説明

安定な含水アルコール性経口噴霧調剤物および方法

活性な製薬上の薬剤の安定な調剤物で、口腔粘膜による吸収のための経口噴霧投与用に適するもの、および関連する活性な製薬上の薬剤調剤物の調製および投与の方法を提供する。本発明の好適例は、活性な製薬上の薬剤、溶媒、緩衝剤、および粘性修飾性薬剤を備える調剤物を提供し、そこでは約25から400までのmcLの単位用量の容量の経口噴霧組成物が噴霧されるとき、噴霧は約40から約100までのミクロン(μm)の平均粒度直径を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年4月19日付けで出願した米国仮特許出願(U.S. Provisional Patent Application)第60/792,942号に対する優先権を主張し、その開示は本明細書において参照することによりその全体として組み込む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
(発明の分野)本発明の分野はヒドロアルコール性(含水アルコール性)の経口(oral)噴霧(スプレイ)の製薬上の調剤物、そのような調剤物を製造する方法、およびそれらの使用であり、ヒト(人間)および非人間(ヒトでない)の哺乳類において口腔(oral)粘膜を通して全体的な循環(体循環)系への吸収を介する活性な原材料の迅速な血液レベルを得るためのものである。
【0003】
(発明の背景)薬学上活性な化合物の、消化管(胃腸管)を通しての管理(投与)と関係するいくつか(5、6種くらい)の制限がある。消化管の過酷な環境は、薬学上活性な原材料を変え、および利用可能な投薬量を減少させ得る。肝臓による代謝はまた、利用可能な投薬量を制限し得る。さらに、胃腸の感受性を有する受動体(患者)は、配送の胃腸経路から生じる望ましくない副作用を持ち得る。経口噴霧は、血液における薬学上活性な原材料のより一層迅速な出現、改善された投薬量信頼性、改善された安全性プロファイル、および増加した生物学的利用能を含む薬物の投与の他のモード(様式)に比較して十分な利益を提供し得る。
【0004】
口腔粘膜により効果的に吸収させるために、経口経粘膜的噴霧調剤物は、適切な楕円形(楕円率)および粒度の噴霧パターン(模様)を生成させなければならず、および最大限の吸収を確実にし、および嚥下(のみこむこと)による消化管を通しての意図されない投与を避けるために、適切な単位の用量において配送されなければならない。必要なことは、活性な原材料の口腔粘膜を通しての体循環系への吸収を介する迅速な配送のために、噴霧粒子を生産する適切な単位用量の容量における安定した経口噴霧調剤物である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)本発明の好適例は、口腔粘膜を通して体循環系に投与するために効果的な楕円形および平均(median、中央値)直径を持つ噴霧粒子または小滴(液滴)を生成する活性な製薬上の薬剤の安定した噴霧調剤物を提供する。本発明の好適例は、活性な製薬上の薬剤、溶媒、および粘性修飾性(viscosity modifying)の薬剤を備える経口噴霧組成物を提供し、そこで、約25から400までのmcLの製薬上の組成物の単位用量の容量が噴霧されるとき、噴霧は約40から約100までのミクロン(μm)までの平均粒度(particle size)直径を持つ。
【0006】
本発明の特に好適な具体例は、メロキシカムおよび経口管理のために適切なその製薬上許容可能な塩類を備える調剤物、およびメロキシカム調剤物の調製および管理の関連する方法を提供する。本発明は、口腔粘膜を通しての体循環系への吸収を介する活性な原材料の迅速な発現(onset)のための、単純な、エレガント(上品)なフォーマット(形式)において、安定な、ヒドロアルコール性の経口噴霧調剤物を提供する。1種の具体例において、メロキシカムを、ヒドロアルコール性の、経口の、推進剤フリー(非含有)の噴霧の調剤物において、約0.1から2までの%w/w、より一層好ましくは0.25から1までの%、および最も好ましくは約0.47%w/wの濃度で調剤する。特に好適なヒドロアルコール性のメロキシカム調剤物の具体例は、メロキシカム、ホウ酸、塩化カリウム、ポリビニルアルコール、エチルアルコール、水酸化ナトリウム、および精製水(純水)を備える。
【0007】
本発明の別の具体例は、約0.1から2までの%w/wのメロキシカム、約1から10までのmg/gのポリビニルアルコール、および100-300mg/gのエチルアルコールを備える製薬上の組成物を提供する。本発明の更なる具体例は、メロキシカム、アルコール、および緩衝剤を備えるヒドロアルコール性の、経口噴霧組成物を提供する。
【0008】
本発明のまだ別の具体例では、メロキシカムの製薬上効果的な量を、口腔粘膜表面への調剤物の投与のために適合させる噴霧ポンプの作動を介して哺乳類の体循環系に配送する。本発明の更なる具体例は、保存剤フリーのヒドロアルコール性のメロキシカムの調剤物およびそれらの調製のための方法を提供する。
【0009】
本発明の付加的な具体例は、本発明に従い動物またはヒトの対象物に対し、経口噴霧組成物を投与することによって炎症を処置する方法を提供する。好適例は、約25-400mcL、好ましくは約50-200mcL、およびより一層好ましくは約100mcLの噴霧容量を口腔粘膜に投与する。別の具体例において、噴霧容量は約50mcLである。噴霧の容量は、好ましくはメロキシカムの用量を、約0.025mgから約2mgまで1kgにつき1日当り、好ましくは約0.05mgから約1mgまで1kgにつき1日当り、およびより一層好ましくは約0.1から0.2までのmgを1kgにつき1日当りの範囲において含む。
【0010】
本発明の付加的な特長および利点は、後に続く説明において述べ、およびその説明から明らかになり、または本発明の実践によって学ばれ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(発明の詳細な記載)次に、本発明の現在好適な具体例を詳細に参照し、それらは以下の例と一緒に、本発明の原理を説明するのに働く。特定の問題または環境への本発明の教示の適用が、本明細書において含まれる教示に照らし、この技術における通常の技量を持つ者の能力の範囲内であることを理解すべきである。本発明の生成物の例示的具体例およびそれらの調製および使用のためのプロセス(処理)は、以下の例において現れる。
【0012】
本発明の好適例は、ヒドロアルコール性の経口噴霧組成物を提供し、それは、活性な製薬上の薬剤、溶媒、及び粘性修飾性薬剤を備え、そこで、経口噴霧組成物の約25から400までのmclの単位用量の容量が噴霧されるとき、噴霧は約40から約100までのミクロンの平均粒度直径を持つ。
【0013】
本発明の更なる好適例は、安定な、本質的に保存剤フリーの製薬上の組成物を提供し、それは、メロキシカムの治療上効果的な量を備えるヒドロアルコール性溶液である。好適な組成物は、保存剤の使用に訴えず、しかしその代わりに、アルコール、好ましくは少なくとも約10%のエタノールを調剤物において含むことによって微生物の増殖の抑制を達成する。
【0014】
メロキシカムは、オキシカム(oxicam)クラス(部類)の非ステロイド性の抗炎症性薬物である。化学的に、メロキシカムは、4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-l,3-チアゾール-2-イル)-2H-l,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド、1,1-二酸化物として規定される。本発明の好適例がメロキシカムに関連するが、追加のまたは他の活性な製薬上の薬剤が、噴霧配送媒体(ビークル)および本発明の方法において用いることができる。
【0015】
本発明に従う調剤物はまた、付加的な活性な製薬上の薬剤を含み得、またはそのような活性な製薬上の薬剤を、メロキシカムの代わりに、例えば、鎮痛薬、非ステロイド性の抗炎症性の薬物(NSAIDs)、副腎皮質ステロイド、ヒアルロナン、およびオピオイド、それらの塩類を含むもののようなものを用い得る。抗炎症性の薬物で、アロセトロン、アナキンラ、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、セレコキシブ、クロベタゾール、クロモリン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、エピナスティック(epinastic、epinastine)、エタネルセプト、エトリコキシブ、フルニソリド、フルオシノニド、フルチカゾン、ホルモテロール、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシクロロキン、イブジラスト、ケトチフェン、メサラミン、メトトレキサート、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、モンテルカスト、ネドクロミル、オルサラジン、プレドニゾン、ラマトロバン、ロフェコキシブ、サルブタモール、サルメテロール、サルサラート、テルブタリン、トリアムシノロン、バルデコキシブ、ザフィルルカスト、それらの塩類および混合物を含むようなものは、本発明の調剤物において活性な製薬上の薬剤として含むことができる。
【0016】
セレコキシブは、COX-1を超えるCOX-2抑制についてより一層選択的である高度に選択的なCOX-2インヒビター(抑制物質)である。セレコキシブは、炎症および痛みを減少することができ、その一方、胃腸反応を最小にする。1種の具体例において、本発明の調剤物はセレコキシブを含み得る。別の具体例において、メロキシカムおよびセレコキシブを同時投与する(co-administering)方法を、炎症および痛みを減少させるため、例えば、医学上、または歯学上の手法の前、その間、またはその後に提供する。
【0017】
加えて、以下の治療上の部類はまた、本発明の調剤物において、内包物(inclusion)のために適切であり、またはメロキシカムの代わりに本発明の調剤物において用いられる。例示的な例には、アセトアミノフェンのような鎮痛薬、NSAIDSで、アスピリン、ジクロフェナク、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、サルサラート、およびスリンダク、それらの塩類を含むもののようなもの、副腎皮質ステロイドで、ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、およびトリアムシノロン、その塩類を含むもののようなもの、およびオピオイドで、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、モルヒネ、オキシコドン、およびトラマドール、その塩類を含むもののようなものが含まれる。
【0018】
本発明の調剤物において内包物のために適切な他の活性な製薬上の薬剤には、制限されないが、オンダンセトロン、スマトリプタン、ゾルピデム(Zolpidem)、チザニジン、ロピネロール(ropinerole、ropinirole)、インシュリン、グルコース、およびニトログリセリンおよびU.S. Patent(米国特許)第5,869,082号、第5,955,098号、第6,391,282号、第6,110,486号、第6,676,931号、第6,969,508号、第6,977,070号、および第6,998,110号およびU.S. Patent出願第09/537,118号において開示される活性な原材料が含まれ、それらの開示を本明細書において参照することによりそれらの全体として組み込む。
【0019】
安定性分析の下に、本発明に従う貯蔵安定な組成物は、以前の調剤物に比較して初期の活性な薬剤の濃度の顕著な維持および不純物における減少を示す。例えば、40℃および75%のRH(相対湿度)での4ヵ月後、メロキシカム濃度は、94%から101%まで増加した。何ら特定の理論に拘束されることなく、メロキシカムの増加した濃度は、アルコールの蒸発によると信じられる。40℃および75%のRHで保存されるとき、不純物Bのレベル(水準)は8週間を通して0.1%未満、12週間での0.1%、および4ヵ月の0.4%であった。本発明の好適例に従う調剤物の安定性は、先行技術および次に議論し、および例えば、表1-4に示すような他の試験された調剤物よりも優れていると信じられる。
【0020】
本明細書において用いるように、“貯蔵に安定した”は、液状の製薬上の調剤物であり、活性な原材料の濃度が貯蔵安定性試験の間十分に維持されるもので、およびそのような調剤物の貯蔵安定性試験において典型的に観察される分解生成物および/または不純物が不存在であるか、または貯蔵安定性試験の間、有意に減少するものであることを意味する。1種の具体例において、貯蔵安定性は、約5℃から約80℃まで、およびより一層好ましくは約15℃から約30℃までの温度範囲で定められる。別の具体例において、貯蔵安定性は、相対湿度(“RH”)範囲で、約30%のRHから約90%のRHまでの、およびより一層好ましくは約65%のRHから約75%のRHまでで定められる。貯蔵安定性を測定するための好ましい時間間隔は、約1週間から2年間まで、より一層好ましくは約2週間から約4ヵ月間まで、および最も好ましくは2週間、4週間、8週間、12週間、および4ヵ月間の間隔に及ぶ。
【0021】
本発明の好適な調剤物は、約15%のエタノールおよびポリビニルアルコールのような粘性修飾性(または強化性)薬剤の約0.5%を含む。理論によって束縛されることを望まないが、エタノールの包含が微生物の増殖を調剤物において抑制し、および調剤物の増加した安定性を導くことが信じられる。ベンジルアルコールのような他のアルコール、クロロブタノール、グリセロール、それらのパラベン(例えば、ブチルパラベン、メチルパラベン)、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、およびプロピレングリコールが、この目的のためにエタノールの代わりに用い得る。このように、本発明の1種の具体例によれば、抗菌性の成分または薬剤を、病原性のカビ、酵母または細菌の繁殖を伴わない安全な貯蔵を確実にするために含むことは必要でない。本発明の別の具体例において、食物および他の摂取可能な物質において用いるために適切な種々の抗菌性物質が、この技術において既知であり、および本発明において用いることができる。例には、パラベン(ブチルパラベン、メチルパラベン、およびプロピルパラベン)、プロピル-p-ヒドロキシ安息香酸、安息香酸ナトリウム、およびソルビン酸、およびそれらの塩類が含まれる。好ましい抗菌性薬剤は、安息香酸ナトリウムである。
【0022】
pHを維持するのに用いる種々の緩衝剤および緩衝剤の塩類はまた、本発明において用いるために適切である。本発明に従う調剤物は、典型的に、約7.0から12.0までのpH、より一層好ましくは約7.5から約9.5までのpH、最も好ましくは約8.5のpHを持つ。緩衝剤の例には、水酸化アンモニウム、炭酸、クエン酸、グリシン、マレイン酸、およびリン酸、それらの塩類を含むものが含まれる。
【0023】
本発明の好適例は、口腔粘膜を通した体循環系への吸収を介する活性な原材料の迅速な発現のための頬側噴霧調剤物に指向する。したがって、本発明の好適な噴霧調剤物は、体循環系への吸収を最大にし、および他の本体のシステム(body systems)(例は、肺、消化器系)による吸収を最小にするか、または回避する。噴霧粒子のサイズは、粒子が口腔粘膜/循環系(例は、肺)以外の本体のシステム中に吸収されるかどうかに寄与する。例えば、より一層小さな大きさを設定された(sized)粒子は、より一層多く吸入されるであろう。“頬側”によって本明細書において、本発明者らは、口および口腔キャビティのもの、またはそれに関するもので、制限されないが、舌、頬、歯肉および/または舌下表面の口腔粘膜表面を含むものが意味される。
【0024】
1種の具体例において、10ミクロン未満の直径を持つ噴霧調剤物の粒子(小滴)の割合(例は、噴霧ポンプの作動後)は、約10%未満、より一層好ましくは約5%未満である。別の具体例において、噴霧粒子の平均直径は、約20ミクロンから約150ミクロンまで、より一層好ましくは約40ミクロンから約100ミクロンまで、および最も好ましくは約50ミクロン(例は、表4および5)である。
【0025】
噴霧パターンの楕円形(楕円率)は、噴霧が対称形かどうかを指し示す。噴霧粒子のパターンの卵形の形状がより対称形であるほど、粒子がより一層おそらく口腔粘膜を均一にカバーする(覆う)と信じられる。本発明の好適例によれば、パターンの楕円形の比率は、約0.5および約2.0の間、より一層好ましくは約0.75、約1.5の間である(例は、表5および6)。1種の具体例において、調剤物の粘性を増やすと、噴霧パターンの楕円率を減少させる。別の具体例において、増加した濃度のポリビニルアルコールまたは他の粘性修飾性薬剤は、噴霧をより一層対称形にする噴霧パターンの楕円率を減少させる。
【0026】
本発明の調剤物の調製において、活性なメロキシカム成分または他の活性な製薬上の薬剤は、好ましくはヒドロアルコール性溶液中に組み込まれる。好ましくは、水、ホウ酸塩緩衝剤、およびエタノールが、溶媒として本発明の調剤物において用いられる。しかし、他の溶媒を用い得(例は、水酸化アンモニウム緩衝剤、炭酸、クエン酸、グリシン、マレイン酸、およびリン酸、それらの塩類を含むもの)およびアルコール類(例えば、ベンジルアルコール、グリセリン、グリコフロール(glycofurol)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、およびショ糖)で、それらは、調剤物のpHを維持し、および活性な薬剤を安定化するのを助けることが認識される。同様に、粘性修飾性薬剤としてのポリビニルアルコールの使用は、単に1種の可能な選択肢である。他の粘性修飾性薬剤には、アカシア、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、セルロース、セラトニア、セチルアルコール、キトサン、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マグネシウムアルミニウムケイ酸塩、マルチトール、マルトデキストリン、中鎖トリグリセリド、メチルセルロース、ポリデキストロース、酸化ポリエチレン、ポビドン、プロピレングリコールアルギン酸塩、アルギン酸ナトリウム、ステアリルアルコール、ショ糖、トラガント、トレハロース、ワックス、およびキサンタンガム、それらの塩類を含むもののようなものが含まれる。これらの粘性修飾性薬剤の濃度は、生成物の望ましい流動特性を、種々の方法で、<911>Viscosity, United States Pharmacopeia-National Formulary(粘性、米国薬局方-国内処方集)(USP 29 - NF 24)(2006年)において開示されるものを含むものによって提供するために調節することができ、それによって、本明細書において参照することによりその全体として組み込む。
【0027】
調剤物はまた、エアロゾル噴霧としての配送のために随意の推進剤を含み得、または推進剤フリー(含まない)で、およびメーターで測られた弁噴霧ポンプによって配送することができる。適切な推進剤には、制限されないが、炭化水素(ブタン、プロパン、等)/クロロフルオロカーボン(CFC-11、CFC-12、等)、ヒドロフルオロカーボン(HFA-134a、HFA-227ea、等)、およびエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、等)が含まれる。
【0028】
随意の甘味料、味マスキング物、または香料で、Neotame(R)(商標、ネオテーム)、ソルビトール、Splenda(R)(スプレンダ)(スクラロース)、ショ糖、またはSunett(R)(サネット)(アセサルフェメートK)のようなものを、また必要に応じて添加し得る。
【0029】
種々の香味または香料を、良い感じの味覚(味質)を与えるために含ませ得る。調剤物が子供らまたは動物への投与を目的とするとき、良い感じの味覚は特に重要である。調合薬、食物、キャンディ、および飲料において一般的に用いられる数多くの香味はまた、本発明における使用のためにも適切である。例には、ビーフ(牛肉)、バブル(風船)ガム、チキン、魚、果物、カンゾウ、ペパーミント、および他の香味が含まれる。ネオテーム(R)、ソルビトール、スプレンダ(R)(スクラロース)、ショ糖、またはサネット(R)のような甘味料はまた、調剤物の香味を調節するのに用いることができる。
【0030】
本発明に従う調剤物は、種々の方法によって調製することができる。製造方法の1種の具体例は、以下の通りである。好ましくは、メロキシカムを、貯蔵液での濃度での溶解を達成するために、強アルカリ性の溶液において溶かす。1種の具体例において、ホウ酸塩緩衝剤をエタノールに先立って添加する。理論によって束縛されることなく、ホウ酸塩緩衝剤は、エタノールが添加されるとき、観察される見た目のpHにおける減少から保護すると信じられる。ホウ酸塩緩衝剤なしでは、エタノールの添加が見た目のpHを減らし、およびメロキシカムが溶液の中から沈殿し得ると信じられる。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
生成物の好ましい提示は、1および100の間のmLの収容量を有する、薬学的に許容可能なガラス、PET、またはHDPEのボトル(壜)におけるものである。長期の光安定性を確実にするために、アンバー(琥珀)ガラスを利用することができるが、必要でなくてもよい。その上、PETまたはHDPEが選ばれるならば、ボトルは長期の光安定性を確実にするために不透明であってよい。生成物は、好ましくは、25および400の間のmcLで配送することが可能なメーターで測られたポンプ装置を用いて分配される。1種の具体例において、噴霧がボトルに対して水平に分配されるように、ポンプおよびアクチュエーター(作動装置)が修飾される。これは、受動体の口に簡単に分配することを許容する。作動装置は、ヒト(人間)または動物の頬側区域への配送を許すために、伸長部(extension)を含み得る。
【0035】
本発明はまた、種々の条件を、対象物において処置する方法を提供する(例は、骨関節炎、関節リウマチ、炎症、痛風、および痛み)。方法には、処置が必要な対象物に本発明に従う製薬上の組成物を投与することが含まれる。1種の具体例において、対象物はヒトであり、別の具体例において、対象物は非ヒト(人間以外)の哺乳類であり、好ましくはイヌ、ネコ、ウマ、カトル(ウシ)、ヒツジ、およびスワイン(ブタ)の群から選ばれる。好適な貯蔵安定性メロキシカム組成物は、受動体に対し、例えば1kgにつき1日当り0.025mgから約2mgまで、好ましくは1kgにつき1日当り約0.05mgから約1mgまで、およびより一層好ましくは1kgにつき1日当り0.1から0.2までのmgの任意の適切な投薬量範囲において投与することができる。
【0036】
特定の問題または環境への本発明の教示の適用が、本明細書に含まれる教示に照らし、この技術における通常の技量を持つ者の能力の範囲内であることを理解すべきである。本発明は、次の非限定的な例によってより一層十分に例示される。
【実施例】
【0037】
(例1)4種の調剤物を、安定性試験のために調製した。処方1は、0.5%のグリコフロール(Glycofurol)を有する0.47%のメロキシカムであり(表1)、処方2は、0.5%のPVAおよび7.5%のEtOHを有する0.47%のメロキシカムであり(表2)、処方3は、0.5%のPVAおよび15%のEtOHを有する0.47%のメロキシカムであり(表3)、および処方4は、0.5%のPVAおよび15%のEtOHをホウ酸塩緩衝剤において有する0.47%のメロキシカムである(表4)。処方を、25℃/60%RH、30℃/65%RH、40℃/75%RH、5℃で保存した。調剤物を、25℃/60%RHおよび40℃/75%RHで保存し、次の間隔で試験した。即ち2週間、4週間、8週間(2ヵ月間)、12週間、および4ヵ月間である。
【0038】
これらの条件に加え、サイクリング(循環)調査を実行し、そこでは、全ての3種の調剤物を、各々夜午後4時頃から翌朝午前8時まで、5℃に保った。調剤物を、就業日、およそ8時間の期間の間、40℃/75%RHで保存した。調剤物は、週末または休みにはサイクルさせなかった。調剤物の安定性は、サイクリング調査の開始の後、4ヵ月で試験した。
【0039】
処方1における初期のメロキシカムの濃度は96.8%であり、および4ヵ月での40℃/75%RHの時間点で82.2%にまで落ちた。加えて、不純物Bは、分析的試験から特定された。不純物は2週間で濃度0.1%で現れ、および4ヵ月で0.7%にまで増加した。
【0040】
処方2における初期のメロキシカム濃度は95.0%であった。濃度は、40℃/75%RHで4ヵ月後に96.4%まで増加した。40℃/75%RHでは、不純物Bの濃度は、8週間を通して0.1%未満であった。不純物Bの濃度は、12週間で0.2%、および4ヵ月で0.5%であった。不純物Bのレベルは、処方2において、次いで処方1においてより一層低かった。
【0041】
初期のメロキシカムの濃度は、処方3において94.0%であり、および40℃/75%RHでの4ヵ月後に100.8%まで増加した。濃度における増加は、アルコールの蒸発による調剤物の濃縮に原因することがあり得る。40℃/75%RHで、不純物Bは、8週間を通して0.1%未満であった。不純物Bの濃度は、12週間で0.1%でり、および4ヵ月で0.4%であった。不純物Bの濃度は、処方3でのものであり(is)、それは、処方1および2について観察されたものより低かった。
【0042】
初期のメロキシカムの濃度は、処方4において100.5%であり、および25℃/65%RHおよび40℃/75%RHでの2ヶ月後に不変のままであった。40℃/75%RHでは、不純物Aは2ヵ月間を通して0.05%未満であった。不純物Bの濃度は、処方4でのものであり、それは、処方1、2、および3について観察されるものより低かった。処方4の全体的な劣化は、処方3に似ていた。
【0043】
2種の処方は、双方とも0.47%のメロキシカムおよび15%のEtOHを含む噴霧の調査(表5-6)のために調製された。処方5は0.5%のPVAの濃度を持ち、および処方6は0.25%のPVAの濃度を持つ。処方の以下の4種の特徴が観察された。即ち(1)l0μm未満の直径を持つ粒子の割合、(2)累積的な分布Dv(50)、(3)累積的な分布(90)、および(4)楕円形である。10μm未満の粒子の直径の割合は、粒子の割合が肺中に吸入される危険性を指示し得る。Dv値が高いほど、吸入され得る粒子はより一層少ない。提出される調剤物のために、10μm未満の粒子の量は、処方5のための1.6%および処方6のための2.4%である。
【0044】
Dv(50)およびDv(90)の値は、50%および90%の粒子の累積的な分布に対応するサイズの値である。このように、Dv(90)は累積的な分布の90%がそれよりも低くて起こるサイズを表す。これから、Dv(50)の値が、平均直径に対応すると推測することができる。双方の処方のためのDv(50)およびDv(90)は、非常に似ている。
【0045】
楕円形は、D最大(Dmax)およびD最小(Dmin)の比率として規定される。D最大は、mmにおいて、最も大きなコード(調和)として規定され、COMw(即ち、噴霧パターンの質量中心)を基本単位において横切る噴霧パターンの範囲内で描くことができる。D最小は、mmにおいて、最も小さなコードとして記載され、COMwを基本単位において横切る噴霧パターンの範囲内で描くことができる。COMwは、検出された噴霧パターンの質量中心として規定され、そこで、各々のピクセル(画素)の強度が考慮される。処方5および6に関し、楕円形が1.0までより一層近いほど、噴霧の形はより一層対称形である。調剤物5は1.26の楕円率を持ち、および処方6は1.51の楕円率を持つ。0.5%のPVA調剤物は、より一層好適な楕円形を持つ。
【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
【表8】

【0051】
【表9】

【0052】
上記説明および例は、本発明の1種またはそれよりも多くの目的、特長、および利点を達成する好適例の例示に過ぎず、および本発明がそれらに制限されることを意図するものではない。本発明の何らかの修飾は、次のクレイムズの精神および範囲内に入るものであり、本発明の一部分と考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水アルコール性噴霧組成物であって、活性な製薬上の薬剤、溶媒、および粘性修飾性薬剤を備え、約25から400までのmcLの単位用量の容量の組成物が噴霧されるとき、噴霧は約20から約100までのミクロン(μm)の平均粒度直径を持つ、組成物。
【請求項2】
活性な製薬上の薬剤は、メロキシカム、セレコキシブ、オンダンセトロン、スマトリプタン、ゾルピデム、チザニジン、ロピネロール、インシュリン、グルコース、およびニトログリセリンからなる群より選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項3】
活性な製薬上の薬剤はメロキシカムであり、および組成物は更にアルコールを備える、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記組成物は推進剤フリーである、請求項3の組成物。
【請求項5】
前記組成物は更に推進剤を備える、請求項3の組成物。
【請求項6】
推進剤は、炭化水素、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、およびエーテルからなる群より選ばれる、請求項5の組成物。
【請求項7】
メロキシカムの濃度は約0.1から2までの%w/wである、請求項3の組成物。
【請求項8】
メロキシカムの濃度は約0.25から1までの%w/wである、請求項7の組成物。
【請求項9】
メロキシカムの濃度は約0.47%である、請求項8の組成物。
【請求項10】
前記組成物は基本的には保存剤フリーである、請求項3の組成物。
【請求項11】
エチルアルコールの濃度は約15%であり、および前記粘性修飾性薬剤は約0.5%のポリビニルアルコールである、請求項3の組成物。
【請求項12】
前記組成物は更に緩衝剤を備える、請求項3の組成物。
【請求項13】
前記緩衝剤は、水酸化アンモニウム、炭酸、クエン酸、グリシン、マレイン酸、リン酸およびそれらの塩類からなる群より選ばれる、請求項12の組成物。
【請求項14】
前記組成物は約7から12までのpHを持つ、請求項3の組成物。
【請求項15】
前記組成物は約7.5から9.5までのpHを持つ、請求項14の組成物。
【請求項16】
前記組成物は約8.5のpHを持つ、請求項15の組成物。
【請求項17】
前記組成物は貯蔵安定性である、請求項3の組成物。
【請求項18】
噴霧における直径で約10μm未満の粒子の割合は約10%である、請求項3の組成物。
【請求項19】
噴霧における直径で約10μm未満の粒子の割合は約5%である、請求項18の組成物。
【請求項20】
噴霧における粒子の平均直径は約20から約150までのミクロンある、請求項3の組成物。
【請求項21】
噴霧における粒子の平均直径は約40から約100までのミクロンである、請求項20の組成物。
【請求項22】
噴霧における粒子の平均直径は約50ミクロンである、請求項21の組成物。
【請求項23】
前記組成物は更に、鎮痛薬、非ステロイド性の抗炎症性薬物、副腎皮質ステロイド、ヒアルロナン、およびオポイド(opoids、opioids)、それらの塩が含まれるものからなる群より選ばれる、付加的な活性原材料を備える、請求項3の組成物。
【請求項24】
抗炎症性薬物は、アロセトロン、アナキンラ、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、セレコキシブ、クロベタゾール、クロモリン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、エピナスティック、エタネルセプト、エトリコキシブ、フルニソリド、フルオシノニド、フルチカゾン、ホルモテロール、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシクロロキン、イブジラスト、ケトチフェン、メサラミン、メトトレキサート、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、モンテルカスト、ネドクロミル、オルサラジン、プレドニゾン、ラマトロバン、ロフェコキシブ、サルブタモール、サルメテロール、サルサラート、テルブタリン、トリアムシノロン、バルデコキシブ、ザフィルルカスト、それらの塩類を含むものからなる群より選ばれる、請求項23の組成物。
【請求項25】
約0.1から2までの%w/wのメロキシカム、約1から10までのmg/gのポリビニルアルコール、および100-300mg/gのエチルアルコールを備える、請求項3の組成物。
【請求項26】
ヒトまたは非人間動物における状態を処置する方法であって、製薬上の組成物の約25から400までのmclの単位用量の容量を、動物の口腔粘膜上に噴霧する工程を備え、そこで、噴霧は約40から約100までのミクロン(μm)の平均粒度直径を持ち、組成物は活性な製薬上の薬剤、溶媒、および粘性修飾性薬剤を備え、および活性な薬剤は、治療上有効な量の活性な薬剤を体循環系に対して提供して前記状態を緩和するために、口腔粘膜を通して吸収される、方法。
【請求項27】
組成物は、メロキシカム、アルコール、および緩衝剤を備える、請求項26の方法。
【請求項28】
活性な製薬上の薬剤は、メロキシカム、セレコキシブ、オンダンセトロン、スマトリプタン、ゾルピデム、チザニジン、ロピネロール、インシュリン、グルコース、およびニトログリセリンからなる群より選ばれる、請求項26の方法。
【請求項29】
メロキシカムの量は約0.1から約2までの%w/wである、請求項27の方法。
【請求項30】
メロキシカムの量は約0.25から約1までの%w/wである、請求項29の方法。
【請求項31】
メロキシカムの量は約0.47%w/wである、請求項30の方法。
【請求項32】
噴霧容量は約50から400までのマイクロリットルである、請求項26の方法。
【請求項33】
噴霧容量は約50から200までのマイクロリットルである、請求項32の方法。
【請求項34】
噴霧容量は約100マイクロリットルである、請求項33の方法。
【請求項35】
噴霧容量は約50マイクロリットルである、請求項33の方法。
【請求項36】
噴霧容量は約200マイクロリットルである、請求項32の方法。
【請求項37】
メロキシカムは1日当り約0.025ミリグラムから約2ミリグラムまでの用量において1キログラムにつき投与される、請求項26の方法。
【請求項38】
メロキシカムは1日当り約0.05ミリグラムから約1ミリグラムまでの用量において1キログラムにつき投与される、請求項37の方法。
【請求項39】
メロキシカムは1日当り約0.1ミリグラムから約0.2ミリグラムまでの用量において1キログラムにつき投与される、請求項38の方法。
【請求項40】
状態は、骨関節炎、関節リウマチ、炎症、痛風、および痛みからなる群より選ばれ、および組成物は、約0.1から2までの%w/wのメロキシカム、約1から10までのmg/gのポリビニルアルコール、および100-300mg/gのエチルアルコールを備える、請求項27の方法。

【公表番号】特表2009−534387(P2009−534387A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506564(P2009−506564)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/009496
【国際公開番号】WO2007/123955
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(506105928)ノヴァデル ファーマ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】