説明

子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車

【課題】安定性の優れた前二輪自転車を改良し、運転性能に優れ低価格の子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車を提供する。
【解決手段】本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車は、フレームに回転可能に設けられているハンドル軸4と、両端にそれぞれ前輪1,1を回転可能に支持する前二輪車軸10と、ハンドル軸4に、前二輪車軸10をハンドル操作により左右に回動しかつ水平面に対して揺動可能に結合する車軸結合ブッシュ15と、ハンドル軸4の前方に位置するように前二輪車軸10に一体に設けられている前籠19とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児を二輪自転車のハンドル前方の籠に乗せると、重心が上がり、駐車、停車時の転倒が起こりやすいという問題が指摘されている。
その観点から前二輪自転車は安定性に優れているが、前籠を搭載するには解決しなければならない問題がある。
【0003】
特許文献1は、前二輪後一輪自転車の発明を開示している。この発明は、ホイール式の操舵システムを採用し、ハンドル軸の回転をピニオンを介してラックに伝達するという機構を採用しており、やや複雑であるという問題がある。特許文献2の考案もホイール式の操舵システムを採用したものである。しかしながら、操舵機構や、籠と操舵機構の関係が不明である。
【特許文献1】特開昭53−8941号公報
【特許文献2】実開昭51−89649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の子供用前籠付きハンドル操作二輪自転車は、重心が高いので、停車時の幼児の重心移動で自転車の転倒が起きやすく、走行時も安定性に欠ける。
本発明の目的は、安定性の優れた前二輪自転車を改良し、運転性能に優れた低価格の子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題を解決するために、本発明による請求項1記載の子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車は、
ハンドル操作の前二輪自転車において、
フレーム3に回転可能に設けられているハンドル軸4と、
両端にそれぞれ前輪1,1を回転可能に支持する前二輪車軸10と、
ハンドル軸4に、前二輪車軸10をハンドル操作により左右に回動しかつ水平面に対して揺動可能に結合する結合手段と、
ハンドル軸4の前方に位置するように前二輪車軸10に一体に設けられている前籠19と、から構成されている。
【0006】
前記請求項1記載の発明の実施形態を第1の実施形態とするときに、
本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の第2の実施形態は、第1の実施形態記載の自転車において、
前記結合手段は、ハンドル軸4の下端の水平軸4Aを前二輪車軸10の中央の車軸結合ブッシュ15に結合させることにより、前二輪車軸10をハンドル操作により左右に回動しかつ水平面に対して揺動可能に結合することを特徴とする。
【0007】
本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の第3の実施形態は、第1の実施形態記載の自転車において、
前二輪車軸10の上方に前二輪車軸10のハンドル軸4と一体に設けられたばね受け板11と、
前二輪車軸10とばね受け板11間に配置されたばね12,12と、を設けたことを特徴とする。
【0008】
本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の第4の実施形態は、第3の実施形態記載の自転車において、
ばね12,12はコイルばねであり、各ばねの上下端はそれぞればね受け板11と前二輪車軸10に結合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、従来の二輪自転車の場合に比較して、前籠に幼児を搭載したときの重心を下げることができ、安定した駐車、停車状態と走行状態を実現でき、交通の安全を図ることができる。
本発明によれば、前記第2の実施形態のような実施が可能となり、結合手段によりハンドル軸4の下端の水平軸4Aを前二輪車軸10の中央の車軸結合ブッシュ15に結合させることにより、前二輪車軸10をハンドル操作により左右に回動しかつ水平面に対して揺動可能に結合することで、運動性能を向上させることができる。
【0010】
本発明によれば、前記第3の実施形態のような実施が可能となり、前二輪車軸10の上方に前二輪車軸10のハンドル軸4と一体に設けられたばね受け板11と、前二輪車軸10とばね受け板11間に配置されたばね12,12により、緩衝動作を可能にしている。
本発明によれば、前記第4の実施形態のような実施が可能となる。つまり、ばね12,12はコイルばねであり、各ばねの上下端はそれぞればね受け板11と前二輪車軸10に結合されていることにより、緩衝性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面等を参照して本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車を実施するための最良の形態をさらに詳しく説明する。
【0012】
図3は、本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の平面図である。図4は、本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の右側面図である。なお、図3では前籠の取り付け(支持)構造を示すために前籠を取り外して示してある。
本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車のフレーム構造は、従前の前一輪自転車のそれと異ならない。フレーム3にサドル5、後輪2が結合され、ペダル6の回転は周知のチェーンを介して後輪2に伝達される。フレーム3の一部であるフレームのハンドル軸受け3Aにハンドル7により回転させられるハンドル軸4が回転可能に支持されている。
【0013】
図1は、本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の正面図、図2は、本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の前籠部分を一部破断して示した一部右側面図である。
図2に示されているように、ハンドル軸4はフレーム3のハンドル軸受け3A部に周知の支持機構で操舵回転可能に支持されている。ハンドル軸4にはばね受け板支軸11Aが前方に基準面(G)に平行に取り付けられている。さらにハンドル軸4の最下端の水平軸4A部も同様に前方に基準面(G)に平行に曲げられている。これらの部分(ばね受け板支軸11Aとハンドル軸4の最下端の4A部の基準面に平行な部分)は、ハンドル軸4の回転にしたがって、基準面に平行な面内で回動させられる。
【0014】
前二輪車軸10の両端には前輪1,1が周知のベアリング支持等により設けられている。前二輪車軸10の中央に車軸結合ブッシュ15が、補強板16により溶接固定されている。
この車軸結合ブッシュ15にハンドル軸4の最下端の4A部を回転可能に挿入することにより、前輪1,1はフレーム3に連結されることになる。
ばね受け板11は、ハンドル軸4と一体のばね受け板支軸11Aに、溶接位置9で溶接固定される。
【0015】
前二輪車軸10とばね受け板11間に一対のコイルばね12,12が挿入固定される。コイルばね12,12の上端はばね受け板11の17,17の示す固定位置でねじナットで締めつけ固定される。
コイルばね12,12の下端は、前二輪車軸10の18,18の位置に設けられた結合金具にねじナットで締めつけ固定される。
【0016】
前籠19は、本発明による自転車では、前二輪車軸10に複数本の籠支え棒13によって固定される。籠支え棒13A,13A部は前籠19の幼児の脚部分収容部に結合支持されており、籠支え棒13B,13B部は、前籠19の座の部分を下側から支持するように結合させられている。
【0017】
前二輪自転車において、前二輪車軸10のフレーム3に対する揺動を許容しない構造のものでは、基準面G(水平平面)上を走行しない場合は運転性能が害される。
また走行中に方向転換をする場合、遠心力が発生するので、走行中前2輪に対して後輪を傾斜させる必要がある。
本発明の前述した構成によれば、これらの問題は解決できる。図1の(B)に示すように、前輪がaの示す面に接しているときは後輪は時計方向に傾いており、向かって右側のばね12がより圧縮された状態にある。
また前輪がbの示す面に接しているときは後輪は反時計方向に傾いている。向かって左側のばね12がより圧縮された状態にある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の正面図である。
【図2】本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の前籠部分を一部破断して示した一部右側面図である。
【図3】本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の平面図(前籠を外して示してある)である。
【図4】本発明による子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車の実施例の右側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 前輪
2 後輪
3 フレーム
3A フレームのハンドル軸受け
4 ハンドル軸
5 サドル
6 ペダル
7 ハンドル
10 前二輪車軸
11 ばね受け板
11A ばね受け板支軸
12 ばね
13 籠支え棒
15 車軸結合ブッシュ
16 補強板
17 ばね固定位置上
18 ばね固定位置下
19 前籠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル操作の前二輪自転車において、
フレームに回転可能に設けられているハンドル軸と、
両端にそれぞれ前輪を回転可能に支持する前二輪車軸と、
前記ハンドル軸に、前記前二輪車軸をハンドル操作により左右に回動しかつ水平面に対して揺動可能に結合する結合手段と、
前記ハンドル軸の前方に位置するように前記前二輪車軸に一体に設けられている前籠と、
から構成した子供用前籠付きハンドル操作前二輪自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−220729(P2009−220729A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68313(P2008−68313)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【特許番号】特許第4198186号(P4198186)
【特許公報発行日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(597055939)株式会社アズマ技研 (3)
【Fターム(参考)】