説明

大型の車体部品

本発明は大型の車体部品に関し、特にボンネット又はフロントリッドに関し、万一、頭部が前記部品と衝突した場合に衝撃を抑えるように構成されている。この目的を達成するために、この車体部品は補強された内側部(1)とアウターパネル(19)とを備え、それぞれ結合要素によって互いに連結されている。本発明の目的は、低コストで最適なエネルギー吸収を達成することにある。本目的を達成するため、これらの結合要素(15、16)は舌片形状に構成されており、内側部(1)から突出して、互いに距離を隔てて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の車体部品に関し、特に請求項1の前段による、ボンネット又はフロントリッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
衝突に巻き込まれた歩行者または人物らに対する傷害度、特に頭部の傷害を軽減するために、ボンネットおよび/またはフロントボンネットは特定の領域において特に衝撃吸収設計がなされていることが知られるようになってきた。この目的を達成するためボンネットは、衝撃によって吸収されるべき衝撃エネルギーがボンネットの変形によって軽減されるような設計となっている。従ってボンネットの貫入深さはボンネットの下に配置された駆動装置と接触しないよう特定レベルを超えないものとなっている。
【0003】
特許文献1には、補強されている内側部を含みアウターパネルを備えた、衝撃を吸収するように設計されたボンネットが示されている。このアウターパネルは結合要素を介して内側部と結合されている。特許文献1のこの結合要素は、接着層によってパネルに取り付けられU字形状に設計されている。ボンネットがこれらの領域において特に補強されるように、この接着層はU字形状の周縁まで延びている。その延長線上の別の領域において異なる剛性度を有するボンネットを設計するために、このU字形状はその側壁にスロットまたはリブのいずれかを備えている。
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第101 09 663A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このリブおよび/またはスロット製造のためには当然製造コストが増える。そこで本発明の目的は、頭部の衝撃時に頭部の傷害を制限し、費用効果の高い生産をすることができる大型の車体部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、アウターパネルと内側部を結合する結合要素が舌片として構成され、内側部から突出しており、これらが互いにある距離を隔てて配置されている本発明によって実現される。舌片を介してパネルを内側部に結合することで、ほんのわずかな接着層しか必要としない。従って、内側部におけるわずかな支点でパネルを支えているので、頭部に衝撃を受けた場合、好ましい変形作用が実現される。従って同時に、ボンネットのねじれ剛性と座屈強度に関する要件が満たされる。舌片はそれぞれパネルを支えるように構成されている。従って衝撃の際に、その力はこれら舌片を介して内側部に伝達されるので、ボンネットの異なる領域で舌片の大きさおよび舌片の形状を変えることにより、違う剛性値を実現することができる。また、パネルはさらに変形作用を呈する。同時に、内側部と舌片が深絞り部品として製造されれば、生産を簡素化できる。
【0007】
舌片をアウターパネルに耐久力のある方法で固定するために、各舌片は接着層を受容し、パネルを局所的に支えるフランジを備えている。このフランジの大きさを変えることで剛性を調整することができる。
【0008】
製造コストを節減するため、舌片と内側部は一体的に構成することができ有利である。好ましい実施形態において、内側部はアウターパネルの端部領域と部分的に重なり、かつ少なくとも1つの凹部を形成するフレームを備えている。アウターパネルとフレームはこれらの端部領域で相互に連結されている。
【0009】
互いに格子状に配置された輪郭部はそれぞれフレームで形成された凹部内へ延びており、舌片は輪郭部から突出している。このことは、剛性はそれぞれの衝撃部位、例えば子供の頭部の衝撃部位または大人の衝撃部位に応じて、容易に形成できるという利点がある。
【0010】
一実施形態において、2つの輪郭部はフレームの凹部内に配置され、車両の長手方向に伸びており、構造部品でふさがれている凹部の一部に取り付けられている。
【0011】
請求項8によると、別の実施形態において、2つの舌片は輪郭部から斜め上方へ突出しており鏡面対称となっているので、輪郭部と舌片の断面はW字形状となっている。この断面は特にこの近傍において最適な変形作用を生み出す。舌片は任意に非対称形に配置してもよい。内側部における舌片の配置は所望するボンネットの剛性に応じて選んでよい。
【0012】
実施形態を図1と2に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1にボンネットの内側部1を示す(詳細は図示せず)。この内側部1は凹部3を形成するフレーム2を備えている。凹部3の内部には2つの輪郭部4と5が車両の長手方向に配置されている。輪郭部4、5は凹部3の一部をふさいでいる構造部品6に取り付けられている。従って、3つの開口部7と、8と、9とは内側部1に配置されており、輪郭部4、5によって互いに隔てられている。更に凹部材11がそれぞれフロントガラスに面するフレーム2の端部領域10にはめ込まれている。
【0014】
図2において特に明らかなように、輪郭部4は、2つのアーム13、14を有する溝状輪郭部12として構成されている。舌片15および/または16が各アーム13および/または14に接続されている。舌片15および/または16はその自由端にフランジ17および/または18を備えている。このフランジ17および/または18の上面はボンネットのアウターパネル19に対し略平行に延びている。フランジ17および/または18の上面とアウターパネル19の下面との間には、アウターパネル19と内側部1を連結する接着層20が用いられている。
【0015】
ボンネットとの衝撃の場合には、その力は矢印Fに従ってアウターパネル19へ伝えられる。局所的および/または線形にアウターパネル19を支えることによって、このアウターパネルは折れ曲がり、その結果、この力をフランジ17および/または18を介して舌片15と、16とに伝達し、従って内側部1に伝達する。従ってボンネットにおける剛性は、舌片の数とその大きさに従い最適な方法で設計することができる。同様に、接着剤の剛性および/または強度ならびに接着面の大きさを特定することによって、ボンネットが吸収するエネルギーは好適な方法で効果をもたらす。接着面を少なくすることにより、接着剤の使用量を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ボンネットの内側部の平面図である。
【図2】線II−IIに沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部の衝撃に対し衝撃吸収設計で、補強された内側部と、結合要素によって前記内側部と結合されているアウターパネルとを有する大型の車体部品、特にボンネット又はフロントリッドであって、
前記結合要素が舌片(15、16)として構成され、前記内側部(1)から突出し、これらが互いにある距離を隔てて配置されていることを特徴とする大型の車体部品。
【請求項2】
前記各舌片(15、16)が前記アウターパネル(19)を局所的に支えるフランジ(17、18)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の大型の車体部品。
【請求項3】
前記舌片(15、16)と前記内側部(1)が一体的に構成されていることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の大型の車体部品。
【請求項4】
前記内側部(1)が前記アウターパネル(19)の端部領域と部分的に重なり、かつ少なくとも1つの凹部(3)を形成するフレーム(2)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の大型の車体部品。
【請求項5】
互いに格子状に配置された輪郭部(4、5)が前記フレーム(2)内の前記凹部(3)へ延び、前記舌片(15、16)は前記輪郭部(4、5)から突出していることを特徴とする、請求項4に記載の大型の車体部品。
【請求項6】
前記輪郭部(4、5)が前記凹部(3)内に配置され、前記車両の長手方向に伸びていることを特徴とする、請求項5に記載の大型の車体部品。
【請求項7】
前記凹部(3)の一部が構造部品(6)によってふさがれていることを特徴とする、請求項5あるいは6に記載の大型の車体部品。
【請求項8】
2つの前記舌片(15、16)が前記輪郭部(4、5)から斜め上方へ突出して鏡面対象となっており、その結果、前記輪郭部(4、5)と前記舌片(15、16)の断面はW字形状であることを特徴とする、請求項5あるいは6に記載の大型の車体部品。
【請求項9】
前記舌片(15、16)の数によって、前記アウターパネル(19)の貫入深さが決まることを特徴とする、請求項1に記載の大型の車体部品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−515331(P2007−515331A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544244(P2006−544244)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013113
【国際公開番号】WO2005/063553
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】