説明

定量噴射型のエアゾール製品

【課題】長時間静置した後であっても、初回操作の噴射量が一定な定量噴射型のエアゾール製品を提供する。
【解決手段】エアゾール容器11と、そのエアゾール容器内に充填されるエアゾール組成物12とからなり、エアゾール容器11が所定量のエアゾール組成物を噴射させる定量噴射機構を有するエアゾールバルブ14を備えた定量噴射型のエアゾール製品10。エアゾール組成物は、原液、液化ガスおよび低溶解性圧縮ガスを含み、エアゾールバルブ14の1回の操作当たりの噴射量は0.2〜1.0mlであり、エアゾール容器11内の圧力が、液化ガスの飽和蒸気圧よりも0.05〜0.3MPa高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量噴射型のエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアゾール製品は様々な用途に用いられており、その用途に応じて様々なエアゾール製品が開発されている。1回の噴射操作で所定量の内容物を噴射する定量噴射型のエアゾール製品もその一つであり、このようなエアゾール製品は、例えば、芳香剤、殺虫剤等に使用されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−272012号公報
【特許文献2】特開2001−335083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような定量噴射型のエアゾール製品であって、定量噴射機能を有するエアゾールバルブを備えたものは、製品を開封した後や長時間使用しなかった後の1回目の噴射量が所定量より小さくなることがある。この原因は、一度バルブのハウジング内に導入されたエアゾール組成物が時間の経過と共に容器本体に戻り、減少しているためであることが、出願人の鋭意検討によってわかった。
本発明は、このような課題を解決するためのものであり、いつ操作しても噴射量が一定である定量噴射型のエアゾール製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の定量噴射型のエアゾール製品は、エアゾール容器と、そのエアゾール容器内に充填されるエアゾール組成物とからなり、前記エアゾール容器が所定量のエアゾール組成物を噴射させる定量噴射機構を有するエアゾールバルブを備えた定量噴射型のエアゾール製品であって、前記エアゾール組成物が原液、液化ガスおよび低溶解性圧縮ガスを含み、前記エアゾール容器内の圧力が、液化ガスの飽和蒸気圧よりも0.05〜0.3MPa高く、前記エアゾール組成物が噴射される一回当たりの所定量が0.2〜1.0mlであることを特徴としている。
本発明において、低溶解性圧縮ガスとは、原液や、液化ガスに対して溶解性の低いものをいい、原液や液化ガスに応じて適宜決定されるものである。
【0006】
このような定量噴射型のエアゾール製品であって、前記エアゾールバルブのハウジングは、エアゾール容器内の気相部と直接連通せず、エアゾール容器内の液相部と連通する導入通路を備えており、前記定量噴射機構は、エアゾールバルブの開く操作をすることにより、前記導入通路を閉鎖または一部閉鎖する機構であるものが好ましい。また、その導入通路を閉鎖もしくは一部閉鎖するものとしてボールが挙げられる。
【0007】
さらに、このような定量噴射型のエアゾール製品であって、前記圧縮ガスが空気であるものが好ましい。さらに、前記液化ガスの25℃における飽和蒸気圧が0.2〜0.6MPaであり、前記液化ガスはエアゾール組成物中50〜90Vol%含有しているものが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の定量噴射型のエアゾール製品では、前記エアゾール組成物が原液、液化ガスおよび低溶解性圧縮ガスを含み、前記エアゾール容器内の圧力が液化ガスの飽和蒸気圧よりも0.05〜0.3MPa高く、前記エアゾール組成物が噴射される一回当たりの所定量が0.2〜1.0mlであるため、エアゾール容器内(気相部)の圧力の方が、エアゾールバルブのハウジング内の圧力より若干高くなる。そのため、ハウジング内に充填された原液および液化ガスがエアゾール容器内に戻りにくく、長時間静置した後に操作しても一定量のエアゾール組成物が噴射される。
【0009】
本発明の定量噴射型のエアゾール製品であって、前記エアゾールバルブのハウジングがエアゾール容器内の気相部と直接連通せず、エアゾール容器内の液相部と連通する導入通路を備えており、前記定量噴射機構がエアゾールバルブの開く操作をすることにより、前記導入通路を閉鎖または一部閉鎖する機構である場合、エアゾールバルブのハウジング内は、導入通路より導入される液体のエアゾール組成物しか蓄積されない。つまり、低溶解性圧縮ガスは確実にエアゾール容器内の気相部に残る。そのため、気相部の圧力(圧縮ガス+液化ガスの飽和蒸気圧)とハウジング内の圧力(液化ガスの飽和蒸気圧)との差を一層長期間保持できる。
また、前記液化ガスの25℃における飽和蒸気圧が0.2〜0.6MPaであり、前記液化ガスはエアゾール組成物中50〜90Vol%含有している場合、安全性が高く、効果の高いエアゾール製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す断面側面図である。
【図2】図1のエアゾールバルブの拡大図である。
【図3】図1のエアゾールバルブの噴射直後の状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の定量噴射型のエアゾール製品を図面を用いて説明する。
図1のエアゾール製品10は、定量噴射型のエアゾール容器11と、その内部に充填されるエアゾール組成物12(気相部Aおよび液相部B)とからなる。
【0012】
エアゾール容器11は、耐圧性の容器本体13と、その開口部に取付けられる定量噴射型のエアゾールバルブ14とからなり、容器本体13とエアゾールバルブ14とは、エアゾールバルブ14に設けられた1本の導入通路15のみで連通するように構成されている。
容器本体13は、金属製のものであり、底部13a、胴部13b、肩部13c、およびビード部13dを備えた一般的なものである。
【0013】
エアゾールバルブ14は、図2に示すように、筒状のハウジング21と、そのハウジング内に上下移動自在に収容されるステム22と、そのステムを常時上向きに付勢するバネ23と、ステムのステム孔を塞ぐステムラバー24と、ハウジング21の上部を覆い容器本体13に固定されるマウンティングカップ25と、ハウジングの下端に取付けられる筒状の定量ハウジング26と、定量ハウジング内に上下移動自在に収容されるボール27と、定量ハウジングの下端に取付けられるディップチューブ28とを備えている。また、ハウジング21と、定量ハウジング26との間には、ボール27が定量ハウジング26の上端に達したとき、ボール27によって確実に導入通路15が閉鎖されるように筒状のブッシュ29が設けられている(図3参照)。
【0014】
図2に戻って、ハウジング21は、上端が開口しており、前記ステム22を収容する上筒部21aと、下端が開口しており、前記ブッシュ29を収容する下筒部21bと、それらを隔てる隔壁21cとからなり、上筒部21aと下筒部21bとは隔壁21cの中央に形成される連通孔21dで連通している。また、ハウジング21は、エアゾール容器内の気相部と直接連通する孔を備えていない。
ステム22は、有底筒状のものであり、上端が開口しており、側面にステム孔22aを備えたものである。
バネ23は、ステム22の下端と、ハウジング21の隔壁21cとの間に設けられている。
ステムラバー24は、ステム孔22aを塞ぐリング状のものであり、ハウジング21の上端開口部とマウンティングカップ25との間に狭持されている。
【0015】
マウンティングカップ25は、前記ビード部に固着されるマウント部25aと、中央のハウジング保持部25bと、マウント部25aとハウジング保持部25bとを連結する連結部25cとからなり、ハウジング保持部25bの中央にはステム22の突出を許す中心孔が形成されている。
定量ハウジング26は、ハウジングの下筒部21bを受け入れるハウジング取付部26aと、ボール27を収容するボール収容部26bと、ディップチューブ28が連結される筒状の連結部26cとからなる。ボール収容部26bの径は、ボール27より大きく構成されている。
ブッシュ29は、ハウジングの下筒部21bに挿入される挿入部29aと、ボール27を受け入れる下端開口部29bとからなり、下端開口部29bの内面は、下方に向けて拡がるようにテーパーとなっている。この下端開口部29bは、ボール27を受けて導入通路15を閉じる。
【0016】
導入通路15は、ハウジング21、ブッシュ29、定量ハウジング26、ディップチューブ28とから構成されている。エアゾール製品10の噴射操作(ステムに取り付けられている噴射部材(図示せず)を下方に押す操作)を行うことにより、エアゾールバルブ14が開かれ、ハウジング21内から定量ハウジングのボール収容部26bのエアゾール組成物がステムの開口部より噴射される。それと同時にボール27がブッシュ29の下端開口部29bと当接し、導入通路15は閉鎖される(図3参照)。これにより、ハウジング21内から定量ハウジングのボール収容部26bまでに貯蓄された定量のエアゾール組成物が噴射される。その体積は、0.2〜1.0ml、特に、0.3〜0.7mlである。一方、エアゾールバルブ14が閉鎖されると、ボール27はボール収容部26bの下方に移動し、それと同時に導入通路15(下端開口部29b)の閉鎖も解除される。これにより、ハウジング21内および定量ハウジングのボール収容部26bにエアゾール容器内の液体(原液および液化ガスの液体)が再度貯蓄される。
なお、噴射後にボールを元の位置に戻りやすくするために、ブッシュの下端開口部に切り口を入れてボールとの間に通路を設けても良く、ハウジングの下筒部とブッシュとの間に通路を設けても良い。この場合、ボール27が下端開口部29を閉鎖しても、導入通路15は完全には塞がれない。しかし、上記切り口または通路の断面積を導入通路15の他の部位の断面積より小さくすることにより、貯蓄されたエアゾール組成物が噴射されるときの噴射(定量噴射)と、その後の噴射との間で噴射量に差が生じる。操作者はこの変化を確認することにより、定量噴射されたことを認識することができる。本発明に用いられる定量噴射機構には、このように定量のエアゾール組成物が噴射されたことを認識できる機構も含まれる。
【0017】
エアゾール組成物12は、原液と、液化ガスと、低溶解性圧縮ガスとから構成されている。
原液は、有効成分を溶媒に溶解したものであり、大気中に噴射されると微細な霧状になり、対象物に付着して有効成分の効力を発揮するものである。また、用途や目的に応じて界面活性剤などが適宜配合される。
【0018】
有効成分としては、たとえば、殺虫成分、忌避剤、殺ダニ剤、カビ類や菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、安定剤、香料、賦形剤などが挙げられる。
前記殺虫成分としては、たとえば、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、イミプロトリン、フタルスリン、フェノトリン、ぺルメトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、レスメトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメトリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、フェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物などがあげられ、このうち、殺虫効力と安全性の点からピレスロイド系化合物が好ましい。
前記忌避剤としては、セバシン酸ジブチル、N,N−ジエチル−m−トルアミドなどがあげられ、前記殺ダニ剤としては、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートなどがあげられ、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、たとえば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルト−フェニルフェノールなどがあげられる。
有効成分は、原液全体量に対して0.01〜80.0重量%含有する。0.01重量%未満であると所望の効力が得られにくく、一方、80.0重量%を超えるとエアゾール組成物の安定性が低下しやすい。
【0019】
前記溶剤としては、たとえば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、ミリスチン酸イソプロピルなどの高級脂肪酸エステル系溶剤、ケロシン、流動パラフィンなどの炭化水素系溶剤などがあげられる。溶媒は有効成分によって適宜決定され、有効成分を溶剤に添加することにより原液が調製される。
原液はエアゾール組成物中10〜50容量%であることが好ましく、さらには20〜40容量%であることが好ましい。10容量%未満であるとスプレー粒子が少なくなり、効力が弱くなりやすく、一方、50容量%を超えると霧が粗くなり、空間に噴射したときに落下しやすく効力が持続しにくくなる。
【0020】
液化ガスとしては、エアゾール容器内では蒸気圧を有する液体であり、大気中に噴射されると気体に変化して原液を微細な霧状にする。
液化ガスとしては、たとえば、液化石油ガス、ジメチルエーテル、液化石油ガスとジメチルエーテルの混合ガスなどがあげられる。液化ガスの25℃における飽和蒸気圧は0.2〜0.6MPaであることが好ましく、さらには0.3〜0.5MPaであることが好ましい。飽和蒸気圧が0.2MPa未満である場合はスプレー粒子の到達距離が短くなりやすく、0.6MPaを超えると温度上昇によりエアゾール容器内の圧力が高くなり安全性が低下する。
前記液化ガスは、エアゾール組成物中50〜90容量%含有することが好ましく、さらには60〜80容量%含有することが好ましい。50容量%未満であると霧が粗くなり、空間に噴射したときに落下しやすく効力が持続しにくくなる。一方、90容量%を超えるとスプレー粒子が少なくなり、効力が弱くなりやすい。
【0021】
低溶解性圧縮ガスは、原液や液化ガスに対する溶解度が低い圧縮ガスであり、エアゾール容器内の圧力を液化ガスの飽和蒸気圧より0.05〜0.3MPa、特に0.07〜0.2MPa高くする。このように、エアゾール容器の気相部の圧力を液化ガスの飽和蒸気圧よりも高くすることにより、ハウジング内に導入されているエアゾール組成物の液量を維持することができる。
前記低溶解性圧縮ガスとしては、たとえば、窒素ガス、酸素ガス、圧縮空気など、使用する溶剤に対するオストワルド吸収係数が0.3以下であるものがあげられる。たとえば、溶剤としてエタノールを用いる場合は、窒素ガスが0.143、酸素ガスが0.220、空気が0.158である(空気は実測値)。前記オストワルド吸収係数が0.3を超えると溶解量が多くなり、高温時に容器内の圧力が高くなり安全性が低下するおそれがある。しかし、原液の溶剤および液化ガスに対して前述の低溶解性を示す気体であれば特に限定されるものではない。
前記低溶解性圧縮ガスは、容器に原液と液化ガスを充填し、バルブをクリンプした後でバルブのステムから所定の圧力になるよう充填することも可能であるが、原液充填後に容器内の空気をバキュームせずに液化ガスを充填し、バルブをクリンプして容器内の空気を圧縮しても良い。
【0022】
エアゾール製品10のエアゾールバルブのハウジング21は、エアゾール容器11内の気相部Aと直接連通していないため、エアゾールバルブのハウジング21内は液体(液相部Bの成分である原液および液化ガス)によって充填される。つまり、ハウジング21内の圧力は、エアゾール容器11内の圧力より圧縮ガス分だけ小さい。そのため、エアゾールバルブのハウジング21内の液体は、エアゾール容器11内の液相部Bを介してエアゾール容器内の気相部Aによって常時上方向に押圧力を受け、ハウジング21内の液体の減少を防止する。
【0023】
本発明は、エアゾール組成物に圧縮ガスを導入させ、エアゾール容器内の気相の圧力を、エアゾールバルブのハウジング内の圧力より大きくすることにより、ハウジング21内の液体(原液および液化ガスの液体)の減少を防止させ、噴射量の安定化、特に初回の噴射量の安定化を図っている。
図1の実施形態では、エアゾール容器の液相部からエアゾールバルブのハウジング内への導入通路をボールで閉鎖するものを開示した。しかし、特許文献1の図10あるいは図11、および、特許文献2の図1のようにステムで導入通路を閉鎖するようにしてもよい。
【0024】
また、図2のブッシュの下端開口部26に切り口を入れる等、定量のエアゾール組成物が噴射されたことを認識できる定量噴射機構について説明したが、特許文献1の図4のように、エアゾールバルブを開放することにより、導入通路の面積が狭められ(一部閉鎖され)、噴射量が変化することにより、所定量のエアゾール組成物が噴射されたことを認識できる定量噴射型のエアゾール容器を用いてもよい。
さらには、特許文献1の図1のように、導入通路(あるいは導入孔)の断面積を、噴射通路の断面積より小さくしたエアゾール容器であって、エアゾールバルブに貯蓄された所定量のエアゾール組成物の噴射(定量噴射)と、その後の噴射との噴射量(勢い)が変化することにより、定量のエアゾール組成物が噴射されたことを認識できる定量噴射型のエアゾール容器を用いてもよい。
【実施例】
【0025】
「実施例1」
図1のエアゾール容器11を用意した。またトランスフルトリン5重量%をエタノール95重量%に配合して原液を調製した。次に、内部を大気圧としたエアゾール容器内に前記原液および液化石油ガス(25℃での飽和蒸気圧が0.4MPa)を液体体積比が3:7となるように充填した。このエアゾール容器内の25℃での圧力は、0.5MPaであった。
【0026】
「実施例2」
図1のエアゾール容器11を用意し、内部を大気圧としたエアゾール容器内に実施例1と同じ原液および液化石油ガス(25℃での飽和蒸気圧が0.4MPa)を液体体積比が3:7となるように充填し、かつ、窒素ガスを充填した。このエアゾール容器内の25℃での圧力は、0.55MPaであった。
【0027】
「実施例3」
図1のエアゾール容器11を用意し、実施例1と同じ原液を充填した後に空間をバキュームして減圧し、液化石油ガス(25℃での飽和蒸気圧が0.4MPa)を充填し、さらに窒素ガスを充填した。なお、原液と液化石油ガスの液体体積比は3:7である。このエアゾール容器内の25℃での圧力は、0.7MPaであった。
【0028】
「比較例1」
図1のエアゾール容器11を用意し、実施例1と同じ原液を充填した後に空間をバキュームして減圧し、液化石油ガス(25℃での飽和蒸気圧が0.4MPa)を充填した。なお、原液と液化石油ガスの液体体積比は3:7である。このエアゾール容器内の25℃での圧力は、0.4MPaであった。
「比較例2」
図1のエアゾール容器11を用意し、実施例1と同じ原液を充填した後に空間をバキュームして減圧し、液化石油ガス(25℃での飽和蒸気圧が0.2MPa)を充填した。なお、原液と液化石油ガスの液体体積比は3:7である。このエアゾール容器内の25℃での圧力は、0.22MPaであった。
「比較例3」
図1のエアゾール容器11を用意し、実施例1と同じ原液を充填した後に空間をバキュームして減圧し、液化石油ガス(25℃での飽和蒸気圧が0.6MPa)を充填した。なお、原液と液化石油ガスの液体体積比は3:7である。このエアゾール容器内の25℃での圧力は、0.58MPaであった。
【0029】
実施例1〜3および比較例1〜3のエアゾール製品を25℃の恒温水槽中に保存し、1時間後の噴射量、7日後の噴射量、18日後の噴射量を測定した。その測定結果を次の表1に示す。なお、表1におけるガス圧は、液化ガスの25℃における飽和蒸気圧(MPa)を示し、製品圧力は、エアゾール容器内の圧力(MPa)を示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1でも明らかなように、実施例1〜3の噴射量は、安定した数値を示した。それに対して、比較例1〜3は、保存期間が7日で噴射量の減少が見られた。
【符号の説明】
【0032】
A 気相部
B 液相部
10 エアゾール製品
11 エアゾール容器
12 エアゾール組成物
13 容器本体
13a 底部
13b 胴部
13c 肩部
13d ビード部
14 定量噴射型のエアゾールバルブ
15 導入通路
21 ハウジング
21a 上筒部
21b 下筒部
21c 隔壁
21d 連通孔
22 ステム
22a ステム孔
23 バネ
24 ステムラバー
25 マウンティングカップ
25a マウント部
25b ハウジング保持部
25c 連結部
26 定量ハウジング
26a ハウジング取付部
26b ボール収容部
26c 連結部
27 ボール
28 ディップチューブ
29 ブッシュ
29a 挿入部
29b 下端開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器と、そのエアゾール容器内に充填されるエアゾール組成物とからなり、前記エアゾール容器が所定量のエアゾール組成物を噴射させる定量噴射機構を有するエアゾールバルブを備えた定量噴射型のエアゾール製品であって、
前記エアゾール組成物が原液、液化ガスおよび低溶解性圧縮ガスを含み、
前記エアゾール容器内の圧力が、液化ガスの飽和蒸気圧よりも0.05〜0.3MPa高く、
前記エアゾールバルブを開く操作をしたとき、エアゾール組成物が噴射される一回当たりの所定量が0.2〜1.0mlである、
定量噴射型のエアゾール製品。
【請求項2】
前記エアゾールバルブのハウジングは、エアゾール容器内の気相部と直接連通せず、エアゾール容器内の液相部と連通する導入通路を備えており、
前記定量噴射機構は、エアゾールバルブの開く操作をすることにより、前記導入通路を閉鎖または一部閉鎖する機構である、請求項1記載の定量噴射型のエアゾール製品。
【請求項3】
前記導入通路がボールによって閉鎖される、請求項2記載の定量噴射型のエアゾール製品。
【請求項4】
前記圧縮ガスが空気である、請求項1記載の定量噴射型のエアゾール製品。
【請求項5】
前記液化ガスの25℃における飽和蒸気圧が0.2〜0.6MPaであり、
前記液化ガスはエアゾール組成物中50〜90Vol%含有している、請求項1記載の定量噴射型のエアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−162244(P2011−162244A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28935(P2010−28935)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000207584)大日本除蟲菊株式会社 (184)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】