説明

大理石を使用した仕上パネル

【課題】建物又は他の構造物の壁、床、ドアに取り付けられる、大理石を用いた仕上パネルで、経済性に優れ、取扱いや建造が容易で、特に高い安定性及び耐衝撃性を有し、優れた機械加工特性により建築の便宜を図ると共に、長期間連結状態を安定して保持できる仕上パネルを提供する。
【解決手段】仕上パネル10は、正面に配置される大理石パネル11と、該大理石パネル11の背面に結合される後本体パネル20とを含む。後本体パネル20は、大理石パネル11と同じサイズに形成され且つ大理石パネル11に付着される支持パネル23と、該支持パネル23の背面に且つ両側部が互いに補完する形で対向するように形成された連結パネル24とを備える。連結パネル24の一側部には、支持パネル23の背面側に溝部25が形成され、他側部には突出部26が形成され、該溝部25及び突出部26が、隣接する連結パネル24の突出部26及び溝部25と係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造の壁、 床面又はドアに付着される仕上パネルに関する。より詳細には、高級な外観を呈する大理石を用いて、建築の作業性及び耐久性を向上させる簡易な構造で連結できる仕上パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、壁又は床の仕上要素として、セラミックタイル、鋼板、あるいは強化プラスチックで形成したパネルが広く使用されている。しかし、最近では、アパートなどの居住環境に対する関心から、公共の建物やオフィスのスペースが増大すると共に、差別化された高級な環境づくりのため、天然大理石で形成されたパネルの使用が増加する傾向にある。
【0003】
参考までに、商品として天然大理石パネルが製造され、600mm×600mm×20mm及び500mm×500mm×20mmの標準サイズで使用されている。しかしながら、大理石パネルには次のような欠点がある。
【0004】
第一に、原材料の価格が問題である。大理石それ自体の原材料価格は、他の材料に比べて相対的に高い。更に、大理石の配送や切り出しは、建設業の作業者ではなく、特に熟練した専門の石材業者でなければできないことである。そのため、人件費が非常に高く、その費用が原材料価格に含まれることで、大理石パネルの価格を増大させている。結果として、大理石パネルは、仕上要素として広く使用できず、非常に高価な一部の建物に限定的に用いられている。
【0005】
第二に、材料の特性がもう1つの問題である。大理石は、他の材料に比べて重くて脆い。そのため、構築とその取扱いが難しく、大理石パネルで壁面又は床面を構築すると、その構築費用が増大すると共に構築期間も長くなってしまう。
【0006】
そのため、大理石パネルの上記の問題を解決することが望まれている。1つの解決策として、下記特許文献1及び2に開示されているように、セラミックタイル層と大理石の層を接着剤で結合して大理石パネルを形成することが提案されている。これらの開示では、純粋な大理石パネルの厚みを代替する背面部として市販のセラミックタイルが使用される。セラミッタイルは、粘土、長石、珪岩(quartzite)、石英など無機質の石で表面処理した粘土を高温で焼成することによって形成されるものであり、これによって大理石タイルの価格と重量の低減を、ある程度達成することができる。
【特許文献1】韓国特開2003−90146号公報
【特許文献2】韓国特開2006−19824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、 セラミックタイルは尚、固さに問題がある。すなわち、セラミックタイルは、切断、研削、研磨などの機械加工が困難なほど脆いということである。その結果、上記の提案に係るセラミックタイル付着型の大理石パネルは、純粋な大理石パネルの脆い特性を補償することができないという制限がある。更に、機械加工における弱点のため、種々の建築環境と特注のデザイン或いは建築の便宜向上に適用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、従来の大理石パネルや大理石タイルの上記した欠点のほか不利な点を解決しようとするものである。
【0009】
本発明によれば、建物又は他の構造物の壁、床、ドアに取り付けられる、大理石を用いた仕上パネルが提供される。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、経済性に優れ、取扱いや建造が容易で、特に高い安定性及び耐衝撃性を有する仕上パネルを提供することである。
【0011】
本発明の更にもう1つの目的は、優れた機械加工特性により建築の便宜を図ると共に長期間連結状態を安定して保持できる仕上パネルを提供することである。
【0012】
正面に大理石パネルを配置し、該大理石パネルの背面に後本体パネルを結合した仕上パネルにおいては、後本体パネルは、大理石パネルと同じサイズに形成され且つ大理石パネルに付着された支持パネルと、該支持パネルの背面に位置決めされ、両側が対向して互いに対応する形状に形成された連結パネルとを含み、該連結パネルの一側部は支持パネルの後に溝部を有して形成され、他側は突出部を有して形成され、その溝部及び突出部は隣接する連結パネルの突出部及び溝部と係合するようになっている。
【0013】
上記溝部及び突出部は、互いに結合されたときに相互に分離するのを防止するための保持要素を備えて形成されることが好ましい。
【0014】
本発明の目的、特徴及び利点は、添付図面を参照して行う後述の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、支持パネル及び連結パネルについてそれらの材料特性を詳細に説明し、更に本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0016】
支持パネルは、石膏プラスター板、バムライト(bamlight)板、アクリル又は繊維板などの材料で形成される。
【0017】
石膏板では、石膏プラスターが、強力な板を形成するために2枚の原シート材の間に安定化した結晶状態で硬化される。
【0018】
一般に、石膏プラスター板は、防火性、軽量、断熱性、遮音性、建築作業性、防水性(防水処理された石膏)などの特性において優れているので、理想的な建築内装材料として知られている。そのため、石膏プラスター板は、本発明における後本体パネルとして適切に用いられる。
【0019】
更に、バムライト板は、主な原材料としてセメント及び無機繊維で製造される所謂「繊維-強化セメント板」を代表している。
【0020】
一般に、バムライト板は、不燃性、軽量、耐衝撃性、建築作業性、耐蝕性などの特性において優れているので、不燃内装材料としてだけでなく、湿潤な場所で理想的な仕上材料としても知られている。そのため、バムライト板は、本発明における後本体パネルとして適切に用いられる。特に、バムライト板は、極めて湿潤な場所で防水性を向上させるための多層構造に形成される。
【0021】
アクリルは、主な原材料としてメチルメタクリレートMMAで形成されるプラスチック材料を代表している。一般に、アクリル板は、光透過性、耐衝撃性、軽量、耐薬品性、耐候性、防水性、着色力などの特性において優れているので、本発明における支持パネルとして適切に用いられる。特に、大理石パネルを透過する光はアクリルで拡散され、全体として照明効果を奏する。
【0022】
繊維板は、木材や藁などの植物繊維を熱圧縮又は乾燥成形することによって形成される板材を代表している。繊維板は、その比重によって軟質繊維板、半硬質繊維板(中密度繊維板MDF)、硬質繊維板(高密度繊維板HDF)に分けられ、本発明における支持パネルとして、MDF又はHDFが適切に用いられる。
【0023】
上記支持パネルの材料は、耐衝撃性に優れ、且つ軟質変形、曲げ、捻り又は湿気による亀裂などの欠点がない。そのため、支持パネルは、正面に配置される大理石パネルの脆弱な特性を補完すると同時に、環境要因によって変形を生じることなく大理石パネルのための後本体パネルの第1要素として使用できる。後本体パネルを構成する支持パネルと後述の連結パネルは、抗菌及び脱臭効果のためにバイオセラミック材料で被覆されることが好ましい。
【0024】
繊維板は、本発明における仕上パネルの連結パネルには本質的に必要ではないが、その軽量及び高い付着力により仕上パネルとしての利点をもつ。更に、繊維板は比較的厚く作られ、機械加工特性が高いので、本発明において大理石パネルのための後本体パネルの第2の要素として適切に用いられる。
【0025】
本発明においては、仕上パネルは、建築の便宜のため種々の形状に形成される。第一に、仕上パネルは、隣接する他の仕上パネルの側部と互いに嵌合するように設計される。第二に、仕上パネルは、付加的に設けられるレールと嵌合させられる。その構造は、本発明において後本体パネルを形成する材料の優れた機械加工特性によって改変される。以下、図面を参照して説明する。
【0026】
図1及び図2を参照すると、本発明の仕上パネル10は、正面位置に配置される大理石パネル11と、この大理石パネル11の背面に結合された後本体パネル20とを含む。後本体パネル20は、石膏プラスター板、バムライト板、アクリル又は繊維板で形成される支持パネル23と、これら仕上パネル10の連結状態を保持するために支持パネル23の背後に位置付けられた連結パネル24とを含む。支持パネル23は、大理石パネル11と等しい面積に形成され、連結パネル24は、支持パネル23の背後に結合される。ここで、連結パネル24は、大理石パネル11に対して、図1に示すように対角線方向に、或いは図2に示すように横方向にずらされる。
【0027】
上記の構造では、隣接する仕上パネル10は、パズル片のように互いに嵌合する。図には示していないが、連結パネルとして繊維板を含む後本体パネル20には、パズル状の嵌合構造が用いられる。
【0028】
この時、後本体パネル20全体が傾くか、或いは後本体パネル20の連結パネル24が傾けられる。
【0029】
図3及び図4を参照すると、本発明の仕上パネル10は、正面位置に配置された大理石パネル11と、大理石パネル11の背面に結合された後本体パネル20とを含む。後本体パネル20は、石膏プラスター板、バムライト板又はアクリル板で形成された支持パネル23と、繊維板で形成された連結パネル24とを含む。支持パネル23は、大理石パネル11と同じ標準形に形成され、大理石パネル11と同心状に結合される。
【0030】
一方、連結パネル24は、上側と下側、右側と左側がそれぞれ対応する形状であり、大理石パネル11に対して互いに対応する側が向かい合っている。すなわち、連結パネル24の一側部には、支持パネル23の背後に溝部25が形成され、他側には、溝部25と対応する位置に突出部26が形成されている。従って、連結パネル24同士は、1枚の連結パネル24の突出部26が他の連結パネル24の溝部25に嵌合することにより、互いに係合する。組立の便宜のため、突出部26は、その先端に向かって次第に薄くなるテーパ状に形成されている。
【0031】
溝部25と突出部26との間の係合にかかる結合力を強化するため、溝部25と突出部26間の係合がはずれるのを防止する保持要素が設けられる。
【0032】
図4を参照すると、保持要素として、溝部25には保持溝27が形成され、突出部26には、保持突部28が保持溝27と対応する位置で保持溝27に補完する形に形成されている。
【0033】
図5に示すように、補完形状の溝部25と突出部26、及び保持溝27と保持突部28による結合構造は、溝部25と突出部26を係合させ、溝部25と突出部26間の係合が外れるのを防止し、1つの仕上パネル10と他の隣接する仕上パネル10との間の結合を嵌合によって実現する。
【0034】
なお、上記後本体パネル20の連結パネル24は、建築構造物の一面に付加的に設けられたレールに嵌合するレール溝33を有する。この構成では、仕上パネル10は、連結パネル24をレールに嵌合させることによって構造物に取り付けられ、必然的に仕上パネル10は所定の位置に配置される。
【0035】
レール構造33は、上記の互いに補完的な溝部25と突出部26、及び溝部25と突出部26が互いにずれるのを防止する保持溝27と保持突部28の構成は、無関係に用いられるが、構築の便宜を向上させるため共に用いてもよい。
【0036】
本発明に従う仕上パネルは、正面側の大理石パネルと、大理石パネルの背面に結合された後本体パネルとを含む。後本体パネルは、高い耐衝撃性と優れた建築作業性及び機械加工特性とを有する材料で選択的に形成される。そのため、後本体パネルは大理石パネルの脆弱な特性を補う。
【0037】
いずれにしても、互いに補完する形の溝部と突出部、及びずれ防止の結合構造、すなわち溝部及び突出部に形成された保持溝と保持突部は、仕上パネル同士の連結状態を安定して維持する。
【0038】
従って、本発明の仕上パネルは、建築の便宜を提供すると共に長期間安定した建築状態を維持し、それによって競合性と信頼性を向上させる。
【0039】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲において当業者が適宜改変し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の好ましい実施形態に従う仕上パネルの平面図。
【図2】図1の仕上パネルを改変した、本発明のもう1つの好ましい実施形態に従う仕上パネルの平面図。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従う仕上パネルの平面図。
【図4】本発明の好ましい実施形態に従う仕上パネルの拡大断面図。
【図5】本発明の好ましい実施形態に従う仕上パネルの連結状態を説明する拡大断面図。
【符号の説明】
【0041】
10…仕上パネル、11…大理石パネル、20…後本体パネル、23…支持パネル、24…連結パネル、25…溝部、26…突出部、27…保持溝、28…保持突部、33…レール溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面に配置される大理石パネル及び該大理石パネルの背面に結合される後本体パネルを含む仕上パネルにおいて、前記後本体パネルは、前記大理石パネルと同じサイズに形成され且つ該大理石パネルに付着された支持パネルと、該支持パネルの背面に位置付けられ且つ両側部が互いに補完する形で対向するように形成された連結パネルとを備え、該連結パネルの一側部には、前記支持パネルの背面側に溝部が形成され、他側部には突出部が形成され、該溝部及び該突出部が、隣接する連結パネルの突出部及び溝部と係合するようになっていることを特徴とする仕上パネル。
【請求項2】
請求項1記載の仕上パネルにおいて、前記連結パネルはMDF(中密度繊維)板又はHDF(高密度繊維)板であることを特徴とする仕上パネル。
【請求項3】
請求項1記載の仕上パネルにおいて、前記支持パネル及び前記連結パネルはバイオセラミック材料で被覆されていることを特徴とする仕上パネル。
【請求項4】
請求項1記載の仕上パネルにおいて、前記連結パネルの前記突出部はテーパ状に形成されていることを特徴とする仕上パネル。
【請求項5】
請求項1記載の仕上パネルにおいて、前記連結パネルの背面にはレール溝が形成されていることを特徴とする仕上パネル。
【請求項6】
請求項1記載の仕上パネルにおいて、前記溝部及び前記突出部は、互いに結合されたときに相互に分離するのを防止するための保持要素を備えていることを特徴とする仕上パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−332762(P2007−332762A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38291(P2007−38291)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(507054342)
【Fターム(参考)】