説明

学習係数制御装置

【課題】学習係数が制限値を超えても制限値内で学習係数を制御してモデル誤差を修正する学習係数制御装置。
【解決手段】2個以上のモデルに基づき1つの物理量を予測するプロセスモデルについて物理量の予測値と実績値との差に基づき学習演算部10で各々のモデルの学習係数を算出し、一方のモデルの予測値を変更したときに最終的に求められる物理量の予測値が変わらないように他方のモデルの予測値を変更する補正値を得るために必要な変換係数を変換係数演算部14で演算し、一方のモデルの学習係数が第1制限値を超えた場合に学習係数修正値演算部17からのモデルの学習係数の修正値と変換係数平均値演算部19からの変換係数の平均値とに基づき一方のモデルの学習係数を修正したことで発生する予測値の変化量を他方のモデルで補償するモデルの補正値をモデル補正値演算部20で演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属等を圧延するプロセスに係わり、特に圧延プロセスを表現したモデルのパラメータを修正する学習係数制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、プロセスの制御においては、プロセスの現象を表現したモデルが作成され、このモデルに対して制御系が構築されて制御が実施される。従って、最終製品の制御精度は、モデルがいかに精度良くプロセスを表現しているか、ということに大きく関係している。そこで、プロセスとモデルの誤差を埋めるため、モデルの学習を行い、モデルの精度向上が図られている。
【0003】
一般に圧延モデルの予測精度を向上させるために、圧延実績値と圧延モデル予測値との誤差を埋める学習制御が行われている。圧延モデルの代表的なものとして荷重モデルがあり、この荷重モデルの制御方法として式(1)に示すような学習係数

で予測精度を向上させる学習方法がある。
【0004】

ここで、

である。
【0005】
学習係数は圧延実績値と圧延モデル予測値の比で表され、圧延モデル誤差の生じやすい因子で区分された層別テーブルを用いて層別毎に学習される。具体的には、特許文献1に記載されているように、鋼種、圧延サイズ及びワークロール別に学習区分を層別化することで、圧延材や圧延スタンドの違いによる圧延モデルの誤差を学習し、圧延モデルの精度向上が図られている。
【0006】
また、学習係数は実績値の異常により、算出される学習係数も異常な値となる場合がある。これはモデルが原因で異常値となった訳ではないため、そのような異常値を学習してはならない。このため、一般的に学習係数には制限値が設けられており、学習係数が制限値を超えた場合、学習係数は無視、または制限値内の予め決められた値に置き換えられて学習される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−180321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、学習係数を層別化して学習及び記憶することにより、モデルの予測精度は向上されるが、この層別毎の学習係数には以下に示すような問題がある。
【0009】
モデル式のパラメータが適切でない場合、または予め設定された制限値が適正でない場合には、ある層別に対して算出された学習係数が正しい値であっても、制限値を超えることがある。これらの場合も当該学習係数は無視、または制限値内の予め決められた値に置き換えられて学習される。このため、次の圧延材では学習係数が適切でないために、圧延モデルの予測精度を向上することができない。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、学習係数が制限値を超えた場合でも、層別化した学習係数を修正し、制限値内で学習係数を制御することにより、効率良くモデル誤差を修正することができる学習係数制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、プロセスを表現した少なくとも2個のモデルに基づき最終的に1つの物理量を予測するプロセスモデルについて、物理量の予測値と実績値との差に基づき各々のモデルの学習係数を算出する学習演算部と、各々のモデルの学習係数を各々のモデルに対して用意された層別テーブルに記憶する記憶部と、前記物理量の実績値に基づき一方のモデルの予測値を変更したときに最終的に求められる物理量の予測値が変わらないように他方のモデルの予測値を変更するための補正値を得るために必要な変換係数を演算する変換係数演算部と、前記変換係数演算部で演算された変換係数を記憶する変換係数記憶部と、前記記憶部に記憶された一方のモデルの学習係数が予め設定した第1制限値を超えた場合、当該モデルの学習係数の修正値を演算する学習係数修正値演算部と、前記変換係数記憶部に記憶されている変換係数の平均値を演算する変換係数平均値演算部と、前記学習係数修正値演算部で演算された学習係数の修正値と前記変換係数平均値演算部で演算された変換係数の平均値とに基づき、一方のモデルの学習係数を修正したことにより発生する予測値の変化量を他方のモデルで補償するためのモデルの補正値を演算するモデル補正値演算部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モデル補正値演算部が学習係数修正値演算部で演算された学習係数の修正値と変換係数平均値演算部で演算された変換係数の平均値とに基づき、一方のモデルの学習係数を修正したことにより発生する予測値の変化量を他方のモデルで補償するためのモデルの補正値を演算するので、学習係数が予め設定した制限値を超えた場合でも、層別化された学習係数を修正し、制限値内で学習係数を制御することにより効率良くモデル誤差を修正し、モデルの精度向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の学習係数制御装置の構成を冷間タンデム圧延機に適用した構成図である。
【図2】実施例1の学習係数制御装置内の変換係数記憶部の詳細図である。
【図3】実施例1の学習係数制御装置内の学習係数修正部の効果を示す図である。
【図4】実施例1の学習係数制御装置内の学習係数修正部の効果を示す図である。
【図5】実施例1の学習係数制御装置内の補正値記憶部の詳細図である。
【図6】実施例2の学習係数制御装置の構成を冷間タンデム圧延機に適用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例1の学習係数制御装置を冷間タンデム圧延機の圧延モデルに適用した例を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は実施例1の学習係数制御装置の構成を冷間タンデム圧延機に適用した構成図である。図1において、圧延機は、第1スタンド1から第5スタンド5まで5機をタンデムに配置して構成されている。圧延材6は、矢印7の方向に所望の製品に圧延され、図示しないコイラーにより巻き取られる。各圧延機は、図示しない圧延荷重等を測定する装置を備えている。さらに、第5スタンド5の出側には圧延材6の板厚を測定する板厚検出装置8が設けられている。
【0016】
冷間圧延機の各アクチュエータの設定値は、予め与えられた圧延情報から圧延モデルを用いて所望の製品を得るように計算される。例えば、荷重モデルを式(2)、変形抵抗モデルを式(3)と表すことで圧延荷重を予測することができる。
【0017】

ここで、

である。なお、式(2)には張力の影響関数が含まれているため、荷重と変形抵抗の間には非線形な関係がある。通常、圧延モデルは誤差をもっているため、次に述べる学習制御を行うことで、圧延モデルの精度向上が図られている。
【0018】
学習係数制御装置9は、学習演算部10、記憶部11、変換係数演算部14、変換係数記憶部15、学習係数監視部16、学習係数修正値演算部17、学習係数修正部18、変換係数平均演算部19、モデル補正値演算部20、補正値記憶部21を有している。
【0019】
図示しない実績データ収集装置は、圧延中に圧延実績値を収集する。学習演算部10は、実績データ収集装置で収集された圧延実績値を用いて圧延実績値と圧延モデル予測値との比又は差を学習係数として演算し、平滑化処理を行う。記憶部11は、学習演算部10で平滑化処理された学習係数を層別化された学習係数テーブルに記憶する。次材設定計算においては、記憶部11に記憶された最新の学習係数(学習値)を用いて各アクチュエータの初期値が演算される。
【0020】
前述した圧延モデルの場合、記憶部11は、予測計算を構成する2つのモデル(荷重モデルと変形抵抗モデル)に対して、荷重学習テーブル12と変形抵抗学習テーブル13とを設けている。例えば、荷重学習テーブル12は、鋼種、目標板厚及び圧延スタンドに層別化されている。変形抵抗学習テーブル13は、鋼種及び圧延スタンドに層別化されている。
【0021】
次に、実施例1の学習係数制御装置の特徴とする構成が図1〜図5を用いて説明される。実施例1の学習係数制御装置では、前述した圧延モデルは下記のように表現される。
【0022】

ここで、

である。ここで、

は、本発明を実施するために新しく設けられたモデルの補正値である。
【0023】

は、荷重モデル(一方のモデル)の荷重学習係数を修正したときに、荷重予測値(物理量の予測値)が変わらないように変形抵抗モデル(他方のモデル)を変更するための補正値である。荷重学習係数を修正する場合、荷重予測値

は荷重学習係数の変更前の荷重予測値と同じでなければならない。このため、変形抵抗モデルを式(5)で表し、荷重学習係数の修正による影響をモデルの補正値

で補正する。以下に、この補正値の求め方と使用方法を説明する。
【0024】
変換係数演算部14は、式(4)に基づいて荷重に対する変化量と等価な変形抵抗の変化量に置き換えるための変換係数αを求める。前述したように、荷重と変形抵抗には非線形な関係があるため、荷重学習係数を変更した場合のモデルの補正値を解析的に求めるのは難しい。このため、以下に述べる変換係数を介してモデル補正値を演算する。
【0025】
変換係数演算部14は、圧延実績値に基づき、変形抵抗計算値

を計算し、変形抵抗計算値

を用いて荷重計算値

を計算する。その後、変換係数演算部14は、変形抵抗計算値

を例えば10%変更して変形抵抗変更値

とし、変形抵抗変更値

を用いて変形抵抗を変化させたときの荷重計算値

を計算する。そして、変換係数演算部14は、荷重と変形抵抗とのそれぞれについて変更前と変更後の比を求め、両者の比が同じになるように変換係数

を導入し、式(6)の演算を行う。
【0026】

ここで、

である。つまり式(6)の演算により、モデルの補正値

を演算するための変換係数

が求まる。
【0027】
変換係数演算部14は、式(6)の変換係数を演算した後、変換係数記憶部15に変換係数を出力する。上記の計算方法を用いることにより、関連するモデル間の関係が非線形である場合でも、また数式モデルを変更した場合でも、モデル間の変換関係を容易に演算できる。
【0028】
変換係数記憶部15は、荷重学習テーブル12と同様に、鋼種、目標板厚及び圧延スタンドに層別化された図2に示す変換係数テーブル22に変換係数演算部14で演算された変換係数を記憶する。これにより、層別区分毎の最新の変換係数を保持することができる。
【0029】
学習係数監視部16は、荷重学習テーブル12の鋼種及び圧延スタンドに層別化された目標板厚区分の学習係数の最大値あるいは最小値が予め設定した制限値、例えば学習係数の上下限値を超えた場合に、学習係数修正値演算部17と変換係数平均値演算部19へ実行命令を伝送する。
【0030】
これにより、学習係数の修正タイミングを制限値の取り方により設定できる。なお、上記では学習係数監視部16の監視すべき制限値を学習係数の上下限値としたが、これに限定されない。例えば、学習係数の上下限値の範囲を20%狭くした時の上下限を監視すべき制限値とすると、学習係数が学習係数の上下限値を超える前に実行命令を伝送することができ、学習係数を早期に修正することができる。
【0031】
学習係数修正値演算部17は、記憶部11に記憶されている荷重学習テーブル12の鋼種及び圧延スタンドに層別化された目標板厚区分の荷重学習係数の平均値を修正値として式(7)により演算する。
【0032】

ここで、

である。その後、学習係数修正値演算部17は、学習係数修正部18とモデル補正値演算部20に学習係数の修正値を出力する。
【0033】
これにより、後述する学習係数修正部18が荷重学習係数を修正する際に、目標板厚区分1~Nの全体の学習係数の挙動を考慮することができ、荷重学習係数を学習の有効範囲内に修正することで、安定なモデル学習を行える。
【0034】
また、学習係数修正値演算部17は、記憶部11に記憶されている荷重学習テーブル12の鋼種及び圧延スタンドに層別化された目標板厚区分の中で、学習係数の最大値と最小値を加算して加算結果を2で除算した除算結果を修正値として演算することもできる。これにより、一つの区分の学習係数のみが特異な値となる場合でも、修正量が大きいため、学習係数を学習の有効範囲内に修正することで、安定なモデル学習を行える。
【0035】
学習係数修正部18は、荷重学習テーブル12の当該圧延材の鋼種区分番号及び圧延スタンド区分番号に対応する目標板厚区分の学習係数に対して、式(8)の演算、すなわち学習係数修正値演算部17で演算される修正値で目標板厚区分の各学習係数を除算し、荷重学習テーブル12の荷重学習係数を更新する。
【0036】

ここで、

である。
【0037】
図3は、修正値が荷重学習テーブル12の鋼種及び圧延スタンドに層別化された目標板厚区分の平均値である場合の荷重学習係数の修正例を示す。学習係数の有効範囲は

である。荷重学習係数の修正前では目標板厚区分1の荷重学習係数が上限値を超えている。荷重学習係数を修正することにより、各目標板厚区分の荷重学習係数が全体的に下がり、目標板厚区分1の荷重学習係数が有効範囲内に修正されている。
【0038】
さらに、図4は、修正値が荷重学習テーブル12の鋼種及び圧延スタンドに層別化された目標板厚区分の学習係数の最大値と最小値を加算して加算結果を2で除算した除算結果である場合の荷重学習係数の修正例を示す。学習係数の有効範囲は上記と同様である。この場合には学習係数の修正量が大きいため、目標板厚区分1の荷重学習係数がより有効範囲内に修正されている。
【0039】
変換係数平均値演算部19は、学習係数監視部16から実行命令を受け取ると、図2に示す変換係数記憶部15の変換係数テーブル22に記憶されている鋼種及び圧延スタンドに層別化された目標板厚区分の変換係数の平均値を式(9)により演算する。
【0040】

ここで、

である。その後、変換係数平均値演算部19は、式(9)で演算された変換係数の平均値をモデル補正値演算部20に出力する。
【0041】
モデル補正値演算部20は、変換係数平均値演算部19で演算された変換係数の平均値と学習係数修正値演算部17で演算された学習係数修正値を用い、式(10)で表現されるモデルの補正値を演算する。
【0042】

ここで、

である。これにより、荷重学習係数の修正に伴う変形抵抗モデルの補正値を求めることができる。
【0043】
補正値記憶部21は、変形抵抗学習テーブル13と同様の鋼種及び圧延スタンドに層別化した図5に示す補正値テーブル23に、モデル補正値演算部20で演算された補正値を記憶する。次回、同条件の圧延が行われた際には、変形抵抗は式(5)で計算され、荷重学習係数の修正に伴う荷重予測値の影響を変形抵抗で補正する。
【0044】
このことは、荷重予測値の目標板厚区分による全体的なずれを変形抵抗モデルの誤差に起因していると考えることに他ならない。このため、式(5)により変形抵抗を演算することで変形抵抗の予測精度が向上し、これを用いた他の圧延モデルの精度を向上することができる。
【実施例2】
【0045】
図6は実施例2の学習係数制御装置の構成を冷間タンデム圧延機に適用した図である。実施例2の学習係数制御装置においても、実施例1の学習係数制御装置と同一の対象に適用される。
【0046】
実施例2の学習係数制御装置は、実施例1の学習係数制御装置の構成にさらに、補正値監視部24とオペレータ表示画面25(表示部に対応)とを追加した点が異なる。以下、実施例1の学習係数制御装置と異なる構成のみを説明する。
【0047】
補正値監視部24は、モデル補正値演算部20で演算される補正値が予め設定した制限値を超えたかどうかを監視し、補正値が制限値を超えた場合にオペレータ表示画面25にアラームを出力する。これにより、オペレータへ早期にモデル調整時期を知らせることができ、迅速なモデルの調整に繋がるため、モデルの精度を向上することができる。
【0048】
また、補正値監視部24は、モデル補正値演算部20で演算される補正値が予め設定した制限値を超えた場合に記憶部11にアラームを出力して保存することもできる。これにより、調整員へモデルの調整時期を知らせることができる。即ち、学習係数の修正履歴をモデル調整員が確認することができ、迅速なモデルの調整に繋がるため、モデルの精度を向上することができる。
【0049】
モデルの補正値が制限値を超えるような場合では、モデルの予測精度が悪いことを意味する。このため、モデルパラメータの再調整が必要であり、補正値監視部24により、モデルの調整時期を早期に知ることができる。
【0050】
なお、変形抵抗モデルの補正値が乗算的な形で記載されたが、これに限定されない。また、各圧延モデルの学習係数が乗算的な形で記載されたが、これに限定されない。以上のことから、安定かつ精度の高いモデルの学習を実施できる。
【0051】
実施例1及び実施例2では、モデルを荷重モデルと変形抵抗モデルとして説明したが、その他の学習区分の異なるモデル間、例えば荷重モデルと摩擦係数モデル、トルクモデルと変形抵抗モデル等でも本発明は、実施することができる。
【0052】
また、本発明は、熱間圧延機やシングルミル等すべての圧延機を対象とすることができる。さらに、本発明はプロセスを圧延プロセスとしたが、これに限定されるものではなく、加熱・冷却プロセス等モデルを用いて制御しているプロセスであればすべて適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、冷間タンデム圧延機、熱間圧延機やシングルミル等のすべての圧延機に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1〜5 圧延機
6 圧延材
7 圧延方向
8 板厚検出装置
9,9a 学習係数制御装置
10 学習演算部
11 記憶部
12 荷重学習テーブル
13 変形抵抗学習テーブル
14 変換係数演算部
15 変換係数記憶部
16 学習係数監視部
17 学習係数修正値演算部
18 学習係数修正部
19 変換係数平均値演算部
20 モデル補正値演算部
21 補正値記憶部
22 変換係数テーブル
23 補正値テーブル
24 補正値監視部
25 オペレータ表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスを表現した少なくとも2個のモデルに基づき最終的に1つの物理量を予測するプロセスモデルについて、物理量の予測値と実績値との差に基づき各々のモデルの学習係数を算出する学習演算部と、
各々のモデルの学習係数を各々のモデルに対して用意された層別テーブルに記憶する記憶部と、
前記物理量の実績値に基づき一方のモデルの予測値を変更したときに最終的に求められる物理量の予測値が変わらないように他方のモデルの予測値を変更するための補正値を得るために必要な変換係数を演算する変換係数演算部と、
前記変換係数演算部で演算された変換係数を記憶する変換係数記憶部と、
前記記憶部に記憶された一方のモデルの学習係数が予め設定した第1制限値を超えた場合、当該モデルの学習係数の修正値を演算する学習係数修正値演算部と、
前記変換係数記憶部に記憶されている変換係数の平均値を演算する変換係数平均値演算部と、
前記学習係数修正値演算部で演算された学習係数の修正値と前記変換係数平均値演算部で演算された変換係数の平均値とに基づき、一方のモデルの学習係数を修正したことにより発生する予測値の変化量を他方のモデルで補償するためのモデルの補正値を演算するモデル補正値演算部と、
を備えることを特徴とする学習係数制御装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶された一方のモデルの学習係数が予め設定した第1制限値を超えたかどうかを監視する学習係数監視部と、
前記学習係数修正値演算部で演算された学習係数の修正値を用いて当該モデルの学習係数を修正する学習係数修正部と、
前記モデル補正値演算部で演算されたモデルの補正値を記憶する補正値記憶部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の学習係数制御装置。
【請求項3】
前記学習係数修正値演算部は、層別毎の学習係数の平均値を学習係数修正値とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の学習係数制御装置。
【請求項4】
前記学習係数修正値演算部は、層別毎の学習係数の最大値と最小値と加算し、加算結果を2で除算した除算結果を学習係数修正値とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の学習係数制御装置。
【請求項5】
前記モデル補正値演算部で演算された補正値を監視し、前記補正値が予め設定された第2制限値を超えた場合にオペレータ表示画面へアラームを出力する補正値監視部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の学習係数制御装置。
【請求項6】
前記補正値監視部は、さらに前記補正値が予め設定された前記第2制限値を超えた場合にアラームを前記記憶部に出力して保存することを特徴とする請求項5記載の学習係数制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181668(P2012−181668A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44050(P2011−44050)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】