説明

大開口数多モード光ファイバ

大コア径及び大開口数を有する多モード光ファイバが開示される。開示される多モード光ファイバは30μmより大きい半径を有するコア領域及び、コア領域を囲み、コア領域に直に接する、クラッド領域を有し、クラッド領域は凹相対屈折率を有する凹屈折率環状領域を含む。凹クラッド領域は二酸化チタンドープクラッド領域に囲まれる。ファイバは、120μmより小さい総外径を有し、850nmにおいて200MHz-kmより広い全モード励振伝送帯域を示す。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条e項の下に、2010年3月2日に出願された米国仮特許出願第61/309660号の優先権の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は全般的には光ファイバに関し、さらに詳しくは多モード光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
コーニング社(Corning Incorporated)は、最大相対屈折率Δが約2%でコア径が62.5μmのコアを有する多モードファイバである、InfiniCor(登録商標)62.5μm光ファイバを、また、最大相対屈折率Δが約1%でコア径が50μmのコアを有する多モードファイバである、InfiniCor50μm光ファイバも、製造販売している。コーニング社は、100μmのコア径、140μmのアンドープシリカクラッド層径、及び0.29の開口数を有する分布屈折率光ファイバである、100/140 CPC3多モードファイバも製造した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
大コア径及び大開口数を有する多モード光ファイバが本明細書に開示される。本明細書に開示される多モード光ファイバは、30μmより大きなコア半径を有する分布屈折率コア領域及びコア領域を囲んでいるクラッド領域を有し、クラッド領域はクラッド層の他の部分に対して凹んでいる凹屈折率環状クラッド領域を有することができる。好ましくは、凹屈折クラッド領域はコアに直に接していることができる。二酸化チタンドープクラッド領域が上記クラッド領域を囲む。二酸化チタンは、好ましくは5重量%より多く、さらに好ましくは8重量%より多くの、10重量%より多くし得る、量で存在することができる。二酸化チタンドープ領域の幅は1μmと5μmの間である。ファイバは120μmより小さい総外径を有することが好ましく、850nmにおいて200MHz-kmより広い全モード励振伝送帯域を示すことができる。
【0005】
ファイバのコアはガラスであることが好ましく、凹屈折率環状領域及びいずれのクラッド領域もガラスとすることができる。凹屈折率環状クラッド領域は、好ましくは約−0.1より小さい屈折率Δ及び少なくとも1μmの幅を、さらに好ましくは約−0.2より小さい屈折率Δ及び少なくとも2μmの幅を有する。凹屈折率環状クラッド領域はコアに直に接していることが好ましい。しかし、凹屈折率環状クラッド領域はコアから、例えば、4μm未満の距離で、さらに好ましくは1μmから4μmの距離で、隔てることができる。本明細書に開示されるそのような光ファイバは850nmにおいて200MHz-kmより広い全モード励振伝送帯域を示すことができる。本明細書に開示されるファイバは、好ましくは120μmより小さく、さらに好ましくは110μmより小さい最外ガラス径を有する。
【0006】
コアの屈折率プロファイルは放物型または実質的に放物型の形状を有することが好ましい。凹屈折率環状領域は、例えば、複数の空孔を含むガラス、あるいはフッ素、ホウ素またはこれらの混合物のような下げドーパントがドープされたガラス、あるいは1つないしさらに多くのそのような下げドーパントがドープされたガラスに加えて複数の空孔を含むガラスからなることができる。いくつかの好ましい実施形態において、凹屈折率環状領域はフッ素ドープ石英ガラスからなる。いくつかの実施形態において、凹屈折率環状領域は、約−0.2%より小さい屈折率Δ及び少なくとも1μmの幅、さらに好ましくは約−0.3%より小さい屈折率Δ及び少なくとも2μmの幅を有する。
【0007】
空孔を含むクラッドを有するいくつかの実施形態において、いくつかの好ましい実施形態での空孔は凹屈折率環状領域内に非周期的に配置される。「非周期的配置」は、光ファイバの(軸線に垂直な断面のような)断面をとった場合に、非周期的に配置された空孔がファイバの一部にかけて(例えば凹屈折率環状領域内において)ランダムにまたは非周期的に分布することを意味する。ファイバの長さに沿う別の点でとられた同様の断面は異なる態様でランダムに分布する断面孔パターンを示すであろう。すなわち、様々な断面は、空孔の分布及び空孔径が正確な一致を示さない、相異なる断面孔パターンを有するであろう。すなわち、空孔は非周期的である、すなわち、空孔はファイバ構造内に周期的に配置されてはいない。これらの空孔は光ファイバの長さに沿って(すなわち軸線に平行に)引き伸ばされる(細長にされる)が、一般的な長さの伝送ファイバについて、ファイバ全体の全長にわたって延びてはいない。空孔の延びの長さは、ファイバの長さに沿って、20mより短く、さらに好ましくは10mより短く、さらに一層好ましくは5mより短く、いくつかの実施形態では1mより短いと考えられる。
【0008】
本明細書に開示される多モード光ファイバは非常に低い曲げ誘起減衰、特に非常に低いマクロベンド誘起減衰を示す。したがって、多モード光ファイバは、分布屈折率ガラスコア及びコアを囲んでいる凹屈折率環状領域を含む第2のクラッド層を有し、凹屈折率環状領域は、約−0.2%より小さい屈折率Δ及び少なくとも1μmの幅を、さらに好ましくは約−0.3%より小さい屈折率Δ及び少なくとも2μmの幅を有し、本ファイバはさらに、850nmにおいて0.5dB/ターン以下の3mm径マンドレル0.5ターン巻付け減衰増大、0.24より大きく、さらに好ましくは0.26より大きく、最も好ましくは0.28より大きい開口数、及び、850nmにおいて200MHz-kmより大きく、さらに好ましくは850nmにおいて500MHz-kmより大きく、さらに一層好ましくは850nmにおいて700MHz-kmより大きく、最も好ましくは850nmにおいて1000MHz-kmより大きい、全モード励振伝送帯域を示す。
【0009】
本明細書に開示される構成を用いれば、好ましくは850nmにおいて200MHz-kmより大きく、さらに好ましくは850nmにおいて500MHz-kmより大きく、さらに一層好ましくは850nmにおいて700MHz-kmより大きく、最も好ましくは850nmにおいて1000MHz-kmより大きい、全モード励振伝送(OFL)帯域を提供する、コア径が60μmないしさらに大きい(例えば、70μmより大きいか、または75μmより大きい)多モードファイバを作製することができる。そのような広帯域は、1.0dBより小さく、さらに好ましくは0.5dBより小さく、さらに一層好ましくは0.3dBより小さく、最も好ましくは0.2dBより小さい、850nmの波長における1×180°ターン3mm径マンドレル巻付け減衰増大を維持しながら、達成することができる。そのような広帯域はdBとすることもできる。そのようなファイバは、0.2dBより小さく、さらに好ましくは0.1dBより小さく、最も好ましくは0.05dBより小さい、850nmの波長における2×90°ターン4mm径マンドレル巻付け減衰増大も維持しながら達成することができる。そのような曲げ損失及び帯域は入力信号がファイバの中心に合わせられた場合にも、入力信号がファイバの中心に対して5μm、さらには10μm、オフセットされて投射されたときにも、達成される。そのようなファイバはさらに、0.24より大きく、さらに好ましくは0.26より大きく、最も好ましくは0.28より大きい、開口数(NA)を提供することができる。そのようなファイバは同時に、200MHz-kmより大きく、好ましくは500MHz-kmより大きく、さらに好ましくは1000MHz-kmより大きい、1300nmにおけるOFL帯域をさらに示すことができる。
【0010】
本明細書に開示される多モード光ファイバは、850nmにおいて5.0dB/kmより小さく、好ましくは850nmにおいて4.0dB/kmより小さく、さらに一層好ましくは850nmにおいて3.5dB/kmより小さく、さらになお好ましくは850nmにおいて3.0dB/kmより小さい、スペクトル減衰を示すことが好ましい。本明細書に開示される多モード光ファイバは、1300nmにおいて1.5dB/kmより小さく、好ましくは1300nmにおいて1.5dB/kmより小さく、さらに一層好ましくは1300nmにおいて0.8dB/kmより小さい、スペクトル減衰を示すことが好ましい。そのようにすることで、いくつかの状況において凹クラッド領域を有する光ファイバに対して帯域をさらに向上させ得るように、多モード光ファイバに撚りを施すことが望ましいことがある。撚りは、ファイバが光ファイバから線引きされている間、すなわち、ファイバがまだある程度加熱されていて非弾性回転変形を受けることができ、ファイバが十分に冷却された後に回転変形を実質的に保持することができる間に、撚りがかけられる、ファイバへの撚りの適用または付与を意味する。
【0011】
本明細書に開示される光ファイバの開口数(NA)は、0.32未満で0.18より大きいことが好ましく、0.2より大きいことがさらに好ましく、0.32未満で0.24より大きいことがさらに一層好ましく、0.30未満で0.24より大きいことが最も好ましい。
【0012】
コアは中心線から、R1≧30μm、さらに好ましくはR1≧35μm、いくつかの場合にはR1≧40μmの、半径R1まで外向きに拡がるように構成することができる。コアは、R1≦50μm、好ましくはR1≦45μmの、半径R1を有するように構成することができる。
【0013】
コアは、3.0%以下で0.5%より大きく、さらに好ましくは2.5%未満で0.9%より大きく、最も好ましくは2.2%未満で1.2%より大きい、最大相対屈折率を有するように構成することができる。コアは1.6%と2.0%の間の最大相対屈折率を有することができる。
【0014】
本明細書に開示される光ファイバは、800nmと1400nmの間の全ての波長において、1.0dBをこえず、好ましくは0.5dBをこえず、さらに好ましくは0.3dBをこえず、最も好ましくは0.2dBをこえない、1×180°3mm径マンドレル巻付け減衰増大を示すことができる。
【0015】
本明細書に開示される多モード光ファイバは、軸方向中心線の回りに配された分布屈折率ガラスコア、及びコアを囲んでいるガラスクラッド層を有することができる。クラッド層は凹屈折率環状領域を及び外環状領域を有する。凹屈折率環状領域はコアに直に接することが好ましく、いくつかの実施形態において外環状領域はアンドープシリカクラッド層を含むことが好ましいが、他の実施形態において凹環状領域は光ファイバの最外ガラス径まで拡がることができる。本明細書に述べられる屈折率は全て、以下で説明されるように、外環状領域が基準になっている。
【0016】
本明細書に開示されるファイバは、そのような遠距離通信ファイバに対する通常の動作波長において、すなわち少なくとも850nmから1300nmまで拡がる波長範囲にわたり、多モードであることができる。
【0017】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは以下の詳細な説明及び添付される特許請求の範囲を含み、添付図面も含む、本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
【0018】
上述の全般的説明及び以下の詳細な説明がいずれも本発明の実施形態を提示し、特許請求されるような本発明の本質及び特質の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は本発明の様々な実施形態を示し、記述とともに、本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、凹屈折環状領域がコアからオフセットされ、外環状クラッド領域で囲まれている、本明細書に開示される多モード光ファイバの一実施形態例のガラス領域の断面の屈折率プロファイルの(比例拡縮されていない)略図を示す。
【図2】図2は、図1の光導波路ファイバの断面図の(比例拡縮されていない)略図を示す。
【図3】図3は、凹屈折環状領域がコアからオフセットされておらず、外環状クラッド領域で囲まれている、本明細書に開示される多モード光ファイバの一実施形態例のガラス領域の断面の屈折率プロファイルの(比例拡縮されていない)略図を示す。
【図4】図4は、図3の光導波路ファイバの断面図の(比例拡縮されていない)略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、当業者にはその説明から明らかであろうし、あるいは以下の詳細な説明に添付される特許請求の範囲及び添付図面と合わせて説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
【0021】
「屈折率プロファイル」は屈折率または相対屈折率と導波路ファイバ半径の間の関係である。
【0022】
「相対屈折率%」はΔ%=100×(n−n基準)/2nと定義され、nは、別途に指定されない限り、領域iの最大屈折率である。相対屈折率%は、別途に指定されない限り、850nmで測定される。別途に指定されない限り、n基準はアンドープ石英ガラスの屈折率、すなわち、850nmにおいて1.4525である。
【0023】
本明細書に用いられるように、相対屈折率はΔで表され、別途に指定されない限り、その値は「%」単位で与えられる。ある領域の屈折率が基準屈折率n基準より小さい場合、相対屈折率%は負であり、凹領域または凹屈折率を有すると称され、最小相対屈折率は、別途に指定されない限り、屈折率が最も負である点において計算される。ある領域の屈折率が基準屈折率n基準より大きい場合、相対屈折率%は正であり、その領域は、高められているまたは正屈折率を有するといわれ得る。「上げドーパント」は、本明細書において、純粋なアンドープSiOに対して屈折率を高める性質を有するドーパントと見なされる。「下げドーパント」は、本明細書において、純粋なアンドープSiOに対して屈折率を低める性質を有するドーパントと見なされる。上げドーパントは、上げドーパントではない1つないしさらに多くの他のドーパントがともなう場合、負の相対屈折率を有する光ファイバの領域に存在することができる。同様に、正の相対屈折率を有する光ファイバの領域に上げドーパントではない1つないしさらに多くのドーパントが存在することができる。下げドーパントは、下げドーパントではない1つないしさらに多くの他のドーパントがともなう場合、正の相対屈折率を有する光ファイバの領域に存在することができる。同様に、負の相対屈折率を有する光ファイバの領域に下げドーパントではない1つないしさらに多くのドーパントが存在することができる。
【0024】
別途に注記されない限り、マクロベンド性能は、FOTP-62(IEC-60793-1-47)にしたがい、2mm、3mmまたは10mmあるいは同様の直径のマンドレル上への、規定されたターン数またはターン角に対し、1ターン巻付け、曲げによる減衰の増大を測定する光源が試験下のファイバのコア径の50%より大きいスポット径を有する全モード励振伝送投射条件を用いて、決定した(例えば、「1×10mm径マクロベンド損失」または「1×180°ターン3mm径マクロベンド損失」)。いくつかの測定において、1×25mm径マンドレルに中点近くで布設した2m長のInfiniCor50μm光ファイバの入力端に全モード励振伝送パルスを投射することによって、エンサークルドフラックス投射(EFL)マクロベンド性能を得た。InfiniCor50μm光ファイバの出力端を試験下のファイバに永久接続し、測定される曲げ損失は、曲げがない状態における損失に対する規定された曲げ条件下の損失の比である。
【0025】
本明細書に用いられるように、ファイバの開口数は、名称を「測定方法及び試験手順−開口数(Measurement Methods and Test Procedures-Numerical Aperture)」とする、TIA SP3-2839-URV2 FOTP-177 IEC-60796-1-43に説明される方法を用いて測定されるような開口数を意味する。
【0026】
術語「αプロファイル」または「アルファプロファイル」は、rを半径として、式:
【数1】

【0027】
にしたがう、「%」単位のΔ(r)によって表される相対屈折率プロファイルを指す。ここで、rは別途に指定されない限りゼロであり、rはΔ(r)%がゼロである点であり、rはr≦r≦rの範囲にあって、Δは上で定義され、rはαプロファイルの始点であり、rはαプロファイルの終点であり、αは実数の指数である。
【0028】
凹屈折率環状領域は、本明細書において、
【数2】

【0029】
と定義される、プロファイル体積,Vを有する。ここで、定義にしたがい、Rは凹屈折率環状領域の内径であり、Rは凹屈折率環状領域の外径である。本明細書に開示されるファイバに対し、Vの絶対値は、120%-μmより大きいことが好ましく、160%-μmより大きいことがさらに好ましく、200%-μmより大きいことがさらに一層好ましい。Vの絶対値は、400%-μmより小さいことが好ましく、350%-μmより小さいことがさらに好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、Vの絶対値は、120%-μmより大きく、350%-μmより小さい。他の好ましい実施形態において、Vの絶対値は、160%-μmより大きく、300%-μmより小さい。
【0030】
本明細書に開示される多モード光ファイバはコア及びコアを囲んでコアに直に接するクラッド層を有する。いくつかの実施形態において、コアはゲルマニウムがドープされたシリカ、すなわち二酸化ゲルマニウムドープシリカを含む。所望の屈折率及び密度を得るため、本明細書に開示される光ファイバのコア内に、特に中心線またはその近くに、AlまたはPのようなゲルマニウム以外のドーパントを、単独でまたは組み合わせて、用いることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される光ファイバの屈折率プロファイルはコアの中心線から外半径まで非負である。いくつかの実施形態において、光ファイバはコアに屈折率下げドーパントを含有していない。
【0031】
図1は、ガラスコア20及びガラスクラッド層200を有し、クラッド層が内環状領域30,凹屈折率環状領域50,外環状領域60,及び二酸化チタンドープ外クラッド領域70を有する、多モード光ファイバの一実施形態例のガラス部分の断面の屈折率プロファイルの略図を示す。図2は図1の光導波路ファイバの断面の(比例拡縮されていない)略図である。コア20は外半径R1及び最大屈折率Δ,Δ1最大を有する。内環状領域30は屈折率Δ,Δ2を有し、幅W2及び外半径R2を有する。凹屈折率環状領域50は、最小屈折率Δ%,Δ3最小、幅W3及び外半径R3を有する。凹屈折率環状領域50は、コア20からオフセットされて、すなわち内環状領域30によって隔てられて示される。好ましい実施形態において、内環状領域30の幅は4.0μmより小さくすることができる。
【0032】
図1に示される実施形態において、凹屈折率環状領域50が内環状領域30を囲み、外環状クラッド領域60が環状領域50を囲み、好ましくは環状領域50に接し、二酸化チタンドープ外クラッド領域70が外環状クラッド領域60を囲み、好ましくは外環状領域60に接する。二酸化チタンドープ外クラッド領域70内の二酸化チタンは、好ましくは5重量%より多く、さらに好ましくは8重量%より多くの量で存在することができ、10重量%より多くすることができる。二酸化チタンドープ領域は1μmと5μmの間の幅を有する。内環状領域30は、最大相対屈折率Δ2最大及び最小相対屈折率Δ2最小を有し、いくつかの実施形態においてはΔ2最大=Δ2最小である。凹屈折率環状領域50は、最小相対屈折率Δ3最小を有する、屈折率プロファイルΔ3(r)を有する。外環状領域60は相対屈折率Δ4を有する。Δ1>Δ4>Δ3であることが好ましく、図1に示される実施形態において、Δ1>Δ2>Δ3である。いくつかの実施形態において、内環状領域30は、一定のΔ2(r)を有する図1に示されるように、実質的に一定の屈折率プロファイルを有し、いくつかの実施形態において、Δ2(r)=0%である。いくつかの実施形態において、外環状領域60は、一定のΔ4(r)を有する図1に示されるように、実質的に一定の屈折率プロファイルを有し、いくつかの実施形態において、Δ4(r)=0%である。コアはフッ素を実質的に含まないことが好ましく、コアはフッ素を含まないことが好ましい。いくつかの実施形態において、内環状領域30は最大絶対値が0.05%より小さい相対屈折率プロファイルΔ2(r)を有し、Δ2最大<0.05%及びΔ2最小>−0.05%であることが好ましく、凹屈折率環状領域50は、クラッド層の相対屈折率が初めに−0.05%より小さい値に達する半径から始まり、中心線から外向きの径方向に進む。いくつかの実施形態において、外環状領域60は、最大絶対値が0.05%より大きく、−0.05%より小さい、相対屈折率プロファイルΔ4(r)を有する。
【0033】
光ファイバのガラス部分の外径は、120μmより小さいことが好ましく、110μmより小さいことがさらに好ましく、約100μm以下であることがさらに一層好ましい。すなわち、図1に示される実施形態において、外層クラッド径(2×R4)は、120μmより小さいことが好ましく、110μmより小さいことがさらに好ましく、約100μmより小さいことがさらに一層好ましい。いくつかの実施形態において、コア径(2×R1)は、35μmと45μmの間、さらに好ましくは37μmと43μmの間であり、外層クラッド半径R4は、45μmと55μmの間、さらに好ましくは47μmと53μmの間である。いくつかの好ましい実施形態において、外層クラッド領域60は、15μmより小さく、さらに好ましくは10μmより小さく、最も好ましくは7μmより小さい、幅を有する。
【0034】
本明細書に開示される多モード光ファイバにおいて、コアは分布屈折率コアであり、コアの屈折率プロファイルは放物型(または実質的に放物型)の形状を有することが好ましく、例えば、コアの屈折率プロファイルは、α値が、850nmで測定して、1.9と2.3の間であることが好ましく、約2.1であることがさらに好ましい、α形状を有することができる。あるいは、コアの屈折率プロファイルは、α値が、850nmで測定して、1.9と2.1の間であることが好ましく、約2.0であることがさらに好ましい、α形状を有することができる。いくつかの実施形態において、コアの相対屈折率は、コアの最大屈折率及び光ファイバ全体の最大相対屈折率が中心線から小距離離して配置される、中心線ディップを有することができ、他の実施形態において、コアの屈折率は中心線ディップを有さず、コアの最大屈折率及び光ファイバ全体の最大屈折率は中心線に配置される。放物型形状は半径R1まで拡がり、好ましくはファイバの中心線からR1まで拡がる。したがって、本明細書に用いられるように、「放物型」は、コアの1つないしさらに多くの点においてα値が約2.0から若干変わり得る、例えばα値が1.9,2.1または2.3の、実質的に放物型形状の屈折率プロファイルを含み、また小さな変動及び/または中心線ディップを有するプロファイルも含む。図を参照すれば、コア20は、放物型コア形状が終端し、クラッド層200の最内半径と一致する、半径R1において終端すると定められる。
【0035】
本明細書に開示される光ファイバはシリカベースのコア及びクラッド層を有することが好ましい。クラッド層200の1つないしさらに多くの領域は、例えば、堆積プロセス中に堆積されたか、またはロッドインチューブ光ファイバプリフォームにおけるチューブのような、外装の形態で与えられたか、あるいは堆積材料と外装の組合せの、クラッド材料からなることができる。クラッド層200は少なくとも1つの被覆210で囲むことができ、この被覆は、いくつかの実施形態において、低弾性率一次被覆及び高弾性率二次被覆を含む。被覆は、アクリル樹脂ベースポリマーのような、ポリマー被覆とすることができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、凹屈折環状領域は、非周期的に配置されたかまたは周期的に配置されたか、あるいはいずれでもある、空孔を含む。「非周期的配置」または「非周期的分布」により、光ファイバの(軸線に垂直な断面のような)断面をとった場合に、非周期的に配置された空孔がファイバの一部にかけてランダムにまたは非周期的に分布することを意味する。ファイバの長さに沿う別の点でとられた同様の断面は異なる断面孔パターンを示すであろう。すなわち、様々な断面は、空孔の分布及び空孔径が正確な一致を示さない、相異なる断面孔パターンを有するであろう。すなわち、空孔は非周期的である、すなわち、空孔はファイバ構造内に周期的に配置されてはいない。これらの空孔は光ファイバの長さに沿って(すなわち軸線に平行に)引き伸ばされる(細長にされる)が、一般的な長さの伝送ファイバについて、ファイバ全体の全長にわたって延びてはいない。理論に束縛されることは望まないが、空孔はファイバの長さに沿って、数m以上長く、多くの場合には1m以上長く延びることはないと考えられる。本明細書に開示される光ファイバは、固結ガラスブランク内にかなりの量の気体が閉じ込められ、よって固結ガラス光ファイバプリフォーム内の空孔の形成を生じさせる結果を得るに有効なプリフォーム固化条件を用いる方法によって作製することができる。これらの空孔を除去する工程をとるのではなく、得られたプリフォームは内部に空孔を有する光ファイバを形成するために用いられる。本明細書に用いられるように、孔の径は、光ファイバの軸線に垂直方向に横切る断面で光ファイバを見たときの、孔を定めるシリカ内表面上に端点が配されている最長線分である。
【0037】
いくつかの実施形態において、内環状領域30はフッ素も二酸化ゲルマニウムも実質的にドープされていないシリカからなる。環状領域30の幅は4.0μmより小さいことが好ましく、2.0μmより小さいことがさらに好ましい。いくつかの実施形態において、外環状領域60は実質的にドープされていないシリカからなるが、シリカはいくらかの量の塩素、フッ素、二酸化ゲルマニウムまたはその他のドーパントを、総合しても屈折率を有意に改変しない濃度で含有することができる。凹屈折率環状領域50はフッ素及び/またはホウ素がドープされたシリカからなることができる。または、凹屈折率環状領域50は複数の非周期的に配置された空孔を含むシリカからなることができる。空孔は、アルゴン、窒素、クリプトン、CO、SOまたは酸素のような、1つないしさらに多くの気体を含むことができ、あるいは、空孔を、実質的に気体を含まない、真空にすることができる。いかなる気体の存在または不在にもかかわらず、環状領域50の屈折率は空孔の存在により低められる。空孔はクラッド層200の環状領域50内にランダムにまたは非周期的に配置することができ、別の実施形態において、空孔は環状領域50に周期的に配置される。あるいはまたはさらに、環状領域50の凹屈折率は、環状領域50を(フッ素によるように)下げドープするかあるいはクラッド層の1つないしさらに多くの領域及び/またはコアを上げドープすることによって与えることもでき、この場合、凹屈折率環状領域50は、例えば、内環状領域30ほど大量にはドープされていないシリカである。凹屈折率環状領域50の最小相対屈折率または、いかなる空孔の存在も考慮するような、平均実効相対屈折率は、−0.1%より小さいことが好ましく、約−0.2%より小さいことがさらに好ましく、約−0.3%より小さいことがさらに一層好ましく、約−0.4%より小さいことが最も好ましい。
【0038】
二酸化チタンドープ外層クラッド70は通常の外付け(OVD)プロセスを用いて形成することができる。例えば、スート堆積プロセスにおいて、例えば通常のOVDスート堆積プロセスの終わり際に、TiO-SiOスート層の1回ないしさらに多くのパスを用いることができる。TiCl及びSiClを反応体配送システムによってOVDバーナーに供給し、よって二酸化チタン-シリカスートを堆積することができる。
【0039】
二酸化チタンドープ外層クラッド70を用いる結果、本明細書において動的疲労値nとして説明される、向上した耐動的疲労性を得ることができる。例えば、二酸化チタンドープ外層クラッド70を用いて、25または30より高く、さらには40よりも高い、動的疲労値を達成することが可能である。
【0040】
本特許出願においては、ガラス光ファイバのキズに破壊力学が適用されるとしている。すなわち、応力強度因子,Kが、式(1):
【数3】

【0041】
によって印加張力,σ及びキズ深さ,aに関係付けられる。
【0042】
が破壊靱性,KICに達し、K=KICになると破壊がおこる。上式(1)を強度,σについて整理すれば、σをキズ深さ,aの関数として、式(2):
【数4】

【0043】
により与えることができる。
【0044】
べき乗則クラック速度モデルが、クラック速度と応力強度因子の間の関係を、式(3):
【数5】

【0045】
によって表すとも仮定される。ここで、A及びnはクラック成長パラメータである。クラック成長パラメータnは、臨界未満のクラック成長への材料の感受性の尺度を与える特有の値である。光ファイバについては、ファイバ強度,σが応力速度,σの関数:
【数6】

【0046】
として測定される、動的疲労手法を用いてnが測定されることが多い。
【0047】
添字1及び2は異なる応力速度に対する異なる強度測定値を示す。nの値はlog[強度]対log[応力速度]の単純回帰によって決定され、勾配が1/(n+1)に等しい。耐疲労性n値の測定の全般的な議論については、グレースマン(Glaesemann),ジェイカス(Jakus)及びリッター(Ritter),「ソーダ石灰ガラスの押込強度変動度(Strength Variability of Indented Soda-Lime Glass)」,Journal of the American Ceramic Society,1987年6月,第70巻,第6号,p.441〜444、を参照されたい。
【0048】
本明細書に与えられるn値に対し、ファイバ強度は、20mゲージ長を用い、相対湿度100%においてほぼ25℃で測定した。用いた応力速度は4%/分及び0.004%/分の応力速度に相当する。勾配[1/(n+1)]の標準偏差は一般に、本明細書に報告されるn値についての平均の10%であった。同様であるが網羅的ではない、動的疲労試験法が、SIA試験手順FOTR−76に与えられている。本明細書に述べられる(耐疲労性データへの対照としての)強度データは上記環境条件の下で40%/分の応力速度により測定した。
【0049】
図3は、ガラスコア20及びガラスクラッド層200を有し、クラッド層が凹屈折率環状領域50,外環状クラッド領域60及び二酸化チタンドープ外クラッド領域70を有する、多モード光ファイバの別の実施形態例のガラス部分の断面の屈折率プロファイルの略図を示す。二酸化チタンドープ外クラッド領域70内の二酸化チタンの量は、好ましくは5重量%より多く、さらに好ましくは8重量%より多くすることができ、10重量%より多くすることができる。図4は図3の光導波路ファイバの断面の(比例拡縮されていない)略図である。コア20は外半径R1及び最大屈折率Δ,Δ1最大を有する。凹屈折率環状領域50は最小屈折率Δ,Δ3最小、幅W3及び外半径R3を有する。凹屈折率環状領域50はコア20を囲み、コア20と直に接している。すなわち、コア20と凹屈折率環状領域50の間に(Δ2を有する)内クラッド領域30は存在しない。Δ1>Δ4>Δ3であることが好ましい。外環状領域60は凹屈折率環状領域50を囲み、凹屈折率環状領域50に接している。凹屈折率環状領域50は、最小相対屈折率Δ3最小を有する、相対屈折率プロファイルΔ3(r)を有する。外環状領域60は、最大相対屈折率Δ4最大及び最小相対屈折率Δ4最小を有する、相対屈折率プロファイルΔ4(r)を有し、いくつかの実施形態においてはΔ4最大=Δ4最小である。Δ1最大>Δ3最小であることが好ましい。コアは二酸化ゲルマニウムがドープされ、フッ素を実質的に含有していないことが好ましく、フッ素を全く含有していないことがさらに好ましい。凹屈折率環状領域50は、クラッド層の相対屈折率が初めに−0.05%に達する半径から始まり、中心線から外幹に径方向に進む。いくつかの実施形態において、外環状領域60は、0.05%より小さい最大絶対値を有する相対屈折率プロファイルΔ4(r)を有する。すなわちΔ4最大<0.05%及びΔ4最小>−0.05%であり、凹屈折率環状領域50は比較的一定の屈折率(Δ4)領域が始まる半径で終端する。
【0050】
多モード光ファイバの別の実施形態例はガラスコア20及び、外環状クラッド領域60及び二酸化チタンドープ外クラッド領域70を有する、ガラスクラッド層200を有する。いくつかの実施形態において、環状領域60は、0.05%より小さい最大絶対値を有する相対屈折率プロファイルΔ4(r)を有する。すなわちΔ4最大<0.05%及びΔ4最小>−0.05%である。そのような実施形態のいくつかにおいて、環状領域60は実質的に純シリカからなる。別の実施形態において、環状領域60は、相対屈折率プロファイルΔ4(r)が0.05%より小さい最大絶対値を有するように、フッ素、ゲルマニウム及び/または塩素を含有する。他の実施形態において、環状領域60はシリカに対する屈折率が約−0.1より小さく、さらに好ましくは−0.2より小さくなるように、ドープされる。二酸化チタンドープ外クラッド領域70内の二酸化チタンの量は、好ましくは5重量%より多く、さらに好ましくは8重量%より多くすることができ、10重量%より多くすることができる。二酸化チタンドープ領域は1μmと5μmの間の幅を有する。コア20は外半径R1及び最大屈折率Δ,Δ1最大を有する。外環状領域60は、最大相対屈折率Δ4最大及び最小相対屈折率Δ4最小を有する、相対屈折率プロファイルΔ4(r)を有し、いくつかの実施形態においてはΔ4最大=Δ4最小である。コアは二酸化ゲルマニウムがドープされ、フッ素を実質的に含有していないことが好ましく、フッ素を全く含有していないことがさらに好ましい。
【0051】
光ファイバの開口数(NA)はファイバに信号を導き入れている光源のNAよりも大きいことが好ましく、例えば、光ファイバのNAはVCSEL(縦型キャビティ面発光レーザ)源のNAより大きいことが好ましい。
【0052】
望ましければ、本明細書に開示されるファイバの外ガラス表面に炭素の気密被覆を施すことができる。被覆の厚さは約100μm未満とすることができる。少なくとも1つ、好ましくは2つ(軟質一次被覆及び硬質二次被覆)の、保護ポリマー被覆を炭素被覆に重ねて施すことができる。そのような炭素被覆の使用の結果、向上した耐動的疲労度が得られる。例えば、そのような被覆を用いると、50より大きく、さらに好ましくは100より大きい動的疲労定数が達成可能であり、400kpsi(2.76×10Pa)より大きい15%ワイブル故障確率が達成可能である。様々な例の屈折率パラメータ及びモデル計算した光学特性が下の表1に示される。例1〜6は図3で示されるプロファイルと同様の屈折率プロファイルを示す。例7及び8は図1で示されるプロファイルと同様の屈折率プロファイルを示す。特に、下の表1には、コア領域20のΔ1,コア領域20の外半径R1,コア領域20のα,内環状領域30のΔ2,内環状領域30の外半径R2及び幅W2,凹屈折率環状領域50のΔ3,凹屈折率環状領域50の外半径R3,凹屈折率環状領域50のプロファイル体積Vが与えられる。クラッド半径はファイバの最外半径(R4)であり、外環状ガラスクラッド領域60の外半径でもある。ファイバの開口数NA及び開口数とコア径の積(NA・CD)も与えられる。NA・CDは、好ましくは20μmより大きく、さらに好ましくは22μmより大きくすることができる。いくつかの実施形態において、NA・CDは30μmより小さい。外ガラスクラッド径は、いくつかの実施形態において、120μmより小さく、好ましくは110μmより小さい。下表のファイバのそれぞれに、例えば約5μmの幅(例えばファイバの最外5μm)に対して約5重量%の成分量の二酸化チタンドープ外クラッド領域70も含めることにより、これらのファイバは、25,30,さらには40より高い動的疲労値も示すであろう。
【表1】

【0053】
本明細書に開示されるファイバに対して、動的疲労因子,nは、25より大きいことが好ましく、30より大きいことがさらに好ましく、35より大きいことがさらに一層好ましい。
【0054】
本明細書に開示されるファイバは、外層ガラスクラッド上に施された、様々な保護被覆210を有することができる。例えば、保護被覆210はその上に第1の比較的硬質の保護被覆を含むことができる。例えば、被覆は、硬化すると、50,55,60,または65より大きいショアーD硬度を示す、硬化ポリマー層とすることができる。そのような材料の例は、例えば米国特許第4973129号の明細書に見ることができる。この明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。あるいは、比較的硬質の被覆は気密炭素被覆として施すことができる。第1の比較的硬質の被覆層は約120μmと130μmの間、さらに好ましくは約124μmと126μmの間の外層厚を得るに十分な厚さで施すことができる。
【0055】
望ましければ、必要に応じ、第1の硬質保護被覆に重ねて通常の一次被覆及び二次被覆を施すことができる。一次被覆は、ファイバが曲げられるか、ケーブルにつくられるかまたはスプールに巻かれるときにガラスファイバコアを緩衝及び保護するためのバッファとしてはたらくが、故障をもたらす、クラック成長の促進及び静的疲労の増大をおこさせ得る、水の吸収からガラス表面の保護も行う。二次被覆は一次被覆に重ねて施され、処理及び使用中のガラスファイバの損傷を防止する、頑丈な保護外層としてはたらく。例えば、一次被覆は、約0.1MPaから約3MPaのヤング率及び/または約−100℃から約−25℃のTを有することができる。本明細書に用いられるように、硬化した一次被覆材料または第2の中間被覆材料のヤング率は、スティーマン(Steeman)等,「光ファイバのためのその場一次被覆弾性率試験の機械的解析(Mechanical Analysis of the in-situ Primary Coating Modulus Test for Optical Fibers)」,Proc. of the 52nd International Wire and Cable Symposium (IWCS, 米国フィラデルフィア,2003年11月10〜13日),論文41に説明されているような、引抜型その場弾性率試験を用いて測定される。多くの適する一次被覆が、例えば、チェン(Chien)等の米国特許第6326416号、ウィニンガム(Winningham)等の米国特許第6531522号、フュークス(Fewkes)等の米国特許第6539152号、ウィニンガムの米国特許第6563996号、フュークス等の米国特許第6869981号、ベイカー(Baker)等の米国特許第7010206号及び第7221842号、及びウィニンガムの米国特許第7423105号の各明細書に開示されている。これらの明細書はそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。いくつかの実施形態において、従来の一次被覆及び二次被覆は上述した比較的硬質の保護層に重ねて施される。そのような実施形態において、第1の比較的硬質な保護層は、125μm光ファイバを受け入れることができるコネクタまたはその他のコンポーネントへの挿入のために、125μm径の第1の保護層を残す、一次被覆及び二次被覆のファイバからの容易な剥ぎ取りを可能にする、強固な密着性を示すことが好ましい。
【0056】
適する一次被覆組成物には、約25重量%〜75重量%の1つないしさらに多くのウレタンアクリレートオリゴマー、約25重量%〜約65重量%の1つないしさらに多くの一官能価エチレン不飽和モノマー、約0重量%〜約10重量%の1つないしさらに多くの多官能価エチレン不飽和モノマー、約1重量%〜約5重量%の1つないしさらに多くの光重合開始剤、約0.5pph〜約1.5pphの1つないしさらに多くの抗酸化剤、約0.5pph〜約1.5pphの1つないしさらに多くの定着剤、及び0.01pph〜約0.5pphの1つないしさらに多くの安定剤が含まれるが、これらには限定されない。
【0057】
他の適する一次被覆組成物には、約52重量%のポリエーテルウレタンアクリレート(Bomar Specialty CompanyのBR3741)、約40重量%〜約45重量%の間の多官能価アクリレートモノマー(CognisのPhotomer 4003またはPhotomer 4960)、0〜約5重量%の一官能価アクリレートモノマー(カプロラクトンアクリレートまたはN-ビニルカプロラクタム)、約1.5重量%までの光重合開始剤(Chiba Specialty ChemicalのIrgacure 819またはIrgacure184, BASFのLUCIRIN(登録商標)TPO、またはこれらの組合せ)が含まれ、これに、約1pphの定着剤(3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)、及び約1pphの抗酸化剤(Chiba Specialty ChemicalのIrganox 1035)が加えられ、必要に応じて約0.05pphまでの蛍光染料(Chiba Specialty ChemicalのUvitex OB)及び約0.03pphまでの安定剤(Sigma-Aldrichから入手できるペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロプリオネート))が加えられる。
【0058】
一次被覆組成物の例には以下の配合物:
(1)52重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(BR3741, Bomar Specialty)、40重量%のエトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(Photomer 4003, Cognis Corp.)、5重量%のN-ビニルピロリジノン、1.5重量%のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニル-酸化リン(Irgacure 819, Chiba Specialty)、1.5重量%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure 184, Chiba Specialty)、1pphのチオジエチレンビス(3,5-ジ-ター-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸塩(Irganox 1035, Chiba Specialty)、及び1pphの3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;
(2)52重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(BR3741, Bomar Specialty)、40重量%のエトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(Photomer 4003, Cognis Corp.)、5重量%のN-ビニルカプロラクタム、1.5重量%のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニル-酸化リン(Irgacure 819, Chiba Specialty)、1.5重量%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure 184, Chiba Specialty)、1pphのチオジエチレンビス(3,5-ジ-ター-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸塩(Irganox 1035, Chiba Spechialty)、及び1pphの3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;
(3)52重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(BR3731, Sartomer Co.)、45重量%のエトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(SR504, Sartomer Co.)、3重量%の(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルフェニル-酸化リン(Irgacure 1850, Chiba Specialty)、1pphのチオジエチレンビス(3,5-ジ-ター-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸塩(Irganox 1035, Chiba Specialty)、1pphのビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン定着剤、及び0.5pphのポリアルコキシポリシロキサンキャリア(Tegorad 2200, Goldschmidt);及び
(4)52重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(BR3731, Sartomer Co.)、45重量%のエトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(Photomer 4003, Cognis Corp.)、3重量%の(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルフェニル-酸化リン(Irgacure 1850, Chiba Specialty)、1pphのチオジエチレンビス(3,5-ジ-ター-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸塩(Irganox 1035, Chiba Specialty)、1pphのビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン定着剤、及び0.5pphの粘着付与剤(Unitac R-40, Union Camp);
(5)52重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(BR3731, Sartomer Co.)、45重量%のエトキシル化ノニルフェノールアクリレート(SR504, Sartomer Co.)、及び3重量%の(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルフェニル-酸化リン(Irgacure 1850, Chiba Specialty);及び
(6)52重量%のウレタンアクリレートオリゴマー(BR3741, Bomar)、41.5重量%のエトキシル化ノニルフェノールアクリレートモノマー(Photomer 4003, Cognis)、5重量%のカプロラクトンアクリレートモノマー(Tone M-100, Dow)、1.5重量%のIrgacure 819光重合開始剤(Chiba)、1pphのチオジエチレンビス(3,5-ジ-ター-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸塩(Irganox 1035, Chiba Specialty)、1pphの3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Gelest)、及び0.032pphのペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(Aldrich);
があるが、これらには限定されない。
【0059】
二次被覆材料は一般に、重合すると高い分子架橋率を示すウレタンアクリレート液を含有する被覆組成物の重合品である。いくつかの好ましい実施形態において、外層被覆は熱可塑性材料ではない。二次被覆は高い(例えば25℃において約0.08GPaより高い)ヤング率及び高い(例えば約50℃より高い)Tを有する。ヤング率は、約0.1GPaと約8GPaの間であることが好ましく、約0.5GPaと約5GPaの間であることがさらに好ましく、約0.5GPaと約3GPaの間であることが最も好ましい。Tは、約50℃と約120℃の間であることが好ましく、約50℃と約100℃の間であることがさらに好ましい。二次被覆は、約40μm未満であり、約20μmと約40μmの間であることがさらに好ましく、約20μmと約30μmの間であることが最も好ましい、厚さを有する。
【0060】
二次被覆材料に用いるに適するその他の材料は、またそのような材料の選択に関係する要件も、技術上周知であり、チャピン(Chapin)の米国特許第4962992号及び第5104433号の明細書に説明されている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。そのような被覆の代替として、ボテロ(Bothelho)等の米国特許第6775451号及びチョウ(Chou)等の米国特許第6689463号の明細書に説明されているように、低オリゴマー含有量/低ウレタン含有量被覆系を用いても高弾性率被覆が得られている。これらの明細書のそれぞれはそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。さらに、シゼル(Schissel)等の米国特許出願公開第2007/0100039号の明細書に説明されているように、高弾性率被覆を達成するために非反応性オリゴマー成分が用いられている。この明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。外層被覆は一般に、以下でさらに詳細に説明されるように、(硬化しているかまたはいない)既に被覆されているファイバに塗布され、続いて硬化される。抗酸化剤、触媒、滑剤、低分子量非架橋樹脂、安定剤、界面活性剤、表面剤、スリップ剤、ワックス、超微粉ポリテトラフルオロエチレン、等を含む、被覆の1つないしさらに多くの特性を強化する様々な添加剤も存在することができる。二次被覆は、技術上周知であるように、インクも含むことができる。
【0061】
適する外層被覆組成物は、約0〜20重量%の1つないしさらに多くのウレタンアクリレートオリゴマー、約75〜約90重量%の1つないしさらに多くの一官能価エチレン不飽和モノマー、約0〜約10重量%の1つないしさらに多くの多官能価エチレン不飽和モノマー、約1〜約5重量%の1つないしさらに多くの光重合開始剤、及び約0.5〜約1.5pphの1つないしさらに多くの抗酸化剤を含むが、これらには限定されない。
【0062】
他の適する外層被覆組成物は、約10重量%のポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(Bomar Specialty Co.のKWS4131)、約72〜約82重量%のエトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(CognisのPhotomer 4028)、及び約5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(CognisのPhotomer 3016)を含み、必要に応じて、約10重量%までのジアクリレートモノマー(CognisのPhotomer 4002)またはN-ビニルカプロラクタム、約3重量%までの光重合開始剤(Chiba Specialty ChemicalのIrgacure 184またはBASFのLUCIRIN TPO、あるいはこれらの組合せ)が含められ、これに約0.5pphの抗酸化剤(Chiba Specialty ChemicalのIrganox 1035)が含められるが、これらには限定されない。
【0063】
外層被覆配合物の例には以下の:
(1)40重量%のウレタンアクリレートオリゴマー(CN981, Sartomer Company, Inc.)、17重量%のプロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレートモノマー(SR9020, Sartomer Inc.)、25重量%のペンタエリトリトールテトラアクリレート(SR295, Sartomer Inc.)、15重量%のエトキシル化(2)ビスフェノールAジアクリレートモノマー(SR349, Sartomer Inc.)、及び3重量%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチル-酸化リンブレンド(Irgacure 1850, Chiba Specialty Chemical);及び
(2)10重量%のポリエーテルウレタンアクリレート(KWS4131, Bomar)、5重量%のビスフェノールAジグリシジルジアクリレート(Photomer 3016, Cognis)、82重量%のエトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート(Photomer 4028, Cognis)、1.5重量%のLUCIRIN TPO光重合開始剤(BASF)、1.5重量%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure 184, Chiba)、及び0.5pphのチオジエチレン(3,5-ジ-ター-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロケイ皮酸塩抗酸化剤(Irganox 1035, Chiba Specialty Chemical);
があるが、これらには限定されない。
【0064】
第1の中間被覆15は一般に、一次被覆のヤング率及びTに比べて比較的高いヤング率及び比較的高いTを与える被覆組成物の重合品である。ヤング率は、約0.1GPaと約2GPaの間であることが好ましく、約0.2GPaと約1GPaの間であることがさらに好ましく、約0.3GPaと約1GPaの間であることが最も好ましい。Tは、約0℃と約60℃の間であることが好ましく、約10℃と約60℃の間であることがさらに好ましく、約10℃と約50℃の間であることが最も好ましい。第1の中間被覆は、約25μm未満であり、さらに好ましくは約20μm未満であり、さらに一層好ましくは約15μm未満であり、最も好ましくは約5μm〜約10μmの範囲にある、厚さを有する。
【0065】
上記説明が本発明の例示に過ぎず、特許請求の範囲によって定められるような本発明の本質及び特質の理解のための概要の提供が目的とされていることは当然である。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は、記述とともに、本発明の原理及び動作の説明に役立つ、本発明の様々な特徴及び実施形態を示す。添付される特許請求の範囲によって定められるような本発明の精神または範囲を逸脱することなく、本明細書に説明されるような本発明の好ましい実施形態に様々な改変がなされ得ることが当業者には明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0066】
20 ガラスコア
30 内環状領域
50 凹屈折率環状領域
60 外環状領域
70 二酸化チタンドープ外クラッド領域
200 ガラスクラッド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多モード光ファイバにおいて、
コア屈折率Δ%,Δを有する分布屈折率コアであって、30μmより大きいコア半径を有するコア、
前記コアを囲んでいて、屈折率Δ%,Δを有する、凹屈折率クラッド領域であって、Δは約−0.1%より小さく、前記凹屈折率クラッド領域は少なくとも1μmの幅を有し、Δ>Δである、凹屈折率クラッド領域
及び
前記凹屈折率クラッド領域を囲んでいる二酸化チタンドープクラッド領域、
を有し、
前記ファイバが120μmより小さい総外径を有し、
前記ファイバが850nmにおいて200MHz-kmより大きい全モード励振伝送帯域を示す、
ことを特徴とする多モード光ファイバ。
【請求項2】
前記ファイバがガラスからなり、前記二酸化チタンドープクラッド領域が5重量%より多くの量の二酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1に記載の多モード光ファイバ。
【請求項3】
前記凹屈折率クラッド領域が前記コアに直に接し、約−0.2%より小さい屈折率Δ及び少なくとも2μmの幅を有し、前記二酸化チタンドープクラッド領域が1μmと5μmの間の幅を有することを特徴とする請求項2に記載の多モード光ファイバ。
【請求項4】
Δを有する内クラッド領域をさらに有し、前記内クラッド領域が前記コアを囲み、前記凹屈折率クラッド領域が前記内クラッド領域を囲み、Δ>Δ>Δであり、前記内クラッド領域の幅が少なくとも4μmであることを特徴とする請求項2に記載の多モード光ファイバ。
【請求項5】
前記ファイバが0.24より大きい開口数を示すことを特徴とする請求項1に記載の多モード光ファイバ。
【請求項6】
多モード光ファイバにおいて、
35μmより大きな半径を有する分布屈折率コア、
凹屈折率環状領域を含む第1の内クラッド層であって、前記凹屈折率環状領域は約−0.2%より小さい屈折率Δ及び少なくとも1μmの幅を有するものである第1の内クラッド層、
及び
前記凹屈折率環状領域を囲んでいる二酸化チタンドープクラッド領域、
を有し、
前記ファイバが、850nmにおいて0.5dB以下の、1×180°ターン3mm径マンドレル巻付け減衰増大及び、850nmにおいて200MHz-kmより大きい、全モード励振伝送帯域を示す、
ことを特徴とする多モード光ファイバ。
【請求項7】
前記ファイバがガラスからなり、前記二酸化チタンドープクラッド領域が5重量%より多くの量の二酸化チタンを含有することを特徴とする請求項6に記載の多モード光ファイバ。
【請求項8】
前記ファイバが400kpsi(2.76×10Pa)より大きい15%ワイブル故障確率を示すことを特徴とする請求項6に記載の多モード光ファイバ。
【請求項9】
30より大きい動的疲労定数をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の多モード光ファイバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521532(P2013−521532A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556124(P2012−556124)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/026420
【国際公開番号】WO2011/109263
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】