説明

太陽電池モジュールの固定構造

【課題】太陽電池モジュールの設置に係るコストを低減させることが可能な太陽電池モジュールの固定構造を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール2の固定構造に、一対の支持片同士が対向する向きを屋根の横方向を向くように屋根材3上に複数取付けられる支持部材10と、複数の支持部材10の支持片間に挿入支持され、両側面に第一締結部材25をスライド可能に保持する第一保持部、及び上面に第二締結部材26をスライド可能に保持する第二保持部を有し、第一保持部に保持された第一締結部材25へ被第一締結部材27を、支持部材10の支持片を貫通するように締結することで支持部材10に固定支持され屋根の横方向へ所定間隔で複数配置される桟部材20と、複数の桟部材20上に長辺が交差するように載置された太陽電池モジュール2を、第二保持部に保持された第二締結部材26を介して桟部材20に固定する固定部材30とを具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材上に設置される太陽電池モジュールの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋根材上に設置される太陽電池モジュールの固定構造としては、屋根瓦やスレート等の上側に、所定の支持金具を介して屋根の傾斜方向(流れ方向)へ延びる複数の長尺状の縦桟を所定間隔で固定した上で、それら縦桟の上に、屋根の傾斜方向に対して直角方向(横方向)へ延びる複数の長尺状の横桟を太陽電池モジュールの大きさに合わせた間隔で固定して井桁状の取付架台を形成し、その取付架台の横桟に太陽電池モジュールの横方向の辺を載置させて太陽電池モジュールを固定するようにしている(特許文献1乃至特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の太陽電池モジュールの固定構造は、太陽電池モジュールにおける軒側と棟側の横方向の辺を、夫々横桟上に載置するようにしているので、横桟を太陽電池モジュールの大きさに合わせた間隔で精度良く縦桟に取付けなければならず、取付架台の設置に手間がかかり、作業コストが高くなる問題があると共に、工期が長くなる問題があった。また、従来では、取付架台を井桁状としているので、多くの桟部材を必要とし、部品点数が多く、部材コストが高くなる問題があった。
【0004】
ところで、太陽電池モジュールを取付ける取付架台を、井桁状に組まずに、縦桟又は横桟の何れかの桟部材のみとすることが考えられる。しかしながら、この場合でも、桟部材の延びる方向と同じ方向へ延びた太陽電池モジュールの辺が、桟部材上に載置されるように、桟部材を太陽電池モジュールの大きさに合わせた間隔で取付ける必要があり、桟部材の設置に手間がかかる他に、桟部材を支持する支持金具を屋根材としての支持瓦に取付けるようにした場合、屋根瓦の敷設ピッチに対して太陽電池モジュールの大きさが異なっていると、桟部材を太陽電池モジュールの大きさに合わせた間隔で支持することができず、屋根材上に太陽電池モジュールを設置することができない問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、太陽電池モジュールの設置に係るコストを低減させることが可能な太陽電池モジュールの固定構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る太陽電池モジュールの固定構造は、「所定間隔で上方へ突出する板状の一対の支持片を有し、該支持片同士が対向する向きが所定方向を向くように屋根材上に複数取付けられる支持部材と、該支持部材の一対の前記支持片間に挿入されると共に複数の前記支持部材によって支持され、両側面に第一締結部材を長手方向へのみスライド可能に保持する第一保持部、及び、上面に第二締結部材を長手方向へのみスライド可能に保持する第二保持部を少なくとも有し、前記第一保持部に保持された第一締結部材と第一締結部材に締結される被第一締結部材とを、前記支持部材の前記支持片を貫通するように締結することで前記支持部材に固定支持され屋根材上に長手方向に対して直角方向へ所定間隔で複数配置される桟部材と、複数の該桟部材に対して太陽電池モジュールの対向する二辺が交差するように夫々の前記上面に載置された太陽電池モジュールを、前記桟部材の前記第二保持部に保持された第二締結部材を介して前記桟部材に固定する固定部材とを具備する」ことを特徴とする。
【0007】
ここで、「支持部材」としては、「屋根材としての屋根瓦やスレート等に取付部を有した支持屋根材(例えば、支持瓦)に対し、その取付部を介して屋根材上に取付けるようにしたもの」、「基端側が屋根材が敷設される野地板等の屋根の構造部材に対して固定され、先端側が屋根材上に露出する所定のベース部材を介して屋根材上に取付けるようにしたもの」、等を例示することができる。
【0008】
また、「第一締結部材及び被第一締結部材」としては、「ナット及びボルト」、「ボルト及びナット」、等の組合せを例示することができる。また、「第二締結部材」としては、「ナット」、「ボルト」、等を例示することができる。
【0009】
本発明によると、支持部材によって屋根材上へ所定間隔で複数支持された桟部材の上面に、太陽電池モジュールを固定部材によって固定するようにしているので、従来のように、桟部材を井桁状に組んで架台を構成する必要が無く、部品点数を少なくしてコストを低減させることができると共に、設置工数を低減させることができる。
【0010】
また、複数の桟部材に対して太陽電池モジュールの対向する二辺が交差するように太陽電池モジュールを桟部材上に載置すると共に、その交差した部位で固定部材によって太陽電池モジュールを桟部材へ固定するようにしているので、太陽電池モジュールの固定される辺の長さよりも短い間隔で複数の桟部材を屋根材上に支持すれば、太陽電池モジュールを固定することができ、従来のように、太陽電池モジュールの大きさに合わせた間隔で桟部材を取付ける必要が無く、桟部材の取付けにかかる手間を簡略化して、作業コストを低減させることができると共に、工期を短縮することができる。
【0011】
また、上述したように、桟部材の間隔を太陽電池モジュールの大きさに合わせる必要がないので、屋根瓦等の屋根材の敷設ピッチと太陽電池モジュールの大きさとが異なっていても、問題なく屋根上に太陽電池モジュールを設置することができる。
【0012】
更に、太陽電池モジュールの対向する二辺と桟部材とが交差するように配置して太陽電池モジュールを固定すると共に、桟部材の第二保持部にスライド可能に保持された第二締結部材を介して固定部材により太陽電池モジュールを固定するようにしているので、第二締結部材(固定部材)をスライドさせることで、桟部材上に載置された太陽電池モジュールの載置位置や大きさに関係無く、太陽電池モジュールを固定することができ、様々な大きさの太陽電池モジュールに対応することができると共に、太陽電池モジュールの設置自由度を高めることができる。
【0013】
また、支持部材における一対の支持片の間に桟部材を挿入した上で、桟部材の第一保持部に保持された第一締結部材を介して桟部材の側面と支持片とを締結固定するようにしており、支持部材によって桟部材を両側から強く固定することができるので、台風や強風、或いは、降雨や降雪等により太陽電池モジュールに大きな荷重が作用しても、太陽電池モジュールをしっかり固定することができ、太陽電池モジュールの設置に係る信頼性を高めることができる。
【0014】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記固定部材は、太陽電池モジュールの側面と当接すると共に前記桟部材の前記上面に載置され、第二締結部材又は第二締結部材に締結される被第二締結部材を挿通可能な開口を有し、太陽電池モジュールよりも高さが低く形成されたスペーサ部材と、該スペーサ部材の上側に配置され、第二締結部材又は第二締結部材に締結される被第二締結部材を挿通可能な開口、及び太陽電池モジュールの上面と当接可能な当接部を有した押圧部材とを備え、前記スペーサ部の前記開口と前記押圧部材の前記開口とを通して前記桟部材の前記第二保持部に保持された第二締結部材に、被第二締結部材を締結させることで、前記押圧部材によって太陽電池モジュールを前記桟部材に押圧して固定する」ことを特徴としても良い。
【0015】
本発明によると、太陽電池モジュールの側面にスペーサ部材が当接することで、太陽電池モジュールが桟部材に沿った方向へ移動するのを規制することができると共に、太陽電池モジュールの上面に押圧部材が当接することで、太陽電池モジュールが桟部材の上面から離れるのを規制することができ、而して、太陽電池モジュールを桟部材へ固定する固定部材を具現化することができる。
【0016】
ところで、隣接する太陽電池モジュールの間に配置された一つの固定部材によって、夫々の太陽電池モジュールを桟部材へ同時に固定するようにした場合、固定部材の大きさに合わせて予め太陽電池モジュール同士を一定の間隔で桟部材上に載置する必要があり、太陽電池モジュールの固定に手間がかかる問題がある。これに対して、本発明では、スペーサ部材の両側に夫々の太陽電池モジュールの側面を当接させることで、太陽電池モジュール同士を一定の間隔で容易に配置することができ、その状態で押圧部材により夫々の太陽電池モジュールの上面を押圧することで、隣接した太陽電池モジュールを同時に固定することができ、複数の太陽電池モジュールを簡単に所定間隔で並べて固定することができ、太陽電池モジュールの設置に係る手間を簡略化することができる。
【0017】
更に、本発明に係る太陽電池モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記固定部材は、前記桟部材と前記スペーサ部材との間に配置され、前記押圧部材により太陽電池モジュールが前記桟部材へ押圧されることで太陽電池モジュールの下面と前記桟部材の前記上面とに突き刺さる突起部を有し、前記スペーサ部材を挟んで両側に配置される太陽電池モジュール同士及び前記桟部材を電気的に接続可能なアース部材を更に備えている」ことを特徴としても良い。
【0018】
本発明によると、桟部材とスペーサ部材との間にアース部材を介在させた上で、スペーサ部材を挟んで両側に配置された太陽電池モジュールを押圧部材によって桟部材へ押圧すると、アース部材の突起部が太陽電池モジュールの下面と桟部材の上面とに夫々突き刺さり、太陽電池モジュールと桟部材、太陽電池モジュール同士を電気的に接続することができるので、太陽電池モジュールを固定部材で固定するだけで簡単に太陽電池モジュール同士をアース接続することができ、アース接続に係る手間を簡略化することができる。
【0019】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記桟部材は、下面に長手方向に沿って窪み太陽電池モジュールに接続される配線ケーブルを案内可能な案内溝を更に備えている」ことを特徴としても良い。
【0020】
ところで、太陽電池モジュールに接続される配線ケーブルを、屋根材上を這わせるようにすると、配線ケーブルによって屋根材上を流下する雨水等が滞り、雨漏りの原因となったり、滞った雨水等が腐敗して異臭の発生源となったり、或いは、屋根材と当った所が擦れて漏電の原因となったりする虞がある。そこで、結束バンド等を用いて配線ケーブルを桟部材に沿わせることで、屋根材上に配線ケーブルが垂れ下がるのを防止して上記の問題を解決させるようにすることが考えられる。しかしながら、桟部材における配線ケーブルを沿わせる面(例えば、下面)が平坦な面の場合、配線ケーブルが動き易く、結束バンド等による桟部材への留め付け作業がし辛かったり、桟部材への留め付け後に配線ケーブルがずれてしまったりする問題がある。
【0021】
本発明によると、桟部材の下面に窪んだ案内溝を備えるようにしているので、案内溝に配線ケーブルを挿入することで、簡単に配線ケーブルを真直ぐ桟部材に沿わせることができると共に、沿わせた配線ケーブルを動き難くすることができる。従って、桟部材に沿うように結束バンド等を用いて配線ケーブルを簡単に桟部材へ留め付けることができると共に、留め付け後に配線ケーブルがずれるのを防止することができ、見栄え良く配線ケーブルを桟部材へ留め付けることができると共に、上記の問題を解決することができる。
【0022】
なお、桟部材を支持する支持部材に、桟部材の案内溝に案内された配線ケーブルが支持部材と接触するのを防止する切欠き部を備えるようにしても良く、これにより、配線ケーブルを見栄え良く配線することができる。
【0023】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「太陽電池モジュールの下面に固定され、前記桟部材と当接することで太陽電池モジュールが該桟部材から落下するのを防止する落下防止部材を更に具備する」ことを特徴としても良い。ここで、「落下防止部材」としては、「断面が略逆L字形状の部材」、「桟部材の両側面に対して押圧する機能を備えた部材」、「二つの桟部材における互いに対向又は背向する側面に夫々当接し、少なくとも一方の側面を押圧する機能を備えた部材」、等を例示することができる。
【0024】
本発明によると、太陽電池モジュールの下面に落下防止部材を備えるようにしているので、傾斜した屋根材上に取付けられた桟部材に太陽電池モジュールを固定部材で固定する前に、落下防止部材が桟部材と当接することで、太陽電池モジュールが桟部材に沿って滑り落ちるのを防止することができ、太陽電池モジュールの設置作業中の安全性を高めることができると共に、作業性を良くすることができる。
【0025】
ところで、桟部材を屋根の傾斜方向に対して直角方向へ延びるように配置した場合、例えば、太陽電池モジュールが落下するのを防止するために桟部材に仮止めした固定部材によって軒側の辺を支えるようにしようとしても、蓋然的に、太陽電池モジュールの軒側の辺が桟部材よりも軒側へ飛出した位置となるので、固定部材では固定前の太陽電池モジュールの落下を防止することができない問題がある。しかしながら、本発明によると、太陽電池モジュールの下面に落下防止部材が備えられているので、その落下防止部材が桟部材と当接することで太陽電池モジュールが軒側へ滑って落下するのを防止することができ、上述と同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
更に、本発明に係る太陽電池モジュールの固定構造は、上記の構成に加えて、「前記桟部材は、屋根の流れ方向(屋根の傾斜方向)に沿って延びるように配置されている」ことを特徴としても良い。
【0027】
本発明によると、屋根の流れ方向(傾斜方向)に沿って延びるように配置された桟部材上に太陽電池モジュールを固定するようにしているので、桟部材上に太陽電池モジュールを載置する前に、桟部材の軒側の端部付近に予め固定部材を取付けておくことで、その固定部材によって桟部材上の太陽電池モジュールが軒側へ滑って落下するのを防止することができ、太陽電池モジュールを固定部材で固定するまでの間、太陽電池モジュールを支え続ける必要が無く、太陽電池モジュールの固定作業を楽に行うことができ、作業性を向上させることができると共に、設置に係るコストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0028】
このように、本発明によれば、太陽電池モジュールの設置に係るコストを低減させることが可能な太陽電池モジュールの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態である太陽電池モジュールの固定構造を適用した太陽光発電システムの全体斜視図である。
【図2】図1の太陽光発電システムを各構成部材毎に分解して示す分解斜視図である。
【図3】(A)は支持部材と桟部材との取付状態を示す断面図であり、(B)は(A)の斜視図である。
【図4】図1の太陽光発電システムの側面断面図である。
【図5】(A)は屋根材への支持部材の取付けを示す分解斜視図であり、(B)は屋根材へ支持部材を取付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図4を各構成部材毎に分解して示す分解図である。
【図7】(A)は軒側端部に取付けられる端部用スペーサ部材に関して各構成部品毎に分解して示す斜視図であり、(B)は桟部材の軒側端部に端部用スペーサ部材を取付けた状態を示す斜視図である。
【図8】中間に取付けられる中間用スペーサ部材に関して各構成部品毎に分解して示す斜視図であり、(B)は桟部材に中間用スペーサ部材を取付けた状態を示す斜視図である。
【図9】押圧部材による軒カバーと太陽電池モジュールの取付けを示す分解斜視図である。
【図10】桟部材による配線ケーブルの保持を示す説明図である。
【図11】桟部材を屋根の横方向に沿って延びるように配置した例の要部を示す側面断面図である。
【図12】(A)は図1の例とは異なる形態のベース部材を用いた例を示す斜視図であり、(B)は更に異なる形態のベース部材を用いた例を示す斜視図である。
【図13】図1の例とは異なる形態の固定部材を用いた例を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態である太陽電池モジュールの固定構造について、図1乃至図10に基いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である太陽電池モジュールの固定構造を適用した太陽光発電システムの全体斜視図であり、図2は、図1の太陽光発電システムを各構成部材毎に分解して示す分解斜視図である。また、図3(A)は支持部材と桟部材との取付状態を示す断面図であり、(B)は(A)の斜視図である。また、図4は、図1の太陽光発電システムの側面断面図である。図5(A)は屋根材への支持部材の取付けを示す分解斜視図であり、(B)は屋根材へ支持部材を取付けた状態を示す斜視図である。図6は、図4を各構成部材毎に分解して示す分解図である。図7(A)は軒側端部に取付けられる端部用スペーサ部材に関して各構成部品毎に分解して示す斜視図であり、(B)は桟部材の軒側端部に端部用スペーサ部材を取付けた状態を示す斜視図である。図8は、中間に取付けられる中間用スペーサ部材に関して各構成部品毎に分解して示す斜視図であり、(B)は桟部材に中間用スペーサ部材を取付けた状態を示す斜視図である。更に、図9は、押圧部材による軒カバーと太陽電池モジュールの取付けを示す分解斜視図であり、図10は、桟部材による配線ケーブルの保持を示す説明図である。
【0031】
本実施形態の太陽光発電システム1は、図示するように、傾斜した屋根上に複数(本例では二つ)の太陽電池モジュール2を設置したものであり、屋根の流れ方向、及び屋根の流れ方向に対して直角方向(屋根の横方向)に夫々所定間隔で屋根材3上に複数取付けられる支持部材10と、屋根の流れ方向に沿って取付けられた複数の支持部材10に支持される長尺状の桟部材20と、桟部材20上に載置された太陽電池モジュール2を桟部材20へ固定する固定部材30とを備えている。この太陽光発電システム1の固定部材30は、太陽電池モジュール同士の間隔を規制可能なスペーサ部材32と、スペーサ部材32の上側に配置され太陽電池モジュール2を桟部材20側へ押圧する押圧部材34と、太陽電池モジュール2同士及び太陽電池モジュール2と桟部材20とを電気的に接続するアース部材36とを備えている。
【0032】
また、太陽光発電システム1は、太陽光発電システム1の軒側端部に配置され固定部材30によって太陽電池モジュール2と共に桟部材20へ固定される軒カバー40と、太陽光発電システム1の棟側端部に配置され固定部材30によって太陽電池モジュール2と共に桟部材20へ固定される棟カバー42と、太陽電池モジュール2同士や、軒カバー40又は棟カバー42と太陽電池モジュール2との間の上面側の隙間を覆い固定部材30の押圧部材32に係合保持される間カバー44と、間カバー44の長手方向両端に固定され太陽電池モジュール2同士や、軒カバー40又は棟カバー42と太陽電池モジュール2との間の側面側の隙間を覆う端面カバー46と、桟部材20の端面を閉鎖する板状の桟カバー48とを更に備えている。
【0033】
本例の太陽光発電システム1における太陽電池モジュール2は、複数の太陽電池セルを有し外形が矩形状で板状の太陽電池パネル2aと、太陽電池パネル2aの外周辺を支持する長尺状の枠体2bとを備えており、平面視で長辺が短辺の約2倍の長さとされた長方形状とされている。なお、詳細な図示は省略するが、太陽電池パネル2aの裏面には、発電した電気を出力する配線ケーブル2cが接続されている。
【0034】
また、本例では、屋根材3として一般的な屋根瓦上に適用したものであり、格子状に配列された複数の屋根材3に対して、支持部材10を取付支持するための支持瓦としての支持屋根材3aが所定のパターンで配置されている。この支持屋根材3aは、略中央から上方へ突出する膨出部3bを備えており、この膨出部3bに支持部材3がベース部材4を介して取付支持されるようになっている(図5を参照)。
【0035】
本例のベース部材4は、板状の天板部4aと、天板部4aの略中央から上方へ立上り外周に雄ネジが形成された固定軸部4bと、天板部4aの対向する二辺から夫々下方へ垂下する板状の側板部4cと、側板部4cを貫通し横方向へ延びた長孔4dとを備えている。このベース部材4の側板部4cは、夫々垂下する長さが異なっていると共に、天板部4aから夫々の長孔4dの位置も異なっており、天板部4aが天板部4aが屋根材3を支持する屋地板5等の屋根の傾斜と略平行となる向きにのみ支持屋根材3aの膨出部3bに対して取付けることができるようになっている(図11を参照)。このベース部材4は、長い方の側板部4cが膨出部3bの棟側の側面と、短い方の側板部4cが膨出部3bの軒側の側面と夫々対向するように配置し、棟側から所定長さのボルト4eを、長孔4d及び膨出部3bの固定孔3cを貫通させ、軒側の側板部4cから突出したボルト4eの先端に平ワッシャ4f、スプリングワッシャ4gを挿入させた上で、ナット4hを螺合することで、膨出部3c(支持屋根材3a)に固定されている。なお、ベース部材4は、ステンレス等の金属板材を屈曲させることで形成されている。
【0036】
本例の支持部材10は、図5等に示すように、ベース部材4上に載置され板状で略矩形状の底部11と、底部11の対向する二辺から上方へ延出する板状の一対の載置片12と、載置片12が延出する底部11の二辺に対して略直交する二辺から載置片12と側面が繋がった状態で上方へ延出すると共に載置片12よりも高く上方へ突出する板状の一対の支持片13と、一対の支持片13が対向する方向へ延びると共に底部11を貫通するように形成されベース部材4の固定軸部4bが挿通可能とされた長孔状の固定孔14と、載置片12よりも高い位置に配置され上下方向へ延びると共に夫々の支持片13を貫通するように形成された長孔状の支持孔15とを備えている。この支持部材10における一対の支持片13の間隔は、その間に桟部材20を挿入することができる間隔とされている。
【0037】
また、支持部材10は、載置片12と支持片13とが互いの側面同士で繋がった部位(四隅)に載置片12よりも低く切欠かれた切欠き部16を備えており、この切欠き部16によって、後述する桟部材20下面の案内溝23に案内された配線ケーブル2cが、支持部材10と接触するのを回避させることができるようになっている。また、支持部材10は、図示するように、切欠き部16よりも上側へ延びた載置片12及び支持片13の幅が、底部11の対応する辺の長さ(幅)よりも短い幅となっている。
【0038】
更に、支持部材10は、直交する二つの載置片12及び支持片13と底部11との境に、載置片12及び支持片13を夫々貫通する開口部17と、底部11の上面で開口部17に対して固定孔14を挟んで反対側に形成され直近の載置片12及び支持片13を向いた矢印状のマーキング部18とを備えている。このマーキング部18の矢印が傾斜した屋根の棟側を向くように支持部材10を取付けることで、蓋然的に、何れかの開口部17が軒側を向き、支持部材10内へ浸入した雨水等を開口部17から外部へ排出することができるようになっている。
【0039】
また、支持部材10は、支持片13の所定位置に貫通する係止孔19を備えており、この係止孔19を介して支持片13間に挿入された桟部材20へ所定の係止ビスをねじ込むことで、支持部材10と桟部材20とが桟部材20の長手方向や上下方向へ相対移動するのを係止することができるようになっている。なお、本例の支持部材10は、高耐食メッキ鋼板やステンレス板等の所定厚の板金を、プレス加工により塑性変形させることで成形されている。
【0040】
本例の桟部材20は、図3等に示すように、外形が略矩形状の同一断面形状で長尺状に形成されており、両側面に夫々開口し略十字状の溝とされた第一保持部21と、上面に開口し逆T字状の溝とされた第二保持部22と、下面の両端近傍で逆V状に下面から上方へ窪む二つの案内溝23とを備えている。この桟部材20における第一保持部21は、略十字状の溝における上下方向の溝内に、六角ナット状の第一締結部材25を回転不能且つ桟部材20の長手方向へスライド可能に保持することができるようになっている。なお、第一締結部材25は、第一保持部21に保持した状態で先端が桟部材20の側面から突出する略L字状の操作部25aを備えており、この操作部25aを持って操作することで、第一保持部21に保持された第一締結部材25を桟部材20の外側から簡単にスライドさせることができる。また、第二保持部22は、根角ボルト等の第二締結部材26の雄ねじ部が上面から突出するように、逆T状の溝内に第二締結部材26の頭部を回転不能且つ桟部材20の長手方向へスライド可能に保持することができるようになっている。
【0041】
この桟部材20は、両側面の第一保持部21が上下方向の中央よりも下側で下端付近に配置されていると共に、上面の第二保持部22が左右方向の略中央に配置されている。また、下面の案内溝23によって太陽電池モジュール2の配線ケーブル2cを桟部材20に沿って案内することができるようになっている。更に、この桟部材20は、支持部材10の一対の支持片13間に挿入し載置片12上に下面を当接させた状態で、上面が支持片13の上端よりも突出する高さとされている。また、桟部材20は、内側の上部隅部に略C字形状のビス止部24を備えている。また、本例の桟部材20は、アルミ等の押出型材とされている。
【0042】
本例の固定部材30のスペーサ部材32は、図示するように、軒カバー40と太陽電池モジュール2、及び太陽電池モジュール2と棟カバー42の固定に用いる端部スペーサ部材33Aと、太陽電池モジュール2同士の固定に用いる中間スペーサ部材33Bとに分けることができる。なお、以下、端部スペーサ部材33Aと中間スペーサ部材33Bにおいて、同じ構成の部分には同一の符号を付して説明する。このスペーサ部材20は、図7及び図8等に示すように、外形が略長方形状で板状の天板部32aと、天板部32aの長辺から下方へ垂下する一対の脚板部32bと、脚板部32bの下端で長手方向の略中央から下方へ突出する突出部32cと、天板部32aの略中央を貫通し桟部材20の上面から上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が挿通可能とされた開口32dと、天板部32aの短辺から下方へ脚板部32bよりも短く垂下する側板部32eとを備えている。
【0043】
このスペーサ部材32は、天板部32aの長辺方向の長さが、桟部材20の幅と略同じとされていると共に、天板部32aの上面から脚板部32bの下端までの高さが、太陽電池モジュール2の高さの約1/3とされている。また、スペーサ部材32の突出部32cは、桟部材20の上面から第二保持部22内へ挿入可能な大きさとされており、突出部32cを第二保持部22内へ挿入させることで、桟部材20上でスペーサ部材32が開口32dの軸周りに回転するのを防止することができるようになっている。更に、側板部32eによって、スペーサ部材32の剛性が高められている。このスペーサ部材32は、アルミ等の金属板材を、屈曲成形することで形成されている。
【0044】
本例の端部スペーサ部材33Aは、上記の構成に加えて、一方の脚板部32bの下端から天板部32aと略平行に外側へ延出する底板部32fと、底板部32fの先端から上方へ立上る立板部32gとを更に備えている。この端部スペーサ部材33Aの立板部32gと脚板部32bとの間の底板部32f上に、後述する軒カバー40や棟カバー42の底部40a,42aが載置されるようになっている。なお、端部スペーサ部材33Aでは、底板部32fが延出する側の脚板部32bの下端に、突出部32cを備えていない。
【0045】
また、本例の固定部材30の押圧部材34は、図4等に示すように、所定厚さで桟部材20に沿った方向へ延びる板状の基板部34aと、基板部34aの両端から上方へ延出する一対の立板部34bと、立板部34bの上端から互いに離反する方向へ基板部34aと略平行に延びる当接部34cと、基板部34aの略中央を貫通し桟部材20の上面から上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が挿通可能とされた開口34dとを備えている。この押圧部材34における当接部34cの下面は、太陽電池モジュール2における枠体2bの上面の形状と略一致するように、先端が斜めに下がった形状とされている。また、一対の立板部34bの外側側面間の幅は、スペーサ部材32における一対の脚板部32bの外側側面間の幅よりも若干短い幅とされている。
【0046】
また、押圧部材34は、一対の立板部34b内側側面に、上下に並んだ二つの凸部34eを備えており、この凸部34eに後述する間カバー44の係止爪44cを係止することができるようになっている。また、押圧部材34は、当接部34cの上面にV字状の溝34fを備えており、ビス止めする際の掛かりとすることができようになっている。本例の押圧部材34は、同一断面形状の長尺部材を所定の長さ(桟部材20の幅に対して約2倍の長さ)に切断したものであり、アルミ等の押出型材とされている。
【0047】
更に、本例の固定部材30のアース部材36は、図7及び図8に示すように、長辺側がスペーサ部材32における一対の脚板部32bの外側側面間よりも長い矩形状で薄板状の本体36aと、本体36aの略中央を貫通し桟部材20の上面から上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が挿通可能とされた開口36bと、本体36aの四隅近傍に夫々配置され一方の対角線上の一組が上方へ、他方の対角線上の一組が下方へ夫々突出し先端が尖った突起部36cと、開口36bに対して長手方向両側に配置されスペーサ部材32の突出部32cを挿通可能な挿通孔36dとを備えている。このアース部材36は、0.1mm〜1mmの薄いステンレス等の板金をプレス加工により成形したものである。
【0048】
本例の軒カバー40は、同一断面形状の長尺部材であり、図4等に示すように、所定長さの底部40aと、底部40aの一方の端部から上方へ太陽電池モジュール2の枠体2bと略同じ高さまで立上る立壁部40bと、立壁部40bの上端から底部40aと同じ方向へ底部40aよりも短い所定幅で延びる天部40cと、天部40cの先端から底部40aよりも外側且つ下側で斜め下方へ延びる側壁部40dと、底部40aの他方の端部から低く立上る中壁部40eと、中壁部40eの上端から底部40aと略平行に延び側壁部40dの内側と繋がる連結部40fとを備えている。この軒カバー40は、立壁部40bと中壁部40eの外側側面間の幅が、端部スペーサ部材33Aの立板部32gと脚板部32bとの間に嵌合可能な幅とされていると共に、側壁部40dの下端が、桟部材20に固定した状態で桟部材20の下面と略同じ高さとなるようになっている(図4を参照)。
【0049】
また、本例の棟カバー42は、同一断面形状の長尺部材であり、所定長さの底部42aと、底部42aの一方の端部から上方へ太陽電池モジュール2の枠体2bと略同じ高さまで立上る立壁部42bと、立壁部42bの上端から底部42aと同じ方向へ底部42aよりも短い所定幅で延びる天部42cと、天部42cの先端から底部42aよりも外側で底部42aと略同じ高さまで斜め下方へ延びる側壁部42dと、底部42aの他方の端部から低く立上る中壁部42eと、中壁部42eの上端から底部42aと略平行に延び側壁部42dの内側と繋がる連結部42fとを備えている。この棟カバー42は、側壁部42dを除いて、軒カバー40と略同じ形状となっていると共に、棟カバー42及び軒カバー40は、アルミ等の押出型材とされている。
【0050】
更に、本例の間カバー44は、同一断面形状の長尺部材であり、押圧部材34における一対の立板部34bの内側側面間の幅よりも若干短い幅の板状の天部44aと、天部44aの両端から下方へ垂下する板状の側部44bと、側部44bの下端近傍の外側側面に突出し下端へ向うに従って内側へ傾斜する係止爪44cと、側部44bの内側側面に形成された略C字形状のビス止部44dとを備えている。この間カバー44は、押圧部材34の一対の立板部34b間へ嵌合固定されるようになっており、側部44bの下端が押圧部材34の基板部34aの上面に当接した状態で、天部44aの上面が太陽電池モジュール2における枠体2bの上面と略一致する高さとされていると共に、その状態で、係止爪44cが押圧部材34の下側の凸部34eに係止されるようになっている。本例の間カバー44は、アルミ等の押出型材とされている。
【0051】
続いて、本実施形態の太陽光発電システム1における太陽電池モジュール2の固定構造を、施工方法と共に詳細に説明する。まず、太陽光発電システム1を設置する屋根に対し、設置する太陽電池モジュール2の数や、設置パターンに応じて、屋根上の所定位置に支持部材10を取付けるための支持屋根材3aを配置して固定する。なお、既存の屋根に設置する場合は、該当する位置の屋根材3を支持屋根材3aと交換する。この支持屋根材3aは、図11に示すように、野地板5上に流れ方向へ所定間隔で取付けられた桟木6に棟側端部が載置されると共に係止され、支持屋根材3aの下面に備えられた脚部3dが楔部材7及び補強板8を介して野地板5に載置されることで、支持屋根材3aの軒側端部と軒側の屋根材3との間に隙間が形成されるようになっており、支持屋根材3aの荷重が他の屋根材3へかからないようになっている。なお、詳細な図示は省略するが、支持屋根材3aは、所定の固定ねじによって野地板5に固定されている。
【0052】
屋根上に取付けられた支持屋根材3aに対し、図5に示すように、その膨出部3bにベース部材4の天板部4aが、屋根(野地板5等)の傾斜と略一致する(図11を参照)ようにベース部材4を取付ける。そして、ベース部材4の固定軸部4bへ上方から支持部材10の固定孔14を挿通させ、支持部材10の一対の支持片13が屋根の横方向を向くと共にマーキング部18における載置片12を向いた矢印が屋根の棟側を向くように、支持部材10をベース部材4上に載置する。この状態で、支持部材10の固定孔14を通して上方へ突出したベース部材4の固定軸部4bに、平ワッシャ大4i、スプリングワッシャ4gを順に挿通させた上でナット4hを螺合し、ナット4hを締め付けることで支持部材10をベース部材4に固定する。なお、支持部材10をベース部材4へ固定する際に、流れ方向に沿って配置された複数の支持部材10が、同一線上に配置されるように、長孔とされた固定孔14を介して屋根の横方向へスライドさせて、適宜位置に固定する。
【0053】
屋根上に支持部材10を取付けたら、流れ方向に配置された複数の支持部材10の支持片13の間に桟部材20を挿入し、支持部材10の載置片12上に桟部材20を載置する。そして、流れ方向に対して桟部材20の位置を決めたら、最も軒側の支持部材10において、一方の支持片13における支持孔15の外側から桟部材20を貫通して他方の支持片13の支持孔15へ抜けるように、長ボルト27cを挿通し、貫通した長ボルト27cの先端にナット27dを螺合して仮止めする。これにより、桟部材20が軒側へ移動するのが阻止された状態となる。その他の支持部材10では、図3に示すように、桟部材20の棟側端部から、両側の第一保持部22内へ第一締結部材25を夫々挿入した上で、第一締結部材25の操作部25aを持って第一締結部材25を支持部材10の支持孔15の位置までスライドさせ、支持孔15を通して外側から、平ワッシャ27a及びスプリングワッシャ27bを挟むように第一締結部材25へ六角ボルトからなる被第一締結部材27を螺合して、支持部材10へ桟部材20を仮止めする。
【0054】
そして、全ての桟部材20を仮止めしたら、桟部材20の上面が野地板5等と略平行で同一面状となるように、支持部材10における上下方向へ延びた支持孔15の範囲内で、桟部材20を上下に適宜スライドさせ、最適な位置で被第一締結部材27等を締め付けて、支持部材10に桟部材20を固定する。なお、図示は省略するが、桟部材20を支持部材へ固定した後に、支持部材10の係止孔19を介して所定の係止ビスを桟部材20の側面にねじ込むことで、被第一締結部材27等が緩んでも、桟部材20がスライドするのを防止することができる。
【0055】
また、桟部材20の軒側端部に、桟カバー48を挟んで桟部材20のビス止部24へビス48aをねじ込むことで、桟カバー48を取付ける。なお、本例では、図4等に示すように、桟部材20の軒側端部の前側(軒側)が、軒カバー40の側壁部40dによって覆われるようになっており、桟カバー48を取付けなくても、外観が損なわれないようになっている。また、本例では、ビス48aを用いて桟部材20へ固定する桟カバー48を示したが、桟部材20内或いは第一保持部21や第二保持部22へ挿入係止される係止爪を有した桟カバーとしても良い。
【0056】
次に、桟部材20の軒側端部近傍に、端部スペーサ部材33Aを固定する。具体的には、軒側の端部スペーサ部材33Aの固定に対しては、図4等に示すように、六角ボルト等の第二締結部材26の雄ねじ部を、第二保持部22を桟部材20の内側から貫通する貫通孔を通して、桟部材20の上面から上方へ延び出させた上で、その雄ねじ部に対して、アース部材36の開口36b、端部スペーサ部材33Aの開口32d、平ワッシャ28a、スプリングワッシャ28bを順次挿通し、六角ナットからなる被第二締結部材28を螺合してスペーサ部材33A等を桟部材20へ固定する。なお、端部スペーサ部材33A等を固定する際に、端部スペーサ部材33Aの底板部32fが軒側を向くように配置した上で、図示は省略するが、アース部材36の挿通孔36dに端部スペーサ部材33Aの突出部32cを挿通させると共に、突出部32cを桟部材20の第二保持部22内へ挿入するように、端部スペーサ部材33A等を桟部材20に固定する。
【0057】
桟部材20の軒側端部に端部スペーサ部材33A等を固定したら、端部スペーサ部材33Aの底板部32f上に、軒カバー40の底部40aを載置すると共に、端部スペーサ部材33Aよりも棟側に、太陽電池モジュール2の長辺側が桟部材20と直交するように桟部材20上に太陽電池モジュール2を載置し、太陽電池モジュール2における軒側の枠体2bの側面を端部スペーサ部材33Aにおける軒側の脚板部32bの外側側面と当接させる。なお、屋根の横方向については、二つの桟部材20に対して太陽電池モジュール2の両側のオーバーハングが略均等となるように載置する。
【0058】
そして、この状態で、軒カバー40と太陽電池モジュール2との間に、端部スペーサ部材33Aから上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が押圧部材34の開口34dを貫通するように、押圧部材34を挿入すると共に、開口34dから突出した第二締結部材26の先端に平ワッシャ28a、スプリングワッシャ28bを挿入した上で被第二締結部材28を螺合し、押圧部材34を桟部材20へ締結固定する。この押圧部材34の締結固定により、押圧部材34の当接部34cの下面と、軒カバー40の天部40cと太陽電池モジュール2の軒側の枠体2bの上面とが当接すると共に、押圧部材34によって軒カバー40と枠体2bとが下方(桟部材20)へ押圧され、その押圧力によって、アース部材36の突起部36cが、桟部材20の上面と枠体2bの下面とに夫々突き刺さり、アース部材36を介して枠体2bと桟部材20とが電気的に接続された状態となる。
【0059】
次に、根角ボルトからなる第二締結部材26の雄ねじ部に、アース部材36の開口36b、中間スペーサ部材33Bの開口32d、平ワッシャ28a、スプリングワッシャ28bを順次挿入した上で、雄ねじ部の先端に被第二締結部材28を螺合すると共に、アース部材36の挿通孔36dに中間スペーサ部材33Bの突出部32cを挿通し、中間スペーサ部材33B等を仮組みする。そして、仮組みした中間スペーサ部材33B等の第二締結部材26の頭部を、桟部材20の棟側端部から第二保持部22内へ挿入した上で、第二保持部22に沿って軒側へスライドさせ、中間スペーサ部材33Bにおける軒側の脚板部32bの外側側面を、先に軒側が固定された太陽電池モジュール2における棟側の枠体2の側面に当接させると共に、上面側から第二保持部22内へ中間スペーサ部材33Bの突出部32cを挿入させる。なお、太陽電池モジュール2を桟部材20上へ載置する前に、仮組みした中間スペーサ部材33B等を、予め第二保持部22に保持させて固定する位置の近くにスライドさせておいても良い。
【0060】
そして、棟側の枠体2bと中間スペーサ部材33Bとが当接した状態で、被第二締結部材28を締め付けて、中間スペーサ部材33Bを桟部材20へ固定する。なお、この状態では、中間スペーサ部材33Bのみが固定され、棟側の枠体2bは固定されていない状態となっている。続いて、中間スペーサ部材33Bよりも棟側の桟部材20上に、次(二段目)の太陽電池モジュール2を、横方向の端部を軒側の太陽電池モジュール2と合わせた上で、軒側の枠体2bの側面が中間スペーサ部材33Bにおける棟側の脚板部32bの外側側面と当接するように載置した上で、太陽電池モジュール2同士の間へ、上記と同様に、中間スペーサ部材33Bから突出する第二締結部材26の雄ねじ部が押圧部材34の開口34dを貫通するように、押圧部材34を挿入すると共に、開口34dから突出した第二締結部材26の先端に平ワッシャ28a、スプリングワッシャ28bを挿入した上で被第二締結部材28を螺合し、押圧部材34を桟部材20へ締結固定する。
【0061】
これにより、軒側と棟側の太陽電池モジュール2における棟側の枠体2bと軒側の枠体2bとが、桟部材20に押圧固定されると共に、アース部材36の突起部36cが流れ方向へ隣接する太陽電池モジュール2における夫々の枠体2bの下面と桟部材20の上面とに突き刺さり、太陽電池モジュール2同士が電気的に接続された状態となる。
【0062】
次に、根角ボルトからなる第二締結部材26の雄ねじ部に、上記の中間スペーサ部材33Bに替えて、端部スペーサ部材33Aを用いて、アース部材36、端部スペーサ部材33A、平ワッシャ28a、スプリングワッシャ28b、被第二締結部材28を順次挿入して仮組みする。そして、仮組みされた端部スペーサ部材33A等の端部スペーサ部材33Aの底板部32fが棟側を向くように、桟部材20の棟側端部から第二保持部22へ第二締結部材26の頭部を挿入すると共に軒側へスライドさせ、端部スペーサ部材33Aにおける軒側の脚板部32bの外側側面を太陽電池モジュール2における棟側の枠体2bの側面に当接させ、上記と同様に、被第二締結部材28を締め付けて端部スペーサ部材33Aを桟部材20へ固定する。
【0063】
この状態で、端部スペーサ部材33Aの底板部32f上に、棟カバー42の底部42aを側壁部42dが棟側を向くように載置し、太陽電池モジュール2と棟カバー42との間に、端部スペーサ部材33Aから上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が押圧部材34の開口34dを貫通するように、押圧部材34を挿入すると共に、開口34dから突出した第二締結部材26の先端に平ワッシャ28a、スプリングワッシャ28bを挿入した上で被第二締結部材28を螺合し、押圧部材34を桟部材20へ締結固定して、太陽電池モジュールの棟側の枠体2bと棟カバー42とを桟部材20上に固定する。なお、図10に示すように、太陽電池モジュール2を桟部材20へ固定する際に、太陽電池モジュール2接続された配線ケーブル2cを、桟部材20下面の案内溝23内へ挿入した上で、所定間隔で配線ケーブル2cを桟部材20ごと所定の結束バンド2dで締め付けて、配線ケーブル2cを桟部材20に沿わせる。
【0064】
そして、軒側から、軒カバー40と太陽電池モジュール2との間、太陽電池モジュール2同士の間、及び太陽電池モジュール2と棟カバー42との間に固定された押圧部材34における一対の立板部34bの間に、間カバー44を、その側部44bの下端が押圧部材34の基板部34aの上面に当接するまで挿入する。これにより、間カバー44の上面が太陽電池モジュール2の枠体2bの上面と略同じ高さとなり、太陽光発電システム1外観の見栄えを良くすることができるようになっている。また、間カバー44の係止爪44cが押圧部材34の下側の凸部34eと係合した状態となっており、押圧部材34から間カバー44が抜け難くなっていると共に、仮に下側の凸部34eから抜けても上側の凸部34eで係止されるので、その状態では間カバー44が枠体2bよりも突出するため、間カバー44の異変に気付き易くなり、間カバー44が完全に抜けてしまう前に対処することができるようになっている。最後に、間カバー44の両端のビス止部44dに、端面カバー46の固定孔を介してビス46aをねじ込むことで端面カバー46を固定して太陽電池モジュール2の設置が完了する。
【0065】
このように、本実施形態によると、支持部材10により屋根材3上へ所定間隔で複数支持された桟部材20の上面に、太陽電池モジュール2を固定部材30によって固定するようにしているので、従来のように、桟部材20を井桁状に組んで架台を構成する必要が無く、部品点数を少なくしてコストを低減させることができると共に、設置工数を低減させることができる。また、複数の桟部材20に対して太陽電池モジュール2の長辺が交差するように太陽電池モジュール2を桟部材20上に載置すると共に、その交差した部位で固定部材30によって太陽電池モジュール2を桟部材20へ固定するようにしているので、太陽電池モジュール2の固定される辺の長さよりも短い間隔で複数の桟部材20を屋根材3上に支持すれば、太陽電池モジュール2を固定することができ、従来のように、太陽電池モジュールの大きさに合わせた間隔で桟部材を取付ける必要が無く、桟部材20の取付けにかかる手間を簡略化して、作業コストを低減させることができると共に、工期を短縮することができる。更に、桟部材20の間隔を太陽電池モジュール2の大きさに合わせる必要がないので、屋根瓦等の屋根材3の敷設ピッチと太陽電池モジュール2の大きさとが異なっていても、問題なく屋根上に太陽電池モジュール2を設置することができる。
【0066】
また、太陽電池モジュール2の対向する二辺と桟部材20とが交差するように配置して太陽電池モジュール2を固定すると共に、桟部材20の第二保持部22にスライド可能に保持された第二締結部材26を介して固定部材30により太陽電池モジュール2を固定するようにしているので、第二締結部材26(固定部材30)をスライドさせることで、桟部材20上に載置された太陽電池モジュール2の載置位置や大きさに関係無く、太陽電池モジュール2を固定することができ、様々な大きさの太陽電池モジュール2に対応することができると共に、太陽電池モジュール2の設置自由度を高めることができる。
【0067】
更に、支持部材10における一対の支持片13の間に桟部材20を挿入した上で、桟部材20の第一保持部21に保持された第一締結部材25を介して桟部材20の側面と支持片13とを締結固定するようにしており、支持部材10によって桟部材20を両側から強く固定することができるので、台風や強風、或いは、降雨や降雪等により太陽電池モジュール2に大きな荷重が作用しても、太陽電池モジュール2をしっかり固定することができ、太陽電池モジュール2の設置に係る信頼性を高めることができる。
【0068】
また、太陽電池モジュール2の側面に固定部材30としてのスペーサ部材32が当接することで、太陽電池モジュール2が桟部材20に沿った方向へ移動するのを規制することができると共に、太陽電池モジュール2の上面に固定部材30としての押圧部材34が当接することで、太陽電池モジュール2が桟部材20の上面から離れるのを規制することができる。また、スペーサ部材32の両側に夫々の太陽電池モジュール2の側面を当接させることで、太陽電池モジュール2同士を一定の間隔で容易に配置することができ、その状態で押圧部材34により夫々の太陽電池モジュールの上面を押圧することで、隣接した太陽電池モジュール2を同時に固定することができ、複数の太陽電池モジュール2を簡単に所定間隔で並べて固定することができ、太陽電池モジュール2の設置に係る手間を簡略化することができる。
【0069】
更に、桟部材20とスペーサ部材32との間にアース部材36を介在させた上で、スペーサ部材32を挟んで両側に配置された太陽電池モジュール2を押圧部材34によって桟部材20へ押圧すると、アース部材36の突起部36cが太陽電池モジュール2の下面と桟部材20の上面とに夫々突き刺さり、太陽電池モジュール2と桟部材20、太陽電池モジュール2同士を電気的に接続することができるので、太陽電池モジュール2を固定部材30で固定するだけで簡単に太陽電池モジュール2同士をアース接続することができ、アース接続に係る手間を簡略化することができる。
【0070】
また、桟部材20の下面に窪んだ案内溝23を備えるようにしているので、案内溝23に配線ケーブル2cを挿入することで、簡単に配線ケーブル2cを真直ぐ桟部材20に沿わせることができると共に、沿わせた配線ケーブル2cを動き難くすることができる。従って、桟部材20に沿うように結束バンド2dを用いて配線ケーブル2cを簡単に桟部材20へ留め付けることができると共に、留め付け後に配線ケーブル2cがずれるのを防止することができ、見栄え良く配線ケーブル2cを桟部材20へ留め付けることができる。
【0071】
更に、屋根の流れ方向に沿って延びるように配置された桟部材20上に太陽電池モジュール2を固定するようにしているので、桟部材20上に太陽電池モジュール2を載置する前に、桟部材20の軒側の端部付近に予め固定部材30(端部スペーサ部材33A)を取付けておくことで、その固定部材30によって桟部材20上の太陽電池モジュール2が軒側へ滑って落下するのを防止することができ、太陽電池モジュール2を固定部材30で固定するまでの間、太陽電池モジュール2を支え続ける必要が無く、太陽電池モジュール2の固定作業を楽に行うことができ、作業性を向上させることができると共に、設置に係るコストを低減させることができる。
【0072】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0073】
すなわち、上記の実施形態では、太陽電池モジュール2を屋根の流れ方向に対して二つ(二段)配置したものを示したが、これに限定するものではなく、太陽電池モジュール2を三段以上配置しても良い。なお、太陽電池モジュール2を配置する数に応じて、桟部材20の長さを対応した長さとすると共に、二つ以上の支持部材10で桟部材20を支持することが望ましい。上記の実施形態では、一つの太陽電池モジュール2を二つの桟部材20で支持するものを示したが、二つ以上の桟部材20で支持するようにしても良い。
【0074】
また、上記の実施形態では、流れ方向にのみ太陽電池モジュール2を配置したものを示したが、これに限定するものではなく、屋根の横方向に対しても太陽電池モジュール2を複数配置しても良い。なお、横方向に太陽電池モジュール2を複数配置する場合、横方向の太陽電池モジュール2同士の間に所定量(例えば、2mm〜5mm)の隙間を形成することが望ましく、これにより、気温等の変化によって太陽電池モジュール2が熱膨張した時に、太陽電池モジュール2同士が当接して互いに押し合って太陽電池モジュール2が変形したり、固定部材30による固定が外れたりするのを防止することができる。また、複数の太陽電池モジュール2を格子状又は千鳥状に配置しても良い。
【0075】
更に、上記の実施形態では、桟部材20を屋根の流れ方向に沿って延びるように配置したものを示したが、これに限定するものではなく、図11に示すように、桟部材20を屋根の横方向へ沿って延びるように配置しても良く、上記と同様の作用効果を奏することができる。また、桟部材20を屋根の横方向に沿って配置した場合、図示するように、最も軒側に配置される太陽電池モジュール2の下面に桟部材20の側面と当接可能な落下防止部材50を備えることが望ましい。なお、上記と同様の構成については、同一の符号を付すと共に説明は省略する。
【0076】
この落下防止部材50は、太陽電池モジュール2の下面に取付けられる板状の固定部51と、固定部51の一端側(軒側)から下方へ延出する第一当接片52と、第一当接片52と固定部51の間から第一当接片52よりも長く下方へ延出する第二当接片53とを備えており、ボルト54及びナット55により枠体2bに固定されている。この落下防止部材50は、第一当接片52が桟部材20を支持する支持部材10の支持片13に当らない長さとされていると共に、第二当接片53が桟部材20を支持部材10へ固定する被第一締結部材27の頭部が当らない長さとされている。また、第一当接片52と第二当接片53との間の隙間は、支持片13を通して桟部材20へねじ込まれたビスの頭部(ナベ頭等)が第二当接片53に当らない程度の隙間とされている。
【0077】
この落下防止部材50により、傾斜した屋根材3上に取付けられた桟部材20に太陽電池モジュール2を固定部材30で固定する前に、落下防止部材50が桟部材20と当接することで、太陽電池モジュール2が桟部材20に沿って滑り落ちるのを防止することができ、太陽電池モジュール2の設置作業中の安全性を高めることができると共に、作業性を良くすることができる。また、この落下防止部材50は、長さの異なる第一当接片52と第二当接片53とを備えているので、万が一、第一当接片52が桟部材20から外れてしまっても、次の第二当接片53が桟部材20に当接することで太陽電池モジュール2が桟部材20から落下するのを防止することができ、より安全性を高めることができる。
【0078】
また、上記の実施形態では、支持屋根材3aに取付けられたベース部材4に支持部材10を固定するものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図12(A)に示すように、野地板5に固定されたベース部材60に支持部材10を固定するようにしても良い。このベース部材60は、屋根材3の下側で野地板5に固定される固定部61と、固定部61の軒側端部から固定部61の直上に配置された屋根材3と軒側に配置された屋根材3との間を通って軒側の屋根材3上へ露出するように延出する延出部62と、延出部62の軒側端部から上方へ固定部61の直上に配置された屋根材3よりも高く立上る立設部63と、立設部63の上端から棟側へ野地板5と略平行に延出する載置部64と、載置部64から上方へ突出し屋根の横方向へスライド可能とされ外周に雄ねじ部が形成された固定軸部65とを備えている。このベース部材60は、ベース部材4と同様に、固定軸部65の雄ねじ部に対して支持部材10を取付けることができ、上記と同様の作用効果を奏することができる他に、支持屋根材3aを別途用意する必要が無く、コストを低減させることができる。
【0079】
更に、上記の実施形態では、屋根材3として屋根瓦に適用すると共に、支持屋根材3aの膨出部3bにベース部材4を固定して支持部材10を屋根材3上に取付けるものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図12(B)に示すように、屋根材3としてスレートに適用すると共に、支持部材10の下面に予め取付けられたベース部材70を介して支持部材10を屋根材3上に取付けるようにしても良い。このベース部材70は、板状で平面視が略正方形の基板部71と、基板部71の四つの各辺から上方へ所定量立上る立上部72と、対角線上の四隅及び対角線の交点に配置され屋根材2へ固定するための固定部73とを備えている。なお、図示は省略するが、ベース部材70の下面には、天然ゴム、合成ゴム、シリコンゴム等による所定厚の防水部材が貼付けられている。
【0080】
支持部材10は、ベース部材70に対して、平面視で互いの対角線同士が約45度に交差するように相対回転した位置とすると共に、基板部71の上面から所定量浮いた状態で固定されている。なお、この支持部材10では、固定孔14が大径の丸孔とされている。この支持部材10を備えたべース部材70は、屋根材3上に配置される桟部材20の延びる方向と対応するように、支持部材10のマーキング部18の矢印を棟側へ向けた状態で、所定の固定ねじを用いて屋根材3上に固定することができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。なお、図示するように、支持部材10のマーキング部18の矢印を棟側へ向くようにベース部材70を屋根材3上に固定すると、基板部71の一つの頂点が棟側を向いた状態となると共に、ベース部材70の棟側を向いた二辺に所定のコーキング材74を盛付けることで、雨水等を左右へ良好に誘導して排出することができると共に、ベース部材70の下側に雨水等を浸入するのを防止することができるようになっている。
【0081】
また、上記の実施形態では、固定部材30としてのスペーサ部材32を、押圧部材34を固定する前に、予め桟部材20へ固定するようにしたものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図13に示すような固定部材80としても良い。この固定部材80は、隣接した太陽電池モジュール2同士の間に配置される中間スペーサ部材82と、太陽光発電システム1における桟部材20の両端部に近い太陽電池モジュール2の枠体2bを固定するための端部押圧部材84と、太陽電池モジュール2同士の間に配置される中間押圧部材86とで構成されている。なお、上記と同様の構成については、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
【0082】
この中間スペーサ部材82は、上記の中間スペーサ部材33Bと比較して突出部32c及び側板部32eを除いて略同じ構成とされており、外形が略長方形状で板状の天板部82aと、天板部82aの長辺から下方へ垂下する一対の脚板部82bと、天板部82aの略中央を貫通し桟部材20の上面から上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が挿通可能とされた開口82cとを備えている。この中間スペーサ部材82は、高さが太陽電池モジュール2の高さの約1/2とされている。
【0083】
本例の端部押圧部材84は、桟部材20に対して略平行に延びる板状の基板部84aと、基板部84aの一方の端部から下方へ垂下する主脚部84bと、主脚部84bよりも若干短く基板部84aの他方の端部から下方へ垂下する副脚部84cと、副脚部84cの外側側面と連続し基板部84aよりも上方へ延出する立板部84dと、立板部84dの上端から基板部84aとは反対側へ基板部84aと略平行に延びる当接部84eと、基板部84aの略中央を貫通し桟部材20の上面から上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が挿通可能とされた開口84fとを備えている。この端部押圧部材84は、主脚部84bの下端から当接部84eの下面までの高さが、太陽電池モジュール2の枠体2bの高さと略同じ高さとされている。
【0084】
一方、中間押圧部材86は、上記の押圧部材34と略同じ構成とされており、桟部材20に対して略平行に延びる基板部86aと、基板部86aの両端から上方へ延出する一対の立板部86bと、立板部86bの上端から互いに離反する方向へ基板部86aと略平行に延びる当接部86cと、基板部86aの略中央を貫通し桟部材20の上面から上方へ突出する第二締結部材26の雄ねじ部が挿通可能とされた開口86dとを備えている。この中間押圧部材86は、一対の立板部86bの外側側面間の幅が、中間スペーサ部材82における一対の脚板部82bの外側側面間の幅よりも若干短い幅とされている。
【0085】
この固定部材80を用いた太陽電池モジュール2の固定構造は、まず、桟部材20の一方の端部付近に、桟部材20の上面から延びだした第二締結部材26にアース部材36を挿通した上で、端部押圧部材84の開口84fを挿通させると共に、開口84fに対して当接部84eが桟部材20の中央を向くように端部押圧部材84を配置し、第二締結部材26の先端から被第二締結部材28を螺合して仮止めをする。なお、本例のアース部材36は、開口36bの長手方向両側に所定幅で下方へ屈曲された垂下片36eを備えており、この垂下片36eが桟部材20の第二保持部22内へ挿入されることでアース部材36が第二締結部材26の軸周りに回転するの阻止することができるようになっている。
【0086】
そして、この状態で端部押圧部材84の当接部84eの下側へ太陽電池モジュール2の一方の枠体2bを挿入した上で、被第二締結部材28を締め付けることで、一方の枠体2bを桟部材20へ押圧して太陽電池モジュール2を固定する。なお、この際に、アース部材36の突起部36cが桟部材20の上面と枠体2bの下面に夫々突き刺さり、桟部材20と太陽電池モジュール2とが電気的に接続された状態となる。続いて、桟部材20の第二保持部22にスライド保持された第二締結部材26に、アース部材36の開口36b及び中間スペーサ部材82の開口82cを夫々挿通した上で、一方の枠体2bが固定された太陽電池モジュール2における他方の枠体2bの側面に、中間スペーサ部材82の一方の脚板部82bを当接させると共に、中間スペーサ部材82の他方の脚板部82bに、次の太陽電池モジュール2の枠体2bを当接させる。
【0087】
その状態で、太陽電池モジュール2同士の間の中間スペーサ部材82から突出した第二締結部材26に、中間押圧部材86の開口86dを挿通させた上で、被第二締結部材28を螺合して締め付けることで、中間押圧部材86によって隣接した太陽電池モジュール2の枠体2bを夫々桟部材20へ押圧して夫々の太陽電池モジュール2を固定する。ここでも、アース部材36の突起部36cが、桟部材20の上面や枠体2bの下面に突き刺さり、それらを電気的に接続することができるようになっている。その後、桟部材20における他方の端部付近の太陽電池モジュール2における枠体2bを、端部押圧部材84で押圧固定することで、複数の太陽電池モジュール2の固定(設置)が完了する。
【0088】
このように、本例の固定部材80によっても上記と同様の作用効果を奏することができる上に、上記の実施形態と比較して、スペーサ部材32を桟部材20に固定してから押圧部材34を固定しなくても、端部押圧部材84や中間押圧部材86のみを桟部材20へ固定すれば良く、太陽電池モジュール2の固定にかかる手間を簡略化することができ、太陽電池モジュール2の設置にかかるコストを低減させることができる。
【0089】
更に、上記の実施形態では、屋根上に設置される太陽光発電システム1に用いたものを示したが、これに限定するものではなく、壁面や地上面等に設置される太陽光発電システムに用いても良い。
【0090】
また、上記の実施形態では、支持部材10の支持片13に対して桟部材20を、その第一保持部21に保持された第一締結部材25へ支持孔15を通して被第一締結部材27を締結することで固定するものを示したが、これに限定するものではなく、第一締結部材25及び被第一締結部材27を用いずに、支持片13の係止孔19を通して桟部材20へ所定の係止ビスをねじ込むことで、桟部材20を固定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 太陽光発電システム
2 太陽電池モジュール
2a 太陽電池パネル
2b 枠体
2c 配線ケーブル
3 屋根材
3a 支持屋根材
4 ベース部材
5 野地板
10 支持部材
13 支持片
14 固定孔
15 支持孔
20 桟部材
21 第一保持部
22 第二保持部
23 案内溝
25 第一締結部材
26 第二締結部材
27 被第一締結部材
28 被第二締結部材
30 固定部材
32 スペーサ部材
32a 天板部
32b 脚板部
32d 開口
33A 端部スペーサ部材
33B 中間スペーサ部材
34 押圧部材
34a 基板部
34b 立板部
34c 当接部
34d 開口
36 アース部材
36a 本体
36b 開口
36c 突起部
50 落下防止部材
51 固定部
52 第一当接片
53 第二当接片
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【特許文献1】特開2006−037545号公報
【特許文献2】特開2006−144266号公報
【特許文献3】特開2007−266446号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で上方へ突出する板状の一対の支持片を有し、該支持片同士が対向する向きが所定方向を向くように屋根材上に複数取付けられる支持部材と、
該支持部材の一対の前記支持片間に挿入されると共に複数の前記支持部材によって支持され、両側面に第一締結部材を長手方向へのみスライド可能に保持する第一保持部、及び、上面に第二締結部材を長手方向へのみスライド可能に保持する第二保持部を少なくとも有し、前記第一保持部に保持された第一締結部材と第一締結部材に締結される被第一締結部材とを、前記支持部材の前記支持片を貫通するように締結することで前記支持部材に固定支持され屋根材上に長手方向に対して直角方向へ所定間隔で複数配置される桟部材と、
複数の該桟部材に対して太陽電池モジュールの対向する二辺が交差するように夫々の前記上面に載置された太陽電池モジュールを、前記桟部材の前記第二保持部に保持された第二締結部材を介して前記桟部材に固定する固定部材と
を具備することを特徴とする太陽電池モジュールの固定構造。
【請求項2】
前記固定部材は、
太陽電池モジュールの側面と当接すると共に前記桟部材の前記上面に載置され、第二締結部材又は第二締結部材に締結される被第二締結部材を挿通可能な開口を有し、太陽電池モジュールよりも高さが低く形成されたスペーサ部材と、
該スペーサ部材の上側に配置され、第二締結部材又は第二締結部材に締結される被第二締結部材を挿通可能な開口、及び太陽電池モジュールの上面と当接可能な当接部を有した押圧部材とを備え、
前記スペーサ部の前記開口と前記押圧部材の前記開口とを通して前記桟部材の前記第二保持部に保持された第二締結部材に、被第二締結部材を締結させることで、前記押圧部材によって太陽電池モジュールを前記桟部材に押圧して固定することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの固定構造。
【請求項3】
前記固定部材は、前記桟部材と前記スペーサ部材との間に配置され、前記押圧部材により太陽電池モジュールが前記桟部材へ押圧されることで太陽電池モジュールの下面と前記桟部材の前記上面とに突き刺さる突起部を有し、前記スペーサ部材を挟んで両側に配置される太陽電池モジュール同士及び前記桟部材を電気的に接続可能なアース部材を更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池モジュールの固定構造。
【請求項4】
前記桟部材は、下面に長手方向に沿って窪み太陽電池モジュールに接続される配線ケーブルを案内可能な案内溝を更に備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の太陽電池モジュールの固定構造。
【請求項5】
太陽電池モジュールの下面に固定され、前記桟部材と当接することで太陽電池モジュールが該桟部材から落下するのを防止する落下防止部材を更に具備することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか一つに記載の太陽電池モジュールの固定構造。
【請求項6】
前記桟部材は、屋根の流れ方向に沿って延びるように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか一つに記載の太陽電池モジュールの固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−261257(P2010−261257A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114123(P2009−114123)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(391013162)株式会社屋根技術研究所 (38)
【Fターム(参考)】