説明

定量供給装置

【課題】粉粒体を安定供給する。
【解決手段】粉粒体を安定した供給速度で供給するための定量供給装置であって、粉粒体を収容する容器12と、粉粒体が充満される環状溝14bを上面14aに備える回転テーブル14とを有し、環状溝14bの一部分が容器12内部に位置しつつ、環状溝14bの残りの部分が容器12外部に位置するように回転テーブル14が回転可能に配置されている。回転テーブル14の環状溝14bが容器12外部に向かう容器12の側壁12bの部分において、環状溝14bの移動方向R1に向かって且つ環状溝14bに向かって延びる、容器12内の粉粒体をすりきりして環状溝14b内に充満する傾斜面24aを備えるすりきり部材24をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を安定した供給速度(単位時間あたりの供給量)で供給するための定量供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回転テーブルに形成された環状凹部内に粉粒体を充満し、環状凹部内の粉粒体をスクレーパによって掻き出す定量供給装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1や2に記載する定量供給装置は、粉粒体が収容された容器と、粉粒体が充満される環状凹部を備えた回転テーブルと、環状凹部内の粉粒体を掻き出すスクレーパとを有する。回転テーブルは、その環状凹部の一部分が容器内部に位置しつつ、残りの部分が容器外部に位置するように回転可能に配置されている。これにより、容器内部の粉粒体は、回転テーブルの環状凹部に充満されて容器外部に搬送される。容器外部に搬送された粉粒体は、スクレーパによって環状凹部から回転テーブル外側に位置するシュートに向かって掻き出される。スクレーパによって環状凹部からシュートに掻き出された粉粒体は、所望の場所に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−85435号公報
【特許文献2】実開昭63−1819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1や2に記載する定量供給装置の場合、回転テーブル上の容器の側壁により、回転テーブルの環状凹部に粉粒体が充満される。すなわち、粉粒体は、容器の側壁の内側表面によってすりきりされて、環状凹部から溢れ出ることなく、環状凹部に充満される。
【0006】
このとき、密に集まると塊状になりやすい粉粒体の場合、粉粒体の塊が回転テーブルの環状凹部内の粉粒体の一部を含んで形成され、その塊が容器の側壁の内側表面によってすりきりされると、環状凹部内に粉粒体が存在しない未充満部分が発生することがある。この場合、粉粒体は、少ない状態で、回転テーブルの回転によって容器の外部に搬送される。当然ながら、環状凹部内に粉粒体が完全に充満されていないため、スクレーパの粉粒体の掻き出し量は減少する。その結果、定量供給装置は、一定の供給速度で粉粒体を供給できなくなる。
【0007】
そこで、本発明は、密に集まると塊状になりやすい粉粒体であっても、その粉粒体の供給速度を一定に安定させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、粉粒体を安定した供給速度で供給するための定量供給装置であって、粉粒体を収容する容器と、粉粒体が充満される環状溝を上面に備える回転テーブルとを有し、環状溝の一部分が容器内部に位置しつつ、環状溝の残りの部分が容器外部に位置するように回転テーブルが回転可能に配置され、回転テーブルの環状溝が容器外部に向かう容器側壁の部分において、環状溝の移動方向に向かって且つ環状溝に向かって延びる、容器内の粉粒体をすりきりして環状溝内に充満する傾斜面を備えるすりきり部材をさらに有する、定量供給装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、すりきり部材の傾斜面が、容器内部側に凸の湾曲面である、第1の態様に記載の定量供給装置が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、すりきり部材が、環状溝の移動方向と交差する方向に延びる回転中心線を中心として回転するローラであって、ローラの外周面が粉流体をすりきりする、第2の態様に記載の定量供給装置が提供される。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、ローラが、外周面が回転テーブルの上面に接触するように配置され、回転テーブルの回転によって回動する、第3の態様に記載の定量供給装置が提供される。
【0012】
本発明の第5の態様によれば、ローラが、付勢手段によって回転テーブルに向かって付勢されている、第3または第4の態様に記載の定量供給装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、環状溝の移動方向に向かって且つ環状溝に向かって延びる傾斜面を備えるすりきり部材によってすりきりされることにより、容器内部の粉流体は、塊状になりにくく、そして、環状溝内に確実に充満される。その結果、定量供給装置は、一定の供給速度で粉粒体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る定量供給装置の構成の一部を概略的に示す図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】図1のB−B線断面図
【図4】すりきり部材であるローラの役割を説明するための図
【図5】別のすりきり部材を概略的に示す図
【図6】さらに別のすりきり部材を概略的に示す図
【図7】さらに異なるすりきり部材を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る定量供給装置の構成の一部を概略的に示している。図2は、図1のA−A断面図であり、図3は図1のB−B断面図である。
【0016】
定量供給装置10は、図1に示すように、粉粒体を収容する円筒状容器12と、粉粒体が充満される環状凹部(環状溝)を備える回転テーブル14と、環状溝内の粉粒体を掻き出すスクレーパ16と、スクレーパ16が掻き出した粉粒体を回収するシュート18とを有する。
【0017】
円筒状容器12は、円筒状の容器であって、その内部に粉粒体を収容する。
【0018】
回転テーブル14は、円盤状のテーブルであって、円筒状容器12の中心線C1と平行な回転中心線C2を中心として回転する回転シャフト20に連結されている。回転テーブル14の回転中心線C2は、例えば鉛直方向に延びている。回転シャフト20は、例えばモータ(図示せず)によってギヤ(図示せず)を介して一定の回転速度で回転駆動される。回転シャフト20が回転することにより、回転テーブル14が回転する。
【0019】
回転テーブル14はまた、その上面14aに、回転中心線C2を中心として周回するように形成された環状溝14bを備える。環状溝14bは、図2に示すように、半円形状断面を備える凹部として形成されている。環状溝14bはまた、図1に示すように、回転テーブル14の上面14aの周縁14cに沿って、具体的には、周縁14cと環状溝14bとに挟まれた外周側上面部分14a’が可能な限り最小面積になるように、回転テーブル14に形成されている。これは、スクレーパ16によって環状溝14bから掻き出された粉粒体の一部が、外周側上面部分14’上に残りにくくするためである。
【0020】
回転テーブル14の環状溝14bはさらに、その表面が、環状溝14b内に充満された粉粒体のすべりを抑制する表面粗さに仕上げ処理されている。説明すると、図3に示すように、定量供給装置10は、回転テーブル14の回転によって環状溝14b内に充満された粉粒体がスクレーパ16に当たる(作用する)ように構成されている。そのため、スクレーパ16の反作用により、環状溝14b内に充満された粉粒体が一体となって回転テーブル14の回転方向R1の逆方向に環状溝14bに対して相対移動する、すなわち環状溝14b内をすべる可能性がある。
【0021】
この対処として、回転テーブル14の回転方向R1の逆方向に粉粒体が環状溝14bに対して相対移動しないように、環状溝14b内の表面が仕上げられている。例えば、環状溝14bの表面は、サンドブラスト、ショットブラストなどによって仕上げられている。これにより、環状溝14b内に充満された粉粒体は、環状溝14b内を一体となってすべることなく、回転テーブル14によって安定してスクレーパ16に向かって搬送される。
【0022】
このような環状溝14bの一部分が円筒状容器12の内部に位置しつつ、環状溝14bの残りの部分が円筒状容器12の外部に位置するように回転テーブル14は、円筒状容器12に回転可能に取り付けられている。本実施の形態の場合、図1や図2に示すように、円筒状容器12の底面12aの一部を、回転テーブル14の上面14aの一部が構成するように、回転テーブル14が円筒状容器12に取り付けられている。
【0023】
このような回転テーブル14が回転することにより、円筒状容器12内の粉粒体は、回転テーブル14の環状溝14b内に充満され、円筒状容器12の外部のスクレーパ16に向かって搬送される。
【0024】
回転テーブル14の環状溝14b内に粉粒体を確実に充満するために、定量供給装置10は、アジテータ22とローラ24とを有する。
【0025】
アジテータ22は、円筒状容器12の底面12a上に設けられている。このアジテータ22は、複数の羽根22aを備える。複数の羽根22aは、回転シャフト22bに取り付けられている。回転シャフト22bは、円筒状容器12の中心線C1を中心として回転し、例えば、回転テーブル14の回転シャフト20を回転駆動するモータ(図示せず)により、ギヤ(図示せず)を介して回転テーブル14に対して所定の減速比で回転駆動される。複数の羽根22aは、円筒状容器12の底面12a上に配置されており、回転シャフト22bの回転によって中心線C1を中心として周回しつつ円筒状容器12の底面12a上を移動する。
【0026】
このようなアジテータ22は、円筒状容器12内の粉粒体を攪拌することができる。また、密に集まると塊状になりやすい粉粒体が容器12内に収容されている場合、アジテータ22は、塊状の粉粒体をばらばらに分離させる役割もする。説明すると、円筒状容器12の底面12a近くの粉粒体は、その上方に位置する粉粒体の自重を受けて塊状になりやすい。そこで、粉粒体が塊状態で回転テーブル14の環状溝14b内に充満されないように、アジテータ22の羽根22aが円筒状容器12の底面12a近くの塊状の粉粒体をばらばらに分離している。
【0027】
ローラ24は、円筒形状の回転体であって、自由回転可能に、また、その外周面24aが回転テーブル14の環状溝14bに対向するように、円筒状容器12に支持されている。具体的には、図1に示すように、円筒状容器12の内部から外部に向かう環状溝14bが下方を通過する容器12の側壁12bの部分に、回転テーブル14の環状溝14bに対向するように形成された窪み部12cがあって、その窪み部12c内にローラ24は収容されている。
【0028】
ローラ24はまた、その外周面24aと回転テーブル14の環状溝14bとの間の対向領域において、ローラ24の回転方向と環状溝14bの移動方向とが同一方向になるように配置されている。さらにローラ24は、粉粒体が付着しにくい材料、例えばプラスチック材料から作製されている、または粉粒体が付着しにくい表面粗さでその外周面24aが表面仕上げされている。このローラ24により、粉粒体はすりきりされて環状溝14b内に充満される。
【0029】
このようにすりきり部材として機能するローラ24を使用する理由について図4を参照しながら説明する。
【0030】
図4(a)は、回転テーブル14の回転にともなって流動する粉粒体の流れを示している。また、図4(a)は、ローラ24ではなく、円筒状容器12の側壁12bの内側表面によって粉粒体をすりきりする場合を示している。
【0031】
図4(a)に示すように、回転テーブル14の回転にともなって粉粒体は流動し、その粉粒体は、回転テーブル14の環状溝14bが下方を通過する円筒状容器12の側壁12bの部分に集まる。すなわち、粉粒体は、外部に連通する円筒状容器12の出口近傍に集中する。
【0032】
このとき、粉粒体が密に集まると塊状になりやすいものであって、且つ円筒状容器12の側壁12bの内側表面によって粉粒体をすりきりする場合、図4(a)に示すように、粉粒体の塊Mが形成される可能性がある。この塊Mが図4(a)に示すように回転テーブル14の環状溝14b内の粉粒体の一部を含んで形成され、そして、その塊Mが図4(b)に示すように側壁12bの内側表面に沿って移動すると、環状溝14b内に粉粒体が存在しない未充満部分Eが発生する。このような未充満部分Eが偶発的に且つ断続的に発生すると、スクレーパ16に向かって搬送される粉粒体の量が不安定になる。その結果、スクレーパ16の粉粒体の掻き出し量が安定せず、定量供給装置10は粉粒体の定量供給が困難になる。
【0033】
図4(b)に示すような回転テーブル14の環状溝14b内に粉粒体の未充満部分Eが形成される現象(すなわち粉粒体の塊Mが形成される現象)は、円筒状容器12の側壁12bの内側表面のように、回転テーブル14の上面14aに対して約90度の角度で立設している面によって粉粒体をすりきりする場合に起こりやすい。すなわち、回転テーブル14の回転によって発生するその上面14aとほぼ平行な粉粒体の流れと、側壁12bの内側表面とが約90度の角度で衝突し、粉粒体が環状溝14bと側壁12bとの間に向かってスムーズに流動しないために、粉流体の塊Mが発生しやすい。したがって、本実施の形態では、環状溝14bの移動方向R1に向かって且つ環状溝14bに向かって延びる湾曲面であるローラ24の外周面24aによって粉粒体をすりきりしている。
【0034】
また、ローラ24は、その外周面24aの幅方向の両端の少なくとも一方が、回転テーブル14の上面14a(具体的には、外周側上面部分14a’または中央側上面部分14a’’の少なくとも一方)に接触するように配置されている。これにより、回転テーブル14の上面14aまで、粉粒体が環状溝14b内に充満される。また、ローラ24の回転速度が回転テーブル14の回転速度(環状溝14bでの周速度)と同一にされる。その結果、環状溝14b内に充満された粉粒体が一体となって環状溝14b内をすべることが抑制される。
【0035】
説明すると、ローラ24と環状溝14bとの対向領域においては、環状溝14b内に充満された粉粒体がローラ24と環状溝14bとに挟持された状態である。したがって、ローラ24の回転速度が回転テーブル14の環状溝14bの移動速度に比べて遅い場合、環状溝14b内の粉粒体に、環状溝14bの深部側が高速な速度勾配が生じることがある。この速度勾配が大きくなりすぎると、環状溝14bの深部側の粉粒体に対して浅部側の粉粒体が回転テーブル14の回転方向R1の逆方向にすべる可能性がある。または、環状溝14b内の粉粒体が一体となって環状溝14bに対してすべる可能性がある。
【0036】
なお、ローラ24の外周面24aの両端それぞれが回転テーブル14の上面14aに接触する場合、ローラ24は、円錐台形状に形成され、且つ回転テーブル14の中心側の径が、回転テーブル14の外側の径に比べて小さくなるように配置するのが好ましい。理由は、回転テーブル14の周速度が、中心から外側に向かうほど高速になるからである。これにより、ローラ24は、スムーズに回転することができる。
【0037】
また、ローラ24の外周面24aと回転テーブル14の上面14aとの接触を維持するために、ローラ24は、図3に示すように、スプリング26などの付勢手段によって回転テーブル14に向かって付勢されるのが好ましい。
【0038】
さらに、粉粒体が一体となって回転テーブル14の環状溝14bに対してすべるおそれがない場合(例えば、上述したように環状溝14bの表面を十分にブラスト処理した場合)、ローラ24は、環状溝14b内に収容可能な大きさ、すなわち外周面24aの幅が環状溝14b内の幅に比べて狭くてもよい。ただし、この場合、スプリング26などの付勢手段により、ローラ24を環状溝14b内の底に向かって付勢しない(付勢手段を使用すると、環状溝14b内の粉粒体を押し固めることになる)。
【0039】
図2に示すように、スクレーパ16は、例えば球形状であって、円筒状容器12の外部に位置する回転テーブル14の環状溝14bの部分内にスクレーパ16の一部分が位置する状態で回転するように構成されている。
【0040】
具体的には、スクレーパ16は、回転テーブル14の環状溝14bの表面との間に微小な隙間が生じるように配置されている。理由は、スクレーパ16が環状溝14bと接触していると、回転テーブル14とスクレーパ16それぞれの安定した回転速度での回転を妨げるおそれがあるとともに、スクレーパ16または環状溝14bの少なくとも一方が磨耗するおそれがあるからである。なお、このようなおそれがない場合、例えば、スクレーパ16と回転テーブル14の間に発生する摩擦が極めて小さい場合、スクレーパ16が回転可能に、環状溝14bの表面とスクレーパ16とが接触してもよい。
【0041】
また、スクレーパ16は、回転するために、回転中心線C3を中心として回転する回転ロッド16aの先端に取り付けられている。回転ロッド16aは、例えばモータ(図示せず)によって回転駆動される。
【0042】
回転中心線C3を中心として回転するスクレーパ16の回転方向R2は、図2に示すように回転テーブル14の環状溝14b内の粉粒体を、回転テーブル14の外側、すなわち、回転テーブル14の外側に配置されたシュート18に向かって掻き出せる方向に設定されている。
【0043】
具体的には、図1に示すように回転テーブル14の回転中心線C2方向に見た場合において、スクレーパ16の粉粒体の掻き出し方向Sを、回転テーブル14の接線方向成分Stと径方向成分Srとに分けたときに、掻き出し方向Sの接線方向成分Stが、回転テーブル14の回転方向R1と同一方向になるようにするのが好ましい。これは、スクレーパ16の粉粒体掻き出し方向Sの接線方向成分Stが回転テーブル14の回転方向R1と逆方向である場合、スクレーパ16に掻き出される粉粒体と回転テーブル14によってスクレーパ16に向かって搬送される粉粒体とが衝突し合い、環状溝14b内からスムーズに粉粒体が出ないからである。
【0044】
そのために、スクレーパ16(回転ロッド16a)の回転中心線C3は、図1に示すように、回転テーブル14の回転中心線C1方向に見た場合において、回転テーブル14の接線方向に対して回転テーブル14の内側に角度αだけ傾斜している。これにより、環状溝14b内からスムーズに粉粒体がシュート18に向かって掻き出される。なお、角度αは、ゼロであってもよい(この場合、粉粒体は、回転テーブル14の径方向に掻き出される)。
【0045】
また、スクレーパ16の回転中心線C3は、図3に示すように回転テーブル14の径方向外側から中心側に向かって見た場合において、回転テーブル14の回転方向R1の下流側に、回転テーブル14の上面14a(環状溝14b)に対して角度βだけ傾斜している。そして、図2に示すように、スクレーパ16は、環状溝14bとの対向領域において、スクレーパ16の表面が回転テーブル14の中心側から外側に向かって移動するように回転している。
【0046】
なお、スクレーパ16の回転中心線C3の傾斜角度βは小さい方が好ましい。傾斜角度βが小さい場合、周速度が速いスクレーパ16の表面部分(すなわち回転中心線C3から離れた表面部分)で回転テーブル14の粉粒体を環状溝14bの底から確実に掻き出すことができる。
【0047】
また、スクレーパ16の回転中心線C3の傾斜角度βは、回転ロッド16aに粉粒体が接触しない限り、90度以上の角度、すなわち回転テーブル14の回転方向R1の上流側に回転中心線C3が傾斜していてもよい。ただし、この場合、スクレーパ16の回転方向は、回転中心線C3が下流側に傾斜されている場合と異なり、逆である。
【0048】
さらに、スクレーパ16の粉粒体の掻き出し性を向上させるために、スクレーパ16の表面に複数の凹部または複数の凸部が形成されてもよい。また、凹部として溝やディンプルが形成されてもよい。ただし、凹部内にまたは凸部間に、粉粒体が詰まらないようにする必要がある。例えば、スクレーパ16の表面に溝が形成される場合、溝内部の粉粒体がスクレーパ16の回転によっては溝外部に確実に出るように、溝は開放端を有するのが好ましい。
【0049】
このようなスクレーパ16によれば、回転テーブル14の環状溝14b内の粉粒体は、スクレーパ16の回転によって回転テーブル14の環状溝14b内からシュート18に向かって掻き出される。そのため、粉粒体はスクレーパ16に留まることができない。すなわち、スクレーパ16に粉粒体が密に集まることがなく、スクレーパ16で粉粒体が塊状になることが抑制される。その結果、スクレーパ16の単位時間あたりの粉粒体の掻き出し量が安定し、定量供給装置10は、安定した供給速度で粉粒体を供給することができる。
【0050】
図1や図3に示すように、スクレーパ16が粉粒体を掻き出す際に回転テーブル14の外周側上面部分14a’や中央側上面部分14a’’上にこぼれた粉粒体を、再び円筒状容器12内に戻すように、定量供給装置10は構成されている。
【0051】
説明すると、スクレーパ16は、回転テーブル14の環状溝14bに充満された粉粒体全てを、シュート18に向かって掻き出すわけではない。スクレーパ16に向かって搬送された粉粒体のごく一部が、スクレーパ16が粉粒体を掻き出す際に回転テーブル14の外周側上面部分14a’や中央側上面部分14a’’上にこぼれる、または環状溝14b内に掻き残される。
【0052】
なお、回転テーブル14の外周側上面部分14a’や中央側上面部分14a’’上にこぼれる粉粒体の量と、環状溝14b内に掻き残される粉粒体の量はほぼ安定しているため、スクレーパ16のシュート18への単位時間あたりの粉粒体の掻き出し量の安定性、すなわち定量供給装置10の粉粒体の定量供給の安定性は確保されている。
【0053】
スクレーパ16によって環状溝14b内に掻き残された粉粒体は、回転テーブル14の回転により、そのまま円筒状容器12内に戻される。
【0054】
これに対して、スクレーパ16が粉粒体を掻き出す際に回転テーブル14の外周側上面部分14a’や中央側上面部分14a’’上にこぼれた粉粒体は、図1や図3に示すように、円筒状容器12のトンネル部12dを通過して円筒状容器12内に戻される。
【0055】
トンネル部12dは、具円筒状容器12の外部からその内部に向かう回転テーブル14の環状溝14bが下方を通過する、円筒状容器12の側壁12bの部分に形成されている。
【0056】
トンネル部12dはまた、図1や図3に示すように、円筒状容器12の外側表面に形成された外側開口12eと、内側表面に形成された内側開口12fとを備え、回転テーブル14の上面14aに沿って、且つ環状溝14bに沿って延びている。さらに、トンネル部12dは、図1に示すように、回転テーブル14の外周側上面部分14a’上や中央側上面部分14a’’の環状溝14b近傍にこぼれた粉粒体が通過できる、所定の天井高さ(回転テーブル14の上面14aからの高さ)と幅とを備えている。
【0057】
なお、図1や図2に示すように、回転テーブル14の中央側上面部分14a’’上に大量の粉粒体が載らないように、回転テーブル14の中央側上面部分14a’’を覆って環状溝14b内に粉粒体を落とすガイド部材26が設けられている。
【0058】
また、円筒状容器12のトンネル部12dは、図3に示すように、円筒状容器12の内側表面における断面積、すなわち内側開口12fの開口面積が、外側表面における断面積、すなわち外側開口12eの開口面積に比べて小さくなるように形成されるのが好ましい。これにより、円筒状容器12に収容されている粉粒体がトンネル部12dを介して外部に流出することが抑制される。
【0059】
トンネル部12dを介する粉粒体の外部流出をさらに抑制するためには、トンネル部12dは、長い方が好ましい。そのために、トンネル12d部を、スクレーパ16eの近傍まで延長してもよい。
【0060】
このようなトンネル部12dを使用する理由について説明する。
【0061】
トンネル部12dが存在しない場合、スクレーパ16が粉粒体を掻き出す際に回転テーブル14の外周側上面部分14a’上や中央側上面部分14a’’上にこぼれた粉粒体は、円筒状容器12の外側表面に止められ、円筒状容器12の内部に戻ることができない。そのため、円筒回転テーブル14の外周側上面部分14a’と円筒状容器12の外側表面との間と、中央側上面部分14a’’と円筒状容器12の外側表面との間とに粉粒体は堆積する。
【0062】
回転テーブル14の外周側上面部分14a’と円筒状容器12の外側表面との間と、中央側上面部分14a’’と円筒状容器12の外側表面との間とに堆積する粉粒体は、回転テーブル14が一回転する度に、その堆積量が増加する。堆積量がある程度増加すると、粉粒体の一部が環状溝14b内や回転テーブル14の外側にあふれる。堆積する粉粒体の一部が、回転テーブル14の回転方向R1に関してスクレーパ16の上流側に位置する環状溝14bの部分にあふれる場合、スクレーパ16に搬送される粉粒体量が不安定になる。また、回転テーブル14の外側にあふれた場合、シュート18に入る可能性がある。いずれにしても、定量供給装置10の粉粒体供給の安定性が損なわれる。
【0063】
この対処として、トンネル部12dを円筒状容器12に設けることにより、円筒回転テーブル14の外周側上面部分14a’と円筒状容器12の外側表面との間と、中央側上面部分14a’’と円筒状容器12の外側表面との間とに、粉粒体が堆積しないようにしている。
【0064】
以上のような定量供給装置10によれば、円筒状容器12内に収容されている粉粒体は、回転中の回転テーブル14の環状溝14b内に充満される。
【0065】
円筒状容器12の内部において環状溝14b内に充満された粉粒体は、回転テーブル14の回転により、円筒状容器12の外部に位置するスクレーパ16に向かって搬送される。
【0066】
円筒状容器12の外部に搬送された粉粒体は、回転中のスクレーパ16により、シュート18に向かって掻き出される。シュート18に掻き出された粉粒体は、所望の場所に搬送される。
【0067】
一方、スクレーパ16が掻き残した環状溝14b内の粉粒体は、回転テーブル14の回転により、円筒状容器12の内部に戻される。一方、スクレーパ16が掻き出す際に回転テーブル14の外周側上面部分14a’上や中央側上面部分14a’’上にこぼれた粉粒体は、トンネル部12dを通過して円筒状容器12の内部に戻される。
【0068】
本実施の形態によれば、環状溝14bの移動方向R1に向かって且つ環状溝14bに向かって延びる傾斜面として外周面24aを備えるローラ24によってすりきりされることにより、円筒状容器12内の粉流体は、塊状になりにくく、そして環状溝14b内に確実に充満される。その結果、定量供給装置10は、一定の供給速度で粉粒体を供給することができる。
【0069】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。
【0070】
例えば、上述の実施の形態の場合、回転テーブル14の環状溝14bが円筒状容器12の外部に向かう円筒状容器12の側壁12bの部分において、ローラ24が、粉粒体をすりきりして環状溝14b内に充満しているが、本発明はこれに限らない。
【0071】
例えば、図5に示すように、回転テーブル14の環状溝14bが円筒状容器112の外部に向かう円筒状容器112の側壁112bの部分に、環状溝14bの移動方向R1に向かって且つ環状溝14bに向かって延びる傾斜面124を形成してもよい。または、図6に示すように、円筒状容器212の内部側に凸の湾曲面224を、側壁212bに形成してもよい。円筒状容器112,212内の粉粒体は、傾斜面124、湾曲面224に沿って環状溝14bと側壁112b,212bに向かってスムーズに流れることができ、傾斜面124、湾曲面224によってすりきりされて、環状溝14b内に充満される。なお、この場合、傾斜面124、湾曲面224を滑らかに形成して粉粒体との摩擦を低減するのが好ましい。また、この場合、傾斜面124、湾曲面224が形成された側壁112b、212bがすりきり部材として機能する。
【0072】
さらに例えば、図7に示すように、粉粒体をすりきりして環状溝14b内に充満するすりきり部材として、可撓性材料(例えば樹脂)から作製されたすりきりシート324を使用してもよい。すりきりシート324の一端が回転テーブル14の上面14aに接触し、他端が円筒状容器312の側壁312bに固定される。すりきりシート324は、円筒状容器312の内部に凸に湾曲した状態で回転テーブル14との接触を維持しつつ、円筒状容器312内の粉粒体をすりきりして環状溝14b内に充満する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、小麦粉などの塊状になりやすい粉粒体に限らず、塩などの流動性が高い粉粒体も定量供給が可能であるため、粉粒体を定量供給する必要がある様々な種類の定量供給装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 定量供給装置
12 容器(円筒状容器)
14 回転テーブル
14a 上面
14b 環状溝
24 すりきり部材(ローラ)
24a 傾斜面(外周面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を安定した供給速度で供給するための定量供給装置であって、
粉粒体を収容する容器と、
粉粒体が充満される環状溝を上面に備える回転テーブルとを有し、
環状溝の一部分が容器内部に位置しつつ、環状溝の残りの部分が容器外部に位置するように回転テーブルが回転可能に配置され、
回転テーブルの環状溝が容器外部に向かう容器側壁の部分において、環状溝の移動方向に向かって且つ環状溝に向かって延びる、容器内の粉粒体をすりきりして環状溝内に充満する傾斜面を備えるすりきり部材をさらに有する、定量供給装置。
【請求項2】
すりきり部材の傾斜面が、容器内部側に凸の湾曲面である、請求項1に記載の定量供給装置。
【請求項3】
すりきり部材が、環状溝の移動方向と交差する方向に延びる回転中心線を中心として回転するローラであって、
ローラの外周面が粉流体をすりきりする、請求項2に記載の定量供給装置。
【請求項4】
ローラが、外周面が回転テーブルの上面に接触するように配置され、回転テーブルの回転によって回動する、請求項3に記載の定量供給装置。
【請求項5】
ローラが、付勢手段によって回転テーブルに向かって付勢されている、請求項3または4に記載の定量供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−35635(P2013−35635A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171222(P2011−171222)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】