説明

安否確認システム

【課題】高齢者が住居内に居るときのみならず、住居内に居ないときにでもその安否を確認することができる安否確認システムを提供すること。
【解決手段】サーバ装置40は、情報取得装置10から撮像画像の情報を、無線通信装置30から無線器20の識別コードとこの無線通信装置30の装置コードをネットワーク50を介して受信して、高齢者Pの存在位置を検出する検出手段を備え、ネットワーク50を介して携帯端末装置90から高齢者Pの存否確認要求を受信すると、高齢者Pが住居A内に存在するときには、情報取得装置10から送信された撮像画像の情報を携帯端末装置90へ送信し、一方、高齢者Pが住居A内に存在しないときには、検出手段により検出した高齢者の存在位置の情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者の安否を確認することができる安否確認システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高齢化や核家族化に伴い、介護を要する高齢者や疾病を持つ高齢者が一人暮らしを余儀なくされることが多くなってきており、このような状況はますます増加されるものと予測される。
【0003】
かかる高齢者の家族は、近隣に居住している場合には様子を見に行くことも可能であるが、遠隔に居住している場合には、様子を頻繁に見に行くことが困難な場合が多い。
【0004】
そこで、高齢者の安否を確認することができる安否確認システムとして、高齢者の住居にカメラ等のセンサを設置し、高齢者の安否をこの高齢者の家族が所持する携帯端末装置で把握することができるシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−333464公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来のシステムでは、家族は高齢者が住居内に居るときにしかその安否を確認することができない。
【0007】
そこで、高齢者に携帯端末装置を持たせ、この携帯端末装置を利用して高齢者の安否確認を行う福祉系サービスシステムが提案されているが、電子機器の取り扱いに不慣れな高齢者にとっては敷居が高く、一部の高齢者にしか適用できない。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、高齢者が住居内に居るときのみならず、住居内に居ないときにでもその安否を確認することができる安否確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、高齢者の住居内に設置される情報取得装置と、前記高齢者の住居の周囲に間隔をおいて配置され、当該高齢者に装着された無線器との間で無線通信を行う複数の無線通信装置と、前記情報取得装置及び前記無線通信装置からネットワークを介して送信される情報を取得するサーバ装置と、を備えた安否確認システムにおいて、前記情報取得装置は、撮像方向が変更可能な撮像手段と、前記撮像手段から出力される撮像画像の情報を送信する送信処理手段と、を備え、前記無線通信装置は、固有の装置コードを記憶する記憶手段と、前記無線器が無線通信範囲に入ったときに、当該無線器から送信される識別コードを受信する受信処理手段と、前記受信処理手段で取得した識別コードと前記記憶手段に記憶した装置コードとを送信する送信処理手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記撮像画像の情報、前記識別コード及び前記装置コードを前記ネットワークを介して受信する受信処理手段と、前記受信処理手段により受信した前記識別コード及び前記装置コードに基づいて前記高齢者の存在位置を検出する検出手段と、前記ネットワークを介して他の装置から前記高齢者の存否確認要求を受信すると、前記高齢者が住居内に存在するときには、前記情報取得装置から送信された撮像画像の情報を前記他の装置へ送信し、一方、前記高齢者が住居内に存在しないときには、前記検出手段により検出した前記高齢者の存在位置の情報を送信する送信処理手段と、を備えたものである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の安否確認システムにおいて、前記複数の無線通信装置のうち一部の無線通信装置の前記受信処理手段は、他の無線通信装置から、前記無線器の識別コードと当該識別コードを検出した他の無線通信装置の装置コードとを受信し、前記一部の無線通信装置の前記送信処理手段は、前記受信処理手段で取得した前記装置コード及び前記識別コードを前記ネットワークを介して前記サーバ装置へ送信するものである。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の安否確認システムにおいて、前記複数の無線通信装置のうち前記一部の無線通信装置を除く無線通信装置は、自装置と隣接する他の無線通信装置から受信した前記識別コード及び装置コードを、当該他の無線装置とは異なる他の無線通信装置であって自装置に隣接配置された無線通信装置へ転送する転送処理手段を備えたものである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の安否確認システムにおいて、前記サーバ装置の前記送信処理手段は、撮像画像の情報を前記情報取得装置から送信させるタイミングの情報を、当該情報取得装置へ送信し、前記情報取得装置の前記送信処理手段は、前記撮像手段から出力される撮像画像の情報を前記サーバ装置から取得したタイミングの情報に基づいたタイミングで、前記サーバ装置へ送信するものである。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の安否確認システムにおいて、前記情報取得装置は、前記高齢者が住居内に存在するか否かを判定する居住者存在判定手段を備え、前記送信処理手段は、前記高齢者の存否の情報を送信し、前記サーバ装置は、前記情報取得装置から送信される前記存否の情報に基づき、前記高齢者が住居内に存在するか否かを判定するものである。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の安否確認システムにおいて、前記情報取得装置の居住者存在判定手段は、赤外線受信部を有し、この赤外線受信部によって検出した赤外線が所定量以上のときに、前記高齢者が住居内に存在するものである。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の安否確認システムにおいて、前記赤外線受信部により赤外線を所定量以上検出した方向に前記撮像手段の撮像方向を変更して前記撮像手段に撮像画像の情報を取得させる撮像処理手段を備えたものである。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の安否確認システムにおいて、前記撮像手段は、撮像部と、当該撮像部の向きと前記赤外線受信部の受信方向を変更する可動部とを備えているものである。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の安否確認システムにおいて、固有の識別コードを発信する無線器を備え、前記情報取得装置の居住者存在判定手段は、前記高齢者が装着した前記無線器の識別コードが取得できたときに、前記高齢者が住居内に存在すると判定するものである。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の安否確認システムにおいて、前記無線器は、前記識別コードを記憶する記憶手段と、前記高齢者の体温及び/又は心拍数を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した前記高齢者の体温及び/又は心拍数と前記記憶手段に記憶した前記識別コードを送信する送信処理手段と、を備えており、前記サーバ装置は、前記ネットワークを介して前記受信処理手段により受信した前記高齢者の体温及び/又は心拍数に基づいて前記高齢者の健康状態を判定する判定手段を備え、前記送信処理手段は、前記高齢者の健康状態が設定値よりも悪いときに、前記高齢者の健康状態を前記他の装置へ送信するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高齢者が住居内に存在したときには、撮像画像の情報を取得でき、一方で高齢者が住居内に存在しないときには、高齢者の存在位置の情報を送信するようにしているので、高齢者の家族や介護者は高齢者の安否を安定して確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る安否確認システムの概要構成を示す図である。
【図2】図1に示す安否確認システムの概要動作の説明図である。
【図3】図1に示す安否確認システムの概要動作の説明図である。
【図4】図1に示す安否確認システムの概要動作の説明図である。
【図5】図1に示す安否確認システムの概要動作の説明図である。
【図6】図1に示す安否確認システムの概要動作の説明図である。
【図7】図1に示す安否確認システムの概要動作の説明図である。
【図8】情報取得装置の具体的な構成を示す図である。
【図9】情報取得装置の具体的な外観を示す図である。
【図10】情報取得装置の具体的な配置例を示す図である。
【図11】情報取得装置の処理フローチャートである。
【図12】情報取得装置の処理フローチャートである。
【図13】情報取得装置の処理フローチャートである。
【図14】無線器の具体的な構成を示す図である。
【図15】無線器の具体的な外観を示す図である。
【図16】無線器の処理フローチャートである。
【図17】無線通信装置の具体的な構成を示す図である。
【図18】無線通信装置の処理フローチャートである。
【図19】サーバ装置の具体的な構成を示す図である。
【図20】サーバ装置のユーザ管理テーブルの内容を示す図である。
【図21】サーバ装置の処理フローチャートである。
【図22】本発明の一実施形態に係る安否確認システムの概要構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態の安否確認システムについて図面を参照して説明する。
【0022】
[1.安否確認システムの基本構成]
まず、本実施形態にかかる安否確認システムの基本構成について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態にかかる安否確認システムSは、図1に示すように、高齢者Pの住居A内に設置される情報取得装置10と、高齢者Pの住居Aの周囲に間隔をおいて配置され、当該高齢者Pに装着された無線器20との間で無線通信を行う複数の無線通信装置30と、情報取得装置10及び無線通信装置30からネットワーク50を介して送信される情報を取得するサーバ装置40とを備えている。なお、ネットワーク50には、高齢者Pの家族が保持する携帯端末装置90a、高齢者Pのケアマネージャを所持する携帯端末装置90b、高齢者Pのホーヘルパーが所持する携帯端末装置90cなどの携帯端末装置90と無線通信する公衆無線基地局51や、所定の無線通信装置30と無線通信する無線基地局52などを有して構成されている。以下において、携帯端末装置90a〜90cのいずれか又は全部を表すときに携帯端末装置90という。
【0024】
情報取得装置10は、撮像方向が変更可能であり、高齢者Pの住居A内を撮像可能な撮像手段と、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定する居住者存在判定手段とを備えており、撮像手段から出力される撮像画像の情報及び高齢者Pの存否の情報を送信する。居住者存在判定手段として、赤外線受信部を備えており、この赤外線受信部によって検出した赤外線が所定量以上のときに、前記高齢者が住居内に存在すると判定する。なお、撮像手段によって撮像した画像の変化に基づいて、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0025】
無線器20は、識別コードの情報を無線信号として出力する発信機能を有する無線器であり、例えば、高齢者Pに装着可能な腕時計型の装置である。また、この無線器20は、識別コードの情報の他に、高齢者Pの体温や心拍数を検出して無線信号として出力する。
【0026】
各無線通信装置30は、上述のように高齢者Pの住居Aの周囲に間隔をおいて配置されており、高齢者Pが装着している無線器20が無線通信範囲に入ったときに、当該無線器20から送信される識別コードを受信する。さらに、各無線通信装置30は、それぞれ固有の装置コードを記憶しており、受信した識別コードを自装置の装置コートと共にサーバ装置40へ送信する。
【0027】
サーバ装置40は、情報取得装置10から撮像画像の情報や存否の情報を受信し、無線通信装置30から無線器20の識別コードをネットワーク50を介して受信する機能、無線器20の識別コードに基づいて高齢者Pの存在位置を検出する機能を有する。
【0028】
そして、サーバ装置40は、ネットワーク50を介して高齢者Pの存否確認メッセージを携帯端末装置90から受信したとき、情報取得装置10から送信される存否の情報に基づき、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定する。このとき、高齢者Pが住居A内に存在すると判定すると、情報取得装置10から送信された撮像画像の情報を存否確認メッセージの送信元である携帯端末装置90へ送信する。一方、高齢者Pが住居A内に存在しないと判定すると、高齢者Pの存在位置の情報を送信する。
【0029】
ネットワーク50には、情報取得装置10、無線通信装置30、サーバ装置40、携帯端末装置90などと接続するための装置が配置されており、各装置10,30,40、90は互いに通信可能となっている。
【0030】
以上のように構成される安否確認システムSについて、図2を参照してその動作シーケンスの例を説明する。なお、以下においては、高齢者Pが住居A内に存在するときの動作と存在しないときの動作についてそれぞれ説明する。
【0031】
まず、高齢者Pが住居A内に存在するときの動作について説明する。サーバ装置40は、ネットワーク50を介して携帯端末装置90(ここでは、高齢者Pの家族が所持する携帯端末装置90aとする)から安否確認要求を受信すると、この安否確認要求に対応する高齢者Pの情報取得装置10へ安否確認メッセージを転送する。
【0032】
安否確認メッセージを受信した情報取得装置10は、高齢者Pが住居A内に存在する場合、居住者存在判定手段により高齢者Pが住居A内に存在すると判定し、ネットワーク50を介してサーバ装置40に対し、高齢者Pの存否の情報として存在情報を送信する。
【0033】
サーバ装置40は、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定する。このとき、サーバ装置40は、情報取得装置10から高齢者Pの存在情報を受信しており、高齢者Pが住居A内に存在すると判定して、情報取得装置10へ撮像要求メッセージを送信し、当該情報取得装置10に対して撮像要求を行う。
【0034】
情報取得装置10は、サーバ装置40から撮像要求メッセージを受信すると、撮像手段により住居A内を撮像する。このとき、情報取得装置10は、赤外線受信部により赤外線を所定量以上検出した方向に撮像手段の撮像方向を変更して撮像画像の情報を取得する。情報取得装置10は、このように取得した撮像画像の情報を順次リアルタイムでネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する。
【0035】
サーバ装置40は、情報取得装置10から取得した撮像画像の情報をネットワーク50を介して携帯端末装置90aへ送信する。携帯端末装置90aは撮像画像の情報を表示する。これにより、携帯端末装置90aを所持する高齢者Pの家族は、図3に示すように、高齢者Pの様子を画像でリアルタイムに確認することができ、高齢者Pの安否をより正確に把握することが可能となる。
【0036】
その後、サーバ装置40は、携帯端末装置90aからネットワーク50を介して安否確認終了要求を受信すると、情報取得装置10へネットワーク50を介して終了メッセージの送信を行う。これにより、情報取得装置10は撮像手段による住居A内の撮像及び送信を停止する。
【0037】
次に、高齢者Pが住居A内に存在しないときの動作について説明する。サーバ装置40は、ネットワーク50を介して携帯端末装置90(ここでは、家族が所持する携帯端末装置90aとする)から安否確認要求を受信すると、この安否確認要求に対応する高齢者Pの情報取得装置10へ安否確認メッセージを転送する。
【0038】
安否確認メッセージを受信した情報取得装置10は、高齢者Pが住居A内に存在しない場合、居住者存在判定手段により高齢者Pが住居A内に存在しないと判定し、ネットワーク50を介してサーバ装置40に対し、高齢者Pの不存在情報を送信する。
【0039】
高齢者Pが住居A内に存在しておらず、住居Aの周囲の所定範囲に存在するとき、高齢者Pが装着している無線器20から送信される無線信号を、少なくとも複数の無線通信装置30のうちのいずれかの無線通信装置30で受信する。無線器20から無線信号を受信した無線通信装置30は、この無線信号に含まれる無線器20の識別コードと自装置の装置コードとをネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する。無線通信装置30は、無線器20から無線信号を受信している間、定期的に無線器20の識別コードと自装置30の装置コードとをサーバ装置40へ送信する。
【0040】
サーバ装置40は、高齢者Pの不存在情報を受信した後、安否確認終了要求又は高齢者Pの存在情報を受信するまでの間、無線通信装置30から無線器20の識別コードと無線通信装置30の装置コードを取得すると、無線器20の識別コードにより高齢者Pを特定し、この高齢者Pの存在位置を無線通信装置30の装置コードに基づいて検出する。サーバ装置40は、この高齢者Pの存在位置の情報をネットワーク50を介して携帯端末装置90aへ送信し、携帯端末装置90aにおいて高齢者Pの存在位置の情報を表示する。これにより、携帯端末装置90aを所有する高齢者Pの家族は、高齢者Pが住居A内に存在しない場合であっても、図4に示すように、高齢者Pの存在位置を画像で確認することができ、高齢者Pの安否をより正確に把握することが可能となる。
【0041】
その後、サーバ装置40は、携帯端末装置90aからネットワーク50を介して安否確認終了要求を受信すると、高齢者Pの存在位置の情報の携帯端末装置90aへの送信を停止する。
【0042】
ここで、無線通信装置30の配置と高齢者Pの存在位置の検出について具体的に説明する。
【0043】
図5に示すように、無線通信装置30は、所定の間隔(例えば、70m〜120m)で配置される。ここでは、無線通信装置30を電信柱に設置しているが、これに限られるものではない。
【0044】
本実施形態の安否確認システムSでは、無線通信装置30で囲まれた範囲を1つのセルとしており、例えば、図6に示す例では、無線通信装置30がそれぞれ配置された電柱a〜電柱dに囲まれた領域(実線で囲まれた領域)や電柱c〜電柱fに囲まれた領域(破線で囲まれた領域。但し、電柱cと電柱dとの間は実線)を1セル(cell)としている。
【0045】
そして、例えば、電柱a〜電柱dに設置された無線通信装置30の全てで、同一の無線器20から送信される識別コードを取得することができたときに、サーバ装置40は、電柱a〜電柱dに囲まれた領域に高齢者Pが存在すると判定する。各電柱a〜電柱dに配置された無線通信装置30は、電柱a〜電柱dに囲まれた領域に無線信号が到達できる程度の無線強度の無線部を備えており、これにより、電柱a〜電柱dに設置された無線通信装置30の全てで、同一の無線器20から送信される識別コードを取得することができたときに、電柱a〜電柱dに囲まれた領域に高齢者Pが存在すると判定することができる。
【0046】
各無線通信装置30は、無線器20から識別コードを取得したとき、当該識別コードを自装置の装置コードと共に検出情報として、隣接配置されている他の無線通信装置30へ送信する。また、各無線通信装置30は、無線器20から識別コードを取得できないときには、その未検出情報を自装置の装置コードと共に検出情報として、隣接配置されている他の無線通信装置30へ送信する。
【0047】
各無線通信装置30は、このように隣接配置された無線通信装置30から検出情報を受信すると、かかる検出情報を自装置の検出情報と共に、自装置に隣接配置された上記検出情報を受信した無線通信装置30とは異なる他の無線通信装置30へ転送する。このように検出情報は、無線通信装置30の中継機能により累積されていく。
【0048】
複数の無線通信装置30のうち一部の無線通信装置30(以下、「無線通信装置30a」という)は、他の無線通信装置30から送信される検出情報を受信すると、自装置の検出情報と共に、ネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する。
【0049】
かかる無線通信装置30aは、例えば、25台に1台の割合で配置されるようにしており、他の無線通信装置30に比べて、無線電波の強度が強くなっており、ネットワーク50を構成する無線基地局52と通信可能となっている。この無線通信装置30aは、例えば、電柱ではなく公民館等の施設に配置するようにし、当該施設から有線ケーブルを介してネットワーク50に接続するようにしてもよい。
【0050】
上述においては、携帯端末装置90(携帯端末装置90a)からネットワーク50を介してサーバ装置40が存否確認要求を受信したときの動作について説明したが、予め設定された時間に所定の装置(例えば、携帯端末装置90)へ高齢者Pの情報を通知するようにすることもできる。このようにすることで、高齢者Pの存否確認を忘れることなく定期的に把握することができ、高齢者Pの安全確保を迅速に行うことができる。
【0051】
ここで、設定による高齢者Pの存在位置の通知機能について図7を参照して具体的に説明する。
【0052】
高齢者Pの存在位置の通知機能を使用しようとする者(ここでは、ホームヘルパーとする)は、自己の所持する携帯端末装置90cを用いて、サーバ装置40にアクセスし、設定情報として、高齢者Pの存在位置の通知させるスケジュールを入力する。サーバ装置40は、入力されたスケジュールの情報を設定情報として内部に記憶手段に記憶すると共に、携帯端末装置90cから入力されたスケジュールの情報を設定情報として情報取得装置10へ送信する。
【0053】
情報取得装置10は、サーバ装置40から設定情報を取得すると、内部の記憶手段にその設定情報を記憶し、この設定情報に応じて動作する。例えば、内部の記憶手段に記憶した設定情報が毎日午前9時から午後9時まで1時間毎に安否の情報を送信する設定になっている場合、情報取得装置10は、午前9時から午後9時まで1時間毎に安否の情報を送信する。
【0054】
情報取得装置10は、例えば、午前10時になり、安否の情報を送信するタイミングになったとき、居住者存在判定手段により高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定する。高齢者Pが住居A内に存在すると判定すると、安否の情報として存在情報をネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する。また、情報取得装置10は撮像手段により住居A内を撮像する。このとき、情報取得装置10は、赤外線受信部により赤外線を所定量以上検出した方向に撮像手段の撮像方向を変更して所定期間(例えば、5分間)の撮像画像の情報を取得する。情報取得装置10は、このように取得した撮像画像の情報をネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する。サーバ装置40は、内部の記憶手段に記憶された設定情報に基づいて、情報取得装置10から送信される撮像画像の情報の送信先が携帯端末装置90cであることを検出し、この携帯端末装置90cへ撮像画像の情報を送信する。これにより、携帯端末装置90cを所持するホームヘルパーは、定期的に高齢者Pの撮像画像を確認することができる。
【0055】
一方、安否の情報を送信するタイミングで、居住者存在判定手段により高齢者Pが住居A内に存在しないとき、情報取得装置10は、高齢者Pが住居A内に存在しないことを示す不存在情報を安否の情報としてサーバ装置40へ送信する。サーバ装置40は、高齢者Pの不存在情報を取得すると、無線通信装置30から高齢者Pに装着された無線器20の固有コードを含む検出情報が送信されているか否かを判定する。このとき、検出情報が送信されていると判定すると、サーバ装置40は、検出情報に含まれる無線通信装置30の装置コードから、高齢者Pの存在位置を判定し、この存在位置の情報を携帯端末装置90cへネットワーク50を介して送信する。これにより、携帯端末装置90cを所持するホームヘルパーは、高齢者Pが住居A内に存在しない場合であっても、定期的に高齢者Pの撮像画像を確認することができる。特に、高齢者Pを介護する側(ホームヘルパーやケアマネージャなど)は、定期的に高齢者Pの状態や場所を把握することができ、救急の場合には駆けつける等の対応が可能となるため、高齢者Pの家族がより安心できるサービスを提供することができる。
【0056】
[2.安否確認システムの具体的構成及び動作]
次に、安否確認システムの具体的構成及び動作の一例について、図面を参照して説明する。なお、以下においては、情報取得装置10、無線器20、無線通信装置30、サーバ装置40の順に具体的な構成及び動作を説明することとする。
【0057】
[2.1.情報取得装置10]
まず、情報取得装置10の具体的構成について説明する。
【0058】
図8に示すように、情報取得装置10は、撮像ユニット60(撮像手段の一例)と、ルータユニット70と、公衆無線通信カード80とを有している。
【0059】
撮像ユニット60は、CCD(Charge Coupled Device)などから構成される撮像部61と、赤外線を受信する赤外線受信部62と、撮像部61の撮像方向及び赤外線受信部62の受信方向を変動させる回動機構63と、LAN(Local Area Network)と接続するLAN−I/F64と、情報取得装置10全体を制御する制御部65とを備えており、これらは互いに通信可能にバス66で接続されている。
【0060】
ルータユニット70は、LANと接続するLAN−I/F71と、公衆無線通信カード80をルータユニット70に接続するための通信I/F72と、ルータユニット70全体を制御する制御部73と、各種情報を記憶する記憶部74と、マイク及びスピーカを備え、公衆無線通信カード80を介して受信した音声データをアナログ変換してマイクに出力し、スピーカに入力した音声をデジタル化して生成した音声データを公衆無線通信カード80を介して出力する音声処理部75と、後述する電源コード85を通信回線として利用するPLC(Power Line Communications:電力線通信)の機能を有するPLC−I/F76とを備えており、これらは互いに通信可能にバス77で接続されている。なお、制御部73は、送信処理手段などの各手段として機能する。
【0061】
公衆無線通信カード80は、ネットワーク50を構成する公衆無線基地局51とデータの送受信を行う機能を有している。
【0062】
撮像ユニット60、ルータユニット70及び公衆無線通信カード80は、図9に示すように、球状筐体81に収納されている。この球状筐体81は、非透過性の半球状下部筐体82と、透過性の半球状上部筐体83とからなり、撮像部61の撮像範囲及び赤外線受信部62の受信範囲が非透過性の半球状下部筐体82により阻害されないように、撮像部61及び赤外線受信部62は上方(透過性の半球状上部筐体83側)に配置される。
【0063】
また、球状筐体81の下部には、三脚形状の支持台84が設けられており、かかる支持台84により球状筐体81を所定位置及び角度で支持可能としている。
【0064】
情報取得装置10は、球状筐体から電源コード85が延伸されており、この電源コード85に電力を供給することにより、サーバ装置40へアクセスして各種データの送受信を可能としている。このように、情報取得装置10は、電源コード85を電源コンセントに差し込むだけで動作させる構成となっているため、その設置をきわめて容易に行うことができる。
【0065】
この情報取得装置10は、例えば、図10に示すように、高齢者Pの住居Aの四隅の一箇所に配置されるようにしており、撮像部61の撮像方向を回動機構63によって住居A内全体を撮像できるようになっている。なお、情報取得装置10の配置は住居Aの四隅に限られず、例えば住居Aの中央に配置するようにしてもよい。
【0066】
以上のように構成された情報取得装置10の動作を、以下図11〜図13のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0067】
情報取得装置10に電源が投入されると、初期処理動作を行う(ステップS10)。この初期処理動作は、次のように行われる。すなわち、撮像ユニット60の制御部65及びルータユニット70の制御部73は、それぞれ内部に記憶したプログラムを実行して、各種の機能を実行可能な状態とする。このとき、各制御部65,73は、自ユニットが正常に動作可能か否かのセルフテストを行う。また、撮像ユニット60の制御部65は、回動機構63を駆動して、撮像部61の撮像方向を変更しつつ撮像部61による撮像を行わせ、LAN―I/F64を介して、ルータユニット70へ出力する。ルータユニット70の制御部73は、このように撮像ユニット60から出力される撮像画像の情報を初期撮像画像の情報として記憶部74に記憶する。その後、ルータユニット70の制御部73は、公衆無線通信カード80を介してサーバ装置40へアクセスし、記憶部74に予め記憶している自情報取得装置10固有の装置コードをサーバ装置40へ送信して通知して、動作状態になっていることを定期的に通知する処理を開始する。このとき、撮像ユニット60やルータユニット70に異常がある場合には、制御部73は、サーバ装置40に対して異常箇所の情報を送信する。これによりサーバ装置40は情報取得装置10に異常があるか否かを容易に把握することができる。
【0068】
初期処理動作が終了すると、ルータユニット70の制御部73は、サーバ装置40からネットワーク50を介してメッセージを受信したか否かを判定する(ステップS11)。この処理において、メッセージを受信したと判定すると(ステップS11:Yes)、制御部73は、メッセージ処理を実行する(ステップS12)。このメッセージ処理は、図12に示すステップS20〜S26の処理であり、後で詳述する。
【0069】
ステップS12の処理が終了したとき、又は、メッセージを受信していないと判定したとき(ステップS12:No)、制御部73は自情報取得装置10が転倒していないか否かを判定する(ステップS13)。自情報取得装置10が転倒していないかどうかは、初期処理動作時に記憶部74に記憶した初期撮像画像の情報を、この判定処理で撮像部61を制御して撮像した撮像画像の情報と一致するか否かにより判定する。すなわち、撮像画像の情報が初期撮像画像の情報と一致又はほとんど一致する場合には、転倒していないと判定し、それ以外の場合には、転倒していると判定する。このようにすることにより、転倒に加え位置変動も判定することができる。なお、支持台84の底面にスイッチを設け、このスイッチの押下状態がなくなったときに、自情報取得装置10が転倒したと判定するようにしてもよい。
【0070】
自装置10が転倒したと判定すると(ステップS13:Yes)、制御部73は、サーバ装置40にネットワーク50を介して転倒情報を送信して、その旨をサーバ装置40に通知する(ステップS16)。
【0071】
ステップS16の処理が終了したとき、又は自装置10が転倒していないと判定したとき(ステップS13:No)、制御部73は、PLC−I/F76、電源コード85及び電源ライン(図示せず)を介して、住居A内に設置された他の電子機器(図示せず)からの情報を受信したか否かを判定する(ステップS14)。住居A内に設置された他の電子機器として、PLC−I/Fを内蔵したポット、テレビ、冷蔵庫などがあり、かかる電子機器は、その使用状態を情報取得装置10へ電源ラインを介して情報取得装置10へ送信するように設定されている。例えば、ポットの場合には給湯の回数や日時、テレビの場合にはその視聴チャンネルや視聴日時などが情報取得装置10へ送信される。なお、他の電子機器から情報取得装置10への情報の送信は、その使用毎に行うようにしてもよく、又は所定期間(例えば、30分毎)の情報をまとめて送信するようにしてもよい。
【0072】
他の電子機器から情報を電源ラインを介して受信したと判定すると(ステップS14:Yes)、制御部73は、その受信した情報を記憶部74に記憶する(ステップS15)。
【0073】
ステップS15の処理が終了したとき、又は他の電子機器から情報を受信していないと判定したとき(ステップS14:No)、制御部73は、存否情報の送信タイミングとなったか否かを判定する(ステップS17)。存否情報の送信タイミングは、後述する設定登録メッセージに含まれるスケジュールの情報(送信間隔、送信時間帯、送信曜日などの送信タイミングを決定するための情報)に基づいて制御部73により判定される。送信タイミングとなったと判定すると(ステップS17:Yes)、制御部73は、情報送信処理を実行する(ステップS18)。この情報送信処理は、図13に示すステップS30〜S33の処理であり、後で詳述する。
【0074】
ステップS18の処理が終了したとき、又は、送信タイミングとなっていないと判定したとき(ステップS17:No)、制御部73は、終了指示を検出したかを判定する(ステップS19)。例えば、自装置10の電源がOFF状態へ移行したとき、制御部73は、終了指示を検知する。
【0075】
ステップS19において、終了指示を検知したと判定すると(ステップS19:Yes)、制御部73は、本処理を終了し、一方、終了指示を検知していないと判定すると(ステップ19:No)、制御部73は、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0076】
次に、ステップS12で実行されるメッセージ処理について図12のフローチャートを参照して具体的に説明する。なお、メッセージ種別の判定は、メッセージのヘッダに含まれるメッセージ種別情報に基づいて行われる。
【0077】
図12に示すように、メッセージ処理を開始すると、制御部73は、受信したメッセージが存否確認メッセージであるか否かを判定する(ステップS20)。この処理において、存否確認メッセージを受信したと判定すると(ステップS20:Yes)、制御部73は、ステップS18と同様に、情報送信処理を実行する(ステップS21)。
【0078】
受信したメッセージが存否確認メッセージではないとき(ステップS20:No)、制御部73は、受信したメッセージが設定登録メッセージであるか否かを判定する(ステップS22)。設定登録メッセージを受信したと判定すると(ステップS22:Yes)、制御部73は、記憶部74に設定登録メッセージに含まれる設定情報を記憶して登録する(ステップS23)。
【0079】
受信したメッセージが設定登録メッセージではないとき(ステップS22:No)、制御部73は、受信したメッセージが撮像方向変更メッセージであるか否かを判定する(ステップS24)。撮像方向変更メッセージを受信したと判定すると(ステップS24:Yes)、制御部73は、LAN−I/F71を介して、撮像ユニット60へ撮像方向の変更指示を出力する。これにより、撮像部61の撮像方向が変更される(ステップS25)。
【0080】
受信したメッセージが撮像方向変更メッセージではないとき(ステップS24:No)、制御部73は、受信したメッセージに応じた処理を行う(ステップS26)。例えば、音声データを含むメッセージを受信したとき、制御部73は、音声処理部75により音声データをアナログ化してスピーカより出力する。
【0081】
ステップS21,S23,S25,26の処理が終了したとき、制御部73は、メッセージ処理を終了する。
【0082】
次に、ステップS18,S21で実行される情報送信処理について図13のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0083】
図13に示すように、情報送信処理を開始すると、制御部73は、高齢者Pの存否の判定を行う(ステップS30)。この処理において、制御部73は、回動機構63を動作させて、赤外線受信部62による受信方向を変化させ、赤外線受信部62によって受信した赤外線が所定量以上のときに、高齢者Pが住居A内に存在すると判定する。このとき、制御部73及び赤外線受信部62は、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定する居住者存在判定手段として機能する。
【0084】
なお、情報取得装置10では、サーバ装置40から送信される設定登録メッセージの設定情報にスケジュールの情報以外の情報を含ませることで、高齢者Pの住居A内での存否の判定方法を変更することができる。例えば、赤外線受信部62の受信状態に代えて、PLC−I/F76を介して記憶部74に記憶した情報に基づいて、高齢者Pの存否を判定することができる。この処理において、制御部73は、記憶部74に記憶した情報に基づいて、所定期間内(例えば、1時間前まで)の間に、電源ラインを介して他の電子機器の使用があったか否かを判定し、使用があるとき高齢者Pが住居A内に存在すると判定する。また、撮像部61によって撮像した画像の変化に基づいて、高齢者Pが住居内に存在するか否かを判定することもできる。さらに、これらの判定方法を2以上組み合わせて、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定するようにしてもよく、これにより判定精度を向上させることができる。
【0085】
制御部73は、高齢者Pの存否の判定を行った後、かかる判定結果の情報である存否情報をネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する(ステップS31)。すなわち、高齢者Pが住居A内に存在するときには存在情報を、存在しないときには不存在情報を存否情報として送信する。この処理において、制御部73は、高齢者Pの存否の情報を送信する送信処理手段として機能する。
【0086】
次に、制御部73は、ステップS30の処理で、高齢者Pが住居A内に存在していると判定している場合(ステップS32:Yes)、撮像画像の情報の送信処理を行う(ステップS33)。
【0087】
撮像画像の情報の送信処理は、次のように行われる。まず、LAN−I/F71を介して撮像ユニット60へ撮像画像の情報(撮像画像データ)の送信を要求する。この要求に対して撮像ユニット60の制御部65は、赤外線受信部62により赤外線を所定量以上検出した方向に撮像部61の撮像方向を変更する。
【0088】
情報取得装置10は、撮像部61の撮像方向の変動に応じて赤外線受信部62の受信方向も変動するように構成されているため、ステップS30で赤外線を所定量以上検出した位置で回動機構63の駆動を停止している場合には、撮像方向は、高齢者Pの方向に向いている。従って、制御部73は、回動機構63を駆動させることなく、撮像部61による撮像を開始させることができる。なお、ステップS30の処理において、最も赤外線を受信する量が多い方向に回動機構63の駆動を停止することにより撮像方向の精度を向上させることができる。なお、撮像部61の撮像方向を固定せずに、撮像部61の撮像方向を動かしながら撮像を行うようにしてもよく、特に、高齢者Pの存在は検出できるものの、位置が分からないときに有効である。
【0089】
撮像部61から出力される撮像画像の情報は、制御部65により、LAN−I/F64を介してルータユニット70へ送信される。ルータユニット70の制御部73は、撮像ユニット60から受信した撮像画像の情報を公衆無線通信カード80からネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する。このように、制御部65,73及び回動機構63は、赤外線受信部62により赤外線を所定以上検出した方向に撮像ユニット60の撮像方向を変更して撮像画像の情報を取得する撮像処理手段として機能する。
【0090】
ステップS33の処理が終了したとき、又は、高齢者Pが住居A内に存在していないとき(ステップS32:No)、制御部73は、情報送信処理を終了する。なお、以上の処理において、撮像ユニット60は、撮像方向が変更可能な撮像手段として機能する。
【0091】
[2.2.無線器20]
次に、無線器20の具体的構成について説明する。
【0092】
図14に示すように、無線器20は、高齢者Pの腕に接触して脈拍を検出する脈拍検出部21と、高齢者Pの腕に接触して温度を検出する温度検出部22と、無線通信装置30と通信するための無線部23と、マイク及びスピーカを備え、無線部23を介して受信した音声データをアナログ変換してマイクに出力し、スピーカに入力した音声をデジタル化して無線部23を介して出力する音声処理部24と、各種情報を表示する表示部25と、無線器20全体を制御する制御部26と、各種の設定操作を行うための操作部27と、固有の識別コードなどを記憶する記憶部28とを備えており、これらは互いに通信可能にバス29で接続されている。なお、制御部26は、検出手段、送信処理手段などの各手段として機能する。
【0093】
この無線器20は、図15に示すように、高齢者Pの腕に装着可能な腕時計型の無線器であり、操作部27への入力操作により脈拍検出部21や温度検出部22による検出結果を表示部25に表示可能となっている。また、記憶部28に記憶した識別コードなどを定期的に無線部23から無線信号として出力する。また、この無線器20は図示しない電池を電源として動作し、この電池の容量が所定値以下となると、その旨を無線部23から無線信号として出力すると共に、音声処理部24のマイクを通じて高齢者Pに通知し、さらに、識別コードを無線信号として送信する間隔を広げるようにして、無線部の電池の消費量を低減する。なお、識別コードは、無線器20毎に固有に割り当てられるコードであり、サーバ装置40により高齢者P毎に対応づけられる。
【0094】
以上のように構成された情報取得装置10の動作を、以下図16のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0095】
無線器20に電源が投入されると、制御部26は、温度検出部22及び脈拍検出部21を定期的に動作させて、高齢者Pの体温及び脈拍を検出する処理を開始する(ステップS40)。
【0096】
次に、制御部26は、音声通信要求があったか否かを判定する(ステップS41)。この処理において、制御部26は、無線部23を介してサーバ装置40から音声通信の要求があったときに、音声通信要求があったと判定する。また、操作部27への所定の操作入力があったときにも、制御部26は、音声通信要求があったと判定する。
【0097】
音声通信要求があったと判定すると(ステップS41:Yes)、制御部26は、音声処理部24を動作させ、無線部23を介して無線通信装置30から受信した音声データをアナログ変換してマイクに出力し、スピーカに入力した音声をデジタル化して生成した音声データを識別コードと共にサーバ装置40を宛先として無線部23を介して無線通信装置30へ出力する(ステップS42)。
【0098】
ステップS42の処理が終了したとき、又は、音声通信要求がなかったと判定したとき(ステップS41:No)、制御部26は、所定タイミングになったか否かを判定する(ステップS43)。この処理において、制御部26は、記憶部28に設定されたタイミング情報に基づいて、所定タイミングになったか否かを判定する。例えば、10分毎のタイミングの情報が記憶部28に設定されているとき、制御部26は、10分毎に所定タイミングになったと判定することになる。但し、電池寿命が所定値以下になったときには、所定タイミングの間隔を大きくするにする(例えば、20分毎の間隔)。
【0099】
所定タイミングになったと判定すると(ステップS43:Yes)、制御部26は、記憶部28から識別コードの情報を読み出し、この識別コードを無線通信装置30へ送信する(ステップS44)。
【0100】
ステップS44の処理が終了したとき、又は、所定タイミングになっていないと判定すると(ステップS43:No)、温度検出部22及び脈拍検出部21により検出した体温及び脈拍数を識別コードと共にサーバ装置40を宛先として無線部23を介して無線通信装置30へ送信する(ステップS45)。
【0101】
ステップS45の処理が終了したとき、制御部26は、終了指示を検出したかを判定する(ステップS46)。例えば、自装置20の電源がOFF状態へ移行したとき、制御部26は、終了指示を検知する。
【0102】
ステップS26において、終了指示を検知したと判定すると(ステップS46:Yes)、制御部26は、本処理を終了し、一方、終了指示を検知していないと判定すると(ステップS46:No)、制御部26は、ステップS41からの処理を繰り返す。
【0103】
[2.3.無線通信装置30]
次に、無線通信装置30の具体的構成について説明する。
【0104】
図17に示すように、無線通信装置30は、無線器20や他の無線通信装置30などと無線通信を行う無線部31と、自装置30固有の装置コードなどを記憶する記憶部32と、無線通信装置30全体を制御する制御部33とを備えている。制御部33は、受信処理手段、送信処理手段、転送処理手段、などの各手段として機能する。なお、複数の無線通信装置30のうち一部の無線通信装置30aは、その他の無線通信装置30よりも無線電波の強度が大きく設定されており、ネットワーク50を構成する無線基地局(図示せず)と通信可能となっており、ネットワーク50を介してサーバ装置40とデータの送受信を行うことができる。以下、このような無線通信装置30aを主装置30aとも呼ぶ。
【0105】
無線通信装置30は、上述のように所定の間隔(例えば、70m〜120m)で配置されており、隣接する他の無線通信装置30と無線信号を送受信し、無線通信装置30aが複数の無線通信装置30とサーバ装置40との間のデータ通信を中継する。
【0106】
無線通信装置30aを除く無線通信装置30の制御部33は、無線部31により無線器20から識別コードなどの情報を受信したとき、自装置30の装置コードを記憶部32から読み出して、受信した識別コードと共に検出情報として隣接する他の無線通信装置30へ送信する。当該他の無線通信装置30は、自装置が所定の無線通信装置30aのとき、検出情報を受信するとこの検出情報をネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信し、一方、自装置が所定の無線通信装置30aでないとき、検出情報を受信するとこの検出情報をさらに別の無線通信装置30へ転送する。これにより、無線通信装置30から出力される検出情報は、結果的にサーバ装置40へ通知されることになる。
【0107】
以上のように構成された無線通信装置30の動作を、以下図18のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0108】
無線通信装置30に電源が投入されると、図18に示すように、まず、制御部33は、無線部31を動作させて、無線信号の受信処理を開始し(ステップS50)、無線部31を介して無線信号を受信したか否かを判定する(ステップS51)。このとき、制御部33は、無線器20が無線通信範囲に入ったときに、当該無線器20から送信される識別コードを受信し、また、無線基地局からの無線信号を受信する受信処理手段として機能する。
【0109】
無線信号を受信したと判定すると(ステップS51:Yes)、制御部33は、無線信号がサーバ装置40から送信されたものであるか否かを判定する(ステップS52)。この処理において、制御部33は、無線信号に含まれるデータのヘッダに宛先として無線器20の識別コードが含まれているときに、無線信号がサーバ装置40から送信されたものであると判定する。
【0110】
無線信号がサーバ装置40から送信されたものであるとき(ステップS52:Yes)、制御部33は、無線信号に含まれる識別コードに対応する無線器20と通信可能か否かを判定する(ステップS53)。この処理において、無線器20と通信可能と判定すると(ステップS53:Yes)、制御部33は、受信した無線信号に含まれる情報を無線器20に転送する(ステップS54)。一方、無線器20と通信可能ではないと判定すると(ステップS53:No)、制御部33は、受信した無線信号に含まれる情報を隣接する他の無線通信装置30へ転送する(ステップS55)。
【0111】
無線信号がサーバ装置40から送信されたものではないとき(ステップS52:No)、制御部33は、自装置30が主装置30aであるか否かを判定する(ステップS56)。この処理において、制御部33は、記憶部32に記憶されている装置情報に基づいて自装置30が主装置30aであるか否かを判定する。
【0112】
自装置30が主装置30aであると判定すると(ステップS56:Yes)、制御部33は、無線器20から受信した無線信号に含まれる情報をネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信する(ステップS57)。ここで、無線器20から受信した無線信号が識別コードである場合には、制御部33は、記憶部32から装置コードを読み出し、識別コードと装置コードとを含む検出情報をサーバ装置40へ送信する。但し、無線器20から受信した無線信号が識別コードに加えてデジタル化した音声データがある場合には、制御部33は、装置コードを付すことなくそのままサーバ装置40へ送信する。一方、自装置30が主装置30aではないと判定すると(ステップS56:No)、制御部33は、受信した無線信号に含まれる情報を隣接する他の無線通信装置30へ転送する(ステップS58)。
【0113】
ステップS54,S55,S57,S58の処理が終了したとき、又は、無線器20から無線信号を受信していないと判定すると(ステップS51:No)、制御部33は、終了指示を検出したかを判定する(ステップS59)。例えば、自装置30の電源がOFF状態へ移行したとき、制御部33は、終了指示を検知する。
【0114】
ステップS59において、終了指示を検知したと判定すると(ステップS59:Yes)、制御部33は、本処理を終了し、一方、終了指示を検知していないと判定すると(ステップ59:No)、制御部33は、ステップS51からの処理を繰り返す。
【0115】
[2.4.サーバ装置40]
次に、サーバ装置40の具体的構成について説明する。
【0116】
図19に示すように、サーバ装置40は、ネットワーク50に接続するためのWAN−I/F41と、各種情報を表示する表示部42と、各種の設定操作を行うための操作部43と、固有の識別コードなどを記憶するハードディスク44と、マイク及びスピーカを備え、無線部23を介して受信した音声データをアナログ変換してマイクに出力し、スピーカに入力した音声をデジタル化して生成した音声データを無線部23を介して出力する音声処理部45と、サーバ装置40全体を制御する制御部46とを備えており、これらは互いに通信可能にバス47で接続されている。
【0117】
このサーバ装置40は、ホームヘルパー或いはケアマネージャが勤務する介護サービス会社などに配置されるものであり、ホールヘルパー又はケアマネージャは、自己が所持する携帯端末装置90の他、このサーバ装置40を使用して高齢者Pの安否の確認などを行うことができる。なお、制御部46は、受信処理手段、検出手段、送信処理手段、判定手段などの各手段として機能する。
【0118】
ハードディスク44には、高齢者Pと情報取得装置10とを関連づけたユーザ管理テーブルが記憶されている。ユーザ管理テーブルは、図20に示すように、高齢者Pが装着している無線器20の識別コードと、情報取得装置10の装置コードと、各携帯端末装置90a〜90cのメールアドレス、安否確認メッセージを送信した携帯端末装置90の情報、設定登録メッセージを送信した携帯端末装置90の情報が関連づけられたテーブルである。なお、図示しないがこのユーザ管理テーブルには、各高齢者Pに関してその他の設定される情報なども識別コードや装置コードなどと関連づけられている。
【0119】
以上のように構成されたサーバ装置40の動作を、以下図21のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0120】
サーバ装置40に電源が投入されると、制御部46は、操作部43からの入力操作により設定入力があったか否かを判定する(ステップS60)。この処理において、例えば、操作部43からユーザ管理テーブルの設定を行うための入力があったときに、制御部46は、設定入力があったと判定する。
【0121】
設定入力があったと判定すると(ステップS60:Yes)、制御部46は、設定処理を行う(ステップS61)。例えば、操作部43からユーザ管理テーブルの設定を行うための入力があったとき、制御部46は、その入力に応じてユーザ管理テーブルの設定(変更や更新を含む)を行う。
【0122】
このステップS61の処理が終了したとき、又は、設定入力がなかったと判定すると(ステップS60:No)、制御部46は、携帯端末装置90からのアクセスがあったか否かを判定する(ステップS62)。このとき、携帯端末装置90からのアクセスがあったと判定すると(ステップS62:Yes)、制御部46は、以下のように第1アクセス処理を実行する(ステップS63)。
【0123】
まず、携帯端末装置90(ここでは、一例として携帯端末装置90aとするが、携帯端末装置90b,90cも同様)からアクセスがあると、サーバ装置40は、IDとパスワードを入力する画面の情報をこの携帯端末装置90aへ送信して、携帯端末装置90aにこの入力画面を表示する。携帯端末装置90aのユーザが操作部(図示せず)からの操作入力によりIDとパスワードを入力すると、その情報がサーバ装置40へ送信される。サーバ装置40は、ハードディスク44に記憶しているユーザ管理テーブルを参照してIDとパスワードとが一致する高齢者Pを特定し、安否確認機能、設定登録機能、通話機能などを選択するための選択画面の情報を携帯端末装置90へ送信する。
【0124】
携帯端末装置90aのユーザが操作部(図示せず)からの操作入力によりいずれかの機能を選択すると、サーバ装置40はその選択された機能を実行する。
【0125】
安否確認機能が選択されると、サーバ装置40は、上記特定した高齢者Pの情報取得装置10(以下、「特定情報取得装置10」とする)に対して安否確認メッセージをネットワーク50を介して送信する。その後、携帯端末装置90aから撮像方向変更要求を受信すると、サーバ装置40は、その撮像方向変更要求に応じた方向情報を含む撮像方向変更メッセージをネットワーク50を介して特定情報取得装置10へ送信する。また、携帯端末装置90aから安否確認終了要求を受信すると、サーバ装置40は、特定情報取得装置10へネットワーク50を介して終了メッセージを送信する。
【0126】
設定登録機能が選択されると、サーバ装置40は、スケジュールの情報などを含む設定情報を携帯端末装置90aからそのユーザに入力させて、ハードディスク44のユーザ管理テーブルに設定情報として記憶する。また、サーバ装置40は、特定情報取得装置10に対してこの設定情報を含む設定登録メッセージをネットワーク50を介して送信する。
【0127】
通話機能が選択されると、サーバ装置40は、アクセスしている携帯端末装置90aと特定情報取得装置10との間の音声通話を可能とする。すなわち、サーバ装置40は、アクセスしている携帯端末装置90aの識別情報を付加して、この携帯端末装置90aから送信される音声データを特定情報取得装置10へ送信すると共に、特定情報取得装置10から携帯端末装置90aの識別情報を付加した音声データを受信すると、この情報を特定情報取得装置10へ送信するように機能する。
【0128】
ステップS63の処理が終了したとき、又は、携帯端末装置90aからのアクセスがなかったと判定すると(ステップS62:No)、制御部46は、情報取得装置10からのアクセスがあったか否かを判定する(ステップS64)。このとき、情報取得装置10からのアクセスがあったと判定すると(ステップS64:Yes)、制御部46は、以下のように第2アクセス処理を実行する(ステップS65)。
【0129】
まず、情報取得装置10からアクセスがあると、サーバ装置40は、そのアクセス種別に応じた処理を行う。情報取得装置10から存在情報が送信されてきた場合、制御部46は、その情報を高齢者Pの識別コードに関連づけてユーザ管理テーブルを更新する。このようにユーザ管理テーブルが更新された後、情報取得装置10から撮像画像の情報が送信されてきた場合、制御部46は、ユーザ管理テーブルから転送先の携帯端末装置90を選択し、この選択した携帯端末装置90へ撮像画像の情報を送信する。例えば、ユーザ管理テーブルが図20に示すように設定されているとき、撮像画像の情報を送信した情報取得装置10が「AABC021」であるとき、送信先の携帯端末装置90として携帯端末装置90aを選択する。一方、撮像画像の情報を送信した情報取得装置10が「AABC101」であるとき、撮像画像の情報が所定期間分の情報であれば、設定登録メッセージに対する情報であると判定して携帯端末装置90aを選択し、撮像画像の情報がリアルタイムに順次送信される情報であれば、安否確認メッセージに対する情報であると判定して携帯端末装置90bを選択する。
【0130】
また、情報取得装置10から転倒情報や異常箇所の情報が送信されてきた場合、制御部46は、ユーザ管理テーブルを参照し、ホームヘルパーの携帯端末装置90bへその情報をネットワーク50を介して転送する。なお、情報取得装置10から存在情報が送信されてユーザ管理テーブルを更新した後であっても、制御部46は、この存在情報に住居A内における情報取得装置10以外の他の電子機器の使用状態が含まれ、かつ所定期間前までの間に他の電子機器の使用がないと判定したときには、ユーザ管理テーブルを参照し、家族、ホームヘルパー及びケアマネージャーの全ての携帯端末装置90a〜90cへその情報をネットワーク50を介して転送するようにしてもよい。
【0131】
ステップS65の処理が終了したとき、又は、情報取得装置10からのアクセスがなかったと判定すると(ステップS64:No)、制御部46は、無線通信装置30からのアクセスがあったか否かを判定する(ステップS66)。無線通信装置30からのアクセスがあったと判定すると(ステップS66:Yes)、制御部46は、以下の第3アクセス処理を実行する(ステップS67)。
【0132】
まず、無線通信装置30からアクセスがあると、サーバ装置40は、そのアクセス種別に応じた処理を行う。無線通信装置30から識別コード及び装置コードを含む検出情報が送信されてきた場合、制御部46は、その検出情報に含まれる識別コードに対応させて同じくその検出情報に含まれる装置コードを関連づけてハードディスク44の位置情報記憶領域に記憶する。制御部46は、この位置情報記憶領域の情報は所定期間毎に消去するようにしており、その消去前に、この位置情報記憶領域に記憶された各識別コード毎に装置コードを抽出する。そして、抽出した装置コードに基づき、制御部46は、各識別コードに対応する高齢者Pの存在領域を判定する。例えば、位置情報記憶領域に記憶された識別コードのうち、ある識別コードに対して4つの装置コードが位置情報記憶領域に記憶されているとき、この4つの装置コードに対応する無線通信装置30の位置をハードディスク44から読み出して、これらの無線通信装置30の位置で囲んだ領域をその識別コードに対応する高齢者Pの存在領域を判定する。
【0133】
また、無線通信装置30から識別コードが付加された音声データを受信すると、制御部46は、ユーザ管理テーブルを参照し、音声データに付加された識別コードに対応する装置コードを選択し、この装置コードに対応する情報取得装置10へ受信した音声データをネットワーク50を介して送信する。
【0134】
また、無線通信装置30から体温及び脈拍数が送信されてきた場合、制御部46は、この体温及び心拍数の少なくとも一つに基づいて高齢者Pの健康状態を判定する判定手段を備え、高齢者Pの健康状態が設定値よりも悪いときに、ユーザ管理テーブルを参照し、家族、ホームヘルパー及びケアマネージャーの全ての携帯端末装置90a〜90cへその情報をネットワーク50を介して転送する。
【0135】
ステップS67の処理が終了したとき、又は、無線通信装置30からのアクセスがなかったと判定すると(ステップS66:No)、制御部46は、情報取得装置10への要求操作があったか否かを判定する(ステップS68)。情報取得装置10への要求操作があったと判定すると(ステップS68:Yes)、制御部46は、要求操作処理を行う(ステップS69)。この処理において、制御部46は、操作部43への操作入力により情報取得装置10への要求があったときに、要求操作があったと判定する。
【0136】
制御部46は、要求操作に応じた要求操作処理を行う。例えば、要求操作がある無線器20との通話の場合には、その無線器20の識別コードを付加した音声データを無線通信装置30へ送信し、要求操作がある情報取得装置10との通話の場合には、その情報取得装置10へ音声データをネットワーク50を介して送信する。また、要求操作がある情報取得装置10の撮像画像の情報の取得要求である場合には、その情報取得装置10へ撮像画像の情報の送信要求をネットワーク50を介して送信する。なお、制御部46は、まず最初に表示部42に高齢者Pの氏名等の一覧を表示して、操作部43への操作入力によりいずれかの高齢者Pを選択させ、その後、通話機能、撮像画像送信要求機能などを操作部43への操作入力により選択させるようにしている。
【0137】
ステップS69の処理が終了したとき、又は、情報取得装置10への要求操作がなかったと判定すると(ステップS68:Yes)、制御部46は、終了指示を検出したかを判定する(ステップS70)。例えば、自装置40の電源がOFF状態へ移行したとき、制御部33は、終了指示を検知する。
【0138】
ステップS70において、終了指示を検知したと判定すると(ステップS70:Yes)、制御部46は、本処理を終了し、一方、終了指示を検知していないと判定すると(ステップS70:No)、制御部46は、ステップS60からの処理を繰り返す。
【0139】
以上のように、本実施形態にかかる安否確認システムSでは、高齢者が住居A内に存在したときには、撮像画像の情報を取得でき、一方で高齢者が住居A内に存在しないときには、高齢者の存在位置の情報を送信するようにしているので、高齢者の家族や介護者は高齢者の安否を安定して確認することができる。
【0140】
なお、上述では、安否確認メッセージを受信したときや設定登録メッセージによる送信タイミングで安否の情報を送信するようにしたが、これに限られず、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを定期的に居住者存在判定手段により判定し、その判定結果をネットワーク50を介してサーバ装置40へ送信するようにしてもよい。また、高齢者Pが住居A内に存在するか否かにかかわらず、撮像画像の情報を連続してリアルタイムにサーバ装置へ送信するようにしてもよい。
【0141】
また、家族、ホームヘルパー及びケアマネージャの所持する端末装置として携帯端末装置を例に挙げて説明したが、これに限られず、デスクトップ型の端末装置であってもよい。
【0142】
また、高齢者Pが住居A内に存在するか否かを判定する居住者存在判定手段は、情報取得装置10に設けるのではなく、サーバ装置40に設けるようにしてもよい。例えば、サーバ装置40の制御部46は、情報取得装置10から送信される撮像画像の情報を取得し、この撮像画像の変化に基づいて、高齢者Pが住居内に存在するか否かを判定する居住者存在判定手段として機能させることもできる。
【0143】
また、図22に示すように、高齢者マンションMにも適用することができる。このとき、情報取得装置10にさらに、無線通信装置30と同様の機能を持たせることにより、各高齢者Pの住居A外であって、高齢者マンションM内に高齢者Pがいる場合にも、その高齢者Pの存在位置を容易に把握することができる。しかも、無線通信装置30を別途設ける必要がないことから、安否確認システムSのコストを低減することもできる。
【符号の説明】
【0144】
10 情報取得装置
20 無線器
30 無線通信装置
40 サーバ装置
50 ネットワーク
S 安否確認システム
P 高齢者
A 住居

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高齢者の住居内に設置される情報取得装置と、前記高齢者の住居の周囲に間隔をおいて配置され、当該高齢者に装着された無線器との間で無線通信を行う複数の無線通信装置と、前記情報取得装置及び前記無線通信装置からネットワークを介して送信される情報を取得するサーバ装置と、を備えた安否確認システムにおいて、
前記情報取得装置は、
撮像方向が変更可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される撮像画像の情報を送信する送信処理手段と、を備え、
前記無線通信装置は、
固有の装置コードを記憶する記憶手段と、
前記無線器が無線通信範囲に入ったときに、当該無線器から送信される識別コードを受信する受信処理手段と、
前記受信処理手段で取得した識別コードと前記記憶手段に記憶した装置コードとを送信する送信処理手段と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記撮像画像の情報、前記識別コード及び前記装置コードを前記ネットワークを介して受信する受信処理手段と、
前記受信処理手段により受信した前記識別コード及び前記装置コードに基づいて前記高齢者の存在位置を検出する検出手段と、
前記ネットワークを介して他の装置から前記高齢者の存否確認要求を受信すると、前記高齢者が住居内に存在するときには、前記情報取得装置から送信された撮像画像の情報を前記他の装置へ送信し、一方、前記高齢者が住居内に存在しないときには、前記検出手段により検出した前記高齢者の存在位置の情報を送信する送信処理手段と、を備えたことを特徴とする安否確認システム。
【請求項2】
前記複数の無線通信装置のうち一部の無線通信装置の前記受信処理手段は、他の無線通信装置から、前記無線器の識別コードと当該識別コードを検出した他の無線通信装置の装置コードとを受信し、
前記一部の無線通信装置の前記送信処理手段は、前記受信処理手段で取得した前記装置コード及び前記識別コードを前記ネットワークを介して前記サーバ装置へ送信することを特徴とする請求項1に記載の安否確認システム。
【請求項3】
前記複数の無線通信装置のうち前記一部の無線通信装置を除く無線通信装置は、自装置と隣接する他の無線通信装置から受信した前記識別コード及び装置コードを、当該他の無線装置とは異なる他の無線通信装置であって自装置に隣接配置された無線通信装置へ転送する転送処理手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の安否確認システム。
【請求項4】
前記サーバ装置の前記送信処理手段は、撮像画像の情報を前記情報取得装置から送信させるタイミングの情報を、当該情報取得装置へ送信し、
前記情報取得装置の前記送信処理手段は、前記撮像手段から出力される撮像画像の情報を前記サーバ装置から取得したタイミングの情報に基づいたタイミングで、前記サーバ装置へ送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項5】
前記情報取得装置は、前記高齢者が住居内に存在するか否かを判定する居住者存在判定手段を備え、前記送信処理手段は、前記高齢者の存否の情報を送信し、
前記サーバ装置は、前記情報取得装置から送信される前記存否の情報に基づき、前記高齢者が住居内に存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項6】
前記情報取得装置の居住者存在判定手段は、赤外線受信部を有し、この赤外線受信部によって検出した赤外線が所定量以上のときに、前記高齢者が住居内に存在することを特徴とする請求項5に記載の安否確認システム。
【請求項7】
前記赤外線受信部により赤外線を所定量以上検出した方向に前記撮像手段の撮像方向を変更して前記撮像手段に撮像画像の情報を取得させる撮像処理手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の安否確認システム。
【請求項8】
前記撮像手段は、撮像部と、当該撮像部の向きと前記赤外線受信部の受信方向を変更する可動部とを備えていることを特徴とする請求項7に記載の安否確認システム。
【請求項9】
固有の識別コードを発信する無線器を備え、
前記情報取得装置の居住者存在判定手段は、前記高齢者が装着した前記無線器の識別コードが取得できたときに、前記高齢者が住居内に存在すると判定することを特徴とする請求項5に記載の安否確認システム。
【請求項10】
前記無線器は、前記識別コードを記憶する記憶手段と、前記高齢者の体温及び/又は心拍数を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した前記高齢者の体温及び/又は心拍数と前記記憶手段に記憶した前記識別コードを送信する送信処理手段と、を備えており、
前記サーバ装置は、前記ネットワークを介して前記受信処理手段により受信した前記高齢者の体温及び/又は心拍数に基づいて前記高齢者の健康状態を判定する判定手段を備え、前記送信処理手段は、前記高齢者の健康状態が設定値よりも悪いときに、前記高齢者の健康状態を前記他の装置へ送信することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の安否確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−273309(P2010−273309A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125887(P2009−125887)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(509146425)
【出願人】(509062527)
【Fターム(参考)】