説明

完全防水コンクリート

セメント系材料における撥水性を向上させる典型的な組成物は、グリコールエーテル溶媒に溶解している疎水性材料である溶質を含んで成る。従って、その組成物を非水性溶液または水が不連続相であるエマルジョンの形態で提供する。また、そのような組成物をセメント系組成物の変性で用いることおよびそれによって得られるセメント系材料も記述する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水和性セメント系組成物用の添加剤および混和剤、より詳細には、セメント系組成物に撥水特性を与える添加剤および混和材に関する。
【背景技術】
【0002】
撥水性材料を水和性セメント系材料、例えばセメントペースト、メーソンリーセメント、モルタルおよびコンクリートに混合することである程度の水分不透過性を達成することは公知である。水および湿気を透過しないセメント系組成物の場合、理想的には、これの外側に歴青質被膜または防水膜積層などの如き水分バリヤーを付着させる必要はないであろう。
【0003】
セメントに撥水特性を与える乳化混和材が特許文献1に開示された。その混和材には重合体、界面活性剤および脂肪族カルボン酸有機エステルの形態の疎水性材料が入っている。その重合体は好適にはラテックス重合体(例えばスチレンとブタジエンの共重合体のラテックス)である。前記界面活性剤には前記疎水性材料を乳化させ得る如何なる界面活性剤も含まれ得るが、最も好適な界面活性剤はエトキシル化ノニルフェノールである。Luは、その乳化させた疎水性材料をセメント系組成物に混合するとそれがセメント系マトリクスの表面ばかりでなくそれの全体に渡ってむらなく分布すると理論付けした。それは、意図的に、水が多孔質セメント系構造物、例えばブロック、舗装材料および固定壁ユニットなどの中に入り込むこともそれから出て行くこともないようにするものである(コラム4、11、17−24を参照)。
【0004】
しかしながら、乳化させた疎水性材料は長年に渡って知られていて、以前から用いられていた。例えば、水に不溶な撥水性酸成分[例えばトール油、乳化剤(例えばそのような酸の塩)]および硬化時間遅延剤(例えばスクロース)が入っている水中油エマルジョンを含んで成る添加剤が特許文献2および3に開示された。そのような添加剤は過剰使用の危険性が最小限になるように水の形態で分散させることができる(特許文献4の背景に説明されているように)。その上、そのような添加剤は任意の追加的成分、例えば空気連行剤などを含有させることができる形態で提供された。特許文献5に記述されている如き改良を受けた乳化添加剤には更に乳化安定剤(例えばグリコール)も入っている。そのような安定剤は、現在では良く知られているように、水中油エマルジョンが輸送または貯蔵中に凍結温度にさらされた時に破砕しないようにする(例えば特許文献4のコラム2の11−23行を参照)。
【0005】
Wieglandは、特許文献4の中で、水中油エマルジョンが破砕すると使用できなくなることを観察した。安定剤(例えばグリコール)をそのような水系で用いたとしても、そのようなエマルジョンは極度の温度変動および長期の熱循環によって破砕する可能性がある。このように、Wieglandは、モルタルセメントが示す作業性、可塑性およびボードライフ(board life)を向上させようとする明白な目的で、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、硬化遅延用炭水化物、モノ−、ジ−、トリ−およびテトラエチレングリコールから選択されるエチレン系グリコールおよびセルロースエーテルを含有する添加剤を提案した。ステアリン酸と石灰粉を加熱することでステアリン酸塩に鹸化を受けさせた。
【0006】
本産業では水中油エマルジョンおよび鹸化金属塩(例えばステアリン酸カルシウム)がしばらくの間商業的に用いられてきた。エマルジョンが基になった撥水向上剤(これはセメントをクリンカーから製造する粉砕工程中に添加される)をGrace Construction Products(Cambridge USA)から商品名HYDROPHOBE(商標)の下で商業的に入手することができる。ステアリン酸カルシウム懸濁液(微粉砕したステアリン酸カルシウム粉末を水性担体の中に分散させた形態で提供)をGraceから商品名DARAPEL(商標)の下で商業的に入手することができる。
【0007】
本発明者らは、従来技術の撥水技術を改良する目的で、水性エマルジョンの使用も水性溶媒の使用も回避することを提案する。
【特許文献1】Luの米国特許第6,761,765 B2(2004年7月13日付けで発行)
【特許文献2】米国特許第3,865,601号
【特許文献3】米国特許第3,885,985号
【特許文献4】米国特許第5,108,511号
【特許文献5】米国特許第4,375,987号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、セメント、メーソンリーセメント、コンクリートおよび他のセメント系材料における撥水性を向上させる新規な組成物を提供するものである。多くの場合、材料費および人件費の低下を達成することができるように、そのようなセメント系材料が示す水分透過性を防水被膜もしくは膜を外側に取り付けなくてもよい点にまで低くすることができることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の新規な組成物は液体分散可能形態で添加剤(例えばセメントを製造する目的でクリンカーを粉砕している時)または混和材(例えば完成セメント、モルタルまたはコンクリートへの)としてセメントまたはセメント系材料、例えばコンクリートなどと一緒にすることができる。このことは使用量が正確であり、制御可能でありかつ検証可能な点で好ましい。
【0010】
本発明の典型的な組成物はセメント系材料における撥水性を向上させるに有効な少なくとも1種の疎水性材料を有する溶質部分および少なくとも1種のグリコールエーテルを有する非水性溶媒部分(これは好適にはセメント系材料における乾燥収縮を抑制するに有効である)を含んで成り、前記溶質および溶媒が前記組成物に95:5から5:95の比率で存在し、前記溶質および溶媒部分が非水性溶液の形態または水が不連続相として存在するエマルジョンの形態で一緒に均一に混ざり合っている。前記疎水性材料が空気を連行せず(non−air−entraining)かつ鹸化されていないのが好適である。
【0011】
本発明の組成物は水中油エマルジョンを達成することを意図するものでなく、むしろ、非水性溶液または水が単に不連続相として存在するエマルジョンの形態で用いることを意図するものであることから、界面活性剤の使用を回避することができる。界面活性剤をモルタルおよびコンクリートで用いると、しばしば、空気があまりにも多い量で連行される。モルタルおよびコンクリートにある量の空気が微細気泡として分散していると凍結解凍耐久性にとって利益になり得るが、空気の濃度があまりにも高いと水分が入り込み得る通路が生じる可能性がある。本発明は消泡剤を添加する必要なくセメント系材料中の空気濃度の管理をより良好にするものであると考えている。
【0012】
本発明では、セメント系組成物を変性する時に特定の通常の疎水性材料を用いることができ、それらには、好適には現実に空気を連行しない材料が含まれるであろう。これは、そのような疎水性材料を非水性液状担体、好適には1種以上の収縮低下用混和材、例えば特定のグリコールエーテルなどを含んで成る担体(本明細書の以下に更に考察する)の中に直接溶解させることで達成可能である。
【0013】
そのような溶質と非水性溶媒を組み合わせると結果として温度安定性の範囲がより広くなりかつ冷環境下で加熱貯蔵する必要性もなくなる。このことは従来技術の撥水系(通常のエマルジョンまたは水性懸濁液が基になっている)に比べて多大な利点である。
【0014】
本発明で用いるに適切であると考えている典型的な疎水性材料には、例えば、脂肪族カルボン酸またはその塩もしくはエステル、脂肪酸またはその塩もしくはエステル、天然もしくは合成ワックス、天然もしくは合成油、シリコーン化合物、シラン化合物、シロキサン化合物、ナフタレン化合物、メラミン化合物、ジカルボン酸もしくはその塩または前記のいずれかの混合物が含まれる。
【0015】
本発明で用いることを意図する特に好適な疎水性材料(溶質)には、脂肪酸、例えばステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチルまたはそれらの混合物などが含まれる一方、好適なグリコールエーテル(溶媒)にはジ(オキシプロピレン)グリコール−t−ブチルエーテル(DPTB)、ジ(オキシプロピレン)グリコール−n−ブチルエーテル(DPNB)またはそれらの混合物が含まれる。そのような溶媒に追加的に低分子量のグリコール、例えばジ(オキシプロピレン)グリコール(DPG)、ジ(オキシエチレン)グリコール(DIEG)またはそれらの混合物を含有させてもよい。
【0016】
典型的な溶質(疎水性材料)および溶媒(例えばグリコールエーテル)の更に詳細な説明を本明細書の以下に行う。
【0017】
本発明の組成物は、水を多量に用いないことから、いくつかの利点を実現する。1番目として、製造業者は水性エマルジョンまたは分散液を製造するに要する追加的段階を用いなくてもよいばかりでなく界面活性剤および安定剤の費用を回避することができる。更に、水性エマルジョンまたは懸濁液の大部分を構成する水を輸送する費用が低下する。その上、本発明の組成物は、水含有量が低いか或はゼロであることから、細菌および他の微生物が生息する可能性が低い。
【0018】
本発明の典型的なさらなる組成物では、追加的に、セメントに対する水の比率を低くしかつセメント系組成物の作業性または流動性を向上させる目的で本技術分野で公知の如き1種以上の櫛形重合体である超可塑剤、例えばポリ(オキシアルキレン)型の超可塑剤などを組み込んでもよい。そのような超可塑剤に伴う水の量は少量であり得るが、それにも拘らず、本発明の組成物には水を実質的に含有させない、例えば全体積の35%未満、より好適には15%未満にするのが好適である。
【0019】
本発明は、また、セメント系材料における撥水性を向上させる方法にも関し、かつまた、上述した撥水性向上用組成物を含有させたセメント系材料にも関する。本発明の他の利点および他の特徴を本明細書の以下に記述する。
【0020】
典型的な態様の詳細な説明
本発明の発明組成物は、この上に記述したように、セメントおよびセメント系組成物および材料を変性するための添加剤または混和材として用いるに有用である。従って、本発明は、また、セメント系材料およびそれの撥水性を向上させる方法にも関する。
【0021】
用語「セメント系組成物」または「セメント系材料」を本明細書で時には互換的に用いるかもしれないが、この用語は、「セメント」ばかりでなくまたペースト(またはスラリー)、モルタルおよびグラウト、例えば油井セメント用グラウト、ショットクリート、および水硬性セメント結合剤を含んで成るコンクリート組成物を包含しかつそれらを指す。用語「ペースト」、「モルタル」および「コンクリート」は技術用語であり、ペーストは、水和性(または水硬性)セメント結合剤(通常は、排他的ではないが、ポートランドセメント、メーソンリーセメント、モルタルセメントおよび/または石膏、そしてこれらは、また、石灰石、水和石灰、ポゾラン、例えばフライアッシュおよび/または顆粒高炉スラグ、メタカオリン、籾殻灰およびシリカフューム、またはそのようなセメントに通常入っている他の材料も含有していてもよい)および水で構成されている混合物であり、「モルタル」は、追加的に微細骨材(例えば砂)も含有するペーストであり、そして「コンクリート」は、追加的に粗骨材(例えば砕石または砂利)も含有するモルタルである。個々のセメント系組成物の製造に必要であり得る如き特定材料、例えば水硬性セメント、水および微細および粗骨材などを必要な量で混合することで本発明に記述するセメント系材料を生じさせる。
【0022】
加うるに、用語「セメント」は、この直ぐ上に記述した如きポートランドセメントおよびポゾランに加えて、また、アルミン酸カルシウムセメント、水和性アルミナ、水和性酸化アルミニウム、コロイド状シリカ、酸化ケイ素、マグネシアも包含しかつそれらも指し得る。
【0023】
流し込みまたは噴霧で付着させるセメント系混合物を製造する時に用いる水対セメント(W/C)比は最適な撥水特性を達成するに決定的ではないと考えているが、適切なW/C比は約0.25から約0.60であろう。セメント系混合物を用いて生じさせる構造物を固化させかつそれの変形を回避する目的で、必要な水の量を最小限にするのが望ましい。
【0024】
本発明の組成物をセメント、コンクリートまたは他のセメント系材料を変性するための混和材として用いる場合にこれを水和性セメント結合剤材料と一緒にする時期は水を添加する前、添加中または添加後であってもよい。別法として、本発明の組成物は、クリンカーを水和性セメントに変化させる製造工程中に混合添加剤として添加することも可能である。
【0025】
本発明の典型的な組成物は、一般に、少なくとも1種の溶質と非水性溶媒が95:5から5:95、より好適には70:30から30:70の比率で存在する非水性溶液であるとして記述可能である。好適には、前記溶質と溶媒部分を一緒に均一に混合することでエマルジョンではない液状溶液を生じさせる。より好適には、前記溶質を本組成物中に本組成物中の全乾燥固体重量を基準にして70から30パーセントの量で存在させてもよい一方、前記溶媒を本組成物の総重量を基準にして30から70パーセントの量で存在させてもよい。
【0026】
本発明で用いることを意図する典型的な疎水性材料には、これらに限定するものでないが、脂肪族カルボン酸またはその塩もしくはエステル、脂肪酸またはその塩もしくはエステル、天然もしくは合成ワックス、天然もしくは合成油、シリコーン化合物(シラン、シロキサン)、ナフタレン化合物、メラミン化合物、ジカルボン酸もしくはその塩またはそれらの混合物が含まれる。最も好適な疎水性材料は、それ自身を水和性セメント系材料の中に混合した時に空気を連行しない材料である。そのような疎水性材料を固体形態で溶媒の中に混合する場合には、溶質が溶液の中に溶解するのを助長する目的で、その材料をできるだけ細かく粉砕しておくのが好適である。
【0027】
従って、好適な疎水性材料は、とりわけ、脂肪族カルボン酸、その塩もしくはエステル、特にこれらのカルボン酸の有機(例えば脂肪族)エステルまたは塩である。好適には、脂肪族カルボン酸の有機エステルは一般式R−R[式中、RはC12−C18脂肪族カルボン酸エステルであり、そしてRは直鎖もしくは分枝C−C10アルキルである]で表される。好適な脂肪族カルボン酸エステルには、これらに限定するものでないが、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、天然に存在する油(例えばやし油、ヒマシ油、トール油脂肪酸)、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、リノール酸エステルなど、およびそれらの塩および/または混合物が含まれる。
【0028】
好適な疎水性材料には、これらに限定するものでないが、ステアリン酸アルキルエステル、オレイン酸アルキルエステルおよびそれらの混合物が含まれる。好適には、ステアリン酸の有機エステルは一般式C1735COORで表され、そしてオレイン酸の有機エステルは一般式CH(CH=(CHCOORで表され、ここで、RおよびRは、各々独立して、直鎖もしくは分枝CからC10アルキルである。好適なステアリン酸エステルはステアリン酸ブチルであり、そして好適なオレイン酸エステルはオレイン酸ブチルである。特に好適な空気非連行性疎水性材料では、オレイン酸ブチルとステアリン酸ブチルの両方を一緒に用いる。
【0029】
より一般的に言って、本発明の典型的な組成物は、少なくとも1種の疎水性材料、例えばステアレート、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリスチン酸エステル、リノール酸エステル、ヤシ油、ヒマシ油、トール油脂肪酸、またはそれらの塩または混合物を含んで成る。そのような疎水性材料は、好適には、これをセメント系材料(例えばセメントモルタルおよびコンクリート)の中に混合した時に空気を連行しない。疎水性材料は、好適には、ステアリン酸アルキルエステル、オレイン酸アルキルエステルまたはそれらの混合物である。そのような疎水性材料は、より好適にはオレイン酸ブチル(BO)、ステアリン酸ブチル(BS)またはこの二者の混合物であり、そのような混合物の場合、それらをBO:BSの比率が5:1から1:5の比率、より好適には4:1から1:2の比率、最も好適には3:1から1:1の比率になるように用いてもよい。
【0030】
典型的な疎水性材料には、また、脂肪酸ばかりでなくその塩も含まれ得る。例えば、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛を用いてもよく、それらはNORAC,Inc.から商業的に入手可能である(両方とも粉末の形態で)。別の例はトール油脂肪酸(TOFA)であり、これはGrace Construction Chemicals(Cambridge USA)から商品名RX−901の下で入手可能である。
【0031】
典型的な疎水性材料には、また、天然ワックス、例えばパラフィンワックス、セレシン蝋および蜜蝋なども含まれ得る。また、典型的な合成ワックスも使用可能である。そのようなワックスは例えばDow Chemicalsから商品名Carbowzx(商標)の下で商業的に入手可能である。
【0032】
典型的な疎水性材料には、また、天然に存在する油(例えばヤシ油、ヒマシ油)[これらの中の数種を既にこの上に示した]ばかりでなく合成油も含まれ得る。
【0033】
他の典型的な疎水性材料はシリコーン、シランおよびシロキサンである。例えば、ブチルトリメトキシシランおよび他のシランをDow Corningから商業的に入手することができる。幅広い範囲の有機ケイ素化合物をDow Corningから同様に入手することができる。
【0034】
本発明の目的に適すると考えているさらなる典型的な疎水性材料には、ナフタレン化合物[例えばビスイソプロポニルナフタレン、カルシウムジ(ナフタレン)スルホネート]およびまたメラミン化合物も含まれる。
【0035】
別の典型的な疎水性材料はジカルボン酸またはその塩である。そのような材料は化学式
OOC−C(R)(H)−(CH−COOR
[式中、RはC12からC18アルキルもしくはアルキレン基であり、RおよびRは水素またはカチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、ブチル)でありそして「n」は1から6の整数である]
で表されるであろう。好適なジカルボン酸塩はテトラプロペニルブタンデジオディックアシッド(butandediodic acid)のジナトリウム塩であり、これは式
Na+−OOC−C(C1223)(H)−CH−COONa
で表される。例えば、前記ジカルボン酸塩(「DSS」)の20%溶液を下記の如くグリコールエーテル溶媒の中に混合してもよい:45%DPTB、450%DPG、2%DSSおよび8%水[ここで、「DPTB」はジ(オキシプロピレン)グリコール−t−ブチルエーテルを表しそして「DPG」はジ(オキシプロピレン)グリコールを表す]。
【0036】
本発明で用いるに適すると考えている典型的なグリコールエーテル溶媒には、(i)オキシアルキレングリコール、(ii)アルコール、グリコールもしくはグリセロールのオキシアルキレンエーテル付加体または(iii)これらの混合物が含まれる。本発明で用いるに適すると考えている典型的なオキシアルキレングリコールは、式HO(AO)H[式中、AはC−Cアルキレン基(例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどばかりでなくそれらの混合物、エチレンおよびプロピレンが最も好適である)を表し、Oは酸素原子を表し、そしてnは1から約30、より好適には1−3の整数を表す]で表され得る。個々のグリコール分子中のAO基は同じまたは異なってもよい。そのようなグリコールの例には、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジ(エトキシ)(ジ(プロポキシ)グリコールなどが含まれ得る。さらなるグリコールには、分子量が約1200以下のポリアルキレングリコール(ポリ(オキシアルキレン)グリコール)が含まれる。そのようなグリコールの鎖を形成しているAO基が含有するアルキレンエーテル基は単一の種類であってもよいか或はアルキレンエーテル基の混合物(ブロックまたはランダムに配置していてもよい)であってもよい。そのようなオキシアルキレングリコールの例はポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)グリコールなどである。
【0037】
本発明で用いるに適切であると考えている典型的なモノアルコールのオキシアルキレン付加体は、式RO(AO)H[式中、Rは炭化水素基、例えばC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキル基などであり、AはC−Cアルキレン基を表し、Oは酸素原子を表し、そしてmは1から約10の整数を表す]で表され得る。前記R基の例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。好適なR基はC−Cアルキル、例えばn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルなどである。本発明のいろいろな態様において、R基が同じであるのが好適である。前記鎖の中のAはC−C(好適にはC−C)アルキレン基、例えばエチレン、プロピレンなどおよびそれらの混合物であり、そしてmは1から約10、好適には2または3の整数である。
【0038】
好適な態様における溶媒は、ジ(オキシプロピレン)グリコール−t−ブチルエーテル(「DPTB」)、ジ(オキシプロピレン)グリコール−n−ブチルエーテル(「DPNB」)またはそれらの混合物[場合によりジ(オキシプロピレン)グリコール(「DPG」)、ジ(オキシエチレン)グリコール(「DEIG」)またはそれらの混合物と一緒であってもよい]である。
【0039】
従って、本発明の典型的な組成物は、少なくとも1種の疎水性材料[ステアレート、オレエート、天然に存在する油、ラウレート、パルミテート、ミリスチン酸エステル、リノール酸エステルまたはそれらの塩または混合物を包含]およびグリコールエーテル溶媒[(i)オキシアルキレングリコール、(ii)アルコール、グリコールもしくはグリセロールのオキシアルキレンエーテル付加体または(iii)それらの混合物を包含]を含んで成る。最も好適な組成物では、前記少なくとも1種の疎水性材料がオレイン酸ブチルおよびステアリン酸ブチルを含んで成り、そして前記グリコールエーテル溶媒がDPTB、DPNBまたはそれらの混合物(場合により低分子量のDPGまたはDIEGと一緒に)である。そのような溶媒が特に好適である、と言うのは、それらは水和性セメント系混合物の中に混合された時に優れた収縮および空気追い出し(air detraining)能力を有するからである。従って、好適な溶媒はセメント系材料に入っている空気を追い出すに有効である。
【0040】
本発明の典型的なさらなる組成物は、望まれる如き可塑性、作業性および/またはスランプが向上するように、本産業で通常用いられる如き少なくとも1種の櫛形重合体である超可塑剤を含んで成り得る。ペンダント型ポリ(オキシアルキレン)基を有する櫛形重合体である超可塑剤が最も好適である。そのような可塑剤は一般に公知である。適切な超可塑剤をGraceから商品名ADVA(商標)の下で商業的に入手することができる。超可塑剤を本発明の組成物に混合する時期は、好適には、溶質1種または2種以上および溶媒を一緒に完全に混合した後であってもよく、それを本組成物の総重量を基準にして5から30パーセントの量で混合してもよい。ポリ(オキシアルキレン)超可塑剤は生成または製造の結果として水を少量含有する可能性がある。しかしながら、水の総量を組成物の総体積の30%以下、より好適には組成物の総体積の5%以下にするのが好適である。
【0041】
本発明の組成物に好適には界面活性剤も他の表面活性剤も実質的に含有させない(他の場合にはエマルジョン系を生じさせる目的で通常必要である)。従って、脂肪酸またはトール油脂肪酸の金属塩(例えばナトリウム、カリウム、リチウム)はセメント系材料の中に混合された時に空気を連行する傾向があることから、そのような金属塩の使用はあまり好適でなく、従って、特定の金属塩を疎水性材料として用いる場合には、空気追い出し剤を用いることを推奨することができる。
【0042】
従って、本発明の典型的な方法は、この上に記述した如き撥水性向上用組成物を水和性セメント系材料に導入することでセメント系材料を変性することを包含する。この上に記述したように、それらはセメントをクリンカーから製造している時に添加剤として混合可能であるか或は完成セメント、モルタル、コンクリートまたは他のセメント系混合物の中に混合する混和材として混合可能である。
【0043】
以下の実施例は説明の目的で示すものである。
【実施例1】
【0044】
脂肪酸の有機エステルまたは脂肪族カルボン酸をグリコールエーテルに溶解させることで本発明の溶液をいくつか製造した。その結果として、レーザーが液体の中を通り抜けることで立証されるように、透明な溶液が生じた[Tyndallに従い、溶液はレーザー光線を散乱させないが、エマルジョンまたは分散液は散乱させる]。前記溶液は、エマルジョンとは異なり、46℃の高温で安定であり、固化温度以下にすると溶体に戻りそして溶融する。加うるに、低温における粘度も標準的な混和材用ポンプで輸送する時に要求される250cPの基準よりも充分に低い。そのデータを以下の表1に示す。サンプル1は、DPNBおよびDPGを用いるとオレイン酸ブチル(「BO」)とステアリン酸ブチル(「BS」)の混合物が示す凍結点を低くすると言った利点を示している。
【0045】
【表1】

【実施例2】
【0046】
添加剤が得られるように疎水性材料がグリコールエーテルである収縮低下用溶媒に溶解している本発明の典型的な添加剤はコンクリートサンプルの水分不透過性を向上させることが分かった。そのような不透過性の向上を水吸収度、収縮率および導電率が前記添加剤を含有させていないコンクリートサンプルに比較して低下することで立証した。
【0047】
水対セメント比(w/c)が高いコンクリートばかりでなくw/c比が低いコンクリート(これは透過性が低いコンクリートの典型である)にも改善が見られる。表2に、表1に示した組成物1、2および3[「IWC1」、「IWC2」および「IWC3」として示す]が英国吸収試験(British Absorption Test)(BS 1881パート122)で示した典型的な改善を示す。これはセメント系組成物が完全な防水を達成するように混和材を評価する場合の鍵となる試験であり、数値が約1%以下であることは優れていると見なされる。
【0048】
そのデータは、IWC混合物が示す作業性の方が収縮低下用混合物(SRA)を単独で用いた場合(混合物10)に比べて超可塑剤の濃度が低くても良好でありかつSRAを単独で用いた時に比べて吸収度が低くかつ2/3の用量で25%の改善が見られることを示唆している。
【0049】
【表2】

【実施例3】
【0050】
IWC1、SRAおよび防湿材料、例えばステアリン酸カルシウムエマルジョン[Grace Darapel(商標)ブランド]など、オレイン酸ブチルおよびステアリン酸ブチルを用いて製造したいろいろな混合物の特性。前記防湿材料が乾燥収縮に対して示す効果は僅かである。この上の実施例2に示したように、SRAはIWCサンプルと同様に水吸収度を低下させることはない。
【0051】
驚くべきことに、そのような疎水性材料1種または2種以上をセメントもしくはコンクリートに添加する前に収縮低下用混和材(SRA)である溶媒に溶解させておくと相乗作用が見られることを見いだしたが、その理由は、そのように組み合わせた添加剤を用いると疎水性材料を個別に用いた時およびSRAを個別に用いた時に比べて全体としての成分使用量を低くすることができるからである。
【0052】
その上、コンクリートの中に発生する空気の量も防湿成分を個別に添加した場合に比べて低かった。このことは屋内用床材用途にとって有利である。
【0053】
ASTM C 1202に記述されている方法に類似した方法を用いてコンクリートサンプルが示す透過性を測定した。直径が4インチで長さが12インチの円柱形コンクリートサンプルの末端部と末端部の間を通る電流を1分後に60ボルトDCで測定した。電流の量が多いことはコンクリートが示す水および水分透過率が高いことに相当する。コンクリートの水/セメント比を0.5から0.4に低くしたことが主要な効果でありかつステアリン酸カルシウム添加自身が示す改善度は僅かのみであったことを特記する。しかしながら、本発明のIWC添加剤を添加したコンクリート混合物が示した低下度は有意であった。前記疎水性材料または収縮低下用混和材(SRA)を個別に用いることでも本発明のIWCサンプルが示す品質の中のいくつかを満足させ得るか或はそれを超えさせることができるであろうが、本IWCサンプルは全体として材料の使用量が少なくかつボード全体に渡って吸収率、透過率および収縮率の好ましい低下を達成することを見いだした。
【0054】
【表3】

【実施例4】
【0055】
優れた特性を示し得る他の疎水性溶質材料はナフタレン、例えばRuetasolv DI[これはC1620、ナフタレン,ビス(1−メチルエチル)−(9Cl)である]などである。そのナフタレンを50%ジプロピレングリコールt−ブチルエーテル/50%ジプロピレングリコールに1:2から2:1で添加すると、レーザー光試験で立証されるように透明な溶液を生じ、これもまたIWC2に溶解することを見いだした(表1に示した配合2を参照)。これらの材料を用いて作成したコンクリートサンプルが示した特性を対照サンプルのそれと比較して表4に示す。水対セメント(w/c)比を低くすると、ASTM C 1585を用いて測定した時、初期毛細管吸収度(Si)が若干改善した。しかしながら、本発明の添加剤を用いた時のSiの低下度は有意であるばかりでなく収縮率も有意に低下した(w/cを単に低くしたサンプルと比較して)。
【0056】
【表4】

【実施例5】
【0057】
連続液相をもたらすグリコールエーテルおよびナフタレンスルホン酸を疎水性材料として用いて水中油エマルジョンではない安定なエマルジョンを生じさせた。典型的な疎水性材料はNaCorr(商標)[これはナフタレンスルホン酸のジノニル−カルシウム塩(C2844S・1/2Ca)の商品名である]である。この添加剤をコンクリートサンプルで用いると収縮率および吸収率が低下する点で有益であった。レーザー光試験により、そのような配合物は少なくともグリコールエーテルに対する質量比が1:2から2:1の範囲の時にエマルジョンであることを確かめた。それらは−5から+46℃の温度の時に凍結も分離も起こさなかった。Grace Construction Productsから商品名ECLIPSE(商標)の下で入手可能なグリコールエーテル系収縮低下剤(SRA)を用いて前記疎水剤をSRAに入れることで生じさせたサンプルが示した収縮率および吸収率データを以下の表に要約する。
【0058】
【表5】

【実施例6】
【0059】
本発明の幅広い範囲の配合物に安定な溶液が生じるか或は水中油エマルジョンではないエマルジョンが生じ得るかを示す試験を受けさせた。その組み合わせを以下の表6に示すが、これらは単に説明の目的で示すものであり、これらに本開示から実現可能なあらゆる可能な組み合わせを包含させるものではない。
【0060】
【表6】

【実施例7】
【0061】
典型的なさらなる疎水性材料をDPTBおよびDPGの中に入れた。そのような疎水性材料にトール油脂肪酸(TOFA)、脂肪酸の金属塩(例えばステアリン酸亜鉛)およびワックス(例えばDow ChemicalからCARBOWAXとして入手可能な分子量が約200のポリエチレングリコール)を含めた。TOFA(50%)とDPTB(25%)とDPG(25%)を混合すると室温で安定な混合物が生じた(パーセントは重量が基になったパーセントである)。ステアリン酸亜鉛(5.6%)とDPTB(47.2%)とDPG(47.2%)を混合するとまた室温で安定な混合物が生じた。前記ワックス(33.4%)とDPTBとDPG(各々33.3%)を混合すると室温で安定な混合物が生じた。
【実施例8】
【0062】
疎水性材料である分子量が約1000のポリエチレングリコール(PEG)をジ(オキシプロピレン)グリコール−t−ブチルエーテル(DPTB)とジ(オキシプロピレン)グリコール(DPG)に下記の比率:DPTBが47.15%でDPGが47.15%でPEGが5.7%の比率になるように一緒にすることで本発明のさらなる典型的な安定な溶液を生じさせた。前記PEGはDOWから商品名CARBOWAX 1000の下で商業的に入手可能である。
【実施例9】
【0063】
式Na+−OOC−C(C1223)(H)−CH−COONaで表されるテトラプロペニルブタンデジオディックアシッドのジナトリウム塩の20%溶液をDPTBおよびDPGに最終的な溶液が下記の成分:DPTBを45%とDPGを45%とDSSを2%とHOを8%有するように溶解させることで本発明のさらなる典型的な安定な溶液を生じさせた。下記の成分:DPTBを35%とDPGを35%とDSSを6%とHOを24%有する別の溶液も生じさせ、これもまた安定であることを確認した。また、そのような水溶液を用いないで(水を溶液の中に導入しないように)前記疎水性材料の量を多くすることもうまく働くであろうと考えている。
【実施例10】
【0064】
シラン(例えばDow Corningから商品名Z−2306の下で入手可能なi−ブチルトリメトキシシラン)を溶媒に下記:DPTBが29.4%でDPGが29.4%でZ−2306が41.2%になるように混合することで本発明のさらなる典型的な安定な溶液を生じさせた。それによって室温で透明な溶液が生じた。
【0065】
この上に示した実施例および典型的な態様は説明の目的で示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント系材料における撥水性を向上させるに有効な少なくとも1種の疎水性材料を有する溶質部分およびセメント系材料における乾燥収縮を抑制するに有効な少なくとも1種のグリコールエーテルを有する非水性溶媒部分を含んで成っていて前記溶質および溶媒が該組成物中に95:5から5:95の比率で存在し、前記溶質および溶媒部分が非水性溶液の形態または水が不連続相として存在するエマルジョンの形態で一緒に均一に混ざり合っている組成物。
【請求項2】
前記疎水性材料が水和性セメント系組成物の中に混合された時に空気を連行しない請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記疎水性材料が鹸化されていない請求項1記載の組成物。
【請求項4】
水の含有量が該組成物の総体積を基準にして0−30%である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
水が入っていない請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記溶質と溶媒が該組成物中に70:30から30:70の比率で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の疎水性材料である溶質が脂肪族カルボン酸もしくはその塩を含んで成る請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の疎水性材料である溶質が脂肪族カルボン酸の脂肪族エステルまたはその塩を含んで成る請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の疎水性材料が一般式R−R[式中、RはC12−C18脂肪族カルボン酸エステルであり、そしてRは直鎖もしくは分枝CからC10アルキルである]で表される脂肪族カルボン酸有機エステルである請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の疎水性材料である溶質がステアレート、オレエート、天然に存在する油、ラウレート、パルミテート、ミリスチン酸エステル、リノール酸エステル、ヤシ油、ヒマシ油またはそれらの塩または混合物を含んで成る請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の疎水性材料である溶質がオレイン酸アルキルエステル、ステアリン酸アルキルエステルまたはそれらの混合物を含んで成る請求項9記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の疎水性材料である溶質がオレイン酸ブチル、ステアリン酸ブチルまたはそれらの混合物を含んで成る請求項9記載の組成物。
【請求項13】
前記溶質がオレイン酸ブチルおよびステアリン酸ブチルを含んで成る請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記オレイン酸ブチルおよびステアリン酸ブチルが該組成物中の乾燥固体総重量を基準にして30パーセント以上の量から50パーセント以下の量で該組成物中に存在する請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の疎水性材料が脂肪族カルボン酸またはその塩もしくはエステル、脂肪酸またはその塩もしくはエステル、天然もしくは合成ワックス、天然もしくは合成油、シリコーン化合物、シラン化合物、シロキサン化合物、ナフタレン化合物、メラミン化合物、ジカルボン酸もしくはそれらの塩またはそれらの混合物を含んで成る請求項1記載の組成物。
【請求項16】
前記グリコールエーテル溶媒が(i)オキシアルキレングリコール、(ii)アルコール、グリコールもしくはグリセロールのオキシアルキレンエーテル付加体または(iii)それらの混合物を含んで成る請求項1記載の組成物。
【請求項17】
前記グリコールエーテル溶媒が(i)ジ(プロピレン)グリコール−t−ブチルエーテル、ジ(プロピレン)グリコール−n−ブチルエーテルまたはそれらの混合物および(ii)場合によりジ(オキシプロピレン)グリコール、ジ(オキシエチレン)グリコールまたはそれらの混合物を含んで成る請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の疎水性材料である溶質がステアレート、オレエート、天然に存在する油、ラウレート、パルミテート、ミリスチン酸エステル、リノール酸エステルまたはそれらの塩または混合物を含んで成りそして前記グリコールエーテル溶媒が(i)オキシアルキレングリコール、(ii)アルコール、グリコールもしくはグリセロールのオキシアルキレンエーテル付加体または(iii)それらの混合物を含んで成る請求項1記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種の疎水性材料がオレイン酸ブチルおよびステアリン酸ブチルを含んで成りそして前記少なくとも1種のグリコールエーテル溶媒が(i)ジ(オキシプロピレン)グリコール−t−ブチルエーテル、ジ(オキシプロピレン)グリコール−n−ブチルエーテルまたはそれらの混合物および場合により(ii)場合によりジ(オキシプロピレン)グリコール、ジ(オキシエチレン)グリコールまたはそれらの混合物を含んで成る請求項1記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1種の疎水性材料が式ROOC−C(R)(H)−(CH−COOR[式中、RはC12からC18アルキルもしくはアルキレン基であり、RおよびRは水素またはカチオンであり、そして「n」は1から6の整数である]で表されるジカルボン酸もしくは塩である請求項15記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種の溶媒が水和性セメント系組成物中の空気を追い出すに有効である請求項1記載の組成物。
【請求項22】
更に少なくとも1種の櫛形重合体である超可塑剤も含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種の櫛形重合体である超可塑剤がポリ(オキシアルキレン)基を含有して成りそして前記櫛形重合体である超可塑剤の水含有量が該組成物の総体積の0−30%である請求項22記載の組成物。
【請求項24】
更に水の含有量が該組成物の総体積の5%以下である請求項1記載の組成物。
【請求項25】
界面活性剤が入っていない請求項1記載の組成物。
【請求項26】
空気を連行する金属脂肪酸が入っていない請求項1記載の組成物。
【請求項27】
セメント系材料に変性を受けさせる方法であって、水和性セメント系結合剤を請求項1記載の組成物と一緒にすることを含んで成る方法。
【請求項28】
請求項1記載の組成物を含有するセメント系材料。

【公表番号】特表2008−515750(P2008−515750A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534745(P2007−534745)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/034931
【国際公開番号】WO2006/041698
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(399016927)ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカット (63)
【Fターム(参考)】