説明

安定化した酒石酸トルテロジン製剤

医薬組成物は、酸によって分解に対して安定化されたL−酒石酸トルテロジンを含有する。酸安定化L−酒石酸トルテロジンは、様々なタイプの即時放出および制御放出剤形を作製するのに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される発明は、安定化した酒石酸トルテロジン製剤に関する。本発明はさらに、一般に、安定化した酒石酸トルテロジンを含む医薬品剤形に関する。本発明はさらに、即時および/または制御放出ビーズを含有する製剤と、該ビーズの調製方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
酒石酸トルテロジンは、尿失禁の治療に使用される既知のムスカリン受容体拮抗薬である。トルテロジンは、ムスカリン受容体のM2およびM3サブタイプに作用するのに対し、過活動膀胱に関するほとんどの抗ムスカリン治療薬はM3受容体にのみ作用し、これにより抗ムスカリン治療薬の選択性が増大している。トルテロジンは、2つのタイプの受容体に作用するが、トルテロジンは、身体のその他の領域よりも膀胱を標的とするので、オキシブチニン(M3受容体のみに選択的である)などのその他の抗ムスカリンよりも副作用が少ない。これは、より少ない薬物を毎日与えればよいことを意味し(膀胱の効率的なターゲティングにより)、したがって副作用がさらに少なくなる。酒石酸トルテロジンの一般的な副作用には、唾液分泌減退、便秘、および胃運動性の低下が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
トルテロジンは、水溶性が高く、水に対して12g/1000mLの溶解度を有する。即時放出および制御放出剤形の両方を含む、トルテロジンを含有する剤形は、トルテロジンが分解し易い。特に、トルテロジン活性剤の分解は、通常の熱および湿度条件下で保存された医薬品剤形で生じる測定可能なレベルのトルテロジン不純物として証明することができる。そのような分解は、活性剤の減少、トルテロジン剤形の効力の低下、およびトルテロジンの化学分解から生じた許容できない高レベルの不純物をもたらす可能性がある。医薬品剤形中のトルテロジン活性剤の分解に鑑み、トルテロジン活性剤が分解から保護される、医薬品製剤およびそのような製剤を調製する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される様々な例示的な実施形態は、有効量の安定化したL−酒石酸トルテロジンおよび医薬品として許容される賦形剤を含有する、固体経口剤形を含む。L−酒石酸トルテロジンは、医薬品として許容されるpH調節酸で安定化される。
【0005】
本明細書に開示される様々な例示的な実施形態は、L−酒石酸トルテロジンと、5.0未満のpKを有する医薬品として許容される非ポリマーpH調節酸とを含有する組成物を含む。酸は、L−酒石酸トルテロジンを安定化するのに有効な量で存在する。
【0006】
本明細書に開示される様々な例示的な実施形態は、薬物含有ビーズを作製する方法を含む。これらの方法は、L−酒石酸トルテロジンと、安定量の、医薬品として許容されるpH調節酸とを合わせて、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを得る工程を含む。シール層を不活性コアに堆積するが、このシール層は、非ポリマー疎水性材料から形成されるものであり、次いで酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層を、シール層上に堆積させる。
【0007】
本明細書に開示される様々な例示的な実施形態は、薬物含有ビーズを含有する錠剤またはカプセルを作製する方法を含む。これらの方法は、L−酒石酸トルテロジンと、安定量の、医薬品として許容されるpH調節酸とを合わせて、酸安定化L−酒石酸トルテロジン
を得る工程を含む。酸安定化L−酒石酸トルテロジンを賦形剤と合わせ、錠剤に圧縮しまたはカプセル内に充填する。
【0008】
様々な例示的な実施形態をより良く理解するために、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】制御放出ビーズの第1の例示的な実施形態を示す図。
【図2】制御放出ビーズの第2の例示的な実施形態を示す図。
【図3】制御放出ビーズの第3の例示的な実施形態を示す図。
【図4】制御放出ビーズの第4の例示的な実施形態を示す図。
【図5】制御放出ビーズの第5の例示的な実施形態を示す図。
【図6】即時放出ビーズの第6の例示的な実施形態を示す図。
【図7】本明細書で論じられる様々な例示的な実施形態が製造される方法を示すフローチャート。
【図8】本明細書で論じられる、様々な例示的な実施形態の制御放出ビーズを含有する酒石酸トルテロジンカプセルからの、活性成分の溶解を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、同じ番号が同じ構成要素または工程を指している図面を参照すると、様々な例示的な実施形態の広範な態様が開示されている。
図1は、薬物を徐々に放出させる制御放出ビーズ10の、例示的な実施形態の断面図を示す。例示的なビーズ10は、水溶性または水膨潤性材料で作製された不活性コア1を含む。このコア1は、マルトース、ラクトース、デキストロース、またはスクロースなどの低分子量の糖で作製してもよい。あるいはビーズは、デンプン、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性の多糖で作製してもよい。様々な例示的な実施形態では、コア1は、部分的にまたは完全に水溶性の、医薬品として許容される無機塩で作製される。様々な例示的な実施形態では、コア1は、架橋アクリルまたはメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、またはクロスポビドンなどの、水膨潤性合成ポリマーで作製される。
【0011】
様々な例示的な実施形態では、非ポリマー水不溶性材料のコーティング3が、コア1上に配置されている。非ポリマー水不溶性材料は、水がコア内に進入してコアを溶解または膨潤されるのを防止する。様々な例示的な実施形態では、非ポリマー疎水性材料は、脂肪アルコール、脂肪カルボン酸、脂肪カルボン酸エステル、硬化油、トリグリセリド脂肪、蝋、またはこれらの混合物である。様々な例示的な実施形態では、非ポリマー疎水性材料は、C12〜C20脂肪アルコール、C12〜C20脂肪カルボン酸、C12〜C20脂肪カルボン酸のエステル、硬化植物油、トリグリセリド脂肪、またはこれらの混合物である。様々な例示的な実施形態では、非ポリマー疎水性材料は、ステアリルアルコール;セチルアルコール;ステアリン酸;モノステアリン酸グリセリルなど、ステアリン酸と低級アルコールまたはポリオールとのエステル;セチルアルコールのエステル;硬化ヒマシ油;およびこれらの混合物である。
【0012】
様々な例示的な実施形態では、薬物含有コーティング5が、非ポリマー水不溶性材料層3上に配置される。コーティング5は、薬物と、任意選択で結合剤とを含んでもよい。様々な例示的な実施形態で、薬物は、水溶性薬物である。適切な水溶性薬物には、酒石酸トルテロジン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸ブプロピオン、塩酸メトホルミン、塩酸プロプラノロル、臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジソピラミド、トラマドール、塩酸フルオキセチン、塩酸パロキセチン、および塩酸ペントキシフィリンが含まれる。
【0013】
様々な例示的な実施形態では、コーティング5中の薬物は、合成または半合成ムスカリン受容体拮抗薬などの抗ムスカリンである。そのようなムスカリン受容体拮抗薬は、ムスカリン受容体のM2およびM3の一方または両方のサブタイプに作用する。適切なムスカリン受容体拮抗薬には、ジシクロミン、フラボキセート、イプラトロピウム、オキシブチニン、ピレンゼピン、チオトロピウム、トルテロジン、トロピカミド、ソリフェナシン、ダリフェナシン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0014】
様々な例示的な実施形態では、コーティング5中の薬物は、尿失禁や遺尿症などの膀胱制御に問題がある、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物の患者の治療に適切な、合成または半合成のムスカリン受容体拮抗薬である。膀胱制御に問題がある患者の治療に適切なムスカリン受容体拮抗薬には、オキシブチニン、トルテロジン、ダリフェナシン、これらの塩、これらの立体異性体、これらのプロドラッグ、およびこれらの組み合わせ混合物が含まれる。
【0015】
様々な例示的な実施形態では、コーティング5中の薬物は、トルテロジンの(R)−鏡像異性体、トルテロジンの5−ヒドロキシメチル代謝物の(R)−鏡像異性体、トルテロジンの(S)−鏡像異性体、トルテロジンの(S)−鏡像異性体の5−ヒドロキシメチル代謝物、トルテロジンのラセミ化合物、トルテロジンのプロドラッグ形態、薬理学的に許容されるトルテロジンの塩、またはこれらの混合物である。コーティング5中の薬物は、L−酒石酸トルテロジンであってもよい。
【0016】
様々な例示的な実施形態では、コーティング5中の薬物として、安定化したL−酒石酸トルテロジン組成物を含有する剤形が開示される。活性医薬品成分(API)として酒石酸トルテロジンを含有する固体経口医薬組成物は、少なくとも1種の有機または無機酸賦形剤を使用して安定化されることがわかる。錠剤またはカプセル医薬組成物中のこれら添加剤の1種または複数の使用は、分解生成物の形成を低減し、組成物の安定性を増大させることが示された。
【0017】
長時間保存された医薬品錠剤およびカプセルで見られるような、ある条件下では、酒石酸トルテロジンは、速度が遅いトポケミカル分解を受けて、この剤形の効力および純度に低下をもたらす可能性がある。酒石酸トルテロジンの、錠剤化しまたはカプセル封入した剤形への、少なくとも1種の酸性化剤の添加は、分解の劇的な低減をもたらすことができ、それによって、医薬品剤形の改善された品質およびより長い有用な保存寿命が得られる。組成物の見掛けのpHを低下させる目的で、医薬品として許容される量のpH調節化合物を酒石酸トルテロジンの医薬組成物に含めることによって、組成物中の活性医薬品成分の安定性が改善される。様々な例示的な実施形態では、pH調節化合物は、有機酸、無機酸、またはこれらの混合物である。
【0018】
様々な例示的な実施形態では、薬物層5内のpH調節化合物は、固体経口医薬組成物の調製に一般に使用される酸性化剤の1種または複数であることが考えられる。これらのpH調節化合物は、有機または無機酸であってもよい。様々な例示的な実施形態では、pH調節化合物は、表1に示されるように、少なくとも第1のpKが5.0未満である非ポリマー酸である。様々な例示的な実施形態では、pH調節化合物は、酢酸、安息香酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、塩酸、リン酸、硫酸、これらの立体異性体、またはこれらの混合物であってもよい。様々な例示的な実施形態では、pH調節化合物は、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、これらの立体異性体、またはこれらの混合物を含む群から選択された固体酸性化剤であってもよい。これらのpH調節剤の、医薬品として許容されるレベルは、重量で医薬組成物の0.1%から10.0%に及ぶ。様々な例示的な実施形態では、pH調節酸は、組成物の0.4重量%から2.5重量%の範囲内で存在す
る。様々な例示的な実施形態では、pH調節酸は、0.8重量%から1.5重量%の範囲内で存在する。
【0019】
【表1】

【0020】
様々な例示的な実施形態では、薬物層5内に安定化したL−酒石酸トルテロジンを含有する剤形は、pH調節化合物の剤形の0.1から10重量%で安定化されたL−酒石酸トルテロジンを含有する。様々な例示的な実施形態では、剤形は、薬物層5内にL−酒石酸トルテロジンを含有し、但しL−酒石酸トルテロジンは、pH調節化合物の剤形の0.8から1.5重量%で安定化されたものである。様々な例示的な実施形態では、pH調節化合物は、L−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、meso−酒石酸、ラセミ酒石酸、またはこれらの混合物であってもよい。
【0021】
望みに応じて、コーティング5は、薬物の他に結合剤を含んでいてもよい。適切な結合剤は、典型的には水溶性または水膨潤性のポリマーである。様々な例示的な実施形態では、水溶性結合剤には、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびこれらの組合せが含まれる。様々な例示的な実施形態では、水溶性結合剤には、商標名Opadry II(登録商標)Clear、Opadry(登録商標)Clearで販売されており、またはこれらの混合物である、ヒドロキシプロピルメチルセルロース結合剤が含まれる。コロルコンインコーポレイテッド社(Colorcon,Inc)[米国(USA)所在]によって製造されたOpadry II(登録商標)ClearおよびOpadry(登録商標)Clearは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する水性混合物として使用される。
【0022】
制御放出コーティング7は、薬物含有層5上に配置されている。図1による様々な例示的な実施形態では、制御放出コーティング7は、孔形成剤を含んでも含まなくてもよい少なくとも1種のpH依存性の水不溶性非腸溶ポリマーの層である。コーティング7のポリマー膜は、人体内で水性環境に曝されると透過性になり、下に在る層5内の薬物を、放出制御コーティング7を通して徐々に漏洩させる。様々な例示的な実施形態では、水不溶性非腸溶ポリマーには、ポリアクリル樹脂と、セルロースエーテルやセルロースエステルなどのセルロース誘導体とが含まれる。適切なポリマーには、アクリル樹脂、好ましくはアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの不溶性ポリマーまたはコポリマー、
またはエチルセルロースおよびセルロースアセテートなどの水不溶性セルロースが含まれる。水不溶性ポリマーの他に、水溶性ポリマーまたは非ポリマーを、孔形成剤として50重量%までの量でコーティング7に任意選択で使用して、膜の透過性を増大させることができ、したがって活性物質の放出速度を増大させることができる。様々な例示的な実施形態では、これらの孔形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、またはポリビニルアルコールである。Opadry(登録商標)ClearおよびOpadry II(登録商標)Clearは、活性物質の放出速度を増大させるのに、孔形成剤として使用してもよい。例えばスクロース、ラクトース、マンニトール、NaCl、およびマルトースなどの水溶性非ポリマー孔形成剤を、活性物質の放出速度を増大させるため、水不溶性ポリマーの放出制御層7中に存在させてもよい。
【0023】
様々な例示的な実施形態では、放出制御層または膜(メンブレン)は、孔形成剤を含んでも含まなくてもよい少なくとも1種の水不溶性の非pH依存性ポリマーからなる。放出制御膜は、水性環境で透過性になり、それによって活性成分を放出させる。孔形成剤は、有機または無機の、水溶性または水移動性ポリマーまたは非ポリマーであってもよい。様々な例示的な実施形態では、放出制御層または膜は、孔形成剤を含んでも含まなくてもよい、異なる透過性を有する2種の水不溶性の非pH依存性ポリマーからなる。あるいは放出制御ポリマーは、胃内の酸性胃液(pH=1〜3)には不溶性であるが小腸のより中性的環境(pH=6〜8)では可溶性の、pH依存性腸溶ポリマーである。様々な例示的な実施形態では、複合体放出制御ポリマー膜は、水不溶性の非pH依存性ポリマーの内層と、pH依存性腸溶ポリマーの外層とを含んでもよい。別の例示的な実施形態では、複合体放出制御ポリマー膜は、水不溶性の非pH依存性ポリマーと、後で孔形成剤として機能するpH依存性ポリマーとの両方を含んでもよい。
【0024】
望みに応じて、pH感受性腸溶ポリマーを放出制御層7に添加することによって、活性物質の放出速度を胃の酸性環境下で遅くすることができる。これらのポリマーは、ビーズが小腸の中性環境に進入するまで溶解しない。この目的に有用な、適切な腸溶ポリマーには、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリメタクリレートと、メタクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルのコポリマーのアンモニウム塩とが含まれる。
【0025】
図2は、胃の中での薬物の放出を防止する、制御放出ビーズ20の例示的な実施形態の断面図である。例示的なビーズ20は、水溶性または水膨潤性の材料で作製された不活性コア1を含む。非ポリマー水不溶性材料のコーティング3が、コア1上に配置されている。薬物含有コーティング5は、非ポリマー水不溶性材料層3上に配置されている。制御放出コーティング11は、薬物含有層5上に配置されている。コア1とコーティング3および5の構成は、図1に示される前述のビーズ10におけるコア1とコーティング3および5の構成と実質的に同一である。しかし、制御放出コーティング11は、ビーズ10の制御放出コーティング7とは異なって、pH依存性の水不溶性非腸溶ポリマーの層ではない。むしろビーズ20の制御放出コーティング11は、pH依存性腸溶ポリマーの層である。したがって、胃の酸性環境(pH1〜3)では、放出制御層11のpH依存性腸溶ポリマーは不溶性である。これらの腸溶ポリマーは、ビーズが中性環境に進入するまで溶解しない。したがって放出制御層11は、胃の中で無傷のままであるが、腸内(pH6〜8)で溶解する。これは、ビーズ20が腸に進入するまで、層5の薬物が放出されるのを防止する。ビーズが腸内に入ると、放出制御層の溶解によって、薬物は素早く放出される。この目的に有用な、適切な腸溶ポリマーには、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリメタクリレートと、メタクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルのコポリマーのアン
モニウム塩とが含まれる。
【0026】
図3は、胃の中での薬物放出を防止すると共に腸内で薬物を徐々に放出させる、制御放出ビーズ30の例示的な実施形態の断面図である。例示的なビーズ30は、水溶性または水膨潤性材料で作製された不活性コア1を含む。非ポリマー水不溶性材料のコーティング3が、コア1上に配置されている。薬物含有コーティング5は、非ポリマー水不溶性材料層3上に配置されている。制御放出コーティング21は、薬物含有層5上に配置されている。コア1とコーティング3および5との構成は、図1および2に示されるように、前述のビーズ10および20におけるコア1とコーティング3および5の構成と実質的に同一である。しかし、制御放出コーティング21は、ビーズ10上の制御放出コーティング7およびビーズ20上の制御放出コーティング11とは異なって、制御放出ポリマーの単層ではない。むしろコーティング21は、水不溶性非腸溶ポリマーの内部制御放出層7と、pH依存性腸溶ポリマーの外層11を含む。外層11のpH依存性腸溶ポリマーは、胃の酸性環境(pH1〜3)で不溶性であり、それによって、薬物が胃の中に全く放出されないようにする。これらの腸溶ポリマーは、腸の中性環境(pH6〜8)にビーズが進入するまで溶解しない。放出制御層11が腸内で溶解した後、ビーズ30の層7の水不溶性非腸溶ポリマーが徐々に浸食され、層5内の薬物は、内部放出制御層7を通した漏洩によってビーズから徐々に逃げていく。
【0027】
様々な例示的な実施形態では、ビーズ30の層11内の腸溶ポリマーは、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリメタクリレート、またはメタクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルのコポリマーのアンモニウム塩であってもよい。様々な例示的な実施形態では、ビーズ30の層7の水不溶性非腸溶ポリマーは、ポリアクリル樹脂と、セルロースエーテルおよびセルロースエステルからなる群から選択されたセルロース誘導体とからなる群から選択される。適切なポリマーには、アクリル樹脂、好ましくはアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの不溶性ポリマーまたはコポリマー、またはエチルセルロースおよびセルロースアセテートなどの水不溶性セルロースが含まれる。水不溶性非腸溶ポリマーの他に、ビーズ30のコーティング7は、腸内での活性物質の放出速度を増大させるために水溶性ポリマーを含んでもよい。
【0028】
図4は、腸内で第1の薬物を徐々に放出させる制御放出ビーズ40の、例示的な実施形態の断面図である。例示的なビーズ40は、水溶性または水膨潤性材料で作製された不活性コア1を含む。非ポリマー水不溶性材料のコーティング3が、コア1上に配置されている。薬物含有コーティング5は、非ポリマー水不溶性材料層3上に配置されている。制御放出コーティング7は、薬物含有層5上に配置されている。コア1と、コーティング3、5、および7との構成は、図1に示されるような、前述のビーズ10におけるコア1とコーティング3、5、および7の構成と実質的に同一である。制御放出コーティング7の最上部には、水溶性ポリマーの1つまたは複数の追加の層31が堆積されている。そのようなポリマーは、ビーズの硬化および/またはカプセルへのビーズの充填などの後続の処理のため、ビーズの粘着性を低下させる非熱可塑性可溶性ポリマーであってもよい。任意選択で、水溶性ポリマーのそのような追加の層31は、即時放出のための1種または複数の第2の薬物を含有していてもよく、但しこの第2の薬物は、薬物含有層5の薬物と同じかまたは異なっていてもよいものである。層31に適切な可溶性ポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールが含まれる。Opadry(登録商標)ClearまたはOpadry II(登録商標)Clearは、ビーズ40の水溶性ポリマーコーティング31を形成するのに使用してもよい。
【0029】
図5は、腸内で第1の薬物を徐々に放出させる制御放出ビーズ45の、例示的な実施形態の断面図である。様々な例示的な実施形態では、ビーズ45は、不活性コア1、コア3上に配置された非ポリマー水不溶性材料のコーティング、および層5上に配置された薬物含有コーティングを含んでもよい。腸溶コーティング11は、薬物含有層上に配置されていてもよい。腸溶コーティング11の最上部には、ビーズの粘着性を低減させるように働くことができる水溶性ポリマー31の1つまたは複数の層が堆積されている。あるいは水溶性ポリマー31は、即時放出のための活性成分を含有していてもよい。
【0030】
図6は、即時放出ビーズ47の例示的な実施形態の断面図である。例示的なビーズ47は、水溶性または水膨潤性材料で作製された不活性コア1を含む。コア1上には、非ポリマー水不溶性材料のコーティング3が配置されている。非ポリマー水不溶性材料層3上には、薬物含有コーティング5が配置されている。コア1とコーティング3および5との構成は、図1に示されるような、前述のビーズ10におけるコア1とコーティング3および5の構成と実質的に同一である。制御放出ポリマーが存在していないので、薬物は、生理学的pHの水性環境に曝されたときに素早く放出される。望みに応じて、水溶性または水膨潤性ポリマーの追加のコーティングを、薬物含有コーティング5上に堆積させてもよい。この追加のコーティングは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポレチレングリコール、およびこれらの組合せを含んでもよい。
【0031】
様々な例示的な実施形態では、複数のビーズを含む制御放出剤形が提供される。これらビーズのそれぞれは、不活性な水溶性または水膨潤性コア、該コア上に配置された非ポリマー疎水性材料から形成されたシール層、該シール層上に配置された少なくとも1種の活性成分を含有する層、および該少なくとも1種の活性成分を含有する層上に配置された放出制御ポリマーの層を含む。様々な例示的な実施形態では、ビーズは、ビーズ10、ビーズ20、ビーズ30、ビーズ40、ビーズ45、またはこれらの混合物であってもよい。様々な例示的な実施形態では、制御放出剤形は、錠剤であってもよい。これら制御放出錠剤は、型内に複数のビーズを圧縮することによって形成してもよい。圧縮前に、ビーズを、様々な医薬品として許容される錠剤化賦形剤と組み合わせてもよい。適切な錠剤化賦形剤には、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ゲランガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ナトリウムデンプングリコレート、およびデンプンなどの結合剤が含まれる。追加の賦形剤は、炭酸カルシウム、デキストロース、フルクトース、ラクトース、微結晶性セルロース、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、微結晶性セルロース、グアーガム、ソルビトール、およびスクロースを含んでもよい。様々な例示的な実施形態では、制御放出錠剤に、成型の後に腸溶コーティングでコーティングしてもよい。様々な例示的な実施形態では、腸溶コーティングでコーティングされた制御放出錠剤は、非腸溶のコーティングされたビーズ(以下、コートビーズ)を含有し、これらの非腸溶コートビーズは、ビーズ10、ビーズ40、またはこれらの混合物であってもよい。
【0032】
様々な例示的な実施形態では、制御放出錠剤は、制御放出ビーズ中に少なくとも1種の活性成分を含有し、但しこの少なくとも1種の活性成分は水溶性薬物である。適切な水溶性薬物には、酒石酸トルテロジン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸ブプロピオン、塩酸メトホルミン、塩酸プロプラノロル、臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジソピラミド、トラマドール、塩酸フルオキセチン、塩酸パロキセチン、および塩酸ペントキシフィリンなどが含まれる。様々な例示的な実施形態では、制御放出ビーズ中の薬物は、合成または半合成ムスカリン受容体拮抗薬などの抗ムスカリンである。適切なムスカリン受容体拮抗薬には、ジシクロミン、フラボキセート、イプラトロピウム、オキシブチニン、ピレンゼピン、チオトロピウム、トルテロジン、トロピ
カミド、ソリフェナシン、ダリフェナシン、およびこれらの組合せが含まれる。様々な例示的な実施形態では、制御放出ビーズ中の薬物が酒石酸トルテロジンである。
【0033】
様々な例示的な実施形態では、複数のビーズを含有する制御放出カプセルが提供される。これらビーズのそれぞれは、不活性な水溶性または水膨潤性のコア、該コア層上に配置された非ポリマー疎水性材料から形成されたシール層、該シール層上に配置された少なくとも1種の活性成分を含有する層、および該少なくとも1種の活性成分を含有する層上に配置された、放出制御ポリマーの層を含む。様々な例示的な実施形態では、ビーズは、ビーズ10、ビーズ20、ビーズ30、ビーズ40、ビーズ45、またはこれらの混合物であってもよい。これらの制御放出カプセルは、ゼラチンシェル内に複数の制御放出ビーズを充填することによって、形成することができる。様々な例示的な実施形態では、制御放出カプセルは、シェル内にビーズを充填した後にポリマーコーティングで封止することができ;ポリマーコーティングは、親水性ポリマー材料、親水性ポリマー材料、または腸溶ポリマー材料から作製することができる。様々な例示的な実施形態では、制御放出カプセルは腸溶コーティングでコーティングされ、非腸溶コートビーズを含有し、これらの非腸溶コートビーズは、ビーズ10、ビーズ40、またはこれらの混合物であってもよい。
【0034】
様々な例示的な実施形態では、制御放出カプセルは、制御放出ビーズ中に少なくとも1種の活性成分を含有し、但しこの少なくとも1種の活性成分は、水溶性薬物である。適切な水溶性薬物には、酒石酸トルテロジン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸ブプロピオン、塩酸メトホルミン、塩酸プロプラノロル、臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジソピラミド、トラマドール、塩酸フルオキセチン、塩酸パロキセチン、および塩酸ペントキシフィリン等が含まれる。様々な例示的な実施形態では、制御放出ビーズ中の薬物は、合成または半合成ムスカリン受容体拮抗薬などの抗ムスカリンである。適切なムスカリン受容体拮抗薬には、ジシクロミン、フラボキセート、イプラトロピウム、オキシブチニン、ピレンゼピン、チオトロピウム、トルテロジン、トロピカミド、ソリフェナシン、ダリフェナシン、およびこれらの組合せが含まれる。様々な例示的な実施形態では、制御放出ビーズ中の薬物は、酒石酸トルテロジンである。
【0035】
様々な例示的な実施形態では、即時放出ビーズ47、または制御放出ビーズ10、ビーズ20、ビーズ30、ビーズ40、ビーズ45、またはこれらの混合物を含有するカプセルまたは錠剤を使用して、遺尿症、尿失禁、またはその他のタイプの膀胱制御問題を抱えているヒトまたはその他の哺乳動物を治療することができる。この治療は、患者に対し、膀胱制御問題の治療が認められている有効量の抗ムスカリン薬を含有する1種または複数の制御放出錠剤またはカプセルを投与することによって行われる。各制御放出錠剤またはカプセルは、複数の制御放出ビーズ10、制御放出ビーズ20、制御放出ビーズ30、制御放出ビーズ40、制御放出ビーズ45、またはこれらの混合物のうちの複数を含む。様々な例示的な実施形態では、制御放出ビーズのそれぞれは、オキシブチニン、トルテロジン、ダリフェナシン、これらの塩、これらの立体異性体、これらのプロドラッグ、これらの代謝物、およびこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1種の抗ムスカリン活性成分を含む。様々な例示的な実施形態では、少なくとも1種の活性成分は、トルテロジンの(R)−鏡像異性体、トルテロジンの5−ヒドロキシメチル代謝物の(R)−鏡像異性体、トルテロジンの(S)−鏡像異性体、トルテロジンの(S)−鏡像異性体の5−ヒドロキシメチル代謝物、トルテロジンのラセミ化合物、トルテロジンのプロドラッグ形態、薬理学的に許容されるこれらの塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される。様々な例示的な実施形態では、少なくとも1種の活性成分が酒石酸トルテロジンである。
【0036】
次に、制御放出薬物含有ビーズを作製する方法の様々な例示的な実施形態について、図7のフローチャートを参照しながら記述する。この方法は、コーティングされていない不
活性なコアまたはビーズ50から開始する。コア50は、デンプン、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性多糖で作製することができる。様々な例示的な実施形態では、ビーズは、部分的または完全に水溶性の、医薬品として許容される無機塩で作製してもよい。様々な例示的な実施形態では、ビーズは、架橋アクリルまたはメタクリル酸ポリマーおよびコポリマーまたはクロスポビドンなどの、水膨潤性合成ポリマーで作製してもよい。第1の工程55では、不活性コア50上にシール層を堆積させて、シールコートコア60を生成する。シール層は、非ポリマー疎水性材料から形成される。様々な例示的な実施形態では、非ポリマー疎水性材料は、脂肪アルコール、脂肪カルボン酸、脂肪カルボン酸エステル、硬化油、トリグリセリド脂肪、蝋、またはこれらの混合物であってもよい。様々な例示的な実施形態では、非ポリマー疎水性材料は、C12〜C20脂肪アルコール、C12〜C20脂肪カルボン酸、C12〜C20脂肪カルボン酸のエステル、硬化植物油、トリグリセリド脂肪、またはこれらの混合物であってもよい。様々な例示的な実施形態では、非ポリマー疎水性材料は、ステアリルアルコール;セチルアルコール;ステアリン酸;モノステアリン酸グリセリルなど、ステアリン酸と低級アルコールまたはポリオールとのエステル;セチルアルコールのエステル;硬化ヒマシ油;およびこれらの混合物であってもよい。
【0037】
様々な例示的な実施形態では、シール層を該不活性コア50上に堆積させる工程55は、非ポリマー疎水性材料の非水性溶液または分散液で不活性コア50を処理することによって行われる。非水性溶液または分散液に適した溶媒には、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、および低級アルカンまたはシクロアルカンが含まれる。様々な例示的な実施形態では、シール層を該不活性コア50上に堆積させる工程55は、非ポリマー疎水性材料の水性溶液または分散液で不活性コア50を処理することによって行われる。様々な例示的な実施形態では、シール層を該不活性コア50上に堆積させる工程55は、溶融状態にある低融点非ポリマー疎水性材料で不活性コア50を処理することによって行われる。これは、非ポリマー疎水性溶融材料をコア50上に噴霧することによって、またはコア50を溶融非ポリマー疎水性材料のプールに浸漬することによって行ってもよい。
【0038】
再び図7を参照すると、第2の工程65では、活性成分を含有する層をシールコートコア60上に堆積させて、活性成分コートビーズ70を生成する。様々な例示的な実施形態では、工程65で堆積された層は、薬物および任意選択で結合剤を含む。様々な例示的な実施形態では、薬物は、水溶性薬物である。適切な水溶性薬物には、酒石酸トルテロジン、塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、塩酸ブプロピオン、塩酸メトホルミン、塩酸プロプラノロル、臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジソピラミド、トラマドール、塩酸フルオキセチン、塩酸パロキセチン、および塩酸ペントキシフィリンが含まれる。様々な例示的な実施形態では、工程65で堆積された薬物が、抗ムスカリンである。適切なムスカリン受容体拮抗薬には、ジシクロミン、フラボキセート、イプラトロピウム、オキシブチニン、ピレンゼピン、チオトロピウム、トルテロジン、トロピカミド、ソリフェナシン、ダリフェナシン、およびこれらの組合せが含まれる。
【0039】
様々な例示的な実施形態では、工程65で堆積された薬物は、尿失禁または遺尿症などの膀胱制御問題を抱えたヒトまたはヒト以外の哺乳動物の患者を治療するのに適切な、合成または半合成ムスカリン受容体拮抗薬である。膀胱制御問題を抱えた患者の治療に適したムスカリン受容体拮抗薬には、オキシブチン、トルテロジン、ダリフェナシン、これらの塩、これらの立体異性体、これらのプロドラッグ、およびこれらの混合物が含まれる。様々な例示的な実施形態では、コーティング5中の薬物は、トルテロジンの(R)−鏡像異性体、トルテロジンの5−ヒドロキシメチル代謝物の(R)−鏡像異性体、トルテロジンの(S)−鏡像異性体、トルテロジンの(S)−鏡像異性体の5−ヒドロキシメチル代謝物、トルテロジンのラセミ化合物、トルテロジンのプロドラッグ形態、薬理学的に許容
されるトルテロジンの塩、またはこれらの混合物である。工程65で堆積された薬物は、L−酒石酸トルテロジンであってもよい。様々な例示的な実施形態では、工程65で堆積された薬物は、酸安定化L−酒石酸トルテロジンであり、但しこの酸安定化L−酒石酸トルテロジンは、L−酒石酸トルテロジンと、pKが5.0未満である安定量の非ポリマーpH調節酸とを混合することによって調製されるものである。L−酒石酸トルテロジンは、堆積前または堆積中に酸と混合してもよい。
【0040】
望みに応じて、薬物の他に工程65で堆積される結合剤は、水溶性ポリマーであってもよい。様々な例示的な実施形態では、水溶性結合剤には、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびこれらの組合せが含まれる。
【0041】
様々な例示的な実施形態では、少なくとも1種の活性成分を含有する層を堆積させる工程65は、該少なくとも1種の活性成分および任意選択の結合剤の非水性溶液または分散液で、シールコートコア60をコーティングすることによって;または該少なくとも1種の活性成分および任意選択の結合剤の水性溶液または分散液で、シールコートコア60をコーティングすることによって行われる。
【0042】
様々な例示的な実施形態では、ビーズ70を、即時放出薬物含有ビーズとして使用してもよい。あるいは、活性成分を含有する層内に水溶性結合剤を含有する活性成分コートビーズ70は、2つの群に分けることができる。望みに応じて、ビーズ70の第1の群は、即時放出薬物含有ビーズとしての使用に備えて用意し蓄えておいてもよく、水溶性結合剤が溶解したら活性成分を放出させる。ビーズ70の第2の群は、制御放出ポリマーでコーティングされる。次いでこれらの部分を再び組み合わせ、即時放出がなされる第1の部分の薬物と制御放出がなされる第2の部分の薬物とを有する剤形を生成するのに使用する。
【0043】
再び図7を参照して、活性成分コートビーズ70から非腸溶コーティングを有する制御放出ビーズ80を作製する方法について、次に記述する。第3の工程75では、非腸溶放出制御ポリマーの層を、活性成分コートビーズ70上に堆積させて、制御放出ビーズ80を生成する。非腸溶放出制御ポリマーの層を堆積させる工程75は、該放出制御ポリマーの非水性溶液または分散液で、少なくとも1種の活性成分を含有する該層をコーティングすることによって;または該放出制御ポリマーの水性溶液または分散液で該シール層をコーティングすることによって行われる。制御放出ビーズ80は、前述のように、制御放出錠剤またはカプセルの調製に使用してもよい。望みに応じて、制御放出ビーズ80は、錠剤またはカプセルを調製する前に、即時放出ビーズとしての使用に備えて保持されていた活性成分コートビーズ70と組み合わせることができる。これにより、薬物の1部分を即時放出させかつ薬物の第2の部分を長期間にわたって放出させる、剤形が調製される。
【0044】
様々な例示的な実施形態では、工程75で堆積される非腸溶放出制御ポリマーは、ポリアクリル樹脂と、セルロースエーテルおよびセルロースエステルからなる群から選択されたセルロース誘導体とからなる群から選択された、水不溶性非腸溶ポリマーである。適切なポリマーには、アクリル樹脂、好ましくはアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの不溶性ポリマーまたはコポリマー、またはエチルセルロースおよびセルロースアセテートなどの水不溶性セルロースが含まれる。工程75では、水溶性ポリマーを、30重量%までの量で水不溶性非腸溶ポリマーと組み合わせてもよい。これらの可溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、またはポリビニルアルコールであってもよい。
【0045】
再び図7を参照して、成分コートビーズ70から腸溶コーティングを有する制御放出ビーズ90を作製する方法について、次に記述する。第3の工程77では、腸溶ポリマーの層を、活性成分コートビーズ70上に堆積させて、腸溶コートビーズ90を生成する。この目的に有用な適切な腸溶ポリマーには、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリメタクリレートと、メタクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルのコポリマーのアンモニウム塩が含まれる。活性成分を含有する層上に腸溶ポリマーの層を堆積させる工程77は、腸溶ポリマーの非水性溶液または分散液で、活性成分を含有する層をコーティングすることによって;腸溶ポリマーの水性分散液で、活性成分を含有する層をコーティングすることによって;または腸溶ポリマーを酸性水溶液に溶かした溶液で、活性成分を含有する層をコーティングし、次いで腸溶ポリマーが中和するように、塩基水溶液で腸溶コートビーズを処理することによって行われる。腸溶コートビーズ90は、前述のように、制御放出錠剤またはカプセルの調製に使用してもよい。望みに応じて、腸溶コートビーズ90は、錠剤またはカプセルの調製前に、即時放出ビーズとしての使用に備えて保持されていた、活性成分コートビーズ70と組み合わせてもよい。これにより、ビーズが胃から腸内に入った後、薬物の第1の部分を即時放出させ、その後薬物の第2の部分を放出させる、剤形の調製が可能になる。
【0046】
再び図7を参照して、成分コートビーズ70から腸溶コーティングを有する制御放出ビーズを作製する代替方法について、以下に記述する。この方法は、腸溶シェルを有する制御放出ビーズを生成する。工程75では、前述のように、非腸溶放出制御ポリマーの層を活性成分コートビーズ70上に堆積させて、制御放出ビーズ80を生成する。次に、工程87では、腸溶ポリマーの層を制御放出ビーズ80上に堆積させて、腸溶コートビーズ115を生成する。工程87での腸溶ポリマーの堆積は、工程77の腸溶ポリマーの堆積と本質的に同じ手法で実施される。得られるビーズは、水不溶性制御放出コーティングの最上部に腸溶コーティングを有する。腸溶コーティングは、胃の中で溶解せず、ビーズが腸の中性環境(pH6〜8)に進入するまで、無傷のままである。腸溶コーティングが腸内で溶解した後、真下の水不溶性非腸溶ポリマー層が徐々に浸食し、水不溶性非腸溶ポリマー層を通した漏洩によって、ビーズ内の薬物を徐々に逃がすことが可能になる。腸溶コートビーズ115は、前述のように、制御放出錠剤またはカプセルの調製に使用してもよい。
【0047】
再び図7を参照して、水溶性ポリマーコーティングを有する制御放出ビーズを作製する方法について、次に記述する。この方法は、可溶性シェルを有する制御放出ビーズを生成する。工程85では、水溶性ポリマーの層を制御放出ビーズ80上に堆積させて、水溶性シェル100を有する制御放出ビーズを生成する。同様に、工程95では、水溶性ポリマーの層を腸溶コートビーズ90上に堆積させて、水溶性シェル100を有する腸溶コートビーズを生成する。工程95での水溶性ポリマーの堆積は、工程85での水溶性ポリマーの堆積と本質的に同じ手法で実施される。可溶性シェル中のポリマーは、即時放出薬物含有層または完成したビーズの粘着性を低下させるのに使用されるポリマーの、結合剤として使用してもよい。水溶性ポリマーの層は、工程65で堆積させた薬物含有層中の薬物と同じでも異なっていてもよい、即時放出薬物を含有することができる。水溶性ポリマーの層に適した可溶性ポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールが含まれる。ビーズ110および110は、前述のように、制御放出錠剤またはカプセルの調製に使用してもよい。
【0048】
医薬品剤形の追加の例示的な実施形態は、安定化したL−酒石酸トルトレジンを含有する。これらの例示的な実施形態は、有効量のL−酒石酸トルトレジンおよび医薬品として
許容される賦形剤を含む固体経口剤形であり、このL−酒石酸トルトレジンは、5.0未満のpKを有する医薬品として許容される非ポリマーpH調節酸で安定化されるものである。酸は、塩酸、リン酸、硫酸、酢酸、安息香酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、これらの立体異性体、またはこれらの混合物であってもよい。
【0049】
様々な例示的な実施形態では、安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する固体経口剤形は、制御放出剤形である。これらの制御放出剤形は、酸安定化L−酒石酸トルテロジンおよび放出制御ポリマーを含む。様々な例示的な実施形態では、酸安定化L−酒石酸トルテロジンが、放出制御ポリマー中に分散され、但しこの放出制御ポリマーはpH不感受性の水不溶性ポリマーである。薬物は、生理学的条件下で水性環境に曝された後の、ポリマーの浸食によって放出される。ポリマーは、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのポリマーまたはコポリマー、エチルセルロースなどのセルロースエーテル、またはセルロースエステルであってもよい。
【0050】
様々な例示的な実施形態では、酸安定化L−酒石酸トルテロジンが、剤形のコア層内に存在する。薬物含有コア層は、放出制御ポリマーの層によってコーティングされ、但しこの放出制御ポリマーは、pH不感受性の水不溶性ポリマーまたは腸溶ポリマーである。放出制御ポリマーコーティングがpH不感受性の水不溶性ポリマーである剤形では、薬物は、生理学的条件下で水性環境に曝された後の、ポリマーの浸食によって放出される。pH不感受性の水不溶性ポリマーは、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのポリマーまたはコポリマー、エチルセルロースなどのセルロースエーテル、またはセルロースエステルであってもよい。腸溶ポリマーは、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリメタクリレート、またはメタクリル酸およびメタクリル酸アルキルエステルのコポリマーのアンモニウム塩であってもよい。放出制御ポリマーコーティングが腸溶ポリマーである剤形では、薬物は、腸内で腸溶コーティングが溶解すると放出される。
【0051】
様々な例示的な実施形態では、安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する固体経口剤形が即時放出剤形である。これらの即時放出剤形は、酸安定化L−酒石酸トルテロジンおよび水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する。様々な例示的な実施形態では、酸安定化L−酒石酸トルテロジンが、該水膨潤性または水溶性ポリマー結合剤に分散されている。そのような例示的な実施形態に使用してもよい、水膨潤性または水溶性ポリマーの非限定的な例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールが含まれる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、Opadry(登録商標)ClearやOpadry
II(登録商標)Clearなどの市販の形で使用してもよい、有用な水膨潤性または水溶性ポリマーである。酸安定化L−酒石酸トルテロジンおよび水膨潤性または水溶性ポリマー結合剤は、均質組成物として提供することができる。この組成物は、L−酒石酸トルテロジンと、酒石酸などの安定量の酸とを混合し;得られた酸安定化L−酒石酸トルテロジンを、水膨潤性または水溶性ポリマー結合剤と混合し;混合物を圧縮して錠剤を形成しまたは混合物をカプセルシェルに充填することによって、調製することができる。最終剤形中のL−酒石酸トルテロジンの総量は、0.5から4mgに及んでもよい。
【0052】
様々な例示的な実施形態では、即時放出固体経口剤形は、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有するコア層と、水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する層とを含む不均質剤形であってもよい。酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層は、該水膨潤性または水溶性ポリマーの層に取り囲まれている。酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層は、薬物の他に、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムデンプ
ングリコレート、またはこれらの混合物などの崩壊剤を含有する。水膨潤性または水溶性ポリマーの外層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、またはこれらの混合物を含有する。酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層は、該剤形のコア層であってもよく、該水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する層は、このコア層を取り囲む。この組成物は、L−酒石酸トルテロジンと、酒石酸などの安定量の酸とを混合し;得られた酸安定化L−酒石酸トルテロジンと崩壊剤とを混合し;得られた混合物を圧縮してL−酒石酸トルテロジン含有コアを形成することによって調製してもよい。次いでコアを、水膨潤性または水溶性ポリマー結合剤でコーティングする。
【0053】
様々な例示的な実施形態では、固体経口剤形が、不活性コアと、このコアを取り囲む酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層と、水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する層とを含む、不均質剤形であってもよい。該水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する層は、酸安定化L−酒石酸トルテロジン層を取り囲む。この組成物は、L−酒石酸トルテロジンと、酒石酸などの安定量の酸とを混合し、得られた酸安定化L−酒石酸トルテロジンで不活性コアをコーティングすることによって、調製してもよい。薬物コートコアは、水膨潤性または水溶性ポリマー結合剤でコーティングされて、即時放出剤形を生成してもよく、または制御放出ポリマーでコーティングされて、制御放出剤形を生成してもよい。
【0054】
様々な例示的な実施形態では、酸安定化L−酒石酸トルテロジンで不活性コアをコーティングする前に、シール層を不活性コア上に堆積させてもよい。シール層は、酸安定化L−酒石酸トルテロジン剤形で使用する場合、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、または水不溶性非ポリマー材料から調製してもよい。水不溶性非ポリマー材料は、脂肪アルコール、脂肪カルボン酸、脂肪カルボン酸エステル、硬化油、トリグリセリド脂肪、蝋、およびこれらの混合物からなる群から選択される。様々な例示的な実施形態では、シール層の非ポリマー疎水性材料が、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸と低級アルコールまたはポリオールとのエステル、セチルアルコールのエステル、硬化ヒマシ油、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0055】
様々な例示的な実施形態では、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する錠剤を調製してもよい。錠剤を調製する方法は、L−酒石酸トルテロジンと、医薬品として許容されるpH調節酸とを混合して、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを得る第1の工程を含む。次いで酸安定化L−酒石酸トルテロジンを、少なくとも1種の医薬品として許容される賦形剤と合わせて、酸安定化混合物を形成する。酸安定化L−酒石酸トルテロジンと共に使用可能な医薬品として許容される賦形剤には、微結晶性セルロース、スクロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、炭酸カルシウム、デキストロース、ラクトース、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、シリカ、2酸化チタン、ゼラチン、トリグリセリド、またはこれらの混合物が含まれる。次いで酸安定化混合物を圧縮して、錠剤を形成する。さらなる工程では、錠剤をポリマーでコーティングしてもよい。ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマー、またはエチルセルロースなどの疎水性制御放出ポリマーであってもよい。
【0056】
様々な例示的な実施形態では、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有するカプセルを調製してもよい。カプセルを調製する方法は、L−酒石酸トルテロジンと、医薬品として許容されるpH調節酸とを混合して、酸安定化トルテロジン−L−酒石酸を得る第1の工程を含む。次いで酸安定化L−酒石酸トルテロジンを、少なくとも1種の医薬品として許容される賦形剤と合わせて、酸安定化混合物を形成する。酸安定化L−酒石酸トルテロジ
ンと共に使用可能な医薬品として許容される賦形剤には、微結晶性セルロース、スクロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、炭酸カルシウム、デキストロース、ラクトース、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、シリカ、2酸化チタン、ゼラチン、トリグリセリド、またはこれらの混合物が含まれる。次いで酸安定化混合物を、カプセルシェルに充填する。さらなる工程では、カプセルをポリマーでコーティングしてもよい。ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマー、またはエチルセルロースなどの疎水性制御放出ポリマーであってもよい。
【0057】
次に本発明について、以下の非限定的な実施例によってより詳細に説明する。
【実施例1】
【0058】
活性成分として4mg/単位の酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する例示的なカプセルは、複数のビーズを含む。各ビーズは、不活性コアとして、20〜25メッシュ(20/25)の糖球を含む。第1のシール層として、ステアリルアルコールを糖球上に堆積させる。次に、L−酒石酸トルテロジンと、酒石酸と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含有するOpadry II Clear分散液とを含有する層を、シール層上に堆積させる。最後に、Surelease(登録商標)およびOpadry Clearの第3の層を、放出制御層としてL−酒石酸トルテロジン層上に堆積させる。Surelease(登録商標)固形分:Opadry Clearの比は、80:20である。Surelease(登録商標)は、水性被膜コーティング分散液で、約25%の固形分であり、コロルコンインコーポレイテッド社(Colorcon,Inc.)[米国(USA)所在]によって製造される。
【0059】
上述の特徴を有する3層コーティングを備えたビーズを、以下のように調製した。
20〜25メッシュの糖球 2900gを、ロータ流動床コータに投入し、イソプロピルアルコールに溶解したステアリルアルコール725gの溶液を噴霧して、ステアリルアルコールコーティング付きビーズを生成した。同じロータ内で、ステアリルアルコールコーティング付きビーズ986.3gに対し、水およびイソプロピルアルコールを4:1の比で含有する混合溶液に26gのL−酒石酸トルテロジン、8.21gの酒石酸、および8.55gのOpadry(登録商標)Clear(コロルコンインコーポレイテッド社(Colorcon,Inc.)[米国(USA)所在]によって製造されたOpadry(登録商標)Clearは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。)を溶かした溶液を噴霧した。次いでビーズを、固形分比80:20w/wのSurelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるエチルセルロース水性懸濁液の、持続放出コーティング液でコーティングする。
【0060】
乾燥後、コーティング付きの球をゼラチンカプセル内に充填して、4mgのL−酒石酸トルテロジンカプセルを得た。各カプセルは180mgのビーズを含有しており、表2に示される組成のカプセルが与えられ、最終的な組成物は、0.8重量%の酒石酸を含有していた。
【0061】
【表2】

【0062】
上記実施例1に記述した手順と同様の手法で、L−酒石酸トルテロジンを活性成分として含有するその他の例示的なビーズ製剤を、以下の実施例2、3、および4で述べるように調製した。
【実施例2】
【0063】
L−酒石酸トルテロジンカプセルは、Surelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるエチルセルロース水性懸濁液の持続放出コーティング液でビーズをコーティングする工程以外、実施例1で述べた方法によって調製した。この実施例では、エチルセルロース水性懸濁液は、固形分比85:15w/wのSurelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるものであった。
【実施例3】
【0064】
L−酒石酸トルテロジンカプセルは、Surelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるエチルセルロース水性懸濁液の持続放出コーティング液でビーズをコーティングする工程以外、実施例1で述べた方法によって調製した。この実施例では、エチルセルロース水性懸濁液は、固形分比75:25w/wのSurelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるものであった。
【実施例4】
【0065】
L−酒石酸トルテロジンカプセルは、Surelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるエチルセルロース水性懸濁液の持続放出コーティング液でビーズをコーティングする工程以外、実施例1で述べた方法によって調製した。この実施例では、エチルセルロース水性懸濁液は、固形分比82.5:17.5w/wのSurelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるものであった。
【実施例5】
【0066】
制御放出層の組成物の影響に関する研究を行った。薬物放出に対する制御放出層の影響は、下記の通り試験した。実施例1から4までのL−酒石酸トルテロジンカプセル 4ロット。実施例1により調製された第1のロットでは、制御放出層内のSurelease(登録商標)固形分:Opadry Clear固形分の比が、80:20である。実施例2により調製された第2のロットでは、制御放出層内のSurelease(登録商標)固形分:Opadry Clear固形分の比が、85:15である。実施例3により調製された第3のロットでは、制御放出層内のSurelease(登録商標)固形分:
Opadry Clear固形分の比が、75:25である。実施例4により調製された第4のロットでは、制御放出層内のSurelease(登録商標)固形分:Opadry Clear固形分の比が、82.5:17.5である。
【0067】
in vivo薬物放出を、pH6.8のリン酸緩衝液中で、37℃で測定した。USP(米国薬局方)溶解試験装置Iを、100rpmで使用した。結果を、図8のグラフに示す。図8に示されるように、制御放出層内の可塑化エチルセルロース(Surelease(登録商標))のパーセンテージが増加するにつれ、薬物放出速度は低下する。Surelease(登録商標)が制御放出層の75%を構成する実施例3のカプセルでは、L−酒石酸トルテロジンの本質的に100%が7時間後に放出された。Surelease(登録商標)が制御放出層の85%を構成する実施例2のカプセルでは、L−酒石酸トルテロジンの50%のみが7時間後に放出された。さらに、実施例2のカプセルは、試験開始後約2時間で開始してから試験開始後少なくとも7時間までの範囲にわたり、L−酒石酸トルテロジンのほぼ線形の0次放出を示す。さらに、Surelease(登録商標)が制御放出層の82.5%を構成する実施例4のカプセルは、試験開始後1時間から試験開始後少なくとも7時間の範囲にわたり、L−酒石酸トルテロジンのほぼ線形の0次放出を示すこともわかる。
【実施例6】
【0068】
活性成分として4mg/単位のL−酒石酸トルテロジンを含有する例示的なカプセルは、複数のビーズを含み;有機安定化酸は薬物層に含まれていない。各ビーズは、不活性コア、20〜25メッシュ(20/25)の糖球を含む。第1のシール層として、ステアリルアルコールを糖球上に堆積させる。次に、L−酒石酸トルテロジンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の層を、シール層上に堆積させる。最後に、Surelease(登録商標)およびHPMCの第3の層を、放出制御層としてL−酒石酸トルテロジン層上に堆積させる。Surelease(登録商標)は、水性被膜コーティング分散液で、約25%固形分のものであり、コロルコンインコーポレイテッド社(Colorcon,Inc.)[米国(USA)所在]により製造されている。
【0069】
上記特徴を有する3層コーティングを備えたビーズを、下記の通り調製した。
20〜25メッシュの糖球を、ロータ流動床コータ内に投入し、イソプロピルアルコールに溶解したステアリルアルコールの溶液(20重量%ステアリルアルコール)を噴霧して、ステアリルアルコールコーティング付きビーズを生成した。同じロータで、ステアリルアルコールコーティング付きビーズをL−酒石酸トルテロジンおよびOpadry(登録商標)Clearでコーティングした。これは、3段階でコーティングを噴霧することによって、即ち水性Opadry(登録商標)Clearの初期コーティング、26gのL−酒石酸トルテロジンおよびOpadry(登録商標)Clearの溶液の第2のコーティング、およびOpadry(登録商標)Clearの第3のコーティングを噴霧することによって行われる。得られたL−酒石酸トルテロジン/Opadry(登録商標)Clearコーティングは、L−酒石酸トルテロジンとOpadry(登録商標)Clearの固形分を4:1の比で含有する。次いでビーズを、固形分比85:15w/wのSurelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるエチルセルロース水性懸濁液の持続放出コーティング液でコーティングする。
【0070】
乾燥後、コーティング付き球体をゼラチンカプセルに充填して、4mgのL−酒石酸トルテロジンカプセルを得た。各カプセルは180mgのビーズを含有し、表3に示される組成のカプセルが得られた。
【0071】
【表3】

【実施例7】
【0072】
安定量の酒石酸がL−酒石酸トルテロジンの分解に及ぼす影響の研究を行った。酒石酸の影響は、酸安定化剤を含まない実施例6により調製されたカプセル、および0.8重量%の酒石酸安定化剤を含有する実施例1のカプセルを、高い温度および湿度(40℃および相対湿度75%)に曝すことによって試験をした。全分解生成物、未知の分解生成物、およびトルテロジンモノマー分解生成物の濃度を、経時的にモニタした。トルテロジンダイマーおよび酒石酸トルテロジン4Bは、その他の知られている分解生成物であるが、これら生成物の濃度は、安定性実験の過程で本質的に一定であったので、個々に報告しなかった。比較として、市販の酒石酸トルテロジン長期放出製剤Detrol(登録商標)LAにおける分解生成物の形成もモニタした。
【0073】
表4に見られるように、Detrol(登録商標)LAは、初期不純物レベルが0.37重量%であった。高い温度および湿度に曝してから3カ月後、不純物レベルは1.27重量%まで増加した。酸安定化剤を含まない実施例6の製剤と、0.8重量%の酸安定化剤を有する実施例1の製剤は、それぞれ不純物の非常に低い初期濃度を示す。それぞれの場合において、初期不純物レベルは0.05重量%である。高い温度および湿度に曝してから3カ月後、実施例6は著しく高いレベルの不純物を有し、その不純物レベルが1.17重量%である。一方、酸安定化を行った実施例1は、非常に低いレベルの不純物を有し、その不純物レベルは0.16重量%である。
【0074】
【表4】

【実施例8】
【0075】
4mg/単位のL−酒石酸トルテロジンを活性成分として含有する例示的なカプセルは、複数のビーズを含む。各ビーズは、不活性コア、20〜25メッシュ(20/25)の糖球を含む。第1の層として、ステアリン酸を糖球上に堆積させる。次に、L−酒石酸トルテロジンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の層を、シール層上に堆積させる。最後に、Surelease(登録商標)およびHPMCの第3の層を、放出制御層としてL−酒石酸トルテロジン層上に堆積させる。Surelease(登録商標)固形分:HPMCの比は、75:25である。
【0076】
上記特徴を有する3層コーティングを備えたビーズを、下記の通り調製した。
20〜25メッシュの糖球 1047.3gを、ロータ流動床コータ内に投入し、イソプロピルアルコール/水(9:1)に溶解したステアリン酸104.7gの溶液を噴霧して、ステアリン酸コーティング付きビーズを生成した。同じロータで、水およびイソプロピルアルコールを4:1の比で含有する混合溶液に、29.03gのL−酒石酸トルテロジンおよび14.51gのOpadry(登録商標)Clearを溶かした溶液を、ステアリン酸コーティング付きビーズ1045gに噴霧した。HPMCは、Opadry(登録商標)Clearとして得られる。次いでビーズを、固形分比が75:25w/wのSurelease(登録商標)およびOpadry(登録商標)Clearからなるエチルセルロース水性懸濁液の持続放出コーティング液でコーティングする。
【0077】
乾燥後、コーティングされた球をゼラチンカプセルに充填して、4mgのL−酒石酸トルテロジンカプセルを得た。各カプセルは、180mgのビーズを含んでおり、表5に示される組成のカプセルが得られた。
【0078】
【表5】

【0079】
様々な例示的な実施形態について、それらのある例示的な態様を特に参照しながら詳細に述べてきたが、本明細書に開示された発明は、その他の異なる実施形態であってもよく、その詳細は、様々な明らかな観点で修正することが可能である。当業者に容易に理解されるように、変更および修正を、本開示の精神および範囲内にある状態で行うことができる。したがって、前述の開示、説明、および図は、単なる例示を目的とし、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明を、いかようにも限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−酒石酸トルテロジン、
5.0未満のpKを有する、医薬品として許容される非ポリマーpH調節酸、および
医薬品として許容される賦形剤
からなり、前記pH調節酸が、L−酒石酸トルテロジンを安定化するのに有効な量で存在する、固体経口剤形。
【請求項2】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が、剤形の0.1重量%から10.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項3】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が、剤形の0.4重量%から2.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項4】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が、剤形の0.8重量%から1.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項5】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が、有機酸および無機酸からなる群から選択される、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項6】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が有機酸であり、該有機酸が、酢酸、安息香酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、これらの立体異性体、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項7】
前記有機酸が、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、これらの立体異性体、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の固体経口剤形。
【請求項8】
前記有機酸が、L−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、meso−酒石酸、ラセミ酒石酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の固体経口剤形。
【請求項9】
L−酒石酸トルテロジン4mgと、前記剤形の重量に対してL−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、meso−酒石酸、ラセミ酒石酸、またはこれらの混合物を0.8重量%から1.5重量%含む、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項10】
制御放出剤形である、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項11】
前記制御放出剤形が、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンおよび放出制御ポリマーを含む、請求項10に記載の固体経口剤形。
【請求項12】
前記制御放出剤形が、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンおよび放出制御ポリマーを含み、該酸安定化L−酒石酸トルテロジンが該放出制御ポリマー中に分散されている、請求項10に記載の固体経口剤形。
【請求項13】
前記制御放出剤形が、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層と、放出制御ポリマーを含有する層とを含み、該酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する該層が、該放出制御ポリマーを含有する該層によって取り囲まれている、請求項10に記載の固体経口剤形。
【請求項14】
前記放出制御ポリマーが、pH不感受性の水不溶性ポリマーまたはpH感受性腸溶ポリマーである、請求項10に記載の固体経口剤形。
【請求項15】
前記pH不感受性の水不溶性ポリマーが、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのポリマーまたはコポリマー、セルロースエーテル、またはセルロースエステルである、請求項14に記載の固体経口剤形。
【請求項16】
前記pH不感受性の水不溶性ポリマーがエチルセルロースである、請求項14に記載の固体経口剤形。
【請求項17】
前記pH感受性腸溶ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリメタクリレート、またはメタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとのコポリマーのアンモニウム塩である、請求項10に記載の固体経口剤形。
【請求項18】
前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する前記層が、前記剤形のコア層であり、前記放出制御ポリマーを含有する前記層が、該コア層を取り囲んでいる、請求項13に記載の固体経口剤形。
【請求項19】
不活性コアをさらに含み、
前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する前記層が該コアを取り囲み、
前記放出制御ポリマーを含有する前記層が、該酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する該層を取り囲む、
請求項13に記載の固体経口剤形。
【請求項20】
シール層をさらに含み、
該シール層が、前記コアと、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する前記層との間にある、
請求項19に記載の固体経口剤形。
【請求項21】
前記シール層が、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、または水不溶性非ポリマー材料を含む、請求項20に記載の固体経口剤形。
【請求項22】
前記水不溶性非ポリマー材料が、脂肪アルコール、脂肪カルボン酸、脂肪カルボン酸エステル、硬化油、トリグリセリド脂肪、蝋、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の固体経口剤形。
【請求項23】
前記非ポリマー疎水性材料が、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸と低級アルコールまたはポリオールとのエステル、セチルアルコールのエステル、硬化ヒマシ油、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の固体経口剤形。
【請求項24】
即時放出剤形である、請求項1に記載の固体経口剤形。
【請求項25】
前記即時放出剤形が、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンと、水膨潤性または水溶性ポリマーとを含む、請求項24に記載の固体経口剤形。
【請求項26】
前記即時放出剤形が、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンと、水膨潤性または水溶性ポリマーとを含み、該酸安定化L−酒石酸トルテロジンが、該水膨潤性または水溶性ポリマー中に分散されている、請求項24に記載の固体経口剤形。
【請求項27】
前記即時放出剤形が、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層と、水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する層とを含み、該酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する該層は、該水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する該層によって取り囲まれている、請求項24に記載の固体経口剤形。
【請求項28】
前記即時放出剤形が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールからなる群から選択されたポリマーをさらに含む、請求項24に記載の固体経口剤形。
【請求項29】
前記ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項28に記載の固体経口剤形。
【請求項30】
前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する前記層が、前記剤形のコア層であり、前記水膨潤性または水溶性ポリマーを含有する前記層は、該コア層を取り囲んでいる、請求項27に記載の固体経口剤形。
【請求項31】
不活性コアと、水膨潤性または水溶性ポリマーとをさらに含み、
該水膨潤性または水溶性ポリマーと前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する少なくとも1つの層が、該コアを取り囲んでいる、請求項24に記載の固体経口剤形。
【請求項32】
不活性コアと、水膨潤性または水溶性ポリマーとをさらに含み、
該水膨潤性または水溶性ポリマーと前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンとを含有する少なくとも1つの第1の層は、該コアを取り囲んでおり、
該水膨潤性または水溶性ポリマーの少なくとも1つの第2の層は、該少なくとも1つの第1の層上に堆積されている、
請求項24に記載の固体経口剤形。
【請求項33】
シール層をさらに含み、
該シール層は、前記コアと、前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する前記層との間にある、
請求項31に記載の固体経口剤形。
【請求項34】
前記シール層が、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、または水不溶性非ポリマー材料を含む、請求項33に記載の固体経口剤形。
【請求項35】
前記水不溶性非ポリマー材料が、脂肪アルコール、脂肪カルボン酸、脂肪カルボン酸エステル、硬化油、トリグリセリド脂肪、蝋、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項34に記載の固体経口剤形。
【請求項36】
前記非ポリマー疎水性材料が、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸と低級アルコールまたはポリオールとのエステル、セチルアルコールのエステル、硬化ヒマシ油、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項34に記載の固体経口剤形。
【請求項37】
L−酒石酸トルテロジン、および
5.0未満のpKを有する、医薬品として許容される非ポリマーpH調節酸
を含み、該酸は、L−酒石酸トルテロジンを安定化させるのに有効な量で存在する組成物。
【請求項38】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が、組成物の0.1重量%から10.0重量%の量で存在する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が、剤形の0.8重量%から1.5重量%の量で存在する、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記医薬品として許容されるpH調節酸が有機酸であり、該有機酸が、酢酸、安息香酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、これらの立体異性体、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
薬物含有ビーズを作製する方法であって、
L−酒石酸トルテロジンと、安定量の、医薬品として許容されるpH調節酸とを合わせて、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを得る工程と、
不活性コア上に、非ポリマー疎水性材料から形成されたシール層を堆積させる工程と、
該シール層上に、該酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層を堆積させる工程とを含む、方法。
【請求項42】
前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する前記層が、即時放出層である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記即時放出層が、水溶性または水膨潤性ポリマーをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記酸安定化L−酒石酸トルテロジンを含有する層上に、制御放出ポリマーを含有する層を堆積させる工程をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
L−酒石酸トルテロジンと、安定量の、医薬品として許容されるpH調節酸とを合わせて、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを得る工程と、
該酸安定化L−酒石酸トルテロジンと、少なくとも1種の医薬品として許容される賦形剤とを合わせて、酸安定化混合物を形成する工程と、
該酸安定化混合物を圧縮して錠剤を形成する工程と
を含む、錠剤を作製する方法。
【請求項46】
前記少なくとも1種の医薬品として許容される賦形剤が、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、デキストロース、ラクトース、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、またはこれらの混合物を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記錠剤をポリマーでコーティングする工程をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリマーがエチルセルロースである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
L−酒石酸トルテロジンと、安定量の、医薬品として許容されるpH調節酸とを合わせて、酸安定化L−酒石酸トルテロジンを得る工程と、
該酸安定化L−酒石酸トルテロジンと、少なくとも1種の医薬品として許容される賦形
剤とを合わせて、酸安定化混合物を形成する工程と、
該酸安定化混合物をカプセルシェル内に充填する工程と
を含む、カプセルを作製する方法。
【請求項51】
前記少なくとも1種の医薬品として許容される賦形剤が、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、キシリトール、フルクトース、ソルビトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、デキストロース、ラクトース、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、またはこれらの混合物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記カプセルをポリマーでコーティングする工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリマーがエチルセルロースである、請求項52に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−534202(P2010−534202A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516960(P2010−516960)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/025970
【国際公開番号】WO2009/014532
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510017446)マイラン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MYLAN PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】