説明

太陽電池モジュールの多段積載具及びこの多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法

【課題】太陽電池モジュールの多段積載及び梱包の自動化を可能とする。
【解決手段】太陽電池モジュールを多段に積み重ねるときに用いられる多段積載具1Aであって、矩形状の基板11と、基板11の各角部12に配置される太陽電池モジュールの各角部をそれぞれ保持する保持部材21とからなり、保持部材21は、基板角部12に立設配置される長尺状の外側ガイド板22及び外側ガイド板22に対向配置される長尺状の内側ガイド板23と、これらガイド板22,23間に上方から挿通されるスライド板24aと、スライド板24cと一体に形成されて太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板24bを有する保持体24とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送等のために太陽電池モジュールを多段に積載する方法に係り、より詳細には、太陽電池モジュールを平積みして多段に積載する作業の自動化に適した太陽電池モジュールの多段積載具及びこの多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平に積み重ねられる光起電力モジュール(以下、太陽電池モジュールという。)を、輸送の際確実に保管するモジュール方式の差込みシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この差込みシステムでは、図12に示す成形品部材110を用いて、太陽電池モジュールを水平に積み重ねて梱包するようになっている。
【0004】
簡単に説明すると、図12に示す成形品部材110は、円筒状に形成された支柱部111と、この支柱部111の周側壁から水平に延設された太陽電池モジュールの角部を横から嵌め込んで挟持するための横方向に開口した挟持部112とを備え、支柱部111の上端面と下端面とには、上下に隣接配置される別の成形品部材111と順次嵌合するための、嵌合突部113と嵌合凹部114とが設けられている。
【0005】
この成形品部材110を用いて太陽電池モジュールを水平に積み重ねる場合、まず、太陽電池モジュールの各角部に、それぞれ成形品部材110の挟持部112を嵌め込み、この状態で1段目の太陽電池モジュールをパレット上に載置する。次に、同様にして、2段目の太陽電池モジュールの各角部に、それぞれ成形品部材110の挟持部112を嵌め込み、この状態で、パレット上に載置した1段目の太陽電池モジュールの角部に嵌め込んだ成形品部材110と、2段目の太陽電池モジュールの角部に嵌め込んだ成形品部材110とを上下に対峙させ、下側の成形品部材110の嵌合突部113に上側の成形品部材110の嵌合凹部114を嵌合して、2段目の太陽電池モジュールを積み重ねる。このような手順を所定段数繰り返して、太陽電池モジュールを水平に積み重ねていくようになっている。
【0006】
このような成形品部材110を用いた差込みシステムにおいて、特許文献1では、図12に示す成形品部材110は、枠部材を有しないフレームレス構造の太陽電池モジュールに好適に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、フレームレス構造の太陽電池モジュールは、2枚の合わせガラス構造となっているが、太陽電池モジュールは元々建材用であるため、液晶用のガラスとは異なり、切断後のガラスには多少の寸法誤差がある。例えば、縦1400mm、横1000mmの大型の太陽電池モジュールの場合、切断されたガラスには、元々、±1mm程度の寸法誤差がある。また、角部の直角度においても、90°±0.0025°〜0.0020°程度の誤差がある。
【0009】
このような誤差に加え、フレームレス構造の太陽電池モジュールを作製する際、太陽電池基板(太陽電池ストリング)を2枚のガラスで挟み合わせるときに若干ずれる場合もあり、このようなずれによる誤差も考慮すると、作製された各太陽電池モジュールの寸法誤差は最大で2〜3mm程度となる。
【0010】
しかし、図12に示す成形品部材110を用いて太陽電池モジュールを積み重ねていく場合、太陽電池モジュールの角部の4箇所の成形品部材110を同時に嵌合していく必要があるが、上記したように各太陽電池モジュール自体に寸法誤差があるため、上下に対峙する成形品部材110同士も横方向に若干ずれた状態となる。そのため、この成形品部材110同士の嵌合を機械により自動化しようとしても、各成形品部材110の嵌合位置調整を精度良く行う必要があるため、実質的に機械による自動化が難しいといった問題があった。そのため、従来は、このような太陽電池モジュールの積み重ね作業を作業者による手作業で行う必要があった。
【0011】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、搬送等のために太陽電池モジュールを多段に積載する作業の自動化に適した太陽電池モジュールの多段積載具及びこの多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具は、太陽電池モジュールを多段に積み重ねるときに用いられる多段積載具であって、矩形状の基板と、前記基板の各角部に配置される前記太陽電池モジュールの各角部をそれぞれ保持する保持部材とからなり、前記保持部材は、前記基板角部に立設配置される長尺状の外側ガイド板及び前記外側ガイド板に対向配置される長尺状の内側ガイド板と、これらガイド板間に上方から挿通されるスライド板と、前記スライド板と一体に形成されて前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持体とからなることを特徴としている。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、太陽電池モジュールの各角部(4隅部)を保持する保持体の配置は、基板の各角部に立設配置された外側ガイド板と内側ガイド板との間に、上方からスライド板を落とし込むように挿通するだけでよい。これにより、このスライド板と一体形成されている保持体が基板の各角部に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体に太陽電池モジュールの各角部を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体の正確な位置に太陽電池モジュールの角部を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、本発明の多段積載具を用いることで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0014】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具によれば、前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に所定の間隔を存して1対配置され、前記内側ガイド板は、前記側面より内側の基板上に1対配置され、前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成された構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、外側ガイド板及び内側ガイド板を分割配置とすることで、部材点数は増えるものの、部材コストを低減することができる。
【0016】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具によれば、前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に沿って配置された平面視L字状に形成され、前記内側ガイド板は、前記側面より内側の基板上において、前記外側ガイド板の各片に対向して1対配置され、前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成された構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、外側ガイド板を平面視L字状に一体形成することで、外側ガイド板の強度を向上させることができる。従って、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが水平方向(横方向)にずれようとしても、太陽電池モジュールの角部を保持している保持体を外側ガイド板によって強固に保持できるので、太陽電池モジュールの横へのずれも確実に防止することができる。また、このように一体梱包した太陽電池モジュール梱包体を、外側ガイド板を脚として利用してトラックの荷台に複数段に積む場合、外側ガイド板が平面視L字状に一体形成されているので、脚としての強度を十分に保つことができる。
【0018】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具は、太陽電池モジュールを多段に積み重ねるときに用いられる多段積載具であって、矩形状の基板と、前記基板の各角部に配置される前記太陽電池モジュールの各角部をそれぞれ保持する保持部材とからなり、前記保持部材は、前記基板角部に立設配置される長尺状の外側ガイド板と、前記外側ガイド板に沿って該外側スライド板の内側を上方からスライド降下させるスライド板と、前記スライド板と一体に形成されて前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持体とからなることを特徴としている。
【0019】
このような特徴を有する本発明によれば、太陽電池モジュールの各角部(4隅部)を保持する保持体の配置は、基板の各角部に立設配置された外側ガイド板の内側に沿って、保持部材のスライド板を上方からスライド降下させるだけでよい。これにより、このスライド板と一体形成されている保持体が基板の各角部に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体に太陽電池モジュールの各角部を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体の正確な位置に太陽電池モジュールの角部を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、本発明の多段積載具を用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0020】
また、本発明によれば、内側ガイド板を削除することにより部材点数を削減し、その結果、部材コストを低減することができる。また、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが水平方向(横方向)にずれようとしても、太陽電池モジュールの角部を保持している保持体を外側ガイド板が外側から保持しているので、太陽電池モジュールの横へのずれを防止することができる。
【0021】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具によれば、前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に所定の間隔を存して1対配置され、前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成された構成とすることができる。
【0022】
このような構成によれば、外側ガイド板を分割配置とすることで、部材点数は増えるものの、部材コストを低減することができる。
【0023】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具によれば、前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に沿って配置された平面視L字状に形成され、前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成された構成とすることができる。
【0024】
このような構成によれば、外側ガイド板を平面視L字状に一体形成することで、外側ガイド板の強度を向上させることができる。従って、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが水平方向(横方向)にずれようとしても、太陽電池モジュールの角部を保持している保持体を外側ガイド板によって強固に保持できるので、太陽電池モジュールの横へのずれも確実に防止することができる。また、このように一体梱包した太陽電池モジュール梱包体を、外側ガイド板を脚として利用してトラックの荷台に複数段に積む場合、外側ガイド板が平面視L字状に一体形成されているので、脚としての強度を十分に保つことができる。
【0025】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具は、太陽電池モジュールを多段に積み重ねるときに用いられる多段積載具であって、矩形状の基板と、前記基板の各角部に配置される前記太陽電池モジュールの各角部を保持する保持部材とからなり、前記保持部材は、前記基板角部の隣接する両側面より内側の基板上にそれぞれ配置された長尺状の1対の内側ガイド板と、前記内側ガイド板に沿って該内側ガイド板の外側を上方からスライド降下させるスライド板と、前記スライド板と一体に形成されて前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持体とからなることを特徴としている。
【0026】
このような特徴を有する本発明によれば、太陽電池モジュールの各角部(4隅部)を保持する保持体の配置は、基板の各角部に立設配置された内側ガイド板の外側に沿って、保持部材のスライド板を上方からスライド降下させるだけでよい。これにより、このスライド板と一体形成されている保持体が基板の各角部に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体に太陽電池モジュールの各角部を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体の正確な位置に太陽電池モジュールの角部を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、本発明の多段積載具を用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0027】
また、本発明によれば、外側ガイド板を削除することにより部材点数を削減し、その結果、部材コストを低減することができる。また、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが水平方向(横方向)にずれようとしても、内側ガイド板が太陽電池モジュールの角部側面に当って当たり止めの役目を果たすので、太陽電池モジュールの横へのずれを防止することができる。
【0028】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具によれば、前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成された構成とすることができる。
【0029】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具によれば、前記保持部材には、積載される太陽電池モジュールの角部上面を上方から押える押え部材が設けられた構成としてもよい。
【0030】
このような構成によれば、保持部材を多段に積載したとき、上側の保持体に設けられた押え部材が、下側の保持体に載置されている太陽電池モジュールの角部を上側から押える構成となる。従って、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが上下方向に振動しようとしても、太陽電池モジュールの角部が上下方向から保持されているので、太陽電池モジュールの上下方向への振動を確実に防止することができる。
【0031】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載具によれば、前記太陽電池モジュールがフレームレス構造の太陽電池モジュールであることを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、太陽電池モジュールの周囲にアルミ製の枠部材を有しないフレームレス構造の太陽電池モジュールの梱包作業を、太陽電池モジュールのガラスの破損を防止しつつ、効率よく行うことができる。
【0033】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法は、上記構成の多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法であって、前記基板の各角部に立設配置された前記外側ガイド板と内側ガイド板との間に上方からスライド板を落とし込むように挿通することにより前記保持体を前記基板の各角部に載置する保持体載置工程と、前記基板の上方から太陽電池モジュールを水平状態で降下させることにより、前記太陽電池モジュールの各角部を、前記基板の各角部に載置された前記保持体上にそれぞれ載置するモジュール載置工程と、前記保持体載置工程と前記モジュール載置工程とを所定回数繰り返すことにより、所定数の太陽電池モジュールを、前記基板の各角部に上下に載置された所定数の保持体を介して平積み状態で積載する繰り返し工程と、を含むことを特徴としている。
【0034】
このような特徴を有する本発明によれば、太陽電池モジュールの各角部(4隅部)を保持する保持体の配置は、基板の各角部に立設配置された外側ガイド板と内側ガイド板との間に、上方からスライド板を落とし込むように挿通するだけでよい。これにより、このスライド板と一体形成されている保持体が基板の各角部に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体に太陽電池モジュールの各角部を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体の正確な位置に太陽電池モジュールの角部を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、本発明の多段積載具を用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0035】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記繰り返し工程終了後に、前記基板、外側ガイド板、内側ガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程をさらに含む構成とすることができる。
【0036】
このような構成によれば、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することができる。
【0037】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から外側ガイド板または内側ガイド板を除去する除去工程と、前記除去工程終了後に、前記基板、残されたガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含む構成とすることができる。
【0038】
このような構成によれば、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することができる。また、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、外側ガイド板または内側ガイド板)は、次の多段積載作業で再びガイド板として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具の部材コストを低減することができる。
【0039】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から外側ガイド板及び内側ガイド板を除去する除去工程と、前記除去工程終了後に、前記保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含む構成とすることができる。
【0040】
このような構成によれば、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することができる。また、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、基板、外側ガイド板及び内側ガイド板)は、次の多段積載作業で再び基板及びガイド板として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具の部材コストを大幅に低減することができる。
【0041】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法は、上記構成の多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法であって、前記基板の各角部に立設配置された前記外側ガイド板の上方から前記外側ガイド板の内側に沿って前記スライド板をスライド降下させることにより前記保持体を前記基板の各角部に配置する保持体載置工程と、前記基板の上方から太陽電池モジュールを水平状態で降下させることにより、前記太陽電池モジュールの各角部を、前記基板の各角部に載置された前記保持体上にそれぞれ載置するモジュール載置工程と、前記保持体載置工程と前記モジュール載置工程とを所定回数繰り返すことにより、所定数の太陽電池モジュールを、前記基板の各角部に上下に載置された所定数の保持体を介して平積み状態で積載する繰り返し工程と、を含むことを特徴としている。
【0042】
このような特徴を有する本発明によれば、太陽電池モジュールの各角部(4隅部)を保持する保持体の配置は、基板の各角部に立設配置された外側ガイド板の内側に沿って、保持部材のスライド板を上方からスライド降下させるだけでよい。これにより、このスライド板と一体形成されている保持体が基板の各角部に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体に太陽電池モジュールの各角部を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体の正確な位置に太陽電池モジュールの角部を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、本発明の多段積載具を用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0043】
また、本発明によれば、内側ガイド板を削除することにより部材点数を削減し、その結果、部材コストを低減することができる。また、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが水平方向(横方向)にずれようとしても、太陽電池モジュールの角部を保持している保持体を外側ガイド板が外側から保持しているので、太陽電池モジュールの横へのずれを防止することができる。
【0044】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記繰り返し工程終了後に、前記基板、外側ガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程をさらに含む構成とすることができる。
【0045】
このような構成によれば、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することができる。
【0046】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から外側ガイド板を除去する除去工程と、前記除去工程終了後に、前記保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含む構成とすることができる。
【0047】
このような構成によれば、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することができる。また、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、基板及び外側ガイド板)は、次の多段積載作業で再び基板及び外側ガイド板として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具の部材コストを低減することができる。
【0048】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法は、上記構成の多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法であって、前記基板の各角部に立設配置された前記内側ガイド板の上方から前記内側ガイド板の外側に沿って前記スライド板をスライド降下させることにより前記保持体を前記基板の各角部に配置する保持体載置工程と、前記基板の上方から太陽電池モジュールを水平状態で降下させることにより、前記太陽電池モジュールの各角部を、前記基板の各角部に載置された前記保持体上にそれぞれ載置するモジュール載置工程と、前記保持体載置工程と前記モジュール載置工程とを所定回数繰り返すことにより、所定数の太陽電池モジュールを、前記基板の各角部に上下に載置された所定数の保持体を介して平積み状態で積載する繰り返し工程と、を含むことを特徴としている。
【0049】
このような特徴を有する本発明によれば、太陽電池モジュールの各角部(4隅部)を保持する保持体の配置は、基板の各角部に立設配置された内側ガイド板の外側に沿って、保持体のスライド板を上方からスライド降下させるだけでよい。これにより、このスライド板と一体形成されている保持体が基板の各角部に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体に太陽電池モジュールの各角部を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体の正確な位置に太陽電池モジュールの角部を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、本発明の多段積載具を用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0050】
また、本発明によれば、外側ガイド板を削除することにより部材点数を削減し、その結果、部材コストを低減することができる。また、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが水平方向(横方向)にずれようとしても、内側ガイド板が太陽電池モジュールの角部側面に当って当たり止めの役目を果たすので、太陽電池モジュールの横へのずれを防止することができる。
【0051】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記繰り返し工程終了後に、前記基板、内側ガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程をさらに含む構成とすることができる。
【0052】
このような構成によれば、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することができる。
【0053】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から内側ガイド板を除去する除去工程と、前記除去工程終了後に、前記保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含む構成とすることができる。
【0054】
このような構成によれば、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することができる。また、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、基板及び内側ガイド板)は、次の多段積載作業で再び基板及び内側ガイド板として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具の部材コストを低減することができる。
【0055】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記保持体には、積載される太陽電池モジュールの角部上面を上方から押える押え部材が設けられた構成とすることができる。
【0056】
このような構成によれば、保持体を多段に積載したとき、上側の保持体に設けられている押え部材が、下側の保持体に載置されている太陽電池モジュールの角部を上側から押える構成となる。従って、本発明の多段積載具を用いて多段に積載した太陽電池モジュールをそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュールが上下方向に振動しようとしても、太陽電池モジュールの角部が上下方向から保持されているので、太陽電池モジュールの上下方向への振動を確実に防止することができる。
【0057】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの多段積載方法によれば、前記太陽電池モジュールがフレームレス構造の太陽電池モジュールであることを特徴とする。
【0058】
本発明によれば、太陽電池モジュールの周囲にアルミ製の枠部材を有しないフレームレス構造の太陽電池モジュールの梱包作業を、太陽電池モジュールのガラスの破損を防止しつつ、効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、太陽電池モジュールの各角部を保持する保持部材の配置は、基板の各角部に立設配置された外側ガイド板と内側ガイド板との間に上方からスライド板を落とし込むように挿通するだけ、または、外側ガイド板または内側ガイド板に沿って上方からスライド板をスライド降下させるだけでよい。これにより、スライド板と一体形成されている保持体が基板の各角部に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体に太陽電池モジュールの各角部を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体の正確な位置に太陽電池モジュールの角部を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、本発明の多段積載具を用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】実施形態1に係る太陽電池モジュールの多段積載具の全体構成を示す斜視図である。
【図1B】実施形態1に係る太陽電池モジュールの多段積載具の一部拡大平面図である。
【図2A】多段積載具を構成する保持体の斜視図である。
【図2B】図2AのI−I線断面図である。
【図3A】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3B】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3C】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3D】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3E】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3F】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3G】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3H】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3I】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図3J】実施形態1の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図4】実施形態1の多段積載具を用いて太陽電池モジュールを平積み状態で水平に積み重ねた状態の一部拡大した縦断面図である。
【図5】仮保持部材の構成を示す斜視図である。
【図6A】保持体の他の実施例の構成を示す斜め上方からみた斜視図である。
【図6B】保持体の他の実施例の構成を示す斜め下方からみた斜視図である。
【図6C】図6AのII−II線断面図である。
【図7】図6Aに示す多段積載具を用いて太陽電池モジュールを平積み状態で水平に積み重ねた状態の一部拡大した縦断面図である。
【図8】外側ガイド板の他の実施例を示す斜視図である。
【図9A】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9B】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9C】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9D】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9E】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9F】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9G】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9H】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9I】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図9J】実施形態2の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10A】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10B】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10C】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10D】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10E】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10F】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10G】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10H】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10I】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図10J】実施形態3の多段積載方法の一工程を示す斜視図である。
【図11A】保持体の他の実施例を示す斜め上方から見た斜視図である。
【図11B】保持体の他の実施例を示す斜め下方から見た斜視図である。
【図11C】図11AのIII−III線断面図である。
【図12】太陽電池モジュールの従来の多段積載方法に用いられる保持部材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0062】
本発明の多段積載具は、アルミニウム製の枠部材を有しないフレームレス構造の太陽電池モジュールの多段積載に好適に用いられる。従って、以下の実施形態では、フレームレス構造の太陽電池モジュールを多段に積載する場合について説明する。
【0063】
<実施形態1>
図1A及び図1Bは、実施形態1に係る太陽電池モジュールの多段積載具の全体構成を示す斜視図及び一部拡大平面図、図2A及び図2Bは、多段積載具を構成する保持体の斜視図及び断面図である。
【0064】
実施形態1に係る多段積載具1Aは、太陽電池モジュールよりも一回りほど大きな矩形状の基板11と、この基板11の各角部12に配置される太陽電池モジュールの各角部をそれぞれ保持する保持部材21とを備えている。
【0065】
保持部材21は、基板11の各角部12に立設配置される長尺状の外側ガイド板22及びこの外側ガイド板22に対向配置される長尺状の内側ガイド板23と、これらガイド板22,23間に上方から挿通されるスライド板24cを有する保持体24とを備えており、ガイド板22,23間にスライド板24cが挿通保持された保持体24によって、太陽電池モジュールの角部を下側から保持するようになっている。なお、図1Bでは、図面を見易くするために、外側ガイド板22及び内側ガイド板23の位置に対して保持体24の位置を少し横にずらせた状態で図示している。
【0066】
外側ガイド板22は、図1A及び図1Bに示すように、基板11の角部12の隣接する両側面13,14に所定の間隔を存して1対配置されている。すなわち、平面的に見た場合(上方から見た場合)には、2つの外側ガイド板22が各側面13,14に沿って直交するように配置されている。
【0067】
また、内側ガイド板23は、基板11の各側面13,14より内側寄りの基板11上に1対配置されている。すなわち、平面的に見た場合(上方から見た場合)には、2つの内側ガイド板23が、対向する各外側ガイド板22と一定の間隔T1を存し、かつ、幅方向に所定の間隔T2を存して、直交するように配置されている。所定の間隔T2は、太陽電池モジュールの角部が嵌まる程度の間隔に設定されている。
【0068】
一方、保持体24は、図2A及び図2Bに示すように、平面視L字状に形成された枠板24aと、この枠板24aの内側面から該内側面と直交する方向に延設された太陽電池モジュールの角部を下側から保持する矩形状の保持板24bとからなり、枠板24aの左右両端部をさらに横方向に延設してスライド板24cが一体形成されている。このスライド板24cの厚みW1は、対向する外側ガイド板22と内側ガイド板23との間に形成されるガイド溝25の幅(一定の間隔)T1より若干薄い厚みに形成されており、スライド板24cがガイド溝25内をほぼがたつきなく、かつスムーズにスライド移動するように設けられている。また、矩形状の保持板24bは、2つの内側ガイド板23の間(所定の間隔T2)に嵌まり合うようになっている。
【0069】
ここで、外側ガイド板22は、その下端部が基板11の各側面13,14に図示しないねじ部材により(またはボルトとナットにより)、十分な強度を持って固定する構造としている。因みに、ボルトとナットにより固定する場合には、基板11の側面13,14にナットを埋め込む形とし、外側ガイド板22にボルト挿通穴を形成し、このボルト挿通穴に外側ガイド板22の外側からボルトを通してナットにねじ込むことで、強固に固定することができる。このようなボルトとナットによる固定構造とすると、搬送現場でボルトを取り外すことで外側ガイド板22が簡単に取り外せるため、次の搬送時に基板11と外側ガイド板22とを再利用することができる。このことは、次の実施形態2,3においても同様である。
【0070】
また、内側ガイド板23については、基板11に、内側ガイド板23の下端部が着脱可能に嵌まり込むように、長方形状の貫通穴16を設けておき、この貫通穴16に内側ガイド板23の下端部を嵌め込むことで、内側ガイド板23を基板11上に立設配置する構成としている。内側ガイド板23をこのような嵌め込み固定構造とすることで、搬送現場で内側ガイド板23を簡単に取り外すことができるため、次の搬送時に基板11や外側ガイド板22とともに、内側ガイド板23も再利用することができる。
【0071】
なお、保持体24は、例えばPP(ポリプロピレン)やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の樹脂による射出成形によって形成されている。ただし、木材の加工によって形成されていてもよい。また、外側ガイド板22や内側ガイド板23も、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)等の硬質樹脂による射出成形によって形成することができるが、木材の加工によって形成されていてもよい。
【0072】
次に、上記構成の多段積載具1Aを用いた実施形態1の多段積載方法について、図3Aないし図3Jに示す各工程図を参照して説明する。ただし、ここでは一例として、太陽電池モジュール80を10段積載する場合について説明するが、段数はこれに限るものではない。
【0073】
第1工程では、図3Aに示すように、外側ガイド板22及び内側ガイド板23が各角部12に配置固定された状態の基板11を所定位置に配置する。
【0074】
第2工程(保持体載置工程)では、図3Bに示すように、基板11の各角部12に立設配置された外側ガイド板22と内側ガイド板23との間のガイド溝25に、1段目となる保持体24のスライド板24cを上方から落とし込むように挿通することにより、図3Cに示すように、1段目の保持体24を基板11の各角部12に載置する。この第2工程は、例えば、図示しないロボットハンドで保持体24を保持した状態で、保持体24のスライド板24cを、外側ガイド板22と内側ガイド板23との間のガイド溝25に上方から位置合わせし(図3Cに示す状態)、ガイド溝25に僅かに嵌め合わせた状態で、保持体24の保持を解除する(すなわち、ロボットハンドを開いて保持体24を離す)ことで実施することができる。これにより、保持体24が両ガイド板22,23間のガイド溝25に沿って基板11の角部上面まで自然落下して載置される。
【0075】
第3工程(モジュール載置工程)では、図3D及び図3Eに示すように、基板11の上方から1段目となる太陽電池モジュール80を水平状態で降下させることにより、太陽電池モジュール80の各角部81を、基板11の各角部12に載置された1段目の保持体24の保持板24b上にそれぞれ載置する。太陽電池モジュール80の保持手段としては、例えば吸着盤によって太陽電池モジュールの表面(または裏面)を水平状態で吸着保持し、この状態で太陽電池モジュールを降下させて保持板24b上に載置し、載置完了後に吸着を解除するようにすればよい。または、太陽電池モジュールの両側をマジックハンドのようなもので挟んで水平状態に保持し、この状態で太陽電池モジュールを降下させて保持板24b上に載置し、載置完了後にマジックハンドを横方向に開いて太陽電池モジュールの下面から引き抜くようにしてもよい。なお、このような保持手段はあくまで一例であり、従来周知の種々の保持手段を用いることができる。
【0076】
これにより、1段目の各保持体24に、1段目の太陽電池モジュール80が水平状態で保持される。
【0077】
第4工程(保持体載置工程)では、図3Fに示すように、基板11の各角部12に立設配置された外側ガイド板22と内側ガイド板23との間のガイド溝25に、2段目となる保持体24のスライド板24cを上方から落とし込むように挿通することにより、図3Gに示すように、2段目の保持体24を1段目の保持体24の上に載置する。
【0078】
第5工程(モジュール載置工程)では、図3H及び図3Iに示すように、基板11の上方から2段目となる太陽電池モジュール80を水平状態で降下させることにより、太陽電池モジュール80の各角部81を、基板11の各角部12に載置された2段目の保持体24の保持板24b上にそれぞれ載置する。
【0079】
これにより、2段目の各保持体24に、2段目の太陽電池モジュール80が水平状態で保持される。
【0080】
この第4工程と第5工程とを所定回数繰り返す(すなわち、太陽電池モジュール80を10段積載するのであれば、あと8回繰り返す)。これは、第2工程と第3工程とを10回繰り返すことと同じである。
【0081】
これにより、図3Jに示すように、10個の太陽電池モジュール80が平積み状態で水平に積み重ねられる。
【0082】
この場合、図4に積載状態の一部を拡大して示すように、上下の太陽電池モジュール80の間に隙間Pが生じることになる。そして、太陽電池モジュール80の角部81は、保持体24の保持板24a上に単に載置されているだけであるため、搬送時等の振動により、太陽電池モジュール80がこの隙間Pの間で上下に揺れることになる。ここで、隙間Pを設けている理由は、太陽電池モジュール80の裏面側に端子ボックス(図示省略)が取り付けられているため、太陽電池モジュール80を水平状態で多段に積載するためには、少なくともこの端子ボックスの厚み分以上の隙間を開ける必要があるからである。
【0083】
従って、実施形態1では、図3Jに示す状態に積載した後、梱包前に、多段に積載された太陽電池モジュール80の間に緩衝部材を挿入する工程を追加してもよい。緩衝部材を挿入することで、搬送時の太陽電池モジュール80の上下の揺れを防止することができる。
【0084】
ここで、緩衝部材としては、例えば発砲スチロールで形成した立方体形状または円柱形状の小片を、各太陽電池モジュール80間に差し込むようにしてもよいが、これでは手間がかかるため、例えば図5に示すように、櫛歯状に形成された一体構造の緩衝部材5を用意し、これを多段に積層された太電池モジュール80の各隙間Pに横方向から一体で差し込むようにしてもよい。そのため、緩衝部材5の各櫛歯部51の厚みT31は、隙間Pと略等しい厚みに形成され、櫛歯部51間の距離T32は、太陽電池モジュール80の厚みT41に略等しい距離に形成されている。これにより、搬送時の上下の揺れを防止することができる。
【0085】
また、上下の揺れを防止する手段としては、この他にも、図6Aないし図6Cに示すように、保持体24の保持板24aの下面に押え部材6を前もって貼り付けておいてもよい。この押え部材6も、発砲スチロールやゴム部材等で形成することができる。この保持体24を用いて上記図3Aないし図3Jに示す手順で太陽電池モジュール80を多段に積載した場合には、図7に一部拡大断面図を示すように、保持体24の保持板24b上に載置された太陽電池モジュール80の角部81上面が、その上に積載された保持体24の保持板24b下面に貼り付けられた押え部材6によって上方から押えられることになる。すなわち、太陽電池モジュール80の角部81が、保持板24bと押え部材6とによって上下から挟持された構造となる。これにより、搬送時の上下の揺れを防止することができる。
【0086】
なお、上記した緩衝部材5または押え部材6を用いることは、次の実施形態2,3においても同様に適用することができる。
【0087】
このようにして図3Jに示す状態に積載した後は、図示しない梱包工程を実施して、多段積載具1Aに保持された10個の太陽電池モジュール80を一体に梱包する。梱包方法としては、従来周知の方法で行えばよいが、例えば、太陽電池モジュール80の周囲を段ボール等で被覆し、樹脂バンドで結束することによって一体に梱包することができる。
【0088】
このような梱包に際して、実施形態1では、3つの梱包方法が考えられる。
【0089】
梱包方法1は、図3Jに示した多段積載状態で、そのまま基板11、外側ガイド板22、内側ガイド板23、保持体24及び太陽電池モジュール80の全体を一体に梱包する方法である。このように一括梱包することで、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することがきる。また、搬送時の振動によって太陽電池モジュール80が水平方向(横方向)にずれようとしても、太陽電池モジュール80の角部81を保持している保持体24を外側ガイド板22が外側から保持しているので、太陽電池モジュール80の横へのずれを防止することができる。
【0090】
梱包方法2は、図3Jに示した状態に多段積載した後に、基板11上から各角部12の外側ガイド板22の全て、または内側ガイド板23の全てを除去する除去工程を実施し、この除去工程終了後に、基板11、残されたガイド板(外側ガイド板22または内側ガイド板23)、多段に積載された各角部の保持体24及び多段に積載された太陽電池モジュール80の全体を一体に梱包する方法である。このような梱包方法によれば、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、外側ガイド板22または内側ガイド板23)は、次の多段積載作業で再びガイド板として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具1Aの部材コストを低減することができる。
【0091】
梱包方法3は、図3Jに示した状態に多段積載した後に、基板11上から各角部12の外側ガイド板22及び内側ガイド板23を全て除去する除去工程を実施し、この除去工程終了後に、多段に積載された各角部の保持体24及び多段に積載された太陽電池モジュール80の全体を一体に梱包する方法である。このような梱包方法によれば、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、基板11、外側ガイド22板及び内側ガイド板23)は、次の多段積載作業で再び基板11及びガイド板22,23として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具1Aの部材コストを大幅に低減することができる。
【0092】
実施形態1の多段積載方法によれば、太陽電池モジュール80の各角部(4隅部)81を保持する保持体24の配置は、基板11の各角部12に立設配置された外側ガイド板22と内側ガイド板23との間のガイド溝25に、上方から保持体24のスライド板24cを落とし込むように挿通するだけでよい。これにより、保持体24が基板11の各角部12に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体24に太陽電池モジュール80の各角部81を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体24の正確な位置に太陽電池モジュール80の角部81を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、実施形態1の多段積載具1Aを用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0093】
なお、実施形態1では、外側ガイド板22は、基板11の角部12の隣接する両側面13,14に所定の間隔を存して1対配置する構成としているが、図8に示すように、両側面13,14に配置する外側ガイド板22を一体に形成することで、平面視L字状に形成されていてもよい。このことは、後述する実施形態2においても同様である。
【0094】
外側ガイド板22を平面視L字状に一体形成することで、外側ガイド板22の強度を向上させることができる。従って、この多段積載具1Aを用いて多段に積載した太陽電池モジュール80をそのまま一体梱包して搬送する場合、搬送時の振動によって太陽電池モジュール80が水平方向(横方向)にずれようとしても、太陽電池モジュール80の角部81を保持している保持体24を外側ガイド板22によって強固に保持できるので、太陽電池モジュールの横へのずれも確実に防止することができる。また、このように一体梱包した太陽電池モジュール梱包体を、外側ガイド板22を脚として利用してトラックの荷台に複数段に積む場合、外側ガイド板22が平面視L字状に一体形成されているので、脚としての強度を十分に保つことができる。
【0095】
<実施形態2>
実施形態2に係る太陽電池モジュールの多段積載具1Bは、図示は省略するが、実施形態1の多段積載具1Aから内側ガイド板23を省略したものであり、その他の構成は実施形態1の構成と同じである。従って、以下の説明では、同部材に同符号を付して説明を行うものとする。
【0096】
次に、実施形態2の多段積載具1Bを用いた実施形態2の多段積載方法について、図9Aないし図9Jに示す各工程図を参照して説明する。ただし、ここでは一例として、太陽電池モジュール80を10段積載する場合について説明するが、段数はこれに限るものではない。
【0097】
第1工程では、図9Aに示すように、外側ガイド板22が各角部12に配置固定された状態の基板11を所定位置に配置する。
【0098】
第2工程(保持体載置工程)では、図9Bに示すように、基板11の各角部12に立設配置された外側ガイド板22の内側に沿って、1段目となる保持体24のスライド板24cを上方からスライド降下させることにより、図9Bに示すように、1段目の保持体24を基板11の各角部12に載置する。この第2工程は、例えば、図示しないロボットハンドで保持体24を保持し(図9Bに示す状態に保持し)、保持体24のスライド板24cを、外側ガイド板22の内側に添設させた状態でスライド降下させる(すなわち、保持体24を保持した状態でロボットハンドを降下させる)ことで、保持体24を基板11の角部上面に載置することができる。
【0099】
第3工程(モジュール載置工程)では、図9D及び図9Eに示すように、基板11の上方から1段目となる太陽電池モジュール80を水平状態で降下させることにより、太陽電池モジュール80の各角部81を、基板11の各角部12に載置された1段目の保持体24の保持板24b上にそれぞれ載置する。太陽電池モジュール80の保持手段としては、上記実施形態1で説明した通りである。
【0100】
これにより、1段目の各保持体24に、1段目の太陽電池モジュール80が水平状態で保持される。
【0101】
第4工程(保持体載置工程)では、図9Fに示すように、基板11の各角部12に立設配置された外側ガイド板22の内側に沿って、2段目となる保持体24のスライド板24cを上方からスライド降下させることにより、図9Gに示すように、2段目の保持体24を1段目の保持体24の上に載置する。具体的には、1段目の保持体24の枠板24a及びスライド板24cの上端面に、2段目の保持体24の枠板24a及びスライド板24cの下端面を載置する。
【0102】
第5工程(モジュール載置工程)では、図9H及び図9Iに示すように、基板11の上方から2段目となる太陽電池モジュール80を水平状態で降下させることにより、太陽電池モジュール80の各角部81を、基板11の各角部12に載置された2段目の保持体24の保持板24b上にそれぞれ載置する。
【0103】
これにより、2段目の各保持体24に、2段目の太陽電池モジュール80が水平状態で保持される。
【0104】
この第4工程と第5工程とを所定回数繰り返す(すなわち、太陽電池モジュール80を10段積載するのであれば、あと8回繰り返す)。これは、第2工程と第3工程とを10回繰り返すことと同じである。
【0105】
これにより、図9Jに示すように、10個の太陽電池モジュール80が平積み状態で水平に積み重ねられたので、この後は、図示しない梱包工程を実施して、多段積載具1Bに保持された10個の太陽電池モジュール80を一体に梱包する。梱包方法としては、従来周知の方法で行えばよいが、例えば、太陽電池モジュール80の周囲を段ボール等で被覆し、樹脂バンドで結束することによって一体に梱包することができる。
【0106】
このような梱包に際して、実施形態2では、2つの梱包方法が考えられる。
【0107】
梱包方法1は、図9Jに示した多段積載状態で、そのまま基板11、外側ガイド板22、保持体24及び太陽電池モジュール80の全体を一体に梱包する方法である。このように一括梱包することで、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することがきる。また、搬送時の振動によって太陽電池モジュール80が水平方向(横方向)にずれようとしても、太陽電池モジュール80の角部81を保持している保持体24を外側ガイド板22が外側から保持しているので、太陽電池モジュール80の横へのずれを防止することができる。
【0108】
梱包方法2は、図9Jに示した状態に多段積載した後に、基板11上から各角部12の外側ガイド板22の全てを除去する除去工程を実施し、この除去工程終了後に、多段に積載された各角部の保持体24及び多段に積載された太陽電池モジュール80の全体を一体に梱包する方法である。このような梱包方法によれば、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、基板11、外側ガイド板22)は、次の多段積載作業で再び基板11及び外側ガイド板22として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具1Bの部材コストを大幅に低減することができる。
【0109】
実施形態2の多段積載方法によれば、太陽電池モジュール80の各角部(4隅部)81を保持する保持体24の配置は、基板11の各角部12に立設配置された外側ガイド板22の内側に沿って、保持体24のスライド板24cを上方からスライド降下させるだけでよい。これにより、保持体24が基板11の各角部12に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体24に太陽電池モジュール80の各角部81を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体24の正確な位置に太陽電池モジュール80の角部81を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、実施形態2の多段積載具1Bを用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0110】
また、実施形態1の多段積載具1Aから内側ガイド板23を省略して部材点数を削減しているので、部材コストを低減することができる。
【0111】
<実施形態3>
実施形態3に係る太陽電池モジュールの多段積載具1Cは、図示は省略するが、実施形態1の多段積載具1Aから外側ガイド板22を省略したものであり、その他の構成は実施形態1の構成と同じである。従って、以下の説明では、同部材に同符号を付して説明を行うものとする。
【0112】
次に、実施形態3の多段積載具1Cを用いた実施形態2の多段積載方法について、図10Aないし図10Jに示す各工程図を参照して説明する。ただし、ここでは一例として、太陽電池モジュール80を10段積載する場合について説明するが、段数はこれに限るものではない。
【0113】
第1工程では、図10Aに示すように、外側ガイド板22が各角部12に配置固定された状態の基板11を所定位置に配置する。
【0114】
第2工程(保持体載置工程)では、図10Bに示すように、基板11の各角部12に立設配置された内側ガイド板23の外側に沿って、1段目となる保持体24のスライド板24cを上方からスライド降下させることにより、図10Cに示すように、1段目の保持体24を基板11の各角部12に載置する。この第2工程は、例えば、ロボットハンドで保持体24を保持した状態で、保持体24のスライド板24cを、内側ガイド板22の外側に添設させた状態でスライド降下させる(すなわち、ロボットハンドを降下させる)ことで、保持体24を基板11の角部12上面に載置することができる。
【0115】
第3工程(モジュール載置工程)では、図10D及び図10Eに示すように、基板11の上方から1段目となる太陽電池モジュール80を水平状態で降下させることにより、太陽電池モジュール80の各角部81を、基板11の各角部12に載置された1段目の保持体24の保持板24b上にそれぞれ載置する。太陽電池モジュール80の保持手段としては、上記実施形態1で説明した通りである。
【0116】
これにより、1段目の各保持体24に、1段目の太陽電池モジュール80が水平状態で保持される。
【0117】
第4工程(保持体載置工程)では、図10Fに示すように、基板11の各角部12に立設配置された内側ガイド板23の外側に沿って、2段目となる保持体24のスライド板24cを上方からスライド降下させることにより、図10Gに示すように、2段目の保持体24を1段目の保持体24の上に載置する。具体的には、1段目の保持体24の枠板24a及びスライド板24cの上端面に、2段目の保持体24の枠板24a及びスライド板24cの下端面を載置する。
【0118】
第5工程(モジュール載置工程)では、図10H及び図10Iに示すように、基板11の上方から2段目となる太陽電池モジュール80を水平状態で降下させることにより、太陽電池モジュール80の各角部81を、基板11の各角部12に載置された2段目の保持体24の保持板24b上にそれぞれ載置する。
【0119】
これにより、2段目の各保持体24に、2段目の太陽電池モジュール80が水平状態で保持される。
【0120】
この第4工程と第5工程とを所定回数繰り返す(すなわち、太陽電池モジュール80を10段積載するのであれば、あと8回繰り返す)。これは、第2工程と第3工程とを10回繰り返すことと同じである。
【0121】
これにより、図10Jに示すように、10個の太陽電池モジュール80が平積み状態で水平に積み重ねられたので、この後は、図示しない梱包工程を実施して、多段積載具1Cに保持された10個の太陽電池モジュール80を一体に梱包する。梱包方法としては、従来周知の方法で行えばよいが、例えば、太陽電池モジュール80の周囲を段ボール等で被覆し、樹脂バンドで結束することによって一体に梱包することができる。
【0122】
このような梱包に際して、実施形態3では、2つの梱包方法が考えられる。
【0123】
梱包方法1は、図10Jに示した多段積載状態で、そのまま基板11、内側ガイド板23、保持体24及び太陽電池モジュール80の全体を一体に梱包する方法である。このように一括梱包することで、多段積載された太陽電池モジュールを容易に梱包することがきる。また、搬送時の振動によって太陽電池モジュール80が水平方向(横方向)にずれようとしても、内側ガイド板23が太陽電池モジュール80の角部81側面に当って当たり止めの役目を果たすので、太陽電池モジュール80の横へのずれを防止することができる。
【0124】
梱包方法2は、図10Jに示した状態に多段積載した後に、基板11上から各角部12の内側ガイド板23の全てを除去する除去工程を実施し、この除去工程終了後に、多段に積載された各角部の保持体24及び多段に積載された太陽電池モジュール80の全体を一体に梱包する方法である。このような梱包方法によれば、梱包部材を省くことで、省いた部材(すなわち、基板11、内側ガイド板23)は、次の多段積載作業で再び基板11及び内側ガイド板23として再利用することができるため、多段積載に使用する多段積載具1Cの部材コストを大幅に低減することができる。
【0125】
実施形態3の多段積載方法によれば、太陽電池モジュール80の各角部(4隅部)81を保持する保持体24の配置は、基板11の各角部12に立設配置された内側ガイド板23の外側に沿って、保持体24のスライド板24cを上方からスライド降下させるだけでよい。これにより、保持体24が基板11の各角部12に正確に載置されるので、後は、この4隅の保持体24に太陽電池モジュール80の各角部81を位置合わせして上方から載置するだけで、保持体24の正確な位置に太陽電池モジュール80の角部81を載置することができる。従って、太陽電池モジュールの多段積載作業を工業用ロボットによって自動化する場合、実施形態3の多段積載具1Cを用いた多段積載方法を適用することで、太陽電池モジュールを多段に積み重ねる際の工業用ロボット側での正確な位置合わせや微調整が不要となることから、工業用ロボットによる自動化に容易に対応することができる。
【0126】
また、実施形態1の多段積載具1Aから外側ガイド板22を省略して部材点数を削減しているので、部材コストを低減することができる。
【0127】
上記実施形態1〜3では、保持体24は、単に上下に載置していくだけの構成(すなわち、横方向へのずれに対して何ら対策されていない構成)であるが、これに簡単な嵌合構造を付加してもよい。具体的には、図11Aないし図11Cに示すように、平面視L字状に形成された枠板24aの上端面24a1及び下端面24a2に、上下に隣接配置される別の保持体24と順次嵌合するための嵌合凸部27及び嵌合凹部28をそれぞれ設けてもよい。この例では、嵌合凸部27は、枠板24aの各片の上端面24a1に1個ずつ、計2個設けられており、嵌合凹部28は、枠体24の各片の下端面24a2に1個ずつ、計2個設けられている。また、嵌合凸部27は上端部に向かって幅狭となるようにテーパ面を付けておき、かつ、先端部は半円弧状の湾曲面に形成しておくことで、上下に隣接配置される2つの保持体24の一方の嵌合凸部27に他方の嵌合凹部28を確実に嵌合することができる。すなわち、このような嵌合構造としておくことで、実施形態1で説明したように、保持体24を外側ガイド板22と内側ガイド板23との間のガイド溝25に上方から落とし込んでも、嵌合凸部27と嵌合凹部28とを確実に嵌合することが可能である。
【0128】
また、上記実施形態1〜3では、基板11への外側ガイド板22の固定方法を、基板の側面13,14からねじ部材による固定またはボルトとナットによる固定としているが、このような固定方法に限定されるものではない。例えば、内側ガイド板23と同様、基板11の角部12の側面13,14近傍に貫通穴を形成し、この貫通穴に外側ガイド板22の下端部を嵌め込み固定する構造としてもよい。この場合、外側ガイド板22の強度を向上させたければ、この構造に加えて、基板の側面13,14から外側ガイド板22の下部側面に対してねじ部材をねじ込んで固定するようにしてもよい。
【0129】
なお、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1A〜1C 多段積載具
5 緩衝部材
6 押え部材
11 基板
12 角部
13,14 側面
16 貫通穴
21 保持部材
22 外側ガイド板
23 内側ガイド板
24 保持体
24a 枠板
24a1 上端面
24a2 下端面
24b 保持板
24c スライド板
25 ガイド溝
27 嵌合凸部
28 嵌合凹部
51 櫛歯部
80 太陽電池モジュール
81 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを多段に積み重ねるときに用いられる多段積載具であって、
矩形状の基板と、前記基板の各角部に配置される前記太陽電池モジュールの各角部をそれぞれ保持する保持部材とからなり、
前記保持部材は、前記基板角部に立設配置される長尺状の外側ガイド板及び前記外側ガイド板に対向配置される長尺状の内側ガイド板と、これらガイド板間に上方から挿通されるスライド板と、前記スライド板と一体に形成されて前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持体とからなることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの多段積載具であって、
前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に所定の間隔を存して1対配置され、
前記内側ガイド板は、前記側面より内側の基板上に1対配置され、
前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、
前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項3】
請求項1に記載の太陽電池モジュールの多段積載具であって、
前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に沿って配置された平面視L字状に形成され、
前記内側ガイド板は、前記側面より内側の基板上において、前記外側ガイド板の各片に対向して1対配置され、
前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、
前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項4】
太陽電池モジュールを多段に積み重ねるときに用いられる多段積載具であって、
矩形状の基板と、前記基板の各角部に配置される前記太陽電池モジュールの各角部をそれぞれ保持する保持部材とからなり、
前記保持部材は、前記基板角部に立設配置される長尺状の外側ガイド板と、前記外側ガイド板に沿って該外側スライド板の内側を上方からスライド降下させるスライド板と、前記スライド板と一体に形成されて前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持体とからなることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽電池モジュールの多段積載具であって、
前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に所定の間隔を存して1対配置され、
前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、
前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項6】
請求項4に記載の太陽電池モジュールの多段積載具であって、
前記外側ガイド板は、前記基板角部の隣接する両側面に沿って配置された平面視L字状に形成され、
前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、
前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項7】
太陽電池モジュールを多段に積み重ねるときに用いられる多段積載具であって、
矩形状の基板と、前記基板の各角部に配置される前記太陽電池モジュールの各角部を保持する保持部材とからなり、
前記保持部材は、前記基板角部の隣接する両側面より内側の基板上にそれぞれ配置された長尺状の1対の内側ガイド板と、前記内側ガイド板に沿って該内側ガイド板の外側を上方からスライド降下させるスライド板と、前記スライド板と一体に形成されて前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持体とからなることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項8】
請求項7に記載の太陽電池モジュールの多段積載具であって、
前記保持体は、平面視L字状に形成された枠板と、前記枠板の内側面から該内側面と直交する方向に延設された前記太陽電池モジュールの角部を下側から保持する保持板とからなり、
前記枠板の左右両端部に前記スライド板が一体形成されていることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの多段積載具であって、
前記保持部材には、積載される太陽電池モジュールの角部上面を上方から押える押え部材が設けられていることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの多段積載具であって、
前記太陽電池モジュールがフレームレス構造の太陽電池モジュールであることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載具。
【請求項11】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記基板の各角部に立設配置された前記外側ガイド板と内側ガイド板との間に上方からスライド板を落とし込むように挿通することにより前記保持体を前記基板の各角部に載置する保持体載置工程と、
前記基板の上方から太陽電池モジュールを水平状態で降下させることにより、前記太陽電池モジュールの各角部を、前記基板の各角部に載置された前記保持体上にそれぞれ載置するモジュール載置工程と、
前記保持体載置工程と前記モジュール載置工程とを所定回数繰り返すことにより、所定数の太陽電池モジュールを、前記基板の各角部に上下に載置された所定数の保持体を介して平積み状態で積載する繰り返し工程と、
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項12】
請求項11に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記繰り返し工程終了後に、前記基板、外側ガイド板、内側ガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程をさらに含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項13】
請求項11に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から外側ガイド板または内側ガイド板を除去する除去工程と、
前記除去工程終了後に、前記基板、残されたガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項14】
請求項11に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から外側ガイド板及び内側ガイド板を除去する除去工程と、
前記除去工程終了後に、前記保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項15】
請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記基板の各角部に立設配置された前記外側ガイド板の上方から前記外側ガイド板の内側に沿って前記スライド板をスライド降下させることにより前記保持体を前記基板の各角部に配置する保持体載置工程と、
前記基板の上方から太陽電池モジュールを水平状態で降下させることにより、前記太陽電池モジュールの各角部を、前記基板の各角部に載置された前記保持体上にそれぞれ載置するモジュール載置工程と、
前記保持体載置工程と前記モジュール載置工程とを所定回数繰り返すことにより、所定数の太陽電池モジュールを、前記基板の各角部に上下に載置された所定数の保持体を介して平積み状態で積載する繰り返し工程と、
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項16】
請求項15に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記繰り返し工程終了後に、前記基板、外側ガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程をさらに含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項17】
請求項15に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から外側ガイド板を除去する除去工程と、
前記除去工程終了後に、前記保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項18】
請求項7または請求項8に記載の多段積載具を用いた太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記基板の各角部に立設配置された前記内側ガイド板の上方から前記内側ガイド板の外側に沿って前記スライド板をスライド降下させることにより前記保持体を前記基板の各角部に配置する保持体載置工程と、
前記基板の上方から太陽電池モジュールを水平状態で降下させることにより、前記太陽電池モジュールの各角部を、前記基板の各角部に載置された前記保持体上にそれぞれ載置するモジュール載置工程と、
前記保持体載置工程と前記モジュール載置工程とを所定回数繰り返すことにより、所定数の太陽電池モジュールを、前記基板の各角部に上下に載置された所定数の保持体を介して平積み状態で積載する繰り返し工程と、
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項19】
請求項18に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記繰り返し工程終了後に、前記基板、内側ガイド板、保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程をさらに含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項20】
請求項18に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記繰り返し工程終了後に、前記基板上から内側ガイド板を除去する除去工程と、
前記除去工程終了後に、前記保持体及び太陽電池モジュールの全体を一体に梱包する梱包工程と、をさらに含むことを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項21】
請求項11から請求項20までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記保持体には、積載される太陽電池モジュールの角部上面を上方から押える押え部材が設けられていることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。
【請求項22】
請求項11から請求項21までのいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの多段積載方法であって、
前記太陽電池モジュールがフレームレス構造の太陽電池モジュールであることを特徴とする太陽電池モジュールの多段積載方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図10J】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−188122(P2012−188122A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50657(P2011−50657)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】