説明

奥行き強調スクリーン

【課題】擬似3D画像を生成するための、奥行き強調スクリーン(101)を提供すること。
【解決手段】スクリーンは、レンズの縁部の2つの箇所を連結する最長の線または各最長の線に沿った断面で見た場合に、レンズの中央領域に頂点を有する湾曲された断面を有するマルチカーブのフレネルレンズ(103)を備え、湾曲部の各端部が、それがレンズの縁部に至る手前で平坦状になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強調された奥行きまたは擬似3次元効果を有する画像を生成するための、奥行き強調スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
奥行き知覚は、この世界を3次元において知覚するための視覚的な能力である。人間(および他の動物)は、奥行きを知覚するために、様々な単眼手掛かり(すなわち、単眼だけの入力より取得可能な手掛かり)と、両眼手掛かり(すなわち、両眼からの入力を要する手掛かり)とを使用する。
【0003】
運動視差は、奥行き知覚に影響を与える単眼手掛かりの1タイプである。観察者が移動すると、背景に対するいくつかの静止している物体の明白な相対移動が、それらの相対距離に関する手掛かりを与える。観察者によるこれらの微妙な移動が、現実の世界において、奥行きのより良い認識を可能にする効果がある。しかし、平坦なテレビまたはコンピュータのスクリーン上の画像を見る場合には、そのような移動は、2次元画像において示された物体の間には相対移動がないため、奥行き知覚を助けない。
【0004】
立体視または網膜視差は、奥行き知覚に影響を与える両眼手掛かりの1タイプである。各網膜上への物体の異なる投影よりもたらされる情報が、奥行きを判断するために使用される。若干異なる角度から取得された同一状況の2つの画像を使用することにより、脳が、物体との距離を推定することが可能となる。物体が遠くにある場合、網膜視差は小さい。一方、物体が近くにある場合、網膜視差は大きい。また、同効果は、現実世界において、見る者に対して奥行きのより良い認識を与えるように作用するが、スクリーン上の物体は全て、見る者から同一距離に存在するように見えるため、平坦な2次元スクリーンについては作用しない。
【0005】
しかし、ステレオプティック効果が、「マジックアイ」画像または立体写真などの2次元画像において、奥行きを知覚するように脳を「錯覚」させるために利用されてよい。同様に、ステレオプティック効果は、特許文献1において説明されるように、平坦なテレビまたはコンピュータのスクリーン上の画像などの2次元画像から、擬似3次元画像(すなわち、奥行き手掛かりを有する画像)を生成するために使用されてよい。同文献は、実質上の凸レンズを作るように2つの横方向へ湾曲された、可撓性のフレネルレンズを備える装置を説明する。装置は、スクリーン上に表示された2次元画像の擬似3次元画像を生成するため、図1に示されるように、例えばテレビのスクリーンまたはコンピュータのモニタ2の前に設置されてよい。フレネルレンズ3は、スクリーン2から離間され、2つの湾曲平面を有するフレネルレンズを形成するように、第1の平面(x−z平面)および第2の平面(y−z平面)において湾曲される。図面に示されるように、レンズの断面がx−z平面において得られた場合、レンズの断面は、その全幅にわたり湾曲形または弓形であろう。同様に、断面がy−z平面において得られた場合、断面はやはり湾曲形または弓形であろう。定義によれば、x−平面とy−平面とは互いに直交するので、したがって、レンズが断面において弓状であるような2つの直交する面が存在する。フレネルレンズは、可撓性であってよく、擬似3次元画像の生成を最適化するようにフレネルレンズの光学特性を調整するために、調整可能な張力部材を用いて構成された取付台内に配置されてよい。フレネルレンズは2つの直交する面において湾曲状であるため、若干異なる画像が、見る者の左右の眼によって受け取られ、ステレオプティック効果を生成し、これが、画像が奥行きを有するように見える、すなわち画像が実際に比べより3次元的に見えるように、脳によって解釈される。
【0006】
特許文献1において、(矩形のレンズについて)フレネルレンズの角が、必要とされる湾曲部を実現するため、所定位置に固定される。応力が、固定された箇所で、湾曲されたフレネルレンズに導入され、またこれが、固定された箇所同士の間のレンズの縁部沿いを含む、レンズの他の箇所において応力を生じさせる。上記の特許出願の中で説明されるデバイスは、画像全体の多くの領域を含むこれらの応力領域で、歪められた画像を生成する。例えば、矩形のスクリーンの場合、4つの角、すなわち見る者から最も離れたスクリーンの領域が、最も顕著な歪みを示し、4つの縁部は、「ボウイング」効果を示す。これらの領域中の画像は、真っ直ぐではなく、図2に示されるように、フレネルレンズの中央から離れるように外方へ湾曲(bow)する。実際には、ボウイング効果は、図2に示される実施例におけるものに比べ、より顕著でさえあり得て、スクリーンのより大きな部分にわたって広がり得る。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 636 631号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、1つまたはそれ以上の上述の問題点の影響の解消、または少なくとも軽減を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、レンズの縁部の2つの箇所を連結する最長の線または各最長の線に沿った断面で見た場合に、レンズの中央領域に頂点を有する湾曲された断面を有するマルチカーブのフレネルレンズを備え、湾曲部の各縁部が、それがレンズの縁部に至る手前で平坦状になる、擬似3D画像を生成するための奥行き強調スクリーンを提供する。
【0009】
「最長の線」という用語は、本明細書で使用される際に、レンズが平坦である場合の、レンズの表面の最長の直線を意味するように意図される。
【0010】
「平坦状になる」という用語は、本明細書で使用される際に、レンズの縁部は平坦になり得るものの、平坦に近づくが平坦となるわけでは必ずしもないことを意味するように意図される。好ましくは、湾曲された断面の端部が湾曲されるが、断面の湾曲部の湾曲度が、端部へ向かって低下する、すなわち、端部の曲率半径が、頂点に近づく曲率半径より小さい。湾曲度の差異が大きいと好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、フレネルレンズは、平坦である場合に多角形である。フレネルレンズは、平坦である場合に正方形であってよく、2つの最長の線を備えてよく、各線は、レンズの対角線状に対向する角を連結する。フレネルレンズは、平坦である場合に矩形であってよく、2つの最長の線を備えてよく、各線は、レンズの対角線状に対向する角を連結する。代替的には、フレネルレンズは、三角形であってよく、3つの最長の線を備えてよく、各線は、レンズの隣接する角を連結する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態においては、フレネルレンズは、少なくとも1つの湾曲された縁部、および/または少なくとも1つの曲線的な角を備える。レンズの角は、代替的に平坦であってよい。「正方形」、「矩形」、「三角形」、および「円形」という用語が、実質的に正方形、矩形、三角形、および円形であるレンズを包含することが理解されよう。レンズは、平坦である場合に任意の規則的なまたは不規則的な形であってよい。例えば、曲線的な角および湾曲された辺を有するレンズが使用されてよい。
【0013】
フレネルレンズは、平坦である場合に円形であってよく、複数の最長の線を備えてよく、各最長の線が、円形の直径である。
【0014】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、レンズは、最長の線へ実質的に直角である第2の線に沿った断面で見た場合に、湾曲された断面を有してよく、第2の湾曲部はレンズの中央領域に頂点を有し、第2の湾曲部の各端部は、レンズの縁部に至る手前で平坦状になる。フレネルレンズは、平坦である場合に楕円形であってよく、最長の線が、楕円形の長軸であり、第2の線が楕円形の短軸である。
【0015】
本発明は、レンズの縁部の2箇所を連結する2つの交差する線に沿った断面で見た場合に、レンズの中央領域に頂点を有する湾曲された断面を有するマルチカーブのフラネルレンズを備え、湾曲部の各端部が、それがレンズの縁部に至る手前で平坦状になる、擬似3D画像を生成するための奥行き強調スクリーンをさらに提供する。
【0016】
したがって、本発明のスクリーンにおけるフレネルレンズは、少なくとも2つの一次湾曲部を有し、一次湾曲部は、互いに横切る少なくとも2つの平面が存在し、そこではフレネルレンズの断面が弓形あるようになされることが理解されよう。
【0017】
レンズの一次湾曲部は、2つの交差するまたは横切る平面が存在し、そこでレンズが弓状または湾曲状の断面を有するようになされる。これらの平面は、直交(または実質的に直交)で存在してよく、すなわち、互いに対し直角であってよい。いくつかの横切るまたは交差する平面があってよく、そこでレンズは湾曲された断面を有する。一次湾曲部は、図1を参照して上で説明されたものと同様の態様になされてよい。
【0018】
フラネルレンズへ二次湾曲部を導入することにより、強調された奥行き効果を維持しつつ、画像の歪みを軽減しまたは除去し、それによって、改善された奥行き強調画像を提供する。レンズの外方部分に導入された二次(または形状修正された)湾曲部は、レンズの予想外に広い区域にわたり画像品質に好ましい効果がある。二次湾曲部は、レンズの外方部分へのみ導入されるため、それらは、画像区域に目に見えるほど大きく干渉しない。しかし、二次湾曲部の歪み最小化効果は、スクリーンの広い区域に及ぶ。したがって、奥行き強調画像における歪度は、画像寸法を対応させて縮小することなく、かなり低減される。
【0019】
好ましくは、フレネルレンズは、使用時に、レンズ化された側がテレビまたはコンピュータのモニタなどの表示スクリーンの方へ向けられ、レンズ化されていない(または滑らかな)側が見る者の方へ向けられるようになされる。フレネルレンズは、湾曲部が調整されまたは調節され得るように、可撓性の材料より形成されてよい。一次湾曲部は、レンズが見る者の方へ(物理的に)凸状であるようなものである。レンズの表面は、導入された一次湾曲部の数に応じて、実質的にドーム形または「クッション」形として説明されてよい。一実施例として、レンズが平坦である場合に正方形である一実施形態において、レンズの中央または中央領域が、(図1に示されるx−y平面へ平行である)第1の平面にあり、レンズの角領域が、第1の平面へ平行であるが第1の平面からから離間された共有の第2の平面にある。したがって、レンズの各縁部は、2つの角の間の等距離に頂点を有して湾曲される。縁部の頂点は、第1の平面と第2の平面とに平行であるが第1の平面と第2の平面との間に位置する、第3の平面に位置する。レンズの拘束されない角が、第2の平面にあってよく、または他の平行な平面にあってよい。
【0020】
二次湾曲部は、レンズの縁部付近の一次湾曲部を形状修正することによって、フレネルレンズに導入されてよい。例えば、一次湾曲部は、張力部材または支持具などによりフレネルレンズの中央部分に加えられた外方への力(すなわち、見る者の方への)と、固定具または支持具などによりレンズの角または縁部へ加えられた対抗する内方への力(すなわち、見る者から離れる方への)とによって、実現され得るであろう。異なる強度の力が、結果的に得られる形状が一様なものになり得ないように、レンズの異なる領域へ加えられてよい。本発明において、二次湾曲部は、その縁部でではなく、その縁部の付近でフレネルレンズへ対抗する内方への力を加えることによって、すなわちレンズの角/縁部から離れるように、内方への力を加える箇所を移動させることによって、実現されてよい。レンズの外方部分は今や事実上の「遊動状態」であるため、レンズの角および縁部の応力の領域は、面積および重度において、無くされまたはかなり縮小される。(より長い曲率半径を有する)二次湾曲部の導入によって、角で一次湾曲部により引き起こされた応力が低減される。内方への力は、一次湾曲部を形状修正するように、その縁部から離間された箇所でフレームにレンズを装着することによって、加えられてよい。
【0021】
同装置の利点は、レンズの外方部分が非拘束であり、したがって殆どまたは全く応力を受けないため、画像全体の歪みが軽減されることである。
【0022】
例えば、湾曲部は、フレネルの縁部に沿って設けられた支持具によって、フレネルレンズへ導入されてよい。フレネルレンズの湾曲部は、レンズの両面へ力を加えることにより実現されてよい。矩形のレンズについて、第1の支持具が、レンズの各縁部のほぼ中間部でフレームに設けられてよく、他の支持具が、内方への力を供給するために、レンズの角から離間された箇所に設けられてよい。支持具によりフレネルレンズに加えられた対抗する力によって、レンズは、2つの直交する平面または方向に一次湾曲部を呈し、レンズの角付近の外方部分で各平面に二次湾曲部を呈する。力は、レンズの縁部付近の少なくとも1つの領域に加えられると好ましい。少なくとも1つの領域は、レンズの縁部またはレンズの縁部付近であってよい。
【0023】
多角形のレンズについて、レンズの一方の面で、力が、レンズの各角の両辺に加えられ、両方の力がレンズの同面へ加えられると好ましい。これにより、レンズの実際の角が非拘束となる。
【0024】
他の実施形態においては、フレネルレンズは円形であり、一対の同心の円形フレームまたはリングが、各フレームがレンズの一方の面に接触するように、設けられる。2つのフレームの小さい方が、フレネルのレンズ化された側に接触し、大きい方のフレームが、フレネルの滑らかな面に接触する。フレームは、(例えば、クランプ装置などにより)互いの方へ押しやられて、それによって、その中央部分でレンズへ一次湾曲部を(複数の平面/方向に)提供し、その外方部分でレンズへ二次湾曲部を提供するため、レンズに対抗する力を加えるようにする。好ましくは、各フレームは、レンズの一方の面に接触し、フレームは、第1のフレームがレンズの第1の面に力を加え、第2のフレームがレンズの他方の面に力を加えて、レンズの断面の湾曲部を得るようになされる。各力はレンズの表面へ垂直な構成要素を要することが、理解されよう。レンズは、その中央部分に複数の一次湾曲部を呈し、それによりそれが実質的にドーム形になる。大きい方のリングは、フレネルレンズの内方への力が、レンズの縁部にではなくレンズの縁部付近へ加えられるように、フレネルレンズに比べ直径が小さい。リングの外側のレンズの部分は、平坦状を呈する。
【0025】
他の装置によれば、フレームは、リムまたはリップを備えてよく、フレネルレンズは、リムまたはリップが、レンズへ一次湾曲部および/または二次湾曲部を提供するように、レンズの縁部を形作るように、フレームの中に取り付けられてよい。リムは、その中央部分に一次湾曲部を、およびその外方部分に二次湾曲部を有してよい。リムは、フレネルレンズの縁部全体に沿って延在してよい。代替的に、1つまたはそれ以上のリム部分または溝部分が、フレネルレンズの縁部に沿って設けられてよい。他の代替的な実施形態においては、溝は、フレネルレンズの縁部が溝の中へ挿入され、所望の形状に維持され得るように、フレームの中に設けられてよい。
【0026】
様々な実施形態において、一次湾曲部は、リム、溝、溝部分、またはリム部分により導入されてよく、二次湾曲部は、レンズの角または縁部から離間された接触箇所または固定具により、あるいはリム、溝、またはリム部分により導入されてよい。「リム、溝、溝部分、またはリム部分」により、我々は、リムまたは溝が必ずしも連続的ではないことを意味する。これは、複数の個別の接触箇所を含んでよい。同様に、支持具は、一次湾曲部を導入するために使用されてよく、リム部分は、レンズの外方部分を二次湾曲部に形作るために、フレームの外方部分に配置されてよい。
【0027】
一実施形態において、フレネルレンズは、平坦である場合に矩形であり、フレームは矩形であり、リムまたはリム部分は、レンズの対応する縁部を形作るように、フレームの各側に設けられる。
【0028】
使用時に、スクリーンは、レンズの(二次湾曲部を有する)外方部分が使用者に見えないようになされてよい。例えば、スクリーンは、レンズの外方部分を被覆し隠蔽するフレームを備えてよい。しかし、湾曲部の形状修正が、見る者に露呈されたままであるレンズの部分における歪みを低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図面より図3を参照すると、図3a中には、上述に参照される先行技術のシステムのフレネルレンズ3の断面が示される。図示されるように、レンズの曲率は、レンズの幅にわたって実質的に均一である。図3aは、単一の平面のみにおける、レンズの湾曲を示す。また、上述のように、図1を参照すると、レンズは、横断面における断面が同様の断面を有するように、横方向へ湾曲される。
【0030】
本発明の一実施形態による、奥行き強調スクリーンのフレネルレンズ3の断面が、図3bに図示される。レンズ103が、レンズの中央部分にわたる一次湾曲部104を有するようになされ、すなわち、レンズの断面は、弓形または湾曲形である。またレンズには、矢印により指示されるその外方部分に、二次湾曲部105が設けられる。二次湾曲部の半径は、一次湾曲部の半径より大きい。二次湾曲部は、レンズの縁部で歪み効果を低減するように一次湾曲部を形状修正する。図3aと同様に、図3bは、単一の平面のみにおける、レンズの一次湾曲部および二次湾曲部を示す。また、図1を参照して上記で説明されたように、レンズは、横断面の断面が同様の断面を有するように、横方向へ湾曲される。
【0031】
図4に示される一実施形態においては、奥行き強調スクリーン101は、それが2つの一次湾曲部104を有するようになされたフレネルレンズ103を備える。したがって、互いに直交する2つの平面が存在し、そこでフレネルレンズの断面は弓状または湾曲状である。レンズ103は、それが両平面において、その外方部分に二次湾曲部105を有するようになされる。二次湾曲部105は、レンズの縁部付近で一次湾曲部104を形状修正することにより、レンズ103へ導入される。
【0032】
湾曲部104、105は、フレネルの縁部に沿って設けられた支持具106、107によって、フレネルレンズ103へ導入される。第1の支持具106は、フレネルレンズ103の各縁部に沿ったほぼ中間部に設けられる。他の支持具(または固定具)107は、レンズ103の各角にではなく、レンズ103の各角の付近に設けられる。支持具107は、レンズの湾曲部を形状修正するように、フレーム(図示せず)にレンズを装着する。支持具106、107によりフレネルレンズ103に加えられた対抗しあう力によって、レンズが、2つの直交する平面または方向においては一次湾曲部104を、レンズの角付近の外方部分で各平面においては二次湾曲部105を、呈するようにさせる。
【0033】
1つの特定の実施例において、フレネルレンズ103は、幅が約365mm、縦が約295mm、厚さが約1.8mmである。レンズの焦点距離が、255mmと560mmとの間であると好ましい。レンズのより長い辺に位置する支持具106は、14mmと21mmとの間の長さであり、レンズのより短い辺の支持具106は、6mmと14mmとの間の長さである。外方の支持具107は、レンズのより長い辺の角から9.5mmと13mmとの間と、レンズのより短い辺の角から7.5mmと11mmとの間とに設けられる。これらの支持具は、レンズの縁部に配置される必要はなく、これらは、外辺部の若干内側に配置されてよい。より長い辺のレンズの一次湾曲部の半径が、約515mmであり、より短い辺のレンズの一次湾曲部の半径が、約470mmである。二次湾曲部の半径は、両方向において、約30mである。したがって、レンズの外方部分は、ほぼ平坦である。
【0034】
他の実施形態においては、一次湾曲部および二次湾曲部は、リップ209を備えるフレーム208によって実現され、フレーム208の一部分が図5に示される。フレネルレンズは、その縁部がリップ209に接触するように、フレーム208内に設置される。リップ209は、その中央部分に一次湾曲部を、およびその縁部部分に二次湾曲部を有する。フレネルがフレーム208内に設置されると、リップ209は、それに応じてフレネルレンズを形作る。他の実施形態においては、溝が、フレネルの縁部が溝の中へ挿入され、所望の形状に保持され得るように、設けられる。
【0035】
図6および図7は、円形のフレネルレンズ303を備える、奥行き強調スクリーン301の一実施形態を示す。レンズは、それが一次湾曲部304を有するように、同心のリング306と307との間に設けられる。一次湾曲部を作るため、レンズ303は、外側のリング307に支持され、リング306は、(クランプまたは同様のデバイスにより)リング307の方へ押圧される。一次湾曲部304は、フレネルレンズの中央部分を実質上のドーム形状にし、すなわち、それは、互いに横切る複数の平面が存在し、そこではフレネルレンズの断面が弓形または湾曲形であるように、複数の一次湾曲部を有する。そのような断面の1つが、図7に図示される。しかし、レンズ303の中央部を通過する面におけるいずれの断面も、同じ形となる。リング306、307はレンズ303の縁部から短い距離に配置されるため、レンズの外方部分は、比較的応力を受けず、二次湾曲部305を呈する。
【0036】
使用時に、本発明の奥行き強調スクリーンは、テレビのスクリーンまたはコンピュータのモニタなどの、表示スクリーンまたは他の放射画像源の前に設けられる。フレネルレンズのレンズ化された側が、表示スクリーンへ向けられ、フレネルの滑らかな側が、見る者の方へ向けられる。レンズは、見る者の方へ凸状である。フレネルレンズは、2つの横断面において湾曲されるため、若干異なる画像が、見る者の左右の眼により受け取られ、ステレオプティック効果を生成し、これが、画像が奥行きを有するように見える、すなわち画像が3次元的に見えるように、脳によって解釈される。フレネルレンズの縁部および角は、大きな応力を受けないため、これらの領域での歪みが、先行技術の装置よりも軽減され、改善された、奥行きを強調された画像を提供する。
【0037】
本発明に関して本明細書中で使用される際に、「備える/備えている」(“comprises/comprising”)という語、および「有している/含んでいる」(“having/including”)という語は、述べられる特徴、完全体、ステップ、または構成要素の存在を明記するために使用されるが、1つまたはそれ以上の他の特徴、完全体、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在あるいは追加を除外するものではない。
【0038】
明瞭化のために個別の実施形態に関連して説明された本発明のいくつかの特徴が、単一の実施形態において、組合せで提供されてもよいことが理解されよう。逆に、簡潔さのために単一の実施形態に関連して説明された本発明の様々な特徴が、別個にまたは任意の適切な副次的組合せにおいて提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】フレネルレンズの2軸湾曲を示す、先行技術の光学システムの斜視図である。
【図2】図1に示される先行技術のシステムに関連する、最も顕著な歪みの領域を示す図である。
【図3a】図1に示される先行技術のシステムのフレネルレンズの断面図である。
【図3b】本発明による奥行き強調スクリーンのフレネルレンズの断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の詳細な斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるフレームの一部分の斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の正面図である。
【図7】線AA’に沿った、図6の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0040】
2 スクリーン
3 フレネルレンズ
101 奥行き強調スクリーン
103 フレネルレンズ
104 一次湾曲部
105 二次湾曲部
106 支持具
107 支持具
208 フレーム
209 リップ
301 奥行き強調スクリーン
303 フレネルレンズ
304 一次湾曲部
305 二次湾曲部
306 リング
307 リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの縁部の2つの箇所を連結する最長の線または各最長の線に沿った断面で見た場合に、レンズの中央領域に頂点を有する湾曲された断面を有するマルチカーブのフレネルレンズを備え、湾曲部の各端部が、それが前記レンズの縁部に至る手前で平坦状になる、擬似3D画像を生成するための奥行き強調スクリーン。
【請求項2】
前記レンズは、平坦である場合に多角形である、請求項1に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項3】
前記フレネルレンズは、平坦である場合に正方形であり、2つの最長の線を備え、各線は、前記レンズの対角線状に対向する角を連結する、請求項2に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項4】
前記フレネルレンズは、平坦である場合に矩形であり、2つの最長の線を備え、各線は、前記レンズの対角線状に対向する角を連結する、請求項2に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項5】
前記フレネルレンズは、三角形であり、3つの最長の線を備え、各線は、前記レンズの隣接する角を連結する、請求項2に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項6】
前記フレネルレンズは、少なくとも1つの湾曲された縁部を備える、請求項1に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項7】
少なくとも1つの曲線的な角を備える、請求項2から6のいずれかに記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項8】
前記フレネルレンズは、平坦である場合に円形であり、複数の最長の線を備え、各最長の線が、円の直径である、請求項1または5に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項9】
前記レンズは、最長の線へ実質的に直角である第2の線に沿った断面で見た場合に、湾曲された断面を有し、第2の湾曲部は前記レンズの中央領域に頂点を有し、前記第2の湾曲部の各端部は、それが前記レンズの縁部に至る手前で平坦状になる、請求項1に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項10】
前記フレネルレンズは、平坦である場合に楕円形であり、最長の線が、前記楕円形の長軸であり、第2の線が前記楕円形の短軸である、請求項9に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項11】
フレームをさらに備え、前記フレネルレンズは、前記フレーム中に設置される、請求項1から10のいずれかに記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項12】
前記フレネルレンズは、湾曲された断面または各湾曲された断面が設置装置によってレンズ中へ導入されるように、前記フレームの中に設置される、請求項11に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項13】
前記フレネルレンズの前記湾曲部は、前記レンズの両面へ力を加えることによって実現される、請求項1から12のいずれかに記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項14】
前記力は、前記レンズの縁部付近の少なくとも1つの領域に加えられる、請求項13に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項15】
前記レンズは、平坦である場合に多角形であり、前記力は、前記レンズの各角の両辺へ加えられる、請求項14に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項16】
前記フレネルレンズが、平坦である場合に円形であり、前記スクリーンが、一対の同心の円形フレームをさらに備え、各フレームは、前記レンズの1つの面に接触し、前記フレームは、前記レンズの断面の湾曲を得るために、第1のフレームが前記レンズの第1の面に力を加え、第2のフレームが前記レンズの他方の面に力を加えるようになされる、請求項1から15のいずれかに記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項17】
前記フレームは、リムまたは溝を備え、前記フレネルレンズは、前記リムまたは溝が前記レンズへ湾曲部を与えるように前記レンズの縁部を形作るように、前記フレームの中へ設置される、請求項1から16のいずれかに記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項18】
前記リムまたは溝は、その中央部分に一次湾曲部を、およびその外方部分に二次湾曲部を有する、請求項17に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項19】
前記リムまたは溝は、前記フレネルレンズの縁部に沿って延在する、請求項17または18に記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項20】
1つまたはそれ以上のリムまたは溝の部分が設けられる、請求項17から19のいずれかに記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項21】
前記フレネルレンズは、平坦である場合に矩形であり、前記フレームは、矩形であり、リムまたはリム部分が、前記レンズの対応する縁部を形作るために、前記フレームの各側に設けられる、請求項11から15のいずれかに記載の奥行き強調スクリーン。
【請求項22】
請求項1から21のいずれかに記載の奥行き強調スクリーンと、追加の光学素子とを備える、光学システム。
【請求項23】
実質的に平坦なフラネルレンズを提供するステップと、
前記レンズを屈曲してマルチカーブのフレネルレンズにするように、前記フレネルレンズの領域へ、対抗する内方の力および外方の力を加えるステップであって、前記マルチカーブのフレネルレンズは、前記レンズの縁部の2箇所を連結する最長の線または各最長の線に沿った断面で見た場合に、前記レンズの中央領域に頂点を有する湾曲された断面を有し、湾曲部の各端部が、それが前記レンズの縁部に至る手前で平坦状になるステップと
を含む、擬似3D画像を生成するための奥行き強調スクリーンを製造する方法。
【請求項24】
前記レンズへ内方の力を加える前記ステップは、前記レンズの各角の両辺へ力を加え、実際の角を非拘束状態にするステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
レンズの縁部の2箇所を連結する2つの交差する線に沿った断面で見た場合に、前記レンズの中央領域に頂点を有する湾曲された断面を有するマルチカーブのフラネルレンズを備える、擬似3D画像を生成するための奥行き強調スクリーンであって、湾曲部の各端部が、それが前記レンズの縁部に至る手前で平坦状になる、奥行き強調スクリーン。
【請求項26】
実質的に、図面の図3b、図4、図5または図6と、図7とを参照して以上で説明された、ならびに/あるいは図面の図3b、図4、図5または図6と、図7とに示された、奥行き強調スクリーン。
【請求項27】
実質的に、図面の図3b、図4、図5または図6及び7を参照して以上で説明された、ならびに/あるいはこれらの図に示された、奥行き強調スクリーンを製造する方法。

【図1】
image rotate

【図6】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−98589(P2009−98589A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−336172(P2007−336172)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508000504)リアルヴュー イノべイションズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】