説明

太陽光制御フィルム

透明な太陽光制御フィルムは少なくとも1層の延伸された熱可塑性ポリマー材料を含む単一又は多層のコア層を有してよい。可視光より赤外光を少なくとも約100倍選択的に吸収する赤外線吸収ナノ粒子が、少なくとも1層の延伸された熱可塑性ポリマー層中に分散されてよい。前記透明な太陽光制御フィルムは約5%未満のヘイズ値を有してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概略的に太陽光制御フィルム及びその形成方法に関し、より具体的には赤外線吸収ナノ粒子を含む太陽光制御フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
着色及び真空コーティングしたプラスチックフィルムは、日光による熱負荷を減少させる目的で、窓に適用されている。熱負荷を減少させる際には、太陽光スペクトルの可視部又は赤外部のいずれか(即ち、400nm〜2500nm以上の波長)の太陽光の透過を遮断する。
【0003】
着色フィルムは、主に吸収によって可視光線の透過を制御することができ、その結果、グレアの減少をもたらす。しかし、着色フィルムは一般に近赤外太陽エネルギーを遮断することがなく、そのため太陽光制御フィルムとして完全に有効ではない。また、着色フィルムは、太陽光暴露によって色あせることが多い。これに加え、複数の色素でフィルムを染めた場合、色素が異なる速度で色あせする場合が多く、フィルムの耐用期間にわたって望ましくない変色を引き起こす。
【0004】
他の既知のウィンドウフィルムは、ステンレススチール合金、インコネル合金、モネル合金、クロム合金、又は、ニクロム合金などの真空蒸着した灰色金属を用いて作られている。灰色金属を蒸着させたフィルムは、太陽光スペクトルの可視部及び赤外部で、ほぼ同程度の透過率をもたらす。その結果、灰色金属フィルムは、太陽光制御の点では、着色フィルムを上回る。灰色金属フィルムは、光、酸素、及び/又は、水分に曝されても比較的安定しており、酸化によってコーティングの透過率が上昇するケースでは、一般に変色は検出されない。灰色金属は、透明ガラスに塗布した後は、太陽光の反射量及び吸収量とほぼ等しい量で光の透過を遮断する。
【0005】
銀、アルミニウム、及び、銅などの真空蒸着層は、主に反射によって太陽光を制御すると共に、高レベルの可視光反射のため、限られた数の用途でしか有用でない。銅及び銀といった特定の反射性物質によって、適度な選択性(即ち、赤外光透過率よりも高い可視光線透過率)が可能になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの典型的な実施例では、本開示は少なくとも一層の延伸された熱可塑性ポリマー材料を含む単一又は多層のコアを有する透明な太陽光制御フィルムに関する。可視光線よりも約100倍選択的に赤外光を吸収する赤外線吸収性のナノ粒子が、延伸された熱可塑性ポリマー層の少なくとも1つの層中に分散される。その透明な太陽光制御フィルムは、約5%未満のヘイズ値を有する。
【0007】
別の典型的実施例では、本開示は透明な太陽光制御フィルムを形成する方法を目的とする。赤外線吸収ナノ粒子はポリマー又はポリマー前駆体に分散され、ナノ粒子分散体を形成する。ポリマー製赤外線吸収ナノ粒子フィルムは、ナノ粒子分散体から形成される。ポリマー製赤外線吸収ナノ粒子フィルムは延伸され、5%未満のヘイズ値を有する延伸された太陽光制御フィルムを形成する。赤外線吸収ナノ粒子は、赤外光を可視光の約100倍選択的に吸収する。
【0008】
主題の発明による太陽光制御フィルムの、これらの及び他の態様が、図面を伴った以下の詳細な説明により当業者には容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
主題の発明が関わる技術分野の当業者が、主題の発明の製造方法及び使用方法をより容易に理解できるように、それらの典型的な実施例について図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図1】サンプル6〜9の透過率%を波長の関数としたグラフ。
【図2】サンプル1〜5及び10の透過率%を波長の関数としたグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、概略的に、延伸された熱可塑性ポリマー材料の少なくとも1層を単一又は多層のコアの中に含む、透明な太陽光制御フィルムに関連する。可視光(即ち、光)よりも少なくとも100倍(百倍)選択的に赤外光を吸収する、赤外線吸収ナノ粒子を少なくとも1層の延伸された熱可塑性ポリマー材料の中に分散させる。
【0011】
特に明記しない限り、本明細書と請求項で用いられている主要なサイズ、量、及び、物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって変更されることを理解されたい。従って、特に記載のない限り、前述の明細書及び添付の請求の範囲に記載されている数のパラメータは、本願明細書で開示する教示を利用して当業者が得ようと試みる所望の特性に応じて変えることのできる近似値である。
【0012】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれる全ての数(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)並びにその範囲内のあらゆる範囲が含まれる。
【0013】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段のはっきりした指示がない限り、複数の指示対象を有する実施形態を含む。例えば、「a film」の引用は、1つ、2つ又はそれ以上のフィルムを有する実施形態にも及ぶ。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される時、用語「又は」は、その内容について別段のはっきりした指示がない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0014】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば、2種以上の異なるモノマーを用いて形成されるポリマー)、オリゴマー及びこれらの組み合わせを含むと理解されるであろう。
【0015】
本明細書に記載される太陽光制御フィルムは、少なくとも可視光(即ち光)(400〜780nm)に対して実質的に透明であるが、赤外光(780〜2500nm)に対して少なくとも部分的に不透明である。本明細書に記載される透明な太陽光制御フィルムは、少なくとも20%、又は少なくとも45%、又は少なくとも70%の可視光(400〜780nm)平均透過率を有し、780nm〜2500nmの光に対する赤外光の平均透過率は10%未満、又は15%未満、若しくは20%未満であることができる。場合によっては、太陽光制御フィルムは、少なくとも約60%の可視光平均透過率及び、950nm〜2500nmの間のほぼ全ての波長に対して25%以下の赤外光透過率を有する。幾つかの実施形態では、太陽光制御フィルムは少なくとも70%又は少なくとも72%の可視光平均透過率を有する。
【0016】
本明細書に記載の太陽光制御フィルムの性能はヘイズによって測定でき、ヘイズは、フィルムを通過する光において特定の平均角度以上の前方散乱によって入射光から外れる光線のパーセントとして規定される。そのような測定方法の1つがASTM D1003に提供される。
【0017】
光学体のヘイズが、空気に曝露される光学体表面に関する光散乱に対して測定される際には、測定ヘイズには表面及び内部の光学的効果によってもたらされるヘイズが含まれる。このヘイズはその光学体に関する「総合」ヘイズと見なされる。光学体自体によって内部的に生じる光学的効果、又は「内部」ヘイズは、ほぼ類似した屈折率の流体中に光学体を浸漬した時、ヘイズを測定して求めることができる。一般的に、本開示で記載される太陽光制御フィルムは約5%未満の、場合によっては約3%未満の内部ヘイズを示す。
【0018】
単一又は多層コアの透明太陽光制御フィルムは、テレフタレート若しくはナフタレートのコモノマー単位を有するポリエステルを包含する、いかなる熱可塑性ポリマー材料をも含むか又はそのもので形成される。好適な材料の例として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びそれらのコポリマー並びにブレンドが挙げられる。
【0019】
その他の好適なポリエステルコポリマーの例は、例えば、発行された特許出願のPCT公開番号WO 99/36262及び同WO 99/36248に提供され、両特許は参照として本明細書に組み込まれる。その他の好適なポリエステル材料として、ポリカーボネート、ポリアリレート、及びその他のナフタレート並びにテレフタレート含有ポリマー類、例えば、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンナフタレート(PPN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリプロピレンテレフタレート(PPT)、並びに上記いずれかの相互、又は非ポリエステルポリマーとのブレンド及びコポリマーが挙げられる。
【0020】
好適なポリエステルコポリマーの具体例には、ポリエチレンナフタレート又はそのコポリマー、ポリエチレンテレフタレート又はそのコポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、若しくは上記いずれかの相互、又はその他のポリマーとのブレンドのコポリマーが挙げられる。
【0021】
幾つかの実施形態では、単一又は多層のコアは多層の光学フィルムであっても又はそれを含んでもよい。それらの層が異なった屈折率特性を有すると、一部の光は隣接する層間の境界面において反射される。前記層は、前記フィルムに所望の反射又は透過特性をもたらすために、複数の前記境界面で反射した光に建設的又は相殺的干渉をもたらすほど十分に薄い。紫外線、可視線、又は、近赤外線の波長の光を反射するように設計されている光学フィルムでは、各層の光学的厚み(即ち、物理的厚みに屈折率を乗じた数値)は一般に、約1マイクロメートル未満である。ただし、これよりも厚い層、例えば、フィルム外面にある表面薄層、又は層の束を区切るフィルム内に配置されている保護境界層も含めることができる。
【0022】
多層フィルムの反射及び透過の特性は、それぞれの層(即ちミクロ層)の屈折率の関数である。各層は、フィルムの少なくとも局所部分においては、面内屈折率n、n、及びフィルムの厚み方向軸と関連する屈折率nによって特徴づけることができる。これらの屈折率は、直交し合っているx軸、y軸、及びz軸のそれぞれに沿って偏光した光に関する対象材料の屈折率を表す。実際には、屈折率は、賢明な材料選択及び加工条件によって制御される。多層フィルムは、一般的には2つのA、Bポリマーを交互に重ねた数十又は数百の層に共押出され、続いて所望により、その多層押出物を1つ以上の多層化ダイ(multiplication die)を通過させ、次いでその押出物を延ばし若しくは別の方法で延伸させ最終フィルムを形成することによって製造される。得られたフィルムは、典型的には数十又は数百の個々の層から構成されており、これらの層の厚みと屈折率は、スペクトルの所望の領域(単一又は複数)、例えば、可視領域、近赤外領域、及び/又は赤外領域に1つ以上の反射帯をもたらすように調整されている。適度な数の層で高い反射率を実現させるために、隣接し合う層では、x軸に沿って偏光した光の屈折率の差(Δn)が少なくとも0.05であるのが好ましい。一部の実施形態では、2つの直交する偏光で高い反射率が望ましい場合、隣接している層では、y軸に沿って偏光した光の屈折率の差(Δn)も少なくとも0.05である。別の実施形態では、ある1つの偏光状態の法線入射光を反射させると共に、直交偏光状態の法線入射光を透過する層スタックを作製させるために、屈折率の差Δnは0.05未満又は0にできる。
【0023】
所望に応じて、隣接し合う層の間における、z軸に沿って偏光した光の屈折率の差(Δn)も、斜入射光のp偏光成分で所望の反射特性を得られるように調整することができる。説明を容易にするために、多層光学フィルム上のいかなる対象点においても、x軸は、Δnの大きさが最も大きくなるようにフィルム面内に延伸させるものとする。従って、Δnの大きさは、Δnの大きさに等しいか又はそれ未満(超えない)とすることができる。更に、差Δn、Δn、Δnを計算する際、どの材料層から始めるべきかという選定は、Δnを負の数にしないことを要求することにより左右される。言い換えれば、界面を形成する2層間の屈折率の差はΔn=n1j−n2jであり、式中、j=x、y、又はzであり、層の表記1、2は、n1x≧n2x、即ち、Δn≧0となるように選定される。
【0024】
斜め入射角におけるp偏光の高い反射率を維持するために、層間のz屈折率の不一致Δnは、最も大きい面内屈折率の差Δnより実質的に小さく制御して、Δn≦0.5×Δnのようにすることができる。より好ましくは、Δn≦0.25×Δnである。層の間における、大きさがゼロ又はほぼゼロのz屈折率の不一致は、入射角の関数としてp偏光の反射率が一定又はほぼ一定である境界面を層の間にもたらす。更に、z屈折率の不一致Δnは、面内屈折率の差Δnに対して反対の極性を有するように、即ち、Δn<0であるように、制御することができる。この条件は、s偏光の場合と同様に、p偏光に対する反射率が、入射角の増加と共に増加する境界面をもたらす。
【0025】
多層光学フィルムは例えば、米国特許第3,610,724号(ロジャース(Rogers))、米国特許第3,711,176号(アルフレー(Alfrey)Jrら)「赤外光、可視光、又は、紫外光用の高反射型熱可塑性光学体(Highly Reflective Thermoplastic Optical Bodies For Infrared, Visible or Ultraviolet Light)」、米国特許第4,446,305号(ロジャース(Rogers)ら)、米国特許第4,540,623号(イム(Im)ら)、米国特許第5,448,404号(シュレンク(Schrenk)ら)、米国特許第5,882,774号(ジョンザ(Jonza)ら)「光学フィルム(Optical Film)」、米国特許第6,045,894号(ジョンザ(Jonza)ら)「透明〜着色セキュリティフィルム(Clear to Colored Security Film)」、米国特許第6,531,230号(ウェーバー(Weber)ら)「カラーシフトフィルム(Color Shifting Film)」、PCT公開番号WO 99/39224号(アウダーカーク(Ouderkirk)ら)「赤外干渉フィルター(Infrared Interference Filter)」、及び、米国特許公開番号2001/0022982 A1号(ニービン(Neavin)ら)「多層光学フィルムを作製するための装置(Apparatus For Making Multilayer Optical Films)」に記載されており、これらは全て参照として本明細書に組み込まれる。このようなポリマー多層光学フィルムでは、個々の層の構成にポリマー材を優勢的に又は独占的に使用する。このようなフィルムは、大量製造プロセスに対応することができると共に、大型のシート及びロール商品の形で作製してもよい。
【0026】
多層フィルムは、交互に重ねたポリマータイプ層のいかなる有用な組み合わせによっても形成させることができる。多くの実施形態では、交互に重ねた高分子層の少なくとも1つが、複屈折を有し、かつ延伸されている。一部の実施形態では、交互に重ねた高分子層の一方が、複屈折を有し、かつ延伸されており、もう一方の別の高分子層が等方性である。ある1つの実施形態では、多層光学フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンテレフタレートのコポリマー(coPET)を含む第1のポリマータイプと、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)のコポリマー(coPMMA)を含む第2のポリマータイプの層とを交互に重ねることによって形成させる。別の実施形態では、多層光学フィルムは、ポリエチレンテレフタレートを含む第1のポリマータイプと、ポリ(メチルメタクリレート及びエチルアクリレート)のコポリマーを含む第2のポリマータイプの層とを交互に重ねることによって形成させる。
【0027】
別の実施形態では、多層光学フィルムは、シクロヘキサンジメタノール(PETG)又はシクロヘキサンジメタノールのコポリマー(coPETG)を含む第1のポリマータイプと、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリエチレンナフタレートのコポリマー(coPEN)を含む第2のポリマータイプの層とを交互に重ねることによって形成させる。別の実施形態では、多層光学フィルムは、第1のポリマータイプ、例えばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンナフタレートのコポリマーと、第2のポリマータイプ、例えばポリ(メチルメタクリレート)又はポリ(メチルメタクリレート)のコポリマーの層とを交互に重ねることによって形成させる。交互に重ねたポリマータイプ層の有用な組み合わせは、米国特許第6,352,761号に開示されており、この特許は参照として本明細書に組み込まれる。
【0028】
単一及び多層コアの透明な太陽光制御フィルムには、少なくとも1層の延伸された熱可塑性ポリマー材料が含まれる。幾つかの場合では、このような層は長さ方向(一部では機械方向と参照される)と横方向(又は機械横方向)のどちらか若しくは両方を消光過程の後で延伸させてもよい。いずれの方向においても延伸の度合いは様々に変えることができる(並びに必ずしも同じではない)が、一般的に延ばし寸法はキャスト寸法の2.5倍〜5.0倍の間で変化する。幾つかの場合では、熱可塑性材料は延伸の前又はその間で、赤外線ランプ若しくは強制対流によって加熱し、材料のガラス転移点の少し上の温度に昇温させてよい。
【0029】
例えば、多層光学フィルムを採用する場合、多層デバイスの屈折率の間の所与の関係(及び従って光学的特性)を得る必要があることがある。有機ポリマーの場合では、これらの特性は延ばし又は延伸によって獲得及び/又は制御できる。一般に、このことは個別のポリマーを共押出することによってポリマーフィルムを調製し、多層フィルムを形成し、次いで選択された温度で引き伸ばすことによって延伸し、必要により選択された温度でヒートセットすることによって達成される。或いは、押出し及び延伸工程は、同時に実施してよい。
【0030】
延ばされた場合、延伸された層は、直交延ばし時の自然減(延ばし率の平方根に等しい)から直交延ばし方向に寸法緩和されてもよく、又は拘束されてもよい(即ち、直交延ばし寸法の実質的な変化がない)。延伸層は、長さ方向の調節器(orienter)の場合と同様に機械方向に延ばされてよく、幅方向又は対角線角度では、テンターを用いて延ばされてよい。
【0031】
こうした延ばし及び延伸プロセスに関して、事前延ばし温度、延ばし温度、延ばし速度、延ばし比、ヒートセット温度、ヒートセット時間、ヒートセット緩和、及び直交延ばし緩和は、所望の屈折率関係を包含する所望の特性を有するフィルムをもたらすように選択されることが、理解されるであろう。これらの変数は連動性があり、従って例えば、比較的低い延ばし速度は例えば比較的低い延ばし温度で又はそれと連動して使用できる。当業者には所望の多層デバイスを得るためにこれらの変数の適切な組み合わせの選択の仕方が明らかであろう。一般に、好適な延伸比は1つの軸に沿って1:2〜10、又は1:3〜7であり、第2の軸に沿って1:0.5〜1又は1:1〜7である。
【0032】
本開示によると、単一又は多層のポリマーコアには、赤外線吸収ナノ粒子がポリマー材料の中に分散された、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー材料の延伸層が含まれ、そのナノ粒子は可視光より赤外光を少なくとも約100倍(百倍)選択的に吸収する。
【0033】
場合によっては、赤外線吸収ナノ粒子は、可視光より赤外光を少なくとも約1000倍(千倍)選択的に吸収し、場合によっては可視光より赤外光を少なくとも約、10,000倍(一万倍)選択的に吸収することができる。
【0034】
赤外線吸収ナノ粒子としては、赤外光を選択的に吸収するいかなる材料も含めてよい。好適な材料には錫、アンチモン、インジウム、のような金属の酸化物、及び酸化亜鉛並びにドープ酸化物が挙げられる。
【0035】
場合によっては、金属酸化物ナノ粒子には、錫酸化物、アンチモン酸化物、インジウム酸化物、インジウムドープ錫酸化物、アンチモンドープインジウム錫酸化物、アンチモン錫酸化物、アンチモンドープ錫酸化物、又はそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態では、金属酸化物ナノ粒子には、アンチモン錫酸化物(ATO)(antimony oxide (ATO))及び/又はインジウム錫酸化物(ITO)が挙げられる。場合によっては、赤外線吸収ナノ粒子は、六ホウ化ランタン、又はLaBを含有するか又はそのもので作製されてよい。
【0036】
六ホウ化ランタンは、900nmにセンターがある吸収帯、近赤外(NIR)の有効な吸収体である。赤外線吸収ナノ粒子は、その粒子が可視光線透過率に大幅な影響を与えないような大きさであることができる。場合によっては、赤外線吸収ナノ粒子は、例えば、1〜10、又は30〜100、若しくは30〜75nmなどのいずれかの有用な寸法を有してよい。
【0037】
赤外線吸収ナノ粒子は、通常の混合及び/又はミリング設備を使用して赤外線吸収ナノ粒子をポリマー中に混合又はミリングすることによって、熱可塑性ポリマー材料中に組み入れることができる。場合によっては、赤外線吸収ナノ粒子は重合中にポリマー中に分散できる。場合によっては、赤外線吸収ナノ粒子は重合前の該ポリマーのモノマー中に最初に分散してよい。
【0038】
場合によっては、所望であれば、単一又は多層のコアは赤外線吸収ナノ粒子を全く含有しない任意の層若しくはスキン層を包含してもよい。この表面層は全体構造の表面粗度を減少させるように働き、透明性及び低ヘイズを維持するのに役立たせることができる。単一スキン層又は両スキン層は、単一又は多層コアの単一若しくは両表面の上に共押出できる。
【0039】
或いは、単一スキン層又は両スキン層は、単一又は多層のコアの上に好適な感圧接着剤又は非感圧接着剤を使用してコーティング若しくは積層できる。好適なコーティング剤には、ハードコート剤、接着剤、接着増強プライマー、UV安定化コーティング剤等が挙げられるがそれらに限定されない。1つ又は複数の追加層(フィルム、積層物、及び/又はコーティング剤)も同様にスキン層と共に組み込むことができる。スキン層は好ましくは、透明ポリマー、例えばポリエステル(単一又は多層コアを構成するのに使用されたものと同一若しくは異なった)、ポリオレフィン、ポリカーボネート、又はその他の熱可塑性ポリマーで製造される。
【0040】
幾つかの場合では、透明な太陽光制御フィルムには、単一又は多層のコアに配置される金属層が含まれてよい。金属層が含まれる場合、フィルムは約1〜約90%の範囲にある可視光過率を有してよい。金属層は単一金属又は複数金属の組み合わせであってよい。複数の金属が使用される場合、その金属層は単一層合金又は多層化金属層であってよい。特別な金属又は合金が、所望の色、透過率、反射率、及び光学体の吸収特性に基づいて選択される。好適な金属の幾つかの例には、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、チタン、鉄、ステンレススチール、白金、錫、鉛、クロム、インコネル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。その他の遷移金属、酸化物、及びそれらの合金も、同様に特定の用途に好適である。
【0041】
金属層が含まれる場合、層は均一な又はほぼ均一な厚さを有することができる。金属層の厚さは、例えば用いる金属又は合金のタイプによって決めてよい。例えば、金属層がアルミニウムであれば、層の厚さは約0.5〜約29nmであることができる。ニッケルを使用した場合、層の厚さは約0.5〜約52nmであろう。銀に対しては、厚さは約2〜約69nmであることができる。これらの値により、約1%〜約90%にある可視光線透過率が得られる。
【0042】
金属層が包含される場合、金属層は種々の異なった技法で提供できる。好適な方法には、蒸着、カソードスパッタリング、熱分解、粉末コーティング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着等が挙げられる。達成され得る均一な構造及び厚さを考慮すると、多くの場合、蒸着とカソードスパッタリングが好ましい。カソードスパッタリングは、堆積した合金の金属層の組成の均一性を維持するために特に有用である。表面金属化技法の替わりとしては、金属層を別個のシートに構築し、次いで単一又は多層のコアの1つ又は複数の外表面の上に積層してもよい。
【0043】
幾つかの場合では、着色顔料若しくは顔料類を単一又は多層のコアの中に、或いは単一又は複数コアの上に堆積されたスキン、若しくはカバー層中に、分散してよい。顔料類の好適な例として、カーボンブラック、鉄、チタン、アンチモン、ジルコニウム、亜鉛、バリウム、カルシウム、カドミウム、鉛、クロム、モリブデン、マンガン、珪素、アルミニウム、ナトリウム、コバルト、銅、及びその他の金属の酸化物、塩並びにその他の化合物等の無機化合物が挙げられる。
【0044】
具体的例には、酸化鉄、アンモニウムフェロシアニド(紺青)、二酸化チタン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、硫酸鉛、酸化クロム、クロム酸塩、モリブデン酸塩、マンガン酸塩、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、及びウルトラマリンピンク等のアルミノ硫酸シリケートナトリウム(ウルトラマリン)、並びにその他の金属酸化物、加えて、その他の単純及び複雑な無機化合物;ピグメントブルー28、コバルトブルー、コバルトアルミネート、キングズブルー、テナーズブルー(Thenard’s Blue)、カドミウムレッド、モリブデンオレンジ、モリブデン酸鉛、クロムイエロー、クロム酸鉛、クロムグリーン、ピグメントイエロー53、チタニウムイエロー、チタン酸ニッケル、チタン酸アンチモンニッケル、チタン酸ニッケルイエロー、ピグメントバイオレット16、マンガンバイオレット、パーマネントバイオレット、ニュルンベルグバイオレット(Nuremberg Violet)、ミネラルバイオレット、及びファーストバイオレット等の無機錯体;並びにフタロシアニン類、銅フタロシアニン類、キナクリドン類、アントラキノン類、ペリレン類、ペリノン類、ジオキサジン類、ジケト−ピロロ−ピロール(DPP)類、インダントロン類、ベンジジン類、イソインドリン類及びイソインドリノン類、ベンゾイミダゾロン類、並びにアゾ顔料、ジアゾ顔料、又は金属化アゾ顔料(レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ニッケルアゾイエロー、リソールレッド、及びピグメントスカーレット等)を含むポリアゾ顔料(ナフトールレッド、ジアリーライド、ジアニシジン、及びピラゾロン)である有機顔料;が挙げられる。
【0045】
及びP等の顔料は同様に、赤外領域及び紫外領域、並びに可視領域の光を吸収するのに有用であることができ、これは特定の用途に望ましいことがある。これらの種々の顔料は単独で又は組み合わせて使用し、異なった色彩の色味付け、吸収プロファイル、及び/又は物理的特性を得ることができる。微粒子顔料(又は顔料ブレンド)は、構成物全体に所望の着色、又は「色付け」のレベルに合わせて熱可塑性ポリマーの中に組み入れる必要がある。
【0046】
概して、微粒子顔料は熱可塑性ポリマーに、約0.01〜1.0重量%、より好ましくは約0.02〜0.5重量%の間の量で添加されるが、大体の顔料は、用途及び選定された顔料に応じて用いられる。
【0047】
特定の場合では、2つ以上の微粒子顔料は互いに組み合わせて使用し、所望の色付けを得ることができ、又は中間色を最適に制御できる。例えば、1つ以上の着色顔料又は染料を組み合わせて既定の着色(例えば、ブルー)の構成物を製造でき、又は最適な中間色の色つけが所望の場合には、少量の1つ以上の着色顔料を添加して単一の顔料使用に伴って時々ある僅かな色違いの吸収を修正できる。後者の効果、中間色の最適化の効果には、カーボンブラックの使用に特別な用途を見出すことができ、それはカーボンブラックを比較的多量に装填すると黄色がかった色を示すことができる。
【0048】
商用規模の粒塊又はビーズ顔料が包含される場合、それら顔料は約10〜500nmのメジアン径、或いは可能であれば約20〜100nmの直径に下げる。これは、例えば、粒塊を最少量の溶媒、例えばエチレングリコール中で、好ましくは同様にポリビニルピロリドン(PVP)等の分散剤の存在下でミリングすることによって達成できる。一般に、分散剤(例えばPVP)は100重量部のカーボンブラック当たり約1〜40部の量で添加される。分散剤と顔料との最適な比率は、使用される顔料のタイプによって変化することは理解されるであろう。
【0049】
微粒子顔料分散体を熱可塑性ポリマー材料中に、例えば、顔料を通常の混合機及び/又はミリング機を使用してポリマー中にミリングすることによって組み入れることができる。しかし、微粒子顔料を熱可塑性材料に均一に分散させることは、顔料を重合期間中にポリマーの中に分散させることによって容易に達成できる。これは顔料を比較的低粘度のモノマー混合物全体に分散させる効果があり、より困難なミリング加工を回避できる。これを達成するために、微粒子顔料は好適な溶媒、例えば、エチレングリコール中でPVP又はその他の分散剤を用いてポリマー反応剤媒体の中に分散できる。この分散体はまた、縮合ポリマー形成プロセスの反応塊状物に添加できる。例えば、カーボンブラック粒子の有用な均一分散体は、ミリングしたカーボンブラック、エチレングリコール、及び分散剤を、ポリエステル反応塊状物に添加した後直ちにエステル交換工程を続けることによって得ることができる。
【0050】
微粒子顔料を予備重合反応の塊状物に組み込むための一般的に好ましい方法は、最初に微粒子顔料のエチレングリコール中のスラリーを作ることである。有用なスラリーはエチレングリコール中に10重量%の顔料を用いて作ることができる。上で述べたように、そのスラリーには、PVPのような1つ以上の湿潤剤又は分散剤を組み入れできる。スラリーは予備混合でき、予備混合後に数回媒体ミルを通過させる。ミリングした混合物はまた、微細フィルター(例えば、およそ1ミクロンのオーダで)を通過させ粒子径制御を追加できる。最終混合物は、予備重合した縮合ポリマー形成反応塊状物と一緒に反応容器に直接投入できる。得られたポリマーは、典型的には約1〜約5重量%の顔料を充填する。混合期間中のミルの中及び重合反応期間中の反応容器の中の両方での高せん断混合は、ポリマー中の均一な顔料分散を提供するのに役立ち、ポリマー樹脂中の粒子の望ましくない凝塊形成を低減するのに役立つことができる。
【0051】
特定の光学特性はL,a、及びbの色尺度を用いて規定できる。L,a、及びbの値は、CIE(国際照明委員会)の方法に基づき、試験材料の透過又は反射を使用して、色尺度を入射光の波長、選定された標準照明のスペクトルパワー、及びCIE標準観測の等色関数に応じて決定する。L、a、及びbの値を求めるCIEの方法はASTM E308並びにASTM E1164に説明される。ASTM E308はCIEシステムを用いた物体の色を算定するための標準的実施法を説明し、ASTM E1164は物体色を評価するため分光測光データを得る標準的実施法を説明する。本明細書で引用するL、a、及びbの値は、可視スペクトル内の透過、CIE標準光源C(昼間光を代表する)、及びCIE標準観測者の角2度の等色関数を用いて求めたものである。
【0052】
所与物体のL色尺度は三次元の色空間内の特定の色領域を記述する座標として働く。a及びbの値は、色相及び彩度を記述する。例えば、正のa値は赤領域にあり、一方負のaは緑の領域に位置する。正のb値は黄色領域にあり、負のb値は青の領域にある。a値及びb値の符号(正又は負)は、光学体の色相を決定するが、その絶対値はその特別の彩度の飽和度を決定する。
【0053】
増加する絶対値はより高い飽和度に相当する。L座標は光学体の強度又は輝度に関係する。より大きい正のL値は白色領域に相当し、一方、より小さい正のゼロに近づくL値は黒色領域に相当する。光学体のa及びbの色尺度がゼロに近づく時、中間色又は灰色領域に相当する。従って灰色外観を得るには、a及びb色尺度が約5以下の絶対値を有する必要がある。より好ましくはa及びb色尺度は約3以下の絶対値を有する必要がある。
【0054】
、a、及びbの色尺度は幾つか桁まで正確に測定できるが、色尺度の間の適用できる差異は、通常、人の眼により認識できる差異である。ヒトの眼は色尺度における差異を、物体の色又は「色合」の変化に気付くことによって認識する。一般的には、ヒトの眼は、色尺度の間で絶対値の差異が約1以上である時に差異を認識できるだけである。従って、第1の材料が第2の材料の色尺度と異なる色尺度を有すると見なされる場合、相当する2つの色尺度間の差の絶対値は約1以上、より好ましくは約2以上である必要がある。
【0055】
本発明は、上に記載した特定の実施例に限られると見なすべきではなく、添付の請求項で明確に提示されているとおり、本発明のあらゆる態様を網羅していると理解すべきである。様々な修正、同等の方法、及び、本発明を適用可能である多くの構造は、本発明が対象とする技術分野の当業者が本発明の明細書を検討することにより、容易に明らかになるであろう。
【実施例】
【0056】
これらの実施例は単に例示を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載される部、百分率、比率等は全て、重量による。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))より入手した。ポリエチレンテレフタレート(PET)の熱可塑性ポリマーの形成方法、樹脂マスターバッチ、並びにフィルムサンプルの形成方法は、米国特許第6,811,867号に記載され、それを参照として本明細書に組み入れる。
【0057】
試験方法
視感透過率(可視光線透過率)及びヘイズ
全サンプルの視感透過率(Te)及びヘイズをアメリカ材料試験協会(ASTM)試験方法 D1003−95(「透明プラスチックのヘイズ及び視感透過率のための標準試験(Standard Test for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastic)」)に従い、メリーランド州シルバー・スプリングス(Silver Springs)のBYK−ガードナー社(BYK-Gardner Inc.)製のTCS・プラス・分光分析装置(TCS Plus Spectrophotometer)を用いて測定した。試料の透過率スペクトル及び反射率スペクトルは、パーキン−エルマー・ラムダ9分光分析装置(Perkin-Elmer Lambda 9 spectrophotometer)を用いて測定した。
【0058】
樹脂マスターバッチの調製
東北化学から市販のインジウム錫酸化物(ITO)ゾル(ITO−3Mb)をポリエチレンテレフタレート(PET)の熱可塑性ポリマーと混合して樹脂マスターバッチを製造した。
【0059】
ITOゾルには20%ナノ粒子、5%分散剤、及び75%ジアセトンアルコールが含まれる。このゾルを充填蒸留塔を備えた7.57L(2ガロン)のエステル化/重合反応器に添加した。そのバッチ物をいくらかの溶媒を留去させるために加熱した。
【0060】
エチレングリコールをジメチルテレフタレート(DMT)及び触媒と共に添加し、ポリエチレンテレフタレート(PET)熱可塑性ポリマーを形成させた。
【0061】
ITOゾルを2つのレベルでPETポリマーと一緒にし、下記表に記載の2つの樹脂マスターバッチを形成した。これらの樹脂マスターバッチを405マイクロメーター(16ミル)のキャストウエッブに仕立て、それらを様々な比率で(at a variey of)延ばし(延伸し)、下表に記載のような厚さを変えたサンプルを作製した。上記の方法によって光学特性を測定した。これらの光学測定結果を各試料について以下に報告する。
【0062】
【表1】

【0063】
図1はサンプル6〜9の透過率%を波長の関数としたグラフである。図2はサンプル1〜6及び10の透過率%を波長の関数としたグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1層の延伸された熱可塑性ポリマー材料を含む、単一又は多層のコアと、
前記少なくとも1層の延伸された熱可塑性ポリマー層中に分散された赤外線吸収性のナノ粒子と、を含み、
前記赤外線吸収ナノ粒子が、可視光より赤外光を少なくとも100倍選択的に吸収し、そして、前記透明な太陽光制御フィルムが、5%未満のヘイズ値を有する、
透明な太陽光制御フィルム。
【請求項2】
前記赤外線吸収ナノ粒子が、可視光より赤外光を少なくとも1000倍選択的に吸収する、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項3】
前記赤外線吸収ナノ粒子が、可視光より赤外光を少なくとも10000倍選択的に吸収する、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリマー材料が、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、又は上記いずれかの相互の若しくはその他のポリマーとのブレンド及びコポリマーを含む、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマー材料が、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのコポリマー、又はポリエチレンテレフタレートのコポリマーを含む、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項6】
前記太陽光制御フィルムが、3%未満のヘイズ値を有する、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項7】
前記赤外線吸収ナノ粒子が、六ホウ化ランタンを含む、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項8】
前記赤外線吸収ナノ粒子が、酸化錫、インジウム錫酸化物、又はアンチモン錫酸化物を含む、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項9】
前記単一又は多層のコアが、第1のポリマー材料と第2のポリマー材料とを交互に重ねた複数のポリマー層を含み、前記交互に重ねた層の少なくとも1つが、複屈折を有しかつ延伸されており、そして前記交互に重ねたポリマー層が、協働して赤外光を反射する、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項10】
前記単一又は多層のコアの上に配置した金属層を更に含み、前記金属層が、1〜90%の範囲にある可視光線透過率を有する、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項11】
前記単一又は多層のコアの中に分散された着色顔料を更に含む、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項12】
前記太陽光制御フィルムが、70%超の可視光線透過率を有する、請求項1に記載の透明な太陽光制御フィルム。
【請求項13】
赤外線吸収ナノ粒子をポリマー又はポリマー前駆体中に分散して、ナノ粒子分散体を形成する工程と、
前記ナノ粒子分散体から、赤外線吸収ナノ粒子のポリマーフィルムを形成する工程と、
前記赤外線吸収ナノ粒子のポリマーフィルムを延伸させて、5%未満のヘイズ値を有する延伸された太陽光制御フィルムを形成する工程と、
を含んで成り、
そして、前記赤外線吸収ナノ粒子が、可視光より赤外光を少なくとも100倍選択的に吸収する、
透明な太陽光制御フィルムの形成方法。
【請求項14】
前記形成工程が、前記ナノ粒子分散体を、赤外線吸収ナノ粒子のポリマーフィルム中に押出する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記延伸工程が、前記赤外線吸収ナノ粒子のポリマーフィルムを延ばして、延伸された太陽光制御フィルムを形成する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記太陽光制御フィルムが、3未満のヘイズ値を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記赤外線吸収ナノ粒子が、可視光より赤外光を少なくとも10000倍選択的に吸収する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記赤外線吸収ナノ粒子が、六ホウ化ランタン、アンチモン錫酸化物又はインジウム錫酸化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記太陽光制御フィルムが、70%超の可視光線透過率を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記延伸された太陽光制御フィルムが、第1のポリマー材料と第2のポリマー材料とを交互に重ねた複数のポリマー層を含み、そして前記交互に重ねた層の少なくとも1つが、複屈折を有しかつ延伸されており、そして前記交互に重ねたポリマー層が、協働して赤外光を反射する、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−501372(P2010−501372A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525685(P2009−525685)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/075261
【国際公開番号】WO2008/091385
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】