説明

太陽電池用封止材

【課題】太陽電池用封止材は、太陽光が透過することから、シート状に加熱成形されても黄変が少ない材料であることが求められている。
【解決手段】エチレンに由来する構造単位を含有する熱可塑性ポリマーと、式(1)


(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方はアルキル基を表す。Qは、単結合、−CHCHCO−*、又は、−CHCHCONH−*を表す。ここで、*は当該結合手がXとの結合手であることを表す。nは1〜4の整数を表す。Xは、炭素数1〜22のn価の炭化水素基又は硫黄原子を表す。該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表されるフェノール系化合物とを含有することを特徴とする太陽電池用封止材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用封止材等に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用封止材として、エチレン・酢酸ビニル共重合体が市販され、シート状に加工されて用いられている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】太陽電池封止シート製造設備の増設について(2005年6月7日)[平成21年6月30日検索]<URL:http://jp.mitsuichem.com/release/2005/pdf/050607.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池用封止材は、太陽光が透過することから、シート状に加熱成形されても黄変が少ない材料であることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の<1>〜<16>記載の発明に至った。すなわち、本発明は、
<1> エチレンに由来する構造単位を含有する熱可塑性ポリマーと、式(1)

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方はアルキル基を表す。Qは、単結合、−CHCHCO−*、又は、−CHCHCONH−*を表す。ここで、*は当該結合手がXとの結合手であることを表す。nは1〜4の整数を表す。Xは、炭素数1〜22のn価の炭化水素基又は硫黄原子を表す。該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表されるフェノール系化合物とを含有することを特徴とする太陽電池用封止材;
【0006】
<2> 熱可塑性ポリマー100重量部に対し、式(1)で表されるフェノール系化合物を0.001重量部〜5重量部含有することを特徴とする<1>記載の太陽電池用封止材;
<3> 式(1)で表されるフェノール系化合物が、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン又はテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリチルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする<1>又は<2>記載の太陽電池用封止材;
【0007】
<4> 太陽電池用封止材が、さらに、式(2’)

(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。)
で表される構造を有するピペリジン系化合物を含有することを特徴とする<1>〜<3>のいずれか記載の太陽電池用封止材;
<5> 前記式(2’)で表される構造を有するピペリジン系化合物が、式(2)

(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Aは、炭素数1〜10のアルキレン基又は式(3)

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で表される2価の基)
で表されるピペリジン系化合物であることを特徴とする<4>記載の太陽電池用封止材;
【0008】
<6> 太陽電池用封止材が、さらに、式(4)
(R−Y−S−CH−CH−CO)−Z (4)
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−CHCH−CO−基を表し、mは1〜4の数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。)
で表される含硫黄化合物を含有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれか記載の太陽電池用封止材;
【0009】
<7> 太陽電池用封止材が、さらに、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする<1>〜<6>のいずれか記載の太陽電池用封止材;
<8> 紫外線吸収剤が、式(5)

(式中、R11〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R17は、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
で表されるシュウ酸ジアニリド系化合物であることを特徴とする<7>記載の太陽電池用封止材;
<9> 太陽電池用封止材が、さらに、架橋剤を含有することを特徴とする<1>〜<8>のいずれか記載の太陽電池用封止材;
<10> 架橋剤が、有機過酸化物であることを特徴とする<9>記載の太陽電池用封止材;
<11> 太陽電池用封止材が、さらに、架橋助剤を含有することを特徴とする<9>又は<10>記載の太陽電池用封止材;
<12> 太陽電池用封止材が、さらに、シランカップリング剤を含有することを特徴とする<1>〜<11>のいずれか記載の太陽電池用封止材;
<13> 熱可塑性ポリマーがエチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含有する重合体であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか記載の太陽電池用封止材;
【0010】
<14> 太陽電池用封止材の黄変を低減させるための、式(1)

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方はアルキル基を表す。Qは、単結合、−CHCHCO−*、又は、−CHCHCONH−*を表す。ここで、*は当該結合手がXとの結合手であることを表す。nは1〜4の整数を表す。Xは、炭素数1〜22のn価の炭化水素基又は硫黄原子を表す。該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表されるフェノール系化合物の使用;
【0011】
<15> <1>〜<13>のいずれか記載の太陽電池用封止材を加熱成形してシート状の成形品を得る工程と、得られたシート状の成形品を太陽電池用のセルの両面または片面に貼合する工程とを含む太陽電池用セルの封止方法;
【0012】
<16> <1>〜<13>のいずれか記載の太陽電池用封止材を加熱成形して得られる成形品;
等である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の太陽電池用封止材は、シート状に加熱成形されても黄変が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の太陽電池用封止材は、エチレンに由来する構造単位を含有する熱可塑性ポリマー(以下、エチレン系ポリマーと記すことがある)を含む。
エチレン系ポリマーとしては、例えば、エチレンに由来する構造単位と、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセンなどの炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレンに由来する構造単位とグリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有単量体に由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレンに由来する構造単位とα,β−不飽和カルボン酸類に由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレン及び/又はプロピレンに由来する構造単位と酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどの炭素数2〜5程度のカルボン酸のビニルエステルに由来する構造単位とを含む共重合体等を挙げることができる。
【0015】
α,β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸、例えば、前記α,β−不飽和カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などの前記α,β−不飽和カルボン酸金属塩、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水ハイミック酸などの不飽和カルボン酸無水物、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのアクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜12程度のアルキルとのエステル等を挙げることができる。
【0016】
エチレン系ポリマーとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、1−ブテンに由来する構造単位を含む)、エチレン・プロピレンゴム(EPR)などのエチレンに由来する構造単位と炭素数3以上のα−オレフィンに由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレンとグリシジルメタクリレートとの共重合体などのエチレンに由来する構造単位とエポキシ基含有単量体に由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)などのエチレンに由来する構造単位と、α,β−不飽和カルボン酸エステルに由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレン・ビニルアセテート共重合体(EVA)などのエチレンに由来する構造単位とカルボン酸のビニルエステルに由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレン・無水マレイン酸共重合体などのエチレンと不飽和カルボン酸無水物との共重合体、例えば、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMMA)などのエチレンに由来する構造単位と不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含む共重合体、例えば、エチレン-メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋した樹脂であるアイオノマー樹脂等のエチレンに由来する構造単位と不飽和カルボン酸に由来する構造単位とを含む共重合体が金属塩を含むもの等が挙げられる。
【0017】
好ましいエチレン系ポリマーとしては、例えば、エチレンに由来する構造単位とα,β−不飽和カルボン酸エステルに由来する構造単位とを含む共重合体、エチレンに由来する構造単位とカルボン酸のビニルエステルに由来する構造単位とを含む共重合体等を挙げることができ、より好ましくは、例えば、エチレンに由来する構造単位とカルボン酸のビニルエステルに由来する構造単位とを含む共重合体等が挙げられ、とりわけ、より好ましくは、例えば、エチレンに由来する構造単位と酢酸ビニルエステルに由来する構造単位とを含む共重合体等が挙げられる。
【0018】
エチレン系ポリマーにおけるエチレンに由来する構造単位の含有量としては、例えば、50〜95重量%の範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、55〜90重量%等が挙げられる。
【0019】
エチレン系ポリマーのメルトフローレート(MFR)としては、例えば、4〜100g/10分の範囲等を挙げることができる。好ましくは、例えば、5〜50g/10分の範囲等が挙げられ、より好ましくは、例えば、6〜20g/10分の範囲等が挙げられる。以下であり、更に好ましくは10g/10分以下である。なお、該MFRは、JIS K7210−1995に従い、温度190℃および荷重21.18Nの条件でA法により測定される。
【0020】
エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する構造単位と、他の単量体に由来する構造単位とのブロック重合体又はランダム重合体であり、特にランダム重合体であることが好ましい。
【0021】
エチレン系ポリマーの製造法としては、例えば、エチレン雰囲気下にて、他の単量体、及び、ラジカル重合触媒、イオン重合触媒などの触媒存在下、重合させることにより製造する方法などを挙げることができる。触媒としては、例えば、過酸化物触媒、チグラー−ナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が挙げられ、重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、高圧ラジカル重合法、及び気相重合法等が挙げられる。
【0022】
本発明の太陽電池用封止材は、前記式(1)で表されるフェノール系化合物(以下、化合物(1)と記すことがある)を含有する。
式(1)中、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基などの炭素数1〜8のアルキル基を表し、好ましくは、分岐状の炭素数が3〜8のアルキル基、より好ましくは、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基である。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R10及びR11の少なくとも一方はアルキル基を表す。R及びRは、どちらか一方が、水素原子である場合は、他方は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等であることが好ましい。より好ましくは、R及びRは、どちらか一方が、水素原子である場合は、他方は、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基である。R及びRのどちらも水素原子でない場合は、R及びRは、いずれもメチル基であることが好ましい。
【0023】
Qは、単結合、−CHCHCO−*、又は、−CHCHCONH−*を表す。ここで、*は当該結合手がXとの結合手であることを表す。好ましくは、単結合または−CHCHCO−*基である。
Xは、炭素数1〜22のn価の炭化水素基又は硫黄原子を表す。該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、アルキル基が置換されていてもよい炭素数6〜22のアラルキル基、炭素数1〜18のアルキレン基などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などが挙げられる。
Xとしては、中でも、ヘテロ原子を含む炭素数6〜22のアラルキル基、ヘテロ原子を含み炭素数3〜22の環状構造を有する炭化水素基、炭素数3〜22の環状構造を有する炭化水素基であることが好ましい。
【0024】
Qが単結合であり、nが1である場合のXとしては下式などが例示される。

【0025】
Qが−CCO−基であり、nが2又は4である場合は、ヘテロ原子および/又は環状基を含んでもよい炭素数1〜18のn価のアルコール残基であることが好ましく、具体的には、トリエチレングリコール残基、ペンタエリスリトール残基、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンの残基等が好ましい。
【0026】
Qが単結合であり、nが2であるXとしては、チオエーテル基、メチレン基、エチリデン基、ブチリデン基等が好ましい。
Qが単結合であり、nが3であるXとしては下式などが例示される。

【0027】
本発明の太陽電池封止材において、化合物(1)は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0028】
化合物(1)としては、例えば、
3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、
ビス{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸}トリエチレングリコリルエステル、
テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル、
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、
2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、
4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
等を挙げることができる。
好ましい化合物(1)としては、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、テトラキス[3−(3,5−ジ−trt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリチルエステル等を挙げることができる。
【0029】
本発明の太陽電池封止材は、エチレン系ポリマー100重量部に対して、化合物(1)を0.001〜5重量部、より好ましくは、0.05〜3重量部、とりわけより好ましくは、0.01〜2重量部含むことが好ましい。化合物(1)の含有量が0.001重量部以上だと、高温で成形しても、得られる太陽電池封止材の黄変が低減する傾向や、得られる太陽電池封止材をさらに光に長時間、透過させた後の黄変が低減する傾向があることから好ましい。また、5重量部以下だと、得られる太陽電池封止材に光を透過させた際の光線透過率が向上する傾向があることから好ましい。
【0030】
本発明の太陽電池封止材は、さらに、式(2’)

で表される構造を有するピペリジン系化合物(以下、ピペリジン系化合物と記すことがある)を含有することが好ましい。
式中、Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し。好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。具体的なRとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t-ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ブトキシ基等を挙げることができる。
Yは酸素原子又は窒素原子を表す。
【0031】
ピペリジン系化合物としては、例えば、式(2)

(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Aは、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜10のアルキレン基又は式(3)

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で表される2価の基)
で表されるピペリジン系化合物;
【0032】
例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) 2−(3,5−ジ-t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) 2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート;
例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレート、4−[3−(3,5−ジ-t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ-t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6-テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ-N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド;
【0033】
例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチル サクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)];
【0034】
例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物等が挙げられる。
【0035】
ピペリジン系化合物は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
ピペリジン系化合物としては、化合物(2)が好ましい。
化合物(2)としては、例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル、セバシン酸ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のセバシン酸を含むピペリジン系化合物;
【0036】
アジピン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、アジピン酸ビス(1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のアジピン酸を含むピペリジン系化合物;
コハク酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のコハク酸を含むピペリジン系化合物等を挙げることができる。
【0037】
より好ましくは、例えば、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)及びセバシン酸(メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)の混合物、並びにセバシン酸(メチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−n−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−オクチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−n−ブトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等を挙げられ、
中でもより好ましくは、例えば、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、コハク酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、セバシン酸ビス[1−(オクチルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等が挙げられる。
【0038】
本発明の太陽電池用封止材は、エチレン系ポリマー100重量部に対して、ピペリジン系化合物を0.001〜5重量部、より好ましくは、0.05〜3重量部、とりわけより好ましくは、0.01〜2重量部含有することが好ましい。ピペリジン系化合物の含有量が0.001重量部以上だと、得られる成形品の黄変度が低減する傾向や、得られる成形品に光を長時間、透過させた後の黄変度が低減する傾向があることから好ましい。また、5重量部以下だと、得られる成形品に光を透過させた際の光線透過率が向上する傾向があることから好ましい。
【0039】
太陽電池用封止材が、さらに、前記式(4)で表される含硫黄化合物(以下、化合物(4)と記すことがある)を含有していてもよい。
式(4)中、Rは、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基などの炭素数12〜18のアルキル基を表す。
Yは単結合又は−CHCH−CO−基を表す。ここで、Yの−CHCH−CO−基はカルボオキシ基が硫黄原子に結合している。
mは1〜4の数を表し、Zはドデシルアルコールの残基、テトラデシルアルコールの残基、オクタデシルアルコールの残基又はペンタエリスリトールの残基などの炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。
Yが単結合である場合は、Rがドデシル基であり、mが4であり、Zがペンタエリスリトール残基である化合物が好ましい。また、Yが−CH−CH−CO−基である場合は、Rがドデシル基、テトラデシル基又はオクタデシル基であり、mが1であり、Zが上記Rに対応する炭素数12〜18のアルコール残基であることが好ましい。
ここで、アルコール残基とは、アルコールから水素原子を除いた基を意味する。
【0040】
本発明の組成物において、化合物(4)は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0041】
化合物(4)の具体例としては、例えば、
3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−n−ドデシルエステル、
3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−n−テトラデシルエステル、
3,3’−チオジプロピオン酸−ジ−n−オクタデシルエステル、
テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸)ペンタエリスリチルエステル
等を挙げることができる。
【0042】
本発明の太陽電池用封止材は、エチレン系ポリマー100重量部に対して、化合物(4)を0〜5重量部、より好ましくは、0.005〜3重量部、とりわけより好ましくは、0.05〜3重量部含むことが好ましい。
【0043】
太陽電池用封止材が、さらに、紫外線吸収剤を含有していてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、式(5)

(式中、R11〜R16としては、例えば、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;ヒドロキシ基;メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、n−ブチル基などの炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t-ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。
11〜R16は、互いに同じでも異なっていてもよい。
17は、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
で表される化合物(以下、化合物(5)と記すことがある)等のシュウ酸ジアニリド系紫外線吸収剤;
【0044】
例えば、式(6)

(式中、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基等を表す。アルキル基、フェニル基、ベンジル基、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の水素原子は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
で表される化合物等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
【0045】
例えば、式(7)

(式中、R20は、水素原子又はハロゲン原子を表す)
の構造を有する化合物等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
【0046】
例えば、式(8)

(式中、R21は、水酸基を表し、R22は、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表し、R23〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基等を表す。アルキル基、フェニル基、ベンジル基、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の水素原子は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。)
で表される化合物等のトリアジン系紫外線吸収剤;
【0047】
例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0048】
化合物(5)としては、例えば、
N−(2−メチルフェニル)−N’−(2−メトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(2−t−ブチルフェニル)−N’−(2−t−ブトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(5−t−ブチル−2−メトキシフェニル)−N’−(4−t−ブチル−2−メチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(5−t−ブチル−2−エトキシフェニル)−N’−(4−t−ブチル−2−エチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(5−t−ブチル−2−t−ブトキシフェニル)−N’−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−メチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−エチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−t−ブチルチルフェニル)シュウ酸ジアミド、
N,N’−ビス(2−メトキシフェニル)シュウ酸ジアミド
N,N’−ビス(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド
N,N’−ビス(2−t−ブトキシフェニル)シュウ酸ジアミドなどが挙げられ、
好ましくは、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、
N−(5−t−ブチル−2−エトキシフェニル)−N’−(4−t−ブチル−2−エチルフェニル)シュウ酸ジアミド等を挙げることができる。
【0049】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(2−ヒドロキシエチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0050】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等、あるいは2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、3,3−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}プロパン、2,2−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}ブタン、2,2’−オキシビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルフィド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホキシド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホン、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕アミン等が挙げられる。
【0051】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等が挙げられる。
【0052】
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0053】
紫外線吸収剤としては、単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
好ましい紫外線吸収剤としては、例えば、化合物(5)等を挙げることができ、より好ましくは、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(5−t−ブチル−2−エトキシフェニル)−N’−(4−t−ブチル−2−エチルフェニル)シュウ酸ジアミド等を挙げることができる。
【0054】
本発明の太陽電池用封止材は、エチレン系ポリマー100重量部に対して、紫外線吸収剤を0〜5重量部、より好ましくは、0.005〜3重量部、とりわけより好ましくは、0.05〜3重量部含むことが好ましい。
【0055】
本発明の太陽電池用封止材には、架橋剤が含まれていてもよい。
架橋剤としては、例えば、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するもの等を挙げることができる。架橋剤の半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
太陽電池を作成する際に、架橋剤が架橋して太陽電池中のセルを封止することができる。
【0056】
架橋剤としては、有機過酸化物が好ましく、例えば、2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;3,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−パーオキシ)ヘキサン−3,4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン;ジクミルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド、等がより好ましく挙げられる。これらは、一種単独で用いられてもよく、二種以上を混合して用いられてもよい。
【0057】
さらに好ましくは、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、3,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、および3−ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
【0058】
本発明の太陽電池用封止材における架橋剤の含有量としては、例えば、エチレン系ポリマー100重量部に対して、0.1〜5重量部等を挙げることができ、好ましくは0.3〜3重量部である。
【0059】
本発明の太陽電池用封止材組成物には、さらに、架橋助剤(化合物(1)〜(5)及び架橋剤とは異なる化合物であって、官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)が含まれていてもよい。
架橋助剤としては、例えば、エチレングリコール・ジメタクリレート,トリメチロールプロパン・トリメタクリレート、多価アルコールメタクリレートおよびアクリレート,N,N−m−フェニレンジマレイミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸マグネシウム等を挙げることができる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
架橋助剤の含有量としては、エチレン系ポリマー100重量部に対して、例えば、10重量部以下、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜3.5重量部等を挙げることができる。
【0060】
本発明の太陽電池用封止材には、さらに、シランカップリング剤が含まれていてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量としては、例えば、エチレン系ポリマー100重量部に対して5重量部以下、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0061】
本発明の太陽電池用封止材は、さらに、ポリビニルアセタール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB)、塩化ビニル樹脂を含有していてもよい。好ましくは、PVB樹脂が例示される。
【0062】
本発明の太陽電池用封止材は、太陽電池用封止材の特性に影響を与えない範囲で、さらに、次の添加剤群に記載された添加剤を含むことができる。
[添加剤群:中和剤、リン系酸化防止剤、金属石鹸、高級脂肪酸、アンチブロッキング剤、顔料、難燃剤、造核剤、充填剤、発泡剤及び発泡助剤]
【0063】
上記の添加剤としては、以下の添加剤が例示される。
中和剤としては、例えば、合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム等が挙げられる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0064】
リン系酸化防止剤としては、例えば、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン ジホスフォナイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。 これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0065】
金属石鹸としては、例えば、ステアリン酸のLi塩、ステアリン酸のNa塩、ステアリン酸のMg塩、ステアリン酸のK塩、ステアリン酸のCa塩、ステアリン酸のBa塩、ステアリン酸のAl塩、ステアリン酸のZn塩、ステアリン酸のFe塩、ラウリン酸のCa塩、ラウリン酸のBa塩、ラウリン酸のZn塩、ベヘン酸のCa塩、ベヘン酸のBa塩、ベヘン酸のZn塩、12−ヒドロキシステアリン酸のCa塩、12−ヒドロキシステアリン酸のMg塩、12−ヒドロキシステアリン酸のZn塩等が挙げられる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0066】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0067】
アンチブロッキング剤としては、例えば、アルミニウムシリケート、合成シリカ、天然シリカ、ゼオライト、カオリンや珪藻土等の無機又は有機アンチブロッキング剤が挙げられる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0068】
顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン又はペリニン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料等が挙げられる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0069】
難燃剤としては、デカブロモビフェニル、三酸化アンチモン、リン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0070】
造核剤としては、安息香酸ナトリウム、リン酸2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどが挙げられる。そして、これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0071】
充填剤としては、炭酸カルシウム、珪酸塩、ガラス繊維、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライト、金属粉、金属酸化物等が挙げられる。そして、これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0072】
発泡剤および発泡助剤としては、例えばアゾジカルボン酸アミド等のアゾカルボン酸誘導体、N.N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物等が挙げられる。そして、これらを単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0073】
本発明の太陽電池用封止材は、エチレン系ポリマー及び化合物(1)を含む。その製造方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどのバッチ式混合機等で、エチレン系ポリマー及び化合物(1)、さらに必要に応じて、化合物(2)、化合物(4)、化合物(5)及び添加剤をドライブレンドする方法などが挙げられる。
【0074】
次に、本発明の太陽電池用封止材を用いる太陽電池用セルの封止方法について説明する。かかる封止方法は、太陽電池用封止材を加熱成形してシート状の成形品を得る工程と、得られたシート状の成形品を太陽電池用のセルの両面または片面に貼合する工程とを含む。かかる太陽電池用のセルとしては、例えばシリコン結晶等が挙げられる。
【0075】
加熱成形方法としては、例えば、本発明の太陽電池用封止材を単軸または多軸押出し機を用いて60℃から架橋剤が架橋しない程度の温度範囲、好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で溶融押出してペレット状に成形する方法、例えば、前記ペレット状の成形品をさらに60℃から架橋剤が架橋しない程度の温度範囲、好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で加熱しながら、射出成形する方法、例えば、前記ペレット状の成形品をさらに60℃から架橋剤が架橋しない程度の温度範囲、好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で加熱しながら、Tダイなどから押出成形する方法、例えば、本発明の太陽電池用封止材を有機溶媒に溶解したのち、基材等に塗工し、60℃から架橋剤が架橋しない程度の温度範囲、好ましくは60℃〜200℃、より好ましくは70℃〜180℃で該有機溶媒を留去して、シート状の成形品を得る方法等を挙げることができる。
【0076】
本発明の太陽電池用封止材は加熱成形されてもイエローネスインデックス(YI)値が小さく、黄変が少ない。さらに、本発明の太陽電池用封止材は、光照射されても黄変が少ない傾向にある。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
以下に示す各成分を、窒素雰囲気下でラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて50rpm、85℃で5分間混練し、本発明の太陽電池用封止材を得た。
次いで、該封止材を150℃でプレスし、0.5mm厚のシート状に成形した。
【0078】
<成分>
エチレン系ポリマー:エチレン・酢酸ビニル共重合体(190℃、2.16kgでのMFR:約40、The Polyolefin Company (Singapore) Pte. Ltd. MA−10) 100重量部
架橋剤:1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン 2重量部
架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート 2重量部
シランカップリング剤:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.3重量部
金属石鹸:ステアリン酸バリウム 0.1重量部
高級脂肪酸:ステアリン酸 0.5重量部
化合物(1):3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(以下、化合物(1−1)と記すことがある) 0.1重量部
化合物(2):セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)(以下、化合物(2−1)と記すことがある) 0.2重量部
化合物(4):ペンタエリスリチル テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(以下、化合物(4−1)と記すことがある) 0.1重量部
化合物(5):N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミド(以下、化合物(5−1)と記すことがある) 0.3重量部
【0079】
<評価試験>
実施例1で得られた太陽電池用封止材の加熱成形品について、測色計(CM−3500d、コミカミノルタ社製)を用いてJIS K7105に準拠し、イエローネスインデックス(YI)値を測定したところ0.12であった。YI値が小さいほど、黄変が少ないことを意味し、YI値は0.3以下であることが好ましい。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例2)
実施例1で用いた成分に加えて、さらに、リン系酸化防止剤の1種であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(以下、(P−1)と記すことがある)0.05重量部を含有させた以外は実施例1同様にし、シート状の成形品を得た。評価結果を実施例1とともに表1に記載した。
【0081】
(実施例3)
実施例2における化合物(4−1)を含有させないこと以外は実施例2同様にし、シート状の成形品を得た。評価結果を実施例1とともに表1に記載した。
【0082】
【表1】

【0083】
(実施例4)
以下に示す各成分を表2記載の重量部ごと混合し、30mm径の単軸押出し機(田辺プラスチック社製、VS30−28型押し出し機)にて90℃、スクリュー回転数50rpmで混練し、本発明の太陽電池用封止材を得た。
次いで、該太陽電池用封止材を155℃で15分間プレスし、0.5mm厚のシート状の成形品を得た。
【0084】
<成分>
エチレン・ビニルエステル共重合体:エチレン・酢酸ビニル共重合体(190℃、2.16kgでのMFR:約40、The Polyolefin Company (Singapore) Pte. Ltd. MA−10、100重量部)
架橋剤:2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(0.4重量部)
架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート(0.6重量部)
化合物(1):3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(化合物(1−1)、0.1重量部)
化合物(2):セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)(化合物(2−2)、0.1重量部)(化合物(2−2)、0.1重量部)
化合物(4):テトラキス(3−ドデシルプロピオン酸)ペンタエリスリチルエステル(化合物(4−1)、0.1重量部)
【0085】
<評価試験>
実施例4で得られた成形品について、実施例1と同様にしてYI値(YI1)を測定し、−0.44であった。次いで、該成形品にキセノンウエザーオーメーター(ブラックパネル温度:63℃、雨なし)でキセノン照射し、300時間後後のYI値(YI2、−0.35)を求め、これらの差(ΔYI=YI2−YI1)は0.09であった。ΔYIが小さいほど、光を照射した後でも黄変が少ないことを意味する。
【0086】
(実施例5)
化合物(1-1)を0.2重量部用い、化合物(4−1)を用いない以外は、実施例4と同様にして、太陽電池用封止材及び該太陽電池用封止材の成形品を得た。得られた成形品について、実施例4と同様に評価試験を行い、結果を実施例4とともに表2にまとめた。
【0087】
(実施例6)
化合物(1−1)の代わりに、テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸}ペンタエリスリチルエステル(以下、化合物(1−2)と記すことがある)を用いる以外は、実施例4と同様にして、太陽電池用封止材及び該太陽電池用封止材の成形品を得た。得られた成形品について、実施例4と同様に評価試験を行い、結果を表2にまとめた。
【0088】
【表2】

【0089】
(実施例7)
実施例4で用いた成分に加えて、さらに、2,4−ジヒドロキシルベンゾフェノンを0.1重量部加えて、実施例1と同様にして、本発明の太陽電池用封止材を得た。
【0090】
(実施例8)
実施例7で用いた成分の化合物(2−2)の代わりに、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)とセバシン酸メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルとの混合物(Tinuvin292(チバ ホールディング インコーポレーテッドの登録商標))を用いる以外は、実施例7と同様にして、本発明の太陽電池用封止材を得た。
【0091】
(実施例9)
実施例4で用いた成分のエチレン・ビニルエステル共重合体100重量部に代えて、直鎖状低密度ポリエチレン スミカセンL(住友化学株式会社の登録商標、FS240、MFR=2.2)100重量部を用いる以外は、実施例4に準じて行うことにより、本発明の太陽電池用封止材を得た。
【0092】
(実施例10)
実施例4で用いた成分のエチレン・ビニルエステル共重合体100重量部に代えて、特殊エチレン系コポリマー アクリフト(住友化学株式会社の登録商標、WH202 MFR=2)100重量部を用いる以外は、実施例4に準じて行うことにより、本発明の太陽電池用封止材を得た。
【0093】
(実施例11)
実施例4で用いた成分のエチレン・ビニルエステル共重合体100重量部に代えて、エチレン・メタクリル酸コポリマー ニュークレル(イー・アイ・デュポン社の登録商標、AN42115C MFR=35)100重量部を用いる以外は、実施例4実施例4に準じて行うことにより、本発明の太陽電池用封止材を得た。
【0094】
(実施例12)
実施例4で用いた成分のエチレン・ビニルエステル共重合体100重量部に代えて、アイオノマー樹脂 ハイミラン(三井デュポンケミカル(株)の登録商標、1555 MFR=10)100重量部を用いる以外は、実施例4に準じて行うことにより、本発明の太陽電池用封止材を得た。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の太陽電池用封止材は、シート状に加熱成形されても黄変が少ない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに由来する構造単位を含有する熱可塑性ポリマーと、式(1)

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方はアルキル基を表す。Qは、単結合、−CHCHCO−*、又は、−CHCHCONH−*を表す。ここで、*は当該結合手がXとの結合手であることを表す。nは1〜4の整数を表す。Xは、炭素数1〜22のn価の炭化水素基又は硫黄原子を表す。該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表されるフェノール系化合物とを含有することを特徴とする太陽電池用封止材。
【請求項2】
熱可塑性ポリマー100重量部に対し、式(1)で表されるフェノール系化合物を0.001重量部〜5重量部含有することを特徴とする請求項1記載の太陽電池用封止材。
【請求項3】
式(1)で表されるフェノール系化合物が、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン又はテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリチルエステルであることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池用封止材。
【請求項4】
太陽電池用封止材が、さらに、式(2’)

(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Yは酸素原子又は窒素原子を表す。)
で表される構造を有するピペリジン系化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の太陽電池用封止材。
【請求項5】
前記式(2’)で表される構造を有するピペリジン系化合物が、式(2)

(式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表し、Aは、炭素数1〜10のアルキレン基又は式(3)

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で表される2価の基)
で表されるピペリジン系化合物であることを特徴とする請求項4記載の太陽電池用封止材。
【請求項6】
太陽電池用封止材が、さらに、式(4)
(R−Y−S−CH−CH−CO)−Z (4)
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Yは単結合又は−CHCH−CO−基を表し、mは1〜4の数を表し、Zは炭素数5〜18のm価のアルコール残基を表す。)
で表される含硫黄化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の太陽電池用封止材。
【請求項7】
太陽電池用封止材が、さらに、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の太陽電池用封止材。
【請求項8】
紫外線吸収剤が、式(5)

(式中、R11〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R17は、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
で表されるシュウ酸ジアニリド系化合物であることを特徴とする請求項7記載の太陽電池用封止材。
【請求項9】
太陽電池用封止材が、さらに、架橋剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の太陽電池用封止材。
【請求項10】
架橋剤が、有機過酸化物であることを特徴とする請求項9記載の太陽電池用封止材。
【請求項11】
太陽電池用封止材が、さらに、架橋助剤を含有することを特徴とする請求項9又は10記載の太陽電池用封止材。
【請求項12】
太陽電池用封止材が、さらに、シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の太陽電池用封止材。
【請求項13】
熱可塑性ポリマーがエチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含有する重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の太陽電池用封止材。
【請求項14】
太陽電池用封止材の黄変を低減させるための、式(1)

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方はアルキル基を表す。Qは、単結合、−CHCHCO−*、又は、−CHCHCONH−*を表す。ここで、*は当該結合手がXとの結合手であることを表す。nは1〜4の整数を表す。Xは、炭素数1〜22のn価の炭化水素基又は硫黄原子を表す。該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表されるフェノール系化合物の使用。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか記載の太陽電池用封止材を加熱成形してシート状の成形品を得る工程と、得られたシート状の成形品を太陽電池用のセルの両面または片面に貼合する工程とを含む太陽電池用セルの封止方法。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか記載の太陽電池用封止材を加熱成形して得られる成形品。

【公開番号】特開2011−40723(P2011−40723A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154530(P2010−154530)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】