説明

定着用回転体

【課題】、表面上硬度のバラツキが無く、カラー画像不良を発生させない、カラー画像定着用の定着用回転体を提供すること。
【解決手段】基体と、該基体表面上に燃焼炎中でケイ素化合物を反応させるケイ酸化炎処理により形成された酸化ケイ素層と、該酸化ケイ素層上に形成されたJIS A硬度が0〜15度で0.1〜1.5mmの肉厚のシリコーンゴムからなる弾性層と、該弾性層上に形成された厚さ5〜50μmのフッ素樹脂からなる離型層とを有する定着用回転体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に用いられる画像定着用の回転体に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置の定着部では、定着ローラなどの定着用回転体として定着部材と加圧部材とを圧接して得られたニップ部に、未定着トナーの付着した用紙を通過させることで未定着トナーを溶融圧着して定着している。
近年、フルカラー画像などの定着のためにニップ部の幅を広くする必要があり、定着部材である定着用回転体は芯金外周面に弾性層を設け、この弾性層の外周面に離型層を設けた構成で使用されるようになった。(特許文献1)
しかし、最近になり、ウォーミングアップ時間の短縮の要求から、定着用回転体の弾性層を薄くし、かつニップ部は以前と同じ幅が得られるように、定着用回転体の弾性層を低硬度化する要求が強まり、この弾性層の材料として低硬度の付加反応型液状シリコーンゴムが用いられるようになった。
このような低硬度の付加反応型液状シリコーンゴムを用いてカラー画像を定着すると、カラー画像に定着用回転体の表面上硬度のバラツキを原因とする、部分的な光沢ムラや、部分的な定着ムラなどの画像不良が発生することがあった。そして、このような画像不良は、定着用回転体の弾性層の硬度20度が以下で、厚さが2mm以下の場合に多発した。
【0003】
このような、定着用回転体の表面上硬度のバラツキによる画像不良は、付加反応型液状シリコーンゴムを用いた定着用回転体の製造工程でプライマーがゴムに混入することが原因と考えられる。一般的な付加反応型液状シリコーンゴムを用いた定着用回転体の製造方法として、芯金と付加反応型液状シリコーンゴムとを接着するプライマーを塗布した芯金を筒状の金型に組み込み、該液状シリコーンゴムを注入し加熱硬化させて定着用回転体を製造している。この方法は、付加反応型液状シリコーンゴムを用いて定着用回転体を製造する際に、芯金に塗布されたプライマーの一部分が、注入された付加反応型液状シリコーンゴムに混入し、プライマーと付加反応型液状シリコーンゴムとが反応して硬化反応が進行するため、得られた定着用回転体の表面上硬度にバラツキが発生する。そのため、このような表面上硬度のバラツキのある定着用回転体を用いてカラー画像を定着すると、ニップ幅、圧力など部分的な違いが生じることで、カラー画像にバラツキ(光沢ムラなどの画像不良)が発生する。
そこで、表面上硬度のバラツキが無く、カラー画像不良を発生させない、定着用回転体が必要とされた。
【特許文献1】特開2002−337161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、表面上硬度のバラツキが無く、カラー画像不良を発生させない、カラー画像定着用の定着用回転体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基体と、該基体表面上に燃焼炎中でケイ素化合物を反応させるケイ酸化炎処理により形成された酸化ケイ素層と、該酸化ケイ素層上に形成されたJIS A硬度が0〜15度で0.1〜1.5mmの肉厚のシリコーンゴムからなる弾性層と、該弾性層上に形成された厚さ5〜50μmのフッ素樹脂からなる離型層とを有すること特徴とする定着用回転体に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像成形装置用の定着用回転体によれば、表面上硬度のバラツキが無いので、カラー画像不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における基体としては、画像形成装置用の定着用回転体の基体として用いられるものを用いることができる。すなわち、シャフトまたはパイプ状芯金基体、エンドレスベルト状基体、あるいは、スリーブ状基体(柔軟性を有する円筒状基体)などである。これら基体は、有機材料、無機材料(金属・合金を含む)、あるいはこれらの複合材料から形成される。基体は、表面と内部とが違った素材からなっていても良く、少なくとも表面が金属からなっていても良く、あるいは、少なくとも表面が合成樹脂から形成されていてもよい。
【0008】
このうち、ローラなどの回転体の基体、すなわちシャフトやパイプ状芯金としては、剛性を有する無機材料、特に金属、その中でも鉄(ステンレスなどの鉄合金を含む)、表面にニッケルメッキ、リン酸塩皮膜などの防錆処理を施した鉄(鉄合金を含む)、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)、ニッケル、銅(銅合金を含む)などが挙げられる。
【0009】
一方、エンドレス状に形成された、柔軟牲を有する定着用ベルトであるエンドレスベルト(スリーブ、フィルムとも表現されることがある)の基体として、例えば、ステンレスやニッケルなどの比較的薄い金属や、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの耐熱性合成樹脂を用いることができる。なお、これらの基体の内周面には必要に応じ、合成樹脂、セラミックなどの被覆層(または内周層など)が形成されていても良い。
【0010】
本発明において、上記のような基体の表面にケイ酸化炎による活性化処理(ケイ酸化炎処理)を行う。この活性化処理により、表面上硬度のバラツキが無く、カラー画像不良を発生させない、カラー画像定着用の回転体を得ることが可能となる。
【0011】
ここで、上記活性化処理により、基体表面に活性基が形成ないし付与される。ここで、形成ないし付与される活性基とは、カルボキシル基(−COOH)、シラノール基(Si−OH)、水酸基(−OH)基などが挙げられる。なお、本発明において、水酸基は、カルボキシル基(−COOH)やシラノール基(Si−OH)などにも含まれているとする、広義の水酸基を意味する。
【0012】
このような活性化処理としては、基体の表面に対するケイ酸化炎処理が挙げられる。具体的には、基体表面付近に形成した燃焼炎中でケイ素化合物を反応させる方法である。
【0013】
ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン類などの有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0014】
燃焼炎は、例えば、これら有機ケイ素化合物の蒸気や噴霧した液気混合物を燃焼させてもよいが、通常は、プロパンガス、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、LNG(液化天然ガス)などの可燃性のガスを燃焼させて形成し、また、同時に酸素ガスや空気を供給し、このように形成した炎中に、有機ケイ素化合物の蒸気を供給したり、あるいは噴霧するなどの方法で、ケイ酸化炎を形成する。
【0015】
活性化処理はこのようにして形成したケイ酸化炎により行う。ここで、活性化処理では基体表面の特定の箇所に対する必要処理積分時間は極めて短く、例えば1秒以下でも充分であり、また、炎の熱による基体の変形、劣化を防ぐために、通常、基体表面の特定の箇所に対して、炎を手早く移動させながら基体表面をあぶるようにして、基体の温度(基体表面の特定の箇所の温度)が高くなりすぎないようにして行う。
【0016】
このように、実際に炎に基体表面の特定の箇所が晒される時間としては1秒以下、0.1秒ないし0.5秒程度であり、観察者から見ると一瞬に見える。このため、基体が合成樹脂のような有機材料であっても炎の熱による影響は全く生じていないように観察される。
【0017】
このようなケイ酸化炎処理によって基体表面の少なくとも一部分に酸化ケイ素(二酸化ケイ素)が形成されるので(FT−IRによりSi−O−Si結合の1232cm-1および804cm-1の吸収ピークと、Si−OH結合の932cm−1の吸収ピークとの存在により確認でき、これらの吸収ピークの強度の比によってケイ酸化炎による処理の強さの目安とすることができる)、燃焼を伴う化学気相蒸着(CVD)として、本発明では燃焼化学気相蒸着法とも云う。ここで、さらに具体的なケイ酸化炎処理方法としては、特開2002−53982号公報の段落「0017」〜「0062」に記載の印刷性向上のための燃焼化学気相蒸着法技術を応用して行うことが挙げられる。
このようなケイ酸化炎処理は1回だけ行っても良いが、効果をより確実にするために複数回行っても良い。
【0018】
なお、上記ケイ酸化炎処理に先立ち、必要に応じて、基体表面を酸化炎で少なくとも1回、処理する、酸化炎処理を施すことが本発明の効果をより高めることができるので好ましい。ここで、酸化炎処理とは、燃料ガスなどから形成される燃焼炎のうちの酸化炎部分で基体表面を処理することで、このときも基体への熱の悪影響を防ぐため、上記ケイ酸化炎処理同様に炎を手早く移動させながら基体表面をあぶるようにして、基体の温度(基体表面の特定の箇所の温度)が高くなりすぎないようにして行う。
【0019】
このようにして基体表面にケイ酸火炎処理することにより、該基体表面上に形成される酸化ケイ素(二酸化ケイ素)層の厚みは、好ましくは5〜60nmである。5nm未満では、基体と弾性層との接着が充分でなく、一方、60nmを超えると、酸化ケイ素分子の層が厚くなりすぎ、この層間の剥離が発生するため、基体とシリコーンゴムからなる弾性層との接着性が低下する。
なお、酸化ケイ素層の膜厚は、ケイ酸火炎処理の時間、処理回数、燃焼炎中の有機ケイ素化合物濃度などにより、容易に調整することができる。
【0020】
ここで、本発明の弾性層に用いられるシリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴムなどが挙げられる。
【0021】
弾性層を形成する上記のようなシリコーンゴムの原料としては、例えば付加反応型液状シリコーンゴムが好ましい。ここで用いる付加反応型液状シリコーンゴムとしては、例えば(イ)ビニル基などの低級アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンと(ロ)ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンとの付加反応により硬化してゴム弾性になるものであり、通常、これらに(ハ)白金触媒が配合されたもので、さらにそのほかに無機充填剤、顔料、熱安定剤などの添加剤を配合したものであってもよい。
ここで、(ロ)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計量と(イ)成分中の低級アルケニル基の合計量とのモル比は、好ましくは0.1:1〜1:1、(ハ)成分の使用量は、好ましくは(イ)〜(ロ)成分の合計量100万重量部に対し、0.1〜1,000重量部である。
【0022】
以上の弾性層を形成するシリコーンゴムの硬度は、JIS A硬度で、0〜15度、好ましくは0〜10度である。15度を超えると、必要なニップ幅(ここで、ニップ幅とは、定着部材と加圧部材を接触加圧して得られる接触部分の幅をいう)を得ることが難しい。
なお、シリコーンゴムからなる弾性層のASKER C硬度としては、10〜35度である。
【0023】
また、弾性層を形成するシリコーンゴムの厚さは、0.1〜1.5mm、好ましくは0.3〜1.2mmである。0.1mm未満では、必要なニップ幅を得ることができず、一方、1.5mmを超えると、ウォーミングアップ時間がかかりすぎてしまう。
【0024】
本発明の定着用回転体には、上記の弾性層の表面に、トナーとの離型性を向上させるために、フッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
ここで、フッ素樹脂としては、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
【0025】
上記フッ素樹脂からなる離型層の厚さは、5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。5μm未満では、耐久性に問題があり、一方、50μmを超えると、必要なニップ幅が得られない。
【0026】
なお、弾性層上には、離型層として、通常、フッ素樹脂フィルムが採用される。
しかしながら、上記シリコーンゴムからなる弾性層は、シリコーンゴムを硬化したのち、必要に応じて、シリコーンゴム層を研磨して、外径ムラや回転ムラがないように、精度を向上させた後に、フッ素樹脂塗料やフッ素樹脂粉末によって、フッ素樹脂層を得る場合もあり、このような場合も、本発明のフッ素樹脂からなる離型層に包含するものである。
なお、本発明の定着用回転体は、シリコーンゴムからなる弾性層の硬度のバラツキが少ないので、離型層の表面から測定したASKER C硬度のバラツキは、2度以内となる。
【0027】
このように、本発明によれば、画像形成装置に用いられる定着用回転体、すなわち定着用ローラ、加圧ローラ、定着ベルトあるいは定着スリーブ、離型用のオイル塗布ローラなどは、従来のプライマーを用いて、付加反応型液状シリコーンゴムを注入する方法で得られた定着用回転体の表面上硬度のバラツキによって、カラー画像にバラツキが発生してしまったが、本発明によれば、プライマーを用いず、接着層として酸化ケイ素層を採用しているので、付加反応型液状シリコーンゴムを注入する方法で得られた定着用回転体の表面上硬度のばらつきが無いので、カラー画像不良を発生させない。
また、上記のように、プライマーを用いず、いわば基体と弾性層との間の接着層として、酸化ケイ素層を採用しているので、注型法により定着用回転体を作製する際、弾性層として形成されるシリコーンゴムの硬さが全体にわたって均一であり、硬度ムラがないので、画像品質のバラツキがない。
【0028】
図1に本発明の画像形成装置用における定着用回転体の一例(ローラに応用した例)についてモデル断面図を示した。図1に示す定着用回転体10では、基体(芯金)11の表面に、ケイ酸化炎によって活性化処理されてなる酸化ケイ素層12が形成されており、この酸化ケイ素層12の表面がシリコーンゴムからなる弾性層13で覆われており、さらにこの弾性層13の周囲には、フッ素樹脂からなるフィルム(離型層)14で被覆されている。
なお、図示しないが、シリコーンゴムからなる弾性層13とフィルム14との間には、プライマー層が介在している。
【0029】
図1に見られる定着用回転体10は、以下のような金型内に付加反応型液状シリコーンゴムを注入して成形を行う注型法により、容易に製造することができる。例えば、金属製の芯金11を回転させつつ、上記のようなケイ酸化炎処理を施して、該芯金11の表面に酸化ケイ素層12を形成させた後、または形成させ次いで、縦置きにされた円筒状の金型(図示せず)内の内壁周面に、内周面にあらかじめプライマーが塗布・乾燥されたフッ素樹脂からなるフィルム14を設置し、金型内の円周方向の同軸線上に、表面に酸化ケイ素層12が形成された芯金11を設置して型組みを行い、該金型下部より、上記のような付加反応型液状シリコーンゴムを注入したのち、電気炉で加熱して該液状シリコーンゴムを硬化させ、弾性層13を形成させればよい。
【実施例】
【0030】
以下に本発明の画像形成装置における定着用回転体の実施例について具体的に説明する。
【0031】
<実施例1、比較例1〜2>
水で前洗浄した後、乾燥させた直径28mm、長さ400mmの鉄製芯金を基体として用い、この基体表面に対して、プライマーなしのもの(比較例1)、プライマーありのもの〔東レ・ダウコーニング社製、DY39−042を用いたプライマー処理(プライマーを0.25g塗布し、塗布後、電気炉で150℃で30分加熱したのち、冷却)を行ったもの〕(比較例2)、ケイ酸化炎処理(テトラメトシキシランを酸素ガスと液化天然ガスとで形成される炎の中に導入しながら燃焼させた炎で表面を素早く走査する処理。処理条件の具体例は、炎内に芯金を導入し、1回転させた後に炎から取り出す)を行って活性化処理を行ったもの(実施例1)の、計3種の中間サンプルを得た。これら中間サンプルを用い、注型法で定着ローラを得た。すなわち、各中間サンプルを冷却後、この中間サンプルを、あらかじめ内周面に厚さ30μmのPFAチューブ(グンゼ社製、あらかじめ内周面にはプライマーが塗布、乾燥されているもの)を縦置きの金型内に設置して、型組みを行い、この金型下部より、付加反応型液状シリコーンゴム(信越化学工業社製、X−34−2181、JIS A硬度:5度品)を注入し、注入後、金型を電気炉で130℃、30分、加熱して、該液状シリコーンゴムを硬化させてシリコーンゴムとしたのち、金型から取り出して、再度、電気炉で200℃、4時間加熱し、外径30.4mmの定着ローラを得た。
なお、実施例1、比較例1〜2の定着ローラのシリコーンゴムの厚みは、1.2mmになるように、金型を選定した。
【0032】
これらの定着ローラの離型層上から測った表面上硬度をASKER C硬度で測定した。
なお、ASKER C硬度の測定は、高分子計器社製、ASKER C硬度計を用いて、荷重を9.8Nとして行った。結果を表1に示す。
表1から、比較例1のプライマーなしの定着ローラは、注型の下側(付加反応型液状シリコーンゴム注入側)、中央、上側ともに、硬度のバラツキはみられない。これは、プライマーがないため、付加反応型液状シリコーンゴムの硬化が均一なためである。比較例2は、プライマーありの定着ローラで、下側から中央部、上側に注入される付加反応型液状シリコーンゴムによって、プライマーが流され混入するために、下部よりも中央部や上部ではプライマーと付加反応型液状シリコーンゴムとが反応して硬化反応は進行しシリコーンゴムの硬度が増し、ASKER C硬度で5度のバラツキが見られた。一方、実施例1では、ケイ酸化炎処理された芯金を用いた例であり、形成された酸化ケイ素層は、注入される付加反応型液状シリコーンゴムによって流されることがないため、下側、中央、上側ともに、硬度のバラツキがASKER C硬度で2度以内と均一であり、このことから、定着ローラとして用いた場合に、画像不良(画像光沢のムラなど)が生起しないことが容易に推察される。
【0033】
【表1】

【0034】
また、これらの定着ローラついて、クロスカット試験による接着性の評価を行った。すなわち、これらシリコーンゴム層の表面9mm×9mmの領域にそれぞれ3mm角となるよう「田」字形にナイフで切れ目を入れて、9個の四角形を形成し、その後、手でこれら9個の四角形の剥離を試みたところ、比較例1では1つも残留せずに容易に剥がし取れた(評価:×)。一方、実施例1比較例2においては、これらの9個の四角形が剥がれたものは1つもなかった(評価:○)。
【0035】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の画像成形装置用の定着用回転体によれば、表面上硬度のバラツキが無いので、カラー画像不良を防止することができるので、カラー複写機、カラープリンタ、ファクシミリなどのカラー画像形成装置の定着用回転体として好適に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る画像形成装置用の定着用回転体の構成を示すモデル断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 定着用回転体
11 基体(芯金)
12 酸化ケイ素層
13 シリコーンゴムからなる弾性層
14 フッ素樹脂からなるフィルム(離型層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、該基体表面上に燃焼炎中でケイ素化合物を反応させるケイ酸化炎処理により形成された酸化ケイ素層と、該酸化ケイ素層上に形成されたJIS A硬度が0〜15度で0.1〜1.5mmの肉厚のシリコーンゴムからなる弾性層と、該弾性層上に形成された厚さ5〜50μmのフッ素樹脂からなる離型層とを有すること特徴とする定着用回転体。
【請求項2】
基体が、シャフト、パイプ状芯金またはエンドレスベルトである請求項1記載の定着用回転体。
【請求項3】
基体が、鉄、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅、ポリアミド、ポリイミド、およびポリアミドイミドから選ばれたものである請求項1または2に記載の定着用回転体。
【請求項4】
シリコーンゴムからなる弾性層が、付加反応型液状シリコーンゴムの硬化物からなる請求項1〜3いずれかに記載の定着用回転体。
【請求項5】
シリコーンゴムからなる弾性層のASKER C硬度が10〜35度である請求項1〜4いずれかに記載の定着用回転体。
【請求項6】
定着用回転体の表面上硬度のバラツキが、ASKER C硬度で2度以内である請求項1〜5いずれかに記載の定着用回転体。
【請求項7】
フッ素樹脂が、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、およびポリテトラフルオロエチレンの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜6いずれかに記載の定着用回転体。

【図1】
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【公開番号】特開2007−178721(P2007−178721A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377083(P2005−377083)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000227412)シンジーテック株式会社 (99)
【Fターム(参考)】