説明

子機の支持台

【課題】子機1の底面を狭くし、起立状態で収納しても子機1の転倒を防止することができる。
【解決手段】支持台2には、上方開放状の収納凹所20の底面21に位置決め用の突起部22が設けられ、子機1の底面10には突起部22が嵌合する凹部11が設けられている。子機1の側周面15には下向き開放状の上下長手の案内溝16が凹み形成され、収納凹所20の内周壁には、案内溝16が嵌まる上下長手の突条23が設けられているので、子機1の底面10一部が収納凹所20及び底面21に接した状態で傾いたとき、案内溝16と突条23の上部が当接して、それ以上の傾倒を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードレス電話装置の子機を縦姿勢で支持でき、転倒し難いように形成させた支持台の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
コードレス電話装置は、たとえばコードレス電話機としての子機内には充電式の電池が搭載され、ファクシミリなどの親機と呼ばれる電話機本体に設けられた充電台あるいは専用の充電台に、子機をセットすることによって、子機の充電を行っている。
【0003】
この充電方式として、例えば、特許文献1に開示されている無接点充電方式では、縦長に形成された子機の底面の中央部に、転倒防止用の凹部が設けられ、親機としての支持体の子機収納凹所は上向きに開放され、この子機収納凹所には、子機が縦状態で載置されたとき、子機の凹部と嵌合する転倒防止用の突起部が平坦な底面の中央部に形成されている。
【0004】
そして、子機には、充電するための電池と、前記凹部が設けられた底面に近接する内部に配置され、電池を充電するための二次側コイルとを備え、子機収納凹所には、電磁誘導によって二次側コイルに電力を供給するための一次側コイルであって、子機が子機収納凹所の底面に載置されたときに二次側コイルに対向するように子機収納凹所の底面に近接する内部に配置される一次側コイルが備えられている。
【0005】
さらに、転倒防止用の突起部の形状は、子機が子機収納凹所に載置され、子機の底面の周縁の一部が子機収納凹所の底面に接した状態で傾いて支持され、子機の外周面の一部が子機収納凹所の内周面に接したとき、転倒防止用の凹部の内周面と子機の底面とが交叉する周縁の一部が転倒防止用の突起部の側面に接触する形状に設定されているものである。この構成により、転倒防止用の突起部と転倒防止用の凹部との嵌合により、一次側コイルと二次側コイルとの位置合わせが正確になると共に、子機の底面の面積を小さくし、且つ子機収納凹所の深さを浅くしても、縦置きの子機の転倒が防止できるとされている。
【0006】
他方、特許文献2でも、無接点充電用載置台の子機収納凹所の底面に上向きの中空突部を設け、この中空突部内径側に一次側コイルの磁心を挿入し、この磁心を中心にして罫線される一次側コイルは子機収納凹所の底面より下方に配置する。他方、子機の底面に形成された下向き開放状の中空凹部を中心としてその外周側に二次側コイルを配置し、縦置きの子機を子機収納凹所に載置したとき、中空突部と中空凹部との嵌合により、一次側コイルと二次側コイルとの位置合わせが正確になるものである。
【特許文献1】特開2007−215131号公報
【特許文献2】特開平10−97932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2の構成では、転倒防止用の突起部(中空突部)の高さ寸法及び子機における底面に形成された転倒防止用の凹部(中空凹部)の深さが浅い場合や、上記凹部(中空凹部)の平面視の形状に対して突起部(中空突部)の平面視の形状が小さく、凹部(中空凹部)の内周面と突起部(中空突部)の外周面との間に大きい隙間があるような関係の場合には、縦置きの子機の側面に横向きの外力が作用すると、極めて簡単に転倒してしまうという問題があった。
【0008】
他方、上記凹部(中空凹部)の内周面と突起部(中空突部)の外周面との間の隙間が小さ過ぎたり、凹部(中空凹部)と突起部(中空突部)との嵌合深さが大きいときには、子機を子機収納凹所にセットするときや上方に抜き出すときに、子機の少しの傾きで突起部(中空突部)の外周面の一部と凹部(中空凹部)の内周面の一部とが干渉し合い、こじりが発生して、凹部(中空凹部)に突起部(中空突部)が円滑に嵌まり込まない、または子機を取り外せないという問題があった。また、凹部(中空凹部)と突起部(中空突部)との嵌合深さを大きくすると、二次側コイルの配置位置は凹部(中空凹部)を中心とした箇所に限定され、子機のサイズ(底面の大きさ)を小さくできないという問題があった。これらの問題は単に子機を縦置きすべき支持台についても同じである。
【0009】
本発明の目的は、縦置きするための子機の底面の面積を小さく、且つ位置決め部分の凹凸関係を浅くしても子機の転倒を効果的に防止することができる、子機の支持台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の子機の支持台は、平坦な底面を有して上向きに開放され、子機が載置される収納凹所を備えた子機の支持台であって、前記子機における長手方向一端部の底面には位置決め用の凹部が形成され、前記収納凹所の平坦な底面には、前記凹部と嵌合する突起部が形成され、前記子機における前記長手方向に沿う周面と、前記収納凹所の内周壁とには、そのいずれか一方が前記子機の長手方向に沿って延びる案内溝であり、他方が前記子機を前記収納凹部に対して上方から挿入するときに前記案内溝に沿って案内される突条とする案内手段が設けられ、前記収納凹所の内周壁のうち前記案内手段が設けられた周壁に沿って前記子機が傾くとき、前記案内手段における案内溝の一部と突条の一部とが前記傾きを規制する側で当接するように構成されているものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の子機の支持台において、前記案内手段は、前記子機における前記長手方向に沿う周面にあって、前記凹部が形成された底面に開放され、且つ前記長手方向に沿って延びるように凹み形成された案内溝と、前記収納凹所の内周壁に形成されて前記案内溝に沿うように上向きに延びる突条とから構成されているものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の子機の支持台において、前記案内手段は、前記収納凹所の内周壁に上向きに延在され、且つ上向きに開放されるように凹み形成された案内溝と、前記子機における前記長手方向に沿う周面にあって、前記案内溝に沿うように延在された突条とから構成されているものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の子機の支持台において、前記子機の長手方向と直交する切断面が実質上矩形であり、前記子機における前記案内手段が設けられた一方の組の平行な2辺の長さは他方の組の平行な2辺の長さより短く形成され、前記他方の組の平行な2辺から長手方向に立ち上がる面は前記子機の背面と操作部を有する前面とに対応し、前記収納凹所の平面視形状が前記子機の底面形状に対応して実質上矩形に形成されているものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の子機の支持台において、前記凹部及び突起部は、平面視で矩形状に形成され、前記矩形の長辺は前記子機の前記他方の組の平行な2辺と平行状に形成されているものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の子機の支持台において、前記収納凹所の内周壁の前記底面からの高さは、この収納凹所内に載置された子機における背面と対峙する側が、子機における前面と対峙する側より高く形成され、前記位置決め用の凹部及び突起部は、前記子機における前面に近い側に配置されているものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の子機の支持台において、前記子機における位置決め用の凹部が設けられた底面の近傍の内部には、電池を充電するための子機側コイルを有し、前記収納凹所の前記底面に近接する内部には、電磁誘導によって前記子機側コイルに電力を供給するための充電側コイルが前記子機側コイルと相対向するように設けられているものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、子機における長手方向一端部の底面には位置決め用の凹部が形成され、前記収納凹所の平坦な底面には、前記凹部と嵌合する突起部が形成され、前記子機における前記長手方向に沿う周面と、前記収納凹所の内周壁とには、そのいずれか一方が前記子機の長手方向に沿って延びる案内溝であり、他方が前記子機を前記収納凹部に対して上方から挿入するときに前記案内溝に沿って案内される突条とする案内手段が設けられ、前記収納凹所の内周壁のうち前記案内手段が設けられた周壁に沿って前記子機が傾くとき、前記案内手段における案内溝の一部と突条の一部とが前記傾きを規制する側で当接するように構成されているものであるから、子機が支持台に対して安定して縦置き状態で収納凹所に収納されているとき、例えば、子機の背面側からの外力を受けて前面側に倒れようとするするときには、子機における底面のうち前寄り部位(凹部と突起部との嵌合位置より前位置)にて収納凹所の底面とが接して、その当接部を中心にして子機が前方向に倒れようと回転する。この前方向への傾倒角度が所定値以上になると、子機における案内溝の上部位置と、突条の上部位置とが当接する。これにより、子機の前方向への傾倒は阻止される。
【0018】
そして、案内溝及び突条が子機の長手方向に長く形成されているため、少しの傾倒角度にて、子機と収納凹所との底面どうしの当接部からの距離が長い部位にて、案内溝と突条とが当接するので、子機の転倒を効果的に阻止できるのである。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、前記収納凹所に突条が設けられ、子機には、突条に案内される案内溝が形成されている。請求項3に記載の発明によれば、逆に前記収納凹所に案内溝が設けられ、子機には、案内溝に案内される突条が形成されている関係であり、いずれも請求項1と同様の作用効果を奏することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前記子機の長手方向と直交する切断面が実質上矩形であり、前記子機における前記案内手段が設けられた一方の組の平行な2辺の長さは他方の組の平行な2辺の長さより短く形成され、前記他方の組の平行な2辺から長手方向に立ち上がる面は前記子機の背面と操作部を有する前面とに対応し、前記収納凹所の平面視形状が前記子機の底面形状に対応して実質上矩形に形成されているものであるので、子機の底面部分も含めて、子機の厚みを薄くすることができるので、子機の形状を手に持ちやすい形状とし、小型にすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、前記凹部及び突起部は、平面視で矩形状に形成され、前記矩形の長辺は前記子機の前記他方の組の平行な2辺と平行状に形成されているものであるので、矩形の長辺どうしの接触を長くすることができ、位置決め精度が高くなる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、前記収納凹所の内周壁の前記底面からの高さは、この収納凹所内に載置された子機における背面と対峙する側が、子機における前面と対峙する側より高く形成され、前記位置決め用の凹部及び突起部は、前記子機における前面に近い側に配置されているものであるから、支持台の上方前側から、子機を立てた状態で収納したり、取り出したりする操作性(子機の取り扱い)が向上する。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、前記子機における位置決め用の凹部が設けられた底面の近傍の内部には、電池を充電するための子機側コイルを有し、前記収納凹所の前記底面に近接する内部には、電磁誘導によって前記子機側コイルに電力を供給するための充電側コイルが前記子機側コイルと相対向するように設けられているものである。従って、支持台を子機の充電機能を有する装置として利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の実施の一形態である子機1と、その支持台2を示す斜視図、図2は子機1の下面方向から見た斜視図、図3は支持台2の平面図である。
【0025】
実施形態では、支持台2はコードレス電話装置における無接点充電用載置台であり、ファクシミリ機能などの機能を含む機器に装着され、または装置の一部に形成されたものであっても良い。なお、充電機能を有さず、単に子機1を縦置きにして支持するものであっても良い。
【0026】
子機1は、電池を含む携帯型の通話機であり、6つの四角形からなる六面体の角に丸みを付けた形状である。以下、六面体を構成する四角形の中で最も長い面を有する面の長軸方向を、子機1の長手方向という。長手方向一端部の底面10は平端面に形成され、その底面10には、位置決め用の凹部11が下向き開放状にて形成されている(図2、図4など参照)。
【0027】
子機1の長手方向と直交する切断面が実質上矩形であり、従って、底面10も実質上矩形である。底面10における一方の組の平行な2辺の長さは他方の組の平行な2辺の長さより短く形成されている。子機1の前記長手方向に沿う四周面のうち、底面10における他方の組の長い平行な2辺から長手方向に立ち上がる面は、子機の背面12と、テンキーや送受話部を備えた操作部13を有する前面14である(図1、図2及び図4など参照)。子機1の前記長手方向に沿う四周面のうち、前記前面14と背面12とを繋ぐ一対の側周面15には、子機1の長手方向に延設され、且つ底面10に向かって開放される案内手段の1つの要素としての案内溝16がそれぞれ凹み形成されている。但し、図1及び図2では片方の案内溝16のみが示されている。
【0028】
従って、案内溝16が設けられた一対の側周面15の前面14から背面12までの奥行き寸法(一方の組の平行な2辺の長さ)は前面14及び背面12の横幅寸法(他方の組の平行な2辺の長さ)より短く形成されていることになる。また、底面10に形成される凹部11も平面視で実質上矩形状であり、且つその矩形の長辺が前面14と実質上平行状に形成されている。さらに、凹部11は底面10のうち、前面14に近い側に形成され、案内溝16は凹部11よりも背面12に近い側に配置されている(図2など参照)。
【0029】
子機1の側面視において、各案内溝16は、底面10側(下側)で幅が広く、上に行くにつれて、幅寸法が狭い截頭台形状にて凹み形成されているので、子機1の挿入取り外しの取り扱いが円滑となる。
【0030】
支持台2には、子機1を縦置き状態で収納するための上向きに開放される凹部である収納凹所20が設けられている。この収納凹所20の平坦な底面21には、子機1における凹部11に嵌合して位置決めできる突起部22が形成されている(図3〜図6(A)及び図6(B)参照)。突起22も平面視で矩形状であって凹部11の大きさとほぼ一致するように形成されている。
【0031】
図5の拡大断面図で示すように、突起部22の上端角部のうち子機1の前面側に対応する部位は凸アール部22aに形成され、この凸アール部22aに対応する位置の凹部11の子機1の端面に接続する縁は直線状のコーナ部(面取り)11aに形成されている。この構成により、嵌合時における突起部22と凹部11との上下重なり寸法を可及的に大きくできる。一方、突起部22の上端角部のうち子機1の背面側に対応する部位と、これに対応する位置の凹部11の子機1の端面に接続する縁はそれぞれ直線状のコーナ部(面取り)に形成されている。前者と後者との構成の結果、子機1を前面側がやや下向きの斜めにして収納凹所20内へ挿入するとき、突起部22と凹部11との嵌合作用が容易となる。
【0032】
収納凹所20の内周壁のうち縦方向の内周壁20aには、子機1を収納凹所20に対して上方から挿入するとき、各案内溝16に沿って嵌まって案内されるように上向きに延びる突条23が形成されている。この一対の突条23は子機1における一対の側周面15とほぼ平行に対面する内周壁20aに形成されている。他方、収納凹所20の内周壁の高さは、子機1の背面12と対峙する側が高く、子機1の前面14と対峙する側に行くに従って低くなるように形成されている(図1、図4、図6(A)及び図6(B)参照)。また、収納凹所20の内周壁のうち子機1の前面14及び背面12と対峙する内周壁の上側が下側(底面21に近い側)よりも広がった形状である。
【0033】
これらの結果、ユーザーは、収納凹所20に対して子機1を前側上方に取り出し易く、また、逆に、収納凹所20の背面側の内周壁20bに子機1の背面12を凭れ掛けさせることが容易になる。
【0034】
なお、収納凹所20の背面側の内周壁20bには、子機1の背面12の一部に当接し得る当り部24が突出形成されている(図1、図3、図4、図6(A)及び図6(B)参照)。
【0035】
支持台2における収納凹所20の平坦な底面21の下方に近接され位置には、子機1を充電するための充電部が設けられている。即ち、支持台2の内部に、位置決め用の突起部22に近接して、充電用の一次側コイル25が設けられている(図4、図6(A)及び図6(B)参照)。他方、子機1の内部には、底面10に近接させて二次側コイル26が配置されている。一次側コイル25と二次側コイル26との平面視のドーナツ上の外径形状が実質上等しい。そして、収納凹所20の平坦な底面21に対して子機1の底面10が平行状になるように収納載置された姿勢(図4参照)が安定した状態となり、この状態では、一次側コイル25と二次側コイル26とが側面視で平行状で、且つ一次側コイル25と二次側コイル26との広巾面間の距離Hが可及的に接近した位置となるように設定されている。
【0036】
この一次側コイル25は、電磁誘導によって子機1に電力を供給して、子機1の電池を充電するためのものである。即ち、コイルの中の磁界を変化させると、そのコイルの中に電流を流そうとする力つまり誘導起電力が生じる。誘導起電力は、コイルを貫く磁界の単位時間当たりの変化の大きさに比例するというファラデーの法則に従う。子機1が支持台2の収納凹所20に収納され、収納凹所20の平坦な底面21に子機1の底面10が最接近して安定姿勢のとき、二次側コイル26は、一次側コイル25に最も近づく。この二次側コイル26によって、一次側コイル25からの電磁誘導による電力を受け、子機1内の電池(図示せず)を充電する。
【0037】
磁界を発生させる一次側コイル25から子機1の二次側コイル26までの距離が大きくなるほど、誘導起電力が生じる二次側コイル26を横切る磁束密度が減るので、二次側コイル26の磁界の変化量も減少する。一次側コイル25から二次側コイル26までの距離がある程度以上になると、二次側コイル26を横切る磁界の変化がなくなり、電池への充電が行われなくなる。このような無接点充電方式による充電のための支持台2および子機1の回路については、従来技術によるものであり、説明は省略する。
【0038】
なお、実施形態では子機1の横幅は、例えば43mmである。子機1の横幅とは、例えば子機1の前面側であって長手方向に垂直な方向の辺の長さである。子機1の厚みは、例えば25mmである。子機1の厚みとは、子機1の前面と背面との間の寸法である。
【0039】
また、凹部11の深さは例えば1.8mmであり、突起部22の高さは例えば1.5mmである。
【0040】
上記の構成により、子機1は、その底面10が支持台2の収納凹所20の底面21と平行状にて載置され、そのとき、凹部11と突起部22とが嵌合して、子機1は収納凹所20の所定位置に位置決めされる。そして、支持台2は、子機1を縦置きした状態、すなわち子機1の長手方向が重力方向と平行になる状態で、子機1を収納凹所20に収納することができる(図4参照)。
【0041】
次に、図6(A)及び図6(B)を参照しながら、子機1の転倒防止の作用について説明する。図4のように子機1が支持台2に対して安定して縦置き状態で収納されているとき、図6(A)のように、子機1の背面側からの外力Xを受けて前面側に倒れようとするするときには、子機1における底面10のうち前寄り部位(凹部11と突起部22との嵌合位置より前位置)にて収納凹所20の底面21とが接して、当接部であるB点を中心にして子機1が前方向に倒れようと回転する。この前方向への傾倒角度が所定値(例えば、水平から3度程度)以上になると、子機1における案内溝16のうち背面側の上部位置と、収納凹所20における突条23の背面側の上部位置とがA点において当接する。これにより、子機1の前方向への傾倒は阻止される。なお、子機1が前方向へ転倒しない程度の、子機1の傾倒角度の所定値とは、凹部11と突起部22との嵌合が外れない程度である。また、起立している子機1の重心位置は、側面視(図4及び図6(B))において、凹部11と突起部22との前面側の嵌合位置よりも後ろより位置である。
【0042】
上記X方向の外力が無くなると、起立している子機1の重心位置回りの重力のモーメントにより、子機1はB点を中心にして後ろ向きに回動して、元の姿勢に戻る。つまり、子機1の底面10と収納凹所20の底面21とが平行状となるような姿勢に戻るのである(図6(B)の状態参照)。
【0043】
本発明では、案内溝16及び突条23が子機1の長手方向に長く形成されているため、少しの傾倒角度にて、子機1と収納凹所20との底面10、21どうしの当接部であるB点からの距離が長いA点にて、案内溝16と突条23とが当接して、子機1の前方向への転倒を効果的に阻止できるのである。
【0044】
また、凹部11と突起部22との嵌合が外れない状態で、子機1の転倒を防止でき、且つ元の姿勢に自動的に戻ることができるから、収納凹所20内で、子機1がずれた位置で起立することがなく、上述の無接点充電作用も効率よく行うことができる。
【0045】
実施形態では、収納凹所20の内周壁のうち背面側の内周壁20bの高さが高く形成されているため、これにより子機1の背面側への転倒は効果的に阻止される。本発明において、収納凹所20の内周壁をその背面側がより高いことは必須ではない。図示実施形態では、収納凹所20の底面21が背面側に向かって若干下り勾配に形成さているが、本発明では、底面21が水平であっても差し支えない。
【0046】
なお、本発明においては、案内手段として、子機1における前記長手方向に沿う周面であって、子機1の側周面15の下部側に突条を設ける一方、収納凹所20の内周壁のうち子機1の側周面15と対峙する側周壁に上向きに延在され、且つ上向きに開放されるように凹み形成されて、子機1を収納凹所20に収納するとき、前記突条を案内する案内溝とから構成されているものであっても、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の一形態である子機1と支持台2の斜視図である。
【図2】子機1の下面方向から見た斜視図である。
【図3】支持台2の平面図である。
【図4】支持台2の収納凹所20に子機1を縦置き状態で収納した一部切欠き側断面図である。
【図5】図3のV−V線矢視拡大断面図である。
【図6】(A)及び(B)は子機1の転倒防止の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1 子機
2 支持台
10 子機の底面
11 位置決め用の凹部
12 子機の背面
14 子機の前面
15 子機の側周面
16 転倒防止用の案内溝
20 収納凹所
21 収納凹所の底面
22 位置決め用の突起部
23 転倒防止用の突条
25 一次側コイル
26 二次側コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な底面を有して上向きに開放され、子機が載置される収納凹所を備えた子機の支持台であって、
前記子機における長手方向一端部の底面には位置決め用の凹部が形成され、
前記収納凹所の平坦な底面には、前記凹部と嵌合する突起部が形成され、
前記子機における前記長手方向に沿う周面と、前記収納凹所の内周壁とには、そのいずれか一方が前記子機の長手方向に沿って延びる案内溝であり、他方が前記子機を前記収納凹部に対して上方から挿入するときに前記案内溝に沿って案内される突条とする案内手段が設けられ、
前記収納凹所の内周壁のうち前記案内手段が設けられた周壁に沿って前記子機が傾くとき、前記案内手段における案内溝の一部と突条の一部とが前記傾きを規制する側で当接するように構成されていることを特徴とする子機の支持台。
【請求項2】
前記案内手段は、前記子機における前記長手方向に沿う周面にあって、前記凹部が形成された底面に開放され、且つ前記長手方向に沿って延びるように凹み形成された案内溝と、
前記収納凹所の内周壁に形成されて前記案内溝に沿うように上向きに延びる突条とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の子機の支持台。
【請求項3】
前記案内手段は、前記収納凹所の内周壁に上向きに延在され、且つ上向きに開放されるように凹み形成された案内溝と、
前記子機における前記長手方向に沿う周面にあって、前記案内溝に沿うように延在された突条とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の子機の支持台。
【請求項4】
前記子機の長手方向と直交する切断面が実質上矩形であり、前記子機における前記案内手段が設けられた一方の組の平行な2辺の長さは他方の組の平行な2辺の長さより短く形成され、前記他方の組の平行な2辺から長手方向に立ち上がる面は前記子機の背面と操作部を有する前面とに対応し、
前記収納凹所の平面視形状が前記子機の底面形状に対応して実質上矩形に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の子機の支持台。
【請求項5】
前記凹部及び突起部は、平面視で矩形状に形成され、
前記矩形の長辺は前記子機の前記他方の組の平行な2辺と平行状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の子機の支持台。
【請求項6】
前記収納凹所の内周壁の前記底面からの高さは、この収納凹所内に載置された子機における背面と対峙する側が、子機における前面と対峙する側より高く形成され、前記位置決め用の凹部及び突起部は、前記子機における前面に近い側に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の子機の支持台。
【請求項7】
前記子機における位置決め用の凹部が設けられた底面の近傍の内部には、電池を充電するための子機側コイルを有し、
前記収納凹所の前記底面に近接する内部には、電磁誘導によって前記子機側コイルに電力を供給するための充電側コイルが前記子機側コイルと相対向するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の子機の支持台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−81619(P2009−81619A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248814(P2007−248814)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】