説明

定着装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】薄紙を用いた場合であっても、波打ちや後端跳ねなどの不具合が生じることなく良好な定着ができる定着装置を提供する。
【解決手段】定着ローラ11と、定着ローラ11に定着ベルト14を介して圧接する加圧ローラ12と、軸方向中央部を主として加熱するハロゲンヒータ15Aと、軸方向両端部を主として加熱するとハロゲンヒータ15Bと、ハロゲンヒータ15A,15Bへの通電を制御する制御手段61とを設ける。そして、加圧ローラ12を、軸方向両端部の外径が中央部よりも大きい形状とする。被転写材が薄紙の場合には、制御手段61によって、ハロゲンヒータ15Aによる供給熱量をハロゲンヒータ15Bよりも多くして、加熱ローラ13の軸方向中央部の温度を両端部よりも高くし、加圧ローラ12の軸方向中央部を両端部よりも大きく膨張させ、軸方向両端部と中央部との外径差(D−D)を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は定着装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、より詳細には、定着ローラと加圧ローラとが直接又はベルトを介して圧接して形成されるニップ部に被転写材を通過させることによって、未定着トナー画像を加熱・加圧して被転写材に溶融定着させる定着装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像し、現像されたトナー画像を用紙などの被転写材に転写させた後、定着装置によってトナー画像を被転写材に定着させる。これまでから広く使用されている定着装置は、圧接した一対のローラのニップ部に被転写材を通過させて加熱及び加圧を行い、トナー画像を被転写材に溶融定着させるものである。
【0003】
このような従来の定着装置では、加圧ローラの形状を、軸方向中央部の外径が軸方向両端部の外径よりも小さいいわゆる逆クラウン形状とし、軸方向中央部よりも軸方向両端部の周速度を速くして被転写材を軸方向両端部の方向に広げるようして、被転写材にしわが生じないようにするものがあった。
【0004】
さらに特許文献1では、加圧ローラの形状が摩耗等により経時的に変化することを考慮して、加圧ローラが逆クラウン形状を維持するように軸方向中央部及び軸方向両端部の加熱動作を変化させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-145835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、被転写材として多種多様な用紙が使用されるようなってきた。このため、例えば腰の弱い薄紙を、逆クラウン形状の加圧ローラを用いた定着装置に通すと、薄紙に波打ちや後端跳ねなどの通紙不良が生じる。
【0007】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄紙を用いた場合であっても、波打ちや後端跳ねなどの通紙不良が生じることなく良好な定着ができる定着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、定着ローラと、定着ローラに直接又はベルトを介して圧接しニップ部を形成する加圧ローラと、前記定着ローラの軸方向中央部を主として加熱する第1加熱手段と、軸方向両端部を主として加熱する第2加熱手段と、第1加熱手段及び第2加熱手段への通電を制御する制御手段とを有し、未定着トナー画像が形成された被転写材を前記ニップ部に通すことによって、前記トナー画像を被転写材に溶融定着させる定着装置において、前記加圧ローラは、軸方向両端部の外径が軸方向中央部の外径よりも大きく、前記制御手段は、被転写材の種類によって第1加熱手段及び第2加熱手段への通電を変えることを特徴とする定着装置が提供される。
【0009】
ここで、被転写材の斤量を検知する検知手段をさらに設け、前記検知手段によって検知された被転写材の斤量によって第1加熱手段及び第2加熱手段への通電を変えるようにしてもよい。
【0010】
被転写材が薄紙である場合、前記制御手段は、第1加熱手段による供給熱量が第2加熱手段による供給熱量よりも多くなるように通電制御するようにするのが好ましい。なお、本明細書において「薄紙」とは斤量が80g/m未満のものをいうものとする。
【0011】
また本発明によれば、定着装置として、前記記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る定着装置及び画像形成装置では、被転写材として薄紙を用いた場合には、第1加熱手段による供給熱量を第2加熱手段による供給熱量よりも多くなるように通電制御し、定着ローラの逆クラウン形状を小さくあるいは解消するようにするので、薄紙であっても、波打ちなどの通紙不良が生じることなく良好に定着される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図である。
【図2】図1の画像形成装置で使用されている定着装置の側断面図である。
【図3】加圧ローラの平面図である。
【図4】加熱ローラの概略構成図である。
【図5】本発明に係る定着装置の他の実施形態を示す概説図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の画像形成装置及び定着装置の一実施形態を示す概説図である。図1の画像形成装置Dは所謂タンデム方式のカラープリンタである。もちろん、プリンタのほか、さらにスキャナを有する複写機、ファクシミリ又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等にも本発明を適用することができる。また、画像形成方式としてはタンデム方式に限定されるものではなく、他の方式、例えば、回転軸の周囲に4つの現像装置を配置し、これらを順次静電潜像担持体に対向させてフルカラー画像を作成する所謂4サイクル方式、あるいは一つの現像装置でモノクロ画像を作成するモノクロ方式であっても構わない。
【0016】
画像形成装置Dは、導電性を有する無端状の中間転写ベルト33を有する。中間転写ベルト33は、図の左右両側にそれぞれ配置された一対のローラ31,32に掛架されている。ローラ32は不図示のモータに連結されており、モータの駆動によってローラ32は反時計回りに回転し、これによって中間転写ベルト33とこれに接するローラ31は従動回転する。ローラ32に支持されているベルト部分の外側には、二次転写ローラ34が圧接している。この二次転写ローラ34と中間転写ベルト33とのニップ部(二次転写領域)において中間転写ベルト33上に形成されたトナー像が、搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0017】
また、ローラ31に支持されているベルト部分の外側には、中間転写ベルト33の表面をクリーニングするクリーニング部材35が設けられている。このクリーニング部材35は中間転写ベルト33を介してローラ31に圧接しており、その接触部で未転写トナーを回収する。
【0018】
ローラ31とローラ32とに掛架された中間転写ベルト33の下側には、中間転写ベルト33の回転方向上流側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの作像部2Y,2M,2C,2K(以下、「作像部2」と総称することがある)が配置されている。これらの作像部2では、各色の現像剤をそれぞれ用いて対応する色のトナー像が作成される。
【0019】
作像部2は、静電潜像担持体として円筒状の感光体20を有する。そして、感光体20の周囲には、その回転方向(時計回り方向)に沿って順に、帯電器21、現像装置23、一次転写ローラ24、および感光体クリーニング部材25が配置されている。一次転写ローラ24は中間転写ベルト33を挟んで感光体20に圧接し、ニップ部(一次転写領域)を形成している。また、作像部2の下方には露光装置22が配置されている。
【0020】
この図に示す実施形態では、帯電器21としてローラ帯電方式のものを用いているが、帯電器21の種類は特に限定されるものでなく、コロナ放電方式の帯電チャージャ、ブレード状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材等を用いてももちろん構わない。また、この実施形態では、感光体クリーニング部材25として板状ブレードを用い、その一端側を感光体20の外周面に接触させて、感光体20の表面に残留するトナーを回収除去しているが、感光体クリーニング部材25は板状ブレードに限られるものでなく、例えば、固定ブラシ、回転ブラシ、ローラ、及びそれら複数の部材を組み合わせたものを使用することもできる。なお、感光体クリーニング部材25は必ずしも設ける必要はなく、感光体20上の未転写トナーの回収を現像装置23によって行うクリーナレス方式を採用することもできる。
【0021】
中間転写ベルト33の上方には、各色の現像装置23に補給するトナーを収容したホッパー4Y,4M,4C,4K(以下、「ホッパー4」と総称することがある)がそれぞれ配置されている。また、露光装置22の下部には、給紙装置として給紙カセット50が着脱可能に配置されている。給紙カセット50内に積載収容された用紙(被転写材)Pは、給紙カセット50の近傍に配置された給紙ローラ51の回転によって最上紙から順に1枚ずつ搬送路に送り出される。給紙カセット50から送り出された用紙Pは、レジストローラ対52に搬送され、ここで所定のタイミングで二次転写領域に送り出される。
【0022】
画像形成装置Dは、1色のトナー(例えばブラック)を用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードと、4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラーモードとに切り替え可能となっている。
【0023】
カラーモードにおける画像形成動作例について簡単に説明すると、まず、各作像部2において、所定の周速度で回転駆動される感光体20の外周面が帯電器21により帯電される。次に、帯電された感光体20の表面に、画像情報に応じた光が露光装置22から投射されて静電潜像が形成される。続いて、この静電潜像は、現像装置23から供給される現像剤としてのトナーにより顕在化される。このようにして感光体20の表面に形成された各色のトナー像は、感光体20の回転によって一次転写領域に達すると、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体20から中間転写ベルト33上へ転写(一次転写)されて重ねられる。
【0024】
中間転写ベルト33に転写されることなく感光体20上に残留した未転写トナーは、感光体クリーニング部材25で掻き取られ、感光体20の外周面から除去される。
【0025】
重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト33によって二次転写領域に搬送される。一方、そのタイミングに合わせて、レジストローラ対52から二次転写領域に用紙Pが搬送される。そして、4色のトナー像が、二次転写領域において中間転写ベルト33から用紙Pに転写(二次転写)される。4色のトナー像が転写された用紙Pは、定着装置1へ搬送される。定着装置1において用紙Pは、定着ローラ11と加圧ローラ12とのニップ部を通過する。この間に用紙Pは加熱・加圧され、用紙P上のトナー像は用紙Pに溶融定着する。なお、定着装置1の具体的な構成については後述する。トナー像が定着した用紙Pは排出ローラ対53によって排紙トレイ54に排出される。
【0026】
一方、二次転写領域を通過した中間転写ベルト33は、クリーニングブレード35で清掃される。その後、各感光体20及び中間転写ベルト33の回転駆動が停止される。
【0027】
図2に、図1の画像形成装置Dに搭載されている定着装置1の概略構成図を示す。この定着装置1では、加熱ローラ13と定着ローラ11との間に定着ベルト14が掛架され、加圧ローラ12が定着ベルト14を介して定着ローラ11に圧接している。そして、定着ベルト14と加圧ローラ12とのニップ部Nの下流側には、定着ベルト14に接するように分離爪16が揺動自在に軸支されている。定着ローラ11は、不図示の回転駆動手段によって反時計回りに回転し、これによって定着ベルト14及び加圧ローラ12、加熱ローラ13はそれぞれ従動して回転する。なお、回転駆動手段を定着ローラ11ではなく、加熱ローラ13又は加圧ローラ12に設けて駆動回転させ、他のローラを従動回転させるようにしてもよい。
【0028】
加熱ローラ13には、加熱ローラ13の軸方向中央部を主として加熱するハロゲンヒータ(第1加熱手段)15Aと、加熱ローラ13の軸方向両端部を主として加熱するハロゲンヒータ(第2加熱手段)15Bとが内蔵されている。また、加熱ローラ13の軸方向中央部および一方側端部の外周部には、定着ベルト14の表面から微小間隙を隔てて温度センサーSa及び温度センサーSbが設置されている。これらの温度センサーSa,Sbによって加熱ローラ13の表面温度が検知され、制御手段61(図1に図示)によってハロゲンヒータ15A,15Bへの通電が入切制御される。これにより、加熱ローラ13の表面は所定温度に維持される。
【0029】
定着ローラ11は円筒状の芯金111からなる。芯金111の材質に特に限定はないが、アルミニウムや鉄などの金属材料が好ましい。また、芯金の厚さは、0.1〜5mmの範囲が好ましく、軽量化及びウォームアップ時間の短縮化等を考慮すると0.2〜1.5mmの範囲がより好ましい。また、表面の離型性を向上させるために、芯金111の表面に、PFAやPTFE、ETFE等のフッ素系材料からなるチューブを被着する、あるいは前記フッ素系材料でコーティング層を形成して表層としてもよい。表層の厚さは5〜100μmの範囲が好ましく、水との接触角は90度以上が好ましい。さらに、表面粗さは0.01〜50μmの範囲が好ましい。また、ニップ部Nの幅を大きくするために、芯金111と表層との間に、弾性層をさらに設けてもよい。弾性層の材質としては、弾性と耐熱性を有するものが望ましく、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどが挙げられる。弾性層の厚さに特に限定はないが、通常は、0.05〜2mmの範囲が好ましい。
【0030】
加圧ローラ12は、芯金121の表面に、シリコーンゴムからなる弾性層122が形成され、その表面に表層としてのPFAチューブ(不図示)が被着されてなる。弾性層122の材質としては、弾性と耐熱性を有するものが望ましく、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどが挙げられる。弾性層122の厚さに特に限定はないが、通常は、0.05〜2mmの範囲が好ましい。
【0031】
図3に、加圧ローラ12の平面図を示す。加圧ローラ12は、軸方向両端部の外径Dが軸方向中央部の外径Dよりも大きい逆クラウン形状を有している。外径Dと外径Dとの差としては特に限定はないが、初期設定において0.01mm〜0.2mm程度に設定するのが好ましい。
【0032】
定着ベルト14は、ニッケルやステンレスなどの金属材料又はポリイミドやポリアミドなどの樹脂材料で成形した無端状の基体の外周面に、シリコンゴム等の弾性層を形成し、その表面に、フッ素樹脂などからなる離型層を形成してなる。
【0033】
図4に、加熱ローラ13の概略構成図を示す。ハロゲンヒータ15A及びハロゲンヒータ15Bは、加熱ローラ13の内部の軸方向中央部及び両端部に配設されている。ハロゲンヒータ15Aによって加熱ローラ13の軸方向中央部が主に加熱され、ハロゲンヒータ15Bによって加熱ローラ13の軸方向両端部が主に加熱される。
【0034】
制御手段61(図1に図示)は、加熱ローラ13の軸方向中央部と端部とに配置された温度センサSa,Sbの検出温度に基づいてハロゲンヒータ15A,15Bへの通電をそれぞれ独立して制御し、加熱ローラ13の軸方向中央部及び両端部の表面温度を所定の設定温度にそれぞれ保持する。本発明で使用する温度センサSa,Sbとしては、サーミスタや熱電対、白金測温抵抗体、IC化温度センサ、サーモバイル、NCセンサなどが使用できる。
【0035】
そして、図2に示すように、搬送されてきた用紙Pは、未定着のトナー画像tが載った面が定着ベルト14側になるように、定着ベルト14と加圧ローラ12とのニップ部Nを通過する。ニップ部Nを通過する間に、トナー画像tに対して加熱及び加圧がなされ、トナー画像tは溶融して用紙Pに定着する。そして、分離爪16によって定着ベルト14から用紙Pは分離され排紙トレイ54(図1に図示)へ排出される。
【0036】
このような構成の定着装置1において、従来は、加熱ローラ13の軸方向中央部と端部の設定温度を同じにしていた。すなわち、温度センサSa,Sbの検出温度が所定温度(定着温度)に到達すると、通紙を開始し定着処理を行っていた。ところが、逆クラウン形状を有する加圧ローラ12を用いた定着装置1の場合には、前述のように、加圧ローラ12の軸方向中央部と両端部とで周速度に差が生じるため、被転写材が腰の弱い薄紙などのときには被転写材に波打ちや後端跳ねなどの通紙不良が生じることがあった。
【0037】
そこで、本発明では、薄紙などの腰の弱い被転写材のときは、加熱ローラ13の軸方向中央部に供給する熱量を軸方向両端部に供給する熱量よりも多くして、加熱ローラ13の軸方向中央部の温度を軸方向両端部よりも高くする。これによって、定着ベルト14を介して加圧ローラ12に熱が伝わって、加圧ローラ12の軸方向中央部の温度が軸方向両端部の温度よりも高くなる。すると、加圧ローラ12の弾性層122の軸方向中央部が軸方向両端部よりも大きく膨張し、軸方向両端部と軸方向中央部との外径差(D−D)が小さくなって、軸方向中央部と軸方向両端部との周速度差が小さくなる。そして、周速度差が小さくなることによって、被転写材を軸方向両端部の方向に広げる力が弱まり、被転写材に波打ちや後端跳ねなどの通紙不良が防止されるようになる。
【0038】
加熱ローラ13の軸方向中央部に供給する熱量を軸方向両端部に供給する熱量よりも多くするには、例えば、加熱ローラ13の軸方向中央部を加熱するハロゲンヒータ15Aへの通電開始を、軸方向両端部を加熱するハロゲンヒータ15Bよりも早くする、あるいは、ハロゲンヒータ15Aへの通電量をハロゲンヒータ15Bよりも多くすればよい。
【0039】
なお、被転写材が薄紙などの場合のハロゲンヒータ15Aによる加熱は、加圧ローラ12の軸方向中央部の外径が、軸方向両端部の外径よりも大きくならない程度とするのが望ましい。加圧ローラ12の軸方向中央部の外径が、軸方向両端部の外径よりも大きくなると、被転写材にしわが生じる等の通紙不良が起こるおそれがあるからである。
【0040】
以上、被転写材が薄紙の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の定着装置では、例えば被転写材の斤量を指標として被転写材を判別して、加圧ローラ12の軸方向両端部と軸方向中央部との外径差(D−D)を被転写材の種類に応じて好適なものとなるようハロゲンヒータ15A,15Bへの通電制御を行ってももちろん構わない。
【0041】
定着装置に搬送される被転写材の種類の判別は、例えば、使用者による入力情報や被転写材が収納されていた給紙カセットの種類、あるいは搬送路に設けた検知手段などによって判別すればよい。上記検知手段としては、例えば、被転写材が搬送ローラ対を通過する際の、搬送ローラ対間の隙間量をセンサーで検知する、あるいは搬送路を挟んで発光素子と受光素子とを設け、発光素子と受光素子との間を被転写材が通過する時の光透過量を測定して斤量を算出する、あるいはまた、搬送路途中の搬送ローラ対の一つを停止させて被転写材にループを形成させ、ループの大きさをセンサーで検知して斤量を推定する手段などが挙げられる。
【0042】
以上説明した実施形態の定着装置は、定着ローラ11と加圧ローラ12とが定着ベルト14を介して圧接した構造であったが、本発明の定着装置は、定着ベルト14を用いずに定着ローラ11と加圧ローラ12とを直接圧接させた構造としてもよい。図5に、このような定着装置の一例を示す。図5に示す定着装置1aでは、定着ローラ11と加圧ローラ12とがバネなどの不図示の押圧部材によって圧接している。そして、定着ローラ11と加圧ローラ12との間にニップ部Nが形成される。定着ローラ11は、不図示の回転駆動手段によって図中反時計回りに回転し、これによって加圧ローラ12は時計回りに従動回転する。定着ローラ11には、定着ローラ11の軸方向中央部を主として加熱するハロゲンヒータ15Aと、定着ローラ11の軸方向両端部を主として加熱するハロゲンヒータ15Bとが内蔵されている。また、定着ローラ11の軸方向中央部および端部の外周部には、定着ローラ11の表面から微小間隙を隔てて温度センサーSa及び温度センサーSbが設置されている。これらの温度センサーSa,Sbによって定着ローラ11の表面温度が検知され、制御手段61(図1に図示)によってハロゲンヒータ15A,15Bへの通電が入切制御される。
【0043】
なお、定着ローラ11及び加圧ローラ12の構造は、前記実施形態と同様であるのでここではその説明を略する。また、定着ローラ11を加熱する加熱手段は、定着ローラ11の外周部に設けてもよい。加熱手段はハロゲンヒータの他、従来公知の手段を用いることができる。
【0044】
さらには、加圧ローラ12に加熱手段を設けても加熱ローラ12を直接加熱するようにしてもよい。加熱手段は加圧ローラ12の内部又は外周部に設ければよい。加熱手段はハロゲンヒータの他、従来公知の手段を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る定着装置及び画像形成装置では、被転写材として薄紙を用いた場合には、第1加熱手段による供給熱量を第2加熱手段による供給熱量よりも多くなるように通電制御し、定着ローラの逆クラウン形状を小さくあるいは解消するようにして、薄紙の波打ちや後端跳ねなどの通紙不良を防止するので有用である。
【符号の説明】
【0046】
1,1a 定着装置
P 用紙(被転写材)
N ニップ部
t トナー画像
11 定着ローラ
12 加圧ローラ
13 加熱ローラ
14 定着ベルト
15A ハロゲンヒータ(第1加熱手段)
15B ハロゲンヒータ(第2加熱手段)
61 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着ローラと、定着ローラに直接又はベルトを介して圧接しニップ部を形成する加圧ローラと、前記定着ローラの軸方向中央部を主として加熱する第1加熱手段と、軸方向両端部を主として加熱する第2加熱手段と、第1加熱手段及び第2加熱手段への通電を制御する制御手段とを有し、未定着トナー画像が形成された被転写材を前記ニップ部に通すことによって、前記トナー画像を被転写材に溶融定着させる定着装置において、
前記加圧ローラは、軸方向両端部の外径が軸方向中央部の外径よりも大きく、
前記制御手段は、被転写材の種類によって第1加熱手段及び第2加熱手段への通電を変えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
被転写材の斤量を検知する検知手段をさらに有し、前記検知手段によって検知された被転写材の斤量によって第1加熱手段及び第2加熱手段への通電を変える請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
被転写材が薄紙である場合、前記制御手段は、第1加熱手段による供給熱量が第2加熱手段による供給熱量よりも多くなるように通電制御する請求項1又は2記載の定着装置。
【請求項4】
定着装置として、請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80143(P2013−80143A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220750(P2011−220750)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】