説明

定着装置、定着加熱体及び画像形成装置

【課題】定着加熱体の非通紙領域における過剰昇温を抑制しつつ、機械的強度の低下を防ぐことが可能な定着装置、画像形成装置及び定着装置用の定着加熱体を提供する。
【解決手段】記録シート上のトナー像を熱定着させるための定着加熱体51を有する定着装置5であって、定着加熱体51は、ジュール熱により発熱する発熱層を有するとともに、当該発熱層には、温度上昇に伴い、電気伝導度が指数的に上昇し、NTC特性を有する高イオン導電体が含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に定着装置用の定着加熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機等の画像形成装置の定着装置用の発熱部材(以下、「定着加熱体」という。」として、熱容量が小さく、短時間で昇温可能で、エネルギー消費が少ない、フィルムやベルト等の厚みが薄い定着加熱体が使用されるようになってきている。
このような定着加熱体を用いて記録シート上に形成されたトナー像の熱定着を行うと、実際に記録シートが通紙された部分では、記録シートに熱が奪われて定着加熱体の温度が低下するが、通紙されなかった部分では、記録シートに熱を奪われないのであまり温度が低下しない。
【0003】
その結果、例えば、温度が低下した小サイズの記録シートの通紙領域を適温まで昇温するために、定着加熱体全体を継続的に発熱させると、上記通紙領域以外の非通紙領域が過剰に昇温されることになる。そして、このように過剰に昇温された領域に、サイズの大きい記録シートが通紙されて、トナー像の熱定着が行われると、例えば、端部でホットオフセットの問題が生じたり、中央部と端部で画質が不均一となったりして、画質低下を招くことになる。
【0004】
この非通紙領域における過剰昇温を防止する技術として特許文献1には、グラファイト、カーボンを含有した抵抗発熱体を用いた定着加熱体が開示されている。グラファイトは、変曲点温度(700℃程度)を境にその温度以下ではNTC特性(Negative Temperature Coefficient:温度が上がると抵抗が小さくなる負の抵抗温度特性)を、その温度以上ではPTC特性(Positive Temperature Coefficient:温度が上がると抵抗が大きくなる正の抵抗温度特性)を示す。
【0005】
このグラファイトを抵抗発熱体に含有させることにより、変曲点温度以下の温度において抵抗発熱体にNTC特性を具備させることができ、非通紙領域における過剰昇温を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第4208587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非通紙領域における過剰昇温を抑制するために、グラファイト等のカーボン含有物質を定着加熱体に用いると、その分、定着加熱体の機械的強度が低下してしまうという問題が生じる。特に、エネルギー消費量を少なくするため、熱容量が非常に小さい定着加熱体を用いて、トナー像の熱定着動作を行う場合には、少ない発熱量でも非通紙領域が高温に昇温されるので、過剰昇温を抑制するためにグラファイトの含有量を多くする必要が生じ、定着加熱体の機械的強度が弱くなり、定着加熱体が破損しやすくなってしまうという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、定着加熱体の非通紙領域における過剰昇温を抑制しつつ、機械的強度の低下を防ぐことが可能な定着加熱体及び当該定着加熱体を用いた定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る定着装置は、記録シート上のトナー像を熱定着させるための定着加熱体を有する定着装置であって、前記定着加熱体は、ジュール熱により発熱する発熱層を有するとともに、当該発熱層には、温度上昇に伴い、電気伝導度が指数的に上昇する、NTC特性を有する高イオン導電体が含有されている構成とすることができる。
【0010】
ここで、前記発熱層は、非導電性の耐熱性樹脂に前記高イオン導電体が分散されてなり、前記定着加熱体は離型層を有し、熱定着時に前記離型層を介して記録シートに圧接されることとすることができる。
又、前記定着加熱体はさらに、前記離型層と前記発熱層との間に弾性層を有することとすることができる。さらに、前記高イオン導電体は、AgI又はCuIの少なくとも1つであることとすることができる。又、前記耐熱性樹脂は、ポリイミドであることとすることができる。さらに、前記定着加熱体は、定着ベルト又は定着ローラであることとすることができる。
【0011】
又、本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記定着装置を備える画像形成装置とすることができる。又、本発明の一形態に係る定着加熱体は、前記定着装置が有する定着加熱体とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を備えることにより、電気伝導度が温度上昇とともに指数的に急激に上昇するため、電気抵抗が指数的に急激に低下するという優れたNTC特性を有する高イオン導電体を含むように定着加熱体が構成されるので、温度上昇とともに、定着加熱体の電気抵抗が急激に低下し、定着加熱体が昇温するのを効果的に抑制することができる。
その結果、定着加熱体の昇温抑制物質として高イオン導電体を用いた場合には、カーボン含有物質を用いた場合よりも、少ない量で所望の昇温抑制効果を得ることができ、その分、昇温抑制物質の含有量を少なくすることができ、昇温抑制物質の添加に起因する定着加熱体の機械的強度の低下量を少なくすることができる。
【0013】
ここで、前記発熱層にはさらに、金属微粒子が分散されていることとしてもよい。
これにより、定着加熱体の発熱層に高イオン導電体と金属微粒子が分散されるので、発熱層における電気抵抗の微調整が可能となり、当該電気抵抗を、発熱量が、定着装置に適した量になるように容易に調製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プリンタ1の構成を示す図である。
【図2】定着装置の構成を示す斜視図である。
【図3】定着加熱体51の詳細な構造を示す断面図である。
【図4】代表的な高イオン伝導体における電気伝導度の温度変化の具体例を示す図である。
【図5】リングコート法の具体例を示す図である。
【図6】各定着加熱体における電気抵抗率の温度変化を示す図である。
【図7】各定着加熱体における軸方向の最大温度差を示す図である。
【図8】定着加熱体51の形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態)
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンタの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンタ1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の構成を示す図である。同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
【0016】
プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や図示しない操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
【0017】
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、2次転写ローラ45などを有している。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、1次転写ローラ34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
【0018】
現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。露光部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。
【0019】
この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。
【0020】
形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各1次転写ローラにより、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次1次転写された後、2次転写ローラ45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。トナー像が2次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートに熱定着された後、排出ローラ71により排紙トレイ72に排出される。
【0021】
給紙部4は、記録シート(図1の符号Sで表す)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートを2次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ44などを備えている。給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。
【0022】
記録シートとしては、大きさや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHPシートなどのフィルムシートを利用できる。給紙カセットが複数ある場合には、異なる大きさ又は厚さ又は材質の記録シートを複数の給紙カセットに収納することとしてもよい。
繰り出しローラ42、タイミングローラ44等の各ローラは、搬送モータ(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モータとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータが使用される。
【0023】
記録シートは、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて
給紙部4から2次転写位置46に搬送され、2次転写ローラ45により中間転写
ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。
[2]定着装置の構成
図2は、定着装置5の構成を示す斜視図である。同図に示すように、定着装置5は、定着加熱体51と、定着ローラ52と、加圧ローラ53と、を有する。
【0024】
定着加熱体51は、無端状のベルトであり、その両端部に電極511が設けられ、両電極には電源部500から給電ブラシ501、502を介して給電が行われる。これにより、両電極間に電流が流れて、定着加熱体51が発熱する。
図3は、定着加熱体51の詳細な構造を示す断面図である。同図に示すように、両端部を除く領域においては、定着加熱体51は、補強層512、発熱層513、弾性層514、離型層515が、この順に積層されて構成され、両端部においては、補強層512、発熱層513、電極511がこの順に積層されて構成される。
【0025】
電極511は、導電性の材料から構成される。電極511の材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、真鍮、リン青銅等の金属を用いることができる。補強層512は、定着加熱体51の強度を補強するための層であり、例えば、ポリイミド樹脂を用いることができる。
発熱層513は、電極511と電気的に接続され、電極511を通じて給電されることにより、ジュール熱を発生する層である。発熱層513は、耐熱性樹脂等の絶縁性材料中に金属微粒子と後述する高イオン導電体を分散させて構成される。発熱層513の電気抵抗値(又は体積抵抗率)は、導電性材料(金属微粒子、高イオン導電体)の量を調整することにより、所定の電気抵抗値(又は体積抵抗率)に調整される。
【0026】
耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエステル-イミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ-p-キシリレノン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂などを用いることができる。発熱層513に用いる耐熱性樹脂として、耐熱性、絶縁性及び機械的強度等に優れた特性を示すポリイミド樹脂を用いるのが望ましい。
【0027】
発熱層513中において金属微粒子と高イオン導電体とを混在させることにより、発熱層513の電気抵抗の微調整が可能となり、当該電気抵抗を、商用電源で500〜1500W程度の定着装置に適した発熱量になるように調整することができる。その結果、商用電源を変圧することなく使用でき、電源損失や電源コストを抑制することができる。
金属微粒子としては、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等の金属を用いることができ、2種類以上の金属を用いることとしてもよい。金属微粒子は、特に針状やフレーク状の銀(Ag)やニッケル(Ni)が好ましく、粒径は0.01〜10μmが良い。これにより、高イオン伝導体と線状に絡み合うことで均一な電気抵抗を有する発熱層513を成型することができる。金属微粒子が粒状や粉末状や塊状の場合、発熱層513中に混在する高イオン伝導体と絡み合わず、高イオン伝導体と点接触することになるため、均一な電気抵抗を有する発熱層513が得られにくくなる。
【0028】
高イオン導電体とは、イオン結合性の高い化合物の内、その化合物の融点より低い温度領域で電気伝導性を有し、温度上昇とともに電気伝導度が指数的に増加する性質を有する物質のことをいう。高イオン導電体は、温度が上昇すると、電気伝導度が指数的に急激に上昇し、その電気抵抗値が指数的に急激に低下するNTC特性を示す。そのため、高イオン導電体により、定着加熱体51に優れたNTC特性を具備させることができ、非通紙領域(図2の符号51で表す定着加熱体の周面の内、符号dで表す通紙範囲に対応する領域を除く領域)における過剰昇温を効果的に抑制することができる。
【0029】
図4は、代表的な高イオン伝導体における電気伝導度の温度変化の具体例を示す図である。同図においては、ヨウ化銀(α―AgI、β―AgI)、ナトリウムイオン伝導体(NaZrSiPO12)、ハロゲン陰イオン伝導体(LaF)、イットリア安定化ジルコニア(ZrO+Y)、ガルシア安定化ジルコニア(ZrO+CaO)の各高イオン導電体の電気伝導度の温度変化が示されている。同図に示すように、温度の上昇に伴い、各高イオン伝導体の電気伝導度は、指数的に(縦軸の対数で示す電気伝導度に対し直線的に)上昇する傾向を示し、その上昇率は、ヨウ化銀(AgI)、ハロゲン陰イオン伝導体(LaF)、イットリア安定化ジルコニア(ZrO+Y)、ガルシア安定化ジルコニア(ZrO+CaO)において特に大きい。
【0030】
中でもヨウ化銀(AgI)は、温度上昇に伴い、150℃付近でβ―AgIからα―AgIに相転移される時に、電気伝導度が飛躍的に上昇する。さらに、α―AgIに相転移後も、電気伝導度は温度上昇に伴い、電気伝導度の対数に対し直線的(指数的)に増加する。
このように、高イオン導電体は、温度上昇と共に、電気伝導度が急激に上昇するため、温度上昇と共に電気抵抗が急激に低下するという優れたNTC特性を示す。その結果、定着加熱体51の非通紙領域が過剰に昇温するのを効果的に防止することができる。
【0031】
一方、高イオン導電体と同様にNTC特性を有するカーボン含有物質では、温度上昇に伴う電気抵抗の低下が指数的ではなく、直線的であるため、温度上昇に伴う電気抵抗の低下量が、高イオン導電体に比べて少なく、高イオン導電体よりも量的に多い量を定着加熱体に含有させないと、高イオン導電体と同等の昇温抑制効果が得られない。
従って、定着加熱体にNTC特性を付与する昇温抑制物質として高イオン導電体を用いた場合には、温度上昇に伴う電気抵抗の低下が直線的で急激でないカーボン含有物質を用いた場合よりも、すぐれた昇温抑制効果を得ることができ、その分、昇温抑制物質の含有量を少なくすることができ、昇温抑制物質の添加量に起因する定着加熱体51の機械的強度の低下量を少なくすることができる。
【0032】
高イオン導電体としては、高温側(150〜200℃以上)で大きい電気伝導度(10−3S(ジーメンス)/cm以上)を示す銀ハライド(例えば、AgI、RbAg)、銅ハライド(例えば、CuI)、カルコゲナイト(例えば、AgS)、温度が上昇すると連続的に電気伝導度が大きくなるハロゲン陰イオン導電体(例えば、フッ化鉛(PbF)、蛍石(CaF))、アルミナ(Naβ)、ガルシア(CaO)安定化ジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)安定化ジルコニア(ZrO)、ガドリア(Gd)安定化ジルコニア(ZrO)、一次元導電体(例えば、ホランダイト)、プロトン導電体、BaCeOなどを用いることができる。定着加熱体51の非通紙領域における過剰昇温を効果的に抑制するという観点から、温度上昇に伴う電気伝導度の上昇率が高く、電気抵抗値の低下率が大きいもの(例えば、ヨウ化銀(AgI)、ヨウ化銅(CuI))を定着加熱体51用の高イオン導電体として用いることが望ましい。
【0033】
発熱層513を耐熱性樹脂と高イオン導電体のみから構成することとしてもよいが、この場合、商用電源で500〜1500W程度の定着装置に適した発熱量になるように、発熱層513の電気抵抗値を調整することが困難なため、金属微粒子を含む構成とするのが望ましい。発熱層513の厚さは、任意であるが、5〜100μm程度が望ましい。発熱層513の電気抵抗値は、1.0×10−6〜1.0×10−2Ω・m程度の範囲に設定することができるが、当該電気抵抗値は、1.0×10−5〜5.0×10−3Ω・mの範囲内であることが望ましい。
【0034】
弾性層514は、記録シート上のトナー像に均一かつ柔軟に熱を伝えるための層である。弾性層514を設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止することができる。弾性層514の材料としては、耐熱性と弾性とを有するゴム材や樹脂材を用いる。例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを材料として用いることができる。
【0035】
弾性層513の厚さは、10〜800μm、さらに望ましくは100〜300μmの範囲内のものとする。弾性層513の厚さが10μm未満では厚さ方向の十分な弾力性を得ることが難しい。また,この厚さが800μmを超えていると,発熱層513で発生した熱を定着加熱体51の外周面まで到達させることが難しく,伝熱効率が悪いので好ましくない。
【0036】
離型層515は,定着加熱体51の最外層をなし,定着加熱体51と記録シートとの離型性を高めるための層である。離型層515の材料としては、定着温度での使用に耐えられるとともにトナーに対する離型性に優れたものを使用することができる。例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体)、PFEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。離型層515の厚さは5〜100μm、望ましくは10〜50μmの範囲内のものとするのがよい。
【0037】
図2の説明に戻って、定着ローラ52と加圧ローラ53は、芯金521、531の軸方向両端部が図示しないフレームの軸受部に回転自在に軸支される。加圧ローラ53は、駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより矢印B方向に回転駆動される。この加圧ローラ53の回転に伴って定着加熱体51と定着ローラ52が矢印A方向に従動回転する。
【0038】
定着ローラ52は、長尺で円筒状の芯金521の周囲を断熱層522で被覆されてなり、定着加熱体51の周回経路の内側に配されている。芯金521は、定着ローラ52を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金521の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
断熱層522は、定着加熱体が発熱した熱を芯金521に逃がさないようにするための層である。断熱層522の材料としては、熱伝導率が低く、耐熱性及び弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)を用いるのが望ましい。定着加熱体51のたわみを許容し、ニップ幅を広くすることができるからである。断熱層522を、ソリッド体とスポンジ体との2層構造にしてもよい。シリコンスポンジ材を断熱層522として用いる場合には、その厚さを1〜10mmとするのが望ましい。さらに望ましくは、2〜7mmとするのがよい。
【0039】
加圧ローラ53は、円筒状の芯金531の周囲に、弾性層532を介して離型層533が積層されてなり、定着加熱体51の周回経路外側に配置され、定着加熱体51の外側から定着加熱体51を介して定着ローラ52を押圧して、定着加熱体51の外周面との間に周方向に所定幅を有する定着ニップが形成される。芯金531は、加圧ローラ53を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金531の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
【0040】
弾性層532は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体で、厚さ1〜20mmの範囲内の耐熱性の高い材料で構成される。離型層533は、離型層515と同様に、加圧ローラ53と記録シートとの離型性を高めるための層であり、離型層515と同様の材料及び厚さで構成することができる。
[3]定着加熱体の製造方法
本実施の形態に係る定着加熱体51は、以下に示す(1)〜(10)の工程を経て製造される。
(1)円筒状金型の表面へ補強層512の前駆体を塗布する工程
円筒状の金型の表面に離型剤を塗布して型離れを良くした後、ポリイミド前駆体溶液を補強層512の前駆体として塗布する。円筒状の金型としては、例えば、アルミニウム製のものを用いることができる。離型剤としては、例えば、シリコーンを用いることができる。
ポリイミド前駆体溶液は、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で、約90℃以下で反応させることにより得られる。
【0041】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
又、芳香族ジアミンとしては、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニル等を用いることができる。
(2)補強層512の成形工程
塗布されたポリイミド前駆体溶液を加熱して補強層512を成形する。ポリイミド前駆体溶液の加熱は、ポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱する。例えば、約100℃のオーブンで1時間程度加熱する。
(3)発熱層513の前駆体を成形された補強層512の外面に塗布する工程
ポリイミド前駆体溶液中に金属微粒子及び高イオン導電体を混合することにより、発熱層513の前駆体溶液を調製し、成形された補強層512の外面に塗布する。ポリイミド前駆体溶液は、(1)の場合と同様にして得られる。発熱層513の前駆体溶液は、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の固形重量に対して、金属微粒子の重量が50〜300重量%、高イオン導電体の重量が5〜100重量%となるように、各構成成分が混合されて調製される。金属微粒子及び高イオン導電体の重量は、定着装置5の発熱量が500〜1500Wの範囲内になるように、発熱層513の電気抵抗値を調整するため、上記範囲に設定されている。
(4)発熱層513の成形工程
塗布された発熱層513の前駆体溶液を、(2)の場合と同様に、ポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱して発熱層513を成形する。
(5)ポリイミド前駆体のイミド化工程
成形された補強層512及び発熱層513中のポリイミド前駆体を加熱し、ポリイミド前駆体のイミド化を完了させる。ポリイミド前駆体の加熱は、例えば、約350℃で1時間程度加熱することにより、行う。これにより、両層のイミド化がほぼ同時に完了し、補強層512と発熱層513との間の接着性を高めることができる。
(6)弾性層514の前駆体を発熱層513の外面に塗布する工程
発熱層513の外面にプライマーを塗布して乾燥した後、さらに、シリコーンゴム前駆体溶液を塗布する。プライマーとしては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XP81−405」を用いることができる。
【0042】
又、シリコーンゴム前駆体溶液としては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XP81−A6361」を用いることができる。
(7)弾性層514の成形工程
塗布されたシリコーンゴム前駆体溶液を加熱して一次加硫を行い、弾性層514を成形する。一次加硫は、シリコーンゴム前駆体溶液を、例えば、約150℃のオーブンで10分程度加熱することにより行われる。
(8)離型層515で弾性層514の外面を被覆する工程
弾性層514との接着性をよくするために離型層515の内面にシリコーンゴム前駆体の付加型液状シリコーンゴムを塗布した後、当該離型層515で弾性層514を被覆する。付加型シリコーンゴムとしては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XE15−B7354−40K×2S」を用いることができる。又、離型層515としては、例えば、PFAチューブを用いることができる。
(9)接着工程
弾性層514及び離型層515に塗布されたシリコーンゴム前駆体を加熱して二次加硫を行い、両層を接着する。二次加硫は、シリコーンゴム前駆体を例えば、約200℃のオーブンで4時間程度加熱することにより行われる。
(10)電極511の成形工程
円筒状金型の両端部において、成形された弾性層514及び離型層515を剥がし、剥がした部分に電極511を成形する。電極511の成形は、例えば、導電性テープを貼り付けたり、導電性ペーストを成形した後、加熱処理を行ったりすることにより、行われる。
【0043】
(1)、(3)、(5)における各塗布工程では、塗布液の塗布を例えばリングコート法において行うことができる。「リングコート法」とは、円筒状金型の外周を取り囲む円筒状の塗布機構により円筒状金型の外周面に均一に塗布液を塗布する塗布方法のことをいう。図5は、リングコート法の具体例を示す図である。
図5(a)は、符号5で示す塗布液の塗布完了時の状態を示し、図5(b)は、塗布液の塗布を行っている途中の状態を示す。両図に示すように、符号1で示す円筒状金型は、符号2、3で示す支持部材により鉛直に支持された状態で、符号4で示す塗布機構により円筒状金型1の外周面が均一に塗装される。塗布機構4は、上部ヘッド41と下部ヘッド42から構成され、両者の間には、塗布液5を吐出するための吐出路43が形成されている。
【0044】
塗布機構4に塗布液5を供給しながら、円筒状金型1の一方の端部から他方の端部に所定の速度で移動させることにより、円筒状金型1の外周面に塗布液5が均一に塗布される。
(実施例)
本実施の形態に係る定着加熱体51について、非通紙領域における過剰昇温の抑制効果及び機械的強度を評価する実験を行った。
(1)評価用の定着加熱体の調製
(a)定着加熱体51の作成
実施の形態で説明した製造方法([3]定着加熱体の製造方法)に従って定着加熱体51を作成した。円筒状金型としては、外径が30mm、長さが400mmのアルミニウム製のものを用いた。円筒状金型に塗布する離型剤としては、シリコーンを用いた。補強層512の前駆体としてのポリイミド前駆体溶液は、ポリイミド前駆体の固形重量が20%のものを用い、補強層512の成形工程における加熱は、100℃のオーブンで1時間とした。
【0045】
発熱層513の前駆体を成形された補強層512の外面に塗布する工程においては、ポリイミド前駆体溶液と混合する金属微粒子、高イオン導電体を、それぞれ、ニッケル(Ni)、ヨウ化銀(AgI)とし、混合比を、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の固形重量に対して、ニッケル(Ni)100重量%、ヨウ化銀(AgI)25重量%とした。発熱層513の成形工程における加熱は、100℃のオーブンで1時間とし、ポリイミド前駆体のイミド化工程における加熱は、350℃で1時間とした。
【0046】
弾性層514の前駆体を発熱層513の外面に塗布する工程においては、発熱層513の外面に塗布するプライマーとして、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XP81−405」を用いた。又、シリコーンゴム前駆体溶液として、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XP81−A6361」を用いた。
弾性層514の成形工程における一次加硫は、150℃のオーブンで10分間加熱することにより行った。離型層515で弾性層514の外面を被覆する工程
においては、付加型シリコーンゴムとして、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XE15−B7354−40K×2S」を用い、離型層515として、PFAチューブを用いた。
【0047】
接着工程における二次加硫は、200℃のオーブンで4時間加熱することにより行った。電極511の成形工程においては、両端部において弾性層514及び離型層515を、長手方向に各10mmの長さだけ剥がし、そこに3M製銅箔テープJE430001998の導電性テープを貼り付けることにより、電極511を成形した。
上記の各工程を経ることにより、離型層515の厚さが約30μm、弾性層514の厚さが約200μm、補強層512と発熱層513とを合わせた厚さが約58μmの定着加熱体51が得られた。得られた定着加熱体51の電気抵抗値は、25℃で20.5Ωであった。
【0048】
(b)比較用定着加熱体の作成
発熱層513の前駆体を成形された補強層512の外面に塗布する工程においてポリイミド前駆体溶液と混合する物質を、金属微粒子、高イオン導電体とする代わりに、金属微粒子及びカーボンナノファイバーとすることを除いて、(a)と同じ工程を経ることにより作成した。金属微粒子としては、ニッケル(Ni)を用いた。
【0049】
又、ポリイミド前駆体溶液と混合する混合比は、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の固形重量に対して、ニッケル(Ni)100重量%、カーボンナノファイバー25重量%とした。これにより、離型層515の厚さが約30μm、弾性層514の厚さが約200μm、補強層512と発熱層513とを合わせた厚さが約56μmの比較用定着加熱体2が得られた。得られた比較用定着加熱体2の電気抵抗値は、25℃で18.3Ωであった。
(2)電気抵抗の温度変化
(1)で調製した各定着加熱体(定着加熱体51、比較用定着加熱体)について、電気抵抗率の温度変化を調べた。図6は、各定着加熱体における電気抵抗率の温度変化を示す図である。同図において、符号601は、定着加熱体51における電気抵抗率の温度変化を示す。符号602は、比較用定着加熱体における電気抵抗率の温度変化を示す。電気抵抗率の測定は、各定着加熱体の電極に電力計(HIOKI製3332)と電源(KIKUSUI製PCR2000M)を接続し、加熱しながら電圧と電流を測定することにより、行った。
【0050】
同図に示すように、定着加熱体51では、温度が約150℃を超えると電気抵抗率が急激に低下している。比較用定着加熱体では、電気抵抗率は、温度変化に係らずほぼ一定値を示している。
(3)非通紙領域における過剰昇温の抑制効果
(1)で調製した各定着加熱体(定着加熱体51、比較用定着加熱体)を用いて定着装置を構成し、当該定着装置の定着ニップに用紙を連続して通紙した後における、定着加熱体の非通紙領域の温度上昇を調べた。ニップ圧は300N(ニュートン)、ニップ幅は7mm、加圧ローラの周速度は、186mm/s、定着加熱体の制御温度は155℃とし、通紙させる用紙のサイズは、A4サイズ(縦)、給紙速度は30枚/分とした。そして、100枚連続通紙した後に、定着加熱体における軸方向(通紙方向と直交する方向)の最大温度差を赤外線サーモグラフィ(NEC三栄製サーモトレーサTH7100)を用いて測定した。
【0051】
図7は、各定着加熱体における軸方向の最大温度差を示す図である。
同図において、符号701は、比較用定着加熱体における軸方向の最大温度差を示し、符号702は、定着加熱体51における軸方向の最大温度差を示す。同図に示すように、最大温度差は、定着加熱体51が22℃、比較用定着加熱体が77℃であった。このように、高イオン導電体(AgI)を用いた場合の最大温度差は、同重量%のカーボン含有物質(カーボンナノファイバー)を用いた場合の最大温度差の1/3未満と非常に小さくなっている。
【0052】
この結果は、定着加熱体51では、比較用定着加熱体に比較して、温度が、高イオン導電体(AgI)が相転移する温度に相当する150℃付近を超える領域において、電気抵抗の低下率が大きいため、定着加熱体51の温度上昇が効果的に抑制され、熱定着時の非通紙領域における過剰昇温の抑制効果が高くなっていることを示している。
(4)機械的強度
定着加熱体51と比較用定着加熱体について、機械的強度を比較した。機械的強度は、各定着加熱体を構成する補強層512と発熱層513とから成るポリイミド樹脂層について、ロードセル式引張試験機(モンサント社製Tenso meter 10)を用いて引張強度をJIS K7127規格に準じて測定した。引張強度の測定は、引張速度200mm/min、試験温度23℃(常温)の条件下で行い、試験片は2号型試験片を用いた。
【0053】
その結果、定着加熱体51の引張強度は、2313kg/cm、比較用定着加熱体の引張強度は、1680kg/cmであった。この結果は、カーボン含有物質であるカーボンナノファイバーの代わりに、同重量%の高イオン導電体であるヨウ化銀(AgI)を用いることにより、定着加熱体の機械的強度が強化されたことを示している。
このように、非通紙領域における過剰昇温を抑制するために、カーボン含有物質を用いる代わりに高イオン導電体を用いることにより、定着加熱体の非通紙領域における過剰昇温を抑制しつつ、機械的強度の低下を防ぐことができる。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0054】
(1)本実施の形態においては、定着加熱体51は、電極511、補強層512、発熱層513、弾性層514、離型層515から構成することとしたが、補強層512、弾性層514を含まない構成とすることとしてもよい。
(2)本実施の形態においては、定着加熱体51の形態を、無端状のベルトとしたが、定着加熱体の形態としては、ベルトの形態に限定されず他の形態であってもよい。例えば、定着加熱体を、図8に示すように、芯金801の外周面に弾性層802を備える定着ローラ800とし、弾性層802の外周に、本実施の形態の発熱層513と同一構成の発熱層803を形成することとしてもよい。なお、図8では、図示を省略しているが、定着ローラ800の発熱層803の外周には、本実施の形態の離型層515と同一の構成の離型層が設けられている。又、発熱層803と離型層の間にさらに、本実施の形態の弾性層514と同一構成の弾性層を介在させることとしてもよい。
【0055】
又、定着加熱体51は、特許文献(特開2009−245729号公報)の図17に示すような板状体(符号9参照)であってもよい。
(3)本実施の形態においては、定着加熱体51の発熱層513中に金属微粒子と高イオン導電体を混在させることとしたが、発熱層513に金属微粒子を含めない構成とすることとしてもよい。この構成であっても、発熱層513の電気抵抗の微調整はしにくくなるが、定着加熱体51の機械的強度を低下させることなく、その非通紙領域における過剰昇温を効果的に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に定着装置用の定着加熱体に関する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 プリンタ
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 1次転写ローラ
35Y クリーナ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ
45 2次転写ローラ
46 2次転写位置
51 定着加熱体
52 定着ローラ
53 加圧ローラ
60 制御部
71 排出ローラ
72 排紙トレイ
500 電源部
501、502 給電ブラシ
511 電極
512 補強層
513 発熱層
514、53 弾性層
515、53 離型層
521、53 芯金
522 断熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シート上のトナー像を熱定着させるための定着加熱体を有する定着装置であって、
前記定着加熱体は、ジュール熱により発熱する発熱層を有するとともに、当該発熱層には、温度上昇に伴い、電気伝導度が指数的に上昇する、NTC特性を有する高イオン導電体が含有されている
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記発熱層は、非導電性の耐熱性樹脂に前記高イオン導電体が分散されてなり、
前記定着加熱体は離型層を有し、熱定着時に前記離型層を介して記録シートに圧接される
ことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記定着加熱体はさらに、前記離型層と前記発熱層との間に弾性層を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記高イオン導電体は、AgI又はCuIの少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記発熱層にはさらに、金属微粒子が分散されている
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記耐熱性樹脂は、ポリイミドである
ことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の定着装置。
【請求項7】
前記定着加熱体は、定着ベルト又は定着ローラである
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の定着装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の定着装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
記録シート上のトナー像を熱定着させるための定着加熱体であって、
前記定着加熱体は、ジュール熱により発熱する発熱層を有するとともに、当該発熱層には、温度上昇に伴い、電気伝導度が指数的に上昇する、NTC特性を有する高イオン導電体が含有されている
ことを特徴とする定着加熱体。
【請求項10】
前記発熱層は、非導電性の耐熱性樹脂に前記高イオン導電体が分散されてなり、
前記定着加熱体は離型層を有し、熱定着時に前記離型層を介して記録シートに圧接される
ことを特徴とする請求項9記載の定着加熱体。
【請求項11】
前記定着加熱体はさらに、前記離型層と前記発熱層との間に弾性層を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の定着加熱体。
【請求項12】
前記高イオン導電体は、AgI又はCuIの少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の定着加熱体。
【請求項13】
前記発熱層にはさらに、金属微粒子が分散されている
ことを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の定着加熱体。
【請求項14】
前記耐熱性樹脂は、ポリイミドである
ことを特徴とする請求項10〜13の何れかに記載の定着加熱体。
【請求項15】
前記定着加熱体は、定着ベルト又は定着ローラである
ことを特徴とする請求項9〜14の何れかに記載の定着加熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−191345(P2011−191345A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55198(P2010−55198)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】