説明

大型望遠鏡用イメージロテータ装置およびその光学系駆体の組み立て調整方法

【課題】 望遠鏡装置に組み込む前に光学系を容易に調整設定可能にする。
【解決手段】 イメージロテータ駆動機構部と分離可能な光学系躯体とからなり、光学系躯体は、イメージロテータ回転軸と平行な上側板と下側板、該回転軸に垂直な入射側板と射出側板、上側板上で調整支持された反射板M2、入射側板の開口部を通る入射主光線を反射板M2方向に反射する下側板上で調整された反射板M1、反射板M2で反射した入射主光線を該回転軸と一致させて射出側板の開口部へ向け反射する下側板上で調整された反射板M3を備え、イメージロテータ駆動機構部は、射出側板のフランジ部と合致することによりイメージロテータ回転軸を入射主光線の光軸と一致させて光学系躯体を支持する回転筒体、この回転筒体を当該回転軸を中心として回転可能に支持する回転支持手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、望遠鏡装置における天体追尾に伴う視野回転を補償する大型望遠鏡用イメージロテータ装置(ナスミス焦点に結像する像の回転補正機構)およびその光学系駆体の組み立て調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
架台が経緯台式の望遠鏡の場合、天体追尾の際、視野回転(像の回転)が生じる。望遠鏡に付設される観測装置によっては、この回転が問題となることから、観測装置自体を回転させたり、また、光路上の複数の反射面からなる光学系を回転させたりすることで、この視野回転の補償を行っている。観測に必要な光束を確保するだけの大きさを持つ光学系を回転させれば良いことから、大型の観測装置の場合、機構的に有利なイメージロテータが用いられている。しかし、イメージロテータの場合、構成部品である反射面の位置と傾きを調整設定することが難しい。
【0003】
反射面には平面鏡を利用する場合と、プリズムを利用する場合がある。後者の場合、各反射面の位置関係はプリズムの加工時に決定することから、平面鏡を利用する場合に比べて取り付け時における調整の自由度が少なく、プリズムの加工精度が十分に高い場合、調整作業自体は容易になる。しかし、大型プリズムの製作は困難であり、広い視野のイメージロテータには適しない。よって、必然的に大型望遠鏡のイメージロテータには、視野が十分に狭い場合以外は平面鏡を利用せざるを得ないというのが実状である。従来、平面鏡を用いた光学系のイメージロテータ装置を、光路からの退避、挿入、すなわち着脱を可能にしたものがあるが(例えば、特許文献1参照)、この着脱機構は、イメージロテータを利用した観測と、利用しない観測の2種類の観測を行なうための構造である。イメージロテータの調整については、望遠鏡装置に組み込んだ状態で行なうようにしていると考えられる。
【0004】
【特許文献1】特開平7−218843号公報(図1、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来行われているイメージロテータの典型的な調整法としては、望遠鏡装置に組込んだ上でイメージロテータを回転し、イメージロテータの一端から入射させた光線の、もう一端における投影面での軌跡が、回転中心に対して真円を描き、その真円の半径がイメージロテータがない場合の投影面での光線の入射位置と回転中心間の距離と一致するよう、反射面を調整する方法である。この場合、望遠鏡装置に組み込んだイメージロテータの構造は、調整者が反射面にアクセスし易くなくてはならない。しかし、空間的配置等の理由でこのような構造にすることが困難となる場合がある。調整時に実機を利用できない場合には、同等の駆動機構を別途用意しておき、これにイメージロテータを組込むか、あるいは光源自体をイメージロテータ回転軸の回りに回転させるなどして大掛かりな調整を行なわなければならないという問題があった。
【0006】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、実機やそれを模擬する大掛かりな試験調整治工具を使わずに、望遠鏡装置に組み込む前に光学系を容易に調整設定可能にするイメージロテータ装置およびその光学系駆体の組み立て調整方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る大型望遠鏡用イメージロテータ装置は、望遠鏡装置に設けられたイメージロテータ駆動機構部とこのイメージロテータ駆動機構部に分離可能に装着されるように組み立てられた光学系躯体とからなり、光学系躯体は、イメージロテータ回転軸の両側に平行に配置された上側板と下側板と、イメージロテータ回転軸が通る開口部を持ち、イメージロテータ回転軸に垂直で、かつ上側板と下側板の一端に配置して組み立てられた入射側板と、イメージロテータ回転軸が通る開口部を持ち、イメージロテータ回転軸に垂直で、かつ上側板と下側板の他端に配置して組み立てられ、組み立て後にフランジ部を形成する射出側板と、イメージロテータ回転軸に平行に配置されるように上側板上で調整支持された反射板M2と、入射側板の開口部からのイメージロテータ回転軸と一致する望遠鏡からの入射主光線を反射板M2方向に反射するよう下側板上で調整支持された反射板M1と、反射板M2で反射した入射主光線をイメージロテータ回転軸と一致させて射出側板の開口部へ向け反射するよう下側板上で調整支持された反射板M3とを備え、イメージロテータ駆動機構部は、光学系躯体を収容した際、フランジ部と合致することによりイメージロテータ回転軸を望遠鏡からの入射主光線の光軸と一致させて光学系躯体を支持する装着部を有する回転筒体と、この回転筒体を前記光軸と一致するイメージロテータ回転軸を中心として回転可能に支持する回転支持手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、イメージロテータ本体を望遠鏡装置に装着する前にイメージロテータの光学系の精度の高い調整設定を可能とし、装着後の調整を殆ど不要にできる効果がある。また、装着前の調整設定においてイメージロテータを回転させる駆動機構のような大掛かりな調整治具を別途用意することも不要にする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はイメージロテータの反射面の理想的な幾何学的配置を示す模式図である。
1〜3はイメージロテータ内の反射面である。ここで、これら各反射面1〜3内のゆがみを無視し、イメージロテータ回転軸4上を通る光線が順次各反射面1,2,3に入射する位置を含む微小平面が各反射面を代表すると仮定する。その場合、各反射面に要求される幾何学的配置は図1のように単純化することができる。この場合、反射面1〜3の調整は、望遠鏡からの入射主光線5とその射出主光線6を同一軸上に載せることと、この軸をイメージロテータ回転軸4と一致させることである。そこで、この発明の実施の形態1では、反射面1,2,3の組み立て構造として、調整を容易にし、上記条件を満たすことができる理想的なイメージロテータ装置の光学系躯体を以下のように提案する。
【0010】
この発明の大型望遠鏡用イメージロテータ装置は、望遠鏡装置に設けられたイメージロテータ駆動機構部と、このイメージロテータ駆動機構部に分離可能に装着される光学系躯体とからなっている。イメージロテータ駆動機構部については、図8により後述する。
図2はこの発明の実施の形態1によるイメージロテータ装置の光学系躯体の構成を示す正面図である。
この光学系躯体は、図1の3個の反射面1,2,3を有するそれぞれの反射板M1,M2,M3を備えている。反射板M1,M2,M3は、各反射面に余計な力によるたわみが生じないように当該反射面をミラーセルで保持しており、ミラーセルは押し引きねじ等を用いて位置および傾斜が調整できるように製作されている。ここで、便宜上、イメージロテータ使用時における望遠鏡からの入射主光線5の進行方向を紙面左側から右側とし、反射面を左側より順に反射板M1,M2,M3と呼ぶこととする。イメージロテータ回転軸4上にある入射主光線5は順次各反射板M1,M2,M3で入射、反射が行われ、射出主光線6として取り出されるが、ここでは、入射主光線5と射出主光線6がイメージロテータ回転軸4に一致させられている。そのために、2つの反射板M1,M3上の入射主光線の入反射点が二等辺三角形(正三角形でもよい)の等しい2角の頂点を形成し、1つの反射板M2の入射主光線の入反射点がこの二等辺三角形の等しい2角と異なる角の頂点を形成するよう各反射板M1,M2,M3の位置を設定している。
【0011】
上側板15と下側板14は、イメージロテータ回転軸4の両側に平行に配置され、下側板14は反射板M1,M3を上述したように調整支持し、上側板15は反射板M2をイメージロテータ回転軸に平行に配置するように調整支持する部材である。反射板M1,M3は角柱ブロック17を用いて上側板15上に支持される。そのため、角柱ブロック17は1つの矩形面を下側板14上に接し、他の傾斜した2つの矩形面で反射板M1,M3それぞれ調整支持している。入射側板16は、イメージロテータ回転軸4に垂直になるよう上側板15と下側板14の一端に配置して組み立てられる。入射側板16は、イメージロテータ回転軸4が通るように中央に、例えば円盤や正方形などの形状の開口部16aを持ち、入射光を取り込むようにしている。また、後述する調整用ピンホール板とのインタフェース部を有している。射出側板13は、イメージロテータ回転軸4に垂直になるよう上側板15と下側板14の他端に配置して組み立てられる。射出側板13は、イメージロテータ回転軸4が通るように、中央に、例えば円盤や正方形などの形状の開口部13aを持ち、出射光を取り出すようにしている。また、後述するように調整用ピンホール板を設置したり、望遠鏡装置側に設けられたイメージロテータ回転駆動機構部と結合したりするためのインタフェース部を形成している。特に、イメージロテータ回転駆動機構部と結合する際の位置決めに用いるフランジ部13bを、光学系躯体を組み立てたときに形成するようにしている。したがって、この射出側板13はイメージロテータの調整精度を規定するものであり、十分な精度を持って加工されているものである。
下側板14、上側板15、入射側板16および射出側板13は、それぞれ十分な平行度を保って組み立てられている。また、この光学系躯体がたわまないようにするため、図では明記されていないが、紙面手前と反対側にも側板を備えておくことが好ましい。
【0012】
次に、光学系躯体の組み立てと調整の手順について説明する。最初に、各側板の組み立て調整を行う。
まず、上側板15に反射板M2のベースプレート18を取り付け、反射板M2の反射面がイメージロテータ回転軸4と平行となるように設定する。そのために、図3に示すように、上側板15の反射板M2と同じ取り付け面上に十分な平行度をもつ調整用ミラー19を一時設置し、調整用ミラー19の上部に配置した調整用のレーザ装置20からのレーザ光線を調整用ミラー19に対し照射する。そして、調整用ミラー19による反射光がレーザ装置20の射出口に戻るようにレーザ装置20の向きを調整することで、上側板15に対する垂線を得る。次に、この上側板15の垂線となるレーザ光線が反射板M2上に位置するようにXYステージ等を用いてレーザ装置20を平行移動させ、レーザ装置20の射出口に反射板M2による反射光が戻るように反射板M2の傾きを調整し固定する。この調整は、例えば反射板M2を保持するミラーセルを三点支持する押し引きネジ加減することにより行なわれる。次に、この上側板15を射出側板13に直角に取り付け、さらに下側板14と入射側板16を取り付ける。この時点で、反射板M2の反射面は射出側板13の面に組み立て精度内で垂直となり、イメージロテータ回転軸4と平行になる。
【0013】
次に、反射板M2が取り付けられた光学系躯体に対して、入射主光線をイメージロテータ回転軸4に合わせる調整について図4により説明する。
まず、射出側板13のフランジ部13bの内側に調整用ミラー19を一時設置し、また、調整用のレーザ装置20を入射側板16より前方の離れた位置に設置する。次に、レーザ装置20から調整用ミラー19に対してレーザ光線を照射し、調整用ミラー19で反射したレーザ光線がレーザ装置20の射出口に戻るように射出側板13の面の角度を調整する。すなわちレーザ光線が射出側板13の垂線となるように調整する。
次に、射出側板13の開口部13aに調整用ピンホール板22を、例えば嵌め合いにより取り付ける。入射側板16側に設置されたレーザ装置20を射出側板13の面に対して平行移動させ、レーザ光線を入射側板16の開口部16a内に向けて照射する。レーザ装置20をさらに平行移動させ、このレーザ光線が調整用ピンホール板22のピンホール8を通るように調整する。このピンホール8を通ったときのレーザ光線をイメージロテータ回転軸4とする。このピンホール8の偏芯は射出側板13と調整用ピンホール板22の加工精度によって決まる。その後、入射側板16にも調整用ピンホール板21を取り付け、両調整用ピンホール板21,22のピンホール7,8をレーザ光線が同時に通るように上側板15、入射側板16の組み立ての状態を締め付けなどで調整する。この状態で、光学系躯体の各側板の組み立て調整を完了する。
【0014】
次に、反射板M1,M3の取り付けと傾きの調整方法について図5により説明する。
反射板M1,M3は角柱ブロック17の上面にある互いに反対方向に傾斜した2つの矩形面に、例えば押し引きねじを用いて3点支持の方法により取り付けられる。その後、同様な方法で、この角柱ブロック17を下側板14の内側面に取り付け、反射板M1上に調整用のプリズム23を載せる。この場合、反射板M1とプリズム23の接触面は滑らかであるため吸い付くので、特に保持するための手段を別途用いなくてもよい。なお、プリズム23には、反射板M1,M2,M3上の入射主光線の入反射点が正三角形の頂点を形成する場合には60度の頂角を持つものが使用される。この状態で、射出側板13の垂線となるレーザ光線をプリズム23に照射し、反射光がレーザ装置20の射出口に戻って来るように反射板M1の傾きを調整する。この調整は、例えばミラーセルの3点支持を行なっている押し引きねじを加減することにより行なう。破線で示すように、同様に反射板M3上にプリズム13を載せ、レーザ光線の反射を利用して反射板M3の傾きを調整する。
【0015】
次に、反射板M1,M2,M3の位置の調整方法を図6により説明する。
まず、反射板M1,M2,M3に関する設計上の入射主光線との交点位置をそれぞれ記入した調整用フィルム24,25,26を反射板M1,M2,M3の反射面に貼り付ける。次に、射出側板13の垂線となるレーザ光線を入射側板16のピンホール板21のピンホール7を通して入射し、反射板M1への入射位置が調整用フィルム24の交点位置に一致するように、角柱ブロック17の位置をねじの押し引きなどの方法で調整する。この場合、紙面に垂直な方向に関しては、角柱ブロック17をスライドさせて調整を行なう。調整後、調整用フィルム24を反射板M1から取り外す。次に、反射板M1にて反射したレーザ光線の反射板M2への入射位置が調整用フィルム25の交点位置と一致するように、反射板M2のベースプレート18の位置を調整する。調整後、調整用フィルム25を取り外す。さらに、反射板M2にて反射したレーザ光線の反射板M3への入射位置が調整用フィルム26の交点位置と一致するよう角柱ブロック17を調整する。調整後、調整用フィルム26を取り外す。
【0016】
反射板M1,M2,M3の位置調整が終了したら、入射側板16および射出側板13の両ピンホール板21,22のピンホール7,8をレーザ光線が通ることを確認する。ただし、この時点では射出側板13側のピンホール8を通ったレーザ光線が必ずしもイメージロテータ回転軸と一致しているとは限らず、ある傾きを持っている可能性がある。そこで、両ピンホールをレーザ光線が通ることを確認した後、図7に示すように、射出側板13側のピンホール8の位置にイメージロテータ回転軸4と垂直になるように調整用ミラー27を置く。レーザ光線は、イメージロテータ回転軸4と一致している場合、調整用ミラー27で反射して入射時の光路を戻り入射側板16のピンホールを通ってレーザ装置20の射出口に到達する。一方、レーザ光線がレーザ装置20の射出口に戻らない場合であっても、これまでの調整で調整用ミラー27には垂直にレーザ光線が入射していることから、反射板M2のベースプレート18あるいは角柱ブロック17をわずかに動かすことによってレーザ光線がレーザ装置20の射出口に戻るよう調整することが可能である。レーザ光線の戻りを確認したら、光学系躯体内の調整は完了する。
【0017】
図8は光学系躯体を望遠鏡装置の高度軸内に組込んだ状態を示す概略構成図である。
上述したように調整を終えた光学系躯体は望遠鏡装置40に設けられたイメージロテータ駆動機構部に組み込まれる。イメージロテータ駆動機構部は、図8の部分拡大図に示すように、望遠鏡からの入射主光線の光軸41にイメージロテータ回転軸4が一致するように設けられた回転筒体42と、この回転筒体42を光軸41(またはイメージロテータ回転軸4)を中心として回転可能に支持するローラまたはギヤ(回転支持手段)28を備えている。回転筒体42は、光軸41に沿った開口部に、光学系躯体の射出側板13のフランジ部13bと合致する形状(例えば凹部)の装着部49を備えている。したがって、光学系躯体は、回転筒体42内に収容された際、射出側板13のフランジ部13bを装着部49に装着してねじ止めすることにより、回転筒体42内に回転可能に支持される。なお、図示していないが、上下側板15,14と直交する面(紙面に平行な面)にもメンテナンス用の窓を持つ側板を設けておくようにすれば、光学系駆体の自重による歪は抑えることができる。
以上のようにして、光学系躯体は高度軸内に設置され、イメージロテータ回転軸4を光軸41と一致させることができる。光軸41上のナスミス焦点位置、すなわち図8において、イメージロテータを通過した光線が集束する位置には、観測装置30が台29により設置されており、イメージロテータ装置内を通過した光によるナスミス焦点位置の像を観測装置30により観測することが可能となる。
【0018】
以上のように、この実施の形態1によれば、イメージロテータの構造を望遠鏡装置に装着できるように光学系躯体として単体化し、装着前に、イメージロテータの反射面の精度の高い調整設定を独立して容易に行なえる効果が得られる。したがって、望遠鏡装置への装着後に各反射面の再調整の作業を殆どなくすことができるため、望遠鏡装置のわずかなスペースしか取れない高度軸内の構造に対してもイメージロテータの設置を容易にし、また逆に、望遠鏡装置側の対応部の小型化を図ることもできる。また、反射面の再蒸着など、反射面の取り外しを伴うオーバーホール時にも再調整を容易にし、メンテナンスやオーバーホールにより発生する望遠鏡非稼働時間を削減可能とする。また、組み立て調整方法においては、実機やそれを模擬する大掛かりな治具を必要とせずに、レーザ装置とピンホール板を用いることで、機械的加工精度レベルで各反射面の調整設定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係るイメージロテータの反射面の理想的な幾何学的配置を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1による望遠鏡用イメージロテータ装置の光学系躯体の構成を示す正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る反射板M2の上側板への組み立て調整を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る光学系躯体の調整方法を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る反射板M1,M3の取り付けと調整方法を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る各反射板の位置調整の方法を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る最終調整の方法を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る望遠鏡装置の高度軸内に組込んだイメージロテータ装置の状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0020】
1〜3 反射面、4 イメージロテータ回転軸、5 入射主光線、6 射出主光線、7,8 ピンホール、13 射出側板、13a,16a 開口部、13b フランジ部、14 下側板、15 上側板、16 入射側板、17 角柱ブロック、18 ベースプレート、19,27 調整用ミラー、20 レーザ装置、21,22 調整用ピンホール板、23 プリズム、24〜26 調整用フィルム、28 ローラまたはギヤ(回転支持手段)、29 台、30 観測装置、40 望遠鏡装置、42 回転筒体、49 装着部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
望遠鏡装置に設けられたイメージロテータ駆動機構部とこのイメージロテータ駆動機構部に分離可能に装着されるように組み立てられた光学系躯体とからなり、
前記光学系躯体は、
イメージロテータ回転軸の両側に平行に配置された上側板と下側板と、
イメージロテータ回転軸が通る開口部を持ち、イメージロテータ回転軸に垂直で、かつ上側板と下側板の一端に配置して組み立てられた入射側板と、
イメージロテータ回転軸が通る開口部を持ち、イメージロテータ回転軸に垂直で、かつ上側板と下側板の他端に配置して組み立てられ、組み立て後にフランジ部を形成する射出側板と、
イメージロテータ回転軸に平行に配置されるように上側板上で調整支持された反射板M2と、
入射側板の開口部からのイメージロテータ回転軸と一致する望遠鏡からの入射主光線を反射板M2方向に反射するよう下側板上に調整支持された反射板M1と、
反射板M2で反射した入射主光線をイメージロテータ回転軸と一致させて射出側板の開口部へ向け反射するよう下側板上で調整支持された反射板M3とを備え、
前記イメージロテータ駆動機構部は、
前記光学系躯体を収容した際、前記フランジ部と合致することによりイメージロテータ回転軸を望遠鏡からの入射主光線の光軸と一致させて前記光学系躯体を支持する装着部を有する回転筒体と、
この回転筒体を前記光軸と一致するイメージロテータ回転軸を中心として回転可能に支持する回転支持手段とを備えたことを特徴とする大型望遠鏡用イメージロテータ装置。
【請求項2】
光学系躯体は、2つの反射板M1,M3上の入射主光線の入反射点が二等辺三角形の等しい2角の頂点を形成し、1つの反射板M2の入射主光線の入反射点が前記二等辺三角形の等しい2角と異なる角の頂点を形成するように2つの反射板M1,M3の傾斜を下側板上で支持し規定する2面を持つ角柱ブロックを備えたことを特徴とする請求項1記載の大型望遠鏡用イメージロテータ装置。
【請求項3】
望遠鏡装置に設けられたイメージロテータ駆動機構部に分離可能に装着される大型望遠鏡用イメージロテータ装置の光学系躯体の組み立て調整方法であって、
上側板の一つの面に反射板M2と第1の調整用ミラーを設置し、上側板の上記一つの面の垂直方向に配置した第1のレーザ装置から第1の調整用ミラーにレーザ光線を照射して反射光が射出口に戻るように第1のレーザ装置の向きを調整するステップと、
第1のレーザ装置を平行移動してレーザ光線を反射板M2上に照射し、反射光が射出口に戻るように反射板M2の傾きを調整するステップと、
上側板と下側板を平行に配置し、イメージロテータ回転軸が通る開口部をそれぞれ持つ射出側板と入射側板をこれら上側板と下側板の一対の端部に直角に組み立て、組み立てにより射出側板にフランジ部を形成するステップと、
前記フランジ部の内側面に第2の調整用ミラーを設置し、入射側板より前方に設置した第2のレーザ装置から第2の調整用ミラーに対してレーザ光線を照射し、反射光が射出口に戻るように射出側板の垂直度を調整するステップと、
射出側板の開口部に第1の調整用ピンホール板を配置し、入射側板の開口部を通して照射した第2のレーザ装置のレーザ光線が第1の調整用ピンホール板のピンホールを通るように第2のレーザ装置を平行移動させて調整するステップと、
入射側板に第2の調整用ピンホール板を配置し、第2のレーザ装置のレーザ光線をイメージロテータ回転軸として想定して第1および第2の調整用ピンホール板のピンホールを同時に通るように上側板と入射側板の組み立て状態を調整するステップと、
反射板M1,M3を角柱ブロックの上面にある互いに反対方向に傾斜した2つの面に取り付け、この角柱ブロックを下側板の内側面に取り付けるステップと、
反射板M1またはM3上に調整用プリズムを載せ、射出側板または入射側板の垂線となる第2のレーザ装置のレーザ光線を調整用プリズムに照射し、その反射光が射出口に戻るように反射板M1またはM2の傾きを調整するステップと、
望遠鏡からの入射主光線の光軸との交点位置を記入した調整用フィルムを反射板M1,M2,M3の反射面にそれぞれ貼り付け、射出側板の垂線となる第2のレーザ装置のレーザ光線を第2の調整用ピンホール板のピンホールを通して照射し、反射板M1,M2,M3への入射位置が各調整用フィルムの交点位置と一致するように各反射板を順次調整するステップと、
第1および第2の調整用ピンホール板の両ピンホールをレーザ光線が通ることを確認し、第1の調整用ピンホール板のピンホールの位置にイメージロテータ回転軸と垂直になるように第3の調整用ミラーを置き、第2のレーザ装置のレーザ光線が第3の調整用ミラーで反射して光路を戻り射出口に到達することを確認し、その際、必要に応じて反射板M1,M2,M3を微調整するステップとを有することを特徴とする大型望遠鏡用イメージロテータ装置の光学系躯体の組み立て調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−39402(P2006−39402A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222114(P2004−222114)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(504290181)
【Fターム(参考)】