説明

姿勢計測装置

【課題】アンテナ間の距離が短くなっても姿勢の測定精度を向上させることができるようにする。
【解決手段】データテーブル14には、予め求めておいた各アンテナについて各衛星からの信号の移動体座標系における到来方向ごとのカップリング誤差のデータが格納されている。誤差取得部15は、この到来方向に対応したカップリング誤差のデータをデータテーブル14から取得する。姿勢算出部17は、このカップリング誤差を除いた一重位相差又は二重位相差を用いて船舶の姿勢を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の姿勢を計測する姿勢計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような移動体の姿勢を計測するための背景技術について順を追って説明する。
【0003】
(1)移動体における姿勢の定義
まず、2つの座標系、局所座標系と移動体座標系を次のように定義する。「局所座標系」は、移動体の位置において、x-y平面を水平面と平行させ、x軸を真北に向けた右手系直交座標系である。「移動体座標系」は、移動体に固定された右手系直交座標系である。
【0004】
このように定義したとき、船舶などの移動体の姿勢を示す、方位、ピッチ、ロールは、次のように表すことができる。
【0005】
「方位」とは、局所座標系のx軸から移動体座標系のx軸の局所座標系のx-y平面への射影へのなす角である。
【0006】
「ピッチ」とは、移動体座標系のx軸の局所座標系のx-y平面への射影からの移動体座標系のx軸へのなす角である。
【0007】
「ロール」とは、移動体座標系のx軸を中心とした、移動体座標系のy軸の局所座標系の水平面からの回転角である。
【0008】
(2)移動体姿勢計測装置の装置構成例
次に、前述のように表される方位、ピッチ、ロールからなる移動体の姿勢を計測する移動体姿勢計測装置の装置構成例を、図1、図2を参照して説明する。
【0009】
この移動体姿勢計測装置1は、移動体の一例としての船舶Sに設置されている。移動体姿勢計測装置1は、アンテナ部2と処理部3とから構成される。
【0010】
アンテナ部2は、アンテナα,β,γとからなり、アンテナαは基準アンテナとなる。このアンテナα,β,γは船舶S上に設置されているものとする。図1に示すように、移動体座標系のx軸はアンテナαとβがなす第1基線bαβに一致するものとし、移動体座標系のx‐y平面はアンテナα,β,γが作る平面にあるものとする。
【0011】
処理部3は、3つの受信機4と姿勢算出処理機5とからなる。各受信機4は、それぞれ各アンテナα,β,γに接続されていて、各アンテナα,β,γで受信している衛星信号(GPS信号など)を受信する。これにより、各受信機4では、受信している衛星信号の搬送波位相と、衛星への局所座標系での視線方向ベクトル(衛星と船舶Sとの位置関係を示す)とが得られる。ここでは、アンテナα,β,γ間の距離は比較的短いもの(例えば1メートル程度)とし、そのことから衛星に対する各アンテナα,β,γからの視線方向ベクトルはすべて同じであるものとする。姿勢算出処理機5は、各受信機4から得られた情報に基づいてアンテナα,β,γの姿勢を算出する演算を行う。
【0012】
(3)一般的な姿勢算出法
移動体姿勢計測装置1では、衛星航法システムを利用して各アンテナα,β,γ間の基線ベクトルを算出すれば、その算出値から船舶Sの姿勢を算出することができる。
【0013】
図1に示すように、アンテナαからβへのとの第1基線をbαβ、アンテナαからγへの第2基線をbαγとすれば、この基線bαβ,bαγから、船舶Sの姿勢、すなわち、方位、ピッチ、ロールは、それぞれ、
【数1】

………(1)
と表すことができる。
【0014】
ここで、
【数2】

………(2)
である。なお、数1において、arg(・)は複素数の偏角を求める関数であり、添え字x,y,zは、ベクトルの座標系における各軸方向の成分を意味する。
【0015】
(4)基線ベクトルの算出
前述のとおり、基線ベクトルを求めることにより、船舶Sの姿勢を算出することができる。ここで、基線ベクトルを求めるには、次のようにする。
【0016】
まず、受信機4から得られた搬送波位相から一重位相差、二重位相差を求める。ここで、「一重位相差」とは、基準アンテナ(アンテナα)及びユーザアンテナ(アンテナβ,γ)における、同一衛星からの信号の搬送波位相の差分であり、「二重位相差」とは、基準衛星に対する一重位相差と他の衛星の一重位相差の差分である。
【0017】
そして、このような一重位相差又は二重位相差と衛星への視線方向ベクトルとの関係から、最小二乗法をもちいて基線ベクトルを算出することができる。
【0018】
(5)基線と一重位相差又は二重位相差との関係
図3を参照して、一重位相差とは基準アンテナ101及びユーザアンテナ102における、同一衛星105からの信号の搬送波位相の差分である。この差分と基準アンテナ101(その信号は基準受信機103で受信する)及びユーザアンテナ102(その信号は基準受信機104で受信する)により構成される基線ベクトルの間には行路差から、
【0019】
【数3】

………(3)
が成り立つ。なお、yは位相差、hは衛星への単位方向ベクトル、bは基線ベクトル、aは整数の値、Δtは受信機の位相差の取得タイミングのズレを表す時計誤差、eは観測誤差、であり、これらのy,b,a,Δt,eの単位は波数とする。また、添え字sは一重位相差についての値であることを意味する。
【0020】
この式は、一重位相差と行路差hbとの間には、ある波長の整数倍とΔtとを足し合わせた分だけの差があることを示している。例えば、各アンテナで瞬時位相を観測したとき、その値の範囲は[−0.5:0.5]となる。このとき、一重位相差の値は[−1.0:1.0]でしか表されないため、行路差hbとの間には、ある波長の整数倍とΔtとを足し合わせた分だけの差があることになる。この整数値は整数値アンビギュイティと呼ばれ、(3)式中のaにあたる。
【0021】
また、二重位相差とは、ある基線における基準衛星の一重位相差と基準衛星以外の一重位相差の差分である。基準衛星iと衛星kとにおける二重位相差と基線との関係は、
【数4】

………(4)
と表される。
【0022】
ここで、
【数5】

………(5)
を意味する。なお、添え字dは二重位相差に関する値であることを表している。二重位相差を用いる利点は、時計誤差を打ち消すことができることである。
【0023】
(6)基線の算出
複数の衛星を受信すれば、基線ベクトルbに関する連立方程式を立てることができ、この連立方程式を最小二乗法により解けば基線ベクトルbを算出できる。
【0024】
一重位相差の場合、連立方程式は、
【数6】

………(6)
と表される。
【0025】
ここで、
【数7】

………(7)
である。
【0026】
整数値アンビギュイティが既知であるとすれば、基線と時計誤差は、最小二乗法を用いて、
【数8】

………(8)
と推定できる。
【0027】
ここで、Qは重み行列であり、通常、
【数9】

………(9)
と設定するのが普通である。ここでσは規格化係数である。
【0028】
二重位相差の場合も同様に解け、連立方程式は、
【数10】

………(10)
と表され、整数値アンビギュイティが既知であるとすれば、基線と時計誤差の推定値b(bにハット)は、
【数11】

………(11)
と求めることができる。
【0029】
整数値アンビギュイティは、周知のLAMBDA法や、特許文献1に示される手法を用いることで解くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2008‐64555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
移動体の姿勢を測定する場合、測定した姿勢には誤差が含まれる。この誤差の原因は各アンテナの搬送波位相の測定値に混入する誤差である。この誤差eは、移動体座標系における衛星信号の到来方向に応じて決まった値をとる誤差(カップリング誤差など)eとその他の誤差eotherとに分けることができる。
【0032】
すなわち、
【数12】

………(12)
である。
【0033】
移動体座標系における衛星信号の到来方向に応じて決まる誤差の代表的なものとしては、アンテナ同士が相互に干渉しあうことにより発生する誤差(カップリング誤差)がある。
【0034】
そして、アンテナ間の距離が長く、よって基線の長さが長いときには、カップリング誤差eは十分に小さく、無視することができる。
【0035】
しかしながら、アンテナ間の距離が短く、基線の長さが短いときには、カップリング誤差eが大きくなってしまい、そのため、測定した姿勢に含まれる誤差も無視できないほど大きくなってしまうという不具合がある。
【0036】
本発明の目的は、カップリング誤差などの移動体座標系における衛星信号の到来方向に応じて決まった値をとる誤差が発生する場合において、移動体の姿勢の測定精度を向上させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
(1)本発明は、移動体上に設けられる複数のアンテナと、前記アンテナの受信信号から各衛星の搬送波位相値を観測する搬送波位相観測手段と、前記アンテナの受信信号から移動体座標系における前記各衛星信号の到来方向を算出する信号到来方向算出手段と、前記各衛星について前記信号到来方向算出手段で算出した前記移動体座標系における信号の到来方向に応じた搬送波位相誤差を取得する位相誤差取得手段と、前記位相誤差取得手段で取得した前記搬送波位相誤差を前記搬送波位相観測手段で観測した搬送波位相観測値から差し引いた値を用いて前記アンテナの受信信号から前記移動体の姿勢を算出する姿勢算出手段と、を備えている姿勢算出装置である。
【0038】
(2)別の局面から見た本発明は、移動体上に設けられる複数のアンテナと、前記アンテナの受信信号から各衛星の搬送波位相値を観測する搬送波位相観測手段と、前記アンテナの受信信号から移動体座標系における前記各衛星信号の到来方向を算出する信号到来方向算出手段と、前記各衛星について前記信号到来方向算出手段で算出した前記移動体座標系における信号の到来方向に応じた搬送波位相誤差を取得する位相誤差取得手段と、前記位相差誤差取得手段で取得した前記搬送波位相誤差の位相差誤差を前記搬送波位相観測手段で観測した搬送波位相観測値の位相差から差し引いた値を用いて前記アンテナの受信信号から前記移動体の姿勢を算出する姿勢算出手段と、を備えている姿勢算出装置である。
【0039】
(3)この場合に、前記移動体の姿勢の概略の値を取得する概略姿勢取得手段をさらに備え、
前記信号到来方向算出手段は、前記概略の姿勢の値に基づいて前記移動体座標系における前記衛星信号の到来方向を算出する、ようにしてもよい。
【0040】
(4)前記各衛星における衛星信号の各到来方向に応じた誤差を記憶している記憶手段をさらに備え、前記位相誤差取得手段は、前記各衛星について前記信号到来方向算出手段で算出した前記各到来方向に応じた前記搬送波位相誤差を前記記憶手段から取得する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、カップリング誤差などの移動体座標系における衛星信号の到来方向に応じて決まった値をとる誤差を補正して移動体の姿勢を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態である移動体姿勢計測装置を船体に配置した状態の概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態である移動体姿勢計測装置の処理部の構成を説明するブロック図である。
【図3】一重位相差の説明図である。
【図4】衛星信号の到来方向について説明する説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態である移動体姿勢計測装置の姿勢算出処理機の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。以下では、移動体座標系における衛星信号の到来方向に応じて決まった値をとる誤差としてカップリング誤差を例として説明する。
【0044】
ここでは、まず、カップリング誤差の特長について説明する。
【0045】
カップリング誤差eは、各アンテナについて移動体座標系における衛星信号の到来方向ごとに決まった値をとるという特徴を有している。すなわち、アンテナiについて移動体座標系おける衛星の信号の到来方向(方位角η、仰角ζ)におけるカップリング誤差をec-Ant(i)(η,ζ)という関数で表すことができる(図4参照)。
【0046】
よって、アンテナiとjとで構成される基線kにおけるカップリング誤差による一重位相差の誤差は衛星信号の到来方向ごとに定まり、
【0047】
【数13】

………(13)
と表すことができる。すなわち、ec(s)-b(ij)(η,ζ)は基線kにおけるカップリング誤差による一重位相差の誤差である。
【0048】
また、基線k、衛星到来方向が方位角η、仰角ζと方位角η、仰角ζの2衛星から算出される二重位相差の誤差は、
【数14】

………(14)
と表すことができる。すなわち、ec(d)-b(ij)(η,ζ,η,ζ)は、基線k、衛星到来方向が方位角η、仰角ζと方位角η、仰角ζの2衛星から算出される二重位相差の誤差である。
【0049】
これらカップリング誤差ec-Ant(i)(η,ζ)や一重位相差の誤差ec(s)-b(ij)(η,ζ)といった値は、アンテナ特性の測定や解析などにより求めることができる。また、一重位相差の誤差ec(s)-b(ij)(η,ζ)は、カップリング誤差ec-Ant(i)(η,ζ)がわかれば、また、二重位相差の誤差ec(d)-b(ij)(η,ζ,φ,ζ)はカップリング誤差ec-Ant(i)(η,ζ)又は一重位相差の誤差ec(s)-b(ij)(η,ζ)がわかれば、それぞれ求めることができる。
【0050】
次に、このようなカップリング誤差の特徴を利用した姿勢計測装置について説明する。
【0051】
図1、図2は、本実施の形態の姿勢計測装置の説明図である。
【0052】
この姿勢計測装置1は、移動体の一例としての船舶Sに設置されている。姿勢計測装置1は、アンテナ部2と処理部3とから構成される。
【0053】
アンテナ部2はアンテナα,β,γとからなり、アンテナαは基準アンテナとなる。このアンテナα,β,γは船舶S上に設置されているものとする。図1に示すように、移動体座標系のx軸はアンテナαとβがなす第1基線bαβに一致するものし、移動体座標系のx‐y平面はアンテナα,β,γが作る平面に一致するものとする。
【0054】
処理部3は、3つの受信機4と姿勢算出処理機5とからなる。各受信機4は、それぞれ各アンテナα,β,γに接続されていて、各アンテナα,β,γで受信している衛星信号(GPS信号など)を受信する。これにより、各受信機4では、受信している衛星信号の搬送波位相と、衛星への局所座標系での視線方向ベクトル(衛星と船舶Sとの位置関係を示す)とが得られる。また、姿勢算出処理機5は、各受信機4から得られた情報に基づいてアンテナα,β,γの姿勢を算出する演算を行う。
【0055】
次に、姿勢算出処理機5が実行する処理について説明する。
【0056】
図5は、姿勢算出処理機5が実行する処理を説明する機能ブロック図である。
【0057】
姿勢算出処理機5が実行する処理は、マイクロコンピュータが所定のプログラムに基づいて実行する。
【0058】
まず、衛星信号の到来方向を知るために、船舶Sの概略の姿勢を知る必要がある。この概略姿勢を(ψ´,θ´,φ´)とする。この概略の姿勢データとしては、(1)カップリング誤差を補正せずに算出した船舶Sの姿勢、(2)前回算出した姿勢(前回の算出から姿勢があまり変わっていないと考えられる場合)、(3)前回測定した姿勢を、振動ジャイロなどを用いて補完して予測された現在の姿勢、などの姿勢データを用いることが考えられる。
【0059】
この例では、姿勢計測装置1の起動初期においては、概略姿勢算出部11でカップリング誤差を補正せずに算出した船舶Sの姿勢を用い、その後、後述する姿勢算出部17でカップリング誤差を補正して算出した船舶Sの姿勢のデータを算出するようになった場合は、その姿勢のデータを記憶部12に保持し、前回の姿勢算出部17で求めた姿勢のデータを用いるようにしている。姿勢算出部17では、受信機4の受信信号に基づき、前述した手段によりカップリング誤差を補正することなく船舶Sの姿勢のデータを算出する。
【0060】
次に、衛星到来方向算出部13では、姿勢算出部17又は記憶部12から得られた概略姿勢(ψ´,θ´,φ´)に基づいて各衛星からの信号の移動体座標系における到来方向(方位角η、仰角ζ)を求める。
【0061】
これは、局所座標系における衛星への視線方向ベクトルhを姿勢(ψ´,θ´,φ´)のときの局所座標系から移動体座標系への座標変換行列T(ψ,θ,φ)を用いて求められた移動体座標系における衛星への視線方向ベクトルh´、
【数15】

………(15)
から、
【数16】

………(16)
【数17】

………(17)
と求められる。
【0062】
ここで、局所座標系から移動体座標系への座標変換行列T(ψ,θ,φ)は、
【数18】

とあらわされる。
【0063】
データテーブル14には、予め求めておいた各アンテナについて各衛星からの信号の移動体座標系における到来方向(方位角η、仰角ζ)ごとのカップリング誤差のデータが格納されている。
【0064】
誤差取得部15は、生成到来方向算出部13から得られた各衛星からの信号の移動体座標系における到来方向(方位角η、仰角ζ)に対応したカップリング誤差のデータをデータテーブル14から取得する。なお、カップリング誤差のデータの取得は予め定められた関数により計算で求めてもよい。
【0065】
位相差算出部16では、誤差取得部15で得られたカップリング誤差により、前述のとおり一重位相差又は二重位相差を、カップリング誤差を除いた形で求める。
【0066】
そして、姿勢算出部17は、このカップリング誤差を除いた一重位相差又は二重位相差と衛星信号を用いて船舶Sの姿勢を算出する。算出した姿勢データは外部に出力される他、次回の姿勢の算出に供するために記憶部12に記憶される。
【0067】
以上説明した姿勢算出装置1によれば、カップリング誤差は、アンテナα,β,γを中心とした移動体座標系における信号の到来方向に対して決まった値をとることを利用して、予め求めておいた(あるいは予め定められた関数により計算で求めた)カップリング誤差を用い、その誤差分を差し引いて姿勢を計測することにより、たとえアンテナα,β,γ間の距離が短くなってもカップリング誤差のない正確な姿勢を算出することができる。
【0068】
以上の説明では、カップリング誤差を例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、移動体座標系における衛星信号の到来方向に応じて決まった値をとる誤差であれば、前述と同様の処理によりこれを除去して、正確な移動体の姿勢を算出することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 姿勢算出装置
11 概略姿勢算出部
12 記憶部
13 衛星到来方向算出部
14 データテーブル
15 誤差取得部
16 位相差算出部
17 姿勢算出部
S 船舶
α,β,γ アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体上に設けられる複数のアンテナと、
前記アンテナの受信信号から各衛星の搬送波位相値を観測する搬送波位相観測手段と、
前記アンテナの受信信号から移動体座標系における前記各衛星信号の到来方向を算出する信号到来方向算出手段と、
前記各衛星について前記信号到来方向算出手段で算出した前記移動体座標系における信号の到来方向に応じた搬送波位相誤差を取得する位相誤差取得手段と、
前記位相誤差取得手段で取得した前記搬送波位相誤差を前記搬送波位相観測手段で観測した搬送波位相観測値から差し引いた値を用いて前記アンテナの受信信号から前記移動体の姿勢を算出する姿勢算出手段と、
を備えている姿勢算出装置。
【請求項2】
移動体上に設けられる複数のアンテナと、
前記アンテナの受信信号から各衛星の搬送波位相値を観測する搬送波位相観測手段と、
前記アンテナの受信信号から移動体座標系における前記各衛星信号の到来方向を算出する信号到来方向算出手段と、
前記各衛星について前記信号到来方向算出手段で算出した前記移動体座標系における信号の到来方向に応じた搬送波位相誤差を取得する位相誤差取得手段と、
前記位相差誤差取得手段で取得した前記搬送波位相誤差の位相差誤差を前記搬送波位相観測手段で観測した搬送波位相観測値の位相差から差し引いた値を用いて前記アンテナの受信信号から前記移動体の姿勢を算出する姿勢算出手段と、
を備えている姿勢算出装置。
【請求項3】
前記移動体の姿勢の概略の値を取得する概略姿勢取得手段をさらに備え、
前記信号到来方向算出手段は、前記概略の姿勢の値に基づいて前記移動体座標系における前記衛星信号の到来方向を算出する、
請求項1又は2に記載の姿勢算出装置。
【請求項4】
前記各衛星における衛星信号の各到来方向に応じた誤差を記憶している記憶手段をさらに備え、
前記位相誤差取得手段は、前記各衛星について前記信号到来方向算出手段で算出した前記各到来方向に応じた前記搬送波位相誤差を前記記憶手段から取得する、
請求項3に記載の姿勢算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−216822(P2010−216822A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60642(P2009−60642)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】