説明

媒体処理装置、媒体処理装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】小切手等の記録媒体を連続して高速に処理することが可能な媒体処理装置、媒体処理装置の制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】小切手4の搬送路10において小切手4に記録された情報を読み取る磁気ヘッド21と、磁気ヘッド21により読み取られた情報に基づいて実行される認証の結果を取得する磁気認識部20bと、次に処理される小切手4の搬送を開始する搬送制御部20aとを備え、搬送制御部20aは、磁気認識部20bにより認証の結果が取得されてから次に読み取る小切手4の搬送を開始する個別処理モードと、磁気認識部20bにより認証の結果が取得されるのを待たずに、磁気ヘッド21による情報の読み取り後に、次に読み取る小切手4の搬送を開始する連続処理モードとを切り替えて実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録された情報を読み取る媒体処理装置、媒体処理装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体に記録された情報を読み取る媒体処理装置として、例えば小切手に記録された磁気文字情報を読み取る装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の装置は、情報の読み取りだけでなく他の処理を行うことが可能であり、例えば特許文献1記載の装置は、磁気文字情報を読み取り、読取結果の認証を行い、認証後の記録媒体に印刷する機能を備えている。また、この種の装置は、記録媒体を1枚ずつ挿入して読み取りを行うことが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−188533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、小切手等の記録媒体を、短時間で大量に処理した場合でも、1枚ずつ記録媒体を処理する従来の方法では長時間を要する。特に、記録媒体に対して、情報の読み取りを行った後で読取結果の認証を行ってから印刷等の他の処理を行うなど、複数の処理を段階毎に認証しながら実行する場合、認証を待つための時間がかかるため、短時間で多数の記録媒体を連続して処理することが難しいという問題があった。
そこで本発明は、小切手等の記録媒体を連続して高速に処理することが可能な媒体処理装置、媒体処理装置の制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、外部装置と接続可能な通信手段を有する媒体処理装置であって、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路において前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段と、前記通信手段により前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信し、前記通信手段を介して前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得する認証結果取得手段と、前記搬送手段によって、読み取られた前記記録媒体の次に処理される前記記録媒体の搬送を開始する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されてから前記搬送手段によって次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始する個別処理モードと、前記情報読取手段による情報の読み取り後、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されるのを待たずに、次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始する連続処理モードとを有することを特徴とする。
本発明によれば、記録媒体に担持された情報を読み取り、この読取結果に基づく認証の結果を取得することを待たずに次の記録媒体の搬送を開始する連続処理モードを実行可能であるため、多数の記録媒体を連続して高速に処理できる。
【0006】
また、本発明は、上記媒体処理装置において、前記記録媒体の搬送路において前記情報読取手段の読取位置よりも下流側で、前記記録媒体を処理する処理手段を備え、前記制御手段は、前記連続処理モードの実行時に、前記情報読取手段による情報の読み取り後に、前記処理手段が処理可能な状態でない場合には、次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始しないことを特徴とする。
本発明によれば、読取後の処理が可能でない場合に次の記録媒体の搬送を開始しないことで、不完全な処理の実行を防止し、やむを得ず処理が停止した場合に処理が完了していない記録媒体の数が最小限に抑えられるので速やかに復旧できる。
【0007】
また、本発明は、上記媒体処理装置において、前記処理手段は、前記記録媒体に印刷を行う印刷手段であり、前記通信手段を介して、前記外部装置から印刷用のデータを取得する印刷制御手段を備え、前記制御手段は、前記連続処理モードの実行時に、前記情報読取手段による情報の読み取り後に、前記印刷制御手段により前記外部装置から前記印刷用のデータを取得していない場合に、次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始しないことを特徴とする。
本発明によれば、印刷を開始できない場合に次の記録媒体の搬送を開始しないことで、不完全な状態での印刷実行を防止し、印刷の未実行や不良印刷を回避できる。また、やむを得ず印刷を実行できない場合に、処理が完了していない記録媒体の数が最小限に抑えられるので速やかに復旧できる。
【0008】
また、本発明は、上記媒体処理装置において、前記通信手段は前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信せず、前記認証結果取得手段は、前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得せずに、前記情報読取手段により読み取られた情報の認証を行う認証手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、媒体処理装置が認証を行う構成においても認証処理を待たずに連続して記録媒体を処理できる。このため、認証処理に時間を要しても待ち時間の延長を招かないため、認証処理の高速化が難しい場合であっても連続処理が可能となる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体を供給する供給部と、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段と、前記記録媒体に印刷する印刷手段と、を備え、前記記録媒体の搬送路において、搬送方向の上流側より前記情報読取手段及び前記印刷手段が配置され、さらに、前記搬送路において、前記情報読取手段と前記印刷手段の間の距離は、搬送方向の前記記録媒体の長さより短く配置され、前記情報読取手段が前記記録媒体に担持された情報を読み取った後で、少なくとも前記記録媒体の先端が前記印刷手段に到達したとき、前記搬送手段を制御して、前記供給部から次の前記記録媒体の搬送を開始する制御部を備えること、を特徴とする。
本発明によれば、搬送路が短い媒体処理装置であって、情報読取手段が記録媒体に担持された情報を読み取った後で少なくとも担持された情報の一部が読み取られたと判断できた場合で、搬送路における記録媒体の位置が印刷手段により印刷可能な位置に到達する前に、次の記録媒体を搬送するので高速に処理できる。さらに、担持された情報の認識がされる前であっても、記録媒体が上下逆であったり表裏逆などで情報読取手段が記録媒体に担持された情報を読み取れない状態であることを判定でき、読み取れなかった場合は次の記録媒体の搬送を開始せず、誤った向きの記録媒体を再度セットし直して処理することができる。また、印刷手段による印刷前に停止できるので、誤った向きへの印刷を避けることができる。
【0010】
また、本発明は、上記媒体処理装置において、外部装置と接続可能な通信手段を有し、前記通信手段を介して、前記外部装置から印刷用のデータを取得する印刷制御手段を備え、前記情報読取手段により前記記録媒体に担持された情報が読み取られた後で、少なくとも前記記録媒体の先端が前記印刷手段に到達したとき、前記制御手段は、前記印刷制御手段が前記通信手段を介し前記外部装置から前記印刷用のデータを取得している場合、次の前記記録媒体の搬送を開始し、前記印刷用のデータ取得していない場合には、次の前記記録媒体の搬送を開始しないことを特徴とする。
本発明によれば、印刷データが受信されずに印刷できない場合、次の記録媒体の搬送を開始せず、印刷できなかった記録媒体を再度セットし直して処理することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、外部装置と接続可能な通信手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路において前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段とを備えた媒体処理装置の制御方法であって、前記情報読取手段によって情報を読み取り、前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信し、前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得し、個別処理モードと連続処理モードとを切り替え可能であり、前記個別処理モードにおいては前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されてから前記搬送手段によって次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始させ、前記連続処理モードの実行時には、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されるのを待たずに次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始することを特徴とする。
本発明の制御方法を実行することにより、媒体処理装置が、記録媒体に担持された情報を読み取り、この読取結果に基づく認証の結果を取得することを待たずに次の記録媒体の搬送を開始する連続処理モードを実行可能であるため、多数の記録媒体を連続して高速に処理できる。
【0012】
また、本発明は、記録媒体を供給する供給部と、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段と、前記記録媒体に印刷する印刷手段とを備え、前記記録媒体の搬送路において、搬送方向の上流側より前記情報読取手段及び前記印刷手段を配置し、さらに、前記搬送路において、前記情報読取手段と前記印刷手段の間の距離が、搬送方向における前記記録媒体の長さより短く配置された媒体処理装置の制御方法であって、前記情報読取手段が前記記録媒体に担持された情報を読み取った後で、少なくとも前記記録媒体の先端が前記印刷手段に到達したとき、前記搬送手段により前記供給部から次の前記記録媒体の搬送を開始すること、を特徴とする。
本発明によれば、搬送路が短い媒体処理装置であって、情報読取手段が記録媒体に担持された情報を読み取った後で少なくとも担持された情報の一部が読み取られたと判断できた場合で、搬送路における記録媒体の位置が印刷手段により印刷可能な位置に到達する前に、次の記録媒体を搬送するので高速に処理できる。さらに、担持された情報の認識がされる前であっても、記録媒体が上下逆であったり表裏逆などで情報読取手段が記録媒体に担持された情報を読み取れない状態であることを判定でき、読み取れなかった記録媒体の場合は次の記録媒体の搬送を開始せず、誤った向きの記録媒体を再度セットし直して処理することができる。また、印刷手段による印刷前に停止できるので、誤った向きへの印刷を避けることができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明は、外部装置と接続可能な通信手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路において前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段とを備えた媒体処理装置の各部を制御する制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信して、前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得する認証結果取得手段と、前記搬送手段によって、次に処理される前記記録媒体の搬送を開始する制御手段と、を備え、個別処理モードと連続処理モードとを切り替えて実行可能であり、前記個別処理モードにおいては前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されてから前記搬送手段によって次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始させ、前記連続処理モードの実行時には、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されるのを待たずに次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始する制御手段として機能させることを特徴とする。
本発明のプログラムを実行することにより、媒体処理装置が、記録媒体に担持された情報を読み取り、この読取結果に基づく認証の結果を取得することを待たずに次の記録媒体の搬送を開始する連続処理モードを実行可能であるため、多数の記録媒体を連続して高速に処理できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録媒体に記録された情報を読み取る媒体処理装置により、多数の記録媒体を連続して高速に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る小切手処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】小切手処理装置で処理される小切手の例を示す図である。
【図3】記録システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】個別処理モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図5】連続処理モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図6】連続処理モードにおける小切手の搬送経過を示すシーケンス図である。
【図7】連続処理モードにおける小切手の搬送経過を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る媒体処理装置としての小切手処理装置1の概略構成を示す図であり、内部構造を模式的に示した平面図である。
小切手処理装置1は、記録媒体としての小切手4(図2)に記録された磁気インク文字列4gを読み取る機能、小切手4に対して画像を記録する機能、及び、小切手4の両面を光学的に読み取る機能を有した装置である。
【0017】
図2は、小切手4の一例を模式的に示す図である。
小切手4は、所定の模様や装飾が施されたシートであり、小切手処理装置1によって小切手4の発行手続がなされる際は、その表面4a(記録面)に、発行日情報4bや、受取人情報4c、額面数値情報4d、額面文字列情報4e、サイン4f等の小切手情報が記録される。発行日情報4bとは、小切手4の発行日を示す情報である。受取人情報4cとは、発行された小切手4を受け取る者の名前を示す情報である。額面数値情報4dとは、小切手4の額面を数値によって表す情報である。額面文字列情報4eとは、小切手4の額面を文字によって表す情報である。額面数値情報4dは、例えば、「10」であり、額面文字列情報4eは、例えば、「ten」である。サイン4fとは、当該小切手4を発行する責任者(例えば、小切手4の発行に係る金融機関の担当者の長)の署名のグラフィック画像である。
また、小切手4の裏面には裏書き欄が設けられている。この裏書き欄には、裏書きに係る所定の文字または画像が記録される。
【0018】
図2に示すように、また、表面4aには小切手4の長辺方向に延びる磁気インク文字列4gが形成されている。磁気インク文字列4gは、小切手4固有の識別情報を示すものであり、磁気インクで記録された複数の磁気インク文字4hが並んで構成されている。これらの磁気インク文字4hは、磁気インクによる磁気的に記録されるとともに、文字の形態を有することで光学的(視覚的)に記録された情報であって、磁気的な読み取りである磁気文字認識(MICR:Magnetic Ink Character Recognition)および光学的な読み取りである光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)により読み取ることができる。磁気インク文字列4gが示す識別情報には、紙媒体としての小切手4を提供する主体(小切手4を振り出すための当座預金口座がある金融機関等。以下、単に「金融機関」という。)を示す情報(以下、「金融機関情報」という)が含まれている。
以下の説明では、説明の便宜のため、小切手処理装置1によって小切手4を発行する際は、小切手4の種類にかかわらず、小切手4の表面4aに、発行日情報4b、受取人情報4c、額面数値情報4d、額面文字列情報4e、及び、サイン4fの5つの小切手情報が過不足なく記録されるものとする。現実には、これら小切手情報の一部が記録されていない場合もあり、また、他の小切手情報が記録される場合もある。
【0019】
図1に示すように、小切手処理装置1には、上から見た場合にU字形状をした細幅の垂直溝からなる搬送路10が形成されており、この搬送路10の一方の端は広幅の垂直溝からなる小切手供給部11に連通しており、他方の端は分岐して、それぞれ広幅の垂直溝からなるメインポケット12、及び、サブポケット13に連通している。小切手供給部11は搬送路10の始端であり、メインポケット12及びサブポケット13は搬送路10の終端である。
小切手供給部11は、処理前の小切手4を複数枚(例えば100枚)収容可能に構成されており、収容された小切手4を一枚ずつ搬送路10に送り出すための送り出し機構として、ピックアップローラー19が設けられている。小切手供給部11に収容される際、小切手4は、その表面4aが外側に向かった状態となるように収容され、その表面4aが外側に向かった状態のまま搬送路10上を搬送される。また、小切手処理装置1は、小切手供給部11に貯留された小切手4の有無を検出する小切手供給検出器22を備えている。小切手供給検出器22は、例えば透過型の光センサーで構成される。
【0020】
また、小切手処理装置1には、搬送路10において、小切手4を搬送方向に搬送させる搬送機構15が設けられている。搬送機構15は、複数の搬送ローラー16と、各搬送ローラー16に押しつけられて連れ回りする複数の従動ローラー17と、各搬送ローラー16を駆動する搬送用モーター18(図3)とを備えており、後述するデバイス側制御部20の制御の下、搬送用モーター18の駆動に従って、搬送ローラー16、従動ローラー17とのそれぞれが回転し、小切手4が搬送方向に搬送される。搬送用モーター18は、小切手供給部11から小切手4を送り出すピックアップローラー19を駆動する駆動力としても機能し、搬送機構15と、ピックアップローラー19と、デバイス側制御部20とが協働して搬送手段として機能する。
【0021】
小切手供給部11の搬送方向下流には、小切手4の表面4aに接して磁気インク文字列4gを磁気的に読み取る磁気ヘッド21(情報読取手段)が配置されている。
搬送路10において、磁気ヘッド21の搬送方向下流には、印刷ヘッド24が設けられている。印刷ヘッド24(印刷手段)は、図示しないインクタンクから供給されるインクを小切手4の裏面に吐出して、文字や画像を記録するインクジェット方式の記録ヘッドである。印刷ヘッド24のノズルは搬送路10を搬送される小切手4の裏面に対向して設けられ、磁気ヘッド21によって磁気文字認識が行われた後の小切手4に対し、いわゆる裏書きと呼ばれる文字や画像を記録する。
【0022】
さらに、搬送路10において、記録ヘッドユニット25の搬送方向下流には、表面側CIS(Contact Image Sensor)27(光学読取手段)と、裏面側CIS28(光学読取手段)とを備えるCISユニット29が設けられている。表面側CIS27は、搬送路10を搬送される小切手4の表面4aに対向して設けられており、搬送路10を搬送される小切手4の表面4aの画像を光学的に読み取り、読み取り結果をデバイス側制御部20に出力する。一方、裏面側CIS28は、搬送路10を搬送される小切手4の裏面に対向するように設けられており、搬送路10を搬送される小切手4の裏面の画像を光学的に読み取り、読み取り結果をデバイス側制御部20に出力する。
【0023】
搬送路10の下流側の端部では、搬送路10が分岐して第1分岐路31、及び、第2分岐路32が形成されており、第1分岐路31はメインポケット12に連通し、第2分岐路32はサブポケット13に連通している。搬送路10の分岐部には、搬送路10上を搬送された小切手4を、第1分岐路31を経由してメインポケット12に収容するか、又は、第2分岐路32を経由してサブポケット13に収容するかを選択的に切り換える切換板33が設けられている。切換板33は、切換用モーター34(図3)に接続されており、デバイス側制御部20は、切換用モーター34を駆動して、上記切り替えを実行する。例えば、磁気ヘッド21を用いた磁気インク文字4hの読み取りに失敗した小切手4や、小切手4が上下逆や表裏逆で磁気ヘッド21により正常な磁気情報が取得できなかったものや、表面側CIS27及び裏面側CIS28によるスキャンが正常に行われなかった小切手4は、サブポケット13に排出され、全ての処理が成功した小切手4はメインポケット12に収容される。
【0024】
小切手処理装置1には、搬送路10に沿って、小切手4を検出するための各種センサーが配置されている。具体的には、小切手処理装置1は、磁気ヘッド21の上流側に位置する端検出器14、表面側CIS27及び裏面側CIS28の下流側に位置する排出検出器26を備えている。端検出器14及び排出検出器26は、例えば反射型または透過型の光センサーにより構成され、各検出位置P1、P5において小切手4の有無を検出する。端検出器14は、例えば小切手4の先端と後端を検出するために利用され、デバイス側制御部20は、先端が検出されてから後端が検出されるまでの搬送量に基づいて小切手4のサイズを求めることができる。また、排出検出器26は、例えば搬送中の小切手4が排出されたことを検出するために用いられ、デバイス側制御部20は、排出検出器26により小切手4の後端が検出された場合に、この小切手4が排出されたことを検知できる。
このほか、小切手処理装置1は、例えば小切手4が重なった状態で搬送されていることを検出するセンサーや、小切手4の詰まりや紙ジャムを検出するセンサー等を備えている。
【0025】
また、小切手処理装置1は高速で小切手4を処理できるように搬送路10が短く構成され、搬送路10において、磁気ヘッド21と印刷ヘッド24の間の距離や、印刷ヘッド24と裏面側CIS28または表面側CIS27の間の距離は、小切手4の搬送方向の長さよりも短い。この結果、磁気ヘッド21により小切手4の磁気インク文字列4gを読み終わったとき、小切手4の先端は少なくとも印刷ヘッド24に到達しており、印刷ヘッド24により小切手4の印刷が終了したとき、小切手4の先端は少なくとも裏面側CIS28または表面側CIS27へ到達しており、裏面側CIS28または表面側CIS27により小切手4の読み取りが終了したとき、小切手4の先端は、少なくとも第1分岐路31または第2分岐路32のいずれかに到達している。
【0026】
図3は、本実施形態に係る小切手処理システム5の機能的構成を示すブロック図である。
小切手処理システム5は、小切手処理装置1と、この小切手処理装置1を制御するホストコンピューター37(外部装置)と、を備えている。小切手処理装置1とホストコンピューター37とは、USBケーブル等の接続ケーブルまたは無線通信手段により相互に通信可能に接続されている。
【0027】
図3に示すように、小切手処理装置1は、小切手処理装置1の各部を制御するデバイス側制御部20を備えている。デバイス側制御部20は、演算実行部としてのCPUや、このCPUに実行されるファームウェア等の制御プログラムや、この制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM、CPUに実行される制御プログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM、その他の周辺回路等を備え、上記制御プログラムを実行することで、小切手処理装置1の各部を中枢的に制御する。
デバイス側制御部20には,デバイス側制御部20が実行する制御プログラム39d及び各種データを記憶する記憶部39を備えている。記憶部39は、EEPROM、フラッシュメモリー、或いはハードディスク等の不揮発性記憶装置により構成され、各種プログラムやデータを書き換え可能に記憶する。例えば、磁気ヘッド21を用いて実行された磁気文字認識の結果である磁気認識データ39a、印刷ヘッド24が小切手4に印刷するための画像データや文字データを含む印刷データ39b、CISユニット29によって小切手4を読み取った読取画像データ39cを記憶する。
デバイス側制御部20は、記憶部39に記憶された制御プログラム39dを実行することにより、搬送制御部20a、磁気認識部20b、光学読取制御部20c、通信制御部20d、及び印刷制御部20eとして機能する。
【0028】
搬送制御部20a(制御手段)は、端検出器14、小切手供給検出器22及び排出検出器26の各検出器の検出状態に基づいて、搬送用モーター18及び切換用モーター34を駆動し、搬送路10における小切手4の搬送を制御する。
磁気認識部20b(認証結果取得手段、認証手段)は、磁気ヘッド21から入力される磁気読取結果データを取得して、文字として認識する磁気文字認識処理を実行し、認識結果を磁気認識データ39aとして記憶部39に記憶する。また、磁気認識部20bは、磁気インク文字列4gを構成する磁気インク文字4hのうち、例えばノイズの混入等により、1文字でも識別(特定)できない文字がある場合は、磁気インク文字列4gの読み取りが失敗したと判別し、エラーを出力する。この磁気文字認識処理では、小切手4から読み取られた磁気読取結果データをもとに文字を特定できた場合であっても、その文字列が正規の小切手4に記録される文字列でない場合には、認識結果としてエラーを出力する。これにより、磁気認識部20bは、磁気読取結果データの認識の可否とともに、正しい情報が認識できたか否かを判別するので、結果として磁気インク文字4hの認証を行う。
【0029】
ここで、小切手処理システム5は、磁気ヘッド21が出力する磁気読取結果データに基づいて小切手処理装置1が磁気文字認識処理を行うことも可能であるし、磁気読取結果データに基づいてホストコンピューター37が磁気文字認識処理を実行することも可能である。前者の場合、磁気認識部20bが磁気文字認識処理を実行し、後者の場合は、磁気ヘッド21が出力した磁気読取結果データを通信制御部20dがインターフェイス部40を介してホストコンピューター37へ送信し、認識結果を通信制御部20dがホストコンピューター37から受信し、受信した認識結果を磁気認識部20bが記憶部39に記憶する。磁気文字認識処理を小切手処理装置1が行うかホストコンピューター37が行うかは、予めホストコンピューター37または小切手処理装置1に設定され、ホストコンピューター37から小切手処理装置1にコマンドを送信することで切り替え可能である。通信制御部20dは、インターフェイス部40とともに通信手段を構成する。
【0030】
デバイス側制御部20には、磁気ヘッド21、印刷ヘッド24、CISユニット29、端検出器14、小切手供給検出器22、排出検出器26、媒体処理部38及びインターフェイス(I/F)部40が接続される。
媒体処理部38は、搬送用モーター18及び切換用モーター34を含み、搬送制御部20aの制御に従って搬送機構15、ピックアップローラー19及び切換板33を駆動し、小切手4を搬送する。また、媒体処理部38は、搬送用モーター18及び切換用モーター34のほか、小切手4を処理するための各種機構、装置を備えていてもよく、デバイス側制御部20の制御に従って小切手4の処理を実行する。
磁気ヘッド21は、搬送路10上を搬送される小切手4の磁気インク文字列4gによって形成される磁界の変化によって発生する起電力に基づいて検出信号を生成し、生成した検出信号を増幅し、波形整形し、デジタル変換した上で、磁気読取結果データ(情報読取部の読取結果)として、磁気認識部20bに出力する。
【0031】
光学読取制御部20cは、CISユニット29の表面側CIS27、及び、裏面側CIS28は、搬送路10を搬送される小切手4の表面4a又は裏面を光学的に読みと取って、読取結果をデバイス側制御部20に出力する。光学読取制御部20cは、表面側CIS27の読取結果に基づいて小切手4の表面4aを示す画像データを生成して、読取画像データ39cとして記憶部39に一時的に記憶する。また、光学読取制御部20cは、裏面側CIS28の読取結果に基づいて小切手4の裏面を示す画像データを生成して、読取画像データ39cとして記憶する。
【0032】
インターフェイス部40は、デバイス側制御部20の制御に従って、ホストコンピューター37との間で所定の規格に準拠した通信により各種データを送受信する。
通信制御部20dは、インターフェイス部40を制御してホストコンピューター37との間の通信を実行させ、例えば、小切手4の処理開始を指示するコマンドをホストコンピューター37から受信する処理、磁気認識部20bが取得した磁気読取結果データをホストコンピューター37に送信して、この磁気読取結果データに基づく認識結果をホストコンピューター37から受信して磁気認識部20bに出力する処理、ホストコンピューター37から印刷データを受信して、記憶部39に印刷データ39bとして記憶する処理、記憶部39に記憶された読取画像データ39cをホストコンピューター37に順次送信する処理等を実行する。
また、印刷制御部20eは、記憶部39に記憶された印刷データ39bに基づいて、印刷ヘッド24が備えるアクチュエーターを駆動し、各記録ヘッドに形成されたノズル孔から必要量のインクを吐出し、小切手4の裏面に文字を含む画像を記録する。
【0033】
また、図3に示すように、ホストコンピューター37は、制御部42と、入力部43と、表示部44と、記憶部45と、インターフェイス(I/F)部46と、を備えている。ホストコンピューター37は、例えばパーソナルコンピューターやサーバー装置であり、制御部42は、CPU、ROM、RAM、及びその他の周辺回路等を備え、ホストコンピューター37の各部を中枢的に制御する。
制御部42は、小切手処理、帳票発行、入出金管理等のための各種のアプリケーションプログラム45aを実行するアプリケーション実行部48と、小切手処理装置1を制御するためのプリンタードライバープログラム45bを実行するプリンタードライバー実行部49とを備えている。
【0034】
プリンタードライバー実行部49は、インターフェイス部46を介して小切手処理装置1から受信した磁気読取結果データに基づいて、磁気文字認識処理を実行し、認識結果としての文字データまたはエラー通知を出力する磁気認識部49aと、小切手処理装置1が小切手4に裏書き印刷するための印刷データを生成して小切手処理装置1に送信する印刷データ生成部49bと、小切手処理装置1から読取画像データ39cを受信して記憶部45に記憶させる読取画像データ取得部49cとを備えている。
【0035】
磁気認識部49aは、小切手処理装置1から受信した磁気読取結果データに基づいて文字を特定できた場合は当該文字を示すデータを認識結果として出力し、磁気読取結果データに基づく認識に失敗した場合、例えばノイズの混入により文字を特定できない場合には、エラーを出力する。さらに、磁気認識部49aは、小切手4から読み取られた磁気読取結果データをもとに文字を特定できた場合であっても、その文字列が正規の小切手4に記録される文字列でない場合には、認識結果としてエラーを出力する。これにより、磁気認識部49aは、磁気読取結果データの認識の可否とともに、正しい情報が認識できたか否かを判別するので、結果として磁気インク文字4hの認証を行う。
【0036】
印刷データ生成部49bが生成する印刷データは、例えば、小切手処理装置1が小切手4を処理した日付と、当日中に処理した小切手4に付与するシリアル番号等を含む。小切手処理装置1は、小切手4を一枚処理する毎に印刷データをホストコンピューター37に対して要求し、ホストコンピューター37の制御部42は、小切手処理装置1からの要求を受信すると、そのとき処理中の小切手4に印刷するための情報を含む印刷データを生成して、インターフェイス部46を介して小切手処理装置1に送信する。
【0037】
制御部42には、EEPROM、フラッシュメモリー、或いはハードディスク等の不揮発性記憶装置により構成され、各種プログラムやデータを書き換え可能に記憶する記憶部45が接続されている。記憶部45は、例えば、制御部42が実行するアプリケーションプログラム45a、プリンタードライバープログラム45b、読取画像データ取得部49cが取得した読取画像データ45c、及び、磁気認識部49aが磁気文字認識処理を実行した結果である磁気認識データ45dを記憶する。
【0038】
インターフェイス部46(I/F)は、制御部42の制御の下、小切手処理装置1との間で所定の規格に準拠した通信を行う。例えば、インターフェイス部46は、制御部42の制御に従って、小切手4の処理開始を指示するコマンドを小切手処理装置1に送信し、小切手処理装置1から磁気読取結果データが送信された場合はこれを受信して磁気認識部49aに出力し、認識結果が磁気認識部49aから出力された場合は、この認識結果を小切手処理装置1に送信する。また、インターフェイス部46は、小切手処理装置1から印刷データの要求が送信されると、これを受信して印刷データ生成部49bに出力し、印刷データ生成部49bが生成した印刷データを小切手処理装置1に送信する。また、インターフェイス部46は、小切手処理装置1から送信される読取画像データを受信して読取画像データ取得部49cに出力する。このように、インターフェイス部46は、制御部42と協働して受信部として機能する。
【0039】
このように構成される小切手処理システム5において、小切手処理装置1は、小切手4に対して以下の一連の処理を実行する。まず、小切手供給部11に収容された小切手4のうち1枚がピックアップローラー19により搬送路10に送り出され、磁気ヘッド21によって磁気インク文字列4gが読み取られ、その読取結果が、小切手処理装置1の磁気認識部20bまたはホストコンピューター37の磁気認識部49aによって認識される。
磁気認識部20bは、自己または磁気認識部49aによる認識結果を取得し、小切手4の磁気インク文字列4gが正しく認識されたか否かを判別し、搬送制御部20aは、磁気認識部20bの判別結果に基づいて、読取を行った小切手4の排出先を、メインポケット12とサブポケット13のいずれかに決定する。
【0040】
また、小切手4の搬送を開始した後で印刷制御部20eはホストコンピューター37に対して印刷データを要求し、この要求に応じてホストコンピューター37から送信される印刷データを受信して記憶部39に記憶する。印刷制御部20eは、磁気ヘッド21による読み取りが完了した小切手4に対し、印刷ヘッド24によって裏書き印刷を実行する。印刷後の小切手4は、CISユニット29まで搬送され、表面側CIS27及び裏面側CIS28によって両面が光学的に読み取られる。その後、小切手4は磁気文字認識の結果に対応した収容部へ排出される。
【0041】
小切手処理装置1は、小切手4を一枚ずつ処理する個別処理モードと、複数の小切手4を連続して処理する連続処理モードとを切り替えて実行可能である。個別処理モードでは、一枚の小切手4がメインポケット12またはサブポケット13に排出されてから、次に処理する小切手4がピックアップローラー19により搬送される。これに対し、連続処理モードでは、小切手4が搬送路10を搬送されている間、すなわちメインポケット12またはサブポケット13に排出される前に、次に処理する小切手4がピックアップローラー19により搬送される。従って、搬送路10上に複数の小切手4が同時に存在することとなる。連続処理モードは、例えば金融機関においてまとまった数の小切手を処理する場合に、高速に処理が可能であるため有用である。連続処理モードの仕様は任意であるが、本実施形態では搬送路10上に同時に存在する小切手4の数が最大2枚に設定されている場合を例に挙げて説明する。
【0042】
図4は、個別処理モードにおける小切手処理装置1の動作を示すフローチャートである。
個別処理モードの開始時、小切手処理装置1がホストコンピューター37から送信されるコマンドを受信すると(ステップS11)、搬送制御部20aは小切手供給検出器22の検出状態に基づいて小切手供給部11における小切手4の有無を判別する(ステップS12)。ここで、小切手4が検出されなければ(ステップS12;No)、搬送制御部20aは小切手4が検出されるまで小切手供給検出器22の検出状態を所定時間毎に取得しながら待機する。また、小切手4が検出された場合(ステップS12;Yes)、搬送制御部20aは、搬送用モーター18を動作させてピックアップローラー19を回転させ、小切手供給部11から1枚の小切手4をピックアップして搬送を開始する(ステップS13)。
【0043】
続いて、印刷制御部20eが、ホストコンピューター37に対して印刷データ要求を送信し(ステップS14)、この要求に応じてホストコンピューター37から送信される印刷データの受信を確認する動作を開始する(ステップS15)。この動作は、印刷データの受信が完了するまで、バックグラウンドで継続される。なお、印刷制御部20eが印刷データ要求を送信する前に、ホストコンピューター37から印刷データが送信されることもある。印刷制御部20eは、インターフェイス部40が受信した印刷データを随時記憶部39に印刷データ39bとして記憶し、この記憶した印刷データ39bを、ホストコンピューター37に印刷データを要求した場合に送信される印刷データと同様に処理する。
【0044】
磁気認識部20bは、端検出器14により小切手4の先端が検出された後、この小切手4の先端が磁気ヘッド21の読取位置P2(図1)に達するタイミングで、磁気ヘッド21による磁気インク文字列4gの読取を開始する(ステップS16)。磁気認識部20bは読み取りが完了するまで待機し(ステップS17;No)、読み取りが完了したら(ステップS17;Yes)、磁気ヘッド21から出力される磁気読取結果データに基づく認識処理を実行する(ステップS18)。このステップS18では、磁気認識部20b自体が認識処理を実行しても良いし、磁気認識部20bがホストコンピューター37に磁気読取結果データを送信し、ホストコンピューター37の磁気認識部49aが認識処理を実行し、認識処理における認証の結果を磁気認識部20bが取得しても良い。
【0045】
磁気認識部20bは、認証に成功したか否かを判別し(ステップS19)、搬送制御部20aは、磁気認識部20bが判別した結果に基づいて、小切手4の排出先を決定する。すなわち、磁気認識部20bは、認証に成功した場合は(ステップS19;Yes)、処理中の小切手4の排出先をメインポケット12に決定し(ステップS20)、認証に失敗した場合は(ステップS19;No)、小切手4の排出先をサブポケット13に決定する(ステップS21)。
【0046】
その後、印刷制御部20eは、ホストコンピューター37から受信された印刷データが記憶部39に記憶されているか否かを判別し(ステップS22)、印刷データの受信が完了していない場合は(ステップS22;No)、受信完了まで待機する。この待機中、搬送制御部20aは、小切手4を印刷ヘッド24の印刷位置P3(図1)の手前まで搬送し、印刷開始まで搬送を停止して待機する。
印刷データの受信が完了し、記憶部39に記憶され、印刷開始の準備ができた場合(ステップS22;Yes)、搬送制御部20aは小切手4の搬送を開始し、印刷制御部20eが印刷ヘッド24を駆動して印刷を実行する(ステップS23)。さらに、小切手4が表面側CIS27及び裏面側CIS28の読取位置P4(図1)に達すると、光学読取制御部20cは表面側CIS27及び裏面側CIS28を制御して、小切手4の両面の光学読取を開始し(ステップS24)、読取画像データ39cの生成及び記憶を開始するとともに、生成した読取画像データ39cを先頭から順次ホストコンピューター37に送信する(ステップS25)。
【0047】
光学読取制御部20cは、小切手4の両面の光学読取の完了後、読み取りに成功したか否かを判別する(ステップS26)。光学読取の成功とは、両面全体の読取画像データが作成されてホストコンピューター37への送信が完了したことを指す。搬送制御部20aは、光学読取制御部20cが判別した結果に基づいて、小切手4の排出先を決定する。すなわち、磁気認識部20bは、光学読取に成功した場合は(ステップS26;Yes)、処理中の小切手4の排出先をメインポケット12に決定し(ステップS27)、認証に失敗した場合は(ステップS26;No)、小切手4の排出先をサブポケット13に決定する(ステップS28)。
【0048】
搬送制御部20aは、搬送中の小切手4の排出先に合わせて小切手供給検出器22を動作させ(ステップS29)、メインポケット12またはサブポケット13に小切手4を排出する。なお、本実施形態では、磁気インク文字列4gの読み取り結果の認証と、CISユニット29による光学読取とのいずれかに失敗した場合は、小切手4をサブポケット13に排出する仕様となっている。このため、ステップS21で排出先がサブポケットに設定された場合には、その後のステップS26で光学読取に成功したと判別されても、排出先はサブポケット13となる。要するに、ステップS27における設定よりも、ステップS21における設定が優先される。また、同様に、ステップS20における設定よりも、ステップS28における設定が優先される。
【0049】
搬送制御部20aは、小切手供給検出器22の検出状態に基づいて、次に読み取る小切手4の有無を判別し(ステップS30)、次に処理する小切手4が無い場合は(ステップS30;No)、本処理を終了する。また、次に処理する小切手4がある場合は(ステップS30;Yes)、搬送制御部20aは搬送用モーター18を動作させてピックアップローラー19を駆動し、1枚の小切手4をピックアップして搬送を開始し(ステップS31)、ステップS14に戻る。
【0050】
次に、連続処理モードの動作について説明する。
図5は、連続処理モードにおける小切手処理装置1の動作を示すフローチャートである。図5において、図4で説明した処理と同じ処理については同じステップ番号を付す。
小切手処理装置1のデバイス側制御部20は、予め連続処理モードが設定されている場合には、ホストコンピューター37からのコマンドを受信すると(ステップS11)、連続処理モードの動作を開始する。
搬送制御部20aは、小切手供給検出器22の検出状態に基づいて小切手供給部11における小切手4の有無を判別し(ステップS12)、小切手4が無ければ(ステップS12;No)、待機する。小切手4が小切手供給部11にある場合(ステップS12;Yes)、搬送制御部20aは搬送用モーター18を動作させ、小切手供給部11から1枚の小切手4をピックアップして搬送を開始する(ステップS13)。
【0051】
続いて、印刷制御部20eが、ホストコンピューター37に対して印刷データ要求を送信し(ステップS14)、この要求に応じてホストコンピューター37から送信される印刷データの受信を確認する動作を開始する(ステップS15)。この動作は、印刷データの受信が完了するまで、割り込み処理などバックグラウンドで継続される。
磁気認識部20bは、小切手4の先端が磁気ヘッド21の読取位置P2(図1)に達するタイミングに合わせて、磁気ヘッド21による磁気インク文字列4gの読取を実行する(ステップS41)。磁気認識部20bは、磁気ヘッド21から出力される磁気読取結果データに基づく認識処理を実行する(ステップS42)。ステップS42では、ステップS18(図4)と同様、磁気認識部20b自体が認識処理を実行しても良いし、磁気認識部20bがホストコンピューター37に磁気読取結果データを送信し、ホストコンピューター37の磁気認識部49aが認識処理を実行し、認識処理における認証の結果を磁気認識部20bが取得しても良い。
【0052】
磁気ヘッド21によって磁気インク文字列4gを正常に読み取ることができた場合、磁気ヘッド21が出力する波形データは所定の波形となるので、この波形データに基づいて、デバイス側制御部20が、磁気認識部20bによる認証がされない段階(認証される前の段階)であっても、少なくとも磁気インク文字列4gの一部が正常に読み取られたと判断することができる。また、磁気ヘッド21が磁気インク文字列4gを正常に読み取ることができず、デバイス側制御部20が所定の波形データを取得できない場合には、デバイス側制御部20は、波形データに基づいて、磁気認識部20bで認証がされない段階であっても、読み取りに成功しなかったと判断できる。すなわち、小切手4の向きが上下逆である、或いは、表裏逆である等と判定することができ、読み取りに成功しなかった場合は次の小切手4の搬送を開始しないので、誤った向きで処理された小切手4をユーザーが小切手供給部11に再度セットし直すことで、改めて処理しなおすことができる。また、印刷制御部20eによる印刷前に小切手4の搬送を停止できるので、小切手4が誤った向きのまま印刷されないようにすることができる。
【0053】
ここで、搬送制御部20aは、光学読取制御部20cが要求した印刷データの受信が完了し、印刷が可能であるか否かを判別する(ステップS43)。具体的には、搬送制御部20aは、ホストコンピューター37から受信された印刷データが記憶部39に記憶されているか否かを判別する。
印刷データの受信が完了している場合(ステップS43;Yes)、搬送制御部20aは印刷実行フラグをオンに設定する(ステップS44)。この印刷実行フラグは、搬送される小切手4毎に設定され、印刷実行フラグの値は、例えば記憶部39に記憶される。
続いて、搬送制御部20aは小切手供給検出器22の検出状態に基づいて小切手供給部11における小切手4の有無を判別し(ステップS45)、小切手4がある場合は(ステップS45;Yes)、搬送用モーター18を動作させ、小切手供給部11から1枚の小切手4をピックアップして搬送を開始する(ステップS46)。ここで搬送開始される小切手4に対して、デバイス側制御部20は、ステップS14以降の処理を実行する。また、小切手供給部11に小切手4が無い場合はステップS46をスキップする。
【0054】
ここで、磁気認識部20bが、ステップS42で実行した認証に成功したか否かを判別し(ステップS19)、搬送制御部20aは、磁気認識部20bが判別した結果に基づいて、小切手4の排出先を決定する。すなわち、磁気認識部20bは、認証に成功した場合は(ステップS19;Yes)、処理中の小切手4の排出先をメインポケット12に決定し(ステップS20)、認証に失敗した場合は(ステップS19;No)、小切手4の排出先をサブポケット13に決定する(ステップS21)。
また、ステップS43において印刷データが受信されていなかった場合には(ステップS43;No)、搬送制御部20aは、排出先をサブポケット13に設定する(ステップS21)。
印刷データが受信されず、または完了していなくて印刷できない場合、次の小切手4の搬送を開始しないので、ユーザーは、印刷できなかった小切手4を小切手供給部11に再度セットし直して処理することができる。
【0055】
次いで、印刷制御部20eが、印刷実行フラグに従って、印刷ヘッド24を駆動して印刷を実行する(ステップS47)。すなわち、光学読取制御部20cは、印刷実行フラグがオンの場合は印刷を実行し、印刷実行フラグがオンでない場合には印刷を実行せず次のステップに移行する。この連続処理モードでは、所定のタイミング(ステップS43)までに印刷データの受信が完了していない場合は、その小切手4に対する印刷を行わない仕様となっている。
【0056】
小切手4が表面側CIS27及び裏面側CIS28の読取位置P4(図1)に達すると、光学読取制御部20cは表面側CIS27及び裏面側CIS28を制御して、小切手4の両面の光学読取を開始し(ステップS24)、読取画像データ39cの生成及び記憶を開始するとともに、生成した読取画像データ39cを先頭から順次ホストコンピューター37に送信する(ステップS25)。
【0057】
光学読取制御部20cは、小切手4の両面の光学読取の完了後、読み取りに成功したか否かを判別する(ステップS26)。すなわち、磁気認識部20bは、光学読取に成功した場合は(ステップS26;Yes)、処理中の小切手4の排出先をメインポケット12に決定し(ステップS27)、認証に失敗した場合は(ステップS26;No)、小切手4の排出先をサブポケット13に決定する(ステップS28)。
【0058】
搬送制御部20aは、搬送中の小切手4の排出先に合わせて小切手供給検出器22を動作させ(ステップS29)、メインポケット12またはサブポケット13に小切手4を排出する。なお、本実施形態では、磁気インク文字列4gの読み取り結果の認証と、CISユニット29による光学読取とのいずれかに失敗した場合は、小切手4をサブポケット13に排出する仕様となっている。このため、ステップS21で排出先がサブポケットに設定された場合には、その後のステップS26で光学読取に成功したと判別されても、排出先はサブポケット13となる。要するに、ステップS27における設定よりも、ステップS21における設定が優先される。また、同様に、ステップS20における設定よりも、ステップS28における設定が優先される。
【0059】
上述したように、小切手処理装置1の搬送路10の長さは短く構成されているので、磁気インク文字列4gの読み取り波形のうち少なくとも一部について正常か否かを判断した結果や、磁気インク文字列4gの読取結果に対する認証の結果や、CISユニット29による光学読取の読取結果に対する判断の結果が得られたときには、小切手4の一部は既にメインポケット12またはサブポケット13に進入する位置にあり、本実施形態の小切手処理装置1では、メインポケット12に進入した状態となる。これは、デバイス側制御部20が、正常に処理される小切手4の方が多いとの予測に基づき、切換板33を予めメインポケット12に切り換えているためである。このため、上記のように、磁気インク文字列4gの読み取り波形、磁気インク文字列4gの読取結果、或いはCISユニット29による光学読取の読取結果に対し、認証不成功または読取不成功と判断された場合には、小切手4を搬送制御部20aにより一旦逆送りして、メインポケット12から搬送路10に戻し、その後、切換板33を切り換えてから、搬送制御部20aにより搬送し、サブポケット13へ排出すればよい。
【0060】
搬送制御部20aは、排出した小切手4の次の小切手4が搬送路10にあるか否かを判別する(ステップS47)。次の小切手4が無い場合は(ステップS47;No)、本処理を終了し、次の小切手4が搬送路10にある場合は(ステップS47;Yes)、搬送制御部20aは、搬送中の小切手4、及び、それ以後の小切手4に対するステップS14〜S29、詳細にはステップS47〜S29の処理を継続して実行する(ステップS48)。
【0061】
図6及び図7は、連続処理モードにおける小切手4の搬送経過を示すシーケンス図であり、図中(A)はホストコンピューター37のアプリケーション実行部48の動作を示し、(B)はプリンタードライバー実行部49の動作を示し、(C)は小切手処理装置1の動作を示し、(D)は搬送路10における小切手4の搬送位置を模式的に示す。図中、P1は端検出器14の検出位置(挿入位置)、P2は磁気ヘッド21の読取位置(MICR読取位置)、P3は印刷ヘッド24の印刷位置、P4はCISユニット29の読取位置、P5は排出検出器26の検出位置(排出位置)を示す。
【0062】
この図6(D)及び図7(D)に示すように、搬送路10において、磁気ヘッド21の読取位置P2と印刷位置P3との間の距離は、小切手4の長さに比べて短い。この長さは、小切手4の全長であってもよいが、より正確には、磁気インク文字列4g(図2)の後端と、小切手4の裏面に設けられた印刷領域(図示略)の先端との間の距離である。このため、小切手4の後端または磁気インク文字列4gの後端が読取位置P2を通過する前に、小切手4の先端または小切手4の印刷領域の先端が、印刷位置P3に到達する。このため、小切手4の磁気インク文字列4gの読み取りが完了する前に、この小切手4に対する印刷が開始されることもある構成である。
また、印刷位置P3と読取位置P4との間の距離は、小切手4の長さ、より詳細には小切手4の先端から小切手4の印刷領域の後端までの距離よりも短い。このため、小切手4に対する印刷が終了する前に、この小切手4に対してCISユニット29による光学読み取りが開始されることもある構成である。
【0063】
図6は、通常時の連続処理モードにおける動作を示している。
この図6に示す動作例では、動作開始前の初期状態(T0)で小切手供給部11に3枚の小切手4がセットされている。
ホストコンピューター37が備えるアプリケーション実行部48が、例えば入力部43により入力された指示に従って処理を実行し、小切手4への印刷命令を出力すると(ステップST1)、プリンタードライバー実行部49は、アプリケーション実行部48からの印刷命令に対応する印刷データを生成し、小切手4の処理実行を指示するコマンドとともに小切手処理装置1に送信する(ステップST2)。小切手処理装置1は、ホストコンピューター37が送信したコマンドを受信して、1枚目の小切手4の搬送を開始し(T1)、印刷データを受信して記憶部39に記憶する。このため、1枚目の小切手4の処理を開始する際に、この1枚目の小切手4に印刷する印刷データの受信が済んでいる。
【0064】
小切手処理装置1は、1枚目の小切手4について磁気ヘッド21による磁気文字読み取りが完了したとき(T2)、この磁気文字読み取りの結果として認証に成功したか否かが判別される前に、2枚目の搬送を開始する。1枚目の小切手4は継続して搬送され、印刷位置P3に達すると印刷ヘッド24による印刷が行われ、CISユニット29の読取位置P4に達すると両面のスキャンが行われる。2枚目の小切手4も(T2)から継続して搬送され、磁気ヘッド21の読取位置P2を通過する間に磁気文字読み取りが行われ、印刷を開始する印刷位置P3に到達する(T4)。
【0065】
1枚目の小切手4について、磁気ヘッド21による磁気文字読み取りが完了したとき(T2)、小切手処理装置1はホストコンピューター37に対し、磁気読取結果データを送信する(ステップST3)。この磁気読取結果データはプリンタードライバー実行部49を経てアプリケーション実行部48に渡され、アプリケーション実行部48が磁気文字認識アプリケーションの機能により認証を行う。これと合わせて、小切手処理装置1は、ホストコンピューター37に対して2枚目の小切手4に印刷を行うための印刷データを要求する(ステップST4)。
ホストコンピューター37のアプリケーション実行部48は、印刷データ要求に応じて印刷命令を出力し(ステップST5)、プリンタードライバー実行部49は、印刷命令に対応する印刷データを生成して小切手処理装置1に送信する(ステップST6)。
【0066】
ここで、2枚目の小切手4が印刷位置P3に到達するまでに、ホストコンピューター37から2枚目の印刷データを受信することが必要である。すなわち、小切手4の先端または小切手4の裏面の印刷領域の先端が、印刷位置P3に達するタイミングが、2枚目の印刷データの送信可能限界時間(T5)となっている。この送信可能限界時間までにホストコンピューター37から印刷データが送信されなければ、小切手処理装置1は2枚目の小切手4に対する印刷を行わない。
なお、T5は、小切手処理装置1が印刷データの受信を完了する印刷データ受信完了限界時間である。本実施形態では印刷データの容量に比べて小切手処理装置1とホストコンピューター37との通信速度が十分に高速であって、プリンタードライバー実行部49が印刷データを送信してから小切手処理装置1が印刷データの受信を完了するまでの時間を考慮する必要がないことを仮定している。このため、小切手処理装置1が印刷データを受信する限界の時間と、ホストコンピューター37が印刷データを送信する送信可能限界時間とがほぼ等しいものとして説明している。例えば、ホストコンピューター37が印刷データを送信してから小切手処理装置1が印刷データの受信を完了するまでの時間が無視できない場合には、T5を、印刷データ受信完了限界時間とし、この印刷データ受信完了限界時間に間に合うようにホストコンピューター37は印刷データを送信する必要がある。
【0067】
印刷データ送信可能限界時間(T5)までに2枚目の小切手4に対応する印刷データが送信された場合には、2枚目の小切手4に対する印刷が実行され、また、1枚目の小切手4はメインポケット12またはサブポケット13に排出される(T6)。
その後、2枚目の小切手4の磁気インク文字列4gの読み取りが完了すると(T7)、小切手処理装置1は磁気読取結果データをホストコンピューター37に送信する(ステップST8)。また、小切手処理装置1は、1枚目の小切手4の排出を確認し、3枚目の小切手4の搬送を開始するとともに、ホストコンピューター37に対して3枚目の小切手4に印刷を行うための印刷データを要求する(ステップST9)。
【0068】
ホストコンピューター37のアプリケーション実行部48は、印刷データ要求に応じて印刷命令を出力し(ステップST10)、プリンタードライバー実行部49は、印刷命令に対応する印刷データを生成して小切手処理装置1に送信する(ステップST11)。その間、小切手処理装置1においては2枚目の小切手4が読取位置P4を通過するので(T8)、小切手処理装置1は2枚目の小切手4の読取画像データをホストコンピューター37に送信する(ステップST12)。
【0069】
3枚目の小切手4が印刷位置P3に到達するタイミング(T9)が、3枚目の小切手4に対応する印刷データの送信可能限界時間(T10)である。印刷データ送信可能限界時間(T10)までに3枚目の小切手4に対応する印刷データが送信された場合には、3枚目の小切手4に対する印刷が実行され、また、2枚目の小切手4はメインポケット12またはサブポケット13に排出される(T11)。
3枚目の小切手4が読取位置P2を通過すると(T12)、小切手処理装置1からホストコンピューター37に対して磁気読取結果データが送信され(ステップST13)、読取位置P4を通過して光学読み取りが行われ(T13)、3枚目の小切手4の読取画像データがホストコンピューター37に送信される(ステップST14)。その後、メインポケット12またはサブポケット13に排出され(T14)、連続処理が正常に完了したことを示す処理結果が小切手処理装置1からホストコンピューター37に送信され(ステップST16)、処理が完了する。
【0070】
図7には、連続処理モードにおいて印刷データの送信が間に合わない場合の動作例を示す。
図6で説明した動作において、2枚目の小切手4の印刷データに関する印刷データ送信可能限界時間(T5)までに、2枚目の小切手4に対応する印刷データの受信が完了していない場合、小切手処理装置1は、すでに印刷位置P3に達している2枚目の小切手4に対する印刷を行わず、1枚目及び2枚目の小切手4に対する処理を継続する。このため、1枚目及び2枚目の小切手4の搬送は停止しない。その後、1枚目の小切手4が排出され(T6)、2枚目の小切手4が磁気ヘッド21の読取位置P2を通過すると(T7)、小切手処理装置1は磁気読取結果データをホストコンピューター37に送信するが(ステップST8)、3枚目の小切手4の搬送を開始しない。2枚目の小切手4に対する印刷が行われなかったため、小切手処理装置1の動作をいったん停止させるためである。小切手処理装置1は、2枚目の小切手4が読取位置P4を通過すると(T8)、2枚目の小切手4の読取画像データをホストコンピューター37に送信し(ステップST12)、連続処理でエラーが発生したことを示す処理結果をホストコンピューター37に送信し(ステップST17)、停止する。
【0071】
このように、小切手処理装置1は、連続処理モードにおいて、磁気ヘッド21が出力した磁気読取結果データに基づく認証の結果の取得を待たずに、次々と小切手4の搬送を開始して、複数の小切手4を高速に処理できる。また、小切手4が印刷位置P3に達したときに印刷データが受信できていない場合、小切手4の搬送を止めずに、印刷処理をスキップして、搬送路10上の小切手4の処理を継続し、磁気インク文字列4gの読み取りと、CISユニット29によるスキャンを実行する。これにより、印刷データの未着が発生しても、搬送路10に取り込まれた小切手4に対して、実行可能な処理だけは実行される。また、新たな小切手4が小切手供給部11にあっても搬送を開始しないで、速やかに小切手処理装置1を停止させることができる。このため、印刷データの未着等のエラーが発生した場合に、可能な処理のみを実行して処理効率の低下を避け、また、処理が不完全な小切手4の数を最小限に抑えながら、小切手処理装置1を速やかに停止できる。
【0072】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る小切手処理システム5によれば、ホストコンピューター37と接続可能な通信手段を有する小切手処理装置1であって、小切手4を搬送する搬送手段と、小切手4の搬送路10において小切手4に担持された情報を読み取る磁気ヘッド21と、通信手段により磁気ヘッド21により読み取られた情報をホストコンピューター37へ送信し、通信手段を介してホストコンピューター37から読み取られた情報の認証の結果を取得する磁気認識部20bと、搬送手段によって、読み取られた小切手4の次に処理される小切手4の搬送を開始する搬送制御部20aと、を備え、搬送制御部20aは、磁気認識部20bにより認証の結果が取得されてから搬送手段によって次に読み取る小切手4の搬送を開始する個別処理モードと、磁気ヘッド21による情報の読み取り後、磁気認識部20bにより認証の結果が取得されるのを待たずに、次に読み取る小切手4の搬送を開始する連続処理モードとを有するので、連続処理モードを実行して多数の小切手4を連続して高速に処理できる。
【0073】
また、小切手4の搬送路10において磁気ヘッド21の読取位置よりも下流側で、小切手4を処理する処理手段としての印刷ヘッド24を備え、搬送制御部20aは、連続処理モードの実行時に、磁気ヘッド21による情報の読み取り後に、印刷ヘッド24による印刷が可能な状態でない場合には、次に読み取る小切手4の搬送を開始しないので、不完全な処理の実行を防止し、やむを得ず処理が停止した場合に処理が完了していない小切手4の数が最小限に抑えられるので速やかに復旧できる。
【0074】
また、ホストコンピューター37に対して印刷用のデータを要求し、ホストコンピューター37から送信される印刷用のデータを取得する印刷制御部20eを備え、搬送制御部20aは、連続処理モードにおいて、磁気ヘッド21による情報の読み取り後に、印刷制御部20eによりホストコンピューター37から印刷用のデータを取得していない場合に、次に読み取る小切手4の搬送を開始しないので、不完全な状態での印刷実行を防止し、不良印刷を回避できる。また、やむを得ず印刷を実行できない場合に、処理が完了していない小切手4の数が最小限に抑えられるので速やかに復旧できる。
【0075】
また、磁気認識部20bは、磁気ヘッド21により読み取られた情報の認証を行うので、認証処理を待たずに連続して小切手4を処理できる上、認証処理に時間を要しても待ち時間の延長を招かないため、認証処理の高速化が難しい場合であっても連続処理が可能となる。
さらに、磁気認識部20bは、磁気ヘッド21により読み取られた情報に基づいてホストコンピューター37が実行する認証処理の結果を受信することも可能であり、この場合、ホストコンピューター37から認証処理の結果を受信するまでの待ち時間が長い場合であっても、小切手4の処理の待ち時間の延長を招かないため、ホストコンピューター37との通信状態による処理時間の延長を抑えることができる。
【0076】
また、小切手処理装置1が小切手4を搬送する搬送路10において、磁気ヘッド21と印刷ヘッド24の間の距離は、搬送方向の小切手4の長さより短く配置され、磁気ヘッド21が小切手4に担持された情報を読み取った後で、少なくとも小切手4の先端が印刷ヘッド24に到達したとき、搬送制御部20aは、搬送手段を制御して、小切手供給部11から次の小切手4の搬送を開始するので、搬送路10が短い小切手処理装置1であって、磁気ヘッド21が小切手4に担持された情報を読み取った後で少なくとも担持された情報の一部が読み取られたと判断できた場合に、搬送路10における小切手4の位置が印刷ヘッド24により印刷可能な位置に到達する前に、次の小切手4を搬送する。これにより、複数の小切手4を連続して高速に処理できる。さらに、小切手4に担持された情報が認識される前であっても、小切手4が上下逆であったり、或いは表裏逆であったりして、磁気ヘッド21が小切手4に担持された情報を読み取れない状態であることを判定できる。そして、情報を読み取れなかった場合には次の小切手4の搬送を開始しないので、誤った向きで処理された小切手4を再度セットし直して処理することができる。また、印刷ヘッド24による印刷前に小切手4の搬送を停止できるので、小切手4が誤った向きのまま印刷が実行されるのを避けることができる。
【0077】
また、通信手段を介してホストコンピューター37から印刷用のデータを取得する印刷制御部20eを備え、磁気ヘッド21により小切手4に担持された情報が読み取られた後で、小切手4の先端が少なくとも印刷ヘッド24に到達したときに、搬送制御部20aは、印刷制御部20eが通信手段を介しホストコンピューター37から印刷用のデータを取得している場合には、次の小切手4の搬送を開始し、印刷用のデータを取得していない場合には、次の小切手4の搬送を開始しないので、印刷データが受信されずに印刷できない場合、次の小切手4の搬送を開始せず、印刷できなかった小切手4を再度セットし直して処理することができる。
【0078】
なお、上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、小切手処理システム5において、小切手処理装置1が処理する記録媒体は小切手4に限定されず、他の帳票類であってもよく、小切手処理装置1で使用可能な記録媒体のサイズについても任意である。また、上記実施形態では、記録媒体としての小切手4に対して、情報読取手段として磁気ヘッド21が磁気文字読取を実行し、処理手段としての印刷ヘッド24が印刷を実行し、処理手段としてのCISユニット29が光学読取を実行する構成を例示したが、例えば、最初に情報読取手段としてCISユニット29が光学読取を行って、デバイス側制御部20がOCRにより文字認識を行ってもよく、処理手段としては印刷ヘッド24、磁気ヘッド21以外の他の処理を行ってもよい。また、小切手処理装置1が備える印刷手段としては、インクジェット式の記録ヘッドを用いる構成に限定されず、サーマルラインプリンター、ドットインパクト式プリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンター等を用いることも可能である。
また、上記実施形態では、小切手処理装置1に外部接続されたホストコンピューター37が小切手処理装置1を制御する構成を例に挙げて説明したが、ホストコンピューター37と小切手処理装置1とが同一の装置に組み込まれた構成としてもよい。
【0079】
さらに、図3のブロック図に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、各機能部を独立したハードウェアにより構成する必要はなく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により、複数の機能部の機能を1つのハードウェアに集約して実現することも、一つの機能部を複数のハードウェアにより実現することも勿論可能である。
また、上述の動作を行うデバイス側制御部20のCPUが実行する制御プログラム39dを含む各種プログラムは、記憶部39が記憶する構成に限らず、可搬型の記録媒体に記憶されている構成であってもよいし、或いは、通信回線を介して接続された他の装置にダウンロード可能に記憶され、これらの装置から小切手処理装置1が上記プログラムをダウンロードして実行してもよく、制御部42が実行するアプリケーションプログラム45a及びプリンタードライバープログラム45bについても同様であり、その他の構成についても任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…小切手処理装置(媒体処理装置)、4…小切手、4g…磁気インク文字列(識別情報)、5…小切手処理システム、15…搬送機構(搬送手段)、19…ピックアップローラー(搬送手段)、20…デバイス側制御部、20a…搬送制御部(制御手段)、20b…磁気認識部(認証結果取得手段、認証手段)、20c…光学読取制御部、20d…通信制御部、21…磁気ヘッド(情報読取手段)、24…印刷ヘッド(印刷手段)、27…表面側CIS(光学読取手段)、28…裏面側CIS(光学読取手段)、37…ホストコンピューター(外部装置)、40…インターフェイス(I/F)部(通信手段)、42…制御部、48…アプリケーション実行部48、49…プリンタードライバー実行部49。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と接続可能な通信手段を有する媒体処理装置であって、
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体の搬送路において前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段と、
前記通信手段により前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信し、前記通信手段を介して前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得する認証結果取得手段と、
前記搬送手段によって、読み取られた前記記録媒体の次に処理される前記記録媒体の搬送を開始する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されてから前記搬送手段によって次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始する個別処理モードと、前記情報読取手段による情報の読み取り後、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されるのを待たずに、次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始する連続処理モードとを有すること、
を特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記記録媒体の搬送路において前記情報読取手段の読取位置よりも下流側で、前記記録媒体を処理する処理手段を備え、
前記制御手段は、前記連続処理モードの実行時に、前記情報読取手段による情報の読み取り後に、前記処理手段が処理可能な状態でない場合には、次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始しないことを特徴とする請求項1記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記記録媒体に印刷を行う印刷手段であり、
前記通信手段を介して、前記外部装置から印刷用のデータを取得する印刷制御手段を備え、
前記制御手段は、前記連続処理モードの実行時に、前記情報読取手段による情報の読み取り後に、前記印刷制御手段により前記外部装置から前記印刷用のデータを取得していない場合に、次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始しないことを特徴とする請求項2記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記通信手段は前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信せず、前記認証結果取得手段は、前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得せずに、前記情報読取手段により読み取られた情報に基づいて認証を行う認証手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項5】
記録媒体を供給する供給部と、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段と、
前記記録媒体に印刷する印刷手段と、を備え、
前記記録媒体の搬送路において、搬送方向の上流側より前記情報読取手段及び前記印刷手段が配置され、
さらに、前記搬送路において、前記情報読取手段と前記印刷手段の間の距離は、搬送方向の前記記録媒体の長さより短く配置され、
前記情報読取手段が前記記録媒体に担持された情報を読み取った後で、少なくとも前記記録媒体の先端が前記印刷手段に到達したとき、前記搬送手段を制御して、前記供給部から次の前記記録媒体の搬送を開始する制御部を備えること、
を特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】
外部装置と接続可能な通信手段を有し、
前記通信手段を介して、前記外部装置から印刷用のデータを取得する印刷制御手段を備え、
前記情報読取手段により前記記録媒体に担持された情報が読み取られた後で、少なくとも前記記録媒体の先端が前記印刷手段に到達したとき、前記制御手段は、前記印刷制御手段が前記通信手段を介し前記外部装置から前記印刷用のデータを取得している場合、次の前記記録媒体の搬送を開始し、前記印刷用のデータを取得していない場合には、次の前記記録媒体の搬送を開始しないことを特徴とする請求項5記載の媒体処理装置。
【請求項7】
外部装置と接続可能な通信手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路において前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段とを備えた媒体処理装置の制御方法であって、
前記情報読取手段によって情報を読み取り、
前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信し、
前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得し、
個別処理モードと連続処理モードとを切り替え可能であり、前記個別処理モードにおいては前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されてから前記搬送手段によって次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始させ、前記連続処理モードの実行時には、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されるのを待たずに次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始すること、
を特徴とする媒体処理装置の制御方法。
【請求項8】
記録媒体を供給する供給部と、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段と、前記記録媒体に印刷する印刷手段とを備え、前記記録媒体の搬送路において、搬送方向の上流側より前記情報読取手段及び前記印刷手段を配置し、さらに、前記搬送路において、前記情報読取手段と前記印刷手段の間の距離が、搬送方向における前記記録媒体の長さより短く配置された媒体処理装置の制御方法であって、
前記情報読取手段が前記記録媒体に担持された情報を読み取った後で、少なくとも前記記録媒体の先端が前記印刷手段に到達したとき、前記搬送手段により前記供給部から次の前記記録媒体の搬送を開始すること、
を特徴とする媒体処理装置の制御方法。
【請求項9】
外部装置と接続可能な通信手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送路において前記記録媒体に担持された情報を読み取る情報読取手段とを備えた媒体処理装置の各部を制御する制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記情報読取手段により読み取られた情報を前記外部装置へ送信して、前記外部装置から前記読み取られた情報の認証の結果を取得する認証結果取得手段と、
前記搬送手段によって、次に処理される前記記録媒体の搬送を開始する制御手段と、を備え、
個別処理モードと連続処理モードとを切り替えて実行可能であり、前記個別処理モードにおいては前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されてから前記搬送手段によって次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始させ、前記連続処理モードの実行時には、前記認証結果取得手段により認証の結果が取得されるのを待たずに次に読み取る前記記録媒体の搬送を開始する制御手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52524(P2013−52524A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190407(P2011−190407)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】