説明

太陽電池モジュールの盗難監視装置及びこれを用いた盗難監視システム

【課題】複数の太陽電池モジュールが盗難された場合であっても、太陽電池モジュールが盗難された範囲や位置を特定可能な太陽電池モジュールの盗難監視装置を提供する。
【解決手段】盗難された太陽電池モジュールMに対応する接続部5にて電気的に遮断されるループ回路2と、ループ回路2の一端から第1パルス信号を送信し、第1反射信号を受信したとき、太陽電池モジュールMが盗難されたと判定する盗難判定部10と、太陽電池モジュールMが盗難された位置を判定する盗難位置判定部15とを有し、盗難位置判定部15は、第1パルス信号を送信してから第1反射信号を受信するまでの時間を基に、最もループ回路2の一端に近い盗難位置を判定する第1盗難位置判定部11と、ループ回路2の他端から第2パルス信号を送信してから第2反射信号を受信するまでの時間を基に、最もループ回路2の他端に近い盗難位置を判定する第2盗難位置判定部12と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの盗難監視装置及びこれを用いた盗難監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽電池モジュールの盗難監視装置に関する開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
最近では、メガソーラ発電所等の大規模太陽電池発電所の普及に伴い、太陽電池モジュールの盗難を検知するのみではなく、太陽電池モジュールを盗難された位置も検知したいという要求が出てきている。
【0004】
この要求に対し、特許文献2に記載の太陽電池アレイ故障診断方法を盗難検知に応用することが考えられる。特許文献2に記載の太陽電池アレイ故障診断方法は、太陽電池ストリングの端子または太陽電池アレイの端子とアース間に、測定信号波形を印加し、その応答信号波形を測定信号波形と比較することによって、太陽電池アレイ中の故障(盗難)位置を特定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−367046号公報
【特許文献2】特開2009−21341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の太陽電池アレイ故障診断方法を盗難検知に応用した太陽電池モジュールの盗難監視装置では、複数の太陽電池モジュールが盗難された場合に、太陽電池モジュールが盗難された可能性がある範囲や、複数の太陽電池モジュールが盗難された位置を特定することができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、複数の太陽電池モジュールが盗難された場合であっても、太陽電池モジュールが盗難された可能性のある範囲や、複数の太陽電池モジュールが盗難された位置を特定することが可能な太陽電池モジュールの盗難監視装置及びこれを用いた盗難監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、ループ状に形成された信号線と、該信号線の途中に設けられ、監視対象となる複数の太陽電池モジュールのそれぞれに接続される接続部と、を有し、前記太陽電池モジュールが盗難されたときに、当該盗難された太陽電池モジュールに対応する前記接続部にて前記信号線が電気的に遮断されるように構成されたループ回路と、該ループ回路の両端が接続され、前記太陽電池モジュールの盗難を監視する盗難監視装置本体と、を備え、前記盗難監視装置本体は、前記ループ回路の一端から第1パルス信号を送信し、該第1パルス信号が前記ループ回路内で反射された第1反射信号を前記ループ回路の一端側で受信したとき、前記太陽電池モジュールが盗難されたと判定する盗難判定部と、前記太陽電池モジュールが盗難された位置を判定する盗難位置判定部と、を有し、前記盗難位置判定部は、前記第1パルス信号を送信してから前記第1反射信号を受信するまでの時間を計測し、その計測した時間を基に、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の一端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第1盗難位置判定部と、前記ループ回路の他端から第2パルス信号を送信し、該第2パルス信号を送信してから、前記第2パルス信号が前記ループ回路内で反射された第2反射信号を前記ループ回路の他端側で受信するまでの時間を計測し、その計測した時間を基に、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の他端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第2盗難位置判定部と、を有する太陽電池モジュールの盗難監視装置である。
【0009】
前記接続部は、前記信号線の途中に設けられた信号線側コネクタと、前記太陽電池モジュールに設けられ、前記信号線側コネクタを嵌合させたときに、前記信号線側コネクタの前後の前記信号線を電気的に接続して前記ループ回路を形成するモジュール側コネクタと、からなり、前記太陽電池モジュールの盗難時に、前記信号線側コネクタと前記モジュール側コネクタとの嵌合が解除され、前記信号線側コネクタの前後の前記信号線が電気的に遮断されるように構成されていてもよい。
【0010】
また、本発明は、ループ状に形成された信号線と、該信号線の途中に設けられ、監視対象となる複数の太陽電池モジュールのそれぞれに接続される接続部と、該接続部に設けられ、前記信号線に対してインピーダンスが不整合となる反射素子と、を有し、前記太陽電池モジュールが盗難されたときに、当該盗難された太陽電池モジュールに対応する前記接続部にて前記信号線が電気的に遮断されるように構成されたループ回路と、該ループ回路の両端が接続され、前記太陽電池モジュールの盗難を監視する盗難監視装置本体と、を備え、前記盗難監視装置本体は、前記ループ回路の一端から第1パルス信号を送信し、該第1パルス信号が前記ループ回路内で反射された第1反射信号を前記ループ回路の一端側で受信したとき、その受信した前記第1反射信号の信号強度が予め設定した判定用閾値以上であれば、前記太陽電池モジュールが盗難されたと判定する盗難判定部と、前記太陽電池モジュールが盗難された位置を判定する盗難位置判定部と、を有し、前記盗難位置判定部は、前記反射素子にて反射される第1反射信号をカウントし、前記判定用閾値以上の信号強度の前記第1反射信号を受信したときのカウントから、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の一端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第1盗難位置判定部と、前記ループ回路の他端から第2パルス信号を送信し、該第2パルス信号が前記ループ回路内で反射された第2反射信号を前記ループ回路の他端側で受信すると共に、前記反射素子にて反射される第2反射信号をカウントし、前記判定用閾値よりも大きい信号強度の前記第2反射信号を受信したときのカウントから、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の他端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第2盗難位置判定部と、を有する太陽電池モジュールの盗難監視装置である。
【0011】
また本発明は、前記太陽電池モジュールの盗難監視装置と、該太陽電池モジュールの盗難監視装置が前記太陽電池モジュールが盗難されたと判断したときに、警報を発する警報手段と、を備えた太陽電池モジュールの盗難監視システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の太陽電池モジュールが盗難された場合であっても、太陽電池モジュールが盗難された可能性のある範囲や、複数の太陽電池モジュールが盗難された位置を特定することが可能な太陽電池モジュールの盗難監視装置及びこれを用いた盗難監視システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る太陽電池モジュールの盗難監視装置を用いた太陽電池モジュールの盗難監視システムの概略構成図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図1の太陽電池モジュールの盗難監視装置において、第1盗難位置テーブルの一例を示す図である。
【図4】図1の太陽電池モジュールの盗難監視装置において、第2盗難位置テーブルの一例を示す図である。
【図5】(a),(b)は、図1の太陽電池モジュールの盗難監視装置の動作を説明する図である。
【図6】図1の太陽電池モジュールの盗難監視装置において、盗難判定処理の制御フローを示すフローチャートである。
【図7】図1の太陽電池モジュールの盗難監視装置において、盗難位置判定処理の制御フローを示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る太陽電池モジュールの盗難監視装置を示す要部拡大図である。
【図9】図8の太陽電池モジュールの盗難監視装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る太陽電池モジュールの盗難監視装置を用いた太陽電池モジュールの盗難監視システムの概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、太陽電池モジュールの盗難監視システム100は、本発明の太陽電池モジュールの盗難監視装置1と、太陽電池モジュールの盗難監視装置1が太陽電池モジュールMが盗難されたと判断したときに、警報を発する警報手段20と、を備えている。
【0017】
本実施の形態に係る太陽電池モジュールの盗難監視装置1は、ループ回路2と、ループ回路2の両端が接続され、太陽電池モジュールMの盗難を監視する盗難監視装置本体3と、を備えている。
【0018】
ループ回路2は、ループ状に形成された信号線4と、信号線4の途中に設けられ、監視対象となる複数の太陽電池モジュールMのそれぞれに接続される接続部5と、を有している。つまり、ループ回路2は、太陽電池モジュールMのそれぞれに接続される複数の接続部5を、信号線4により直列に接続した構成となっている。
【0019】
ここでは、監視対象となる太陽電池モジュールMがn台である場合を説明する。この場合、信号線4には、n台の太陽電池モジュールMに対応してn個の接続部5が設けられることになる。以下、説明の簡略化のため、ループ回路2の一端側から他端側(図1の上側から下側)にかけて、太陽電池モジュールMのモジュール番号が1,2,3,4,・・・,nであるとする。
【0020】
ループ回路2は、太陽電池モジュールMが盗難されたときに、当該盗難された太陽電池モジュールMに対応する接続部5にて信号線4が電気的に遮断されるように構成されている。具体的には、図2に示すように、接続部5は、信号線4の途中に設けられた信号線側コネクタ5aと、太陽電池モジュールMに設けられ、信号線側コネクタ5aを嵌合させたときに、信号線側コネクタ5aの前後の信号線4を電気的に接続してループ回路2を形成するモジュール側コネクタ5bと、からなり、太陽電池モジュールMの盗難時には、信号線側コネクタ5aとモジュール側コネクタ5bとの嵌合が解除され、信号線側コネクタ5aの前後の信号線4が電気的に遮断されるように構成されている。モジュール側コネクタ5bは、信号線側コネクタ5aに接続された信号線4の開放端同士を電気的に接続するモジュール側導電路5cを備えている。また、モジュール側コネクタ5bは、盗難時に太陽電池モジュールMから取り外すことができないように、太陽電池モジュールMと一体に形成されるか、あるいは太陽電池モジュールMに対して強固に固定される。
【0021】
接続部5を構成する信号線側コネクタ5a及びモジュール側コネクタ5bは、太陽電池モジュールMから電力を取り出すために用いられているコネクタと一体に構成してもよいし、別体としてもよい。
【0022】
なお、接続部5は、太陽電池モジュールMの盗難時に信号線4が電気的に遮断される構成であればどのような構成でもよく、図2のようなコネクタ型でなくとも、例えば、太陽電池モジュールMに形成した貫通孔に信号線4を通すなどして、信号線4を切断しなければ太陽電池モジュールMを盗難できないように構成してもよい。
【0023】
図1に戻り、ループ回路2の一端(信号線4の一端)は、盗難監視装置本体3の第1入出力部6に接続され、ループ回路2の他端(信号線4の他端)は、盗難監視装置本体3の第2入出力部7に接続される。また、第2入出力部7の近傍のループ回路2には、オープンショート回路8が挿入される。
【0024】
盗難監視装置本体3は、盗難判定部10と盗難位置判定部15とを備えている。これら盗難判定部10と盗難位置判定部15は、盗難監視装置本体3の制御基板3a内の基本回路3bに実装され、メモリ(RAM、ROM)やCPU、I/Oインターフェイス、ソフトウェア等を適宜組み合わせて実現される。
【0025】
盗難判定部10は、ループ回路2の一端(第1入出力部6)から第1パルス信号を送信し、第1パルス信号がループ回路2内で反射された第1反射信号をループ回路2の一端側(第1入出力部6)で受信したとき、太陽電池モジュールMが盗難されたと判定するよう構成される。盗難判定部10は、所定の時間間隔ごとに第1パルス信号を送信するように構成される。
【0026】
盗難位置判定部15は、第1盗難位置判定部11と第2盗難位置判定部12とを有している。
【0027】
第1盗難位置判定部11は、第1パルス信号を送信してから第1反射信号を受信するまでの時間T1を計測し、その計測した時間T1を基に、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の一端(第1入出力部6)に近い太陽電池モジュールMの位置を判定するよう構成される。
【0028】
本実施の形態では、予め時間T1ごとに盗難された太陽電池モジュールMのモジュール番号が設定された第1盗難位置テーブル13を備え、第1盗難位置判定部11は、計測した時間T1で第1盗難位置テーブル13を参照して、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の一端に近い太陽電池モジュールMのモジュール番号(以下、盗難モジュール番号P1という)を判定するように構成される。
【0029】
第1盗難位置テーブル13の設定例を図3に示す。図3の第1盗難位置テーブル13では、例えば、第1パルス信号を送信してから第1反射信号を受信するまでの時間T1がX0より大きくX1以下であれば、盗難モジュール番号P1は1となり、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の一端に近い太陽電池モジュールMの位置が判定できる。
【0030】
第2盗難位置判定部12は、ループ回路2の他端(第2入出力部7)から第2パルス信号を送信し、第2パルス信号を送信してから、第2パルス信号がループ回路2内で反射された第2反射信号をループ回路2の他端側(第2入出力部7)で受信するまでの時間T2を計測し、その計測した時間T2を基に、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の他端(第2入出力部7)に近い太陽電池モジュールMの位置を判定するよう構成される。
【0031】
本実施の形態では、予め時間T2ごとに盗難された太陽電池モジュールMのモジュール番号が設定された第2盗難位置テーブル14を備え、第2盗難位置判定部12は、計測した時間T2で第2盗難位置テーブル14を参照して、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の他端に近い太陽電池モジュールMのモジュール番号(以下、盗難モジュール番号P2という)を判定するように構成される。
【0032】
第2盗難位置テーブル14の設定例を図4に示す。図4の第2盗難位置テーブル14では、例えば、第2パルス信号を送信してから第2反射信号を受信するまでの時間T2がY0より大きくY1以下であれば、盗難モジュール番号P2はnとなり、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の他端に近い太陽電池モジュールMの位置が判定できる。
【0033】
また、盗難位置判定部15は、第1盗難位置判定部11が判定した盗難モジュール番号P1と、第2盗難位置判定部12が判定した盗難モジュール番号P2とを比較し、盗難モジュール番号P1と盗難モジュール番号P2が等しければ、盗難位置が盗難モジュール番号P1(=盗難モジュール番号P2)であると判定し、盗難モジュール番号P1と盗難モジュール番号P2が等しくなければ、盗難位置が盗難モジュール番号P1から盗難モジュール番号P2までの範囲であると判定し、判定した盗難位置を盗難位置信号として警報手段20に出力する。なお、本実施の形態では、盗難位置信号が盗難検知の役割を兼ねているが、盗難位置信号とは別に、盗難を検知した段階で盗難検知信号を警報手段20に出力するように構成してもよい。
【0034】
警報手段20は、太陽電池モジュールの盗難監視装置1の盗難位置判定部15から盗難位置情報を受信すると、警告灯21を点灯して太陽電池モジュールMの盗難があったことを管理者に知らせると共に、モニタ22に盗難位置を表示し、これと同時に、警報メール送信手段23により、管理者の携帯電話等に警報メールを送信して、太陽電池モジュールMの盗難があったこと及びその盗難位置を通知する。
【0035】
なお、警報手段20は上述のものに限定されず、例えば、各太陽電池モジュールMの近傍に音や光を発する威嚇手段を設け、警報手段20により、盗難位置に対応する威嚇手段を作動させて盗難を未然に防ぐようにしてもよい。
【0036】
次に、太陽電池モジュールの盗難監視装置1の動作を説明する。
【0037】
まず、盗難監視の実施に先立ち、第1盗難位置テーブル13と第2盗難位置テーブル14の設定を行う。この際には、図5(a)に示すように、オープンショート回路8をオープン(開放)した状態で、第1入出力部6よりパルス信号を送信する。すると、開放されたオープンショート回路8にてパルス信号が反射され、その反射信号が第1入出力部6で受信される。このときのパルス信号を送信してから反射信号を受信するまでの時間T0を計測し、計測した時間T0を基準として、第1盗難位置テーブル13と第2盗難位置テーブル14の設定を行う。
【0038】
その後、オープンショート回路8をショート(短絡)し、盗難判定の処理(以下、盗難判定処理という)を開始する。太陽電池モジュールの盗難監視装置1では、太陽電池モジュールMが盗難されると、その盗難された太陽電池モジュールMに対応する接続部5にて信号線4が電気的に遮断されるので、図5(b)に示すように、第1入出力部6より第1パルス信号を送信すると、電気的に遮断された接続部5にて第1パルス信号が反射され、その反射された信号である第1反射信号が第1入出力部6で受信されることになる。このときの第1パルス信号を送信してから第1反射信号を受信するまでの時間T1を計測し、その時間T1で予め設定した第1盗難位置テーブル13を参照すれば、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の一端に近い太陽電池モジュールMの位置(盗難モジュール番号P1)が判定できることになる。
【0039】
さらに同様にして、第2入出力部7より第2パルス信号を送信すると、電気的に遮断された接続部5にて第2パルス信号が反射され、第2反射信号が第2入出力部7で受信されることになる。このときの第2パルス信号を送信してから第2反射信号を受信するまでの時間T2を計測し、その時間T2で予め設定した第2盗難位置テーブル14を参照すれば、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の他端に近い太陽電池モジュールMの位置(盗難モジュール番号P2)が判定できることになる。
【0040】
1つの太陽電池モジュールMが盗難された場合、盗難モジュール番号P1,P2は同じ番号となるが、複数の太陽電池モジュールMが盗難された場合には、盗難モジュール番号P1,P2は違う番号(P1<P2)となり、P1〜P2の範囲で太陽電池モジュールMが盗難されたことを判定することが可能となる。
【0041】
次に、盗難判定処理の制御フローを図6,7を用いて具体的に説明する。
【0042】
図6に示すように、盗難判定処理では、まず、ステップS1にて、盗難判定部10が第1入出力部6より第1パルス信号を送信し、その後、ステップS2にて、第1盗難位置判定部11がタイマT1をスタートする。
【0043】
ステップS3では、盗難判定部10が、第1入出力部6で第1反射信号を受信したかを判定する。ステップS3でNOと判定された場合、ステップS4にて、盗難判定部10が、第2入出力部7で第1パルス信号を受信したかを判定する。ステップS4でNOと判定された場合、ステップS3に戻り、YESと判定された場合、ステップS7に進む。ステップS7では、盗難判定部10が太陽電池モジュールMが盗難されていないと判断し、ステップS8に進む。
【0044】
ステップS3でYESと判定された場合、ステップS5にて、盗難判定部10が太陽電池モジュールMが盗難されたと判断し、ステップS6にて、盗難位置判定処理を行った後、ステップS8に進む。
【0045】
ステップS8では、第1盗難位置判定部11がタイマT1をリセットする。その後、ステップS9にて所定時間待機した後、リターンする(ステップS1に戻る)。
【0046】
ステップS6の盗難位置判定処理では、図7に示すように、まず、ステップS10にて、第1盗難位置判定部11がタイマT1を計測し、ステップS11にて、予め設定した第1盗難位置テーブル13(図3参照)に基づき、ステップS10で計測したタイマT1より盗難モジュール番号P1を判定する。
【0047】
その後、ステップS12にて、第2盗難位置判定部12が第2入出力部7より第2パルス信号を送信し、その後、ステップS13にて、第2盗難位置判定部12がタイマT2をスタートする。
【0048】
ステップS14では、第2盗難位置判定部12が、第2入出力部7で第2反射信号を受信したかを判定する。ステップS14でNOと判定された場合、ステップS14を繰返し、YESと判定された場合、ステップS15に進む。
【0049】
ステップS15では、第2盗難位置判定部12がタイマT2を計測する。その後、ステップS16にて、予め設定した第2盗難位置テーブル14(図4参照)に基づき、ステップS15で計測したタイマT2より盗難モジュール番号P2を判定する。
【0050】
その後、ステップS17にて、盗難位置判定部15が、ステップS11で判定した盗難モジュール番号P1と、ステップS16で判定した盗難モジュール番号P2が等しいかを判定する。ステップS17でYESと判定された場合、ステップS18にて、盗難位置判定部15が、盗難位置を盗難モジュール番号P1と判定し、ステップS20に進む。ステップS17でNOと判定された場合、ステップS19にて、盗難位置判定部15が、盗難位置を盗難モジュール番号P1〜P2の範囲と判定し、ステップS20に進む。
【0051】
ステップS20では、盗難位置判定部15が、ステップS18またはS19で判定した盗難位置を、盗難位置信号として警報手段20に送信する。その後、ステップS21にて、第2盗難位置判定部12がタイマT2をリセットし、処理を終了する。
【0052】
本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
本実施の形態に係る太陽電池モジュールの盗難監視装置1では、太陽電池モジュールMが盗難されたときに、当該盗難された太陽電池モジュールMに対応する接続部5にて信号線4が電気的に遮断されるようにループ回路2を構成し、ループ回路2の一端から第1パルス信号を送信し、第1パルス信号がループ回路2内で反射された第1反射信号をループ回路2の一端側で受信したとき、太陽電池モジュールMが盗難されたと判定すると共に、第1パルス信号を送信してから第1反射信号を受信するまでの時間T1を基に、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の一端に近い太陽電池モジュールMの位置を判定し、さらに、ループ回路2の他端から第2パルス信号を送信し、第2パルス信号を送信してから第2反射信号をループ回路2の他端側で受信するまでの時間T2を基に、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の他端に近い太陽電池モジュールMの位置を判定するようにしている。
【0054】
このように構成することで、複数の太陽電池モジュールMが盗難された場合であっても、太陽電池モジュールMが盗難された可能性のある範囲や、複数の太陽電池モジュールMが盗難された位置を特定することが可能となる。
【0055】
また、太陽電池モジュールの盗難監視装置1は、特許文献1のようにループ回路2に常時電流を流す構成ではなく、所定の時間間隔ごとに第1パルス信号を送信する構成であるため、消費電力を低く抑えることができる。
【0056】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0057】
図8に示す太陽電池モジュールの盗難監視装置81は、図1の太陽電池モジュールの盗難監視装置1において、太陽電池モジュールMのそれぞれに接続される接続部5に、信号線4に対してインピーダンスが不整合となる反射素子5dを設けたものである。反射素子5dは、例えば抵抗からなり、モジュール側コネクタ5bのモジュール側導電路5cに設けられる。
【0058】
太陽電池モジュールの盗難監視装置81では、図9に示すように、ループ回路2の一端から第1パルス信号を送信すると、各反射素子5dで第1パルス信号の一部が反射して、ループ回路2の一端に順次戻ってくる。この反射素子5dで反射される第1反射信号は、太陽電池モジュールMが盗難されたときに受信される第1反射信号と比較して、非常に小さい。よって、太陽電池モジュールの盗難監視装置81では、盗難判定部10は、受信した第1反射信号の信号強度が予め設定した判定用閾値以上あれば、太陽電池モジュールMが盗難されたと判定するように構成される。
【0059】
さらに、太陽電池モジュールの盗難監視装置81では、第1パルス信号を送信してから第1反射信号(判定用閾値以上の第1反射信号)を受信するまでの時間T1を計測せずとも、反射素子5dにて反射される第1反射信号をカウントしておけば、判定用閾値以上の信号強度の前記第1反射信号を受信したときのカウントから、盗難された太陽電池モジュールMの位置(太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の一端に近い太陽電池モジュールMの位置)を判定することが可能である。一例として、図9の盗難時の例では、4つ目の第1反射信号が判定用閾値以上の信号強度となっているので、盗難モジュール番号P1は4となる。
【0060】
第2盗難位置判定部12についても同様に、ループ回路2の他端から第2パルス信号を送信した後、反射素子にて反射される第2反射信号をカウントし、判定用閾値よりも大きい信号強度の第2反射信号を受信したときのカウントから、盗難された太陽電池モジュールMのうち最もループ回路2の他端に近い太陽電池モジュールMの位置を判定するように構成すればよい。
【0061】
したがって、太陽電池モジュールの盗難監視装置81によれば、第1盗難位置テーブル13や第2盗難位置テーブル14を省略することが可能であり、盗難監視装置本体3をより簡略な構成とすることができる。また、太陽電池モジュールの盗難監視装置81によれば、第1反射信号を常時カウントすることにより、太陽電池モジュールMが盗難されていないことを積極的に検知でき、信頼性を向上できる。
【0062】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0063】
例えば、上記実施の形態では、太陽電池モジュールMに接続部5を接続し、太陽電池モジュールMの盗難を検知する場合を説明したが、本発明によれば、例えば、太陽電池モジュールMを構成する太陽電池パネルのそれぞれに接続部5を接続し、太陽電池パネルの盗難を検知することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 太陽電池モジュールの盗難監視装置
2 ループ回路
3 盗難監視装置本体
4 信号線
5 接続部
10 盗難判定部
11 第1盗難位置判定部
12 第2盗難位置判定部
15 盗難位置判定部
M 太陽電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状に形成された信号線と、該信号線の途中に設けられ、監視対象となる複数の太陽電池モジュールのそれぞれに接続される接続部と、を有し、前記太陽電池モジュールが盗難されたときに、当該盗難された太陽電池モジュールに対応する前記接続部にて前記信号線が電気的に遮断されるように構成されたループ回路と、
該ループ回路の両端が接続され、前記太陽電池モジュールの盗難を監視する盗難監視装置本体と、を備え、
前記盗難監視装置本体は、
前記ループ回路の一端から第1パルス信号を送信し、該第1パルス信号が前記ループ回路内で反射された第1反射信号を前記ループ回路の一端側で受信したとき、前記太陽電池モジュールが盗難されたと判定する盗難判定部と、
前記太陽電池モジュールが盗難された位置を判定する盗難位置判定部と、
を有し、
前記盗難位置判定部は、
前記第1パルス信号を送信してから前記第1反射信号を受信するまでの時間を計測し、その計測した時間を基に、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の一端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第1盗難位置判定部と、
前記ループ回路の他端から第2パルス信号を送信し、該第2パルス信号を送信してから、前記第2パルス信号が前記ループ回路内で反射された第2反射信号を前記ループ回路の他端側で受信するまでの時間を計測し、その計測した時間を基に、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の他端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第2盗難位置判定部と、を有する
ことを特徴とする太陽電池モジュールの盗難監視装置。
【請求項2】
前記接続部は、
前記信号線の途中に設けられた信号線側コネクタと、前記太陽電池モジュールに設けられ、前記信号線側コネクタを嵌合させたときに、前記信号線側コネクタの前後の前記信号線を電気的に接続して前記ループ回路を形成するモジュール側コネクタと、からなり、
前記太陽電池モジュールの盗難時に、前記信号線側コネクタと前記モジュール側コネクタとの嵌合が解除され、前記信号線側コネクタの前後の前記信号線が電気的に遮断されるように構成されている
請求項1記載の太陽電池モジュールの盗難監視装置。
【請求項3】
ループ状に形成された信号線と、該信号線の途中に設けられ、監視対象となる複数の太陽電池モジュールのそれぞれに接続される接続部と、該接続部に設けられ、前記信号線に対してインピーダンスが不整合となる反射素子と、を有し、前記太陽電池モジュールが盗難されたときに、当該盗難された太陽電池モジュールに対応する前記接続部にて前記信号線が電気的に遮断されるように構成されたループ回路と、
該ループ回路の両端が接続され、前記太陽電池モジュールの盗難を監視する盗難監視装置本体と、を備え、
前記盗難監視装置本体は、
前記ループ回路の一端から第1パルス信号を送信し、該第1パルス信号が前記ループ回路内で反射された第1反射信号を前記ループ回路の一端側で受信したとき、その受信した前記第1反射信号の信号強度が予め設定した判定用閾値以上であれば、前記太陽電池モジュールが盗難されたと判定する盗難判定部と、
前記太陽電池モジュールが盗難された位置を判定する盗難位置判定部と、
を有し、
前記盗難位置判定部は、
前記反射素子にて反射される第1反射信号をカウントし、前記判定用閾値以上の信号強度の前記第1反射信号を受信したときのカウントから、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の一端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第1盗難位置判定部と、
前記ループ回路の他端から第2パルス信号を送信し、該第2パルス信号が前記ループ回路内で反射された第2反射信号を前記ループ回路の他端側で受信すると共に、前記反射素子にて反射される第2反射信号をカウントし、前記判定用閾値よりも大きい信号強度の前記第2反射信号を受信したときのカウントから、盗難された前記太陽電池モジュールのうち最も前記ループ回路の他端に近い前記太陽電池モジュールの位置を判定する第2盗難位置判定部と、を有する
ことを特徴とする太陽電池モジュールの盗難監視装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の太陽電池モジュールの盗難監視装置と、
該太陽電池モジュールの盗難監視装置が前記太陽電池モジュールが盗難されたと判断したときに、警報を発する警報手段と、
を備えたことを特徴とする太陽電池モジュールの盗難監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−164122(P2012−164122A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23838(P2011−23838)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】