説明

安全運転サポート装置

【課題】ドライバの種類に応じた安全運転を簡易、正確、且つ十分にサポートすることが
できる安全運転サポート装置を提供すること。
【解決手段】安全運転サポート装置1は、1日の時刻毎の眠気度のパターンをドライバの
長期間にわたる勤務時間帯別に区分して設定しているので、現ドライバに合致したエンジ
ンスタート時や走行時における眠気度を判別することができ、該眠気度の判別結果に該当
する的確な安全サポートを実行することができる。よって、運転前や運転中において安全
サポートに応じた行動を現ドライバにとらせることが可能となり、安全運転を簡易、正確
、且つ十分にサポートすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの安全運転をサポートする装置に関し、特にドライバの種類に応じ
た安全運転サポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、鉄道車両の運転士(ドライバ)の睡眠状況に基づき、その運
転士が覚醒する時間帯に睡眠時間が混入しないように、睡眠をとるべき時間帯を提示する
眠気予防情報提示装置が開示されている。この眠気予防情報提示装置は、運転士により入
力される睡眠時間、就業時間、眠気に関する質問の回答、肉体疲労に関する質問の回答、
頭の疲労に関する質問の回答を入力日付とともに生活習慣履歴情報として記憶する。そし
て、一定期間の生活習慣履歴情報から算出した運転士の睡眠時間、睡眠特性、生体リズム
、睡眠負債量に基づいて運転士の睡眠状況に問題があるか否かを判定する。そして、運転
士の睡眠状況に問題があると判定したときは、その判定結果の詳細内容及び改善方法を提
示するようになっている。
【0003】
また、特許文献2には、車両運転開始前のドライバの睡眠を反映して車両運転開始直後
から車両の走行安全性を高める車両制御システムが開示されている。この車両制御システ
ムは、車両停止時に運転席の座席角度を検出し、その検出座席角度に基づいて車両停止時
にドライバが睡眠をとったか否かを検知する。そして、ドライバの睡眠を検知したときは
、車両運転開始直後に走行安全性を向上させるべく自車両と先行車両との車間距離を目標
車間距離に制御する作動モードを、ドライバの睡眠を検知しないときと比較して長めの目
標車間距離に制御する作動モードに設定変更するようになっている。
【0004】
また、特許文献3には、車両運転開始前からドライバの状態を推定し、運転開始時から
適切な運転サポートを行うことが可能なドライバ状態推定装置が開示されている。このド
ライバ状態推定装置は、ドライバの自宅における行動から焦り状態や睡眠状態を判定し、
これらを自宅情報として抽出する。そして、ドライバの運転中における焦りや眠気を判定
し、自宅情報と合わせてドライバの状態を推定して車載装置の制御を変更するようになっ
ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−164366号公報(段落番号0008〜0010、図3)
【特許文献2】特開2008−123449号公報(段落番号0007,0008、図2)
【特許文献3】特開2008−123448号公報(段落番号0006〜0008、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の眠気予防情報提示装置では、運転士が自ら睡眠時間や就業時間等を
入力する必要があるため、誤操作による入力ミスや記憶違いによる誤入力等が発生した場
合には、運転士の睡眠状況に問題があるにも拘わらず問題なしと判定されるおそれがある
。特許文献2に記載の車両制御システムでは、車両停止時に運転席の座席角度を検出して
ドライバが睡眠をとったか否かを検知するようにしているが、ドライバは必ずしも車両内
で睡眠をとるとは限らず、また運転席を倒さずに睡眠をとるドライバもいるため、ドライ
バが睡眠をとったか否かを正確に判定できないおそれがある。
【0007】
特許文献3に記載のドライバ状態推定装置では、ドライバの自宅における行動から焦り
状態や睡眠状態を判定する必要があるため、自宅の至る所にドライバの行動を検知するセ
ンサを設置しなければならずコスト高となる。また、ドライバの焦り状態を判定すること
はドライバの行動のみでは限界があり、十分な運転サポートが困難となるおそれがある。
一方、車両にはトラック、バス、タクシー、一般という種類があり、各車両のドライバの
睡眠状態は夫々異なっているが、上記特許文献1〜3に記載の各装置ではドライバの種類
に応じた安全運転を十分にサポートすることができない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドライバの種類に応じた
安全運転を簡易、正確、且つ十分にサポートすることができる安全運転サポート装置を提
供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車両を運転す
る現ドライバの種類を特定するドライバ特定手段と、ドライバの種類に応じた1日の時刻
毎の眠気度のパターンが設定される眠気度設定手段と、時刻を計測する計時手段と、前記
眠気度設定手段から読出した現ドライバの種類に該当する前記眠気度のパターンに基づい
て前記計時手段から読出した現在の時刻における前記眠気度を判別する判別手段と、前記
眠気度に応じた安全サポートが記憶される記憶手段と、前記判別手段で判別される前記眠
気度に該当する前記安全サポートを前記記憶手段から読出して実行する安全サポート実行
手段と、を備えることである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記現ドライバの睡眠情報
を取得し該睡眠情報に基づいて睡眠レベルを取得する睡眠レベル取得手段を備え、前記記
憶手段には、前記眠気度及び前記睡眠レベルに応じたコメントが記憶され、前記安全サポ
ート実行手段は、エンジンスタート時に前記眠気度及び前記睡眠レベルに応じた前記コメ
ントを前記記憶手段から読出して報知することである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記睡眠情報は、前日の睡
眠時間、該睡眠時間における所定以上の睡眠深さとなった睡眠時間の割合を示す熟睡度、
及び睡眠を開始した時刻であることである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、走行中の道路の種類を取得
する道路種類取得手段を備え、前記記憶手段には、前記眠気度及び道路種類に応じた安全
サポートが記憶され、前記安全サポート実行手段は、前記眠気度及び前記道路種類に応じ
た前記安全サポートを前記記憶手段から読出して実行することである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、前記安全サポートは、安全
運転を援助するメッセージ、音、振動、温度の少なくとも一つの発生及び安全に必要な車
間距離の維持の少なくとも一方であることである。
【0014】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項4又は5において、前記現ドライバの運
転中の運転情報及び生体情報の少なくとも一方を取得する情報取得手段を備え、前記記憶
手段には、運転情報及び生体情報の少なくとも一方が異常であるとき実行される安全サポ
ートが記憶され、前記安全サポート実行手段は、前記運転情報及び生体情報の少なくとも
一方が異常であるとき前記安全サポートを前記記憶手段から読出して実行することである

【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、1日の時刻毎の眠気度のパターンをドライバの長期間に
わたる勤務時間帯別に区分して設定しているので、現ドライバに合致したエンジンスター
ト時や走行時における眠気度を判別することができ、該眠気度の判別結果に該当する的確
な安全サポートを実行することができる。よって、運転前や運転中において安全サポート
に応じた行動を現ドライバにとらせることが可能となり、安全運転を簡易、正確、且つ十
分にサポートすることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、現ドライバの短期間における睡眠情報も取得しているの
で、現ドライバに合致したエンジンスタート時における眠気度及び睡眠レベルに応じた、
より的確なコメントを報知することができる。すなわち、ドライバの短期的な睡眠情報に
よってはドライバの睡眠が十分であっても、ドライバの長期的な眠気度のパターンによっ
ては生体リズムが不調なことがあるため、眠気度及び睡眠レベルを取得することによって
、より的確なコメントを報知することが可能となる。よって、運転前においてコメントに
応じた行動を現ドライバにとらせることが可能となり、更に質の高い安全運転を簡易、正
確、且つ十分にサポートすることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前日の睡眠時間、熟睡度、及び睡眠開始時刻を睡眠情報
として取得しているので、当日に運転する現ドライバの正確な睡眠レベルを取得すること
ができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、現ドライバによる車両走行時における道路種類を取得し
ているので、現ドライバの眠気度及び現在の道路種類に応じた的確な安全サポートを実行
することができる。よって、運転中において安全サポートに応じた運転を現ドライバにと
らせることが可能となり、安全運転を簡易、正確、且つ十分にサポートすることができる

【0019】
請求項5に係る発明によれば、安全運転を援助するメッセージ、音、振動、温度、及び
安全に必要な車間距離の維持を安全サポートとしているので、現ドライバに安全運転を意
識させることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、現ドライバによる車両走行時における運転情報及び生体
情報の少なくとも一方を取得し、運転情報及び生体情報の少なくとも一方が異常であると
き安全サポートを実行するようにしているので、現ドライバに異変が生じた場合には直ち
に運転を止めさせるような安全サポートを実行することが可能となり、安全運転を強化す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態による安全運転サポート装置及びその周辺装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の安全運転サポート装置の詳細を示すブロック図である。
【図3】(A)〜(D)は、図1の安全運転サポート装置に設定される1日の時刻毎の眠気度のパターンを示す図であり、(A)はトラックドライバ、(B)はバスドライバ、(C)はタクシードライバ、(D)は一般ドライバの眠気度のパターンである。
【図4】(A)〜(D)は、図1の安全運転サポート装置で取得される睡眠レベル及び安全運転サポート装置で判別される眠気度の判別結果を示す図であり、(A)は睡眠時間のレベル、(B)は熟睡度のレベル、(C)は睡眠開始時刻のレベル、(D)は眠気度の判別結果である。
【図5】(A)〜(F)は、図1の安全運転サポート装置で取得される道路種類、運転情報、生体情報を示す図であり、(A)は車両停止回数による道路種類、(B)は車両平均速度による道路種類、(C)は車両傾斜角度による道路種類、(D)は緊急運転操作による運転状況、(E)は車両平均速度による運転状況、(F)は生体情報による運転状況である。
【図6】図1の安全運転サポート装置に記憶される睡眠レベル及び眠気度の判別結果に応じた運転前コメントを示す図である。
【図7】(A)〜(E)は、図1の安全運転サポート装置に記憶される眠気度の判別結果、運転状況、及び道路種類に応じた運転中メッセージを示す図であり、(A)は眠気度の判別結果に応じたメッセージ、(B)は緊急運転操作に応じたメッセージ、(C)は車両平均速度に応じたメッセージ、(D)は生体情報に応じたメッセージ、(E)は道路種類に応じたメッセージである。
【図8】図1の安全運転サポート装置の運転前の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1の安全運転サポート装置の運転中の動作全体を説明するためのフローチャートである。
【図10】運転中のモニタリング各カウント収集ルーチンの前半の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10のモニタリング各カウント収集ルーチンの後半の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】運転中のメッセージ作成ルーチンの前半の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図12のメッセージ作成ルーチンの中間の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】運転中の走行道路判別ルーチンの動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】図12のメッセージ作成ルーチンの後半の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態
による安全運転サポート装置1は、車両2内に備えられており、図2に示すように、ドラ
イバ特定手段10、眠気度設定手段11、計時手段12、睡眠レベル取得手段13、道路
種類取得手段14、情報取得手段15、判別手段16、記憶手段17、及び安全サポート
実行手段18で概略構成されている。
【0023】
ドライバ特定手段10は、車両2を運転する現ドライバの種類、例えば、トラックドラ
イバ、バスドライバ、タクシードライバ、その他の一般ドライバ等を特定する。現ドライ
バの種類の特定は、現ドライバ自身が車両運転時に、例えば、安全運転サポート装置1の
画面に表示されたドライバの種類別のアイコンに触れ、もしくは安全運転サポート装置1
に設けられたドライバの種類別のボタンを押すことにより実行される。なお、現ドライバ
が所有しているCD(compact disc)やメモリカード等もしくはPDA(p
ersonal digital assistant)やコンピュータ等に現ドライバ
の種類のみを予め記憶しておき、現ドライバが該CDや該メモリカード等を車両2内に持
ち込んで安全運転サポート装置1にセットすることにより、もしくは車両2外からPDA
やコンピュータ等の通信機能を利用して安全運転サポート装置1にデータ送信することに
よりドライバ特定手段10に現ドライバの種類を特定させるようにしてもよい。
【0024】
眠気度設定手段11には、ドライバの種類に応じた1日の時刻毎の眠気度のパターンが
設定される。1日の時刻毎の眠気度のパターンは、ドライバの長期間にわたる勤務時間帯
別、例えば、図3(A)〜(D)に示すように、トラックドライバ、バスドライバ、タク
シードライバ、その他の一般ドライバに区分されている。このようにドライバを区分した
理由は、例えば、日勤専門のドライバや夜勤専門のドライバ等が存在するため、各ドライ
バの眠気度は時間帯で異なるからである。眠気度は、例えば、調査したドライバが時刻別
に感じる眠気の程度(%)、もしくは調査したドライバの人数に対して眠気を感じるドラ
イバの人数が占める比率(%)を表している。
【0025】
このような1日の時刻毎の眠気度のドライバ毎の全パターンは記憶手段17に予め記憶
されており、ドライバ特定手段10により特定された現ドライバの種類のパターンが記憶
手段17から読み出されて眠気度設定手段11に設定される。なお、現ドライバが所有し
ているCDやメモリカード等もしくはPDAやコンピュータ等に現ドライバの種類のパタ
ーンのみを予め記憶しておき、現ドライバが該CDや該メモリカード等を車両2内に持ち
込んで安全運転サポート装置1にセットすることにより、もしくは車両2外からPDAや
コンピュータ等の通信機能を利用して安全運転サポート装置1にデータ送信することによ
り眠気度設定手段11に現ドライバの種類のパターンを設定させるようにしてもよい。
【0026】
計時手段12は、現在の時刻を計測する。なお、この計時手段12の代わりに車両2に
搭載されている既存の時計を利用してもよい。睡眠レベル取得手段13は、現ドライバの
前日の睡眠時間、該睡眠時間における所定以上の睡眠深さとなった睡眠時間の割合を示す
熟睡度、及び睡眠を開始した時刻等の睡眠情報に基づいて睡眠レベルを取得する。睡眠時
間のレベルとしては、例えば、図4(A)に示すように、睡眠時間が7時間以上10時間
未満であるときを「70〜100点」、睡眠時間が4時間以上7時間未満であるときを「
50〜69点」、睡眠時間が4時間未満又は10時間以上であるときを「0〜49点」と
定義する。また、熟睡度のレベルとしては、例えば、図4(B)に示すように、熟睡度が
80%以上であるときを「70〜100点」、熟睡度が60%以上80%未満であるとき
を「50〜69点」、熟睡度が60%未満であるときを「0〜49点」と定義する。また
、睡眠開始時刻のレベルとしては、例えば、図4(C)に示すように、睡眠開始時刻が1
8:00台〜1:00台であるときを「夜間」、睡眠開始時刻が2:00台〜5:00台
又は16:00台〜17:00台であるときを「中間」、睡眠開始時刻が6:00台〜1
5:00台であるときを「日中」と定義する。
【0027】
睡眠情報は、現ドライバの自宅3等にある現ドライバの就寝用のベッド21のみに、コ
ンピュータ22や該コンピュータ22に接続されたセンサ23等で構成される睡眠情報検
出装置51を備えることにより検出することができる。例えば、ベッド21上に敷かれた
マットレスに、コンピュータ22に接続された感圧シートセンサ23を貼着しておくこと
により、現ドライバがベッド21上に横たわって就寝したときから起床してベッド21か
ら出るまでの間の現ドライバの体重を感知することができるので、現ドライバの睡眠時間
及び睡眠開始時刻を検出することができる。従来のように自宅3の至る所に現ドライバの
行動を検知するセンサを設置する必要がなく、簡易な構成の低コストな睡眠情報検出装置
51となる。
【0028】
また、現ドライバの熟睡度は、以下の方法により検出することができる。所定以上の睡
眠深さとなる睡眠は、例えば、ノンレム(non−rapid eye movemen
t:non−REM)睡眠として捉えることができる。ノンレム睡眠に対しレム(rap
id eye movement:REM)睡眠は覚醒時のような急速眼球運動が生じて
いる場合であるため、この眼球運動を測定することによりレム睡眠状態であるか否かを判
断することができる。そして、全睡眠時間Tとレム睡眠時間t1と中途覚醒t2とからノ
ンレム睡眠時間T−t1−t2を求め、ノンレム睡眠時間T−t1−t2と全睡眠時間T
とから熟睡度(T−t1−t2)/Tを求めることができる。
【0029】
眼球運動の測定方法としては、例えば、眼球は角膜側がプラスに帯電し網膜側がマイナ
スに帯電するという性質を有していることから、左右の目の眼窩端に電極を装着して電位
を拾うという電気的測定方法がある。すなわち、眼球を例えば左側に動かすと左側の電極
にはプラスに帯電した角膜が接近してくるためプラスの電位を拾うことができ、右側の電
極にはマイナスに帯電した網膜が接近してくるためマイナスの電位を拾うことができる。
例えば、睡眠情報検出装置51のコンピュータ22に接続された電極をアイマスク24に
貼着しておくことにより、現ドライバがアイマスク24を装着して就寝すれば眼球運動を
測定することができるので、現ドライバの熟睡度を検出することができる。
【0030】
以上の現ドライバの睡眠時間、熟睡度、及び睡眠開始時刻の睡眠情報は、睡眠情報検出
装置51のコンピュータ22に備えられた通信機能を利用することにより自宅3から車両
2に送信され安全運転サポート装置1の睡眠レベル取得手段13に取得される。なお、コ
ンピュータ22に備えられた記録装置を利用して睡眠情報をCDやメモリカード等に記録
し、現ドライバが該CDや該メモリカード等を車両2内に持ち込んで安全運転サポート装
置1にセットすることにより睡眠情報を睡眠レベル取得手段13に取得させるようにして
もよい。
【0031】
判別手段16は、眠気度設定手段11から読出した現ドライバの種類に該当する眠気度
のパターンに基づいて計時手段12から読出した現在の時刻における眠気度を判別する。
眠気度の判別結果としては、例えば、図4(D)に示すように、眠気度が15%以上であ
るときを「時間外」、眠気度が3%以上15%未満であるときを「中間」、眠気度が3%
未満であるときを「時間内」と定義する。
【0032】
道路種類取得手段14は、現ドライバによる車両走行時における所定時間内の車両停止
回数、車両平均速度、車両傾斜角度、及びステアリングホイールの回転角度等の道路情報
に基づいて道路種類を取得する。道路種類としては、例えば、図5(A)に示すように、
所定時間内における車両停止回数が1回以下であるときは「高速道路」、車両停止回数が
2回以上であるときは「市街地」と定義する。また、図5(B)に示すように、所定時間
内における車両平均速度が65km/h以上であるときは「高速道路」、車両平均速度が
65km/h未満であるときは「市街地」と定義する。また、図5(C)に示すように、
所定時間内における車両傾斜角度が±5度以上で1分以上継続し、且つステアリングホイ
ールの回転角度が中立位置から90度を越えた回数が10回以上であるときは「山道」と
定義する。
【0033】
道路情報は、現ドライバが運転する車両2に、該車両2に搭載されている既存のコンピ
ュータ25に接続されたセンサ等で構成される道路情報検出装置52を取り付けることに
より検出することができる。例えば、既存の車両速度計26から速度信号を取り出すケー
ブルを車両速度計26とコンピュータ25との間に配線しておくことにより、現ドライバ
による車両走行時における所定時間内の車両停止回数及び車両平均速度を検出することが
できる。なお、速度センサを別途取り付けてコンピュータ25と接続しておくようにして
もよい。
【0034】
また、例えば、車両2内にジャイロスコープ等の傾斜角度センサ27を取り付けてコン
ピュータ25と接続しておくことにより、現ドライバによる車両走行時における所定時間
内の車両傾斜角度を検出することができる。また、例えば、ステアリングホイール28に
連結されたシャフト28aにロータリーエンコーダ等の回転角度センサ29を取り付けて
コンピュータ25と接続しておくことにより、現ドライバによる車両走行時における所定
時間内のステアリングホイール28の回転角度を検出することができる。
【0035】
情報取得手段15は、現ドライバによる車両走行時における所定時間内の急ハンドル、
急ブレーキ等の緊急運転操作、車両平均速度等の運転情報、及び現ドライバのまばたきや
心拍等の生体情報等の少なくとも一方を取得する。運転情報としては、例えば、図5(D
)に示すように、所定時間内における急ハンドル、急ブレーキ等の緊急運転操作の回数が
1回以上のときは運転状況は「悪」、緊急運転操作の回数が0回のときは運転状況は「良
」と定義する。また、例えば、図5(E)に示すように、所定時間内における車両平均速
度が60km/h以上のときは運転状況は「悪」、車両平均速度が40km/h以上60
km/h未満のときは運転状況は「注意」、車両平均速度が40km/h未満のときは運
転状況は「良」と定義する。
【0036】
運転情報は、現ドライバが運転する車両2に、該車両2に搭載されている既存のコンピ
ュータ25に接続されたセンサ等で構成される運転情報検出装置53を取り付けることに
より取得することができる。例えば、上記回転角度センサ29で検出されるステアリング
ホイール28の回転角度を時間微分してステアリングホイール28の回転加速度を求め、
該加速度が一定値を超えたことを検出することにより、現ドライバによる車両走行時にお
ける所定時間内の急ハンドルの有無を検出することができる。
【0037】
また、例えば、ブレーキベダル30に連結されたロッド30aにリニアセンサ等のスト
ロークセンサ31を取り付けてコンピュータ25と接続しておくことにより、このストロ
ークセンサ31で検出されるブレーキベダル30の踏み込みストロークを時間微分してブ
レーキベダル30の踏み込み加速度を求め、該加速度が一定値を超えたことを検出するこ
とで、現ドライバによる車両走行時における所定時間内の急ブレーキの有無を検出するこ
とができる。
【0038】
ここで、生体情報は以下のように定義する。一般に、ドライバが覚醒状態にあるときは
、まばたき時間及び心拍変動の高周波成分は両者ともに低いレベルにある。一方、ドライ
バが睡眠状態にあるときは、まばたきは消失し、心拍変動の高周波成分は高いレベルにあ
る。また、覚醒状態から睡眠状態への移行期間では、最初にまばたき時間の延長が現れ、
続いて心拍変動の高周波成分の上昇が始まり、その後に睡眠の開始である入眠状態になっ
て睡眠状態に至る。このように、ドライバのまばたき時間及び心拍変動から、ドライバが
覚醒状態にあるか入眠状態にあるか睡眠状態にあるかを判別することができる。生体情報
としては、例えば、図5(F)に示すように、生体情報が入眠のときは運転状況は「異常
」、入眠予兆のときは運転状況は「若干異常」、覚醒のときは運転状況は「正常」と定義
する。
【0039】
生体情報は、現ドライバが運転する車両2に、該車両2に搭載されている既存のコンピ
ュータ25に接続されたセンサ等で構成される生体情報検出手段54を取り付けることに
より取得することができる。例えば、ルームミラー34や運転シート35前方のインスト
ルメントパネル等にCCD(charge−coupled device)やCMOS
(complementary metal−oxide semiconductor
)等を有するカメラ36を取り付けてコンピュータ25と接続しておくことにより、この
カメラ36で撮像される現ドライバの眼の画像を解析することで、現ドライバによる車両
走行時における所定時間内の現ドライバのまばたき時間を検出することができる。また、
運転シート35のシートバックにマイクロ波を利用した非接触式もしくは接触式の心拍セ
ンサ37を取り付けてコンピュータ25と接続しておくことにより、現ドライバによる車
両走行時における所定時間内の現ドライバの心拍変動を検出することができる。
【0040】
記憶手段16には、眠気度及び睡眠レベルに応じたコメント、眠気度に応じた安全サポ
ート、眠気度及び道路種類に応じた安全サポート、運転情報及び生体情報の少なくとも一
方が異常であるとき実行される安全サポート等が予め記憶されている。安全サポートは、
例えば、安全運転を援助するメッセージ、音、振動、温度の少なくとも1つの発生、及び
安全に必要な車間距離の維持の少なくとも一方である。
眠気度及び睡眠レベルに応じたコメントとしては、例えば、図6に示すようなコメント
であり、睡眠時間及び熟睡度のレベルが「70点以上」で、睡眠開始時刻のレベルが「夜
間」で、眠気度の判別結果が「時間外」であるときは、「良い眠りが得られています。安
全運転に努めてください。」というコメントAが記憶されている。
【0041】
また、眠気度に応じた安全運転を援助するメッセージとしては、例えば、図7(A)に
示すように、眠気度の判別結果が「時間内」であるときは、「そろそろお疲れではありま
せんか?細心の注意を払いながら運転してください。」というメッセージ1−(3)が記
憶されている。また、運転情報が異常であるとき実行される安全運転を援助するメッセー
ジとしては、例えば、図7(B)に示すように、運転状況(緊急運転操作)が「悪」であ
るので、「少し注意が散漫になっています。」というメッセージ2−(2)が記憶され、
また、例えば、図7(C)に示すように、運転状況(車両平均速度)が「注意」であるの
で、「歩行者や自転車の飛び出し等に注意しながら運転してください。」というメッセー
ジ3−(2)が記憶されている。
【0042】
また、生体情報が異常であるとき実行される安全運転を援助するメッセージとしては、
例えば、図7(D)に示すように、運転状況が「異常」であるので、「車を止めて休憩を
とりましょう。」というメッセージ4−(3)が記憶されている。また、道路種類に応じ
た安全サポートとしては、例えば、図7(E)に示すように、道路状況が「山道」である
ときは、上述したメッセージを「音量中」で報知する音量変更指令が記憶されている。な
お、道路種類に応じた安全サポートとして音量変更指令の代わりに市街地、山道、高速道
路を走行するときの注意を促すメッセージを別途記憶しておくようにしてもよい。
【0043】
安全サポート実行手段18は、現ドライバによるエンジンスタート時に眠気度及び睡眠
レベルに応じたコメントを記憶手段16から読み出して報知する。また、判別手段17で
判別される眠気度に該当する安全サポートを記憶手段16から読み出して実行する。また
、眠気度及び道路種類に応じた安全サポートを記憶手段16から読み出して実行する。ま
た、運転情報及び生体情報の少なくとも一方が異常であるとき安全サポートを記憶手段1
6から読み出して実行する。安全サポート実行手段18は、現ドライバが運転する車両2
に搭載されている既存の装置等により構成される安全サポート装置55を用いてコメント
を報知し安全サポートを実行することができる。
【0044】
例えば、車両2に搭載されている既存のカーナビゲーションシステム38のディスプレ
イを利用した画像、オーディオシステム39のスピーカを利用した音声により、コメント
や安全運転を援助するメッセージを報知し、安全運転を援助する音を発生させることがで
きる。なお、例えば、インストルメントパネル等にディスプレイやスピーカを別途取り付
けて対応するようにしてもよい。また、例えば、運転シート35のシートバック等やステ
アリングホイール28等に圧電式等の振動装置40を取り付けてコンピュータ25と接続
しておくことにより、安全運転を援助する振動を発生させることができる。また、例えば
、車両2に搭載されている既存のエアーコンディショナ41を利用して、安全運転を援助
する温度、すなわち温風や冷風を発生させることができる。なお、例えば、運転シート3
5のシートバック等に電熱装置等を取り付けて運転シート35を昇温するようにしてもよ
い。
【0045】
また、例えば、車両2のフロントバンパー42等にソナーセンサ43を取り付けると共
にアクセルペダル44にアクチュエータ45を取り付けてコンピュータ25と接続してお
くことにより、安全に必要な車間距離を維持させることができる。すなわち、ソナーセン
サ43からの情報を基に、先行車との車間距離や相対速度に応じてブレーキ用油圧装置4
6を制御する。そして、現ドライバがアクセルペダル44を踏んでいる場合は、アクチュ
エータ45によりアクセルペダル44を押し戻す力を発生させ、アクセルペダル44を戻
すとブレーキ用油圧装置46を制御してブレーキをかけて減速する。これにより、安全に
必要な車間距離を維持させることができる。
【0046】
以上のような構成の本実施形態の安全運転サポート装置1の動作例についてドライバが
トラックドライバである場合を図8〜図12のフローチャートを参照して説明する。図8
に示すように、トラックドライバは、トラックドライバ用の1日の時刻毎の眠気度のドラ
イバ毎のパターンが記憶されたCDを持って乗車し、エンジンをスタートさせて該CDを
安全運転サポート装置1にセットする(ステップ1)。このとき、トラックドライバの前
日の睡眠情報は、自宅内の睡眠情報収集装置21から車両内の安全運転サポート装置1に
通信機能により送信される。
【0047】
先ず、睡眠時間及び熟睡度のレベルが「70点以上」であるか否かを判断し(ステップ
2)、睡眠時間及び熟睡度のレベルが70点以上であるときは更に睡眠開始時刻のレベル
が「夜間」であるか否かを判断し(ステップ3)、睡眠開始時刻のレベルが「夜間」であ
るときは道路種類、運転情報及び生体情報の収集を運転中にモニタリングする時間を「1
時間」に設定する(ステップ4)。一方、ステップ1において睡眠時間のレベルが「70
点未満」であるとき、又はステップ2において睡眠開始時刻のレベルが「中間」又は「日
中」であるときは運転中モニタリング時間を「30分」に設定する(ステップ5)。
【0048】
そして、眠気度パターンを参照して現在の時刻が「時間外」であるか「中間」であるか
「時間内」であるかを判別して設定する(ステップ6)。以上の睡眠時間、睡眠開始時刻
の各レベル、及び眠気度の判別結果に該当する運転前のコメントを選択して該コメントの
画像を表示すると共に該コメントを音声で通知する(ステップ7)。例えば、睡眠時間の
レベルが「60点」、睡眠開始時刻のレベルが「夜間」であり、運転開始時刻が14時で
眠気度の判別結果が「中間」であるときはコメントKが選択され、「眠りの状態がやや悪
いため、油断は禁物です。」というコメントが画像表示され音声通知される。
【0049】
図9に示すように、トラックドライバにより運転が開始されると(ステップ8)、モニ
タリングの開始時刻をリセットすると共にモニタリングの各カウントをリセットする(ス
テップ9)。そして、運転中モニタリング時間に達したか否かを判断し(ステップ10)
、運転中モニタリング時間に達していないときはモニタリングの各カウントを収集するル
ーチンを実行する(ステップ11)。すなわち、図10に示すように、先ず、運転中モニ
タリング時間内における緊急運転操作の有無を判断し(ステップ21)、運転中モニタリ
ング時間内において緊急運転操作が有ったときはHカウントに1を加算する(ステップ2
2)。
【0050】
続いて、モニタリング開始からの車両平均速度を求めておき(ステップ23)、運転中
モニタリング時間内におけるドライバの生体情報を確認する(ステップ24)。運転中モ
ニタリング時間内におけるドライバの生体情報が覚醒であれば図11のステップ28へ進
むが、ドライバの生体情報が入眠予兆であればBカウントに1を加算してステップ28へ
進む(ステップ25)。一方、運転中モニタリング時間内におけるドライバの生体情報が
入眠であれば運転状況は「異常」であると判別してこのルーチンを出て(ステップ26)
、警報を発生すると共に運転状況が「異常」であるときに該当するメッセージ4−(3)
を選択して該メッセージ4−(3)の画像を表示すると共に該メッセージ4−(3)を音
声大で通知する(ステップ27)。
【0051】
図11に示すように、ステップ28において、運転中モニタリング時間内における車両
停止の有無を判断し、車両停止が有ったときはSカウントに1を加算する(ステップ29
)。続いて、運転中モニタリング時間内において車両傾斜角度±5度以上で1分以上継続
の有無を判断し(ステップ30)、車両傾斜角度±5度以上で1分以上継続が有ったとき
はTカウントに1を加算する(ステップ31)。続いて、運転中モニタリング時間内にお
いてステアリングホイールの回転角度が中立位置から90度以上の有無を判断し(ステッ
プ32)、ステアリングホイールの回転角度が中立位置から90度以上が有ったときはK
カウントに1を加算し(ステップ33)、モニタリングカウント収集ルーチンを終了する

【0052】
図9のフローチャートに戻って、ステップ10において、運転中モニタリング時間に達
したときは、メッセージを作成するルーチンを実行する(ステップ12)。すなわち、図
12に示すように、先ず、現時刻の眠気度を判別し(ステップ41)、現時刻の眠気度の
判別結果が「時間外」であるときはメッセージは無しとし(ステップ42)、現時刻の眠
気度の判別結果が「中間」であるときはメッセージ1−(2)を選択し(ステップ43)
、現時刻の眠気度の判別結果が「時間内」であるときはメッセージ1−(3)を選択する
(ステップ44)。
【0053】
次に、緊急運転操作のHカウントが1以上であるか否かを判断し(ステップ45)、緊
急運転操作のHカウントが0であるときは運転状況は「良」であると判断しメッセージは
無しとしてFlag1=0とし(ステップ46)、緊急運転操作のHカウントが1以上で
あるときは運転状況は「悪」であると判断しメッセージ2−(2)を選択してFlag1
=1とする(ステップ47)。
【0054】
そして、図13に示すように、図10のステップ23で求めた車両平均速度を確認し(
ステップ48)、車両平均速度が40km/h未満であるときは運転状況は「良」である
と判断しメッセージは無しとしてFlag2=0とし(ステップ49)、車両平均速度が
40km/h以上60km/h未満であるときは運転状況は「注意」であると判断しメッ
セージ3−(2)を選択してFlag2=1とし(ステップ50)、車両平均速度が60
km/h以上であるときは運転状況は「悪」であると判断しメッセージ3−(3)を選択
してFlag2=1とする(ステップ51)。
【0055】
そして、ドライバの生体情報のBカウントが5以上であるか又は直近でBカウントが加
算されたか否かを判断し(ステップ52)、ドライバの生体情報のBカウントが5未満で
あるか又は直近でBカウントが加算されていないときは運転状況は「正常」であると判断
しメッセージは無しとしてFlag3=0とし(ステップ53)、走行道路の道路種類を
判別するルーチンに進む(ステップ55)。一方、ドライバの生体情報のBカウントが5
以上であるか又は直近でBカウントが加算されたときは運転状況は「若干異常」であると
判断しメッセージ4−(2)を選択してFlag3=1とし(ステップ50)、走行道路
の道路種類を判別するルーチンに進む(ステップ55)。
【0056】
すなわち、図14に示すように、先ず、車両停止のSカウントが2未満であるか否かを
判断し(ステップ71)、車両停止のSカウントが2以上であるときは道路種類は「市街
地」であると判断してステップ74に進む。一方、車両停止のSカウントが2未満である
ときは道路種類は「高速道路」であると判断し、車両平均速度が65km/h以上である
か否かを判断し(ステップ72)、車両平均速度が65km/h未満であるときは道路種
類は「市街地」であると判断してステップ74に進む。一方、車両平均速度が65km/
h以上であるときは道路種類が「高速道路」であると判断してFlag4=3とする(ス
テップ73)。
【0057】
ステップ74において、車両傾斜角度のTカウントが1以上であり、且つステアリング
ホイールの回転角度のKカウントが10以上であるか否かを判断し、車両傾斜角度のTカ
ウントが0であり、且つステアリングホイールの回転角度のKカウントが10未満である
ときは、道路種類が「市街地」であると判断してFlag4=1とし(ステップ75)、
道路種類判別ルーチンを終了する。一方、車両傾斜角度のTカウントが1以上であり、且
つステアリングホイールの回転角度のKカウントが10以上であるときは、道路種類が「
山道」であると判断してFlag4=2とし(ステップ76)、道路種類判別ルーチンを
終了する。
【0058】
そして、図15に示すように、ステップ56において、車両平均速度のFlag2が「
1」であり、且つドライバの生体情報のFlag3が「1」であるか否かを判断し、車両
平均速度のFlag2が「1」であり、且つドライバの生体情報のFlag3が「1」で
あるときは、メッセージの音声を大に設定する(ステップ59)。一方、車両平均速度の
Flag2が「1」でなくドライバの生体情報のFlag3が「1」でないとき、もしく
は一方が該当しないときは、緊急運転操作のFlag1が「1」であるか否かを判断し(
ステップ57)、緊急運転操作のFlag1が「1」であるときは、メッセージの音声を
大に設定する(ステップ59)。
【0059】
一方、緊急運転操作のFlag1が「1」でないときは、車両平均速度のFlag4が
何であるかを判断し(ステップ58)、車両平均速度のFlag4が「3」であるときは
、メッセージの音声を大に設定し(ステップ59)、車両平均速度のFlag4が「2」
であるときは、メッセージの音声を中に設定し(ステップ60)、車両平均速度のFla
g4が「1」であるときは、メッセージの音声を小に設定する(ステップ61)。そして
、メッセージ1〜4に対して設定音量で音声通知するように設定し(ステップ62)、メ
ッセージ作成ルーチンを終了する。そして、図9のフローチャートに戻って、ステップ1
3において、該当するメッセージを選択して該メッセージの画像を表示すると共に該メッ
セージを所定の音量の音声で通知し、その後ステップ9に戻ってモニタリングの開始時刻
をリセットすると共にモニタリングの各カウントをリセットし、上述した処理を繰り返す

【0060】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、1日の時刻毎の眠気度のパタ
ーンをドライバの長期間にわたる勤務時間帯別に区分して設定しているので、現ドライバ
に合致したエンジンスタート時や走行時における眠気度を判別することができ、該眠気度
の判別結果に該当する的確な安全サポートを実行することができる。よって、運転前や運
転中において安全サポートに応じた行動を現ドライバにとらせることが可能となり、安全
運転を簡易、正確、且つ十分にサポートすることができる。
【0061】
また、現ドライバの短期間における睡眠情報も取得しているので、現ドライバに合致し
たエンジンスタート時における眠気度及び睡眠レベルに応じた、より的確なコメントを報
知することができる。すなわち、ドライバの短期的な睡眠情報によってはドライバの睡眠
が十分であっても、ドライバの長期的な眠気度のパターンによっては生体リズムが不調な
ことがあるため、眠気度及び睡眠レベルを取得することによって、より的確なコメントを
報知することが可能となる。よって、運転前においてコメントに応じた行動を現ドライバ
にとらせることが可能となり、更に質の高い安全運転を簡易、正確、且つ十分にサポート
することができる。
【0062】
また、前日の睡眠時間、熟睡度、及び睡眠開始時刻を睡眠情報として取得しているので
、当日に運転する現ドライバの正確な睡眠レベルを取得することができる。また、現ドラ
イバによる車両走行時における道路種類を取得しているので、現ドライバの眠気度及び現
在の道路種類に応じた的確な安全サポートを実行することができる。よって、運転中にお
いて安全サポートに応じた運転を現ドライバにとらせることが可能となり、安全運転を簡
易、正確、且つ十分にサポートすることができる。また、安全運転を援助するメッセージ
、音、振動、温度、及び安全に必要な車間距離の維持を安全サポートとしているので、現
ドライバに安全運転を意識させることができる。また、現ドライバによる車両走行時にお
ける運転情報及び生体情報の少なくとも一方を取得し、運転情報及び生体情報の少なくと
も一方が異常であるとき安全サポートを実行するようにしているので、現ドライバに異変
が生じた場合には直ちに運転を止めさせるような安全サポートを実行することが可能とな
り、安全運転を強化することができる。
【0063】
尚、上述の実施の形態においては、1日の時刻毎の眠気度のパターンをドライバの種類
に応じて設定したが、車種別に設定するようにしてもよい。また、一般ドライバをさらに
職業別のドライバに区分するようにしてもよい。また、睡眠情報としては睡眠時間、熟睡
度、及び睡眠開始時刻を例に挙げたが、これらに限定されるものではなく、例えば呼吸等
の睡眠に関する情報であればよい。また、道路情報としては車両停止回数、車両平均速度
、車両傾斜角度、及びステアリングホイールの回転角度を例に挙げたが、これらに限定さ
れるものではなく、例えば渋滞や雨や雪等による路面の濡れ等の道路に関する情報であれ
ばよい。また、運転情報としては緊急運転操作、車両平均速度、及び生体情報を例に挙げ
たが、これらに限定されるものではなく、例えば運転歴等の運転に関する情報であればよ
い。
【0064】
また、眠気度と睡眠情報とを考慮して運転前のコメントを報知するように構成したが、
眠気度のみを考慮して運転前のコメントを報知するように構成してもよい。また、運転前
にコメントを報知し、運転中にメッセージを報知するように構成したが、どちらか一方の
みを報知する構成としてもよい。また、安全運転サポート装置1として車両に搭載するよ
うに構成したが、安全運転サポートプログラムとしてCD等に記録して車両に搭載されて
いるコンピュータにインストールし、もしくはネットワークを利用して配信して車両に搭
載されているコンピュータにインストールするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…安全運転サポート装置、2…車両、3…自宅、10…ドライバ特定手段、11…眠
気度設定手段、12…計時手段、13…睡眠レベル取得手段、14…道路種類取得手段、
15…情報取得手段、16…判別手段、17…記憶手段、18…安全サポート実行手段、
21…ベッド、51…睡眠情報検出装置、52…道路情報検出装置、53…運転情報検出
装置、54…生体情報検出手段、55…安全サポート装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転する現ドライバの種類を特定するドライバ特定手段と、
ドライバの種類に応じた1日の時刻毎の眠気度のパターンが設定される眠気度設定手段
と、
時刻を計測する計時手段と、
前記眠気度設定手段から読出した現ドライバの種類に該当する前記眠気度のパターンに
基づいて前記計時手段から読出した現在の時刻における前記眠気度を判別する判別手段と

前記眠気度に応じた安全サポートが記憶される記憶手段と、
前記判別手段で判別される前記眠気度に該当する前記安全サポートを前記記憶手段から
読出して実行する安全サポート実行手段と、
を備えることを特徴とする安全運転サポート装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記現ドライバの睡眠情報を取得し該睡眠情報に基づいて睡眠レベルを取得する睡眠レ
ベル取得手段を備え、
前記記憶手段には、前記眠気度及び前記睡眠レベルに応じたコメントが記憶され、
前記安全サポート実行手段は、エンジンスタート時に前記眠気度及び前記前記睡眠レベ
ルに応じた前記コメントを前記記憶手段から読出して報知することを特徴とする安全運転
サポート装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記睡眠情報は、前日の睡眠時間、該睡眠時間における所定以上の睡眠深さとなった睡
眠時間の割合を示す熟睡度、及び睡眠を開始した時刻であることを特徴とする安全運転サ
ポート装置。
【請求項4】
請求項1において、
走行中の道路の種類を取得する道路種類取得手段を備え、
前記記憶手段には、前記眠気度及び道路種類に応じた安全サポートが記憶され、
前記安全サポート実行手段は、前記眠気度及び前記道路種類に応じた前記安全サポート
を前記記憶手段から読出して実行することを特徴とする安全運転サポート装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記安全サポートは、安全運転を援助するメッセージ、音、振動、温度の少なくとも一
つの発生及び安全に必要な車間距離の維持の少なくとも一方であることを特徴とする安全
運転サポート装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記現ドライバの運転中の運転情報及び生体情報の少なくとも一方を取得する情報取得
手段を備え、
前記記憶手段には、運転情報及び生体情報の少なくとも一方が異常であるとき実行され
る安全サポートが記憶され、
前記安全サポート実行手段は、前記運転情報及び生体情報の少なくとも一方が異常であ
るとき前記安全サポートを前記記憶手段から読出して実行することを特徴とする安全運転
サポート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−128823(P2011−128823A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285865(P2009−285865)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】