説明

太陽光発電装置

【課題】DCチョッパを用いることなく、太陽電池の発電能力を最大限に発揮させつつ二次電池の充放電運転を効率よく行うことができる太陽光発電装置を提供することである。
【解決手段】制御装置17は、定格電圧が同一または異なる複数個のいずれの二次電池12も直流系統13に接続されていないときはインバータ15により太陽電池11の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、最大電力追従制御中に二次電池12の充放電制御が必要となったときは、最大電力追従制御による太陽電池11の動作電圧に最も近い定格電圧の二次電池12を直流系統13の太陽電池11に並列に接続し、その二次電池12の定格電圧で太陽電池11を運転するとともにインバータ15により二次電池12の充放電制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に並列に二次電池が設置され電力系統と連系運転を行う太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置は、太陽電池の直流電力を交流に変換し、既存の電力系統に連系して運転するものであり、災害時や系統事故時にも運転が可能なように、太陽電池に並列に二次電池を設置したものがある。
【0003】
図6は、太陽電池に並列に二次電池を設置した太陽光発電装置の構成図である。太陽電池11に二次電池12が並列に配置されて直流系統13が形成されている。すなわち、二次電池12は切替スイッチ14を介して太陽電池11に並列に接続され、直流系統13はインバータ15を介して交流系統16に接続されている。この場合、二次電池12の定格電圧Vbは太陽電池11の開放電圧Voより小さく設定されている。また、太陽電池11は直流系統13からの電力供給を阻止するダイオードDを介して直流系統13に接続されている。
【0004】
制御装置17は、インバータ15により太陽電池11を運転制御したり、二次電池12を充放電制御するものである。太陽電池11の出力制御の際には、切替スイッチ14を開いて、太陽電池11を最大電力追従制御{MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御}し、太陽電池11の出力を零にするときには直流系統13の電圧を開放電圧Voに制御する。一方、二次電池12を充放電制御する際には切替スイッチ14を閉じ、充電のときは交流系統16から二次電池12に電力を供給する制御を行い、放電のときは二次電池12から交流系統16に電力を供給する制御を行う。
【0005】
太陽電池11と二次電池12とを同時に並列接続して一台のインバータ15で制御する場合、直流系統13の直流電圧(インバータ15の直流電圧)は二次電池12の電圧Vbに支配される。これは、二次電池12は電圧源的特性を有し内部インピーダンスが非常に小さいためである。インバータ15の直流電圧が二次電池12の電圧Vbに支配されると、太陽電池11の電圧Vが二次電池12の電圧Vbに支配され、太陽電池11の最大電力追従制御(MPPT制御)ができなくなる。
【0006】
そのため、太陽電池11を最大電力追従制御するときは、切替スイッチ14を開いて太陽電池11を最大電力追従制御し、二次電池12をインバータ15に接続するときは、太陽電池の運転を停止して切替スイッチ14を閉じ、二次電池12の充放電制御を行うようにしている。
【0007】
そのため、太陽電池11を最大電力追従制御するときは、切替スイッチ14を開いて太陽電池11を最大電力追従制御し、二次電池12をインバータ15に接続するときは、太陽電池の運転を停止して切替スイッチ14を閉じ、二次電池12の充放電制御を行うようにしている。
【0008】
また、図7に示すように、切替スイッチ14に代えて、直流系統13の二次電池12とインバータ15との間にDCチョッパ18を接続し、DCチョッパ18により二次電池12の電圧を太陽電池11の電圧に調整してインバータ15の直流電圧(直流系統の直流電圧)を一定に制御するようにしたものもある。
【0009】
すなわち、電力出力指令値に対応した電力を発生するインバータと太陽電池とを接続し、太陽電池とインバータとの接続点とバッテリとの間に双方向DC/DCコンバータブロックを挿入し、バッテリ放電指令発生時に太陽電池の発生電力が最大となるように太陽電池とインバータとの接続点の電圧を制御し、バッテリ充電指令発生時に太陽電池の発生電力が最大となるように太陽電池とインバータとの接続点の電圧を制御し、太陽電池の発電能力を最大限に発揮させ、日射エネルギーを有効に利用できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−266457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1のものでは、双方向DC/DCコンバータブロック(DCチョッパ)を用いて、太陽電池とインバータとの接続点の電圧を制御するものであるので、双方向DC/DCコンバータブロックが必要となり、システム全体が大型化しまた損失が増加する。
【0012】
本発明の目的は、DCチョッパを用いることなく、太陽電池の発電能力を最大限に発揮させつつ二次電池の充放電運転を効率よく行うことができる太陽光発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明に係る太陽光発電装置は、太陽光により直流電力を発電する太陽電池と、定格電圧が同一または異なる複数個の二次電池と、複数個の前記二次電池のうち少なくとも一つまたは定格電圧が同じ複数個の二次電池を前記太陽電池に並列に接続するスイッチ回路と、前記太陽電池及び前記二次電池の直流系統の直流電力を交流に変換して交流系統に出力したり前記交流系統の交流電力を直流電力に変換して前記直流系統に出力するインバータと、前記二次電池が前記直流系統に接続されていないときは前記インバータにより前記太陽電池の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、前記最大電力追従制御中に前記二次電池の充放電制御が必要となったときは前記最大電力追従制御による前記太陽電池の動作電圧に最も近い定格電圧の二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続しその二次電池の定格電圧で前記太陽電池を運転するとともに前記インバータにより前記二次電池の充放電制御を行う制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1の発明において、複数個の前記二次電池を直列接続に切り替える切替回路を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1または2の発明において、異なる定格電圧の前記二次電池は、少なくとも2の倍数の定格電圧の二次電池を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1乃至3の発明において、前記制御装置は、前記二次電池が前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続されているとき、前記スイッチ回路により定期的に前記二次電池を前記直流系統から切り離し、その状態で前記インバータにより前記太陽電池の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、前記最大電力追従制御による前記太陽電池の動作電圧に最も近い定格電圧の二次電池または前記切替回路で直列接続された二次電池を選択して、その二次電池または直列接続された二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1乃至3の発明において、前記制御装置は、充電量が少ない二次電池または前記切替回路で直列接続された二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続し、前記二次電池の充電制御を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1乃至3の発明において、前記制御装置は、充電量が多い二次電池または前記切替回路で直列接続された二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続し、前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、二次電池が直流系統に接続されていないときはインバータにより太陽電池の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、最大電力追従制御中に二次電池の充放電制御が必要となったときは最大電力追従制御による太陽電池の動作電圧に最も近い定格電圧の二次電池を直流系統の太陽電池に並列に接続し、その二次電池の定格電圧で太陽電池を運転するとともにインバータにより二次電池の充放電制御を行うので、太陽電池の発電能力を最大限に発揮させつつ二次電池の充放電運転を効率よく行うことができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、複数個の二次電池を切替回路により直列接続できるので、直列接続した二次電池を太陽電池に並列接続できる。従って、最大電力追従制御による太陽電池の動作電圧近傍の電圧を得やすくなり、太陽電池に二次電池を並列接続した場合であっても、太陽電池の発電能力を最大限に発揮させることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、少なくとも2の倍数の定格電圧の二次電池を設けるので、最も小さい定格電圧に対して2倍の定格電圧の二次電池だけでなく、例えば、1倍の定格電圧と2倍の定格電圧の二次電池とを直列接続した場合には3倍の定格電圧の二次電池を用意でき、また、2倍の定格電圧の二次電池同士を直列接続した場合には4倍の定格電圧の二次電池を用意できる。従って、太陽電池に並列に接続できる二次電池の定格電圧の幅が広がる。
【0022】
請求項4の発明によれば、二次電池が直流系統の太陽電池に並列に接続されているとき、定期的に二次電池を直流系統から切り離して、最大電力追従制御による太陽電池の動作電圧を求めるので、太陽電池の最大電力動作点が変化している場合であっても、太陽電池の最大電力動作点の近傍の定格電圧の二次電池を選択して、直流系統の太陽電池に並列に接続できる。これにより、太陽電池の発電能力を最大限に発揮させつつ二次電池の充放電運転を効率よく行うことができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、充電量が少ない二次電池を直流系統の太陽電池に並列に接続して二次電池の充電制御を行うので、効率よく充電ができる。
【0024】
また、請求項6の発明によれば、充電量が多い二次電池を直流系統の太陽電池に並列に接続して二次電池の放電制御を行うので、効率よく放電できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例1の構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の太陽電池と二次電池の出力電圧Vと出力電流Iとの関係を示したV−I特性及びV−P特性の一例を示すグラフ。
【図3】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例2の構成図。
【図4】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例3の構成図。
【図5】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例4の構成図
【図6】太陽電池に並列に二次電池を設置した従来の太陽光発電装置の一例の構成図。
【図7】太陽電池に並列に二次電池を設置した従来の太陽光発電装置の他の一例の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例1の構成図である。この実施例1に係る太陽光発電装置は、図6に示した従来の太陽光発電装置に対し、定格電圧が異なる2個の二次電池12a、12bを設け、二次電池12a、12bを直流系統13に接続するためのスイッチ回路19a、19bを設けたものである。図1では、二次電池12aの定格電圧は2Vbで、二次電池12bの定格電圧はVbであり、二次電池12aの定格電圧は二次電池12bの定格電圧の2倍の定格電圧である場合を示している。図6と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0027】
スイッチ回路19a、19bは、放電用スイッチ素子20a、20b及び充電用スイッチ素子21a、21bが並列接続されて構成されている。制御装置17は、二次電池12aを放電制御する場合には、充電用スイッチ素子21aをオフとし放電用スイッチ20aをオンとして直流系統13の太陽電池11に並列に二次電池12aを接続する。一方、二次電池12aを充電制御する場合には、放電用スイッチ20aをオフとし充電用スイッチ素子21aをオンとして直流系統13の太陽電池11に並列に二次電池12aを接続する。
【0028】
同様に、制御装置17は、二次電池12bを放電制御する場合には、充電用スイッチ素子21bをオフとし放電用スイッチ20bをオンとして直流系統13の太陽電池11に並列に二次電池12bを接続する。一方、二次電池12bを充電制御する場合には、放電用スイッチ20bをオフとし充電用スイッチ素子21bをオンとして直流系統13の太陽電池11に並列に二次電池12bを接続する。
【0029】
この場合、二次電池12a、12bは定格電圧が2Vb、Vbと異なるので、同時に直流系統13に接続されることはなく、いずれか一方を直流系統13に接続することになる。二次電池12a、12bを直流系統13に接続すると、直流系統13の直流電圧(インバータ15の直流電圧)は二次電池12a、12bの電圧2Vb、Vbに支配されるので、太陽電池11は最大電力追従制御を行うことができなくなる。
【0030】
そこで、制御装置17は、二次電池12a、12bが直流系統13に接続されていないときは、インバータ15により太陽電池11の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、その最大電力追従制御中に二次電池12a、12bの充放電制御が必要となったときは、最大電力追従制御による太陽電池の動作電圧に最も近い定格電圧の二次電池12a、12bを直流系統13の太陽電池11に並列に接続する。
【0031】
例えば、最大電力追従制御による太陽電池11の動作電圧が二次電池12aの定格電圧2Vbの近傍であるときは、二次電池12aを直流系統13の太陽電池11に並列に接続する。この状態で、制御装置17は、二次電池12aの定格電圧2Vbで太陽電池11を運転するとともに、インバータ17により二次電池12aの充放電制御を行うことになる。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の太陽電池と二次電池の出力電圧Vと出力電流Iとの関係を示したV−I特性及びV−P特性の一例を示すグラフである。図2では、太陽電池11の温度を一定とした場合の日射強度をパラメータとしたV−I特性曲線及びV−P特性曲線を示している。V−I特性曲線C1は日射強度が大きい場合の特性曲線、V−I特性曲線C2は日射強度が小さい場合の特性曲線である。
【0033】
日射強度が大きい場合には、V−I特性曲線C1上の座標C11(V1,I1)のときに出力電力が最大となる最適動作点であり、そのときの出力電力はV−P特性曲線P1の最大電力P1maxとなる。また、日射強度が小さい場合には、V−I特性曲線C2上の座標C22(V2,I2)が出力電力が最大となる最適動作点であり、そのときの出力電力はV−P特性曲線P2の最大電力P2maxとなる。
【0034】
このような最大電力を取り出す最適動作点を求めるには、太陽電池の出力が最大となる最適動作点に追従制御させる最大電力追従制御(MPPT制御)が用いられる。例えば、現状の動作点で得られる出力電力と、現状の動作点から少しだけ移動させた動作点で得られる出力電力とを比較して最適動作点への方向判断を行い、最適動作点へと追従させる山登り法などが用いられる。
【0035】
従って、制御装置17がインバータ15を介して太陽電池11の運転を行っているときは、日射強度により最大電力の動作点が変動している。この太陽電池11の運転時、すなわち太陽電池11を最大電力追従制御しているときは、二次電池12a、12bは直流系統13に接続されることなく停止状態である。
【0036】
いま、日射強度が大きく、最大追従制御による太陽電池11の動作点がC11であるとすると、直流系統13の直流電圧は太陽電池11の動作点C11の電圧V1である。同様に、日射強度が小さく、最大追従制御による太陽電池11の動作点がC22であるとすると、直流系統13の直流電圧は太陽電池11の動作点C22の電圧V2である。
【0037】
制御装置17は、最大電力追従制御中に二次電池12a、12bの充放電制御が必要となったときは、太陽電池11の動作点電圧Vと二次電池12a、12bの定格電圧2Vb、Vbとを比較し、太陽電池11の動作点電圧Vが定格電圧2Vb、Vbの近い方の二次電池12a、12bをスイッチ回路19a、19bにより直流系統に接続する。
【0038】
例えば、日射強度が大きい状態では、動作点電圧V1と二次電池12aとの差分絶対値|V1−2Vb|が動作点電圧V1と二次電池12bとの差分絶対値|V1−Vb|より小さいので、定格電圧2Vbの二次電池12aをスイッチ回路19aにより直流系統に接続する。これにより、直流系統13の直流電圧は二次電池12aの電圧2Vbに支配され、太陽電池11の動作点はC11’となり、そのときの出力電力はV−P特性曲線P1のPaとなる。太陽電池11の出力は最大電力P1maxより小さいPaであるが、動作点電圧V1と二次電池12aとの差分絶対値|V1−2Vb|が小さいときは、その差分電力|P1max−Pa|も小さく、ほぼ最大電力P1max近傍での運転ができる。
【0039】
この状態で、スイッチ回路19aの充電用スイッチ21aをオフのままで放電用スイッチ素子20aをオンしたときは二次電池12aから直流系統13に電力を供給する放電モードとなる。一方、スイッチ回路19aの放電用スイッチ素子20aをオフのままで充電用スイッチ21aをオンしたときは直流系統13から二次電池12aに電力が供給される充電モードとなる。
【0040】
日射強度が小さいときも同様に、動作点電圧V2と二次電池12bとの差分絶対値|V1−Vb|が動作点電圧V1と二次電池12aとの差分絶対値|V1−2Vb|より小さいので、制御装置17は、定格電圧Vbの二次電池12bをスイッチ回路19bにより直流系統に接続する。これにより、直流系統13の直流電圧は二次電池12bの電圧Vbに支配され、太陽電池11の動作点はC22’となり、そのときの出力電力はV−P特性曲線P2のPbとなる。太陽電池11の出力は最大電力P2maxより小さいPbであるが、動作点電圧V2と二次電池12bとの差分絶対値|V2−Vb|が小さいときは、その差分電力|P2max−Pb|も小さく、ほぼ最大電力P2max近傍での運転ができる。
【0041】
この状態で、スイッチ回路19bの充電用スイッチ21bをオフのままで放電用スイッチ素子20bをオンしたときは二次電池12bから直流系統13に電力を供給する放電モードとなる。一方、スイッチ回路19bの放電用スイッチ素子20bをオフのままで充電用スイッチ21bをオンしたときは直流系統13から二次電池12bに電力が供給される充電モードとなる。
【0042】
このように、昼間は太陽電池11を最大電力追従制御し、二次電池12a、12bの充放電制御が必要なときは、最大電力動作点に近い定格電圧の二次電池を直流系統13に接続して、太陽電池の発電能力を最大限に発揮させつつ二次電池の充放電運転を行う。つまり、昼間はディジタル的に最大電力追従制御を行う。そして、夜間は太陽電池の出力が零であるので、インバータ15の直流電圧調整制御により、直流系統13の電圧を2Vb、Vbに調整して、二次電池12a、12bを順番に充電する。これにより、適切なSOC(充電率)制御が可能となる。
【0043】
次に、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例2について説明する。図3は本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例2の構成図である。この実施例2は、図1に示した実施例1に対し、二次電池12cを追加して設けるとともに、二次電池12cを直流系統13に接続するためのスイッチ回路19cを追加して設けたものである。図1では、追加した二次電池12cの定格電圧は、二次電池12bの定格電圧Vbと同じである場合を示している。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0044】
例えば、太陽電池11の動作点が図2のC22であり、二次電池12a、12bの充放電制御が必要となったときは、前述したように、制御装置17は、定格電圧Vbの二次電池12b、12cのいずれかまたは双方をスイッチ回路19bにより直流系統に接続することになる。
【0045】
いま、充電制御が必要であり二次電池12bの方が二次電池12cより充電量が少ない場合には、制御装置17は、充電量が少ない二次電池12bを直流系統13の太陽電池11に並列に接続し、二次電池12bの充電制御を行う。二次電池12b、12cの双方が同程度の充電量であるときは、双方を直流系統13の太陽電池11に並列に接続し放電制御を行う。
【0046】
一方、放電制御が必要であり二次電池12bの方が二次電池12cより充電量が多い場合には、制御装置17は、充電量が多い二次電池12bを直流系統13の太陽電池11に並列に接続し、二次電池12bの放電制御を行う。二次電池12b、12cの双方が同程度の充電量であるときは、双方を直流系統13の太陽電池11に並列に接続し放電制御を行う。
【0047】
これにより、二次電池12b、12cの充電量が均一化される。このように、複数個の同じ定格電圧の二次電池がある場合には充電量が均一化されるように充放電制御を行う。
【0048】
次に、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例3について説明する。図4は本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例3の構成図である。この実施例3は、図3に示した実施例2に対し、二次電池12b、12cを直列接続に切り替える切替回路22を備えたものである。
【0049】
切替回路22は、二次電池12bをスイッチ回路19bに接離するための接離スイッチ23b1、23b2と、二次電池12cをスイッチ回路19cに接離するための接離スイッチ23c1、23c2と、二次電池12bと二次電池12cとを直列接続するための直列接続スイッチ24とを有する。
【0050】
二次電池12b、12cを直列接続して直流系統13に接続する場合には、直列接続スイッチ24を閉じ、接離スイッチ23b2及び接離スイッチ23c1を開き、接離スイッチ23b1及び接離スイッチ23c2を閉じる。これにより、直列接続された二次電池12b、12cは、定格電圧が2Vbの二次電池として直流系統13に接続される。
【0051】
従って、最大電力追従制御による太陽電池11の動作電圧Vが2Vb近傍の電圧V1であるとき、定格電圧が2Vbの二次電池12aだけでなく、直列接続された二次電池12b、12cも直流系統13に接続可能となる。
【0052】
次に、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例4について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の実施例4の構成図である。この実施例4は、図4に示した実施例3に対し、二次電池12aの定格電圧は1.5Vb、二次電池12bの定格電圧はVb、二次電池12cの定格電圧は0.5Vbとし、二次電池12a、12b、12cを直列接続に切り替える切替回路22を備えたものである。
【0053】
切替回路22は、二次電池12aをスイッチ回路19aに接離するための接離スイッチ23a1、23a2と、二次電池12bをスイッチ回路19bに接離するための接離スイッチ23b1、23b2と、二次電池12cをスイッチ回路19cに接離するための接離スイッチ23c1、23c2と、二次電池12aと二次電池12bとを直列接続するための直列接続スイッチ24abと、二次電池12bと二次電池12cとを直列接続するための直列接続スイッチ24bcと、二次電池12cと二次電池12aとを直列接続するための直列接続スイッチ24caとを有する。
【0054】
二次電池12a、12bを直列接続して直流系統13に接続する場合には、直列接続スイッチ24abを閉じ、接離スイッチ23a2及び接離スイッチ23b1を開き、接離スイッチ23a1及び接離スイッチ23b2を閉じる。これにより、直列接続された二次電池12a、12bは、定格電圧が2.5Vbの二次電池として直流系統13に接続される。この場合、直列接続スイッチ24bc、24ca、接離スイッチ23c1、23c2は開いておく。
【0055】
二次電池12b、12cを直列接続して直流系統13に接続する場合には、直列接続スイッチ24bcを閉じ、接離スイッチ23b2及び接離スイッチ23c1を開き、接離スイッチ23b1及び接離スイッチ23c2を閉じる。これにより、直列接続された二次電池12b、12cは、定格電圧が1.5Vbの二次電池として直流系統13に接続される。この場合、直列接続スイッチ24ab、24ca、接離スイッチ23a1、23a2は開いておく。
【0056】
二次電池12c、12aを直列接続して直流系統13に接続する場合には、直列接続スイッチ24caを閉じ、接離スイッチ23a2及び接離スイッチ23c1を開き、接離スイッチ23a1及び接離スイッチ23c2を閉じる。これにより、直列接続された二次電池12c、12aは、定格電圧が2Vbの二次電池として直流系統13に接続される。この場合、直列接続スイッチ24ab、24bc、接離スイッチ23b1、23b2は開いておく。
【0057】
二次電池12a、12b、12cを直列接続して直流系統13に接続する場合には、直列接続スイッチ24ab、24bcを閉じ、直列接続スイッチ24abを開き、接離スイッチ23a2及び接離スイッチ23c1を開くとともに接離スイッチ23b1、23b2を開き、接離スイッチ23a1及び接離スイッチ23c2を閉じる。これにより、直列接続された二次電池12a、12b、12cは、定格電圧が3Vbの二次電池として直流系統13に接続される。
【0058】
これにより、二次電池12a、12b、12cの単独の定格電圧1.5Vb、Vb、0.5Vbに加え、定格電圧が2Vb、2.5Vb、3Vbの二次電池を等価的に直流系統13に接続できる。従って、最大電力追従制御による太陽電池11の動作電圧近傍の電圧を得やすくなり、太陽電池11に二次電池12を並列接続した場合であっても、太陽電池11の発電能力を最大限に発揮させることができる。
【0059】
このように、太陽電池11と定格電圧が同一または異なる複数個の二次電池12を配置し、最大電力追従制御に応じて二次電池12を切り分けて直流系統13に接続するので、DCチョッパを用いることなく太陽電池11のエネルギーを効率よく供給することができる。
【0060】
二次電池12の充放電時には直流系統13の直流電圧は二次電池12の定格電圧に支配されるので、断続的な最大電力追従制御となるが、切替回路22を設けて複数個の二次電池12の接続を切り替えることにより、連続的な最大電力追従制御が可能となる。また、二次電池12の接続を切り離せば連続的な最大電力制御となる。
【符号の説明】
【0061】
11…太陽電池、12…二次電池、13…直流系統、14…切替スイッチ、15…インバータ、16…交流系統、17…制御装置、18…DCチョッパ、19…スイッチ回路、20…スイッチ素子、21…ダイオード、22…切替回路、23…接離スイッチ、24…直列接続スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光により直流電力を発電する太陽電池と、定格電圧が同一または異なる複数個の二次電池と、複数個の前記二次電池のうち少なくとも一つまたは定格電圧が同じ複数個の二次電池を前記太陽電池に並列に接続するスイッチ回路と、前記太陽電池及び前記二次電池の直流系統の直流電力を交流に変換して交流系統に出力したり前記交流系統の交流電力を直流電力に変換して前記直流系統に出力するインバータと、前記二次電池が前記直流系統に接続されていないときは前記インバータにより前記太陽電池の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、前記最大電力追従制御中に前記二次電池の充放電制御が必要となったときは前記最大電力追従制御による前記太陽電池の動作電圧に最も近い定格電圧の二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続しその二次電池の定格電圧で前記太陽電池を運転するとともに前記インバータにより前記二次電池の充放電制御を行う制御装置とを備えたことを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
複数個の前記二次電池を直列接続に切り替える切替回路を備えたことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
異なる定格電圧の前記二次電池は、少なくとも2の倍数の定格電圧の二次電池を含むことを特徴とする請求項1または2記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記二次電池が前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続されているとき、前記スイッチ回路により定期的に前記二次電池を前記直流系統から切り離し、その状態で前記インバータにより前記太陽電池の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、前記最大電力追従制御による前記太陽電池の動作電圧に最も近い定格電圧の二次電池または前記切替回路で直列接続された二次電池を選択して、その二次電池または直列接続された二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続することを特徴とする請求項1乃至3記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記制御装置は、充電量が少ない二次電池または前記切替回路で直列接続された二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続し、前記二次電池の充電制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記制御装置は、充電量が多い二次電池または前記切替回路で直列接続された二次電池を前記直流系統の前記太陽電池に並列に接続し、前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−159194(P2011−159194A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21947(P2010−21947)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】