説明

媒体搬送装置

【課題】媒体搬送中のモータの駆動電流を最適に制御することにより、消費電力、騒音、振動を減少させる。
【解決手段】通帳プリンタは、搬送路42に搬送モータが連結されている搬送ローラ43と、通帳が搬送されているときの通帳の厚さを検知する厚さ検知手段と、通帳の搬送位置を検知する搬送位置検知手段とを備えている。通帳搬送時において、厚さ検知手段により検知した通帳の厚さ情報と、搬送位置検知手段により検知した通帳の搬送位置情報とに基づいて、搬送ローラ43に搬送される通帳の厚さを求め、この厚さを制御ユニット内のメモリに予め設定されているテーブルに当てはめて、そのときに通帳を搬送するのに適した駆動電流の大きさを抽出し、この電流を搬送モータに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードや通帳等のシート状またはブック状の媒体を搬送する媒体搬送装置に関し、特に搬送モータの駆動電流の制御に関する
【背景技術】
【0002】
カードや通帳等のシート状またはブック状の媒体を搬送する媒体搬送装置としては、例えば、銀行等で使用される通帳プリンタがある。この通帳プリンタでは、一台の装置で薄紙帳票や通帳類など複数種の印字媒体を受入れて、印字処理等を行う。
【0003】
この通帳プリンタでは、通帳等を搬送する搬送モータの負荷が、加速時/減速時と定速時とにおいて大きく変わる為、搬送モータに対して負荷変動に対応した駆動電流制御を実施しているが、定速時においては、搬送時の負荷変動の有無に関わらず、最大負荷時に必要なトルクが得られる一定の駆動電流で制御していた。
【0004】
また、特許文献1には媒体種類により搬送力や搬送速度を変化させる構成が示されているが、搬送中の搬送力は一定であり、負荷変動があった場合でも搬送力は変えられていない。
【特許文献1】特開2001−39573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に示すように、通帳は、中綴じの冊子構造となっていることから、搬送ローラが通帳を挟持し始める部分や、中綴じ部、挟持し終わる部分では段差が生じる。このため、通帳プリンタでこの通帳を搬送する場合、これらの部分で搬送ローラに掛かる負荷が増大する。一方、挟持し始める部分から中綴じ部に至るまでの範囲や、中綴じ部から挟持し終わる部分に至るまでの範囲では平滑となっているため、その平滑な部分を挟持搬送する際は搬送ローラに掛かる負荷は相対的に軽減する。また、頁により中綴じ部の前後での通帳厚さが変化するため、頁により各部分での負荷も変動する。例えば1頁目を処理する場合、挟持し始めから中綴じ部に至るまでの範囲は薄いページの搬送となるが、中綴じ部から挟持し終わる部分に至るまでの範囲は厚いページの搬送となる。逆に、最終頁を搬送する場合には、挟持し始めから中綴じ部に至るまでの範囲は厚いページの搬送となるが、中綴じ部から挟持し終わる部分に至るまでの範囲は薄いページを搬送することになる。このように通帳搬送中、搬送負荷が変化しているにも関わらず、上記従来の装置では、搬送モータに対して、最大負荷時に必要なトルクが得られる一定の駆動電流で制御していたため、搬送中に過剰なエネルギーにて搬送する部分が存在していた。
【0006】
また、媒体を挟持しているローラの数によっても搬送ローラに掛かる負荷が異なるため、同様な問題があった。
【0007】
すなわち、図2(A)のように上下のローラ2対以上で通帳を挟持して搬送を行っている時と、図2(B)のようにローラ1対で媒体を搬送している時があり、また、図3に示すように、同じローラシャフト内でもローラが2箇所に設けているシャフトもあれば、ローラが3箇所以上に設けているシャフトもある。このように、搬送中に挟持しているローラ数が変化すると、挟持しているローラの数により搬送ローラの搬送力が異なってくるため、最大負荷時を考慮した一定の駆動電流で搬送モータを制御する従来の装置では、搬送中に過剰なエネルギーにて搬送する部分が存在していた。
【0008】
更に、通帳挿入時には、スキュー防止のガイドが存在し、それに沿わせて通帳吸入を行っているが、搬送時には通帳がそのガイドに接触するため、摩擦により搬送負荷が大きくなる。また、通帳の磁気ストライプ32には磁気情報が書き込まれており、その情報を読み取ったり書き込む場合、磁気ヘッドを接触させながら搬送させて、磁気情報の読み取りおよび書き込み動作を行うため、この場合も摩擦が生じることになるから搬送負荷が大きくなる。このように、スキュー防止ガイド、磁気ヘッドなど搬送上の負荷がある場合にも、その分を考慮した最大電流で駆動していたため、接触のない領域では、搬送中に過剰なエネルギーにて搬送する問題が生じていた。。
【0009】
このように、従来の装置では、通帳処理中、搬送ローラの段差乗り上げ、通帳の厚さ変動、挟持している搬送ローラの数、通帳搬送時の接触物の有無等による負荷変動が発生するにも関わらず、最大の負荷を考慮した一定の電流で搬送モータを駆動していたため、搬送中にモータの駆動電流を過剰に流すことが生じており、全体として消費電力、騒音、振動で不利となっているという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、媒体搬送中のモータの駆動電流を最適に制御することにより、消費電力、騒音、振動を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、媒体が搬送されているときの該媒体の厚さを検知する厚さ検知手段と、前記厚さ検知手段で検知した前記媒体の厚さに応じて、搬送モータの駆動電流を変動させるモータ駆動電流制御手段と、を備えている。また、厚さ検知手段に代えて、前記媒体の搬送位置を検知する搬送位置検知手段を備え、モータ駆動電流制御手段は、前記搬送位置検知手段で検知した前記媒体の搬送位置に応じて、搬送モータの駆動電流を制御する。
【0012】
厚さ検知手段と搬送位置検知手段の両方を備え、これらの検知した値に応じて搬送モータの駆動電流を制御することも可能である。
【0013】
厚さ検知手段で検知した厚さと搬送モータの駆動電流との関係は、予めテーブルで用意し、検知した厚さ情報をテーブルにあてはめて最適なモータ駆動電流の大きさを抽出し、その電流で搬送モータを駆動する。
【発明の効果】
【0014】
搬送中、刻々と変化する負荷の大きさに最適な電流で搬送モータを駆動するため、低消費電力化、低騒音化、低振動化を図ることができる。また、過剰な電流で搬送しないため、ジャム発生時に無理に送ることなく媒体に傷を付けにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図4に、本発明の実施形態である通帳プリンタの構成を示す。
【0016】
通帳は挿入口41から装置に吸入され、吸入された通帳は、搬送路42を搬送モータであるステッピングモータによって駆動される搬送ローラ43に挟持されて搬送される。
【0017】
説明の便宜上、挿入口41が設けられている側(図の左側)を装置の前方、それに対向する側を後方と呼ぶものとする。
【0018】
搬送路42の途中には、通過検知センサ44が数箇所設けられており、通帳の通過を検知する。
【0019】
挿入口41付近には、スキュー防止対策のガイドが設けられており、これに沿って通帳吸入することによりスキューを防止する。
【0020】
通帳が挿入されると、通帳に記載されているバーコード31(図3参照)が、搬送ローラ43の後方に設けられている光学センサ45にて読み取られる。バーコード31はページ情報を含んでいる。
【0021】
通帳が、さらにその後方に搬送されると、通帳に付いている磁気ストライプ32(図3参照)が、光学センサ45の後方に設けられている磁気ヘッド46により読み取られる。磁気ヘッド46は、さらに、必要な情報をこの磁気ストライプ32に書き込む。。
【0022】
磁気ヘッド46のさらに後方には、通帳に取引き結果を印字する印字ヘッド47が設けられており、更にその後方には通帳のページめくりを行う改ページ機構が設けられている。
【0023】
また、装置内部に実装されている制御ユニットは、内部にCPU、メモリ(RAM、ROM)等を備える構成となっており、メモリ内に記録されたプログラムにより、各種機構の制御が行われたり、読み取られた情報の処理が行われる。
【0024】
本発明の実施形態の装置では、厚さセンサ等、媒体の厚さを検知する厚さ検知手段、通帳の搬送位置を検知する搬送位置検知手段、及び通帳の大きさを検知する大きさ検知手段が設けられる。
【0025】
厚さ検知手段は、通帳の厚さに応じて上下方向に従動するローラを搬送ローラ43の直前から通帳挿入口の間に設け、このローラの上下方向の移動量により、搬送ローラ43を通過する通帳の厚さを検出する。或いは、搬送ローラ43の直前の位置に反射型の光学センサを設け、反射光量の大きさにより搬送ローラ43を通過する通帳の厚さを検出する。この媒体の厚さを検知する手段により、通帳の搬送中に、搬送ローラ43が通帳を挟持し始める部分の段差、通帳の中綴じ部分の段差、搬送ローラ43が通帳を挟持し終わる部分の段差、および、搬送ローラ43が通帳を挟持し始める部分から中綴じ部分までの平滑部分の厚さ、中綴じ部分から搬送ローラが挟持し終わる部分までの平滑部分の厚さを検知する。
【0026】
通帳の搬送位置を検知する搬送位置検知手段としては、1ステップに対する通帳の送り量が決まっているステッピングモータを用いる。すなわち、各通過検知センサ44が、その位置を通帳が通過した時点を検知したときから、搬送モータのステップ数をカウントすることで通帳の搬送位置を検知することができる。
【0027】
搬送中の通帳の大きさを検知する大きさ検知手段は、上記ステッピングモータの出力で通帳の大きさを検知するプログラムと幅方向に設けた検知センサにより構成される。すなわち、通過検知センサ44を通過している間のモータステップ数をカウントすることで長さ方向の大きさを検知し、また、幅方向に複数個の検知センサを設けることにより、幅方向の大きさを直接検知する。
【0028】
以上の構成により、通帳の搬送位置および通帳の大きさを検知することができる。
【0029】
装置内部のローラ位置や数、及び通帳がガイドや磁気ヘッドの位置はメカ設計上既知であるため、搬送中の通帳搬送位置と通帳の大きさを検知できれば、搬送中に挟持しているローラ数を知ることができ、同様に、搬送中に通帳がガイドおよび磁気ヘッドに接触している箇所を知ることができる。これらの情報から、通帳の搬送中に、装置固有の負荷変動要因が通帳のどの位置に接触しているかが判断できる。
【0030】
そこで、制御ユニットは、上記厚さ検知手段、搬送位置検知手段、大きさ検知手段により検知した通帳の厚さ、搬送位置、通帳の大きさ情報を取得して、予め設定されているテーブル(後述)を参照して搬送モータの駆動電流を制御する。
【0031】
上記検知手段により検知した通帳の厚さ等の情報と、その情報に対応した駆動電流との対応関係が予めメモリ内のテーブルに記憶されている。制御ユニットは、上記検知した通帳の厚さ等の情報をこのテーブルに当てはめて対応する駆動電流を抽出し、搬送モータ43をこの駆動電流で駆動する。テーブルに記憶される駆動電流の大きさは、搬送モータを最適なトルクで搬送するのに適した値に設定されている。したがって、通帳は、搬送中、常に過不足のないトルクで搬送されていく。
【0032】
以下に、図5を用いて、本実施形態の装置の動作について具体的に説明する。
【0033】
一般に、通帳の厚い部分を搬送するときには、相対的に高い搬送力が必要であり、搬送モータの駆動電流を多く流さないと脱調が生じ、搬送不良が発生する。逆に、通帳の薄い部分を搬送するときには、相対的に低い搬送力で良い。また、搬送中、段差(厚さの変化)が大きければ大きいほど、駆動電流を大きくする必要がある。これは、厚さが薄い(若しくは無い)状態から厚い状態に変化するときに搬送ローラへの衝突力が働き、また、厚い状態から薄い状態(若しくは無い)に変化するときには、搬送方向側に通帳が押し出される力が働くため、この押し出される力に搬送力が負けないよう駆動電流を多く流す必要があるからである。
【0034】
したがって、厚さ検知手段により、図5の通帳P1の状態で、搬送ローラ43に挟持され始める通帳部の厚さを検知した場合、搬送ローラ43で挟持し始める部分(a部)は、衝突力による搬送負荷が大きいため、一時的に大きな電流を掛けて搬送モータを駆動させる。段差部分を乗り越え、平滑部分(b部)を挟持し始めたら、電流を落として低電流にて搬送モータを駆動する。
【0035】
搬送ローラ43の挟持する部分が通帳の中綴じ部分(c部)に差し掛かると、再び、段差部分となるため駆動電流を上げ、その段差を通過し平滑部分(d部)を搬送するときは低電流にて搬送モータを駆動する。そして、搬送ローラ43が通帳を挟持し終わる部分(e部)においては、同ローラ43によって通帳が押し出されるため、再度大きな電流を流し、通帳が搬送力に関係なく送り出されることを防止する。これが、搬送ローラ43を駆動する基本電流制御である。なお、図2Aに示す様に2本の搬送ローラによって搬送する場合で各ローラにより挟持する厚さが異なる場合には、厚い部分で必要な駆動電流を採用する。通帳の厚い部分や薄い部分の厚さの検知と、その部分がどこを通過しているかの検知は、厚さ検知手段と、搬送位置検知手段とにより行われる。
【0036】
次に、頁数が異なる場合を説明する。
【0037】
厚さ検知手段により、図5の通帳P2の状態で厚さを検知した場合、挟持し始め(a部)の厚さは、通帳P1の場合に比べて厚いため衝突力による搬送負荷が大きい。したがって、通帳P1の場合よりも大きな電流で搬送モータを駆動する。段差部分を乗り越えた後の平滑部(b部)においては、通帳P1の場合に比べて厚いため通帳P1搬送時よりも大きな電流で搬送モータを駆動する。
【0038】
搬送ローラ43の挟持する部分が通帳の中綴じ部分(c部)に差し掛かったときは、中綴じ以降への段差が通帳P1の場合よりも小さくなるため、通帳P1の場合より小さな電流で搬送モータを駆動する。搬送ローラ43が中綴じ部を通過し平滑部(d部)を挟持しているときは、その厚さは通帳P1の場合よりも薄くなるため、通帳P1の場合よりも小さな電流で搬送モータを駆動する。そして、搬送ローラ43が通帳を挟持し終わる箇所(e部)においては、通帳P1の場合よりも薄く、また、通帳が送り出される力も小さいため、通帳P1の場合よりも小さな電流で搬送モータを駆動する。
【0039】
このように搬送ローラ43が挟持し始める段差部分、中綴じの段差部分、搬送ローラ43が挟持し終わる段差部分、および、搬送ローラが挟持し始める部分から中綴じ部分までの平滑部分、中綴じ部分から搬送ローラが挟持し終わる部分までの平滑部分に対し、厚さ検知手段にて検知した厚さ情報に基づいて、テーブルを参照して搬送モータの駆動電流の大きさを抽出してこれを搬送モータに供給する。
【0040】
さらに、通帳搬送期間中、通帳を挟持しているローラ数やガイドおよび磁気ヘッドの接触有無等に起因して刻々と負荷変動が生じる(例えば、図4の装置では、通帳先端が搬送ローラ43を通過してローラ42に挟持されるようになると搬送ローラ43の負荷が増える)ため、これらの負荷変動要因も考慮することが望ましいことから、上記テーブル作成にはこの負荷変動要因も考慮する。例えば、通帳搬送中、挟持しているローラの数が多くなると、駆動電流が大きくなるようにする。また、ガイドが接触するときや磁気ヘッドが接触すると、それらの接触による摩擦力が生じるため、搬送ローラの駆動電流が大きくなるようにする。
【0041】
なお、図4において、搬送ローラとしては、搬送ローラ43の他、その後段に複数個配置されている。駆動電流が制御されるのは、これらの搬送ローラ全てに対してであり、具体的には、通帳の一部を挟持する状態となった搬送ローラを駆動する搬送モータに対して上記の駆動電流の制御が行われる。したがって、一つの搬送モータにより複数の搬送ローラを駆動するように構成されている装置では、制御対象とならない搬送ローラに不要なトルクが加えられる場合も生じるが、搬送モータに小さな電流が供給されるように制御されているときには、他の搬送ローラに対しても不要なトルクが加えられることがないために、常に、各搬送ローラに最大のトルクが加えられるようになっている従来の装置に比較して、全体として、無駄な電力が抑えられる。
【0042】
以上を考慮し、搬送ローラにおける通帳の各部分(a部、b部、c部、d部、e部)の通帳厚さに対する最適な駆動電流の大きさを設定したテーブルをメモリ内に設ける。図6は、このテーブルの構成を示している。制御ユニット内のCPUは、通帳厚さ検知手段で得られた厚さ情報と、搬送位置検知手段で得られた通帳搬送位置情報とに基づいて、制御対象となる搬送ローラ(通帳の一部が挟持される搬送ローラ)に、a〜dの部分のどの部分がどれだけの厚さで挟持されているかを判定し、これをテーブルに当てはめて駆動電流の大きさを抽出する。そして、その電流で当該搬送ローラを駆動する搬送モータを駆動する。
【0043】
上記の説明では、厚さ検知手段として、搬送ローラの直前に配置した厚さ検知用のローラや反射型光学センサを例示したが、通帳の各ページにはページ情報としてバーコード31(図3参照)が記録(印刷)されていたり、また、通帳の種類情報の記録した磁気ストライプ32(図3参照)が形成されている。通帳の各部分(a部、b部、c部、d部、e部)の厚さは、通帳が開いているページで概ね決まる。そこで、これらの情報を取得することで、搬送されているときの通帳の厚さ情報や通帳の大きさ情報を取得することができる。これらの情報は、磁気ヘッド46や光学センサ45(図4参照)にて読み取ることが可能である。通帳の厚さを知る具体的なアルゴリズムは、例えば、各種通帳の各ページに対する厚さデータをテーブルにして予めメモリに格納しておき、磁気ヘッド46や光学センサ45にて読み取った通帳の種類及びページ情報を上記テーブルに当てはめて厚さを検知する。また、本実施形態では、通帳の厚さ情報と搬送位置情報とを取得し、搬送ローラにより挟持される部分の通帳の厚さ情報に基づいてテーブルを参照するようにしているが、テーブルを用いず、計算により搬送モータに供給する駆動電流を求めるようにしても良い。
【0044】
また、厚さ検知手段で検知した厚さ情報のみに基づいて、駆動電流制御を行うことも、また、搬送位置検知手段で検知した搬送位置情報のみに基づいて、駆動電流制御を行うことも可能である。前者の場合、各搬送ローラの直前に厚さ検知手段を設け、且つそれぞれの搬送ローラの駆動を別々の搬送モータにより駆動し、各搬送ローラ毎に厚さ検知手段で検知した厚さ情報をテーブルに当てはめながら、各搬送ローラ毎に駆動電流の大きさを制御する。後者の場合、厚さ情報は得られないが、磁気ヘッド等の摩擦部材による摩擦力の増減に対する駆動電流の増減制御が可能になる。また、後者の場合は、テーブルとして、通帳の搬送位置に対応した搬送モータの駆動電流を予め記憶しているものを予め用意し、搬送位置検知手段で検知した通帳の搬送位置に対応した搬送モータの駆動電流を前記テーブルを参照して抽出し、この抽出した駆動電流により前記搬送モータを駆動する、
以上説明した実施形態では、媒体として通帳を示し、また、媒体搬送装置として通帳プリンタを例示したが、本発明は、媒体としてカード、媒体搬送装置としてカードプリンタ等のカード搬送装置にも適用が可能である。カードの場合は厚さ検知手段は不要であるが、搬送中に摩擦力が変動するため、搬送位置検知手段を設けてこれにより得られる搬送位置情報により搬送ローラのトルク(駆動電流)を制御することで、本発明の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
通帳搬送装置、カード搬送装置、紙葉類搬送装置等に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】通帳搬送時の状態を示している。
【図2】通帳搬送時において通帳とローラとの位置関係を示している。
【図3】通帳搬送時においてローラとページとの位置関係、及びバーコードと磁気ストライプを示している。
【図4】この発明の実施形態である通帳プリンタの概略構成図を示している。
【図5】通帳搬送時において搬送ローラの負荷変動を示している。
【図6】駆動電流の大きさと通帳厚さとの対応関係を示すテーブル構成を示している。
【符号の説明】
【0047】
43−搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードや通帳等のシート状またはブック状の媒体を搬送する媒体搬送装置において、
前記媒体が搬送されているときの該媒体の厚さを検知する厚さ検知手段と、
前記厚さ検知手段で検知した前記媒体の厚さに応じて、搬送モータの駆動電流を制御するモータ駆動電流制御手段と、を備えてなる媒体搬送装置。
【請求項2】
前記媒体は、各ページにページ情報が記録されている通帳であり、前記厚さ検知手段は前記媒体が搬送されているときの開いているページのページ情報を読み取り、このページ情報に基づいて前記媒体が搬送されているときの該媒体の厚さを検知する、請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
カードや通帳等のシート状またはブック状の媒体を搬送する媒体搬送装置において、
前記媒体の搬送位置を検知する搬送位置検知手段と、
前記搬送位置検知手段で検知した前記媒体の搬送位置に応じて、搬送モータの駆動電流を制御するモータ駆動電流制御手段と、を備えてなる媒体搬送装置。
【請求項4】
前記モータ駆動電流制御手段は、前記媒体の厚さに対応した搬送モータの駆動電流を予め記憶しているテーブルを備えており、前記厚さ検知手段で検知した前記媒体の厚さに対応した搬送モータの駆動電流を前記テーブルを参照して抽出し、この抽出した駆動電流により前記搬送モータを駆動する、請求項1または2記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記モータ駆動電流制御手段は、前記媒体の搬送位置に対応した搬送モータの駆動電流を予め記憶しているテーブルを備えており、前記搬送位置検知手段で検知した前記媒体の搬送位置に対応した搬送モータの駆動電流を前記テーブルを参照して抽出し、この抽出した駆動電流により前記搬送モータを駆動する、請求項3記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
カードや通帳等のシート状またはブック状の媒体を搬送する媒体搬送装置において、
前記媒体が搬送されているときの該媒体の厚さを検知する厚さ検知手段と、
前記媒体の搬送位置を検知する搬送位置検知手段と、
前記厚さ検知手段で検知した前記媒体の厚さと前記搬送位置検知手段で検知した前記媒体の搬送位置に応じて、搬送モータの駆動電流を制御するモータ駆動電流制御手段と、を備えてなる媒体搬送装置。
【請求項7】
前記モータ駆動電流制御手段は、前記媒体の厚さに対応した搬送モータの駆動電流を予め記憶しているテーブルを備えており、前記搬送位置検知手段で検知した前記媒体の搬送位置に応じて、前記厚さ検知手段で検知した前記媒体の厚さに対応した搬送モータの駆動電流を前記テーブルを参照して抽出し、この抽出した駆動電流により前記搬送モータを駆動する、請求項6記載の媒体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−186318(P2007−186318A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7392(P2006−7392)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】