説明

太陽電池を金属基材上に製造する積層システム、および該積層システムを製造する方法

本発明は、太陽電池を金属基材上に製造する積層システム、および該積層システムを製造する方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を金属基材上に製造する積層システム、および該積層システムを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境に優しいエネルギーへの要望と結び付いた将来のエネルギー要件に課された要求により、太陽光発電システムは過去数十年勢いを得ており、現在商業的に活用されてきており、普及してきている。従来の太陽電池または光起電装置の市場は、高い製造コストによって特徴付けられるp−n接合のシリコンウェハー系の太陽電池に基づく電池を推奨してきたが、近年の研究努力は低コストの連続製造工程を提供して光起電システム用の安価な太陽電池を提供することに焦点を合わせている。
【発明の開示】
【0003】
(発明の目的)
本発明の目的は、安価な太陽電池の連続製造用積層システムを提供することにある。本発明のさらなる目的は、そのような積層システムを製造する方法を提供することにある。
【0004】
(本発明)
本発明の第一の側面において、
− 光散乱のためのエンボス加工されたポリマーコーティング層を備えた金属基材と、
− 前記エンボス加工されたポリマーコーティング層の形状に追随し、かつ、高い光反射性を有する太陽電池裏面電極と、
− 光を電気に効率的に変換することができる、1つ以上の光起電活性層と、
− 透明なトップ電極と
を備える太陽電池を製造する積層システムであって、
− 前記ポリマーコーティング層が結晶化可能ポリマーを含んでなる、積層システム
が提供される。
【0005】
金属基材は、酸素および水蒸気に対して不浸透性であり、したがって、活物質は酸素および水蒸気への暴露が少ない。金属基材は太陽電池用の成形可能な基材であり、その上、追加の強度を付与する。好ましくは、金属基材は、固有の防食性を有するステンレス鋼のような金属、または電気めっきされた軟鋼のような腐食に対して追加の強度を備える金属である。そのような追加の保護の追加の利点は、基材とポリマーコーティング層との間の接着が向上され得る点である。ポリマーコーティング層は、活性太陽電池を鋼基材から電気的に絶縁する。このように、ポリマーコーティング層上の個々の太陽電池は、直列に接続されることができる。このことによりアセンブリの電圧が増加する。さらに、ポリマーコーティング層は追加の防食を鋼基材に付与する。ポリマーコーティング層は、例えばホログラムまたは周期的格子を付与するために、エンボス加工される必要がある。このホログラムまたは周期的格子は、層にレインボー効果を付与する。クレジットカード上に見られるホログラムは、レインボーホログラムの例である。本発明におけるこれらのホログラムまたは周期的格子の効果は、表面上に衝突する光の散乱を増すことにある。散乱された光は、表面に向かう光の角度を増し、太陽電池の光起電活性層を通る光の経路を伸ばす。このことにより、光起電活性層の中への光吸収が増加し、太陽電池の性能が向上する。太陽電池は、エンボス加工されたポリマーコーティング層の形状に追随し、かつ、高い光反射性を有する活性太陽電池裏面電極を備える。高い反射性を有する層は、入射光の反射を高めるために必要とされる。裏面電極がエンボス加工されたポリマーコーティング層の形状に追随して、光を散乱するエンボス加工から恩恵を受けることが必要である。「形状に追随する」との用語は、裏面電極の適用後に存続するエンボス加工に由来する表面テクスチャを意味するものである。裏面電極がエンボス加工された模様を部分的または完全に塞いだ場合、散乱を強めるというエンボス加工の機能は(部分的に)損なわれる。光起電活性層、または一連の層は、システムの上に落ちてくる光を吸収し、電気を生み出すのに不可欠な電子および正孔を発生させる。光がこれらの光起電活性層を通って長く移動するほど、より多くの光が光起電活性層によって吸収される。その結果、より多くの電子および正孔が発生し、結果として太陽電池の効率は向上する。高い光反射性を有する太陽電池裏面電極と組み合わせたエンボス加工されたポリマー層は、光が光起電活性層を通過する経路が引き延ばされることを確実にする。特に、光反射性活性太陽電池裏面電極を備えるが、層が粗さに追随できないために、制御されていない表面粗さが不完全な層を作り出し得る場合、表面粗さも光を散乱するため、ポリマー層のいかなる表面テクスチャもある程度同様の効果を有するということが知られている。このことによって不完全な層が電気的な短絡を生じる場合、太陽電池の性能が低下し、さらには完全な機能不良を引き起こすことさえある。エンボス加工されたポリマー層の利点は、光の散乱が制御され、かつ、この目的に対して最適化される点である。最終的に、電子の移動を可能にするために透明なトップ電極が設けられる。保護トップ層、ポリマー層と基材の間、またはポリマー層と活性裏面電極の間の接着層のような、追加の層が存在していてもよい。また、電子移動を向上させるために、金属指および/または母線が透明トップ電極の上に設けられてもよい。
【0006】
本発明の好ましい態様において、エンボス加工されたポリマーコーティング層は、酸化クロム層またはアルミニウム層のような接着層を備える。この層の目的は、太陽電池層のポリマーコーティング層上への接着を向上させることにある。
【0007】
本発明の他の好ましい態様において、裏面電極は好ましくは0.1〜0.6μmの厚さを有し、好ましくは裏面電極は高い反射性を有する。裏面電極は、銀またはアルミニウム層のような、薄い金属層であってもよい。金属、特に銀およびアルミニウムは、高い反射係数を有し、結果として入射光のほとんどはそれによって反射される。しかし、例えば、有機小分子の薄い光起電活性層、または正孔伝導および励起子遮断層と組み合わされたポリマーもしくはハイブリッド系の活性ドナー−アクセプター層システム、に基づくPVセルには非金属電極層が用いられてもよい。層の厚さは、裏面電極としてのその機能によって支配され、0.1μmの最小厚さをもたらす。最大厚さは、エンボス加工されたポリマー層の形状に追随する能力によって支配される。厚さが0.6μmを超える場合、エンボス加工されたポリマーの光散乱効果は低下する。
【0008】
本発明の他の好ましい態様において、光起電活性層は、n(−i−)p−セルにおけるような光起電活性シリコンの薄膜、有機小分子に基づく薄い光起電活性層、または正孔伝導および励起子遮断層と組み合わされたポリマーもしくはバイブリッド系の活性ドナー−アクセプター層システムを備える。光起電活性層は、2つ以上のセルがお互いの上部に積み上げられた多層セル、例えばそれぞれのセルが太陽光スペクトルの相補的な部分を吸収する多層セル、を備えていてもよい。半導体材料で製造された光起電活性層の機能は、光子を吸収することにある。これらの光子は伝導帯中の電子をもたらす。電子が物質を通って流れることで、電気を生み出す。太陽電池の特別な組成により、電子は一方向にのみ移動することが許される。正孔と呼ばれる、相補的な正電荷も生み出され、電子と反対方向に流れる。数々の太陽電池が太陽光エネルギーを使用可能な量の直流(DC)電流に転換する。
【0009】
本発明の他の好ましい態様において、追加の散乱層が裏面電極の上に設けられ、裏面電極と光起電活性層の屈折率の間の屈折率を有し、散乱層は好ましくはアルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:Al)、フッ素をドープした酸化スズ(SnO:FまたはFTO)またはインジウムスズ酸化物(ITO)のような透明導電性酸化物(TCO)であり、散乱層は所望により酸化珪素ナノ層を備える。この追加の散乱層は、入射光子が光起電活性層を通る経路を更に伸ばし、そして電子−正孔対を生み出す機会を増やす。
【0010】
本発明の他の好ましい態様において、ポリマーコーティング層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、またはポリプロピレンもしくは二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレン(PE)もしくはポリ塩化ビニル(PVC)等のポリオレフィンのような結晶化可能熱可塑性ポリマーを含む。PETは特に好ましく、これはPETが金属基材に非常に良好に接着し、かつ、高い融解温度を有するからである。現行の太陽電池の製造工程は、典型的に120℃〜200℃の温度での加工工程を含む。エンボス加工およびポリマー層はこれらの温度に耐え得る必要があり、PETは良好に実行できることが証明された。PETは、CHDM(1,4−シクロヘキサンジメタノール)またはIPA(イソフタル酸)で修飾することができる。同じような理由に関して、ポリアミドまたはポリイミド等のようなポリマーは、十分に高い融解温度を有している限り適し得る。上述のポリマーの混合物(ブレンド)または共重合体も、用いられてよい。ポリマーコーティング層を結晶化する能力は、エンボス加工がさらなる加工の間も安定した状態を保つことを確実にする。好ましくは、結晶化可能熱可塑性ポリマーの融解温度は200℃より高く、より好ましくは、少なくとも220℃である。望ましい場合、ポリマー層は追加のフィラー、添加剤、着色剤、またはチタニアのような防食剤を備えていてもよい。好ましくは、ポリマー材料は真空条件下、例えば太陽電池層を塗布する間、で用いられて真空蒸発を防ぐのに良く適している。ポリマーコーティング層の最小厚さは、誤点弧電位によって決定されるのに対して、最大厚さは費用の問題である。ポリマーコーティング層の適切な最小厚さは5μmであり、好ましくは7μmである。ポリマー系太陽電池技術に関して、加工は最初に低温、すなわちポリマーコーティングの結晶化が起こらない温度、で行われる。しかしほとんどの場合、120〜150℃での後処理が、最適に機能するためには必要である。この場合、光吸収を増やし、太陽電池層の塗布後のポリマーの結晶化による小割れを減らすために、エンボス加工および結晶化が必要である。ポリエステル系コーティングであって、結晶化可能ポリマーがPET、またはPETを含む共重合体もしくはブレンド、および/またはIPA−もしくはCHDM−修飾PETを含むポリエステル系コーティングは素晴らしく作動することが証明された。
【0011】
本発明の他の好ましい態様において、金属基材は鋼帯または箔であり、好ましくは防食コーティングを施した軟鋼、またはステンレス鋼帯、アルミニウム帯もしくはチタニウム帯である。電気メッキされた金属コーティングを有する軟鋼基材は、比較的安価で、かつ、ポリマーコーティング層を工業規模で確実に、コスト効率よく設けることができる。ステンレス鋼基材は、軟鋼基材よりも高価であるが、これらの鋼は腐食に対して追加の保護を必要とせず、一方で、軟鋼基材には、ニッケル、クロム、コバルト、またはモリブデンおよびこれらの合金系めっき層、またはそれらの組合せのような保護コーティング層、または(錫フリー鋼としても知られる)ECCS−鋼のような酸化クロム層が好ましくは設けられる。亜鉛めっきされた鋼を基材として使用することも可能である。しかし、追加の防食を付与するためにどのタイプのコーティングを使用するかは、該コーティングがポリマーコーティング層と基材の間の接着を向上するか少なくとも減じない限り、本発明の目的に関して、非常に重要なわけではない。包装業界用のポリマーでコーティングされた金属基材の従来の製造から知られているように、追加の接着層は、ポリマーコーティング層と基材との間に設けられても良い。金属基材の厚さは、求められる機械的特性によって主に決定される。鋼基材は好ましくは、0.05〜1mmの厚さを有する。それ以上厚くなると本発明が技術的に機能しなくなる最大厚さというものはないが、重量制限が最大厚さを制限し得る。基材が薄いほど、太陽電池の設置および使用の間の損傷、折り目、シワのリスクが大きく、それにより潜在的に太陽電池が損傷する。
【0012】
本発明の他の好ましい態様において、エンボス加工されたポリマーコーティング層は、ホログラフィー効果を付与する。ホログラフィー効果の主な機能は、入射光子が光起電活性層を通る経路を伸ばす散乱機能である。しかし、ホログラムは偽造防止、ブランド振興および製品認証に関して有用であり得、これはホログラムが企業ロゴ、商品名または商標を含む形態で製造されることができるからである。
【0013】
本発明の第二の側面において、上述のような積層システムを備える太陽電池が提供される。光起電活性太陽電池層は、n(−i−)p−セルにおけるように、多数の光起電活性シリコン薄膜からなる。あるいは、これらは有機小分子を基礎とする光起電活性薄層、または最適な性能を得るために正孔伝導および励起子遮断層と組み合わされたポリマーもしくはハイブリッド系の活性ドナー−アクセプター層システムであり得る。
【0014】
本発明の第三の側面において、太陽電池で用いる積層システムを製造する方法であって、
− ポリマーコーティング層を備える金属基材を用意する工程と、
− 前記ポリマーコーティング層をエンボス加工し、光散乱のための表面テクスチャを得る工程と、
− 前記エンボス加工されたポリマーコーティング層上に接着層を設ける工程、および/または、所望により、前記ポリマーコーティング層を前処理して接着を向上させる工程と、
− 前記エンボス加工されたポリマーコーティング層または前記接着層の形状に追随し、かつ、高い光反射性を有する太陽電池裏面電極を設け、前記電極が熱エンボス加工されたポリマーコーティング層に追随する工程と、
− 光を電気に効率的に変換することができる、1種以上の光電活性層と、
− 透明トップ電極と
を含む方法が提供される。
【0015】
任意の前処理は、酸素プラズマ処理であってよい。酸素プラズマ表面処理は、有機残留物を取り除くだけでなく、表面と化学的に反応して強固な炭素−酸素共有結合を形成し、この結合は初期の炭素−水素結合よりもずっと極性が大きく、より反応性が大きい。増加した表面の極性は、ぬれ性のかなりの増加の主要因であり、表面−接着剤界面への共有結合の度合いを強める。金属基材上のポリマー層は、好ましくは非晶質または部分的に結晶化されたポリマー層である。ポリマー層は、事前に製造された高分子膜を既知の方法で基材上に積層することによってか、または既知の方法で基材の上へポリマー層の直接押出しによって、例えば、T−ダイを通して基材上、またはフィルムが次いで基材上に積層される鋳造ロールの上、に直接膜を押し出すことによって基材上へ設けられても良い。基材上へポリマー層を設けるこれらの方法は既知であり、例えば、包装産業用に製造されたプロタクト(Protact)(登録商標)ポリマーでコーティングされた鋼基材の製造から知られている。プロタクト(登録商標)はTata Steel IJmuiden BVの登録商標名である。
【0016】
本発明の他の好ましい態様において、ポリマーコーティング層のエンボス加工は、ホログラムまたは周期的格子のような表面テクスチャの熱エンボス加工によって実現され、それによりポリマーコーティング層を少なくとも部分的に結晶化する。エンボス加工は、典型的に120〜200℃の温度での加工を含む、太陽電池を製造する際の加工温度と同等のエンボス加工温度で好ましくは適用される。PETがポリマー層として使用される場合、PETコーティングは、表面に印を押し付けられながら、エンボス加工工程中に結晶化する。このようにして、太陽光パネルの性能を向上する制御されたエンボス加工された表面が得られる。結晶化の効果は、金属基材上への積層または押出しの結果、ポリマー層の中に存在していたであろういかなる内部応力も軽減する。この応力の軽減または除去は、層の塗布または後加工の間の太陽電池層の小割れのリスクを低減または除去するが、これはこれらの層がしばしば高温(典型的には最高200℃)で、またはプラズマ環境中で加工されるからである。そして、ポリマー層が未だ非晶質または部分的に結晶化されている場合、高温で再結晶化が起こり、そして小割れおよび太陽電池の完全な不具合を引き起こす。エンボス加工温度は、ポリマーがエンボス加工道具にくっつき始める(タッキングとしても知られる)温度によって最大化される。最低温度は、結晶化を達成するため、およびエンボス加工を達成するのに求められる力を最小化するために必要である。PETのようなポリエステルの適切な最低温度は、約120℃であり、最高温度は約200℃であると分かった。これらの最低および最高温度は他のポリマーで若干変化するであろうが、太陽電池での使用に適した全てのポリマー層、すなわち、太陽電池の製造の間の典型的な加工温度に耐えることができるポリマー層、に対して120〜200℃の温度範囲は一般的に有用である。太陽電池層にポリマー層の結晶化の結果として貫入ができるため、熱エンボス加工は太陽電池堆積後に適用することはできない。代替手段として、ポリマー層は金属基材上へ積層する前にエンボス加工されても良い。この場合、ポリマーコーティング層のエンボス加工は、既にホログラムフィルムを備えるポリマーコーティング層を金属基材上に積層することによってもたらされる。さらなる代替手段として、エンボス加工工程は、金属基材上へ高分子膜を押出しコーティングする間に行い、その後、エンボス加工された鋳造ロール、または押出し−積層装置中に取り付けられたエンボス加工ロールを用いることによって押出しされたポリマー層をエンボス加工してもよい。さらなる代替手段として、エンボス加工工程は、作成済みの高分子膜の積層中または後に、エンボス加工された積層ロールまたは押出し−積層装置中に取り付けられた追加のエンボス加工ロールを用いて行われてもよい。さらなる代替手段として、エンボス加工はチキソトロピックコーティング組成物またはゾル−ゲル系組成物をポリマー層上へ塗布し、エンボス加工装置でコーティング組成物に表面レリーフをエンボス加工し、そしてエンボス加工されたコーティング組成物を硬化させることによって付与されても良い。チキソトロピックコーティングは、例えばその中に導電性粒子を取り込むことによって、導電性を備えていてもよく、その結果、エンボス加工した層が、その上に裏面電極が設けられる導電性層として機能してもよい。さらに、硬化温度は、ポリマーコーティング層が少なくとも部分的に結晶化して、そうでなければ太陽電池層内に小割れを生じていたであろう内部応力を軽減または除去するように選ばれるべきである。他の態様において、基材は、基材をコーティングした後に熱的に結晶化されるポリマーコーティングを備え、次いで、コーティングされた基材を第二のコーティングでコーティングし、そして、第二のコーティングは部分的に硬化され、エンボス加工されて光を散乱するための表面テクスチャを得て、硬化を終了する。該第二のコーティングは、所望により、上述の理由の通り、導電性を有していてもよい。
【0017】
本発明の他の好ましい態様において、方法は
− エンボス加工されたポリマーコーティング層が、酸化クロム層またはアルミニウム層のような接着層を備える工程、
− 裏面電極が金属層であり、好ましくは0.1〜0.6μmの厚さを有し、好ましくは金属層が銀またはアルミニウム層である工程、
− 追加の散乱層が裏面電極上に設けられ、裏面電極と光起電活性層の屈折率の間の屈折率を有し、散乱層が好ましくはZnO:Al、SnO:Fまたはインジウムスズ酸化物(ITO)のような透明導電性酸化物であり、散乱層が所望により酸化珪素ナノ層を備える工程、
− n−i−p−セルにおけるように、光起電活性シリコンの薄膜、または光起電活性の有機小分子を基礎とする薄膜、または正孔伝導および励起子遮断層と組み合わされたポリマーもしくはハイブリッド系のドナー−アクセプター層システムを備える光起電活性層を供給する工程、
− ポリエチレンテレフタレート(PET)のような結晶化可能ポリマーを含んでなるポリマーコーティング層を供給する工程、
− 鋼帯、好ましくは防食コーティングを備える軟鋼、またはステンレス鋼帯またはアルミニウム帯またはアルミニウム合金帯、として金属基材を提供する工程
の1つ以上の工程を含んでなり、
− 熱エンボス加工されたポリマーコーティング層がホログラフィー効果を与える
方法が提供される。
【0018】
本発明を、以下の非制限、かつ、模式的な図面を用いて説明する。
【0019】
図1において、積層システム1の模式図が示される(正確な縮尺ではない)。金属基材2は、エンボス加工された部分4を備えるポリマー層3を備える。活性太陽電池裏面電極5は、エンボス加工された部分4の上に既知の方法で堆積される。層6は、任意のTCO層であり、7は光起電活性層である。この非制限例において、三層システム、例えば、光起電活性n−i−pシリコンシステムの薄膜、が描かれている。TCOトップコーティング9は、活性層8の上に設けられ、母線または指9が向上した電子移動のために設けられる。電位(ΔV)は、光が光起電活性層に当たった場合、TCO層6と9の間に存在するように模式的に示される。
【0020】
図2に、エンボス加工工程の模式的な図が提供される。エンボス加工道具はプレス機として模式的に示されるが、ロール、またはポリマー層3をエンボス加工するのに適したいかなる道具であってもよい。図2aでは、ポリマー層は未だエンボス加工されておらず、エンボス加工道具がポリマー層に向かって動いている。エンボス加工工程は、好ましくは高温、例えば120〜200℃、で行われる。図2bには、ポリマー層3が今やエンボス加工された部分4を備え、高温のために該部分が(部分的な)結晶化を経た、エンボス加工後の状況が示される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】積層システムを示す図である。
【図2】熱エンボス加工工程を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 光散乱のためのエンボス加工されたポリマーコーティング層を備えた金属基材と、
− 前記エンボス加工されたポリマーコーティング層の形状に追随し、かつ、高い光反射性を有する太陽電池裏面電極と、
− 光を電気に効率的に変換することができる、1つ以上の光起電活性層と、
− 透明なトップ電極と
を備える太陽電池を製造する積層システムであって、
− 前記ポリマーコーティング層が結晶化可能ポリマーを含んでなる、積層システム。
【請求項2】
前記ポリマーコーティング層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートまたはそれらの共重合体もしくは混合物、のようなポリエステル、ポリプロピレン、2軸配向されたポリプロピレンもしくはポリエチレン、またはポリ塩化ビニルのようなポリオレフィン、ポリアミドまたはポリイミドからなる結晶化可能ポリマーの群から選択される少なくとも1種の結晶化可能ポリマーを含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層システム。
【請求項3】
前記エンボス加工されたポリマーコーティング層が、酸化クロム層またはアルミニウム層のような接着層を備える、請求項1または2に記載の積層システム。
【請求項4】
前記裏面電極が金属層であり、好ましくは0.1〜0.6μmの厚さを有し、好ましくは前記金属層が銀またはアルミニウム層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層システム。
【請求項5】
前記光起電活性層が、光起電活性シリコンの薄膜、光起電活性の有機小分子に基づく薄膜、または正孔伝導および励起子遮断層と組み合わされたポリマーもしくはハイブリッド系のドナー−アクセプター層システムを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層システム。
【請求項6】
追加の散乱層が前記裏面電極上に設けられ、前記裏面電極と前記光起電活性層の屈折率の間の屈折率を有し、前記散乱層が好ましくはZnO:Al、SnO:Fまたはインジウムスズ酸化物(ITO)のような透明導電性酸化物であり、前記散乱層が所望により酸化珪素ナノ層または正孔伝導もしくは励起子遮断層を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層システム。
【請求項7】
前記金属基材が鋼帯であり、好ましくは防食コーティングを備える軟鋼、またはステンレス鋼帯、アルミニウム帯もしくはアルミニウム合金帯である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層システム。
【請求項8】
前記エンボス加工されたポリマーコーティング層がホログラフィー効果を与える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層システム。
【請求項9】
前記金属基材が、防食コーティングを備える軟鋼であり、前記結晶化可能ポリマーがポリエチレンテレフタレートから本質的になる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層システム。
【請求項10】
太陽電池で用いる積層システムを製造する方法であって、
− ポリマーコーティング層を備える金属基材を用意する工程と、
− 前記ポリマーコーティング層をエンボス加工し、光散乱のための表面テクスチャを得る工程と、
− 前記エンボス加工されたポリマーコーティング層上に接着層を設け、および/または、所望により、前記ポリマーコーティング層を前処理して接着を向上させる工程と、
− 前記エンボス加工されたポリマーコーティング層または前記接着層の形状に追随し、かつ、高い光反射性を有する太陽電池裏面電極を設け、前記電極が熱エンボス加工されたポリマーコーティング層に追随する工程と、
− 光を電気に効率的に変換することができる、1種以上の光電活性層と、
− 透明トップ電極と
を含む方法。
【請求項11】
前記ポリマーコーティング層のエンボス加工が、ホログラムまたは周期的格子のような表面テクスチャを熱エンボス加工することによってもたらされ、それにより前記ポリマーコーティング層を少なくとも部分的に結晶化し、好ましくは前記熱エンボス加工が120〜200℃のエンボス加工温度で適用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基材に少なくとも部分的に結晶化されたポリマーコーティング層を設け、次いで、前記コーティングされた基材を第二のコーティングでコーティングし、該第二のコーティングが次いで多くとも部分的に硬化され、エンボス加工されて光散乱のための表面テクスチャを得、その後硬化を完了する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
− 前記エンボス加工されたポリマーコーティング層が、酸化クロム層またはアルミニウム層のような接着層を備え、および/または
− 前記裏面電極が金属層であり、好ましくは0.1〜0.6μmの厚さを有し、好ましくは前記金属層が銀またはアルミニウム層であり、および/または
− 追加の散乱層が前記裏面電極上に設けられ、前記裏面電極と前記光起電活性層の屈折率の間の屈折率を有し、前記散乱層が好ましくはZnO:Al、SnO:Fまたはインジウムスズ酸化物(ITO)のような透明導電性酸化物であり、前記散乱層が所望により酸化珪素ナノ層を備え、および/または
− 前記光起電活性層が、光起電活性シリコンの薄膜、光起電活性の有機小分子に基づく薄膜、または正孔伝導および励起子遮断層と組み合わされたポリマーもしくはハイブリッド系のドナー−アクセプター層システムを備え、および/または
− 前記ポリマーコーティング層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような結晶化可能ポリマーを含んでなり、および/または
− 前記金属基材が鋼帯であり、好ましくは防食コーティングを備える軟鋼、またはステンレス鋼帯、アルミニウム帯もしくはアルミニウム合金帯であり、および/または
− 前記熱エンボス加工されたポリマーコーティング層がホログラフィー効果を与える、
請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーコーティング層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような、結晶化可能熱可塑性ポリマーを含んでなる、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記エンボス加工が、企業ロゴ、商品名および/または商標を含むホログラフィー像のような、偽造防止、ブランド振興および/または製品認証用のホログラフィー像をもたらす、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【公表番号】特表2013−520001(P2013−520001A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552403(P2012−552403)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052002
【国際公開番号】WO2011/098544
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(505008419)タタ、スティール、ネダーランド、テクノロジー、ベスローテン、フェンノートシャップ (15)
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL NEDERLAND TECHNOLOGY BV
【Fターム(参考)】