのセンサ群における1番目からM番目までのセンサ1Aそれぞれから入力されるJi(t)、(i=1,…,M)を時間t(検出周期)毎に加算し、累積検知センサ数J(t:1A)=J1(t)+J2(t)+…Ji+…+JM=Σi=1Ji(t)を算出する。
また、判定部22は、センサ1Bのセンサ群における1番目からN番目までのセンサ1Bそれぞれから入力されるJj(t)、(j=1,…,N)を時間t(検出周期)毎に加算し、累積検知センサ数J(t:1B)=J1(t)+J2(t)+…Jj+…+JN=Σj=1NJj(t)を算出する(ステップS42)。
【0073】
次に、判定部22は、比較対象物に対して予め設定されている累積検知センサ数J(t:1A)及びJ(t:1B)各々に対し、センサ1A及び1Bから入力されたデータから算出したJi(t:1A)及びJ(t:1B)と差分(J(t:1A)−J(t:1A)、J(t:1B)−J(t:1B))の絶対値を各々算出し、算出された差分が双方共に誤差基準範囲内にあるか否かの判定を行う(ステップS43)。
このとき、判定部22は、J(t:1A)及びJ(t:1B)の差分が双方共に、センサ1A及び1Bそれぞれに予め設定された誤差基準(閾値)範囲内であるならば、「同一形状である」とし、それ以外の場合には「同一形状でない」と判定する(統計処理を行う)。
【0074】
上述したように、本発明によれば、センサ密度0.01の2次元平面内を直線的に動く物体(対象物)の形状を変えて、検出休止状態のセンサが1秒おきに起動し、検出対象の検出処理を行うシミュレーション実験を行い、累積検知センサ数J(t:x,y)をそれぞれ算出して、図10のグラフとして示した。ここで、「x、y」はx軸座標とy軸座標との検知センサ数の合計を意味している。縦軸が累積検知センサ数であり、横軸がセンサのセンシング半径を示している(センサ1A及び1Bの検出範囲を2次元における円状の範囲とした場合)。
縦横比1:9の長方形、薄くて大きいドーナツ(Doughnut)型(内径r=3)、厚くて小さいドーナツ型(内径=1.453)にて、これらを対象物として軌道上において速度1にて移動させる。
【0075】
図10に示すシミュレーション結果において、例えば、センサ1Aのセンシング(検出)半径が2、センサ1Bのセンシング半径が3とした場合、センサ1Bに対して検出範囲の小さいセンサ1Aの累積検知センサ数J(t:1A)により、薄くて大きいドーナツ型の対象物と、その他の形状とが区別されることがわかる。
また、同様に、図10の結果から。センサ1Aにより区別することができない長方形の対象物と、厚くて小さいドーナツ型の対象物とを、センサ1Aよりセンシング半径の大きなセンサ1Bの累積検知センサ数J(t:1B)により区別が可能であることがわかる。
【0076】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態による大きさ・形状推定システムを図面を用いて説明する。本実施形態は、図1に示す第1の実施形態と同様の構成であり、センサ1及びセンタサーバ2から構成されている。センサ1の配置位置は特定されていない。第3の実施形態と第1の実施形態との違いは、センタサーバ2内の動作のみであり、以下その点について図11を用いて説明する。図11は、第3の実施形態における図1に示す形状推定システムの動作例を示すフローチャートである。
図2に示す処理を行い、図2のステップS12において、検出部11は、対象物の検出の有無(有り=1、なし=0)の時間tまでの時間平均を示すデータJ(t)と、対象物を検出した場合、この対象物の検出できた部分の大きさの時刻tまでの時間平均A(t)、すなわちセンシング面積とを含む検出データをデータ処理部12へ出力する。
【0077】
また、センタサーバ2内の判定部22は、各センサ1を設置したセンサ設置者により、各センサ1のセンシング範囲の大きさの情報と、動作時間比に関する情報とを与えられ、これらの情報をもとに、センシング範囲の平均的大きさと、動作中にあるセンサの密度を示す動作中センサ密度の時間平均とを算出し、内部の記憶部に保持する。
また、センタサーバ2における判定部22は、上記センサ設置者から、センシング範囲の形状及び大きさについての情報と、対象物の形状カテゴリ(長方形、ドーナツ型、…などの形状の種類)についての情報も取得しているとする。
【0078】
そして、判定部22は、センシング範囲の大きさの情報と、動作時間比に関する情報とを与えられ、これらのセンシング範囲の平均的大きさと、動作中にあるセンサの密度を示す動作中センサ密度の時間平均と、センシング範囲の形状及び大きさについての情報と、対象物の形状カテゴリとについての情報から、予め形状カテゴリ毎に、検出センサ数期待値時間平均E[L(t)]/tの評価式を得て保持しておく。
例えば、対象物の大きさ、形状が固定された状態にて動き、動作中の平均センサ密度は一定λであり、センシング範囲が半径rの円内であり、対象物の形状カテゴリが大きさ(面積)がSであり、縦横比zの長方形である場合、検出センサ数期待値時間平均E[L(t)]/tは、次式にて与えられることとなる。
E[L(t)]/t=λ(S+2r(1+z)×(S/z)1/2+πr
【0079】
また、対象物の内径がxであり、外形yのドーナツ型の形状の場合、検出センサ数期待値時間平均E[L(t)]/tは、次式にて与えられることとなる。
E[L(t)]/t=λ(π(y+r)−π(x−r))、x>r
E[L(t)]/t=λ(π(y+r))、x<r
【0080】
そして、第1の実施形態と同様に、センタサーバ2において、送受信部21は、センサ1からのレポート(上記検出データ)を受信し、判定部22に対して転送する(ステップS51)。
レポートが入力されると、判定部22は、各センサ1から入力された大きさAi(t)により、E[R1(t)]/tの推定値であるA(t)を、すでに説明した(11)式により求める(統計処理を行う)。
また、(8)式において、その左辺の値は、(11)式より求めたA(t)により推定される。また、右辺の比例定数部分(すでに説明した(9)式)は、センシング範囲の平均的大きさと動作中センサ密度の時間平均との既知の数値にて与えられるため、判定部22は(8)式から対象物の大きさSを推定して(算出することにより)得ることができる(ステップS52)。
【0081】
次に、判定部22は、上述のように推定して得た対象物の大きさSを、入出力部23に対して出力する。
そして、入出力部23は、この大きさSを、対象物の大きさ推定値としてその数値を出力する(ステップS53)。
また、判定部22は、各センサ1から入力されるデータJi(t)により、E[L(t)]/tの推定値であるJ(t)を(10)式により算出する(統計処理を行う、ステップS54)。
以下説明する判定の処理において、センシング範囲が半径rの円内であり、対象物の形状カテゴリが大きさS、縦横比zの長方形である場合について説明する。
【0082】
ここで、判定部22は、検出センサ数期待値時間平均の評価式において、左辺E[L(t)]/tは、上記J(t)により推定することができる。
すなわち、仮に左辺E[L(t)]/tをJと表記した場合、検出センサ数期待値時間平均の評価式は、
((J/λ)×S×πr)/(2rS1/2)=(z+1)/z1/2
と表すことができる。
上記式の左辺のうち、動作中センサ密度(の時間平均)λは、すでに、判定部22が保持しており、かつ判定部22は大きさSについては(8)式により算出している。
また、センシング範囲の半径rも内部に保持しているため、判定部22は、左辺についての結果を算出することができる。
したがって、判定部22は、大きさSに依存せず、長方形の形状を決める縦横比zのみにより決定される関数である右辺の関数(z+1)/z1/2の数値を、左辺を算出することにより得る(ステップS55)。
【0083】
次に、判定部22は、ステップS55にて算出した左辺の数値が、予め設定されている数値(閾値)より大きいか否かの検出を行い(ステップS56)、左辺の数値が閾値より大きいことを検出した場合、処理をステップS57へ進め、一方、左辺の数値が閾値より小さいことを検出した場合、処理をステップS58へ進める。
そして、左辺の数値が閾値より大きい場合、判定部22は、入出力部23に対して、対象物の形状が「細長い」とする推定結果を出力する(ステップS57)。
一方、左辺の数値が閾値より大きい場合、判定部22は、入出力部23に対して、対象物の形状が「縦横比が1に近い」とする推定結果を出力する(ステップS58)。
【0084】
シミュレーション実験により、4種類の長方形の対象物を、設定した直線上を移動させて、以下の条件にて形状を評価した結果を図12に示す。図12は縦軸が関数(z+1)/z1/2の数値であり、横軸が対象物の面積を示している。
条件として、
・センサ密度 :0.01
・センシング半径 :1m
・物体を移動させた距離:100m
・物体の速度 :1m/s
・センシング周期 :1(秒)
・センシング回数 :100回
・シミュレーション回数:3回
の各数値を用いて、シミュレーションを行った。
図12に示すシミュレーションの結果を参照するとわかるように、大きさSに関係なく、縦横比zの推定が明確に行われていることがわかる。
【0085】
なお、図2、図9、図11におけるデータサーバ2の機能と、図3、図8におけるセンサ1の機能とを、それぞれ実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより図3に示すフローチャートの処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0086】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施形態による大きさ推定システム(または形状推定システム)の構成例を示すブロック図である。
【図2】大きさ推定システム(または形状推定システム)におけるセンサ1の動作例を説明するフローチャートである。
【図3】大きさ推定システム(または形状推定システム)におけるセンタサーバ2の動作例を説明するフローチャートである。
【図4】センサ1がセンシングエリアにおいて、対象物(あるいは対象物の1部分)を検出することができる場合に、この対象物の形状及び大きさを推定する動作の概念を示す概念図である。
【図5】本実施形態のセンサ1として用いられるセンサ構成の1例としてのセンサアレイを示す概念図である。
【図6】対象物の形状と、センシングノード数の累積和との対応を示すグラフである。
【図7】対象物の形状と、センシング面積の累積和との対応を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態による形状推定システムにおけるセンサ1の動作例を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態による形状推定システムにおけるセンタサーバ2の動作例を説明するフローチャートである。
【図10】第2の実施形態の形状推定システムによる形状推定のシミュレーション実験の結果を示すグラフである。
【図11】本発明の第3の実施形態による形状推定システムにおけるセンタサーバ2の動作例を説明するフローチャートである。
【図12】第3の実施形態の形状推定システムによる形状推定のシミュレーション実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0088】
1…センサ
2…センタサーバ
11…検出部
12…データ処理部
13…通信部
14,24…バッテリ
21…送受信部
22…判定部
23…入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のセンサと1つのセンタサーバから構成されており、検出対象の大きさを推定する大きさ推定システムであり、
前記センサが、
検出対象における検出した検出部分のセンシング面積を測定する検出手段と、
前記検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、
前記測定手段によるレポートを前記センタサーバに通知する通信手段と
を有し、
前記センタサーバが、
前記複数のセンサから前記通知を受信する送受信手段と、
前記複数のセンサからの通知に各々含まれる前記検出部分のセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の大きさを判定する判定手段と
を有することを特徴とする大きさ推定システム。
【請求項2】
前記センサ各々の位置が特定されていないことを特徴とする請求項1記載の大きさ推定システム。
【請求項3】
前記統計処理が前記複数のセンサからの通知に各々含まれるセンシング面積の時間平均の累積和を算出する処理であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の大きさ推定システム。
【請求項4】
複数個のセンサと1つのセンタサーバから構成されており、前記検出対象の形状を推定する形状推定システムであり、
前記センサが、
前記検出対象の有無を検出する検出手段と、
該検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、
前記処理手段によるレポートを前記センタサーバに通知する通信手段と
を有し、
前記センタサーバが、
前記複数のセンサから前記通知を受信する送受信手段と、
前記複数のセンサからの通知に各々含まれる対象物の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状を判定する判定手段と
を有することを特徴とする形状推定システム。
【請求項5】
前記センサ各々の位置が特定されていないことを特徴とする請求項4記載の形状推定システム。
【請求項6】
前記統計処理が前記複数のセンサからの通知により、対象物を検出したセンサ数の時間平均の累積和を算出する処理であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の形状推定システム。
【請求項7】
複数個のセンサから入力される検出対象において検出された検出部分のセンシング面積を含む検出データにより、検出対象の大きさを推定するセンタサーバであり、
前記複数のセンサから前記検出データを受信する送受信手段と、
前記複数の検出データ各々に含まれる前記検出部分のセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の大きさを判定する判定手段と
を有することを特徴とするセンタサーバ。
【請求項8】
複数個のセンサから入力される検出対象の検出の有無の情報を含む検出データにより、前記検出対象の形状を推定するセンタサーバであり、
前記複数のセンサから前記検出データを受信する送受信手段と、
前記複数の検出データ各々に含まれる対象物の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状を判定する判定手段と
を有することを特徴とするセンタサーバ。
【請求項9】
センシング範囲の大きさによって区別された複数個のセンサ群と、1つのセンタサーバとから構成され、1つのセンサ群は複数のセンサを有し、検出対象の形状を推定する形状推定システムであり、
前記センサが、
前記検出対象の有無を検出する検出手段と、
該検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、
前記処理手段によるレポートを前記センタサーバに通知する通信手段と
を有し、
前記センターサーバが、
前記各センサ群の複数のセンサから前記レポートを受信する送受信手段と、
前記各センサ群毎に、複数のセンサからのレポートに含まれる検出対象の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状の判定を行う判定手段と
を有することを特徴とする形状推定システム。
【請求項10】
前記センサ各々の配置位置が特定されていないことを特徴とする請求項9に記載の形状推定システム。
【請求項11】
前記統計処理が、前記センサ群毎に、前記複数のセンサからの通知により、検出対象を検出したセンサ数の時間平均の累積和を算出する処理であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の形状推定システム。
【請求項12】
複数のセンサ群の複数個のセンサから入力される検出対象の検出の有無を含む検出データにより、前記検出対象の形状を推定するセンタサーバであり、
前記各センサ群の複数のセンサから前記レポートを受信する送受信手段と、
前記各センサ群毎に、複数のセンサからのレポートに含まれる検出対象の検出の有無の情報を用いた統計処理を行い、前記検出対象の形状の判定を行う判定手段と
を有することを特徴とするセンタサーバ。
【請求項13】
複数個のセンサと1つのセンタサーバとから構成されており、前記検出対象の形状を推定する大きさ・形状推定システムであり、
前記センサが、
前記検出対象の有無を検出し、かつ前記検出対象における検出した検出部分のセンシング面積を測定する検出手段と、
該検出手段による検出データを処理し、レポート化する処理手段と、
前記処理手段によるレポートを前記センターサーバへ通知する通信手段と
を有し、
前記センターサーバが、
前記複数のセンサから前記通知を受信する送受信手段と、
前記複数のセンサからの前記通知に含まれる前記検出対象の検出の有無及びセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、該検出対象の大きさを推定し、かつ形状を判定する判定手段と
を有することを特徴とする大きさ・形状推定システム。
【請求項14】
前記センサ各々の配置位置が特定されていないことを特徴とする請求項13に記載の大きさ・形状推定システム。
【請求項15】
前記統計処理が、前記センシング面積の時間平均の累積和を、(動作中であるセンサの平均密度)×(各センサのセンシング範囲を平均した面積)により除算して、前記検出対象の大きさの推定値を算出処理であることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の大きさ・形状推定システム。
【請求項16】
前記統計処理が、検出対象を検出したセンサ数の時間平均と、前記センシング面積の時間平均の累積和とを用い、前記検出対象の形状を判定するパラメータのみにより定まる予め与えられた前記形状を示す関数の推定値を算出する処理であることを特徴とする請求項14から請求項15のいずれかに記載の大きさ・形状推定システム。
【請求項17】
前記検出対象が縦横比z、面積Sの長方形であって、前記センサのセンシング範囲が半径rの円状の範囲である場合、
前記関数が
((J/λ)・S・πr)/(2rS1/2)=(z+1)/z1/2
であり、
前記Jの値が対象物を検出したセンサ数の時間平均、λが動作中センサの密度の時間平均であり、前記関数の左辺を計算することにより、前記検出対象の形状を決めるパラメータzのみにより求まる予め与えられた右辺を算出することにより、形状を推定することを特徴とする請求項16に記載の大きさ・形状推定システム。
【請求項18】
複数個のセンサから入力される検出対象の有無と、センシング面積の検出データを用いた処理により、前記検出対象の大きさ及び形状を推定するセンタサーバであり、
前記複数のセンサから前記検出データを受信する送受信手段と、
前記検出データ各々に含まれる前記検出対象の検出の有無及びセンシング面積の情報を用いた統計処理を行い、該検出対象の大きさを推定し、かつ形状を判定する判定手段と
を有することを特徴とするセンタサーバ。
【請求項19】
コンピュータに請求項7、請求項8、請求項12及び請求項18のいずれかに記載のセンターサーバの動作を実行させるためのコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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