媒体供給装置および印刷装置
【課題】小型の媒体供給装置および該媒体供給装置を備えた印刷装置を提供する。
【解決手段】媒体供給装置1は、所定サイズにカットされたカットプレートおよびロールから供給されるロールシートを選択的に供給し、平面状の底面を有しプレートが積層状にセットされる積層シートセット部3と、セット部3の底面の上流側に隣接して設けられ底面に対して凹んだ凹み部12を有しロールがセットされるロールセット部2を有している。セット部3にプレートがセットされたときに凹み部12においてプレートの最底部を底面の延長線上で支持する支持位置と、セット部2に対するロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成されたガイド部材4を備える。
【解決手段】媒体供給装置1は、所定サイズにカットされたカットプレートおよびロールから供給されるロールシートを選択的に供給し、平面状の底面を有しプレートが積層状にセットされる積層シートセット部3と、セット部3の底面の上流側に隣接して設けられ底面に対して凹んだ凹み部12を有しロールがセットされるロールセット部2を有している。セット部3にプレートがセットされたときに凹み部12においてプレートの最底部を底面の延長線上で支持する支持位置と、セット部2に対するロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成されたガイド部材4を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体供給装置および印刷装置に係り、特に、所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置および該媒体供給装置を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置の印刷媒体には、カットシートやカットプレート(シートより厚手の媒体で、例えば、カード等を挙げることができる。)、ロールシート等が利用されており、それらを印刷装置側に供給する媒体供給装置が広く知られている。
【0003】
このような媒体供給装置では、一般に、上述した印刷媒体がガイドに挟まれて規制されており、印刷媒体がロールシート(以下、ロール媒体という。)の場合には、搬送パスに対して凹状に形成されたロールセット部にロールをセットし、搬送パスに沿ってロール媒体を印刷装置側に供給している。また、カットシートやカットプレート(以下、カット媒体という。)の場合には、積層されたカット媒体を一枚ずつ分離して搬送パスに沿って印刷装置に供給している。印刷装置では、例えば、ドラム上に潜像を形成して転写する方式、インクジェットプリンタ式、サーマルプリンタ式等の各種の印刷方式が用いられ、媒体供給装置から供給されたロール媒体やカット媒体等の印刷媒体に対して印刷処理が施される。
【0004】
媒体供給装置の従来例として、例えば、カット媒体やロール媒体をそれぞれカット媒体セット部(以下、媒体セット部と略称する。)やロールセット部にセットして供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、図16(A)に示すように、ロール15(ロール媒体)は凹み部12に配設されたローラ5、6で支持され、図16(B)に示すように、カット媒体16Aは平面状の載置台44上に積層状に載置される。また、特許文献1には、媒体セット部にセットされたカット媒体の長手方向に沿う端面やロールセット部にセットされたロールの端面を規制するガイドの構成も開示されている。さらに、該ガイドにカット媒体の後端を規制するエンドガイドをスライド可能に設けた構成も開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−235838号公報
【特許文献2】特開平07−225533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、カット媒体を供給する場合に、専用のプレートカセット(特許文献1の参照符号41)を用いなければならない。また、仮に専用のプレートカセットを用いずに載置台44を印刷装置側に配置した場合、載置台と凹み部との両方の領域がそれぞれ所定距離隔てて必要となり、装置サイズが大きくなってしまう、という問題がある(図16(A)、(B)参照)。さらに、カット媒体の載置台を設けたとしても、図16(C)に示すように、長いカット媒体16Bの場合はカット媒体の後端が凹み部に落ちてしまう、という問題がある。
【0007】
本発明は上記事案に鑑み、小型の媒体供給装置および該媒体供給装置を備えた印刷装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置において、平面状の底面を有し、前記カット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、前記媒体セット部の底面の上流側に隣接して設けられ、前記底面に対して凹んだ凹み部を有し、前記ロールがセットされるロールセット部と、前記媒体セット部に前記カット媒体がセットされたときに前記凹み部において該カット媒体の最底部を前記底面の延長線上で支持する支持位置と、前記ロールセット部対する前記ロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成された第1のガイド部材と、を備える。
【0009】
本態様の媒体供給装置は、平面状の底面を有し、所定サイズにカットされたカット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、媒体セット部の底面の上流側に隣接して設けられ、底面に対して凹んだ凹み部を有し、ロールがセットされるロールセット部とを備えており、カット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する。本態様では、媒体セット部にカット媒体がセットされたときに、第1のガイド部材が支持位置に位置付けられ凹み部においてカット媒体の最底部を底面の延長線上で支持し、ロールセット部にロールがセットされるときに、第1のガイド部材がロールセット部に対するロールのセットを許容する退避位置に位置付けられる。このため、媒体セット部の底面の長さを短くすることで媒体セット部とロールセット部とを近接して配置することができるので、装置サイズを小さくすることができる。
【0010】
本態様において、第1のガイド部材は、退避位置に移動したときに、ロールセット部にセットされたロールに対して凹み部からの飛び出しを規制するようにしてもよい。また、ロールセット部は凹み部においてロールを支持する支持ローラを有し、第1のガイド部材は支持ローラに対して回動可能に設けられるようにしてもよい。
【0011】
また、本態様において、媒体セット部にセットされたカット媒体の長手方向に沿う端面およびロールセット部にセットされたロールの端面を規制する第2のガイド部材をさらに備えるようにしてもよい。第2のガイド部材に対してスライドおよび回動可能に設けられ、第2のガイド部材に対してスライドすることで媒体セット部にセットされたカット媒体の後端を規制する規制位置と、第2のガイド部材に対して回動することでロールセット部にセットされたロールとの接触を回避するための回避位置との間を移動可能に構成された第3のガイド部材をさらに備えるようにしてもよい。この場合に、媒体セット部の下流側に隣接して設けられ、媒体セット部に積層状にセットされたカット媒体のうち最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するためのゲートと、ロールセット部にロールがセットされたときにゲートをロール媒体との接触を防止するための開放位置と、媒体セット部にカット媒体がセットされたときに最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させるための第1の調整手段と、分離位置においてゲートの先端と底面の延長線との間の間隙を調整するための第2の調整手段と、をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、第1の態様の媒体供給装置を備えた印刷装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、媒体セット部にカット媒体がセットされたときに、第1のガイド部材が支持位置に位置付けられ凹み部においてカット媒体の最底部を底面の延長線上で支持し、ロールセット部にロールがセットするときに、第1のガイド部材がロールセット部に対するロールのセットを許容する退避位置に位置付けられるため、媒体セット部の底面の長さを短くすることで媒体セット部とロールセット部とを近接して配置することができるので、装置サイズを小さくすることができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の印刷装置の概略を示す正面図である。
【図2】実施形態の印刷装置が有する媒体供給装置の外観斜視図であり、ガイド部材が支持位置に位置付けられた状態を示している。
【図3】ガイド部材が支持位置に位置付けられた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図4】媒体供給装置にカットプレートが積層状にセットされた状態での媒体供給装置の外観斜視図である。
【図5】媒体供給装置にカットプレートが積層状にセットされた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図6】媒体供給装置に別のカットプレートが積層状にセットされた状態での媒体供給装置の外観斜視図である。
【図7】媒体供給装置の外観斜視図であり、ガイド部材が退避位置に位置付けられた状態を示している。
【図8】ガイド部材が退避位置に位置付けられた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図9】媒体供給装置にロールがセットされた状態での媒体供給装置の外観斜視図である。
【図10】媒体供給装置にロールがセットされた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図11】媒体供給装置のゲート部を印刷部側から見たときの斜視図である。
【図12】ゲート部を媒体供給部側から見たときの斜視図であり、レバーが下げられた状態を示している。
【図13】ゲート部を媒体供給部側から見たときの斜視図であり、レバーが上げられた状態を示している。
【図14】フレームを取り除いてゲート部を印刷部側から見た状態の斜視図であり、レバーが下げられた状態を示している。
【図15】フレームを取り除いてゲート部を積層媒体セット部側から見た状態の斜視図であり、レバーが下げられた状態を示している。
【図16】(A)は従来の印刷装置が有する媒体供給装置にロールがセットされた状態を模式的に示す正面図、(B)は従来の媒体供給装置にカットプレートが積層状にセットされた状態を模式的に示す正面図、(C)は従来の媒体供給装置に長いカットプレートが積層状にセットされた状態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を、サーマルヘッド式の印刷部を有する印刷装置に適用した実施の形態について説明する。
【0016】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の印刷装置100は、主として、所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体の2種類の印刷媒体を選択的に供給する媒体供給装置1、印刷媒体を直線状の搬送パスPに沿って搬送する媒体搬送部60、媒体搬送部60により搬送される媒体がカットプレートの場合にカットプレートの表面を清浄するためのクリーニング部70、印刷媒体に印刷処理を施す印刷部80および印刷媒体の位置情報等を取得するためのセンサを有して構成されている。これらの構成部のうち、媒体供給装置1を除く各部は筺体90内に収容されている。
【0017】
<媒体供給装置>
媒体供給装置1は、印刷装置100の一側に配置されており(図1参照)、一言すれば、図4および図9に示すように、カット媒体およびロール媒体を印刷部80側に選択的に供給するものである。本実施形態では、説明を簡単にするために、カット媒体に所定の厚みを有するカットプレート16(図4参照)、ロール媒体にロール15から供給されるロールシートを例にとって説明する。
【0018】
図2〜図10に示すように、媒体供給装置1は、カットプレート16が積層状にセットされる積層媒体セット部3と、ロール15がセットされるロールセット部2と、積層媒体セット部3にセットされるカットプレート16およびロールセット部2にセットされるロール15をそれぞれのセット部内で規制する複数の規制部材と、積層媒体セット部3の下流側に隣接して設けられ、積層媒体セット部3に積層状にセットされたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するためのゲート部14とを有している。
【0019】
図2〜図5に示すように、積層媒体セット部3は平面状の底面11(図3参照)を有しており、底面11上にカットプレート16が積層状にセット(載置)される。このような底面11は、積層されたカットプレート16の底を面的に支持できれば良いため、分割して構成するようにしてもよい。
【0020】
図2〜図10に示すように、ロールセット部2は、積層媒体セット部3の底面11の上流側に隣接して設けられており、底面11に対して凹んだ凹み部12を有している。この凹み部12の両側に駆動ローラ6およびドーナツ状の支持ローラ5が配設されており、ロール15は駆動ローラ6および支持ローラ5に当接して支持される。
【0021】
上述した複数の規制部材は、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときにその後端部を支持するガイド部材4(第1のガイド部材)、印刷部80側に配置されカットプレート16の先端部両端面を規制する矩形状の2枚のサイドガイド7、サイドガイド7に連接して設けられた端面ガイド8(第2のガイド部材)、図2の奥側に配置された端面ガイド8(後述する端面ガイド8B)に対してスライドおよび回動可能に設けられたエンドガイド20(第3のガイド部材)で構成されている。
【0022】
ガイド部材4は、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに凹み部12においてカットプレート16後端部の最底部を底面11の延長線上で支持する支持位置(図2参照)と、ロールセット部2に対するロール15のセットを許容する退避位置(図7参照)との間を移動可能に構成されている。ガイド部材4が支持位置に位置づけられたときは凹み部12を塞いでいるため、ロールシート部2にロール15をセットする際にガイド部材4がロール15に接触してロール15がセットできない。よってガイド部材4がロール15と接触しない退避位置に移動することでロールセット部2に対してロール15がセット可能になる。本実施形態のガイド部材4は全体としてレバー状の形状を呈している。ガイド部材4にはカットプレート16後端部の最底部を底面11の延長線上で支持する細長の水平面が形成されている。また、その基部は二股となっており、支持ローラ5を跨ぐように支持ローラ5(のローラ軸)に対して回動可能に設けられている。
【0023】
ロールセット部2にセットされたロール15は、その下部が駆動ローラ6および支持ローラ5で支持される。本実施形態では、媒体供給装置1が印刷装置100の一部のため、駆動ローラ6は媒体搬送部60の動力源と同一の動力源から伝達された回転駆動力で回転する。なお、支持ローラ5は従動ローラである。ガイド部材4は、退避位置に移動したときに、係止面4aによってロールセット部2の一端側(印刷部80の反対側)でロール15の周面に沿って起立した状態で固定される(図9、10参照)。よって、ガイド部材4が退避位置に位置づけられたときは、ロールセット部2にセットされたロール15に対して凹み部12からの飛び出しを規制する機能を有している。
【0024】
2枚のサイドガイド7は、それぞれ、後述するゲート部14を構成するフレーム10に対して離接可能に構成されているが、その詳細については後述する。サイドガイド7には、垂直方向にガイド穴32が形成されており、ガイド穴32の上端部にはシャフト31を保持するための保持穴が延設されている。シャフト31を確実に保持するために、保持穴は単に水平状に形成するより傾斜状するかまたは節度を有することが好ましい(図11、図12参照)。図2は、ガイド穴32の保持穴にシャフト31が位置付けられた状態を示している。
【0025】
シャフト31はロッド状の形状を呈しており、その両端部はガイド穴32およびフレーム10(図11、図12参照)を貫通している。シャフト31の両端には、ガイド穴32の幅より大きい留め具(不図示)が固着されている。シャフト31には、ドーナツ状の錘30がシャフト31の長手方向をスライド可能に設けられている。
【0026】
図2に示すように、サイドガイド7に連接して設けられた端面ガイド8は、図2の手前側に配置された端面ガイド(便宜上、端面ガイド8Aという。)と奥側に配置された端面ガイド(便宜上、端面ガイド8Bという。)とでその形状がほぼ同じである(図2の正面から見て略正方形の形状を呈している。)。しかしながら、端面ガイド8Bの上には、サイドガイド7から略水平状に延設された延設部19が形成されている。なお、本実施形態では、延設部19は端面ガイド8Bの一部である。
【0027】
図7および図8に示すように、延設部19は、上側に、略水平に配置されたラチェットラック21と、下側に、略水平の矩形状溝からなるスライドガイド22とを有している。スライドガイド22内には、ブロック状で凸部を有するスライド部材23が、スライドガイド22の長手方向(水平方向)に沿ってスライド可能に嵌入されている。
【0028】
スライド部材23の凸部側には、端面ガイド8B(厳密には、その上部に配置された延設部19)に対してスライドおよび回動可能にエンドガイド20が設けられている。エンドガイド20は、ラチェットラック21と噛合(係合)する噛合爪26、噛合爪26の上側に配置され噛合爪26のラチェットラック21との噛合(係合)を解除するためのつまみ25、スライド部材23の凸部を跨ぐように該凸部の両側に配設されたアーム24を有しており、全体としては棒状の形状を呈している。なお、アーム24の断面形状はコ字状で、スライド部材23の凸部を跨ぐように2箇所で該凹部側に突設されており、突設されたアーム24の先端部同士がスライド部材23の凸部を貫通した軸部を有しているため、アーム24の軸部を中心としてエンドガイド20は回動可能である。
【0029】
従って、エンドガイド20は、端面ガイド8Bに対してスライドすることで積層媒体セット部3にセットされたカットプレート16の後端を規制する規制位置(図4参照)と、端面ガイド8B(厳密には、スライド部材23)に対して90°回動することでロールセット部2にセットされたロール15との接触を回避するための回避位置(図7、図10参照)との間を移動可能に構成されている。
【0030】
図11〜図13に示すように、ゲート部14はフレーム10を有している。フレーム10の断面はコ字状であり、サイドガイド7側に突出した2つのフランジ部と、フランジ部間を繋ぐ板状部とで構成されている。
【0031】
フランジ部はサイドガイド7と対峙するように立設されており、サイドガイド7に形成されたガイド穴32と対応する位置にガイド穴32と同形状のガイド穴が形成されている。上述したように、シャフト31の端部はガイド穴32とフランジ部に形成されたガイド穴とを貫通している。板状部には、板状部の水平方向の長さの略1/2に亘る矩形状の切り欠き39が、上下に2本形成されている。サイドガイド7には図示を省略したラックが固着されており、切り欠き39を介して、ゲート部14に設けられたピニオン(不図示)と噛合している。このため、オペレータがサイドガイド7間の位置を狭めることで、上述したカットプレート16よりサイズの小さいカットプレート17の端面を規制することが可能である(図6参照)。
【0032】
図3および図11〜15に示すように、ゲート部14は、フレーム10の板状部に固定された板状の基材36と、この基材36に対して移動可能に設けられた板状のゲート35とを有している。基材36およびゲート35は、それぞれの上端部に断面L字状に水平方向に屈曲したフランジ部を有している。ゲート35のフランジ部の略中央には丸穴が形成されており、基材36のフランジ部の略中央にはネジ穴が螺設されている。ゲート35のフランジ部の上面にはネジ34の頭部底面が当接するとともに、ネジ34のボルト部がフランジ部の丸穴を貫通しており、これらの箇所でネジ34は基材36に固着している。一方、基材36のフランジ部に螺設されたネジ穴には、ネジ34のボルト部のネジ形成部が螺合している。このため、オペレータは、ネジ34(第2の調整手段の一部)を回すことにより、ゲート35の先端と底面11(の延長線上)との間に形成された隙間の幅を、カットプレート16の厚さに応じて微調整が可能である(図3参照)。
【0033】
図14および図15に示すように、基材36のフランジ部の直下には基材36から積層媒体セット部3側に水平方向に突出したピン状の係止部材37が突設されている。この係止部材37には矩形状の可動部材40一側の上端部が係合している。可動部材40は水平方向に形成された長穴とその隣に垂直方向に形成された縦穴とを有しており、長穴にはサイドガイド7の板状部に突設された2本のピン41、42が貫通している。縦穴にはL字状のレバー33の端部に突設されたピンが挿入されており、レバー33の中央部(腕と脚との接続箇所)はサイドガイド7の板状部に突設されたピンの周りに回動可能に構成されている。レバー33は、端部に突設されたピンとは反対側の他端部側が拡幅されている。
【0034】
図14に示すように、オペレータがレバー33(第1の調整手段の一部)を下げる(下方向に押下する)ことにより、可動部材40はピン41、42に沿って(図14に示すように左側に)移動し、可動部材40が係止部材37と係合(当接)する。これより、ゲート35の先端は上げられる(開放位置に位置する)。一方、図15に示すように、オペレータがレバー33を上げることにより、可動部材40はピン41、42に沿って(図15に示すように右側に)移動し、可動部材40が係合部材37との係合が解かれる。これにより、ゲート35は下方に下げられる(分離位置に位置する)。
【0035】
従って、オペレータがレバー33を操作することで、ロールセット部2にロール15がセットされたときにゲート35の先端をロールから供給されたロールシートとの接触を防止するための開放位置と、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに積層されたカットプレートのうち最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させることができる。なお、ロールシートの場合開放位置に位置付けるのは、カットプレートの場合と異なり印刷媒体が薄いため、なるべくゲート35の先端との接触を避けることが好ましいためである。
【0036】
図12、図14および図15に示すように、基材36の下端部には、カットプレート16およびロールシートに帯電した静電気を除電するための矩形状の除電ブラシ38が固着されており、除電ブラシ38の下端は底面11の延長線上で底面11に接触している。また、除電ブラシ38は、フレーム10の板状部の下端部から突出したピンにも固定されており、上部3点で支持されている。
【0037】
<媒体搬送部>
図1に示すように、媒体搬送部60には搬送パスPに沿って複数のローラが配設されている。なお、本実施形態では、媒体供給装置1の媒体搬送駆動力は印刷装置100側から供給されるため、便宜上、支持ローラ5および駆動ローラ6も媒体搬送部60の一部として説明する。
【0038】
支持ローラ5および駆動ローラ6は凹み部12に配置されるため、それらのローラ軸は搬送パスPよりやや低い位置に位置付けられている。搬送パスPに沿って駆動ローラ6の下流側かつサイドガイド7の下部には、積層媒体セット部3に積層(セット)されたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16をゲート35に向けて繰り出すピックローラ45が配置されている。
【0039】
本実施形態の媒体搬送部60は、ピックローラ45より下流側かつ搬送パスPより下側に配置されたローラは駆動ローラであり(ただし、後述する排出ローラ55を除く。)、搬送パスPより上側に配置されたローラは従動ローラである。すなわち、搬送パスPに沿って、ピックローラ45の下流側に搬送ローラ46および従動ローラ47で構成されるローラ対、その下流側に搬送ローラ48およびクリーニングローラ49(従動ローラ)で構成されるローラ対、その下流側に印刷部80の一部を構成するプラテンローラ50、その下流側に搬送ローラ53および従動ローラ54で構成されるローラ対、その下流側に印刷媒体(カットプレート、ロールシート)を印刷装置100の外側に排出するための排出ローラ55が、それぞれ配設されている。なお、ロールシートに印刷処理を施す場合に備え、排出ローラ55の下流側にカッタが配置されているが、図1ではカッタを捨象している。
【0040】
媒体搬送部60を構成する駆動ローラ、すなわち、駆動ローラ6、ピックローラ45、搬送ローラ46、48、プラテンローラ50、駆動ローラ53は、単一のモータ(以下、媒体搬送モータという。)を駆動源とし、複数のギアで構成された駆動力伝達機構を介して媒体搬送モータからの回転駆動力が供給される。なお、駆動力伝達機構とピックローラ45との間には電磁クラッチが介在している。
【0041】
媒体搬送部60を構成する従動ローラ、すなわち、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54は、それらのローラ軸が図示を省略した単一のフレームに回転可能に軸支されており、該フレームは昇降モータによりギア機構を介して対応する駆動ローラに当接ないし離間可能に構成されている。従って、昇降モータを作動させることで、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54は、それぞれ、搬送ローラ46、48、53に当接する位置に位置付けられる。
【0042】
搬送ローラ46と搬送ローラ48との間には、印刷媒体の厚さを検出するための厚さ検出センサ56が配置されており、搬送ローラ48とプラテンローラ50との間には、印刷媒体の先端部ないし後端部の位置を検出する頭出しセンサ57が配置されている。
【0043】
<クリーニング部>
従動ローラ49の上側には従動ローラ58が配置されている。従動ローラ58には、粘着剤が一面側に塗着された粘着テープTが巻き掛けられている。粘着テープTはテープ供給リールから供給されテープ巻取リールに巻き取られる。従って、クリーニング部70は、従動ローラ58、テープ供給リールおよびテープ巻取リール等で構成されている。上述した媒体搬送モータは、正転動作で印刷媒体を搬送パスPに沿って図1の右側から左側の搬送方向に搬送し、逆転動作でテープ巻取リールを巻き取る。
【0044】
<印刷部>
クリーニング部70の下流側には印刷部80が配置されている。印刷部80は、発熱素子をライン状に配設したサーマルヘッド51、サーマルヘッド51をプラテンローラ50に向けて進退させる不図示のカム機構、インクリボンRを供給するリボン供給リール、インクリボンRを巻き取るリボン巻取リールを有して構成されている。
【0045】
インクリボンRは、リボン供給リールから供給され、サーマルヘッド51の発熱素子の面を介してリボン巻取リールで巻き取られる。リボン供給リールとリボン巻取リールとの間には、インクリボンRの搬送方向を変更するための複数の従動ローラ(コロ)が介在している。
【0046】
サーマルヘッド51をプラテンローラ50に向けて進退させる不図示のカム機構はヘッド昇降モータ(不図示)で作動する。サーマルヘッド51が進出状態にあるときは、プラテンローラ50を圧接した状態となる。リボン巻取リールは、ヘッド昇降モータとは別の駆動モータで回転する。
【0047】
<その他>
また、印刷装置100は、オペレータが命令を入力するためのテンキー等を含む入力操作部、商用電源から直流定電圧電源を生成するための電源部、印刷装置100の全体を制御する制御部、ホストコンピュータ等の上位機器に接続するためのインターフェース等を有している。
【0048】
(セットおよび動作)
次に、オペレータによる印刷媒体のセットおよび印刷装置100の動作について、カットプレートとロールシートに分けて説明する。
【0049】
1.カットプレート
<セット>
図2に示すように、まず、オペレータは、シャフト31を保持穴に位置付け、ガイド部材4を支持位置に位置付けた後、エンドガイド20のつまみ25を把持し噛合爪26とラチェットラック21との噛合(係合)を解除して端部まで移動させる。次に、カットプレート16が底面11およびガイド部材4で支持されるようにカットプレート16を積層する(図4参照)。また、必要に応じてカットプレート16の長手方向の端面を規制するためにサイドガイド7間の幅を狭める(図6参照)。次いで、シャフト31を保持穴からガイド穴32に移動させる。これにより、錘30は、積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16のうち最上部のカットプレート16に当接する。そして、エンドガイド20のつまみ25を把持し噛合爪26とラチェットラック21との噛合を解除して、エンドガイド20が積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16の後端に当接するまで移動させる。これにより、積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16は、上下および4端面が規制される(カットプレート16の搬送方向先端はゲート35で規制される)。
【0050】
<ゲート調整>
次に、オペレータは、ゲートの隙間の調整を行う。この調整は2段階で行われる。まず、ゲート35を分離位置に位置付けるためレバー33を上げ(図15参照)、次に、ネジ34を回すことでゲート35と底面11との間で形成される隙間を、カットプレート16の厚みに応じて適正な間隔に設定する。つまり、積層媒体セット部3に積層状にセットされたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16がその上のカットプレート16と分離可能な隙間となるようにゲート35の先端の位置を調整する。
【0051】
以上が終了すると、オペレータは、入力操作部の所定のキー(カットプレート選択キーおよびスタートキー)を押下することにより、印刷装置100によるカットプレート16への印刷処理を開始させる。なお、以上の説明はオペレータが行う標準的なカットプレートのセットおよびゲート調整方法であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0052】
<印刷装置の動作>
説明を簡単にするために、カットプレートに印刷するための印刷データは予め上位機器から印刷装置100の制御部に送信されているものとして説明する。カットプレート選択キーが押下されると、制御部は、電磁クラッチをオン状態(駆動力伝達機構の回転駆動力をピックローラ45に伝達可能な状態)に制御し、昇降モータを所定回転数だけ回転させる。これにより、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54を回転可能に軸支するフレームは予め定められた位置まで下降する。
【0053】
次いで、スタートキーが押下されると、媒体搬送モータは正転駆動を開始する。これにより、搬送パスP上に配設された駆動ローラは回転を開始し、ピックローラ45は積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16を、ゲート35を介して搬送パスP上に繰り出す。なお、駆動ローラ6は駆動伝達機構を介して回転しているが、搬送パスPの延長線上からは一段低い位置に位置付けられているため、カットプレート16とは接触しない。
【0054】
カットプレート16の先端部が厚さ検出センサ56に到ると、カットプレート16の厚みに応じて昇降モータを再度駆動させ従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54の位置を位置付ける。また、カットプレート16の厚みに応じて、ヘッド昇降モータを駆動させサーマルヘッド51をプラテンローラ50に向けて進出させる。次いで、電磁クラッチをオフ状態とする。これにより、ピックローラ45の回転は停止する。
【0055】
カットプレート16は、搬送ローラ46および従動ローラ47で構成されるローラ対、並びに、搬送ローラ48およびクリーニングローラ49で構成されるローラ対により搬送パスP上を下流側(印刷部側)に搬送される。クリーニングローラ49は清浄されており、カットプレート16の表面に当接することでカットプレート16の表面を間接的に清浄する。
【0056】
頭出し検出センサ57がカットプレート16の先端を検出することで、制御部はカットプレート16の位置を把握することができる。すなわち、媒体搬送モータはステッピングモータであり、この後パルスを幾つ送れば、サーマルヘッド51の発熱素子の箇所に到るかを把握することができる。制御部は媒体搬送モータのパルス管理を行うとともに、サーマルヘッド51の発熱素子を印刷データに従い選択的に発熱させる。これにより、カットプレート16の表面に印刷が施される。この間、インクリボンRは、別の駆動モータの駆動力によりリボン巻取リールに巻き取られる。
【0057】
カットプレート16は、搬送ローラ53および従動ローラ54で構成されるローラ対でさらに搬送され、排出ローラ55に底面を当接させて排出口から排出される。排出口には図示しないトレイが配置されている。頭出しセンサ57がカットプレート16の後端を検出すると、制御部は、カットプレート16を排出するために所定パルス数媒体搬送モータを(正転)駆動させた後、媒体搬送モータを所定パルス数逆転駆動させ、駆動を停止させる。これにより、クリーニングローラ49の表面が清浄される。また、頭出しセンサ57がカットプレート16の後端を検出すると、制御部は、サーマルヘッド51をプラテンローラ50から退避するようにヘッド昇降モータを作動させるとともに、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54を回転可能に軸支するフレームを所定位置まで上昇させるために昇降モータを作動させる。これにより、1枚のカットプレート16への印刷処理は終了するが、次のカットプレートへの印刷処理は同様にして行われる。
【0058】
2.ロールシート
<セット>
図7に示すように、まず、オペレータは、シャフト31を保持穴に位置付け、ガイド部材4を退避位置に位置付けた後、エンドガイド20のつまみ25を把持し噛合爪26とラチェットラック21との噛合(係合)を解除して端部まで移動させ、エンドガイド20を回動させ回避位置に位置付ける。積層媒体セット部3にカットプレートが積層されている場合には、それらを取り除く(図7参照)。
【0059】
<ゲート調整>
次に、オペレータは、ゲートの隙間の調整を行う。この調整は1段階で行われる。すなわち、ゲート35を分離位置に位置付けるためレバー33を下げることで(図14参照)、ゲートを開放位置に位置付ける。次いで、ロール15を凹み部12にセットする。このとき、オペレータは、ロールシートの先端部をゲート35より印刷部80側に位置付ける。
【0060】
以上が終了すると、オペレータは、入力操作部の所定のキー(ロールシート選択キーおよびスタートキー)を押下することにより、印刷装置100によるロールシートへの印刷処理を開始させる。なお、以上の説明はオペレータが行う標準的なロールシートのセットおよびゲート調整方法であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0061】
<印刷装置の動作>
ロールシート選択キーが押下されると、制御部は、電磁クラッチをオフ状態に制御する。次いで、スタートキーが押下されると、駆動ローラ6および搬送パスP上に配設された駆動ローラは回転を開始する。これにより、ロールセット部2からロールシートが繰り出される。なお、ピックローラ45は、電磁クラッチがオフ状態とされているため、回転しない。また、頭出しセンサ57がカットプレート16の後端を検出すると、制御部は、カットプレート16を排出するために所定パルス数媒体搬送モータを(正転)駆動させるが、クリーニングローラ49を清浄する必要がないため、その後の媒体搬送モータの逆転駆動は行わない。これらの点を除いて、印刷装置100の動作は、上述したカットプレート16への印刷処理と同様である。
【0062】
(作用効果等)
次に、本実施形態の印刷装置100の作用効果等について、媒体供給装置1の作用効果等を中心に説明する。
【0063】
本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに、ガイド部材4が支持位置に位置付けられ凹み部12においてカットプレート16の最底部を底面11の延長線上で支持する。また、ロールセット部にロールがセットされるときに、第1のガイド部材がロールセット部に対するロールのセットを許容する退避位置に位置付けられる。このため、積層媒体セット部3の底面11の長さを短くでき積層媒体セット部3とロールセット部2とを近接して配置することができる。従って、媒体供給装置1のサイズ、ひいては、印刷装置100のサイズを小さくすることができる。
【0064】
また、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、ガイド部材4は、退避位置に移動したときに、ロールセット部2の一端側(印刷部80の反対側)でロール15の周面に沿って起立した状態で固定されるため、ロールセット部2にセットされたロール15に対して凹み部12からの飛び出しを規制している。このため、ロール15を支持ローラ5および駆動ローラ6で支持しても、不都合が生じないばかりでなく、ロール15のロールセット部2(凹み部12)へのセットが容易となる。
【0065】
さらに、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、ガイド部材4は支持ローラ5(のローラ軸)に対して回動可能に設けられている。このため、積層媒体セット部3にカットプレート16をセットする場合とロールセット部2にロール15をセットする場合とでセットの(段取り替えの)手間を少なくすることができる。
【0066】
また、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、複数の規制部材が設けられている。このため、積層媒体セット部3にセットされたカットプレート16とロールセット部2にセットされたロール15とを確実に規制し、印刷媒体供給時の斜行等の不具合を防止することができる。とりわけ、端面ガイド8Bに対してスライドすることで積層媒体セット部3にセットされたカットプレート16の後端を規制する規制位置と、端面ガイド8Bに対して回動することでロールセット部2にセットされたロール15との接触を回避するための回避位置との間を移動可能に構成されたエンドガイド20を備えている。このため、規制位置においてカットプレート16の後端が規制されるので、積層されたカットプレート16が安定するとともに、回避位置においてロールセット部2にセットされたロール15への影響をなくすことができる。
【0067】
そして、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、積層媒体セット部3の下流側に隣接して設けられ、積層媒体セット部3に積層状にセットされたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するためのゲート35と、ロールセット部2にロール15がセットされたときにゲート35をロールシートとの接触を防止するための開放位置と、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させるためのレバー33と、分離位置においてゲート35の先端と底面11の延長線との間の間隙を調整するためのネジ34とを備えている。このため、印刷媒体に応じて、ゲート35による間隙形成を、大幅な調整と小幅な調整とで別々に行うことができる。
【0068】
なお、本実施形態では、ガイド部材4に細長の水平面を有するレバー状のガイド部材4を例示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、カットプレート16の幅方向(長手方向と交差する方向)の底面を支持する大きな水平面を有したガイド部材であってもよい。そのような態様では、積層媒体セット部2の底面11をなくし、これに代えてガイド部材の水平面用いるようにしてもよい。従って、特許請求の範囲には、「所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置において、前記カット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、前記媒体セット部の上流側に隣接して設けられ、凹み部に前記ロールがセットされるロールセット部と、前記媒体セット部に前記カット媒体がセットされたときに前記凹み部において該カット媒体の最底部を支持する支持位置と、前記ロールセット部に対する前記ロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成された第1のガイド部材と、を備え、前記第1のガイド部材は平面状の底面を有し、該底面は、前記支持位置において前記媒体セット部に積層状にセットされる前記カット媒体を支持することを特徴とする媒体供給装置。」を含めることができる。また、本実施形態では回動可能なガイド部材4について例示したが、本発明(例えば、請求項1に係る発明)はこれに限定されるものではない。例えば、ガイド部材の退避位置がロールセット部2の凹み部12に当接するように、支持位置との間でエレベータ式に(上下方向で進退可能に)構成するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、サーマルヘッド式の印刷部を例示したが、背景技術欄でも言及したように、他の印刷方式で印刷処理を行う印刷部としてよいことは論を待たない。さらに、本実施形態では、カット媒体にカットプレート16を例示したが、本発明はこれに限らず、シート状の媒体を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は小型の媒体供給装置および該媒体供給装置を備えた印刷装置を提供するものであるため、媒体供給装置および印刷装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0071】
1 媒体供給装置
2 ロールセット部
3 積層シートセット部(媒体セット部)
4 ガイド部材(第1のガイド部材)
5 支持ローラ
8 端面ガイド(第2のガイド部材)
15 ロール(ロール媒体全体)
16 カットプレート(カット媒体)
20 エンドガイド(第3のガイド部材)
33 レバー(第1の調整手段の一部)
34 ネジ(第2の調整手段の一部)
35 ゲート
100 印刷装置
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体供給装置および印刷装置に係り、特に、所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置および該媒体供給装置を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置の印刷媒体には、カットシートやカットプレート(シートより厚手の媒体で、例えば、カード等を挙げることができる。)、ロールシート等が利用されており、それらを印刷装置側に供給する媒体供給装置が広く知られている。
【0003】
このような媒体供給装置では、一般に、上述した印刷媒体がガイドに挟まれて規制されており、印刷媒体がロールシート(以下、ロール媒体という。)の場合には、搬送パスに対して凹状に形成されたロールセット部にロールをセットし、搬送パスに沿ってロール媒体を印刷装置側に供給している。また、カットシートやカットプレート(以下、カット媒体という。)の場合には、積層されたカット媒体を一枚ずつ分離して搬送パスに沿って印刷装置に供給している。印刷装置では、例えば、ドラム上に潜像を形成して転写する方式、インクジェットプリンタ式、サーマルプリンタ式等の各種の印刷方式が用いられ、媒体供給装置から供給されたロール媒体やカット媒体等の印刷媒体に対して印刷処理が施される。
【0004】
媒体供給装置の従来例として、例えば、カット媒体やロール媒体をそれぞれカット媒体セット部(以下、媒体セット部と略称する。)やロールセット部にセットして供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、図16(A)に示すように、ロール15(ロール媒体)は凹み部12に配設されたローラ5、6で支持され、図16(B)に示すように、カット媒体16Aは平面状の載置台44上に積層状に載置される。また、特許文献1には、媒体セット部にセットされたカット媒体の長手方向に沿う端面やロールセット部にセットされたロールの端面を規制するガイドの構成も開示されている。さらに、該ガイドにカット媒体の後端を規制するエンドガイドをスライド可能に設けた構成も開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−235838号公報
【特許文献2】特開平07−225533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、カット媒体を供給する場合に、専用のプレートカセット(特許文献1の参照符号41)を用いなければならない。また、仮に専用のプレートカセットを用いずに載置台44を印刷装置側に配置した場合、載置台と凹み部との両方の領域がそれぞれ所定距離隔てて必要となり、装置サイズが大きくなってしまう、という問題がある(図16(A)、(B)参照)。さらに、カット媒体の載置台を設けたとしても、図16(C)に示すように、長いカット媒体16Bの場合はカット媒体の後端が凹み部に落ちてしまう、という問題がある。
【0007】
本発明は上記事案に鑑み、小型の媒体供給装置および該媒体供給装置を備えた印刷装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置において、平面状の底面を有し、前記カット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、前記媒体セット部の底面の上流側に隣接して設けられ、前記底面に対して凹んだ凹み部を有し、前記ロールがセットされるロールセット部と、前記媒体セット部に前記カット媒体がセットされたときに前記凹み部において該カット媒体の最底部を前記底面の延長線上で支持する支持位置と、前記ロールセット部対する前記ロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成された第1のガイド部材と、を備える。
【0009】
本態様の媒体供給装置は、平面状の底面を有し、所定サイズにカットされたカット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、媒体セット部の底面の上流側に隣接して設けられ、底面に対して凹んだ凹み部を有し、ロールがセットされるロールセット部とを備えており、カット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する。本態様では、媒体セット部にカット媒体がセットされたときに、第1のガイド部材が支持位置に位置付けられ凹み部においてカット媒体の最底部を底面の延長線上で支持し、ロールセット部にロールがセットされるときに、第1のガイド部材がロールセット部に対するロールのセットを許容する退避位置に位置付けられる。このため、媒体セット部の底面の長さを短くすることで媒体セット部とロールセット部とを近接して配置することができるので、装置サイズを小さくすることができる。
【0010】
本態様において、第1のガイド部材は、退避位置に移動したときに、ロールセット部にセットされたロールに対して凹み部からの飛び出しを規制するようにしてもよい。また、ロールセット部は凹み部においてロールを支持する支持ローラを有し、第1のガイド部材は支持ローラに対して回動可能に設けられるようにしてもよい。
【0011】
また、本態様において、媒体セット部にセットされたカット媒体の長手方向に沿う端面およびロールセット部にセットされたロールの端面を規制する第2のガイド部材をさらに備えるようにしてもよい。第2のガイド部材に対してスライドおよび回動可能に設けられ、第2のガイド部材に対してスライドすることで媒体セット部にセットされたカット媒体の後端を規制する規制位置と、第2のガイド部材に対して回動することでロールセット部にセットされたロールとの接触を回避するための回避位置との間を移動可能に構成された第3のガイド部材をさらに備えるようにしてもよい。この場合に、媒体セット部の下流側に隣接して設けられ、媒体セット部に積層状にセットされたカット媒体のうち最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するためのゲートと、ロールセット部にロールがセットされたときにゲートをロール媒体との接触を防止するための開放位置と、媒体セット部にカット媒体がセットされたときに最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させるための第1の調整手段と、分離位置においてゲートの先端と底面の延長線との間の間隙を調整するための第2の調整手段と、をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、第1の態様の媒体供給装置を備えた印刷装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、媒体セット部にカット媒体がセットされたときに、第1のガイド部材が支持位置に位置付けられ凹み部においてカット媒体の最底部を底面の延長線上で支持し、ロールセット部にロールがセットするときに、第1のガイド部材がロールセット部に対するロールのセットを許容する退避位置に位置付けられるため、媒体セット部の底面の長さを短くすることで媒体セット部とロールセット部とを近接して配置することができるので、装置サイズを小さくすることができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の印刷装置の概略を示す正面図である。
【図2】実施形態の印刷装置が有する媒体供給装置の外観斜視図であり、ガイド部材が支持位置に位置付けられた状態を示している。
【図3】ガイド部材が支持位置に位置付けられた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図4】媒体供給装置にカットプレートが積層状にセットされた状態での媒体供給装置の外観斜視図である。
【図5】媒体供給装置にカットプレートが積層状にセットされた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図6】媒体供給装置に別のカットプレートが積層状にセットされた状態での媒体供給装置の外観斜視図である。
【図7】媒体供給装置の外観斜視図であり、ガイド部材が退避位置に位置付けられた状態を示している。
【図8】ガイド部材が退避位置に位置付けられた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図9】媒体供給装置にロールがセットされた状態での媒体供給装置の外観斜視図である。
【図10】媒体供給装置にロールがセットされた状態での媒体供給装置の一部正断面を含む正面図である。
【図11】媒体供給装置のゲート部を印刷部側から見たときの斜視図である。
【図12】ゲート部を媒体供給部側から見たときの斜視図であり、レバーが下げられた状態を示している。
【図13】ゲート部を媒体供給部側から見たときの斜視図であり、レバーが上げられた状態を示している。
【図14】フレームを取り除いてゲート部を印刷部側から見た状態の斜視図であり、レバーが下げられた状態を示している。
【図15】フレームを取り除いてゲート部を積層媒体セット部側から見た状態の斜視図であり、レバーが下げられた状態を示している。
【図16】(A)は従来の印刷装置が有する媒体供給装置にロールがセットされた状態を模式的に示す正面図、(B)は従来の媒体供給装置にカットプレートが積層状にセットされた状態を模式的に示す正面図、(C)は従来の媒体供給装置に長いカットプレートが積層状にセットされた状態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を、サーマルヘッド式の印刷部を有する印刷装置に適用した実施の形態について説明する。
【0016】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の印刷装置100は、主として、所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体の2種類の印刷媒体を選択的に供給する媒体供給装置1、印刷媒体を直線状の搬送パスPに沿って搬送する媒体搬送部60、媒体搬送部60により搬送される媒体がカットプレートの場合にカットプレートの表面を清浄するためのクリーニング部70、印刷媒体に印刷処理を施す印刷部80および印刷媒体の位置情報等を取得するためのセンサを有して構成されている。これらの構成部のうち、媒体供給装置1を除く各部は筺体90内に収容されている。
【0017】
<媒体供給装置>
媒体供給装置1は、印刷装置100の一側に配置されており(図1参照)、一言すれば、図4および図9に示すように、カット媒体およびロール媒体を印刷部80側に選択的に供給するものである。本実施形態では、説明を簡単にするために、カット媒体に所定の厚みを有するカットプレート16(図4参照)、ロール媒体にロール15から供給されるロールシートを例にとって説明する。
【0018】
図2〜図10に示すように、媒体供給装置1は、カットプレート16が積層状にセットされる積層媒体セット部3と、ロール15がセットされるロールセット部2と、積層媒体セット部3にセットされるカットプレート16およびロールセット部2にセットされるロール15をそれぞれのセット部内で規制する複数の規制部材と、積層媒体セット部3の下流側に隣接して設けられ、積層媒体セット部3に積層状にセットされたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するためのゲート部14とを有している。
【0019】
図2〜図5に示すように、積層媒体セット部3は平面状の底面11(図3参照)を有しており、底面11上にカットプレート16が積層状にセット(載置)される。このような底面11は、積層されたカットプレート16の底を面的に支持できれば良いため、分割して構成するようにしてもよい。
【0020】
図2〜図10に示すように、ロールセット部2は、積層媒体セット部3の底面11の上流側に隣接して設けられており、底面11に対して凹んだ凹み部12を有している。この凹み部12の両側に駆動ローラ6およびドーナツ状の支持ローラ5が配設されており、ロール15は駆動ローラ6および支持ローラ5に当接して支持される。
【0021】
上述した複数の規制部材は、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときにその後端部を支持するガイド部材4(第1のガイド部材)、印刷部80側に配置されカットプレート16の先端部両端面を規制する矩形状の2枚のサイドガイド7、サイドガイド7に連接して設けられた端面ガイド8(第2のガイド部材)、図2の奥側に配置された端面ガイド8(後述する端面ガイド8B)に対してスライドおよび回動可能に設けられたエンドガイド20(第3のガイド部材)で構成されている。
【0022】
ガイド部材4は、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに凹み部12においてカットプレート16後端部の最底部を底面11の延長線上で支持する支持位置(図2参照)と、ロールセット部2に対するロール15のセットを許容する退避位置(図7参照)との間を移動可能に構成されている。ガイド部材4が支持位置に位置づけられたときは凹み部12を塞いでいるため、ロールシート部2にロール15をセットする際にガイド部材4がロール15に接触してロール15がセットできない。よってガイド部材4がロール15と接触しない退避位置に移動することでロールセット部2に対してロール15がセット可能になる。本実施形態のガイド部材4は全体としてレバー状の形状を呈している。ガイド部材4にはカットプレート16後端部の最底部を底面11の延長線上で支持する細長の水平面が形成されている。また、その基部は二股となっており、支持ローラ5を跨ぐように支持ローラ5(のローラ軸)に対して回動可能に設けられている。
【0023】
ロールセット部2にセットされたロール15は、その下部が駆動ローラ6および支持ローラ5で支持される。本実施形態では、媒体供給装置1が印刷装置100の一部のため、駆動ローラ6は媒体搬送部60の動力源と同一の動力源から伝達された回転駆動力で回転する。なお、支持ローラ5は従動ローラである。ガイド部材4は、退避位置に移動したときに、係止面4aによってロールセット部2の一端側(印刷部80の反対側)でロール15の周面に沿って起立した状態で固定される(図9、10参照)。よって、ガイド部材4が退避位置に位置づけられたときは、ロールセット部2にセットされたロール15に対して凹み部12からの飛び出しを規制する機能を有している。
【0024】
2枚のサイドガイド7は、それぞれ、後述するゲート部14を構成するフレーム10に対して離接可能に構成されているが、その詳細については後述する。サイドガイド7には、垂直方向にガイド穴32が形成されており、ガイド穴32の上端部にはシャフト31を保持するための保持穴が延設されている。シャフト31を確実に保持するために、保持穴は単に水平状に形成するより傾斜状するかまたは節度を有することが好ましい(図11、図12参照)。図2は、ガイド穴32の保持穴にシャフト31が位置付けられた状態を示している。
【0025】
シャフト31はロッド状の形状を呈しており、その両端部はガイド穴32およびフレーム10(図11、図12参照)を貫通している。シャフト31の両端には、ガイド穴32の幅より大きい留め具(不図示)が固着されている。シャフト31には、ドーナツ状の錘30がシャフト31の長手方向をスライド可能に設けられている。
【0026】
図2に示すように、サイドガイド7に連接して設けられた端面ガイド8は、図2の手前側に配置された端面ガイド(便宜上、端面ガイド8Aという。)と奥側に配置された端面ガイド(便宜上、端面ガイド8Bという。)とでその形状がほぼ同じである(図2の正面から見て略正方形の形状を呈している。)。しかしながら、端面ガイド8Bの上には、サイドガイド7から略水平状に延設された延設部19が形成されている。なお、本実施形態では、延設部19は端面ガイド8Bの一部である。
【0027】
図7および図8に示すように、延設部19は、上側に、略水平に配置されたラチェットラック21と、下側に、略水平の矩形状溝からなるスライドガイド22とを有している。スライドガイド22内には、ブロック状で凸部を有するスライド部材23が、スライドガイド22の長手方向(水平方向)に沿ってスライド可能に嵌入されている。
【0028】
スライド部材23の凸部側には、端面ガイド8B(厳密には、その上部に配置された延設部19)に対してスライドおよび回動可能にエンドガイド20が設けられている。エンドガイド20は、ラチェットラック21と噛合(係合)する噛合爪26、噛合爪26の上側に配置され噛合爪26のラチェットラック21との噛合(係合)を解除するためのつまみ25、スライド部材23の凸部を跨ぐように該凸部の両側に配設されたアーム24を有しており、全体としては棒状の形状を呈している。なお、アーム24の断面形状はコ字状で、スライド部材23の凸部を跨ぐように2箇所で該凹部側に突設されており、突設されたアーム24の先端部同士がスライド部材23の凸部を貫通した軸部を有しているため、アーム24の軸部を中心としてエンドガイド20は回動可能である。
【0029】
従って、エンドガイド20は、端面ガイド8Bに対してスライドすることで積層媒体セット部3にセットされたカットプレート16の後端を規制する規制位置(図4参照)と、端面ガイド8B(厳密には、スライド部材23)に対して90°回動することでロールセット部2にセットされたロール15との接触を回避するための回避位置(図7、図10参照)との間を移動可能に構成されている。
【0030】
図11〜図13に示すように、ゲート部14はフレーム10を有している。フレーム10の断面はコ字状であり、サイドガイド7側に突出した2つのフランジ部と、フランジ部間を繋ぐ板状部とで構成されている。
【0031】
フランジ部はサイドガイド7と対峙するように立設されており、サイドガイド7に形成されたガイド穴32と対応する位置にガイド穴32と同形状のガイド穴が形成されている。上述したように、シャフト31の端部はガイド穴32とフランジ部に形成されたガイド穴とを貫通している。板状部には、板状部の水平方向の長さの略1/2に亘る矩形状の切り欠き39が、上下に2本形成されている。サイドガイド7には図示を省略したラックが固着されており、切り欠き39を介して、ゲート部14に設けられたピニオン(不図示)と噛合している。このため、オペレータがサイドガイド7間の位置を狭めることで、上述したカットプレート16よりサイズの小さいカットプレート17の端面を規制することが可能である(図6参照)。
【0032】
図3および図11〜15に示すように、ゲート部14は、フレーム10の板状部に固定された板状の基材36と、この基材36に対して移動可能に設けられた板状のゲート35とを有している。基材36およびゲート35は、それぞれの上端部に断面L字状に水平方向に屈曲したフランジ部を有している。ゲート35のフランジ部の略中央には丸穴が形成されており、基材36のフランジ部の略中央にはネジ穴が螺設されている。ゲート35のフランジ部の上面にはネジ34の頭部底面が当接するとともに、ネジ34のボルト部がフランジ部の丸穴を貫通しており、これらの箇所でネジ34は基材36に固着している。一方、基材36のフランジ部に螺設されたネジ穴には、ネジ34のボルト部のネジ形成部が螺合している。このため、オペレータは、ネジ34(第2の調整手段の一部)を回すことにより、ゲート35の先端と底面11(の延長線上)との間に形成された隙間の幅を、カットプレート16の厚さに応じて微調整が可能である(図3参照)。
【0033】
図14および図15に示すように、基材36のフランジ部の直下には基材36から積層媒体セット部3側に水平方向に突出したピン状の係止部材37が突設されている。この係止部材37には矩形状の可動部材40一側の上端部が係合している。可動部材40は水平方向に形成された長穴とその隣に垂直方向に形成された縦穴とを有しており、長穴にはサイドガイド7の板状部に突設された2本のピン41、42が貫通している。縦穴にはL字状のレバー33の端部に突設されたピンが挿入されており、レバー33の中央部(腕と脚との接続箇所)はサイドガイド7の板状部に突設されたピンの周りに回動可能に構成されている。レバー33は、端部に突設されたピンとは反対側の他端部側が拡幅されている。
【0034】
図14に示すように、オペレータがレバー33(第1の調整手段の一部)を下げる(下方向に押下する)ことにより、可動部材40はピン41、42に沿って(図14に示すように左側に)移動し、可動部材40が係止部材37と係合(当接)する。これより、ゲート35の先端は上げられる(開放位置に位置する)。一方、図15に示すように、オペレータがレバー33を上げることにより、可動部材40はピン41、42に沿って(図15に示すように右側に)移動し、可動部材40が係合部材37との係合が解かれる。これにより、ゲート35は下方に下げられる(分離位置に位置する)。
【0035】
従って、オペレータがレバー33を操作することで、ロールセット部2にロール15がセットされたときにゲート35の先端をロールから供給されたロールシートとの接触を防止するための開放位置と、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに積層されたカットプレートのうち最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させることができる。なお、ロールシートの場合開放位置に位置付けるのは、カットプレートの場合と異なり印刷媒体が薄いため、なるべくゲート35の先端との接触を避けることが好ましいためである。
【0036】
図12、図14および図15に示すように、基材36の下端部には、カットプレート16およびロールシートに帯電した静電気を除電するための矩形状の除電ブラシ38が固着されており、除電ブラシ38の下端は底面11の延長線上で底面11に接触している。また、除電ブラシ38は、フレーム10の板状部の下端部から突出したピンにも固定されており、上部3点で支持されている。
【0037】
<媒体搬送部>
図1に示すように、媒体搬送部60には搬送パスPに沿って複数のローラが配設されている。なお、本実施形態では、媒体供給装置1の媒体搬送駆動力は印刷装置100側から供給されるため、便宜上、支持ローラ5および駆動ローラ6も媒体搬送部60の一部として説明する。
【0038】
支持ローラ5および駆動ローラ6は凹み部12に配置されるため、それらのローラ軸は搬送パスPよりやや低い位置に位置付けられている。搬送パスPに沿って駆動ローラ6の下流側かつサイドガイド7の下部には、積層媒体セット部3に積層(セット)されたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16をゲート35に向けて繰り出すピックローラ45が配置されている。
【0039】
本実施形態の媒体搬送部60は、ピックローラ45より下流側かつ搬送パスPより下側に配置されたローラは駆動ローラであり(ただし、後述する排出ローラ55を除く。)、搬送パスPより上側に配置されたローラは従動ローラである。すなわち、搬送パスPに沿って、ピックローラ45の下流側に搬送ローラ46および従動ローラ47で構成されるローラ対、その下流側に搬送ローラ48およびクリーニングローラ49(従動ローラ)で構成されるローラ対、その下流側に印刷部80の一部を構成するプラテンローラ50、その下流側に搬送ローラ53および従動ローラ54で構成されるローラ対、その下流側に印刷媒体(カットプレート、ロールシート)を印刷装置100の外側に排出するための排出ローラ55が、それぞれ配設されている。なお、ロールシートに印刷処理を施す場合に備え、排出ローラ55の下流側にカッタが配置されているが、図1ではカッタを捨象している。
【0040】
媒体搬送部60を構成する駆動ローラ、すなわち、駆動ローラ6、ピックローラ45、搬送ローラ46、48、プラテンローラ50、駆動ローラ53は、単一のモータ(以下、媒体搬送モータという。)を駆動源とし、複数のギアで構成された駆動力伝達機構を介して媒体搬送モータからの回転駆動力が供給される。なお、駆動力伝達機構とピックローラ45との間には電磁クラッチが介在している。
【0041】
媒体搬送部60を構成する従動ローラ、すなわち、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54は、それらのローラ軸が図示を省略した単一のフレームに回転可能に軸支されており、該フレームは昇降モータによりギア機構を介して対応する駆動ローラに当接ないし離間可能に構成されている。従って、昇降モータを作動させることで、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54は、それぞれ、搬送ローラ46、48、53に当接する位置に位置付けられる。
【0042】
搬送ローラ46と搬送ローラ48との間には、印刷媒体の厚さを検出するための厚さ検出センサ56が配置されており、搬送ローラ48とプラテンローラ50との間には、印刷媒体の先端部ないし後端部の位置を検出する頭出しセンサ57が配置されている。
【0043】
<クリーニング部>
従動ローラ49の上側には従動ローラ58が配置されている。従動ローラ58には、粘着剤が一面側に塗着された粘着テープTが巻き掛けられている。粘着テープTはテープ供給リールから供給されテープ巻取リールに巻き取られる。従って、クリーニング部70は、従動ローラ58、テープ供給リールおよびテープ巻取リール等で構成されている。上述した媒体搬送モータは、正転動作で印刷媒体を搬送パスPに沿って図1の右側から左側の搬送方向に搬送し、逆転動作でテープ巻取リールを巻き取る。
【0044】
<印刷部>
クリーニング部70の下流側には印刷部80が配置されている。印刷部80は、発熱素子をライン状に配設したサーマルヘッド51、サーマルヘッド51をプラテンローラ50に向けて進退させる不図示のカム機構、インクリボンRを供給するリボン供給リール、インクリボンRを巻き取るリボン巻取リールを有して構成されている。
【0045】
インクリボンRは、リボン供給リールから供給され、サーマルヘッド51の発熱素子の面を介してリボン巻取リールで巻き取られる。リボン供給リールとリボン巻取リールとの間には、インクリボンRの搬送方向を変更するための複数の従動ローラ(コロ)が介在している。
【0046】
サーマルヘッド51をプラテンローラ50に向けて進退させる不図示のカム機構はヘッド昇降モータ(不図示)で作動する。サーマルヘッド51が進出状態にあるときは、プラテンローラ50を圧接した状態となる。リボン巻取リールは、ヘッド昇降モータとは別の駆動モータで回転する。
【0047】
<その他>
また、印刷装置100は、オペレータが命令を入力するためのテンキー等を含む入力操作部、商用電源から直流定電圧電源を生成するための電源部、印刷装置100の全体を制御する制御部、ホストコンピュータ等の上位機器に接続するためのインターフェース等を有している。
【0048】
(セットおよび動作)
次に、オペレータによる印刷媒体のセットおよび印刷装置100の動作について、カットプレートとロールシートに分けて説明する。
【0049】
1.カットプレート
<セット>
図2に示すように、まず、オペレータは、シャフト31を保持穴に位置付け、ガイド部材4を支持位置に位置付けた後、エンドガイド20のつまみ25を把持し噛合爪26とラチェットラック21との噛合(係合)を解除して端部まで移動させる。次に、カットプレート16が底面11およびガイド部材4で支持されるようにカットプレート16を積層する(図4参照)。また、必要に応じてカットプレート16の長手方向の端面を規制するためにサイドガイド7間の幅を狭める(図6参照)。次いで、シャフト31を保持穴からガイド穴32に移動させる。これにより、錘30は、積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16のうち最上部のカットプレート16に当接する。そして、エンドガイド20のつまみ25を把持し噛合爪26とラチェットラック21との噛合を解除して、エンドガイド20が積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16の後端に当接するまで移動させる。これにより、積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16は、上下および4端面が規制される(カットプレート16の搬送方向先端はゲート35で規制される)。
【0050】
<ゲート調整>
次に、オペレータは、ゲートの隙間の調整を行う。この調整は2段階で行われる。まず、ゲート35を分離位置に位置付けるためレバー33を上げ(図15参照)、次に、ネジ34を回すことでゲート35と底面11との間で形成される隙間を、カットプレート16の厚みに応じて適正な間隔に設定する。つまり、積層媒体セット部3に積層状にセットされたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16がその上のカットプレート16と分離可能な隙間となるようにゲート35の先端の位置を調整する。
【0051】
以上が終了すると、オペレータは、入力操作部の所定のキー(カットプレート選択キーおよびスタートキー)を押下することにより、印刷装置100によるカットプレート16への印刷処理を開始させる。なお、以上の説明はオペレータが行う標準的なカットプレートのセットおよびゲート調整方法であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0052】
<印刷装置の動作>
説明を簡単にするために、カットプレートに印刷するための印刷データは予め上位機器から印刷装置100の制御部に送信されているものとして説明する。カットプレート選択キーが押下されると、制御部は、電磁クラッチをオン状態(駆動力伝達機構の回転駆動力をピックローラ45に伝達可能な状態)に制御し、昇降モータを所定回転数だけ回転させる。これにより、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54を回転可能に軸支するフレームは予め定められた位置まで下降する。
【0053】
次いで、スタートキーが押下されると、媒体搬送モータは正転駆動を開始する。これにより、搬送パスP上に配設された駆動ローラは回転を開始し、ピックローラ45は積層媒体セット部3に積層されたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16を、ゲート35を介して搬送パスP上に繰り出す。なお、駆動ローラ6は駆動伝達機構を介して回転しているが、搬送パスPの延長線上からは一段低い位置に位置付けられているため、カットプレート16とは接触しない。
【0054】
カットプレート16の先端部が厚さ検出センサ56に到ると、カットプレート16の厚みに応じて昇降モータを再度駆動させ従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54の位置を位置付ける。また、カットプレート16の厚みに応じて、ヘッド昇降モータを駆動させサーマルヘッド51をプラテンローラ50に向けて進出させる。次いで、電磁クラッチをオフ状態とする。これにより、ピックローラ45の回転は停止する。
【0055】
カットプレート16は、搬送ローラ46および従動ローラ47で構成されるローラ対、並びに、搬送ローラ48およびクリーニングローラ49で構成されるローラ対により搬送パスP上を下流側(印刷部側)に搬送される。クリーニングローラ49は清浄されており、カットプレート16の表面に当接することでカットプレート16の表面を間接的に清浄する。
【0056】
頭出し検出センサ57がカットプレート16の先端を検出することで、制御部はカットプレート16の位置を把握することができる。すなわち、媒体搬送モータはステッピングモータであり、この後パルスを幾つ送れば、サーマルヘッド51の発熱素子の箇所に到るかを把握することができる。制御部は媒体搬送モータのパルス管理を行うとともに、サーマルヘッド51の発熱素子を印刷データに従い選択的に発熱させる。これにより、カットプレート16の表面に印刷が施される。この間、インクリボンRは、別の駆動モータの駆動力によりリボン巻取リールに巻き取られる。
【0057】
カットプレート16は、搬送ローラ53および従動ローラ54で構成されるローラ対でさらに搬送され、排出ローラ55に底面を当接させて排出口から排出される。排出口には図示しないトレイが配置されている。頭出しセンサ57がカットプレート16の後端を検出すると、制御部は、カットプレート16を排出するために所定パルス数媒体搬送モータを(正転)駆動させた後、媒体搬送モータを所定パルス数逆転駆動させ、駆動を停止させる。これにより、クリーニングローラ49の表面が清浄される。また、頭出しセンサ57がカットプレート16の後端を検出すると、制御部は、サーマルヘッド51をプラテンローラ50から退避するようにヘッド昇降モータを作動させるとともに、従動ローラ47、クリーニングローラ49、従動ローラ54を回転可能に軸支するフレームを所定位置まで上昇させるために昇降モータを作動させる。これにより、1枚のカットプレート16への印刷処理は終了するが、次のカットプレートへの印刷処理は同様にして行われる。
【0058】
2.ロールシート
<セット>
図7に示すように、まず、オペレータは、シャフト31を保持穴に位置付け、ガイド部材4を退避位置に位置付けた後、エンドガイド20のつまみ25を把持し噛合爪26とラチェットラック21との噛合(係合)を解除して端部まで移動させ、エンドガイド20を回動させ回避位置に位置付ける。積層媒体セット部3にカットプレートが積層されている場合には、それらを取り除く(図7参照)。
【0059】
<ゲート調整>
次に、オペレータは、ゲートの隙間の調整を行う。この調整は1段階で行われる。すなわち、ゲート35を分離位置に位置付けるためレバー33を下げることで(図14参照)、ゲートを開放位置に位置付ける。次いで、ロール15を凹み部12にセットする。このとき、オペレータは、ロールシートの先端部をゲート35より印刷部80側に位置付ける。
【0060】
以上が終了すると、オペレータは、入力操作部の所定のキー(ロールシート選択キーおよびスタートキー)を押下することにより、印刷装置100によるロールシートへの印刷処理を開始させる。なお、以上の説明はオペレータが行う標準的なロールシートのセットおよびゲート調整方法であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0061】
<印刷装置の動作>
ロールシート選択キーが押下されると、制御部は、電磁クラッチをオフ状態に制御する。次いで、スタートキーが押下されると、駆動ローラ6および搬送パスP上に配設された駆動ローラは回転を開始する。これにより、ロールセット部2からロールシートが繰り出される。なお、ピックローラ45は、電磁クラッチがオフ状態とされているため、回転しない。また、頭出しセンサ57がカットプレート16の後端を検出すると、制御部は、カットプレート16を排出するために所定パルス数媒体搬送モータを(正転)駆動させるが、クリーニングローラ49を清浄する必要がないため、その後の媒体搬送モータの逆転駆動は行わない。これらの点を除いて、印刷装置100の動作は、上述したカットプレート16への印刷処理と同様である。
【0062】
(作用効果等)
次に、本実施形態の印刷装置100の作用効果等について、媒体供給装置1の作用効果等を中心に説明する。
【0063】
本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに、ガイド部材4が支持位置に位置付けられ凹み部12においてカットプレート16の最底部を底面11の延長線上で支持する。また、ロールセット部にロールがセットされるときに、第1のガイド部材がロールセット部に対するロールのセットを許容する退避位置に位置付けられる。このため、積層媒体セット部3の底面11の長さを短くでき積層媒体セット部3とロールセット部2とを近接して配置することができる。従って、媒体供給装置1のサイズ、ひいては、印刷装置100のサイズを小さくすることができる。
【0064】
また、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、ガイド部材4は、退避位置に移動したときに、ロールセット部2の一端側(印刷部80の反対側)でロール15の周面に沿って起立した状態で固定されるため、ロールセット部2にセットされたロール15に対して凹み部12からの飛び出しを規制している。このため、ロール15を支持ローラ5および駆動ローラ6で支持しても、不都合が生じないばかりでなく、ロール15のロールセット部2(凹み部12)へのセットが容易となる。
【0065】
さらに、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、ガイド部材4は支持ローラ5(のローラ軸)に対して回動可能に設けられている。このため、積層媒体セット部3にカットプレート16をセットする場合とロールセット部2にロール15をセットする場合とでセットの(段取り替えの)手間を少なくすることができる。
【0066】
また、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、複数の規制部材が設けられている。このため、積層媒体セット部3にセットされたカットプレート16とロールセット部2にセットされたロール15とを確実に規制し、印刷媒体供給時の斜行等の不具合を防止することができる。とりわけ、端面ガイド8Bに対してスライドすることで積層媒体セット部3にセットされたカットプレート16の後端を規制する規制位置と、端面ガイド8Bに対して回動することでロールセット部2にセットされたロール15との接触を回避するための回避位置との間を移動可能に構成されたエンドガイド20を備えている。このため、規制位置においてカットプレート16の後端が規制されるので、積層されたカットプレート16が安定するとともに、回避位置においてロールセット部2にセットされたロール15への影響をなくすことができる。
【0067】
そして、本実施形態の印刷装置100では、媒体供給装置1において、積層媒体セット部3の下流側に隣接して設けられ、積層媒体セット部3に積層状にセットされたカットプレート16のうち最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するためのゲート35と、ロールセット部2にロール15がセットされたときにゲート35をロールシートとの接触を防止するための開放位置と、積層媒体セット部3にカットプレート16がセットされたときに最底部のカットプレート16を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させるためのレバー33と、分離位置においてゲート35の先端と底面11の延長線との間の間隙を調整するためのネジ34とを備えている。このため、印刷媒体に応じて、ゲート35による間隙形成を、大幅な調整と小幅な調整とで別々に行うことができる。
【0068】
なお、本実施形態では、ガイド部材4に細長の水平面を有するレバー状のガイド部材4を例示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、カットプレート16の幅方向(長手方向と交差する方向)の底面を支持する大きな水平面を有したガイド部材であってもよい。そのような態様では、積層媒体セット部2の底面11をなくし、これに代えてガイド部材の水平面用いるようにしてもよい。従って、特許請求の範囲には、「所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置において、前記カット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、前記媒体セット部の上流側に隣接して設けられ、凹み部に前記ロールがセットされるロールセット部と、前記媒体セット部に前記カット媒体がセットされたときに前記凹み部において該カット媒体の最底部を支持する支持位置と、前記ロールセット部に対する前記ロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成された第1のガイド部材と、を備え、前記第1のガイド部材は平面状の底面を有し、該底面は、前記支持位置において前記媒体セット部に積層状にセットされる前記カット媒体を支持することを特徴とする媒体供給装置。」を含めることができる。また、本実施形態では回動可能なガイド部材4について例示したが、本発明(例えば、請求項1に係る発明)はこれに限定されるものではない。例えば、ガイド部材の退避位置がロールセット部2の凹み部12に当接するように、支持位置との間でエレベータ式に(上下方向で進退可能に)構成するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、サーマルヘッド式の印刷部を例示したが、背景技術欄でも言及したように、他の印刷方式で印刷処理を行う印刷部としてよいことは論を待たない。さらに、本実施形態では、カット媒体にカットプレート16を例示したが、本発明はこれに限らず、シート状の媒体を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は小型の媒体供給装置および該媒体供給装置を備えた印刷装置を提供するものであるため、媒体供給装置および印刷装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0071】
1 媒体供給装置
2 ロールセット部
3 積層シートセット部(媒体セット部)
4 ガイド部材(第1のガイド部材)
5 支持ローラ
8 端面ガイド(第2のガイド部材)
15 ロール(ロール媒体全体)
16 カットプレート(カット媒体)
20 エンドガイド(第3のガイド部材)
33 レバー(第1の調整手段の一部)
34 ネジ(第2の調整手段の一部)
35 ゲート
100 印刷装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置において、
平面状の底面を有し、前記カット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、
前記媒体セット部の底面の上流側に隣接して設けられ、前記底面に対して凹んだ凹み部を有し、前記ロールがセットされるロールセット部と、
前記媒体セット部に前記カット媒体がセットされたときに前記凹み部において該カット媒体の最底部を前記底面の延長線上で支持する支持位置と、前記ロールセット部に対する前記ロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成された第1のガイド部材と、
を備えた媒体供給装置。
【請求項2】
前記第1のガイド部材は、前記退避位置に移動したときに、前記ロールセット部にセットされたロールに対して前記凹み部からの飛び出しを規制することを特徴とする請求項1に記載の媒体供給装置。
【請求項3】
前記ロールセット部は前記凹み部において前記ロールを支持する支持ローラを有し、前記第1のガイド部材は前記支持ローラに対して回動可能に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記媒体セット部にセットされたカット媒体の長手方向に沿う端面および前記ロールセット部にセットされたロールの端面を規制する第2のガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の媒体供給装置。
【請求項5】
前記第2のガイド部材に対してスライドおよび回動可能に設けられ、前記第2のガイド部材に対してスライドすることで前記媒体セット部にセットされたカット媒体の後端を規制する規制位置と、前記第2のガイド部材に対して回動することで前記ロールセット部にセットされたロールとの接触を回避するための回避位置との間を移動可能に構成された第3のガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の媒体供給装置。
【請求項6】
前記媒体セット部の下流側に隣接して設けられ、前記媒体セット部に積層状にセットされたカット媒体のうち最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するためのゲートと、
前記ロールセット部にロールがセットされたときに前記ゲートを前記ロール媒体との接触を防止するための開放位置と、前記媒体セット部にカット媒体がセットされたときに前記最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させるための第1の調整手段と、
前記分離位置において前記ゲートの先端と前記底面の延長線との間の間隙を調整するための第2の調整手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の媒体供給装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の媒体供給装置を備えた印刷装置。
【請求項1】
所定サイズにカットされたカット媒体およびロールから供給されるロール媒体を選択的に供給する媒体供給装置において、
平面状の底面を有し、前記カット媒体が積層状にセットされる媒体セット部と、
前記媒体セット部の底面の上流側に隣接して設けられ、前記底面に対して凹んだ凹み部を有し、前記ロールがセットされるロールセット部と、
前記媒体セット部に前記カット媒体がセットされたときに前記凹み部において該カット媒体の最底部を前記底面の延長線上で支持する支持位置と、前記ロールセット部に対する前記ロールのセットを許容する退避位置との間を移動可能に構成された第1のガイド部材と、
を備えた媒体供給装置。
【請求項2】
前記第1のガイド部材は、前記退避位置に移動したときに、前記ロールセット部にセットされたロールに対して前記凹み部からの飛び出しを規制することを特徴とする請求項1に記載の媒体供給装置。
【請求項3】
前記ロールセット部は前記凹み部において前記ロールを支持する支持ローラを有し、前記第1のガイド部材は前記支持ローラに対して回動可能に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記媒体セット部にセットされたカット媒体の長手方向に沿う端面および前記ロールセット部にセットされたロールの端面を規制する第2のガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の媒体供給装置。
【請求項5】
前記第2のガイド部材に対してスライドおよび回動可能に設けられ、前記第2のガイド部材に対してスライドすることで前記媒体セット部にセットされたカット媒体の後端を規制する規制位置と、前記第2のガイド部材に対して回動することで前記ロールセット部にセットされたロールとの接触を回避するための回避位置との間を移動可能に構成された第3のガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の媒体供給装置。
【請求項6】
前記媒体セット部の下流側に隣接して設けられ、前記媒体セット部に積層状にセットされたカット媒体のうち最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するためのゲートと、
前記ロールセット部にロールがセットされたときに前記ゲートを前記ロール媒体との接触を防止するための開放位置と、前記媒体セット部にカット媒体がセットされたときに前記最底部のカット媒体を1枚ずつ分離するための分離位置との間で移動させるための第1の調整手段と、
前記分離位置において前記ゲートの先端と前記底面の延長線との間の間隙を調整するための第2の調整手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の媒体供給装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の媒体供給装置を備えた印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図16】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図16】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−136475(P2011−136475A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297543(P2009−297543)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
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