説明

天然油系ポリオールから作製されたプレポリマー

プレポリマーおよびプレポリマーから作製される生成物が記載される。プレポリマーは、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つの天然油系ポリオールとの反応生成物を含む。天然油系ポリオールは、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込む「ポリエーテル天然油ポリオールおよびそれらのポリマー」と題する、2008年3月20日出願の米国特許仮出願第61/038,274号の利益を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は、一般的にポリウレタンの製造に関し、より具体的にはポリウレタンの製造において有用なポリオールプレポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンは、緩衝フォーム、自動車車体部品、車輪、キャスターならびに他のキャストエラストマーおよびスプレーエラストマー、構造フォーム、断熱フォーム、コーティング、接着剤ならびに封止剤を含む多様な用途において使用される。水性ポリウレタン分散液は、種々のフィルム、コーティング、接着剤および封止材用途で使用される。それに加えて、他のタイプのポリマーと結合するかまたはブレンドしたポリウレタンセグメントまたはポリウレアセグメントを含む非常に種々のハイブリッドポリマー材料が存在する。これらの種々のタイプのポリウレタンおよびハイブリッド材料を形成するために、イソシアネート官能性の成分およびイソシアネート反応性の成分が必要になる。多くの場合、これらの成分は、望ましい粘度、低揮発性有機化合物(VOC)含有率、特異的反応性基、有利な成分比、その他などの幾つかの用途に特異的な利点を得るために、より単純な出発原料から調製される。これは、過剰のポリイソシアネートと1種または複数のイソシアネート反応性材料との反応により、イソシアネートを末端とするプレポリマーを形成させることにより行うことができる。しかしながら、所望であれば、末端ヒドロキシル基または他のイソシアネート反応性基を有する付加物を形成させるために、成分比を逆にすることができる。最も普通のタイプのイソシアネート反応性材料は、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールである。ポリエーテルポリオールは、最も典型的には、プロピレンオキシドまたはプロピレンオキシド/エチレンオキシド混合物のポリマーである。
【0004】
これらのポリエーテルおよびポリエステルポリオールは、油、ガスまたは石炭という供給原料に由来することが多い。これらの供給原料は、再生可能ではなく、再生可能資源に由来するポリオールを開発することが望まれている。種々のタイプのそのようなポリオールが開発されてはいる。しかしながら、これらのポリオールは、普通に入手できるポリエーテルおよびポリエステルポリオールとは、構造、反応性、極性、相溶性ならびに他の物理的および化学的特性が異なっている可能性があり、それ故、幾つかの用途において、これらの材料に代わる当座の代替にはならない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態において、プレポリマーおよびプレポリマーから作製される生成物が提供される。プレポリマーは、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つの天然油系ポリオールとの反応生成物を含む。天然油系ポリオールは、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む。
【0006】
他の実施形態において、プレポリマーを製造する方法が提供される。該方法は、イソシアネートを天然油系ポリオールと少なくとも反応させてプレポリマーを形成することを含む。天然油系ポリオールは、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む。
【0007】
他の実施形態において、ポリウレタン生成物が提供される。該ポリウレタンは、少なくとも1つのイソシアネート反応性材料と少なくとも1つのプレポリマーとの反応生成物を含む。プレポリマーは、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つの天然油系ポリオールとの反応生成物を含む。天然油系ポリオールは、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む。
【0008】
他の実施形態において、ポリウレタン生成物を製造する方法が提供される。方法は、少なくとも1つのイソシアネート反応性材料と少なくとも1つのプレポリマーとを反応させることを含む。プレポリマーは、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つの天然油系ポリオールとの反応生成物を含む。天然油系ポリオールは、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む。
【0009】
本発明の上で挙げた特徴が詳細に理解され得るように、上で簡単にまとめた本発明のより具体的な説明は、実施形態によって参照することができ、その一部は添付の図面に例示されている。しかしながら、添付した図面は、本発明の典型的な実施形態を例示するに過ぎず、それ故、本発明は他の同等に有効な実施形態に余地を残し得るので、その範囲を限定すると解釈すべきでないことに注意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】比較例および本発明の種々の実施形態を含む、種々のプレポリマーの粘度対温度のプロットである。
【図2】比較例および本発明の種々の実施形態を含む、種々のプレポリマーの発泡プロファイル(高さ対時間)のプロットである。
【図3】比較例および本発明の種々の実施形態を含む、種々の湿った硬化したフィルムの、応力歪み挙動のプロットである。
【図4】比較例および本発明の種々の実施形態を含む、水に曝した後の種々の湿った硬化したフィルムの応力歪み挙動のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、プレポリマーから作製されたプレポリマーおよびポリウレタン生成物を提供する。プレポリマーは、少なくとも1つのウレタン基を有することができ、少なくとも、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つのイソシアネート反応性材料との反応生成物であり得る。イソシアネート反応性材料は、少なくとも1つのポリエーテル天然油系ポリオール(PNOBP)を含むことができる。PNOBPは、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含むことができる。プレポリマーは、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、UV硬化性材料、および種々のハイブリッドポリマー等を含む種々のポリマー材料を作製するために有用である。
【0012】
プレポリマーは、1分子当たり平均で少なくとも1個のウレタン基を有すると特徴づけることができ、通常1分子当たり2個以上のウレタン基を含有することができる。ウレタン基の数は、各場合、イソシアネート反応性材料(単数または複数)の官能価(すなわち、1分子当たりのイソシアネート反応性基の数)、イソシアネート化合物の官能価、およびプレポリマーを調製するために使用されるイソシアネート反応性材料(単数または複数)とイソシアネート化合物との化学量論比により決定することができる。プレポリマーは、イソシアネート、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸無水物、エポキシド、アミノ、シランまたはエチレン性不飽和などの反応性官能基を有するとのように、さらに特徴づけることができる。
【0013】
プレポリマーは、室温(約22℃)で液体であってよく、または固体であれば、80℃以下、特に50℃以下の溶融温度を有するものであってよい。
【0014】
プレポリマーの調製に使用するために適当なイソシアネートには、多様な有機モノおよびポリイソシアネートが含まれる。適当なモノイソシアネートには、ベンジルイソシアネート、トルエンイソシアネート、フェニルイソシアネートおよびアルキル基が1から12個の炭素原子を含むアルキルイソシアネートが含まれる。適当なポリイソシアネートには、芳香族、脂環式および脂肪族イソシアネートが含まれる。典型的なポリイソシアネートには、m−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2−4−ジイソシアネート、トリレン−2−6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(いずれのシス−またはトランス−異性体も含む)、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキサンイソシアネート)(H12MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4−4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トリレン−2,4,6−トリイソシアネートおよび4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートが含まれる。幾つかの実施形態において、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、PMDI、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネートまたはそれらの混合物である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネートおよびそれらの混合物は、MDIと総称されて、全て使用することができる。トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネートおよびそれらの混合物は、TDIと総称されて、全て使用することができる。
【0015】
ビウレット、尿素、カルボジイミド、アロホネートおよび/またはイソシアヌレート基を含有する前出のポリイソシアネート基の任意のものの誘導体も、使用することができる。これらの誘導体は、増加したイソシアネート官能価を有することが多く、より高度に架橋した生成物が所望であるときに望ましく使用される。
【0016】
イソシアネート反応性材料は、少なくとも1つのポリエーテル天然油系ポリオール(PNOBP)を含む。ポリエーテルPNOBPは、開始剤と参照により本明細書に組み込まれるWO2004096882に記載されたような天然油系モノマーなどの天然油またはその誘導体とを反応させることにより作製することができる。開始剤は、天然油系モノマーと反応した少なくとも1個の活性水素を有することができ、かつ、水、従来のポリエーテルポリオールまたはそれらの組合せとより相溶性または混和性にするために、または加工性もしくは物理的性質を改善するために十分なエーテル基を有する。そのような開始剤は、本明細書においてポリエーテル開始剤と称し、アミン末端ポリエーテルを含む。一実施形態において、PNOBPは、活性水素基1個当たり約480と約3000の間の平均当量重量を有する開始剤または開始剤の組合せを用いて作製される。活性水素基1個当たり約480と約3000の間の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書において開示される。例えば、平均当量重量は、活性水素基1個当たり約480、500、550、600、650、700、800、900、1000、1200、または1300の下限から約1500、1750、2000、2250、2500、2750、または3000の上限までであることができる。
【0017】
したがって、天然油系モノマーの少なくとも2個は、約1250ダルトンと約6000ダルトンの間の平均分子量を有する分子構造により分離されている。約1250ダルトンと約6000ダルトンの間の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ本明細書に記載されている。例えば、平均分子量は、約1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、または3000ダルトンの下限から約3000、3500、4000、4500、5000、5500、または6000ダルトンの上限までであることができる。
【0018】
一実施形態において、これらの特性は、市販の製品中に存在するような不純物を場合により含む単一の開始剤を使用して得られる。別の実施形態において、該特性は、PNOBPの作製においておよび/または天然油系モノマーの組合せにおいて、開始剤の組合せ(本明細書においては、以後ブレンド、混合物または混和物と称する)を使用して得られる。いずれの組合せにおいても、使用される開始剤の少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、好ましくは少なくとも約25、または少なくとも約30重量パーセント(質量分率)は、少なくとも約480の当量重量を有する。2種以上の開始剤が使用されるとき、PNOBPは別に調製されて、生じる生成物は物理的ブレンドで組み合わされ、同じ反応で一緒に使用されてin situで組合せ、またはそれらの組合せを形成することができる。
【0019】
エーテル基は、ポリ(プロピレンオキシド)またはポリ(エチレンオキシド)またはそれらの組合せの中などポリ(アルキレンオキシド)鎖中にあってよい。一実施形態において、エーテル基は、ポリ(エチレンオキシド)のキャップを有するポリ(プロピレンオキシド)のジブロック構造中にあってよい。
【0020】
活性水素基は、場合により、天然油またはその誘導体と反応するのに反応条件で十分反応性である任意の活性水素基であり、各活性水素基は、独立にヒドロキシル基またはアミン基であってよい。例えば、活性水素基はヒドロキシル基であってよい。一実施形態において、ヒドロキシル基は第一級ヒドロキシル基であってよい。アミン基の場合には、第一級および第二級アミンを使用することができる。活性水素基について、これらの基の少なくとも約50、60、70、80、85、90、または最大で100モルパーセントが、第一級ヒドロキシル基またはアミン基である。一実施形態において、開始剤中のこれらの第一級ヒドロキシル基の量は、製造されるPNOBP中の第一級ヒドロキシル基の量であってもよい。
【0021】
したがって、開始剤は、式1
R((OCHCHY)−XH)
により表すことができ、
式中、Yは、H、CHまたは高級アルキル基(好ましくはC1からC16、好ましくはC1からC8、または好ましくはC1からC4)またはそれらの混合物であり、Xは活性水素基で、独立に好ましくはO、N、またはNH、または好ましくはOであり、pは1から8、好ましくは2から8であり、bは、活性水素基1個当たり少なくとも約480の当量重量を生じるのに十分であり、好ましくは少なくとも約7から最大で約70である。ポリエーテル開始剤のアーム(arm)中のエーテル単位数、bは、当量重量が少なくとも約480であるとき、少なくとも約9、または少なくとも約12であってよいが、当量重量が約480未満であるときは、少なくとも約13、少なくとも約14、または少なくとも約15であってよく、当量重量に関わらず、bは独立に平均で最大約70、最大で約55、または最大約45などであってよく、式1の化合物の当量重量は平均で少なくとも約480であり、または各活性水素は、他の各活性水素から平均19個のエーテル基(−OCHCHY−)により分離されており、好ましくはその両方である。式中、各Xは場合により同じかまたは異なる。開始剤は、それ故、ポリオール、ポリアミンおよびアミノアルコールを包含する。Rは、アルカン(C−C)、アルケン(C=C)、エーテル(C−O−C)連結基もしくはそれらの組合せの線状、環状の鎖またはそれらの組合せを一般的に表す。Rは、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約3個の炭素原子を有することができ、独立に好ましくは最大で約36、最大で約24、または最大で約12個の炭素原子を有する。上記の鎖中の炭素原子は、メチル基またはエチル基で場合によって置換されている。ポリエーテル開始剤中の各bの値が、各OCHCHY)−XH鎖すなわちポリエーテル開始剤の「アーム」の間で、場合により同じであるかまたは異なることは注目すべきである。さらに、当業者は、反応中に分子に付加するアルキレンオキシド分子の数には変動があり、したがってポリエーテル開始剤の分子中のbの値および同時に調製された分子の間のbの値にも変動があることを、認識するであろう。変動を考慮に入れると、以前に列挙したbの値は、ポリエーテル開始剤またはそれらの組合せの全て鎖にわたる平均bであると理解される。
【0022】
R基は、ネオペンチルグリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ソルビトール;スクロース;グリセロール;1,6−ヘキサンジオールなどのアルカンジオール;2,5−ヘキサンジオール;1,4−ブタンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;Dimerolアルコール(Henkel Corporationから入手できる36個の炭素のジオール);水素化されたビスフェノール;9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6−ヘキサントリオール;上記のものの任意のものであってその中に存在するアルコールまたはアミン基の少なくとも1つがエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物と反応したもの;およびそれらの組合せを含む、ポリエーテルのためのポリオール開始剤によって場合により例示される。
【0023】
式1のR基を形成し得る典型的ポリアミンには、エチレンジアミン;ネオペンチルジアミン、1,6−ジアミノヘキサン;ビスアミノメチルトリシクロデカン;ビスアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;およびトリエチレンテトラアミンが含まれる。典型的アミノアルコールには、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンが含まれる。場合により使用される他の化合物には、米国特許第4,216,344号;第4,243,818号および第4,348,543号および英国特許第1,043,507号に記載されたポリオール、ポリアミンまたはアミノアルコールが含まれる。
【0024】
好ましくは、Rを形成する開始剤は、ネオペンチルグリコール;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ソルビトール;スクロース;グリセロール;1,2−プロピレングリコール;1,6−ヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;1,4−ブタンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール;1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;Dimerolアルコール;水素化されたビスフェノール;9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;1,2,6−ヘキサントリオール;上記のものの任意のものであってその中に存在するアルコールまたはアミン基の少なくとも1つがエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物と反応したもの;およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0025】
次に、ポリエーテル開始剤を形成するために、活性水素基は、当技術分野の技術内の手段により、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはそれらの組合せなどの少なくとも1つのアルキレンオキシドと、またはエチレンオキシドのブロックが続くプロピレンオキシドのブロックと反応させて、ポリエーテルポリオールを形成することができる。ポリエーテルポリオールは、少なくとも1つの天然油またはその誘導体との、または少なくとも1つの天然油系モノマーとの反応のためのポリオールとして使用することができる。あるいは、ポリオールは、プロピレンオキシドのように、当技術分野の技術内の手段により反応して、1つまたは複数のヒドロキシル基を別の活性水素基に変換する。
【0026】
ポリエーテル開始剤は、WO2004096882に記載されているような少なくとも1つの天然油系モノマーなどの少なくとも1つの天然油またはその誘導体と反応させられる。天然油またはその誘導体は、場合により、本発明の実施形態の実施によるポリエーテル開始剤中の少なくとも1個の活性水素基と反応性の任意の天然油または天然油の誘導体である。好ましくは、天然油またはその誘導体は、ポリエーテル開始剤中の少なくとも1個の活性水素基と反応性の少なくとも1つの酸、無水物、酸塩化物、またはエステル基を有し、少なくとも1つのエステルまたはアミドを形成する。天然油またはその誘導体は、本明細書において、天然油系モノマーにより例示されるが、例示は本発明の実施形態を天然油系モノマーに限定することを意図しない。
【0027】
天然油系モノマーもしくは他の脂肪酸またはそれらの誘導体は、水酸化ナトリウム水溶液などの塩基によるけん化で脂肪酸およびグリセリンを生じるトリグリセリドからなる任意の動物脂肪または植物油から、場合により形成され、その場合脂肪酸の少なくとも一部は、好ましくは不飽和脂肪酸である(すなわち少なくとも1つの炭素二重結合を含む)。好ましい植物油は、少なくとも約70重量パーセントの不飽和脂肪酸を生じるものである。より好ましくは、植物油は、少なくとも約85重量パーセント、少なくとも87重量パーセント、または少なくとも約90重量パーセントの不飽和脂肪酸を生じる。植物油、動物脂肪または任意の他の原料から誘導可能な特定の脂肪酸が場合により使用されることは理解される。すなわち、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸の脂肪酸アルキルエステルが、天然油系モノマーを直接形成するために、場合により使用される。適当な植物油の例として、例えば、ヒマシ油、ダイズ、オリーブ、ピーナツ、菜種、トウモロコシ、ゴマ、綿、アブラナ、ベニバナ、アマニ、ヤシ、ブドウ種、ブラックキャラウェイ、カボチャの仁、ルリヂサ種、ウッドジャーム(wood germ)、アンズの仁、ピスタチオ、アーモンド、マカダミアナッツ、アボカド、ウミクロウメモドキ(sea buckthorn)、麻、ヘーゼルナッツ、オオマツヨイグサ、野バラ、アザミ、クルミ、ヒマワリ、南洋アブラギリ(jatropha)種の油、またはそれらの組合せからの植物油が挙げられる。それに加えて、藻類などの生物体から得られる油類も使用することができる。動物産物の例としては、豚脂、牛脂、魚油およびそれらの混合物が挙げられる。植物系と動物系の油脂の組合せも使用することができる。植物油が、遺伝子改変されたダイズ、ヒマワリまたはアブラナなど遺伝子改変された生物体から所望により得られることは理解される。
【0028】
不飽和脂肪酸アルキルエステルは、次に、当技術分野において知られたような任意の適当な工程により、好ましい天然油系モノマーに形成することができる。例えば、ヒドロキシメチル基は、場合により、コバルトまたはロジウム触媒を使用するヒドロホルミル化工程とそれに続くホルミル基の水素化により導入され、接触還元または化学的還元によるヒドロキシメチル基が得られる。ヒドロキシメチルエステルを形成する手順は、米国特許第4,216,343号、第4,216,344号、第4,304,945号および第4,229,562号および特に第4,083,816号に記載されている。脂肪酸からヒドロキシメチルエステルを形成するための、米国特許第2,3324,849号および第3,787,459号に記載されたような他の知られた工程も、使用することができる。
【0029】
天然油系モノマーの形成において、脂肪酸アルキルエステルは、場合により完全にホルミル化されるか、または部分的にのみホルミル化される。すなわち、特定の植物油の脂肪酸アルキルエステルは、場合により若干の残存する不飽和(C=C)結合を有する。しかしながら、好ましくは、ホルミル化後に残存する不飽和結合の量は参照により本明細書に組み込むWO2004096744に記載されているようなものである。脂肪酸アルキルエステルはホルミル化された後、それらは水素化され得、その結果、望ましくは、不飽和結合は本質的に残存しない(すなわち、多くとも微量および好ましくは検出不可能な量の不飽和)。
【0030】
少なくとも1つの天然油またはその誘導体と少なくとも1つのポリエーテル開始剤とを、当技術分野において知られているような任意の適当な手段により反応させて、少なくとも1つのPNOBPを形成する。例えば、方法は、参照により本明細書に組み込むWO200496882およびWO2004096883に教示されている。天然油部分は、場合により、官能化、すなわち、脂肪酸部分へのヒドロキシル基またはそれらの前駆体の形成または導入の前または後に、開始剤と反応させることができる。
【0031】
実施形態においては、官能化された天然油部分が形成されて、次に、ポリエーテル開始剤と、当技術分野の技術内の任意の手段により、例えば、エステル連結基がポリエーテル開始剤と官能化された脂肪酸のメチルエステルとの反応により形成されるエステル交換により、または別法として、天然油または誘導体の酸、塩化物、または無水物の形態のエステル化により反応させられる。この実施形態の天然油部分は、当技術分野の技術内の任意の手段により、例えばエポキシ化(および開環)、アミノ化、無水マレイン酸または過塩素酸のような化合物との反応、空気酸化、オゾン分解、ヒドロホルミル化、触媒の存在下で湿った空気が吹き込まれる吹込油など水との反応により、好ましくはエポキシ化またはヒドロホルミル化によって、場合により官能化される。
【0032】
別の実施形態において、天然油系モノマーは、酸型またはメチルエステル型である不飽和脂肪酸単位であってよい。このモノマー単位は、場合により、官能化された天然油系モノマーとの反応のために使用されたのと同じ化学反応を使用して、ポリエーテル開始剤(またはそれらの組合せ)と反応させる。この天然油系モノマーは、ポリエーテル開始剤と反応させられた後、次にポリエーテル開始剤との反応前の官能化のために列挙したような当技術分野の技術内の任意の反応により官能化される。官能基は、ポリウレタンの形成のために直接有用であり、または場合によりさらなる化学反応、例えばエポキシ官能基の開環を経て、有用な官能基を形成し、上記の目的に有用なNOPを形成する。
【0033】
結果として生じるPNOBPは、少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造または少なくとも約480の当量重量を有する分子構造、好ましくは両方により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む。ポリエーテル開始剤が、天然油またはその誘導体と反応性の3個以上の活性水素基を有するとき、各天然油部分は、平均で少なくとも約19個のエーテル基または少なくとも約480の分子量の構造、好ましくは両方により他の部分から分離される。
【0034】
したがって、PNOBPは式2:
R(OCHCHY)XQ)
により表され、式中、R、X、b、およびpは、式1のために定義された通りであり、各Qは独立に少なくとも1つの天然油部分を表す。分子のQは、場合により同じでありまたは異なる。Qは、少なくとも1つの天然油または1つもしくは複数の脂肪酸またはそれらの誘導体、または少なくとも1つのヒドロキシ官能性脂肪酸もしくはその誘導体、または少なくとも1つのヒドロキシメチルメチル脂肪酸またはその誘導体の構造を有することが有利である。Qは、最も好ましくは、各脂肪酸誘導体中の少なくとも1つのヒドロキシル基またはエステル基、好ましくはヒドロキシメチル基のヒドロキシルと他の脂肪酸誘導体分子または分子部分の酸またはエステル(好ましくはメチルエステル)とのエステル化またはエステル交換によりオリゴマー化された一連の脂肪酸誘導体を表すこともできる。好ましくは、平均して少なくとも約0.5、0.8、または1個の脂肪酸がオリゴマー化されて各天然油部分、Qを形成する。各Q中の脂肪酸または脂肪酸誘導体の数は、好ましくは最大で約8、最大で約5、または最大で約3である。
【0035】
イソシアネート反応性材料は、PNOBPに加えて、1個または複数のヒドロキシル、第一級アミン、第二級アミンまたはエポキシド基を有する材料を含む、イソシアネート反応性基を有する1種または複数の他の材料を含むことができる。これらの他のイソシアネート反応性材料は、種々のタイプのものであってよい。例えば、400以上、特に約400から約8,000、または約500から約3,000または約600から約2,000の当量を有する他のイソシアネート反応性材料を使用することができる。そのようなより高い当量重量の材料の例として、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびアミノ化されたポリエーテルが挙げられる。それらは、通常、約1から約8、特に約1.8から約3.5の官能価(イソシアネート反応性基/分子)を有するであろう。関心のあるポリエーテルには、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシドまたはテトラヒドロフランのホモポリマー、ならびにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのランダムおよび/またはブロックコポリマーが含まれる。関心のあるポリエステルには、ポリラクトンおよびブタンジオール/アジピン酸ポリエステルが含まれる。
【0036】
イソシアネート反応性材料は、鎖伸張剤を含むこともできる。本発明の種々の実施形態の目的のために、鎖伸張剤は、1分子当たり2個のイソシアネート反応性基を有しかつイソシアネート反応性基1個当たり400未満、好ましくは200未満および特に31から125の当量重量を有する材料を意味する。イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル基、第一級脂肪族または芳香族アミン基または第二級脂肪族または芳香族アミン基である。代表的鎖伸張剤には、アミンエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタンおよび2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンが含まれる。
【0037】
ポリオール成分は、上記の高当量重量のポリオールに加えて1種または複数の架橋剤も含むことができる。本発明の実施形態の目的にとって、「架橋剤」は、1分子当たり3個以上のイソシアネート反応性基を有しかつイソシアネート反応性基1個当たり400未満の当量重量を有する材料である。架橋剤は、1分子当たり3から8、特に3から4個のヒドロキシル基、第一級アミン基または第二級アミン基を含み、30から約200、特に50から125の当量重量を有することができる。適当な架橋剤の例として、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ、ジまたはトリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0038】
PNOBPは、プレポリマーを作製するために使用されるイソシアネート反応性材料の合計重量の少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%、または少なくとも65%を構成することができる。PNOBPは、イソシアネート反応性材料の合計重量の75%以上、85%以上、90%以上、95%以上またはさらに100%構成することができる。例えば、PNOBP(単数または複数)は、イソシアネート反応性材料の合計重量の20から65%、35から65%、65から100%または80から100%を構成することができる。
【0039】
プレポリマーは、使用される特定の出発原料およびそれらの相対的比率に応じて種々のタイプの官能基を有することができる。一実施形態において、官能基はイソシアネート基である。プレポリマーは、ヒドロキシル基または第一級または第二級アミン基などのイソシアネート反応性官能基を有することができる。プレポリマーは、エポキシド、カルボン酸、カルボン酸無水物または類似の基などの他のタイプの官能基を有することができる。
【0040】
イソシアネート官能性プレポリマー
イソシアネート官能性プレポリマーは、それらが多様なポリウレタン生成物およびポリウレタン尿素生成物を調製するために有用な出発原料を形成するので、特に関心のあるものである。これらの材料は、平均で少なくとも1個、好ましくは平均で少なくとも1.8個のイソシアネート基/分子を有することにより特徴づけられる。これらの材料は、平均で、約2.0から、または約2.2から、または約2.5から約6、約4、約3.5または約3.0個のイソシアネート基/分子を含有することができる。
【0041】
ポリイソシアネートは、本発明の実施形態のイソシアネート官能性プレポリマーを調製するために適当に使用されるが、モノおよびポリイソシアネートの混合物も使用することができる。液体であるかまたは低温で溶融する低分子量生成物を製造するために、イソシアネート(単数または複数)は、イソシアネート反応性混合物中に存在するイソシアネート反応性基の1当量当たり1当量を超えるイソシアネート基を供給する量で使用される。イソシアネート基の少なくとも1.5、特に少なくとも1.8、さらにより好ましくは少なくとも2.0当量/イソシアネート反応性基の当量を供給することが好ましい。
【0042】
イソシアネート反応性基の1当量当たりおよそ1モル(約0.85から約1.15モルまたは約0.95から約1.05モルなど)のポリイソシアネート化合物が使用されるとき、イソシアネート反応性材料は、ポリイソシアネートで「キャップ」される。その結果生じるプレポリマーは、統計的分布の種々の分子量の生成物、ならびに若干の未反応のモノマーである。平均分子量はMW(イソシアネート反応性材料)+nMW(イソシアネート)に非常に近く、この場合、nは、イソシアネート反応性材料の1分子当たりのイソシアネート反応性基の数である。この場合、未反応のイソシアネート反応性基の残存は比較的少なく、未反応のイソシアネート化合物があったとしても少ない。これらのプレポリマーは、このように、低レベルの揮発性イソシアネート化合物を有するという利点を有する。このタイプのイソシアネートを末端とするプレポリマーは、鋳造およびスプレーエラストマー用途、湿気硬化性封止剤および接着剤、二液型封止剤および接着剤、ならびに水性ポリウレタン分散液などの種々の用途において有用である。各々の場合に、プレポリマーは、その特定の用途にそれを適合させる特異的な方法で特に誂えることができる。
【0043】
鋳造エラストマー用途のためには、トルエンジイソシアネート、MDI、およびPMDIなどの芳香族ポリイソシアネート、またはそれらの脂肪族ポリイソシアネートとの混合物は、光に対する高度の安定性が必要とされる場合を除いて好ましい。良好な光安定性が必要とされる場合は、H12MDI、イソホロンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよびヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。イソシアネート反応性材料はPNOBPのみを含有することができる。他のイソシアネート反応性材料が使用される場合、それらは、好ましくは1種または複数の高当量重量ポリオール、例えば、重合したプロピレンオキシドが合計ポリオール重量の少なくとも80%、特に少なくとも90%を構成する、400〜6,000当量重量のポリエーテルポリオール、特にポリ(プロピレンオキシド)またはプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマーなどである。ポリエーテルポリオールは、主として第二級ヒドロキシル基を含有することができる。このポリエーテルポリオールは、好ましくは、1.8から約3、特に約2から約3の官能価を有する。追加の高当量重量ポリオール(単数または複数)は、プレポリマーを作製するために使用されるイソシアネート反応性化合物の合計重量の約20から約65%を構成することが適当である。イソシアネート反応性材料中に少量の鎖伸張剤および/または架橋剤を含むことも可能である。これらは、イソシアネート反応性材料の合計重量の通常は約20%以下、特に約10%までを構成するであろう。このプレポリマーは、約500から約8,000のイソシアネート当量重量を有することが最も適当である。
【0044】
同様なプレポリマーは、一液型湿気硬化性接着剤および封止材用途に適する。この場合、PNOBPは、イソシアネート反応性材料の唯一の成分として単独で使用されるか、または別法として、高当量重量のポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールおよび/または鎖伸張剤と併せて適当に使用される。高当量重量のポリエーテルポリオールは、約3までの官能価および約500から約1500の当量重量を有するポリ(プロピレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)と約12重量%までのエチレンオキシドとのコポリマーであることが好ましい。
【0045】
弾性反発フォームクッションの作製に使用するため、および断片ゴムを回収して成形された品目にするため、または屋内使用および/もしくは屋外使用のためのスポーツの床系の作製に使用するための結合剤としてのこれらのプレポリマーのさらに他の用途。
【0046】
2モル以上のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート/モノイソシアネート混合物がイソシアネート反応性材料の1当量当たりで使用されるとき、その結果生じる生成物は前に記載したように一般にイソシアネートを末端とするプレポリマーの混合物と若干量の未反応イソシアネート化合物である。このタイプの混合物は、当技術分野においてしばしば「擬似プレポリマー」と称される。それらは約30重量%まで、例えば20から30重量%などのイソシアネート含有率を有する。擬似プレポリマーは、上記のプレポリマーが使用される同じ用途で使用することができる。それに加えて、このタイプの擬似プレポリマーは、いわゆる反応射出成形(RIM)工程、構造反応射出成形(SRIM)工程または強化反応射出成形(RRIM)工程におけるポリウレタンエラストマーの作製に特に有用である。擬似プレポリマーは、成形されたフォームおよび微孔性エラストマーの作製にも特に有用である。これら全ての用途のためのポリイソシアネートには、TDI、MDI、カルボジイミド改質MDI(Dow ChemicalのIsonate(登録商標)143Lなど)およびポリマー状MDIが含まれ得る。
【0047】
擬似プレポリマーは、約1から約60重量%、好ましくは約5から約40重量%の未反応ポリイソシアネート化合物を含むことがある。PNOBPは、唯一のイソシアネート反応性材料として使用することもでき、またはポリエーテルポリオールまたは他のポリエステルポリオールなど1種または複数の他の高当量重量の材料とブレンドすることもできる。RIM、SRIMおよびRRIM用途に対しては、イソシアネート反応性材料中に鎖伸張剤および/または架橋剤を含むことが望ましいことがある。特別の関心がある擬似プレポリマーが、PNOBPと架橋剤および/または鎖伸張剤とのブレンドで作製される。架橋剤および/または鎖伸張剤の量は、イソシアネート化合物と架橋剤および/または鎖伸張剤との配合された重量が、イソシアネート化合物と全イソシアネート反応性材料との合計重量の約5から約80%であるような量である。架橋剤および/または鎖伸張剤を加えたイソシアネート化合物の反応物の合計重量に対するこの比は、本明細書では、「ハードセグメント含有率」と称することがある。20から60%、特に25から45%のハードセグメント含有率は、RIM、SRIMおよびRRIM用途のための擬似プレポリマーにおいては特に関心のあるものである。
【0048】
イソシアネート反応性材料の1当量当たり1モル未満のイソシアネート化合物が使用されるとき、その結果生じる生成物は、イソシアネート反応性材料(単数または複数)の2個以上の分子が結合して一緒になってより高分子量のオリゴマーを形成する、かなりの数の種を含む材料の混合物である傾向があるであろう。
【0049】
イソシアネートを末端とする本発明の実施形態のプレポリマーは、成分比を調節することにより、および幾つかの場合には追加のイソシアネート反応性材料の選択により、特別の用途向けに誂えることができる。この第1の例は、主として低目の当量重量のPNOBP材料の使用によるハードセグメント含有率の制御ならびにプレポリマーの作製における鎖伸張剤および/または架橋剤材料の使用である。一般的に、より高いハードセグメント含有率のプレポリマーの使用は、硬化したときに、より硬く、より多く架橋した、および弾性のより低いポリマーを形成する傾向がある。例えば、弾性ポリウレタンは、一般にハードセグメント含有率が5から30重量%のプレポリマーを使用して作製されるが、それに対して構造エラストマー(RIM、SRIMおよびRRIMなど)は、ハードセグメント含有率が25から60%、特に25から45重量%のプレポリマーを使用する傾向がある。木材および金属のための硬質コーティングを形成するためには、ハードセグメント含有率が30から60%のプレポリマーが使用されることが多い。
【0050】
このことの他の例は、水分散性のイソシアネートを末端とするプレポリマーである。そのようなプレポリマーは、十分水分散性であり水性相中で安定な滴を形成することができるので、水性ポリウレタン/尿素分散液を作製するのに有用である。この水分散性は、PNOBPに加えて、ある程度親水性のイソシアネート反応性材料を使用して生成物を調製することにより達成することができる。適当な上述の親水性イソシアネート反応性材料には、エチレンオキシドのポリマー、重合したエチレンオキシドがその重量の少なくとも50%を構成するエチレンオキシドのランダムまたはブロックコポリマー、および1つもしくは複数の好ましくは2つ以上イソシアネート反応性基とカルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩または第四級アンモニウム基とを有する化合物、例えばジメチロールプロピオン酸もしくはその塩などが含まれる。水分散性は、PNOBPが、かなりの長さのポリ(エチレンオキシド)ブロック(約10以上、特に約25以上のオキシエチレン単位など)を含有する場合でも、イソシアネートを末端とするプレポリマーに賦与することができる。このような基は、開始剤化合物としてポリ(エチレンオキシド)ポリマーまたはコポリマーを使用することにより、PNOBP中に導入することができる。
【0051】
特化したイソシアネートを末端とする本発明の実施形態のプレポリマーの他の例は、微孔性フォームの用途に適合させたプレポリマーである。この場合には、約20から90重量%のエチレンオキシドを含有し、主として第一級ヒドロキシル基を有するプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマーを、追加のイソシアネート反応性材料として使用することができる。そのようなコポリマーは、全てのイソシアネート反応性材料の重量の10から60%を構成し、1000から約6000の当量重量を有することができる。そのような用途に特に適した他のプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマーは、内部で重合した1から20%のエチレンオキシドを有し、かつ1000から6000の当量重量を有するコポリマーである。さらに他のタイプは、当量重量が2000〜6000であり、プロピレンオキシドが85〜98重量%およびエチレンオキシドが2〜15重量%の低不飽和ランダムコポリマーである。その結果生じるプレポリマーは、靴底など成形された微孔性材料および添付されたフォームカーペット緩衝材など起泡フォーム材料の作製に特に適する。それらは、イソシアネート含有率が3から20%であるのが好都合である。
【0052】
特化されたイソシアネート官能性プレポリマーの第4のタイプは、重合性不飽和を含む。そのような不飽和を導入できる1つの方法は、イソシアネート反応性材料中のヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレート化合物を含むことである。適当な上述のヒドロキシ官能性アクリレートおよびメタクリレートには、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、およびエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドのアクリル酸またはメタクリル酸との付加生成物が含まれる。適当なヒドロキシ官能性アクリレートおよびメタクリレートの例として、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシルプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシ−n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−n−ブチルメタクリレート、4−ヒドロキシ−n−ブチルメタクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸のポリ(オキシエチレン)−および/またはポリ(オキシプロピレン)−エステル(オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基の数は好ましくは2から10である)等が挙げられる。上述の中でメタクリレートが好ましい。HEMAが特に好ましい。この不飽和の存在により、プレポリマーがフリーラジカル重合によりおよび/または紫外線(UV)硬化機構により硬化されることが可能になる。これらの用途のために、イソシアネート基の100%までヒドロキシル官能性アクリレートまたはメタクリレート化合物でキャップすることができる。イソシアネート基の一部分(10〜95%など)だけのキャッピングにより、イソシアネート基およびエチレン性不飽和基の両方を含有するプレポリマーを形成することが望ましいことがある。UV硬化が望ましい用途のために、プレポリマーは、重合促進剤および、所望であれば、1種または複数の追加の重合性のエチレン性不飽和モノマーとブレンドすることができる。そのような用途の例が米国特許第6,699,916号に記載されている。そのようなプレポリマーを含むUV硬化系は、接着剤および構造フォームとして、または携帯電話などのエレクトロニクスおよび軍事用または木材コーティング用途のために使用されるような種々の軟質または硬質のコーティング材料を作製するために使用することができる。
【0053】
ある種の基質に対する接着を改善するために、比較的少量のアクリレート基またはメタクリレート基をプレポリマーに付加することも可能である。そのような場合には、ポリイソシアネートにより提供されるイソシアネートの1当量当たり約0.01から約0.10当量のヒドロキシル官能性アクリレートまたはメタクリレートを使用することが、通常は適当である。好ましい範囲は、イソシアネート化合物(単数または複数)の1当量当たり約0.02から約0.08当量のヒドロキシル官能性アクリレートまたはメタクリレートである。より好ましい範囲は約0.025から約0.06当量/当量である。その結果生じるアクリレートまたはメタクリレート官能性プレポリマーは、種々の(すなわち、IPN、コアシェルまたは他の)形態を有するハイブリッドウレタン−アクリレートまたはハイブリッドウレタン−メタクリレートポリマーを作製するために、および自動車および他の用途のための一液型または二液型構造接着フォームを作製するために有用である。
【0054】
イソシアネートを末端とするプレポリマーは、ブロック化して熱活性化イソシアネート官能性材料を形成することができる。
【0055】
ヒドロキシル官能性ウレタン
イソシアネート反応性材料を過剰に使用することにより、本発明の実施形態のプレポリマーに、ヒドロキシル官能性を与えることができる。一般に、ヒドロキシルを末端とするプレポリマーは、上で述べたものと同じ出発原料を使用して調製することができ、その相違は成分の相対比にある。前述のように、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、鎖伸張剤および/または架橋剤などの追加のイソシアネート反応性材料の使用を含む特定の出発原料の選択により、特定の用途のために誂えた広範囲のヒドロキシルを末端とするプレポリマーを作製することが可能になる。
【0056】
ヒドロキシルを末端とする本発明の実施形態のプレポリマーは、多様なポリウレタン用途に有用である。それらは、いうまでもなくヒドロキシルを末端とする材料がポリイソシアネート化合物を使用して硬化されるということを除いて、イソシアネートを末端とするプレポリマーに同様に一般的に使用することができる。ヒドロキシルを末端とするプレポリマーは、特定のポリウレタン用途に必要なまたは望ましい他のイソシアネート反応性材料と併用して使用することができる。
【0057】
特に関心のある用途には、種々の水を担体とするコーティングおよび非水性コーティング、接着剤および封止材用途が含まれる。そのような用途において、ヒドロキシルを末端とするプレポリマーは水性相中に分散されて、その分散液をポリイソシアネートと混合することにより硬化される。水を担体とするポリイソシアネートエマルションはこれらの用途に特に適する。ポリイソシアネートは、イソシアヌレート、カルボジイミド、ビウレット、アロホネートまたはより高い官能価のポリイソシアネートを生成し得る他の連結基を有することができる。この様式で作製された硬質コーティングは、軍事用備品、自動車備品、自動車のウインドシールド、ゴーグルおよび他の眼保護具等のための有用なコーティングである。
【0058】
ヒドロキシルを末端とする本発明の実施形態のプレポリマーは、ポリイソシアネート以外の、それでもヒドロキシル反応性基を含有する反応性化合物とも重合することができる。そのような反応性化合物の例として、ヒドロキシルを末端とするプレポリマーと反応してポリエステルを形成することができる、例えばカルボン酸無水物、特に環状無水物が挙げられる。ジエステルおよびジカルボン酸化合物は、ヒドロキシルを末端とするプレポリマーとのエステル交換反応に関わり、ポリエステルを再び形成することができる。アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーおよびコポリマーなどのポリカルボン酸含有ポリマーのための架橋剤として、ヒドロキシルを末端とするプレポリマーを使用することができる。
【0059】
他の官能基を含有するプレポリマー
本発明の実施形態のイソシアネート官能性プレポリマーおよびヒドロキシル官能性プレポリマーは両方とも、他のタイプの官能性をウレタンに導入するために使用することができる官能基を含有する。そのような官能性の例として、カルボン酸、カルボン酸無水物、エポキシド、エチレン性不飽和、アミノ、およびシラン等が挙げられる。この官能性は幾つかの方法で導入することができる。1つのアプローチは、既存の官能基を化学的に改変して他の望ましい官能基に変換することである。このアプローチの例は、末端イソシアネート基を、モノアルコールまたは水との反応によりウレタンまたは尿素基に変換して、次にウレタン基を加水分解して末端第一級アミノ基を形成することである。第2の例は、末端ヒドロキシル基を酸化してカルボン酸基を形成することである。
【0060】
他のアプローチは、既存の官能基と、所望の新しい官能基およびウレタン中の既存の官能基と反応して共有結合を形成する第2の反応性基の両方を含む二反応性材料とを反応させることである。
【0061】
特化された官能性をイソシアネート末端ウレタンに賦与するために有用な二反応性材料には、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート、アミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートなどのヒドロキシ−またはアミノ官能性のエチレン性不飽和化合物;ヒドロキシル官能性カルボン酸およびカルボン酸無水物;ビスフェノールA/グリシジルエーテル型のエポキシ化合物などのヒドロキシル含有エポキシド化合物;およびヒドロキシル−またはアミノ官能性アルコキシシラン等が含まれる。過剰に使用されるジアミンは、イソシアネートを末端とするプレポリマーに末端アミノ基を導入するために使用することができる。
【0062】
特化された官能性をヒドロキシル末端ウレタンに賦与するために有用な二反応性材料には、イソシアナトエチルメタクリレートなどのエチレン性不飽和イソシアネート、エチレン性不飽和カルボン酸、酸ハロゲン化物または酸無水物、エポキシ官能性イソシアネート、カルボン酸、酸ハロゲン化物または酸無水物、ビニルトリメトキシシランなどのエチレン性不飽和アルコキシシランならびに多くの他のものが含まれる。
【0063】
ヒドロキシ官能性材料からエポキシ官能性付加物を作製する方法は、例えば、U.S.4,599,401およびEP139,042、EP143,120およびEP142,121に記載されており、それらの方法は、本明細書に記載されたウレタンの使用に適合させることができる。末端アルコキシシラン基を導入する特定の方法は、米国特許第6,762,270号に記載されている。
【0064】
エチレン性不飽和を有する本発明の実施形態のプレポリマーは、前に記載したように、UV硬化性材料としておよびポリウレタン接着剤、封止剤および/または構造フォーム用途における原料として有用である。
【0065】
カルボン酸またはカルボン酸無水物官能基を有する本発明の実施形態のプレポリマーは、ポリエステルを作製するために有用であり、かつ例えばポリビニルアルコールまたはヒドロキシアルキルアクリレートもしくはメタクリレートのポリマーなどヒドロキシルペンダント基を有するポリマーのための架橋剤である。
【0066】
シラン官能性、特に加水分解性シラン基、例えばモノ、ジまたはトリアルコキシシラン基などを有する本発明の実施形態のプレポリマーは、湿気硬化が望ましい広範囲の封止材、エラストマー、コーティングおよび接着剤用途において有用である。
【0067】
本発明の実施形態のエポキシ官能性プレポリマーは、周知のアミン硬化剤を使用して硬化させ、接着剤、エレクトロニクス注型封入、および他の用途のためのエポキシ樹脂を形成することができる。
【0068】
論じたように、本発明の実施形態のプレポリマーは、多様なポリウレタン形成反応に有用であると同時に、ポリエステル、ポリカーボネート、およびビニル−ポリウレタンハイブリッドポリマーなど他のタイプのポリマーの作製における中間体である。プレポリマーが役に立つタイプのポリマーは、いうまでもなく、存在する特定の官能基により主に決定される。
【0069】
一般に、ポリウレタンは、本発明の実施形態のイソシアネート官能性プレポリマーを水および/または追加のイソシアネート反応性材料と反応させることにより調製することができる。これを成し遂げる方法は、当技術分野において周知である。鋳造および微孔性エラストマーを作製する一般的な方法は、例えば、とりわけ、米国特許第5,648,447号、第6,022,903号、第5,856,372号およびEP868,455に記載されている。ポリウレタン封止材および接着剤組成物を作製する方法は、とりわけ、米国特許第4,985,491号、第5,774,123号、第6,103,849号、第6,046,270号および6,512,033号に記載されている。水性ポリウレタン分散液の製造方法は、例えば、米国特許第4,792,574号、第6,444,746号および第6,455,632号に記載されている。ポリウレタンおよび/またはポリウレアポリマーを作製するための反応射出成形方法は、例えば、米国特許第4,876,019号、第4,766,172号、第4,433,067号および第4,218,543号に記載されている。再生フォームを作製する一般的な方法は、米国特許第5,817,703号に記載されている。
【0070】
プレポリマーは、例えば、界面活性剤、触媒、顔料、染料、充填剤、乾燥剤、流動性および粘度改良剤、分散剤、界面活性剤、防腐剤、抗生物質、殺虫剤、および肥料等を含む種々のタイプの有用な添加剤とブレンドすることができる。
【実施例】
【0071】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例証するために示されるが、本発明の範囲を限定することは意図されない。全ての部およびパーセンテージは、特に断らない限り重量による。
【0072】
以下の材料が使用される:
VORANOL220−056N
プロピレングリコールで開始された分子量約2000およびヒドロキシル当量重量約1000のポリオキシプロピレン系ジオール。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANOLCP−6001
グリセリンで開始され、15%のエチレンオキシドでキャップされた当量重量2000のプロポキシル化トリオール。The Dow Chemical Companyから入手可能。
PNOBP−D
ダイズ油からの脂肪酸を使用して調製された2官能性ポリエーテル天然油系ポリオール。それは、ヒドロキシメチル化されたダイズ脂肪酸のメチルエステルモノマーと当量重量1000のポリ(プロピレン/エチレンオキシド)ジオール開始剤とを反応させることにより作製される。ジオール開始剤は、プロピレングリコールを取り、それをプロピレンオキシドで分子量が1750に達するまでアルコキシル化し、続いてエチレンオキシドを使用して分子量が2000に達するまでアルコキシル化することにより作製される。モノマー対ジオール開始剤のモル比は3.5である。PNOBP−Dは、約1390の当量分子量、40のヒドロキシル数(OH#)、およびポリオール中の合計炭素の分率としてのポリオール中の再生可能炭素(植物資源からの炭素)として計算された37%の再生可能含有率を有する。
PNOBP−T
ダイズ油からの脂肪酸を使用して調製された3官能性ポリエーテル天然油系ポリオール。それは、ヒドロキシメチル化されたダイズ脂肪酸のメチルエステルモノマーと当量分子量1500のポリ(プロピレン/エチレンオキシド)トリオール開始剤とを反応させることにより作製される。トリオール開始剤は、グリセリンを取りそれをプロピレンオキシドで分子量が3675に達するまでアルコキシル化し、続いてエチレンオキシドを使用して分子量が4500に達するまでアルコキシル化することにより作製される。モノマー対トリオール開始剤モル比は6である。PNOBP−Tは、当量分子量が約2000であり、ヒドロキシル数(OH#)が28であり、再生可能含有率が32%である。
ISONATEOP−50
50パーセントの4,4’−メチレンジフェニルイソシアネートと50パーセントの2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートとの混合物。The Dow Chemical Companyから入手可能。
ISONATEOP−25
75パーセントの4,4’−メチレンジフェニルイソシアネートと25パーセントの2,4’−メチレンジフェニルイソシアネートの混合物。The Dow Chemical Companyから入手可能。
ISONATE143L
ポリカルボジイミドで改質されたジフェニルメタンジイソシアネート。The Dow Chemical Companyから入手可能。
PAPI94
およそ98%の4,4’異性体と残余2%の2,4’異性体とを含み、官能価は2.3であるポリマー状メチレンジイソシアネート。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANATET−80
The Dow Chemical Companyから入手できるトルエンジイソシアネート(80重量%の2,4−トルエンジイソシアネートおよび20重量%の2,6−トルエンジイソシアネート)組成物。
DMDEE
2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、純度97%、受け入れたままで使用した。Sigma−Aldrich Companyから入手可能。
ISONATE、PAPI、VORANATE、およびVORANOLは、The Dow Chemical Companyの商標である。
【0073】
プレポリマーは、温度計、縦型攪拌機、窒素を連続して流すための窒素導入口および窒素排気口ならびに化学物質添加の導入口を備えた1Lのガラス反応器中で合成する。プレポリマーは、標準のプレポリマー手順方法に従って調製する:
1.イソシアネートブレンドを調製して、酸性度は、場合により塩化ベンゾイルを目標の酸性度の値に達するまで添加することにより調節する。
2.予備混合したイソシアネートを、ガラスの反応器中に充填して60℃に加熱する。
3.ポリオールを予備混合して、ブレンドとして反応容器中に制御された速度で加え、その間、反応混合物を約60℃から約70℃に保つ。
4.ポリオール添加が終了したら、温度を70℃に上げて3時間加熱する。
5.試料を一定の時間間隔で採りNCO含有率を決定する。
【0074】
プレポリマーの全てのキャラクタリゼーションを合成後3日に行う。プレポリマーを、最終プレポリマー中のNCO含有率(パーセント)によって特徴づける。イソシアネート含有率(wt%NCO)は、ASTM法D5155−96、試験方法Cに従って滴定技法により決定する。
【0075】
粘度はTA instrumentのARESレオメーターを使用して測定する。MP303平行板固定具(parallel plate fixture)をペルチエで冷却した底板配置と使用する。上側のプレートは直径40.0mmであり、2枚のプレート間の間隔は0.50mmに保つ。全ての測定は、固定剪断モード、10s-1の剪断速度で実施する。測定は、20℃から60℃の温度範囲にわたって毎分10℃の加熱速度を使用して実施する。試料は20℃で装填する。
【0076】
プレポリマーの反応性特性を測定して、硬化時間およびオープンタイム(ハンドリング時間とも言われる)を決定する。幾つかの用途においては、取り扱いおよび混合のために十分長いオープンタイムを維持しながら、同時に、短い硬化時間が望まれることがある。反応性は以下のDowの方法を使用して発生させる。
【0077】
方法1.0.4重量%のDMDEE触媒を含むプレポリマーの固有の反応性は、Byk乾燥レコーダを使用して、厚さ200μmのプレポリマーフィルムで測定する。オープンタイムおよび硬化時間は、室温および約50%の相対湿度で測定する。
【0078】
方法2.不粘着時間は、室温でおよび100℃で発泡させたプレポリマー/水混合物(90/10重量%)について測定する。DMDEE(0.4重量%)をプレポリマーに添加して反応性を増大させる。クリーム時間は、プレポリマー/水の反応が発泡を生じるのに要する時間であり、糸引き時間(string time)はプレポリマーが粘着性になるのに要する時間であり、不粘着時間はプレポリマーが完全に硬化して粘着しなくなるのに要する時間である。
【0079】
方法3.Foamat Qualification Systemを用いる、時間に対するプレポリマー/水混合物(90/10重量%)の20℃における発泡プロファイル。
【0080】
湿気硬化ポリウレタンフィルムは、タルク粉末を散布したTEFLONシート上にプレポリマーを引くことにより調製する。フィルムは、室温および周囲湿度(典型的には23℃および相対湿度50%)で分析前に1週間湿気硬化させる。
【0081】
引っ張り強度、伸度(%)、および100psi(弾性率)における応力をASTM D1708に従って測定する。
【0082】
硬化したポリウレタンフィルムの吸水率は、ポリウレタンフィルムの切断片で測定し、それを秤量して重量Wとする。次に、フィルム片を脱イオン水中に24時間浸漬する。次に、フィルム片をティッシューペーパーで拭き、秤量してWを得る。水の吸収は、式
吸水率=(W−W)/W×100%
を使用して計算する。
【0083】
比較例1および実施例1〜4
比較例1(CE1)および実施例1〜4(E1〜4)を作製し、上記のようにして試験した。組成物および実験データを表1に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
実施例E1〜E4について目標とした理論NCO含有率(%)は、比較例CE1の値に十分近くに保たれ、最終ポリマーのハードセグメント含有率における差の原因になり得る結果の不一致を防止する。
【0086】
図1は、CE1、E1、E3、およびE4についての粘度対温度のプロットである。PNOBPプレポリマー(E1、E3、およびE4)の粘度は、非PNOBPプレポリマー(CE1)と同様な範囲内にある。
【0087】
図2は、最高の再生可能含有率を有するPNOBPプレポリマー(E3)および非PNOBPプレポリマー(CE1)の発泡プロファイル(高さ対時間)のプロットである。発泡プロファイルは、DMDEE触媒添加および無添加の両方で得ている。
【0088】
図3は、得られたポリウレタンフィルムの応力歪み挙動のプロットである。PNOBPプレポリマー(E1〜E4)のフィルムについての結果は、非PNOBPプレポリマー(CE1)のフィルムについての結果と同様である。
【0089】
図4は、水に曝した後の得られたポリウレタンフィルムの応力歪み挙動のプロットである。表1にも列挙したように、非PNOBPプレポリマーから作製されたフィルムでは、水に24時間曝した後のフィルムの伸度の減少(%)が最大であった。PNOBPプレポリマーから作製されたフィルムでは、伸度の減少(%)は有意に小さい。PNOBPプレポリマーを使用して作製されたポリマーフィルムは、非PNOBPプレポリマーを使用して作製されたフィルムより大きいEO含有率を有するのに、PNOBPプレポリマーを使用して作製されたフィルムは、非PNOBPプレポリマーを使用して作製されたフィルムより吸水率が小さい。これは、伸度の減少が小さくなるPNOBPの疎水性の結果である可能性がある。
【0090】
上述の記載は本発明の実施形態に向けられているが、他のおよびさらなる本発明の実施形態は本発明の基本的範囲から逸脱することなく考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲により決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのウレタン基を有するプレポリマーであって、
少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つの天然油系ポリオールとの反応生成物を含み、
天然油系ポリオールが、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む、プレポリマー。
【請求項2】
少なくとも1つのウレタン基を有するプレポリマーを製造する方法であって、
少なくとも1つのイソシアネートと
少なくとも1つの天然油系ポリオールと
を少なくとも反応させてプレポリマーを形成することを含み、
少なくとも1つの天然油系ポリオールが、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む方法。
【請求項3】
少なくとも1つのイソシアネート反応性材料と少なくとも1つのプレポリマーとの反応生成物を含むポリウレタン生成物であって、プレポリマーが、イソシアネート官能性であり、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つの天然油系ポリオールとの反応生成物を含み、天然油系ポリオールが、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む、ポリウレタン生成物。
【請求項4】
ポリウレタン生成物を製造する方法であって、
少なくとも1つのイソシアネート反応性材料と
少なくとも1つのプレポリマーと
を少なくとも反応させることを含み、プレポリマーが、イソシアネート官能性であり、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つの天然油系ポリオールとの反応生成物を含み、天然油系ポリオールが、天然油部分の任意の2つの間に平均で少なくとも約19個のエーテル基を有する分子構造により、または少なくとも約480の当量重量を有するポリエーテル分子構造により分離された少なくとも2つの天然油部分を含む方法。
【請求項5】
天然油系ポリオールが、ポリエーテル開始剤と反応する天然油もしくはその誘導体を使用して製造される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項6】
ポリエーテル開始剤が、活性水素基1個当たり少なくとも約600および最大で約3000の平均当量重量を有する、請求項5に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項7】
ポリエーテル開始剤が、少なくとも約2および最大で約8の活性水素官能価を有する、請求項5または6に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項8】
ポリエーテル開始剤が、
式1:R((OCHCHY)−XH)
(式中、Yは、H、CHまたは高級アルキル基またはそれらの混合物であり、Xは活性水素基であり、pは1から8であり、bは活性水素基1個当たり少なくとも約480の当量重量を生じるのに十分であり、ポリエーテル開始剤のアームにおけるエーテル単位の数bは、好ましくは少なくとも約9.5であり、Rは、アルカン(C−C)、アルケン(C=C)、エーテル(C−O−C)連結基またはそれらの組合せの線状、環状の鎖またはそれらの組合せを表し、Rは1から30個の炭素原子を有する)
により表される、請求項5または6に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項9】
各ポリエーテルNOPが、ポリエーテル開始剤の各活性水素原子の位置でオリゴマー化された、平均で少なくとも約0.5個から最大で約8個の脂肪酸部分を有する、請求項5から8のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項10】
少なくとも2つの天然油部分が、少なくとも1つの天然油から誘導された脂肪酸または脂肪酸のメチルエステル上の不飽和の部位におけるヒドロホルミル化から生じる少なくとも1つの天然油系モノマーを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項11】
プレポリマーが、1.8から約4のイソシアネート官能価を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項12】
プレポリマーが約500から約50,000のイソシアネート当量重量を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項13】
プレポリマーがアミノ基をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項14】
プレポリマーがエポキシド基をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項15】
プレポリマーがシリル基をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項16】
シリル基が加水分解性である、請求項15に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項17】
プレポリマーが湿気硬化性である、請求項1から9のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項18】
プレポリマーが水分散性である、請求項1から17のいずれか一項に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項19】
プレポリマーが、少なくとも1つのカルボン酸、カルボン酸塩、スルホネートまたは第四級アンモニウム基をさらに含む、請求項18に記載のプレポリマー、ポリウレタン生成物、または方法。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載のプレポリマーを硬化させることにより調製されるポリマー。
【請求項21】
多孔性である、請求項20に記載のポリマー。
【請求項22】
接着剤、結合剤、エラストマー、封止材またはコーティングである、請求項20または21に記載のポリマー。
【請求項23】
湿気による反応により硬化した、請求項20から22のいずれかに記載のポリマー。
【請求項24】
ポリオール、ポリアミンまたはアミノアルコールによる反応により硬化した、請求項20から22のいずれかに記載のポリマー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−516634(P2011−516634A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500982(P2011−500982)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/037816
【国際公開番号】WO2009/117665
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ リミティド ライアビリティ カンパニー (1,383)
【Fターム(参考)】