説明

孔版印刷用エマルションインキ

【課題】印刷後の印刷用紙への定着性に優れたW/O型(油中水型)の孔版印刷用エマルションインキの提供。
【解決手段】本発明の孔版印刷用エマルションインキは、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中にレベリング剤を含有することを特徴とする。前記レベリング剤が、有機変性ポリシロキサンである態様、前記レベリング剤の含有量が、前記油相における油成分に対して1質量%以上である態様、前記水相が固形成分を含有する態様などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷後の印刷用紙への定着性に優れたW/O型(油中水型)の孔版印刷用エマルションインキに関する。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷装置を用いた印刷方法は、以下の(1)〜(3)の工程からなることが知られている。(1)ある所定の原稿データをデジタル信号に変換する。(2)サーマルヘッドと呼ばれる熱素子によって、孔版原紙と呼ばれる版(マスター)に前記デジタル信号に基づいて穿孔し、該孔版原紙を印刷ドラム上に巻装する。(3)印刷ドラム下部の押圧手段によって、インキを該印刷ドラム上に巻装された前記孔版原紙を通過させ、前記原稿データを印刷用紙に転写する。
このような孔版印刷方法におけるインキとしては、孔版印刷機とのマッチング、画像品質などの観点から、一般的にW/O型(油中水型)のエマルションが用いられている。
【0003】
上述した工程を経て、前記印刷用紙上に転写されたインキは、前に印刷した紙の上に着地するまでに該印刷用紙内部への浸透及び空気中への水分の蒸発などによって乾燥されるが、従来用いられているインキでは、見かけ上は乾燥していても、完全には乾燥しきることができず、該印刷用紙表面上には未乾燥のインキが残留してしまい、定着性に劣るという問題がある。このように、印刷後の未乾燥インキが過剰に存在すると、印刷用紙上に積み重なる印刷用紙の裏面を汚したり(裏移り)、印刷直後の画像を手で触ると汚れる(手擦れ)といった不具合が生じてしまうことがあった。
この原因としては、従来のW/O型のエマルションインキにおける油相が、オイル、顔料、界面活性剤、樹脂などにより構成されており、該油相の動的表面張力が、30〜40dyn/cmと高く、印刷用紙内部へ浸透し難いということが挙げられる。
【0004】
そこで、前記油相に用いられる油分の粘度を適度に調整することにより、インキの印刷用紙への定着性を向上させ、インキの裏移りを改善した孔版印刷用エマルションインキが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、前記特許文献1に記載の孔版印刷用エマルションインキでは、油相に用いられる油分のうち20重量%以上が、表面張力25dyn/cm以下であることが必要である。このため、通常の鉱物油を使用する場合、低粘度かつ揮発性の高いオイルを使用することが必要となるが、このようなオイルは、油分の蒸発が速く、インキの保存安定性が低下し、インキを長時間放置することにより放置後の印刷立ち上がりが遅くなったり、孔版印刷機の穿孔部の目詰まりが生じることがある。また、シリコンオイル等を使用する場合、コスト高になるという問題がある。
【0005】
したがって、インキの油相における油成分として、低粘度かつ揮発性の高いオイルを使用することなく、印刷後の印刷用紙への定着性を改善することができる孔版印刷用エマルションインキの開発が望まれているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開2002−309737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、印刷後の印刷用紙への定着性に優れたW/O型(油中水型)の孔版印刷用エマルションインキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。即ち、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含むW/O型(油中水型)のエマルションインキにおける前記油相中に、レベリング剤を添加すると、前記油相(オイル)の表面張力をコントロールすることができ、印刷用紙への浸透性が向上し、孔版印刷機上では乾燥せず、印刷後の印刷用紙上で乾燥し、該印刷用紙への定着性に優れた孔版印刷用エマルションインキが得られるという知見である。
【0009】
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中にレベリング剤を含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキである。
該<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、前記油相中に前記レベリング剤を含有するので、前記油相(オイル)の表面張力を低下させることができ、印刷用紙上での油相成分の浸透性を向上させることができる。このため、孔版印刷機上での乾燥が抑制されつつ、印刷後の前記印刷用紙上への定着性(乾燥性)が向上される。
<2> レベリング剤が、有機変性ポリシロキサンである前記<1>に記載の孔版印刷用エマルションインキである。
該<2>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、前記レベリング剤が、前記有機変性ポリシロキサンであるので、インキにおける前記油相の表面張力を低下させることができ、印刷用紙内部への前記油相の浸透が促進され、前記印刷用紙への定着性が向上される。
<3> 有機変性ポリシロキサンが、下記一般式(1)で表される前記<2>に記載の孔版印刷用エマルションインキである。
【化2】

ただし、前記一般式(1)中、R及びR’は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基を表す。a及びbは、0以上の整数を表し、m及びnは、1以上の整数を表す。また、a+bは、1以上の整数であり、mは、次式、m=n+1、を充たす。
<4> レベリング剤の含有量が、油相における油成分に対して1質量%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。
該<4>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、前記レベリング剤の含有量が、前記油相における油成分に対して1質量%以上であるので、実質的に臨界ミセル濃度(cmc)以上に相当し、前記レベリング剤の効果が充分に発揮される。
<5> 油相の動的表面張力が、25℃で25dyn/cm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。
該<5>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、前記油相の動的表面張力が、25℃で25dyn/cm以下であるので、印刷用紙上での前記油相成分の浸透度合いが増加し、その結果、前記印刷用紙上へのインキの定着性が向上される。
<6> 水相が、固形成分を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキである。
該<6>に記載の孔版印刷用エマルションインキにおいては、前記水相に前記固形成分(例えば、着色剤など)が含まれるので、前記油相を印刷用紙内へ、より浸透させ易くすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、印刷後の印刷用紙への定着性に優れたW/O型(油中水型)の孔版印刷用エマルションインキを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の孔版印刷用エマルションインキ(以下、単に「エマルションインキ」又は「インキ」と称することもある)は、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中にレベリング剤を含有してなる、W/O型(油中水型)のエマルションインキである。
【0012】
<インキの印刷用紙への浸透メカニズム>
本発明の孔版印刷用エマルションインキの印刷用紙への浸透メカニズムを、以下に図面を用いて説明する。
通常、孔版印刷装置により、印刷用紙上に印刷されたエマルションインキは、2つの段階を経て乾燥すると考えられる。
まず、第1の段階として、初期乾燥(浸透)が考えられる。図1Aに、印刷直後の初期乾燥(浸透)のモデル図を示す。図1Aに示すように、印刷直後(厳密には、前記孔版印刷装置の押圧手段により印刷部と前記印刷用紙とが接した瞬間)は、機械の物理的な力により、前記エマルションインキそのものが、前記印刷用紙内部へと押し込まれる。ここで、前記印刷用紙上へのインキの転移量は、前記印刷用紙の種類や前記印刷部からのインキの切れなどが影響するが、前記印刷用紙内部への浸透のみを考えると、インキ粘度及び物理的な力(圧力)の2つが大きく影響すると考えられ、前記第1の段階では、前記油相の表面張力の影響は殆どないと考えられる。
次に、第2の段階として、前記エマルションインキにおける外相としての前記油相の前記印刷用紙内部への浸透と、表面に残った水の蒸発とが考えられる。図1Bに、前記油相の前記印刷用紙内部への浸透及び前記水相の蒸発のモデル図を示す。図1Bに示すように、前記第2の段階では、表面張力が水よりも低い前記油相成分が、前記印刷用紙内部へと浸透し、前記印刷用紙の表面上に残った前記水相成分中の水が、空気中に蒸発する。
従来のエマルションインキにおいては、前記油相が、オイル、顔料、界面活性剤、樹脂などにより構成されており、該油相の動的表面張力が、30〜40dyn/cmと高く、前記油相成分が、なかなか前記印刷用紙へ浸透し難いという状況であった。このため、前記印刷用紙の表面上に前記エマルションインキの状態で存在し、印刷後の印刷物を手で触ると、インキで手が汚れるという不具合が生じていた。
これに対し、本発明の前記孔版印刷用エマルションインキでは、前記油相中に、前記レベリング剤が含まれているので、前記油相の動的表面張力が低下し、前記印刷用紙内部への前記油相成分の浸透が促進され、その結果、前記印刷用紙上でのインキ定着性が向上される。
【0013】
前記孔版印刷用エマルションインキにおける、前記油相と前記水相との含有割合としては、上述のように、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%の範囲内であればよいが、油相20〜50質量%及び水相50〜80質量%の範囲内であるのが好ましい。
前記油相の混合割合が、10質量%未満であると、充分なインキ保形性を有さないことがあり、90質量%を超えると、物性的にW/O型エマルションとすることの効果が不足してしまうことがある。
【0014】
<油相>
前記油相としては、レベリング剤を少なくとも含有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、油成分、樹脂、乳化剤、着色剤、着色剤分散剤などを含み、更に必要に応じて適宜選択した、酸化防止剤、ゲル化剤、体質顔料、アクリルポリオール樹脂等のW/O樹脂エマルション、などを含有してなるが、本発明の前記孔版印刷用エマルションインキにおいては、前記着色剤、前記体質顔料等の固形成分は、後述する水相に含有しているのが好ましい。この場合、前記油相の表面張力の上昇を抑制し、印刷用紙内部へのインキの浸透を迅速に行うことができる。
なお、水不溶性成分としては、前記着色剤、前記体質顔料、前記W/O樹脂エマルション、高分子化合物等の樹脂などが挙げられる。
【0015】
−レベリング剤−
前記レベリング剤としては、前記油相の動的表面張力を低下させる機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、印刷用紙内部への前記油相の浸透を促進させることができ、インキの前記印刷用紙への定着性を向上させることができる点で、有機変性ポリシロキサンが好適に挙げられる。
【0016】
前記有機変性ポリシロキサンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表されるものが好適に挙げられる。
【化3】

ただし、前記一般式(1)中、R及びR’は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基を表す。a及びbは、0以上の整数を表し、m及びnは、1以上の整数を表す。また、a+bは、1以上の整数であり、mは、次式、m=n+1、を充たす。
【0017】
前記有機変性ポリシロキサンは、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよく、例えば、該市販品としては、例えば、信越化学工業社製のKF−352、KF−945、KF−6015など、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−306、BYK−307、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記レベリング剤の前記油相における含有量(添加量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記油相における油成分に対して1質量%以上が好ましい。
オイル種によっても多少異なるが、前記レベリング剤の含有量が、前記油成分に対して1質量%であると、おおよその臨界ミセル濃度(cmc)に相当し、この濃度未満であると、前記レベリング剤の効果が充分に発揮されないことがある。なお、前記臨界ミセル濃度以上の濃度領域で使用しても、コストが高くなるだけであり、前記レベリング剤の効果は、前記臨界ミセル濃度の場合と略同様である。
【0019】
前記レベリング剤を含む前記油相の動的表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で25dyn/cm以下が好ましく、20dyn/cm〜25dyn/cmがより好ましい。
前記油相の動的表面張力が、25dyn/cm以下であると、従来のインキよりも印刷用紙内部への浸透性が向上する。ここで、該インキの浸透性は、印刷用紙の種類や厚さによっても異なるが、前記油相の動的表面張力を下げすぎると、印刷用紙裏側へ油相成分が抜けてしまう不具合(裏抜け)が発生することがあるため、印刷用紙の種類や厚さにより、前記油相の動的表面張力を、20dyn/cm〜25dyn/cmの範囲内で調整するのが好ましい。
【0020】
−油成分−
前記油成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、鉱物油、植物油などが挙げられる。また、安全性及び保存安定性を阻害しない範囲で、合成油を併用してもよい。
【0021】
前記鉱物油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤、流動パラフィン、スピンドル油、マシン油、潤滑油、などが挙げられ、これらの中でも、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油系溶剤が特に好ましい。
前記パラフィン系オイルとしては、市販品を用いることができ、例えば、エクソンモービル石油社製のガーゴオイルアークティックシリーズ(1010、1022、1032、1046、1068、1100、3032、3046、3068等)、出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル(PX−32、PX−90、PW−32、PW−90、PW−380、PS−32、PS−90、PS−430等)、ダイアナフレシアシリーズ(S−32、S−90、P−32、P−90、P−150、P−180、P−430等)、などが挙げられる。
前記ナフテン系オイルとしては、環分析によるナフテン成分の炭素含有量(CN)が30%以上であり、芳香族成分の炭素の含有量(CA)が20%以下であり、かつパラフィン成分の炭素含有量(CP)が55%以下であるものが好適であり、例えば、出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイル(NP−24、NR−26、NR−68、NS−90S、NM−280等)、ダイアナフレシアシリーズ(G−6、F−9、N−28、N−90、N−150、U−46、U−56、U−68、U−130、U−170、U−260等)、日本サン石油株式会社製のサンセンオイルシリーズ(410、420、450、480、3125、4240等)、などが挙げられる。
前記石油系溶剤としては、市販品を用いることができ、芳香族成分の少ないものとしては、例えば、エクソンモービル社製のアイソパーシリーズ(C、E、G、H、L、M等)及びエクソール(D30、D40、D80、D110、D130等)、日石三菱社製のAFソルベントシリーズ(4号、5号、6号、7号等)、などが挙げられる。
これらの鉱物油は、インキの安定性等を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3質量%未満のものを使用するのが好ましい。
また、変異原性指数(MI)が1.0未満、アロマ分(%C)が20〜55%、及びアニリン点が100℃以下であって、かつオイル全質量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン等の多環芳香族の含有量が、それぞれ10質量ppm以下であり、かつ合計含有量が50質量ppm以下である、安全性の高いアロマー系オイル(例えば、特開平11−80640号公報)も、必要に応じて使用することができる。
【0022】
前記植物油としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、あまに油、トール油、とうもろこし油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、やし油、ゴマ油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、ウォルナッツオイル、ポピーオイル、リンシードオイル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの植物油をエステル化したものを使用することもできる。前記エステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、イソプロピルエステル、プロピルエステル、オクチルエステルなどが挙げられる。
【0023】
前記油成分の前記孔版印刷用エマルションインキにおける含有量(添加量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
前記油成分は、印刷後のインキ乾燥性を考慮すると、ヨウ素価が100以上の、一般に乾性油又は半乾性油と呼ばれるものを使用するのが好ましい。
ここで、前記油成分のヨウ素価は、例えば、市販の食用油脂分析装置により測定することができる。
前記食用油脂分析装置としては、例えば、Oil&Fatアナライザー食用油脂分析装置(ヤキテクノトロン株式会社製)などが挙げられる。
【0024】
前記ヨウ素化が高い乾性油又は半乾性油を使用すると、空気中の酸素と酸化反応を起こすことにより、油の乾燥(固化)が進み、延いては前記植物油を含有している前記孔版印刷用エマルションインキも固化してしまうことがある。その結果、スクリーンの目詰まりや画像立ち上がりが悪化するなどの不具合が生じることがある。このため、特にヨウ素価が高い(不飽和結合が多く含まれる)植物油を使用する際には、前記植物油中の脂肪酸(リノレン酸、リノール酸、オレイン酸など)の酸化を防ぐために、酸化防止剤を前記油相中又は水相中に含有させるのが好ましい。
【0025】
−酸化防止剤−
前記植物油の酸化を防止する目的で使用される酸化防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ジフェニルフェニレンジアミン、イソプロピルフェニルフェニレンジアミン等のアミン系化合物;トコフェロール、ジブチルメチルフェノール等のフェノール系化合物;メルカプトメチルベンゾイミダゾール等の硫黄系化合物;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
ただし、前記植物油の含有量に対して、極めて少量の前記酸化防止剤を添加した場合、適切な酸化防止効果は期待できず、逆に前記植物油の含有量に対して多量の酸化防止剤を一度に添加してしまうと前記酸化促進剤として作用してしまうことがある。したがって、少量の前記酸化防止剤により、前記植物油の酸化を抑えるためには、相乗剤を添加するのが好ましい。
前記相乗剤は、それ自身酸化防止作用を殆ど有さないが、前記酸化防止剤と併用すると、その作用を増強する機能を有する。前記相乗剤は、通常、酸性物質であり、いくつかの水酸基又はカルボキシル基を有する多官能性化合物である。
前記相乗剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、メチオニン、アスコルビン酸、トレオニン、ロイシン、牛乳タンパク質加水分解物、ノルバリン、パルミチン酸アスコルビン、フェニルアラニン、シスチン、トリプトファン、プロリン、アラニン、グルタミン酸、バリン、膵臓タンパクのペプシン消化液、アスパラギン、アルギニン、バルビツール酸、アスフェナミン、ニンヒドリン、プロパニジン、ヒスチジン、ノルロイシン、グリセロリン酸、カゼインのトリプシン加水分解液、カゼインの塩酸加水分解液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記相乗剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記酸化防止剤の含有量に対して、50〜150質量%が好ましい。
なお、長期間放置による孔版印刷機上でのインキ固着が問題となる場合には、ヨウ素価が100以下の植物油を使用してもよい。
【0027】
また、前記酸化防止剤は、前記油相に添加することにより、該油相中のバインダー樹脂などの酸化を防止し、インキの粘度上昇を抑制することができる。
前記バインダー樹脂の酸化を防止する目的で使用される酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤の前記油相における添加量としては、例えば、2質量%以下が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
【0028】
−樹脂−
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロジン;重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性石油樹脂等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴム等のゴム誘導体樹脂;テルペン樹脂;アルキド樹脂;重合ひまし油;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルキド樹脂が特に好ましい。
前記樹脂は、市販品を用いることができ、例えば、前記ロジン変性フェノール樹脂としては、荒川化学工業株式会社製のタマノル353、タマノル403、タマノル361、タマノル387、タマノル340、タマノル400、タマノル396、タマノル354、KG−836、KG−846、KG−1834、KG−1801などが挙げられる。
【0029】
前記アルキド樹脂は、油脂と多塩基酸と多価アルコールとから構成される。
前記油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、ひまし油、米糠油、綿実油などのヨウ素価が80以下の乾性油又は半乾性油、及びこれらの脂肪酸が挙げられる。なお、大豆油、アマニ油、キリ油等のヨウ素価が80を超える乾性油からなるアルキド樹脂も、使用上問題ない濃度範囲内で一部使用することができる。
前記多塩基酸としては、飽和多塩基酸及び不飽和多塩基酸のいずれかを用いることができる。前記飽和多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられる。前記不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビットなどが挙げられる。
前記アルキド樹脂の前記油相における添加量としては、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜6質量%がより好ましい。
【0030】
前記樹脂の重量平均分子量としては、定着性及び印刷適性の点から、3万〜15万が好ましく、5.5万〜15万がより好ましい。更に、前記樹脂は、日石0号ソルベントに対し、溶解性を有するトレランスが1g/g以上、すなわち、1gの前記樹脂に1g以上の前記0号ソルベントが相溶可能であるのが好ましい。
前記樹脂の前記油相における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インキのコスト及び印刷適正の点から、2〜50質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
前記樹脂の重量平均分子量が低い場合及び前記樹脂の含有量が少ない場合には、インキの定着性への効果が小さいことがあり、一方、重量平均分子量が高い場合及び前記樹脂の含有量が多い場合には、インキの粘度が高くなり、ドラム後端からインキが漏れるなどの印刷適性の問題が生じることがある。
【0031】
−乳化剤−
前記乳化剤は、油中水型のエマルションを形成することを目的として使用される。
前記乳化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤のいずれであってもよく、乳化安定性に効果があれば、低分子界面活性剤であってもよいし、高分子界面活性剤であってもよいが、これらの中でも非イオン性界面活性剤が好ましい。
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレート等の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び高級アルコール、などが挙げられる。
前記乳化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳化剤の前記孔版印刷用エマルションインキにおける添加量は、通常、0.5〜15質量%であり、1〜6質量%が好ましい。
【0032】
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、各種色調の公知の顔料、分散染料などを用いることができる。
前記着色剤としては、具体的には、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック類;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料;無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン顔料等のフタロシアニン系顔料;アントラキノン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、イソインドリン系色素、ジオキサンジン系色素、スレン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジゴ系色素、キノフタロン系色素、金属錯体等の縮合多環系顔料;酸性又は塩基性染料のレーキ等の有機顔料;ジアゾ染料、アントラキノン系染料等の油溶性染料;蛍光顔料、などが挙げられる。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記蛍光顔料としては、合成樹脂を塊状重合する際又は重合した後に様々な色相を発色する蛍光染料を溶解又は染着し、得られた着色塊状樹脂を粉砕して微細化した、所謂合成樹脂固溶体タイプのもので、染料を担持する合成樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
前記染料は、耐光性の面で問題があるため、不溶性の着色剤を使用するのが好ましいが、色を補うことを目的として、前記不溶性の着色剤を含む相及び含まない相のいずれか、あるいは両相に添加してもよい。
【0033】
前記着色剤は、通常、油相及び水相のいずれか、あるいは両相に含有されていてもよい。
前記着色剤は、前記油相及び前記水相の少なくともいずれかに分散された状態で存在する。これらの相に分散された不溶性の前記着色剤の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。
前記平均粒径が、0.1μm未満であると、着色剤粒径が関連する画像の定着率やインキ安定性において、所望の効果が得られないことがあり、10μmを超えると、画像の定着率や、インキ安定性に劣ることがある。
【0034】
前記着色剤の前記孔版印刷用エマルションインキにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常は、2〜15質量%が好ましい。
前記含有量が、2質量%未満であると、印刷濃度が不足することがあり、15質量%を超えても、印刷濃度は上がらず、コストの点で不利となることがある。
【0035】
前記着色剤として、前記カーボンブラックを使用する場合、前記油相に添加するカーボンブラックとしては、pHが5未満である酸性のものが好ましい。
前記水相に添加する場合には、pHが5以上であるものが好ましく、pHが5〜10であるものがより好ましく、pHが7〜9であるアルカリ性のものが特に好ましい。
前記油相及び前記水相に前記カーボンブラックを添加する場合には、前記油相に、pHが6〜10のものを添加し、前記水相に、pHが5未満のものを添加してもよい。
また、これらのカーボンブラックは、pHを異なるものを2種以上併用してもよい。
代表的な前記カーボンブラックとして、例えば、市販品では、三菱化学株式会社製のMA−100、MA−7、MA−70、MA−77、MA−11、#40、#44、コロンビヤンカーボン社製のRaven1100、Raven1080、Raven1255、Raven760、Raven410、などが挙げられる。
【0036】
−着色剤分散剤−
前記着色剤分散剤としては、エマルションの形成を阻害しないものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記乳化剤として使用される前記非イオン性界面活性剤、及び後述する水溶性高分子化合物を使用することもできる。
前記着色剤分散剤としては、例えば、ソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリンポリリシノレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド等の非イオン性界面活性剤;アルキルアミン系高分子化合物、アルミニウムキレート系化合物、スチレン−無水マレイン酸系共重合高分子化合物、ポリカルボン酸エステル型高分子化合物、脂肪族系多価カルボン酸、高分子ポリエステルのアミン塩類、エステル型アニオン界面活性剤、高分子量ポリカルボン酸の長鎖アミン塩類、長鎖ポリアミノアミドと高分子酸ポリエステルとの塩、ポリアミド系化合物、燐酸エステル系界面活性剤、アルキルスルホカルボン酸塩類、スルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩類、ジオクチルスルホコハク酸塩類、ポリエチレンイミン、アルキロールアミン塩、アルキド樹脂等の不溶性着色剤分散能を有する樹脂、などが挙げられる。この他にも、インキの保存安定性を阻害しない範囲であればイオン性界面活性剤、両親媒性界面活性剤なども使用することができる。これらの着色剤分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記着色剤分散剤の具体例としては、例えば、日本ルーブリゾール社製のソルスパーズシリーズ(S3000、S5000、S9000、S13240、S13940、S16000、S17000、S20000、S24000、S26000、S27000、S28000、S31845、S31850、S32550、S34750、S41090、S53095等)、味の素ファインテクノ社製のプレーンアクトAL−M、アジスパーシリーズ(PB711、PM821、PB821、PB811、PN411、PA111等)Air Products社製のSurfynolシリーズ(GA、TG、CT−221、CT−121等)、日信化学工業社製のオルフィンPDシリーズ(001、002W、003、004、005等)、日光ケミカルズ社製のTMGS−15、TMGO−15、Decaglynシリーズ(1−L、1−M、1−O等)、TL−10、TP−10、TO−10、TI−10、BL−21、BC−15TX、BC−23、BC−30TX、BC−40TX、BS−20、BO−10TX、TAMNS−10、TAMNS−15、TAMNO−5、TAMNO−15、TDMNS−8、OTP−100、OTP−75、などが挙げられる。
【0038】
前記着色剤分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記着色剤の総質量の40質量%以下が好ましく、2〜35質量%がより好ましい。
なお、前記アルキド樹脂は、高分子量の樹脂を含有するときの前記着色剤の分散安定性に特に効果があるが、該アルキド樹脂を単独、又は他の分散剤と併用して使用する場合の該樹脂の含有量としては、該着色剤1質量部に対して、0.05質量部以上であるのが好ましい。
【0039】
−ゲル化剤−
前記ゲル化剤は、油相に含まれる樹脂をゲル化してインキの保存安定性、定着性、及び流動性等を向上させる機能を有する。
前記ゲル化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記油相中の樹脂と配位結合する化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、Li、Na、K、Al、Ca、Co、Fe、Mn、Mg、Pb、Zn、Zr等の金属を含む有機酸塩、有機キレート化合物、金属石鹸オリゴマーなどが挙げられる。具体的には、オクチル酸アルミニウム等のオクチル酸金属塩、ナフテン酸マンガン等のナフテン酸金属塩、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の有機キレート化合物、などが挙げられる。
これらのゲル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記油相中の樹脂の総質量の15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
【0040】
−体質顔料−
前記体質顔料は、インキの滲み防止、粘度調整の目的で使用される。
前記体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機微粒子及び有機微粒子が挙げられる。
前記無機微粒子としては、具体的には、白土、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、有機ベントナイト、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、ケイソウ土、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム、などが挙げられる。
前記有機微粒子としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの共重合体からなる微粒子、などが挙げられる。これらの体質顔料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記体質顔料の具体例としては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジル200、300、380、アエロジルR972等、白石工業者製の白艶化TDD、白艶化O、NEW D ORBEN、豊順洋行社製のBEN−GEL、S−BEN、ORGANITE等、ズードケミー触媒社製のTIXOGELシリーズ(VP、VP−A、VZ、MP、MPI、MPG、MP100、MP250、EZ100、UN等)、OPTIGELなどが挙げられる。
前記体質顔料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記孔版印刷用エマルションインキの総質量の0.1〜50質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
なお、前記体質顔料は、油相及び水相のいずれか、あるいは両相に含有されていてもよい。
【0041】
また、前記油相には、ワックスを添加してもよい。この場合、印刷時に印刷用紙と印刷ドラムとの分離が容易に行われ、印刷用紙の巻き上がりを防止することができる。
前記ワックスとしては、特に制限はなく、公知の孔版印刷用インキに使用されているものの中から適宜選択することができ、その添加量としては、従来の孔版印刷用インキにおける添加量と同程度でよい。
【0042】
<水相>
前記水相の組成としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で目的に応じて適宜選択することができ、通常は、水、電解質、防腐・防かび剤、水の蒸発防止剤、水の凍結防止剤、水溶性高分子化合物、水中油型(O/W)樹脂エマルション、pH調整剤、体質顔料等の成分からなるが、本発明の前記孔版印刷用エマルションにおいては、前記水相に、着色剤等の固形成分を含有しているのが好ましい。
従来より、前記固形成分は、前記油相中に添加していたが、該油相中に添加すると、前記油相の表面張力が高くなり、印刷用紙内部へのインキの浸透が迅速に行われないことがあった。これに対し、前記固形成分を前記水相に含有させると、前記油相の表面張力の上昇が抑制されるので、印刷用紙内部へのインキの浸透が迅速に行われる。
また、前記水相に前記着色剤を含有させる場合、該水相に、該着色剤と共に着色剤分散剤を含有させると共に、更に前記油相にも前記着色剤分散剤を含有させてもよい。この場合、エマルションの保存安定性を高めることができる。
なお、前記着色剤、前記着色剤分散剤及び前記体質顔料の詳細については、上述した通りである。
【0043】
−水−
前記水としては、清浄であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
【0044】
−電解質−
前記電解質は、エマルションの保存安定性を高める目的で使用される。
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の陽イオンと、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、塩素イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンとからなる電解質を使用することができる。これらの中でも、前記水相に添加される水不溶性顔料、体質顔料、O/W樹脂エマルション等などの凝集防止とエマルションの形状安定性とを両立させるためには、前記陽イオンとしては、1価のリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、などが好ましい。したがって、添加される電解質としては、硫酸リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウムなどが好ましい。これらの電解質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、エマルションの形状安定性と粉体の分散安定性に影響しない範囲では、マグネシウムイオン等の2価の陽イオンからなる硫酸マグネシウムなどの電解質を併用してもよい。
前記電解質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記水相の総質量の0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2.0質量%がより好ましい。
【0045】
−防腐・防かび剤−
前記防腐・防かび剤は、前記孔版印刷用エマルションインキ内での細菌やかびの繁殖を抑制する目的で添加され、該エマルションインキを長期保存する場合に添加するのが好ましい。
前記防腐・防かび剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サリチル酸、フェノール類、p−オキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸エチル等の芳香族ヒドロキシ化合物及びその塩素化合物のほか、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、MIT(メチルイソチアゾリン)、BIT(ブチルイソチアゾリン)、OIT(オクチルイソチアゾリン)等のチアゾリン系化合物などが挙げられる。これらの防腐・防かび剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐・防かび剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記インキ中の水の総質量の3質量%以下が好ましく、0.1〜1.2質量%がより好ましい。
【0046】
−水の蒸発防止剤及び水の凍結防止剤−
前記水の蒸発防止剤及び前記水の凍結防止剤は、兼用することができる。
前記水の蒸発防止剤及び前記水の凍結防止剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等の低級飽和一価アルコール;グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール;などが挙げられる。
これらの水の蒸発防止剤及び水の凍結防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の蒸発防止剤又は前記水の凍結防止剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記インキ中の水の総質量の15質量%以下が好ましく、4〜12質量%がより好ましい。
【0047】
−水溶性高分子化合物−
前記水溶性高分子化合物は、インキの保湿や増粘、前記着色剤乃至前記体質顔料の分散及び固着、乳化安定性を調整する目的で使用される。なお、前記水溶性高分子化合物は、前記油相に添加してもよいし、前記水相及び前記油相の両方に添加してもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然高分子化合物、半合成高分子化合物、合成高分子化合物、などが挙げられる。
【0048】
前記天然高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、ブルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼインなどが挙げられる。
前記半合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプンなどが挙げられる。
前記合成高分子化合物としては、例えば、アクリル酸樹脂、ポリアクリル酸ナトリウム等の中和物;アルキル変性アクリル酸樹脂;ポリビニルイミド;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンイミン;ポリアクリルアミド;ポリN−アクリロイルピロリジン、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等のポリN−アルキル置換アクリルアミド;ポリエチレンオキサイド;ポリビニルメチルエーテル;スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体及びこれらをアルキル基で部分的に疎水した高分子化合物;などが挙げられる。また、アクリルアミド系ポリマー及びアクリル系のポリマーにおいては、置換基を部分的にアルキル基で疎水化した共重合タイプのポリマーであってもよい。更に、ポリエチレンとポリプロピレン又はポリブチレンのAB若しくはABAタイプとのブロック共重合体を用いることもできる。
これらの水溶性高分子化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記水溶性高分子化合物の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,000〜100万が好ましく、500〜30万がより好ましく、1万〜15万が特に好ましい。
前記水溶性高分子化合物の含有量としては、耐水性に影響を及ぼさない範囲であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記インキ中の水の総質量の25質量%以下が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0050】
−水中油型(O/W)樹脂エマルション−
前記水中油型(O/W)樹脂エマルションとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、合成高分子化合物でもよいし、天然高分子化合物でもよい。なお、前記水中油型(O/W)樹脂エマルションは、前記油相に添加してもよいし、前記水相及び前記油相の両方に添加してもよい。
前記合成高分子化合物としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、前記油相に添加することができる高分子化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、前記油中水型エマルションインキの安定性を阻害しない範囲で使用することができる。
前記水中油型樹脂エマルションの分散方法としては、特に制限はなく、分散剤、保護コロイド、界面活性剤などを添加して行ってもよい。
前記水中油型樹脂エマルションの合成方法としては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、ソープフリー乳化重合などが挙げられる。
前記水中油型樹脂エマルションの最低造膜温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以下が好ましい。
また、前記水中油型樹脂エマルションの粒子径としては、通常、0.1〜30μmであり、0.5〜5μmが好ましい。
【0051】
−pH調整剤−
前記pH調整剤は、必要に応じて添加することにより、前記水相のpHを、6〜8に保つことができる。前記水相のpHが、この範囲内から外れると、前記水溶性高分子化合物が添加されている場合に、その効果が損なわれることがある。
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アンモニア、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、トリアミルアミン、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
また、前記pHを一定に保つために緩衝剤を添加してもよく、該緩衝剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、4−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、4−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、Aldrich社製のTrizma baseなどが挙げられる。
前記緩衝剤の添加量としては、例えば、前記水相成分の約0.05〜0.1質量%が好ましい。
【0052】
また、前記水相には、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウムなどを添加してもよい。この場合、前記水溶性高分子化合物の添加による高粘度化を更に増進させることができる。
更に、前記水相には、印刷の際に印刷機がインキによって錆びるのを抑制するために、防錆剤を添加してもよいし、インキの泡立ちを抑制するために、消泡剤を添加してもよい。
これらの添加剤としては、特に制限はなく、公知の孔版印刷用インキに使用されているものの中から適宜選択することができ、その添加量としては、従来の孔版印刷用インキにおける添加量と同程度でよい。
【0053】
<孔版印刷用エマルションインキの製造方法>
本発明の前記孔版印刷用エマルションインキの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、常法により油相及び水相液を予め別々に調製し、次いで、前記油相と水相とを混合して、ディスパーミキサー、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー等の公知の乳化機内で乳化させることにより製造することができる。
具体的には、前記レベリング剤、前記油成分、前記樹脂、前記乳化剤、更に必要に応じて前記着色剤などを混合し、ホモミキサーにて攪拌する。その後、ビーズミルを用いて分散処理を行って油相を調製する。一方、前記水、前記凍結防止剤、前記抗菌剤、前記電解質、更に必要に応じて、前記油相に前記着色剤を添加しない場合には、前記着色剤等を混合し、この混合液を水によく溶解させて水相を調製する。次いで、乳化機を使用し、前記油相液を仕込んで液を撹拌しながら、徐々に前記水相液を添加して乳化させることにより、孔版印刷用エマルションインキを製造することができる。
本発明の孔版印刷用エマルションインキの粘度としては、特に制限はなく、攪拌条件等により適宜調整することができるが、ずり速度20sec−1のときの粘度が、3〜40Pa・sが好ましく、10〜30Pa・sがより好ましい。
【0054】
<用途>
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、孔版印刷機上では乾燥せず、印刷後の印刷用紙への定着性に優れるので、例えば、感熱孔版印刷に好適に使用することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】
(実施例1)
−孔版印刷用エマルションインキの作製−
表1に示す処方に従い、油相及び水相をそれぞれ常温で調製した。即ち、まず、着色剤、着色剤分散剤、油成分、乳化剤、レベリング剤、及び樹脂を混合し、ホモミキサー(「T.K.HOMOMIXER」;特殊機化社製)を用いてプレ分散を行った。その後、ビーズミル(「LMZ0.6」;アシザワ社製)を用いて本分散を行って油相を調製した。
次に、表1に示す処方に従い、水溶性高分子化合物、水、凍結防止剤、電解質、及び抗菌剤を混合して水相を調製した。
次いで、乳化機(「乳化試験機ET−3A型」;日光ケミカルズ株式会社製)を使用し、前記油相を仕込んで液を撹拌しながら、徐々に前記水相を添加し、乳化することにより、実施例1の孔版印刷用エマルションインキを作製した。
【0057】
(実施例2〜5)
−孔版印刷用エマルションインキの作製−
実施例1において、油相の組成を、表1及び表2に示す組成に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5の孔版印刷用エマルションインキを作製した。
【0058】
(実施例6)
−孔版印刷用エマルションインキの作製−
実施例1において、表2に示すように、着色剤を、油相中に添加する代わりに水相中に添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の孔版印刷用エマルションインキを作製した。
【0059】
(比較例1)
−孔版印刷用エマルションインキの作製−
実施例3において、表2に示すように、油相中にレベリング剤を添加しなかった以外は、実施例3と同様にして、比較例1の孔版印刷用エマルションインキを作製した。
【0060】
(比較例2)
−孔版印刷用エマルションインキの作製−
実施例6において、表2に示すように、油相中にレベリング剤を添加しなかった以外は、実施例6と同様にして、比較例2の孔版印刷用エマルションインキを作製した。
【0061】
<油相の動的表面張力の測定>
以上により得られた実施例1〜6及び比較例1〜2の孔版印刷用エマルションインキについて、動的表面張力計(「f10」;SITA社製)を用いて、25℃における油相の動的表面張力を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0062】
<印刷後のインキの印刷用紙への定着性の評価>
実施例1〜6及び比較例1〜2の孔版印刷用エマルションインキを用いて、印刷後のインキの印刷用紙への定着性を下記方法により評価した。
即ち、実施例1〜6及び比較例1〜2の孔版印刷用エマルションインキを用いて、東北リコー社製Satelio A650により、ある所定画像を印刷した後、印刷後の画像の所定位置を消しゴムで擦り、擦り前後の画像濃度を、反射式光学濃度計(「RD914」;マクベス社製)を用いて測定し、画像濃度比(%)((擦り後の画像濃度)/(擦り前の画像濃度)×100)を算出した。結果を表1及び表2に示す。なお、画像濃度比は、高いほど、印刷後の印刷用紙への定着性に優れることを意味する。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
表1及び表2中、油相及び水相の各成分は、以下の通りである。
・カーボンブラック1:Raven760(コロンビヤンカーボン社製)
・カーボンブラック2:MA77(三菱化学社製)
・非イオン性界面活性剤1:ヘキサグリセリンポリリシノレート(日光ケミカルズ社製)
・非イオン性界面活性剤2:Sulfynol GA(エアプロダクツ社製)
・ナフテン系オイル:SUNTHEN380(日本サン石油社製)
・大豆メチルエステル:Vertecbio Gold #4(Vertec Biosolvents社製)
・ソルビタンモノオレート:SO−10(日光ケミカルズ社製)
・有機変性ポリシロキサン(レベリング剤):BYK−307(ビックケミー・ジャパン社製)
・アルキド樹脂:大豆油アルキド樹脂(荒川化学社製)
・ポリビニルピロリドン:Luvitec K30溶液(BASF社製)
・グリセリン:グリセリン(日本油脂社製)
・硫酸マグネシウム:硫酸マグネシウム7水和物(関東化学社製)
・有機窒素系硫黄化合物:デルトップ512(日本エンバイロケミカルズ社製)
【0066】
表1及び表2に示す結果より、油相にレベリング剤を含有する実施例1〜6の孔版印刷用エマルションインキは、レベリング剤を含有しない比較例1〜2の孔版印刷用エマルションインキに比して、油相の動的表面張力が低下しており、油相に着色剤を含有した系である実施例1〜5は、これらと同系である比較例1に比して、水相に着色剤を含有した系である実施例6は、これと同系である比較例2に比して、それぞれ印刷後の印刷用紙へのインキの定着性に優れることが判った。特に、実施例3と比較例1とを比較し、実施例6と比較例2とを比較すると、実施例では、比較例に比して画像濃度比が5%以上向上していることが判った。
また、油成分に対するレベリング剤の含有量が、1質量%以上であり、動的表面張力が25dyn/cm以下である実施例3〜6の孔版印刷用エマルションインキは、実施例1〜2の孔版印刷用エマルションインキに比して、より印刷後の定着性に優れていることが判った。
更に、油成分に対するレベリング剤の含有量が同一である、実施例3及び実施例6の孔版印刷用エマルションインキを比較すると、水相に固形成分(着色剤)を含有する実施例6の孔版印刷用エマルションインキは、油相に固形成分を含有する実施例3の孔版印刷用エマルションインキに比して、定着後の印刷用紙への定着性が高いことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の孔版印刷用エマルションインキは、印刷後の印刷用紙への定着性に優れるので、例えば、感熱孔版印刷機による孔版印刷などに使用するインキとして非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】図1Aは、印刷直後のエマルションインキの初期乾燥(浸透)を示すモデル図である。
【図1B】図1Bは、エマルションインキにおける、油相の印刷用紙への浸透及び水の蒸発を示すモデル図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含んでなり、該油相中にレベリング剤を含有することを特徴とする孔版印刷用エマルションインキ。
【請求項2】
レベリング剤が、有機変性ポリシロキサンである請求項1に記載の孔版印刷用エマルションインキ。
【請求項3】
有機変性ポリシロキサンが、下記一般式(1)で表される請求項2に記載の孔版印刷用エマルションインキ。
【化1】

ただし、前記一般式(1)中、R及びR’は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基を表す。a及びbは、0以上の整数を表し、m及びnは、1以上の整数を表す。また、a+bは、1以上の整数であり、mは、次式、m=n+1、を充たす。
【請求項4】
レベリング剤の含有量が、油相における油成分に対して1質量%以上である請求項1から3のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
【請求項5】
油相の動的表面張力が、25℃で25dyn/cm以下である請求項1から4のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。
【請求項6】
水相が、固形成分を含有する請求項1から5のいずれかに記載の孔版印刷用エマルションインキ。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2008−274095(P2008−274095A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118966(P2007−118966)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】