説明

姿勢検出装置

【課題】
簡易に、かつ、精度良く被検体の姿勢を検出する。
【解決手段】
個別磁束射出部211j(j=1,…,N)のそれぞれが、所定周波数帯の周波数の指向性を有する検出用磁束が射出する。前額部、両側頭部に装着された個別磁束検出部130A1〜130A3が検出用磁束を受信すると、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部へ向けて、自身の識別情報を担った指向性を有する報告用磁束を射出する。報告用磁束を受信した個別磁束射出部211jは、個別磁束検出部の識別情報を読み取る。そして、受信報告部215が、個別磁束検出部の識別情報、及び、識別情報を読み取った個別磁束射出部の情報を、処理部へ送る。引き続き、処理部は、報告用磁束を射出した個別磁束検出部の装着位置、及び、当該報告用磁束を受信した個別磁束射出部の配置位置に基づいて、頭部の基準姿勢からの個別軸回りの回転角を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢検出装置に係り、より詳しくは、被検体の姿勢を検出する姿勢検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、要介護者・要看護者の介護・看護に用いられる様々な装置が登場している。そして、こうした装置の中には、身体の自由が利かない寝たきりの高齢者や重症患者の褥瘡(床ずれ)を防止するための装置がある。ここで、褥瘡とは、寝たきりの高齢者や重症患者が寝返りを行わずに特定の姿勢を長時間続けることにより、衣類や寝具等によって皮膚が圧迫され、その圧迫を受けた部分の血行障害により生じる圧迫性壊疽の一種である。
【0003】
こうした褥瘡を防止する装置の一つとして、寝たきりの高齢者や重症患者等の姿勢を検出する装置がある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、寝床面に沿って2次元的に配列され接点部の押圧力に応じて出力値が連続的に変化する複数の感圧スイッチを備え、この複数の感圧スイッチの出力値のパターンの変化から、就寝者の姿勢の変化を検出する。そして、当該姿勢の変化に基づいて、寝床面上における就寝者の寝返りを検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−24392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の技術では、複数の感圧スイッチの出力値のパターンの変化に基づいて、就寝者の姿勢を検出する。こうした就寝者の姿勢の検出を精度良く行おうとすると、感圧スイッチの配列密度を高くすることが必要となり、解析対象となる出力値を出力する感圧スイッチの数が多くなる。こうした多数の出力値のパターンの解析は、非常に複雑なものとなってしまう。
【0006】
このため、就寝者の寝返りの検出に際して、簡易に、かつ、精度良く就寝者の姿勢を検出することができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、簡易に、かつ、精度良く被検体の姿勢を検出することができる姿勢検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、関節機構を介して、個別軸に沿って延びる個別部位が順次接続され、複数の前記個別部位には、隣接部位に対して、自身の個別軸回りに回動可能な特定部位が含まれる被検体の姿勢を検出する姿勢検出装置であって、所定基準面上に載置された前記被検体の外側に設置され、指向性を有する検出用磁束を射出する磁束射出手段と;前記特定部位又は前記特定部位の回動に連動する所定位置に装着され、前記磁束射出手段から射出された検出用磁束を検出する個別磁束検出手段と;前記個別磁束検出手段による検出結果、前記検出用磁束を検出した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置、及び、前記個別磁束検出手段が検出した検出用磁束の方向に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定する特定手段と;を備えることを特徴とする姿勢検出装置である。
【0009】
この姿勢検出装置では、被検体の姿勢を検出するに際して、まず、被検体の外側に設置されている磁束射出手段が、所定基準面に載置された被検体に向けて、指向性を有する検出用磁束を射出する。そして、磁束射出手段から射出された検出用磁束を、特定部位又は特定部位の回動に連動する所定位置に装着された個別磁束検出手段が検出する。
【0010】
引き続き、特定手段が、個別磁束検出手段による検出結果、検出用磁束を検出した個別磁束検出手段の被検体における装着位置、及び、個別磁束検出手段が検出した検出用磁束の方向に基づいて、特定部位の所定の基準姿勢からの個別軸回りの回転角を特定する。この特定結果に基づいて、被検体の姿勢が検出される。
【0011】
したがって、本発明の姿勢検出装置によれば、簡易に、かつ、精度良く被検体の姿勢を検出することができる。
【0012】
本発明の姿勢検出装置では、前記磁束射出手段が、前記指向性を有する所定周波数帯の検出用磁束を射出する第1アンテナコイルを有する少なくとも1つの個別磁束射出手段を備える構成とすることができる。この場合には、個別磁束射出手段の第1アンテナコイルに所定周波数帯の周波数成分を有する電流を流すことにより、第1アンテナコイルの中心軸方向に指向性を有するとともに、指向性に優れた所定周波数帯の検出用磁束を射出することができる。
【0013】
また、本発明の姿勢検出装置では、個別磁束射出手段が第1アンテナコイルを有する場合に、前記検出用磁束は、所定周波数帯の周波数で変化し、前記個別磁束検出手段は、第2アンテナコイルと;前記検出用磁束を受信すると、前記受信した検出用磁束を射出した個別磁束射出手段へ向けて、前記第2アンテナコイルから指向性を有する報告用磁束を射出する報告手段と;を備え、前記特定手段は、前記報告用磁束を発した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置、及び、前記報告用磁束を受信した個別磁束射出手段の配置位置に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定するようにすることができる。
【0014】
この場合には、第1アンテナコイルから射出された所定周波数帯の周波数で変化する検出用磁束を、個別磁束検出手段が受信すると、当該個別磁束検出手段の第2アンテナコイルから第2アンテナコイルの中心軸方向に指向性を有するとともに、指向性に優れた報告用磁束が射出される。この報告用磁束は、報告用磁束を射出した個別磁束検出手段が受信した検出用磁束を射出した個別磁束検出手段により受信され、受信結果が特定手段に報告される。そして、特定手段が、報告用磁束を射出した個別磁束検出手段の被検体における装着位置、及び、当該報告用磁束を受信した個別磁束射出手段の配置位置に基づいて、特定部位の所定の基準姿勢からの個別軸回りの回転角を特定する。このため、特定部位の所定の基準姿勢からの個別軸回りの回転を容易に特定することができる。
【0015】
このように、個別磁束検出手段が報告用磁束を射出する場合には、前記検出用磁束が、前記第2アンテナコイルの軸方向に前記第2アンテナコイルを貫いたときに、前記個別磁束検出手段の動作用電力が誘起され、前記動作用電力が誘起された個別磁束検出手段は、前記第2アンテナコイルから前記報告用磁束を射出するようにすることができる。この場合には、検出用磁束が第2アンテナコイルを貫いたときに動作用電力が誘起されるため、個別磁束検出手段を動作させるための電源を不要とすることができる。
【0016】
また、本発明の姿勢検出装置では、個別磁束検出手段が報告用磁束を射出する場合に、前記個別磁束検出手段の数は複数であり、前記複数の個別磁束検出手段のそれぞれは、自身に固有の情報を担った報告用磁束を射出するようにすることができる。この場合には、特定手段が、各個別磁束検出手段に割り当てられた固有の情報から、報告用磁束を射出した個別磁束検出手段を識別することができるため、個別磁束検出手段の数を複数にすることができる。このため、個別磁束検出手段を複数の特定部位に装着することで、当該複数の特定部位の個別軸回りの回転角を特定することができる。また、個別磁束検出手段を所定の特定部位の複数箇所に装着することで、当該所定の特定部位の個別軸回りの回転角を、精度良く特定することができる。
【0017】
また、個別磁束検出手段が報告用磁束を射出する場合においては、前記磁束射出手段が、複数の個別磁束射出手段を備え、前記複数の個別磁束射出手段は、前記被検体の外側において、前記所定基準面上に定義された基準軸回りに沿って配列されるようにすることができる。この場合には、当該基準軸回りに沿って配列された複数の個別磁束射出手段が、被検体に向けて検出用磁束を射出するので、特定部位の個別軸回りの回転角の特定に際して、死角の発生を少なくすることができる。
【0018】
ここで、磁束射出手段が複数の個別磁束射出手段を備える場合に、前記特定手段は、前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれから、順次、個別的に指向性を有する検出用磁束が射出されるように前記磁束射出手段を制御するようにすることができる。この場合には、報告用磁束の射出に寄与した検出用磁束を射出した個別磁束射出手段のみが、報告用磁束を受信する。このため、特定部位の個別軸回りの回転角の特定に際して、特定手段の瞬時的な処理負荷を抑制できるとともに、回転角を更に精度良く特定することができる。
【0019】
また、本発明の姿勢検出装置では、磁束射出手段が複数の個別磁束射出手段を備える場合に、前記特定部位の数は複数であり、前記複数の特定部位ごとに対応して、前記磁束射出手段が用意されるようにすることができる。この場合には、特定部位ごとに対応して用意された磁束射出手段が、対応する特定部位に向けて検出用磁束を射出ため、指向性を有する検出用磁束が、当該対応する特定部位に装着された個別磁束検出手段に到達する確率が高くなる。このため、対応する特定部位の個別軸回りの回転角の特定に際して、死角の発生を少なくするとともに、回転角を精度良く特定することができる。
【0020】
また、本発明の姿勢検出装置では、前記特定部位に対応して配列された前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれの磁束受信領域を組み合わせると、前記特定部位に対応して装着された前記個別磁束検出手段から射出される報告用磁束についての前記基準軸回りの連続的な受信領域と等価な受信が可能な磁束受信領域が形成されるようにすることができる。この場合には、各特定部位の個別軸回りの回転角の特定に際して、死角の発生を防止することができる。
【0021】
本発明の姿勢検出装置では、前記個別磁束検出手段が、ホール効果を利用して磁場を検出する素子と;前記素子を貫いた検出用磁束の量を検出し、検出結果を、無線通信で、前記特定手段へ報告する報告手段と;を備え、前記特定手段は、前記検出結果、及び、前記磁束の量を検出した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定するようにすることができる。
【0022】
この場合には、個別磁束検出手段が、磁束射出手段から射出された検出用磁束のうちで、素子を貫いた磁束の量を多値情報(連続値情報も含む)で検出することができる。そして、特定手段が、検出結果、及び、磁束の量を検出した個別磁束検出手段の被検体における装着位置に基づいて、特定部位の所定の基準姿勢からの個別軸回りの回転角を特定する。このため、特定部位の所定の基準姿勢からの個別軸回りの回転を容易に、かつ、精度良く特定することができる。
【0023】
また、本発明の姿勢検出装置では、前記個別磁束検出手段の数は複数であり、前記複数の個別磁束検出手段のそれぞれは、前記検出結果を特定手段へ報告する際に、自身に固有の情報を、無線通信で、前記特定手段へ報告するようにすることができる。この場合には、特定手段が、各個別磁束検出手段に割り当てられた固有の情報から、検出結果を報告した個別磁束検出手段を識別することができるため、個別磁束検出手段の数を複数にすることができる。このため、上述した個別磁束検出手段が報告用磁束を射出する場合と同様に、個別磁束検出手段を複数の特定部位に装着することで、当該複数の特定部位の個別軸回りの回転角を特定することができる。また、個別磁束検出手段を所定の特定部位の複数箇所に装着することで、当該所定の特定部位の個別軸回りの回転角を、精度良く特定することができる。
【0024】
また、本発明の姿勢検出装置では、前記磁束射出手段が、複数の個別磁束射出手段を備え、前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれは、前記被検体の外側において、前記所定基準面上に定義された基準軸回りに沿って配列され、前記特定手段は、前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれから、順次、個別的に指向性を有する検出用磁束が射出されるように前記磁束射出手段を制御するとともに、前記検出結果、前記磁束の量を検出した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置、及び、前記検出用磁束を射出した個別磁束射出手段の配置位置に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定するようにすることができる。
【0025】
この場合には、特定手段による制御のもとで、順次、個別的に検出用磁束が射出されるので、特定手段が、当該基準軸回りに沿って配列された複数の個別磁束射出手段のうちから、被検体に向けて検出用磁束を射出した個別磁束射出手段を識別することができる。このため、上述したように検出用磁束を射出した個別磁束射出手段に向けて報告用磁束を射出することで、姿勢検出に寄与する個別磁束射出手段と個別磁束検出手段との対応関係を認識するようにしなくても、複数の個別磁束射出手段を基準軸回り沿って配列することが可能となり、特定部位の個別軸回りの回転角の特定に際して、死角の発生を少なくするとともに、回転角を精度良く特定することができる。
【0026】
本発明の姿勢検出装置では、前記所定基準面は寝床面であり、前記被検体は人体である、とすることができる。この場合には、床面と平行な寝床面における就寝者の姿勢を検出することができる。
【0027】
ここで、前記個別磁束検出手段は、少なくとも前額部、両側頭部、胸部、両側肩部、臍下部及び両側腰部に装着され、前記特定手段は、前記前額部及び前記両側頭部に装着された個別磁束検出手段から発せられた磁束の検出結果に基づいて、頭部の姿勢を特定し、前記胸部及び前記両側肩部に装着された個別磁束検出手段から発せられた磁束の検出結果に基づいて、胸部の姿勢を特定し、前記臍下部及び前記両側腰部に装着された個別磁束検出手段から発せられた磁束の検出結果に基づいて、腰部の姿勢を特定するようにすることができる。この場合には、特定手段が、特定部位である頭部、胸部及び腰部それぞれの所定の基準姿勢からの個別軸回りの回転を特定し、人体の姿勢を検出することができる。
【0028】
また、前記特定手段による特定結果の時間的変化を解析して、前記被検体の寝返りの態様を導出する解析手段を更に備える構成とすることができる。この場合には、寝返りにおける一般的な姿勢変化や、個人ごとの寝返り時の姿勢変化の態様を取得することができる。また、警報手段を更に備えるようにすれば、褥瘡の防止に際して有効な警告等を発生させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明の姿勢検出装置によれば、簡易に、かつ、制度良く被検体の姿勢を検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態における被検体の構造を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る姿勢検出装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図2の磁束射出部の設置位置及び個別磁束検出部の人体における装着位置を説明するための図である。
【図4】図2の第1〜第3磁束射出部の構成を説明するための図である。
【図5】図4の第1〜第3磁束射出部の外観構成を示す図である。
【図6】図4の個別磁束射出部の構成を示す図である。
【図7】図2及び図3の個別磁束検出部の構成を説明するための図である。
【図8】第1実施形態における人体の就寝時における頭部の姿勢の態様を説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る姿勢検出装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図10】図9の磁束射出部の設置位置及び個別磁束検出部の人体における装着位置を説明するための図である。
【図11】図9の磁束射出部の構成を説明するための図である。
【図12】図11の磁束射出部の外観構成を示す図である。
【図13】図9及び図10の個別磁束検出部の構成を説明するための図である。
【図14】第2実施形態における人体の就寝時における頭部の姿勢の態様を説明するための図(その1)である。
【図15】第2実施形態における人体の就寝時における頭部の姿勢の態様を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0033】
本第1実施形態においては、被検体としての就寝時の人体の姿勢を検出する姿勢検出装置を例示して説明する。ここで、図1に示されるように、人体HBには、頭部HP、肩部AP、当該肩部APと接続された胸部CP、及び、腰部BPが含まれている。そして、人体HBの全体を真っ直ぐにした仰向け姿勢(仰臥位)である基準姿勢の状態から、頭部HPが、首部との接続位置から頭頂部へ向かって延びる個別軸HA回りに回動可能となっているとともに、胸部CPが、腹部から首部へ向かって延びる個別軸CA回りに回動可能となっている。また、上述した基準姿勢の状態から、腰部BPが、股部から胸部CPへ向かって延びる個別軸BA回りに回動可能となっている。
【0034】
なお、本第1実施形態では、被検体を就寝時の人体とするので、個別軸HA、個別軸CA及び個別軸BAは、就寝面とほぼ平行な床面と平行であるものとして以下の説明を行う。
【0035】
<構成>
図2には、第1実施形態に係る姿勢検出装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。また、図3(A),(B)には、姿勢検出装置100Aの外観構成が示されている。
【0036】
なお、本第1実施形態では、図3(A),(B)に示されるように、ベッドBDの就寝面上で就寝中の人体HBを被検体としている。また、本第1実施形態では、図3(A),(B)に示されるように、Z軸方向を鉛直上方方向とする座標系(X,Y,Z)のY軸(ベッドBDの長手方向の軸)と平行であり、ベッドBDのX軸方向についての中央付近に、「基準軸SA」を定義するものとする。なお、頭部HPは枕PWに載置されており、胸部CP及び腰部BPはX軸方向についてのベッドBDの中央部付近に載置されているものとする。
【0037】
図2に示されるように、姿勢検出装置100Aは、特定手段、解析手段としての処理部110Aと、磁束射出手段としての磁束射出部120Aと、個別磁束検出手段としての個別磁束検出部130A1,130A2,…,130A9とを備えている。また、姿勢検出装置100Aは、操作部150と、表示部160とを備えている。
【0038】
上記の処理部110Aは、姿勢検出に関するデータ処理等を行う。本第1実施形態では、処理部110Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路から構成されている。処理部110Aによる処理の詳細については、後述する。
【0039】
上記の磁束射出部120Aは、本第1実施形態では、第1磁束射出部210と、第2磁束射出部220と、第3磁束射出部230とを備えている。ここで、第1磁束射出部210は、頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転角を特定するために用意された磁束射出部である。また、第2磁束射出部220は、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転角を特定するために用意された磁束射出部であり、第3磁束射出部230は、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転角を特定するために用意された磁束射出部である。
【0040】
上記の第1磁束射出部210は、図4に示されるように、N個の個別磁束射出手段としての個別磁束射出部2111,2112,…,211Nと、受信報告部215とを備えている。また、上記の第2磁束射出部220は、N個の個別磁束射出手段としての個別磁束射出部2211,2212,…,221Nと、受信報告部225とを備えている。また、上記の第3磁束射出部230は、N個の個別磁束射出手段としての個別磁束射出部2311,2312,…,231Nと、受信報告部235とを備えている。
【0041】
ここで、個別磁束射出部211j(j=1,2,…,N)、個別磁束射出部221j及び個別磁束射出部231jのそれぞれは、図3(A),(B)及び図5(A)により総合的に示されるように、Y軸方向における所定位置のベッドBDの上部の人体HBの外側において、コ字状で基準軸SA回りに沿って配列されている。そして、個別磁束射出部211j、個別磁束射出部221j及び個別磁束射出部231jのそれぞれを組み合わせると、ほぼ連続的な面が形成されるようになっている。このように配置された複数の個別磁束射出部211j、個別磁束射出部221j及び個別磁束射出部231jは、処理部110Aによる制御のもとで、検出用磁束を射出するとともに、個別磁束検出部130A1〜130A9から射出された報告用磁束を受信する。
【0042】
なお、個別磁束射出部211j、個別磁束射出部221j及び個別磁束射出部231jのそれぞれは、壁面及び天井面に配置されるようにしてもよい。また、個別磁束射出部211j、個別磁束射出部221j及び個別磁束射出部231jのそれぞれは、図5(B)に示されるように、円弧状に配列するようにすることもできる。
【0043】
上記の個別磁束射出部211j(j=1,2,…,N)のそれぞれは、図6に示されるように、第1アンテナコイルとしてのアンテナコイル212と、情報読取部213とを備えている。ここで、図6は、個別磁束射出部211jの外観図である。
【0044】
上記のアンテナコイル212は、渦巻き状に形成され、基準軸SAと対向する個別磁束射出部211jの底面付近、すなわち人体HBと対向する面付近に設けられている。そして、アンテナコイル212に電流が流れると、当該アンテナコイル212から、所定周波数帯(例えば、13.56MHz周波数帯)の周波数で変化する指向性を有する検出用磁束が射出される。また、アンテナコイル212は、個別磁束検出部130A1〜130A9から射出された報告用磁束を受信する。ここで、アンテナコイル212は、不図示の配線基板上に搭載されており、当該アンテナコイル212の両端は、情報読取部213と接続されている。そして、アンテナコイル212の渦巻きの外側端と情報読取部213とは、不図示の貫通スルーホール、及び、点線で示される裏面パターンを介して接続されている。
【0045】
上記の情報読取部213は、IC(Integrated Circuit)タグの固有の情報を読み取る、いわゆるICタグリーダとして機能するようになっている。この情報読取部213は、アンテナコイル212の両端と接続されている。そして、情報読取部213は、アンテナコイル212から、検出用磁束を射出する際には、当該アンテナコイル212に電流を流す。また、情報読取部213は、アンテナコイル212が受信した報告用磁束から、当該報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報を読み取る。こうして読み取られた個別磁束検出部の識別情報は、受信報告部215へ送られる。
【0046】
図4に戻り、上記の受信報告部215は、個別磁束射出手段211j(j=1,2,…,N)から個別磁束検出部の識別情報を受ける。そして、受信報告部215は、当該個別磁束検出部の識別情報、及び、当該識別情報を読み取った個別磁束射出部211jの情報を、磁束受信結果として処理部110Aへ送る。
【0047】
上記の個別磁束射出部221j(j=1,2,…,N)のそれぞれは、上述した個別磁束射出部211jと同様に構成されている(図5(A),図6参照)。すなわち、個別磁束射出部221jのそれぞれは、アンテナコイル212と同様に構成されたアンテナコイル222と、情報読取部213と同様に構成された情報読取部223とを備えている。個別磁束射出部221jにより読み取られた報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報は、受信報告部225へ送られる。
【0048】
図4に戻り、上記の受信報告部225は、上述した受信報告部215と同様に構成され、個別磁束射出手段221j(j=1,2,…,N)から、報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報を受ける。そして、受信報告部225は、当該個別磁束検出部の識別情報、及び、当該識別情報を読み取った個別磁束射出部221jの情報を、磁束受信結果として処理部110Aへ送る。
【0049】
上記の個別磁束射出部231j(j=1,2,…,N)のそれぞれは、上述した個別磁束射出部211j,221jと同様に構成されている(図5(A),図6参照)。すなわち、個別磁束射出部231jのそれぞれは、アンテナコイル212,222と同様に構成されたアンテナコイル232と、情報読取部213,223と同様に構成された情報読取部233とを備えている。個別磁束射出部231jにより読み取られた個別磁束検出部の識別情報は、受信報告部235へ送られる。
【0050】
図4に戻り、上記の受信報告部235は、上述した受信報告部215,225と同様に構成され、個別磁束射出手段231j(j=1,2,…,N)から、報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報を受ける。そして、受信報告部235は、当該個別磁束検出部の識別情報、及び、当該識別情報を読み取った個別磁束射出部231jの情報を、磁束受信結果として処理部110Aへ送る。
【0051】
図2に戻り、上記の個別磁束検出部130A1〜130A9のそれぞれは、人体HBにおける複数の所定位置に装着されている。本第1実施形態では、図3(A),(B)に総合的に示されるように、個別磁束検出部130A1は頭部HPにおける前額部に装着され、個別磁束検出部130A2は左側頭部に装着され、個別磁束検出部130A3は右側頭部に装着されている。また、個別磁束検出部130A4は胸部CPの中央付近に装着され、個別磁束検出部130A5は肩部APにおける左側肩部に装着されており、個別磁束検出部130A6は右側肩部に装着されている。さらに、個別磁束検出部130A7は臍下部に装着され、個別磁束検出部130A8は腰部BPにおける左側腰部に装着されており、個別磁束検出部130A9は右側腰部に装着されている。
【0052】
このようにして人体HBにおける複数の所定位置に装着された個別磁束検出部130Ak(k=1,…,9)の構成が、図7(A),(B)に総合的に示されている。ここで、図7(A),(B)における座標系(s,t,u)は、個別磁束検出部130Akにおける人体HBとの装着面をst平面とする座標系である。この図7(A)に示されるように、個別磁束検出部130Akは、絶縁シート131と、検出回路132Aと、絶縁部材133,134と、絶縁シート135とを備えている。
【0053】
この個別磁束検出部130Akを構成する要素のうち、絶縁シート131は、シール等により側頭部等の所定位置に装着される。また、これらの要素のうち、絶縁シート131及び絶縁シート135のそれぞれは、s方向及びt方向に延びる長方形(又は、正方形)のシート状に形成されている。そして、絶縁シート131と絶縁シート135とは、u方向に関して所定の間隔をもって対向配置されるようになっている。また、絶縁部材133,134のそれぞれは、上述したシートの−t方向、+t方向の両端部に配置され、絶縁シート131と絶縁シート135との間を、上記の所定の間隔を保つようになっている。
【0054】
上記の検出回路132Aの平面図が、図7(B)に示されている。この図7(B)に示されるように、検出回路132Aは、表面に第2アンテナコイルとしてのアンテナコイルパターン312Aが形成された配線基板311Aと、報告手段としての検出報告部315Aとを備えている。なお、図7(B)に示した線分A−Aを含むtu平面が、図7(A)に示される個別磁束検出部130Akの断面となっている。
【0055】
上記の配線基板311Aの表面に形成された渦巻き状のアンテナコイルパターン312Aにより構成されるアンテナコイル(以下、「アンテナコイル312A」と呼ぶ)は、個別磁束射出部211j(221j,231j)のアンテナコイル212(222,232)から射出された指向性を有する検出用磁束を受信する。また、アンテナコイル312Aからは、検出報告部315Aに動作用電力が供給されると、指向性を有する報告用磁束が射出される。
【0056】
上記の検出報告部315Aは、動作用電力が供給された場合に、自身の識別情報を継続的に発信する、いわゆるICタグとして機能するようになっている。この検出報告部315Aは、配線基板311A上に搭載されるとともに、アンテナコイルパターン312Aの両端が接続されている。なお、検出報告部315Aとアンテナコイルパターン312Aの渦巻きの外側端とは、不図示の貫通スルーホール及び点線で示される裏面パターンを介して接続されている。
【0057】
かかる検出報告部315Aの動作用電力は、時間変化する検出用磁束が、アンテナコイル312Aの軸方向に当該アンテナコイルパターン312Aを貫いたときに誘起される。こうして動作用電力が誘起されると、検出報告部315Aは、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部211j(221j,231j)へ向けて、アンテナコイル312Aから、自身に固有の情報を担った指向性を有する報告用磁束を射出する。
【0058】
図2に戻り、上記の操作部150は、複数のキーが配列されたキー部を備えて構成されている。かかるキー部としては、表示部160の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。利用者によるキー操作情報は、操作部150から処理部110Aに報告される。
【0059】
上記の表示部160は、例えば、液晶表示デバイスを備え構成される。この表示部160は、処理部110Aから送られてきた表示信号に従って、操作案内画像、被検体の姿勢情報、寝返り態様の解析結果等を表示する。
【0060】
次に、処理部110Aについて説明する。上述したように、処理部110Aは、姿勢検出装置100Aにおける検出動作を制御するとともに、磁束射出部120A(より詳しくは、受信報告部215,225,235)からの磁束受信結果に基づく解析処理を行う。また、この処理部110Aは、寝返り態様の解析処理のための操作案内画像を表示部160に表示させる。そして、操作部150から解析の開始指令が入力されると、処理部110Aは、寝返り態様の解析処理を開始し、検出用磁束の射出指令を生成して磁束検出部120Aへ送る。
【0061】
上述した被検体である人体HBの各時点における姿勢を検出するために、処理部110Aは、所定時間ごとに、磁束射出部120Aからの磁束受信結果を受ける。そして、処理部110Aは、当該磁束受信結果に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転角、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転角、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転角を特定する。かかる回転角の特定に関する処理については、後述する。
【0062】
そして、処理部110Aは、所定時間ごとの頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの個別軸回りの回転角の特定結果に基づいて、各時点における人体HBの姿勢を検出する。引き続き、処理部110Aは、検出された人体姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。
【0063】
ここで、所定時間は、褥瘡の防止等に考慮して、人体HBの寝返り態様を導出する観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて予め定められる。なお、本第1実施形態では、処理部110Aは、検出用磁束の射出指令を、所定時間ごとに磁束射出部120Aへ向けて送るものとする。
【0064】
また、処理部110Aは、人体HBの寝返り態様の導出結果から、表示部160に表示させるための表示信号を生成して、表示部160へ送る。
【0065】
<動作>
以上のようにして構成された姿勢検出装置100Aの動作について、主に人体HBの姿勢検出処理に着目して説明する。
【0066】
なお、人体HBの頭部HPの姿勢は枕PW上において変化し、胸部CP及び腰部BPの姿勢はX軸方向についてのベッドBDの中央部付近において変化するものとする。すなわち、人体HBの姿勢が変化しても、頭部HP、胸部CP及び腰部BPの位置は、基準姿勢の場合と大きく異ならないものとする。
【0067】
この姿勢検出処理は、利用者が操作部150に、姿勢検出の開始指令を入力することにより開始する。処理部110Aは、当該開始指令を受けると、検出用磁束の射出指令を生成して、磁束射出部120Aの第1磁束射出部210、第2磁束射出部220、第3磁束射出部230へ送る。
【0068】
当該射出指令を受けた第1磁束射出部210では、個別磁束射出部211j(j=1,2,…,N)のそれぞれが、所定周波数帯の周波数で変化する指向性を有する検出用磁束を射出する。こうして射出された検出用磁束は、人体の頭部HPに向けて進行する。
【0069】
そして、頭部HPに装着された個別磁束検出部130A1,130A2,130A3のアンテナコイル312Aが、検出用磁束を受信すると、検出報告部315Aの動作用電力が誘起される。こうして動作用電力が誘起されると検出報告部315Aは、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部211jへ向けて、アンテナコイル312Aから、自身の識別情報を担った指向性を有する報告用磁束を射出する。
【0070】
この報告用磁束を受信した個別磁束射出部211jでは、情報読取部213が、報告用磁束から当該報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報を読み取る。こうして読み取られた個別磁束検出部の識別情報は、受信報告部215へ送られる。そして、受信報告部215は、当該個別磁束検出部の識別情報、及び、当該識別情報を読み取った個別磁束射出部211jの情報を、磁束受信結果として処理部110Aへ送る。
【0071】
かかる磁束受信結果を受けた処理部110Aでは、頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転角を特定するために、報告用磁束を射出した個別磁束検出部の装着位置、及び、当該報告用磁束を受信した個別磁束射出部211jの配置位置に基づいた解析処理を行う。
【0072】
例えば、頭部HPが、図8(A)に示される姿勢のとき、すなわち、基準姿勢のときには、前額部に装着された個別磁束検出部130A1は個別磁束射出部211Lから射出された検出用磁束を受信する。そして、個別磁束検出部130A1は、当該受信に対する報告として、個別磁束射出部211Lへ向けて報告用磁束を射出する。また、左側頭部に装着された個別磁束検出部130A2は、個別磁束射出部2112から射出された検出用磁束を受信し、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部2112へ向けて報告用磁束を射出する。また、右側頭部に装着された個別磁束検出部130A3は、個別磁束射出部211N-1から射出された検出用磁束を受信し、個別磁束射出部211N-1へ向けて報告用磁束を射出する。このような受信結果報告を受けた場合に、処理部110Aは、頭部HPの基準姿勢からの回転角を0度と特定する。
【0073】
また、頭部HPが、図8(B)に示される姿勢のときには、個別磁束検出部130A1は、個別磁束射出部211M2から射出された検出用磁束を受信し、当該受信に対する報告として、個別磁束射出部211M2へ向けて報告用磁束を射出する。また、個別磁束検出部130A2は、個別磁束射出部211M1から射出された検出用磁束を受信し、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部211M1へ向けて報告用磁束を射出する。なお、右側頭部に装着された個別磁束検出部130A3は、いずれの個別磁束射出部211jからも検出用磁束を受信しない。このような受信結果報告を受けた場合に、処理部110Aは、前額部と個別磁束射出部211M2の配置位置、並びに、左側頭部と個別磁束射出部211M1の配置位置に基づいて定まる角度だけ、基準姿勢から個別軸HA回りに右回転していると特定する。
【0074】
また、射出指令を受けた第2磁束射出部220においても、個別磁束射出部221j(j=1,2,…,N)のそれぞれが、所定周波数帯の周波数で変化する指向性を有する検出用磁束を射出する。こうして射出された検出用磁束は、人体の胸部CPに向けて進行する。
【0075】
そして、胸部CP及び肩部APに装着された個別磁束検出部130A4,130A5,130A6のアンテナコイル312Aが、検出用磁束を受信すると、検出報告部315Aの動作用電力が誘起される。引き続き、検出報告部315Aが、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部221jへ向けて、自身の識別情報を担った指向性を有する報告用磁束を射出する。
【0076】
この報告用磁束を受信した個別磁束射出部221jでは、情報読取部223が、報告用磁束から当該報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報を読み取り、受信報告部225へ送る。そして、受信報告部225が、当該個別磁束検出部の識別情報、及び、当該識別情報を読み取った個別磁束射出部221jの情報を、磁束受信結果として処理部110Aへ送る。
【0077】
かかる磁束受信結果を受けた処理部110Aでは、頭部HPの回転角の特定処理と同様に、報告用磁束を射出した個別磁束検出部の装着位置、及び、当該報告用磁束を受信した個別磁束射出部221jの配置位置に基づいて、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転角を特定する。
【0078】
また、射出指令を受けた第3磁束射出部230においても、個別磁束射出部231j(j=1,2,…,N)のそれぞれが、所定周波数帯の周波数で変化する指向性を有する検出用磁束を射出する。こうして射出された検出用磁束は、人体の腰部BPに向けて進行する。
【0079】
そして、臍下部及び腰部BPに装着された個別磁束検出部130A7,130A8,130A9のアンテナコイル312Aが、検出用磁束を受信すると、検出報告部315Aの動作用電力が誘起される。引き続き、検出報告部315Aが、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部231jへ向けて、自身の識別情報を担った指向性を有する報告用磁束を射出する。
【0080】
この報告用磁束を受信した個別磁束射出部231jでは、情報読取部233が、報告用磁束から当該報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報を読み取り、受信報告部235へ送る。そして、受信報告部235が、当該個別磁束検出部の識別情報、及び、当該識別情報を読み取った個別磁束射出部231jの情報を、磁束受信結果として処理部110Aへ送る。
【0081】
かかる磁束受信結果を受けた処理部110Aでは、頭部HP及び胸部CPの回転角の特定処理と同様に、報告用磁束を射出した個別磁束検出部の装着位置、及び、当該報告用磁束を受信した個別磁束射出部231jの配置位置に基づいて、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転角を特定する。
【0082】
処理部110Aは、上述した射出指令の発行処理、姿勢検出処理である回転角の特定処理を所定時間ごとに行う。そして、処理部110Aは、検出された姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。処理部110Aは、姿勢検出処理の結果や、寝返り態様の導出結果を、表示部160に表示させる。
【0083】
以上説明したように、本第1実施形態では、処理部110Aが、射出指令を生成して、磁束射出部120Aの第1磁束射出部210、第2磁束射出部220、第3磁束射出部230へ発行すると、第1〜第3磁束射出部のそれぞれが、人体HBの頭部HP、胸部CP、腰部BPに向けて、所定周波数帯の周波数で変化する指向性を有する検出用磁束を射出する。そして、人体HBの前額部、両側頭部、胸部、両側肩部、臍下部及び両側腰部に装着された個別磁束検出部130A1〜130A9が検出用磁束を受信すると、当該検出用磁束を射出した個別磁束射出部へ向けて、自身の識別情報を担った指向性を有する報告用磁束を射出する。この報告用磁束を受信した個別磁束射出部は、報告用磁束から当該報告用磁束を射出した個別磁束検出部の識別情報を読み取り、受信報告部へ送る。そして、受信報告部が、当該個別磁束検出部の識別情報、及び、当該識別情報を読み取った個別磁束射出部の情報を、磁束受信結果として処理部110Aへ送る。
【0084】
引き続き、処理部110Aは、報告用磁束を射出した個別磁束検出部の装着位置、及び、当該報告用磁束を受信した個別磁束射出部の配置位置に基づいて、頭部HP、胸部CP、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸回りの回転角を特定する。このため、個別磁束検出部130A1〜130A9が、いずれの個別磁束射出部からの検出用磁束を検出したかという簡易な方法で、回転角の特定を行うことができる。この結果、各時点における人体HBの姿勢が検出される。
【0085】
そして、処理部110Aは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの回転角の特定結果の時間的変化を解析して、人体HBの寝返りの態様を導出する。
【0086】
したがって、本第1実施形態によれば、被検体である人体HBの各時点における姿勢を、簡易に、かつ、精度良く検出することができる。そして、検出された各時点の姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出することができる。
【0087】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図9〜図15を主に参照して説明する。
【0088】
<構成>
図9には、第2実施形態に係る姿勢検出装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。また、図10(A),(B)には、姿勢検出装置100Bの外観構成が示されている。
【0089】
本第2実施形態に係る姿勢検出装置100Bは、図9に示されるように、上述した第1実施形態の姿勢検出装置100Aと比べて、処理部110Aに代えて処理部110Bを備える点、磁束射出部120Aに代えて磁束射出部120Bを備える点、個別磁束検出部130A1,130A2,…,130A9に代えて個別磁束検出部130B1,130B2,…,130B9を備える点、及び、アンテナ180を更に備える点が異なっている。以下、こうした相違点に着目して説明する。
【0090】
上記の処理部110Bは、姿勢検出に関するデータ処理等を行う。この処理部110Bは、上述した処理部110Aと同様に、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路から構成されている。また、処理部110Bは、無線通信で、個別磁束検出部130B1〜130B9との間で情報のやり取りを行う。処理部110Bによる処理の詳細については、後述する。
【0091】
上記の磁束射出部120Bは、本第2実施形態では、図11に示されるように、個別磁束射出部1211,1212,1213と、射出制御部125とを備えている。ここで、上記の個別磁束射出部1211,1212,1213は、図10(A),(B)及び図12により総合的に示されるように、Y軸方向における所定位置のベッドBDの上部の人体HBの外側において、コ字状で基準軸SA回りに沿って配列されている。このように配置された複数の個別磁束射出部1211,1212,1213は、処理部110Bによる制御のもとで、順次、個別的に定常的な検出用磁束を射出する。個別磁束射出部1211,1212,1213から射出される検出用磁束は、頭部HP、胸部CP及び腰部BPの全体に向けて進行する。
【0092】
なお、個別磁束射出部1211,1213は壁面に配置され、個別磁束射出部1212は天井面に配置されるようにしてもよい。
【0093】
上記の射出制御部125は、処理部110Bからの射出指令を受けると、個別磁束射出部1211,1212,1213に対して、順次、個別的に当該射出指令を送る。
【0094】
図9に戻り、上記の個別磁束検出部130B1〜130B9のそれぞれは、上述した個別磁束検出部130A1〜130A9と同様、人体の前額部、両側頭部、胸部、両側肩部、臍下部及び両側腰部に装着されている(図10(A),(B)参照)。
【0095】
この個別磁束検出部130Bk(k=1,…,9)の構成が、図13(A),(B)に総合的に示されている。ここで、図13(A),(B)における座標系(s,t,u)は、第1実施形態において定義した座標系(図7(A),(B)参照)である。この図13(A)に示されるように、個別磁束検出部130Bkは、検出回路132Aに代えて検出回路132Bを備える点が異なっている。なお、図13(B)に示した線分B−Bを含むtu平面が、図13(A)に示される個別磁束検出部130Bkの断面となっている。
【0096】
上記の検出回路132Bは、上述した検出回路132Aと比べて、配線基板311Aに代えて配線基板311Bを備える点、検出報告部315Aに代えて検出報告部315Bを備える点、電源316を更に備える点、及び、ホール素子317を更に備える点が異なっている。
【0097】
上記の配線基板311Bの表面には、渦巻き状のアンテナコイルパターン312B及び2つの配線パターン318,319が形成されている。
【0098】
上記の検出報告部315Bは、電源316から動作用電力の供給を受けて、自身の識別情報及び付加情報を継続的に発信する機能を有している。検出報告部315Bは、配線基板311B上に搭載され、アンテナコイルパターン312Bの両端、及び、配線パターン318,319それぞれの一端が接続されている。この検出報告部315Bは、配線パターン319を介してホール素子317から後述する磁束の量の検出結果を受けるとともに、処理部110Bとの間で、無線通信を行うことができるようになっている。なお、検出報告部315Bとアンテナコイルパターン312Bの渦巻きの外側端とは、不図示の貫通スルーホール及び点線で示される裏面パターンを介して接続されている。
【0099】
上記の電源316は、検出報告部315Bに動作用電力を供給する。この電源316は、配線基板311B上に搭載され、配線パターン318の一端が接続されている。
【0100】
上記のホール素子317は、配線基板311B上に搭載され、配線パターン319の一端が接続されている。このホール素子317は、ホール効果を利用して、個別磁束射出部1211,1212,1213から射出された検出用磁束のうちで、磁束検出面を貫く磁束の量を検出する。このホール素子317を貫いた磁束の量の検出結果は、配線パターン319を介して、検出報告部315Bへ送られるようになっている。
【0101】
このようにして構成された個別磁束検出部130Bkが、個別磁束射出部1211,1212,1213から射出された検出用磁束を受けると、検出用磁束のうちで、ホール素子317の磁束検出面を貫く磁束の量を検出する。そして、検出報告部315Bは、この検出結果及び自身に固有の情報を、検出結果報告として、無線通信で処理部110Bへ報告する。
【0102】
図9に戻り、上記のアンテナ180は、個別磁束検出部130B1〜130B9からの無線信号を受信する。アンテナ180による受信結果は、受信信号として、処理部110Bへ向けて出力される。このアンテナ180は、例えば、ベッドBD上方の天井面等に配置される。
【0103】
上記の処理部110Bは、姿勢検出装置100Bにおける検出動作を制御するとともに、個別磁束検出部130Bk(k=1,…,9)からの検出結果報告に基づく解析処理を行う。また、処理部110Bは、上述した処理部110Aと同様に、寝返り態様の解析処理のための操作案内画像を表示部160に表示させる。そして、操作部150から解析の開始指令が入力されると、処理部110Bは、寝返り態様の解析処理を開始する。
【0104】
人体HBの各時点における姿勢を検出するために、処理部110Bは、所定時間ごとに、検出用磁束の射出指令を生成し、磁束射出部120Bへ向けて送る。本第2実施形態では、処理部110Bが発行する射出指令は、個別磁束射出部1211,1212,1213のそれぞれから、順次、個別的に検出用磁束が射出されるように制御したものとなっている。なお、各個別磁束射出部が検出用磁束を射出する射出時間は、所定時間に比べて十分に短くなっている。
【0105】
また、処理部110Bは、射出指令を発行した後に、個別磁束検出部130Bk(k=1,…,9)からの検出結果報告を受ける。そして、処理部110Bは、当該検出結果報告及び検出用磁束を射出した個別磁束射出部の配置位置に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転角、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転角、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転角を特定する。かかる回転角の特定に関する処理については、後述する。
【0106】
そして、処理部110Bは、所定時間ごとの頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの個別軸回りの回転角の特定結果に基づいて、各時点における人体HBの姿勢を検出する。引き続き、処理部110Bは、検出された人体姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。
【0107】
また、処理部110Bは、上述した処理部110Aと同様に、人体HBの寝返り態様の導出結果から、表示部160に表示させるための表示信号を生成して、表示部160へ送る。
【0108】
<動作>
以上のようにして構成された姿勢検出装置100Bの動作について、主に人体HBの姿勢検出処理に着目して説明する。
【0109】
なお、本第2実施形態においても、人体HBの頭部HPの姿勢は枕PW上において変化し、胸部CP及び腰部BPの姿勢はX軸方向についてのベッドBDの中央部付近において変化するものとする。
【0110】
人体HBの姿勢検出処理は、第1実施形態の場合と同様に、利用者が操作部150に、姿勢検出の開始指令を入力することにより開始する。処理部110Bは、当該開始指令を受けると、所定時間ごとに、検出用磁束の射出指令を生成して、磁束射出部120Bへ送る。この射出指令は、個別磁束射出部1211,1212,1213のそれぞれから、順次、個別的に検出用磁束を射出する指令となっている。
【0111】
射出指令を受けた磁束射出部120Bでは、まず、個別磁束射出部1211が、指向性を有する検出用磁束を射出する。こうして射出された検出用磁束は、人体HBの頭部HP、胸部CP及び腰部BPに向けて進行する。
【0112】
そして、人体HBに装着された個別磁束検出部130Bk(k=1,…,9)のいずれかが、個別磁束射出部1211が射出した検出用磁束を受けると、ホール素子317が、検出用磁束のうちで磁束検出面を貫く磁束の量を検出する。こうして磁束の量が検出されると、検出報告部315Bが、アンテナパターン312Bにより構成されるアンテナを利用して、自身の識別情報及び磁束の量の検出結果を、検出結果報告として、無線通信で処理部110Bへ報告する。
【0113】
次に、個別磁束射出部1212が、指向性を有する検出用磁束を射出する。そして、個別磁束検出部130Bkのいずれかが、個別磁束射出部1212が射出した検出用磁束を受けると、ホール素子317が、磁束検出面を貫く磁束の量を検出する。そして、検出報告部315Bが、アンテナパターン312Bにより構成されるアンテナを利用して、自身の識別情報及び磁束の量の検出結果を、検出結果報告として、無線通信で処理部110Bへ報告する。
【0114】
次いで、個別磁束射出部1213が、指向性を有する検出用磁束を射出する。そして、個別磁束検出部130Bkのいずれかが、個別磁束射出部1213が射出した検出用磁束を受けると、磁束検出面を貫く磁束の量を検出し、自身の識別情報及び磁束の量の検出結果を含む検出結果報告を、アンテナパターン312Bにより構成されるアンテナを利用して、処理部110Bへ報告する。
【0115】
こうして検出結果報告を受けた処理部110Bでは、頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転角を特定するために、頭部HPに装着された個別磁束検出部130B1,130B2,130B3からの検出結果報告、及び、検出用磁束を射出した個別磁束射出部の配置位置に基づいた解析処理を行う。
【0116】
例えば、頭部HPが、図14(A)に示される姿勢のとき、すなわち、基準姿勢のときには、前額部に装着された個別磁束検出部130B1は個別磁束射出部1212から射出された検出用磁束を最も多く受ける。そして、個別磁束検出部130B1は、検出用磁束のうちで磁束検出面を貫く磁束の量を検出し、検出結果を自身の識別情報とともに、検出結果報告として処理部110Bに報告する。このとき検出した磁束の量を、HS1とする。また、左側頭部に装着された個別磁束検出部130B2は、個別磁束射出部1211から射出された検出用磁束を最も多く受ける。そして、個別磁束検出部130B2は、検出用磁束のうちで磁束検出面を貫く磁束の量を検出し、検出結果を自身の識別情報とともに、処理部110Bに報告する。このとき検出した磁束の量を、HS2とする。また、右側頭部に装着された個別磁束検出部130B3は、個別磁束射出部1213から射出された検出用磁束を最も多く受けて、検出結果報告を処理部110Bに報告する。このとき検出した磁束の量を、HS3とする。
【0117】
ここで、磁束の量「HS1」は、個別磁束検出部130B1が個別磁束射出部1212から射出された検出用磁束を受けた場合に、磁束の方向と磁束検出面の法線方向とが平行なときに得られる値であり、磁束の量「HS2」は、個別磁束検出部130B2が個別磁束射出部1211から射出された検出用磁束を受けた場合に、磁束の方向と磁束検出面の法線方向とが平行なときに得られる値である。また、磁束の量「HS3」は、個別磁束検出部130B3が個別磁束射出部1213から射出された検出用磁束を受けた場合に、磁束の方向と磁束検出面の法線方向とが平行なときに得られる値である。これら関係は、事前の較正処理により既知であるものとする。
【0118】
処理部110Bは、「個別磁束検出部130B1が個別磁束射出部1212から射出された検出用磁束を受けて、検出された磁束の量がHS1であるとき」、かつ、「個別磁束検出部130B2が個別磁束射出部1211から射出された検出用磁束を受けて、検出された磁束の量がHS2であるとき」、かつ、「個別磁束検出部130B3が個別磁束射出部1213から射出された検出用磁束を受けて、検出された磁束の量がHS3であるとき」には、頭部HPの基準姿勢からの回転角を0度と特定する。
【0119】
また、頭部HPが、図14(B)に示される姿勢のときに、個別磁束検出部130B1が磁束射出部1212から射出された検出用磁束を受けて、磁束の量HD1(<HS1)を報告し、個別磁束検出部130B2が磁束射出部1211から射出された検出用磁束を受けて、磁束の量HD1(<HS1)を報告したとする。このような検出結果報告を受けた場合に、処理部110Bは、前額部と個別磁束射出部1212の配置位置、並びに、左側頭部と個別磁束射出部1211の配置位置を考慮して、磁束の量HD1,HD2に基づいて定まる角度だけ、基準姿勢から個別軸HA回りに右回転していると特定する。
【0120】
また、頭部HPが、図15に示される姿勢のときに、個別磁束検出部130B1が磁束射出部1213から射出された検出用磁束を受けて、磁束の量HD1(≒HS1)を報告し、個別磁束検出部130B2が磁束射出部1212から射出された検出用磁束を受けて、磁束の量HD2(≒HS2)を報告したとする。このような検出結果報告を受けた場合に、処理部110Bは、前額部と個別磁束射出部1213の配置位置、左側頭部と個別磁束射出部1212の配置位置、並びに、磁束の量HD1,HD2に基づいて、頭部HPが基準姿勢から個別軸HA回りに約90度だけ右回転していると特定する。
【0121】
また、処理部110Bは、頭部HPの回転角の特定処理と同様に、胸部CP及び肩部APに装着された個別磁束検出部130B4,130B5,130B6のからの検出結果報告、及び、検出用磁束を射出した個別磁束射出部の配置位置に基づいて、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転角を特定する。
【0122】
また、処理部110Bは、頭部HP及び胸部CPの回転角の特定処理と同様に、臍下部及び腰部BPに装着された個別磁束検出部130B7,130B8,130B9のからの検出結果報告、及び、検出用磁束を射出した個別磁束射出部の配置位置に基づいて、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転角を特定する。
【0123】
処理部110Bは、上述した射出指令の発行処理、姿勢検出処理である回転角の特定処理を所定時間ごとに行う。そして、処理部110Bは、第1実施形態の場合と同様に、検出された姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。また、処理部110Bは、姿勢検出処理の結果や、寝返り態様の導出結果を、表示部160に表示させる。
【0124】
以上説明したように、本第2実施形態では、処理部110Bが、射出指令を生成して、磁束射出部120Bへ発行すると、個別磁束射出部1211,1212,1213のそれぞれから、順次、個別的に検出用磁束が射出される。そして、人体HBの前額部、両側頭部、胸部、両側肩部、臍下部及び両側腰部に装着された個別磁束検出部130B1〜130B9が検出用磁束を受けると、射出された検出用磁束のうちで、磁束検出面を貫く磁束の量を検出し、自身の識別情報及び磁束の量の検出結果を、無線通信で処理部110Bへ報告する。
【0125】
引き続き、処理部110Bは、磁束の量の検出結果、当該磁束の量を検出した個別磁束検出部の装着位置、及び、検出用磁束を射出した個別磁束射出部の配置位置に基づいて、頭部HP、胸部CP、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸回りの回転角を特定する。このため、個別磁束検出部130B1〜130B9が、いずれの個別磁束射出部からの検出用磁束を検出したかという簡易な方法で、回転角の特定を行うことができる。この結果、各時点における人体HBの姿勢が検出される。
【0126】
そして、処理部110Bは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの回転角の特定結果の時間的変化を解析して、人体HBの寝返りの態様を導出する。
【0127】
したがって、本第2実施形態によれば、被検体である人体HBの各時点における姿勢を、簡易に、かつ、精度良く検出することができる。そして、検出された各時点の姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出することができる。
【0128】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0129】
例えば、上記の第1及び第2実施形態では、9個の個別磁束検出部を備えることとしたが、個別磁束検出部の数を8個以下又は10個以上としてもよい。例えば、第1実施形態においては、個別磁束検出部の装着位置を前額部、胸部の中央付近、臍下部の3個としても、検出精度は低下するが、頭部、胸部、及び、腰部の基準姿勢からの個別軸回りの回転角を特定することができる。
【0130】
また、上記の第1実施形態では、第1〜第3磁束射出部は、それぞれN個の個別磁束射出部を備えることとしたが、各磁束射出部における個別磁束検出部の数を異なるようにしてもよい。
【0131】
また、上記の第1実施形態では、N個の配列された個別磁束射出部を備えることとしたが、個別磁束射出部の数を1個としてもよく、この場合には、例えば、個別磁束射出部の磁束受信領域を広くして、天井面等に配置すればよい。また、上記の第2実施形態では、3個の個別磁束射出部を備えることとしたが、個別磁束射出部の数を1個としてもよい。なお、個別磁束射出部の数を1個とする場合には、精度良く回転角を特定するという観点から、1つの特定部位に装着する個別磁束検出部の数を3個以上とすることが望ましい。
【0132】
また、上記の第1実施形態では、複数の個別磁束射出部は、処理部による制御のもとで、検出用磁束を同時に射出することとした。これに対して、処理部は、個別磁束射出部のそれぞれから、順次、個別的に検出用磁束が射出されるように磁束射出部を制御するようにしてもよい。
【0133】
また、人体が寝返りを行わずに特定の姿勢を長時間続けるような場合には、処理部は、表示部等を利用して、介護者・看護者に対して、褥瘡を防止するための手立てを行うべき旨の警報を報知するようにしてもよい。
【0134】
また、上記の第1及び第2実施形態においては、人体の姿勢を検出する姿勢検出装置に本発明を適用したが、ロボットなどの運動体の姿勢を検出する姿勢検出装置にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
以上説明したように、本発明の姿勢検出装置は、被検体の姿勢を検出する姿勢検出装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
100A,100B…姿勢検出装置、110A,110B…処理部(特定手段、解析手段)、120A,120B…磁束射出部(磁束射出手段)、1211,1212,1213…個別磁束射出部(個別磁束射出手段)、125…射出制御部、130A1〜130A9,130B1〜130B9…個別磁束検出部(個別磁束検出手段)、131…絶縁シート、132A,132B…検出回路、133,134…絶縁部材、135…絶縁シート、150…操作部、160…表示部、180…アンテナ、210…第1磁束射出部、211j(j=1,2,…,N)…個別磁束射出部(個別磁束射出手段)、212…アンテナコイル(第1アンテナコイル)、213…情報読取部、215…受信報告部、220…第2磁束射出部、221j…個別磁束射出部(個別磁束射出手段)、222…アンテナコイル(第1アンテナコイル)、223…情報読取部、225…受信報告部、230…第3磁束射出部、231j…個別磁束射出部(個別磁束射出手段)、232…アンテナコイル(第1アンテナコイル)、233…情報読取部、235…受信報告部、311A,311B…配線基板、312A…アンテナコイルパターン(第2アンテナコイル)、312B…アンテナコイルパターン、315A,315B…検出報告部(報告手段)、316…電源、317…ホール素子、318,319…配線、HB…人体(被検体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節機構を介して、個別軸に沿って延びる個別部位が順次接続され、複数の前記個別部位には、隣接部位に対して、自身の個別軸回りに回動可能な特定部位が含まれる被検体の姿勢を検出する姿勢検出装置であって、
所定基準面上に載置された前記被検体の外側に設置され、指向性を有する検出用磁束を射出する磁束射出手段と;
前記特定部位又は前記特定部位の回動に連動する所定位置に装着され、前記磁束射出手段から射出された検出用磁束を検出する個別磁束検出手段と;
前記個別磁束検出手段による検出結果、前記検出用磁束を検出した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置、及び、前記個別磁束検出手段が検出した検出用磁束の方向に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定する特定手段と;
を備えることを特徴とする姿勢検出装置。
【請求項2】
前記磁束射出手段は、前記指向性を有する所定周波数帯の検出用磁束を射出する第1アンテナコイルを有する少なくとも1つの個別磁束射出手段を備える、ことを特徴する請求項1に記載の姿勢検出装置。
【請求項3】
前記検出用磁束は、所定周波数帯の周波数で変化し、
前記個別磁束検出手段は、
第2アンテナコイルと;
前記検出用磁束を受信すると、前記受信した検出用磁束を射出した個別磁束射出手段へ向けて、前記第2アンテナコイルから指向性を有する報告用磁束を射出する報告手段と;を備え、
前記特定手段は、前記報告用磁束を発した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置、及び、前記報告用磁束を受信した個別磁束射出手段の配置位置に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の姿勢検出装置。
【請求項4】
前記検出用磁束が、前記第2アンテナコイルの軸方向に前記第2アンテナコイルを貫いたときに、前記個別磁束検出手段の動作用電力が誘起され、
前記動作用電力が誘起された個別磁束検出手段は、前記第2アンテナコイルから前記報告用磁束を射出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の姿勢検出装置。
【請求項5】
前記個別磁束検出手段の数は複数であり、
前記複数の個別磁束検出手段のそれぞれは、自身に固有の情報を担った報告用磁束を射出する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の姿勢検出装置。
【請求項6】
前記磁束射出手段は、複数の個別磁束射出手段を備え、
前記複数の個別磁束射出手段は、前記被検体の外側において、前記所定基準面上に定義された基準軸回りに沿って配列される、
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の姿勢検出装置。
【請求項7】
前記特定手段は、前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれから、順次、個別的に指向性を有する検出用磁束が射出されるように前記磁束射出手段を制御する、ことを特徴とする請求項6に記載の姿勢検出装置。
【請求項8】
前記特定部位の数は複数であり、
前記複数の特定部位ごとに対応して、前記磁束射出手段が用意される、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の姿勢検出装置。
【請求項9】
前記特定部位に対応して配列された前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれの磁束受信領域を組み合わせると、前記特定部位に対応して装着された前記個別磁束検出手段から射出される報告用磁束についての前記基準軸回りの連続的な受信領域と等価な受信が可能な磁束受信領域が形成される、ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の姿勢検出装置。
【請求項10】
前記個別磁束検出手段は、
ホール効果を利用して磁場を検出する素子と;
前記素子を貫いた検出用磁束の量を検出し、検出結果を、無線通信で、前記特定手段へ報告する報告手段と;を備え、
前記特定手段は、前記検出結果、及び、前記磁束の量を検出した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の姿勢検出装置。
【請求項11】
前記個別磁束検出手段の数は複数であり、
前記複数の個別磁束検出手段のそれぞれは、前記検出結果を特定手段へ報告する際に、自身に固有の情報を、無線通信で、前記特定手段へ報告する、
ことを特徴とする請求項10に記載の姿勢検出装置。
【請求項12】
前記磁束射出手段は、複数の個別磁束射出手段を備え、
前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれは、前記被検体の外側において、前記所定基準面上に定義された基準軸回りに沿って配列され、
前記特定手段は、前記複数の個別磁束射出手段のそれぞれから、順次、個別的に指向性を有する検出用磁束が射出されるように前記磁束射出手段を制御するとともに、前記検出結果、前記磁束の量を検出した個別磁束検出手段の前記被検体における装着位置、及び、前記検出用磁束を射出した個別磁束射出手段の配置位置に基づいて、前記特定部位の所定の基準姿勢からの前記個別軸回りの回転角を特定する、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の姿勢検出装置。
【請求項13】
前記所定基準面は寝床面であり、前記被検体は人体である、ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の姿勢検出装置。
【請求項14】
前記個別磁束検出手段は、少なくとも前額部、両側頭部、胸部、両側肩部、臍下部及び両側腰部に装着され、
前記特定手段は、
前記前額部及び前記両側頭部に装着された個別磁束検出手段から発せられた磁束の検出結果に基づいて、頭部の姿勢を特定し、
前記胸部及び前記両側肩部に装着された個別磁束検出手段から発せられた磁束の検出結果に基づいて、胸部の姿勢を特定し、
前記臍下部及び前記両側腰部に装着された個別磁束検出手段から発せられた磁束の検出結果に基づいて、腰部の姿勢を特定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の姿勢検出装置。
【請求項15】
前記特定手段による特定結果の時間的変化を解析して、前記被検体の寝返りの態様を導出する解析手段を更に備える、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の姿勢検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−120683(P2011−120683A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279559(P2009−279559)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(502265286)
【Fターム(参考)】