説明

好ましくは医学的または薬学的活性物質等の物質および液体を別々に収容し、これらを放出に先立って混合するための装置

医学的又は薬学的活性物質等の物質および液体を別々に収容しこれらを使用するに先立って混合するための装置であって、液体を収容する第一の容器と、物質を収容しかつ物質が液体中に通過できるように開口される底部を有する第二の容器とを有し、かつ第二の容器の底部が開口されるように底部に力を加えるため前進することのできる手段を有し、第二の容器が第一の容器の内部又はその上部に取り付けられるブリスタパックであることを特徴とする装置。これによって前記物質は好ましくは平坦な底部とほぼカップ状又はブリスタ状の上方室壁とを有するハウジング内にシールされる。平坦な底部は物質を放出するために切り開かれ、室壁は好ましくは底部を通して上下に反転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬学的な活性物質等の物質および液体を別々に収容しこれらを放出に先立って混合するための装置であって、前記装置は液体を収容する第一の容器と、物質を収容しかつ物質が液体中に通過できるように開口される底部を有する第二の容器とを有し、かつ第二の容器の底部が開口されるよう底部に力を加えるために前進することのできる手段を有し、さらに第一の容器の頸部に挿入される管状のインサートを有していて、ポンプ手段の前部が管状のインサートに移動可能に係合して力の付与手段を形成する。
【0002】
前記物質は固体状および液体状の任意の物質でよく、当初は第一の容器に収容されている液体とは別に収容され使用に先立って前記液体と混合される。この物質はたとえば凍結乾燥された乳酸菌からなり、使用に先立ってプロバイオチック用途のために適宜な分散液と混合される。
【背景技術】
【0003】
前記形式の装置は本特許出願の出願人にも公知のDE19742559C2に記載されている。この公知の装置では、物質を収容する第二の容器はびん形に形成された第一の容器の頸部に挿入される管状インサートによって形成されている。このインサートの底部には所定の破断点を有する溝が形成され、この底部が力の作用によって破断又は揺動開口し、物質が第一の容器の液体中に落下するようになっている。底部はインサート中に移動可能に設けられたエアレスポンプの前部によって開口される。エアレスポンプは第一の容器の長手方向に前進させられると、すなわち、容器中に押込まされると、インサートの底部を開裂する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この公知の構成では、ポンプ手段が前方に押圧又はスライドされている間に空気がポンプの吸込領域に圧入されて、液体の初期ポンプ動作中に不具合を生じる問題がある。また、ポンプの前進移動の際に容器の内部に圧入される空気が汚染されていることがあるので、たとえば医学、薬学又は衛生分野の用途の場合のように、容器の内容物を無菌状態に維持すべきときに従来の装置ではこのようなことを担保することができない。
【0005】
US6230884B1にはキャップの頸部の押圧によって開口されるブリスタパックを有し、ピン状のアタッチメントが錠剤をブリスタパックから押出し、錠剤をびんに収容された液体中に落下させる容器キャップが開示されている。この場合には周囲の空気が阻止されずにびんに入ってしまう。
【0006】
US4770323では最初の放出まで破断可能なシール薄膜によって密封されている流体の無菌パッケージであって、このシール薄膜の開裂された後で、容器の内容物を長時間にわたって支障なく放出可能とするパッケージを提供することによって前記課題に対応している。この目的のために、管状の穿孔部材をシール薄膜を通して押圧して容器中の小径の立上り管と係合させ、この小径の立上り管をパッケージのキャップを通して延出する放出路に接続する。この形式のパッケージでも空気がシール薄膜の開裂後にパッケージ中に入る可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本願発明の目的は液体の最初の吸込みの間における前記の不具合を大幅に回避することのできる装置を提供することにある。
【0008】
前記目的は本願発明により、請求項1の特色によって達成することができる。
【0009】
有利な改良態様は従属請求項によって規定される。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、ポンプ手段の前部がポンプの後退した初期位置において管状インサートの上方に空気チャンバを形成するポンプハウジング部によって把持され、ポンプハウジング部の壁、好ましくは周壁には壁を貫通する少なくとも一つの開口部が形成され、エアレスポンプの前進移動の際に空気が寸法の小さくなる空気チャンバからここを通して外部に放出され、空気は第一の容器には入らない。さらに本願発明によれば、ポンプ手段の前部はその外周で少なくとも一つの環状シールによって管状インサートに対してシールされている。
【0011】
この構成によれば、ポンプの動作位置への前進移動の際に空気がポンプの吸込室に入らないので、エアレスポンプの初期のポンプ動作中における不具合を解消することができる。さらに汚染されている可能性のある空気の入り込みによって容器の内容物の無菌性が損なわれることがない。
【0012】
さらに、管状インサートの周壁は壁を通して延出する少なくとも一つの開口部、好ましくは管状インサートの自由端から好ましくはそのほぼ1/2の高さに到る一つまたはそれ以上の長手方向に延出するスリットを有することが好ましい。液体は前記開口部又はスリットを通してインサート中に、したがって、ポンプの吸込領域中に入り、それによって管状インサートの内部に含まれている空気を前記スリットを通して同時に放出することができる。
【0013】
この構成によれば装置の最初の押込み操作においてエアレスポンプの1回または2回のポンプ動作だけで容器の内容物が充分に放出される。
【0014】
本願発明のさらに別の具体例によれば、第二の容器が管状インサートに固定されたブリスタパックによって形成される。ここでは物質は好ましくは平坦な底部とほぼカップ状の又はブリスタ状の上方室壁とを有するハウジング内にシールされる。物質を放出するためには平坦な底部又は平坦な後壁部が開裂され室壁は底部を通して好ましく上下に反転される。
【0015】
たとえば医学又は薬学的活性物質等の物質を透過湿分に対して安全に保護する必要のあるときは、少なくとも底壁をアルミホイル又はアルミニウムを含む多層ホイルで形成するが、これはチャンバ壁についても同様に適用される。アルミニウムを含む多層ホイルの例としてはPE−AL−PVCが挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。チャンバ壁はLDPE(場合によってアルミニウム層が設けられる)から形成してもよい。
【0016】
前記ブリスタパックは好ましくは第一の容器中に突出することのできる管状インサートに対して固定してもよい。
【0017】
固定作業は任意の適宜な方法で行うことができ、たとえば3〜4mm幅を有するブリスタパックの縁部をインサート部材の下方縁部に対して超音波溶接で取り付けたり、又はこれにかえてホットスタンピングにより取り付けること等ができる。その他ブリスタパックはこのパックをたとえば外側キャップに緊締したり又はインサート部材にスナップ嵌めすることもできる。前記のように固定作業は任意の適宜な方法で行うことができる。
【0018】
ポンプ手段の前部、好ましくはエアレスポンプの吸込部は移動可能に設けられ、ブリスタパックの底部をそれによって破断開口させることのできる力の付与手段を形成する。この目的のためにポンプ手段の前部はブリスタパックの底部が自動的に開口するように前進させられる。
【0019】
ここでブリスタパックの円弧状室壁は破断した底部を通してそれ自体は破損又は破断開口することなく上下に反転することができる。この場合ブリスタパックは管状インサートの下方開口部のシール状態を維持する。
【0020】
しかし、たとえば鋭いエッジをなす金属リングで形成された切断手段をポンプ手段の前部の自由端に固定するようにしてもよい。この場合、ブリスタパックの円弧状室壁も破断または切断開口される。
【0021】
本発明の別の態様においてはDE19742559C2の場合と同様に管状インサートが第二の容器を形成する。
【0022】
本発明によれば、物質を含む第二の容器の底部の開口の際にエアレスポンプの吸込端部の前進移動により空気が液体を含む第一の容器の内部に圧入されるような事態が回避される。これは物質の容器としてブリスタパックを用いるか、又はDE19742585C2の場合のように管状インサート自体が第二の容器を形成し破断開口される底部を有しているかに拘わらず生じることである。管状インサートの上方には少なくとも一つの好ましくは横方向の壁孔が形成されているので、空気はポンプ手段の前進移動の間にここを通して外側に流出して第一の容器には入らず、またポンプ手段の前部がその外周で環状シールにより管状インサートに対してシールされているので、空気は液体を含む容器したがってポンプの吸込室中にも通過しない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の詳細は発明の好ましい具体例についての下記の記載および図面により明らかとなる。
【図1】は本発明の装置の一実施態様の側面図である。
【図2】は図1の装置のA−A断面図である。
【図3】は図2中の円でかこんだ部分の拡大図である。
【図4】はエアレスポンプの動作装置における図3と同様な図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように前記装置は底部キャップ1、ハウジング部3の下縁部に取り付けた不正開封防止用の開裂リング2、および上方キャップ4からなる。上方キャップ4は一般的に5で示すエアレスポンプを覆いその動作に先立って除去されることが必要である。
【0025】
液体を収容するほぼビン型の容器6が底部キャップ1中に設置され、これと共に一体回転するように結合されている。容器6の頚部には環状の外壁8で容器の頚部を把持する管状のインサート7が挿入されている。エアレスポンプ5の前部又は吸込部9がインサート7に対して移動可能に設置されている。インサート7の上縁部にはインサート7の内壁とポンプ5の吸込部9の外壁との間の空間をシールする環状シール10が設けられている。
【0026】
ポンプ5の吸込部9はポンプハウジング部11に固定されており、このハウジング部は環状インサート7の壁部8の外側に当接する円筒状周壁12および吸込部9の上端部に当接する上壁部12aを有し、吸込部9および環状インサート7の上側と共に環状室13を形成する。ポンプハウジング部11の周壁12中には孔又は溝14が壁を通して延出されている。
【0027】
インサート7はその下部に壁を通して延出しインサート7の下縁に到達し又はそれよりやや上方で終端する長い開口部15を有している。
【0028】
インサート7の下縁部16にはブリスタパック17が、たとえばパック17の縁部をインサート7の縁部16に固定的に溶着する等の適切な方法で固定されている。ブリスタパック17は平坦な下底部18とインサート7の内部に対して上方に突出する円弧状の室壁19とを有する。ブリスタパック17内の物質はシールされており、それによってブリスタパックの内部への蒸気の拡散が壁18、19の材料を適切に選択することにより防止できる。
【0029】
図2、3において示す初期位置ではポンプ5の吸込部9の頂端部20はブリスタパック17とはへだてられている。
【0030】
ブリスタパック17の物質を容器6又は容器6の内袋中に収容された液体と混合するためには、引裂片2をまず除去し、これによって吸込部9を有するポンプ5をブリスタパック17の方向に移動させることができる。このためには下部キャップ1および上部キャップ4の外壁に対してその外壁が整合しているハウジング部3が下部キャップ1の内方に偏位した上壁部21とねじ結合される。図3にこのねじ結合を22として示す。またハウジング部3はここで、上方キャップ4により回動することができ、そのキャップに対してこれと共に回転するように結合されている。キャップ4はハウジング部3から上方に取り除くことができる。
【0031】
ハウジング部3を壁部21の上から下方にねじ込むと、その径方向内側の環状部23がポンプハウジング部11、したがってポンプ5の吸込部9をこれと同時に下方に移動させ、それによって吸込部9の頂端部20がブリスタバック17に突き当って底壁部18を切り開き上方室壁19を下方に反転させる。図4にこの状態を示す。
【0032】
この過程で、空気が壁の開口部14を通して環状室13から放出され、環状シール10により空気は管状インサート7の内部に通過することはない。
【0033】
容器の液体はスリット15を通してポンプ部9の吸込部中に入り、ここに空気が含まれている場合であっても何等の困難もなくここから排除される。
【0034】
図4はポンプ5の吸込部9の頂端部20に切断リング24が設けられ、これがブリスタパック17の円弧状壁部19を切り開いたことを示している。
【0035】
さらに、図4はエアレスポンプ5の詳細を示すが、これらは当業者には知られているのでここでは説明しない。これらについての詳細は図4によって明らかである。
【0036】
本発明は記載および図示した具体例に限定されるものではない。全ての前記の開示された特色は相互に適宜に組合せることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的活性物質等の物質および液体を別々に収容しこれらを放出に先立って混合するための装置であって、液体を収容する第一の容器と、物質を収容しかつ物質が液体中に通過できるように開口される底部を有する第二の容器とを有し、かつ第二の容器の底部が開口されるように底部に力を加えるために前進することのできる手段を有し、さらに第一の容器の頸部に挿入される管状のインサートを有し、ポンプ手段の前部が管状のインサートに移動可能に係合して力を加える手段を形成するようになされた前記装置において、
ポンプ手段(5)の前部(9)がポンプハウジング部(11)によって保持され、これがポンプ手段(5)の後退した初期位置では管状インサート(7)の上方に空気室(13)を形成し、ポンプハウジング部(11)の壁(12)中にはこれを通してポンプ手段(5)の前進移動の際に空気がそれを通して第一の容器(6)の外側に流出する少なくとも一つの開口部(14)が形成され、そして
ポンプ手段(5)の前部(9)がその外周で環状シール(10)によって管状インサート(7)に対してシールされていることを特徴とする前記装置。
【請求項2】
環状インサート(7)がその周壁中に少なくとも一つの開口部、好ましくは少なくとも二つのスリット(15)を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
ポンプ手段(5)の前部(9)の自由端部(20)に対して切断手段(24)が固定されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
第二の容器が第一の容器(6)中に突出する管状インサート(7)に取付られたブリスタパック(17)である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
環状インサート(7)が第二の容器を形成する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−501721(P2011−501721A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526152(P2010−526152)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001505
【国際公開番号】WO2009/039821
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(500065185)ガプラスト ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】