説明

定着ベルト

【課題】小熱容量の加熱体を利用して低エネルギー加熱を可能とした像加熱装置において、高耐久性の定着ベルト、および、高耐久性で信頼性の高い像加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明の定着ベルトは、少なくとも離型層とニッケル電鋳からなる金属層とを有する定着ベルトであって、該ニッケル電鋳を有する金属層の離型層側の硬度が離型層の反対側より低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真装置、静電記録装置等の画像形成装置に用いられる定着ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、電子写真プロセス、静電記録プロセス及び磁気記録プロセス等の画像形成プロセス手段部により、記録材(転写材シート、エレクトロファックスシート、静電記録紙、OHPシート、印刷用紙、フォーマット紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた目的の画像情報の未定着画像(トナー画像)を記録材面に永久固着画像として加熱定着させる定着装置としては、熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。これはローラ内にハロゲンヒータ等の熱源を用いるものが一般的である。
【0003】
一方、加熱方式としては、セラミックヒータを熱源として小熱容量の樹脂ベルトあるいは金属ベルトを加熱するものが広く提案、実施されている。図4にベルト加熱方式の像加熱装置の一構成例を示す。すなわち、この加熱方式では一般に、加熱体としてのセラミックヒータ12と加圧部材としての加圧ローラ30との間に耐熱性ベルト(定着ベルト10)を挟ませてニップ部を形成させ、前記ニップ部の定着ベルトと加圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像tを形成担持させた記録材Pを導入してベルトと一緒に挟持搬送させることで、ニップ部においてセラミックヒータ12の熱を、ベルト10を介して記録材Pに与え、この熱とニップ部の加圧力とで未定着トナー画像を記録材面に熱圧定着させる。
【0004】
このベルト加熱方式の定着装置は、ベルトとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができる。すなわち、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすれば良く、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
【0005】
このようなベルト加熱方式におけるベルトとしては耐熱樹脂等が用いられ、特に耐熱性、強度に優れたポリイミド樹脂が用いられている。しかしながら、さらに機械を高速化、高耐久化した場合、樹脂フィルムでは強度が不十分である。このことから、強度に優れた金属、例えばSUS、ニッケル、銅、アルミニウム等を基層とするベルトを用いることが提案されている。
【0006】
また、特許文献1には、金属ベルトを利用して、これを電磁誘導による渦電流で自己発熱させる誘導加熱方式も開示されている。すなわち、磁束によりベルト自身あるいはベルトに近接させた導電性部材に渦電流を発生させ、ジュール熱によって発熱させる加熱装置が提案されている。この電磁誘導加熱方式は、発熱域をより被加熱体に近くすることができるため、消費エネルギーの効率アップが達成できる。図5に電磁誘導加熱方式の像加熱装置の一構成例を示す。また、図6は、図5の像加熱装置の磁場発生手段の模型図を示す。図6の磁場発生手段は、磁性コア17a、励磁回路27に接続した給電部18a及び18b並びに励磁コイル18からなる。励磁コイル18は励磁回路27から給電部18a及び18bを通して供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。
【0007】
ベルト加熱方式の定着装置における定着ベルトの駆動方法としては、ベルト内周面を案内するフィルムガイドと加圧ローラとで圧接されたフィルムを加圧ローラの回転駆動によって従動回転させる方法(加圧ローラ駆動方式)や、逆に駆動ローラとテンションローラによって張架された無端ベルトの駆動によって加圧ローラを従動回転させる方法等がある。
【0008】
金属ベルトを用いた定着ベルトとして、特許文献2にはヒータ面接触部の表面粗さが0.5μm未満で、40μm前後の厚みのニッケル製定着ベルトを用いたものが、特許文献3には外周面に離型性を有するコーティング層を有し、更に樹脂層を有する10〜35μmの厚みのニッケル製定着ベルトが例示されている。
【0009】
このように、電子写真用像及び静電記録装置等の画像形成装置に用いられる定着ベルト部材には一般にシームレスのベルト基材が使用されており、ニッケル材からなるシームレスベルト基材は、一般にスルファミン酸ニッケルやワット浴等による電気鋳造法を用いて製造される。
【0010】
この電気鋳造法では、所要形状の母型が使用され、その母型の外周上にニッケルの電気鋳造成膜が行われた後、母型からこのニッケル膜を引き抜くことによってシームレスベルト基材が製造される。しかしながら、ベルト加熱方式、とくに金属ベルトを用いたベルトの加熱方式の場合には、一般的にベルト自体の回転に伴ってニップ部およびその出入口においてベルトが屈曲を繰り返す為に機械的疲労が起こりやすい。さらに、最近のニッケル製定着ベルトの小口径化や加圧量の増加による、ニップ部での定着ベルトの変形量の増大によりベルトに加わる外部応力が急増し、ベルトに更なる耐久性が求められるようになってきている。
特許文献4には、内部圧縮応力がベルト内周側から外周側へ次第に増加するような内部応力勾配を有するエンドレス金属ベルトが例示されている。
【特許文献1】特開平7−114276号公報
【特許文献2】特開平7−13448号公報
【特許文献3】特開平6−222695号公報
【特許文献4】特開平5−230684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献4に記載されているような内部圧縮応力が、金属層の膜厚方向でベルト内周側から外周側へ次第に増加するような内部圧縮応力の勾配を有するエンドレス金属ベルトが例示されている。このベルトの内部応力は、引張応力側から圧縮応力側まで大きく変化していること、また、提案中の光沢剤について1次光沢剤(応力減少剤)についてしか書かれていないことより、結晶配向は(111)面優先成長の電鋳ニッケルであると推測できる。この様な電鋳ニッケルの場合、常温での使用には問題無いが、本発明のような定着ベルトに使用した場合、高温で繰り返し屈曲を受けるため、一般的にイオウ成分がニッケル粒界まわりに薄い脆性膜を形成して、脆性破壊が発生しやすく、定着ベルトとして応用が難しい。また、1、2次光沢剤が混在した高温耐久性に優れた(200)面優先成長の電鋳浴を用いた場合、いくら操作パラメーターを制御しても、前記提案のような大きな圧縮応力を得ることは困難な場合がある。
【0012】
本発明は、これら従来技術の問題点を解決する為になされたものであり、ニッケル材からなるシームレスべルトの耐久性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明における定着ベルトは以下に示す構成を有する。
(1)少なくとも、離型層と、ニッケルを有する金属層とを有する略円筒形の定着ベルトであって、
該金属層の離型層側の硬度が離型層の反対側より低いことを特徴とする定着ベルト。
(2)前記金属層の離型層側の硬度を離型層と反対側より低くするため、前記金属層の離型層側の結晶配向比I(200)/I(100)を前記金属層の離型層と反対側の結晶配
向比I(200)/I(100)にくらべて大きくしたことを特徴とする請求項1に記載
の定着ベルト。
(3)前記離型層と金属層との間に少なくとも弾性層を有する請求項1又は2に記載の定着ベルト。
(4)前記弾性層がシリコーンゴム、フッ素ゴム及びフルオロシリコーンゴムからなる群から選択された少なくとも一種を含む請求項3に記載の定着ベルト。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように本発明により、少なくとも、離型層と、ニッケルを有する金属層とを有する略円筒形の定着ベルトであって、該金属層の離型層側の硬度が離型層の反対側より低く構成することにより、良好な耐久性、定着性を持つ高品質な定着ベルトを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
最近の装置の小型化および高速化に伴い、ベルトの小径化、ニップ部での加圧量の増加によるニップ変化量は増大し、ベルトに対する外部応力は急増して、更なる耐久性が求められるようになっている。本発明の定着ベルトは、ニッケル電鋳からなる金属層が膜厚方向で、金属層を構成する結晶の構造および粒径ならびに結晶面の配向性からなる群から選択された少なくとも一種を変化させたことを特徴とする。このような変化は連続的に行なわせても、断続的に行なわせても良い。
【0016】
例えば、金属層の(200)面を、肉厚方向の離型層側に向かって優先的に成長させたり、金属層を構成する結晶粒径が大きくなるようにすることによって、定着ベルト使用時のニップ部変形に伴うベルトへの外部応力を緩和させる方向にベルトの初期内部応力を設定することができ、定着ベルトとしての耐久性を向上させることが可能となる。
【0017】
図5(a)に像定着装置の要部横断模型図を示す。また、そのニップ部の拡大・模式図の一例を図5(b)に示す。この場合、定着ベルトは加圧ローラよりも変形しやすいため、ニップ部では定着ベルトは図5(b)のように変形している。図5(b)から、定着ベルトはベルト自体の回転に伴ってニップ部およびその出入口においてベルトが屈曲を繰り返し、屈曲によりベルトの外周面側では引張応力が、内周面側では圧縮応力が加わっている。また、ベルト内の任意の点における内部応力は式(1)で表される。
【0018】
【数1】

【0019】
(S:任意の点における応力、Y:ベルト材料のヤング率、r:屈曲部の任意の点における半径、W:作用応力の中立面から引張応力が最大であるベルト外表面上の点までの膜厚方向距離(すなわち、ベルトの厚みの1/2))
この式から、ニップ部の変化量が増大することで、結果としてr:屈曲部の半径が小さくなり、ベルトに加わる外部応力が大きくなっていることがわかる。
ここで、あらかじめベルトの初期内部応力を屈曲により定着ベルトにかかる応力を打ち消す方向、つまり肉厚方向の離型層側に向かって引張応力が減少するような内部応力分布としておくことで、使用時のベルト全体に加わる見かけ上の応力は低減され、ベルトは破損しづらくなる。
【0020】
ここで、ニッケル電鋳とは電鋳プロセスにより形成したニッケル及びニッケル合金のことをいう。本発明では、電鋳時に所定の条件に設定することによって、(200)面優先成長を行なわせるとともに、肉厚方向の離型層側に向かって引張応力が減少するような内部応力分布を有する電鋳を得ることができる。本発明の(200)面優先成長とは母型の外周面と平行な面上に(200)面が優先的に結晶成長することである。ここで、(200)面がどの程度、優先成長をしているかを表す指標として結晶配向比I(200)/I(111)を使用する。結晶配向比I(200)/I(111)とは、(200)と(111)結晶面のX線回折強度比率I(200)/I(111)で定義される。なお、(200)面のd値は1.7619Åであり(111)面のd値は2.0345Åである。
【0021】
従来、一般的な電鋳ニッケルでは結晶構造は(111)面優先成長であった。これによって表面の光沢性・硬度等が確保され、かかる電鋳ニッケルは装飾用あるいは摺動面として利用されてきた。それに対し、本発明では、結晶構造(200)面優先成長の電鋳ニッケルを用いており、これにより定着ベルトの耐久性、特にその高温耐久性が良好となる。
【0022】
(200)面優先成長の電鋳ニッケルが高温耐久性が良好であり、(111)面優先成長の電鋳ニッケルが高温耐久性が劣る理由は、(111)面優先成長の電鋳ニッケルは、電解浴中の光沢剤に起因するイオウや有機物等が、ニッケルの結晶成長とともに共析するためであり、しかも、この場合、電鋳ニッケルの結晶構造は微結晶になりやすく、ベルトの柔軟性に関しても問題を生じる傾向にあるためである。以下、本発明の詳細を説明する。
【0023】
(1)定着ベルト
本発明の定着ベルトについて説明する。図3は本発明における定着ベルトの一部の層構成模型図の一例である。本発明の定着ベルト10は、基層となる本発明のニッケル電鋳無端ベルトからなる金属層1と、その外周面に積層した弾性層2と、さらに弾性層2の外周面に積層した離型層3と、金属層1の内周面に積層した摺動層4との複合構造を有する。すなわち、定着ベルト10において、摺動層4が内周面側(ベルトガイド面側)であり、離型層3が外周面側(加圧ローラ面側)に配置されている。金属層1と弾性層2との間、弾性層2と離型層3との間、あるいは金属層1と摺動層4との間には、これらの層の接着のためにプライマー層(不図示)を設けても良い。プライマー層はシリコーン系、エポキシ系、ポリアミドイミド系等の公知のものを使用すれば良く、その厚さは通常、1〜10μm程度である。また、金属層1の外周面に弾性層2を形成せず、直接、離型層3を形成しても良い。特に、記録材上のトナーのり量が少なく、トナー層の凹凸が比較的小さいモノクロ画像の加熱定着用の場合は、定着ベルトを、弾性層を省略した形態のものとすることができる。
【0024】
この定着ベルトを電磁誘導加熱方式に用いた場合、ニッケル電鋳無端ベルトからなる金属層1が電磁誘導発熱性を示す発熱層として機能する。図5に電磁誘導加熱方式の定着ベルトを用いた像加熱装置の一構成例を示す。磁性コア17a、17b及び17cは高透磁率の部材であり、励磁コイル18は励磁回路(不図示)から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。金属層1にこの交番磁束が作用することで金属層1に渦電流が発生し、金属層1が発熱する。その熱が弾性層2及び離型層3を介して定着ベルト10を加熱し、定着ニップ部Nに通紙される記録材Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。また、本発明の定着ベルト10は、図4のようにセラミックヒータを用いたベルト加熱方式に用いても良い。
【0025】
定着ベルト10の厚さは、高耐久性を有することができるように20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。また、加熱加圧下で長時間、使用しても適度に変形できるように100μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましい。
【0026】
a.金属層1
金属層1はステンレス材等の円筒状金型を電鋳浴に浸漬させ、金型の表面或は裏面に電鋳プロセスにより成長させたニッケル(合金)からなる。ニッケル合金としてはニッケル−鉄、ニッケル−コバルト、ニッケル−マンガン、ニッケル−モリブデン、ニッケル−タングステン等のニッケル合金が好ましい。本発明のニッケル電鋳ベルトは、例えば、ステンレス鋼製などの母型を陰極として、電鋳プロセスにより製造される。この場合の電解浴としては、例えばスルファミン酸系などの公知のニッケル電解浴を用いることができ、pH調整剤、ピット防止剤、光沢剤などの添加剤を適宜加えても良い。例えば、電解浴としては、スルファミン酸ニッケルが300〜450g/l、塩化ニッケルが0〜30g/l、およびホウ酸が30〜45g/lを含むニッケル電解液が挙げられる。そして、添加する光沢剤濃度、電解浴温度、陰極電流密度などを経時的に変化させることによって、金属層の膜厚方向で、結晶の構造、粒径および結晶面の配向性を変化させることができる。好ましくは、金属層の膜厚方向の離型層側に向かって、(200)面の優先成長を行なわせるのが良い。また、金属層の膜厚方向の離型層側に向かって結晶粒径を大きくするのが良い。
【0027】
好ましくは、金属層の内部引張応力が、膜厚方向の離型層側に向かって減少する分布を有することが好ましい。電鋳プロセスに用いる電解浴の組成によっても異なるが、通常、電解浴温度は45〜60℃程度、陰極電流密度は1〜20A/dm2程度で行なうことが好ましい。光沢剤は一次光沢剤と二次光沢剤を用いることが好ましく、サッカリン、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム等を含む応力減少剤及び一次光沢剤、2−ブチン−1,4−ジオール、クマリン、ジエチルトリアミン等を含む二次光沢剤と呼ばれる添加剤等を用いることが好ましい。
【0028】
電鋳ニッケルの結晶構造、内部応力そして結晶配向性の制御は、電鋳液の液温、電鋳液の攪拌方法およびその強度(流量)、電流密度、電流の印加方式(直流・パルス状)、電鋳液中の金属イオン濃度、光沢剤の種類、電鋳液中の光沢剤濃度、pH、電鋳液中の塩化物濃度及び緩衝剤濃度などを電鋳時に経時的に変化させることにより制御可能である。特に、光沢剤の種類を選ぶことにより、所望の基本的な結晶構造が得られ、電鋳時の光沢剤の濃度、攪拌方法およびその強度、電流密度、液温を経時的に変化させることにより金属層の膜厚方向において内部応力・結晶配向性などを変化させることが可能となる。
【0029】
一般的に電鋳ニッケルは、電解液中にサッカリン、ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ナフタレンスルフォン酸ナトリウム等を含む1次光沢剤(応力減少剤)、2−ブチン−1,4−ジオール、クマリン、ホルマリン等を含む2次光沢剤を添加することによって、所望の電鋳ニッケルを得ることが出来る。1次、2次光沢剤単独での効果は、これらの光沢剤の間に相乗作用があるので明確に出来ないが、主に2次光沢剤により結晶の配向性、1次、2次光沢剤相互の含有量及び含有割合により金属層中の内部応力分布、硬度を変化させることができる。
【0030】
例えば、金型の外周面上に金属層の電鋳を行なう場合、電鋳浴の液温を徐々に低くすることによって、電鋳浴の成分の移動度が減少し、拡散層の厚さが増大するため、陰極に達する成分が減少する。電鋳浴の温度を5℃減少させるだけで、電鋳ニッケル膜中に取り込まれる光沢剤の量が大幅に減少し、結果として膜厚方向の離型層側に向かって結晶粒径が大きくなり、硬度が小さくなる。また、これによって、結晶配向比I(200)/I(111)は大きくなると共に、金属層は膜厚方向の離型層側に向かって引張応力が減少するような内部応力分布を有する。液温は電鋳開始時から終了時までに60〜40℃減少させるのが好ましく、55〜45℃減少させるのがより好ましい。同様に電鋳開始時から電鋳浴の攪拌強度を徐々に弱めることにより、拡散層の厚さが増大し、電鋳ニッケル膜中に取り込まれる光沢剤の量が減少し、液温を低くしたのと同様の効果を得ることが出来る。攪拌強度は電鋳開始時から終了時までに50〜5l/min弱めるのが好ましく、40〜10l/min弱めるのがより好ましい。
【0031】
また、電流密度を調整することによっても結晶構造や内部応力を変化させることができる。単位時間内に析出する電鋳ニッケルの量は、陰極効率と電流密度に正比例する。一定の攪拌強度および温度において、母型の外周面上に金属層の電鋳を行なう場合、陰極の電流密度を2倍にすればニッケル電鋳の膜厚は2倍になる。しかし、光沢剤の移動度は電流密度では増加しないので膜の単位体積中に取り込まれる光沢剤の量は減少する。
【0032】
このため、結晶粒径は金属層の膜厚方向の離型層側に向かって大きくなり、硬度は低下するとともに、結晶配向比I(200)/I(111)は大きくなり、引張応力が減少するように内部応力分布が形成される。
【0033】
例えば、サッカリン(1次光沢剤)と2−ブチン−1,4−ジオール(2次光沢剤)を光沢剤として使用し、噴流を掛けながら、電流密度を変化させた場合の金属層の内部応力、結晶配向比I(200)/I(111)の変化の一例を図2に示す。図2の縦軸は引張応力を表す。電流密度の増加と共に引張応力は減少し、結晶配向比I(200)/I(111)は増加していることが分かる。電流密度は電鋳開始時から終了時までに1分間当たり0.01〜2.0A/dm2の量を増加させるのが好ましく、1分間当たり0.1〜1.0A/dm2の量を増加させるのがより好ましい。
【0034】
なお、金属層中の内部応力は、3インチSiウエハにCr、Cuの順に蒸着により導電層を形成した後、50μmのニッケル電鋳層を析出させ、電鋳前後のウエハのそり量(曲率半径)をニュートン・リング法で測定し、Stoneyの式(2)より計測した。
【0035】
【数2】

【0036】
(σ:内部応力、Es:基板(ウエハ)のヤング率、D:基板の板厚、ν:基板のポアソン比、d:電鋳ニッケルの膜厚、R:曲率半径)
なお、電鋳時の電流密度を変化させて試験を行ない、あらかじめ結晶配向比I(200)/I(111)と内部応力との関係を調査した(図2)。
【0037】
また、結晶配向に関しては、理学電気(株)製X線回折装置(RAD−3R型)により、各配向面回折強度を測定し、それから結晶強度比I(200)/I(111)を求めた。また、結晶粒径は電鋳断面を樹脂埋め込み、研磨した後、SEMで観察することにより測定した。
以上のように電鋳時の様々な条件を制御し、ニッケル電鋳膜内にとり込まれる光沢剤含有割合を制御することで、所望の結晶粒径、内部応力及び結晶配向性を制御した定着ベルトを得ることが可能である。
【0038】
従って、液温、攪拌方法およびその強度(流量)、電流密度などの操作パラメータを制御して、所望の結晶が膜厚方向で変化した電鋳ニッケルベルトを作成することが出来る。なお、液温、攪拌方法およびその強度(流量)、電流密度などの操作パラメータを電鋳開始時から連続的に変化させることによって金属層の結晶粒径、内部応力及び結晶配向性を連続的に変化させることが可能となる。また、これらの操作パラメータを段階的に変化させることによって金属層の結晶構造を段階的に変化させることが可能となる。
【0039】
電鋳ベルトの膜厚方向で離型層と反対側の面から中間点までは、引張応力が減少するような内部応力分布を有し、中間点より離型層側の面までは、引張応力がほぼ0の内部応力を有するような電鋳ベルトを製作しても同様な効果が得られる。また、電鋳ベルトの一部の離型層側の内部応力が圧縮応力となっているような内部応力の分布を有するような電鋳ベルトを製作しても同様な効果が得られる。金属層1の厚みは、次の式(3)で表される表皮深さより厚くすることが好ましく、1μm以上にすることが好ましく、20μm以上にすることがより好ましい。また、200μm以下にすることが好ましく、100μm以下にすることがより好ましく、50μm以下にすることが更に好ましい。
【0040】
表皮深さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μと固有抵抗ρ[Ωm]で
【0041】
【数3】

【0042】
と表される。
【0043】
これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、ほとんどの電磁波波のエネルギーはこの深さまでで吸収されている。金属層1があまりに薄いと、(3)式よりほとんどの電磁エネルギーが吸収されなくなり、電磁誘導加熱の効率が悪くなる場合がある。また、金属層1があまりに厚いと、剛性が高くなり、また、屈曲性が悪くなって回転体として使用しにくくなることがある。膜厚を上記範囲内とすることによって、セラミックヒータを用いたベルト加熱方式に用いる場合でも熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させることができる。
【0044】
b.弾性層2
弾性層2は設けても、設けなくても良い。弾性層を設けることにより、ニップ部において被加熱像を覆って熱の伝達を確実にするとともに、ニッケル電鋳ベルトの復元力を補って回転及び屈曲による疲労を緩和することができる。
また、弾性層を付与することにより、定着ベルト離型層表面を未定着トナー像表面形状に沿って効果的に変形し、熱を効率よく伝達させることが可能になる。弾性層2を設けた定着ベルトは特に、未定着トナーののり量が多いカラー画像の加熱定着に適している。
【0045】
弾性層2の材質としては特に限定されず、耐熱性が良く、熱伝導率が良いものを選べば良い。弾性層2としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びフルオロシリコーンゴムからなる群から選択された少なくとも一種を含むことが好ましく、特にシリコーンゴムが好ましい。
弾性層に使用されるシリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体等を例示することができる。
【0046】
なお、必要に応じて、弾性層には乾式シリカ、湿式シリカ等補強性充填材、炭酸カルシウム、石英紛、珪酸ジルコニウム、クレー(珪酸アルミニウム)、タルク(含水珪酸マグネシウム)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ベンガラ(酸化鉄)等を弾性層に含有させても良い。
【0047】
弾性層2の厚さは良好な定着画像品質が得られるので、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。また、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、加熱面(離型層3)が記録材の凹凸形状又はトナー層の凹凸形状に変形できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分とで画像に光沢ムラが発生する。つまり、伝熱量が多い部分は光沢度が高くなり、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2があまりに薄いと、記録材Pあるいはトナー層の凹凸形状に変形することができず、画像光沢ムラが発生してしまうことがある。また、弾性層2があまりに厚いと、弾性層の熱抵抗が大きくなりクイックスタートを実現するのが難しくなることがある。
【0048】
弾性層2の硬度(JIS K 6253)は、画像光沢ムラの発生が十分抑制され、良好な定着画像品質が得られるので、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。
【0049】
弾性層2の熱伝導率λは2.5×10-1[W/m・K]以上が好ましく、3.3×10-1[W/m・K]以上がより好ましい。また、8.4×10-1[W/m・K]以下が好ましく、6.3×10-1[W/m・K]以下がより好ましい。熱伝導率λがあまりに小さい場合には、熱抵抗が大きくなり定着フィルムの表層(離型層3)における温度上昇が遅くなることがある。熱伝導率λがあまりに大きい場合には、硬度が高くなったり、圧縮永久歪みが悪化したりすることがある。
【0050】
このような弾性層は公知の方法、例えば、液状のシリコーンゴム等の材料をブレードコート法等の手段によって金属層上に均一な厚みでコート、加熱硬化する方法、液状のシリコーンゴム等の材料を成形型に注入し加硫硬化する方法、押出成形後に加硫硬化する方法、射出成形後に加硫硬化する方法等で形成すれば良い。
【0051】
c.離型層3
本発明の定着ベルトは離型層を有することによって、記録材からの定着ベルトの良好な離型性を確保することができる。離型層3の材料としては特に限定されず、離型性、耐熱性の良いものを選べば良い。離型層3としては、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムが好ましく、PFAがより好ましい。なお、必要に応じて、離型層にはカーボン、酸化すず等導電剤等を離型層の10質量%以下含有させても良い。
【0052】
離型層3の厚さは1μm以上100μm以下が好ましい。離型層3があまりに薄いと、塗膜の塗りムラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足したりすることがある。また、離型層があまりに厚いと、熱伝導が悪化することがあり、特に樹脂系の離型層の場合は硬度が高くなって弾性層2の効果がなくなってしまうことがある。
【0053】
このような離型層は公知の方法、例えば、フッ素樹脂系の場合、フッ素樹脂粉末を分散塗料化したものをコート、乾燥及び焼成により、あるいは予めチューブ化したものを被覆及び接着する方法で形成すれば良く、ゴム系の場合、液状の材料を成形型に注入し加硫硬化する方法、押出成形後に加硫硬化する方法、射出成形後に加硫硬化する方法等で形成すれば良い。
【0054】
また、予め内周面をプライマー処理されたチューブ、予め外周面をプライマー処理されたニッケル電鋳ベルトを円筒金型内に装着し、チューブとニッケル電鋳ベルト間隙間に液状シリコーンゴムを注入、加熱することでゴムの硬化及び接着を行う手法を用いれば、弾性層、離型層を同時に形成することも可能である。
【0055】
d.摺動層4
摺動層4は本発明の必須成分ではないが、本発明の像加熱定着装置を作動させる際の駆動トルクの低減を図るうえで設けることが好ましい。摺動層4を設けることによって、定着ベルトの熱容量を大きくすることなく、発熱層1に発生した熱が定着ベルトの内側に向かわないように断熱できるので、摺動層4が無い場合と比較して記録材P側への熱供給効率が良くなり、消費電力を抑えることもできる。また、立ち上がり時間の短縮化を図ることも出来る。摺動層4の材質は、特に限定されず、高耐熱性で強度が高く、表面が滑らかに出来るものを選べば良い。摺動層4としては、ポリイミド樹脂等が好ましい。なお、必要に応じて、摺動層には摺動剤としてフッ素樹脂粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等を摺動層に含有させても良い。
【0056】
摺動層4の厚さとしては5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。摺動層4があまりに薄いと耐久性が不足することがある。摺動層4があまりに厚いと定着ベルトの熱容量が大きくなり、立ち上がり時間が長くなることがある。この様な摺動層は、公知の方法、例えば、液状の材料をコート、乾燥及び硬化等の方法、あるいは予めチューブ化したものを貼り付ける方法等で形成すれば良い。
【実施例】
【0057】
[実施例1]
金属層1として長さ250mm、内径34mm、厚み50μmのニッケル電鋳ベルトを下記のように作製した。ニッケル電鋳ベルト基材を作製するためにスルファミン酸ニッケル四水塩450g/l、塩化ニッケル10g/l、硼酸40g/lなる水溶液浴を作り、次に適量のピット防止剤(ピットレスS(商品名)、日本化学産業社製)を加えた後、第一光沢剤としてサッカリン、第二光沢剤として2−ブチン−1,4−ジオールを適時の組み合わせで添加した浴を作製した。そして、ステンレス鋼製の母型を陰極として、母型の外周面上へ浴温50℃、初期電流密度7A/dm2で電鋳を開始し、1分間当たり0.23A/dm2の割合で30分間、連続的に電流密度を上昇させ、最終的に14A/dm2まで変化させた。
【0058】
この条件で母型の外周面上にニッケルを電析させベルトを作製した。この電鋳ベルトを分析した結果、円筒の内周面側から外周面側に向けて連続的に結晶配向比I(200)/I(111)が5→80へ変化していた。また、ベルトの硬度が円筒の内周面側から外周面側に向けてビッカース硬度(荷重:100g)で450→300へ変化した。この結果より、内部応力は、図2から換算して円筒の内周面側から外周面側に向けて1.5×108Paから4.2×106Paまで変化したベルトが得られた(図1)。なお、図1中の内部応力は引張応力を表す。そして、上記で得た電鋳ベルトの外周面上に、弾性層2として300μmシリコーンゴム(GE東芝シリコーン社製)、弾性層2の上に離型層3として30μmPFAチューブ(グンゼ社製)を、各々プライマー(東レダウコーニング社製)を介して積層し、電鋳ベルトの内周面側に更に摺動層4としてポリイミド樹脂層(宇部興産社製)を厚みが15μmとなるように定着ベルトを作製した。
【0059】
このようにして作製した定着ベルトについて、図5のような像加熱定着装置に装着し、空回転耐久テストを行った。空回転耐久テストは、220℃に温度調節しながら、所定の加圧力で加圧ローラを定着ベルトに押し付け、定着ベルトを加圧ローラに従動回転させた。加圧ローラは、肉厚3mmシリコーン層に30μmのPFAチューブ(グンゼ社製)を被覆した外径30mmのゴムローラを用いた。
【0060】
本実験例では、加圧力は220N(通常テストの1割増し)、定着ニップは8mm×230mmであり、定着ベルトの表面速度は100mm/secとなる条件に定めた。この結果、本発明の定着ベルトは、耐久時間200、500、1000時間後も変形もなく良好なことがわかった。また、上記定着装置をキヤノン社製フルカラーLBP LASER SHOT『LBP−2040』に搭載し、画出して耐久テストを行った。10万枚画出し耐久テストを行ったが定着性に問題はなく良好であった。
【0061】
[実施例2]
電流密度を変化させる割合を異なるものとした以外は実施例1と同様にして、金属層1として長さ250mm、内径34mm、厚み50μmのニッケル電鋳ベルトを作製した。今回は、電流密度を初期値7A/dm2で電鋳を開始し、1分間当たり0.46A/dm2の割合で12分間、連続的に電流密度を上昇させ、最終的に14A/dm2まで変化させることで、電鋳時の総電気量の半分の電気量を流した。そして、電鋳時の残り半分の電気量で14A/dm2で10分間、電鋳し、ニッケル電鋳ベルトを作成した(図1)。その後、実施例1と同様にして、300μmシリコーンゴムの弾性層2、30μmPFAチューブの離型層3を各々、プライマーを介して積層し、定着ベルトを得た。このようにして得た定着ベルトに対して実施例1と同様にして耐久試験を行った。表1に結果を示す。
【0062】
実施例1のベルトと同様に耐久時間200、500、1000時間後の変形も無く良好なことがわかった。また、上記定着装置をキヤノン社製フルカラーLBP LASER SHOT『LBP−2040』に搭載し、画出して耐久テストを行った。10万枚画出し耐久テストを行ったが定着性に問題はなく良好であった。
【0063】
[比較例1]
電流密度を変化させる割合を異なるものとした以外は実施例1と同様な条件で、金属層1として内径34mm、厚み50μmのニッケル電鋳ベルトを作製した。今回は実施例1と反対に、初期電流密度14A/dm2からスタートして、1分間当たり0.23A/dm2の割合で30分間、連続的に電流密度を減少させ最終的に7A/dm2まで変化させた。この電鋳ベルトを分析した結果、円筒の内周側から外周側に向けて連続的に結晶配向比I(200)/I(111)が80→5へ変化していた。また、ベルトの硬度がビッカース硬度(荷重:100g)で300→450へ変化した。この結果より、内部応力は、図2から換算して4.2×106Paから1.5×108Paまで変化したベルトが得られた(図1)。その後、実施例1と同様にして弾性層2として300μmシリコーンゴム、離型層3として30μmPFAチューブを、各々プライマーを介して積層した。このベルトを実施例1と同様な条件で空耐久試験を行った。
【0064】
その結果を表1に示す。実施例1、2と異なり、膜厚方向の内周面側から外周面側に向かって引張応力が増加する内部応力分布を有する比較例の定着ベルトは、空回転耐久200時間において、ベルトに割れが見られた。
【0065】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の定着ベルトの電鋳ニッケル層内部応力変化の例である。
【図2】本発明の電鋳ニッケルの電流密度による内部応力及び配向比の変化の例である。
【図3】本発明の定着ベルトの層構成摸型図の一例である。
【図4】像加熱装置の概略構成図の一例である。
【図5】図5(a)は像加熱装置の概略構成図の一例である。図5(b)はニップ部に加わる外部応力を表す概念図である。
【図6】図5の像加熱装置の磁場発生手段の模型図である。
【符号の説明】
【0067】
1 金属層
2 弾性層
3 離型層
4 摺動層
10 定着ベルト
12 セラミックヒータ
12b 発熱層
12c ガラスやフッ素樹脂等の保護層
16 ベルトガイド
16a、16b、16e ベルトガイド部材
16c ベルトガイド
17a、17b、17c 磁性コア
18 励磁コイル
18a、18b 給電部
19 絶縁部材
22 加圧用剛性ステイ
26 温度検知素子(サーミスタ)
27 励磁回路
30 加圧部材(加圧ローラ)
30a、30b シリコーンゴム等の弾性層
40 摺動板
M 駆動手段
N 定着ニップ部
t トナー画像
P 記録材
100 像加熱定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、離型層と、ニッケルを有する金属層とを有する略円筒形の定着ベルトであって、
該金属層の離型層側の硬度が離型層の反対側より低いことを特徴とする定着ベルト。
【請求項2】
前記金属層の離型層側の硬度を離型層と反対側より低くするため、前記金属層の離型層側の結晶配向比I(200)/I(100)を前記金属層の離型層と反対側の結晶配向比
I(200)/I(100)にくらべて大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の定
着ベルト。
【請求項3】
前記離型層と金属層との間に少なくとも弾性層を有する請求項1又は2に記載の定着ベルト。
【請求項4】
前記弾性層がシリコーンゴム、フッ素ゴム及びフルオロシリコーンゴムからなる群から選択された少なくとも一種を含む請求項3に記載の定着ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−47817(P2007−47817A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281283(P2006−281283)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【分割の表示】特願2003−98508(P2003−98508)の分割
【原出願日】平成15年4月1日(2003.4.1)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】